(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップのためのコネクター、及び乳頭カップ
(51)【国際特許分類】
A01J 5/08 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
A01J5/08
(21)【出願番号】P 2020520793
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(86)【国際出願番号】 SE2018051081
(87)【国際公開番号】W WO2019083434
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン, アンナ
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-517316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0202433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップのためのコネクター(2)であって、コネクター(2)が、長尺スリーブ(8)及びバレル(9)を含むカートリッジ(1)を受けるように構成され、バレル(9)が、長尺スリーブ(8)に予め装着され、かつ前記乳頭を受けるための内部空間(10)を有し、長尺スリーブ(8)が、スリーブ(8)の下端(8”)からスリーブ(8)の上端(8’)までの軸方向の長さを有し、コネクター(2)が、下側ベース部材(3)、及び下側ベース部材(3)から長手方向中心軸(x)に沿って延びかつカートリッジ(1)を受けるための受容空間(5)を包囲する鞘(4)を含むものにおいて、
下側ベース部材(3)及び鞘(4)が、プラスチック材料のワンピースを形成すること、及び鞘(4)が、カートリッジ(1)がコネクター(2)の受容空間(5)に受けられるとき、長尺スリーブ(8)の外側に長尺スリーブ(8)の軸方向長さに沿って少なくとも長尺スリーブ(8)の上端(8’)まで延びるように構成されること
、及びコネクター(2)が、鞘(4)の外部表面(61)に取り付けられかつそのまわりに延びる金属スリーブ(60)を含むことを特徴とするコネクター(2)。
【請求項2】
金属スリーブ(60)が、ステンレス鋼からなる、請求項
1に記載のコネクター(2)。
【請求項3】
外部表面(61)が、鞘(4)のまわりに延びる凹んだ表面部分(62)を含み、金属スリーブ(60)が、凹んだ表面部分(62)に配置されている、請求項
1又は
2に記載のコネクター(2)。
【請求項4】
金属スリーブ(60)が、少なくとも金属スリーブ(60)の下端(60”)において鞘(4)の外部表面(62)に連続的に移行する外部表面(63)を有する、請求項
3に記載のコネクター(2)。
【請求項5】
鞘(4)が、先細であり、金属スリーブ(60)が、対応して先細であり、鞘(4)が、金属スリーブ(60)が鞘(4)の上にかつ鞘(4)の凹んだ表面部分(62)中に押されることを可能とするように構成される、請求項
3又は
4に記載のコネクター(2)。
【請求項6】
鞘(4)が、鞘(4)の上端(4’)から先細である、請求項
5に記載のコネクター(2)。
【請求項7】
コネクター(2)が、脈動乳首(34)を含み、脈動乳首(34)が、それが鞘(4)の上に押されるときに下側ベース部材(3)及び脈動乳首(34)が金属スリーブ(60)を通過することが可能であるような態様で長手方向中心軸(x)と平行に下側ベース部材(3)から下方に延びる、請求項
5又は
6に記載のコネクター(2)。
【請求項8】
金属スリーブ(60)が、鞘(4)の上端から軸方向距離(D’)に位置される上端(60’)を有する、請求項
1~
7のいずれかに記載のコネクター(2)。
【請求項9】
金属スリーブ(60)が、下側ベース部材(3)から軸方向距離(D”)に位置される下端(60’)を有する、請求項
1~
8のいずれかに記載のコネクター(2)。
【請求項10】
金属スリーブ(60)が、少なくとも20mmの軸方向長さ(L
s)を有する、請求項
1~
9のいずれかに記載のコネクター(2)。
【請求項11】
鞘(4)が、係合要素(70)を有し、金属スリーブ(60)が、対応する係合要素(71)を有し、それらが、互いに係合して金属スリーブ(60)が鞘(4)に対して回転するのを防止する、請求項
