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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】塗料組成物および塗料組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20221201BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20221201BHJP
   C09D 5/29 20060101ALI20221201BHJP
   C09C 1/40 20060101ALI20221201BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
C09D133/00
C09D7/62
C09D5/29
C09C1/40
C09C3/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020115437
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013101
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2022-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593135125
【氏名又は名称】日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】薮下 千聡
(72)【発明者】
【氏名】上林 由佳
(72)【発明者】
【氏名】上原 多麻美
(72)【発明者】
【氏名】迫山 和哲
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/135426(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/00
C09C 1/00-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜形成樹脂、リン酸基含有有機化合物および顔料を含む塗料組成物であって、
前記顔料は、鱗片状蒸着金属顔料を含み、
前記塗料組成物の硬化塗膜は、入射角45°の光輝強度(Si)が20以上であり、光輝面積(Sa値)が10以上であり、粒状性値(G値)が10を超え、
前記塗膜形成樹脂は、アクリル樹脂エマルションを含み、
前記鱗片状蒸着金属顔料は、第1の保護層、蒸着金属層および第2の保護層をこの順で有する顔料であって、
前記蒸着金属層は、アルミニウム、銅、金、銀、銅、亜鉛、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス、またはこれらの混合物を含み、
前記塗料組成物中に含まれる前記鱗片状蒸着金属顔料の量は、前記塗膜形成樹脂の樹脂固形分100質量部に対して0.1~30質量部の範囲内である、
塗料組成物。
【請求項2】
前記鱗片状蒸着金属顔料は、平均粒子径が10~150μmであり、平均厚さが0.5~10μmであり、アスペクト比が5~50である、
請求項1記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記第1の保護層および前記第2の保護層の各層は、平均厚さがそれぞれ0.5~3μmであり、
前記蒸着金属層の平均厚さが5~100nmである、
請求項1または2記載の塗料組成物。
【請求項4】
前記第1の保護層および第2の保護層はそれぞれ、シリコーン成分を含む、請求項1~3いずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記蒸着金属層はアルミニウムを含む、請求項~4いずれかに記載の塗料組成物。
【請求項6】
硬化塗膜の製造方法であって、請求項1~いずれかに記載の塗料組成物を被塗物に塗装し、その後、加熱硬化させる工程、を包含し、
前記硬化塗膜は、入射角45°の光輝強度(Si)が20以上であり、光輝面積(Sa値)が10以上であり、粒状性値(G値)が10を超える、
製造方法。
【請求項7】
請求項1~いずれかに記載の塗料組成物の硬化塗膜を有する物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物および塗料組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体などの被塗物の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜を順次形成して、被塗物を保護すると同時に美しい外観および優れた意匠を付与している。このような複数の塗膜の形成方法としては、導電性に優れた被塗物上に電着塗膜などの下塗り塗膜を形成し、その上に、必要に応じた中塗り塗膜、そして上塗り塗膜を順次形成する方法が一般的である。これらの塗膜において、特に塗膜の外観および意匠を大きく左右するのは、ベース塗膜とクリヤー塗膜とからなる上塗り塗膜である。特に自動車において、車体上に形成されるベース塗膜とクリヤー塗膜とからなる上塗り塗膜の外観および意匠は、極めて重要である。
【0003】
ベース塗膜は、いわゆるソリッドカラーといわれる、鱗片状顔料を含まない塗膜と、光輝感を有する、鱗片状顔料を含む塗膜とに大別することができる。光輝感を有する鱗片状顔料の代表的な1例として、鱗片状アルミニウム顔料が挙げられる。ベース塗膜に鱗片状アルミニウム顔料を含めることによって、金属調光沢(メタリック感)を発現させることができる。
【0004】
近年、自動車塗装の分野では、高い意匠性を有する塗膜の開発が行われている。これは、消費者が、いわゆるソリッドカラーよりも、高級感を感じる光輝感の見える塗色を好む傾向があるためである。さらに、消費者の好みの多様化および独自性志向により、単なる光輝感だけではなく、従来の光輝感と比べてより輝度が高い塗膜などといった、より独特な意匠が求められている。
【0005】
WO2019/131957号明細書(特許文献1)には、バインダー成分(A)、平均粒子径(d50)が18~25μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料(B)及び平均粒子径(d50)が8~30μmの範囲内である鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を含有する塗料組成物が記載される。この塗料組成物を用いることによって、高い粒子感を持ち、かつメタリックムラの発生が抑制された塗膜を形成することができると記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2019/131957号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1には、特定の鱗片状アルミニウム顔料(B)および鱗片状アルミニウム顔料以外の鱗片状顔料(C)を併用することによって、記載の塗料組成物を用いることによって、高い粒子感を持ち、かつメタリックムラの発生が抑制された塗膜を形成することができると記載される。また特許文献1には、粒状性値(G値)が5.0以上であると粒子感が高く、粒状性値(G値)が10.0以下であるとメタリックムラの発生が抑制され鮮映性に優れるため好ましいと記載される。
