(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】複数の液体ストリームを搬送するためのアダプタ
(51)【国際特許分類】
B01F 25/44 20220101AFI20221201BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20221201BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20221201BHJP
【FI】
B01F25/44
B01F23/40
B01F35/71
(21)【出願番号】P 2020501368
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(86)【国際出願番号】 IB2018055019
(87)【国際公開番号】W WO2019012399
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-05
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コネリー,パトリック アール.
(72)【発明者】
【氏名】エゲランド,マーク エー.
(72)【発明者】
【氏名】モリアーティ,グレゴリー ピー.
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-35631(JP,A)
【文献】米国特許第04156438(US,A)
【文献】米国特許第04538920(US,A)
【文献】特開平09-136023(JP,A)
【文献】特開2017-095179(JP,A)
【文献】国際公開第2017/123458(WO,A1)
【文献】特表平11-512645(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072079(WO,A1)
【文献】特開2014-087790(JP,A)
【文献】特表2009-523576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 25/00-25/90、35/71
B65D 47/06、83/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートと、少なくとも第1の出口ポート及び第2の出口ポートとを有する本体を備え、
第1の流路が、前記第1の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらし、
第2の流路が、前記第2の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらす、
二重流体供給源と静的ミキサーとの間に配置されるように構成されたフロー分割
アダプタ。
【請求項2】
前記第1の流路及び前記第2の流路は、互いに隔離された前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方に入る、請求項1に記載のフロー
分割アダプタ。
【請求項3】
前記本体は、第1のセクション及び第2のセクションを備え、
前記第1の入口ポート及び前記第2の入口ポートは、前記第1のセクション内にあり、
前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートは、前記第2のセクション内にある、
請求項1又は2に記載のフロー
分割アダプタ。
【請求項4】
少なくとも第1の組成物及び第2の組成物から形成された反応性組成物を混合及び送達するためのシステムであって、
第1の分注ポート及び第2の分注ポートをそれぞれ有する、前記第1の組成物及び前記第2の組成物のための第1の供給部及び第2の供給部と、
請求項1~3のいずれか一項に記載のフロー分割アダプタと
、
前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートと分離可能に嵌合するように適合された静的ミキサーと、
を備える、システム。
【請求項5】
前記反応性組成物がエポキシを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
二重流体供給源と静的ミキサーとの間に配置されるように構成されたフロー分割
アダプタを作製する方法であって、前記方法は、
少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートと、少なくとも第1の出口ポート及び第2の出口ポートとを有する本体を製造することを含み、
第1の流路が、前記第1の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらし、
第2の流路が、前記第2の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらす、方法。
【請求項7】
前記第1の流路及び前記第2の流路は、互いに隔離された前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方に入る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
製造することが、積層造形プロセスを用いることを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
製造することが、射出成形を含む、請求項6又は7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複数の液体ストリームの搬送に関し、より詳細には、複数の供給源と静的ミキサーとの間で反応性液体を搬送するためのアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の工業的及び商業的プロセスは、第1及び第2の組成物から形成された反応性混合物、例えば、エポキシ樹脂及び硬化剤から形成された接着剤の混合及び送出を含む。しばしば見られる一構成では、二重カートリッジシリンジが静的混合及び塗布ノズルに嵌合されている。第1及び第2の組成物が二重カートリッジシリンジから分注される場合、それらが静的ミキサーを通って通過することは、混合物が静的ミキサーを出た後に、ワークピースに塗布するために、十分な混合及び実質的に完全な反応を確実にする。
【0003】
