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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20221201BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221201BHJP
   G09G 5/39 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
E02F9/26 C
G09G5/00 550M
G09G5/36 530D
G09G5/00 510A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021141249
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 新一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵一郎
(72)【発明者】
【氏名】笹▲崎▼ 真一
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-332666(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187519(WO,A1)
【文献】国際公開第2002/044480(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
G09G 5/00
G09G 5/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業時に使用される複数の作業モード画面およびメンテナンス時に使用される複数のサービスモード画面を表示する表示装置と、
前記表示装置の表示を制御するコントローラと、を備えた作業機械において、
前記コントローラは、
前記複数の作業モード画面に表示される第1画像データと、
前記複数のサービスモード画面に表示される第2画像データと、を記憶し、
前記第2画像データは、
前記第1画像データの品質と異なる品質に設定された固有画像データを含む
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記固有画像データは、
前記第1画像データの品質よりも低い品質に設定されている
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記第2画像データは、
前記複数の作業モード画面のうちの少なくともいずれかの画面にも表示される共通画像データを含み、
前記共通画像データは、
前記第1画像データの品質と同じ品質に設定されている
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記複数の作業モード画面は、
第1作業モード画面と、
前記第1作業モード画面よりも使用頻度が低い第2作業モード画面と、を含み、
前記第2作業モード画面に表示される前記第1画像データは、
前記第1作業モード画面に表示される前記第1画像データの品質よりも低い品質に設定されている
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の情報を表示する表示装置が運転室内に設けられた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械の運転室には、作業機械の稼働状況などをオペレータに知らせるために、例えば液晶モニタなどの表示装置が設けられている。作業機械の表示装置は、燃料の残量や冷却水の温度、作業装置の姿勢などの基本情報の他、故障診断や周囲監視といった機能情報を表示するため、多種多様な情報を表示するための画像データやユーザインターフェースを表示するための画像データが必要となり、これらの画像データを格納するメモリの容量が圧迫されやすい。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に記載された作業機械の表示装置では、表示部に表示される画面の背景との境界となる輪郭部と、輪郭部の内部に位置する本体部と、を有する画像データについて、本体部の色を画面の背景色と同一または類似にし、輪郭部の色を画面の背景色と異なる色にすることにより、メモリの容量の節減を図っている。
【0004】
また、例えば、特許文献2に記載された作業機械の表示装置では、作業機械の車体基本情報を表示する第1表示制御装置と、車体基本情報より使用頻度が低い情報を表示する第2表示制御装置と、を備えることにより、限られたメモリの容量の中で表示の多機能化に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5548880号公報
