(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】部分的に自動ロック式に係合するねじ接続部
(51)【国際特許分類】
E21B 17/042 20060101AFI20221201BHJP
F16L 15/04 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E21B17/042
F16L15/04 A
(21)【出願番号】P 2020521975
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2018076734
(87)【国際公開番号】W WO2019076622
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-14
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランフォード,スティーヴ
(72)【発明者】
【氏名】オット,ウェスレー
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-512347(JP,A)
【文献】国際公開第2016/108141(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/069030(WO,A1)
【文献】特表2016-522877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 17/042
F16L 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管状部材と第2の管状部材とを備えるねじ接続部であって、前記第1の管状部材は、パイプ本体と、前記パイプ本体の遠位端に設けられた雄部材(1)と、を備え、前記第2の管状部材は、別のパイプ本体と、前記別のパイプ本体の遠位端に設けられた雌部材(2)と、を備え、前記雄部材(1)は、その外周面において、少なくとも1つの雄ねじ領域(3)を有し、雄ねじ終端面(7)を終端とし、前記雌部材(2)は、その内周面において、少なくとも1つの雌ねじ領域(4)を有し、雌ねじ終端面(8)を終端とし、
前記雄ねじ領域(3)は、前記雄ねじ終端面から前記第1の管状部材のパイプ本体に向かう方向に沿って山頂幅(CWTp)が増加する第1の部分を有する雄ねじ山を備え、前記雄ねじ終端面(7)に最も近い歯は、前記雄ねじ山の山頂幅の最小値(CWTpmin)を示し、
前記雌ねじ領域(4)は、前記雌ねじ終端面から前記第2の管状部材のパイプ本体に向かう方向に沿って山頂幅(CWTb)が増加する第2の部分を有する雌ねじ山を備え、前記雌ねじ終端面(8)に最も近い歯は、前記雌ねじ山の山頂幅の最小値(CWTbmin)を示し、
前記第1の部分の各歯は、前記
ねじ接続部がねじ込まれたときに前記第2の部分の2つの隣接する前記歯の間にあり、前記第1の部分の一部のみが自動ロック式ねじ込み構成に従って前記第2の部分の一部のみと協働して、前記ねじ接続部にロック領域を提供する、
ねじ接続部。
【請求項2】
前記ロック領域は、自動ロック式構成におけるねじ山の数(n)を含み、前記第1の部分および前記第2の部分は、前記ロック領域のねじ山の数(n)よりも厳密に大きい数のねじ山を有する、
請求項1に記載のねじ接続部。
【請求項3】
前記雄ねじ領域は、前記ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雄側遠位部分を有し、前記
雄側遠位部分は、前記雄ねじ終端面(7)に最も近い前記歯を含み、前記雄側遠位部分は、前記第1の部分に隣接する、
請求項1または2に記載のねじ接続部。
【請求項4】
前記雌ねじ領域は、前記ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雌側遠位部分を有し、前記雌側遠位部分は、前記雌ねじ終端面(8)に最も近い前記歯を含み、前記雌側遠位部分は、前記第2の部分に隣接する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項5】
前記雌ねじ終端面に最も近い
雌側遠位部分の歯は、前記雄ねじ終端面に最も近い
雄側遠位部分の歯と同一の山頂幅を有する(CWTbmin=CWTpmin)、
請求項1~4のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項6】
雄スタブフランクのリード(SFP_p)は、前記第1の部分において一定であり、前記雄ねじ領域の
雄側遠位部分において特定の値を示し、前記特定の値は、前記
雄側遠位
部分および前記第1の部分において一定である
雄ロードフランクのリード(LFP_p)の値以下であり、前記雄側遠位部分は、前記第1の部分に隣接する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項7】
雄ロードフランクのリード(LFP_p)は、前記第1の部分において一定であり、前記雄ねじ領域の
雄側遠位部分において特定の値を示し、前記特定の値は、前記
雄側遠位
部分および前記第1の部分において一定である
雄スタブフランクのリード(SFP_p)の値以上であり、前記雄側遠位部分は、前記第1の部分に隣接する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項8】
前記雄ねじ領域は、前記ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雄側近位部分を有し、前記
雄側近位部分は、前記雄ねじ終端面から最も遠い前記歯を含み、前記雄側近位部分は、前記第1の部分に隣接する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項9】
前記雌ねじ領域は、前記ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雌側近位部分を有し、前記
雌側近位部分は、前記雌ねじ終端面から最も遠い前記歯を含み、前記雌側近位部分は、前記第2の部分に隣接する、
請求項1~8のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項10】
雄スタブフランクのリード(SFP_p)は、前記第1の部分において一定であり、前記雄ねじ領域の
雄側近位部分において特定の値を示し、前記特定の値は、前記
雄側近位
部分および前記第1の部分において一定である
雄ロードフランクのリード(LFP_p)の値以下であり、前記雄側近位部分は、前記第1の部分に隣接する、
請求項1~9のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項11】
雄ロードフランクのリード(LFP_p)は、前記第1の部分において一定であり、前記雄ねじ領域の
雄側近位部分において特定の値を示し、前記特定の値は、前記
雄側近位
部分および前記第1の部分において一定である
雄スタブフランクのリード(SFP_p)の値以上であり、前記雄側近位部分は、前記第1の部分に隣接する、
請求項1~9のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項12】
