(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】指紋認識モジュール及びその製造方法、電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20221201BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20221201BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H04R17/00 330H
H04R31/00 330
G06T1/00 400G
(21)【出願番号】P 2021504519
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020098838
(87)【国際公開番号】W WO2021012893
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】201910663428.7
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520281859
【氏名又は名称】中芯集成電路(寧波)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石 虎
(72)【発明者】
【氏名】劉 孟彬
(72)【発明者】
【氏名】向 陽輝
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-503095(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108664913(CN,A)
【文献】特表2018-533246(JP,A)
【文献】特開2019-047462(JP,A)
【文献】特開2012-058084(JP,A)
【文献】特開2007-215177(JP,A)
【文献】特開2008-296582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
B06B 1/06
G06T 1/00-1/60
H01L 41/00-41/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理回路が形成される基板と、
前記基板上にボンディングされ、複数のキャビティを有する永久ボンディング層と、
圧電層と、前記圧電層の一方側に位置する複数の第1電極と、前記圧電層の他方側に位置するとともに複数の前記第1電極のそれぞれと対応する複数の第2電極であって、複数の前記キャビティをそれぞれ遮蔽する複数の第2電極と、を有し、前記永久ボンディング層上に位置する圧電トランスジューサと、
複数の前記第1電極のそれぞれに電気的に接続される複数の第1導電性コンタクトと、複数の前記第2電極のそれぞれに電気的に接続されるとともに前記圧電層を貫通する複数の第2導電性コンタクトと、
を有し、各前記第2導電性コンタクトが隣接する二つの前記第1導電性コンタクトの間に位置する相互接続構造と、を含
み、
各第1電極は、各キャビティの一方側から突出する一端を有し、
各第2電極は、各キャビティの他方側から突出する
一端を有し、
各第1導電性コンタクトは、一端が外部回路と電気的に接続されるとともに他端が各第1電極の一端と電気的に接続され、
各第2導電性コンタクトは、一端が前記外部回路と電気的に接続されるとともに他端が各第2電極の一端と電気的に接続される、
ことを特徴とする指紋認識モジュール。
【請求項2】
前記指紋認識モジュールは、前記第1電極の表面に位置する隔離層をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の指紋認識モジュール。
【請求項3】
前記隔離層の材料が酸化シリコンである、ことを特徴とする請求項2に記載の指紋認識モジュール。
【請求項4】
前記永久ボンディング層の材料がドライフィルムである、ことを特徴とする請求項1に記載の指紋認識モジュール。
【請求項5】
前記相互接続構造は、前記信号処理回路の対応する接続端に電気的に接続される第3導電性コンタクトをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の指紋認識モジュール。
【請求項6】
指紋認識モジュールの製造方法であって、
信号処理回路が形成される基板を提供するステップと、
キャリアベースを提供するステップと、
圧電層と、前記圧電層の一方側に位置する複数の第1電極と、前記圧電層の他方側に位置するとともに複数の前記第1電極のそれぞれと対応する複数の第2電極と、を有する圧電トランスジューサを前記キャリアベース上に形成するステップと、
複数のキャビティを有する永久ボンディング層を前記キャリアベースまたは前記基板上に形成するステップと、
前記永久ボンディング層が前記圧電トランスジューサと前記基板との間に位置するとともに、複数の前記第2電極がそれぞれ複数の前記キャビティを遮蔽するように、前記永久ボンディング層を利用して前記キャリアベースと前記基板をボンディングするステップと、
前記キャリアベースを除去するステップとを含み、
前記指紋認識モジュールは、複数の前記第1電極のそれぞれに電気的に接続される複数の第1導電性コンタクトと、複数の前記第2電極のそれぞれに電気的に接続されるとともに前記圧電層を貫通する複数の第2導電性コンタクトと、
を有し、各前記第2導電性コンタクトが隣接する二つの前記第1導電性コンタクトの間に位置する相互接続構造を含
み、
各第1電極は、各キャビティの一方側から突出する一端を有し、
各第2電極は、各キャビティの他方側から突出する
一端を有し、
各第1導電性コンタクトは、一端が外部回路と電気的に接続されるとともに他端が各第1電極の一端と電気的に接続され、
各第2導電性コンタクトは、一端が前記外部回路と電気的に接続されるとともに他端が各第2電極の一端と電気的に接続される、
ことを特徴とする指紋認識モジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の指紋認識モジュールを備える、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、半導体製造分野に関し、特に指紋認識モジュール及びその製造方法、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋認識技術は、指紋結像モジュールを介して人体の指紋画像を収集し、次に指紋認識システムにおける既存の指紋結像情報と比較して、アイデンティティ認識を実現する。使いやすさ及び人体の指紋の唯一性のため、指紋認識技術は、公安局、税関などの保安検査分野、建物のアクセス制御システムやパソコン及び携帯電話などの消費品分野など、さまざまな分野で広く使用されている。
【0003】
現在、超音波指紋認識技術が耐油性、防水性、透過性が強いなどの利点を有し、より強い環境適応能力を有するため、より複雑な環境に用いることができ、主要な指紋認識技術の1つとなっている。超音波指紋認識技術で使用される認識ユニットは、圧電トランスジューサである。圧電トランスジューサは、主にボトム電極、トップ電極、及び前記ボトム電極とトップ電極との間に位置する圧電層で構成されており、圧電層の逆圧電効果を利用し、圧電層の上下両面のボトム電極及びトップ電極に固定周波数の電圧を印加すれば、圧電層が振動することで、超音波を発生させる。超音波が異なる材質表面に到達する際、吸収される程度と、透過される程度と反射される程度とが異なるため、皮膚及び空気または異なる皮膚層による音波インピーダンスに対する区別を利用して、指紋の尾根と谷の位置を認識する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例が解決する課題は、指紋認識の精度を向上させる指紋認識モジュール及びその製造方法、電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施例は、信号処理回路が形成される基板と、前記基板上にボンディングされ、キャビティを有する永久ボンディング層と、前記永久ボンディング層上に位置し、第1電極、前記第1電極上に位置する圧電層、及び前記圧電層上に位置する第2電極を含むとともに、前記キャビティを遮蔽する圧電トランスジューサとを含む指紋認識モジュールを提供する。
【0006】
これに対応して、本発明の実施例は、信号処理回路が形成される基板を提供するステップと、キャリアベースを提供するステップと、第1電極、前記第1電極上に位置する圧電層、及び前記圧電層上に位置する第2電極を含む圧電トランスジューサを前記キャリアベース上に形成するステップと、キャビティを有する永久ボンディング層を前記キャリアベースまたは前記基板上に形成するステップと、前記永久ボンディング層が前記圧電トランスジューサと前記基板との間に位置するとともに、前記圧電トランスジューサが前記キャビティを遮蔽するように、前記永久ボンディング層を利用して前記キャリアベースと前記基板をボンディングするステップと、前記キャリアベースを除去するステップとを含む、指紋認識モジュールの製造方法をさらに提供する。
【0007】
これに対応して、本発明の実施例は、前述した指紋認識モジュールを備える電子機器をさらに提供する。
【発明の効果】
【0008】
従来技術に比べて、本発明の実施例の技術案は、以下の利点を有する。本発明の実施例は、圧電トランスジューサをキャリアベース上に形成した後に、キャビティを有する永久ボンディング層を利用して前記キャリアベースと基板をボンディングし、前記永久ボンディング層が圧電トランスジューサと基板との間に位置し、前記圧電トランスジューサが前記キャビティを遮蔽する。本発明の実施例は、沈積及びパターン化を採用して、キャビティを有する絶縁層を基板上に形成し、圧電トランスジューサを前記絶縁層上に形成する技術案に比べて、絶縁層の代わりに永久ボンディング層を用い、圧電トランスジューサをキャリアベース上に形成し、従って、指紋認識モジュールの製造過程において、前記キャビティを満たす犠牲層を形成する必要がないため、この後、犠牲層のリリース操作を行う必要がなく、犠牲層の不完全な除去のため、犠牲層残存物をキャビティに形成する課題を回避し、また、キャビティが密閉状になるように、前記圧電トランスジューサが前記キャビティを遮蔽し、前記キャビティによる音響的性能に対する改善効果を向上させることに有利であり、よって、指紋認識の精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】指紋認識モジュールの製造方法の各ステップに対応する構造模式図である。
【
図2】指紋認識モジュールの製造方法の各ステップに対応する構造模式図である。
【
図3】指紋認識モジュールの製造方法の各ステップに対応する構造模式図である。
【
図4】指紋認識モジュールの製造方法の各ステップに対応する構造模式図である。
【
図5】指紋認識モジュールの製造方法の各ステップに対応する構造模式図である。
【
