(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】二次電池及び二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20221201BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20221201BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20221201BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20221201BHJP
H01M 4/02 20060101ALN20221201BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M4/70 A
H01M50/586
H01M50/591 101
H01M4/02 Z
(21)【出願番号】P 2020154416
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】坂井 遼太郎
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-206832(JP,A)
【文献】特開2020-119898(JP,A)
【文献】特開2019-153459(JP,A)
【文献】特開2020-053150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M50/50-50/598
H01M 4/64- 4/84
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを挟んで積層された正負の電極シートを捲回してなる電極体を備え、
前記各電極シートは、前記電極体の捲回軸に沿った前記各電極シートの幅方向における一方側の端部に集箔部を有し、正極を構成する前記電極シートの前記集箔部と負極を構成する前記電極シートの前記集箔部とが、前記電極体の捲回軸方向における互いに相反した方向に延出する状態で前記積層されるとともに、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態で、前記電極体の捲回軸方向両端部に配置された前記各集箔部が束ねられるものであって、
前記各電極シートにおける前記集箔部を有した一方側の幅方向端部を前記各電極シートの第1端部とし、他方側の幅方向端部を前記各電極シートの第2端部として、
正極を構成する前記電極シート及び負極を構成する前記電極シートの少なくとも一方の
前記第2端部には、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態において、前記電極体の径方向外側に向かって突出することにより前記セパレータに係合する係合突部が設けられた二次電池。
【請求項2】
前記係合突部は、少なくとも前記電極体における径方向の最外郭に位置する前記第1端部との間に前記セパレータを挟む径方向位置において、該セパレータに係合するように構成される請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電極体は、径方向に扁平した捲回形状を有する
請求項1又は請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記各電極シートは、シート状の集電体と該集電体に積層された電極活物質層とを有するものであって、
前記係合突部は、前記第2端部に形成された前記電極活物質層を有しない未塗工部に設けられている請求項1~請求項3の何れか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極体は、前記係合突部と該係合突部の径方向外側に位置する前記第1端部との間に設けられた保護層を有する請求項1~請求項4の何れか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記保護層は、前記セパレータに積層された絶縁被膜層である
請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記保護層は、前記第1端部に積層された絶縁被膜層である
請求項5又は請求項6に記載の二次電池。
【請求項8】
セパレータを挟んで積層された正負の電極シートを捲回してなる電極体を備え、前記各電極シートは、前記電極体の捲回軸に沿った前記各電極シートの幅方向における一方側の端部に集箔部を有し、正極を構成する前記電極シートの前記集箔部と負極を構成する前記電極シートの前記集箔部とが、前記電極体の捲回軸方向における互いに相反した方向に延出する状態で前記積層されるとともに、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態で、前記電極体の捲回軸方向両端部に配置された前記各集箔部が束ねられる二次電池の製造方法であって、
前記各電極シートにおける前記集箔部を有した一方側の幅方向端部を前記各電極シートの第1端部とし、他方側の幅方向端部を前記各電極シートの第2端部として、
正極を構成する前記電極シート及び負極を構成する前記電極シートの少なくとも一方の前記第2端部に対し、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態で前記電極体の径方向外側に向かって突出する係合突部を形成する工程と、
