IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニムの特許一覧

<>
  • 特許-外科用ドライバー 図1
  • 特許-外科用ドライバー 図2
  • 特許-外科用ドライバー 図3
  • 特許-外科用ドライバー 図4
  • 特許-外科用ドライバー 図5
  • 特許-外科用ドライバー 図6
  • 特許-外科用ドライバー 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】外科用ドライバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20221201BHJP
   B25B 15/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61B17/88
B25B15/00 630H
B25B15/00 620E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021535598
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 IB2019060887
(87)【国際公開番号】W WO2020128810
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】102018000020350
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】パガーニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】リーバ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フィシュテル,マインラード
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-186176(JP,U)
【文献】特開2003-019142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049756(US,A1)
【文献】実開昭56-137978(JP,U)
【文献】登録実用新案第3159480(JP,U)
【文献】米国特許第05797918(US,A)
【文献】米国特許第01392220(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56-17/92
B25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ドライバーであって、
第1の回転シャフト(2)であって、その長手方向軸(X)を中心に回転するように構成された第1の回転シャフト(2)と、
第2の回転シャフト(3)であって、その展開軸(Y)に沿って延在し且つねじ頭部に挿入することができる成形端部先端(4)を有する第2の回転シャフト(3)と、
前記第1および第2の回転シャフト(2、3)のそれぞれの第1の端部(2a、3a)の間に配置されて、前記第1の回転シャフト(2)から前記第2の回転シャフト(3)に回転を伝達する伝達部材(5)と、を備え、
前記伝達部材(5)は、前記第1の回転シャフト(2)の前記長手方向軸(X)に垂直な接合軸(Z)の周りで共にヒンジで連結された一対の半球要素(6、7)を備え、各半球要素(6、7)は、前記第1および第2の回転シャフト(2、3)の一方の第1の端部(2a、3a)にヒンジで連結されており、
第1の半球要素(6)が、前記第1の回転シャフト(2a)の前記第1の端部(2a)に設けられたアーチ型ガイド(9)上をスライドする球形のドーム型表面(8)を備え、第2の半球要素(7)は、前記第2の回転シャフト(3)の前記第1の端部(3a)に設けられたアーチ型ガイド(11)上をスライドする球形のドーム型表面(10)を備え、
前記第1の半球要素(6)が、前記接合軸(Z)と同軸に延びる側面(12a)を有する半円筒部(12)を備え、前記半円筒部(12)は、前記球形のドーム型表面(8)に対して反対側に配置されており、
前記第2の半球要素(7)が、前記半円筒部(12)に対して反対の形状であり且つ前記球形のドーム型表面(10)に対して反対側に設けられた空洞(7a)を備え、前記半円筒部(12)は、前記空洞(7)に挿入されて、前記一対の半球要素(6、7)を相互に回転可能にさせ且つ前記接合軸(Z)の周りで回転可能にさせる、外科用ドライバー。