1~
10のいずれかに記載のコネクター(2)。
【請求項12】
カートリッジ(1)が、内部空間(10)への開口(14)を包囲するリップ(13)を含むヘッド部材(12)を含み、鞘(4)が、ヘッド部材(12)の下部表面(15’)に対して封止するように構成された上端表面(4a)含む、請求項1~
11のいずれかに記載のコネクター(2)。
【請求項13】
下側ベース部材(3)及び鞘(4)のプラスチック材料が、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)である、請求項1~
12のいずれかに記載のコネクター(2)。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれかに記載のコネクター(2)及びカートリッジ(1)を含み、かつ搾乳される動物の乳頭に取り付けられるように構成された乳頭カップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップを形成するためのカートリッジを受けるように構成されたコネクターに関する。特に、本発明は、請求項1の前提文に記載のコネクターに関する。
【0002】
本発明はまた、搾乳される動物の乳頭に取り付けられるように構成された乳頭カップに関する。
【背景技術】
【0003】
WO2014/178783は、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップのためのコネクターを開示する。コネクターは、長尺スリーブ及びバレルを含むカートリッジを受けるように構成され、バレルは、長尺スリーブに予め装着され、かつ乳頭を受容するための内部空間を有する。長尺スリーブは、スリーブの下端からスリーブの上端までの軸方向長さを有する。コネクターは、下側ベース部材、及び下側ベース部材から延びかつカートリッジを受けるための受容空間を包囲する鞘を含む。
【0004】
カートリッジは、使い捨て可能な製品であり、従って高価でなくかつ高級でない材料から作られることができることが好ましい。さらに、長尺スリーブの壁厚さは、できるだけ薄くなるように設計されることができる。
【0005】
従来技術のコネクターの鞘は、カートリッジの最適な保護を与えていない。なぜなら特に鞘は、カートリッジの長尺スリーブの上端の下で終わるからである。
【0006】
さらに、従来技術のコネクターの製造は、下側ベース部材への鞘の取り付けのための取り付け工程を要求する。鞘のしっかりした取り付けを得るための手段がとられなければならない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、乳頭カップのコネクターに受けられるカートリッジの改良された保護を与えることである。
【0008】
この目的は、最初に規定されたコネクターであって、下側ベース部材及び鞘が、プラスチック材料のワンピースを形成すること、及び鞘が、カートリッジがコネクターの受容空間に受けられるとき、長尺スリーブの外側に長尺スリーブの軸方向長さに沿って少なくとも長尺スリーブの上端まで延びるように構成されることを特徴とするコネクターによって達成される。
【0009】
コネクターの鞘は、使い捨て可能なカートリッジの適切な保護を与えることができる。鞘が、少なくともスリーブの上端まで(即ち、スリーブの上端まで又はそれを越えて)延びるので、鞘の内側の受容空間においてカートリッジの長尺スリーブの完全なカバーをその全長に沿って行うことができる。鞘は、ワンピースで製造、例えば成形されるので、続く組み立て工程が全く要求されない。
【0010】
本発明の実施形態によれば、コネクターは、鞘の外部表面に取り付けられかつそのまわりに延びる金属スリーブを含む。かかる金属スリーブは、コネクターの鞘にさらなる強度及び剛性を与えることができ、従ってカートリッジの保護を増強する。さらに、金属スリーブは、乳頭カップの重量を増加するかもしれず、それは、搾乳効率を改良すると思われる。なぜなら乳頭カップは、そのとき、より鉛直方向の下方に垂れ下がり、乳頭に対してより高い下方への力を発揮しうるからである。
【0011】