くさび比は、前記雄ねじ領域および前記雌ねじ領域のそれぞれ2箇所において変化される、
請求項1~11のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項13】
雄スタブフランクのリードは、前記雄ねじ領域の2箇所において変化され、
雌スタブフランクは、前記雌ねじ領域の2箇所において変化され、
雄ロードフランクのリードおよび
雌ロードフランクのリードは、前記雄ねじ領域および前記雌ねじ領域の全体に沿ってそれぞれ一定である、
請求項1~12のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項14】
前記雄ねじ領域は、アリ継ぎ式ねじ山を有し、前記雄ねじ終端面に最も近い前記歯の幅の最小値(CWTpmin)は、
【数1】
および
【数2】
の上記式のうちの少なくとも1つを満足し、
前記式中、BTGは、前記ロック領域に関与しない最小雌側ねじ隙間を表し、
【数3】
前記式中、nは前記ロック領域のロック式ねじ山の数を表し、SFP_p1は前記第1の部分における
スタブフランクのリードを表し、LFP_p1は前記第1の部分における
ロードフランクのリードを表し、LFP
p1-SFP
p1は
くさび比を表し、THは前記第1の部分におけるねじ山の公称高さを表し、PLHは前記第1の部分におけるピン側ピッチラインから谷までの距離を表し、前記ピン側ピッチラインは、前記
スタブフランクおよび前記ロードフランクの中間の高さにおけるすべての点によって決定され、前記
スタブフランクおよび前記ロードフランクは、前記第1の部分で一定のリードを有し、
前記式中、αは前記
ねじ接続部の軸に垂直な
前記ロードフランクおよび
前記スタブフランクのそれぞれの角度を表し、φはテーパ角度を表し、前記テーパ角度は、前記雄ねじ領域および前記雌ねじ領域の母線と前記ねじ接続部の軸との間の角度である、
請求項1~13のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項15】
前記雄ねじ領域(3)および前記雌ねじ領域(4)は、前記
ねじ接続部の軸(10)との間で1度~5度の範囲の角度を形成するテーパ母線を有する、
請求項1~14のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項16】
前記雄ねじ領域(3)および前記雌ねじ領域(4)の歯は、アリ継ぎ式プロファイルを有し、前記歯の山頂と、前記雄ねじ領域(3)および前記雌ねじ領域(4)の谷とが、前記ねじ接続部の軸(10)に平行である、
請求項1~15のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項17】
前記雄ねじ領域(3)および前記雌ねじ領域(4)の歯は、
ロードフランクおよび
スタブフランクが、それぞれ前記
ねじ接続部の軸に垂直な場合と比較して同じ角度値αにあるように、アリ継ぎ式プロファイルを有し、前記αの角度は、1°~6°の範囲である、
請求項1~16のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項18】
前記ロック領域において、前記雄ねじ領域
(3)の歯の山頂と前記雌ねじ領域(4)の谷とが干渉し、または前記雄ねじ領域の歯の谷と前記雌ねじ領域の山頂とが干渉し、これにより、前記谷/前記山頂の直径の干渉が、前記パイプ本体の公称外径の0.0025倍以上である、
請求項1~17のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項19】
前記ねじ接続部は、前記雄部材の自由端が前記雌部材から離間するように、および前記雌部材の自由端が前記雄部材から離間するように、いずれの遠位当接面からも離れている、
請求項1~18のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項20】
前記雄部材および前記雌部材は、前記ロック領域の横に、追加のシール面を必要としない、
請求項1~19のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項21】
前記ねじ接続部が部分的に同一平面を有し、前記第1の管状部材と前記第2の管状部材とが一体であり、前記第1の管状部材および前記第2の管状部材の各々は、雄部材および雌部材を備える、
請求項1~20のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項22】
前記ロック領域において自動ロック式に協働する前記雄部材および前記雌部材のそれぞれの
雄ねじ領域
および雌ねじ領域の前記第1の部分の一部および前記第2の部分の一部は、それぞれの前記
雄ねじ領域
および雌ねじ領域の歯の数の30%超80%未満
を示す、
請求項1~21のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項23】
前記雄ねじ領域および/または前記雌ねじ領域のすべての歯は、最小山頂幅を示す歯を除いて、同じ高さを有する、
請求項1~22のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項24】
前記雄ねじ領域および前記雌ねじ領域は、それぞれ単一の連続したねじ山である、
請求項1~23のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項25】
前記雄ねじ領域および前記雌ねじ領域は、単一の開始地点を有するねじ山である、
請求項1~24のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的に自動ロック式に係合するねじ接続部に関する。ねじ接続部は、第1および第2の管状部材を備える。一方の管状部材の一端には、管状雄部材が設けられ、他方の管状部材の他端には、管状雌部材が設けられる。各部材には、ねじ領域が設けられる。本発明によれば、雄部材が雌部材にねじ込まれたときに、幅が変化されたねじ山を有する雄部材のねじ領域の一部のみが、自動ロック式締め付けによって、幅が変化されたねじ山を有する雌部材のねじ領域の一部のみと協働する。言い換えると、ねじ山の幅が変化されたそれぞれのねじ領域の一部のみがロックされる。本発明による接続部によって、ケーシングを用いた掘削などの特殊な用途に要求される高いトルクに耐えることができる。本発明の設計は、深海等における開発用または探査用坑井の用途に適している。その適用は、特に中間ケーシングに適している。
【背景技術】
【0002】
既知の方法において、管をねじ込んで接続するのが一般的である。この場合の管は、炭化水素井を操業する際に、ケーシングまたはチューブストリングを構成するように意図されている。一般的に、このような管は、雄ねじ領域が設けられた端部と雌ねじ領域が設けられた端部とを有し、その各々が別の部材の対応する端部にねじ込まれるように意図されている。その組み合わせが接続部を定義する。このように構成されたストリングは、坑井のケーシングで掘削する際に、回転させることができる。このため、ストリングを坑井内に進めるのに十分な回転トルクを伝達できるように、また、ストリングが破断しないようにするために、これらの部材は、高いトルクで互いにねじ込まれる必要がある。従来の製品において、一般的に、各部材に設けられた当接面を締め付けることによる協働によって、ねじ込みトルクが得られる。しかしながら、当接面の範囲が管の厚さの数分の1であるため、大きすぎるねじ込みトルクが印加されると、当接面の臨界可塑化しきい値に急速に到達してしまう。
