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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】推定装置、及び推定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221201BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022003581
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2022-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正寛
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-190340(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0290094(US,A1)
【文献】特開2018-194922(JP,A)
【文献】特開2021-005825(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0040008(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0327030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定する推定装置であって、
前記情報伝達媒体への接触度合いを特定する特定部と、
前記情報伝達媒体の接触者を含む調査対象者からのアンケート結果に基づき、前記対象商材と同種類の商材に関する前記接触者の意識に対する前記情報伝達媒体の訴求度を算出する算出部と、
前記対象商材と同種類の商材に対して所定の行動が行われるまでの段階に応じて前記意識が複数設定される場合に、それぞれの段階の前記意識について重み付け係数を設定する設定部と、
前記効果を推定する推定部と、を備え、
前記算出部は、それぞれの段階の前記意識と前記情報伝達媒体との関係に関する回答内容を示す前記アンケート結果に基づき、回答内容毎に集計された前記接触者の人数から、それぞれの段階の前記意識に対する前記訴求度を算出し、
前記推定部は、それぞれの段階の前記意識に対する前記訴求度と、それぞれの段階の前記意識について設定された前記重み付け係数との積を求め、前記接触度合いと、それぞれの段階の前記意識について求めた前記積と、に基づいて前記効果を推定し、
前記段階に応じて複数設定される前記意識が、基準段階の前記意識と、前記基準段階以外の他段階の前記意識とを含む場合、前記設定部は、
前記基準段階の前記意識についての前記重み付け係数を、基準値に設定し、
前記対象商材と同種類の商材について、それぞれの段階の前記意識に関する前記アンケート結果に基づき、前記基準段階の前記意識と前記他段階の前記意識との相関に応じた係数を求め、
前記他段階の前記意識についての前記重み付け係数を、前記基準値と前記係数との積に応じて設定する、推定装置。
【請求項2】
前記基準段階の前記意識は、前記所定の行動を行う段階の前記意識である、請求項に記載の推定装置。
【請求項3】
前記設定部は、それぞれの段階の前記意識についての前記重み付け係数を、前記対象商材の種類毎に設定する、請求項1又は2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記情報伝達媒体の前記接触者の人数の割合、及び、前記接触者が前記情報伝達媒体に接触する時間のうち、少なくとも一方の値を特定し、前記少なくとも一方の値から前記接触度合いを特定する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項5】
前記算出部は、予め設定された属性を有する前記調査対象者からの前記アンケート結果に基づき、前記属性を有する前記接触者の前記意識に対する前記情報伝達媒体の前記訴求度を算出する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項6】
前記対象商材に関する広告を複数の前記情報伝達媒体に出稿した場合の前記効果を推定する際に、
前記特定部は、複数の前記情報伝達媒体のそれぞれについて、前記接触度合いを特定し、
前記算出部は、それぞれの前記情報伝達媒体について、それぞれの段階の前記意識に対する前記訴求度を算出し、
前記推定部は、それぞれの前記情報伝達媒体について、前記接触度合いと、それぞれの段階の前記意識に対する前記訴求度とに基づいて、前記効果を推定する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の推定装置。
【請求項7】
前記推定部は、それぞれの情報伝達媒体について、前記効果の推定値を算出し、
それぞれの前記情報伝達媒体について算出した前記推定値を合計して合計推定値を求め、それぞれの前記情報伝達媒体の前記推定値の、前記合計推定値に対する比率を計算する計算部をさらに有する、請求項に記載の推定装置。
【請求項8】
対象商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定する推定方法であって、
コンピュータが、
前記情報伝達媒体への接触度合いを特定する処理と、
前記情報伝達媒体の接触者を含む調査対象者からのアンケート結果に基づき、前記対象商材と同種類の商材に関する前記接触者の意識に対する前記情報伝達媒体の訴求度を算出する処理と、
前記対象商材と同種類の商材に対して所定の行動が行われるまでの段階に応じて前記意識が複数設定される場合に、それぞれの段階の前記意識について重み付け係数を設定する処理と、
前記効果を推定する処理と、を実行し、
前記対象商材と同種類の商材に対して所定の行動が行われるまでの段階に応じて前記意識が複数設定される場合に、前記訴求度を算出する処理では、それぞれの段階の前記意識と前記情報伝達媒体との関係に関する回答内容を示す前記アンケート結果に基づき、回答内容毎に集計された前記接触者の人数から、それぞれの段階の前記意識に対する前記訴求度を算出し、
前記効果を推定する処理では、それぞれの段階の前記意識に対する前記訴求度と、それぞれの段階の前記意識について設定された前記重み付け係数との積を求め、前記接触度合いと、それぞれの段階の前記意識について求めた前記積と、に基づいて前記効果を推定し、
前記段階に応じて複数設定される前記意識が、基準段階の前記意識と、前記基準段階以外の他段階の前記意識とを含む場合、前記重み付け係数を設定する処理では、
前記基準段階の前記意識についての前記重み付け係数を、基準値に設定し、
前記対象商材と同種類の商材について、それぞれの段階の前記意識に関する前記アンケート結果に基づき、前記基準段階の前記意識と前記他段階の前記意識との相関に応じた係数を求め、
前記他段階の前記意識についての前記重み付け係数を、前記基準値と前記係数との積に応じて設定する、推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定する推定装置、及び推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定することは、適正な出稿予算を設定する上で重要である。特に、複数の情報伝達媒体に出稿する場合に、最適な予算配分を検討するには、それぞれの情報伝達媒体による広告効果を的確に推定(予測)することが求められる。
【0003】
広告効果を推定する技術は、これまでに開発されており、その一例としては、特許文献1及び2に記載の技術が挙げられる。
