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7186293接着フィルムからダイを剥離するための装置および方法
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  • -接着フィルムからダイを剥離するための装置および方法 図1
  • -接着フィルムからダイを剥離するための装置および方法 図2
  • -接着フィルムからダイを剥離するための装置および方法 図3A
  • -接着フィルムからダイを剥離するための装置および方法 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】接着フィルムからダイを剥離するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20221201BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/52 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021520480
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 IB2019055300
(87)【国際公開番号】W WO2020003095
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】102018115147.0
(32)【優先日】2018-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520503359
【氏名又は名称】ベシ スウィツァランド エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ドーファー,マンフレッド
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-109979(JP,A)
【文献】米国特許第06283693(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0224186(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1744294(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の隣接するダイサイズの取り付け位置(120)がある接着フィルム(110)からダイ(150)を剥離するための装置(100)であって、
前記装置が、
-前記ダイ(150)が上に配置されている前記接着フィルム(110)を支持し、保持するための表面がある真空プラットフォーム(130)、
-ダイ(150)に解放可能にくっ付くダイグリッパ(170)を備え、
-前記真空プラットフォーム(130)には、それぞれの前記取り付け位置(120)にある前記接着フィルム(110)を前記ダイグリッパ(170)に向けて押すように、前記真空プラットフォーム(130)の前記表面に対して独立して延出可能である2つ以上のセグメント(140)があり、
前記装置が、
-前記ダイ(150)が載置されている前記取り付け位置(120)を検出するように構成されたダイ検出装置(160)、
-前記取り付け位置(120)に近接するように前記セグメント(140)を延出させて、前記ダイ(150)を前記ダイグリッパ(170)に向けて押すように構成され、また前記ダイグリッパ(170)を前記ダイ(150)にくっ付けるように移動させるようにさらに構成された、コントローラをさらに備え、
前記真空プラットフォーム(130)が、ピストン(180)およびセレクタ(190)をさらに備え、前記ピストン(180)が、前記2つ以上のセグメント(140)を前記ダイグリッパ(170)に向けて延出させるように構成され、前記セレクタ(190)が、1つ以上のピストン(180)の変位に抵抗するか、または1つ以上のピストン(180)の変位を許容することによって1つ以上のセグメント(140)を選択するように構成され、前記ピストン(180)が、前記2つ以上のセグメント(140)を前記ダイグリッパ(170)に向けて延出させるように構成され、
前記セレクタ(190)が、1つ以上の開口がある回転可能板(200)をさらに備え、前記回転可能板を回転させることによって、前記1つ以上の開口が、すべてのセグメントから1つ以上のセグメント(140)を選択し、それにより、前記ピストン(180)が、前記1つ以上の開口に起因して残りのセグメント(140)を延出させるように配置され、構成されている、装置(100)。
【請求項2】
