(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】配線モジュール、端子付きフレキシブルプリント基板及び蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20221201BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20221201BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20221201BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20221201BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20221201BHJP
【FI】
H05K3/34 502D
H05K3/34 501D
H01M50/505
H01M50/503
H01M50/284
H01M50/569
(21)【出願番号】P 2021554135
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2020033709
(87)【国際公開番号】W WO2021084913
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019198338
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】北島 勉
(72)【発明者】
【氏名】安達 芳朗
(72)【発明者】
【氏名】大橋 優樹
(72)【発明者】
【氏名】須藤 学
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060612(JP,A)
【文献】特開平06-244541(JP,A)
【文献】特開2010-267903(JP,A)
【文献】特開2013-131528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H01M 50/505
H01M 50/503
H01M 50/284
H01M 50/569
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極部を有する複数の蓄電素子の隣り合う前記電極部間を接続する接続部材に接続される金属板材からなる端子と、
導電路と前記導電路に連なるランドとを有し、前記ランドに前記端子を半田付け可能なフレキシブルプリント基板と、を備える端子付きフレキシブルプリント基板であって、
前記ランドは、金属表面を有して前記端子が半田付けされる複数の半田付け部を備え、
前記複数の半田付け部の間には、隣り合う前記半田付け部を仕切る非金属表面の仕切部が設けられており、
前記端子は、前記フレキシブルプリント基板に重なる重なり部と、前記フレキシブルプリント基板の外方側に延出される延出部と、を備え、前記延出部は前記接続部材に溶接される、端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント基板は、帯状に延びており、
前記複数の半田付け部は、前記フレキシブルプリント基板の延びる方向に並んでいる、請求項1に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板は、帯状に延びており、
前記複数の半田付け部は、前記フレキシブルプリント基板の延びる方向と交差する方向に並んでいる、請求項1または請求項2に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項6】
車両に搭載されて用いられる車両用の端子付きフレキシブルプリント基板であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の端子付きフレキシブルプリント基板。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の端子付きフレキシブルプリント基板と、
前記端子付きフレキシブルプリント基板を保持する絶縁プロテクタと、を備えた配線モジュール。
【請求項8】
車両に搭載されて用いられる車両用の配線モジュールであって、
請求項7に記載の配線モジュール。
【請求項13】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項10、及び請求項11のいずれか一項に記載の端子付きフレキシブルプリント基板と、
正極及び負極の電極部を有する複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の隣り合う前記電極部間を接続する接続部材と、を備え、
前記端子は、前記接続部材に接続されている、蓄電モジュール。
【請求項14】
