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特許7186175熱処理による還元糖の異性化を抑制する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】熱処理による還元糖の異性化を抑制する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/30 20160101AFI20221201BHJP
   C12P 19/44 20060101ALI20221201BHJP
   C12P 19/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A23L29/30
C12P19/44
C12P19/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019550677
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2018056727
(87)【国際公開番号】W WO2018167293
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】17161671.7
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511149751
【氏名又は名称】クリスチャン.ハンセン・ハー・エム・オー・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワルテンベルク,ディルク
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/032413(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/137467(WO,A1)
【文献】英国特許出願公告第00423063(GB,A)
【文献】米国特許第02826502(US,A)
【文献】特表2014-506474(JP,A)
【文献】特表2015-529453(JP,A)
【文献】国際公開第2015/175801(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/040531(WO,A1)
【文献】MONTILLA A,EGG SHELL AS CATALYST OF LACTOSE ISOMERISATION TO LACTULOSE,FOOD CHEMISTRY,NL,ELSEVIER LTD,2005年05月,VOL:90, NR:4,PAGE(S):883 - 890,https://cmapspublic3.ihmc.us/rid=1N23BH26V-SVNFS8-14T2/Egg%20shell%20as%20catalyst%20of%20lactose%20isomerisation%20to%20lactulose.pdf
【文献】INDUSTRIAL AND ENGINEERING CHEMISTRY,1940年,Vol.32, p.1360-1366
【文献】Milchwissenschaft, 1980, Vol.35, p.5-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23C
C12P
C13K
C07H
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元糖を含有する糖水溶液を滅菌するための熱処理の際、前記水溶液中の還元糖の異性化を抑制する方法であって、該糖水溶液を該熱処理前に酸性化するステップを含み、
前記糖水溶液は、前記糖水溶液に少なくとも1つの酸を添加することによって、1~6の値を有するpHに酸性化され、
前記熱処理は、前記糖水溶液を115℃~150℃の範囲の温度に加熱し、該温度を最長60分間保つこと、前記糖水溶液を121.1℃で15分間~30分間高圧蒸気殺菌を行うこと、前記水溶液を130℃~150℃の温度に加熱し、該温度を最長5分間保持すること、又は前記水溶液を71.5℃~74℃の温度に15秒間~30秒間供することを含み、
前記還元糖は、0.66M以上の濃度で存在するラクトースである、方法。
【請求項2】
前記糖水溶液が、2~5の値を有するpHに酸性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸が、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸及び炭酸からなる群から選択される無機酸である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸が、モノカルボン酸、ジカルボン酸、及びトリカルボン酸からなる群から選択される有機酸である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
記ラクトースが、1M以上の濃度で存在する、請求項に記載の方法
【請求項6】
ヒト乳オリゴ糖のバイオテクノロジー産生方法における、請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくともラクトースを含有する滅菌水溶液の使用であって、
前記方法が、以下のステップ、すなわち、
-前記ヒト乳オリゴ糖を産生することができる少なくとも1つの細胞を準備するステップ;
-前記少なくとも1つの細胞が前記ヒト乳オリゴ糖を産生するために、請求項1~5のいずれか一項に記載の滅菌水溶液を含有する及び/又は該滅菌水溶液が補充された発酵ブロス中で前記少なくとも1つの細胞を培養するステップ;及び
-任意選択的に前記発酵ブロスから前記ヒト乳オリゴ糖を精製するステップ
を含む、使用。
【請求項7】
前記還元糖が、前記滅菌水溶液中に1M以上の濃度で存在する、請求項に記載の使用。
【請求項8】
前記ヒト乳オリゴ糖が、前記発酵方法の終了時に前記発酵ブロス中で100g/L以上量で生産される、請求項又はに記載の使用。
【請求項9】
前記ヒト乳オリゴ糖が、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、2’,3-ジフコシルラクトース、ラクト-N-トリオースII、ラクト-N-テトラオース、ラクト-N-ネオテトラオース、ラクト-N-フコペンタオースI、ラクト-N-ネオフコペンタオースI、ラクト-N-フコペンタオースII、ラクト-N-フコペンタオースIII、ラクト-N-フコペンタオースV、ラクト-NネオフロペンタオースV、ラクト-N-ジフコヘキサオースI、ラクト-N-ジフコヘキサオースII、パラ-ラクト-N-フコシルヘキサオース、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースb、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、ジシアリル-ラクト-N-フコペンタオース、3-フコシル-3’-シアリルラクトース、-3-フコシル-6’-シアリルラクトース、ラクト-N-ネオジフコヘキサオースI、3’-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、シアリルラクト-N-テトラオースLST-a、LST-b、LST-c及びジシアリルラクト-N-テトラオースからなる群から選択される、請求項6~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記糖水溶液が、3~4の値を有するpHに酸性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒト乳オリゴ糖が、前記発酵方法の終了時に前記発酵ブロス中で150g/L以上の量で生産される、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項12】