本発明は、例えば上記特許文献1に記載されるような、光輝性顔料を含む塗膜において、従来の塗膜と比較してより高輝度である塗膜を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
塗膜形成樹脂および顔料を含む塗料組成物であって、
上記顔料は、鱗片状蒸着金属顔料を含み、
上記塗料組成物の硬化塗膜は、入射角45°の光輝強度(Si)が20以上であり、光輝面積(Sa値)が10以上であり、粒状性値(G値)が10を超える、
塗料組成物。
[2]
上記鱗片状蒸着金属顔料は、第1の保護層、蒸着金属層および第2の保護層をこの順で有し、
上記鱗片状蒸着金属顔料は、平均粒子径が10~150μmであり、平均厚さが0.5~10μmであり、アスペクト比が5~50である、[1]の塗料組成物。
[3]
上記第1の保護層および上記第2の保護層の各層は、平均厚さがそれぞれ0.5~3μmであり、
上記蒸着金属層の平均厚さが5~100nmである、[2]の塗料組成物。
[4]
上記第1の保護層および第2の保護層はそれぞれ、シリコーン成分を含む、[2]または[3]の塗料組成物。
[5]
上記蒸着金属層はアルミニウムを含む、[2]~[4]いずれかの塗料組成物。
[6]
塗料組成物中に含まれる上記鱗片状蒸着金属顔料の量は、塗膜形成樹脂の樹脂固形分100質量部に対して0.1~30質量部の範囲内である、[1]~[5]いずれかの塗料組成物。
[7]
硬化塗膜の製造方法であって、[1]~[6]いずれかの塗料組成物を被塗物に塗装し、その後、加熱硬化させる工程、を包含し、
上記硬化塗膜は、入射角45°の光輝強度(Si)が20以上であり、光輝面積(Sa値)が10以上であり、粒状性値(G値)が10を超える、
製造方法。
[8]
上記[1]~[6]いずれかに記載の塗料組成物の硬化塗膜を有する物品。
【発明の効果】
【0009】
上記塗料組成物を用いることによって、従来のメタリック塗料組成物によって形成された塗膜と比べて、より輝度が高い塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を含む。ここで上記顔料は鱗片状蒸着金属顔料を含むこと、そして上記塗料組成物の硬化塗膜は、入射角45°の光輝強度(Si)が20以上であり、光輝面積(Sa値)が10以上であり、粒状性値(G値)が10を超えこと、を特徴とする。以下、塗料組成物中に含まれる各成分について記載する。
【0011】
顔料
上記塗料組成物は顔料を含み、そして上記顔料は鱗片状蒸着金属顔料を含むことを特徴とする。上記顔料は、必要に応じて、鱗片状蒸着金属顔料以外の他の顔料を含んでもよい。他の顔料として、例えば、着色顔料および体質顔料などが挙げられる。着色顔料として、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、黄色酸化鉄などの無機着色顔料;そして、種々の有機着色顔料、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アゾレッド、アゾイエロー、アゾオレンジなどのアゾ系顔料;キナクリドンレッド、シンカシャレッド、シンカシャマゼンタなどのキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、ペリレンマルーンなどのペリレン系顔料;カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、アントラキノンレッド、ジケトピロロピロールなど、が挙げられる。体質顔料として、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルクなどを挙げることができる。上記顔料はさらに、必要に応じて防錆顔料を含んでもよい。
【0012】
また必要に応じて、顔料として、鱗片状蒸着金属顔料以外の鱗片状金属顔料を含んでもよい。このような顔料として、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウムおよびこれらの合金などの金属製光輝性顔料(粉砕型金属製光輝性顔料)、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。
【0013】
上記顔料が含まれる場合は、本発明の効果を損なわない範囲で含むことを条件とする。
【0014】
鱗片状蒸着金属顔料
上記鱗片状蒸着金属顔料は、蒸着金属層を有する鱗片状顔料である。上記鱗片状蒸着金属顔料は、第1の保護層、蒸着金属層および第2の保護層をこの順で有する顔料が好ましい。
【0015】
上記鱗片状蒸着金属顔料は、例えば、樹脂基材上に離型層を形成し、次いで金属層を蒸着させ、その後金属層を溶剤中で剥離し粉砕して、鱗片状粉末を含む鱗片状粉末分散液を得ることによって、製造することができる。そして、上記製造手順において、鱗片状粉末分散液に保護層形成成分を含めることによって、第1の保護層、蒸着金属層および第2の保護層をこの順に有する鱗片状蒸着金属顔料を好適に調製することができる。
【0016】
鱗片状蒸着金属顔料の調製に用いることができる上記樹脂基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルムなどが挙げられる。
【0017】
上記離型層形成成分として、例えば、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などの、鱗片状粉末分散液に含まれる溶剤に対して溶解性を有する樹脂を好適に用いることができる。離型層形成成分は、当業者において通常用いることができるウェットコーティング法(例えばグラビアコーティング法)などにより、樹脂基材上に塗装して、離型層を形成することができる。離型層形成成分中に含まれる樹脂の濃度は、樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。離型層の厚さは、乾燥膜厚として例えば30~100nmの範囲内であるのが好ましい。
【0018】
上記離型層に蒸着させる金属として、例えば、アルミニウム、銅、金、銀、銅、亜鉛、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス、およびこれらの混合物、合金(例えば真鍮など)などが挙げられる。上記金属として、入手容易性および取扱い容易性の点などから、アルミニウムを好適に用いることができる。
【0019】
金属層は、当業者において通常用いることができるドライコーティング法(例えば、スパッタリング、真空蒸着など)により形成することができる。蒸着条件などは、金属の種類などに応じて適宜選択することができる。金属層の厚みは、5~100nmの範囲内であるのが好ましく、20~75nmの範囲内であるのがより好ましい。
【0020】
金属層を溶剤中で剥離させるのに用いることができる溶剤は、上記離型層を少なくとも部分的に溶解させることができる溶剤である。溶剤として、例えば、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、アセトンなどのケトン系溶剤などを好適に用いることができる。金属層の剥離は、離型層および金属層が形成された樹脂基材を溶剤中に浸漬し、樹脂基材表面に積層されている金属層を、例えばドクターブレードなどを用いて掻き取ることによって行うことができる。
【0021】