【請求項2】
各半球要素(6、7)の前記球形のドーム型表面(8、10a)が、それぞれのアーチ型ガイド(9、11)と係合して前記それぞれのアーチ型ガイド(9、11)に対してスライドするアーチ型の溝(8a、10a)を有し、前記一対の半球要素(6、7)は、前記第1の回転シャフト(2)の前記長手方向軸(X)および前記接合軸(Z)に垂直な相互に平行な軸(A)の周りで対応するそれぞれの回転シャフト(2、3)にヒンジで連結されている、請求項に記載のドライバー。
【請求項3】
前記アーチ型ガイド(9、11)が、各回転シャフト(2、3)の前記第1の端部(2a、3a)に設けられた「C字型」表面によって規定される、請求項またはに記載のドライバー。
【請求項4】
外科用ドライバーであって、
第1の回転シャフト(2)であって、その長手方向軸(X)を中心に回転するように構成された第1の回転シャフト(2)と、
第2の回転シャフト(3)であって、その展開軸(Y)に沿って延在し且つねじ頭部に挿入することができる成形端部先端(4)を有する第2の回転シャフト(3)と、
前記第1および第2の回転シャフト(2、3)のそれぞれの第1の端部(2a、3a)の間に配置されて、前記第1の回転シャフト(2)から前記第2の回転シャフト(3)に回転を伝達する伝達部材(5)と、を備え、
前記伝達部材(5)は、前記第1の回転シャフト(2)の前記長手方向軸(X)に垂直な接合軸(Z)の周りで共にヒンジで連結された一対の半球要素(6、7)を備え、各半球要素(6、7)は、前記第1および第2の回転シャフト(2、3)の一方の第1の端部(2a、3a)にヒンジで連結されており、
第1の半球要素(6)が、前記第1の回転シャフト(2a)の前記第1の端部(2a)に設けられたアーチ型ガイド(9)上をスライドする球形のドーム型表面(8)を備え、第2の半球要素(7)は、前記第2の回転シャフト(3)の前記第1の端部(3a)に設けられたアーチ型ガイド(11)上をスライドする球形のドーム型表面(10)を備え、
前記第1の半球要素(6)が、前記球形のドーム型表面(8)に対して反対側に突出部分(6a)を含み、前記第2の半球要素(7)は、前記球形のドーム(10)に対して反対側から突出するフォーク(13)を含み、前記突出部分(6a)は、前記フォーク(13)に回転可能に結合されている、外科用ドライバー。
【請求項5】
前記突出部分(6a)が前記フォーク(13)の内側で旋回されて、前記一対の半球要素(6、7)を相互に回転可能にさせ且つ前記接合軸(Z)を中心に回転可能にさせる、請求項に記載のドライバー。
【請求項6】
前記第2の回転シャフト(3)の前記第1の端部(3a)が、前記成形端部先端(4)に対して反対側に配置され、前記第1の回転シャフト(2)は、手動または自動回転アクチュエータによって係合可能である、前記第1の端部(2a)の反対側の第2の端部(2b)を備える、請求項1からのいずれか1項に記載のドライバー。
【請求項7】
少なくとも部分的に前記第1および第2の回転シャフト(2、3)および前記伝達部材(5)を収容するための内部が中空の円筒形スリーブ(14)をさらに備え、前記第1の回転シャフト(2)の前記第2の端部(2b)は、前記円筒形スリーブ(14)の第1の開口部(14a)から突出しており、前記第2の回転シャフト(3)の前記成形端部先端(4)は、前記第1の開口部(14a)の反対側の前記円筒形スリーブ(14)の第2の開口部(14b)から突出する、請求項に記載のドライバー。
【請求項8】
前記円筒形スリーブ(14)の前記第1および第2の開口部(14a、14b)が互いに同軸ではなく、前記第2の開口部(14b)は、前記第1の回転シャフト(2)の前記長手方向軸(X)を横切る前記第2の回転シャフト(3)の前記展開軸(Y)を規定する、請求項に記載のドライバー。
【請求項9】
前記円筒形スリーブ(14)が、前記伝達部材(5)を収容するための球形外面を規定する突起(15)を備え、前記円筒形スリーブ(14)の前記第2の開口部(14b)は、前記突起(15)の外面に設けられている、請求項またはに記載のドライバー。
【請求項10】
