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特許7186235コンクリートポンプ用のラージマニピュレータ及びコンクリートポンプ用のラージマニピュレータの関節式ブームの機械的振動を減衰するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】コンクリートポンプ用のラージマニピュレータ及びコンクリートポンプ用のラージマニピュレータの関節式ブームの機械的振動を減衰するための方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20221201BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E04G21/04
B25J9/06 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020545132
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019054392
(87)【国際公開番号】W WO2019166330
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】102018104491.7
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510312961
【氏名又は名称】プッツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ハイカー マイク
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツレ ベンヤミーン
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-510077(JP,A)
【文献】特開2000-192660(JP,A)
【文献】特開2000-170380(JP,A)
【文献】特開平05-230999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0298784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配ブーム(20)を有し、
ブーム架台(30)に設置された関節式ブーム(32)を有し、当該関節式ブームは、互いに関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から成り、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)とブーム先端を有し、及び
関節ジョイント(34,36,38,40,42)にそれぞれ割り当てられた駆動ユニット(68,78,80,82,84)のための駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)の援助により関節式ブーム(32)の移動を制御する制御装置(86)を有し、
少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)上のブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)を有し、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εを決定する装置(116)を有し、
制御装置(86)は、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDを提供することで関節式ブーム(32)の移動を制御し、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)により決定されるブームアーム位置(64)の垂直速度v||と、関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度を決定する装置(116)により決定される関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εと、ブームオペレータにより操作されるコントローラ(87)によって生成される分配ブーム(20)を調節するための制御信号Sとに依存する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおいて、
ブームアーム位置(64)の垂直速度を決定する装置(102)に及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εを決定する装置(116)に結合された、駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)を制御するためのコントローラアセンブリ(89)を有し、当該コントローラアセンブリは分配ブーム減衰ルーチン(154,155)を含み、
当該分配ブーム減衰ルーチンは、
(i)ブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)によってブームアーム位置(64)のために決定された垂直速度v||に基づいて、減衰力FD||を決定し、
(ii)決定された当該減衰力FD||を個々の関節ジョイント(34,36,38,40,42)に割り当てられる成分減衰力に分割し、及び
(iii)関節式ブーム(32)を減衰するための駆動ユニット作動要素(92,94,96,98,100)を制御するために、当該成分減衰力に基づいて、及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)のために、関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度を決定する装置(116)を用いて決定される関節角度εに基づいて、及び関節式ブーム(32)を減衰するための分配ブーム(20)の既知の物理量に基づいて、駆動ユニット作動要素(92,94,96,98,100)を制御するための減衰制御変数DSを決定し、当該減衰制御変数は、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDに含まれ、
分配ブーム減衰ルーチン(154,155)が、関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する成分減衰力に基づいて及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)の決定された関節角度に基づいて、関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成され得る成分目標減衰力FDを、又は関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成され得る成分目標減衰トルクMDを決定し、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(78,80,82,84)により生成される実際の力Fを決定する装置(176)又は関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(78,80,82,84)により生成される実際のトルクMを決定する装置(176)を有し、
分配ブーム減衰ルーチン(154,155)が、駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成される実際の力Fと生成すべき成分目標減衰力FDとの比較に基づいて、又は駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成される実際のトルクMと生成すべき成分目標減衰トルクMDとの比較から、分配ブーム(20)を減衰するために駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)のための減衰制御変数DSを決定する制御ステージ(178)を含み、
コントローラアセンブリ(89)が、コントローラ(87)の制御信号Sを分配ブーム(20)の関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εの目標値の形態の目標姿勢値PSに変換する分配ブーム目標姿勢値ルーチン(158)を有し、
コントローラアセンブリ(89)が、分配ブーム(20)の関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εのコントローラアセンブリ(89)に供給される実測値の形態の実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSに基づいて駆動ユニット(26,68,78,80,82及び84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDを決定する分配ブーム制御ルーチン(156)を含み、及び
コントローラアセンブリ(89)は、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(92,94,96,98,100)のための制御信号SWを形成するために、減衰制御変数DSと位置決め制御変数SDを重ね合わせるための重ね合わせルーチン(160)を有する、ことを特徴とするコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項2】
分配ブーム制御ルーチン(156)は、実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSとの差を決定し、この差をゼロ次保持フィルタ(196)で処理し、それを制御変数として、位置決め制御変数SDを出力するPIコントローラとして設計された制御ステージ(198)に送信する、ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項3】
前記重ね合わせルーチン(160)が、減衰制御変数DSを位置決め制御変数SDに加算する加算ルーチンとして設計されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項4】
分配ブーム(20)を有し、
ブーム架台(30)に設置された関節式ブーム(32)を有し、当該関節式ブームは、互いに関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から成り、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)とブーム先端を有し、及び
関節ジョイント(34,36,38,40,42)にそれぞれ割り当てられた駆動ユニット(68,78,80,82,84)のための駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)の援助により関節式ブーム(32)の移動を制御する制御装置(86)を有し、
少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)上のブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)を有し、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εを決定する装置(116)を有し、
制御装置(86)は、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための制御信号SWを提供することで関節式ブーム(32)の移動を制御し、当該制御信号SW は、ブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)により決定されるブームアーム位置(64)の垂直速度v||と、関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度を決定する装置(116)により決定される関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εと、ブームオペレータにより操作されるコントローラ(87)によって生成される分配ブーム(20)を調節するための制御信号Sとに依存する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおいて、
制御装置(86)は、ブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)に及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εを決定する装置(116)に結合したコントローラアセンブリ(89)を含み、分配ブーム垂直減衰ルーチン(1154)を有し、及び駆動ユニット(68,78,80,82,84)により生成される実際の力F又は実際のトルクMを計算する装置(176)を有し、
コントローラ(87)はコントローラアセンブリ(89’)に、コントローラアセンブリ(89)において分配ブーム(20)の関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εの目標値の形態の目標姿勢値PSに変換される制御信号Sを供給し、
駆動ユニット(68,78,80,82,84)により生成される決定された実際の力F又は実際のトルクM、前記装置(116)により決定されたブームアーム位置(64)の垂直速度v||及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)の決定された関節角度εが、分配ブーム垂直減衰ルーチン(1154)に連続的に供給され、
当該垂直減衰ルーチン(1154)は、
供給される実際の力F又は実際のトルクM及び供給される関節ジョイントの関節角度ε、及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づいて、ブームアーム位置(64)に作用する垂直力F||を決定し、
ブームアーム位置(64)に作用する垂直力F||をブームアーム位置(64)の目標垂直速度V||目標に変換し、
ブームアーム位置(64)の目標垂直速度V||目標とブームアーム位置(64)のために決定される垂直速度v||の間の垂直比較値Δv||を決定し、
垂直比較値Δv||は、供給される関節ジョイントの関節角度εに基づく及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づく逆変換により関節ジョイント(34,36,38,40,42)の逆変換角速度ε i逆に変換され、及び
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の逆変換角速度ε i逆は、次いで、一定時間間隔Δtにわたって積分ステージとして設計された角速度計算ステージ(163)において積分され、目標姿勢値PSを定める、関節ジョイントの関節角度εの目標値を形成し、前記コントローラアセンブリ(89’)は分配ブーム制御ルーチン(1156)を有し、当該分配ブーム制御ルーチン(1156)は、入力ルーチン(152)から、関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度を決定する装置(116)により決定される関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εの実測値の形態で実際の姿勢値PIを受信し、そこで実施される制御ループを用いて、実際の姿勢値PI及び目標姿勢値PSに基づいて駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDを決定し、当該位置決め制御変数は、出力ルーチン(162)において、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための制御信号SWに変換される、ことを特徴とするコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項5】
少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)上のブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)は、関節式ブーム(32)のブーム先端の速度を決定するように設計されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項6】