上記金属層を溶剤中で粉砕する方法として、当業者において通常用いることができる湿式粉砕方法が挙げられる。例えば、超音波ホモジナイザーを用いた粉砕であってよく、また、粗粉砕をホモミキサーで粗粉砕し、高圧ホモジナイザーで微粉砕する手法であってもよい。ここでの粉砕は、得られる鱗片状蒸着金属顔料の平均粒子径(平均長径)が10~150μmの範囲内となるように行うのが好ましい。
【0022】
本明細書において、鱗片状蒸着金属顔料の平均粒子径(平均長径)の測定は、鱗片状蒸着金属顔料を、形状解析レーザーマイクロスコープ(例えばキーエンス社製 VK-X 250など)を用いて観察し、任意に選択した100個の顔料の最大長さ(長径)の数平均値を求めることによって測定することができる。
【0023】
上記粉砕後の状態は、粉砕された蒸着金属層が鱗片状となって分散された分散液の状態である。この分散液に、保護層形成成分を含めることによって、鱗片状の蒸着金属層に保護層を設けることができる。これにより、第1の保護層、蒸着金属層および第2の保護層をこの順に有する鱗片状蒸着金属顔料を好適に調製することができる。
【0024】
上記保護層形成成分として、例えば、シランカップリング剤、シロキサン化合物などが好適に用いることができる。シランカップリング剤として例えば、エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基からなる群から選択される1種またはそれ以上の有機官能基を有するシランカップリング剤を用いるのが好ましく、エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いるのがより好ましい。シロキサン化合物として例えば、カルボキシル基含有シロキサン化合物などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。なお、上記手順により保護層を形成する場合は、保護層中に、離型剤の樹脂成分(例えばセルロースアセテートブチレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂など)が含まれてもよい。上記手順によって、第1の保護層、蒸着金属層および第2の保護層をこの順に有する鱗片状蒸着金属顔料であって、第1の保護層および第2の保護層それぞれがシリコーン成分を含む顔料を好適に調製することができる。
【0025】
上記保護層形成において、必要に応じて着色を行ってもよい。例えば、保護層形成成分としてシランカップリング剤を用いて、さらに有機着色顔料を分散液中に含めることによって、着色保護層を形成することができる。有機着色顔料として、上述の有機着色顔料を用いることができる。有機着色顔料としてより具体的には、縮合環化合物など多環顔料(例えばフタロシアニン顔料など)、窒素原子同士の二重結合を有するアゾ顔料などが挙げられる。このような有機着色顔料を用いることによって、第1の保護層および第2の保護層それぞれがシリコーン成分を含み、そして上記保護層が着色された鱗片状蒸着金属顔料を得ることができる。
【0026】
上記鱗片状蒸着金属顔料は、第1の保護層、蒸着金属層および第2の保護層をこの順で有する顔料が好ましく、ここで上記第1の保護層および第2の保護層の各層は、平均厚さがそれぞれ0.5~3μmであるのが好ましい。第1の保護層および第2の保護層の各層の平均厚さは、保護層形成成分の濃度を好適な範囲に調整することによって行うことができる。例えば、分散液中に含まれる保護層形成成分の濃度を、分散液中に含まれる金属層の質量100質量部に対して0.1~5質量部の範囲で調整する方法などが挙げられる。
【0027】
上記鱗片状蒸着金属顔料は、平均厚さが0.5~10μmであるのが好ましい。鱗片状蒸着金属顔料の平均厚さは、鱗片状蒸着金属顔料を含む塗膜を形成し、得られた塗膜の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定して、測定値の平均値を求めることによって測定することができる。
【0028】
上記鱗片状蒸着金属顔料は、アスペクト比が5~50の範囲内であるのが好ましい。
【0029】
上記鱗片状蒸着金属顔料として市販品を用いてもよい。市販品として例えば、尾池工業社製エルジーneoシリーズ(例えば#200、#325、#500など)が挙げられる。市販品として、上記手法と同様の手法で製造される他の市販品を用いてもよい。
【0030】
塗料組成物中に含まれる上記鱗片状蒸着金属顔料の量は、樹脂固形分100質量部に対して0.1~40質量部の範囲内であるのが好ましく、0.1~30質量部の範囲内であるのがより好ましく、3~15質量部の範囲内であるのがより好ましい。
【0031】
塗膜形成樹脂
上記塗料組成物は塗膜形成樹脂を含む。塗膜形成樹脂として例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。上記塗料組成物は、水性塗料組成物であってもよく、溶剤型塗料組成物であってもよい。
【0032】
上記塗料組成物が水性塗料組成物である場合は、塗膜形成樹脂として例えば、アクリル樹脂エマルション(アクリルシリコーン樹脂エマルション、アクリルウレタン樹脂エマルションなども含む)、アクリル樹脂ディスパージョン(アクリルシリコーン樹脂ディスパージョン、アクリルウレタン樹脂ディスパージョンなども含む)、水溶性アクリル樹脂、ポリエステル樹脂ディスパージョン、ポリウレタン樹脂ディスパージョン、エポキシ樹脂ディスパージョンなどを含むのが好ましい。これらの樹脂は1種のみを単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。上記樹脂は、当業者において通常用いられる方法により調製することができる。上記樹脂として市販品を用いてもよい。
【0033】
好ましい態様として例えば、アクリル樹脂エマルションおよび水溶性アクリル樹脂のうちいずれかまたは両方を用いる態様、アクリル樹脂エマルション、水溶性アクリル樹脂およびポリエステル樹脂ディスパージョンを用いる態様、アクリル樹脂エマルション、水溶性アクリル樹脂およびポリウレタン樹脂ディスパージョンを用いる態様などが挙げられる。
【0034】
アクリル樹脂エマルションは、例えば、α,β-エチレン性不飽和モノマー混合物の乳化重合によって調製することができる。アクリル樹脂エマルションの調製に用いられる好ましいα,β-エチレン性不飽和モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーおよび水酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
【0035】
上記(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニルなどが挙げられる。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルとメタアクリル酸エステルとの両方を意味するものとする。
【0036】
酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α-ハイドロ-ω-((1-オキソ-2-プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1-オキソ-1,6-ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3-ビニルサリチル酸、3-ビニルアセチルサリチル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、p-ヒドロキシスチレン、2,4-ジヒドロキシ-4’-ビニルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0037】
水酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーとして、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタリルアルコール、および、これらとε-カプロラクトンとの付加物などが挙げられる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、および、これらとε-カプロラクトンとの付加物である。
【0038】
上記α,β-エチレン性不飽和モノマー混合物はさらに、その他のα,β-エチレン性不飽和モノマーを用いてもよい。その他のα,β-エチレン性不飽和モノマーとしては、重合性アミド化合物、重合性芳香族化合物、重合性ニトリル、重合性アルキレンオキシド化合物、多官能ビニル化合物、重合性アミン化合物、α-オレフィン、ジエン、重合性カルボニル化合物、重合性アルコキシシリル化合物、重合性のその他の化合物を挙げることができる。上記α,β-エチレン性不飽和モノマーは目的に併せて、必要に応じて種々選択することができる。
【0039】
アクリル樹脂エマルションは、上記α,β-エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して調製することができる。乳化重合は、特に限定されず、通常の方法を用いて行うことができる。具体的には、例えば、水、または必要に応じてアルコール、エーテル(例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなど)などのような有機溶媒を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記α,β-エチレン性不飽和モノマー混合物および重合開始剤を滴下することにより行うことができる。乳化剤と水とを用いて予め乳化したα,β-エチレン性不飽和モノマー混合物を同様に滴下してもよい。
【0040】
上記重合開始剤、乳化剤は、当業者に通常使用されているものを用いることができる。必要に応じて、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα-メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を用いて分子量を調節してもよい。反応温度、反応時間などは、当業者に通常用いられる範囲で適宜選択することができる。反応により得られたアクリル樹脂エマルションは、必要に応じて塩基で中和してもよい。
【0041】
上記アクリル樹脂エマルションは、数平均分子量の下限が3000であることが好ましい。また、上記アクリル樹脂エマルションは、水酸基価(固形分水酸基価)が下限20mgKOH/g上限180mgKOH/gを有することが好ましく、酸価(固形分酸基価)が下限1mgKOH/g上限80mgKOH/gであることが好ましい。
【0042】
本明細書において数平均分子量は、ポリスチレンを標準とするGPC法において決定される値である。本明細書において酸価および水酸基価は、JISの規定に基づいて、調製に用いられるモノマー組成から算出される値である。
【0043】
水溶性アクリル樹脂は、例えば、上記アクリル樹脂エマルションの調製に用いることができるα,β-エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を溶液重合し、塩基性化合物により水溶化することにより調製することができる。アクリル樹脂ディスパージョンは、例えば、上記アクリル樹脂エマルションの調製に用いることができるα,β-エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を溶液重合し、塩基性化合物でディスパージョン化することにより、調製することができる。
【0044】
ポリエステル樹脂ディスパージョンは、例えば、多価アルコール成分と多塩基酸成分とを縮合し、塩基性化合物でディスパージョン化することにより、調製することができる。ポリウレタン樹脂ディスパージョンは、例えば、ポリオール化合物と、分子内に活性水素基と親水基を有する化合物と、有機ポリイソシアネートとを、必要により鎖伸長剤および重合停止剤を用いてポリマー化し、得られたポリマーを水中に溶解または分散することによって、調製することができる。
【0045】
上記塗料組成物が水性塗料組成物である場合は、上記塗膜形成樹脂に対して反応する硬化剤を用いるのが好ましい。硬化剤として、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、金属イオンなどを用いることができる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。上記成分は、当業者において通常用いられる方法により調製することができる。上記成分として市販品を用いてもよい。硬化剤として、メラミン樹脂およびブロックイソシアネート化合物のいずれかまたは両方を用いるのがより好ましい。
【0046】
メラミン樹脂は、水溶性メラミン樹脂および/または非水溶性メラミン樹脂を用いることができる。メラミン樹脂は、メラミン核(トリアジン核)の周囲に3個の窒素原子を介して水素原子または置換基(アルキルエーテル基、メチロール基など)が結合した構造を含む。上記メラミン樹脂は、一般的には、複数のメラミン核が互いに結合した多核体により構成されるものである。一方で上記メラミン樹脂は1個のメラミン核からなる単核体であってもよい。
【0047】
上記メラミン樹脂として市販品を用いてもよい。市販品の具体例として、例えば、Allnex社製のサイメルシリーズ(商品名)、具体的には、サイメル202、サイメル204、サイメル211、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル250、サイメル251、サイメル254、サイメル266、サイメル267、サイメル272、サイメル285、サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、サイメル701、サイメル703、サイメル1141;および、三井化学社製のユーバン(商品名)シリーズなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
ブロックイソシアネート化合物は、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどからなるポリイソシアネートに、活性水素を有するブロック剤を付加させることによって、調製することができる。このようなブロックイソシアネート樹脂は、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生し、上記樹脂成分中の官能基と反応して硬化する。
【0049】
硬化剤の量は、上記塗膜形成樹脂の固形分100質量部に対して、5~100質量部であることが好ましく、10~80質量部であるのがより好ましい。
【0050】