前記第1の回転シャフト(2)が、前記円筒形スリーブ(14)内で互いに同軸に連結された2つの部分(17、18)を備え、前記第1の回転シャフト(2)の前記第2の端部(2b)は、前記第2の回転シャフト(3)から遠位にある前記2つの部分の一方(17)に設けられている、請求項からのいずれか1項に記載のドライバー。
【請求項11】
前記円筒形スリーブ(14)が、前記第1の回転シャフト(2)の前記第2の端部(2b)に近い前記円筒形スリーブ(14)の外面に配置された人間工学的部分(16)を備え、前記第1および第2の回転シャフト(2、3)は、前記円筒形スリーブ(14)の内側で、前記それぞれの軸(X、Y)の周りで、前記円筒形スリーブ(14)自体に対して回転可能である、請求項から10のいずれか1項に記載のドライバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組織に取り付けるねじまたは他のねじ要素に作用するために使用される外科用ドライバー、特に傾斜軸を有する外科用ドライバーに関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ドライバーは、締め付けねじを使用して適切なインサートを椎骨に固定する必要がある前椎体間固定術(anterior interbody arthrodesis)などの様々な用途で、前述の締め付けねじを締める/緩めるために使用される。
【0003】
この特定のケースでは、オペレータは、ドライバーを含む手術器具を挿入するために、わずか数センチメートルの切開を行うことによって患者の皮膚に穴を開ける。
【0004】
したがって、可能な限り侵襲性が低い手術を実行するために、ドライバーおよび他の器具は、切開によって規定される穴の軸、すなわち、切開が行われる表面に垂直であるそれらの延伸軸と一致するように保たれる。
【0005】
この状況では、実際、切開を広げ、ひいては皮膚組織を引き裂くことを避けるために、ドライバーは傾けられてはならない。
【0006】
しかしながら、締め付けねじは、その適用部位で、切開によって規定される穴の軸と一致しない独自の回転軸を持ち得る。
【0007】
この状況では、傾斜軸の外科用ドライバーが使用され、当該外科用ドライバーは長手方向のロッドを備え、そこからねじ頭部に挿入され且つロッドに対して横方向に延びるように設計された成形先端が延びる。
【0008】
特に、ロッドは第1の端部を有し、第1の端部は患者の体の外側に留まるように意図されており、第1の端部に対してオペレータは回転運動を伝達する。
【0009】
第1の端部の反対側には、ロッドの第2の端部が延在し、成形先端と回転可能に係合している。
【0010】
ロッドの第2の端部と成形先端との間に、ジョイント、典型的にはカルダンジョイントが延在しており、これは、ロッドの回転運動を成形先端に伝達することができる。
【0011】
特に、ジョイントは、ロッドの第2の端部から延びる第1のフォークと、第2のフォークとからなり、当該第2のフォークから成形先端が延在する。これらのフォークは、フォーク同士の接続およびロッドに対して先端をずらす可能性を許容する十字形の要素を使用して相互に回転する。
【0012】
このように、ジョイントは、ロッドを切開穴と位置合わせさせた状態に保つと同時に、ロッド自体の長手方向の展開に対して傾斜した軸に沿って配置されたねじを締める/緩めることによって動作することを可能にする。
【0013】
上記の外科用ドライバーは、2つの横軸(ロッド軸および成形先端軸)の間で回転運動を伝達することができるが、いずれにせよ、重大な欠点を有する。
【0014】
第1の重大な欠点は、ロッドと成形先端との間の伝達比である。この種の伝達では、成形先端(被駆動シャフト)の瞬間角速度は、完全な回転の間、一定ではなく、シャフト軸(駆動シャフト)に対する成形先端(被駆動シャフト)軸のずれ角度の関数であることがよく知られている。入射角が大きくなると、角速度の振動の振幅も大きくなる。
【0015】
したがって、ロッドと成形先端との間に非流体伝達があり、これは、振動を発生させる可能性があり、ねじの操作中に、ねじ頭部に対する成形先端の位置合わせが誤り得る。これに関連して、締め付けねじに正確且つ効率的に作用することはオペレータにとって特に気詰まりである。
【0016】
上記の従来技術の別の重大な欠点は、カルダンジョイントの全体的な寸法である。これに関連して、小さな切開からドライバーを挿入することは非常に困難である。互いに接続された2つのフォークの存在は、実際、ドライバーがロッドの長手方向の展開を横切る方向にかなり拡大されていることを意味する。このため、ジョイントを完全に挿入できるようにするために、外科医は切開を非常に小さいままに保つことができない。