少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)上のブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)は、ブームアーム(44,46,48,50,52)に配置された速度センサ及び/又は加速度センサ(106,112)、及び/又は重力の方向に対してブームアーム(44,46,48,50,52)の位置を記録する角度センサを含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項7】
ブーム架台(30)がフレーム(16)に配置されていて、垂直軸(18)の周りに回転でき、
制御装置(86)は、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)のための少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)によって垂直軸(18)の周りにブーム架台(30)の回転運動を制御するように設計されており、
垂直軸(18)と垂直な平面内及びフレーム(16)に関連付けられた座標系(104)内でブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)が設置されており、及び垂直軸(18)の周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)が設置されており、
制御装置(86)は、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)の少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)のための位置決め制御変数SD90を与えることで関節式ブーム(32)の移動を制御し、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)により決定されるブームアーム位置(64)の水平速度vと、ブームオペレータにより操作できるコントローラ(87)によって及び垂直軸(18)の周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)により生成される分配ブーム(20)を調節する制御信号Sとに依存する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項8】
フレーム(16)に配置されていて、フレーム(16)上で垂直軸(18)の周りに回転できるブーム架台(30)を有する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータであって、
ブーム架台(30)に設置された関節式ブーム(32)を有する分配ブーム(20)を有し、当該関節式ブームは、共に関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から作られ、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してそれぞれ水平且つ相互に平行な関節軸周りにブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)とブーム先端を有し、及び
垂直軸(18)に関連する駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)の援助により垂直軸(18)周りの関節式ブーム(32)の移動を制御する制御装置(86)を有し、
垂直軸(18)と垂直な平面内及びフレーム(16)に関連付けられた座標系(104)内でブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)と、垂直軸(18)の周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)とを有し、
制御装置(86)は、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)の少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)のための位置決め制御変数SD90を与えることで関節式ブーム(32)の移動を制御し、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)により決定されるブームアーム位置(64)の水平速度vと、ブームオペレータにより操作できるコントローラ(87)によって及び垂直軸(18)の周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)により生成される分配ブーム(20)を調節する制御信号Sとに依存する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおいて、
水平速度v を決定する装置(110)に及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εを決定する装置(116)に結合した、駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)を制御するためのコントローラアセンブリ(89)を有し、
当該コントローラアセンブリは、分配ブーム減衰ルーチン(155)を有し、
当該分配ブーム減衰ルーチンは、
(i)水平速度vを決定する装置(110)によって決定された少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)の部分の水平速度v に基づいて、減衰力FDを決定し、及び
(ii)当該減衰力に基づいて、及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εを決定する装置(116)により決定される関節角度εに基づいて、及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づいて、関節式ブーム(32)を減衰するための、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)のための減衰制御変数DSを決定し、当該減衰制御変数は、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)の少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)を制御するための位置決め制御変数SD90に含まれ、
分配ブーム減衰ルーチン(155)が、ブーム架台(30)の回転軸(18)と垂直な平面内でのブームアーム位置(64)の水平速度vに基づいて目標減衰力FD又は目標減衰トルクMD=v (ここで、D は減衰定数である)を決定し、及び
駆動ユニット(26)により生成される実際の力F又は駆動ユニット(26)により生成される実際のトルクMを決定する装置(176)を有し、
分配ブーム減衰ルーチン(155)は、駆動ユニット(26)により生成される実際の力Fと生成すべき成分目標減衰力FDとの比較に基づいて、又は駆動ユニット(26)により生成される実際のトルクMと生成すべき成分目標減衰トルクMDとの比較に基づいて、分配ブーム(20)を減衰するために駆動ユニット(26)のための減衰制御変数DSを決定する制御ステージ(178)を含み、
コントローラアセンブリ(89)は、コントローラ(87)の制御信号Sを、垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の目標値の形態の目標姿勢値PSに変換する分配ブーム目標姿勢値ルーチン(158)を含み、
コントローラアセンブリ(89)は、垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の、コントローラアセンブリ(89)に供給される実測値の形態の実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSに基づいて駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)のための位置決め制御変数SD90を決定する分配ブーム制御ルーチン(156)を含み、及び
コントローラアセンブリ(89)は、駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)のための制御信号SW90を形成するために、減衰制御変数DS90と位置決め制御変数SD90を重ね合わせるための重ね合わせルーチン(160)を有する、ことを特徴とするコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項9】
フレーム(16)に配置されていて、フレーム(16)上で垂直軸(18)の周りに回転できるブーム架台(30)を有する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータであって、
ブーム架台(30)に設置された関節式ブーム(32)を有する分配ブーム(20)を有し、当該関節式ブームは、互いに関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から作られ、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してそれぞれ水平且つ相互に平行な関節軸周りにブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)とブーム先端を有し、及び
垂直軸(18)に関連する駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)の援助により垂直軸(18)周りの関節式ブーム(32)の移動を制御する制御装置(86)を有し、
垂直軸(18)と垂直な平面内及びフレーム(16)に関連付けられた座標系(104)内でブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)と、垂直軸(18)の周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)とを有し、
制御装置(86)は、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)のための少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)のための制御信号SW 90 を与えることで関節式ブーム(32)の移動を制御し、当該制御信号SW 90 は、ブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)により決定されるブームアーム位置(64)の水平速度vと、ブームオペレータにより操作できるコントローラ(87)によって及び垂直軸(18)の周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)により生成される分配ブーム(20)を調節する制御信号Sとに依存する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおいて、
駆動ユニット(26)により生成される実際のトルクM18を計算する装置(176)を有し、
コントローラ(87)はコントローラアセンブリ(89)に、コントローラアセンブリ(89)において垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の目標値の形態の目標姿勢値PS18に変換される制御信号Sを供給し、
分配ブーム水平減衰ルーチン(1155)を有するコントローラアセンブリ(89’)を含む制御装置(86)を有し、
前記分配ブーム水平減衰ルーチンには、決定された、駆動ユニット(26)により生成される実際のトルクM18、ブームアーム位置(64)の決定された水平速度v及び決定された垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18が連続的に供給され、
前記分配ブーム水平減衰ルーチン(1155)は、
供給される実際のトルクM18及び供給される垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18に基づいて、及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づいて、ブームアーム位置(64)に作用する垂直な水平力Fを決定し、
ブームアーム位置(64)に作用する水平力Fをブームアーム位置(64)の目標水平速度V⊥目標に変換し、
ブームアーム位置(64)の目標水平速度V⊥目標及びブームアーム位置(64)の決定された水平速度vに基づいて、水平比較値Δvを決定し、
前記水平比較値Δvを、供給される垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18に基づく及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づく逆変換により垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の逆変換角速度ε 18逆に変換し、及び
垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の逆変換角速度ε 18逆は、一定時間間隔Δtにわたって積分ステージとして設計された角速度計算ステージ(163)において積分され、目標姿勢値PS18を定める、回転角度ε18の目標値を形成し、
前記コントローラアセンブリ(89’)は分配ブーム制御ルーチン(1156)を有し、当該分配ブーム制御ルーチン(1156)は、入力ルーチン(152)から、垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(116)からの実測値の形態で実際の姿勢値PI18を受信し、そこで実施される制御ループを用いて、実際の姿勢値PI18及び目標姿勢値PS18に基づいて位置決め制御変数SD18としての制御姿勢値PG18を決定し、当該制御姿勢値は、出力ルーチン(162)において、垂直軸(18)に関連する駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)のための制御信号SW90に変換される、ことを特徴とするコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項10】
ブームアーム位置(64)は関節式ブーム(32)のブーム先端である、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載のコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項11】
少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)上のブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)は、ブームアーム(44,46,48,50,52)に配置された速度センサ及び/又は加速度センサ(106’,112’)、及び/又は垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度を検出する角度センサ(129)を含む、ことを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載のコンクリートポンプ用のラージマニピュレータ。
【請求項12】
コンクリートポンプ用のラージマニピュレータの関節式ブーム(32)の機械的振動を減衰するための方法であって、
前記ラージマニピュレータは、ブーム架台(30)に設置され、互いに関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から作られた関節式ブーム(32)であって、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してそれぞれ水平且つ相互に平行な関節軸の周りにブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)とブーム先端を有する関節式ブーム(32)を有する分配ブーム(20)を有し、及び、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)にそれぞれ割り当てられた駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)のための駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)の援助により関節式ブーム(32)の移動を制御する制御装置(86)を有し、