水性塗料組成物は、上記成分に加えて、当業者において通常用いられる添加剤、例えば、表面調整剤、粘性制御剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤などを含んでもよい。例えば粘性制御剤を用いることによって、チクソトロピー性を付与することができ、塗装作業性を調整することができる。粘性制御剤として、例えば、架橋あるいは非架橋の樹脂粒子、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドのリン酸塩などのポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体などのポリエチレン系などのもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイトなどの有機ベントナイト系のものなどを挙げることができる。これらの添加剤を用いる場合は、当業者において通常用いられる量で用いることができる。
【0051】
上記水性塗料組成物は、上記成分に加えて、さらにリン酸基含有有機化合物を含んでもよい。リン酸基含有有機化合物が含まれることによって、顔料の分散性が向上するなどの利点がある。さらに、例えば塗膜形成時において、上記鱗片状蒸着金属顔料の配向性を良好に制御することができるなどの利点がある。
【0052】
上記水性塗料組成物は、溶媒として、水、そして必要に応じた水溶性または水混和性有機溶媒を含んでもよい。
【0053】
上記水性塗料組成物の製造は、上記鱗片状蒸着金属顔料、塗膜形成樹脂、硬化剤、そして必要に応じた他の顔料、リン酸基含有有機化合物および添加剤などを、ディスパー、ホモジナイザー、ニーダーなどを用いて混練・分散するなどの当業者において通常用いられる方法で製造することができる。上記製造方法において、例えば、鱗片状蒸着金属顔料および必要に応じたリン酸基含有有機化合物を予め調製して混合するのが好ましい。
【0054】
上記塗料組成物が溶剤型塗料組成物である場合は、塗膜形成樹脂として例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(ウレタン変性ポリエステル樹脂なども含む)などが挙げられる。これらの樹脂は1種のみを単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
【0055】
アクリル樹脂は、例えば、α,β-エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を、溶液重合を行うことにより調製することができる。上記アクリル樹脂は、数平均分子量が1000~20000であるのが好ましい。上記アクリル樹脂はまた、酸価(固形分酸価)が1~80mgKOH/gであるのが好ましく、10~45mgKOH/gであるのがより好ましい。また、水酸基価(固形分水酸基価)が10~200mgKOH/gであるのが好ましい。
【0056】
アクリル樹脂として市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、三菱レイヨン社製のダイヤナールHRシリーズなどが挙げられる。
【0057】
アクリル樹脂の量は、塗料樹脂固形分質量(塗膜形成成分の固形分質量)を基準にして30~80質量%であるのが好ましく、35~70質量%であるのがより好ましい。
【0058】
上記ポリエステル樹脂として、例えば水酸基含有ポリエステル樹脂を用いることができる。水酸基含有ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸および/または酸無水物などの酸成分と多価アルコールとを重縮合することによって調製することができる。
【0059】
上記塗料組成物が溶剤型塗料組成物である場合は、上記塗膜形成樹脂に対して反応する硬化剤を用いるのが好ましい。硬化剤として、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物などを用いることができる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。上記成分は、当業者において通常用いられる方法により調製することができる。上記成分として市販品を用いてもよい。
【0060】
上記硬化剤は、メラミン樹脂を含むのが好ましい。メラミン樹脂としては、特に限定されるものではなく、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル・ブチル混合型メラミン樹脂などを用いることができる。例えばAllnex社から市販されているサイメルシリーズ、三井化学社から市販されているユーバンシリーズなどが挙げられる。メラミン樹脂の量は、塗料樹脂固形分質量(塗膜形成成分の固形分質量)を基準にして10~50質量%であるのが好ましく、15~40質量%であるのがより好ましい。
【0061】
上記硬化剤はさらに、ブロックイソシアネート化合物を含むのが好ましい。ブロックイソシアネート化合物は、ポリイソシアネートに、活性メチレン基を有する化合物、ケトン化合物またはカプロラクタム化合物などのブロック化合物を付加反応させることによって調製することができる。ブロックイソシアネート化合物として市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、旭化成社製のデュラネートシリーズ、住化コベストロウレタン社製のスミジュールシリーズなどが挙げられる。
【0062】
塗料組成物に含まれるブロックイソシアネート化合物の量は、塗料樹脂固形分質量(塗膜形成成分の固形分質量)を基準にして10~30質量%であるのが好ましく、15~25質量%であるのがより好ましい。
【0063】
溶剤型塗料組成物は、上記成分に加えて、当業者において通常用いられる添加剤、例えば、硬化触媒、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤など、当業者において通常用いられる添加剤などを含んでもよい。
【0064】
溶剤型塗料組成物は、塗装時に、有機溶剤を用いて希釈することによって、固形分濃度および粘度を適宜調整することができる。用いることができる有機溶媒として、例えば、エステル系溶剤、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤などが挙げられる。
【0065】
上記溶剤型塗料組成物は、上記成分に加えて、さらにリン酸基含有有機化合物を含んでもよい。リン酸基含有有機化合物が含まれることによって、顔料の分散性が向上するなどの利点がある。さらに、例えば塗膜形成時において、上記鱗片状蒸着金属顔料の配向性を良好に制御することができるなどの利点がある。
【0066】
上記溶剤型塗料組成物の製造は、上記鱗片状蒸着金属顔料、塗膜形成樹脂、硬化剤、そして必要に応じた他の顔料、リン酸基含有有機化合物および添加剤などを、ディスパー、ホモジナイザー、ニーダーなどを用いて混練・分散するなどの当業者において通常用いられる方法で製造することができる。上記製造方法において、例えば、鱗片状蒸着金属顔料および必要に応じたリン酸基含有有機化合物および/または顔料分散剤を含むペーストを予め調製し、混合するのが好ましい。
【0067】
塗膜形成