前記ヒト乳オリゴ糖が、前記発酵方法の終了時に前記発酵ブロス中で200g/L以上の量で生産される、請求項6又は7に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する水溶液の熱処理を含む方法に関する。より詳細には、本発明は、還元糖を含有する水溶液の熱処理による水溶液中の還元糖の異性化を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無菌環境を維持することは、しばしばバイオテクノロジー生産方法において細胞を培養するための必須条件である。しかし、これらの方法は、外来性の細菌、真菌又はウイルスによる異物の増殖をしばしば起こしやすい。外来性微生物に汚染されることは、生産性(原料、所望の生成物又は所望のバイオマスの劣化又は改変及び汚染物質の除去のためのバイオリアクターの停止期間の長期化による生産能力の低下)、生成物の品質及び生成物の安全性(異物の増殖自体による及び/又は望ましくない微生物によって産生される代謝産物による最終生成物の汚染による)を損なうため、製造方法に重大な影響を及ぼす。
【0003】
微生物の偏在的な性質及び製造過程に対する多くの微生物の侵入ポイントに起因して、バイオ製品及びその製造過程に対する異物の増殖を防止することは困難である。バイオテクノロジー生産方法において使用されるべき、設備(例えば発酵槽の内部)、増殖培地、及び増殖培地に対する任意の補助剤を、滅菌するための様々な方法が、開発されている。
【0004】
化合物又は組成物を滅菌するためのいくつかの方法が知られており、バイオテクノロジー生産方法で使用される供給物から外来性微生物を除去するために用いられている。そのような方法には、ガス滅菌(例えばオゾン又はエチレンオキシドを用いる)、放射線滅菌(例えば紫外線照射又はガンマ線照射)、輝線/パルス光滅菌、並びに液体及び溶液の、特に、熱感受性であるか又は少なくとも1つの熱感受性化合物を含有する液体及び溶液の、滅菌濾過が、含まれる。
【0005】
あらゆる耐熱性供給物の熱処理は、最も信頼性が高く効果的な滅菌方法であることが知られており、湿式加熱は、加熱滅菌を達成するために最も広く使用されている。湿式加熱(蒸気)滅菌は、滅菌する要素を加圧蒸気にしばらく曝すことを意味する。設備及び供給物の滅菌に使用される典型的な湿式加熱滅菌プロトコルは、要素を115~140℃で高圧飽和蒸気に約60~3分間曝す。これらの滅菌プロトコルは、滅菌される原料、溶液又は表面のバイオバーデン及び性質に依存して変動し得る。
【0006】
基本的に、不適切な滅菌方法による成分の損傷は、バイオテクノロジー生産方法の品質、安全性又は生産性に影響を及ぼす可能性があるため、避ける必要がある。特に、流体は、熱、照射又は薬品を用いる滅菌法に起因して、種々の化学反応を受け得る。
【0007】
このような化学反応の複雑さは、微生物負荷を減少させるか、又はミルク中の酵素を不活性化し、それによってミルクの貯蔵寿命を延ばすために典型的に使用される、熱処理ミルクによって例示される。121.1℃で20分間の従来の滅菌では、ミルクの色と味に影響するメイラード反応が起こることが知られている。さらに、タンパク質又はビタミンの変性又は不活性化、並びにアルド糖とアミノ酸又はアミノ基含有物質との反応は、ミルクの熱処理によって起こることが知られている。また、ミルクの主要成分であるラクトース(4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-グルコピラノース、CAS番号:63-42-3)は、熱処理によりラクツロース(4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-フルクトフラノース、CAS番号:4618-18-2)へと異性化し、さらにグルコース及びガラクトースに並びにさらに酸などの分解産物に分解することもよく知られている。この種の異性化は塩基性pHによって促進され、Lobry de Bruyn-Alberda van Ekenstein転位としても知られる。
【0008】
ミルクの質及び組成に対する熱の望ましくない影響を制限する試みにおいて、ミルクを140℃に数秒から数分間暴露する「超高温処理」、又はミルクを最高74℃の温度に加熱する「低温殺菌」などの代替殺菌方法が使用される。それにもかかわらず、より低い程度ではあるが、望ましくない熱に媒介される反応が、これらの代替の滅菌方法中にも起こる。
【0009】
これは、120℃で10分間の滅菌の前に、6.70の初期pHを有する原料スキムミルクのpH値を6.59~6.72の値に調整することによってさらに改善することができた。これは、元のミルク中のラクツロース形成と比較して、pH6.59において28%ラクツロース形成を減少させ、pH6.72において9%ラクツロース形成を増加させた。
【0010】
2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、ラクト-N-テトラオース、ラクト-N-ネオテトラオース、3’-シアリルラクトース又は6’-シアリルラクトースのようなヒト乳オリゴ糖のバイオテクノロジー生産において、ラクトースは、典型的に、所望のHMOを生産するさらなるグリコシル化ステップのための最初の受容体分子として使用される。発酵ブロス中の異物の増殖を防ぐために、供給されるラクトースは滅菌されなければならない。しかし、ラクツロースは乳児用調製粉乳又は前記HMOを補充される任意の他の栄養製品中に存在してはならない公知の緩下剤であるため、発酵ブロス中にラクツロースが存在することは、回避されなければならない。さらに、ラクツロースは、代替受容体分子としてHMO産生細菌によって使用され得るため、天然には存在しないオリゴ糖が生じかねない。
【0011】
熱処理に代わるものとして、ラクトース溶液を濾過により滅菌することが可能である。典型的には、1mM~1Mのラクトースを含有する溶液が滅菌濾過される。しかし、工業的規模の生産に必要なろ過による大量の溶液の滅菌は、費用がかかり、時間がかかり、加熱滅菌と比較して信頼性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、ラクトースをラクツロースに変換することなく、又はわずかな量のラクトースをラクツロースに変換するだけで、ラクトースを滅菌する、信頼性の高いより便利な方法が、必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、その熱処理に先立って糖溶液を酸性化する原理がラクトース以外の他の糖にも同様に適用することができるにもかかわらず、ラクトース溶液を熱に曝す前及び/又は曝す過程でラクトース溶液の酸性pHを調節する方法によって達成された。
【0014】