ブームアーム位置(64)の垂直速度v||は関節式ブーム(32)と平行な平面内及びフレーム(16)に関連付けられた座標系(104)内で決定され、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度が決定され、及び
駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDが生成され、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)により決定されるブームアーム位置(64)の垂直速度v||と、関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度を決定する装置(116)により決定される関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εと、ブームオペレータにより操作できるコントローラ(87)によって生成される分配ブーム(20)を調節する制御信号Sとに依存する、方法において、
(i)減衰力FD||が、ブームアーム位置(64)のために決定される垂直速度v||に基づいて決定され、
(ii)決定された当該減衰力FD||が、個々の関節ジョイント(34,36,38,40,42)に割り当てられる成分減衰力に分割され、及び
(iii)関節式ブーム(32)を減衰するための駆動ユニット作動要素(92,94,96,98,100)を制御するための特定の減衰制御変数DSが、当該成分減衰力に基づいて、及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(68,78,80,82,84)のために決定される関節角度εに基づいて、及びブームアーム(44,46,48,50,52)を減衰するための分配ブーム(20)の既知の物理量に基づいて提供され、当該減衰制御変数は、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDに含まれ、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成され得る成分目標減衰力FD、又は関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成され得る成分目標減衰トルクMDが、関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する成分減衰力に基づいて及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)のために決定された関節角度に基づいて決定され、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(78,80,82,84)により生成される実際の力F、又は関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(78,80,82,84)により生成される実際のトルクMが決定され、
分配ブーム(20)を減衰するための減衰制御変数DSが、駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成される実際の力Fと生成すべき成分目標減衰力FDとの比較に基づいて、又は駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)により生成される実際のトルクMと生成すべき成分目標減衰トルクMDとの比較に基づいて決定され、
コントローラ(87)の制御信号Sが、分配ブーム(20)の関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εの目標値の形態の目標姿勢値PSに変換され、
駆動ユニット(26,68,78,80,82及び84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDが、分配ブーム(20)の関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εの実測値の形態の実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSに基づいて決定され、及び
減衰制御変数DSと位置決め制御変数SDが重ね合わされ、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(92,94,96,98,100)のための制御信号SWを形成する、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
コンクリートポンプ用のラージマニピュレータの関節式ブーム(32)の機械的振動を減衰するための方法であって、
前記ラージマニピュレータは、ブーム架台(30)に設置され、互いに関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から作られた関節式ブーム(32)であって、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してそれぞれ水平且つ相互に平行な関節軸の周りにブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)とブーム先端を有する関節式ブーム(32)を有する分配ブーム(20)を有し、
関節式ブーム(32)の移動が、関節ジョイント(34,36,38,40,42)にそれぞれ割り当てられた駆動ユニット(26,68,78,80,82,84)のための駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)の援助により制御され、
ブームアーム位置(64)の垂直速度v||が、関節式ブーム(32)と平行な平面内及びフレーム(16)に関連付けられた座標系(104)内で決定され、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度が決定され、及び
駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDが生成され、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置(64)の垂直速度v||を決定する装置(102)により決定されるブームアーム位置(64)の垂直速度v||と、関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度を決定する装置(116)により決定される関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度εと、ブームオペレータにより操作できるコントローラ(87)によって生成される分配ブーム(20)を調節する制御信号Sとに依存する、方法において、
生成される実際の力F又は実際のトルクMが駆動ユニット(68,78,80,82,84)により決定され、
ブームアーム位置(64)に作用する垂直力F||が、供給された実際の力F又は実際のトルクM及び供給された関節ジョイントのための関節角度εに基づいて、並びに分配ブーム(20)の既知の物理量から決定され、
少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)上のブームアーム位置(64)の垂直速度v||が決定され、
ブームアーム位置(64)に作用する垂直力F||が、ブームアーム位置(64)の目標垂直速度V ||目標 に変換され、
垂直比較値Δv||が、ブームアーム位置(64)の目標垂直速度V ||目標 及びブームアーム位置(64)のために決定される垂直速度v||に基づいて決定され、
垂直比較値Δv||は、供給される関節ジョイントの関節角度εに基づく及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づく逆変換によって、関節ジョイント(34,36,38,40,42)の逆変換角速度ε i逆に変換され、及び
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の逆変換角速度ε i逆は、一定時間間隔Δtにわたって積分され、目標姿勢値PSを定める、関節ジョイントの関節角度εの目標値を形成し、
駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための位置決め制御変数SDが、制御ループを用いて、実際の姿勢値PI及び目標姿勢値PSに基づいて決定され、次に、駆動ユニット(68,78,80,82,84)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)のための制御信号SWに変換される、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
ブーム先端の垂直速度v||はブームアーム位置(64)の垂直速度v||として決定される、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおける関節式ブーム(32)の機械的振動を減衰するための方法であって、
前記ラージマニピュレータは、フレーム(16)に配置されていて、フレーム(16)上で垂直軸(18)の周りに回転できるブーム架台(30)を有し、
前記ラージマニピュレータは、ブーム架台(30)に設置された、互いに関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から作られた関節式ブーム(32)であって、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してそれぞれ水平且つ相互に平行な関節軸の周りにブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)及びブーム先端を有する関節式ブーム(32)を有する分配ブーム(20)を有し、及び、
前記ラージマニピュレータは、垂直軸(18)に割り当てられた駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)の援助により垂直軸(18)周りの関節式ブーム(32)の移動を制御する制御装置(86)を有し、
ブームアーム位置(64)の水平速度vが、垂直軸(18)と垂直な平面内及びフレーム(16)に関連付けられた座標系(104)内で決定され、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度が決定され、及び
関節式ブーム(32)の移動が、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)の少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)のための位置決め制御変数SD90を提供することで制御され、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)により決定されるブームアーム位置(64)の水平速度vと、垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)により及びブームオペレータにより操作できるコントローラ(87)によって生成される分配ブーム(20)を調節する制御信号Sとに依存する、方法において、
(i)減衰力FDが、決定された水平速度vに基づいて決定され、及び
(ii)関節式ブーム(32)を減衰するために、減衰制御変数DSが、前記減衰力FDに基づいて、及び関節ジョイント(34,36,38,40,42)に関連する駆動ユニット(68,78,80,82,84)のために決定される関節角度εに基づいて、及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づいて決定され、当該減衰制御変数は、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)の少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)を制御するための位置決め制御変数SD90に含まれ、
目標減衰力FD又は目標減衰トルクMD=v (ここで、D は減衰定数である)が、ブーム架台(30)の回転軸(18)と垂直な平面内でのブームアーム位置(64)の水平速度vに基づいて決定され、及び
駆動ユニット(26)により生成される実際の力F又は駆動ユニット(26)により生成される実際のトルクMが決定され、
分配ブーム(20)を減衰するための減衰制御変数DSが、駆動ユニット(26)により生成される実際の力Fと生成すべき成分目標減衰力FDとの比較に基づいて、又は駆動ユニット(26)により生成される実際のトルクMと生成すべき成分目標減衰トルクMDとの比較に基づいて決定され、
コントローラ(87)の制御信号Sが、垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の目標値の形態の目標姿勢値PSに変換され、
駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)のための位置決め制御変数SD90が、垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の実測値の形態の実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSに基づいて決定され、及び
減衰制御変数DS90と位置決め制御変数SD90が重ね合わされ、駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)のための制御信号SW90が形成される、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおける関節式ブーム(32)の機械的振動を減衰するための方法であって、
前記ラージマニピュレータは、フレーム(16)に配置されていて、フレーム(16)上で垂直軸(18)の周りに回転できるブーム架台(30)を有し、
前記ラージマニピュレータは、ブーム架台(30)に設置された、互いに関節式に連結した多数のブームアーム(44,46,48,50,52)から作られた関節式ブーム(32)であって、ブーム架台(30)又は隣接するブームアーム(44,46,48,50,52)に対してそれぞれ水平且つ相互に平行な関節軸の周りにブームアーム(44,46,48,50,52)を回動させる多数の関節ジョイント(34,36,38,40,42)及びブーム先端を有する関節式ブーム(32)を有する分配ブーム(20)を有し、
垂直軸(18)周りの関節式ブーム(32)の移動が、垂直軸(18)に割り当てられた駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90,92,94,96,98,100)の援助により制御され、
ブームアーム位置(64)の水平速度vが、垂直軸(18)と垂直な平面内及びフレーム(16)に関連付けられた座標系(104)内で決定され、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度が決定され、及び
関節式ブーム(32)の移動が、ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)の少なくとも1つの駆動ユニット作動要素(90)のための位置決め制御変数SD90を提供することで制御され、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置(64)の水平速度vを決定する装置(110)により決定されるブームアーム位置(64)の水平速度vと、垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18を決定する装置(128)により及びブームオペレータにより操作できるコントローラ(87)によって生成される分配ブーム(20)を調節する制御信号Sとに依存する、方法において、
垂直軸(18)に関連する駆動ユニット(26)により生成される実際の力F又は垂直軸(18)に関連する駆動ユニット(26)により生成される実際のトルクMが決定され、
ブームアーム位置(64)の水平速度vが、少なくとも1つのブームアーム(44,46,48,50,52)において決定され、
関節ジョイント(34,36,38,40,42)の関節角度ε、その垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18が決定され、
ブームアーム位置(64)に作用する水平力Fが、供給される実際の力F又は実際のトルクM及び供給される関節ジョイントの関節角度εに基づいて、並びに分配ブーム(20)の既知の物理量に基づいて決定され、
ブームアーム位置(64)に作用する水平力Fが、ブームアーム位置(64)の目標水平速度V ⊥目標 に変換され、