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、過去に配信された配信済み広告コンテンツの広告効果と、配信済み広告コンテンツの配信が制限された情報(制限情報)とに基づいて、任意の広告コンテンツにおける広告効果を予測することができる。
【0005】
特許文献2に記載の技術によれば、複数の広告について、ターゲットの反応にかかる反応率を測定し、ターゲットを対象として各広告の認知にかかる認知率を認知アンケートの実施により測定する。そして、反応率と認知率との相関関係を解析し、その相関関係に基づいて出稿対象の広告の効果を予測する。
【0006】
また、情報伝達媒体による広告効果を、下記のように定義し、かかる定義に則って広告効果を推定することが考えられ得る。
広告効果=(広告への接触度合い)×
(広告の接触者の意識に対する広告の訴求度)
接触度合いは、広告の認知力と位置付けることができ、具体的には、リーチ(到達率)及び接触量(接触時間)等から算出される。接触者の意識に対する訴求度は、広告対象の商材に対する接触者の意識(態度)を変容させる指標であり、例えば、広告の印象等に関するアンケート結果から求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-111380号公報
【文献】特開2005-190340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、それぞれの広告について、接触度合い及び接触者の意識に対する訴求度を得ようとすると、その作業に相当の時間と労力を要する。そのため、上述した広告効果の定義を参考にしつつ、より簡単に広告効果を推定することが求められる。
【0009】
また、商材に関する意識は、その商材に対する所定の行動に至るまでの段階(過程又はプロセス)に応じて複数設定されることがある。例えば、所定の行動が購入や利用である場合、「想起」、「理解」、「意向」及び「購入/利用」の4段階の意識となる。接触者の意識に対する訴求度を用いて広告効果を推定する際には、商材に関する意識が、段階に応じて複数設定されることを考慮する必要がある。
【0010】
さらに、商材に関する意識が段階に応じて設定される場合、各段階の意識の重要度は、広告効果の推定結果に対して影響を及ぼし得る。さらにまた、各段階の意識の重要度は、広告対象の商材の種類に応じて変わる場合がある。広告効果を推定する際には、これらの点も考慮する必要がある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、情報伝達媒体による広告の効果を適切に且つ容易に推定することが可能な推定装置、及び推定方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、商材に関する意識が、その商材に対する所定の行動に至るまでの段階に応じて複数設定される場合に、各段階の意識の重要度を考慮して広告効果を適切に推定することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の推定装置は、対象商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定する推定装置であって、情報伝達媒体への接触度合いを特定する特定部と、情報伝達媒体の接触者を含む調査対象者からのアンケート結果に基づき、対象商材と同種類の商材に関する接触者の意識に対する情報伝達媒体の訴求度を算出する算出部と、効果を推定する推定部と、を備える。そして、対象商材と同種類の商材に対して所定の行動が行われるまでの段階に応じて意識が複数設定される場合に、算出部は、それぞれの段階の意識に対する訴求度を算出し、推定部は、接触度合いと、それぞれの段階の意識に対する訴求度とに基づいて効果を推定する。
【0013】
上記の構成によれば、広告効果を推定する際に、広告への接触度合いを、情報伝達媒体への接触度合いで代用し、広告の接触者の意識に対する広告の訴求度を、情報伝達媒体の接触者の意識に対する情報伝達媒体の訴求度で代用する。これにより、広告効果をより簡単に推定することができる。
また、商材に対する所定の行動が行われるまでの段階に応じて接触者の意識が複数設定されることを前提として、各段階の意識に対する情報伝達媒体の訴求度を算出し、各段階の意識に対する訴求度に基づいて広告効果を推定する。これにより、接触者の意識が段階毎に設定されることを考慮して、広告の効果を適切に推定することができる。
【0014】
また、本発明の推定装置は、それぞれの段階の意識について重み付け係数を設定する設定部を備えてもよい。この場合、推定部は、それぞれの段階の意識に対する訴求度と、それぞれの段階の意識について設定された重み付け係数との積を求め、接触度合いと、それぞれの段階の意識について求めた積と、に基づいて効果を推定すると好適である。
上記の構成によれば、各段階の意識について重み付け係数を設定することで、各段階の意識の重要度を反映して、広告効果を推定することができる。
【0015】
また、段階に応じて複数設定される意識が、基準段階の意識と、基準段階以外の他段階の意識とを含んでもよい。この場合、設定部は、基準段階の意識についての重み付け係数を、基準値に設定してもよい。また、設定部は、対象商材と同種類の商材について、それぞれの段階の意識に関するアンケート結果に基づき、基準段階の意識と他段階の意識との相関に応じた係数を求め、他段階の意識についての重み付け係数を、基準値と係数との積に応じて設定するとよい。
上記の構成によれば、各段階の意識について、段階間の関係(具体的には、基準段階との相関)を踏まえて適切に重み付け係数を設定することができる。
【0016】
また、上記の構成において、基準段階の意識は、所定の行動を行う段階の意識であってもよい。この場合には、所定の行動を行う段階を基準段階として、それぞれの段階(厳密には、基準段階以外の段階)の意識についての重み付け係数を適切に設定することができる。
【0017】
また、設定部は、それぞれの段階の意識についての重み付け係数を、対象商材の種類毎に設定すると、より好適である。
上記の構成によれば、対象商材の種類に応じて重み付け係数が設定されるため、対象商材の種類を考慮して広告効果を適切に推定することができる。
【0018】
また、特定部は、情報伝達媒体の接触者の人数の割合、及び、接触者が情報伝達媒体に接触する時間のうち、少なくとも一方の値を特定し、当該少なくとも一方の値から接触度合いを特定してもよい。
上記の構成によれば、広告効果を推定する上で、情報伝達媒体への接触度合いを適切に特定することができる。
【0019】
また、算出部は、予め設定された属性を有する調査対象者からのアンケート結果に基づき、上記の属性を有する接触者の意識に対する情報伝達媒体の訴求度を算出してもよい。
上記の構成によれば、所定の属性を有する接触者の意識に対する情報伝達媒体の訴求度に基づいて、広告効果を推定することができる。これにより、例えば、広告対象の商材に対してターゲット(広告の主な訴求対象)を設定し、そのターゲットの属性を踏まえて広告効果を推定することができる。
【0020】
また、算出部は、それぞれの段階の意識と情報伝達媒体との関係に関する回答内容を示すアンケート結果に基づき、回答内容毎に集計された接触者の人数から、それぞれの段階の意識に対する訴求度を算出してもよい。
上記の構成によれば、各段階の意識と情報伝達媒体との関係に関するアンケート結果に基づいて、各段階の意識に対する訴求度を適切に算出することができる。
【0021】