第1の態様では、本発明は、水溶液の熱処理の前及び/又は過程で水溶液を酸性化することにより、水溶液の熱処理の際の、還元糖を含む水溶液中の還元糖の異性化を、抑制する方法を、提供する。
【0015】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液を提供する。
【0016】
第3の態様において、本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液の使用であって、バイオ製品のバイオテクノロジー生産における使用を提供する。
【0017】
第4の態様では、本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液が用いられる、バイオ製品の製造方法を提供する。
【0018】
第5の態様において、本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液を利用するバイオテクノロジー生産によって生産されるバイオ製品を提供する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液を利用するバイオテクノロジー生産によって生産されるバイオ製品の、配合物を製造するための使用を、提供する。
【0020】
別のさらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液を利用するバイオテクノロジー生産によって生産されたバイオ製品を含む、配合物を、提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】加熱滅菌前のラクトースを含有する水溶液のクロマトグラムを示す。
図1B】加熱滅菌後のラクトースを含有する水溶液のクロマトグラムを示す。この水溶液は加熱滅菌前に酸性化されなかった。
図1C】標準として使用された種々の特定の糖のクロマトグラムを示す。
図2A】加熱殺菌前のラクトースを含む水溶液のクロマトグラムである。
図2B】加熱殺菌後のラクトースを含む水溶液のクロマトグラムである。この水溶液は、ラクトースを含有する水溶液に硫酸を加えることによって加熱滅菌する前に酸性化された。
図2C】標準として使用された種々の特定の糖のクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の態様によれば、糖水溶液の熱処理の際、還元糖を含有する水溶液(糖水溶液)中の還元糖の異性化を抑制する方法であって、前記糖水溶液の熱処理の前及び/又は過程で、前記糖水溶液を酸性化するステップを含む方法が提供される。
【0023】
本明細書で使用する「還元糖」という用語は、遊離のアルデヒド基を有するので、還元剤として作用することができる任意の糖(sugar)又は糖類(saccharide)を指す。還元糖は、単糖、二糖及びオリゴ糖を含む。すべての単糖は還元糖であり、アルデヒド基をもつアルドースとケトン基をもつケトースに分類できる。ケトースは還元糖として働くことができる前に、まずアルドースに互変異性化しなければならない。二糖は2つの単糖残基から形成され、オリゴ糖は3~7つの単糖残基から形成される。二糖及びオリゴ糖は還元型と非還元型のどちらかに分類できる。ラクトース及びマルトースのような還元二糖は、グリコシド結合に関与する二つのアノマー炭素のうちの1つしかもたず、アルデヒド基をもつ開鎖型に変換できることを意味する。
【0024】
追加の及び/又は代替の実施形態では、還元糖は、アルドース、二糖及びオリゴ糖からなる群から選択される。
【0025】
本明細書で使用する「アルドース」という用語は、1分子当たりアルデヒド基を1つだけ含む単糖を指す。アルドースの例は、D-(+)-グリセルアルデヒド、D-(-)-エリトロース、D-(-)-トレオース、D-(-)-リボース、D-(-)-アラビノース、D-(+)-キシロース、D-(-)-リキソース、D-(+)-アロース、D-(+)-アルトロース、D-(+)-グルコース、D-(+)-マンノース、D-(-)-グロース、D-(-)-イドース、D-(+)-ガラクトース、及びD-(+)-タロースである。
【0026】
追加の及び/又は代替の実施形態において、二糖は、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチビオース、ツラノース、マツロース(matulose)、パラチノース、ゲンチビオース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ルチノース、ルチヌロース(rutinulose)及びキシロビオースからなる群から選択される。
【0027】
本明細書で使用する「オリゴ糖」という用語は、3、4、5、6、又は7個の単糖残基からなる糖を指し、したがって、三糖、四糖、五糖、六糖、及び七糖を含む。
【0028】
糖水溶液を得るために、一定量の少なくとも1つの還元糖を供給水に溶解する。前記水は、蒸留水、二重蒸留水、脱イオン水、地下水、河川水、海水、水道水、都市用水、及び生理食塩水含有水からなる群から選択され得る。本明細書で使用する「生理食塩水含有水」という用語は、1つ以上の塩の水溶液を指す。追加の及び/又は代替の実施形態では、糖水溶液は、タンパク質、ポリペプチド、核酸(DNA及び/又はRNAなど)及び脂質(脂肪酸、モノグリセロール、ジグリセロール及び/又はトリグリセロールなど)からなる群から選択される1つ以上を含まない。
【0029】
本方法の実施形態において、糖水溶液は、約1~約6の値を有するpH、好ましくは約2~約5の値を有するpH、より好ましくは約3~約4の値を有するpHに酸性化される。約3~約5の値を有する糖水溶液のpHは、還元糖の異性化が抑制されるか、又は防止さえされる一方で、前記還元糖の分解産物の形成が無視できるので、特に有利であることが見出された。
【0030】
追加の及び/又は代替の実施形態では、糖水溶液は、酸を糖水溶液に添加することによって酸性化される。酸は、還元糖との望ましくない化学反応を引き起こさない任意の酸であり得る。そのような望ましくない化学反応の例は、硝酸をラクトース水溶液に加えた場合の粘液酸の形成である。
【0031】
還元糖がガラクトース又はガラクトース含有糖である場合、ガラクトース又はラクトースなどのガラクトース含有化合物の硝酸酸化は粘液酸をもたらすので、無機酸が硝酸(又は亜硝酸)でないという条件で、酸は有機酸及び無機酸の群から選択され得る。
【0032】
追加の及び/又は代替の実施形態では、糖水溶液を酸性化するための少なくとも1つの酸は、無機酸又は鉱酸である。無機酸は、糖水溶液に添加される量で、糖と不注意に反応しない適切な無機酸である。例えば、ラクトース水溶液に硝酸を添加すると、粘液酸が生じ得る。無機酸は、好ましくは、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、及び炭酸からなる群から選択される。
【0033】
無機酸が炭酸である実施形態において、糖水溶液は、加圧容器内で二酸化炭素によりガス処理されるという点において酸性化することができる。
【0034】
追加の及び/又は代替の実施形態では、糖水溶液を酸性化するための少なくとも1つの酸は、有機酸である。有機酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、及びトリカルボン酸からなる群から選択することができる。