前記各集箔部を束ねる集箔工程の実行前に、前記捲回された前記各電極シート及び前記セパレータを径方向に押圧することにより前記係合突部を前記セパレータに係合させる工程と、を備える二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及び二次電池の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セパレータを挟んで積層された正負の電極シートを捲回してなる電極体を備えた二次電池がある。例えば、特許文献1に記載の二次電池において、各電極シートは、それぞれ、シート状の外形を有した集電体に電極活物質を塗工することにより形成されている。また、各電極シートは、それぞれ、その電極体の捲回軸に沿った各電極シートの幅方向における一方側の端部に、電極活物質の塗工されていない未塗工部を有している。更に、これらの未塗工部を各電極シートの集箔部として、その正極を構成する電極シートの集箔部と、負極を構成する電極シートの集箔部とが、互いに独立した状態で束ねられる。即ち、この従来例の二次電池においては、正極を構成する電極シートの集箔部と負極を構成する電極シートの集箔部とが、電極体の捲回軸方向における互いに相反した方向に延出する状態で各電極シートが積層される。そして、これにより、その電極体の捲回軸方向における一方側の端部に正極側の接続端子が形成され、他方側の端部に負極側の接続端子が形成される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の構成には、各電極シートの集箔部を束ねる集箔工程において、その電極体の捲回軸方向に沿って、正負の電極シートが互いに相反する方向に引っ張られるという問題がある。そして、これにより、その電極体を構成する電極シート及びセパレータに設定された捲回軸方向の位相差にズレが生ずる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する二次電池は、セパレータを挟んで積層された正負の電極シートを捲回してなる電極体を備え、前記各電極シートは、前記電極体の捲回軸に沿った前記各電極シートの幅方向における一方側の端部に集箔部を有し、正極を構成する前記電極シートの前記集箔部と負極を構成する前記電極シートの前記集箔部とが、前記電極体の捲回軸方向における互いに相反した方向に延出する状態で前記積層されるとともに、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態で、前記電極体の捲回軸方向両端部に配置された前記各集箔部が束ねられるものであって、前記各電極シートにおける前記集箔部を有した一方側の幅方向端部を前記各電極シートの第1端部とし、他方側の幅方向端部を前記各電極シートの第2端部として、正極を構成する前記電極シート及び負極を構成する前記電極シートの少なくとも一方の前記第2端部には、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態において、前記電極体の径方向外側に向かって突出することにより前記セパレータに係合する係合突部が設けられる。
【0006】
即ち、電極シートの第2端部に設けられた係合突部が、各電極シートとともに捲回されたセパレータに対して係合することにより、電極シートとセパレータとの相対位置が変化し難くなる。従って、上記構成によれば、集箔工程において各電極シートの集箔部を束ねる際、電極体の捲回軸に沿って、正負の電極シートに相反する方向の引張力が作用した場合であっても、その電極シート及びセパレータの位相差ズレを抑制することができる。
【0007】
上記課題を解決する二次電池において、前記係合突部は、少なくとも前記電極体における径方向の最外郭に位置する前記第1端部との間に前記セパレータを挟む径方向位置において、該セパレータに係合するように構成されることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、より効果的に、電極シート及びセパレータの位相差ズレを抑制することができる。
上記課題を解決する二次電池において、前記電極体は、径方向に扁平した捲回形状を有することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、捲回された各電極シート及びセパレータを扁平させるプレス工程において、これらの各電極シート及びセパレータを径方向外側から押圧することにより、その係合突部をセパレータに係合させることができる。そして、これにより、効果的に、電極シート及びセパレータの位相差ズレを抑制することができる。
【0010】
上記課題を解決する二次電池において、前記各電極シートは、シート状の集電体と該集電体に積層された電極活物質層とを有するものであって、前記係合突部は、前記第2端部に形成された前記電極活物質層を有しない未塗工部に設けられていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、加工容易な未塗工部に係合突部を設けることで、高い設計自由度を確保することができる。そして、これにより、その係合突部の係合力を高めて、より効果的に、電極シート及びセパレータの位相差ズレを抑制することができる。
【0012】
上記課題を解決する二次電池において、前記電極体は、前記係合突部と該係合突部の径方向外側に位置する前記第1端部との間に設けられた保護層を有することが好ましい。