車両に搭載されて用いられる車両用の蓄電モジュールであって、請求項13に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、配線モジュール、端子付きフレキシブルプリント基板及び蓄電モジュールに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池モジュールとして、国際公開第2010/113455号(特許文献1)に記載のものが知られている。この電池モジュールは、隣り合う電池セルの端子に接続される連結バスバーに設けられた舌片状の結線部材を、フレキシブルプリント基板に形成されているコンタクトパッド上に配置し、結線部材とコンタクトパッドとがリフロー半田付けによって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、舌片状の結線部材をコンタクトパッド上にリフロー半田付けする構成では、リフロー半田付けの際にコンタクトパッド上の結線部材に浮きが生じ、結線部材の位置ずれによる不具合が懸念される。
【0005】
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子の位置ずれによる不具合を抑制することが可能な端子付きフレキシブルプリント基板及び蓄電モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載されたフレキシブルプリント基板は、導電路と前記導電路に連なるランドとを有し、前記ランドに端子を半田付け可能なフレキシブルプリント基板であって、前記ランドは、金属表面を有して前記端子が半田付けされる複数の半田付け部を備え、前記複数の半田付け部の間には、隣り合う前記半田付け部を仕切る非金属表面の仕切部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本明細書に記載された技術によれば、フレキシブルプリント基板に半田付けされる端子の位置ずれによる不具合を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の蓄電モジュールの一部を示す平面図である。
【
図3】
図3は、端子付きフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は、端子付きフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す側面図である。
【
図5】
図5は、フレキシブルプリント基板への端子の組付けを説明する斜視図である。
【
図6】
図6は、フレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態2のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態3のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態4のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態5のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態6のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図12】
図12は、他の実施形態のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【
図13】
図13は、他の実施形態のフレキシブルプリント基板の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示のフレキシブルプリント基板は、導電路と前記導電路に連なるランドとを有し、前記ランドに端子を半田付け可能なフレキシブルプリント基板であって、前記ランドは、金属表面を有して前記端子が半田付けされる複数の半田付け部を備え、前記複数の半田付け部の間には、隣り合う前記半田付け部を仕切る非金属表面の仕切部が設けられている。
本構成によれば、リフロー半田付け等の際に半田付け部上の半田が溶けた場合であっても、隣り合う半田付け部の間の非金属表面の仕切部によって半田の移動が抑制されるため、半田が溶けた際の端子の位置ずれを抑制することができる。よって、端子の位置ずれによる不具合を抑制することができる。
【0010】
(2)前記フレキシブルプリント基板は、帯状に延びており、前記複数の半田付け部は、前記フレキシブルプリント基板の延びる方向に並んでいる。
このようにすれば、フレキシブルプリント基板の延びる方向への端子の位置ずれを抑制することができる。
【0011】
(3)前記フレキシブルプリント基板は、帯状に延びており、前記複数の半田付け部は、前記フレキシブルプリント基板の延びる方向と交差する方向に並んでいる。
このようにすれば、フレキシブルプリント基板の延びると交差する方向への端子の位置ずれを抑制することができる。
【0012】
(4)前記複数の半田付け部は、3つ以上の半田付け部が並んで設けられており、並び方向の両端部の前記半田付け部は、並び方向の両端部よりも内側の前記半田付け部よりも並び方向の寸法が大きい。