【文献】特許第5002515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置では、輪郭部を有する画像データを対象としているため、輪郭部を有さない画像データについては、画面の背景色に応じた色の画像データをそれぞれ作成することになり、メモリの容量を削減することができない。また、特許文献2に記載の表示装置の場合、2つの表示制御装置を実装することになるため、コストの増加につながってしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、表示の鮮明度が確保された画像データを用いて表示しながらも、コストを増加させることなくメモリの容量の削減を図ることが可能な表示装置を備えた作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、作業時に使用される複数の作業モード画面およびメンテナンス時に使用される複数のサービスモード画面を表示する表示装置と、前記表示装置の表示を制御するコントローラと、を備えた作業機械において、前記コントローラは、前記複数の作業モード画面に表示される第1画像データと、前記複数のサービスモード画面に表示される第2画像データと、を記憶し、前記第2画像データは、前記第1画像データの品質と異なる品質に設定された固有画像データを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示装置における表示に対して鮮明度が確保された画像データを用いつつも、コストを増加させることなくメモリの容量の削減を図ることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の各実施形態に係る油圧ショベルの一構成例を示す外観側面図である。
図2】モニタの表示部に表示される画面の遷移の一例を示す図である。
図3】作業モード画面の一例を示す図である。
図4】サービスモード画面の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係るコントローラが有する機能を示す機能ブロック図である。
図6】第1実施形態に係るコントローラで実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係るコントローラで実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態に係る作業機械の一態様として、クローラ式の油圧ショベルについて説明する。
【0012】
<油圧ショベル1の全体構成>
まず、油圧ショベル1の全体構成について図1を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の各実施形態に係る油圧ショベル1の一構成例を示す外観側面図である。
【0014】
油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の走行体11と、走行体11の上方に旋回可能に設けられた旋回体12と、旋回体12の前部に取り付けられて掘削や整地などの作業を行う作業装置13と、を備えている。
【0015】
走行体11は、車体の前後方向に延びる一対のクローラ110を左右に備え、一対の走行モータ(不図示)の駆動力により一対のクローラ110を地面に接触させた状態で回転させて車体を移動させる。一対の走行モータは、左右それぞれのクローラ110に対応して走行体11の左右に搭載され、互いに独立して駆動することで左右のクローラ110をそれぞれ独立して正逆回転させることができる。なお、図1では、左右一対のクローラ110のうち、左側のクローラ110のみを示している。
【0016】
旋回体12は、ベースとなる旋回フレーム21と、オペレータが搭乗する運転室22と、油圧ショベル1が傾倒しないように作業装置13とのバランスを保つカウンタウェイト23と、油圧ショベル1を駆動するために必要な機器類を内部に収容する機械室24と、を備える。
【0017】
旋回フレーム21上において、運転室22は前部左側に、カウンタウェイト23は後端部に、機械室24は運転室22とカウンタウェイト23との間に、それぞれ載置されている。運転室22には、オペレータが着座する運転席22Aと、運転席22Aの前方に配置されて油圧ショベル1の稼働状況などを表示する表示装置としてのモニタ4と、が設けられている。なお、図1では、運転席22Aおよびモニタ4をそれぞれ、破線で示している。
【0018】
作業装置13は、基端部が旋回フレーム21に回動可能に取り付けられたブーム31と、ブーム31を駆動するブームシリンダ31Aと、ブーム31の先端部に回動可能に取り付けられたアーム32と、アーム32を駆動するアームシリンダ32Aと、アーム32の先端部に回動可能に取り付けられたバケット33と、バケット33を駆動するバケットシリンダ33Aと、を備える。
【0019】
ブームシリンダ31Aは、旋回フレーム21とブーム31とを連結し、ロッドが伸縮することによりブーム31を旋回体12に対して上下方向に回動(俯仰)させる。アームシリンダ32Aは、ブーム31とアーム32とを連結し、ロッドが伸縮することによりアーム32をブーム31に対して前後方向に回動させる。バケットシリンダ33Aは、アーム32とバケット33とを連結し、ロッドが伸縮することによりバケット33をアーム32に対して前後方向に回動させる。