また、対象商材に関する広告を複数の情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定してもよい。その際、特定部は、複数の情報伝達媒体のそれぞれについて、接触度合いを特定し、算出部は、それぞれの情報伝達媒体について、それぞれの段階の意識に対する訴求度を算出するとよい。そして、推定部は、それぞれの情報伝達媒体について、接触度合いと、それぞれの段階の意識に対する訴求度とに基づいて、効果を推定するとよい。
上記の構成によれば、同一の商材に関する広告を複数の情報伝達媒体に出稿する場合の各情報伝達媒体の広告効果を推定することができる。これにより、例えば、情報伝達媒体同士の間で広告効果を比較することができる。
【0022】
また、上記の構成において、推定部は、それぞれの情報伝達媒体について、効果の推定値を算出してもよい。この場合、本発明の推定装置は、それぞれの情報伝達媒体について算出した推定値を合計して合計推定値を求め、それぞれの情報伝達媒体の推定値の、合計推定値に対する比率を計算する計算部をさらに有すると好適である。
上記の構成によれば、ある商材を対象とする広告全体の効果における各情報伝達媒体の寄与度(貢献度)を、合計推定値に対する比率として数値化することができる。これにより、例えば、各情報伝達媒体の比率に基づき、複数の情報伝達媒体に対する出稿予算の配分比を設定することで、合理的な予算配分を実現することができる。
【0023】
また、前述した課題を解決するため、本発明の推定方法は、対象商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定する推定方法であって、コンピュータが、情報伝達媒体への接触度合いを特定する処理と、情報伝達媒体の接触者を含む調査対象者からのアンケート結果に基づき、対象商材と同種類の商材に関する接触者の意識に対する情報伝達媒体の訴求度を算出する処理と、効果を推定する処理と、を実行し、対象商材と同種類の商材に対して所定の行動が行われるまでの段階に応じて意識が複数設定される場合に、訴求度を算出する処理では、それぞれの段階の意識に対する訴求度を算出し、効果を推定する処理では、接触度合いと、それぞれの段階の意識に対する訴求度とに基づいて効果を推定することを特徴とする。
上記の方法によれば、情報伝達媒体による広告の効果を適切に且つ容易に推定することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、情報伝達媒体による広告の効果を適切に且つ容易に推定することが可能な推定装置、及び推定方法が実現される。特に、本発明によれば、商材に対する所定の行動に至るまでの段階に応じて接触者の意識が複数設定されることを考慮して、広告の効果を適切に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】広告効果の推定に関与する者を示す図である。
図2A】アンケート調査における一部の質問とその回答例を示す図である(その1)。
図2B】アンケート調査における一部の質問とその回答例を示す図である(その2)。
図2C】アンケート調査における一部の質問とその回答例を示す図である(その3)。
図3】広告効果についての説明図である。
図4A】「想起」段階の意識と「購入/利用」段階の意識との相関を示す図である。
図4B】「理解」段階の意識と「購入/利用」段階の意識との相関を示す図である。
図4C】「意向」段階の意識と「購入/利用」の段階の意識との相関を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る推定装置の構成を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る推定装置の機能を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る推定方法の流れを示す図である。
図8】広告効果の推定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る推定装置及び推定方法について、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0027】
また、本明細書において、「装置」は、単独で特定の機能を発揮する一つの装置を含み、また、分散して存在しているものの特定の機能を発揮するために協働する複数の装置も含むものである。
【0028】
また、本明細書において、「人(ヒト)」及び「者」は、主として企業等の法人であるが、個人、世帯等のグループ、企業以外の団体等も「人(ヒト)」及び「者」に含まれることとする。
【0029】
また、本明細書において、「商材」は、市場に提供される商品及びサービス、これらを提供する企業又は自治体、事業、並びに、広告の対象となり得るその他の財や価値を含む。また、商品は、購入対象の商材(金融商品等を含む)であり、サービスは、利用対象の商材である。
【0030】
また、本明細書では、広告の出稿候補となる情報伝達媒体を「メディア」と呼ぶこととする。メディアには、例えば、放送メディア、出版メディア、交通機関用メディア、及びインターネットメディア等が含まれる。
放送メディアには、例えば、地上波放送、ケーブルテレビ(有線放送)、BS放送及び衛星放送におけるテレビ番組及びテレビCM、並びに、ラジオ番組及びラジオCMが該当する。
出版メディアには、新聞、雑誌、フリーマガジン、会員誌及びその他の出版物が該当し、電子書籍を含むものとする。
交通機関用メディアには、電車やバスの中吊り広告、車内ディスプレイに表示される広告、電車等の車両の車体に掲載されるラッピング広告、並びに、駅構内等に設置されるポスター及びデジタルサイネージ等が該当する。
インターネットメディアには、Webサイト、Web広告、及び、動画コンテンツやオンラインゲームのようなWeb配信コンテンツ等が該当する。また、Webサイトには、電子商取引(EC)サイト、検索サイト、動画投稿サイト、及び、ソーシャルネットワークサービス(SNS)のWebサイトが含まれる。また、インターネットメディアには、インターネットテレビ及びIPサイマルラジオが含まれる。
なお、上述した種類のメディア以外にも、広告の出稿候補となる情報伝達媒体は、メディアに該当し得る。
【0031】
また、本明細書では、メディア(情報伝達媒体)への接触者を「メディア接触者」とも呼ぶこととする。
【0032】
また、本明細書において、「属性」は、人を特徴付ける身分、所属、経歴、性質、ステータス、所属、特徴、状況、状態、意識、及び傾向等であり、例えば人を分類する際に用いられる。属性には、人口統計学的属性(デモグラフィック)及び心理学的属性(サイコグラフィック)が含まれる。
【0033】
[本実施形態に係る効果推定サービスについて]
本実施形態に係る推定装置及び推定方法は、効果推定サービスに用いられる。効果推定サービスは、図1のサービス事業者SPによって提供され、同サービスでは、対象商材に関する広告を複数のメディアに出稿した場合の効果(広告効果)を推定する。複数のメディアの各々は、効果推定サービスにおいて広告効果が推定されるメディアである。
【0034】
対象商材は、将来的に広告(出稿)の対象となる商材であり、例えば、効果推定サービスの利用者(サービス利用者SU)によって指定される。サービス利用者SUは、対象商材の出稿を検討する者、具体的には、対象商材を販売/提供する企業、又はその企業から依頼を受けた広告会社等が該当する。
【0035】
サービス利用者SUは、推定された各メディアの広告効果を、複数のメディアに対する出稿予算の配分を検討する際に利用することができる。つまり、効果推定サービスでは、出稿予算の配分を最適化する目的(換言すると、予算内で広告効果を最大化する目的)で、同一の商材に関する各メディアの広告効果を推定する。