上記構成によれば、セパレータに係合する係合突部の先端がセパレータを突き抜けて、その径方向外側に位置する各電極シートの第1端部に接触する状況を回避することができる。そして、これにより、電極体の捲回軸方向両端部において、セパレータを挟んで径方向に交互に並ぶ、その集箔部を有した第1端部と係合突部を有した第2端部62との短絡を回避することができる。
【0013】
上記課題を解決する二次電池において、前記保護層は、前記セパレータに積層された絶縁被膜層であることが好ましい。
上記課題を解決する二次電池において、前記保護層は、前記第1端部に積層された絶縁被膜層であることが好ましい。
【0014】
上記各構成によれば、電極シートの第2端部に設けられた係合突部と当該係合突部の径方向外側に位置する電極シートの第1端部との間に硬質の保護層を形成することができる。そして、これにより、係合突部と、この係合突部の径方向外側に位置する電極シートの第1端部との接触を回避することができる。
【0015】
上記課題を解決する二次電池の製造方法は、セパレータを挟んで積層された正負の電極シートを捲回してなる電極体を備え、前記各電極シートは、前記電極体の捲回軸に沿った前記各電極シートの幅方向における一方側の端部に集箔部を有し、正極を構成する前記電極シートの前記集箔部と負極を構成する前記電極シートの前記集箔部とが、前記電極体の捲回軸方向における互いに相反した方向に延出する状態で前記積層されるとともに、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態で、前記電極体の捲回軸方向両端部に配置された前記各集箔部が束ねられる二次電池の製造方法であって、前記各電極シートにおける前記集箔部を有した一方側の幅方向端部を前記各電極シートの第1端部とし、他方側の幅方向端部を前記各電極シートの第2端部として、正極を構成する前記電極シート及び負極を構成する前記電極シートの少なくとも一方の前記第2端部に対し、前記各電極シート及び前記セパレータが前記捲回された状態で前記電極体の径方向外側に向かって突出する係合突部を形成する工程と、前記各集箔部を束ねる集箔工程の実行前に、前記捲回された前記各電極シート及び前記セパレータを径方向に押圧することにより前記係合突部を前記セパレータに係合させる工程と、を備える二次電池の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電極シート及びセパレータの位相差ズレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】電極シートの第2端部に設けられた係合突部を示す電極体の断面図。
【
図6】電極体を製造する際の処理手順を示すフローチャート。
【
図8】係合突部の反り形状に関する試験結果の説明図。
【
図10】第2の実施形態における電極シートの第2端部に設けられた係合突部を示す電極体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
以下、二次電池に関する第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、二次電池1は、正極3、負極4、及びセパレータ5を一体化した電極体10と、この電極体10を収容するケース20と、を備えている。そして、本実施形態の二次電池1は、そのケース20内の電極体10に、図示しない非水性の電解液を含浸させたリチウムイオン二次電池としての構成を有している。
【0019】
詳述すると、本実施形態の二次電池1において、正極3、負極4、及びセパレータ5は、シート状の外形を有して積層される。そして、これら正極3及び負極4、及びセパレータ5の積層体を捲回することにより、正極3と負極4との間にセパレータ5を挟み込む状態で、その径方向に正負の電極とセパレータ5とが交互に並ぶ電極体10が形成されている。
【0020】
また、本実施形態のケース20は、扁平略四角箱状のケース本体21と、このケース本体21の開口端21xを閉塞する蓋部材22と、を備えている。そして、本実施形態の電極体10は、径方向外側から押圧されることにより、そのケース20の箱形状に対応する扁平した外形を有するものとなっている。
【0021】
さらに詳述すると、
図2に示すように、本実施形態の二次電池1において、正極3及び負極4は、それぞれ、シート状の外形を有した集電体31と、この集電体31上に積層された電極活物質層32と、を備えた電極シート35としての構成を有する。
【0022】
具体的には、アルミニウム等を素材とする正極集電体31P上に、正極活物質となるリチウム遷移金属酸化物を含んだスラリーを塗工することにより、その正極活物質層32Pを備えた正極3用の電極シート35Pが形成される。また、銅等を素材とする負極集電体31N上に、負極活物質となる炭素系材料を含んだスラリーを塗工することにより、その負極活物質層32Nを備えた負極4用の電極シート35Nが形成される。更に、本実施形態の二次電池1において、これら正負の電極シート35P,35Nは、帯状に整形される。そして、本実施形態の電極体10は、セパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35P,35Nが、その帯形状の幅方向(
図2中、左右方向)に延びる捲回軸L周りに捲回された構造を有している。
【0023】
尚、