【0035】
追加の及び/又は代替の実施形態では、モノカルボン酸は、炭酸、ギ酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)、酪酸(ブタン酸)、及び吉草酸(ペンタン酸)からなる群から選択されるが、これらに限定されない。
【0036】
追加の及び/又は代替の実施形態において、ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマル酸、グルタコン酸、ムコン酸、及びシトラコン酸からなる群から選択される。
【0037】
追加の及び/又は代替の実施形態では、トリカルボン酸は、クエン酸、イソクエン酸、及びアコニット酸からなる群から選択される。
【0038】
糖溶液のpHを酸性値に調整することにより、水溶液中の還元糖の熱処理が、還元糖類の異性化なしで、又は少なくとも低減した異性化を伴って、可能になる。
【0039】
本明細書で使用する「熱処理」という用語は、高温、すなわち、室温(21℃)を超える温度で糖水溶液を加温又は加熱及び/又は維持することを包含する。糖水溶液の熱処理は、酸性化後及び/又は酸性化中に糖水溶液を約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、さらには約80℃の温度に加熱することを含み、任意選択で、糖水溶液をさらに高い温度に加熱した後に、長期間、すなわち数時間又は数日間、例えば、限定されないが、約20時間、約30時間、約40時間、約50時間、約60時間、約72時間、さらにはそれよりも長く、糖水溶液をそのような温度に維持することも含む。
【0040】
還元糖を含有する水溶液を、そのような高温で、還元糖の異性化を伴わずに、又は還元糖の著しく減少した異性化を伴って、加熱及び/又は保つことは、例えば、より多量の糖を所与の量の水に溶解し、それによって、水溶液中の糖濃度を増加させ、所望の最終糖濃度を得るためにバッチに供給される糖水溶液の容積を減少させる選択肢のような、複数の利点を提供する。それに加えて及び/又はそれに代えて、糖水溶液の粘度は、糖水溶液を高温に加熱/維持することにより低下させることができ、それによって糖水溶液の取扱い及び/又は、例えばメンブランフィルターを通してのポンピングが容易になる。
【0041】
本明細書で使用する「熱処理」という用語は、糖水溶液を、糖水溶液を滅菌するのに適した高温である時間加熱及び/又は維持することも包含する。したがって、「熱処理」は、糖水溶液を約115℃~150℃の範囲(これらに限定されない)の温度に加熱し、最長約60分間までその温度を保つことも含む。
【0042】
糖水溶液を滅菌するための熱処理の実施形態において、糖水溶液は、高圧蒸気殺菌法によって滅菌される。高圧蒸気殺菌法は、飽和した過熱蒸気を利用する細菌破壊の最も重要な方法の1つである。滅菌される物体上での蒸気の凝縮は、微生物に不可逆的な損傷を引き起こすエネルギーを放出する。この目的のために、オートクレーブの内部は、最初の立ち上がり時間中に換気される。その際、大気は内部から追い出され、飽和した過熱蒸気に置き換わる。換気は、流れ工程又は分画換気を用いて行い、換気が完了すると、換気弁は閉じられる。これは、補償時間の開始を知らせる。この期間の後、滅菌されるアイテムの各ポイントは、飽和蒸気の影響により所要の温度に達する。この後、実際の滅菌段階が開始される。滅菌の持続時間は、細菌負荷と滅菌温度の両方に依存する。121.1℃(250°F)で15分間~30分間の高圧蒸気殺菌法が標準とされている。原核生物及び真核生物、ウイルス/バクテリオファージを含む栄養型は、通常65~100℃の温度で数分以内に不活性化されるが、胞子などの生存型は140℃までの温度で処理しなければならない。プリオンを不活化又は破壊するためには、132℃~134℃及び3barの圧力で少なくとも30分が必要である。その後の冷却段階、ひいてはオートクレーブサイクルの終了は、滅菌時間後に始まる。
【0043】
糖水溶液を滅菌するための熱処理の代替の実施形態では、糖水溶液は、140℃を主点として130℃~150℃の温度に水溶液を加熱することを含む、連続滅菌法である「超高温処理」と呼ばれる方法によって滅菌される。対応する保持時間は、滅菌される溶液の性質に応じて、8~40秒、時には5分まで変化し得る。
【0044】
糖水溶液を滅菌するための熱処理のさらに別の実施形態では、糖水溶液は、高温/短時間(HTST)低温殺菌に供され、そこでは溶液は、71.5℃~74℃、好ましくは72℃までの温度まで約15秒から約30秒間加熱され、該熱処理に供されている間に、制御された連続流れの中で移動する。
【0045】
糖水溶液を滅菌するための熱処理のさらに別の実施形態では、糖水溶液は「フラッシュ低温殺菌」に供され、糖水溶液は15秒間71.7℃に供される。
【0046】
糖水溶液をこれらの熱処理のいずれかに供する前に、及び/又は糖水溶液を滅菌するためのその熱処理の過程において、還元糖の水溶液を酸性化することは、その熱処理の際の水溶液中の還元糖の異性化を抑制するか、又は妨げることさえある。
【0047】
したがって、第2の態様によれば、第1の態様による方法、すなわち、糖水溶液の熱処理の前及び/又は過程で糖水溶液の酸性化を含む、還元糖の水溶液中の還元糖の異性化を抑制する方法によって得られる少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液が提供される。
【0048】
熱処理の前及び/又は過程で糖水溶液の酸性化によって得られ、同一の熱処理前に酸性化されなかった同じ還元糖の類似の水溶液と比較して、少なくとも1つの還元糖の望ましくない異性化生成物を全く又は少なくともより少ない量しか含有しない、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理水溶液。
【0049】
第2の態様の実施形態では、還元糖を含有する水溶液は、滅菌水溶液である。還元糖を含有する滅菌水溶液は、糖水溶液を滅菌するための糖水溶液の熱処理を含む、先に本明細書に記載した還元糖の異性化を抑制する方法によって得られる。したがって、水溶液は熱処理によって滅菌されている。
【0050】
追加の及び/又は代替の実施形態では、還元糖を含有する水溶液は、高温、すなわち、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃又はさらに約80℃の温度を有し、室温で水に溶解することができる還元糖の量よりも多い量の還元糖を含有する。例えば、酸性化されたラクトース水溶液の温度が約40℃~約60℃に維持される場合、≧10mMの濃度、好ましくは≧100mMの濃度、より好ましくは≧0.66Mの濃度、最も好ましくは≧1Mの濃度のラクトースを含有する水溶液が提供される。
【0051】
室温で水に溶解することができる糖の量よりも多い量の、例えばラクトースのような、少なくとも1つの還元糖を含有する糖水溶液は、先に本明細書に記載した滅菌のための熱処理によって滅菌され、滅菌糖水溶液が維持される所望の高温まで冷却された滅菌ラクトース水溶液であることができる。
【0052】
第3の態様によれば、本発明は、バイオ製品のバイオテクノロジー生産における、本明細書において先に記載した還元糖を含有する熱処理された水溶液の使用を、提供する。バイオ製品の製造
【0053】