【0003】
このため、例えば、本出願人によってVAM(登録商標)HTFという商品名で販売されているような接続部に特化した、特にねじ部に関する開発が行われてきた。これにより、当接面が収容できない荷重の少なくとも一部または全部を、当接面から引き出すことができるようになった。この目的は、例えば米国特許第7661728号に記載されたような自動ロック式ねじ部を用いて達成された。先行技術である米国再発行特許(US Re)第30647号および米国再発行特許第34467号にも記載されているような上記のようなタイプの接続部の自動ロック式ねじ部では、スタブフランクのリードがロードフランクのリードに等しくないため、雄側端部(ピン部材とも呼ばれる)のねじ山および雌側端部(ボックス部材とも呼ばれる)のねじ山は、一定のリードを有しながらねじ山の幅が変化されている。このようなタイプの接続部は、くさび形ねじ山によって得られる。
【0004】
従来、雄側端部のねじ山は、ピン側ねじ山頂と、ピン側ねじ谷と、ピン側ロードフランクと、ピン側スタブフランクと、を有する。雌側端部のねじ山は、ボックス側ねじ山頂と、ボックス側ねじ谷と、ボックス側ロードフランクと、ボックス側スタブフランクと、を有する。より詳細には、くさび形ねじ山の場合、雄側端部のねじ山または雌側端部のねじ山において、雄側軸方向端部または雌側軸方向端部からの距離の増加に伴って、ねじ山(または歯)のそれぞれの山頂幅が徐々に増加する。
【0005】
くさび形ねじ山は、くさび比によって特徴付けられる。くさび比とは、ロードフランクリードLFとスタブフランクリードSFとの差が0ではないことを意味する。ロードフランクリードLFは、スタブフランクリードSFよりも厳密に大きいか、または厳密に小さいかのいずれかである。その差は、それぞれのリード値で計算される。従来のくさび形ねじ山において、ピン部材のLFとボックス部材のLFは等しく、同様に、ピン部材のSFとボックス部材のSFは等しい。したがって、ピン部材とボックス部材のくさび比は、同じである。ねじ込み時には、雄ねじ山および雌ねじ山(または歯)は、ロックポイントに対応する所与の位置で、互いにロックしてねじ込まれる。
【0006】
より詳細には、自動ロック式ねじ部におけるロックは、雄ねじ山(または歯)のすべてのスタブフランクとすべてのロードフランクとが、対応する雌ねじ山(または歯)のすべてのスタブフランクとすべてのロードフランクとにそれぞれロックしたときに起きる。このため、ねじ込みトルクは、フランク間のすべての接触面、すなわち先行技術の当接面によって構成されたものよりも実質的に大きい総表面積によって取られる。
【0007】
また、米国特許出願第2011-278838号からも知られているような、雄ねじ領域が2つの部分を備える別のタイプの自動ロック式ねじ部がある。ピン側スタブフランクリードSFP_pは、第1の部分において第1の値SFP_p1を有し、第2の部分において第2の値SFP_p2を示する。第2の値は、ピン側ロードフランクリードLFP_pに等しい。ピン側ロードフランクリードLFP_pは、第1の部分と第2の部分とにわたって一定である。第1の部分は第2の部分よりも雄側遠位端に最も近い。距離VPESTが第1の部分の終端と第2の部分の開始地点を特定する。第1の部分は、雄側遠位端からVPESTまで、歯の幅が増加する自動ロック式のタイプである。雄ねじ領域の第2の部分は、VPESTから一定の歯幅および谷幅で開始する。VPESTからパイプ本体に向かうねじ山頂の幅は、雄ねじ領域の第2の部分にわたって一定である。
【0008】
その接続部において、雌ねじ領域は、単一のスタブフランクリードSFP_bと、単一のボックス側ロードフランクリードLFP_bを有する。ここで、SFP_bはSFP_p1に等しく、LFP_bはLFP_pに等しい。したがって、雌ねじ領域は、歯の幅が連続的に増加する固有部分を有する。雌ねじ領域は、その軸方向長さにわたってフランク間のリードが変化しない自動ロック式のタイプである。
【0009】
ねじ込み終了時において、すべてのスタブフランクとすべてのロードフランクとが雄ねじ部の第1の部分で干渉接触状態にある。これは、雄ねじ部の第1の部分の全範囲が、雌ねじ領域と自動ロック式ねじ込み構成にあることを意味する。VPESTの位置に関して、雄ロードフランクと雌ロードフランクとの間の接触は、第2の部分において確保されるが、雄スタブフランクと雌スタブフランクとの間の接触は、その第2の部分で失われる。接触が失われると、ねじ部は、自動ロック式ねじ込み構成でなくなる。したがって、雄ねじ領域の第2の部分の全範囲は、自動ロック式に係合していない。また、第1の部分のねじ山はくさび形ねじ山であり、第2の部分のピン部材によって決定されたくさび比が0に等しいため、第2の部分はくさび形ねじ山ではない。
【0010】
この既知の接続部には、金属対金属のシールが設けられる。これにより、液体および気体の両方のための良好なシール性能を達成することができる。雄部材および雌部材の各々は、シール面を備える。シール面は、自動ロック式ねじ込みの後にねじ領域が協働したときに、締め付け接触(干渉接触とも呼ぶ)状態で互いに協働することができる。シール面の締め付け接触におけるこの協働領域は、雄側端部の終端面とねじ領域との間に位置する。この既知の接続部は、最小幅を有する歯が非ねじ部への遷移部に近い不完全なねじ山を有するように、両端に雄部材を有する長い管状部材と、両端に雌部材を有する短い管状部材とから形成される(後者が結合部と呼ばれる)。不完全なねじ山は、他のねじ山の規則的な高さよりも低い高さを有する。
【0011】
しかしながら、技術的に既知の自動ロック式ねじ接続部は、部分的に一体の接続部のみおよび液体シールのみが必要とされる現在の適用では、特定の制限を引き出す。高いねじ込みトルクを提供することができ、且つシール性の観点から部分的に一体の構成に耐えることができ、且つ適用において同一平面または部分的に同一平面に適した接続部の必要性がある。ここで、ボックス部材の最大外径は、接続部を有する管状部材の公称外径を超えて6%未満、より好ましくは3%未満である。
【0012】
また、ISO規格13679:2002CAL-I液体シールを保証しながら、機械加工のためのより広い公差を提供する、費用対効果の高い接続部が求められる。さらに、取り扱い時や移動時における損傷が少なく、(許容可能な入り切りのサイクル数が多いため)より長い寿命を有する接続部が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このため、本発明の目的は、自動ロック式ねじ山を有する部分的に一体且つ部分的に同一平面な接続部を提供することである。ロック式ねじ山は、液体に対するシールに耐えるのに十分なシールを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