【0017】
最後に、カルダンジョイントの存在に再び関連するさらなる欠点は、特定の用途において、締め付けねじを取り巻く組織に不注意に干渉する可能性がある突出要素の存在である。
【0018】
この場合、実際に、カルダンジョイントの2つのフォークが横方向の突出部の原因となり、当該突出部は、回転中、手術部位に近い軟組織に係合して損傷を与え得る。
【発明の概要】
【0019】
したがって、本発明の目的は、上記の従来技術の欠点を克服する外科用ドライバーを提供することである。
【0020】
本発明の第1の目的は、実際、外科医によって伝達される角速度をほぼ一定の状態で伝達することができ、したがって、締め付けねじへの安定した正確な動作を保証することができる、傾斜軸を備えた外科用ドライバーを提案することである。
【0021】
本発明の追加の目的は、外科手術を可能な限り非侵襲的にするために、断面の寸法が制限された外科用ドライバーを提案することである。
【0022】
最後に、本発明の1つの目的は、手術部位を取り巻く軟組織に干渉する可能性のある粗さまたは突起のないコンパクトな伝達ジョイントを備えた、傾斜軸を有する外科用ドライバーを提案することである。
【0023】
これらおよび他の目的は、外科用ドライバーによって、特に、添付の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数に記載されているものによる、傾斜軸を有する外科用ドライバーによって実質的に達成される。
概要
特に、第1の態様によれば、本発明は、第1の回転シャフトであって、その長手方向軸の周りを回転するように構成された第1の回転シャフトと、第2の回転シャフトであって、その展開軸に沿って延在し且つねじ頭部に挿入できる成形端部先端を有する第2の回転シャフトと、を備える外科用ドライバーに関する。回転を第1のシャフトから第2のシャフトに伝達するために、第1のシャフトの端部間に配置された伝達部材も設けられている。伝達部材は、有利には、第1のシャフトの長手方向軸に垂直なそれぞれの接合軸に相互にヒンジで連結された一対の半球要素を備える。各半球要素は、一方のシャフトの第1の端部にヒンジで連結されている。
【0024】
第1の半球要素は、好ましくは、第1のシャフトの前記第1の端部に設けられたアーチ型ガイド上をスライドする球形のドーム型表面を含む。第2の半球要素は、第2のシャフトの前記第1の端部に設けられたアーチ型ガイド上をスライドする球形のドーム型表面を含む。
【0025】
各半球要素の球形のドーム型表面は、好ましくは、それぞれのアーチ型ガイドに係合するアーチ型の溝を有し、当該アーチ型ガイドに対してスライドする。これらの半球要素は、有利には、第1のシャフトの長手方向軸および接合軸に垂直である相互に平行な軸の周りでそれぞれのシャフトにヒンジで連結されている。
【0026】
アーチ型ガイドは、好ましくは、各シャフトの第1の端部に設けられた「C」字形の表面によって規定される。
【0027】
第1の半球要素は、好ましくは、前記接合軸に同軸に延びる側面を有する半円筒部を含む。半円筒部は、球形のドーム型表面の反対側に配置されている。
【0028】
第2の半球要素は、好ましくは、半円筒部とは逆の形状であり且つ球形のドーム型表面の反対側に設けられた空洞を含む。円筒部分は、半球要素を相互に回転可能にさせ且つ接合軸の周りで回転可能にさせるために、前記空洞に挿入される。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、第1の半球要素は、球形のドーム型表面の反対側に突出部分を含むべきであり、第2の半球要素は、球形のドーム型表面の反対側に突出するフォークを含むべきである。突出部分は、前記フォークに回転可能に結合されている。
【0030】
突出部分は、好ましくは、半球要素を相互に回転可能にさせ且つ接合軸の周りで回転可能にさせるために、フォークの内側で旋回される。
【0031】
第2のシャフトの第1の端部は、好ましくは、成形先端の反対側に配置され、第1のシャフトは、手動または自動回転アクチュエータによって係合されるための、第1の端部の反対側の第2の端部を備える。
【0032】