図2中においては、その正極3を構成する電極シート35Pを内側に捲き込むかたちで、セパレータ5及び各電極シート35が捲回されているが、この図は、電極体10の構造を示す一例であり、その負極4を構成する電極シート35Nを内側に捲き込むかたちで、これらのセパレータ5及び各電極シート35が捲回される場合もある。そして、これにより、その電極体10の最外殻に配置される電極シート35が、正極3を構成する電極シート35Pであるか、又は負極4を構成する電極シート35Nであるかが決定される。
【0024】
また、
図1に示すように、ケース20の蓋部材22には、ケース20の外側に突出する正極端子37及び負極端子38が設けられている。更に、
図2に示すように、各電極シート35には、それぞれ、その集電体31上に電極活物質層32が形成されていない未塗工部39が形成されている。そして、本実施形態の二次電池1は、これらの未塗工部39を利用して、その正極3を構成する電極シート35Pと正極端子37とが電気的に接続され、及び、その負極4を構成する電極シート35Nと負極端子38とが電気的に接続される構成となっている。
【0025】
具体的には、
図1及び
図2に示すように、本実施形態の電極体10は、その捲回軸Lが長尺略矩形板状をなす蓋部材22の長手方向(
図1中、左右方向)に沿う状態で、ケース本体21内に収容される。また、この電極体10は、その捲回軸Lの一端側(
図2中、左側の端部)に正極3を構成する電極シート35Pの未塗工部39Pを有し、他端側(同図中、右側の端部)に負極4を構成する電極シート35Nの未塗工部39Nを有している。更に、本実施形態の二次電池1においては、この状態で、その正極3を構成する電極シート35Pの未塗工部39Pと正極端子37とが接続部材37xを介して接続されるとともに、その負極4を構成する電極シート35Nの未塗工部39Nと負極端子38とが接続部材38xを介して接続される。そして、本実施形態の二次電池1は、その後、ケース本体21の開口端21xに対して蓋部材22を接合することにより、その正極3と正極端子37、及び負極4と負極端子38とが電気的に接続された状態で、この電極体10をケース20内に封缶する構成となっている。
【0026】
尚、本実施形態の二次電池1において、ケース本体21及び蓋部材22は、例えば、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属材料を用いて形成される。そして、これらのケース本体21及び蓋部材22は、例えば、レーザー溶接等を用いて液密に接合される。
【0027】
また、
図3に示すように、二次電池1は、その電極体10とともにケース20内に収容される絶縁フィルム41を備えている。更に、この絶縁フィルム41は、ケース本体21の開口端21x側に開口する袋形状を有してケース20内に収容される。そして、本実施形態の二次電池1は、この絶縁フィルム41の袋形状内に電極体10を配置することで、その電極体10とケース20とが絶縁される構成になっている。
【0028】
更に、
図1に示すように、本実施形態の二次電池1においては、蓋部材22に設けられた注入口42を介して、そのケース20内に電解液が注入される。即ち、リチウムイオン二次電池としての構成を有する二次電池1の電解液には、有機溶媒中に支持塩となるリチウム塩を溶解させたものが用いられる。そして、本実施形態の二次電池1は、これにより、そのケース20内に封缶された電極体10に対して電解液が含浸される構成になっている。
【0029】
尚、本実施形態の二次電池1において、注入口42は、長尺略矩形板状をなす蓋部材22の長手方向略中央部分に形成された安全弁43の近傍に設けられている。また、ケース20内には、その含浸により電極体10に保持させる液量を超えた余剰の電解液が注入される。そして、本実施形態の二次電池1は、電解液の注入後、例えば、レーザー溶接等によって、その注入口42が封止される構成となっている。
【0030】
(電極シート及びセパレータの位相差ズレ抑制構造)
次に、本実施形態の二次電池1において、その電極体10に形成された電極シート及びセパレータの位相差ズレ抑制構造について説明する。
【0031】
図2及び
図4に示すように、本実施形態の二次電池1において、セパレータ5とともに捲回されることにより電極体10を構成する各電極シート35は、その電極体10の捲回軸Lに沿った幅方向における一方側の端部に設けられた未塗工部39を集箔部50として、この捲回軸方向に延出した集箔部50が、電極体10の径方向内側に束ねられる。詳しくは、この集箔部50は、その扁平した電極体10の厚み方向に束ねられる(
図4中、下側)。そして、本実施形態の二次電池1においては、この束ねられた集箔部50によって、その電極体10における正負の接続端子55が形成されている。
【0032】
即ち、
図1及び
図2に示すように、本実施形態の二次電池1において、各電極シート35は、その正極3を構成する電極シート35Pの集箔部50Pと負極4を構成する電極シート35Nの集箔部50Nとが、電極体10の捲回軸方向における互いに相反した方向に延出する状態で、セパレータ5を挟んで積層される。そして、本実施形態の電極体10は、これにより、その電極体10の捲回軸方向における一方側の端部に正極3側の接続端子55Pが形成され、他方側の端部に負極4側の接続端子55Nが形成される構成になっている。
【0033】
また、
図4及び