より詳細には、本発明は、第1の管状部材と第2の管状部材とを備えるねじ接続部を提供する。第1の管状部材は、パイプ本体と、そのパイプ本体の遠位端に設けられた雄部材と、を備え、第2の管状部材は、別のパイプ本体と、そのパイプ本体の遠位端に設けられた雌部材と、を備える。このようにして、雄部材は、その外周面において、少なくとも1つの雄ねじ領域を有し、雄ねじ終端面を終端とする。また、雌部材は、その内周面において、少なくとも1つの雌ねじ領域を有し、雌ねじ終端面を終端とする。また、ねじ接続部において、
・ 雄ねじ領域は、雄ねじ終端面から第1の管状部材のパイプ本体に向かう方向に沿って山頂幅(CWTp)が増加する第1の部分を有する雄ねじ山を備え、雄ねじ終端面に最も近い歯は、雄ねじ山頂幅の最小値(CWTpmin)を示し、
・ 雌ねじ領域は、雌ねじ終端面から第2の管状部材のパイプ本体に向かう方向に沿って山頂幅(CWTb)が増加する第2の部分を有する雌ねじ山を備え、雌ねじ終端面に最も近い歯は、雌ねじ山頂幅の最小値(CWTbmin)を示し、
・ 第1の部分の各歯は、接続部がねじ込まれたときに第2の部分の2つの隣接する歯の間にあり、第1の部分の一部のみが、自動ロック式ねじ込み構成に従って第2の部分の一部のみと協働して、ねじ接続部にロック領域を提供する。
【0015】
本発明による接続部の技術的な利点は、組み立て中に特定のねじ込みトルクチャートに従う必要がないことである。これにより、作業者は、ねじ込みトルクの最小目標値に達しているかどうかを確認するだけでよい。このような利点は、そのようなタイプの接続部を使用するためのコストを低減させるため、重要である。
【0016】
本発明の別の利点は、リグのトルク容量でねじ込みトルクが達成可能であること、および接続部を1ターン未満でねじ込むことができることである。
【0017】
本発明の別の利点は、液体シールのためのISO規格13679:2002CAL-Iに到達した上で、接続部は、曲げおよび外圧条件の下でも液体シールを保証するためにAPI RP 5C:2015CAL-IシリーズAおよびBの試験プロトコルを満たしていることである。
【0018】
好ましくは、ねじ領域は、雄部材および雌部材のそれぞれの円錐台形加工された表面から示される単一の連続螺旋プロファイルを有してもよい。
【0019】
「一部のみ」とは、第1の部分のすべての歯が自動ロック式ねじ込み構成になっているわけではなく、第1の部分の一部の歯が、それらのロードフランクおよび/またはスタブフランクのいずれかに関して、第2の部分の対応する歯と接触していないことを意味する。自動ロック式構成にない第1の部分の歯におけるロードフランクおよびスタブフランクのうちの少なくとも1つは、第2の部分の対応する表面と接触していない。同様に、自動ロック式構成にない第2の部分の歯におけるロードフランクおよびスタブフランクのうちの少なくとも1つは、第1の部分の対応する表面と接触していない。
【0020】
自動ロック式ねじ込み構成において、第2の部分の一部と協働する第1の部分の一部は、以下のような歯を有する。
・ 第1の部分および第2の部分のそれらの一部のロードフランクが接触する。
・ 第1の部分および第2の部分のそれらの一部のスタブフランクが接触する。
・ 第1の部分のその一部の谷または山頂の少なくとも1つが、第2の部分のその一部の山頂または谷とそれぞれ接触する。これらの接触は、ロック領域に沿ってすべて連続している。
【0021】
第1の管状部材のパイプ本体の反対側の端部には、雌部材が設けられてもよい。雌部材は、第2の管状部材の雌部材と同じ特徴を有する。このタイプのパイプ本体は、接続部の最大外径とパイプ本体の公称外径との間の比に応じて、一体または同一平面または部分的に一体または部分的に同一平面のタイプである。しかしながら、本発明は、「T&C」にも適用可能である。この場合、第1の管の両端には雄部材が設けられ、第2の管の両端には雌部材が設けられる。
【0022】
好ましくは、雄部材は、ねじ山の機械加工前にかしめ加工されてもよく、雌部材は、拡張されてもよい。
【0023】
本発明の任意選択の相補的または代替の特徴を以下に示す。
【0024】
好ましくは、ロック領域は、自動ロック式構成におけるねじ山の数(n)を含んでもよい。ここで、第1の部分および第2の部分は、ロック領域のねじ山の数(n)よりも厳密に大きい数のねじ山を有する。
【0025】
雄ねじ領域は、ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雄側遠位部分を有してもよい。ここで、遠位部分は、雄ねじ終端面に最も近い歯を含み、雄側遠位部分は、第1の部分に隣接する。
【0026】
雌ねじ領域は、ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雌側遠位部分を有してもよい。ここで、雌側遠位部分は、雌ねじ終端面に最も近い歯を含み、雌側遠位部分は、第2の部分に隣接する。
【0027】
例えば、雌ねじ終端面に最も近い雌側遠位部分の歯は、雄ねじ終端面に最も近い雄側遠位部分の歯に等しい山頂幅を有してもよい(CWTbmin=CWTpmin)。
【0028】
本発明の第1の実施形態によれば、雄スタブフランクのリード(SFP_p)は、第1の部分において一定であってもよく、雄ねじ領域の遠位部分において特定の値を示してもよい。この特定の値は、遠位且つ第1の部分において一定である雄ロードフランクのリード(LFP_p)の値以下である。雄側遠位部分は、第1の部分に隣接する。
【0029】
同様に、本発明の第1の実施形態によれば、雌スタブフランクのリード(SFP_b)は、第2の部分において一定であってもよく、雌ねじ領域の遠位部分において特定の値を示してもよい。この特定の値は、遠位且つ第2の部分において一定である雌ロードフランクのリード(LFP_b)の値以下である。雌側遠位部分は、第2の部分に隣接する。
【0030】
本発明の代替実施形態である第2の実施形態によれば、雄ロードフランクのリード(LFP_p)は、第1の部分において一定であってもよく、雄ねじ領域の遠位部分において特定の値を示してもよい。この値は、遠位且つ第1の部分において一定である雄スタブフランクのリード(SFP_p)の値以上である。雄側遠位部分は、第1の部分に隣接する。同様に、本発明の第2の実施形態によれば、雌ロードフランクのリード(LFP_b)は、第2の部分において一定でもよく、雌ねじ領域の遠位部分において特定の値を示してもよい。この値は、遠位且つ第2の部分において一定である雌スタブフランクのリード(SFP_p)の値以上である。雌側遠位部分は、第2の部分に隣接する。
【0031】
また、雄ねじ領域は、ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雄側近位部分を有してもよい。ここで、近位部分は、雄ねじ終端面から最も遠い歯を含み、雄側近位部分は、第1の部分に隣接する。
【0032】
雌ねじ領域は、ロック領域とは異なるくさび比によって定義された雌側近位部分を有してもよい。ここで、近位部分は、雌ねじ終端面から最も遠い歯を含み、雌側近位部分は、第2の部分に隣接する。
【0033】