水平比較値Δvが、ブームアーム位置(64)の目標水平速度V ⊥目標 及びブームアーム位置(64)のために決定される水平速度vから決定され、
水平比較値Δvは、供給される垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18に基づく及び分配ブーム(20)の既知の物理量に基づく逆変換によって、その垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の逆変換角速度ε 18逆に変換され、及び
垂直軸(18)周りのブーム架台(30)の回転角度ε18の逆変換角速度ε 18逆は、一定時間間隔Δtにわたって積分され、目標姿勢値PS18を定める、回転角度ε18の目標値を形成し、
ブーム架台(30)に関連する駆動ユニット(26)のための、位置決め制御変数SD18の形態の制御姿勢値PG18が、制御ループを用いて、実際の姿勢値PI18及び目標姿勢値PS18に基づいて決定され、垂直軸(18)に関連する駆動ユニット(26)の駆動ユニット作動要素(90)ための制御信号SW90に変換される、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
ブーム先端の水平速度vはブームアーム位置(64)の水平速度vとして決定される、ことを特徴とする請求項15又は16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分配ブーム(distributor boom)を有し、ブーム架台に設置された関節式ブーム(articulated boom)を有し、当該関節式ブームは、互いに関節式に連結した多数のブームアームから作られ、ブーム架台又は隣接するブームアームに対してブームアームを回動させる多数のジョイント(連結部)とブーム先端を有する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータに関する。当該ラージマニピュレータは、関節ジョイント(articulated joints)にそれぞれ割り当てられた駆動ユニットのための駆動ユニット作動要素の援助により関節式ブームの運動を制御する制御装置を含む。この場合、ブーム架台はフレームに配置されてもよく、垂直軸の周りに回転可能であってもよい。本発明はさらに、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータの分配ブームの機械的振動を減衰するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなラージマニピュレータ及びコンクリートポンプ用のラージマニピュレータの分配ブームの機械的振動を減衰するためのこのような方法は、特許文献1から公知である。特許文献1のラージマニピュレータは、少なくとも3つのブームアームからなる関節式ブームを備えた分配ブームを有し、そのブームアームは駆動ユニットによりそれぞれ水平な及び平行な関節軸の周りに限られた範囲で回動できる。このラージマニピュレータは、個々の駆動ユニットに関連する複数の作動要素の援助によるブーム移動のための制御装置と、関節式ブームにおける機械的振動を減衰するための手段を有する。ラージマニピュレータの場合のブーム減衰に関して、問題のブームアームの機械的振動から得られる時間依存測定変数が決定され、当該測定変数はダイナミック減衰信号を生成するために評価ユニットで処理され、問題の駆動ユニットを制御する作動要素に接続される。
【0003】
このようなラージマニピュレータの分配ブームの構造は、固有振動に励起され得る弾性振動性システムである。このような振動の共鳴励起によって、ブーム先端は1m以上の振幅で振動し得る。振動は、例えば、コンクリートポンプの脈動稼働、その結果生じる周期的加速及び吐出ラインを介して押されたコンクリート柱の減速によって励起され得る。結局、コンクリートはもはや均等に分配され得ず、エンドホースをガイドする作業員が危険に晒される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】EP1319110B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、公知のラージマニピュレータよりも安定的な減衰挙動を有するコンクリートポンプ用のラージマニピュレータを提供すること、また所望でない振動をラージマニピュレータの姿勢にかかわらず効率的に減衰することができるラージマニピュレータの機械的振動を減衰する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1,4,8及び請求項で特定されるラージマニピュレータによって、また請求項12,13,15及び16で特定される方法によって達成される。
【0007】
本発明の有利な実施形態は従属請求項に特定されている。
【0008】
請求項1で特定されるコンクリートポンプ用のラージマニピュレータは、ブーム架台に設置された関節式ブームを有する分配ブームを有し、当該関節式ブームは、互いに関節式に連結した多数のブームアームから作られ、ブーム架台又は隣接するブームアームに対してブームアームを回動させる多数のジョイントとブーム先端を有する。当該ラージマニピュレータは、関節ジョイントにそれぞれ割り当てられた駆動ユニットのための駆動ユニット作動要素の援助により関節式ブームの移動を制御する制御装置を含む。ラージマニピュレータには、関節式ブームと平行な平面内及びフレームに関連付けられた座標系内で少なくとも1つのブームアーム上のブームアーム位置の垂直速度v||を決定する装置が設置されている。また、ジョイントの関節角度(articulating angles)を決定する装置も設置されている。
【0009】
本ケースでは、ブームアーム位置の垂直速度v||は、重力の方向におけるブームアーム位置の速度であると理解される。
【0010】
制御装置は、駆動ユニットの作動要素のための位置決め制御変数SDを提供することで関節式ブームの移動を制御する。当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置の垂直速度v||を決定する装置により決定されるブームアーム位置の垂直速度v||と、ジョイントの関節角度を決定する装置により決定されるジョイントの関節角度εと、ブームオペレータにより操作されるコントローラによって生成される分配ブームを調節するための制御信号Sとに依存する。
【0011】
ラージマニピュレータの1つの好ましい実施形態によれば、制御装置は、ブームアーム位置の垂直速度を決定する装置に及びジョイントの関節角度を決定する装置に結合された、作動要素を制御するように意図されたコントローラアセンブリを有し、コントローラアセンブリは分配ブーム減衰ルーチンを含む。この場合、分配ブーム減衰ルーチンは、速度を決定する装置によって決定されたブームアーム位置の垂直速度v||に基づいて、減衰力FD||を決定し、その減衰力を個々のジョイントに割り当てられる成分減衰力(component damping forces)に分割する。成分減衰力に基づいて、及びジョイントの関節角度εを決定する装置を用いて決定される関節ジョイントに関連する駆動ユニットのための関節角度から、及び分配ブームの既知の物理量から、駆動ユニット作動要素を制御するための減衰制御変数DSが次に関節式ブームを減衰するために決定され、それは駆動ユニットの作動要素のための位置決め制御変数SDに含まれる(入れられる)。
【0012】
分配ブームの既知の物理変数は好ましくは、分配ブームのジョイントのジョイント運動学と、ブームアームの幾何学形状、特にそれらの長さを含む。
【0013】
ラージマニピュレータにおける少なくとも1つのブームアーム上のブームアーム位置の速度を決定する装置は、特に、関節式ブームのブーム先端の垂直速度v||を決定するように設計されている。
【0014】
本発明の1つのコンセプトは、分配ブーム減衰ルーチンが、ジョイントに関連する成分減衰力に基づいて及びジョイントのために決定される関節角度εに基づいて、ジョイントに関連する駆動ユニットにより生成されるべき成分目標減衰力FDを、又はジョイントに関連する駆動ユニットにより生成され得る成分目標減衰トルクMDを決定することである。
【0015】
特に、ラージマニピュレータは、ジョイントに関連する駆動ユニットにより生成される実際の力Fを決定する装置又はジョイントに関連する駆動ユニットにより生成される実際のトルク(モーメント)Mを決定する装置を含んでもよい。
【0016】
これに関連して、分配ブーム減衰ルーチンが、駆動ユニットにより生成される実際の力Fと生成すべき成分目標減衰力FDとの比較に基づいて、又は駆動ユニットにより生成される実際のトルクMと生成すべき成分目標減衰トルクMDとの比較から、分配ブームを減衰するために駆動ユニットのための減衰制御変数DSを決定する制御ステージを含むと有利である。
【0017】
この成分目標減衰力FD又はこの成分目標減衰トルクMDはそのとき、ジョイントに関連する駆動ユニットにより生成される。この場合、ラージマニピュレータにおける制御装置は、制御信号Sをコントローラアセンブリに供給するコントローラを含んでもよく、コントローラアセンブリはそのとき好ましくは、制御信号Sを分配ブームのジョイントの関節角度εのための設定値(所望値)の形態の姿勢設定値PSに翻訳する(転換する)分配ブーム姿勢設定値ルーチンを有する。
【0018】
本発明の別なコンセプトは、コントローラアセンブリが、コントローラアセンブリにより供給される分配ブームのジョイントの関節角度εのための実測値の形態の実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSに基づいて駆動ユニットの作動要素のための位置制御変数SDを決定する分配ブーム制御ルーチンを含むことである。分配ブーム制御ルーチンは、例えば実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSの間の差を決定し、この差をゼロ次保持フィルタで処理し、それを制御変数として、位置決め制御変数SDを出力するPIコントローラとして設計された制御ステージに送信する。
【0019】
コントローラアセンブリは好ましくは、駆動ユニットの作動要素のための制御信号SWを形成するために、減衰制御変数DSと位置決め制御変数SDを重ね合わせるための重ね合わせルーチンを有する。特に、本発明の1つのコンセプトは、前記重ね合わせルーチンが、減衰制御変数DSを位置決め制御変数SDに加算する加算ルーチンとして設計されていることである。
【0020】
加えて、本発明は、少なくとも1つのブームアーム上のブームアーム位置の垂直速度v||を決定する装置が、ブームアームに配置された速度センサ及び/又は加速度センサ及び/又は重力方向に対してブームアームの位置を検出する角度センサを含むことを提案する。
【0021】
別な実施形態によれば、ラージマニピュレータは、駆動ユニットにより生成される実際の力F又は実際のトルクMを計算する装置を有してもよく、この場合、制御装置は、駆動ユニットにより生成される実際の力F又は実際のトルクM、ブームアーム位置のために決定される垂直速度v||及び関節ジョイントのために決定される関節角度εを連続的に供給される分配ブーム垂直減衰ルーチンを有するコントローラアセンブリを含む。それにより、分配ブーム垂直減衰ルーチンは、供給される実際の力F又は実際のトルクM及びジョイントの供給される関節角度ε、及び分配ブームの既知の物理量に基づいて、ブームアーム位置に作用する垂直力F||を決定する。分配ブーム垂直減衰ルーチンは、ブームアーム位置に作用する垂直力F||をブームアーム位置の目標垂直速度V||目標に変換する。ブームアーム位置の目標垂直速度V||目標及びブームアーム位置のために決定される垂直速度v||に基づいて、分配ブーム垂直減衰ルーチンは、垂直比較値Δv||を決定する。この垂直比較値Δv||は次いで、ジョイントの供給される関節角度εに基づく及び分配ブームの既知の物理量に基づく逆変換により関節ジョイントの逆変換角速度ε i逆に変換される。分配ブーム垂直減衰ルーチンは、関節ジョイントの逆変換によって得られる逆変換角速度ε i逆を分配ブーム制御ルーチンに供給される実際の角速度ε と比較するルーチンであって、この比較に基づいて、駆動ユニットの作動要素のための位置決め制御変数SDを決定する分配ブーム制御ルーチンを含む。
【0022】
当該ラージマニピュレータの有利な実施形態では、コントローラは、コントローラアセンブリ内で分配ブームの関節ジョイントの関節角度εの目標値の形態の目標姿勢値PSに変換される制御信号Sをコントローラアセンブリに送信する。
【0023】
この場合、少なくとも1つのブームアーム上のブームアーム位置の垂直速度v||を決定する装置は好ましくは、関節式ブームのブーム先端の速度を決定するように設計されている。
【0024】
少なくとも1つのブームアーム上のブームアーム位置の垂直速度v||を決定する装置は、ブームアームに配置された速度センサ及び/又は加速度センサ及び/又は重力の方向に対してブームアームの位置を検出する角度センサを含んでもよいことを付記する。
【0025】
本発明はさらに、ブーム架台がフレームに配置されていて、垂直軸の周りに回転できるラージマニピュレータにも拡張される。制御装置は、ブーム架台に関連する駆動ユニットの少なくとも1つの作動要素の援助により垂直軸の周りにブーム架台の回転運動を制御するように設計されている。この場合、垂直軸と垂直な平面内及びフレームに関連付けられた座標系内でブームアーム位置の水平速度vを決定する装置が設置されており、また垂直軸の周りのブーム架台の回転角度ε18を決定する装置が設置されている。制御装置は、ブーム架台に関連する駆動ユニットの少なくとも1つの作動要素のための位置決め制御変数SD90を与えることで関節式ブームの運動を制御し、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置の水平速度vを決定する装置により決定されるブームアーム位置の水平速度vと、ブームオペレータにより操作できるコントローラによって及び垂直軸の周りのブーム架台の回転角度ε18を決定する装置により生成される分配ブームを調節する制御信号Sとに依存する。
【0026】
この種のラージマニピュレータは、水平速度vを決定する装置に及び関節ジョイントの関節角度εを決定する装置に連結した、作動要素を制御するためのコントローラアセンブリであってもよい。当該作動要素は、水平速度vを決定する装置により決定される少なくとも1つのブームアームの部分の水平速度に基づいて減衰力FD⊥を決定するルーチンであって、当該減衰力FD⊥に基づき及び関節ジョイントの関節角度εを決定する装置により決定される関節角度εに基づき及び分配ブームの既知の物理量から、関節式ブームを減衰するための、ブーム架台に関連する駆動ユニットのための減衰制御変数DSを決定する分配ブーム制御ルーチンを含み、当該制御変数は、ブーム架台に関連する駆動ユニットの少なくとも1つの作動要素を制御するための位置決め制御変数SD90に含まれる。
【0027】
それに代えて、ラージマニピュレータは、垂直軸に関連する駆動ユニットにより生成される実際の力F又は実際のトルクMを計算する装置することも可能であり、この場合、制御装置は、垂直軸に関連する駆動ユニットにより生成される決定された実際の力F又は垂直軸に関連する駆動ユニットにより生成される決定された実際のトルクM、ブーム位置の決定された水平速度v及び関節ジョイントの決定された関節角度εが連続的に供給される分配ブーム水平減衰ルーチンを有するコントローラアセンブリを含む。当該分配ブーム水平減衰ルーチンは、供給される実際の力F又は供給される実際のトルクM及びジョイントの供給される関節角度ε、及び分配ブームの既知の物理量に基づいて、ブームアーム位置に作用する水平力Fを決定し、ブームアーム位置に作用する水平力Fをブームアーム位置のための目標水平速度V⊥目標に変換し、ブームアーム位置の目標水平速度V⊥目標及びブームアーム位置の決定された水平速度vに基づいて、水平比較値Δvを決定し、前記水平比較値Δvを、ジョイントの供給される関節角度εに基づく及び分配ブームの既知の物理量に基づく逆変換によりその垂直軸の周りのブーム架台の逆変換角速度ε 18逆に変換する。当該分配ブーム水平減衰ルーチンは、逆変換によって得られる、その垂直軸周りのブームフレームの逆変換角速度ε 18逆を、分配ブーム制御ルーチンに供給される関節ジョイントの実際の角速度ε と比較するルーチンであって、この比較に基づいて、垂直軸に関連する駆動ユニットのための位置決め制御変数SD90を決定する分配ブーム制御ルーチンを含む。
【0028】