本発明の実施形態によれば、金属スリーブは、ステンレス鋼からなる。ステンレス鋼は、搾乳所の極めて攻撃的な環境に対して耐性がある。金属スリーブはまた、他の好適な金属又は金属合金からなることができる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、外部表面は、鞘のまわりに延びる凹んだ表面部分を含み、金属スリーブは、凹んだ表面部分に配置される。凹んだ表面部分は、鞘への金属スリーブのしっかりとした取り付けを与えることができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、金属スリーブは、少なくとも金属スリーブの下端において、そしておそらく金属スリーブの上端においても鞘の外部表面に連続的に移行する外部表面を有する。従って、鞘の外部表面から金属スリーブの外部表面まで滑らかな移行部があることができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、鞘は、先細であり、金属スリーブは、対応して先細であり、鞘は、金属スリーブが鞘の上にかつ鞘の凹んだ表面部分の中に押されることを可能とするように構成される。
【0015】
従って、金属スリーブは、鞘の上に、好ましくは下側ベース部材からの方向に、凹んだ表面部分へと上方に押されることができ、そこで金属スリーブは、凹んだ表面部分中にスナップ嵌めすることができる。
【0016】
本発明の実施形態によれば、鞘は、鞘の上端から先細になっている。また、金属スリーブは、金属スリーブの上端、並びに凹んだ表面部分から先細であることができる。有利には、金属スリーブ及び凹んだ表面部分は、円錐台の形状を持つことができ、長手方向中心軸に対して等しい円錐角を持つことができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、コネクターは、脈動乳首を含み、脈動乳首は、それが鞘中に押されるときに下側ベース部材及び脈動乳首が金属スリーブを通過することが可能であるような態様で長手方向中心軸と平行に下側ベース部材から下方に延びる。有利には、鞘は、脈動乳首を含む下側ベース部材の最大直径より長い上端の最大直径を持つ。
【0018】
本発明の実施形態によれば、金属スリーブは、鞘の上端から軸方向距離に位置される上端を有する。鞘の上端からの軸方向距離は、少なくとも3mmであることができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、金属スリーブは、下側ベース部材から軸方向距離に位置される下端を有する。下側ベース部材からの軸方向距離は、少なくとも20mmであることができる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、金属スリーブは、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mm、少なくとも50mm、少なくとも60mm、少なくとも70mm又は少なくとも80mmの軸方向長さを有する。金属スリーブの軸方向長さは、金属スリーブの下端から金属スリーブの上端まで延びる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、鞘は、係合要素を有し、金属スリーブは、対応する係合要素を有し、それらは、互いに係合して金属スリーブが鞘に対して回転するのを防止する。
【0022】
本発明の実施形態によれば、係合要素は、凹んだ表面部分中に延びる突出部を含む。対応する係合要素は、金属スリーブの上端及び下端の一つから延びかつ突出部を受けるように構成されたノッチを含むことができる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、カートリッジは、内部空間への開口を包囲するリップを含むヘッド部材を含み、鞘は、ヘッド部材の下部表面に対して封止するように構成された上端面を含む。鞘の上端面とヘッド部材の下部表面の間の封止は、汚れや攻撃的物質がコネクターの受容空間に到達するのを防止することができる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、下側ベース部材及び鞘のプラスチック材料は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)である。例えば、PBT樹脂は、DupontからのCrastin(登録商標)であることができ、それは、様々な工業用途に対して複数のグレードで利用可能である。
【0025】