【0020】
バケット33は、土砂などの荷を掬い上げて所定の位置に荷を下ろすものである。なお、このバケット33は、例えば、木材や岩石、廃棄物などを掴むグラップルや、岩盤を掘削するブレーカといった各種のアタッチメントに変更することが可能であり、これにより、油圧ショベル1は、作業内容に適したアタッチメントを用いて、掘削や破砕などを含む様々な作業を行うことができる。
【0021】
<モニタ4の構成>
次に、モニタ4の構成について、図2~4を参照して説明する。
【0022】
図2は、モニタ4の表示部41に表示される画面の遷移の一例を示す図である。図3は、作業モード画面401の一例を示す図である。図4は、サービスモード画面402の一例を示す図である。
【0023】
モニタ4は、燃料の残量、冷却水の温度、作業装置の姿勢、および各センサ値などの油圧ショベル1に係る基本情報、ならびに、油圧ショベル1に搭載された機器類やシステムの故障診断や油圧ショベル1の周囲監視といった機能情報などの各種情報を表示し、油圧ショベル1の状態をオペレータに対して報知する。
【0024】
モニタ4は、各種情報が示された画面を表示する表示部41と、画面の切り替えや各種設定を変更するための操作部42と、を備える。図3および図4では、モニタ4は、タッチパネル式であって、表示部41の機能を有する液晶パネルと操作部42の機能を有するタッチパッドとが組み合わされて構成されている。
【0025】
例えば、図3では、表示部41に表示された画面のうち、「エアコン」、「オーディオ」、「アタッチメント」、「クレーン」、「セッティング」、「ディスプレイ」、および「インフォメーション」と表示された各領域が操作部42も兼ねている。具体的には、オペレータが、例えば「オーディオ」と表示された領域をタッチすると、表示部41が音量を調整するための音量調整画面に切り替わり、続いて、オペレータが音量調整画面で音量の大小のアイコンなどをタッチすることにより、音量が調整される。
【0026】
なお、モニタ4は、必ずしもタッチパネル式である必要はなく、表示部41と操作部42とが異なるハード構成として設けられていてもよく、例えば表示部41の左右側や上下側に操作部42として複数の操作ボタンなどが設けられていてもよい。
【0027】
図2に示すように、モニタ4の表示部41には、大きく分けて、オペレータにより油圧ショベル1を操作する際(作業時)に使用される複数の作業モード画面401と、サービスマンにより油圧ショベル1のメンテナンス時(サービス時)に使用される複数のサービスモード画面402と、が表示される。
【0028】
複数の作業モード画面401は、オペレータが油圧ショベル1を操作する際(作業する際)に必要となる画面である。一方、複数のサービスモード画面402は、サービスマンが油圧ショベル1の調整作業(メンテナンス)を行う際(サービス時)に必要となる画面であって、オペレータは通常使用しない画面である。
【0029】
まず、モニタ4の電源をOFFの状態からONの状態にすると、表示部41には、複数の作業モード画面401のうちの1つである基本画面が表示される。基本画面には、「エリアコントロール」、「アタッチメント」、「インフォメーション」、「ディスプレイ」、「セッティング」、および「サービス」などのメニューが表示されている。図3は、作業モード画面401としての基本画面の一例を示している。
【0030】
基本画面において「アタッチメント」と表示された領域をタッチして選択すると、表示部41には、アタッチメントを選択するためのアタッチメント選択画面が表示される。また、基本画面において「インフォメーション」と表示された領域をタッチして選択すると、表示部41には、「モニタリング」などの情報メニュー画面が表示される。
【0031】
また、基本画面において「ディスプレイ」と表示された領域をタッチして選択すると、表示部41には、「日付と時刻」、「明るさ調整」、および「Language/言語」などの設定メニュー画面が表示される。また、基本画面において「セッティング」と表示された領域をタッチして選択すると、表示部41には、アタッチメント名称を入力するためのアタッチメント名称入力画面が表示される。そして、アタッチメント名称入力画面においてアタッチメント名称を入力すると、表示部41には、入力されたアタッチメント名称に対応したアタッチメントを選択するためのアタッチメント選択画面が表示される。
【0032】
一方、基本画面において「サービス」と表示された領域をタッチして選択すると、表示部41には、「モニタリング」および「アタッチメント設定」などのサービスメニュー画面が表示される。そして、サービスメニュー画面において「アタッチメント設定」と表示された領域をタッチして選択すると、アタッチメントを選択するためのアタッチメント選択画面が表示される。
【0033】