上記塗料組成物を塗装する対象である被塗物は、特に限定されず、例えば、金属、プラスチック、発泡体などを挙げることができる。上記塗料組成物は、特に金属および鋳造物に有利に用いることができ、電着塗装可能な金属に対して特に好適に用いることができる。このような金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛などおよびこれらの金属を含む合金が挙げられる。これらの被塗物は、成型物であってもよい。成型物の具体例として、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車車体およびその部品などが挙げられる。上記金属などの被塗物は、電着塗装する前に、予めリン酸系化成処理剤、ジルコニウム系化成処理剤などで化成処理するのがより好ましい。必要に応じた化成処理がなされた被塗物上に硬化電着塗膜が形成されているのが好ましい。硬化電着塗膜の形成に用いられる電着塗料組成物として、カチオン型およびアニオン型の何れも使用することができる。電着塗料組成物としてカチオン電着塗料組成物を用いることによって、より防食性に優れた塗膜を形成することができるため好ましい。
【0068】
上記被塗物はさらに必要に応じて、硬化電着塗膜の上に中塗り塗膜が形成されてもよい。中塗り塗膜の形成には中塗り塗料組成物が用いられる。中塗り塗料組成物として、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤、有機計および/または無機系の各種着色成分および体質顔料などを含む塗料組成物を用いることができる。塗膜形成性樹脂および硬化剤は、特に限定されるものではなく、具体的には、上記水性塗料組成物で挙げた塗膜形成性樹脂および硬化剤などを用いることができる。中塗り塗料組成物の塗膜形成樹脂として、得られる中塗り塗膜の諸性能などの観点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂と、アミノ樹脂および/またはイソシアネートとの組み合わせが好適に用いられる。
【0069】
上記中塗り塗料に含まれる着色成分としては、例えば、カーボンブラックと二酸化チタンとを主とした着色成分(グレー系中塗り塗料組成物)、二酸化チタンを主とした着色成分(ホワイト系中塗り塗料組成物)、そして、上塗りベース塗膜の色相と類似する色相を呈する着色成分(いわゆるカラー中塗り塗料組成物)などが挙げられる。
【0070】
上記塗料組成物は、塗料分野において一般的に用いられる手法によって、被塗物に対して塗装することができる。塗装方法として例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装(好ましくは2ステージ塗装)、エアー静電スプレー塗装と回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装などが挙げられる。
【0071】
上記塗料組成物は、乾燥膜厚として3~20μmの範囲内となるように塗装するのが好ましい。
【0072】
上記塗料組成物を用いた塗膜形成方法として、例えば以下の方法が挙げられる。
・上記塗料組成物を塗装して、加熱硬化させる方法。加熱硬化した後、必要に応じて、クリヤー塗膜を設けてもよい。
・上記塗料組成物を塗装して、未硬化の塗膜を形成し、次いでクリヤー塗料組成物を塗装して、未硬化のクリヤー塗膜を形成し、得られた未硬化の塗膜を一度に加熱硬化させる方法。
・上記塗料組成物を塗装した後、常温で乾燥させて塗膜を形成する方法。必要に応じて、例えば反応硬化型クリヤー塗料組成物を塗装して、クリヤー塗膜を設けてもよい。
【0073】
上記塗料組成物を塗装して加熱硬化させる場合における加熱温度および時間は、塗料組成物の組成(水性または溶剤型)および被塗物の種類に応じて適宜選択することができる。加熱温度は例えば80~180℃の範囲、好ましくは100~160℃の範囲などで適宜選択することができる。加熱時間は、例えば5分~60分、好ましくは10分~30分の範囲などで適宜選択することができる。
【0074】
上記クリヤー塗料組成物は、特に限定されず、溶剤型、水性型および粉体型のクリヤー塗料組成物を挙げることができる。
【0075】
上記溶剤型クリヤー塗料組成物の好ましい例としては、透明性あるいは耐酸エッチング性などの点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂と、アミノ樹脂および/またはイソシアネートとの組み合わせ、あるいはカルボン酸/エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂などを挙げることができる。
【0076】
水性型クリヤー塗料組成物の例としては、上記溶剤型クリヤー塗料組成物の例として挙げた塗膜形成性樹脂を、塩基で中和して水性化した樹脂を含有するものが挙げることができる。この中和は重合の前または後に、ジメチルエタノールアミンおよびトリエチルアミンのような3級アミンを添加することにより行うことができる。
【0077】
これらの溶剤型クリヤー塗料組成物そして水性型クリヤー塗料組成物は、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤を含むのが好ましい。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを用いることができる。粘性制御剤の例として、例えば、水性塗料組成物のところで挙げたものを用いることができる。併せて、塗料分野において一般的に用いられる添加剤を必要に応じて含んでもよい。
【0078】
粉体型クリヤー塗料組成物としては、例えば、熱可塑性粉体塗料組成物、熱硬化性粉体塗料組成物などの、塗料分野において一般的に用いられる粉体塗料組成物を用いることができる。これらの中でも、塗膜物性などの点から、熱硬化性粉体塗料組成物が好ましい。熱硬化性粉体塗料組成物の具体例として、エポキシ系、アクリル系およびポリエステル系の粉体クリヤー塗料組成物などが挙げられる。
【0079】
クリヤー塗料組成物の塗装は、クリヤー塗料組成物の塗装形態に従った、当業者に公知の塗装方法を用いて行うことができる。上記クリヤー塗料組成物を塗装することによって形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10~80μmが好ましく、20~60μmであることがより好ましい。
【0080】
クリヤー塗料組成物の塗装によって得られた未硬化のクリヤー塗膜を加熱硬化させることによって、硬化したクリヤー塗膜を形成することができる。クリヤー塗料組成物を、未硬化の第2ベース塗膜の上に塗装した場合は、加熱させることによって、これらの未硬化塗膜が加熱硬化することとなる。加熱硬化温度は、硬化性および得られる複層塗膜の物性の観点から、80~180℃に設定されていることが好ましく、120~160℃に設定されていることがさらに好ましい。加熱硬化時間は、上記温度に応じて任意に設定することができる。加熱硬化条件として、例えば、加熱硬化温度120℃~160℃で10分~30分間加熱する条件などが挙げられる。
なお、塗料組成物の種類に応じて、上記塗料組成物を塗装した後、常温で乾燥させて塗膜を形成し、次いで、例えば反応硬化型クリヤー塗料組成物を塗装して、クリヤー塗膜を設けてもよい。
【0081】
本発明は、上記塗料組成物を塗装して形成された硬化塗膜は、入射角45°の光輝強度(Si)が20以上であり、光輝面積(Sa値)が10以上であり、粒状性値(G値)が10を超えることを条件とする。