前記接着フィルム(110)には、4つの取り付け位置(120)があり、前記真空プラットフォーム(130)には、4つのセグメント(140)があり、前記セグメント(140)のそれぞれが、それぞれの前記取り付け位置(120)にある前記接着フィルム(110)を押すように、独立して延出可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記真空プラットフォーム(130)が、2つ以上のピストン(180)をさらに備え、各ピストン(180)が、それぞれの前記セグメント(140)を前記ダイグリッパ(170)に向けて独立して延出させるように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記真空プラットフォーム(130)が、4つのピストン(180)を備え、各ピストン(180)が、それぞれの前記セグメント(140)を前記ダイグリッパ(170)に向けて独立して延出させるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記セレクタ(190)が、セグメント(140)の前記ダイグリッパ(170)に向かう移動、好ましくは2つまたは3つのセグメント(140)の前記ダイグリッパ(170)に向かう移動に抵抗するように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記ダイグリッパ(170)が、2つ以上のダイグリッパヘッド(175)を備え、各ダイグリッパヘッド(175)が、それぞれの前記取り付け位置(120)にあるダイ(150)にくっ付くように可動である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
前記ダイグリッパ(170)が4つのダイグリッパヘッド(175)を備え、各ダイグリッパヘッド(175)がそれぞれの前記取り付け位置(120)にあるダイ(150)にくっ付くように可動である、請求項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1~に記載の接着フィルム(110)からダイ(150)を取り出すための装置(100)を備える、半導体構成要素(150)を電子組立体に設置するための、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の2つ以上の隣接するダイサイズの取り付け位置がある接着フィルムからダイを剥離するための装置、請求項10に記載の接着フィルムからダイを剥離するための真空プラットフォーム、請求項11に記載の接着フィルムにダイを解放可能に取り付けるためのダイグリッパ、ならびに請求項12に記載の接着フィルム上の2つの隣接するダイサイズの取り付け位置から第1および第2のダイを剥離するための方法、ならびに請求項16に記載のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最先端技術から、エジェクタまたは真空プラットフォームなどの装置および構成要素、ならびに接着フィルムからの半導体デバイスまたは構成要素の取り外しにこれらを使用する方法が、十分に多様で多元的に知られている。
【0003】
例えば、DE 10 2006 019 671 A1には、2つの一体型の独立可動のダイグリッパを有する多重ボンドヘッドが記載され、またはUS 6440758には、中間段および接合段を有する2つの部分的に独立可動のダイグリッパを有する多重ボンドヘッドが記載され、またはUS 61/865,874には、ボンドヘッドとフレーム上に互いに平行に配置されているいくつかの別々のダイグリッパとを有するシステムが記載されている。
【0004】
大抵、ダイは、通常、半導体組み立てデバイス上に加工するのに、当業者にはテープとしても知られている、フレームによって保持された接着フィルム上に設けられる。ダイは、接着フィルムに粘着する。接着フィルム付きのフレームは、滑動ウエハテーブルに載置される。ウエハテーブルは、順々にダイを取り付け位置に設けるように、徐々に移動し、これにより、設けられたダイは、グリッパによって剥離され、基板に置かれる。ダイグリッパによる接着フィルムからの設けられたダイの取り外しは、接着フィルムの下に位置するダイエジェクタ(当業者にはダイリムーバ、チップエジェクタ、またはチップ取り外しデバイスとしても知られる)によって補助され、それにより、接着フィルムは、テーブルに座る。テーブルは、ダイ取り外しプロセスの間接着フィルムを支持し、真空を使用してそれを所定位置に保持する、様々な穴がある真空プラットフォームを含む。
【0005】
ダイエジェクタは、広範囲の条件の下で接着テープからダイを繰り返し剥離することができなければならない。このような装置の処理能力は、最も不可欠なパラペータの1つである。小さな改善でも、この装置のオペレータに、大幅な工程加速、組立時間短縮、それによる経済上の利点を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、処理能力が向上したダイエジェクタを備え、それにより、ダイ送り路のバラツキに反応するのに十分な柔軟性がダイエジェクタを通して与えられる、機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様において、エジェクタまたは剥離デバイスとしても知られる、いわゆるエジェクタデバイスが、請求項1により提供される。