本願発明の目的はまた、上記の実施形態のいずれか一つによるコネクター及びカートリッジを含む、最初に規定された乳頭カップによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、様々な実施形態の記載によって及びここに添付される図面を参照して、より詳細に説明されるだろう。
【0027】
【
図1-2】
図1は、本発明の第一実施形態によるコネクターを含む乳頭カップの側面図を開示する。
図2は、
図1の線II-IIに沿った乳頭カップの縦断面図を開示する。
【0028】
【
図3-4】
図3は、ミルク管及び脈動管から接続解除された
図1の乳頭カップの縦断面図を開示する。
図4は、
図1の乳頭カップの上部の縦断面図を開示する。
【0029】
【
図5】
図5は、
図1の乳頭カップのカートリッジの透視図を開示する。
【0030】
【
図6-7】
図6は、本発明の第二実施形態によるコネクターの側面図を開示する。
図7は、
図6の線VII-VIIに沿ったコネクターの縦断面図を開示する。
【0031】
【
図8-9】
図8は、
図4のカートリッジの上部の透視図を開示する。
図9は、
図4のカートリッジの下部の透視図を開示する。
【0032】
【
図10-13】
図10は、金属スリーブのない
図6のコネクターの側面図を開示する。
図11は、
図6のコネクターの金属スリーブの透視図を開示する。
図12は、第二実施形態によるコネクターの側面図を開示する。
図13は、
図12のコネクターの縦断面図を開示する。
【0033】
【
図14-16】
図14は、金属スリーブのない第三実施形態によるコネクターの側面図を開示する。
図15は、金属スリーブのない第四実施形態によるコネクターの側面図を開示する。
図16は、
図15のコネクターのための金属スリーブの側面図を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1~4は、搾乳される動物の乳頭に取り付けられる乳頭カップを開示する。乳頭カップは、カートリッジ1(
図5も参照)、及びコネクター2(
図6も参照)を含む。
【0035】
コネクター2は、下側ベース部材3及び鞘4を含む。鞘4は、下側ベース部材3から延び、コネクター2の受容空間5を包囲する。乳頭カップが組み立てられるとき、カートリッジ1は、
図2及び3に見られるようにコネクターの受容空間5に受容される。
【0036】
開示された実施形態では、下側ベース部材3及び鞘4は、一体化された部分を形成し、プラスチック材料のワンピースから作られる。コネクター2、即ち下側ベース部材3及び鞘4は、いずれかの好適な成形法によって成形されることができる。下側ベース部材3及び鞘4のプラスチック材料は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、例えばDupontからのCrastin(登録商標)であることができ、それは、様々な工業用途のために複数のグレードで利用可能である。
【0037】
鞘4は、上端4’及び下端4”を有する。下端4”は、下側ベース部材3に接合する。鞘4は、上端4’から下端4”まで先細になっている。
【0038】
図7からわかるように、下端4”は、下側ベース部材3の内側肩3aで下側ベース部材に接合する。下側ベース部材3から鞘4までの移行部は、
図7の点線によって示される。
【0039】
乳頭カップは、短いミルク管又は長いミルク管のようなミルク管6に、及び脈動管7に接続されることができる。
【0040】
長手方向中心軸xは、乳頭カップを通ってかつそれに沿って、即ちカートリッジ1及びコネクター2を通って延びる。長手方向中心軸xはまた、ミルク管6が
図2に示されるように休止状態にあるときにミルク管6の少なくとも一部を通ってかつそれに沿って延びることができる。
【0041】
本願の全体を通して、用語「上(上部)(上側)(upper)」は、乳頭カップが動物の乳頭に取り付けられるときに搾乳時の動物の乳房に近い方の位置を示し、用語「下(下部)(下側)(lower)」は、動物の搾乳時の乳房から遠い方の位置を示す。用語「軸方向」は、長手方向中心軸xと平行を意味するために使用される。
【0042】
カートリッジ1は、長尺スリーブ8及びバレル9を含む。長尺スリーブ8は、長手方向中心軸xと平行に延び、上端8’及び下端8”を有する。バレル9は、長尺スリーブ8に予め装着され、乳頭を受容するための内部空間10を有する。脈動室11は、長尺スリーブ8の内部表面とバレル9の外部表面の間に形成されかつ包囲される。
【0043】