図5に示すように、本実施形態の各電極シート35は、その集箔部50が設けられた一方側の幅方向端部を第1端部61とし、他方側の幅方向端部を第2端部62とした場合に、この第2端部62に設けられた係合突部65を備えている。具体的には、この係合突部65は、第2端部62の端面62sから突出して、その先端65xが電極体10の径方向外側に向かって延びる略鉤状の断面形状を有している。そして、本実施形態の電極体10は、各電極シート35及びセパレータ5が捲回された状態において、この係合突部65が、その正負の電極シート35の間に介在されたセパレータ5に対して係合する構成になっている。
【0034】
即ち、上記のように、本実施形態の電極体10は、その径方向(
図4及び
図5中、上下方向)に正負の電極シート35とセパレータ5とが交互に並ぶ断面構造を有している。このため、この電極体10の捲回軸方向両端部(各図中、右側の端部)においては、そのセパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35のうち、一方の電極シート35の第1端部61と、他方の電極シート35の第2端部62とが、その径方向において、交互に並んで配置されている。更に、本実施形態の電極体10において、セパレータ5は、これらの第1端部61及び第2端部62が接触しないように、その幅方向端部63が、各電極シート35の第2端部62よりも電極体10の捲回軸方向に延出して配置される幅広さを有している(
図2参照)。そして、本実施形態の電極体10においては、これにより、各電極シート35の第2端部62に設けられた係合突部65の先端65xが、電極体10の捲回軸方向における第1端部61に設けられた集箔部50の基端部分において、その径方向外側に位置するセパレータ5に食い込むかたちで係合する構成になっている。
【0035】
詳述すると、本実施形態の各電極シート35は、第2端部62側にも、その集電体31上に電極活物質が塗工されない未塗工部69を有している。そして、本実施形態の各電極シート35においては、この未塗工部69を塑性加工することにより、その係合突部65が形成されている。
【0036】
図6に示すように、本実施形態の電極体10は、各電極シート35及びセパレータ5を製造して積層する電極製造工程(ステップ101)、その捲回工程(ステップ102)、電極体10の扁平した捲回形状を形成するプレス工程(ステップ103)、及び、その集箔部50を束ねる集箔工程(ステップ104)を順次実行することにより形成される。そして、上記係合突部65は、上記ステップ101の電極製造工程において、正負の電極シート35を製造する際、その第2端部62を切断することにより形成される。
【0037】
さらに詳述すると、
図7に示すように、本実施形態の二次電池1においては、電極シート35の製造する際、集電体31を構成する母材シート70に対して電極活物質を含んだスラリーを塗布する際、スリット状の隙間71を空けた状態で、その塗工が行われる。更に、これにより形成されたスリット状に延びる未塗工部69に沿って、その集電体31上に電極活物質層32が形成された母材シート70の裁断が行われる。そして、このスリット工程の実行により、その母材シート70が裁断された位置の両側に、所定幅の帯形状を有した電極シート35,35が形成される。
【0038】
つまり、本実施形態の各電極シート35は、それぞれ、このスリット工程で裁断されることにより形成された幅方向端部を、その未塗工部69を有した第2端部62とする。更に、本実施形態の各電極シート35においては、この第2端部62側の未塗工部69を厚み方向(
図7中、上下方向)に挟み込む態様で母材シート70を裁断するスリット刃72,72の押圧力に基づいて、その第2端部62側の未塗工部69が塑性変形する。そして、本実施形態の二次電池1においては、この裁断された未塗工部69の塑性変形量を制御することで、その各電極シート35の第2端部62に上記係合突部65を形成する構成となっている。
【0039】
即ち、第2端部62側の未塗工部69は、スリット工程において、スリット刃72,72のクリアランスを一定以上として裁断されることにより、その裁断された端面が、電極シート35の厚み方向に反る状態で塑性変形する。更に、本実施形態の二次電池1においては、スリット工程に用いるスリット刃72の厚みやクリアランス、或いは裁断時の押圧力等を調整することにより、その裁断により塑性変形した未塗工部69の反り形状(うねり高さや角度等)を制御する。例えば、スリット刃72,72のクリアランスを調整することにより、その電極シート35の厚み方向における反り形状の高さとなる「うねり高さ」を制御することができる。そして、本実施形態の二次電池1では、これにより、各電極シート35の第2端部62に、各電極シート35の長さ方向、つまりは電極体10の周方向に延在する状態で、その第2端部62の端面62sから突出する断面略鉤状の係合突部65を形成する構成になっている。
【0040】
また、
図6に示すように、本実施形態の二次電池1においては、ステップ103のプレス工程において、電極体10の扁平した捲回形状を形成する際に、その各電極シート35の第2端部62に設けられた係合突部65が、これらの各電極シート35とともに捲回されたセパレータ5に対して係合する。
【0041】
即ち、上記のように、本実施形態の係合突部65は、その先端65xが電極体10の径方向外側に向かって突出する略鉤状の断面形状を有している。このため、捲回された各電極シート35及びセパレータ5を扁平させるべく、その径方向外側から押圧することで、各電極シート35の第2端部62に設けられた係合突部65の先端65xが、その径方向外側に位置するセパレータ5に対して食い込むかたちで係合することになる。そして、本実施形態の二次電池1は、プレス工程の実行により、その係合突部65が、少なくとも電極体10における径方向の最外郭に位置する電極シート35の第1端部61X(