接着フィルムからダイを剥離するためのこのデバイスは、2つ以上の隣接するダイサイズの取り付け位置があり、ダイが上に配置されている接着フィルムを支持し、保持するための表面がある真空プラットフォームと、ダイに解放可能にくっ付く、締め付けグリッパまたは吸引部材などのダイグリッパと、を備え、真空プラットフォームは、それぞれの取り付け位置にある接着フィルムをダイグリッパへ向かって押し、それによって接着フィルム上の取り付け位置からダイを剥離する(取り外す)または取り出すように、真空プラットフォームの表面に対し独立して延出可能である2つ以上のセグメントを備える。装置は、ダイが載置されている取り付け位置を検出するように構成されたダイ検出装置、取り付け位置の近くにセグメントを延出させて、ダイをダイグリッパへ向けて押すように構成され、またダイにくっ付くまたはダイを捕捉するようにダイリッパを移動させるようにさらに構成された、コントローラをさらに備える。剥離であろうと、取り付けおよび把持であろうと、または取り出しおよび回収であろうと、実質的に、接着フィルムの接着強度、それが延出する速さ、および各場合で延出するセグメントに掛かる力に左右され、それらは、本発明によれば、さらに処理能力を高めるように特別に互いに調節可能である。
【0008】
本発明の一態様において、コントローラはまた、占有された取り付け位置および空の取り付け位置を示す提供されたウエハマッピング、ならびに/または空の取り付け位置、占有された取り付け位置ならびに欠陥のあるダイに占有された取り付け位置を示すダイ検出装置情報から、取り付け位置を飛ばすために区別するように構成されている。
【0009】
独立して延出可能である2つ以上のセグメントを真空プラットフォームを設けることによって、ダイ剥離(または少なくとも部分的なダイ剥離)が、並行して行われ得、接着フィルムの再位置付けが必要なく、2つ以上のダイが剥離され得る。両方の方策とも、処理能力を高めることができる。
【0010】
本発明の一態様において、接着フィルムには、4つの取り付け位置があり、真空プラットフォームには、4つのセグメントがあり、セグメントのそれぞれは、それぞれの取り付け位置にある接着フィルムを押すように独立して延出することができる。4つのセグメントを設けることにより、4つのダイサイズの取り付け位置が生み出され、処理能力をさらに高め、空の取り付け位置を飛ばすのをより柔軟にすることを可能にする。
【0011】
本発明の一態様において、真空プラットフォームはまた、2つ以上のピストンを有し、各ピストンは、各セグメントをダイグリッパに向けて独立して延出させるように構成されている。
【0012】
本発明の一態様において、真空プラットフォームは、4つのピストンを備え、ピストンのそれぞれは、ダイグリッパの方向に各セグメントを独立して延出させるように構成されている。
【0013】
本発明の一態様において、真空プラットフォームは、ダイグリッパに向かって2つ以上のセグメントを延出させるように構成されたピストンと、1つ以上のピストンの変位に抵抗するか、または変位を許容することによって1つ以上のセグメントを選択するように構成されたセレクタと、をさらに備える。各ピストンは、一方向(下向き)に予圧され得、それぞれの開口は、どのピストンが所定の位置に残るか、どのピストンが予圧と反対方向に押されるかを決定する。
【0014】
本発明の一態様において、セレクタは、1つ以上の開口がある回転可能板を備え、回転可能板は、1つ以上の開口によりピストンが残りのセグメントを延出させるように、回転可能板を回転させることによって1つ以上のセグメントを選択するように配置され、構成されている。
【0015】
この変位に対する抵抗によって、回転板に位置が揃ったピストンが選択される。また、開口の位置を揃えることによって、各ピストンを上方に押し上げる、すなわち選択することができるように、ピストンに上方に予め応力を与えることによって、それを逆方向に構成することも可能である。それにより、回転板は、変位に抵抗し、上向きに滑動しないことにより特定のピストンを選択するであろう。
【0016】
本発明の一態様において、セレクタは、ダイグリッパの方向における1つのセグメント、好ましくは2つまたは3つのセグメントの移動に抵抗するように構成されている。
【0017】
本発明の一態様において、ダイグリッパは、2つ以上のダイグリッパヘッドを有し、各ダイグリッパヘッドは、それぞれの取り付け位置にあるダイにくっ付くように可動である。2つ以上のダイグリッパヘッドにより、2つ以上のダイが、同時に剥離され、装置内の別の場所に移動させられ得る。これにより、さらに、処理能力を上げることができる。
【0018】
本発明の一態様において、ダイグリッパは、4つのダイグリッパヘッドを有し、各ダイグリッパヘッドは、それぞれの取り付け位置にあるダイにくっ付くように可動である。
【0019】
本発明の別の態様において、請求項10による真空プラットフォームが提供される。2つ以上の隣接するダイサイズの取り付け位置がある接着フィルムからダイを解放するための真空プラットフォームには、ダイが上に配置されている接着フィルムを支持し、保持するための表面があり、真空プラットフォームには、それぞれの取り付け位置にある接着フィルムを押して、真空プラットフォームの表面から離すように、真空プラットフォームの表面に対して独立して延出可能である2つ以上のセグメントがある。