この場合、ブームアーム位置は関節式ブームのブーム先端であってもよい。少なくとも1つのブームアーム上のブームアーム位置の水平速度vを決定する装置は、ブームアームに配置された速度センサ及び/又は加速度センサ及び/又は垂直軸周りのブーム架台の回転角度を検出する角度センサを含んでもよいことを付記する。
【0029】
本発明はさらに、ブーム架台に設置され、互いに関節式に連結した多数のブームアームから作られた関節式ブームであって、ブーム架台又は隣接するブームアームに対してそれぞれ水平で平行な関節軸の周りにブームアームを回動させる多数のジョイント(連結部)とブーム先端を有する関節式ブームを有するコンクリートポンプ用のラージマニピュレータの関節式ブームの機械的振動を減衰するための方法にも及ぶ。それは、関節ジョイントにそれぞれ関連する駆動ユニットのための作動要素の援助により関節式ブームの運動を制御する制御装置を含む。この場合、ブームアーム位置の垂直速度v||は関節式ブームと平行な平面内及びフレームに関連付けられた座標系内で決定される。関節ジョイントの関節角度が決定され、位置決め制御変数SDが駆動ユニットの作動要素のために生成され、当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置の垂直速度v||を決定する装置により決定されるブームアーム位置の垂直速度v||と、ジョイントの関節角度を決定する装置により決定されるジョイントの関節角度εと、ブームオペレータにより操作できるコントローラによって生成される分配ブームを調節する制御信号Sとに依存する。
【0030】
この文脈において、本発明の1つのコンセプトは、ブームアーム位置のために決定される垂直速度v||に基づいて減衰力FD||を決定し、決定された減衰力FD||を個々の関節ジョイントに関連する成分減衰力に分け、関節式ブームを減衰するために駆動ユニット作動要素を制御するための特定の減衰制御変数DSを、成分減衰力から及び関節ジョイントに関連する駆動ユニットのための決定された関節角度εから並びにブームアームを減衰するための分配ブームの既知の物理量から得て、当該変数は駆動ユニットの作動要素のための位置決め制御変数SDに含まれることである。
【0031】
その代替として、駆動ユニットにより生成される実際の力F又は実際のトルクMを決定し、ブームアーム位置の垂直速度v||を少なくとも1つのブームアーム上で決定し、関節ジョイントの関節角度εを決定することも可能である。この場合、ブームアーム位置に作用する垂直力F||が、供給される実際の力F又は実際のトルクM及びジョイントの供給される関節角度εに基づいて、並びに分配ブームの既知の物理量から決定され、ブームアーム位置に作用する垂直力F||は、ブームアーム位置のための目標垂直速度v||目標に変換され、垂直比較値Δv||がブームアーム位置の目標垂直速度v||目標及びブームアーム位置のために決定される垂直速度v||から決定され、垂直比較値Δv||は、ジョイントの供給される関節角度εに基づく及び分配ブームの既知の物理量に基づく逆変換によって、関節ジョイントの逆変換角速度ε i逆に変換され、逆変換によって得られる当該関節ジョイントの逆変換角速度ε i逆は、関節ジョイントの実際の角速度ε と比較され、駆動ユニットの作動要素のための位置決め制御変数SDがこの比較から決定される。
【0032】
この場合、ブーム先端の垂直速度v||はブームアーム位置の垂直速度v||として決定されてもよい。
【0033】
本発明はさらに、フレームに配置されていて、垂直軸の周りに回転できるブーム架台を有し、ブーム架台に設置され、互いに関節式に連結した多数のブームアームから作られた関節式ブームであって、ブーム架台又は隣接するブームアームに対してそれぞれ水平で相互に平行な関節軸の周りにブームアームを回動させる多数のジョイント(連結部)とブーム先端を有する関節式ブームを有し、及び垂直軸に関連する駆動ユニットの作動要素によって垂直軸周りの関節式ブームの運動を制御する制御装置を有する、コンクリートポンプ用のラージマニピュレータにおける関節式ブームの機械的振動を減衰するための方法にも及ぶ。この場合、ブームアーム位置の水平速度vは垂直軸と垂直な平面内及びフレームに関連付けられた座標系内で決定される。関節ジョイントの関節角度が決定され、この場合、関節式ブームの運動は、ブーム架台に関連する駆動ユニットの少なくとも1つの作動要素のための位置決め制御変数SD90を与えることで制御され、当該制御変数は、水平速度vを決定する装置により決定されるブームアーム位置の水平速度vと、ブームオペレータにより操作できるコントローラによって及び垂直軸の周りのブーム架台の回転角度ε18を決定する装置によって生成される分配ブームを調節する制御信号Sとに依存する。
【0034】
この場合、この方法の有利な実施形態によれば、減衰力FD⊥が決定された水平速度vに基づいて決定され、複数の減衰制御変数DSが、この減衰力FD⊥から及び関節ジョイントに関連する駆動ユニットのための決定された関節角度εから及び関節式ブームを減衰するための分配ブームの既知の物理量から決定される。当該制御変数は、ブーム架台に関連する駆動ユニットの少なくとも1つの作動要素を制御するための位置決め制御変数SD90に含まれる。
【0035】
それに代えて、垂直軸に関連する駆動ユニットにより生成される実際の力F又は垂直軸に関連する駆動ユニットにより生成される実際のトルクM、少なくとも1つのブームアーム上のブームアーム位置の水平速度v、及び関節ジョイントの関節角度ε、並びにその垂直軸の周りのブーム架台の回転角度ε18を決定することも可能である。この場合、ブームアーム位置に作用する水平力Fが、供給される実際のトルクM及びジョイントの供給される関節角度ε、及び分配ブームの既知の物理量から決定される。ブームアーム位置に作用する水平力Fはブームアーム位置のための目標水平速度V⊥目標に変換され、水平比較値Δvが、ブームアーム位置の目標水平速度V⊥目標及びブームアーム位置の決定された水平速度vから決定される。前記水平比較値Δvは、ジョイントの供給される関節角度εに基づく及び分配ブームの既知の物理量に基づく逆変換により、その垂直軸周りのブーム架台の逆変換角速度ε 18逆に変換される。逆変換によって得られる、その垂直軸周りのブーム架台の逆変換角速度ε 18逆は、分配ブーム制御ルーチンに供給される関節ジョイントの実際の角速度ε と比較され、この比較に基づいて、垂直軸に関連する駆動ユニットのための位置決め制御変数SD18を決定する。
【0036】
特に、ブーム先端の水平速度vがブームアーム位置の水平速度vとして決定されてもよいことを付記する。
【0037】
以下では、図面に概略的に示された実施形態に関連して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】折り畳まれた分配ブームを有するトラック搭載コンクリートポンプのラージマニピュレータの側面図である。
図2】様々な作業位置における分配ブームを有する図1に従うラージマニピュレータを示す図である。
図3】様々な作業位置における分配ブームを有する図1に従うラージマニピュレータを示す図である。
図4】ラージマニピュレータの分配ブームにおける駆動ユニットを有する関節ジョイントを示す図である。
図5】コントローラアセンブリを有する分配ブームの移動を制御する第1制御装置の設計図である。
図6】分配ブーム姿勢のための目標値生成、これら姿勢の調節、及びコントローラアセンブリで生成される制御信号による分配ブームの振動の能動減衰の調整を示す図である。
図7】コントローラアセンブリにおける第1分配ブーム減衰ルーチンを示す図である。
図8】コントローラアセンブリにおける別な分配ブーム減衰ルーチンを示す図である。
図9】コントローラアセンブリにおける分配ブーム制御ルーチンを示す図である。
図10】分配ブーム姿勢のための目標値生成、これら姿勢の調節、及び別なコントローラアセンブリで生成される制御信号による分配ブームの振動の能動減衰の調整を示す図である。
図11】コントローラアセンブリにおける第1分配ブーム減衰ルーチンを示す図である。
図12】コントローラアセンブリにおける別な分配ブーム減衰ルーチンを示す図である。
図13】コントローラアセンブリを有する分配ブームの移動を制御する別な制御装置の設計図である。
図14】コントローラアセンブリを有する第2制御装置の部分図である。
図15】コントローラアセンブリで処理される変数のためのフローチャートである。
図16】コントローラアセンブリで処理される変数のためのフローチャートである。
図17】コントローラアセンブリにおける分配ブーム垂直減衰ルーチンを示す図である。
図18】コントローラアセンブリにおける水平分配ブーム減衰ルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、トラック搭載コンクリートポンプ10におけるラージマニピュレータを示す。トラック搭載コンクリートポンプ10は、搬送車両12を有し、例えば二シリンダーピストンポンプとして設計される脈動粘性物質ポンプ14を含む。トラック搭載コンクリートポンプ10において、ラージマニピュレータは、車両に固定されたフレーム16に設置されている。ラージマニピュレータは、車両に固定された垂直軸18の周りにスイベルジョイント28で回転可能な分配ブーム20を有する。この分配ブーム20は、コンクリート送出ライン22を支持する。図2及び図3にみられるように、コンクリート打設の間に供給コンテナー24に連続的に導入される液体コンクリートは、送出ライン22を介して、車両12の位置から離れて位置するコンクリート打設地点25に運ばれる。
【0040】
ラージマニピュレータは、原則として、搬送車両に、車両に固定されたフレームに配置されるだけでなく、むしろ固定位置を有するフレームに、例えば建設現場に配置されてもよいことを付言する。この場合、ラージマニピュレータの分配ブームに収容されるコンクリート送出ラインは、好ましくはコンクリートポンプ車(mobile concrete pump)に接続される。
【0041】
コンクリートポンプ20は、油圧回転駆動部として設計されている駆動ユニット26により関節ジョイント28の垂直軸18の周りに回転され得る回転可能なブーム架台30を有し、当該軸は回転軸を形成する。分配ブーム20は、ブーム架台30上で回動され得る関節式ブーム32であって、車両12とコンクリート打設地点25の間の高さの差及び可変距離(射程範囲)に連続的に調節可能な関節式ブーム32を有する。図示の実施形態では、関節式ブーム32は、関節ジョイント34,36,38,40,42によって互いに繋がった5つのブームアーム44,46,48,50,52を有し、当該ブームアームは、相互に平行且つブーム架台30の垂直軸18に対して直角に配置された関節軸54,56,58,60,62の周りに回動可能である。
【0042】
ブームアームを関節ジョイント34,36,38,40,42の関節軸54,56,58,60,62の周りに移動させるために、ラージマニピュレータは、関節ジョイントに関連する(割り当てられた)駆動ユニット68,78,80,82,84を有する。
【0043】
関節ジョイント34,36,38,40,42の及び分配ブームの場合に関節ジョイントを調節することで調節できる関節角度ε、i=34,36,38,40,42(図2)の、関節軸54,56,58,60,62周りの配置によって、図1に見て取れるように、分配ブーム20を多数の折り畳み工程に対応するスペース節約の搬送構造によって車両12にしまうことができる。
【0044】
関節式ブーム32は、エンドホース66が配置されているブーム先端64を有し、そこを通って液体コンクリートが、分配ブーム20の送出ライン22からコンクリート打設地点25に撒かれる。
【0045】
トラック搭載コンクリートポンプ10のラージマニピュレータは、搬送車両12とともに、稼働中に脈動粘性物質ポンプ14によって強制振動に励起される振動システムを形成する。これらの振動は、1m以上にもなる振動振幅を有するブーム先端64及びそこに吊り下がっているエンドホース66の撓みを生じさせ、これらの振動の周波数は0.5Hz~数Hzである。
【0046】
トラック搭載コンクリートポンプ10のラージマニピュレータは、ラージマニピュレータ内の駆動ユニット26,68,78,80,82,84によって付加的な力又は付加的なトルクを生成することでこのような振動を能動的に減衰する機構を備えた制御装置を含む。これらの付加的な力又は付加的なトルクは、分配ブーム20に作用する減衰力を作り出す。この減衰力は好ましくは、例えばブーム先端64に及び水平方向に作用する減衰力FD⊥であって、それにより回転軸18周りの分配ブーム20の回転振動が弱められるもの(図3参照)、及び/又は、垂直方向に分配ブーム20の関節式ブーム32に作用する減衰力FD||であって(図2参照)、それにより回転軸18及びブーム先端64によって定められる平面内での分配ブーム20の振動が弱められるものである。
【0047】
しかしながら、トラック搭載コンクリートポンプ10のラージマニピュレータの変更実施形態では、生成される付加的な力又は付加的なトルクが、ブーム先端64から、好ましくは関節ジョイント36,38,40又は42の領域において例えば第1、第2、第3又は第4ブームアーム44,46,48,50までの距離を隔てた地点に従って分配ブーム20に作用する減衰力を生じることも可能であることを付言する。さらに、同時に当該ブームに作用してそれを減衰する複数の付加的な力又は付加的なトルクを、駆動ユニット26,68,78,80,82,84によって分配ブーム20で生成することが可能である。
【0048】
図4は、ブームアーム48のセクション及びブームアーム50のセクションを有する関節ジョイント40を示す。ブームアーム48をブームアーム50に対して関節ジョイント38の関節軸60の周りに移動させるために、分配ブーム20は、油圧シリンダーとして設計された駆動ユニット68を有し、そのシリンダー部分70はブームアーム48に接続しており、そのシリンダーロッド72は、ブームアーム50に関して関節により繋がれたレバー要素74に作用し、ガイド要素76によって関節式にブームアーム48に接続している。
【0049】
この場合、駆動ユニット68は、二重矢印77の方向に作用する実際の力F、i=68を生成し、それはレバー要素74に伝達され、レバー要素74に接続したガイド要素76のおかげで、ブームアーム48からブームアーム50にトルクとして導入される、関節ジョイント40の関節軸60周りの実際のトルクM、i=60を生じる。
【0050】
関節式ブーム32のブームアームの移動を制御するために、ラージマニピュレータは、図5に関連していかに説明する制御装置(control device)86を有する。制御装置86は、関節ジョイント34,36,38,40,42及び関節ジョイント28に関連する駆動ユニット26,68,78,80,82,84のための作動要素90,92,94,96,98,100の援助により関節式ブーム32の移動を制御する。
【0051】
関節軸54,56,58,60及び62及び回転軸18に個々に関連する駆動ユニット26,68,78,80,82及び84のプログラム制御された作動の結果、関節式ブーム32は、コンクリート打設地点25と車両位置の間の異なる距離及び/又は高さの差で展開され得る(例えば、図2及び図3参照)。
【0052】
ブームオペレータは、例えばコントローラ87を有する制御装置(control assembly)85により、分配ブーム20を制御する。コントローラ87は、遠隔制御装置として設計されており、関節式ブーム32を有する分配ブーム20を調節するための複数の操作要素83を含む。当該遠隔制御装置は、コントローラアセンブリ89に送信され得る複数の制御信号Sを生成する。
【0053】
制御信号Sは、無線リンク91を介して車載無線受信機93に伝送される。当該受信機は、例えばCANバスとして設計されているバスシステム95によりコントローラアセンブリ89に出力側で接続している。
【0054】
制御装置86は、回転軸18及びブーム先端64によって定められる関節式ブーム32と平行な平面内でフレーム16に関連付けられた座標系104におけるブーム先端垂直速度v||を決定する装置102を含む。当該ブーム先端垂直速度v||を決定する装置102は、ブームアーム52に配置された加速度センサ106を有し、当該センサは、評価ステージ108と組み合わされている。時間積分・積算により、ブーム架台30の回転軸18及びブーム先端64が位置している、関節式ブーム32と平行な(通常は垂直な)平面内のブーム先端垂直速度v||が、加速度センサ106からの信号v ||に基づいてコントローラアセンブリ89において決定される。
【0055】
加えて、制御装置86は、ブーム先端64が位置する、ブーム架台30の回転軸18と垂直な平面内のブーム先端水平速度vを決定する装置110を含む。当該ブーム先端水平速度vを決定する装置110は、ブームアーム52に配置されていて評価ステージ114と組み合わされた加速度センサ112を有する。加速度センサ112からの信号v に基づいて、ブーム架台30の回転軸18と垂直な(通常は水平な)平面内のブーム先端速度vが、コントローラアセンブリ89において決定される。