このような機構の欠点は、静的ミキサーを通る第1及び第2の組成物の輸送中に、反応が連続的に生じることである。例えば、作業者が、2液型エポキシを適用している最中にブレーキを掛けた場合に多く生じるように、液体の流れが分注イベントの間で停止した場合でも、2つの組成物間の反応は停止しない。混合された反応物質の分注の間隔が長くなると、反応が完了してしまうことになる。多くのこのような組成物は硬化反応を受けるので、これは静的ミキサーを害し、その交換を必要とすることになる。この問題を回避するために、時として、混合された反応物質の分注の間隔が長くなる場合、塗布者は、組成物のパージ流を連続的に流す機構を用いることになる。しかし、これは通常、パージ流を構成する組成物を無駄に使用する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、このような二重流体供給源と、静的ミキサーとの間に配置することができるアダプタを提供する。このアダプタは、互いに隔離された流れを静的ミキサーへ送出する前に、ある程度の流れの分割を達成する。この予備的な分割により、いくつかの実施形態では、静的ミキサーは、より小さい体積及び/又はより少数の混合要素を有するが、それでも依然として十分に混合することができる。これにより、ミキサーを存続可能に保つために必要なパージ流の量もまた、はるかにより小さいという利益がもたらされる。
【0005】
一態様では、本開示は、少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートと、少なくとも第1の出口ポート及び第2の出口ポートとを有する本体を備えるフロー分割デバイスであって、第1の流路が、第1の入口ポートと、第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらし、第2の流路が、第2の入口ポートと、第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらす、フロー分割デバイスを提供する。多くの好都合な実施形態では、第1の流路及び第2の流路は、互いに隔離された第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方に入る。また、多くの好都合な実施形態では、本体は、第1のセクション及び第2のセクションを備え、第1の入口ポート及び第2の入口ポートは第1のセクション内にあり、第1の出口ポート及び第2の出口ポートは第2のセクション内にある。このような構成は、第1のセクション及び第2のセクションの射出成形が企図される場合に特に好都合である。
【0006】
第2の態様では、本開示は、第1の組成物及び第2の組成物から形成された反応性組成物を混合及び送達するためのシステムであって、第1の分注ポート及び第2の分注ポートをそれぞれ有する、第1の組成物及び第2の組成物のための第1の供給部及び第2の供給部と、フロー分割アダプタとを備え、フロー分割アダプタは、少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートを有する本体であって、各入口ポートが少なくとも2つの出口ポートに対応し、それらと流体連通しており、第1の入口ポート及び第2の入口ポートが、第1の分注ポート及び第2の分注ポートとそれぞれ嵌合するように適合されている、本体と、第1の出口ポート及び第2の出口ポートと分離可能に嵌合するように適合された混合ノズルと、を備える、システムを提供する。
例示的実施形態の列挙
実施形態A.少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートと、少なくとも第1の出口ポート及び第2の出口ポートとを有する本体を備えフロー分割アダプタであって、
第1の流路が、第1の入口ポートと、第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらし、
第2の流路が、第2の入口ポートと、第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらす、
フロー分割デバイス。
実施形態B.第1の流路及び第2の流路が、互いに隔離された第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方に入る、実施形態Aに係るフローアダプタ。
実施形態C.本体が第1のセクション及び第2のセクションを備え、
第1の入口ポート及び第2の入口ポートが第1のセクション内にあり、
第1の出口ポート及び第2の出口ポートが第2のセクション内にある、
実施形態A又はBに係るフローアダプタ。
実施形態D.第1の組成物及び第2の組成物から形成された反応性組成物を混合及び送出するためのシステムであって、
第1の分注ポート及び第2の分注ポートをそれぞれ有する、第1の組成物及び第2の組成物のための第1の供給部及び第2の供給部と、
フロー分割アダプタと、を備え、フロー分割アダプタは、
少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートを有する本体であって、各入口ポートが少なくとも2つの出口ポートに対応し、それらと流体連通しており、第1の入口ポート及び第2の入口ポートが、第1の分注ポート及び第2の分注ポートとそれぞれ嵌合するように適合されている、本体と、第1の出口ポート及び第2の出口ポートと分離可能に嵌合するように適合された静的ミキサーとを備える、システム。
【0007】
以上が本開示の例示的な実施形態の様々な態様及び利点の概要である。上記の「発明の概要」は、本開示の特定の例示的な実施形態の、図示される各実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図するものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」は、本明細書に開示される原理を使用する特定の好ましい実施形態を、より詳細に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて検討することで、本開示をより完全に理解し得る。
【0009】
【
図1】本開示に係る反応性組成物の混合及び送出のためのシステムの平面分解図である。
【0010】
【
図2】
図1のフロー分割アダプタの一実施形態の斜視図である。
【0011】
【
図3】内部構造の隠れ線が顕示された、