図6】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図7】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図8】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図9】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図10】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図11】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図12】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図13】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図14】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図15】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図16】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図17】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図18】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図19】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図20】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第2実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図21】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第2実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図22】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第2実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図23】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第2実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図24】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図25】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図26】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図27】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図28】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図29】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図30】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図31】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図32】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図33】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図34】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図35】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図36】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第4実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図37】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第4実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図38】本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第4実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【
図39】本発明の指紋認識モジュールの1つの実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
現在、指紋認識モジュールの性能を向上させる必要がある。以下、指紋認識モジュールの製造方法を参照しながら、性能を向上させる必要がある原因について分析する。
【0011】
図1~
図5は、指紋認識モジュールの製造方法の各ステップに対応する構造模式図である。
【0012】
図1を参照して、基板10を提供し、絶縁層20を前記基板10上に形成し、かつキャビティ25を前記絶縁層20内に形成する。
【0013】
図2を参照して、前記キャビティ25(
図1に示す)を充填し、犠牲層21を形成する。
【0014】
図3を参照して、順に沈積プロセス及びパターン化プロセスを用いて、ボトム電極層30を前記犠牲層21上に形成し、前記ボトム電極層30から一部の前記犠牲層21が露出させる。
【0015】
続いて
図3を参照して、前記絶縁層20、犠牲層21及びボトム電極層30に被覆される圧電層40を形成し、順に沈積プロセス及びパターン化プロセスを用いて、トップ電極層50を前記圧電層40上に形成し、前記トップ電極層50、圧電層40及びボトム電極層30は、圧電トランスジューサを構成するために用いられる。
【0016】
図4を参照して、前記ボトム電極層30の外周に位置するとともに、前記犠牲層21を露出させるリリース穴45を前記圧電層40に開設する。
【0017】
図5を参照して、前記リリース穴45により前記キャビティ25における犠牲層21(
図4に示す)を除去する。
【0018】
前記絶縁層20及びボトム電極層30がいずれも沈積により基板10上に形成され、前記犠牲層21が前記キャビティ25に充填するために用いられ、それにより、ボトム電極層30の形成にプロセスプラットフォームを提供し、半導体プロセスを正常に行う。
【0019】
しかし、前記リリース穴45により前記キャビティ25における犠牲層21を除去するとき、前記犠牲層21を完全に除去できることを確保しにくく、特に、指紋認識モジュールのコンパクト化の発展に伴って、前記リリース穴45の直径がますます小さいため、前記犠牲層21の除去難度が増大し、それにより、犠牲層残存物をキャビティ25に形成しやすくなる。
【0020】
一方、犠牲層21を形成するステップ及び犠牲層21を除去するステップを行う必要があるため、プロセスステップが複雑である。
【0021】
他方、指紋認識モジュールの使用過程において、圧電層40の上下両面のボトム電極層30及びトップ電極層50に固定周波数の電圧を印加すれば、圧電トランスジューサが振動し、超音波を発生させ、超音波が上へ指の谷または尾根まで伝送され、音波は、尾根の表面に会うと、一部が反射され、一部が透過するが、谷における空気の音響インピーダンスが尾根よりはるかに高く、従って、音波が谷に会うと、ほとんど全反射される。谷及び尾根から反射される超音波が圧電トランスジューサに伝送されるとき、圧電トランスジューサが変形し、圧電層40の両端が異なる振幅、位相または周波数の電圧を発生させ、それにより、指紋情報の収集を実現する。従って、キャビティ25に犠牲層残存物が形成される場合、キャビティ25の音響性能が設計値から外れ、変動することを招きやすく、それにより、指紋認識の精度を低下させる。
【0022】
前記技術課題を解決するために、本発明の実施例は、信号処理回路が形成される基板を提供するステップと、キャリアベースを提供するステップと、第1電極、前記第1電極上に位置する圧電層、及び前記圧電層上に位置する第2電極を含む圧電トランスジューサを前記キャリアベース上に形成するステップと、キャビティを有する永久ボンディング層を前記キャリアベースまたは前記基板上に形成するステップと、前記永久ボンディング層が前記圧電トランスジューサと前記基板との間に位置するとともに、前記圧電トランスジューサが前記キャビティを遮蔽するように、前記永久ボンディング層を利用して前記キャリアベースと前記基板をボンディングするステップと、前記キャリアベースを除去するステップとを含む指紋認識モジュールの製造方法を提供する。
【0023】
本発明の実施例は、圧電トランスジューサをキャリアベース上に形成した後に、キャビティを有する永久ボンディング層を利用して前記キャリアベースと基板をボンディングし、前記永久ボンディング層が圧電トランスジューサと基板との間に位置し、前記圧電トランスジューサが前記キャビティを遮蔽する。本発明の実施例は、沈積及びパターン化を採用して、キャビティを有する絶縁層を基板上に形成し、圧電トランスジューサを前記絶縁層上に形成する技術案に比べて、絶縁層の代わりに永久ボンディング層を用い、圧電トランスジューサをキャリアベース上に形成し、従って、指紋認識モジュールの製造過程において、前記キャビティを満たす犠牲層を形成する必要がないため、この後、犠牲層のリリース操作を行う必要がなく、犠牲層の不完全な除去のため、キャビティに犠牲層残存物を形成する課題を回避し、また、キャビティが密閉状になるように、前記圧電トランスジューサが前記キャビティを遮蔽し、前記キャビティによる音響的性能に対する改善効果を向上させることに有利である。よって、指紋認識の精度を向上させる。
【0024】
本発明の実施例の上記目的、特徴及び利点がより明瞭かつ理解しやすくなるように、以下、図を参照しながら、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0025】
図6~
図19は、本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第1実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【0026】
図6を参照して、信号処理回路が形成される基板160を提供する。
【0027】
前記基板160は、圧電トランスジューサにボンディングされることにより、指紋認識モジュールを形成するために用いられる。
【0028】
前記基板160には信号処理回路が形成されており、前記基板160は、指紋認識モジュールの使用過程において、圧電トランスジューサを駆動し、圧電トランスジューサの生じた検出信号を処理するために用いられる。
【0029】
本実施例では、前記基板160は、CMOSプロセスに基づいて形成される。
【0030】
具体的には、前記基板560は、ウェハレベル基板であり、前記基板160と圧電トランスジューサをウェハレベルで集積し、製造効率を向上させる。
【0031】
他の実施例では、前記基板は、チップレベル基板であってもよい。
【0032】
本実施例では、前記基板160における信号処理回路は、前記基板160とその他のデバイスまたは圧電トランスジューサを電気的に接続するための接続端165を有する。
【0033】
本実施例では、前記基板160には、溶接パッド(pad)である接続端165を露出させる。
【0034】
図7~
図10を組み合わせて参照し、第1電極120、前記第1電極120上に位置する圧電層130、及び前記圧電層130上に位置する第2電極140を含む圧電トランスジューサ200(
図10に示す)が形成されるキャリアベース100を提供する。
【0035】
前記キャリアベース100は、圧電トランスジューサ200の形成にプロセスプラットフォームを提供するために用いられる。
【0036】
本実施例では、前記キャリアベース100は、半導体ウェハーである。
【0037】
半導体ウェハーを選択することで、半導体プロセス(たとえば、沈積プロセス及びパターン化プロセス)により前記圧電トランスジューサ200を形成することができ、前記圧電トランスジューサ200における各フィルム層間の粘着性を高くし、前記圧電トランスジューサ200の信頼性を向上させることに有利である。また、前記圧電トランスジューサ200は、成熟した半導体プロセスにより形成され、前記圧電トランスジューサ200を形成するプロセスは、簡単であり、高いプロセス互換性を有する。
【0038】
具体的には、前記キャリアベース100は、シリコンベースである。シリコンベースは、半導体分野における常用のベースタイプであり、プロセス互換性が高いとともに、この後、除去しやすい。