【0056】
ラージマニピュレータの更なる別な実施形態では、コントローラアセンブリ89は、ブームアームのブームアーム位置の速度、例えばブーム先端の速度を決定する装置により決定されるブームアームの部分の速度を受信することもでき、これはコントローラアセンブリ89において計算する必要がない。
【0057】
制御装置86はさらに、角度センサ118,120,122,124,126及び199を有する関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42を決定する装置116、及び、角度センサ129により関節ジョイント28の垂直軸18周りの回転角度ε、i=18を決定する装置128を含む。
【0058】
この文脈では、ラージマニピュレータの更なる別な実施形態では、コントローラアセンブリ89はブーム先端垂直速度v||を決定する装置を含むことができ、ブーム先端速度は、関節式ブーム32の関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42の時間にわたる開法(evolution)及びその幾何学形状に基づいて計算される(フォワード変換)ことを付言する。
【0059】
制御装置86は、油圧シリンダーとして設計された駆動ユニット26,68,78,80,82及び84に割り当てられた圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148を含む。これら圧力センサは、作動油のロッド側圧力pSi、i=130,134,138,142,146及びピストン側圧力pKi、i=132,136,140,144,148を測定するために使用される。圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148は、駆動ユニット68,78,80,82及び84により生成される力であって、関節式ブーム32のブームアーム44,46,48,50,52に導入される実際の力F、i=68,78,80,82,84の決定を可能にする。
【0060】
油圧回転駆動部として設計された駆動ユニット26に関して、制御装置86は、回転駆動部によりトルクとしてブーム架台30に導入される実際のトルクM、i=18を検出するように設計されたトルクセンサ150を有する。
【0061】
コントローラアセンブリ89は、駆動ユニット26,68,78,80,82及び84の作動要素90,92,94,96,98,100を制御するために使用される。作動要素90,92,94,96,98,100は、比例シャトル弁として設計されており、その出力ライン101,103は、ボトム側及びロッド側で、複動油圧シリンダーとして又は油圧モーターとして設計された駆動ユニット68,78,80,82及び84に接続している。
【0062】
コントローラアセンブリ89は、制御装置85からの制御信号Sに基づいて分配ブーム20の駆動ユニットの作動要素のための制御信号SW、i=90,92,94,96,98及び100を生成する。作動要素90,92,94,96,98,100を制御することで、分配ブーム20の姿勢が、角度センサ118,120,122,124及び126により検出される角度センサ118,120,122,124及び126による関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42の位置、及び角度センサ129により検出される回転軸18周りのブーム架台30の回転角度ε、i=18の位置を評価することで、制御装置85により特定される目標値W目標に調節される。
【0063】
この場合、コントローラアセンブリ89は、分配ブーム20の姿勢を目標値W目標に調節する作動要素90,92,94,96,98,100のための位置決め制御変数SD、i=90,92,94,96,98,100を、付加的な減衰制御変数DS、i=90,92,94,96,98,100に重ね合わせ、それにより分配ブーム20における関節式ブーム32のブーム先端64の所望でない振動が相殺される。
【0064】
コントローラアセンブリ89は、入力ルーチン152を有し、それによりブーム先端垂直速度v||を決定する装置102、ブーム架台30の回転軸18と垂直な平面内でのブーム先端水平速度vを決定する装置110、及び角度センサ118,120,122,124及び126により関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=18を決定する装置116、及び関節ジョイント28の垂直軸18周りの回転角度ε、i=18を決定する装置128が、角度センサ129により連続的に質問される。入力ルーチン152はまた、圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148から信号pSi、pKiを連続的に受信する。制御信号Sはさらに、入力ルーチン152によって制御装置85から読み取られる。
【0065】
コントローラアセンブリ89は、第1分配ブーム減衰ルーチン154と、それと平行な別な分配ブーム減衰ルーチン155を含む。前記分配ブーム減衰ルーチン154は、関節式ブーム32と平行な平面内でのブーム先端速度v||を決定する装置102によって決定されるブーム先端速度に基づき、目標減衰力
D||=v||||
を決定する。
【0066】
ここで、D||は適切に選択される減衰定数である。次いで、分配ブーム減衰ルーチン154は、このようにして決定された目標減衰力Fを、個々の関節ジョイント34,36,38,40,42に関連する複数の成分目標減衰力FDi、i=34,36,38,40,42に分ける。
【0067】
【数1】
【0068】
因子nは、以下の境界条件を満たす装置固有に選択されたパラメータである。
【0069】
【数2】
【0070】
次いで、それぞれの作動要素90,92,94,96,98及び100のために、減衰制御変数DS、i=90,92,94,96,98,100が、成分目標減衰力FDi、i=34,36,38,40,42と、分配ブーム20を減衰するための、関節ジョイント34,36,38,40,42に関連する駆動ユニットのために、関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度を決定する装置116により決定される関節角度ε、i=34,36,38,40,42とに基づいて決定される。
【0071】
コントローラアセンブリ89の別な分配ブーム減衰ルーチン155では、目標減衰トルクMD⊥=vが、ブーム架台30の回転軸18と垂直な平面内での、装置110により決定されるブーム先端水平速度vに基づいて決定される。この場合、変数Dは、再び適切に選択される減衰定数である。
【0072】
次いで、減衰制御変数SD90が、目標減衰トルクMD⊥と、その回転軸18周りのブーム架台30の回転角度を決定する装置128によりブーム架台30に関連する駆動ユニット26のために決定される回転角度ε、i=18とに基づいて決定される。
【0073】
コントローラアセンブリ89は、制御信号SW、i=90,92,94,96,98,100を作動要素90,92,94,96,98及び100に出力する出力ルーチン162を含む。
【0074】
コントローラアセンブリ89は、分配ブーム制御ルーチン156及び分配ブーム目標姿勢値ルーチン158を含む。分配ブーム目標姿勢値ルーチン158は、入力ルーチン152からコントローラ87の制御信号Sを受信し、これらを、関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42のための及び垂直軸18周りのブーム架台30の回転角度ε18のための目標値の形態の目標姿勢値PSに翻訳する。
【0075】
分配ブーム制御ルーチン156は、入力ルーチン152から、角度センサ118,120,122,124,126,129によって検出される角度εの実測値の形態の実際の姿勢値PIを受信する。分配ブーム制御ルーチン156で実施される制御ループを用いて、駆動ユニット26,68,78,80,82,84の作動要素90,92,94,96,98及び100のための位置制御変数SD、i=90,92,94,96,98,100が、実際の姿勢値PI及び目標姿勢値PSに基づいてコントローラアセンブリ89において決定される。
【0076】
重ね合わせルーチン160では、減衰制御変数DS、i=92,94,96,98,100が、位置決め制御変数SD、i=92,94,96,98,100に加えられ、出力ルーチン162に送信される。これは、対応する制御信号SW、i=92,94,96,98,100を作動要素92,94,96,98及び100に送る。当該制御信号は、位置決め制御変数SD及び減衰制御変数DS、i=92,94,96,98,100に基づいて制御信号SW=SD+DSとして生成される。
【0077】
対応的に、重ね合わせルーチン161では、減衰信号DS90が位置決め制御変数SD90に加えられ、出力ルーチン162に送信される。これは、対応する合計信号SW90=SD90+DS90を作動要素90に作動信号SW90として伝える。
【0078】
図6は、プロセッサクロック192を有するコントローラアセンブリ89を示す。入力ルーチン152により、コントローラアセンブリ89において、装置116,128の角度センサ118,120,122,124,126及び129によって検出される分配ブーム20のジョイントの角度が決定され、装置102,110の信号が加速度センサ106,112により検出され、圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148の及びトルクセンサ150の信号、及び制御装置85の制御信号Sが、プロセッサクロック192によって特定される規則的な時間間隔Δtsで検出される。
【0079】
入力ルーチン152に供給される角度センサの信号は、コントローラアセンブリ89内の分配ブーム制御ルーチン156に、実際の姿勢値PI、i=18,34,36,38,40,42として送信される。制御装置85によって入力ルーチン152に伝送される制御信号Sは、これを分配ブーム目標姿勢ルーチン158に出力する。
【0080】
このようにして、当該信号は、関節ジョイントの関節角度ε、i=34,36,38,40,42の及びスイベルジョイント28の回転角度ε18の設定の形式で目標姿勢値PS、i=18,34,36,38,40,42を決定する。目標姿勢値PSは、目標姿勢値ルーチン158に、目標値メモリー193に記憶される。この目標値メモリー193から、目標姿勢値PSが分配ブーム制御ルーチン156に連続的に送信される。
【0081】
図7は、ブロック図の形態の、コントローラアセンブリ89における第1分配ブーム減衰ルーチン154のブロック図である。分配ブーム減衰ルーチン154は、装置102からの信号に基づいて、分配ブーム20及びその関節式ブーム32の回転軸18と平行な平面内のブーム先端垂直速度v||を決定するための計算ステージ164を含む。減衰力計算ステージ166では、減衰力FD||が、分配ブーム減衰ルーチン154に供給される実験から決定される減衰定数D||に基づいて計算される。計算された減衰力FD||は、次いで、調節ステージとして設計された最適化ステージ168において連続的に最適化される分離アルゴリズムによって、分離ステージ170にて、個々の成分目標減衰力FD||iの一次結合FD||=ΣD||、i=34,36,38,40,42に分離される。以下が当てはまる。
【0082】
【数3】
【0083】
分配ブーム20のために既知の物理量、すなわちブームアーム44,46,48,50,52の質量m、i=44,46,48,50,52及び長さl、i=44,46,48,50,52並びに関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42に基づいて、関節ジョイント34,36,38,40,42の関節軸54,56,58,60,62における駆動ユニット68,78,80,82及び84により生成されるべき目標トルクMS、i=54,56,58,60,62が、次に、軸方向トルク計算ステージ172において生成される。目標トルクMSを生成するために必要とされる駆動ユニット68,78,80,82及び84の調節力が次いで、計算ステージ174において、関節ジョイント34,36,38,40,42の関節軸54,56,58,60,62における駆動ユニット68,78,80,82及び84により生成されるべき成分目標減衰力FD||i、i=34,36,38,40,42として決定される。
【0084】
分配ブーム減衰ルーチン154は、ジョイント34,36,38,40,42に関連する駆動ユニット78,80,82,84により生成される実際の力Fを決定する装置176として、駆動ユニット68,78,80,82及び84に関連する圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148の信号を含む力計算ルーチンを含み、それにより、駆動ユニット68,78,80,82及び84の油圧シリンダーの幾何学的寸法に基づいて、ブームアーム44,46,48,50,52に導入される生成される実際の力F,i=68,78,80,82,84を決定する。
【0085】
分配ブーム減衰ルーチン154はさらに、制御ステージ178を含み、そこに、制御変数として、駆動ユニット68,78,80,82及び84によってそれぞれ生成される実際の力F,i=68,78,80,82,84と、対応する成分目標減衰力FD||i、i=34,36,38,40,42の間の、差ルーチン177で決定される差が供給され、それにより、駆動ユニット68,78,80,82,84にそれぞれ関連する作動要素92,94,96,98,100のための減衰制御変数DS、i=92,94,96,98,100が生成され、当該制御変数は図6に示される重ね合わせルーチン160に出力される。
【0086】
図8は、コントローラアセンブリ89における別な分配ブーム減衰ルーチン155のブロック図である。分配ブーム減衰ルーチン155は、ブーム先端64が配置されている分配ブーム20の回転軸18と垂直な平面内のブーム先端水平速度vを計算するための計算ステージ182を有する。減衰力計算ステージ184では、減衰力FD⊥が、分配ブーム減衰ルーチン155に供給される実験的に決定される減衰定数Dに基づいて計算される。
【0087】
分配ブーム20のために既知の物理量、すなわちブームアーム44,46,48,50,52の質量m及び長さl、i=44,46,48,50,52並びに関節ジョイントの関節角度ε、i=34,36,38,40,42に基づいて、駆動ユニット26により生成されるべき目標減衰トルクMD⊥26が、次に、トルク計算ステージ186において計算される。
【0088】
分配ブーム減衰ルーチン155は、トルク制御ステージ188を含み、それは、制御変数として、駆動ユニット26によって生成される駆動軸18周りの実際のトルク(回転モーメント)MI,i=26と、対応する目標トルクMD⊥26の間の、差ルーチン187で決定される差を供給され、それにより、駆動ユニット26の作動要素90のための減衰制御変数DS、i=90が生成され、当該制御変数は重ね合わせルーチン161に最後に出力される。
【0089】
図9は、コントローラアセンブリ89における分配ブーム制御ルーチン156のブロック図である。
【0090】
分配ブーム制御ルーチン156は、実際の姿勢値PIと目標姿勢値PSの間の差をゼロ次保持フィルタ196に送信する差ルーチン194を含み、それにサンプリング関数を掛けることでこの差を離散し(discretization)、それを、位置決め制御変数SDを出力する比例積分調節器(PI調節器)として設計された制御ステージ198の制御変数として使用する。
【0091】
ゼロ次保持フィルタ196の効果は、目標姿勢値PSからの実際の姿勢値PIのずれが閾値を超えるときだけ、制御ステージ198が値0とは異なる制御変数を受信し、またその時だけ姿勢補正のための対応する位置決め制御変数SDを受信することである。対照的に、分配ブーム減衰ルーチン154,155は、減衰制御変数DSを連続的に提供することでブーム振動を減衰するための減衰力FD||又はFD⊥を調節する。
【0092】
目標姿勢値PS及び実際の姿勢値PIに基づいて分配ブーム制御ルーチン156によって生成される位置決め制御変数SDは、重ね合わせルーチン160又は161において、分配ブーム減衰ルーチン154,155からの減衰制御変数DSと組み合わされ、次いで、制御信号SWとして出力ルーチン162に供給され、出力ルーチン162は、作動要素90,92,94,96,98,100のそれぞれに、対応する制御信号SWを供給する。この場合、重ね合わせルーチン160又は161は、減衰制御変数DSを作動信号に加える加算ルーチンとして設計されている。