このように、基本画面において「サービス」を選択するとサービスモード画面402(図4に一例を示す)に遷移し、基本画面において「サービス」以外の各メニューを選択すると作業モード画面401(図3に一例を示す)に遷移する。
【0034】
表示部41に表示される画面の遷移は、コントローラ6により制御されている。すなわち、コントローラ6は、オペレータによる操作部42の操作に応じて、表示部41に対して出力する画面および画像データを制御している。図3および図4に示すように、複数の作業モード画面401および複数のサービスモード画面402のそれぞれに表示される画像データには、例えば「アタッチメント」や「セッティング」といった文字データと、アイコンなどの図データと、が含まれる。
【0035】
コントローラ6は、複数の作業モード画面401に表示される画像データを第1画像データとして、複数のサービスモード画面402に表示される画像データを第2画像データとして、メモリ(後述する記憶部64)にそれぞれ記憶している。
【0036】
ここで、図3図4とを比較すると、作業モード画面401の下方位置に表示された「インフォメーション」という文字が、サービスモード画面402の上方位置にも表示されている。このように、第2画像データは、複数のサービスモード画面402のみに表示される画像データである固有画像データX1(例えば、図4における「レギュレータ信号」、「燃料計」、および「エンジン異常スイッチ」などの文字データ)の他に、複数の作業モード画面401のうちの少なくともいずれかの画面にも表示される共通画像データX2を含む。
【0037】
複数の作業モード画面401は、通常、オペレータが使用する画面であることから、複数の作業モード画面401に表示される第1画像データは、表示の鮮明度が確保された品質の高いものである方が好ましい。
【0038】
一方で、第2画像データのうち、サービスマンが使用する複数のサービスモード画面402にのみ表示される固有画像データX1は、第1画像データの品質よりも低い品質に設定されている。具体的には、解像度の低下、インターレース、およびアンチエイリアス処理を無しとすることなどにより、固有画像データX1の品質を第1画像データの品質よりも低下させている。なお、固有画像データX1に対して、解像度の低下、インターレース、およびアンチエイリアス処理を無しとすることの全てを行って品質を低下させても良いし、いずれか1つの手法により品質を低下させても良い。
【0039】
なお、「解像度」は、モニタ4の画面上での縦方向または横方向の画素数を意味する。「インターレース」は、走査線を1本おきに伝送し、1枚の画像を2回に分けて表示させる方式のことを意味する。「アンチエイリアス処理」は、曲線や斜めの線に生じるギザギザを抑える処理のことであって、境界線の周りに中間色を配する処理を指す。また、本発明における「高い品質の画像」とは、鮮明度が確保された解像度が高い画像であったり、インターレースやアンチエイリアス処理を行った画像を意味する。
【0040】
このように、固有画像データX1の品質を第1画像データの品質よりも低く設定することにより、コントローラ6のメモリの容量を削減することができる。したがって、第1画像データを記憶させておくためのメモリと第2画像データを記憶させておくためのメモリとを別々に準備する必要もないため、コストを増加させることなく、コントローラ6のメモリの容量を確保することが可能である。
【0041】
なお、第2画像データのうち共通画像データX2については、第1画像データの品質と同じ品質に設定されている。これにより、コントローラ6は、作業モード画面401およびサービスモード画面402の両方に表示される同一画像データについて、低品質のものおよび高品質のものの2つの画像データをメモリに記憶しておく必要がなくなる。
【0042】
特に、油圧ショベル1では、例えば、作業装置13の作動領域を制限する領域制限機能(図2に示すエリアコントロール)や基礎工事に用いられるオプション機能など、他の作業機械と比べて多種多様な機能を有しておりモニタ4に表示される情報量が多いため、コントローラ6のメモリの容量が圧迫されやすい。そのため、予め前述したようなメモリの容量の削減を図っておくことにより、多種多様な機能が付加される場合であってもメモリを改造することなく対応することが可能となる。
【0043】
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係るコントローラ6の構成およびコントローラ6内で実行される処理について、図5および図6を参照して説明する。
【0044】
図5は、第1実施形態に係るコントローラ6が有する機能を示す機能ブロック図である。図6は、第1実施形態に係るコントローラ6で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
コントローラ6は、CPU、RAM、ROM、入力I/F、および出力I/Fがバスを介して互いに接続されて構成される。そして、モニタ4の操作部42が入力I/Fに接続され、モニタ4の表示部41が出力I/Fに接続されている。
【0046】