図4参照)との間にセパレータ5を挟む径方向位置において、そのセパレータ5に係合するように構成されている。
【0042】
次に、係合突部65の反り形状に関する試験結果について説明する。
図8及び
図9に示すように、先ず、電極シート35の厚み方向に反った係合突部65のうねり高さHを「0」に設定する「試験1」を行った。この「試験1」においては、そのプレス工程(
図6参照、ステップ103)の実行によっても、係合突部65の先端65xが、その径方向外側に位置するセパレータ5に食い込まなかった。そして、これにより、集箔工程(
図6参照、ステップ104)において、その電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレが生じた。即ち、電極体10の捲回軸方向となる電極シート35及びセパレータ5の幅方向において、これらの電極シート35及びセパレータ5に予め設定された相互位置関係(
図2参照)にズレが生ずる、つまりは互いの位相がズレてしまう結果となった。
【0043】
次に、係合突部65のうねり高さHを電極シート35における電極活物質層32の厚みD1以下に設定する「試験2」を行った(H≦D1)。尚、この場合における「電極活物質層32の厚み」は、シート状をなす集電体31の両面に形成された各電極活物質層32のうち、径方向外側に配置される一方側(
図9中、上側の層)の厚みである。また、この「試験2」において、係合突部65のうねり高さHは、電極活物質層32の厚みD1の「1/2」に相当する値「h1」に設定された(h1=D1×(1/2))。そして、この「試験2」においてもまた、係合突部65は、その径方向外側に位置するセパレータ5に食い込まず、その集箔工程において、電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレが生ずる結果となった。
【0044】
更に、係合突部65のうねり高さHを、電極シート35における電極活物質層32の厚みD1よりも大きな値に設定する「試験3」を行った(H>D1)。具体的には、この「試験3」において、係合突部65のうねり高さHは、電極活物質層32の厚みD1にセパレータ5の厚みD2の「1/2」に相当する値を加えた値「h2」に設定された(h2=D1+D2×(1/2))。その結果、この「試験3」においては、プレス工程の実行により、係合突部65の先端65xが、その径方向外側に位置するセパレータ5に食い込んだ。そして、これにより、集箔工程の実行によっても、電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレは生じなかった。
【0045】
次に、係合突部65のうねり高さHを、電極シート35における電極活物質層32の厚みD1にセパレータ5の厚みD2を加えた値以上に設定する「試験4」を行った(H≧D1+D2)。具体的には、この「試験4」において、その係合突部65のうねり高さHは、電極活物質層32の厚みD1にセパレータ5の厚みD2の「2倍」に相当する値を加えた値「h3」に設定された(h3=D1+D2×2)。その結果、この「試験4」においては、プレス工程の実行により、係合突部65の先端65xが、その径方向外側に位置するセパレータ5を突き抜けた。そして、これにより、集箔工程の実行による位相差ズレは生じなかったものの、セパレータ5を突き抜けた係合突部65の先端65xが、その径方向外側に位置する電極シート35の第1端部61に接触し、短絡が生ずる結果となった。
【0046】
以上の試験結果を踏まえ、本実施形態の二次電池1においては、係合突部65の先端65xが、その径方向外側に位置するセパレータ5に食い込むとともに、このセパレータ5を突き抜けない程度に、その係合突部65のうねり高さHが設定されている。
【0047】
具体的には、係合突部65のうねり高さHは、例えば、電極活物質層32の厚みD1以上に設定することが好ましい(H≧D1)。より好ましくは、そのうねり高さHが、電極活物質層32の厚みD1にセパレータ5の厚みD2の「1/4」に相当する値を加えた値以上であるとよい(H≧D1+D2×(1/4))。更に、より好ましくは、そのうねり高さHが、電極活物質層32の厚みD1にセパレータ5の厚みD2の「1/2」に相当する値を加えた値以上であるとよい(H≧D1+D2×(1/2))。そして、本実施形態の二次電池1は、このような反り形状を係合突部65に設定することで、その径方向外側に位置するセパレータ5に対する係合突部65の安定的な係合状態を確保して、好適に、その電極体10の捲回軸方向における電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレを抑制することが可能になっている。
【0048】
次に、本実施形態の作用について説明する。