カートリッジ1はまた、ヘッド部材12を含み、ヘッド部材12は、内部空間10中への乳頭の導入のために内部空間10への開口14を包囲しかつ規定するリップ13を含む。
【0044】
ヘッド部材12は、長尺スリーブ8の上端8’に与えられ、かつバレル9に取り付けられる。
【0045】
ヘッド部材12は、リップ13を含むリップ要素15、及びリップ要素15に取り付けられかつ係合要素17を含むリング部材16を含む(
図4参照)。係合要素17は、ヘッド部材12をバレル9に取り付ける。係合要素17は、
図4で見られるようにバレル9中の溝の中へと内側に延びる環状突出部として構成される。溝は、バレル9の外部表面のまわりに環状に延びることができる。
【0046】
リップ要素15は、比較的弾性の材料から作られ、一方リング部材16は、比較的剛い材料から作られる。
【0047】
ヘッド部材12は、複数のロッキング部材19を含み、開示された実施形態では、四つのロッキング部材19を含む。ロッキング部材19は、互いに分離され、好ましくは互いに等距離で分離され、従ってヘッド部材12の周囲に沿って均一に分布される。
【0048】
ロッキング部材19は、リング部材16によって含まれ、
図4で見られるようにバレル9の外側で下端8”に向かって延びる。
【0049】
長尺スリーブ8は、環状フランジ20を有し、それは、長尺スリーブ8の上端8’で外側に延びる。ロッキング部材19の各々は、環状フランジ20を把持し、かつ環状フランジ20を越えて延びる。
【0050】
ロッキング部材19の各々は、下端8”から離れるように方向転換されている係合表面22を含む内側に延びる部分21を含む。ロッキング部材19の各々は、フックを含むか、又はフックとして構成されることができる(
図3及び4参照)。
【0051】
環状フランジ20は、下端8”に向かうように方向転換されている下部表面23を含む。
【0052】
係合表面22の各々は、ヘッド部材12のロッキング部材19が環状フランジ20を把持しているとき、下部表面23に当接する。下部表面23は、複数の表面部分を含むことができ、係合表面22の各々は、表面部分のそれぞれ一つと当接する。表面部分は、下部表面23と同じ平面、例えば同じ放射方向面にあることができるか、又は下部表面23に対して軸方向に変位されることができる。
【0053】
環状フランジ20は、複数の凹所24を含み、開示された実施形態では四つの凹所24を含む(
図5及び8参照)。凹所24は、互いに分離され、好ましくは互いに等距離に分離され、従って環状フランジ20の周囲に沿って均一に分布されることができる。
【0054】
環状フランジ20は、下端8”から離れて面する上部表面25を有する。上部表面25は、環状フランジ20の下部表面23とは反対側であることができる。上部表面25は、長手方向中心軸xに対して放射方向面と平行に又は実質的に平行に延びることができる。
【0055】
凹所24の各々は、上部表面25を通ってかつ長手方向中心軸xと平行に延びる。ロッキング部材19の各々は、凹所24のそれぞれ一つに受容される。
【0056】
凹所24の各々は、長手方向中心軸xに対して放射方向で見ると、下端8’に向かって先細形状を有し、ロッキング部材19の各々は、長手方向中心軸xに対して放射方向で見ると、下端8”に向かって対応する先細形状を有する(
図5及び8参照)。凹所24及びロッキング部材19の先細形状は、凹所24中へのロッキング部材19の導入を容易にし、それぞれの凹所24におけるロッキング部材19の各々のしっかりとした係合に寄与する。
【0057】
バレル9は、長尺スリーブ8の上端8’に位置される上端部分9’、長尺スリーブ8の下端8”に位置される下端部分9”、及び上端部分9’と下端部分9”の間に延びるバレル部分9’’’を含む(
図3参照)。
【0058】
バレル部分9’’’は、比較的弾性の材料から作られるが、上端部分9’及び下端部分9”は、比較的剛い材料から作られる。
【0059】
バレル9の上端部分9’は、下端部分9”及び下端8”に向かうように方向転換されかつ外側に延びる当接面27を有する(
図4参照)。また、リング部材16は、下端8”に向かうように方向転換されかつバレル9の上端部分9’の当接面27と共通の平面にある当接面28を有する(
図8参照)。上端部分9’の当接面27及びリング部材16の当接面28は、
図4及び8で見られるように、環状フランジ20の上部表面25に当接する。
【0060】