一実施形態において、バイオ製品のバイオテクノロジー生産における、還元糖を含有する熱処理された水溶液の使用は、生体触媒生産方法における使用を含む。
【0054】
本明細書で使用される「生体触媒生産方法」という用語は、1つ以上の精製又は単離された酵素をインビトロ反応において1つ以上の抽出物と接触させて、1つ以上の抽出物を所望のバイオ製品に変換する、バイオ製品を生産するための方法を指すと理解される。
【0055】
代替の実施形態において、還元糖を含有する熱処理された水溶液の使用は、発酵生産方法におけるその使用を含む。本明細書で使用する「発酵生産方法」という用語は、微生物によって合成されるバイオ製品又は特殊産物を産生することを目的として、微生物を培地又はブロス中で増殖させる方法を指す。
【0056】
少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液であって、糖水溶液の熱処理の前及び/又は過程において、先に本明細書に記載したように酸性化された糖水溶液を使用することは、とりわけ、還元糖の望ましくない異性化生成物が糖水溶液中に全く存在しないか又は少なくしか存在せず、かつ熱処理前に酸性化されなかった類似の糖水溶液と比較して、望ましくない異性化生成物がバイオテクノロジー生産方法に、全く又はわずかしか供給されないという点で、有利である。したがって、バイオテクノロジー生産方法で使用される前に、熱処理された糖水溶液から望ましくない異性化生成物を除去する必要はない。
【0057】
第4の態様によれば、本発明は、バイオ製品のバイオテクノロジー生産のための方法を提供する。
【0058】
バイオ製品のバイオテクノロジー生産のための方法の実施形態において、該方法は、生体触媒生産方法である。この方法は以下のステップ、すなわち
-少なくとも1つの精製酵素を準備するステップ;
-少なくとも1つの精製酵素を、熱処理の前及び/又は熱処理の過程で先に本明細書に記載されたように酸性化された、熱処理された糖水溶液の存在下で1つ以上の抽出物と接触させて、1つ以上の抽出物を所望のバイオ製品に変換するステップ;及び
-任意に、バイオ製品を精製するステップ
を含む。
【0059】
一実施形態において、糖水溶液の少なくとも1つの還元糖は、生体触媒生産方法の抽出物を表す。
【0060】
バイオテクノロジー生産方法の代替の実施形態では、この方法は発酵生産方法である。
【0061】
「発酵」又は「発酵性」とは、特定の化学生成物、すなわち「バイオ製品」を産生することを目的とした、増殖培地(発酵ブロス)上又は中での微生物の大量増殖を指す。この目的のために、1種又は限られた数の微生物株の細胞を、微生物が望ましくない不純物の産生が限定された所望の産生を実施するのに最適な条件下で、バイオリアクター(発酵槽)中で増殖させる。バイオリアクター内の環境条件、例えば温度、栄養素濃度、pH、及び溶存ガス(特に好気的発酵のための酸素)は、生物の増殖及び生産性に影響を与え、したがって、必要に応じて監視、制御、及び調節される。
【0062】
したがって、バイオ製品の発酵生産の方法は、以下のステップ、すなわち
-バイオ製品を産生することができる細胞を準備するステップ;
-少なくとも1つの細胞がバイオ製品を産生するために、少なくとも1つの細胞を、少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された水溶液を含有する、及び/又は補充された発酵ブロス中で培養するステップ;及び
-任意選択的に発酵ブロスからバイオ製品を精製するステップ
を含む。
【0063】
第3の態様による使用及び/又は第4の態様による方法の実施形態では、前記生細胞は、原核細胞又は真核細胞である。適切な細胞には、酵母、細菌、古細菌、真菌、昆虫細胞、植物細胞、及び哺乳動物細胞(例えばヒト細胞及び細胞株)を含む動物細胞が含まれる。
【0064】
追加の及び/又は代替の実施形態において、原核細胞は、細菌細胞であり、好ましくは、バチルス(Bacillus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、スポロラクトバチルス種(Sporolactobacillus spp.)、マイクロモモスポラ種(Micromomospora spp.)、マイクロコッカス種(Micrococcus spp.)、ロードコッカス種(Rhodococcus spp.)、及びシュードモナス(Pseudomonas)からなる群から選択される属から選択される。適切な細菌種は、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サーモフィルス(Bacillus thermophilus)、バチルス・ラテロスポルス(Bacillus laterosporus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ミコイデス(Bacillus mycoides)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィズム・ビフィズム(Bifidum bifidum)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、クロストリジウム・セルロリチクム(Clostridium cellulolyticum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahli)、クロストリジウム・オートエタノゲヌム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetylogenum)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・サーモフィルス(Enterococcus thermophiles)、エスケリキア・コリ(Escherichia coli)、エルウィニア・ハービコラ(Erwinia herbicola)(パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans))、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブリッキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactococcus lactis)、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)、ペクトバクテリウム・カロトボラム(Pectobacterium carotovorum)、プロプリオニバクテリウム・フロインデライシイ(Proprionibacterium freudenreichii)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophiles)及びキサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)である。
【0065】