このようにすれば、3つ以上の半田付け部の並び方向の両端部の半田付け部を半田付けすることにより、端子の位置ずれを抑制することができる。
【0013】
(5)前記仕切部は、互いに異なる方向に延びる第1仕切部と第2仕切部とを備え、前記第1仕切部と前記第2仕切部とは交差している。
【0014】
(6)車両に搭載されて用いられる車両用のフレキシブルプリント基板であることが好ましい。
【0015】
(7)本開示の配線モジュールは、前記フレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板のランドに半田付けされる端子と、前記フレキシブルプリント基板を保持する絶縁プロテクタと、を備える。
【0016】
(8)車両に搭載されて用いられる車両用の配線モジュールであることが好ましい。
【0017】
(9)本開示の端子付きフレキシブルプリント基板は、前記フレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板のランドに半田付けされる端子と、を備える。
【0018】
(10)前記ランドの全体は、前記端子が重なる領域内に設けられている。
このようにすれば、ランドが端子の外側にはみ出る大きさである場合と比較して、ランド上の半田の移動する範囲が小さくなるため、半田が溶けた際の端子の位置ずれを抑制することができる。
【0019】
(11)車両に搭載されて用いられる端子付きフレキシブルプリント基板であることが好ましい。
【0020】
(12)前記半田付け部は、前記端子が重なる領域と前記端子が重ならない領域とを有する。
このようにすれば、端子の端面(側面)に付着した半田のフィレットが露出しやすいため、半田のフィレットの外観検査を容易に行うことが可能になる。また、端子の端面(側面)に付着する半田のフィレットにより、半田付け部と端子との接合強度を高めることが可能になる。
【0021】
(13)本開示の蓄電モジュールは、前端子付きフレキシブルプリント基板と、正極及び負極の電極部を有する複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子の隣り合う前記電極部間を接続する接続部材と、を備え、前記端子は、前記接続部材に接続されている。
【0022】
(14)車両に搭載されて用いられる蓄電モジュールであることが好ましい。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
本開示を車両1に搭載される蓄電パック2に適用した実施形態1が
図1から
図6を参照しつつ説明される。蓄電パック2は、電気自動車、またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の部材については一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0025】
[全体構成]
図1に示されるように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。
【0026】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、
図2(
図2は蓄電モジュール10の一部を図示し、他の部分は省略)に示すように、左右一列に並んだ複数の蓄電素子11と、隣り合う蓄電素子11の電極部12A,12B間を接続する接続部材14と、複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20と、を備えている。以下では、X方向を前方、Y方向を左方、Z方向を上方として説明する。
【0027】
各蓄電素子11は、扁平な直方体状であって、上面から突出する電極部12A,12B(正極を12Aとして図示し,負極を12Bとして図示)を備え、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池やキャパシタとされる。電極部12A,12Bの上面は、平坦な長方形状であって、接続部材14が載置可能とされている。隣り合う蓄電素子11の向きは、隣り合う電極部12A,12Bの極性が反対になるように配置されており、直列接続の端部に位置する電極部12A(12B)は、図示しない電線を介して外部のインバータ等の機器に接続される。
【0028】
(接続部材14)
接続部材14は、長方形状であって、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属板材からなる。接続部材14は、隣り合う一対の電極部12A,12Bを覆う大きさで形成されている。接続部材14は、電極部12A,12Bにレーザー溶接により固定され、レーザー溶接後の接続部材14は円形状の溶接部15が形成されている。なお、
図2は、一つの接続部材14が図示されているが、複数の接続部材14により複数の蓄電素子11を直列または並列に接続することができる。
【0029】
(配線モジュール20)
配線モジュール20は、フレキシブルプリント基板21(以下では「FPC21」とする)と、FPC21と接続部材14との間を電気的に接続する端子30と、FPC21を保持する絶縁プロテクタ35とを備えて構成されている。