上記光輝強度(Si)は輝きの強さを示す指標であり、数値が高いほど輝きが強いことを意味する。光輝面積(Sa値)は輝く部分の面積(大きさ)を数値として示す指標である。粒状性値(G値)は、塗膜中の粒状性を数値化した指標である。
【0082】
本明細書において、上記光輝強度(Si)、光輝面積(Sa値)および粒状性値(G値)の測定は、上記塗料組成物の硬化塗膜であって膜厚15μmである塗膜を用いて測定した値をいう。より具体的には、カチオン電着塗料組成物を塗装した鋼板に、明度が30である硬化中塗り塗膜を形成した塗板上に、上記塗料組成物を塗膜が15μmとなるようにスプレー塗装し、次いでクリヤー塗料組成物を膜厚が35μmとなるようにスプレー塗装し、その後140℃で20分間加熱硬化させて得られた硬化塗膜を用いて測定する。
硬化中塗り塗膜の明度は、JIS K 5600-4-3の規定に従い測定された明度を意味する。
【0083】
上記光輝強度(Si)および光輝面積(Sa値)は、LED光源を入射角45°で塗膜に対して照射し、塗膜に対して垂直に配置したCCDチップで画像を取得し、取得した画像を、明るさレベルのヒストグラムを用いた画像解析アルゴリズムで解析し、2次元分析を行うことによって、光輝度パラメータを計算し、光輝強度(Sparkle intensity=Si値)および光輝面積(Sparkle area=Sa値)として表した数値である。
【0084】
硬化塗膜の光輝強度(Si)の値が20以上であり、光輝面積(Sa値)が10以上であることによって、塗膜形成樹脂および鱗片状顔料を含む塗料組成物を用いて硬化塗膜を形成する場合において、従来の塗膜と比較してより高輝度である塗膜が形成されることが示されることとなる。
【0085】
上記光輝強度(Si)の値は、20以上100以下であるのが好ましく、20以上80以下であるのがより好ましい。また、上記光輝面積(Sa値)は、10以上50以下であるのが好ましく、10以上30以下であるのがより好ましい。
【0086】
上記粒状性値(G値)は、拡散照明測定により粒状性を数値化した値である。上記粒状性値(G値)は、白色塗装された半球内の拡散照明の下でCCDチップにより画像を習得し、習得された画像を明るさレベルのヒストグラムを用いて分析し、明暗領域の均一性を1つの粒状性を示す値として示す数値である。粒状性値(G値)は0~30の範囲で表され、数値が小さいほど微細であり、大きいほど粒状であることを示す。
【0087】
硬化塗膜の粒状性値(G値)が10を超えることによって、塗膜形成樹脂および鱗片状顔料を含む塗料組成物を用いて硬化塗膜を形成する場合において、従来の塗膜と比較して輝度の粒状感が高く、独特な意匠を有する塗膜が形成されることが示されることとなる。
【0088】
上記粒状性値(G値)は、10を超えて25以下であるのが好ましく、10を超えて20以下であるのがより好ましい。
【0089】
上記光輝強度(Si)、光輝面積(Sa値)、粒状性値(G値)は、光輝感測定機を用いて測定することができる。これらを測定することができる光輝感測定機として、例えばBYK-mac(BYK社製)などが挙げられる。
【0090】
本開示の塗膜は、従来のメタリック塗膜と比較してより高輝度である。上記塗膜はさらに、光輝強度および光輝面積が高く、かつ粒状性値が高いという特徴がある。上記塗膜は、これらの特徴により、塗膜全体として光輝感を有する一方で、光輝感を奏する粒状感も強く視認されるという、独特な意匠が奏されることとなる。
【実施例
【0091】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
【0092】
製造例1 アクリル樹脂エマルション(塗膜形成樹脂)の製造
反応容器に脱イオン水633部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、スチレン(ST)75.65質量部、メチルメタクリレート(MMA)178.96質量部、n-ブチルアクリレート(BA)75.94質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)64.45質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)105.00質量部、の1段目のモノマー混合物、アクアロンHS-10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル、第一工業製薬社製)25.00部、アデカリアソープNE-20(α-[1-[(アリルオキシ)メチル]-2-(ノニルフェノキシ)エチル]-ω-ヒドロキシオキシエチレン、旭電化社製)25.00部、および脱イオン水400部からなるモノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム1.2部、および脱イオン水500部からなる開始剤溶液とを1.5時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
さらに、80℃で、スチレン(ST)53.65質量部、メチルメタクリレート(MMA)178.96質量部、n-ブチルアクリレート(BA)75.94質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)64.45質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)105.00質量部、アクリル酸22質量部の2段目のモノマー混合物と、アクアロンHS-10 10部および脱イオン水250部からなるモノマーの乳化物と、過硫酸アンモニウム3.0部および脱イオン水500部からなる開始剤溶液とを1.5時間に渡り併行して、反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した後、脱イオン水100部およびジメチルアミノエタノール1.6部を加えpH6.5に調整し、平均粒子径150nm、不揮発分35%、固形分酸価20mgKOH/g、水酸基価100mgKOH/gのアクリル樹脂エマルションを得た。
【0093】
製造例2 リン酸基含有有機化合物の製造
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにスチレン4部、n-ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解した溶液40部、およびアゾビスイソブチロニトリル1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。得られたリン酸基含有有機化合物は、酸価105mgKOH/g、うちリン酸基価55mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/g、数平均分子量6000、不揮発分が63%であった。
【0094】
なお本明細書実施例において、数平均分子量の測定は、GPC装置として「HLC8220GPC」(商品名、東ソー(株)製)、カラムとして「Shodex KF-606M」、「Shodex KF-603」(いずれも昭和電工(株)製、商品名)の4本を用いて、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:0.6cc/分、検出器:RIの条件で行なった。