追加の及び/又は代替の実施形態において、真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、又は哺乳動物細胞である。酵母細胞は、好ましくはサッカロマイセス種(Saccharomyces sp.)、特にサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイコプシス種(Saccharomycopsis sp.)、ピキア種(Pichia sp.)、特にピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンセヌラ種(Hansenula sp.)、クルイベロマイセス種(Kluyveromyces sp.)、ヤロウィア種(Yarrowia sp.)、ロードトルラ種(Rhodotorula sp.)、及びシゾサッカロマイセス種(Schizosaccharomyces sp.)からなる群から選択される。
【0066】
第3の態様による使用及び/又は第4の態様による方法の実施形態において、前記バイオ製品はヒト乳オリゴ糖である。ヒト乳オリゴ糖は、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、2’,3-ジフコシルラクトース、ラクト-N-トリオースII、ラクト-N-テトラオース、ラクト-N-ネオテトラオース、ラクト-N-フコペンタオースI、ラクト-N-ネオフコペンタオースI、ラクト-N-フコペンタオースII、ラクト-N-フコペンタオースIII、ラクト-N-ネオフコペンタオースV、ラクト-N-ネオフロペンタオースV、ラクト-N-ジフコヘキサオースI、ラクト-N-ジフコシルヘキサオースII、パラ-ラクト-N-フコシルヘキサオース、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースb、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、ジシアリル-ラクト-N-フコペンタオース、3-フコシル-3’-シアリルラクトース、-3-フコシル-6’-シアリルラクトース、ラクト-N-ネオジフコヘキサオース、3’-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、シアリルラクト-N-テトラオーセススLST-a、LST-b、LST-c及びジシアリルラクト-N-テトラオースからなる群から選択することができる。
【0067】
第3の態様による使用及び/又は第4の態様による方法の追加の及び/又は代替の実施形態において、前記還元糖はラクトースである。この実施形態は、所望のヒト乳オリゴ糖を産生する生細胞のための発酵ブロスにラクトースを供給しなければならない特別な利点を有する。第1の態様による方法によるラクトース水溶液の加熱滅菌の際にラクツロースの形成を低減又は回避することができることで、HMO調製物が栄養食品、特に幼児用調製粉乳、薬効のある食品又は栄養補助食品を製造するために使用される場合、HMO調製物からラクツロースを除去する必要がなくなる。
【0068】
少なくとも1つの還元糖を含有する熱処理された糖水溶液であって、発酵生産方法におけるその熱処理の前及び/又は過程において、先に本明細書において記載したように酸性化された糖水溶液を使用することは、さらなる利点を提供する。第一に、本発明は、還元糖の異性化なしで、又は減少した異性化を伴いながら、加熱滅菌法により、還元糖を含有する水溶液を滅菌することを可能にする。したがって、特に数立方メートルのような大量の糖水溶液を滅菌する必要がある場合、還元糖を含有する水溶液を、加熱滅菌よりも信頼性が低い(例えば、バクテリオファージの除去に関して)滅菌濾過によって、滅菌する必要がない。さらに、大量の加熱滅菌は滅菌濾過よりも経済的である。第二に、本発明は、少なくとも1つの還元糖を含有する糖水溶液を提供することを可能にし、ここで、少なくとも1つの還元糖の濃度は、室温における少なくとも1つの還元糖の飽和濃度よりも高く、これは、糖水溶液を、高温、すなわち、室温より高い温度で加熱及び維持することができるからである。また、糖水溶液を高温に保つことによって、糖水溶液の粘度が低下し、その結果、例えば、配管又はホースを通して糖水溶液をポンピングする際に、糖水溶液の取扱いが容易になる。第三に、糖濃度が増加した糖水溶液を提供することができることで、発酵生産方法においてより高い産物収率を得ることができる。これは発酵槽の容量が限定的であるからであり、発酵槽中の発酵ブロスの容量が、とりわけ、培養される細胞による所望のバイオ製品の産生のために必要とされる糖水溶液の発酵ブロスへの供給に起因して、発酵方法の間に増加するからである。糖水溶液中の糖の濃度が高いほど、発酵ブロス中の少なくとも1つの還元糖の所定の濃度を獲得及び/又は維持するために発酵ブロスに添加される必要がある糖水溶液の容量は少なくなる。したがって、増加した糖濃度を有する本発明に従う糖水溶液を用いて、与えられた発酵槽中の発酵ブロス中のより高い糖濃度が達成され得るか、又は、供給のために利用可能な発酵槽の容量がよりゆっくりと枯渇するので、より長い期間、所定の糖濃度が維持され得る。これは、次に、所望のバイオ製品を産生するための細胞に、より多くの還元糖を提供し、したがって、1回のバッチ発酵において得ることができる所望のバイオ製品の収率を増加させる。よって、所望のバイオ製品は、発酵方法の終わりに、発酵ブロス中で≧100g/Lの量、好ましくは発酵ブロス中で≧150g/Lの量、より好ましくは発酵ブロス中で≧200g/Lの量で生産することができる。例えば、100g/Lを超える、すなわち約150g/Lの2’-フコシルラクトースの量は、加熱滅菌され、酸性された0.66Mラクトース水溶液を使用した場合に得られ、発酵ブロスに供給される水溶液中のラクトース濃度がさらに高くなると、さらに高い収率が得られる。
【0069】
第3の態様による使用及び/又は第4の態様による方法の別の実施形態では、少なくとも1つの還元糖はラクトースであり、前記バイオ製品はラクトスクロース及びラクトビオン酸からなる群から選択される。
【0070】
したがって、第5の態様によれば、本発明は、第4の態様による方法の1つによって生産されたバイオ製品を提供する。
【0071】
ある態様において、バイオ製品は、ヒト乳オリゴ糖、好ましくは2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、2’,3-ジフコシルラクトース、ラクト-N-トリオースII、ラクト-N-テトラオース、ラクト-N-ネオテトラオース、ラクト-N-フコペンタオースI、ラクト-N-ネオフコペンタオースI、ラクト-N-フコペンタオースII、ラクト-N-フコペンタオースIII、ラクト-N-フコペンタオースV、ラクト-N-ネオフコペンタオースV、ラクト-N-ジフコヘキサオースI、ラクト-N-ジフコシルヘキサオースII、パラ-ラクト-N-フコシルヘキサオース、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースb、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、ジシアリル-ラクト-N-フコペンタオース、3-フコシル-3’-シアリルラクトース、3-フコシル-6’-シアリルラクトース、ラクト-N-ネオジフコヘキサオースI、3’-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、シアリルラクト-N-テトラオースLST-a、LST-b、LST-c及びジシアリルラクト-N-テトラオースからなる群から選択されるヒト乳オリゴ糖である。
【0072】