【0030】
(FPC21)
FPC21は、絶縁樹脂フィルム22と、絶縁樹脂フィルム22に配線される銅箔等の金属からなる導電路24と、を備える。絶縁樹脂フィルム22は、柔軟性及び絶縁性を有するポリイミド等の絶縁性の合成樹脂からなり、導電路24が配線されるベースフィルムと、ベースフィルムに配線された導電路24を覆うカバーフィルムとを備える。複数の導電路24は、前後方向に間隔を空けて並んで配され、左右方向には、接続部材14に応じた位置まで延びている。各導電路24における接続部材14側の端部は、
図6に示すように、端子30を半田付け可能なランド25に連なっている。ランド25は、カバーフィルムが除去されて形成された開口部から露出している。ランド25は、銅箔等の金属からなり、ベースフィルムに対して接着剤等を介して重ねられた複数(本実施形態では2つ)の半田付け部26A,26Bを備える。
【0031】
複数の半田付け部26A,26Bは、共に長方形状であって、FPC21の延びる方向に沿って並んで配されている。複数の半田付け部26A,26Bの少なくとも一つは、導電路24に接続されている。本実施形態では、右側の半田付け部26Bに導電路24が接続されているが、これに限られず、左側の半田付け部26Aに導電路24を接続したり、左右両方の半田付け部26A,26Bに導電路24を接続してもよい。
【0032】
隣り合う半田付け部26A,26Bの間には、当該半田付け部26A,26Bの間を仕切る非金属表面の仕切部28が設けられている。仕切部28は、例えば、半田付け部26A,26Bの間における絶縁樹脂フィルム22のカバーフィルムにより形成することができる。なお、仕切部は、これに限られず、例えばベースフィルムに一つの長方形状の銅箔(金属箔)等を貼り付けて(仕切部のない)ランドを形成し、ランドに対して絶縁性の合成樹脂材料からなる(直線状の)シートを仕切部として貼り付けてもよく、この場合、例えば、半田付けの印刷工程等に用いるマスクを仕切部としてもよい。また、仕切部について、ランド(半田付け部の銅箔等)を部分的に除去したり、絶縁性の樹脂をコーティングしてもよい。
【0033】
各導電路24におけるランド25側とは反対側の端部側は、図示はしないが、外部の電子制御ユニット(Electronic Control Unit)に電気的に接続される。電子制御ユニットは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、蓄電素子11の電圧・電流・温度等の検知、各蓄電素子11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0034】
(端子30)
端子30は、接続部材14(及び電極部12A,12B)の電圧等を検知するためのものであり、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属板材からなる。金属板材には、ニッケル等を含むメッキを施してもよい。端子30は、
図5に示すように、前後方向に長い長方形の板状であって、FPC21に重なる重なり部31と、FPC21の外方側(FPC21の延び方向に対する側縁の外方側)に延出される延出部32とを備える。延出部32は、前後方向に直線状に延びており、接続部材14に溶接される。
【0035】
重なり部31は、
図3に示すように、一対の半田付け部26A,26Bの全体を覆う領域に重ねられており、
図4に示すように、半田付け部26A,26Bに対して半田Sで半田付けされる。半田Sは、例えば、スズ、銀、銅を含んだ鉛フリーはんだを用いることができる。半田Sの外周縁部には、フィレットSBが形成される。端子30は、例えば、金属板材に対してプレス機により打ち抜き加工や、レーザー等での外形カットを施すことにより形成することができる。
【0036】
絶縁プロテクタ35は、絶縁性の合成樹脂からなり、
図2に示すように、FPC21が配される配設部36と、隣り合う蓄電素子11間を絶縁する板状の隔壁37とを備える。配設部36は、左右方向に平板状に延びており、配設部36の上面にFPC21が接着等により固定されている。
【0037】
次に、蓄電モジュール10の組み付けについて説明する。
図6に示すように、FPC21の複数のランド25の各半田付け部26A,26Bに対して、例えばクリーム半田を塗布し、各端子30をランド25(及びクリーム半田)に載置する。そして、リフロー炉に通して加熱することによりクリーム半田を溶かし、リフロー半田付けを行う。リフロー半田付けにより溶けた半田Sが固化すると、FPC21に複数の端子30が半田付けされた状態の端子付きフレキシブルプリント基板40が形成される。
【0038】
次に、FPC21の裏面を絶縁プロテクタ35における配設部36の上面に接着剤等で接着して固定し、配線モジュール20を形成する。また、複数の蓄電素子11の電極部12A,12Bに接続部材14を載置するとともに、配線モジュール20を複数の蓄電素子11の上に載置する。
【0039】