【0020】
2つ以上の独立して延出可能なセグメントがある真空プラットフォームは、既存のダイ取り外しデバイスの処理能力を向上させるのに使用され得る。
【0021】
本発明の別の態様において、請求項11によるダイグリッパが、ダイへの解放可能な取り付けに提供される。2つ以上の取り付け位置がある接着フィルム上で、ダイに解放可能にくっ付くダイグリッパは、2つ以上のダイグリッパヘッドを有し、ダイグリッパヘッドは、それぞれの取り付け位置にあるダイにくっ付くように独立して動作可能であり、2つ以上の取り付け位置は、隣接し、ダイサイズである。
【0022】
本発明のさらなる態様において、第1および第2のダイを、接着フィルム上の2つの隣接するダイサイズの取り付け位置から剥離するための、請求項12による方法が提供される。接着フィルム上の2つの隣接するダイサイズの取り付け位置から第1および第2のダイを剥離する方法は、
-第1および第2のダイに解放可能にくっ付くダイグリッパを提供することと、
-真空プラットフォームの表面上に接着フィルムを支持し、保持することであって、真空プラットフォームが、ダイグリッパに向かって様々な取り付け位置にある接着フィルムを押すように、真空プラットフォームの表面に対し独立して延出可能な2つ以上のセグメントを備える、支持し、保持することと、を含む。
【0023】
本方法がまた、
-第1のダイが位置する取り付け位置に近接するようにセグメントを延出させて、第1のダイをダイグリッパに向へて押すことと、
-ダイグリッパを第1のダイ上に置くことと、
-接着フィルムから第1のダイを取り外すことと、
-真空プラットフォームの表面上に前記接着フィルムを保持することと、
-第2のダイが配置されている取り付け位置を検出することと、
-第1のダイが配置されている取り付け位置に近接するようにセグメントを延出させて、第1のダイをダイグリッパに向けて押すことと、
-ダイグリッパを第2のダイ上に置くことと、
-接着フィルムから第2のダイを取り外すことと、を含む。
【0024】
本発明の一態様において、工程はまた、付加的な工程ステップとして、第1のダイが配置されている取り付け位置の検出を含む。
【0025】
本発明の一態様において、本方法は、付加的な方法ステップとして、占有された取り付け位置および空の取り付け位置を示す提供されたウエハマッピング、ならびに/または、空の取り付け位置、占有された取り付け位置ならびに欠陥のあるダイに占有された位置を示すダイ検出装置情報から、取り付け位置を飛ばすために区別することをさらに含む。
【0026】
本発明によれば、前述のデバイス、すなわち、請求項1~9のいずれか一項による接着フィルムからダイを剥離するための装置、請求項10による真空プラットフォーム、および請求項11によるダイグリッパは、半導体構成要素を電子組立体に装備するためのシステムにおいて相互作用し得、このシステムは、請求項12による方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の図からもたらされる。
図1】ダイを剥離するための装置の主要構成要素を示す。
図2】真空プラットフォームの別のバージョンを示す。
図3A】セレクタの例を示す。
図3B】セレクタの斜視図を示す。
図4】ウエハマッピングの関数としてのセレクタの機能性を示す。
図5図4から作られた回転板の好ましい設計の詳細な表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、接着フィルム110からダイ150を解放するための装置100の主要構成要素を示す。装置100は、接着フィルム110を支持し、保持するための真空プラットフォーム130と、ダイ150に解放可能にくっ付くダイグリッパ170とを備える。
【0029】
通常、複数の半導体ダイ150を含むウエハは、各ダイ150が、接着フィルム110に粘着した状態で分離される、分離時に接着フィルム110に貼り付けられる。接着フィルム110からダイ150を取り外すことは、電子組立体の組み立ての際のダイボンディングおよびフリップダイボンディングにおける一般的な工程である。
【0030】
描写される接着フィルム110は、2つ以上の隣接するダイサイズの取り付け位置120からなり、各取り付け位置120は、ダイ150によって占有され得る。ダイを取り外すための装置100における取り付け位置の数は、接着フィルム110を再位置付けすることなく取り外され得るダイ150の最大個数に対応する。ダイを取り外すための図1に描写される装置100には、4つの隣接する取り付け位置120がある。
【0031】
真空プラットフォーム130は、ダイ150が接着フィルム110から剥離されるとき、接着フィルム110を真空によって所定の位置に保持するように構成されている。真空プラットフォーム130には、2つ以上のセグメント140があり、2つ以上のセグメント140は、真空プラットフォーム130の表面とは独立して、ダイグリッパ170の方向に、それぞれの取り付け位置120にある接着フィルム110に対して延出することができる。各セグメント140は、接着フィルム110を真空プラットフォーム130上に位置付けした後、それが対応する取り付け位置120に位置が揃うように構成され、配置されている。