本発明の第3の実施形態によれば、雄スタブフランクのリード(SFP_p)も、第1の部分において一定でもよく、雄ねじ領域の近位部分において特定の値を示してもよい。この値は、近位且つ第1の部分において一定である雄ロードフランクのリード(LFP_p)の値以下である。雄側近位部分は、第1の部分に隣接する。同様に、本発明の第3の実施形態によれば、雌スタブフランクのリード(SFP_b)も、第2の部分において一定でもよく、雌ねじ領域に近位部分において特定の値を示してもよい。この値は、近位且つ第2の部分において一定である雌ロードフランクのリード(LFP_b)の値以下である。雌側近位部分は、第2の部分に隣接する。
【0034】
本発明の第3の実施形態の代替である第4の実施形態によれば、雄ロードフランクのリード(LFP_p)も、第1の部分において一定でもよく、雄ねじ領域の近位部分において特定の値を示してもよい。この値は、近位且つ第1の部分において一定である雄スタブフランクのリード(SFP_p)の値以上である。雄側近位部分は、第1の部分に隣接する。同様に、本発明の第4の実施形態によれば、雌ロードフランクのリード(LFP_b)も、第2の部分において一定でもよく、雌ねじ領域の近位部分において特定の値を示してもよい。この値は、近位且つ第2の部分において一定である雌スタブフランクのリード(SFP_b)の値以上である。雌側近位部分は、第2の部分に隣接する。
【0035】
例えば、本発明の第5の実施形態は、第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせたものである。代替的に、本発明の第6の実施形態は、第2の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせたものである。
【0036】
好ましくは、くさび比は、雄ねじ領域および雌ねじ領域のそれぞれ2箇所において変化されてもよい。
【0037】
例えば、雄スタブフランクのリードが雄ねじ領域の2箇所において変化されてもよく、雌スタブフランクが雌ねじ領域の2箇所において変化されてもよい。また、雄ロードフランクのリードおよび雌ロードフランクのリードは、雄ねじ領域および雌ねじ領域の全体に沿ってそれぞれ一定である。本実施例によれば、雄ねじ領域の変化された箇所は、雌ねじ領域の変化された箇所に対応しない。
【0038】
好ましくは、雄ねじ領域の設計ルールには、雄ねじ終端面に最も近い歯の幅の最小値(CWTpmin)が、
【数1】
および
【数2】
の上記式のうちの少なくとも1つを満足するように、アリ継ぎ式ねじ山が要件として含まれてもよい。式中、BTGは、ロック領域に関与しない最小雌側ねじ隙間(gap)を表す。
【0039】
【数3】
式中、nはロック領域のロック式ねじ山の数を表し、SFP_p1は第1の部分におけるスタブフランクリードを表し、LFP_p1は第1の部分におけるロードフランクリードを表し、LFP
p1-SFP
p1はくさび比を表し、THは第1の部分におけるねじ山の公称高さを表し、PLHは第1の部分におけるピン側ピッチラインから谷までの距離を表す。ピン側ピッチラインは、その第1の部分で一定のリードを有するフランクを考慮して、フランクの中間の高さにおけるすべての点によって決定される。また、αは接続部の軸に垂直なロードフランクおよびスタブフランクのそれぞれの角度を表し、φはテーパ角度を表す。テーパ角度は、雄ねじ領域および雌ねじ領域の母線(generatrix)と接続部の軸との間の角度である。
【0040】
好ましくは、雄ねじ領域および雌ねじ領域は、接続部の軸との間で1度~5度の範囲内のテーパ角度を形成するテーパ母線を有する。好ましくは、テーパ値は、3.6°および4.8°のテーパ角度にそれぞれ対応して、1/8または1/6であってもよい。
【0041】
ねじ山設計の一例として、雄ねじ領域および雌ねじ領域の歯は、アリ継ぎ式プロファイルを有してもよく、雄ねじ領域および雌ねじ領域の両方の歯の山頂および谷は、ねじ接続部の軸に平行であってもよい。例えば、雄ねじ領域および雌ねじ領域の歯は、ロードフランクおよびスタブフランクがそれぞれ接続部の軸に垂直な場合と比較して同じ角度値αにあるように、アリ継ぎ式プロファイルを有してもよい。このαの角度は、1°~6°の範囲である。
【0042】
好ましくは、雄ねじ領域の歯の山頂と雌ねじ領域の谷とは、谷/山頂の直径の干渉がパイプ本体の公称外径の0.0025倍以上であるように、ロック領域において干渉接触してもよい。
【0043】
好ましくは、本発明による接続部は、接続部がねじ込まれたときに、雄部材の自由端が雌部材から離れ続けるように、および雌部材の自由端が雄部材から離れ続けるように、いずれの遠位当接面から離れている。
【0044】
本発明の利点は、雄部材および雌部材が、ロック領域の横に金属対金属のシールのような追加のシール面を必要としないことである。
【0045】
例えば、ロック領域において自動ロック式に協働する雄部材および雌部材のそれぞれのねじ領域の第1の部分の一部および第2の部分の一部は、それぞれのねじ領域の歯の数の30%超80%未満、好ましくは50%超を示してもよい。
【0046】
好ましくは、歯の数は、ねじ領域の長手方向の断面視に沿って、且つパイプ本体の長手方向の軸に沿って、決定される。非ロック式の歯は、構造的な支持体を提供してもよい。
【0047】
例えば、雄ねじ領域および/または雌ねじ領域のすべての歯は、最小山頂幅を示す歯を除いて、同じ高さを有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照してより明確になるであろう。
【
図1】本発明による自動ロック式ねじ部を備える接続部の部分模式図である。
【
図2】本発明による接続部の管状部材の雌部材の詳細断面図である。
【
図3】本発明による接続部の管状部材の雄部材の詳細断面図である。
【
図4】雄側自由端の近傍における、本発明による接続部の詳細断面図である。
【
図5】本発明による雄部材の雄側歯の詳細図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるグラフであり、接続部がねじ込まれたときの、
図1による雄部材および雌部材のねじ山に沿ったロードフランク間およびスタブフランク間のそれぞれのリードの変化を、雄部材の遠位端面からの距離の関数として示している。
【0049】
図6~
図9のグラフにおいて、y軸は雄スタブフランク(SFP_p)、雄ロードフランク(LFP_p)、雌スタブフランク(SFP_b)および雌ロードフランク(LFP_b)のリード値をそれぞれ示し、x軸は管状部材の長手方向軸に沿って、接続部がねじ込まれたときのボックス側面8とピン側面7との間のねじ山の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1に示す管状ねじ接続部は、雄部材1が設けられた管状部材と、雌部材2が設けられた管状部材と、を備える。雄部材1および雌部材2の両方には、2つの部材のねじ込みによる相互接続のために協働するテーパ状のねじ領域3および4を含む。
図1を参照すると、ねじ接続部は、完全にねじ込まれた状態で示されている。
【0051】
雄部材は、雄ねじ終端面7を終端とし、雄部材の軸方向自由端またはピン側面を形成する。また、雄ねじ終端面7は、第の1管状部材の軸方向自由面である。雌部材2は、雌ねじ終端面8を終端とし、雌部材の軸方向自由端またはボックス側面を形成する。また、雌ねじ終端面8は、第2の管状部材の軸方向自由面である。雄ねじ終端面7および雌ねじ終端面8は、接続部の長手方向軸Xに対して放射状に向けられている。雄ねじ終端面7および雌ねじ終端面8のいずれも、ねじ込み終了時に当接接触状態にない。