即ち、各電極シート35の第2端部62に設けられた係合突部65が、これらの各電極シート35とともに捲回されたセパレータ5に対して係合することにより、各電極シート35とセパレータ5との相対位置が変化し難くなる。そして、これにより、集箔工程において各電極シート35の集箔部50を束ねる際、電極体10の捲回軸Lに沿って、正負の電極シート35に相反する方向の引張力が作用した場合であっても、その電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレが生じ難くなる。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)二次電池1は、セパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35を捲回してなる電極体10を備える。各電極シート35は、電極体10の捲回軸Lに沿った各電極シート35の幅方向における一方側の端部に集箔部50を有し、正極3を構成する電極シート35Pの集箔部50Pと負極4を構成する電極シート35Nの集箔部50Nとが、電極体10の捲回軸方向における互いに相反した方向に延出する状態で積層される。また、各電極シート35は、これらの各電極シート35及びセパレータ5が捲回された状態で、その捲回軸方向両端部に配置された各集箔部50が束ねられる。更に、各電極シート35における集箔部50を有した一方側の幅方向端部を各電極シート35の第1端部61とし、他方側の幅方向端部を各電極シート35の第2端部62とした場合に、この第2端部62には、係合突部65が設けられる。そして、二次電池1は、各電極シート35及びセパレータ5が捲回された状態において、その係合突部65が、電極体10の径方向外側に向かって突出することによりセパレータ5に係合するように構成される。
【0050】
上記構成によれば、各電極シート35とセパレータ5との間の相対位置変化が抑えられる。そして、これにより、その電極体を構成する電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレを抑制することができる。
【0051】
(2)係合突部65は、少なくとも電極体10における径方向の最外郭に位置する電極シート35の第1端部61Xとの間にセパレータ5を挟む径方向位置において、そのセパレータ5に係合するように構成される。これにより、より効果的に、電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレを抑制することができる。
【0052】
(3)電極体10は、径方向に扁平した捲回形状を有する。そして、係合突部65は、その捲回された各電極シート35及びセパレータ5を扁平させるプレス工程において、これらの各電極シート35及びセパレータ5を径方向外側から押圧することにより、セパレータ5に対して係合される。これにより、容易且つ確実に、その係合突部65をセパレータ5に係合させることができる。
【0053】
(4)各電極シート35は、シート状の集電体31と、この集電体31上に積層された電極活物質層32と、を有する。そして、係合突部65は、各電極シート35の第2端部62に形成された電極活物質層32を有しない未塗工部69に設けられる。
【0054】
即ち、加工容易な未塗工部69に係合突部65を設けることで、高い設計自由度を確保することができる。そして、これにより、その係合突部65の係合力を高めて、より効果的に、電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレを抑制することができる。
【0055】
(5)係合突部65は、集電体31上に電極活物質層32が形成された母材シート70を裁断するスリット工程において、電極シート35の第2端部62を切断することにより形成される。
【0056】
即ち、電極シート35の第2端部62を切断することで、その厚み方向に反る状態で、この第2端部62を塑性変形させることができる。そして、そのスリット工程に用いるスリット刃72の厚みやクリアランス、或いは裁断時の押圧力等を調整することにより、その裁断により塑性変形した未塗工部69の反り形状を制御することができる。そして、これにより、製造容易に、電極シート35の第2端部62に係合突部65を形成することができる。
【0057】
[第2の実施形態]
以下、二次電池に関する第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0058】
図10に示すように、本実施形態の二次電池1Bにおいて、セパレータ5Bは、各電極シート35Bとともに捲回された状態において、その電極体10Bの径方向外側に臨む外側面5aに積層された絶縁被膜層81を有している。具体的には、この絶縁被膜層81は、絶縁性の金属酸化物を用いて形成されることにより、熱抵抗層(HRL:Heat Resistance Layer)としての機能を有している。そして、この絶縁被膜層81は、電極体10Bの捲回軸方向において、少なくとも各電極シート35Bの第2端部62に設けられた係合突部65がセパレータ5Bに係合する位置を含んで形成されている。
【0059】
また、本実施形態の各電極シート35Bは、その第1端部61に積層された絶縁被膜層82を有している。具体的には、この絶縁被膜層82は、絶縁性の金属酸化物を用いて形成されることにより、異物の混入による短絡の発生を回避する短絡防止層としての機能を有している。更に、この絶縁被膜層82は、各電極シート35Bがセパレータ5Bを挟んで捲回された状態において、その電極体10Bの径方向内側に臨む第1端部61の内側面61cに積層されている。そして、この絶縁被膜層82は、その集箔部50となる未塗工部39を被覆することにより、電極体10Bの捲回軸方向において、少なくとも各電極シート35Bの第2端部62に設けられた係合突部65がセパレータ5Bに係合する位置を含んで形成されている。
【0060】