【0032】
例えば、セグメント140は、針セグメントであり得る。それらが、従来の8k8ダイエジェクタと互換性があるのが好ましい。
【0033】
図1に示される真空プラットフォーム130には、4つのセグメント140、隣接する取り付け位置120のそれぞれに対して1つのセグメントがあり、それにより、最高4つのダイ150が、接着フィルム110を再位置付けする必要なく剥離され得る。各セグメント140が、ダイ150の面積の少なくとも半分、好ましくは半分超を占めるように、寸法が決められるのが好ましい。
【0034】
従来の装置には、取り付け位置120が1つしかないため、各ダイ150が取り出される前に接着フィルム110を再位置付けする必要がある。2つ以上の独立して延出可能なセグメント130を真空プラットフォーム130に設けることによって、接着フィルム110を再位置付けすることなく2つ以上のダイ150が取り出され得る。本発明によれば、これによって、ダイを剥離するための装置100の処理能力が上がる。
【0035】
真空プラットフォーム130は、ダイグリッパ170と相互作用するように構成および配置されている。ダイ150が取り外されると、各取り付け位置にある1つ以上のセグメント140は、接着フィルム110をダイグリッパ170に向けて押す。ダイグリッパ170は、1つ以上の取り付け位置120にあるダイ150に解放可能にくっ付く1つ以上のダイグリッパヘッド175を含む。
【0036】
ダイを剥離するための装置100は、
-接着フィルム110が真空プラットフォーム130の表面に接触する状態にされることと、
-真空プラットフォーム130の表面上に接着フィルム110を安定させるのに真空が掛けられることと、
-接着フィルム110が2つ以上のダイサイズの取り付け位置120を備え、2つ以上のダイ150を含み得ることと、
-第1の取り付け位置120に位置が揃ったセグメント140が、接着フィルム110をダイグリッパ170の方向に押すように、真空プラットフォーム130の表面に対して延出することと、を含む方法に従って操作され得る。実際には、真空プラットフォーム130の表面は、セグメント140がZ軸に沿ってまたは上向きに移動するように水平平面内にあり得、
-第1の取り付け位置120にあるダイ150(第1のダイ150)が剥離され、第1のダイ150にダイグリッパヘッド175がくっ付き、
-ダイグリッパヘッド175が、取り付け位置120から離れ、第1のダイ150を異なる位置に置く。ダイを剥離するための装置100が、ボンドヘッドの機能性も含み、これにより、剥離後にダイ150を載置することが可能になるのが好ましい。装置100が、フリップユニット、ピッキングおよび/または配置機能性も含み得るのが好ましく、
-ダイグリッパヘッド175が、第2の取り付け位置120に移動し、
-第2の取り付け位置120に位置が揃ったセグメント140が、ダイグリッパ170の方向に接着フィルム110を押すように、真空プラットフォーム130の表面に対して延出し、
-第2の取り付け位置120にあるダイ150(第2のダイ150)が剥離され、第2のダイ150にダイグリッヘッド175がくっ付き、
-ダイグリッパヘッド175が、取り付け位置120から離れ、第2のダイ150を異なる場所に置き、
-接着フィルム110が、2つ以上のダイサイズの120取り付け位置を真空プラットフォーム130の表面に接触させるように再位置付けされる。
【0037】
当業者であれば分かるように、図1に示される4位置120構成を使用して、記載の方法が、接着フィルム110を再位置付けする必要なく、第3のダイおよび第4のダイに対して繰り返され得る。
【0038】
セグメント140が互いに独立して延出することができるので、各ダイ150を別々に位置付けする代わりに、2つ以上のダイ150が、代替的に、完全にまたは部分的に同時に置き換えられてもよい。これは、ダイグリッパヘッド175が前に取り外したダイ150を別の場所に移動させる間に、ダイ150が取り外される(または部分的に取り外される)ことを可能にすることによって、処理能力をさらに上げる。図1からの例では、真空プラットフォーム130は、1つ、2つ、3つ、または4つのセグメント140がダイグリッパ170へ同時に延出することができるように構成され、配置され得る。
【0039】
2つ以上のダイ150が接着フィルム110から剥離され、ダイグリッパ170によって並行して取り上げられ得るように、ダイグリッパ170が、2つ以上のダイグリッパヘッド175を含み得る。これは、処理能力のさらなる向上に寄与する。
【0040】
図1に示されるダイグリッパ170は、4つのダイグリッパヘッド175を備え、ダイグリッパヘッド175のそれぞれは、4つの隣接するダイサイズの取り付け位置120のうちの1つにおいてダイ150を収容するように構成され、配置されている。真空プラットフォーム130はまた、4つの隣接する120取り付け位置においてダイ150を収容する(または部分的に収容する)ように構成され、配置され得、従来の連続加工設備に比べ処理能力の大きな向上をもたらす。より高い処理能力は、ファンアウトまたはフリップチップなどの高速用途でダイ150を取り外すときに好都合である。