【0036】
[アンケート調査について]
効果推定サービスを実施するにあたり、サービス事業者SPは、複数のモニタM(調査対象者)を対象に行ったアンケート調査の調査結果を入手する。アンケート調査は、例えば、メディアの印象やメディアへの接触状況の把握等を目的として実施される。
【0037】
本実施形態のアンケート調査は、モニタ数が数万~100万人以上の大規模な調査であり、12歳以上のモニタMを全国から募集して無作為に抽出し、年に一回又は数回の頻度で実施される。なお、モニタMの条件、人数及び募集エリア、並びにアンケート調査の実施頻度等については自由に設定してもよい。
【0038】
アンケート調査では、モニタMが複数の質問の各々について選択肢を選択することで回答する。具体的に説明すると、各モニタMには回答用の情報端末(以下、回答端末)が貸与される。回答端末は、ブラウジング機能を有するパソコン、スマートフォン、タブレット型端末、及び携帯電話のような通信用端末である。各モニタMは、回答端末を通じて、アンケート調査における複数の質問に回答する。
【0039】
より詳しく説明すると、各モニタMは、アンケート調査の実施期間中に、回答端末を操作してアンケート回答用アプリを起動し、ログイン用のID情報及びパスワードを入力してログインした上で、回答端末を通じて、複数の項目に関する質問を順次回答する。質問への回答は、選択肢を選択して回答する方式に限定されず、質問への回答内容を直接入力する方式でもよい。
【0040】
アンケート調査における複数の質問には、デモグラフィック情報に関する質問、サイコグラフィック情報に関する質問、各種商材に対する意識に関する質問、メディアへの接触状況に関する質問、及びメディアの印象に関する質問等が含まれる。
デモグラフィック情報に関する質問は、モニタMの性別、年齢、国籍、居住地、出身地、家族構成、職業、年収、保有資産等の統計学的属性に関する質問である。サイコグラフィック情報に関する質問は、モニタMの嗜好、消費意識、ライフスタイル(行動パターン)、特定の商材に対する興味及び関心、特定の商材の購入/利用実績、特定の広告に対する評価、並びに購入/利用行動に関する傾向等に関する質問である。
【0041】
各種商材に対する意識に関する質問は、アンケート調査に含まれるp種類(pは1以上の自然数)の商材の各々に対するモニタMの意識に関する質問である。意識は、商材に対して所定の行動を行うに至るまでの心理状態、具体的には関心、興味、認知及び態度等であり、メディア等の接触により変容し得る。また、意識は、通常、商材に関する広告に接触した時点から、その商材に対する所定の行動が行われるまでの段階(プロセス)に応じて複数設定される。例えば、所定の行動が商材の購入/利用である場合において、意識は、「想起」、「理解」、「意向」及び「購入/利用」の4段階に設定される。なお、意識については、上記のように4段階に設定されるものに限定されず、つまり、意識が設定される段階の数は4以外であってもよい。
【0042】
以下では、意識が「想起」、「理解」、「意向」及び「購入/利用」に設定されることとし、これらの各段階の意識を「ファネル」とも呼ぶこととする。なお、4つのファネルのうち、「購入/利用」は、基準段階の意識、具体的には、KGI(Key Goal Indicator)として位置付けられる。残り3つのファネルは、基準段階以外の他段階の意識であり、具体的には、KPI(Key Performance Indicator)として位置付けられる。
【0043】
各種商材に対する意識に関する質問は、例えば、p種類の商材のそれぞれについて、図2Aに示すように、各ファネルに関する質問を含む。具体的には、想起に関する質問は、ある種類に属する複数の商材(銘柄やブランド等)のうち、「どの商材を知っているか」という質問である。理解に関する質問は、「どの商材の内容を把握しているか」という質問である。意向に関する質問は、「どの商材について購入/利用を検討しているか」という質問である。購入/利用に関する質問は、「どの商材を実際に購入/利用したことがあるか」という質問である。
【0044】
メディアへの接触状況に関する質問は、図2Bに示すように、各メディアについて、所定期間における接触の有無(接触履歴)、所定期間における接触時間、所定期間における特定の商材に関する広告への接触の有無等に関する質問である。ここで、所定期間は、アンケート調査の実施期間中で設定される期間であり、その長さは任意に決めてもよいが、例えば、1~n時間(nは2以上の整数)、1~n日、1~n週間、1~nカ月、又は1~n年間の範囲で設定されるとよい。
【0045】
メディアの印象に関する質問は、複数のメディアのそれぞれについて、モニタMの意識、特に、商材に関する意識(ファネル)に対する訴求度に関する質問である。訴求度は、メディアが意識に与える影響力、詳しくは、商材の購入/利用に関する態度を変容させる力(態度変容力)の大きさを表す指標値である。
アンケート調査では、メディアの印象に関する質問として、各ファネルとメディアとの関係に関する質問がなされる。ファネルとメディアとの関係とは、例えば、メディア接触によるファネルの変化の有無、各ファネルに該当する契機(要因)となったメディア、あるいは各ファネルと各メディアとの結び付き(関連性や連想性)等である。メディアの印象に関する質問の具体例としては、図2Cに示すように、「理解」のファネルについて、「商材Xの内容をよく理解できるのは、どのメディアですか?」という質問が挙げられる。また、他の例としては、「購入/利用」のファネルについて、「商材Yを買いたいときに思い浮かべるのは、どのメディアですか?」という質問が挙げられる。
【0046】
モニタMがアンケート調査におけるすべての質問を回答すると、回答端末が、各質問の回答内容を示すデータ(以下、回答データ)を生成し、サービス事業者SPに向けて送信する(図1参照)。サービス事業者SPには、アンケート調査におけるすべての質問に回答したモニタM(以下、回答済みモニタ)の人数分の回答データが蓄積される。回答済みモニタからの回答データは、アンケート結果を示すデータに相当する。
【0047】
なお、アンケート結果の取得方法は、上記の方法に限定されず、例えば、アンケート調査において、各モニタMが所定の記入用紙に各質問の回答内容を記入する場合、サービス事業者SPが記入済みの用紙を各モニタMから回収してもよい。そして、回収した用紙の記入内容をサービス事業者SPの作業員等が入力することによりアンケート結果のデータを取得してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、アンケート調査がサービス事業者SPによって実施されることとしたが、これに限定されず、サービス事業者SPとは異なる調査会社によって実施されてもよい。この場合、アンケート結果のデータは、調査会社によって管理され、サービス事業者SPは、効果推定サービスを提供するにあたり、データ提供を調査会社に依頼し、アンケート結果のデータを調査会社から入手する。
【0049】
[広告効果について]
対象商材の広告効果は、一般的に、以下のように定義される。
広告効果=(広告への接触度合い)×
(広告の接触者の意識に対する広告の訴求度)
【0050】
広告への接触度合いとしては、広告の接触者数の割合(リーチ)等が用いられる。広告の訴求度は、例えばアンケート結果に基づいて算出され、具体的には、広告の接触者数のうち、対象商材を購入/利用する、若しくは購入/利用予定であると回答した人数の割合が訴求度として算出される。しかし、広告への接触度合い、及び広告の訴求度は、対象商材又は対象商材の広告に応じて変化する可能性があるため、商材毎及び広告毎に求めることが必要となる。そのため、広告への接触度合い及び広告の訴求度を取得するには労力と時間を要する。