【0039】
前記圧電トランスジューサ200は、指紋認識モジュールにおける認識ユニットとされる。
【0040】
本実施例では、前記圧電トランスジューサ200を前記キャリアベース100上に形成し、前記圧電トランスジューサ200の製造を独立して完了し、前記圧電トランスジューサ200を形成するプロセス柔軟性を向上させることに有利であるとともに、前記圧電トランスジューサ200の形成プロセスによる基板160への影響を回避することに有利であり、基板160の品質が確保され、また、さらに基板160の廃棄率の低減に有利である。
【0041】
本実施例では、前記基板160がウェハレベル基板であることに対応して、前記圧電トランスジューサ200の数量が複数である。従って、前記第1電極120の数量が複数であり、前記第2電極140の数量が複数であり、前記第2電極140が前記第1電極120に対向して設けられる。
【0042】
具体的には、前記圧電トランスジューサ200を形成するステップは、複数の第1電極120を前記キャリアベース100上に形成するステップと、前記キャリアベース100及び第1電極120に被覆される圧電層130に形成するステップと、複数の第2電極140を前記圧電層130上に形成するステップとを含む。
【0043】
前記第1電極120及び第2電極140の数量をいずれも複数にすることにより、この後、圧電トランスジューサ200と基板160をボンディングした後に、前記第1電極120または第2電極140に対してパターン化処理を行う必要がなく、後続のプロセスの複雑さの簡略化に有利である。
【0044】
本実施例では、前記圧電トランスジューサ200を前記キャリアベース100上に形成した後に、前記第1電極120と第2電極140が交互に設けられ、つまり、前記第2電極140のいずれかの端部が前記第1電極120の一側に位置することにより、この後、前記第2電極140に電気的に接続される第2導電性コンタクトを前記第1電極120の一側の圧電層130に形成することができ、第2導電性コンタクトを形成する際、第1電極120をエッチングする必要がなく、それにより、第2導電性コンタクトを形成するプロセス難度を低減させる。
【0045】
他の実施例では、前記基板がチップレベル基板である場合、前記圧電トランスジューサの数量が1つである。
【0046】
以下、図面を参照しながら、前記圧電トランスジューサ200を形成するステップについて詳細に説明する。
【0047】
以下、
図7及び
図8を参照して、複数の第1電極120を前記キャリアベース100上に形成する(
図8に示す)。
【0048】
前記第1電極120の材料は、金属、金属ケイ化物、金属窒化物、金属酸化物または導電性カーボンなどの導電性材料であってもよく、たとえば、前記第1電極120の材料は、Mo、Al、Cu、Ag、Au、Ni、Co、TiAl、TiNまたはTaNなどであってもよい。本実施例では、前記第1電極120の材料がMoである。
【0049】
具体的には、前記第1電極120を形成するステップは、
図7に示すように、前記キャリアベース100に被覆される第1導電性層125を形成するステップを含む。
【0050】
前記第1導電性層125は、第1電極の後続の形成のために用意するために用いられる。
【0051】
本実施例では、沈積プロセスにより前記第1導電性層125を形成する。前記沈積プロセスは、イオンスパッタリングプロセスであってもよい。
【0052】
図8に示すように、前記第1導電性層125(
図7に示す)に対してパターン化処理を行い、前記第1電極120を形成する。
【0053】
前記第1電極120は、圧電トランスジューサにおけるトップ電極(top electrode)、すなわち指紋認識モジュールにおける、前記基板160(
図6に示す)から離れる電極とするために用いられる。
【0054】
本実施例では、フォトレジストコーティング、露光及び現像を含むリソグラフィプロセスを用い、フォトレジストマスク(図示せず)を形成し、前記フォトレジストマスクにより前記第1導電性層125をエッチングすることにより、前記第1導電性層125をパターン化する。
【0055】
本実施例では、乾式エッチングプロセスを用いて前記第1導電性層125をエッチングする。乾式エッチングプロセスは、異方性のエッチング特性を有し、第1電極120の側壁形態品質及びサイズ精度を向上させることに有利である。前記乾式エッチングプロセスは、プラズマ乾式エッチングプロセスであってもよい。
【0056】
前記第1導電性層125をエッチングした後に、湿式フォトレジスト剥離またはアッシングプロセスにより、フォトレジストマスクを除去する。
【0057】
図9を参照して、前記第1電極120及びキャリアベース100に被覆される圧電層130を形成する。
【0058】
指紋認識モジュールの使用過程において、圧電層130の逆圧電効果を利用して、超音波を発生させ、それにより、超音波指紋認識を実現する。
【0059】
前記圧電層130の材料は、圧電結晶、圧電セラミックまたは圧電ポリマーなどであってもよい。前記圧電結晶は、窒化アルミニウム、ジルコニウムチタン酸鉛、石英結晶、ガリウム酸リチウム、メタゲルマニウム酸二リチウム、ゲルマニウム酸チタン、強誘電体トランジスタニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムなどであってもよく、前記圧電ポリマーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、ナイロン-11またはシアン化ビニリデン-酢酸エチレン交互共重合体などであってもよい。
【0060】
本実施例では、前記圧電層130の材料が 窒化アルミニウムである。窒化アルミニウムは、安定性が非常に高い圧電材料であり、良好な逆圧電効果及び圧電効果を有する。逆圧電効果とは、圧電材料の両端に電圧を印加すると、圧電材料の内部が変形し、変形量が電圧と比例することを意味し、これは、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する過程であり、圧電効果は、圧電材料が力の作用で変形するとき、圧電材料の内部の正負電荷中心が相対変位し、圧電材料の両端に符号が反対の拘束電荷を生じ、電荷量が圧力と比例することを意味し、これは、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する過程である。
【0061】
本実施例では、沈積プロセスにより前記圧電層130を形成する。前記沈積プロセスは、反応スパッタリング沈積プロセスであってもよい。
【0062】
図9及び
図10を組み合わせて参照し、前記第1電極120に対向して設けられる複数の第2電極140(
図10に示す)を前記圧電層130上に形成する。
【0063】
前記第2電極140は、圧電トランスジューサにおけるボトム電極(bottom electrode)、すなわち、指紋認識モジュールにおける、前記基板160(
図6に示す)に近い電極として用いられる。
【0064】
前記第2電極140についての具体的な説明は、第1電極120に関連する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0065】
具体的には、前記第2電極140を形成するステップは、
図9に示すように、前記圧電層130に被覆される第2導電性層145を形成するステップと、
図10に示すように、前記第2導電性層145に対してパターン化処理を行い、第2電極140を形成するステップとを含む。
【0066】
前記第2導電性層145は、第2電極の後続の形成のために用意するために用いられる。前記第2導電性層145及びその形成プロセスについての具体的な説明は、前述した第1導電性層125についての対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0067】
前記パターン化処理についての具体的な説明は、前述した第1電極120を形成するときの対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0068】
前記第2電極140を形成した後に、前記第1電極120、圧電層130及び第2電極140は、圧電トランスジューサ200を構成するために用いられる。
【0069】
図7を参照して、なお、圧電トランスジューサ200(
図10に示す)を前記キャリアベース100上に形成する前に、隔離層110を前記キャリアベース100上に形成するステップをさらに含む。
【0070】
この後、圧電トランスジューサ200と基板160(
図6に示す)をボンディングした後に、キャリアベース100を除去するステップをさらに含み、前記キャリアベース100を除去するとき、前記隔離層110の前記キャリアベース100に向かう面は、前記除去プロセスの停止位置を定義するために用いられ、それにより、前記圧電トランスジューサ200の完全性を確保し、圧電トランスジューサ200と基板160のボンディング強度への影響を減少させる。
【0071】
具体的には、前記キャリアベース100は、半導体ウェハーであり、従って、この後、前記キャリアベース100に対して薄肉化処理を行い、前記キャリアベース100に対して薄肉化処理を行うステップで、前記隔離層110を停止層とする。
【0072】
また、この後、前記第1電極120に電気的に接続される第1導電性コンタクトを形成するとき、前記隔離層110は、さらに、前記第1導電性コンタクトの形成にプロセスプラットフォームを提供するために用いられる。
【0073】
このため、本実施例では、前記隔離層110の材料が酸化シリコンである。酸化シリコンは、半導体分野における常用の誘電材料であり、形成しやすくかつパターン化しやすく、プロセスコストが低く、また、キャリアベースに対して薄肉化を行う過程において、停止作用を良好に果たすことができる。
【0074】
本実施例では、沈積プロセスを用いて前記隔離層110を形成する。具体的には、前記沈積プロセスは、化学気相堆積プロセスである。
【0075】
図11~
図13を組み合わせて参照して、キャビティ151(
図13に示す)を有する永久ボンディング層150を前記キャリアベース100上に形成し、前記圧電トランスジューサ200が前記キャビティ151を遮蔽する。
【0076】
前記圧電トランスジューサ200(
図10に示す)が前記キャリアベース100上に形成されるため、前記圧電トランスジューサ200と基板160(
図6に示す)をウェハレベルで集積するための前記永久ボンディング層150が前記圧電トランスジューサ200に形成される。
【0077】
キャビティ151を有する永久ボンディング層150を前記キャリアベース100上に形成した後に、前記圧電トランスジューサ200が前記キャビティ151を遮蔽する作用を果たす。従って、この後、前記圧電トランスジューサ200と基板160をボンディングした後に、前記圧電トランスジューサ200及び基板160が前記キャビティ151を密封することができる。
【0078】
前記永久ボンディング層150の接着強度が高く、前記永久ボンディング層150が永久ボンディングを実現するために用いられ、それにより、圧電トランスジューサ200と基板160のボンディング強度が確保され、指紋認識モジュールの信頼性をさらに向上させ、たとえば、指紋認識モジュールの指紋認識精度を向上させる。
【0079】
前記永久ボンディング層150を形成する工程は、前記キャリアベース100において完了され、それにより、前記永久ボンディング層150を形成する工程による基板160への影響を回避し、指紋認識モジュールの信頼性を向上させ、基板160の廃棄率を低減させることに有利である。
【0080】
本実施例では、前記永久ボンディング層150は、膜状ドライフィルム(dry film)であり、前記永久ボンディング層150を形成するプロセスが簡単である。膜状ドライフィルムは、半導体チップのパッケージングまたはプリント基板の製造に用いられた、粘性を有するフォトレジストフィルムであり、膜状ドライフィルムの製造は、無溶剤型フォトレジストをポリエステルフィルムベース上にコーティングし、ポリエチレンフィルムを覆うことであり、使用する際、ポリエチレンフィルムをはがし、無溶剤型フォトレジストをベースに押し、露光現像処理によれば、前記ドライフィルムフォトレジスト内にパターンを形成することができる。