【0041】
実際には、ダイサイズの取り付け位置120のうちの1つ以上は、空であるか欠陥のあるダイ150によって占められる可能性がある。これは、図4に示されるように、ウエハマッピングW30、右下に示されるようにダイ150がすでに置き換えられている、またはダイ150に欠陥があるか、もしくはダイ150が、図4に示されるように、ウエハマッピングW40、左上に示されるようにウエハのエッジ域の一部を形成するという事実によるものであり得る。ダイを剥離するための装置100は、1つ以上のダイ150が接着フィルムに取り付けられている取り付け位置120を検出するように構成された1つ以上のダイ検出装置160をさらに備える。1つ以上の検出装置160は、真空プラットフォーム130内にかつ/またはダイグリッパヘッド175内に位置し得る。ダイを取り外すための装置100はまた、それぞれのダイサイズの取り付け位置120でダイ150が検出されない場合、セグメント140を延出させないように構成され得る。また、ダイ検出器160が欠陥のあるダイ150を検出した場合、セグメント140は延出しない。
【0042】
代替として、ダイ検出装置160を使用する代わりに、占有されたおよび/もしくは占有されていないならびに/または欠陥のあるダイ150に占有されたアレイ位置がある事前検出されたウエハマッピング310、320、330、340、または装置100データが、好ましくはデータセットの形態で提供され得る。
【0043】
代替として、ダイ100取り外しデバイスが、ダイ150がダイサイズの取り付け位置で検出されると、セグメント140を延出させるように構成され得る。このようにして、処理能力をさらに高めるように、装置の動作(移動)と並行して2つ以上の150ダイが取り外され得る。
【0044】
接着フィルム110をセグメント140で押すとき、接着フィルム110が、例えば過度の力によって誤って貫通または穿孔される可能性がある。より小さいセグメント140は、接着フィルム110を突き通すリスクを上げる可能性がある。より耐性の高い接着フィルム110を使用することによって、このリスクを低減することもできる。
【0045】
任意の適切な駆動により、例えば、空気圧駆動、機械的駆動、電気駆動、またはこれらの組み合わせによって、セグメント140が互いに独立して延出することができる。例えば、真空プラットフォーム130は、1つ以上のピストン180を備えることができ、各セグメント140に1つのピストン180が提供されるのが好ましい。各ピストン180はまた、2つ以上のセグメント130を延出させるように構成され得る。
【0046】
さらに、セレクタ190が、延出対象の1つ以上のセグメント140を選択するのに提供され、例えば、空気圧ピストンを有する適切な制御電子機器、または電動ピストンを有する適切な制御電子機器で空気圧バルブが使用され得る。
【0047】
図2は、真空プラットフォーム130のさらなるバージョンを示し、図2の左側は、斜視図を示し、図2の右側は、真空プラットフォーム130を通る垂直断面を示す。4つのセグメント140が使用可能であり、各セグメントは、この図では、上向きの延出を表す、ダイグリッパ170(図示せず)に向かって互いに独立して延出するように構成され、配置されている。さらに、4つのセグメント140は、この図では、下向きの延出を表す、ダイグリッパ170とは独立して離れるように構成され、配置されている。
【0048】
各セグメント140は、対応するピストン180を備え、セグメント140は、ピストン180の第1の端に強固に取り付けられている。この例では、ピストン180は、ガイドシリンダ185に対する移動によってそれらのそれぞれのセグメント140の移動を引き起こす受動ロッドである。示されているように、この移動は、上下である。130真空プラットフォームはまた、4つの圧縮ばね220、各180ピストンに対して1つの圧縮ばね220を含み、各ピストン180は、その圧縮ばね220によってダイグリッパ170から偏向される。真空プラットフォーム130はまた、ダイグリッパ170への独立した延出対象の1つ以上のセグメント140を選択するように構成されたセレクタ190(図示せず)を含み、各セグメント140は、セグメント140のすべての考えられ得る組み合わせを延出させるように選択可能である。
【0049】
セレクタ190は、ダイグリッパ170から最も遠い真空プラットフォーム130の端に回転可能板200(図示せず)を備え、示されるように、回転可能板200は、相応して構成された開口210が各ピストン180の下端である、それぞれのピストンピン230に接触する状態で(示されるように)、垂直軸を中心に回転する円盤部を有する(示されるように)。回転可能板が回転すると、開口210(示されるように、ピストン180の真下)がピストンピン230に位置が揃う場所で、ピストンピン230が、圧縮ばね220の予圧によって位置が揃った開口内に移動する(示されるように)。セグメント140がピストン180の他の端に固定されるため、開口210がピストン180のピストンピン230に位置が揃うと、セグメントは、ダイグリッパから離れる(示されるように)。