次に、接続部材14を各電極部12A,12Bにレーザー溶接するとともに、端子30の延出部32を接続部材14にレーザー溶接する。これにより、
図2に示すように、接続部材14及び延出部32に溶接部15,33が形成され、蓄電モジュール10が形成される。
【0040】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
導電路24と導電路24に連なるランド25とを有し、ランド25に端子30を半田付け可能なFPC21(フレキシブルプリント基板)であって、ランド25は、金属表面を有して端子30が半田付けされる複数の半田付け部26A,26Bを備え、複数の半田付け部26A,26Bの間には、隣り合う半田付け部26A,26Bを仕切る非金属表面の仕切部28が設けられている。
本実施形態によれば、リフロー半田付け等の際に半田付け部26A,26B上の半田Sが溶けた場合であっても、隣り合う半田付け部26A,26Bの間の非金属表面の仕切部28によって半田Sの移動が抑制されるため半田Sが溶けた際の端子30の位置ずれを抑制することができる。よって、端子30の位置ずれによる不具合を抑制することができる。
【0041】
また、FPC21は、帯状に延びており、複数の半田付け部26A,26Bは、FPC21の延びる方向に並んでいる。
このようにすれば、FPC21の延びる方向への端子30の位置ずれを抑制することができる。
【0042】
また、ランド25の全体は、端子30が重なる領域内に設けられている。
このようにすれば、ランド25が端子30の外側にはみ出る大きさである場合と比較して、ランド25上の半田Sの移動する範囲が小さくなるため、半田Sが溶けた際の端子30の位置ずれを抑制することができる。
【0043】
本実施形態にかかるFPC21、配線モジュール20、端子付きフレキシブルプリント基板40、及び蓄電モジュール10は、車両1に搭載されて用いられる。
【0044】
例えば、リフロー半田付け工程において、FPCと端子とが位置ずれすると、溶融後に固化した半田の中に、他の部分に比べて強度が小さな部分が生じるおそれがある。このような、強度が比較的小さい部分に、車両からの振動が加えられると、半田に不具合が生じるおそれがある。本実施形態においては、FPC21と端子30との位置ずれが抑制されるようになっているので、溶融後の固化した半田Sに、比較的に強度が小さい部分が生じないようになっている。このように本実施形態は、車両1に搭載されて用いられるFPC21、配線モジュール20、端子付きフレキシブルプリント基板40、及び蓄電モジュール10に特に有効である。
【0045】
<実施形態2>
次に、実施形態2について、
図7を参照しつつ説明する。実施形態2のFPC50のランド51は、実施形態1に対して2つの半田付け部52A,52Bの並び方向を変えたものである。以下では実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
ランド51の2つの半田付け部52A,52Bは、共に長方形状であって、前後方向(FPC50の延びる方向に対して直交する方向)に並んで配されている。2つの半田付け部52A,52Bの間には、仕切部53が設けられている。
【0047】
実施形態2によれば、FPC50は、帯状に延びており、複数の半田付け部52A,52Bは、FPC50の延びる方向と交差する方向に並んでいるため、FPC50の延びると交差する方向への端子30の位置ずれを抑制することができる。
【0048】
<実施形態3>
次に、実施形態3について、
図8を参照しつつ説明する。実施形態3のFPC60のランド61は、3つの半田付け部62A~62Cが並んだものである。以下では上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
ランド61の3つの半田付け部62A~62Cは、共に長方形状であって、FPC60の延びる方向に並んで配されている。並び方向の両端部の半田付け部62A~62Cは、並び方向の中間部の半田付け部62A~62Cよりも並び方向の寸法が大きくなっている。3つの半田付け部62A~62Cの間には、仕切部64,65が設けられている。
【0050】
本実施形態によれば、3つ(3つ以上)の半田付け部62A~62Cが並んで設けられており、並び方向の両端部の半田付け部62A,62Cは、並び方向の両端部よりも内側の半田付け部62Bよりも並び方向の寸法が大きい。
このようにすれば、3つの半田付け部62A~62Cの並び方向について、端子30の位置ずれを抑制することができる。
【0051】
<実施形態4>
次に、実施形態4について、
図9を参照しつつ説明する。実施形態4のFPC70のランド71は、実施形態3に対して3つの半田付け部72A~72Cの並び方向を変えたものである。以下では実施形態3と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
ランド71の3つの半田付け部72A~72Cは、共に長方形状であって、FPC70の延びる方向に対して直交する方向に並んで配されている。並び方向の両端部の半田付け部72A,72Cは、並び方向の中間部の半田付け部72Bよりも並び方向の寸法が大きくなっている。3つの半田付け部72A~72Cの間には、仕切部74,75が設けられている。