また本明細書実施例において、リン酸基含有有機化合物の酸価およびリン酸基価の算出は、JIS K5601 2-1の酸価の定義(試料(不揮発物)1g中の遊離酸を中和するのに要する、水酸化カリウム(KOH)のmg数)に基づいて計算を行って求めた。また水酸基価の算出は、JIS K0070の水酸基価の定義(試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数)に基づいて計算を行って求めた。
【0095】
実施例1 水性塗料組成物の調製
製造例1のアクリル樹脂エマルション182部、ジメチルアミノエタノール2.2部、サイメル327(混合アルキル化型メラミン樹脂、Allnex社製、固形分90%)を40部、エルジーneoExtra Black#325(鱗片状蒸着金属顔料、尾池工業社製、平均粒子径(平均長径)35μm、有効成分100%)9部(樹脂固形分100質量部に対して9質量部)、製造例2のリン酸基含有有機化合物 5部、ラウリルアシッドフォスフェート0.4部、ブチルセロソルブ50部、ノイゲンEA-207D(両親媒性化合物、第一工業製薬社製、数平均分子量4200、固形分55%) 5.5部(固形分換算で3部)、リノール酸(キシダ化学社製)3部を均一分散してpHが8.1となるようジメチルアミノエタノールを添加し、脱イオン水で希釈して、樹脂固形分濃度33質量%である水性塗料組成物を調製した。
【0096】
実施例2 水性塗料組成物の調製
エルジーneoExtra Black#325、9部の代わりに、エルジーneo SILVER#500(鱗片状蒸着金属顔料、尾池工業社製、平均粒子径(平均長径)15μm、有効成分100%)10部(樹脂固形分100質量部に対して10質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0097】
実施例3 水性塗料組成物の調製
エルジーneoExtra Black#325、9部の代わりに、エルジーneo SILVER#325(鱗片状蒸着金属顔料、尾池工業社製、平均粒子径(平均長径)35μm、有効成分100%)10部(樹脂固形分100質量部に対して10質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0098】
実施例4 水性塗料組成物の調製
エルジーneoExtra Black#325の量を11部(樹脂固形分100質量部に対して11質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0099】
実施例5 水性塗料組成物の調製
エルジーneo SILVER#500の量を23部(樹脂固形分100質量部に対して23質量部)に変更したこと以外は、実施例2と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0100】
実施例6 水性塗料組成物の調製
エルジーneo SILVER#500の量を40部(樹脂固形分100質量部に対して40質量部)に変更したこと以外は、実施例2と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0101】
実施例7 水性塗料組成物の調製
エルジーneo SILVER#325の量を40部(樹脂固形分100質量部に対して40質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0102】
比較例1 水性塗料組成物の調製
エルジーneoExtra Black#325の代わりに、アルミペースト02-2520(東洋アルミ社製、粉砕型アルミニウム顔料、有効成分73%)を、樹脂固形分100質量部に対して0.5部となる量で用いたこと以外は、実施例1と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0103】
比較例2 水性塗料組成物の調製
エルジーneoExtra Black#325の代わりに、アルミペースト93-0547(東洋アルミ社製、粉砕型アルミニウム顔料)を樹脂固形分100質量部に対して10.5部、およびTCR-2020(東洋アルミ社製、粉砕型アルミニウム顔料)を樹脂固形分100質量部に対して4部用いたこと以外は、実施例1と同様の手順により、水性塗料組成物を調製した。
【0104】
上記実施例および比較例で調製した水性塗料組成物を用いて、下記評価を行った。評価結果を下記表に示す。
【0105】
塗装試験板の作成
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、縦30cm、横40cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料組成物である「パワートップU-50)」(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた塗板に、中塗り塗料組成物「OP-30P ダークグレー」(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製、ポリエステル・メラミン系塗料、25秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に予め希釈)を、アネスト岩田製エアスプレーガンW-101-132Gを用いて乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、次いで140℃で30分間焼き付け硬化させて、明度が30である硬化中塗り塗膜を形成した。
次いで、実施例または比較例で調製した水性塗料組成物を、室温23℃、湿度68%の条件下で乾燥膜厚15μmになるようにエアスプレー塗装した。4分間のセッティングを行った後、80℃で5分間のプレヒートを行った。
プレヒート後、塗装板を室温まで放冷し、クリヤー塗料としてマックフロー-O-1810(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製溶剤型クリヤー塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、7分間セッティングした。ついで、塗装板を乾燥機で140℃、30分間焼き付けを行うことにより、複層塗膜を有する塗装試験板を得た。
【0106】
光輝強度(Si)、光輝面積(Sa値)および粒状性値(G値)の測定
得られた塗装試験板を用いて、入射角45°における光輝強度(Si)、光輝面積(Sa値)を、BYK社製のBYK-mac i(マルチアングル(6角度)測色、光輝感・粒子感測定器)により光輝感測定を行って求めた。
【0107】
【表1】
【0108】
実施例の塗料組成物を用いて形成した塗膜はいずれも、光輝強度(Si)、光輝面積(Sa値)および粒状性値(Ga値)がいずれも高く、高輝度であり塗膜全体として光輝感を有する一方で、光輝感を奏する粒状感も強く視認された。
比較例1、2はいずれも、粉砕型アルミニウム顔料を用いた例である。これらの例では、光輝強度(Si)および光輝面積(Sa値)が高く塗膜全体として光輝感を有する一方で、粒状性値は低く、光輝感を奏する粒状感が低いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示の塗料組成物を用いて形成される塗膜は、高輝度であり、さらに、光輝面積が高く塗膜全体として光輝感を有する一方で、光輝感を奏する粒状感も強く視認されるという、独特な意匠を有する。上記塗膜は、各種物品の意匠性塗膜として好適に用いることができる。