ドライバーはまた、好ましくは、前記伝達部材および前記シャフトの少なくとも一部を収容するために、内部が中空の円筒形スリーブを備える。第1のシャフトの第2の端部は、第1のスリーブ開口部の外側に突出している。第2のシャフトの成形先端は、第1の開口部の反対側の第2のスリーブ開口部の外側に突出している。
【0033】
これらのスリーブ開口部は、好ましくは相互に同軸ではなく、第2の開口部は、第1のシャフトの長手方向軸を横切る第2のシャフトの展開軸を規定する。
【0034】
スリーブは、好ましくは、前記伝達部材を収容するための球形の外面を規定する突起を含む。前記第2のスリーブ開口部は、突起の外面に設けられている。
【0035】
第1のシャフトは、好ましくは、スリーブ内で互いに同軸に接合された2つの部分を含む。第1のシャフトの第2の端部は、第2のシャフトの遠位にある前記2つの部分の一方に設けられている。
【0036】
スリーブは、好ましくは、第1のシャフトの第2の端部近くのスリーブの外面に配置された人間工学的部分を含む。シャフトは、有利には、スリーブの内側で、それぞれの軸の周りで、スリーブ自体に対して、回転可能である。
【0037】
追加の特徴および利点は、本発明および従属請求項による外科用ドライバーの好ましいが排他的ではない実施形態の説明においてより詳細に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明は、例としてのみ提供される添付の図面を参照して、以下の詳細な説明によってより明確にされるであろう。
図1】本発明による外科用ドライバーの斜視図を示す。
図2図1に示される外科用ドライバーの第1の実施形態の部分的な長手方向断面の斜視図を示す。
図3図2に示されるドライバーの構造の詳細の拡大図である。
図4図3で強調された構造の詳細の分解斜視図を示す。
図5図1に示される外科用ドライバーの第2の実施形態の部分的な長手方向断面の斜視図を示す。
図6図5に示されるドライバーの構造の詳細の拡大図である。
図7図6で強調された構造の詳細の分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
上記の図において、参照番号1は、全体として、本発明による外科用ドライバーを示す。
【0040】
外科用ドライバー1は、固定傾斜軸タイプである。このケースでは、実際、この議論の後半でより明確になるように、ねじ操作軸と運動作動軸との間の入射角は予め定められており、好ましくは35°である。
【0041】
より詳細には、外科用ドライバー1は、第1の回転シャフト2であって、その長手方向の展開軸「X」を中心に回転するように構成された第1の回転シャフト2を備える。
【0042】
第1のシャフト2は、外科手術者によって手動で、または適切な電気機械的に制御された電動システムを使用して、回転させることができる。
【0043】
ステムの形で形成された第1のシャフト2は、回転運動の「入力」軸を規定し、使用中、患者に行われた切開と一致するように保たれる。
【0044】
ドライバー1はまた、第2の回転シャフト3であって、第1のシャフト2の長手方向軸「X」を横切るその展開軸「Y」に沿って延びる第2の回転シャフト3を備える。第2のシャフト3は、ねじ頭部(本発明の一部ではないので、添付の図には示されていない)に挿入するための成形端部先端4を有する。
【0045】
端部先端4は、ねじ頭部またはねじを締める/緩めるための他のねじ部材に設けられたシートに応じて、任意の形状(例えば、スロット、十字形、またはアレン形(Allen-shaped))を有することができる。添付の図では、トルクス(登録商標)タイプの成形先端4が、したがって、6角星型に構成されたものが、単に例示的の非限定的な目的のために示されている。
【0046】
したがって、第2のシャフト3の展開軸「Y」は、回転運動の「出力」軸を規定し、使用中、ねじ自体を操作するために、ねじの長手方向の展開と同軸に配置される。
【0047】
第1のシャフト2と第2のシャフト3との間には、また、第1のシャフト2から第2のシャフト3に回転を伝達するように設計された伝達部材5がある。
【0048】
伝達部材5は、好ましくは、それぞれ、第1のシャフト2の第2の端部2bおよび第2のシャフト3の成形先端4の反対側である、シャフト2、3のそれぞれの第1の端部2a、3aの間に配置される。
【0049】