開示された実施形態では、バレル部分9’’’は、休止状態では、
図2に示されるように、三つの角部分及び三つの辺部分を規定する三角形断面形状を有する。各辺部分は、直線であり、三つの角部分のうちの二つの間に延びかつこれらを接続する。バレル部分9’’’はまた、いずれかの他の好適な多角形断面形状又は円形断面形状を有することができることが注意されるべきである。
【0061】
バレル9の下端部分9”は、外側に延びる停止フランジ29を含む(
図3及び5参照)。停止フランジ29は、長尺スリーブ8の下端8”の端面に当接し、長尺スリーブ8に対して下端部分9”の軸方向の位置を維持する。
【0062】
突出部30は、長尺スリーブ8の下端8”の端面から下方に延びる。突出部30は、
図5に見られるように、ありつぎ形状を持つことができる。突出部30は、バレル9が長尺スリーブ8に対して長手方向中心軸xのまわりに回転されてねじれるのを防止するために長尺スリーブ8に装着されるとき、環状フランジ29において凹所31中に嵌合する。従って、突出部30及び凹所31は、長尺スリーブ8においてバレル9の回転位置を規定することができる。一つより多い突出部30及び凹所31が与えられることができることが注意されるべきである。
【0063】
長尺スリーブ8は、長尺スリーブ8の外部表面42のまわりに延びる封止リング32を含む。
【0064】
開示された実施形態では、長尺スリーブ8は、下端8”において、三つの開口33(
図3及び9参照)を含む。開口33は、封止リング32と下端8”の端面の間に与えられる。
【0065】
開口33は、長尺スリーブ8の下端8”のまわりに分布され、好ましくは等距離に分布される。開口33の各々は、脈動乳首34及び脈動管7による脈動室11の中へ、及び脈動室11から外への脈動圧力の移動を可能にする。
【0066】
脈動乳首34は、下側ベース部材3の側方から下方に延びる。脈動乳首34は、下側ベース部材3及び開口33を通って脈動開口34aを介して脈動室11に脈動圧力を供給することを可能にする。
【0067】
脈動乳首34は、長手方向中心軸xと平行にかつその横に延びる。
【0068】
封止リング32は、カートリッジ1がコネクター2の受容空間5に受容されるとき、内側肩3aに当接し、脈動圧力が鞘4とカートリッジ1の間の受容空間5に到達するのを防止する。
【0069】
開口33の数は、三つ以外であることができるが、開口33の数は、バレル9のバレル部分9’’’の辺部の数と同じであることが好ましい。
【0070】
バレル部分9’’’は、下端部分9”の近くでバレル部分9’’’のまわりに延びかつ外側に突出する突出リング35を含む。突出リング35は、三つの直線部分を含み、それらの各々は、軸方向に又は実質的に軸方向に、バレル部分9’’’の辺部分のそれぞれ一つと整列される。従って、突出リング35は、突出リング35の上のバレル部分9’’’の多角形形状に対応する多角形形状を有する。突出リング35の直線部分の各々は、開口33のそれぞれ一つとは部分的に反対に位置される。さらに、バレル9、特に下端部分9”は、ミルク出口ノズル36を含むか、又はそれを形成する。
【0071】
カートリッジ1がコネクター2に受容されるとき、鞘4は、
図3でわかるように、長尺スリーブ8の上端8’まで延びかつ上端8’を越えて延びる。長尺スリーブ8の下端8”は、下側ベース部材3中に延びる。従って、長尺スリーブ8は、鞘4及び下側ベース部材3によって保護される。
【0072】
さらに、ロッキング部材19は、カートリッジ1がコネクター2の受容空間5に受容されるとき、鞘4の内部表面40の内側にかつそれに隣接して位置される。従って、鞘4は、ロッキング部材19が外側に動くこと、従って環状フランジ20の係合からはずれることを防止するだろう。
【0073】
カートリッジ1がコネクター2の受容空間5に受容されるとき、ヘッド部材12のリップ要素15のみが鞘4の上端4’の上にかつそれを越えて延びる。
【0074】
ヘッド部材12は、カートリッジ1がコネクター2に受容されるとき、鞘4の上端4’で上端面4aに当接しかつリップ要素15に含まれることができる下部表面15”を有する。上端面4aに対する下部表面15”の当接は、環境から受容空間5を封止することに寄与する。
【0075】
複数の結合部材41が長尺スリーブ8の外部表面42の上に与えられ(
図9参照)、複数の相補結合部材43がコネクター2の鞘4の内部表面40の上に与えられる(