代替の実施形態において、バイオ製品は、ラクトスクロース及びラクトビオン酸、又は上記のヒト乳オリゴ糖の誘導体からなる群から選択される。
【0073】
さらなる態様によれば、本発明は、配合物を製造するためのバイオ製品の使用を提供する。
【0074】
配合物の製造のためのバイオ製品の使用の実施形態において、バイオ製品は、2’-フコシルラクトース、3-フコシルラクトース、2’,3-ジフコシルラクトース、ラクト-N-トリオースII、ラクト-N-テトラオース、ラクト-N-ネオテトラオース、ラクト-N-フコペンタオースI、ラクト-N-ネオフコペンタオースI、ラクト-N-フコペンタオースII、ラクト-N-フコペンタオースIII、ラクト-N-フコペンタオースV、ラクト-N-ネオフコペンタオースV、ラクト-N-ジフコヘキサオースI、ラクト-N-ジフコシルヘキサオースII、パラ-ラクト-N-フコシルヘキサオース、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースb、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、フコシル-ラクト-N-シアリルペンタオースc、ジシアリル-ラクト-N-フコペンタオース、3-フコシル-3’-シアリルラクトース、3-フコシル-6’-シアリルラクトース、ラクト-N-ネオジフコヘキサオースI、3’-シアリルラクトース、6’-シアリルラクトース、シアリルラクト-N-テトラオースLST-a、LST-b、LST-c及びジシアリルラクト-N-テトラオースからなる群から選択されるヒト乳オリゴ糖である。この実施形態における配合物は、栄養配合物、好ましくは乳児用調製粉乳、薬効のある食品及び栄養補助食品からなる群から選択される。
【0075】
還元糖がラクトースであるという条件で、第1の態様による異性化を抑制する方法は、ヒト乳オリゴ糖の発酵生産のためにラクツロースなしで、又は減少した量のラクツロースを伴い加熱滅菌されたラクトース溶液を提供することができる。次いで、そのようなヒト乳オリゴ糖は、エピラクトース、ラクツロース及び/又はフコシルラクツロースのようなラクツロースの誘導体を含有しないか、又は少量しか含有しない(HMO調製物からラクツロース又はその誘導体を除去する必要はない)栄養配合物、好ましくは乳児用調製粉乳の製造に用いることができる。
【0076】
さらなる態様によれば、先に本明細書に記載したバイオテクノロジー生産方法によって生産された少なくとも1つのバイオ製品を含む配合物が提供される。そのような配合物は、好ましくは、栄養配合物、好ましくは乳児用調製粉乳、薬効のある食品及び栄養補助食品からなる群から選択される。
【0077】
本発明は、特定の実施形態に関して、また図面を参照して記載されるが、本発明は、それらに限定されず、特許請求項の範囲によってのみ限定される。さらに、明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」などの用語は、類似の要素を区別するために用いられ、必ずしも、時間的、空間的、ランク付け、又は他の任意の様式のいずれかで、順序を記述するために用いられるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載される又は例示される以外の順序で操作可能であることが理解されるべきである。
【0078】
特許請求の範囲で使用される「含む」という用語は、その後に列挙される手段に限定されると解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを除外しないことに留意されたい。したがって、これは、言及されるような記載された特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を特定するものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含む装置」という表現の範囲は、要素A及びBのみからなる装置に限定されるべきではない。それは、本発明に関して、装置の単に関連する要素がA及びBであることを意味する。
【0079】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」というときは、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体にわたって様々な箇所における「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではなく、同じ実施形態を指すこともある。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において本開示から当業者に明らかであろうように、任意の適切な様式で組み合わされ得る。
【0080】
同様に、本発明の例示的実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化し、様々な発明的態様の1つ以上を理解するのを助ける目的で、時には、単一の実施形態、図、又はその説明にまとめられることが理解されるべきである。しかし、本開示方法は、請求項に係る発明が、各請求項において明示的に記載されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、決して先に開示した単一の実施形態のすべての特徴に発明的要素が存在するわけではない。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、ここにこの詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態としてそれ自体で有効である。
【0081】
さらに、本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴を含まず、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲において、請求項に係る実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0082】
さらに、実施形態のいくつかは、コンピュータシステムのプロセッサによって、又はその機能を実行する他の手段によって実行され得る方法又は方法の要素の組合せとして、本明細書に記載される。したがって、そのような方法又は方法の要素を実行するために必要な命令を有するプロセッサは、その方法又は方法の要素を実行するための手段を形成する。さらに、装置の実施形態の本明細書に記載される要素は、本発明を実行する目的でその要素によって実行される機能を実行するための手段の一例である。
【0083】
本明細書で提供される説明及び図面において、多数の具体的な詳細が示される。しかし、本発明の実施形態を、これらの特定の詳細なしで実施し得るということが理解される。他の例において、周知の方法、構造及び技術は、この説明の理解を不明瞭にしないために、詳細に示されていない。
【0084】
本発明は、本発明のいくつかの実施形態の詳細な説明によって記載される。本発明の他の実施形態は、本発明の真の精神又は技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成することができることは明らかであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