【0050】
これらおよび同様の設計は、4つ以上の180ピストンが、単一のアクチュエータと同時にかつ選択的に作動することができ、回転板200が、適切に構成された空気圧アクチュエータ、電動アクチュエータ、および/または機械式アクチュエータによって駆動され得る(回され得る)ことから、好都合である。電動モータが使用されることが好ましい。
【0051】
図2に示される真空プラットフォーム130はまた、130真空プラットフォームの下端からダイグリッパ170の近くの端まで延在する135真空供給部を含む(示されるように)。この真空供給部135は、適切な真空プラットフォーム表面を含む真空プラットフォーム130によるダイ取り外しの間に接着フィルム110を保持するのに適している。
【0052】
分かりやすくするために、これは、図2には示されないが、通常、ダイグリッパ170の近くの端に真空プラットフォーム130に水平に取り付けられた真空チャネル表面であり(示されるように)、真空プラットフォーム130表面は、セグメント140がダイグリッパ170から離れているときに、セグメント140の上部(示されるような)表面とほぼ同じ距離ダイグリッパ170から離れている。真空プラットフォーム130の表面には、2つ以上のセグメント140に相応した大きな開口210が設けられている。言い換えれば、回転可能板200の開口210がピストンピン230に位置が揃うと(示されるように)、それぞれのセグメント140の上部表面は、真空プラットフォーム130の表面とほぼ共平面をなす。回転可能板200の開口210がピストン180の下端に位置が揃っていないとき(示されるように)、それぞれのセグメント140の上部表面(示されるような)は、真空プラットフォーム130の表面からダイグリッパ170まで延出する。
【0053】
図3Aは、図2に示される真空プラットフォーム130と共に使用され得るセレクタ190の例を示し、図3Bは、セレクタ190がどのように駆動され得るか(回され得るか)の例を示す。セレクタ190は、各ピストン180の下端(図2に示すような)のピストンピン230に係合するように構成され、配置されている。これは、真空プラットフォーム130の端にあるセレクタ190がダイグリッパ170(図示せず)から最も遠いことを意味する。
【0054】
図3Bは、セレクタ190の斜視図を示し、また、どのピストン180およびセグメント140がダイグリッパ170(図示せず)に向かって延出するかが、セレクタ190によってどのように決まるかを示す断面図を示す。セレクタ190は、ほぼ円筒形であり、真空プラットフォーム130の圧縮ばね220に最も近いセレクタ190の端に配置された回転可能板200備える。この例では、セレクタ190は、回転シリンダであり、回転板200は、シリンダの上部(示されるような)部品である。回転可能板200は、2つ以上の開口210を有し、開口210は、各ピストン180(および各セグメント140)がダイグリッパ170に向かって独立して延出することができる、選択可能な回転位置があるように、構成され、配置されている。この例では、圧縮ばね220に最も近いピストン180の各端は、ピストンピン230として取り付けられたピンを含み、これは、正しく位置が揃うと、開口210を通過することができる。開口210の側壁は、セレクタ190(および回転可能板200)が垂直軸を中心に回転するとき(示されるように)、ピストン180の長手方向の移動を可能にするように先細り状にするのが容易であり得る。
【0055】
真空プラットフォーム130の真空供給部135は、セレクタ190の中央の長手方向軸に配置された相応に構成された真空吸引カップ137によって設けられている。
【0056】
円筒形設計のセレクタ190は、歯車によって異なる回転数で回転することができるように構成され、配置されている。電動モータ260は、セレクタ190の歯車に係合するように構成され、配置された歯車250を備えている。DCモータが使用されることが好ましい。また、回転可能板200と開口210とが十分に正確にかつ高い反復精度で位置が揃うことができるように、エンコーダなどの測定システムを設けることも好都合であり得る。
【0057】
図3Aに示される断面は、ピストン180、回転板200、開口210、およびピストンピン230の相対向きを示す。示される回転板200および開口210において、4つのピストン180のすべて、したがってすべてのセグメント(図示せず)が、ダイグリッパに向かって延出する。言い換えると、この回転位置では、開口部210は、ピストン180のピストンピン230に位置が揃わず、ピストンは、圧縮バネ230によって予圧されたままである。
【0058】
図4は、下半分には、様々な回転位置310、320、330、340におけるセレクタ190(特に、回転可能板210)の動作を示し、上部には、様々なセグメント140(図示せず)がダイグリッパ170(図示せず)に向かって延出することができるように、回転位置310に対応するウエハマッピングW10、回転位置320にW20、回転位置330にW30、および回転位置340にW40を示す。4つの回転位置310、320、330、340はそれぞれ、断面におけるピストン180、回転可能板200、開口210、およびピストンピン230の相対向きを示す。