図7参照)。結合部材41の各々は、コネクター2におけるカートリッジ1のロッキングを可能にするために相補ロッキング部材43のそれぞれ一つと差込み結合を形成する。
【0076】
カートリッジ1が長手方向中心軸xと平行な方向に沿ってコネクター2の受容空間5中に導入されるときに相補結合部材43のそれぞれ一つが通ることができるような通路44が結合部材41の各々の間に与えられる。従って、カートリッジ1は、結合部材1が相補結合部材43を越えて最終的な軸方向位置に移動するまで前記方向に沿ってコネクター2中に導入されることができる。
【0077】
結合部材41の各々は、相補結合部材43による係合を可能にするために下端8”から離れるように方向転換されている上部表面45を含む。カートリッジ1が前記方向に沿って最終的な軸方向位置に到達するとき、それは、コネクター2に対して回転されることができ、そこでは各結合部材41の上部表面45は、相補結合部材43のそれぞれ一つの下部表面46の上でスライドすることができる。
【0078】
開示された実施形態では、結合部材41の各々は、長手方向中心軸xと平行でありかつ上部表面45から延びる停止表面47を含む。停止表面47は、コネクター2に対して長手方向中心軸xのまわりでカートリッジ1が回転した後にカートリッジ1の最終的な回転位置を与えるか又は規定する。
【0079】
さらに、結合部材41の各々は、上部表面45の上への相補結合部材43のスライドを可能にするために上部表面45に延びる傾斜面48を含む。傾斜面48は、カートリッジ1の上部表面45がコネクター2の下部表面46に達することを容易にすることができ、従って傾斜面48は、コネクター2に対するカートリッジ1の前記回転の最初の部分を容易にすることができる。
【0080】
コネクター2は、長手方向中心軸xに向かって内側に、特に放射方向内側に延びる下部フランジ49を含む。フランジ49は、
図2に見られるようにミルク管6へコネクター2を解放可能に取り付けるためにミルク管6の上部における対応する溝と係合することができる。
【0081】
図6,7,10及び11に開示された第一実施形態では、コネクター2は、金属スリーブ60を含む。金属スリーブ60は、
図6及び7でわかるように鞘4の外部表面61に取り付けられ、かつそのまわりに延びる。金属スリーブ60は、ステンレス鋼又はいずれかの他の好適な金属もしくは金属合金からなることができる。金属スリーブ60は、上端60’及び下端60”を有する。
【0082】
鞘4の外部表面61は、鞘4のまわりに延びる凹んだ表面部分62を含む。金属スリーブ60は、凹んだ表面部分62に配置される。金属スリーブ60は、外部表面63を有し、外部表面63は、金属スリーブ60の下端60”でかつ金属スリーブ60の上端60’で鞘4の外部表面61に連続的に移行する。従って、鞘4の外部表面61から金属スリーブ60の外部表面63まで滑らかな移行部がある。
【0083】
金属スリーブ60は、鞘4と同じような態様で金属スリーブ60の上端60’から下端60”まで先細である。金属スリーブ60は、鞘4の先細形状、及び下側ベース部材3の側部から長手方向中心軸xと平行に軸方向に下方に延びる脈動乳首34の軸方向の延長のおかげで鞘4の上に、そして鞘4の凹んだ表面部分62の中に押されることができる。従って、金属スリーブ60は、鞘4の上に上方に下側ベース部材3及び脈動乳首34を越えて、凹んだ表面部分62へと押されることができ、そこで金属スリーブ60は、凹んだ表面部分62中にスナップ嵌めすることができる。
【0084】
従って、金属スリーブ60及び凹んだ表面部分62はともに、円錐台の形状を持つことができ、好ましくは長手方向中心軸xに対して等しい円錐角を持つ。
【0085】
鞘4は、脈動乳首34を含む下側ベース部材3の最大直径より長くなりうる上端4’での最大直径を有する。さらに、脈動乳首34を含む下側ベース部材3の最大直径は、それが鞘4中に押されたときに下側ベース部材3及び脈動乳首34が金属スリーブ60を通過することを確実にするために金属スリーブ60の最大内側直径より短くすることができる。
【0086】
金属スリーブ60の上端60’は、鞘4の上端4’から軸方向距離D’に位置される。軸方向距離D’は、少なくとも3mm、少なくとも5mm又は少なくとも10mmであることができる。
【0087】
金属スリーブ60の下端4”は、下側ベース部材3から、即ち内側肩3aから軸方向距離D”に位置される。軸方向距離D”は、少なくとも20mm、少なくとも30mm又は少なくとも40mmである。