【0053】
本実施形態によれば、3つ(3つ以上)の半田付け部72A~72Cが並んで設けられており、並び方向の両端部の半田付け部72A,72Cは、並び方向の両端部よりも内側の半田付け部72Bよりも並び方向の寸法が大きい。
このようにすれば、3つの半田付け部72A~72Cの並び方向について、端子30の位置ずれを抑制することができる。
【0054】
<実施形態5>
次に、実施形態5について、
図10を参照しつつ説明する。実施形態5のFPC80のランド81は、4つの半田付け部82A~82Dを備えるものである。以下では上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
ランド81の4つの半田付け部82A~82Dは、共にFPC80の延びる方向に長い長方形状とされ、前後方向に2つ、左右方向に2つ並んで配されている。4つの半田付け部82A~82Dの間には、十字状に交差する仕切部84(第1仕切部)と仕切部85(第2仕切部)とが設けられている。仕切部84と仕切部85とは、互いに直交する方向(異なる方向)に延びており、仕切部84は、前後の半田付け部82A,82B(82C,82D)を仕切り、仕切部85は、左右の半田付け部82A,82D(82B,82C)を仕切っている。
【0056】
<実施形態6>
次に、実施形態6について、
図11を参照しつつ説明する。実施形態6のFPC90のランド91は、9つの半田付け部92A~92Iを備えるものである。以下では上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
ランド91の9つの半田付け部92A~92Iは、共に長方形状であって、FPC90の延びる方向に3つ、及び、FPC90の延びる方向に対して直交する方向に3つ並んで配されている。FPC90の延びる方向に対して直交する方向の両端部の半田付け部92A~92C,92G~92Iは、中間部の半田付け部92D~92Fよりも前後方向の寸法の寸法が大きくなっている。9つの半田付け部92A~92Iは、前後方向については、左右方向に延びる仕切部94,95により仕切られ、左右方向については、前後方向に延びる仕切部96,97により仕切られている。
【0058】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)ランドにおける半田付け部の数は、上記実施形態の数に限られず、異なる数とすることができる。また、FPC21が複数のランドを有する場合には、1又は複数のランドが複数の半田付け部26A,26Bを備えるようにしてもよい。
【0059】
(2)端子30の延出部32は、平板状に延びる形状としたが、これに限られず、異なる形状としてもよい。例えば、延出部32を棒状としてもよい。また、延出部32は、接続部材14にレーザー溶接される構成としたが、これに限られず、レーザー溶接以外の溶接、半田付け、圧着、圧接等により接続部材14に接続される構成としてもよい。
【0060】
(3)実施形態1等では、複数の半田付け部の全体が端子30に覆われる構成としたが、これに限られない。例えば、
図12に示すように、半田付け部26A,26Bは、端子30が重なる領域A1と端子30が重ならない領域A2とを有し、複数の半田付け部26A,26Bの一部が端子30の重なり部31に覆われずに露出する構成としてもよい。このようにすれば、端子30の重なり部31の端面(側面)に付着した半田SのフィレットSBが露出するため、(X線検査等が必要なくなり)半田SのフィレットSBの外観検査を容易に行うことが可能になる。また、端子30の端面(側面)に付着する半田SのフィレットSBにより、半田付け部26A,26Bと端子30との接合強度を高めることが可能になる。
【0061】
(4)仕切部は、フィルムやシートに限られず、非金属表面を有する種々の部材を用いることができる。例えば、接着剤を固化させて仕切部を形成してもよい。
(5)
図13に示すように、複数の半田付け部26A,26B(52A,52B,62A~62C,72A~72C,82A~82D,92A~92I)の間を銅箔等の金属からなる橋部99で電気的に接続してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12A,12B: 電極部
14: 接続部材
15: 溶接部
20: 配線モジュール
21,50,60,70,80,90: FPC(フレキシブルプリント基板)
22: 絶縁樹脂フィルム
24: 導電路
25,51,61,71,81,91: ランド
26A,26B,52A,52B,62A~62C,72A~72C,82A~82D,92A~92I: 半田付け部
28,53,64,65,74,75,84,85,94~97: 仕切部
30: 端子
31: 重なり部
32: 延出部
33: 溶接部
35: 絶縁プロテクタ
36: 配設部
37: 隔壁
40: 端子付きフレキシブルプリント基板
99: 橋部
S: 半田
SB: フィレット