【0093】
分配ブーム減衰ルーチン154,155、分配ブーム制御ルーチン156及び分配ブーム目標姿勢値ルーチン158は、プロセッサクロック192と調和して機能する。この場合、分配ブーム減衰ルーチン154,155が複数回呼び出された後でのみ、分配ブーム目標姿勢値ルーチン158の呼び出しが時刻t3で行われる。分配ブーム減衰ルーチン154,155は、この場合、時刻t1<<t3で呼び出される。分配ブーム減衰ルーチン154,155が複数回呼び出された後でのみ、だが2つの分配ブーム目標姿勢値ルーチン158の間で呼び出されたとき、分配ブーム制御ルーチン156は時刻t2で呼び出される。この場合、以下が当てはまる:t1<<t2<<t3。
【0094】
図10は、制御装置86において使用するためのコントローラアセンブリ89’を示す。分配ブーム姿勢のために目標値生成を調整するアセンブリ及び要素、その姿勢の制御及びコントローラアセンブリ89’において生成される制御信号による分配ブームの振動の能動減衰が、分配ブーム姿勢のために目標値生成を調整するアセンブリ及び要素、その姿勢の制御及びコントローラアセンブリ89において生成される制御信号による分配ブームの振動の能動減衰に一致する限り、当該アセンブリ及び要素はその参照符号と同じ数字で示されている。
【0095】
コントローラアセンブリ89とは異なり、コントローラ積分はコントローラアセンブリ89’における直列構造で実施される。この目的のために、コントローラアセンブリ89’は再び、制御信号SW、i=90,92,94,96,98,100を生成する第1分配ブーム減衰ルーチン154’及びそこに並列な別な分配ブーム減衰ルーチン155’を含み、当該制御信号は、出力ルーチン162によって作動要素90,92,94,96,98及び100に出力される。
【0096】
図11及び図12は、それぞれブロック図の形式で、コントローラアセンブリ89’における第1分配ブーム減衰ルーチン154’及び別な分配ブーム減衰ルーチン155’を示す。分配ブーム減衰ルーチン154’,155’が図7及び図8に関連して説明した分配ブーム減衰ルーチン154及び155にそれぞれ一致する限り、これらはその参照符号と同じ数字で示されている。
【0097】
この場合、分配ブーム減衰ルーチン155’は今度は、装置102の信号から、分配ブーム20及びその関節式ブーム32の回転軸18と平行な平面内のブーム先端垂直速度v||を計算する計算ステージ164を有する。減衰力計算ステージ166では、減衰力FD||が、分配ブーム減衰ルーチン154に供給される実験的に決定される減衰定数D||に基づいて計算される。計算された減衰力FD||は、次に、調節ステージとして設計された最適化ステージ168において連続的に最適化される分離アルゴリズムによって、分離ステージ170にて、個々の成分目標減衰力FD||iの一次結合FD||=ΣD||、i=34,36,38,40,42に分離される。以下が当てはまる。
【0098】
【数4】
【0099】
分配ブーム20のために既知の物理量、すなわちブームアーム44,46,48,50,52の質量m、i=44,46,48,50,52及び長さl、i=44,46,48,50,52並びに関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42に基づいて、関節ジョイント34,36,38,40,42の関節軸54,56,58,60,62における駆動ユニット68,78,80,82及び84により生成されるべき目標トルクMS、i=54,56,58,60,62が、次に、軸方向トルク計算ステージ172において生成される。目標トルクMSを生成するために必要とされる駆動ユニット68,78,80,82及び84の調節力が次いで、計算ステージ174において、関節ジョイント34,36,38,40,42の関節軸54,56,58,60,62における駆動ユニット68,78,80,82及び84により生成されるべき成分目標減衰力FD||i、i=34,36,38,40,42として決定される。
【0100】
分配ブーム減衰ルーチン154は、実際の力Fを決定する装置176として、駆動ユニット68,78,80,82及び84に関連する圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148の信号を含む力計算ルーチンを含み、それにより、駆動ユニット68,78,80,82及び84の油圧シリンダーの幾何学的寸法に基づいて、ブームアーム44,46,48,50,52に導入される生成される実際の力F,i=68,78,80,82,84を決定する。
【0101】
分配ブーム減衰ルーチン154とは異なり、分配ブーム減衰ルーチン154’はさらに、位置決め制御変数SDを分配ブーム減衰ルーチン156から直接受信し、それを、実際の力Fに重ね合わせるための重ね合わせルーチン160’における差ルーチン177に供給する。差ルーチン177から、制御ステージ178は、制御変数として、重ね合わされた位置決め制御変数SDを有する駆動ユニット68,78,80,82及び84によってそれぞれ生成される実際の力F,i=68,78,80,82,84と、対応する成分目標減衰力FD||i、i=34,36,38,40,42の間の差を受信し、それにより、駆動ユニット68,78,80,82,84にそれぞれ関連する作動要素92,94,96,98,100のための減衰制御変数DS、i=92,94,96,98,100が生成され、当該制御変数は重ね合わせルーチン160に出力される。
【0102】
今度は、分配ブーム減衰ルーチン155’は、ブーム先端64が配置されている分配ブーム20の回転軸18と垂直な平面内のブーム先端水平速度vを計算する計算ステージ182を有する。減衰力計算ステージ184では、減衰力FD⊥が、分配ブーム減衰ルーチン155に供給される実験的に決定される減衰定数Dに基づいて計算される。
【0103】
分配ブーム20のために既知の物理量、すなわちブームアーム44,46,48,50,52の質量m及び長さl、i=44,46,48,50,52並びに関節ジョイントの関節角度ε、i=34,36,38,40,42に基づいて、駆動ユニット26により生成されるべき目標減衰トルクMD⊥26が、次に、トルク計算ステージ186において生成される。
【0104】
分配ブーム減衰ルーチン155’は、駆動ユニット26により生成される実際のトルクMI、i=26と、分配ブーム減衰ルーチン155とは異なり対応する位置決め制御変数SD、i=26をも供給され、それらに、重ね合わせルーチン161’において、回転軸18周りの駆動ユニット26により生成される実際のトルクMI、i=26を重ね合わせ、次いで差ルーチン187を実行する。差ルーチン187は、重ね合わされた位置決め制御変数SD、i=26を有する回転軸18周りの駆動ユニット26により生成される実際のトルクMI、i=26と、対応する目標減衰トルクMD⊥26の間の差を決定する。この差は、トルク制御ステージ188のための制御変数を形成し、当該ステージはそれにより、駆動ユニット26の作動要素90のための減衰制御変数DS、i=90を生成し、それは最終的に重ね合わせルーチン161に出力される。
【0105】
図13は、別なラージマニピュレータにおけるコントローラアセンブリ89’を有する分配ブーム20の移動を制御する、上述した第1制御装置の代替である別な制御装置86’の図である。その構造は、図1及び図4に関して記載したラージマニピュレータの構造に一致する。このラージマニピュレータはまた、ブーム架台30上で旋回でき、車両に固定されたフレーム16に収容され、スイベルジョイント28上で車両に固定された垂直軸18周りに回転できる関節式ブーム32を含む。
【0106】
前記別な制御装置86’のアセンブリ及び要素が、第1制御装置86のアセンブリ及び要素に一致する限り、これらは同じ参照符号で識別されている。
【0107】
加えて、前記別なラージマニピュレータでは、別な制御装置86’が、関節式ブーム32のブームアームの移動を制御するよう機能する。別な制御装置86’は、関節ジョイント34,36,38,40,42及びスイベルジョイント28に関連する駆動ユニット26,68,78,80,82及び84のための作動要素90,92,94,96,98,100の援助により関節式ブーム32の移動を制御する。
【0108】
関節軸54,56,58,60及び62及び回転軸18に個々に関連する駆動ユニット26,68,78,80,82及び84のプログラム制御された作動の結果、関節式ブーム32は、コンクリート打設地点25と車両位置の間の異なる距離及び/又は高さの差で展開され得る(例えば、図2及び図3参照)。
【0109】
ここでもまた、ブームオペレータは、例えばコントローラ87を有する制御装置85により、分配ブーム20を制御する。コントローラ87は、遠隔制御装置として設計されており、関節式ブーム32を有する分配ブーム20を調節するための複数の操作要素83を含む。当該遠隔制御装置は、コントローラアセンブリ89に送信され得る複数の制御信号Sを生成する。
【0110】
制御信号Sは、無線リンク91を介して車載無線受信機93に伝送される。当該受信機は、例えばCANバスとして設計されているバスシステム95によりコントローラアセンブリ89に出力側で接続している。
【0111】
制御装置86’は、回転軸18及びブーム先端64によって定められる関節式ブーム32と平行な平面内での、フレーム16に関連付けられた座標系104におけるブーム先端垂直速度v||を決定する装置102を含む。当該ブーム先端垂直速度v||を決定する装置102は、ブームアーム52に配置された加速度センサ106を有し、当該センサは、評価ステージ108と組み合わされている。時間積分により、ブーム架台30の回転軸18及びブーム先端64が位置している、関節式ブーム32と平行な(通常は垂直な)平面内のブーム先端垂直速度v||が、加速度センサ106からの信号v ||に基づいてコントローラアセンブリ89’において決定される。
【0112】
加えて、制御装置86’は、ブーム先端64が位置する、ブーム架台30の回転軸18と垂直な平面内のブーム先端水平速度vを決定する装置110を含む。当該ブーム先端水平速度vを決定する装置110は、ブームアーム52に配置されていて評価ステージ114と組み合わされた加速度センサ112を有する。加速度センサ112からの信号v に基づいて、ブーム架台30の回転軸18と垂直な(通常は水平な)平面内のブーム先端速度vが、コントローラアセンブリ89’において決定される。
【0113】
前述した実施形態の代替であるラージマニピュレータの別な実施形態では、ブーム先端速度を決定する装置102,110に加えて又は代えて、関節式ブーム32のブーム先端64とは異なるブームアームのうちの1つにおけるブームアーム位置の速度を決定するために使用される装置が設けられてもよいことを付記する。さらに、原則として、関節式ブーム32のブーム先端64とは異なるブームアームのうちの1つにおけるブームアーム位置の速度を決定するために使用される多数の装置が設けられてもよいことを付記する。特に、ラージマニピュレータは、この目的のために、関節式ブーム32のブームアーム44,46,48及び50に配置された加速度センサ106’,112’を含んでもよい。
【0114】
ラージマニピュレータのさらに別な実施形態では、コントローラアセンブリ89’は、ブームアームのブームアーム位置の速度、例えばブーム先端の速度を決定する装置により決定されるブームアームの部分の速度を受信することもでき、これはコントローラアセンブリ89’において計算する必要がない。
【0115】
制御装置86’はさらに、角度センサ118,120,122,124,126及び199を用いて関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42を決定する装置116、及び、角度センサ129を用いて関節ジョイント28の垂直軸18周りの回転角度ε、i=18を決定する装置128を含む。
【0116】
制御装置86’には、油圧シリンダーとして設計された駆動ユニット26,68,78,80,82及び84に割り当てられた圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148がある。これら圧力センサは、作動油のロッド側圧力pSi、i=130,134,138,142,146及びピストン側圧力pKi、i=132,136,140,144,148を測定するために使用される。圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148は、駆動ユニット68,78,80,82及び84により生成される力であって、関節式ブーム32のブームアーム44,46,48,50,52に導入される実際の力F、i=68,78,80,82,84の決定を可能にする。
【0117】
油圧回転駆動部として設計された駆動ユニット26に関して、制御装置86’は、回転駆動部によりトルクとしてブーム架台30に導入される実際のトルクM、i=18を検出するように設計されたトルクセンサ150を有する。
【0118】
コントローラアセンブリ89’は、駆動ユニット26,68,78,80,82及び84の作動要素90,92,94,96,98,100を制御するために使用される。作動要素90,92,94,96,98,100は、比例シャトル弁として設計されており、その出力ライン101,103は、ボトム側及びロッド側で、複動油圧シリンダーとして又は油圧モーターとして設計された駆動ユニット68,78,80,82及び84に接続している。
【0119】
コントローラアセンブリ89’は、制御装置85からの制御信号Sに基づいて分配ブーム20の駆動ユニットの作動要素のための制御信号SW、i=90,92,94,96,98及び100を生成する。作動要素90,92,94,96,98,100を制御することで、分配ブーム20の姿勢が、角度センサ118,120,122,124及び126により検出される角度センサ118,120,122,124及び126による関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=34,36,38,40,42の位置、及び角度センサ129により検出される回転軸18周りのブーム架台30の回転角度ε、i=18の位置を評価することで、制御装置85により特定される目標値W目標に調節される。
【0120】
コントローラアセンブリ89’は、入力ルーチン152を有し、それによりブーム先端垂直速度v||を決定する装置102、ブーム架台30の回転軸18と垂直な平面内でのブーム先端水平速度vを決定する装置110、及び角度センサ118,120,122,124及び126により関節ジョイント34,36,38,40,42の関節角度ε、i=18を決定する装置116、及び関節ジョイント28の垂直軸18周りの回転角度ε、i=18を決定する装置128が、サイクル時間t1を有する角度センサ129により連続的に質問される。本発明によれば、サイクル時間t1は、分配ブームの基本振動の固有周期Tよりも非常に短い。サイクル時間t1がさらに、分配ブームの第1、第2、第3又は第4以上の卓振動(ハーモニック)より非常に小さいと有利である。
【0121】
入力ルーチン152はまた、圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148から信号としてロッド側圧力及びピストン側圧力pSi、pKiを連続的に受信する。制御信号Sはさらに、入力ルーチン152によって制御装置85から読み取られる。
【0122】
コントローラアセンブリ89’はさらに、分配ブーム垂直減衰ルーチン1154、分配ブーム水平減衰ルーチン1155及び分配ブーム制御ルーチン1156を備えたルーチン複合部153を含む。分配ブーム減衰ルーチン1154,1155及び分配ブーム制御ルーチン1156を備えたルーチン複合部153における複数のルーチンは、プロセッサクロック192と調和して機能し、コントローラアセンブリ89’において呼び出される。
【0123】
コントローラアセンブリ89’には、制御信号SW、i=90,92,94,96,98,100を作動要素90,92,94,96,98及び100に出力する出力ルーチン162がある。分配ブーム制御ルーチン1156は、出力ルーチン162に制御された姿勢値PGを提供する。
【0124】
図6は、コントローラアセンブリ89’の拡大図である。図7図8図9及び図10は、コントローラアセンブリ89’における分配ブーム垂直減衰ルーチン1154及び分配ブーム水平減衰ルーチン1155の制御アルゴリズムを説明するために機能する。
【0125】
分配ブーム垂直減衰ルーチン1154は、サイクル時間t2>>t1で入力ルーチン152から圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148の信号pSi、pKiを受信する。この場合、サイクル時間t2は好ましくは、以下の関係:T>>t2を満足する。