【0081】
具体的には、前記永久ボンディング層150を形成するステップは、
図12に示すように、前記圧電トランスジューサ200を形成した後に、永久ボンディングフィルム155を前記キャリアベース100上に形成するステップと、
図13に示すように、前記永久ボンディングフィルム155(
図12に示す)をパターン化し、前記第2電極140を露出させるキャビティ151を前記永久ボンディングフィルム155に形成し、前記永久ボンディングフィルム155を前記永久ボンディング層150として残すステップとを含む。
【0082】
具体的には、前記永久ボンディングフィルム155が前記圧電層130及び第2電極140に被覆される。
【0083】
本実施例では、ラミネーション(lamination)プロセスを用いて前記永久ボンディングフィルム155を形成する。ラミネーションプロセスが真空環境下で行われ、ラミネーションプロセスを選択することにより、永久ボンディングフィルム155と圧電層130及び第2電極140との粘着度及び接着強度を顕著に向上させる。
【0084】
他の実施例では、前記永久ボンディングフィルムとして選択される材料は、さらに、液体ドライフィルムであってもよく、液体ドライフィルムとは、膜状ドライフィルムにおける成分が液体の形態で存在することを意味し、これに対応して、スピンコーティングプロセスにより前記永久ボンディングフィルムを形成してもよく、前記永久ボンディングフィルムを形成した後に、硬化するように乾燥するステップをさらに含む。硬化された液体ドライフィルムは、感光性材料であってもよく、リソグラフィプロセスによりパターン化されてもよい。
【0085】
本実施例では、露光及び現像のリソグラフィプロセスを用い、前記永久ボンディングフィルム155をパターン化し、前記キャビティ151を形成する。リソグラフィプロセスにより、前記キャビティ151の開口サイズ精度を向上させることに有利である。
【0086】
前記キャビティ151の開口サイズ精度を向上させることにより、圧電トランスジューサ200の音響的性能を確保することに有利である。また、リソグラフィプロセスを用いることにより、パターン化を実現し、前記永久ボンディング層150の接着強度への影響を低減させる。また、エッチングプロセスを用いて永久ボンディングフィルムをエッチングしてキャビティを形成する技術案に比べて、前記第2電極140に損害を与えることを回避できる。
【0087】
圧電トランスジューサ200の設計パラメータに基づき、前記キャビティ151のパターン及びサイズを決定する。
【0088】
本実施例では、前記キャビティ151の底部から前記第2電極140の一部の表面が露出する。他の一部の実施例では、前記キャビティ側壁が第2電極側壁と揃う。他の実施例では、前記キャリアベース表面に平行な方向に、前記キャビティの開口サイズが前記第2電極のサイズより大きくてもよいため、前記キャビティには前記第2電極を露出させるだけではなく、一部の圧電層を露出させる。
【0089】
本実施例では、前記基板160がウェハレベル基板であることに対応して、前記キャビティ151は、数量が複数であり、前記圧電トランスジューサ200と1対1で対応する。他の実施例では、前記基板がチップレベル基板である場合、前記キャビティの数量が1つである。
【0090】
図11を組み合わせて参照して、前記圧電トランスジューサ200(
図10に示す)を形成した後、前記永久ボンディング層150を形成する前に、第2サブ導電穴131を前記圧電層130に形成するステップをさらに含む。
【0091】
前記基板160(
図6に示す)における信号処理回路が接続端165(
図6に示す)を有し、この後、圧電トランスジューサ200を基板160にボンディングした後、前記第2サブ導電穴131は、前記接続端165に対応するように適され、それにより、前記接続端165に電気的に接続される第3導電性コンタクトの形成にプロセス基礎を提供する。
【0092】
本実施例では、前記第1電極120及び第2電極140の一側の圧電層130をエッチングし、前記第2サブ導電穴131を形成し、前記第1電極120または第2電極140をエッチングすることを回避し、前記圧電層130に対するエッチング難度を低減させる。
【0093】
このとき、前記第2電極140から露出した圧電層130上にその他のフィルム層が被覆されておらず、すなわち、前記圧電層130のエッチングプロセスがその他のフィルム層からの影響を受けることがなく、従って、先に前記第2サブ導電穴131を形成することにより、前記圧電層130を形成するエッチング難度の低減に有利である。
【0094】
本実施例では、乾式エッチングプロセスを用いて、前記圧電層130をエッチングする。
【0095】
他の一部の実施例では、前記圧電トランスジューサを形成した後に、前記圧電層をエッチングせずに、後続のプロセスに前記第2サブ導電穴を形成してもよい。
【0096】
図12に示すように、第2サブ導電穴131(
図11に示す)を前記圧電層130に形成し、従って、前記永久ボンディングフィルム155を形成した後に、前記永久ボンディングフィルム155がさらに前記第2サブ導電穴131に充填される。ラミネーションプロセスは、真空環境で行われ、真空条件において、前記永久ボンディングフィルム155も前記第2サブ導電穴131に充填することができる。
【0097】
図13に示すように、本実施例では、前記キャビティ151を形成するステップで、さらに前記第2サブ導電穴131(
図11に示す)と貫通する第1サブ導電穴152を前記永久ボンディングフィルム155に形成し、前記第1サブ導電穴152と前記第2サブ導電穴131が第3導電穴(図示せず)を構成する。
【0098】
同じステップで前記キャビティ151及び第1サブ導電穴152を形成し、プロセスステップの簡略化に有利である。また、永久ボンディングフィルム155(
図12に示す)上にその他のフィルム層が被覆されておらず、永久ボンディングフィルム155をパターン化して第1サブ導電穴152を形成するプロセスが簡単である。
【0099】
他の一部の実施例では、前記永久ボンディング層を形成する過程において、前記キャビティのみを形成し、後続のプロセスにおいて前記第1サブ導電穴を形成してもよい。
【0100】
なお、その他の実施例では、前記第1サブ導電穴を形成した後に、前記第1サブ導電穴の底部の圧電層をエッチングし、第2サブ導電穴を前記圧電層に形成することにより、前記圧電層及び永久ボンディング層を貫通する第3導電穴を形成してもよい。
【0101】
図14を参照して、前記永久ボンディング層150を利用して前記キャリアベース100と前記基板160をボンディングし、前記永久ボンディング層150が前記圧電トランスジューサ200(
図10に示す)と前記基板160との間に位置する。
【0102】
具体的には、ボンディングステップで、前記キャリアベース100の、前記永久ボンディング層150が形成された面を前記基板160に対向して設けるようにする。
【0103】
前記圧電トランスジューサ200がキャリアベース100上に形成され、前記永久ボンディング層150が前記圧電トランスジューサ200に形成され、従って、前記永久ボンディング層150を利用して前記キャリアベース100と基板160をボンディングした後に、前記圧電トランスジューサ200と基板160をボンディングする。
【0104】
前記永久ボンディング層150が粘性材料であり、前記永久ボンディング層150を基板160に配置すれば、前記圧電トランスジューサ200と基板160をボンディングすることができ、接着プロセスが簡単であり、かつボンディング信頼性が高い。
【0105】
本実施例では、前記圧電トランスジューサ200が前記キャビティ151を遮蔽し、従って、前記永久ボンディング層150が前記基板160に配置された後に、前記圧電トランスジューサ200及び基板160が前記キャビティ151を密封することで、キャビティ151を密閉状にする。
【0106】
前記キャビティ151は、音響的性能を改善するために用いられる。前記圧電トランスジューサ200及び基板160が前記キャビティ151を密封するため、前記キャビティ151を外部環境と分離させて前記キャビティ151の音響的性能の安定性を維持し、指紋認識の精度を向上させることに有利である。
【0107】
また、本実施例は、沈積及びパターン化を採用して順にキャビティを有する絶縁層を基板上に形成し、圧電トランスジューサを前記絶縁層上に形成する技術案に比べて、絶縁層の代わりに、永久ボンディング層150を用い、圧電トランスジューサ200をキャリアベース100上に形成し、従って、前記製造方法は、前記キャビティを満たす犠牲層を形成する必要がないため、この後、犠牲層のリリース操作を行う必要がなく、プロセスステップの簡略化に有利であり、また、犠牲層の不完全な除去のため、キャビティ151に犠牲層残存物を形成する課題を回避し、それにより前記キャビティ151による音響的性能に対する改善効果を向上させることに有利であり、さらに指紋認識の精度を向上させることに有利である。
【0108】
なお、本実施例では、犠牲層の形成ステップ及び犠牲層のリリースステップを行う必要がないため、犠牲層プロセスにより引き起こされた、基板160が廃棄される課題を回避し、基板160の廃棄率の低減に有利である。
【0109】
また、圧電トランスジューサ200の設計パラメータにより前記キャビティ151の形成及びサイズを決定し、前記永久ボンディング層150の厚みを制御することにより、キャビティ151の縦方向サイズを正確に制御できる。前記キャビティ151から前記圧電トランスジューサ200及び基板160が露出し、前記キャビティ151の空間を活用し、キャビティ151の縦方向サイズが圧電トランスジューサ200の性能ニーズを満たすことを確保するとともに、指紋認識モジュールの薄型化ニーズを満たすことに有利である。
【0110】
本実施例では、ボンディングステップで、前記第3導電穴(図示せず)を信号処理回路の対応する接続端165に対応させ、前記接続端165を露出させる。具体的には、前記永久ボンディング層150に第1サブ導電穴152(
図13に示す)が形成され、従って、前記永久ボンディング層150を前記基板160に配置した後に、前記第1サブ導電穴152が前記接続端165に対応する。
【0111】
本実施例では、前記基板160がウェハレベル基板であり、前記圧電トランスジューサ200及びキャビティ151の数量がいずれも複数であり、従って、前記圧電トランスジューサ200がキャビティ1511と1対1で対応し、つまり、前記第2電極140がキャビティ151と1対1で対応する。
【0112】
本実施例では、ボンディング後に、前記キャリアベース100を除去するステップをさらに含む。
【0113】
前記キャリアベース100を除去することで、後続の電気的接続プロセスにプロセス基礎を提供する。
【0114】
本実施例では、前記キャリアベース100が半導体ウェハーであり、従って、薄肉化プロセスを利用して前記キャリアベース100を除去する。前記薄肉化プロセスは、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)プロセスを含んでもよいがこれに限られない。
【0115】
具体的には、前記隔離層110を前記薄肉化プロセスの停止層とする。従って、前記キャリアベース100を除去した後に、前記第1電極120及び圧電層130の表面に前記隔離層110が形成される。
【0116】
図15を参照して、前記キャリアベース100(
図14に示す)を除去した後に、前記第1電極120を露出させる複数の第1導電穴111を前記隔離層110に形成するステップをさらに含む。
【0117】
前記第1導電穴111は、前記第1電極120に電気的に接続される第1導電性コンタクトの後続の形成に空間位置を提供するために用いられる。
【0118】
本実施例では、フォトレジストコーティング、露光及び現像を含むリソグラフィプロセスを用い、フォトレジストマスクを形成し、前記フォトレジストマスクを介して前記隔離層110をエッチングすることにより、前記第1導電穴111を形成する。
【0119】
本実施例では、前記エッチングプロセスは、乾式エッチングプロセスである。