【0059】
図4の上半分では、検出装置160によって捕捉されるか、または前に提供されたウエハマッピングが、検出工程1600として表示される。ウエハマッピングW10、W20、W30、W40のそれぞれにおいて、4つの取り付け位置120が表示され、右上、左上、右下、および左下として示される。これらの項目のそれぞれは、説明において右上、左上、右下、および左下ともされるセグメント140に割り当てられる。
【0060】
この例では、方法は、ダイ150が検出される取り付け位置120に割り当てられたセグメント140(図示せず)を延出させるように設計され、適合されている。1600を参照されたい。
【0061】
状況310では、取り付け位置120において4つのダイ150が検出される。回転板200は、ピストンピン230のいずれも1つ以上の開口210に位置が揃わないように回転する。これは、図3Aの断面に示されるのと同じ回転位置である。言い換えると、4つのセグメントすべてがセレクタ190によって選択され、4つのセグメントすべてがダイグリッパ170まで延出し、4つのダイ150すべてが、置き換えられる。回転板200の回転位置は、公称で+27度である。
【0062】
状況320では、取り付け位置120において2つのダイ150(示されるように、右下および左上)のみが検出される。回転可能板200は、ピストンピン230のうちの2つのみが1つ以上の開口210(示されるように、右上および左下)に位置が揃うように回転する。言い換えると、2つのセグメント140が選択され(示されるように、右下および左上)、これらの2つのセグメント140がダイグリッパ170に向かって延出し、すべての対応するダイ150(示されるように、右下および左上)が取り外される。他の2つのセグメント140は選択されず(示されるように、右上および左下)、これらの2つのセグメント140は、真空プラットフォーム130(図示せず)の表面とほぼ共平面のままである。回転板200の回転位置は、公称で+45度である。
【0063】
状況330では、1つのダイ150(示されるように、左上)のみが、取り付け位置120で検出される。回転可能板200は、ピストンピン230のうちの3つが1つ以上の開口210(示されるように、右上、右下、および左下)に位置が揃うように回される。これは、セグメント140が選択され(示されるように、左上)、このセグメント140がダイグリッパ170に向かって延出し、対応するダイ150(示されるように、左上)が置き換えられることを意味する。他の3つのセグメント140は選択されず(示されるように、右上、右下、および左下)、これらの3つのセグメント140は、真空プラットフォーム130(図示せず)の表面とほぼ共平面のままである。回転板200の回転位置は、公称で+63度である。
【0064】
状況340では、取り付け位置120において、3つのダイ150(示されるように、右上、右下、および左下)のみが検出される。回転可能板200は、ピストンピン230のうちの1つのみが1つ以上の開口部210(示されるように、左上)に位置が揃うように回される。言い換えれば、3つのセグメント140が選択され(示されるように、右上、右下、および左下)、これら3つのセグメント140がダイグリッパ170に向かって延出し、すべての該当するダイ150(示されるように、右上、右下、および左下)が取り外される。残りのセグメント140は選択されず(示されるように、左上)、このセグメント140は、真空プラットフォーム130(図示せず)の表面とほぼ共平面のままである。回転板200の回転位置は、公称で+9度である。
【0065】
4つのセグメント140が例および図面に示されているが、本発明は、独立して延出可能な2つ、3つ、または4つのセグメント140などのより少ないセグメント140であっても、高処理能力の利点を提供する。図2に示されるような真空プラットフォーム130と、図3Aおよび3Bに示されるセレクタ190とは、互いに別個のユニットであるため、異なる個数の独立して延出可能なセグメント140を真空プラットフォーム130に設けることが有利であり得、それにより、治具100は、様々な動作モードに対して真空プラットフォーム130を置き換えることによって、素早く修正され得る。
【0066】
任意の個数のセグメント140、例えば、6、8、10、またはそれ以上が使用されてもよい。真空プラットフォーム130は、それよい少ないセグメント140で動作してもよく、例えば、4つのセグメントがある真空プラットフォームは、2つの取り付け位置120における1つ以上のダイ150が取り外された後に接着フィルムを再位置付けする必要がある2セグメントモードで動作し得る。
【0067】
図5は、図4とは異なるいくつかの開口210がある好ましい設計の回転板190の詳細な表現を示す。
【表1】

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5