図2と同様の側面図である。
【0012】
【
図4】
図3における切断線4-4に沿って見た、傾けた、
図3のフロー分割アダプタの第2の部分の斜視図である。
【0013】
図面において、類似の参照符号は類似の要素を表す。必ずしも原寸に比例していない上記に特定した図面は、本開示の様々な実施形態を説明しているが、「発明を実施するための形態」で指摘するように、他の実施形態もまた企図される。全ての場合に、本開示は、本明細書で開示される開示内容を、明示的な限定によってではなく、例示的な実施形態を示すことによって説明する。本開示の範囲及び趣旨に含まれる多くの他の修正及び実施形態が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の定義された用語の用語解説に関して、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が提供されていない限り、本出願全体について適用されるものとする。
【0015】
用語解説
ある特定の用語が、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用されており、これらの大部分については周知であるが、何らかの説明が必要とされる場合もある。本明細書において使用される場合、以下のとおりであることが理解されるべきである。
【0016】
用語「(コ)ポリマー」(単数又は複数)は、ホモポリマー及びコポリマー、並びに、例えば、共押出しにより、又は例えば、エステル交換反応を含む反応により、混和性配合物において形成され得るホモポリマー又はコポリマーを含む。「コポリマー」という用語は、ランダム、ブロック、及び星型(例えば樹枝状)コポリマーを含む。
【0017】
特定の層に関する「接近する」という用語は、2つの層が互いに隣り合い(すなわち、隣接し)かつ直接接触しているか、又は互いと近接してはいるが直接接触はしていない(すなわち、これらの層の間に1つ以上の追加的な層が介在している)位置において、別の層と接合しているか、又はそれに取付けられていることを意味する。
【0018】
開示されるコーティングされた物品における様々な要素の場所について、配向の用語、例えば「~の上に(atop)」、「~上に(on)」、「~の上方に(over)」、「~を覆う(covering)」、「最上部の(uppermost)」、「~の下にある(underlying)」などを使用することによって、水平に配置され、上を向いた基材に対する、要素の相対位置について言及する。しかしながら、別途指示のない限り、基材又は物品は、製造中又は製造後において何らかの特定の空間的向きを有するべきであるということが意図されるわけではない。
【0019】
数値又は形状への言及に関する用語「約」又は「おおよそ」は、数値又は特性若しくは特徴の±5パーセントを意味するが、明示的に、正確な数値を含む。例えば、「約」1Pa-secの粘度とは、0.95~1.05Pa-secの粘度を指すが、正確に1Pa-secの粘度もまた明示的に含む。
【0020】
特性又は特徴に関する用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴の反対のものが呈される程度よりも高い程度で呈されることを意味する。例えば、「実質的に」透明な基材は、それが透過しない(例えば、吸収する及び反射する)放射線よりも多くの放射線(例えば、可視光)を透過する基材を指す。それゆえに、その表面上に入射する可視光のうちの50%より多くを伝達する基材は、実質的に透明であるが、その表面上に入射する可視光のうちの50%以下を伝達する基材は、実質的に透明ではない。
【0021】
本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に内容により明確な指示がない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば「化合物(a compound)」を含有する微細繊維への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、端点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含される数の全てを含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。
【0023】
特に指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用する量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されていると理解するものとする。これに応じて、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして端数処理技術を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0024】
本開示の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を採ってもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記載の例示的な実施形態に限定されるものではないが、特許請求の範囲に記載されている限定及びそれらの任意の均等物により支配されるものであることを理解すべきである。
【0025】
例示的な装置及びプロセス
以下に、本開示の様々な例示的実施形態を、図面を具体的に参照しながら説明する。
【0026】
次に
図1を参照すると、本開示に係る反応性組成物の混合及び送出のためのシステム20の平面分解図が示されている。システム20は、第1の組成物及び第2の組成物のための第1の供給部22及び第2の供給部24を含む。図示の実施形態では、これらの供給部は二重シリンジ26に統合されている。本実施形態では、第1の組成物及び第2の組成物は、二重プランジャ28の作用によって第1の供給部22及び第2の供給部24から推進される。ただし、この作用を達成するための他の方策も通常の実施者に既知であろう。第1の供給部22及び第2の供給部24は第1の分注ポート30及び第2の分注ポート32をそれぞれ有する。本実施形態では、二重シリンジ26は第1の係止突出部34及び第2の係止突出部36を有する。これらは、解放可能な取り付けを提供するために、コネクタ42上の係止フランジ38及び40と相互作用する役割を果たす。コネクタ42は、今度は静的ミキサー50と解放可能に接続することができる。コネクタ42は、以下において