【0088】
金属スリーブ60は、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mm、少なくとも50mm、少なくとも60mm又は少なくとも70mmの軸方向長さLsを有する。
【0089】
鞘4は、係合要素70を有し、金属スリーブ60は、対応する係合要素71を有する。二つの係合要素70,71は、互いに係合して金属スリーブ60が鞘4に対して回転するのを防止する。係合要素70は、凹んだ表面部分62中に延びる突出部を含む。係合要素70は、上端4’及び下端4”の一方に向かって延びることができる。対応する係合要素71は、突出部を受けるように構成されたノッチを含むことができる。係合要素70との係合を可能にするために、対応する係合要素71は、金属スリーブ60の上端60’及び下端60”の一方から延びることができる。
【0090】
図12及び13は、第二実施形態を開示し、それは、金属スリーブ60が与えられていない点で第一実施形態とは異なる。従って、コネクター2は、下側ベース部材3及び鞘4からなり、それらは、連続的な外部表面61を有する。
【0091】
図14は、第三実施形態を開示し、それは、コネクター2の凹んだ表面部分62がより長い軸方向長さを有する点で第一実施形態とは異なる。従って、第三実施形態の凹んだ表面部分62は、より長い軸方向長さL
sを有する金属スリーブ60を受けるように適応されている。
【0092】
図15及び16は、第四実施形態を開示し、それは、コネクター2の凹んだ表面部分62がより短い軸方向長さを有する点で第一実施形態とは異なる。従って、第四実施形態の凹んだ表面部分62は、より短い軸方向長さL
sを有しかつ
図16に開示された金属スリーブ60を受けるように適応されている。
【0093】
カートリッジ1は、ヘッド部材12をバレル9に取り付けることによって組み立てられ、そこでは係合要素17は、バレル9の外側の上の溝と係合する。バレル9は、それに取り付けられたヘッド部材12とともに、次いで好適な器具によって長尺スリーブ8に装着され、かくして停止フランジ29は、長尺スリーブ8の下端を越えて圧縮される。停止フランジ29は、次いで外側に撓んで長尺スリーブ8の下端に対して停止フランジ29をロックし、そこでは長尺スリーブ8及びバレル9の相対的な回転位置は、突出部30が凹所31と係合することを可能にするように調整される。同時に、ロッキング部材19は、係合表面22が環状フランジ20の下部表面23を越えて移動するまで凹所24中に導入される。ロッキング部材19は、次いで内側に撓んで係合表面22が下部表面23と当接することを可能にするだろう。
【0094】
カートリッジ1は、次いで長手方向中心軸xに平行な方向に沿って導入されることによってコネクター2に装着されることができる。カートリッジ1は、相補結合部材43が通路44を通ることができるように回転位置で保持される。カートリッジ1がさらに移動されることができないとき、ミルク出口ノズル36がミルク管6の内側入口表面と当接するとき、カートリッジ1は、コネクター2に対して回転され、相補結合部材43の下部表面46は、傾斜面48の上をスライドし、次いで最終位置の相補結合部材43が停止表面47に到達するまで上部表面45の上をスライドするだろう。従って、カートリッジ1がコネクター2における最終位置に到達したとき、相補結合部材43は、結合部材41の上部表面45及び停止表面47に当接する。ミルク出口ノズル36は、
図2に見られるように、この最終位置においてミルク管6の内側入口表面に対して押される。
【0095】
本発明は、ここに開示されかつ記載された実施形態に限定されず、添付の請求項の範囲内で変更及び修正されることができる。
【0096】
傾斜面48は、代替例として相補結合部材43の上に与えられ、次いで下部表面46に延びることができることが注意されるべきである。
【0097】
さらに、停止表面47は、代替例として相補結合部材43の下部表面46の上に与えられ、そこから下方に延びることができる。
【0098】
停止表面47は、上部表面45から又は下部表面46からずっと延びる必要はなく、この表面45,46のいずれか一つから離れて開始してもよい。
【0099】
相補結合部材43は、開示された実施形態では放射方向で見ると矩形形状を有する。相補結合部材43は、代わりに円形のような他の形状を有してもよいことが注意されるべきである。