このようなハードウェア構成において、ROM若しくは光学ディスク等の記録媒体に格納された制御プログラム(ソフトウェア)をCPUが読み出してRAM上に展開し、展開された制御プログラムを実行することにより、制御プログラムとハードウェアとが協働して、コントローラ6の機能を実現する。
【0047】
なお、本実施形態では、コントローラ6をソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成されるコンピュータとして説明しているが、これに限らず、例えば他のコンピュータの構成の一例として、油圧ショベル1の側で実行される制御プログラムの機能を実現する集積回路を用いてもよい。
【0048】
図5に示すように、コントローラ6は、画面取得部61と、画面判定部62と、画像データ選択部63と、記憶部64と、画像データ出力部65と、を含む。
【0049】
画面取得部61は、操作部42の操作に応じて表示部41に表示される画面(表示画面)のデータを取得する。画面判定部62は、画面取得部61で取得された表示画面が、作業モード画面401およびサービスモード画面402のうちのいずれの画面であるかを判定する。
【0050】
画像データ選択部63は、画面判定部62における判定結果に基づいて、記憶部64に記憶されている画像データを読み出す。
【0051】
具体的には、画像データ選択部63は、画面判定部62において表示画面が作業モード画面401であると判定された場合には第1画像データを選択し、画面判定部62において表示画面がサービスモード画面402であると判定された場合には第2画像データを選択する。さらに、画像データ選択部63は、第2画像データを選択した場合には、表示対象となる画像データが固有画像データX1および共通画像データX2のうちのいずれの画像データであるかを判定する。
【0052】
記憶部64は、コントローラ6のメモリである。記憶部64には、予め設定された第1画像データおよび第2画像データがそれぞれ記憶されている。なお、第2画像データについては、固有画像データX1と共通画像データX2とに区別された上で、それぞれ記憶部64に記憶されている。
【0053】
画像データ出力部65は、画像データ選択部63において選択された画像データを表示部41に対して出力する。
【0054】
図6に示すように、まず、コントローラ6では、画面取得部61が、操作部42から出力された操作信号に基づいて、表示部41に表示される表示画面のデータを取得する(ステップS601)。
【0055】
続いて、画面判定部62は、ステップS601で取得された表示画面のデータに基づいて、表示部41に表示される表示画面が作業モード画面401であるか、あるいは、サービスモード画面402であるかを判定する(ステップS602)。
【0056】
ステップS602において作業モード画面401であると判定された場合(ステップS602/作業モード画面)、画像データ選択部63は、第1画像データを選択する(ステップS603)。そして、画像データ出力部65は、ステップS603で選択された第1画像データを表示部41に対して出力する(ステップS604)。
【0057】
一方、ステップS602においてサービスモード画面402であると判定された場合(ステップS602/サービスモード画面)、画像データ選択部63は、第2画像データを選択する(ステップS605)。続いて、画像データ選択部63は、表示対象の画像データが作業モード画面401にも表示されるか否かを判定する(ステップS606)。
【0058】
ステップS606において、表示対象の画像データが作業モード画面401にも表示されると判定された場合(ステップS606/YES)、画像データ選択部63は、共通画像データX2を選択する(ステップS607)。そして、画像データ出力部65は、ステップS607で選択された共通画像データX2を表示部41に対して出力する(ステップS608)。
【0059】
一方、ステップS606において、表示対象の画像データは作業モード画面401に表示されないと判定された場合(ステップS606/NO)、画像データ選択部63は、固有画像データX1を選択する(ステップS609)。そして、画像データ出力部65は、ステップS609で選択された固有画像データX1を表示部41に対して出力する(ステップS610)。
【0060】
コントローラ6は、画像データ出力部65が表示部41に対して各画像データを出力した(ステップS604,S608,S610)後は、ステップS601に戻って処理を繰り返す。
【0061】
このように、コントローラ6は、メモリである記憶部64に、品質の異なる画像データを予め設定して記憶させておき、表示画面の種類(作業モード画面401またはサービスモード画面402)に応じた画像データを記憶部64から読み出して表示部41に対して出力することにより、オペレータに対する表示には鮮明度が確保された第1画像データを用いつつも、コストを増加させることなくメモリの容量を削減することができる。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るコントローラ6内で実行される処理について、図7を参照して説明する。なお、第1実施形態に係るコントローラ6について説明したものと共通する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図7は、第2実施形態に係るコントローラ6で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