伝達部材5は、有利には、第1のシャフト2の長手方向軸「X」に垂直な接合軸「Z」の周りに相互にヒンジで連結された一対の半球要素6、7を備える(図3および図6)。各半球要素6、7は、対応するそれぞれのシャフト2、3の第1の端部2a、3aにヒンジで連結されている。
【0050】
伝達部材5は、等速ジョイントを規定し、したがって、第1のシャフト2(入力軸)と第2のシャフト3(出力軸)との間の伝達比を一定に保つことができる。
【0051】
より具体的には、図4および図7により良く示されるように、第1の半球要素6は、第1のシャフト2の第1の端部2aに設けられたアーチ型ガイド9上をスライドする球形のドーム型表面8を備える。同様に、第2の半球要素7は、第2のシャフト3の第1の端部3aに設けられたアーチ型ガイド11上をスライドする球形のドーム型表面10を備える。
【0052】
各半球要素6、7の各球形のドーム型表面8、10は、有利には、それぞれのアーチ型ガイド9、11に係合するアーチ型の溝8a、10aを有し、それぞれのアーチ型ガイド9、11に対してスライドする。
【0053】
この状況では、各アーチ型ガイド9、11は、各シャフト2、3の第1の端部2a、3aに設けられた「C」字形の表面によって規定される。
【0054】
半球要素6、7は、有利には、第1のシャフトの長手方向軸「X」および接合軸「Z」に垂直な相互に平行な軸「A」の周りで対応するそれぞれのシャフト2、3にヒンジで連結される(図3)。
【0055】
換言すれば、半球要素6、7の間、並びにシャフト2、3および対応するそれぞれの要素6、7間の結合は、3軸ジョイントを、すなわち、それぞれ2つの平行軸「A」および接合軸「Z」を規定する。
【0056】
図2から図4に示される第1の実施形態によれば、第1の半球要素6は、上記の接合軸「Z」に対して同軸に延びる側面12aを有する半円筒部12を備える。半円筒部12は、球形のドーム型表面8とは反対側に延在している。
【0057】
この状況では、第2の半球要素7は、半円筒部12と反対の形状であり且つ球形のドーム型表面10の反対側に設けられた空洞7aを備える。
【0058】
半円筒部12は、有利には、空洞7aに挿入されて、半球要素6、7を相互に回転可能にさせ且つ接合軸(Z)の周りで回転可能にさせる。
【0059】
図5から図7に示す第2の実施形態によれば、第1の半球要素6は、球形のドーム型表面8の反対側に、貫通穴を備えた突出部分6aを備える。
【0060】
この状況では、第2の半球要素7は、球形のドーム型表面10の反対側に突出するフォーク13を備える。
【0061】
突出部分6aは、有利には、フォーク13に回転可能に結合されている。
【0062】
より具体的には、突出部分6aは、フォーク13の内側で旋回されて、半球要素6、7を接合軸「Z」を中心に相互に旋回させる。接合軸「Z」に沿って延びるピン13aが、好ましくは設けられ、フォークおよび突出部分6aの穴を通してピン13aを挿入することができる。
【0063】
上記の両方の実施形態について、第2のシャフト3の第1の端部3aは、成形先端4の反対側に配置されており、第1のシャフト2の第2の端部2bは、それが手動または自動回転アクチュエータによって係合され得るように構成されていることに留意されたい。
【0064】
このようにして、半球要素6、7は(それぞれのシャフト2、3の軸「X」、「Y」の周りの)回転において束縛されるが、2つの軸「X」、「Y」の間で横方向の入射角(この実施形態では例えば35°)を維持するために相対的に自由にスライドする。
【0065】
ドライバー1はまた、管状形状を有し且つ第1のシャフト2の長手方向軸「X」に沿って延びる、内部が中空の円筒形スリーブ14を含んでもよい。
【0066】
特に、スリーブ14は、伝達部材5、および少なくとも部分的にシャフト2、3を収容する。
【0067】
この状況では、第1のシャフト2の第2の端部2bは、スリーブ14の第1の開口部14aの外側に突出している。この第2の端部2bは、第1のシャフト2の回転を作動させるためにオペレータによって操作される、またはトルクリミッタまたは他の適切な伝達および/または電動システム(それらは本発明の一部ではないので示されていない)に係合している。
【0068】
さらに、第2のシャフト3の成形先端4はまた、第1の開口部14aの反対側であり且つ第1のシャフト2の第2の端部2bの反対側であるスリーブ14の第2の開口部14bの外側に突出している。