図2に関連してより具体的に説明されるように、フロー分割アダプタ44を受容し、二重シリンジ26及び静的ミキサー50と流体連通してそれを保持するように内部が成形されている。
次に
図2を参照すると、フロー分割アダプタ44の代替実施形態の斜視図が示されている。フロー分割アダプタ44は、分割線60cにおいて好都合に接合された第1の部分60a及び第2の部分60bを有する本体を含む。第1の部分60aは第1の入口ポート62及び第2の入口ポート64を含む。図示の実施形態では、第1の部分60aは、例えば、二重シリンジに目印をつけ、及び/又はそれとインタロックするためのスタッド66及び68を含む。第2の部分60bは、
図1において見られるような静的ミキサーとのインターフェースとなることができる第1の出口ポート72及び第2の入口ポート74を含む。
【0027】
フロー分割アダプタ44は、一実施形態では、好適なポリマー材料、金属、セラミック、又はこれらの複合材料の組み合わせで構成される。一実施形態では、それは、3Dプリンティングとしても知られる積層造形(additive manufacturing)プロセスによって製造してもよい。フロー分割アダプタの設計に応じて、それはまた、熱可塑性材料、熱硬化性材料、光硬化ポリマー、金属等を用いて、射出成形によって作製してもよい。代替的に、フロー分割アダプタは、後に溶解される材料の上に射出成形してもよい。または、それは半組立品として製作することができ、その後、好適な方法によって(例えば、接着剤、溶接、圧迫、機械的結合、レーザ溶接等によって)それらの半組立品を互いに接合することができるであろう。加えて、フロー分割アダプタの製造は、3D焼結又は選択的レーザ焼結を利用してもよい。一実施形態では、本明細書において説明されるとおりのフロー分割アダプタを作製するプロセスは、積層造形プロセスを用いて、少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートと、少なくとも第1の出口ポート及び第2の出口ポートとを有する本体であって、第1の流路が、第1の入口ポートと、第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらし、第2の流路が、第2の入口ポートと、第1の出口ポート及び第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらす、本体を構築することを含む。
【0028】
次に
図3を参照すると、
図2のフロー分割アダプタ44の側面図が示されており、内部構造の隠れ線だけが表されている。図示の実施形態では、第1の入口62は、例えば、二重シリンジとのテーパシールを好都合に形成するためのテーパ状の壁62’を有する。第1の流路82が、第1の入口ポート62と、第1の出口ポート72及び第2の出口ポート74の両方との間の流体連通をもたらす。第1の流路82は4つのセクションを好都合に含む。第1のセクション82aは第1の入口62から第2のセクション82bへ流体を搬送する。第2のセクション82bは、流れを分割し、第3及び第4のセクション82c及び82dへ送出するマニホールドである。第3及び第4のセクション82c及び82dは出口ポート72及び74とそれぞれ流体連通している。図示の実施形態では、第1及び第2の出口72及び74は、例えば、静的ミキサーとのテーパシールを好都合に形成するためのテーパ状の壁72’及び74’をそれぞれ有する。
【0029】
第2の流路84が、第2の入口ポート64(本図では第1の入口ポート62の向こう側に隠れている)と、第1の出口ポート72及び第2の出口ポート74の両方との間の流体連通をもたらす。第2の流路84は4つのセクションを好都合に含む。第1のセクション84a(本図では第1のセクション82aの向こう側に隠れている)は第1の入口64から第2のセクション84bへ流体を搬送する。第2のセクション84bは、流れを分け、それを第3及び第4のセクション84c及び84dへ送出するマニホールドである。第3及び第4のセクション84c及び84dは出口ポート72及び74とそれぞれ流体連通している。
【0030】
次に
図4を参照すると、
図3における切断線4-4に沿って見た、若干傾けた、
図3のフロー分割アダプタ44の第2の部分60bの斜視図が示されている。本図では、第2のセクション82b及び84bの構成がより都合よく視覚化されている。
【0031】
図示の実施形態では、多くの好都合な実施形態の場合のように、第3のセクション82c及び84c内の流体の流れは、それらが第1の出口ポート72との静的ミキサーのテーパ嵌め合い内へ放出するまで、完全に分離した状態に保たれる。同様に、第4のセクション82c及び84c内の流体の流れは、それらが第1の出口ポート74との静的ミキサーのテーパ嵌め合い内へ放出するまで、完全に分離した状態に保たれる。これは、2つの流体の間の任意の反応がフロー分割アダプタ44内で発生することを防止する。したがって、たとえ、静的ミキサーが分注動作中に交換が必要になった場合であっても、アダプタは依然として使用可能であることになる。
【0032】
追加の予備混合が望ましいと判明した場合には、2つ以上の流路が入口ポートで始まり、各々、同じ出口ポートに別個に到達するように定められた諸実施形態が可能である。全ての流れは、それらのそれぞれの出口ポートにおいて終了する時に、互いに隔離されたままであることが依然として望ましい。
【0033】
本開示の例示的実施形態の操作は、以下の詳細な非限定的実施例に関して更に説明される。これらの実施例は、様々な具体的な好ましい実施形態及び技術を更に示すために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び修正を加えることができるということが理解されるべきである。
【実施例】
【0034】
これらの実施例は単に例示を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲を過度に限定することを意図しない。
【0035】
実施例1