【0120】
なお、プロセスステップを簡略化させるために、前記隔離層110のエッチング過程において、さらに、前記第2サブ導電穴131(
図11に示す)と貫通する第4導電穴112を前記隔離層110に形成する。
【0121】
前記第4導電穴112が第2サブ導電穴131と貫通し、前記第2サブ導電穴131が前記永久ボンディング層150における第1サブ導電穴152(
図13に示す)と貫通し、前記第2サブ導電穴131、第1サブ導電穴152及び第4導電穴112は、前記接続端165に電気的に接続される第3導電性コンタクトの続後形成に空間位置を提供するために用いられる。
【0122】
前記隔離層110をエッチングした後に、湿式フォトレジスト剥離またはアッシングプロセスにより、フォトレジストマスクを除去する。
【0123】
なお、前述したプロセス過程において、圧電層130を形成した直後に、所要の第2サブ導電穴131を圧電層130に形成し、永久ボンディング層150の形成過程において、同じステップで、所要のキャビティ151及び第1サブ導電穴152を形成し、前記キャリアベース100を除去した後に、同じステップで、所要の第1導電穴111及び第4導電穴112を形成する。つまり、1層のフィルム層を形成するたびに、対応するパターンを前記フィルム層に形成し、パターン化プロセスの難度を顕著に低減させる。
【0124】
図16を参照して、前記形成方法は、前記第2電極140を露出させる第2導電穴132を前記第1電極120の一側の隔離層110及び前記圧電層130に形成するステップをさらに含む。
【0125】
前記第2導電穴132は、前記第2電極140に電気的に接続される第2導電性コンタクトの後続の形成に空間位置を提供するために用いられる。
【0126】
本実施例では、フォトレジストコーティング、露光及び現像を含むリソグラフィプロセスを用い、フォトレジストマスクを形成し、前記フォトレジストマスクを介して順に前記隔離層110及び圧電層130をエッチングすることにより、前記第2導電穴132を形成する。
【0127】
前記フォトレジストマスクを形成するステップで、前記フォトレジストマスクをさらに前記第1導電穴111及び第4導電穴112(
図15に示す)に充填し、それにより、前記エッチングプロセスが前記第1電極120及び接続端165に損害を与えることを回避する。
【0128】
本実施例では、乾式エッチングプロセスを用い、前記隔離層110及び圧電層130を順にエッチングし、前記第2導電穴132を形成する。
【0129】
前記第2導電穴132を形成した後に、湿式フォトレジスト剥離またはアッシングプロセスにより、フォトレジストマスクを除去する。
【0130】
本実施例では、前記第1導電穴111及び第4導電穴112を形成してから、前記第2導電穴132を形成することを例とする。他の実施例では、前記第2導電穴を形成してから、前記第1導電穴及び第4導電穴を形成してもよい。
【0131】
図17及び
図18を組み合わせて参照して、前記キャリアベース100(
図14に示す)を除去した後に、前記形成方法は、前記第1電極120、第2電極140または信号処理回路の対応する接続端165を電気的に接続するための相互接続構造を形成する(図示せず)ステップをさらに含む。
【0132】
相互接続構造が前記接続端165、前記第1電極120及び第2電極140を電気的に接続することにより、基板160と圧電トランスジューサ200(
図10に示す)を電気的に接続し、さらに指紋認識モジュールの指紋認識機能を実現し、後続のパッケージング工程を行いやすい。
【0133】
また、本実施例は、圧電トランスジューサ200と基板160の集積プロセス、及び両者の電気的接続プロセスを同一のプロセスに統合し、指紋認識モジュールの製造プロセスの安定性を向上させることに有利であり、それにより、指紋認識モジュールの性能及び性能均一性を向上させるとともに、製造コストの低減に有利である。
【0134】
具体的には、前記相互接続構造を形成する方法は、底部から前記第1電極120の縁を露出させる第1導電性コンタクト172を形成するステップと、底部から前記第2電極140の縁を露出させる第2導電性コンタクト171を形成するステップと、底部から前記接続端165を露出させる第3導電性コンタクト173を形成するステップとを含む。
【0135】
前記第1電極120と第2電極140が交互に設けられ、第2導電性コンタクト171を前記第1電極120の一側の圧電層130に形成し、第2導電性コンタクト171を形成する際、第1電極120をエッチングする必要がなく、それにより、第2導電性コンタクト171を形成するプロセス難度を低減させる。従って、前記第1導電性コンタクト172の底部から前記第1電極120の縁を露出させ、前記第2導電性コンタクト171の底部から前記第2電極140の縁を露出させる。
【0136】
本実施例では、前記第1電極120に電気的に接続される第1導電性コンタクト172を前記第1導電穴111(
図16に示す)に形成し、前記第2電極140に電気的に接続される第2導電性コンタクト171を前記第2導電穴132(
図16に示す)に形成し、前記接続端165に電気的に接続される第3導電性コンタクト173を前記第4導電穴112(
図15に示す)及び第3導電穴(図示せず)に形成する。
【0137】
前記第3導電穴は、貫通する第2サブ導電穴131(
図11に示す)及び第1サブ導電穴152(
図13に示す)を含む。
【0138】
前記第1導電性コンタクト172は、前記第1電極120を外部回路に電気的に接続するために用いられ、前記第2導電性コンタクト171は、前記第2電極140を外部回路に電気的に接続するために用いられ、前記第3導電性コンタクト173は、基板160を外部回路に電気的に接続するために用いられる。
【0139】
前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173によって、前記基板160、第1電極120及び第2電極140の電気的な接続を容易に実現することができる。
【0140】
具体的には、沈積プロセスにより、前記第1導電穴111、第2導電穴132、第4導電穴112(
図15に示す)及び第3導電穴に導電性材料175(
図17に示す)を充填し、前記導電性材料175がさらに隔離層110に被覆され、前記隔離層110上に位置する導電性材料175に対してパターン化処理を行う。
【0141】
これに対応して、前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173がいずれも前記隔離層110から突出する。
【0142】
本実施例では、前記導電性材料175は、Cu、Au、Ag及びAlのうちの1種または複数種を含み、前記沈積プロセスは、メッキプロセスであってもよい。
【0143】
本実施例では、フォトレジストコーティング、露光及び現像を含むリソグラフィプロセスを用い、フォトレジストマスクを形成し、前記フォトレジストマスクを介して前記導電性材料175をエッチングし、前記導電性材料175を前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173としてパターン化する。
【0144】
前記導電性材料175をエッチングした後に、湿式フォトレジスト剥離またはアッシングプロセスにより、フォトレジストマスクを除去する。
【0145】
本実施例では、導電性コンタクト(contact、CT)のプロセスを利用して前記相互接続構造を形成し、電気的接続プロセスの複雑さを低減させ、かつ後続のパッケージング工程を行いやすい。
【0146】
図19を参照して、前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173から露出した隔離層110上に保護層180を形成し、前記保護層180から前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173が露出する。
【0147】
前記保護層180は、前記圧電トランスジューサ200(
図10に示す)に対して保護効果を果たすために用いられ、外部不純物(たとえばナトリウムイオン)、イオン電荷及び水蒸気などによる圧電トランスジューサ200への影響を防止でき、それにより、指紋認識モジュールの性能及び安定性を向上させ、指紋認識モジュールの指紋認識精度をさらに向上させる。
【0148】
また、前記保護層180から前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173が露出し、それにより、後続のパッケージング工程を行いやすい。
【0149】
具体的には、前記保護層180を形成するステップは、さらに前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173に被覆される不動態化材料層(図示せず)を前記隔離層110上に形成するステップと、前記不動態化材料層をエッチングし、前記第1導電性コンタクト172、第2導電性コンタクト171及び第3導電性コンタクト173を露出させ、かつ不動態化材料層を前記保護層180として残すステップとを含む。
【0150】
前記保護層180の材料は、酸化シリコン、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、シリコン酸炭窒化物、酸窒化シリコン、窒化ホウ素、窒化炭素ホウ素、低k誘電材料またはポリミイドであってもよい。その中で、低k誘電材料は、相対誘電定数が2.6以上かつ3.9以下の誘電材料である。
【0151】
図20~
図23は、本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第2実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【0152】
本実施例の第1実施例との一致点については、ここでは詳しく説明しない。本実施例の第1実施例との相違点は、
図20を参照して、キャビティ551を有する永久ボンディング層550を基板560上に形成することである。
【0153】
本実施例では、前記基板560に信号処理回路が形成され、前記信号処理回路が接続端565を有し、前記基板560から接続端565が露出し、前記接続端565が前記基板560を外部回路(たとえば、圧電トランスジューサ)に電気的に接続するために用いられる。
【0154】
前記基板560についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0155】
本実施例では、前記永久ボンディング層550がドライフィルムである。
【0156】
具体的には、前記永久ボンディング層550を形成するステップは、永久ボンディングフィルム(図示せず)を前記基板560上に形成するステップと、前記永久ボンディングフィルムをパターン化し、キャビティ551を前記永久ボンディングフィルムに形成し、残りの前記永久ボンディングフィルムを前記永久ボンディング層550とするステップとを含む。
【0157】
本実施例では、ラミネーションプロセスを用いて前記永久ボンディングフィルムを形成し、露光現像プロセスを用いて前記永久ボンディングフィルムをパターン化する。
【0158】
本実施例では、前記永久ボンディングフィルムをパターン化するステップで、前記信号処理回路の対応する接続端565を露出させる第1サブ導電穴552を前記永久ボンディングフィルムに形成する。つまり、前記永久ボンディング層550は、キャビティ551、及び前記接続端565を露出させる第1サブ導電穴552を有する。
【0159】
前記永久ボンディング層550、キャビティ551、第1サブ導電穴552及びそれらの形成方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0160】
図21を参照して、キャリアベース500を提供し、第1電極520、前記第1電極520上に位置する圧電層530、及び前記圧電層530上に位置する第2電極540を含む圧電トランスジューサ600を前記キャリアベース500上に形成する。
【0161】
本実施例では、前記キャリアベース500が半導体ウェハーである。具体的には、前記キャリアベース100がシリコンベースである。