本実施形態に係るコントローラ6では、第1実施形態に係るコントローラ6内での処理を実行した場合であっても、まだコントローラ6のメモリの容量を圧迫しているような場合に、メモリの容量をさらに削減するための処理を追加している。
【0065】
複数の作業モード画面401には、例えば基本画面(図2および図3参照)のように頻繁に使用される第1作業モード画面401Aと、例えばディスプレイの明るさを調整する画面や言語を切り替えるための画面など(図2参照)のようにほとんど使用されない、すなわち第1作業モード画面401Aよりも使用頻度が低い第2作業モード画面401Bと、が含まれる。
【0066】
そこで、第1作業モード画面401Aに表示される第1画像データは、表示の鮮明度が確保された高品質の画像データ(高品質画像データ)として設定され、第2作業モード画面401Bに表示される第1画像データは、第1作業モード画面401Aに表示される第1画像データの品質よりも低い品質の画像データ(低品質画像データ)として設定されている。
【0067】
なお、低品質画像データについても、固有画像データX1の場合と同様に、解像度の低下、インターレース、およびアンチエイリアス処理を無しとすることなどの手法を用いて品質を低下させている。
【0068】
図7に示すように、本実施形態に係るコントローラ6では、画像データ選択部63において第1画像データが選択されると(ステップS603)、続いて、画面判定部62は、ステップS602で判定された作業モード画面401が、第1作業モード画面401Aおよび第2作業モード画面401Bのうちのいずれの画面であるかを判定する(ステップS611)。
【0069】
ステップS611において第1作業モード画面401Aであると判定された場合(ステップS611/第1作業モード画面)、画像データ選択部63は、高品質画像データを選択する(ステップS612)。そして、画像データ出力部65は、ステップS612で選択された高品質画像データを表示部41に対して出力する(ステップS613)。
【0070】
一方、ステップS611において第2作業モード画面401Bであると判定された場合(ステップS611/第2作業モード画面)、画像データ選択部63は、低品質画像データを選択する(ステップS614)。そして、画像データ出力部65は、ステップS614で選択された低品質画像データを表示部41に対して出力する(ステップS615)。
【0071】
本実施形態においても、コントローラ6は、画像データ出力部65が表示部41に対して各画像データを出力した(ステップS608,S610,S613,S615)後は、ステップS601に戻って処理を繰り返す。
【0072】
このように、サービスモード画面402に表示される第2画像データに関して品質を低下させても、まだコントローラ6のメモリの容量が圧迫している場合には、作業モード画面401に表示される第1画像データについても、使用頻度の低い第2作業モード画面401Bに表示されるものの品質を低下させることにより、メモリの容量をより削減することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0074】
例えば、上記実施形態では、作業機械の一態様として油圧ショベル1について説明したが、これに限らず、例えばホイールローダやダンプトラックなどの他の作業機械についても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1:油圧ショベル(作業機械)
4:モニタ(表示装置)
6:コントローラ
401:作業モード画面
401A:第1作業モード画面
401B:第2作業モード画面
402:サービスモード画面
X1:固有画像データ
X2:共通画像データ
【要約】
【課題】表示の鮮明度が確保された画像データを用いて表示しながらも、コストを増加させることなくメモリの容量の削減を図ることが可能な表示装置を備えた作業機械を提供する。
【解決手段】作業時に使用される複数の作業モード画面401およびメンテナンス時に使用される複数のサービスモード画面402を表示するモニタ4と、モニタ4の表示を制御するコントローラ6と、を備えた油圧ショベル1において、コントローラ6は、複数の作業モード画面401に表示される第1画像データと、複数のサービスモード画面402に表示される第2画像データと、を記憶し、第2画像データは、第1画像データの品質と異なる品質に設定された固有画像データX1を含む。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7