【0051】
一方、本実施形態では、広告効果を以下のように定義している。
広告効果=(メディアへの接触度合い)×
(メディア接触者の意識に対するメディアの訴求度)
【0052】
上記の定義から分かるように、本実施形態では、接触度合い及び訴求度をメディア単位で取得するため、これらを広告毎に取得する必要がなく、これにより、広告効果をより容易に推定することができる。
【0053】
そして、本実施形態では、複数のメディアのそれぞれについて、上記の定義に則ってメディア毎に広告効果を推定し、具体的には、広告効果の推定値を算出することができる(図8参照)。以下、広告効果の推定値を「推定スコア」とも呼ぶこととする。
【0054】
メディアへの接触度合いは、そのメディアの認知力を表す指標値であり、例えば、メディア接触者の人数の割合(リーチ)と、メディア接触者がメディアに接触する時間(接触時間)とに基づいて特定される。より具体的には、各メディアについて、リーチと接触時間とを掛け合わせ、その積が接触度合いに相当する。ただし、これに限定されず、リーチ又は接触時間の一方によってメディアへの接触度合いを表してもよいし、リーチや接触時間とは別の指標値を用いてメディアへの接触度合いを求めてもよい。
【0055】
リーチ及び接触時間の各々は、例えば、メディアへの接触状況に関する質問への回答内容を示すアンケート結果から特定される。具体的に説明すると、リーチは、所定期間における、モニタM(厳密には、回答済みモニタ)の人数に対する各メディアの接触者数の割合によって求められる。接触時間は、所定期間においてメディア接触者一人が各メディアに接触する時間、より詳しくは、メディア接触者毎の接触時間から求めた平均値によって求められる。所定期間の長さは、前述したように特に限定されないが、例えば、1~n時間、1~n日、1~n週間、1~nカ月、又は1~n年間の範囲で設定されるとよい。
ちなみに、ここでの「メディア接触者」は、メディアに接触したことがあるモニタMを意味する。
【0056】
なお、メディアへの接触度合いの特定方法は、アンケート結果に基づく方法には限定されず、例えば、メディアが「地上波放送のテレビ」である場合には、公知の視聴率調査技術を利用して接触度合いを特定してもよい。あるいは、視聴ログを記憶可能なテレビから視聴ログを取得し、視聴ログを解析して接触度合いを特定してもよい。
また、メディアが「Webサイト」や「Webコンテンツ」である場合には、公知の閲覧履歴分析技術を利用して接触度合いを特定してもよい。
【0057】
メディア接触者の意識に対するメディアの訴求度は、4つのファネルのそれぞれに対するメディアの訴求度である。各ファネルに対するメディアの訴求度は、各ファネルにおけるメディアの印象に関する質問への回答内容、すなわち、各ファネルとメディアとの関係に関する回答内容を示すアンケート結果に基づいて算出される。具体的には、ある種類の商材に対する複数のファネルのそれぞれについて、メディア接触者の各メディアに対する印象の回答内容を特定し、特定された回答内容に該当するメディア接触者の人数を回答内容毎に集計する。そして、モニタM(厳密には、回答済みモニタ)の人数に対する、回答内容毎に集計したメディア接触者の人数の割合を、そのファネルについての訴求度として算出する。ちなみに、ここでの「メディア接触者」は、メディアに接触したことがあるモニタMを意味する。
【0058】
メディアの訴求度について一つの具体例を挙げて説明すると、アンケート調査において、ある種類の商材、例えばチョコレートについて、「商品の内容をよく理解できるメディアはどれですか?」という質問があるとする。この質問に対して、「テレビ」と回答したメディア接触者(詳しくは、テレビ視聴者)の人数がQaであり、回答済みモニタの人数がQbである場合、チョコレートについて、ファネル「理解」に対するテレビの訴求度は、Qa/Qb×100(単位は%)となる。
【0059】
メディアの訴求度は、それぞれのメディアについて、ファネル毎に算出される。したがって、広告効果は、ファネル毎に算出されたメディアの訴求度に基づいて推定される。より詳しく説明すると、各メディアについて、図3に示すように、各ファネルに対するメディアの訴求度と、各メディアへの接触度合いとの積(図3中のT1~T4)を求め、ファネル数の分の積を足し合わせることで、各メディアについての推定スコアが算出される。
【0060】
[重み付け係数について]
本実施形態では、前述したように、「想起」、「理解」、「意向」及び「購入/利用」の各ファネルについて、メディアの訴求度を算出し、それぞれの訴求度にメディアへの接触度合いを乗じて得られる値(積)を足し合わせて広告効果の推定スコアを求める。
【0061】
一方、上記4つのファネルのうち、「購入/利用」は、KGIとして位置付けられるため、広告効果を推定する上で特に重要なファネルである。また、残り3つのファネル(KPI)については、KGIとして位置づけられる。KGIのファネルのうち、「購入/利用」に及ぼす影響が大きいものほど重視すべきであり、そのことを広告効果の推定時に反映することが望ましい。
さらに、各KPIがKGIに及ぼす影響は、商材の種類に応じて異なり得る。例えば、商材が清涼飲料である場合、「想起」が「購入/利用」に及ぼす影響は比較的大きくなる。他方、商材が自動車である場合、「想起」が「購入/利用」に及ぼす影響は極めて小さくなる。
【0062】
そこで、本実施形態では、各KPIがKGIに及ぼす影響を数値化し、その数値を重み付け係数αとして設定する。そして、各メディアの広告効果の推定スコアを下記の式により算出する。
推定スコア=(メディアへの接触度合い)×合計訴求度
合計訴求度=ファネル「想起」に対するメディアの訴求度×α1+
ファネル「理解」に対するメディアの訴求度×α2+
ファネル「意向」に対するメディアの訴求度×α3+
ファネル「購入/利用」に対するメディアの訴求度×α4
【0063】
すなわち、本実施形態では、4つのファネルの各々について重み付け係数αを設定し、各ファネルに対するメディアの訴求度と、各ファネルについて設定された重み付け係数αとの積を求め、ファネル数の分の積を足し合わせて、合計訴求度を求める。その上で、合計訴求度にメディアへの接触度合いをさらに乗じて、その積を推定スコアとして算出する。
【0064】
各ファネルについての重み付け係数αは、商材の種類に応じて異なり得るため、商材の種類毎に設定される。
重み付け係数αの設定方法について説明すると、KGIである「購入/利用」についての重み付け係数α4は、予め決められた基準値に設定され、具体的には「1」に設定される。
【0065】
KPIである残り3つのファネルの各々については、ファネル「購入/利用」との相関に基づいて、重み付け係数α1~α3を設定する。詳しく説明すると、KPIである各ファネルと、KGIであるファネル「購入/利用」との相関は、各ファネルに関するアンケート結果に基づいて特定される。各ファネルに関するアンケート結果は、ある種類に属する複数(例えばj個)の商材のそれぞれについて、「どの商材を知っているか」(想起)、「どの商材の内容を把握しているか」(理解)、「どの商材について購入/利用を検討しているか」(意向)、「どの商材を実際に購入/利用したことがあるか」(購入/利用)の回答内容を示す。
【0066】