【0162】
本実施例では、半導体プロセス(たとえば、沈積プロセス及びパターン化プロセス)により前記圧電トランスジューサ600を形成する。
【0163】
前記圧電トランスジューサ600及びその形成方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0164】
なお、圧電トランスジューサ600を前記キャリアベース500上に形成する前に、隔離層510を前記キャリアベース500上に形成するステップをさらに含む。前記キャリアベース500に対して薄肉化処理を行う後続のステップで、前記隔離層510を停止層とする。本実施例では、前記隔離層510の材料が酸化シリコンである。
【0165】
なお、前記圧電トランスジューサ600を形成した後に、第2サブ導電穴531を前記圧電層530に形成するステップをさらに含む。
【0166】
前記第2サブ導電穴531及びその形成方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0167】
図22を参照して、前記永久ボンディング層550を利用して前記キャリアベース500と前記基板560をボンディングし、前記永久ボンディング層550が前記圧電トランスジューサ600(
図21に示す)と前記基板560との間に位置するとともに、前記圧電トランスジューサ600が前記キャビティ551を遮蔽する。
【0168】
具体的には、ボンディングステップで、前記キャビティ551を前記キャリアベース500における前記第2電極540と1つずつ対向して設けるようにする。
【0169】
前記永久ボンディング層550が粘性材料であり、前記圧電トランスジューサ600を前記永久ボンディング層150に配置すれば、前記圧電トランスジューサ600と基板560をボンディングすることができ、接着プロセスが簡単であり、かつボンディング信頼性が高い。
【0170】
本実施例では、ボンディングステップで、前記第2サブ導電穴531(
図21に示す)を第1サブ導電穴552(
図20に示す)と1つずつ対向して設けるようにし、連通する第3導電穴(図示せず)を構成する。
【0171】
1つの例としては、前記基板560の表面に平行な方向に、前記第2電極540の横方向サイズが前記キャビティ551の開口サイズより大きく、前記永久ボンディング層550が一定の柔軟性を有するため、圧力の作用下で、第2電極540を前記永久ボンディング層550に嵌めやすく、前記永久ボンディング層550を圧電層530と接触させ、それにより、前記圧電トランスジューサ600が前記キャビティ551を遮蔽する作用を果たす。
【0172】
他の実施例では、前記第2電極の横方向サイズが前記キャビティの開口サイズ以下である場合、前記圧電トランスジューサを前記永久ボンディング層に配置すれば、前記永久ボンディング層を圧電層と接触させることができるため、前記圧電トランスジューサがキャビティに対して遮蔽作用を果たすことができる。
【0173】
本実施例では、ボンディング完了後に、前記キャリアベース500を除去するステップをさらに含む。
【0174】
具体的には、前記キャリアベース500に対して薄肉化処理を行うことで、前記キャリアベース500を除去する。前記隔離層510を露出させる。
【0175】
図23を参照して、前記キャリアベース500(
図22に示す)を除去した後に、前記隔離層510をエッチングし、前記第1電極520を露出させる複数の第2導電穴511を前記隔離層510に形成するステップをさらに含む。
【0176】
前記第1導電穴511は、前記第1電極520に電気的に接続される第1導電性コンタクトの後続の形成に空間位置を提供するために用いられる。
【0177】
本実施例では、前記隔離層510のエッチング過程において、前記第2サブ導電穴531(
図21に示す)と貫通する第4導電穴512を前記隔離層510に形成する。
【0178】
前記第4導電穴512が第2サブ導電穴531と貫通し、前記第2サブ導電穴531が前記永久ボンディング層550における第1サブ導電穴552(
図20に示す)と貫通し、前記第4導電穴512、第2サブ導電穴531及び第1サブ導電穴552は、前記接続端565に電気的に接続される第3導電性コンタクトの後続の形成に空間位置を提供するために用いられる。
【0179】
後続のプロセスは第1実施例と同様であり、後続のプロセスについての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0180】
なお、本実施例の前記製造方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を組み合わせて参照できる。
【0181】
なお、本実施例では、永久ボンディング層550を基板560上に形成することを例とする。他の実施例では、表面に仮接着フィルムが形成されたキャリアウェハー(carrier wafer)上に前記永久ボンディング層を形成してもよく、これに対応して、前記永久ボンディング層を利用して前記キャリアベースと前記キャリアウェハーをボンディングした後に、前記永久ボンディング層が前記圧電トランスジューサと前記キャリアウェハーとの間に位置し、この後に、前記仮接着層と仮接着フィルムとをデボンディングにより分離し、それにより、前記永久ボンディング層を利用して前記キャリアベースと前記基板をボンディングする。
【0182】
図24~
図35は、本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第3実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【0183】
本実施例の第1実施例との一致点については、ここでは詳しく説明しない。本実施例の第1実施例との相違点は、以下のことである。
図26に示すように、圧電トランスジューサ400をキャリアベース300上に形成するステップは、前記キャリアベース300全体に被覆される導電性層325を形成し、一部の領域での前記導電性層325を第1電極320として用いるステップを含み、これに対応して、
図31に示すように、キャリアベース300(
図28に示す)を除去した後に、前記導電性層325をパターン化し、複数の第1電極320を形成するステップをさらに含む。
【0184】
【0185】
本実施例では、前記基板365に信号処理回路が形成され、前記信号処理回路が接続端365を有し、前記基板360から接続端365が露出し、前記接続端365が前記基板360を外部回路(たとえば、圧電トランスジューサ)に電気的に接続するために用いられる。
【0186】
前記基板360についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0187】
図25を参照して、キャリアベース300を提供し、前記キャリアベース300全体に被覆される導電性層325を形成し、一部の領域での前記導電性層325を第1電極320として用いる。
【0188】
前記キャリアベース300は、圧電トランスジューサの後続の形成にプロセスプラットフォームを提供するために用いられ、さらに、圧電トランスジューサと基板360(
図24に示す)の後続のボンディングにプロセスプラットフォームを提供するために用いられる。
【0189】
本実施例では、前記キャリアベース300が半導体ウェハーである。具体的には、前記キャリアベース300がシリコンベースである。
【0190】
図25及び
図26を組み合わせて参照して、前記第1電極320に被覆される圧電層330を形成し、複数の第2電極340(
図26に示す)を前記圧電層330上に形成する。
【0191】
具体的には、前記第2電極340を形成するステップは、前記圧電層330に被覆される電極材料層345(
図25に示す)を形成するステップと、前記電極材料層345に対してパターン化処理を行い、前記第2電極340を形成するステップとを含む。
【0192】
前記第2電極340を形成した後に、前記第1電極320、圧電層330及び第2電極340は、圧電トランスジューサ400を構成するために用いられる。
【0193】
前記圧電トランスジューサ400を形成した後に、前記キャリアベース300全体に導電性層325が被覆され、前記第2電極340の数量が複数であり、後続のボンディングプロセス及びリソグラフィプロセスにおいてアラインメントを実現しやすく、アラインメント精度を向上させ、それにより、指紋認識モジュールの性能を向上させることに有利である。
【0194】
前記圧電トランスジューサ400及びその形成ステップについての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を組み合わせて参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0195】
なお、続いて
図25を参照し、圧電トランスジューサ400(
図26に示す)を前記キャリアベース300上に形成する前に、隔離層310を前記キャリアベース300上に形成するステップをさらに含む。
【0196】
前記キャリアベース300に対して薄肉化処理を行う後続のステップで、前記隔離層310を停止層とする。また、この後、前記第1電極に電気的に接続される第1導電性コンタクトを形成する際、前記隔離層310は、さらに、前記第1導電性コンタクトの形成にプロセスプラットフォームを提供するために用いられる。
【0197】
本実施例では、前記隔離層310の材料が酸化シリコンである。
【0198】
図27を参照して、キャビティ351を有する永久ボンディング層350を前記キャリアベース300上に形成し、前記圧電トランスジューサ400(
図26に示す)が前記キャビティ351を遮蔽する。
【0199】
本実施例では、前記永久ボンディング層350を形成するステップで、前記永久ボンディング層350にさらに複数の第1サブ導電穴352が形成される。
【0200】
前記永久ボンディング層350、キャビティ351、第1サブ導電穴352及びその形成方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0201】
図28を参照して、前記永久ボンディング層350を利用して前記キャリアベース300と前記基板360をボンディングし、前記永久ボンディング層350が前記圧電トランスジューサ400(
図26に示す)と前記基板360との間に位置する。
【0202】
具体的には、ボンディングステップで、前記キャリアベース300の、前記永久ボンディング層350が形成された面を前記基板360に対向して設けるようにし、前記第1サブ導電穴352(
図27に示す)を前記接続端365に対応させる。
【0203】
前記圧電トランスジューサ400と基板360をボンディングした後に、前記基板360は、前記導電性層325をパターン化する後続のプロセスにプロセスプラットフォームを提供するために用いられる。
【0204】
前記ボンディングステップについての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0205】
図29を参照して、ボンディング完了後に、前記キャリアベース300を除去するステップをさらに含む。
【0206】
前記キャリアベース300を除去することで、後続の電気的接続プロセスにプロセス基礎を提供する。
【0207】
本実施例では、前記隔離層310を停止層とし、前記キャリアベース300に対して薄肉化処理を行う。
【0208】
図30を参照して、前記キャリアベース300(
図28に示す)を除去した後に、前記第1電極320(
図26に示す)を露出させる複数の第1導電穴311を前記隔離層310に形成するステップをさらに含む。
【0209】
一部の領域での前記導電性層325を前記第1電極320とし、後続のステップは、前記導電性層325をパターン化し、前記第1電極320を残し、前記第1電極320に電気的に接続される第1導電性コンタクトの後続の形成に空間位置を提供するための前記第1導電穴311から前記第1電極320を露出させるステップをさらに含む。
【0210】