図2に全般的に示したとおりの装置を組み立てた。従来の積層造形技法を用いてフロー分割アダプタを製作した。St.Paul,MNの3M CompanyからDP405LH Blackとして市販されている2液型エポキシ接着剤を充填した二重シリンジをフロー分割アダプタの入口ポートに結合した。Winterthur,CHのSulzer AGからMIXPACとして市販されているT-ミキサー型静的ミキサーのいくつかの長さをフロー分割アダプタの出口ポートに順に接続した。
【0036】
静的ミキサーの各長さについて、試験を行い、プランジャ上の背圧を測定しながら、金属プレート上にエポキシ接着剤を分注した。フロー分割アダプタを用いずに、対照分注を同様に実行した。接着剤が硬化する前に各金属プレートを同様のプレートに接着させ、接着の剪断強度の引張り試験を実行した。剪断強度は、2液型接着剤の2つの部分の混合の完全性の代理と見なされる。
【0037】
所与の分注速度に対して、背圧は、試験サンプルについては、その対照群と比べて約5~10パーセント以内であることが見出された。静的ミキサーの任意の所与の長さに対して、接着の剪断強度は、フロー混合アダプタを用いた実行については、その対照群の場合よりも著しく高かった。代替的に、本開示に係るフロー分割アダプタが用いられるときには、同じ硬化度に対して、はるかにより小型の静的ミキサーがうまく利用され得ると言えるであろう。
【0038】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「実施形態」に対する言及は、「実施形態」という用語の前に、「例示的な」という用語が含まれているか否かに関わらず、その実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の例示的な実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態においては」、「特定の実施形態においては」、「一実施形態においては」又は「実施形態においては」といった語句の出現は、必ずしも本開示の特定の例示的な実施形態の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0039】
本明細書ではいくつかの例示的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の修正形態、変形形態、及び均等物を容易に想起できることが、諒解されるであろう。したがって、本開示は、ここまで説明してきた例示的実施形態に、過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用する場合、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。加えて、本明細書で使用されるすべての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。
【0040】
更には、本明細書で参照される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許を参照により組み込むことが詳細かつ個別に指示されている場合と同じ程度に、それらの全容が参照により組み込まれる。様々な例示的な実施形態について説明してきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
本発明は以下の態様を包含する。
(項目1)
少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートと、少なくとも第1の出口ポート及び第2の出口ポートとを有する本体を備え、
第1の流路が、前記第1の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらし、
第2の流路が、前記第2の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらす、
フロー分割デバイス。
(項目2)
前記第1の流路及び前記第2の流路は、互いに隔離された前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方に入る、項目1に記載のフローアダプタ。
(項目3)
前記本体は、第1のセクション及び第2のセクションを備え、
前記第1の入口ポート及び前記第2の入口ポートは、前記第1のセクション内にあり、
前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートは、前記第2のセクション内にある、
項目1又は2に記載のフローアダプタ。
(項目4)
少なくとも第1の組成物及び第2の組成物から形成された反応性組成物を混合及び送達するためのシステムであって、
第1の分注ポート及び第2の分注ポートをそれぞれ有する、前記第1の組成物及び前記第2の組成物のための第1の供給部及び第2の供給部と、
フロー分割アダプタと、を備え、前記フロー分割アダプタは、
少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートを有する本体であって、各入口ポートが少なくとも2つの出口ポートに対応し、それらと流体連通しており、前記第1の入口ポート及び前記第2の入口ポートが、前記第1の分注ポート及び前記第2の分注ポートとそれぞれ嵌合するように適合されている、本体と、
前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートと分離可能に嵌合するように適合された静的ミキサーと、
を備える、システム。
(項目5)
前記反応性組成物がエポキシを含む、項目4に記載のシステム。
(項目6)
フロー分割デバイスを作製する方法であって、前記方法は、
少なくとも第1の入口ポート及び第2の入口ポートと、少なくとも第1の出口ポート及び第2の出口ポートとを有する本体を製造することを含み、
第1の流路が、前記第1の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらし、
第2の流路が、前記第2の入口ポートと、前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方との間の流体連通をもたらす、方法。
(項目7)
前記第1の流路及び前記第2の流路は、互いに隔離された前記第1の出口ポート及び前記第2の出口ポートの両方に入る、項目6に記載の方法。
(項目8)
製造することが、積層造形プロセスを用いることを含む、項目6又は7に記載の方法。
(項目9)
製造することが、射出成形を含む、項目6又は7に記載の方法。