そして、j個の商材のそれぞれについて、上記の回答内容をファネル毎に特定し、各ファネルに該当するモニタMの人数をファネル毎に集計し、ファネル毎の集計人数を回答済みモニタの人数で除して「ファネル該当率」を求める。この結果、同じ種類に属するj個の商材の各々について、ファネル毎の(すなわち、4つの)ファネル該当率が得られる。
【0067】
その後、j個の商材の各々について、ファネル「購入/利用」(KGI)についてのファネル該当率と、他の一つのファネル(KPI)についてのファネル該当率と、を2次元座標平面上にプロットする。これにより、図4A~4Cに示すように、KPIのファネルとKGIのファネルとの相関が特定される。
なお、図4Aは、ファネル「想起」とファネル「購入/利用」との相関を示しており、図4Bは、ファネル「理解」とファネル「購入/利用」との相関を示しており、図4Cは、ファネル「意向」とファネル「購入/利用」との相関を示している。また、各図において、縦軸が、ファネル「購入/利用」についてのファネル該当率(単位は%)を表しており、横軸が、KPIであるファネルについてのファネル該当率(単位は%)を表している。
【0068】
さらに、特定された相関を回帰直線によって近似し、相関に応じた係数として、回帰直線の傾きを求める。傾きは、KPIである3つのファネルのそれぞれについて求められる。なお、ファネル「購入/利用」への影響が大きいファネルについては、回帰直線の傾きがより大きい値を示す傾向にある。
【0069】
[本実施形態に係る推定装置の構成]
本実施形態に係る推定装置(以下、推定装置10)の構成について、図5を参照しながら説明する。
【0070】
推定装置10は、サービス事業者SPが利用するコンピュータ、厳密にはサーバコンピュータによって構成され、効果推定サービスに用いられて、複数のメディアのそれぞれの広告効果を推定する。なお、推定装置10を構成するコンピュータの所在、管理者及び利用者(すなわち、推定装置10の操作者)については、特に限定されるものではない。
【0071】
推定装置10をなすコンピュータのハードウェア構成は、汎用的なコンピュータの構成と同様である。具体的に説明すると、上記のコンピュータは、図5に示すように、CPU等からなるプロセッサ10aと、ROM及びRAM等からなるメモリ10bと、ネットワークインターフェースカード等からなる通信用インタフェース10cと、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等からなるストレージ10dと、マウス及びキーボード等からなる入力装置10eと、ディスプレイ及びプリンタ等からなる出力装置10fとを有する。また、推定装置10は、インターネット、イントラネット又はモバイル通信回線等を通じて、ネットワーク上の他の機器と通信可能に接続されている。
【0072】
また、上記のコンピュータには、本発明の推定装置としての機能を発揮させるためのプログラム(以下、効果推定プログラム)がインストールされている。効果推定プログラムがプロセッサ10aによって読み取られて実行されることで、コンピュータは、推定装置10として、広告効果の推定に関連する一連のデータ処理を実行する。
【0073】
なお、推定装置10は、一台のコンピュータによって構成されてもよいし、あるいは、並列分散された複数台のコンピュータによって構成されてもよい。また、推定装置10を構成するサーバコンピュータは、ASP(Application Service Provider)、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、又はIaaS(Infrastructure as a Service)用のサーバコンピュータでもよい。
【0074】
推定装置10の構成を機能面から改めて説明すると、推定装置10は、図6に示すように、受付部21と、決定部22と、取得部23と、記憶部24と、特定部25と、算出部26と、設定部27と、推定部28と、計算部29とを有する。これらは、推定装置10を構成するコンピュータが有するハードウェア機器と、そのコンピュータにインストールされた効果推定プログラムとが協働することで実現される。以下、それぞれの機能部について説明する。
【0075】
(受付部)
受付部21は、サービス利用者SUからのサービス要求を受け付ける。サービス要求には、サービス利用者SUが指定した対象商材に関する情報と、広告効果が推定されるメディアに関する情報とが含まれる。対象商材に関する情報には、対象商材の種類(品目)、及び対象商材のターゲット属性等が含まれる。対象商材のターゲット属性とは、対象商材の広告の訴求対象とする人(ターゲット層)の属性としてサービス利用者SU側で予め設定される。なお、ターゲット属性には、デモグラフィック属性及びサイコグラフィック属性が含まれる。
【0076】
(決定部)
決定部22は、受付部21が受け付けたサービス要求から、対象商材の種類と、対象商材のターゲット属性と、広告効果が推定されるメディアを決定する。
なお、以下では、広告効果が推定されるメディアとして、複数のメディアが決定され、具体的には、「地上波放送のテレビ」、「ラジオ」、「新聞」、「雑誌」、「交通機関メディア」、「Web(動画コンテンツ及びSNSを含む)」が決定される場合を想定して説明することとする。ただし、当然ながら、広告効果が推定されるメディアの数及び組み合わせは、任意に決めることができる。また、以下では、決定部22により広告効果の推定対象として決められた複数のメディアを、単に複数のメディアと呼ぶこととする。
【0077】
(取得部)
取得部23は、メディア接触者を含む複数のモニタM(詳しくは、回答済みモニタ)からのアンケート結果を取得する。本実施形態において、取得部23は、回答済みモニタの回答端末と通信し、各回答済みモニタからの回答データを受信することで、回答済みモニタの人数分のアンケート結果を取得する。
なお、アンケート結果の取得方法については、上記の方法に限定されず、推定装置10の操作者が入力装置10eを操作してアンケート結果を入力することにより、アンケート結果を取得してもよい。
【0078】
(記憶部)
記憶部24は、効果推定サービスの実施に必要な各種の情報を記憶する。記憶部24により記憶される情報には、取得部23により取得されたアンケート結果、及び決定部22により決定されたターゲット属性等が含まれる。
なお、記憶部24は、推定装置10をなすコンピュータ内の記憶装置(ストレージ10d)によって構築されてもよいし、推定装置10とは別に用意されたコンピュータ、例えば外部のデータベース用サーバ等に構築されてもよい。
【0079】
(特定部)
特定部25は、複数のメディアの各々について、前述した要領で接触度合い、具体的には、リーチ及びメディアへの接触時間を特定する。本実施形態において、特定部25は、アンケート調査のモニタMのうち、決定部22により決められた属性(すなわち、ターゲット属性)を有するモニタMのアンケート結果に基づいて、各メディアへの接触度合いを求める。つまり、本実施形態では、各メディアへの接触度合いとして、ターゲット属性を有するメディア接触者の人数の割合、及び、ターゲット属性を有するメディア接触者の接触時間を特定する。なお、これに限定されず、特定部25は、リーチ、及び、メディアへの接触時間のうち、少なくとも一方の値を接触度合いとして特定してもよい。
【0080】
(算出部)
算出部26は、メディア接触者の意識に対するメディアの訴求度を算出する。ここで、メディア接触者の意識とは、決定部22により決められた対象商材と同種類の商材(以下、同種商材)に関する意識であり、本実施形態では、意識が4つのファネル(想起、理解、意向、及び)に設定される。算出部26は、複数のメディアのそれぞれについて、各ファネルに対するメディアの訴求度を算出する。