本実施例では、フォトレジストコーティング、露光及び現像を含むリソグラフィプロセスを用い、フォトレジストマスクを形成し、前記フォトレジストマスクを介して前記隔離層310をエッチングし、それにより、前記第1導電穴311を形成する。具体的には、前記エッチングプロセスが乾式エッチングプロセスである。
【0211】
前記隔離層310をエッチングした後に、湿式フォトレジスト剥離またはアッシングプロセスにより、フォトレジストマスクを除去する。
【0212】
図31を参照して、前記キャリアベース300(
図28に示す)を除去した後に、前記導電性層325(
図30に示す)をパターン化し、複数の第1電極320を形成し、前記複数の第1導電穴311を前記第1電極320に対応させるステップをさらに含む。
【0213】
具体的には、前記第1電極320は、数量が複数であり、それぞれ前記第2電極340に対向して設けられる。
【0214】
前記導電性層325をパターン化した後に、前記第1電極320から一部の圧電層330を露出させることにより、前記圧電層330の後続のエッチングのために用意する。
【0215】
本実施例では、乾式エッチングプロセスを用い、前記導電性層325に対してパターン化処理を行う。
【0216】
なお、前記導電性層325の表面に隔離層310が形成されており、従って、前記導電性層325をパターン化するステップは、前記隔離層310をパターン化し、前記第1導電穴311を前記第1電極320と1対1で対応させるステップをさらに含む。これに対応して、前記導電性層325をパターン化した後に、前記第1電極320の表面の前記隔離層310のみを残す。
【0217】
本実施例では、フォトレジストコーティング、露光及び現像を含むリソグラフィプロセスを用い、フォトレジストマスクを形成し、前記圧電層330を露出させるまで、前記フォトレジストマスクを介して前記隔離層310及び導電性層325を順にエッチングする。
【0218】
なお、エッチングする前に、前記隔離層310に第1導電穴311が形成されており、従って、前記フォトレジストマスクが前記第1導電穴311内に充填されており、それにより前記第1導電穴311から露出した第1電極320をエッチングすることを回避する。
【0219】
前記隔離層310及び導電性層325をエッチングした後に、湿式フォトレジスト剥離またはアッシングプロセスにより、フォトレジストマスクを除去する。
【0220】
図32を参照して、前記導電性層325(
図30に示す)をパターン化した後に、前記第2電極340を露出させる第2導電穴331ステップと、前記第1サブ導電穴352(
図27に示す)と貫通する第2サブ導電穴332を前記圧電層330に形成するステップをさらに含む。
【0221】
前記第2導電穴331は、前記第2電極340に電気的に接続される第2導電性コンタクトの後続の形成に空間位置を提供するために用いられる。
【0222】
前記第2サブ導電穴332が第1サブ導電穴352と貫通し、前記第2サブ導電穴332及び第1サブ導電穴352は、前記接続端365に電気的に接続される第3導電性コンタクトの後続の形成に空間位置を提供するために用いられる。
【0223】
本実施例では、フォトレジストコーティング、露光及び現像を含むリソグラフィプロセスを用い、フォトレジストマスクを形成し、前記フォトレジストマスクを介して前記圧電層330をエッチングすることにより、前記第2導電穴331及び第2サブ導電穴332を形成する。
【0224】
前記第1電極320を露出させる第1導電穴311が残りの隔離層310に形成されており、従って、前記フォトレジストマスクを形成した後に、前記第1電極320が損害されないように、前記フォトレジストマスクは、前記隔離層310に被覆されるだけではなく、前記第1導電穴311内に充填されている。
【0225】
本実施例では、乾式エッチングプロセスを用い、前記圧電層330をエッチングし、前記第2導電穴331及び第2サブ導電穴332を形成する。
【0226】
前記圧電層330をエッチングした後に、湿式フォトレジスト剥離またはアッシングプロセスにより、フォトレジストマスクを除去する。
【0227】
なお、前記導電性層325(
図20に示す)に対してパターン化処理を行った後に、前記第1電極320が前記圧電層330から露出し、従って、前記第2導電穴331及び第2サブ導電穴332を形成するステップで、前記圧電層330のみをエッチングすればよく、エッチングプロセスが簡単である。
【0228】
なお、
図26に示すように、圧電トランスジューサ400をキャリアベース300上に形成するステップで、前記キャリアベース300全体に被覆される導電性層325を形成し、一部の領域での前記導電性層325を第1電極320とし、該ステップで、導電性層325をパターン化しておらず、
図31に示すように、前記隔離層310及び導電性層325(
図30に示す)をパターン化した後に、前記第1電極320が前記圧電層330から露出し、従って、同じステップで前記第2導電穴331及び第2サブ導電穴332を形成できるため、フォトマスクの減少に有利であり、製造コストを節約する。
【0229】
図33及び
図34を組み合わせて参照し、前記第1電極320に電気的に接続される第1導電性コンタクト372を前記第1導電穴311(
図32に示す)に形成し、前記第2電極340に電気的に接続される第2導電性コンタクト371を前記第2導電穴331(
図32に示す)に形成し、前記接続端365に電気的に接続される第3導電性コンタクト373を前記第2サブ導電穴332(
図32に示す)及び第1サブ導電穴352(
図27に示す)に形成する。
【0230】
具体的には、
図33に示すように、沈積プロセスにより、前記第1導電穴311、第2導電穴331、第2サブ導電穴332及び第1サブ導電穴352に導電性材料375を充填し、前記導電性材料375がさらに隔離層310に被覆され、
図34に示すように、前記隔離層110上の導電性材料175に対してパターン化処理を行い、前記隔離層310から突出するとともに、前記第1電極320に電気的に接続される第1導電性コンタクト372、前記圧電層330から突出するとともに、前記第2電極340に電気的に接続される第2導電性コンタクト371、及び前記圧電層330から突出するとともに、前記接続端365に電気的に接続される第2導電性コンタクト373を形成する。
【0231】
前記第1導電性コンタクト372、第2導電性コンタクト371、第3導電性コンタクト373及びその形成方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0232】
図35を参照して、保護層380を前記第1導電性コンタクト372、第2導電性コンタクト371、第3導電性コンタクト373から露出した圧電層330及び隔離層310上に形成し、前記保護層380から前記第1導電性コンタクト372、第2導電性コンタクト371、第3導電性コンタクト373が露出する。
【0233】
本実施例では、沈積ステップ及びエッチングステップを順に行うことにより、前記保護層380を形成する。
【0234】
前記保護層380及びその形成方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0235】
なお、本実施例の前記製造方法についての具体的な説明は、第1実施例における対応する説明を組み合わせて参照できる。
【0236】
図36~
図38は、本発明の指紋認識モジュールの製造方法の第4実施例での各ステップに対応する構造模式図である。
【0237】
本実施例の第3実施例との一致点については、ここでは詳しく説明しない。本実施例の第3実施例との相違点は、
図36を参照して、キャビティ951を有する永久ボンディング層950を基板960上に形成することである。
【0238】
本実施例では、前記基板960には、接続端565を有する信号処理回路が形成されており、永久ボンディング層950を前記基板上に形成するステップで、前記永久ボンディング層950は、前記接続端565を露出させる第1サブ導電穴952をさらに有する。
【0239】
図37を参照して、圧電トランスジューサ900を前記キャリアベース900上に形成する。
【0240】
具体的には、前記圧電トランスジューサ900を形成するステップは、前記キャリアベース900全体に被覆される導電性層925を形成し、一部の領域での前記導電性層925を複数の第1電極920として用いるステップと、前記導電性層925に被覆される圧電層930を形成するステップと、前記第1電極920に対向して設けられる複数の第2電極940を前記圧電層930上に形成するステップとを含む。
【0241】
前記圧電トランスジューサ900及びその形成方法についての具体的な説明は、第3実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0242】
図38を参照して、前記永久ボンディング層950を利用して前記キャリアベース900と前記基板960をボンディングし、前記永久ボンディング層950が前記圧電トランスジューサ990(
図37に示す)と前記基板960との間に位置し、前記第2電極940が前記キャビティ951(
図36に示す)を遮蔽する。
【0243】
本実施例では、ボンディングステップで、前記キャビティ951を前記キャリアベース900上の前記第2電極940に対向して設けるようにする。
【0244】
後続のプロセスは、第3実施例と同様であり、後続のプロセスについての具体的な説明は、第3実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0245】
具体的には、本実施例の前記製造方法についての具体的な説明は、第1実施例及び第3実施例における対応する説明を組み合わせて参照できる。
【0246】
これに対応して、本発明の実施例は、指紋認識モジュールをさらに提供する。
【0247】
図39は、本発明の指紋認識モジュールの1つの実施例の構造模式図である。
【0248】
前記指紋認識モジュールは、信号処理回路が形成される基板760と、キャビティ751を有し、前記基板760上にボンディングされる永久ボンディング層750と、前記永久ボンディング層750上に位置し、第1電極720、前記第1電極720上に位置する圧電層730、及び前記圧電層730上に位置する第2電極740を含むとともに、前記キャビティ751を遮蔽する圧電トランスジューサ800とを含む。
【0249】
本実施例は、沈積及びパターン化を採用して、キャビティを有する絶縁層を基板上に形成し、圧電トランスジューサを前記絶縁層上に形成する技術案に比べて、絶縁層の代わりに永久ボンディング層750を用い、圧電トランスジューサ800と基板760を永久ボンディング層750によりボンディングし、従って、前記指紋認識モジュールの製造過程において、前記圧電トランスジューサ800の製造を独立して完了でき、前記キャビティを満たす犠牲層を形成するステップを節約するため、犠牲層のリリース操作を行う必要がなく、プロセスステップの簡略化に有利であり、また、犠牲層の不完全な除去のため、キャビティに犠牲層残存物を形成する課題を回避できる。
【0250】
また、犠牲層の形成ステップ及び犠牲層のリリースステップを行う必要がないため、犠牲層プロセスにより引き起こされた、基板760が廃棄される課題を回避し、基板760の廃棄率の低減に有利である。
【0251】
また、前記圧電トランスジューサ800が前記キャビティ751を遮蔽することで、キャビティ751を密閉状にし、それにより、前記キャビティ751による音響的性能に対する改善効果を向上させることに有利であり、さらに指紋認識の精度を向上させることに有利である。
【0252】
なお、前記指紋認識モジュールの製造過程において、前記圧電トランスジューサ800の製造を独立して完了することができ、前記圧電トランスジューサ800を形成するプロセス柔軟性を向上させることに有利であり、また、前記圧電トランスジューサ800を形成するプロセスによる基板760に対する影響を回避することに有利であり、基板760の品質が確保され、なお、さらに基板760の廃棄率の低減に有利である。
【0253】
前記基板760に信号処理回路が形成されており、前記基板760は、指紋認識モジュールの使用過程において、圧電トランスジューサを駆動し、圧電トランスジューサの生じた検出信号を処理するために用いられる。
【0254】