【0069】
この状況では、スリーブ14の開口部14a、14bは相互に同軸ではなく、「X、Y」軸の間の入射角を規定するためにずれている(staggered)ことに留意されたい。
【0070】
実際、第2の開口部14bは、第2のシャフト3の展開軸「Y」の方向を規定し、第1のシャフトの長手方向軸「X」に対してこの位置を拘束する。
【0071】
使用中、スリーブ14を固定したまま、スリーブ14自体の内部に配置された伝達部材5を使用して、第1のシャフト2を、したがって、また、成形先端4を回転させることが可能である。
【0072】
スリーブ14は、要素6、7からなる部材5全体を収容するための球形外面を規定する突起15を備えることにも留意されたい。突起15は、好ましくは、図4および図7の分解図で強調されているように、相互に結合することができる2つの半球からなる。
【0073】
スリーブ14の第2の開口部14bは、突起15の外面に設けられている。
【0074】
スリーブ14から突出する成形先端4のみが、患者の体内の唯一の回転部材であることに留意されたい。全ての回転部材(シャフト2、3および要素6、7)は、有利には、スリーブ14の内側で保護されている。この状況では、第1のシャフト2の第2の端部2bが患者の体の外側に留まっていることにも留意されたい。
【0075】
さらに、第1のシャフト2の第2の端部2bの近くのスリーブ14の外面に位置する人間工学的部分16が、ドライバー1を所定の位置に保持するために設けられている。
【0076】
人間工学的部分16により、切開部および患者に対して手動でスリーブを保持することができ、同時に、第1のシャフト2を操作することによってねじを緩める/締めることができる。
【0077】
第1のシャフト2は、好ましくは、スリーブ14の内側で互いに同軸に接合され且つそれぞれロッドの形態で形成された2つの部分17、18でできている。
【0078】
この状況では、第1のシャフト2の第2の端部2bは、第2のシャフト3から遠位の第1の部分17に設けられている。
【0079】
第1の部分17はまた、第2の部分18の成形シート18aに可逆的に接合することができる成形ピン17aを有する。
【0080】
第2の部分18は、成形シート18aの反対側に、「C」字型であるアーチ型ガイド9を有する。
【0081】
第1の部分17は、スリーブ14の内側に手動で保持され且つ第2の部分18に押し付けられて、ピン17aとシート18との間の結合を規定し、これにより、第1の部分17と第2の部分18との間の回転の伝達が保証される。
【0082】
第1の部分17は、有利には、スリーブ14から取り外され、場合によっては他の機能的に同等のロッドと交換することができる。
【0083】
上記のドライバー1は、従来技術の欠点を克服し、重要な利点を伴う。
【0084】
まず、伝達部材5は、第1のシャフト2および第2のシャフト3の角速度の間の伝達比を一定に保つことを可能にする等速ジョイントを規定する。
【0085】
この利点は、対応するそれぞれの軸2、3に相互に結合された場合に、2つの軸「A」および共通の接合軸「Ζ」を中心に回転できる3つのヒンジを形成する2つの要素6、7の構造に由来する。
【0086】
回転運動は、有利には、ねじの締め付け中、より均一で滑らかであり、したがって、より正確である。
【0087】
さらに重要な利点は、特に伝達部材5の位置決め領域において、全体のサイズが非常に小さいことである。
【0088】
この利点は、2つの半球要素6、7の形状によるものであり、これにより、既知のカルダンジョイントと比較して全体のサイズを大幅に縮小できる。
【0089】
外科手術者は、有利なことに、非常に限られたサイズの切開を行うことができ、したがって、手術の最小侵襲性を容易にする。
【0090】
最後に、本発明の別の重要な利点は、回転するときに締め付けねじを取り巻く組織と干渉する可能性がある突出部分がないことによる。
【0091】
特に、伝達部材5は、常にスリーブ14の内側に収容されているため、この可動部分と軟組織とが直接接触するリスクはないことに留意されたい。さらに、球形の存在、したがって外縁の欠如は、ドライバー1と組織自体との間の意図しない接触に起因する軟組織への起こり得る損傷を排除する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7