更に、本実施形態の電極体10Bにおいては、これらの各絶縁被膜層81,82が、各電極シート35Bの第2端部62に設けられた係合突部65と、その径方向外側に位置する各電極シート35Bの第1端部61との間に設けられた保護層90として機能する。即ち、セパレータ5Bに食い込むかたちで係合する係合突部65の先端65xが、そのセパレータ5Bを突き抜けた場合であっても、このセパレータ5Bの径方向外側に硬質の保護層90が形成されていることにより、その係合突部65と、この係合突部65の径方向外側に位置する各電極シート35Bの第1端部61との接触が回避される。そして、本実施形態の電極体10Bは、これにより、この電極体10Bの捲回軸方向両端部において、セパレータ5Bを挟んで径方向に交互に並ぶ、その集箔部50を有した第1端部61と係合突部65を有した第2端部62とが短絡し難い構成となっている。
【0061】
以上、本実施形態によれば、より高い信頼性を確保することができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0062】
・上記各実施形態では、係合突部65は、第2端部62の未塗工部69に設けられることとしたが、第2端部62における係合突部65の形成位置は、必ずしも未塗工部69でなくともよい。
【0063】
・更に、係合突部65は、集電体31上に電極活物質層32が形成された母材シート70を裁断するスリット工程において、電極シート35の第2端部62を切断することにより形成されることとしたが、その形成方法は、任意に変更してもよい。そして、各電極シート35がセパレータ5とともに捲回された状態において、その径方向外側に突出してセパレータ5に係合するものであれば、係合突部65の形状についてもまた、任意に変更してもよい。
【0064】
例えば、係合突部65の断面形状は、必ずしも上記実施形態と同様の鉤状ではなくともよい。但し、セパレータ5との係合力を考慮した場合、係合突部65の先端65xが、各電極シート35の面方向に対して直交する方向に、より近い角度で突出していることが望ましい。そして、必ずしも、その係合突部65のが、電極体10の周方向となる各電極シート35の長さ方向全域に亘って延在する形状でなくともよい。
【0065】
・係合突部65の形成方法としては、例えば、電極シート35の第2端部62を切断した後、その切断された端部を曲げ加工する等の方法を挙げることができる。そして、電極シート35の厚み方向における係合突部65の突出量、つまりは、捲回状態において、その電極体10の径方向外側に向かう突出量についてもまた、この係合突部65が径方向外側に位置するセパレータ5に係合するものであれば、任意に変更してもよい。
【0066】
・また、係合突部65は、必ずしも正負の電極シート35の両方に設けられていなくともよく、例えば、正極3を構成する電極シート35Pの第2端部62又は負極4を構成する電極シート35Nの第2端部62の何れか一方に設けられる構成であってもよい。そして、このように形状や配置を変更した場合であっても、少なくとも電極体10における径方向の最外郭に位置する電極シート35の第1端部61Xとの間にセパレータ5を挟む径方向位置において、その係合突部65がセパレータ5に係合するように構成されることが好ましい。
【0067】
・上記第2の実施形態では、セパレータ5Bの外側面5aに積層された絶縁被膜層81と、各電極シート35Bの第1端部61における内側面61cに積層された絶縁被膜層82を有する。そして、これら金属酸化物からなる硬質の絶縁被膜層81,82を保護層90とすることで、各電極シート35Bの第2端部62に設けられた係合突部65がセパレータ5Bを突き抜けることによりセパレータ5Bを挟んで径方向に交互に並ぶ各電極シート35Bの第1端部61と第2端部62の係合突部65とが短絡する状況を回避することとした。
【0068】
しかし、これに限らず、上記各絶縁被膜層81,82のうちの何れか一方を備える構成であってもよい。また、保護層90は、必ずしも絶縁被膜層81,82でなくともよく、例えば、金属酸化物以外の組成を有するものであってもよい。更に、保護層90は、必ずしも硬質なものでなくともよく、係合突部65との各電極シート35Bの第1端部61との間に介在されたセパレータ5Bの厚みを増すことにより、その突き抜けを抑制するものであってもよい。そして、この場合、例えば、電極体10Bの径方向内側に臨むセパレータ5Bの内側面5cに積層された保護層90に対し、その係合突部65の先端65xが食い込むような構成であってもよい。
【0069】
・上記各実施形態では、電極体10は、径方向に扁平した捲回形状を有することとしたが、必ずしも扁平していなくともよい。但し、この場合においても、各集箔部50を束ねる集箔工程(
図6参照、ステップ104)の実行前に、捲回された各電極シート35及びセパレータ5を径方向に押圧することにより、その係合突部65をセパレータ5に係合させるとよい。これにより、効果的に、電極シート35及びセパレータ5の位相差ズレを抑制することができる。
【0070】
・上記各実施形態では、二次電池1は、リチウムイオン二次電池としての構成を有することとしたが、セパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35を捲回してなる電極体10を備える構成であれば、リチウムイオン電池以外の二次電池に適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…二次電池
3…正極
4…負極
5…セパレータ
10…電極体
35,35P,35N…電極シート
50,50P,50N…集箔部
61…第1端部
62…第2端部
65…係合突部
L…捲回軸