【0081】
算出部26は、回答済みモニタからのアンケート結果(つまり、取得部23により取得されたアンケート結果のデータ)に基づき、上述した要領にて、メディアの訴求度を算出する。具体的に説明すると、算出部26は、各ファネルと対応するメディアの印象に関する回答内容を示すアンケート結果に基づき、回答内容毎に集計されたメディア接触者の人数から、各ファネルに対するメディアの訴求度を算出する。
また、本実施形態において、算出部26は、ターゲット属性を有するモニタMからのアンケート結果に基づいて、メディアの訴求度を算出する。これにより、ターゲット属性を有するメディア接触者の意識(ファネル)に対するメディアの訴求度が算出される。
【0082】
(設定部)
設定部27は、各ファネルについて重み付け係数αを設定する。また、重み付け係数αが商材の種類に応じて変わり得るため、設定部27は、各ファネルについての重み付け係数αを、対象商材の種類毎に設定する。
【0083】
設定部27は、各ファネルについての重み付け係数αを、上述した要領にて設定する。具体的に説明すると、設定部27は、KGIであるファネル「購入/利用」についての重み付け係数α4を、基準値(詳しくは1)に設定する。また、設定部27は、同種商材についての各ファネルに関するアンケート結果に基づき、KPIのファネルとKGIのファネルとの相関を特定し、その相関を近似した回帰直線の傾き(係数)を求める。
【0084】
(推定部)
推定部28は、複数のメディアの各々について広告効果を推定する。より詳しく説明すると、推定部28は、特定部25が特定したメディアへの接触度合いと、算出部26が算出した各ファネルに対するメディアの訴求度と、設定部27が設定した各ファネルについての重み付け係数αに基づいて、各メディアの広告効果の推定スコアを、上述した要領にて算出する。
【0085】
具体的に説明すると、推定部28は、各ファネルに対するメディアの訴求度と、各ファネルについて設定された重み付け係数αとの積を求め、ファネル数の分の積を足し合わせて、合計訴求度を求める。その後、推定部28は、合計訴求度にメディアへの接触度合いをさらに乗じて、その積を推定スコアとして算出する。これらの処理が複数のメディアのそれぞれについて繰り返し実行される。この結果、複数のメディアのそれぞれについて推定スコアが得られる。
【0086】
(計算部)
計算部29は、各メディアについて算出した推定スコアを合計して合計推定スコア(合計推定値)を求める。また、計算部29は、各メディアの推定スコアを合計推定スコアで除して、合計推定スコアに対する推定スコアの比率(以下、スコア比率)をメディア毎に計算する。各メディアについて計算されたスコア比率は、計算部29によってサービス事業者SPに対して出力される。例えば、計算部29は、スコア比率の計算結果を表示させるデータを生成し、サービス利用者SUの端末に向けて送信する。あるいは、計算部29は、各メディアのスコア比率の計算結果を紙等に印刷する処理を実行し、その印刷物がサービス事業者SPからサービス利用者SUへ渡されてもよい。
【0087】
スコア比率は、対象商材の広告全体の効果における各メディアの寄与度や貢献度を反映している。そのため、例えば、複数のメディアに出稿する際の予算配分を、各メディアのスコア比率に応じて決めることにより、出稿予算の配分を最適化(合理化)することができる。
【0088】
[本実施形態に係る推定方法]
次に、推定装置10を用いた広告効果の推定方法について説明する。推定方法における一連の工程、つまり、広告効果の推定に関する一連のデータ処理(以下、効果推定フロー)は、推定装置10を構成するコンピュータにより実行される。なお、以下では、推定装置10を構成するコンピュータを単にコンピュータと呼ぶこととする。
【0089】
効果推定フローは、本発明の推定方法を採用しており、図7に示す流れに従って進行する。換言すると、図7に示す効果推定フロー中の各ステップは、本発明の推定方法の構成要素に該当する。なお、図7のフローは、あくまでも効果推定フローの一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、ステップの実施順序を入れ替えてもよい。
【0090】
効果推定フローが開始されると、先ず、コンピュータが、アンケート調査におけるモニタM(厳密には、回答済みモニタ)からアンケート結果のデータを取得する(S001)。ステップS001は、効果推定フローの開始に先立って実施されてもよい。なお、ステップS001にて取得されたアンケート結果のデータは、コンピュータによって記憶部24に記憶される。
【0091】
次に、コンピュータが、効果推定サービスの要求をサービス利用者SUから受け付ける(S002)。具体的には、サービス利用者SUがコンピュータ又はタブレット端末等を操作し、効果推定サービス用のサイトにアクセスし、そのサイトにて、サービス要求に必要な情報の入力を行う。この入力操作が完了すると、サービス要求用のデータがコンピュータに向けて送信される。コンピュータは、そのデータを受信することにより、効果推定サービスの要求を受け付ける。
【0092】
なお、以下では、サービス利用者SUが企業であり、その企業の商品である清涼飲料Zの広告を出稿するメディアと、メディア毎の出稿予算(予算配分)とを検討するために効果推定サービスを利用する場合を想定して説明することとする。
【0093】
次に、コンピュータは、ステップS002で受け付けた要求を解析し、広告の対象となる商材(対象商材)と、そのターゲット属性と、出稿対象とする1つ以上のメディアを決定する(S003)。以下では、清涼飲料Zを対象商材として「テレビ」、「ラジオ」、「新聞」、「雑誌」、「交通機関メディア」及び「Web」の6つのメディアに広告を出稿するケースを具体例に挙げることとする。また、以下のケースでは、清涼飲料Zのターゲット属性が「30歳以下の男性」に設定されることとする。
【0094】
次に、コンピュータは、6つのメディアの各々について、ステップS001にて取得したアンケート結果のデータに基づき、メディアへの接触度合いを特定する処理を実行する(S004)。
ステップS004では、30歳以下の男性に該当するモニタMのメディア接触状況に関するアンケート結果に基づき、各メディアに接触した30歳以下の男性の人数の割合(リーチ)、及び30歳以下の男性が所定期間(例えば、1週間)に各メディアに接触した時間(接触時間)をメディア毎に特定する。メディア毎に特定されたリーチ及び接触時間の一例を図8に示す。
【0095】
次に、コンピュータは、アンケート結果に基づき、清涼飲料に関するメディア接触者の意識に対する各メディアの訴求度を算出する処理を実行する(S005)。ステップS005において、メディア接触者の意識は、30歳以下の男性に該当するメディア接触者の意識であり、清涼飲料の購入に至るまでの段階(プロセス)に応じて4つの意識(ファネル)が設定される。
【0096】
ステップS005では、30歳以下の男性に該当するモニタMからのアンケート結果、特に、各ファネルとメディアとの関係(メディアの印象)に関する回答内容を示すアンケート結果を用いる。このアンケート結果に基づき、コンピュータは、回答内容毎に集計されたメディア接触者の人数から、各ファネルに対するメディアの訴求度を算出する。例えば、「清涼飲料の内容をよく理解できるメディアはどれですか?」という質問に「テレビ」と回答した30歳以下の男性のモニタMを集計し、集計されたモニタの人数から、ファネル「理解」に対するテレビの訴求度が算出される。
【0097】
各ファネルに対するメディアの訴求度は、6つのメディアのそれぞれについてファネル毎に算出される。それぞれのメディアについて特定された、各ファネルに対するメディアの訴求度の一例を図8に示す。