【0126】
分配ブーム垂直減衰ルーチン1154はさらに、装置116によって検出される関節角度ε、i=34,36,38,40,42、及び入力ルーチン152により供給されるサイクル時間t2≧t1で装置102によって決定されるブーム先端垂直速度v||を受信する。加えて、ロッド側シリンダー表面AKi及びボトム側シリンダー表面ASiの群から、データメモリーに記憶されたラージマニピュレータの構成データが、サイクル時間t2≧t1で入力ルーチン152から分配ブーム垂直減衰ルーチン1154に送信される。
【0127】
分配ブーム垂直減衰ルーチン1154は、駆動ユニット26,68,78,80,82及び84によりそれぞれ生成される実際の力Fを計算する装置176を有する。この目的のために、実際の力Fを計算する装置176は、圧力センサ130,132,134,136,138,140,142,144,146,148から信号pSi、pKiを受信し、これから、油圧シリンダー内のピストンのロッド側シリンダー表面Aki及びボトム側シリンダー表面Asiに基づいて、駆動ユニット26,68,78,80,82及び84によりそれぞれ提供される実際の力Fを計算する。
【0128】
分配ブーム垂直減衰ルーチン1154の計算ステージ1174では、計算された実際の力Fが、決定された関節角度ε、i=34,36,38,40,42に基づいて及び分配ブーム20の既知の物理量に基づいて、実際のトルクMに変換される。
【0129】
次いで、力計算ステージ1172では、ブーム先端64に作用する垂直力F||が、関節角度ε、i=34,36,38,40,42に基づいて及び分配ブーム20の既知の物理量に基づいて、特にブームアーム44,46,48,50及び52の長さlに基づいて、当該実際のトルクMから決定される。
【0130】
分配ブーム垂直減衰ルーチン1154は、目標速度計算ステージ1166を含む。垂直速度計算ステージ1166は、ブーム先端64に作用する計算された垂直力F||を、実験的な(経験的な)定数D||による割り算を介してブーム先端64のための目標垂直速度v||目標に変換する。
【0131】
分配ブーム垂直減衰ルーチン1154はさらに、差ルーチン1177を含む。差ルーチン1177では、ブーム先端64の目標垂直速度v||目標が、積分ステージ(積算ステージ)181においてブーム先端加速度の値として加速度センサ106の信号v ||の時間積分によって分配ブーム垂直減衰ルーチン1154で計算されるブーム先端垂直速度v||と、又は測定変数として分配ブーム垂直減衰ルーチン1154に供給されるブーム先端垂直速度v||と比較される。
【0132】
差ルーチン1177は、ブーム先端64の目標垂直速度v||目標とブーム先端垂直速度v||とから、ブーム先端64の目標垂直速度v||目標とブーム先端垂直速度v||の差として垂直比較値Δv||を形成する。
【0133】
垂直比較値Δv||は、次いで、コントローラアセンブリ89’におけるルーチン複合部153の差要素(differential element)165に送信される。差要素165は、入力ルーチン152からサイクル時間t2>>t1において制御装置85の制御パネル83にブームオペレータにより設定されるデフォルトブーム先端垂直速度v||Vを受信する。差要素165のタスクは、デフォルトブーム先端垂直速度v||Vと上で定められる垂直比較値Δv||の差を決定し、この変数をデフォルト目標ブーム先端垂直速度v||V-目標として、コントローラアセンブリ89のルーチン複合部153における垂直逆変換ルーチン157に供給することである。
【0134】
垂直逆変換ルーチン157は、デフォルト目標ブーム先端垂直速度v||V-目標を、入力ルーチン152からサイクル時間t2>>t1を供給されるジョイントの関節角度εに基づいて及び分配ブーム20の既知の物理量、特にブームアーム44,46,48,50及び52の長さlに基づいて及び制御装置85の制御パネル83にブームオペレータにより設定されるデフォルトブーム先端垂直速度v||Vに基づいて、関節ジョイント34,36,38,40,42の対応する逆変換角速度ε i逆に変換する。
【0135】
この逆変換角速度ε i逆は、次いで、コントローラアセンブリ89において、ルーチン複合部153における積分ステージとして設計されている角速度計算ステージ163に送信される。このステージは、一定時間間隔Δtにわたって逆変換角速度ε i逆を積分して、目標角度εi_目標、i=34,36,38,40,42を形成し、すなわちブームアーム44,46,48,50及び52の角度εのための目標値を形成し、次いでそれらをルーチン複合部153内の目標値メモリー193に記憶する。ブームアーム44,46,48,50及び52の角度εのこれらの設定値は、分配ブーム20のブーム姿勢を定める(定義する)。
【0136】
この目標値メモリー193から、目標姿勢値εPSiが連続的に分配ブーム制御ルーチン1156に送信される。
【0137】
分配ブーム水平減衰ルーチン1155は、入力ルーチン152からサイクル時間t2>>t1で入力ルーチン152から、回転駆動部によりトルクとしてブーム架台30に導入される実際のトルクM、i=18の検出のためにトルクセンサ150の信号を受信する。
【0138】
分配ブーム水平減衰ルーチン1155における計算ステージ175では、実際のトルクM、i=18が、決定される関節角度ε、i=34,36,38,40,42に基づいて及び分配ブーム20の既知の物理量に基づいて、分配ブームのブーム先端64に作用する水平力Fに変換される。
【0139】
分配ブーム水平減衰ルーチン1155は、目標速度計算ステージ1166を含む。目標速度計算ステージ1166は、分配ブームのブーム先端64に作用する計算された水平力Fを、実験的に決定される定数Dによる割り算により、ブーム先端64のための目標水平速度v⊥目標に変換する。
【0140】
分配ブーム水平減衰ルーチン1155はさらに差ルーチン179を含む。差ルーチン179では、ブーム先端64の目標水平速度v⊥目標が、積分ステージ181においてブーム先端加速度の値として加速度センサ112の信号v の時間積分によって分配ブーム垂直減衰ルーチン1154で計算されるブーム先端水平速度vと、又は測定変数として分配ブーム垂直減衰ルーチン1154に供給されるブーム先端水平速度vと比較される。
【0141】
差ルーチン179は、ブーム先端64の目標水平速度v⊥目標とブーム先端水平速度vとから、ブーム先端64の目標水平速度v⊥目標とブーム先端水平速度vの差として水平比較値Δvを形成する。
【0142】
水平比較値Δvは、次いで、コントローラアセンブリ89’におけるルーチン複合部153の別な差要素(differential element)165’に送信される。差要素165’は、入力ルーチン152からサイクル時間t2>>t1において制御装置85の制御パネル83にブームオペレータにより設定されるデフォルトブーム先端水平速度v⊥Vを受信する。
【0143】
別な差要素165’のタスクは、サイクル時間t2>>t1において入力ルーチン152により提供されるデフォルトブーム先端水平速度v⊥Vと、上で定められる水平比較値Δvの差を決定し、ブーム先端64の円弧速度に対応するこの変数を、水平逆変換ルーチン159のデフォルト目標ブーム先端水平速度v⊥V-目標として、コントローラアセンブリ89’のルーチン複合部153に送信することである。
【0144】
水平逆変換ルーチン159は、デフォルト目標ブーム先端水平速度v⊥V-目標を、入力ルーチン152からサイクル時間t2>>t1を供給されるジョイントの関節角度εに基づいて及び分配ブーム20の既知の物理量に基づいて、垂直軸18周りのスイベルジョイント28の対応する逆変換角速度ε 18逆に変換する。
【0145】
この逆変換角速度ε 18逆は、次いで、コントローラアセンブリ89’において、ルーチン複合部153における積分ステージとして設計されている別な角速度計算ステージ163’に送信される。このステージは、一定時間間隔Δtにわたって逆変換角速度ε 18逆を積分して、目標値角度ε18目標を形成し、次いでこれを目標値メモリー193に記憶する。
【0146】
この目標値メモリー193から、目標姿勢値PSが連続的に分配ブーム制御ルーチン1156に送信される。
【0147】
分配ブーム制御ルーチン1156は、入力ルーチン152から、角度センサ118,120,122,124,126,129によって検出される角度εの実測値の形態で実際の姿勢値PIを受信する。分配ブーム制御ルーチン156で実施される制御ループを用いて、駆動ユニット26,68,78,80,82,84の作動要素90,92,94,96,98及び100のための位置制御変数SD、i=90,92,94,96,98,100が、次いで、実際の姿勢値PI及び目標姿勢値PSに基づいてコントローラアセンブリ89において決定される。
【0148】
作動要素90,92,94,96,98及び100のための位置決め制御変数SD、i=90,92,94,96,98,100が、出力ルーチン162に送信される。これは、位置決め制御変数SDから制御信号として形成された対応する制御信号SW、i=92,94,96,98,100を作動要素92,94,96,98及び100に送る。
【0149】
コントローラアセンブリ89の別な実施形態では、ルーチン複合部153におけるルーチンが、サイクル時間t1で入力ルーチン152によって提供される、実際の姿勢値PI、圧力センサからの信号pSi,pKi、デフォルトブーム先端垂直速度v||V、ジョイントの関節角度εなどから成る群からn番目の信号のみを考慮することも可能であることを付記する。
【0150】
サイクル時間t2が関係T>>t2を満足する場合、又はサイクル時間t1で入力ルーチン152によって提供される前述の群からのn番目の信号に対して、以下の式T>>nt1が当てはまる場合、計算時間を最適化する、コントローラアセンブリ89’におけるルーチンの実行時間挙動であって、トラック搭載コンクリートポンプ10のラージマニピュレータの所望でない振動の能動減衰のために使用される実行時間挙動が達成される。垂直逆変換ルーチン157及び水平逆変換ルーチン159の呼び出しの頻度はこのようにして最小化され、コントローラアセンブリ89’における入力ルーチン152及び分配ブーム制御ルーチン1156の呼び出しの頻度はこのようにして最大化される。ラージマニピュレータの場合、これは実行時間挙動全体を最適化する効果を有する。
【0151】
要約すると、本発明の以下の好ましい特徴を付記する。コンクリートポンプ用のラージマニピュレータが分配ブーム20を有する。分配ブーム20は関節式ブーム32を有し、関節式ブーム32は、ブーム架台30に設置され、関節式に互いに連結した多数のブームアーム44,46,48,50,52から作られ、ブーム架台30又は隣接するブームアーム44,46,48,50,52に対してブームアーム44,46,48,50,52を回動させる多数のジョイント34,36,38,40,42及びブーム先端64を有する。分配ブーム20は、関節ジョイント34,36,38,40,42にそれぞれ関連する駆動ユニット68,78,80,82,94のための駆動ユニット作動要素90,92,94,96,98,100の援助により関節式ブーム32の移動を制御する制御装置86を有する。ラージマニピュレータは、フレーム16に関連付けられた座標系104において少なくとも1つのブームアーム44,46,48,50,52上のブームアーム位置の垂直速度v||及び/又は水平速度vを決定する装置102を含む。当該ラージマニピュレータはさらに、ジョイント34,36,38,40,42の関節角度116を決定する装置を含む。制御装置86は、駆動ユニット68,78,80,82,94のための作動要素90,92,94,96,98,100のための位置決め制御変数SDを提供することによって関節式ブーム32の移動を制御する。当該位置決め制御変数は、ブームアーム位置の垂直速度v||を決定する装置102により決定されるブームアーム位置の垂直速度v||及び/又は水平速度vに依存し、またジョイント34,36,38,40,42の関節角度を決定する装置116により決定されるジョイント34,36,38,40,42の関節角度εに、及び/又は垂直軸18周りのブーム架台30の回転角度ε18に、及びブームオペレータにより操作されるコントローラ87により生成される分配ブーム20を調節するための制御信号Sに依存する。
【符号の説明】
【0152】
10 トラック搭載コンクリートポンプ
12 搬送車両
14 粘性物質ポンプ
16 車両搭載フレーム
18 回転軸(垂直軸)
20 分配ブーム
22 コンクリート送出ライン
24 供給コンテナー
25 コンクリート打設地点
26 駆動ユニット
28 スイベルジョイント
30 ブーム架台
32 関節式ブーム
34,36,38,40,42 関節ジョイント
44,46,48,50,52 ブームアーム
54,56,58,60,62 関節軸
64 ブームアーム位置、例えばブーム先端
66 エンドホース
68 駆動ユニット
70 シリンダー部分
72 シリンダーロッド
74 レバー要素
76 ガイド要素
77 二重矢印
78,80,82,84 駆動ユニット
83 制御パネル
85 制御装置
86,86’ 制御装置
87 コントローラ
89,89’ コントローラアセンブリ
90,92,94,96,98,100 作動要素
91 無線リンク
93 無線受信機
95 バスシステム
101 出力ライン
102 垂直速度を決定する装置
103 出力ライン
104 座標系
106,106’ 加速度センサ
108 評価ステージ/計算ステージ
110,110’ 水平速度を決定する装置
112,112’ 加速度センサ
114 評価ステージ
116 関節角度を決定する装置
118,120,122,124,126 角度センサ
128 回転角度を決定する装置
129 角度センサ
130,132,134,136,138
140,142,144,146,148 圧力センサ
150 トルクセンサ
152 入力ルーチン
153 ルーチン複合部
154,154’ 分配ブーム減衰ルーチン
155,155’ 分配ブーム減衰ルーチン
156 分配ブーム制御ルーチン
157 垂直逆変換ルーチン
158 分配ブーム目標姿勢値ルーチン
159 水平逆変換ルーチン
160,160’ 重ね合わせルーチン
161,161’ 重ね合わせルーチン
162 出力ルーチン
163,163’ 角速度計算ステージ
164 計算ステージ
165,165’ 差要素
166 減衰力計算ステージ
168 最適化ステージ
170 分離ステージ
172 軸方向トルク計算ステージ
174 計算ステージ
175 計算ステージ
176 実際の力を決定する装置
177 差ルーチン
178 制御ステージ
179 差ルーチン
181 積分ステージ
182 計算ステージ
184 減衰力計算ステージ
186 トルク計算ステージ
187 差ルーチン
188 トルク制御ステージ
192 プロセッサクロック
193 目標値メモリー
194 差ルーチン
196 ゼロ次保持フィルタ
198 制御ステージ
199 角度センサ
1154 分配ブーム垂直減衰ルーチン
1155 分配ブーム水平減衰ルーチン
1156 分配ブーム制御ルーチン
1166 目標速度計算ステージ
1172 力計算ステージ
1174 計算ステージ
1177 差ルーチン
Ki ロッド側シリンダー表面
Si ボトム側シリンダー表面
|| 実験的定数
実験的に決定される定数
||、D 減衰定数
DS 減衰制御変数
D||又はFD⊥ 減衰力
D||i 成分目標減衰力
目標減衰力
Di 成分目標減衰力
実際の力
|| 垂直力
水平力
FD 成分目標減衰力
長さ
MD 成分目標減衰トルク(成分目標減衰モーメント)
質量
実際のトルク(実際のモーメント)
MI 実際のトルク(実際の回転モーメント)
MS 目標トルク(目標回転モーメント)
D⊥ 目標減衰トルク(目標減衰回転モーメント)
装置固有に選択されたパラメータ
Ki ピストン側圧力
Si ロッド側圧力
PGi 姿勢値
PI 実際の姿勢値
PS 目標姿勢値
S 制御信号
SD 位置決め制御変数
SW 制御信号
|| ブーム先端垂直速度
||目標 目標垂直速度
||V デフォルトブーム先端速度
||V-目標 デフォルト目標ブーム先端垂直速度
⊥V-目標 デフォルト目標ブーム先端水平速度
水平ブーム先端速度
⊥目標 目標水平速度
⊥V デフォルトブーム先端水平速度
目標 目標値
ε 角度
ε 実際の角速度
ε18逆 目標角度
ε i逆 逆変換角速度
ε 18逆 逆変換角速度
εi_目標 目標角度
εPSi 目標姿勢値
|| 加速度センサ106の信号
加速度センサ112の信号
Δv|| 垂直比較値
Δt 一定時間間隔
Δv 水平比較値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18