本実施例では、前記基板760は、CMOSプロセスに基づいて形成される。
【0255】
具体的には、前記基板760がウェハレベル基板であり、前記基板760と圧電トランスジューサ800をウェハレベルで集積し、製造効率を向上させる。他の実施例では、前記基板は、チップレベル基板であってもよい。
【0256】
本実施例では、前記基板760における信号処理回路は、前記基板760をその他のデバイスまたは圧電トランスジューサに電気的に接続するための接続端765を有する。
【0257】
本実施例では、前記基板760から、溶接パッド(pad)である接続端765が露出する。
【0258】
前記永久ボンディング層750の接着強度が高く、前記永久ボンディング層750が圧電トランスジューサ800と基板760の永久ボンディングを実現するために用いられ、圧電トランスジューサ800と基板760のボンディング強度が確保され、それにより、指紋認識モジュールの信頼性を向上させ、たとえば、指紋認識モジュールの指紋認識精度を向上させる。
【0259】
前記永久ボンディング層750には、圧電トランスジューサ800の音響的性能を向上させるためのキャビティ751が形成されている。
【0260】
本実施例では、前記基板760がウェハレベル基板であり、前記キャビティ751が複数である。
【0261】
圧電トランスジューサ800の設計パラメータに基づき、前記キャビティ751のパターン及びサイズを決定する。
【0262】
本実施例では、前記永久ボンディング層750は、ドライフィルム(dry film)である。ドライフィルムは、感光性ボンディング材料であり、従って、永久ボンディングフィルムに対してリソグラフィプロセスを行うことにより、前記キャビティ751を形成することができる。リソグラフィプロセスにより、前記キャビティ151の開口サイズ精度を向上させることに有利であるとともに、永久ボンディング層750の接着強度への影響を減少させる。また、リソグラフィプロセスを用いることによりパターン化を実現し、前記永久ボンディング層150の接着強度が確保される。
【0263】
前記圧電トランスジューサ800が指紋認識モジュールにおける認識ユニットとされる。
【0264】
前記圧電トランスジューサ800は、第1電極720、前記第1電極720上に位置する圧電層730、及び前記圧電層730上に位置する第2電極740を含む。
【0265】
本実施例では、前記基板760がウェハレベル基板であり、前記圧電トランスジューサ800の数量が複数である。これに対応して、前記第1電極720の数量が複数であり、前記第2電極740の数量が複数であり、前記第2電極740が前記第1電極720に対向して設けられ、前記第2電極740がキャビティ751と1対1で対応する。
【0266】
他の実施例では、前記基板がチップレベル基板である場合、前記圧電トランスジューサの数量が1つである。
【0267】
本実施例では、前記第1電極720と第2電極740が交互に設けられ、つまり、前記第2電極740のいずれかの端部が前記第1電極720の一側に位置し、前記第2電極740に電気的に接続される相互接続構造を前記第1電極720の一側の圧電層730に形成し、前記第2電極740に電気的に接続される該相互接続構造を形成する際、第1電極720をエッチングする必要がなく、それにより、電気的接続プロセスの難度を低減させる。
【0268】
前記第1電極720は、圧電トランスジューサ800におけるトップ電極(top electrode)、すなわち、指紋認識モジュールにおける前記基板760から離れる電極として用いられ、前記第2電極740は、圧電トランスジューサ800におけるボトム電極(bottom electrode)、すなわち指紋認識モジュールにおける前記基板760に近い電極として用いられる。
【0269】
前記第1電極720及び第2電極740の材料は、金属、金属ケイ化物、金属窒化物、金属酸化物または導電性カーボンなどの導電性材料であってもよく、たとえば、Mo、Al、Cu、Ag、Au、Ni、Co、TiAl、TiNまたはTaNなどであってもよい。本実施例では、前記第1電極720及び第2電極740の材料がいずれもMoである。
【0270】
指紋認識モジュールの使用過程において、圧電層730の逆圧電効果を利用し、超音波を発生させ、それにより、超音波指紋認識を実現する。
【0271】
前記圧電層730の材料は、圧電結晶、圧電セラミックまたは圧電ポリマーなどであってもよい。その中で、前記圧電結晶は、窒化アルミニウム、ジルコニウムチタン酸鉛、石英結晶、ガリウム酸リチウム、メタゲルマニウム酸二リチウム、ゲルマニウム酸チタン、強誘電体トランジスタニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムなどであってもよく、前記圧電ポリマーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、ナイロン-11またはシアン化ビニリデン-酢酸エチレン交互共重合体などであってもよい。
【0272】
本実施例では、前記圧電層730の材料が窒化アルミニウムである。
【0273】
本実施例では、前記指紋認識モジュールは、前記第1電極720表面に位置する隔離層710をさらに含む。
【0274】
前記指紋認識モジュールの製造過程において、前記圧電トランスジューサ800をキャリアベース上に形成し、前記キャリアベースを薄肉化プロセスにより除去し、前記隔離層を前記薄肉化プロセスの停止層とする。
【0275】
本実施例では、前記隔離層710がさらに前記圧電層730の表面に位置する。他の実施例では、前記隔離層が前記第1電極の表面のみに位置してもよい。
【0276】
本実施例では、前記隔離層710の材料が酸化シリコンである。酸化シリコンは、半導体分野における常用の誘電材料であり、形成しやすくかつパターン化しやすく、かつプロセスコストが低く、また、キャリアベースに対して薄肉化を行う過程において、停止作用を良好に果たすことができる。
【0277】
本実施例では、前記指紋認識モジュールは、前記第1電極720、第2電極740または信号処理回路の対応する接続端765を電気的に接続するための相互接続構造(図示せず)をさらに含む。
【0278】
前記相互接続構造が前記信号処理回路の対応する接続端165及び前記第1電極720、第2電極740を電気的に接続することにより、基板760と圧電トランスジューサ800を電気的に接続し、さらに指紋認識モジュールの指紋認識機能を実現する。
【0279】
具体的には、前記相互接続構造は、前記第1電極720に電気的に接続される第1導電性コンタクト772と、前記第2電極740に電気的に接続される第2導電性コンタクト771と、前記接続端765に電気的に接続される第3導電性コンタクト773とを含む。
【0280】
前記第1導電性コンタクト772は、前記第1電極720を外部回路に電気的に接続するために用いられ、前記第2導電性コンタクト771は、前記第2電極740を外部回路に電気的に接続するために用いられ、前記第3導電性コンタクト773は、基板760を外部回路に電気的に接続するために用いられる。
【0281】
前記第1導電性コンタクト772、第2導電性コンタクト771及び第3導電性コンタクト773によって、前記基板760、第1電極720及び第2電極740の電気的な接続を容易に実現することができる。
【0282】
本実施例では、前記第1導電性コンタクト772は、前記隔離層710に位置するとともに、前記第1電極720に電気的に接続され、前記第2導電性コンタクト771は、前記圧電層730に位置するとともに、前記第2電極740に電気的に接続され、前記第3導電性コンタクト773は、前記圧電層730及び永久ボンディング層750を貫通するとともに、前記接続端765に電気的に接続される。
【0283】
本実施例では、前記隔離層710がさらに前記相互接続構造から露出した圧電層730の表面に位置し、従って、前記第2導電性コンタクト771が前記隔離層710及び圧電層730を貫通し、前記第3導電性コンタクト773が前記隔離層710、圧電層730及び永久ボンディング層750を貫通する。
【0284】
これに対応して、前記隔離層710は、さらに、前記相互接続構造の形成にプロセスプラットフォームを提供し、前記相互接続構造の電気的分離を実現するために用いられる。
【0285】
本実施例では、前記第1導電性コンタクト772、第2導電性コンタクト771及び第3導電性コンタクト773の材料が導電性材料であり、前記導電性材料がCu、Au、Ag及びAlのうちの1種または複数種を含む。
【0286】
本実施例では、前記相互接続構造のタイプが導電性コンタクト(contact、CT)であり、前記相互接続構造を形成するプロセス複雑さを低減させ、後続のパッケージング工程を行いやすい。
【0287】
他の実施例では、前記相互接続構造のタイプは、さらに、たとえば再配線(RDL)構造、その他のタイプの構造を含んでもよい。
【0288】
本実施例では、前記指紋認識モジュールは、前記第1導電性コンタクト772、第2導電性コンタクト771及び第3導電性コンタクト773から露出した隔離層710上に位置した、前記第1導電性コンタクト772、第2導電性コンタクト771及び第3導電性コンタクト773を露出させる保護層780をさらに含む。
【0289】
前記保護層780は、前記圧電トランスジューサ800に対して保護効果を果たすために用いられ、外部不純物(たとえばナトリウムイオン)、イオン電荷及び水蒸気などによる圧電トランスジューサ800への影響を防止でき、それにより指紋認識モジュールの性能及び安定性を向上させ、指紋認識モジュールの指紋認識精度をさらに向上させる。
【0290】
また、前記保護層780から前記第1導電性コンタクト772、第2導電性コンタクト771及び第3導電性コンタクト773が露出し、それにより、後続のパッケージング工程を行いやすい。
【0291】
前記保護層780の材料は、酸化シリコン、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、シリコン酸炭窒化、酸窒化シリコン、窒化ホウ素、窒化炭素ホウ素、低k誘電材料またはポリミイドであってもよい。
【0292】
なお、その他の実施例では、前記隔離層が前記第1電極の表面のみに位置する場合、前記保護層が第1導電性コンタクト、第2導電性コンタクト及び第3導電性コンタクトから露出した隔離層及び圧電層上に位置する。
【0293】
本実施例の前記指紋認識モジュールは、前述した実施例の前記製造方法で製造され、その他の製造方法で製造されてもよい。本実施例の前記指紋認識モジュールについての具体的な説明は、前述した実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0294】
これに対応して、本発明の実施例は、前述した指紋認識モジュールを含む電子機器をさらに提供する。
【0295】
電子機器に本実施例の前記指紋認識モジュールを配置することにより、指紋認識を実現する。
【0296】
前記電子機器は、さらに、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、メディアプレーヤー、ナビゲーションデバイス、ゲームコンソール、タブレットコンピュータ、ウェアラブルデバイス、ゲート制御電子システム、自動車キーレスエントリー電子システム、または 自動車キーレススタート電子システムなどであってもよい。
【0297】
前述した分析から分かるように、指紋認識モジュールの製造過程において、圧電トランスジューサのキャビティに犠牲層が残存することなく、圧電トランスジューサの音響的性能が向上し、基板の品質を確保でき、従って、前記指紋認識モジュールの指紋認識精度が高く、ユーザの使用体験を向上させる。
【0298】
本実施例の前記指紋認識モジュールについての具体的な説明は、前述した実施例における対応する説明を参照でき、ここでは詳しく説明しない。
【0299】
本発明は以上のように開示されているが、これに制限されない。いかなる当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更や改定を行うことができ、従って、本発明の保護範囲は、請求項に限定される範囲を基準とする。