【0098】
次に、コンピュータは、4つのファネルのそれぞれについて重み付け係数α1~α4を設定する処理を実行する(S006)。より具体的には、コンピュータは、対象商材が清涼飲料である場合の重み付け係数をファネル毎に設定する。ステップS006において、コンピュータは、KGIであるファネル「購入/利用」についての重み付け係数α4を、基準値に設定する。また、コンピュータは、清涼飲料についての各ファネルに関するアンケート結果に基づき、「想起」と「購入/利用」との相関、「理解」と「購入/利用」との相関、及び「意向」と「購入/利用」との相関を特定する。そして、コンピュータは、それぞれの相関を近似した回帰直線の傾きを求め、求めた傾きと重み付け係数α4から、KPIである3つのファネルのそれぞれについての重み付け係数α1~α3を設定する。
【0099】
各ファネルについての重み付け係数α1~α4は、6つのメディアの間で共通の値に設定される一方で、対象商材の種類が変わった場合には、その種類に応じて設定される。対象商材が清涼飲料である場合において設定された各ファネルについての重み付け係数α1~α4の一例を図8に示す。
【0100】
次に、コンピュータは、6つのメディアのそれぞれに清涼飲料Zの広告を出稿した場合の効果をメディア毎に推定する(S007)。ステップS007において、コンピュータは、各メディアについて、ステップS005で求めた各ファネルに対するメディアの訴求度と、ステップS006で各ファネルについて設定された重み付け係数αとの積を求める。その後、コンピュータは、各メディアについて、ファネル数の分の積を足し合わせて合計訴求度を求め、合計訴求度に、S004で求めたメディアへの接触度合いをさらに乗じて推定スコアを算出する。
以上の手順により、各メディアについて、広告効果の推定値である推定スコアが得られる。各メディアについて算出した推定スコアの一例を図8に示す。
【0101】
なお、推定スコアの算出手順については、上述の手順に限定されず、各メディアについて、各ファネルに対するメディアの訴求度と、各ファネルについて設定された重み付け係数αと、メディアへの接触度合いとを掛け合わせて積を求めてから、メディア数の分の積を合計して推定スコアを算出してもよい。
【0102】
次に、コンピュータは、6つのメディアのそれぞれについて算出した推定スコアを合計して合計スコア(合計推定値)を求め、それぞれのメディアの推定スコアを合計スコアで除して、各メディアのスコア比率を計算する(S008)。各メディアのスコア比率の一例を図8に示す。
【0103】
その後、コンピュータは、スコア比率の計算結果をサービス利用者SUに対して出力する(S009)。これにより、サービス利用者SUは、6つのメディアのそれぞれについて、出力されたスコア比率を確認することができる。そして、サービス利用者SUは、各メディアのスコア比率に応じて各メディアへの出稿予算を決める。これにより、清涼飲料Zの広告について、各メディアへの予算配分を最適化(合理化)することができる。
【0104】
そして、スコア比率が出力された時点で、清涼飲料Zについての広告推定フローが終了する。以上までに説明してきた一連のステップは、対象商材が変わる度に繰り返し実施される。
【0105】
[本実施形態の有効性について]
以上までに説明してきたように、本実施形態の推定装置10及び推定方法によれば、各メディアの広告効果をより容易に推定することができる。
また、本実施形態の推定装置10及び推定方法によれば、広告効果が推定スコアとして数値化されるため、広告効果をメディア間で比較することができる。これにより、対象商材(同一の商材)の広告を複数のメディアに出稿する場合に、各メディアの広告効果の推定スコアを活用することで、各メディアへの出稿予算を合理的に(つまり、最適に)配分することができる。
また、本実施形態の推定装置10及び推定方法によれば、広告効果を対象商材毎に推定することができ、また、ターゲット属性を変えてターゲット別に広告効果を推定することができる。
また、広告効果は、各メディアへの接触度合いと、対象商材に関するメディア接触者の意識への各メディアの訴求度とに基づいて推定することができる。訴求度は、複数の段階で設定された意識(4つのファネル)の各々について算出され、具体的には、各ファネルにおける各メディアの印象に関するアンケート結果に基づいて算出される。このように各ファネルに対するメディアの訴求度をファネル毎に算出することで、訴求度をより細かく特定することができ、また、ファネル毎の訴求度を用いて広告効果を推定することにより、広告効果の推定精度を高めることができる。
また、本実施形態の推定装置10及び推定方法によれば、各ファネルに対するメディアの訴求度を算出する際には、KPIとなる各ファネルについて、KGIとなるファネル(具体的には「購入/利用」)への影響力を重み付け係数として数値化することができる。これにより、訴求度を算出する際に反映することができる。
【0106】
[その他の実施形態]
以上までに本発明の広告効果の推定装置、及び推定方法について具体的な実施形態を挙げて説明してきたが、上述の実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の実施形態も考えられ得る。
【0107】
上記の実施形態では、同じ商材を対象とし、その対象商材に関する広告を複数のメディアに出稿した場合の効果をメディア毎に推定することとした。ただし、これに限定されるものではなく、広告効果が推定されるメディアの数は、一つのみであってもよい。
【0108】
また、上記の実施形態では、広告効果が推定される複数のメディアの種類が互いに異なることとしたが、複数のメディアの中には同じ種類のメディアが含まれてもよい。例えば、複数のメディアには、放送されるテレビ局が異なる複数のテレビ番組やテレビCMが含まれてもよく、また、出版会社又は雑誌タイトルが異なる複数の雑誌が含まれてもよい。
【0109】
また、上記の実施形態では、各メディアへの出稿予算の配分を検討する目的で、広告効果(具体的には、推定スコア)をメディア毎に推定することとした。ただし、広告効果を推定する目的は、上記の内容に限定されるものではなく、例えば、複数のメディアの中から出稿先を絞る(限定する)目的で、各メディアの広告効果を推定してもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 推定装置
10a プロセッサ
10b メモリ
10c 通信用インタフェース
10d ストレージ
10e 入力装置
10f 出力装置
21 受付部
22 決定部
23 取得部
24 記憶部
25 特定部
26 算出部
27 設定部
28 推定部
29 計算部
M モニタ
SP サービス事業者
SU サービス利用者
【要約】
【課題】情報伝達媒体による広告の効果を適切に且つ容易に推定する。
【解決手段】本発明では、対象商材に関する広告を情報伝達媒体に出稿した場合の効果を推定する上で、情報伝達媒体への接触度合いを特定し、情報伝達媒体の接触者を含む調査対象者からのアンケート結果に基づき、対象商材と同種類の商材に関する接触者の意識に対する情報伝達媒体の訴求度を算出し、効果を推定する。対象商材と同種類の商材に対して所定の行動が行われるまでの段階に応じて意識が複数設定される場合に、それぞれの段階の意識に対する訴求度を算出し、接触度合いと、それぞれの段階の意識に対する訴求度とに基づいて効果を推定する。
【選択図】図3
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8