【実施例
【0085】
[実施例1-加熱滅菌前の有機酸によるラクトースの酸性化]
0.66Mラクトース溶液を、226gのラクトースを水に溶解することによって調製した。溶液の最終容量は1リットルであった。30℃~35℃の温度で、50%(w/v)クエン酸又は99%(v/v)酢酸を用いてpHを調整した。その後、溶液を垂直オートクレーブ(Systec VX-65、ドイツ、リンデン)中、121℃で20分間滅菌した。加熱滅菌の前後に試料を採取し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析の前に凍結保存した。HPLCは、RID-10A屈折率検出器(Shimadzu、ドイツ)及びShimadzu HPLCシステムに接続したWaters XBridge Amide Column 3.5μm(250×4.6mm)(Eschborn、ドイツ)を用いて実施した。30%溶媒A(二重蒸留水中の50%(v/v)アセトニトリル、0.1%(v/v)NHOH)及び70%溶媒B(二重蒸留水中の80%(v/v)アセトニトリル、0.1%(v/v)NHOH)を35℃及び流速1.4mL/分で定組成溶離を行った。イオン交換マトリックス(Strata ABW、Phenomenex)上で固相抽出により試料を洗浄した。10マイクロリットルの試料(1:5の希釈)をカラムに施した。最後に、検出された糖の相対量を測定した。表1及び2に示すように、加熱滅菌により誘導されたラクトース異性化は、熱処理前の溶液のpH値が減少するにつれて減少した。クエン酸又は酢酸でそれぞれ酸性化を行った場合、pH4.0~3.0又はpH3.0ではラクツロース形成は観察されなかった。酸触媒によるラクトースの単糖への分解はより低いpH値で増加したが、pH4.5では検出できなかった。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
[実施例2-加熱滅菌前の無機酸によるラクトースの酸性化]
0.66Mラクトース溶液を、226gのラクトースを水に溶解することによって調製した。溶液の最終容量は1リットルであった。30℃~35℃の温度で、37%(v/v)塩酸、50%(v/v)リン酸又は96%(v/v)硫酸を用いてpHを調整した。その後、溶液を垂直オートクレーブ(Systec VX-65、ドイツ、リンデン)中、121℃で20分間滅菌した。加熱滅菌の前後に試料を採取し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析の前に凍結保存した。HPLCは、RID-10A屈折率検出器(Shimadzu、ドイツ)及びShimadzu HPLCシステムに接続したWaters XBridge Amide Column 3.5μm(250×4.6mm)(Eschborn、ドイツ)を用いて実施した。30%溶媒A(二重蒸留水中の50%(v/v)アセトニトリル、0.1%(v/v)NHOH)及び70%溶媒B(二重蒸留水中の80%(v/v)アセトニトリル、0.1%(v/v)NHOH)を35℃及び流速1.4mL/分で定組成溶離を行った。イオン交換マトリックス(Strata ABW、Phenomenex)上で固相抽出により試料を洗浄した。10マイクロリットルの試料(1:5の希釈)をカラムに施した。最後に、検出された糖の相対量を測定した。表3、4及び5に示すように、加熱滅菌により誘導されたラクトース異性化は、熱処理前の溶液の酸性化の増加の結果として減少した。pH3.5~3.0ではラクツロースの形成は観察されなかった。対照的に、リン酸及び硫酸又は塩酸をそれぞれ酸性化に使用した場合、酸触媒によるラクトースの単糖への分解は、より低いpH値では増加したが、pH値4.5~4.0又はpH5.0~4.0では、分解が存在しなかった。
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
[実施例3-2’-フコシルラクトースの改良された生産方法]
欧州特許出願第16196486に従って、GDP-フコース(ManB、ManC、Gmd、WcaG)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)の二機能性L-フコキナーゼ/L-フコース1-ホスファトグアニルトランスフェラーゼ、大腸菌O126の2-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子wbgL、ラクトースパーミアーゼ遺伝子lacY、エルシニア・ベルコビエリ(Yersinia bercovieri)ATCC 43970の糖排出トランスポーターyberc0001_9420、フルクトース-1,6-ビスホスフェートアルドラーゼ(fbaB)及びプスム・サティブム(Pisum sativum)からの非相同フルクトース-1,6-ビスホスフェートホスファターゼ(fbpase)の新規合成のための酵素を過剰発現する操作された大腸菌BL21(DE3) ΔnagAb ΔwcaJ ΔfucIK ΔpfkA株を用いた。
【0093】
大腸菌株を33℃の3L発酵槽で、3g/LのKHPO、12g/LのKHPO、5g/Lの(NHSO、0.3g/Lのクエン酸、2g/LのMgSO・7HO、0.1g/LのNaCl及び0.015g/LのCaCl・6HOを1mL/Lの微量元素溶液(54.4g/Lのクエン酸第二鉄アンモニウム、9.8g/LのMnCl・4HO、1.6g/LのCoCl・6HO、1g/LのCuCl・2HO、1.9g/LのHBO、9g/LのZnSO・7HO、1.1g/LのNaMoO・2HO、1.5g/LのNaSeO、1.5g/LのNiSO・6HO)、単一の炭素及びエネルギー源としての2%(v/v)のグリセロール、及び96%(v/v)の硫酸でpH3.0に酸性化した60mMの加熱滅菌されたラクトースを含む鉱物塩培地中で培養した。25%アンモニアで滴定することによりpHを7.0に維持した。発酵槽に、記載した、ただしラクトースを含まない培地で増殖させたプレカルチャーを0.1のOD600まで接種した。溶存酸素濃度の上昇により示されるバッチ相を残した後、グリセロール供給(60%v/v)及び0.66Mラクトース供給(加熱滅菌前に96%(v/v)硫酸を用いてpH3.0に酸性化)を開始した。HPLC-分析に従って調節された発酵方法の産生段階を通して、10~40mMのラクトース濃度を維持した。グリセロール(60%v/v)を6~8ml/L/時の流速で供給した(出発容量を参照)。タンクの充填容量が最大になった時点で発酵を停止した。この時点で、ブロスの培養上清中の2’-フコシルラクトース力価146g/Lを測定した。
【0094】
酸性化した、加熱滅菌したラクトースの代わりに、滅菌濾過したラクトースを用いた2’-フコシルラクトース発酵方法の過程で、同等の2’-フコシルラクトース力価を得た。さらに、滅菌濾過又は加熱滅菌(酸性化)ラクトースで実施した発酵培養液中に検出された副産物の種類と量は同等であった。ラクツロース、エピラクトース、フコシルラクツロース又はフコシルエピラクトースのような副産物並びに加熱滅菌ラクトースの添加に由来する可能性のある他の副産物は、発酵のために酸性化し、加熱滅菌したラクトースを供給した場合、ブロス中に検出されなかった。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C