【0052】
好ましくは、両方の管状部材は、共にパイプ本体と、パイプ本体の一方の第1の遠位端における雄部材と、パイプ本体の反対側の遠位端に雌部材と、を有するので、一体である。両方の管状部材は、鋼から形成される。ねじ領域はそれぞれ機械加工される。表面処理は雌部材のみに施される。ねじ込み前の雄部材の周囲にドープが追加される。代替的に、雄部材と雌部材とに表面処理を施してもよい。例えば、表面処理は、リン酸亜鉛処理であってもよい。
【0053】
例えば、材料のグレードは、80ksi(550MPa)~140ksi(965MPa)の範囲である。例えば、グレードは、100ksi(690MPa)超であり、例えば、125ksi(860MPa)である。
【0054】
本発明によれば、引張および圧縮における接続効率は、パイプ本体の降伏強度の70%超である。
【0055】
パイプ本体の外径は、3と1/2インチ(88.90mm)~16インチ(406.4mm)の範囲であってもよく、パイプ本体の壁幅は、8mm~22mmの範囲であってもよい。
【0056】
本発明の実施例によれば、パイプ本体の外径は、13と5/8インチ(330.2mm)であってもよく、パイプ本体の壁幅は、0.625インチ(15.8mm)であってもよい。
【0057】
ねじ領域は、単一の開始地点を有してもよい。各ねじ領域は、単一の一意のねじ山スパイアを有してもよい。一意のねじ山スパイアとは、中断のないスパイアを意味する。
【0058】
本発明の接続部は、ねじ込まれたときにロック部10を備える。ここで、ねじ領域3および4のそれぞれの部分は、既知の「自動ロック式」構成にある。「自動ロック式」構成では、雄ねじ領域および雌ねじ領域の両方が、少なくともそのロック領域10において、ねじ山頂の軸方向幅およびねじ山間の間隔の漸進的な変化を示す。これにより、最終的なロック位置までねじ込まれるときに、漸進的な軸方向締め付けが生じる。
【0059】
「自動ロック式」構成という用語は、ロック領域における歯に関して以下に詳述する特徴を意味する。雄ねじ山(または歯)32は、雌ねじ山(または歯)42と同様に、それぞれの山頂幅がそれぞれの終端面7および8に向けて減少しながら、一定のリードを有する。これにより、ねじ込み時には、雄ねじ山32および雌ねじ山42(または歯)のいくつかは、所定の位置で互いにロックする。ロック式構成におけるねじ山は、雄ねじ山(または歯)のすべてのスタブフランクおよびすべてのロードフランクが、対応する雌ねじ山(または歯)のスタブフランクおよびロードフランクにそれぞれロックするように構成される。
【0060】
ねじ込み終了時において、ロック領域10における軸方向フランクすなわちロードフランクおよびスタブフランクの両方の間には、軸方向隙間が存在しない。軸方向フランクは、接続部の軸に対して実質的に放射状に延在する。さらに、本発明による接続部は、ロック領域において少なくとも雄ねじ山頂と雌ねじ谷との間に半径方向の隙間がないように設計されている。したがって、ロック領域は、ドープを閉じ込めて高圧に耐えるのに十分な接触を生じさせて、シールを形成する。山頂と谷は干渉接触状態にあり、軸方向フランクも干渉する。
【0061】
本発明によれば、雄ねじ山32および雌ねじ山42のそれぞれの特定のねじ山の数のみが、その特定のロック式構成にあり、ロック部10に関与する。ロック部10は、ねじ領域の最初と最後のねじ山から離間する。雄ねじ山32と雌ねじ山42のそれぞれの少なくとも最初と最後のねじ山は、ロック式構成を有さない。
【0062】
より詳細には、
図6を参照すると、雄ねじ領域3は、第1の部分11を含む。雄スタブフランク31間のリードSFP_pは、値SFP_p1で一定であり、雄ロードフランク30間のリードLFP_pは、異なる値LFP_p1で一定である。
図6に示す実施例において、LFP_p1は、SFP_p1よりも厳密に大きい。例えば、本発明の一実施形態において、
LFP_p1=9.7mm、および
SFP_p1=9.4mm
である。
【0063】
したがって、ロードフランクリードとスタブフランクリードとの差である第1の部分のくさび比は、ここでは0.3mmに等しい。
【0064】
本発明の範囲において、他のスタブフランクリードおよび他のロードフランクリードの値が許容される。
【0065】
同様に、雌ねじ領域4は、第2の部分12を含む。ロードフランク41間のリードLFP_bは、値LFP_b1で一定であり、スタブフランク40間のリードSFP_bは、異なる値SFP_b1で一定である。ロードフランク41間のリードは、スタブフランク40間のリードよりも大きいという特徴を有する。
【0066】
さらに、
図6に示すように、雄スタブフランク31と雌スタブフランク40との間のそれぞれのリードSFP_p1およびSFP_b1は、互いに等しく、互いに等しい雄ロードフランク30と雌ロードフランク41との間のそれぞれのリードLFP_p1およびLFP_b1よりも小さい。
【0067】
図3および
図6を参照すると、雄ねじ領域3は、第1の部分11に加えて、第1の部分11に隣接し、雄側自由端面7に最も近い第1の部分の側に位置する雄側遠位部分13を有する。また、雄ねじ領域3は、第1の部分11に隣接し、雄側自由端面7から最も遠い第1の部分の側に位置する反対側の雄側近位部分15を有する。雄側遠位部分13および雄側近位部分15の各々は、少なくとも360°で好ましくは2ターン有するねじ部を有する。雄側遠位部分13と雄側近位部分15は、スタブフランクおよび/またはロードフランクのうちの少なくとも1つのリードが、第1の部分で観察された値と異なる点で、第1の部分11によって区別される。
【0068】
図6に示す実施例において、雄側遠位部分13と雄側近位部分15が第1の部分11によって区別されるのは、スタブフランクのリードSFP_pによってのみである。ロードフランクのリードLFP_pは、ねじ部に沿ってすべて同じ値LFP_p1である。特に、
図6を参照すると、遠位部分13および近位部分15における雄スタブフランクのリードは、互いに等しく、雄ロードフランクのリードLFP_p1に等しい。また、第1の部分11における雄スタブフランクのリードは、雄ロードフランクリードLFP_p1よりも小さい値SFP_p1に達する。
【0069】
したがって、雄側遠位部分および雄側近位部分に沿った雄側くさび比は0に等しく、雄側第1の部分11内には、非ヌルのくさび比が存在する。
【0070】
図6に示す実施形態の代替実施形態である
図7を参照すると、雄側遠位部分および雄側近位部分の両方に対する第1の部分におけるロードフランクリードのみの増加によって得られる、第1の部分における厳密に正の値であり非ヌルのくさび比および0であるくさび比が提供される。この代替実施形態によれば、雄側遠位部分および雄側近位部分の両方に沿って、ロードフランクリードはスタブフランクリードに等しく、スタブフランクリードはねじ部に沿ってすべて一定である。
【0071】
図6に示す実施形態の代替実施形態である
図8に示すように、本発明の別の実施形態によれば、雄側遠位部分および雄側近位部分におけるくさび比は、厳密に0よりも大きく、非ヌルであり、且つ第1の部分に沿って観察されたくさび比を厳密に下回る。雄側遠位部分および雄側近位部分におけるそれぞれのスタブフランクのリードは、雄側遠位部分および雄側近位部分におけるそれぞれのロードフランクのリードよりも低く、雄側遠位部分におけるロードフランクのリードは一定であり、第1の部分におけるロードフランクのリードに等しい。
【0072】
本発明による別の実施形態において、雄側遠位部分および雄側近位部分における変化されるくさび比を含むことができる。このように変化される値は、第1の部分のくさび比を厳密に下回る。遠位部分および近位部分に沿ったくさび比および/またはくさび比の変化パターンにおける値は、同一であってもよいし、同一でなくてもよい。
【0073】
同様に、
図2および
図6を参照すると、雌ねじ領域4は、第2の部分12に加えて、第2の部分12に隣接し、雌側自由端面8に最も近い第2の部分の側に位置する雌側遠位部分14を有する。また、雌ねじ領域4は、第2の部分12に隣接し、雌側自由端面8から最も遠い第2の部分の側に位置する反対側の雌側近位部分16を有する。雌側遠位部分14および雌側近位部分16の各々は、少なくとも360°で好ましくは2ターン有するねじ部を有する。雌側遠位部分14と雌側近位部分16は、スタブフランクおよび/またはロードフランクのうちの少なくとも1つのリードが、第2の部分で観察された値と異なる点で、第2の部分12によって区別される。
【0074】
図6を参照すると、雌側遠位部分14と雌側近位部分16が第2の部分12によって区別されるのは、スタブフランクのリードSFL_bによってのみである。ロードフランクのリードLFP_bは、ねじ部に沿ってすべて同じ値LFP_b1である。特に、遠位部分14および近位部分16における雌スタブフランクのリードは、互いに等しく、雄ロードフランクLFP_p1にも等しい雌ロードフランクのリードLFP_b1に等しい。第2の部分12における雌スタブフランクのリードは、雄ロードフランクリードLFP_b1よりも大きい値SFP_b1に達する。
【0075】
より詳細には、LFP_b1=LFP_p1およびSFP_b1=SFP_p1である。
【0076】
図7および
図8を参照すると、雌側遠位部分および雌側近位部分は、雌側リードにおける変化位置が接続部の長手方向軸に沿って重ね合わされていないことを除いて、雄ねじ部分の場合と同様に、スタブフランクリードおよびロードフランクリードの同様のタイプの変化を示す。
【0077】
本発明によれば、接続部がねじ込まれたときに、少なくとも以下のうちの1つが生じる。
・ 雄側近位部分15の歯は、第2の部分12の2つの隣接する歯の間隔に係合して、遷移領域20を画定し、および/または
・ 雌側近位部分16の歯は、第1の部分11の2つの隣接する歯の間隔に係合して、遷移領域21を画定する。
【0078】
間隔に係合する歯は、少なくとも360°の間隔に係合する少なくとも360°の歯であると解釈される。遷移領域20および21において、スタブフランクおよび/またはロードフランクの少なくとも1つとの接触がない。
【0079】
したがって、本発明による接続部がねじ込まれたときに、
・ 第2の部分12の雌ロック部10bは、自動ロック式構成で雄ねじ領域3に係合し、雌ロック部10bは、雌側近位部分16に隣接し、および/または
・ 第1の部分11の雄ロック部10pは、自動ロック式構成で雌ねじ領域4に係合し、雄ロック部10pは、雄側近位部分15に隣接する。
【0080】
ロック部10pおよび10bは、ロック領域を画定するロック式ねじ山である。
【0081】
したがって、ねじ込まれた位置において、
・ 雄側遠位部分13と第1の部分11の残部17、すなわちロック領域10に関与しない方の部分が、雌側近位部分16の間隔に係合し、および/または
・ 雌側遠位部分14と第2の部分12の残部18、すなわちロック領域10に関与しない方の部分が、雄側近位部分15の間隔に係合する。
【0082】
上記の「および/または」の選択肢に関して、
図1~
図3に示すものは、「および」である。
【0083】
図1~
図3に示す実施例において、ロック部10の両側には、少なくともスタブフランクが互いに干渉しないように開始する遷移領域20および21がある。遷移領域20は、第2の部分12の雌側残部18が雄側近位部分15に係合する箇所である。遷移領域21は、第1の部分11の雄側残部17が雌側近位部分16に係合する箇所である。
【0084】
第1の部分11は、雄ロック部10pと残部17とを含む。第2の部分12は、雌ロック部10bと残部18とを含む。
【0085】
図1~
図3を参照すると、ねじ接続部は、雄側遠位部分13が雌側近位部分16に係合する箇所において、遷移領域21から雄側自由端7まで、内側ねじ領域23を含む。対称的に、ねじ接続部は、雄側近位部分15が雌側遠位部分14に係合する箇所において、遷移領域20から雌側自由端8まで、外側ねじ領域22を含む。内側ねじ領域23および外側ねじ領域22において、それぞれの雄スタブフランクと雌スタブフランクとの間には、正のクリアランスが存在する。例えば、そのクリアランスは、少なくとも1mmであり、例えば5mm未満である。
【0086】
好ましくは、ロック領域10は、軸方向にねじ接続部の中間部に位置する。このように、第1の部分11の一部10pは、軸方向に雄ねじ領域3の中間部に位置し、第2の部分12の一部10bは、軸方向に雌ねじ領域4の中間部に位置する。一例として、ロック領域は、少なくとも最大10個のねじ山を含むことができるねじ接続部において、8個のねじ山を含み、好ましくは14個超、例えば16個のねじ山を含む。本発明によれば、
n=ロック領域のねじ山の数
とすると、接続部のねじ山の数は、例えば少なくとも1.25倍*n以上、より好ましくは少なくとも1.75倍*n以上、例えば2倍*nである。
【0087】
図6を参照すると、本発明の第1の実施形態によれば、
・ 雄スタブフランクリードSFP_pは、遠位部分13および雄側近位部分15においてそれぞれ変化されて、第1の部分で設定したロードフランクリードの値LFP_p1に達し、
・ 雌スタブフランクリードは、遠位部分14および雌側近位部分16においてそれぞれ変化されて、第1の部分に設定したロードフランクリードの値LFP_p1に達し、
・ 雄ロードフランクリードおよび雌ロードフランクリードは、接続部全体にわたって一定であり、LFP_p1にそれぞれ等しい。
【0088】
近位部分15と第1の部分11との間の雄スタブフランクリードSFP_p曲線の変化は515に位置し、逆側は第1の部分11と雄側遠位部分13との間の516に位置する。変化513および514は急激であり、1ターン未満、好ましくは180°未満で現れる。近位部分16と第2の部分12との間の雌スタブフランクリードSFP_b曲線の変化は513に位置し、逆側は第2の部分12と雌側遠位部分14との間の514に位置する。変化514および513は急激であり、1ターン未満、好ましくは180°未満で現れる。
【0089】
ねじ接続部において異なる軸方向位置で変化514および515が生じ、遷移領域20が変化514と515との間で定義される。対称的に、ねじ接続部において異なる軸方向位置で変化513および516が生じ、遷移領域21が変化513と516との間で定義される。本発明による遷移領域20および21によって、機械加工公差に起因する組み立てられた要素の軸方向位置の変化に関わらず、良好且つ有効なロック部を確保することができる。ロック領域の有効なシールは、そのロック部の複数の歯に対して効率的である。
【0090】
この第1の実施形態によれば、内側ねじ部23および外側ねじ部22において、雄ねじ山および雌ねじ山の両方は、同じロードフランクリードおよびスタブフランクリードを有する。したがって、内側ねじ部23に関与するすべての雄側歯は、外側ねじ部22に関与する雌側歯と同じ一定の山頂幅CWTpminを有する。雌側歯は、同じ山頂幅CWTbminを有する。内側ねじ部23は、雄ねじ終端面7に最も近い雄側遠位部分の歯を備える。これらの歯は、雄ねじ領域3全体のなかで最も小さい山頂幅の値を有する歯である。外側ねじ部22は、雌ねじ終端面8に最も近い雌側遠位部分の歯を備える。これらの歯は、雌ねじ領域4全体のなかで最も小さい山頂幅の値を有する歯である。両方の歯は、同じ山頂幅最小値を有する(CWTmin=CWTbmin=CWTpmin)。
【0091】
本発明によれば、ねじ込み時に初期のねじ山頂の干渉を回避するために、本発明者らは、歯の山頂幅と、ボックス側後部の非ロック式ねじ隙間の幅との関係によってそれを制御する必要があることを発見した。
【0092】
図4および
図5に示すように、有利には、雄ねじ山および雌ねじ山(または歯)は、アリ継ぎ式プロファイルを有する。このプロファイルにより、接続部が大きな曲げ応力または引張応力を受けたときに雄ねじ山および雌ねじ山が分離することに対応する飛び出し(jump-out)の危険性を回避することができる。より詳細には、アリ継ぎ式ねじ山の形状は、軸方向の歯幅がねじ山の基部から山頂に向けて減少する「台形」のねじ山と比較して、その組立体の半径方向の剛性を増加させる。有利には、ねじ山のロードフランクは、丸み部分によって、ねじ山頂と、隣接するねじ谷とに接続される。これらの丸み部分は、ロードフランクの基部の応力集中係数を減少させる。これにより、接続部の疲労現象を改善する。
【0093】
図4を参照すると、雄ねじ領域および雌ねじ領域の歯の山頂および谷は、ねじ接続部の長手方向軸Xに平行である。これにより、機械加工が容易になる。
【0094】
ねじ接続部の長手方向の断面に沿って、ロードフランクおよびスタブフランクの両方は、直線的なプロファイルを示す。ロードフランクおよびスタブフランクは、それぞれ長手方向軸Xに垂直な部分に対して角度αを形成する。長手方向軸Xに対して垂直に対向する側で画定され、且つ対向しているロードフランクの角度値は、スタブフランクの角度値に等しい。例えば、角度αは、1°~6°の範囲にあり、例えば5°に等しい。したがって、歯の山頂は、長手方向軸Xに沿った歯の幅を考慮すると、常にその歯の最大寸法となる。
【0095】
ねじ接続部は、ねじ込みの進行を容易にするように、テーパ状になっている。ピッチラインは、長手方向軸Xに対してテーパ角度φを有する。ピッチラインは、接続部の全体に沿って同じリード値を有する雄ねじ領域のフランクの整列した中心を通過すると定義される。第1の実施形態によれば、ロードフランクのリードは、雄ねじ領域のすべてに沿って同じ値であり続ける。そのため、ピン側ピッチラインは、ロードフランクの整列した中心を通過すると定義される。例えば、テーパ角度φは、1°~10°の範囲にあり、例えば4.7°に等しい。
【0096】
有利には、歯と係合していない雌側近位部分16の第1の隙間は、次式によって表される隙間幅BTGを有する。
【数4】
【0097】
式中、nはロック領域のロック式ねじ山の数を表し、SFP_p1は第1の部分におけるスタブフランクリードを表し、LFP_p1は第1の部分におけるロードフランクリードを表し、LFPp1-SFPp1はくさび比を表し、THは第1の部分におけるねじ山の公称高さを表し、PLHは第1の部分におけるピン側ピッチラインから谷までの距離を表す。スタブフランクリードが第1の部分において一定である場合、ピン側ピッチラインは、スタブフランクの中間の高さにおける点によって決定される。その一方で、スタブフランクリードが第1の部分において変化されている場合且つロードフランクが第1の部分において一定である場合、ピン側ピッチラインは、ロードフランクの中間の高さにおける点によって決定される。また、式中、αは接続部の軸に垂直なロードフランクおよびスタブフランクのそれぞれの角度を表し、φはテーパ角度を表す。テーパ角度は、雄ねじ領域および雌ねじ領域の母線と接続部の軸との間の角度である。
【0098】
また、BTGは、ロック領域に関与しないねじ山の歯の最小雌側ねじ隙間、例えば雌側近位部分16のねじ隙間である。
【0099】
歯の山頂幅、またはその歯の最大幅寸法は、雄ねじ終端面7に最も近い歯の山頂幅の最小値(CWTpmin)は、
【数5】
および
【0100】
【数6】
の式のうちの少なくとも1つ、好ましくは両方を満足する。
【0101】
例えば、本発明によれば、また、少なくとも
図6に示す第1の実施形態において、
【数7】
であり、BTG=3.5mmである。
【0102】
図7は、
図6に示す実施形態の代替実施形態であり、
図6との違いは、主に、ロードフランクリードとスタブフランクリードとの差異の変化が示されることである。
図7を参照すると、本発明の第2の実施形態によれば、
・ 雄ロードフランクリードLFP_pは、遠位部分13および雄側近位部分15からそれぞれ変化されて、第1の部分で設定したロードフランクリードの値LFP_p1に達し、
・ 雌ロードフランクリードLFP_bは、遠位部分13および雄側近位部分15からそれぞれ変化されて、第1の部分で設定したロードフランクリードの値LFP_p1に達し、
・ 雄スタブフランクおよび雌スタブフランクリードの両方は、接続部全体にわたって一定であり、SFP_p1にそれぞれ等しい。
【0103】
図8は、
図6に示す実施形態の別の代替実施形態であり、
図6との違いは、主に、それぞれの遠位部分および近位部分における雌部材および雄部材のロードフランクリードが、雄ロードフランクリードおよび雌ロードフランクリードの両方の値よりも大きいことを示すことである。ロードフランクリードは、接続部全体にわたって一定であり、LFP_p1にそれぞれ等しい。
【0104】
図9は、
図6の雄側リードの変化と
図7の雌側リードの変化を組み合わせたものであり、雄側リードの変化と雌側リードの変化の軸方向位置が重ならないことを一定の特徴としている。
【0105】
本発明は、遷移部分に隣接するロック部を備えるねじ接続部を包含する。遷移部分は、遷移部分と、遠位部分および近位部分の少なくとも1つと、の両方において歯が自動ロック式に係合しないように、遠位部分または近位部分に隣接する。例えば、自動ロック式構成にない歯は、スタブフランクが干渉せず、且つ雄側歯または雌側歯が同じ最小山頂幅を有するように構成される。
【0106】
本発明は、歯が両方の遷移部分において自動ロック式に係合しないように、ロック部の軸方向の両端部が遷移部分に隣接するロック部を備えるねじ接続部を包含する。
【0107】
必要とされる最小ねじ込みトルクは、55000ft.lbs(74570N.m)~70000ft.lbs(94907N.m)の範囲であってもよい。