(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ポイント管理装置、及びポイント管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221201BHJP
【FI】
G06Q30/02 354
(21)【出願番号】P 2022075953
(22)【出願日】2022-05-02
【審査請求日】2022-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】木塚 了敬
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-030671(JP,A)
【文献】特開2017-068448(JP,A)
【文献】特許第7016441(JP,B1)
【文献】特開2015-075969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の商取引に使用可能なポイントを管理するポイント管理装置であって、
前記ポイントが付与された取引者について、前記ポイントの付与履歴、及び前記ポイントの保有数の少なくとも一方に基づき、予め設定された条件を満たすかどうかを判定する判定部と、
前記条件を満たす前記取引者に対して、前記ポイントの使用を促すための処理
として、前記ポイントの使用に関連する権限を設定する処理を実行する処理実行部と、を有
し、
前記商品が、予め指定された利用条件に従って利用される場合において、前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、前記利用条件を指定する前記権限を設定する、ポイント管理装置。
【請求項2】
前記条件は、
第1期間内に付与された前記ポイントの総数が第1判定値以上である第1条件、
前記第1期間よりも短い第2期間内に付与された前記ポイントが第2判定値以上である第2条件、
前記保有数が第3判定値以上である第3条件、及び、
前記ポイントの付与時点から所定期間が経過する第4条件のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のポイント管理装置。
【請求項3】
前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、前記条件を満たした場合に取得可能な特定商品についての前記商取引を実施するための前記権限を設定する、請求項
1に記載のポイント管理装置。
【請求項4】
前記処理実行部は、前記権限の有効期間を、前記条件を満たした時点から所定期間が経過するまでの期間に設定する、請求項
3に記載のポイント管理装置。
【請求項5】
前記利用条件を指定する前記権限が設定された前記取引者の前記保有数から、前記利用条件の指定に応じた量の前記ポイントを減算する減算部をさらに有する、請求項
1に記載のポイント管理装置。
【請求項6】
前記商品の利用によって得られる効果に関する効果関連情報を取得する情報取得部を有し、
前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、該取引者が取得した前記商品の前記効果に関する前記効果関連情報を入手する前記権限を設定する、請求項
1に記載のポイント管理装置。
【請求項7】
前記商品の利用によって得られる効果の度合いを特定する特定部を有し、
前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、該取引者が取得した前記商品の前記効果の度合いが所定の基準を満たさなかった場合の補填を受ける前記権限を設定する、請求項
1に記載のポイント管理装置。
【請求項8】
前記補填を受ける前記権限が設定された前記取引者の前記保有数から、前記補填に応じた量の前記ポイントを減算する減算部をさらに有する、請求項
7に記載のポイント管理装置。
【請求項9】
前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、該取引者が保有する前記ポイントに関する使用制限を解除す
る処理を実行する、請求項1又は2に記載のポイント管理装置。
【請求項10】
前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、前記ポイントの使用を前記商品の商取引に制限する前記使用制限を解除し、前記商品の商取引以外の目的での前記ポイントの使用を許可す
る処理を実行する、請求項
9に記載のポイント管理装置。
【請求項11】
第1商品を取得した前記取引者に対して前記ポイントが付与された場合に、前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、前記ポイントの使用を前記第1商品の商取引に制限する前記使用制限を解除し、前記第1商品とは種類が異なる第2商品の商取引における前記ポイントの使用を許可す
る処理を実行する、請求項
9に記載のポイント管理装置。
【請求項12】
第1提供者が提供する前記商品を取得した前記取引者に対して前記ポイントが付与された場合に、前記第1提供者が提供する前記商品の取得によって付与された前記ポイントの前記保有数が、前記第1提供者と対応付けられ、
前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者に対して、前記第1提供者と対応付けられた前記ポイントの使用を前記第1提供者との商取引に制限する前記使用制限を解除し、前記第1提供者とは異なる第2提供者との商取引において、前記第1提供者と対応付けられた前記ポイントの使用を許可す
る処理を実行する、請求項
9に記載のポイント管理装置。
【請求項13】
前記処理実行部は、前記第2提供者との商取引における前記ポイントの使用を許可す
る処理として、前記第1提供者と対応付けられた前記ポイントである第1ポイントを、前記第2提供者との商取引に使用可能な第2ポイントに変換す
る処理を実行する、請求項
12に記載のポイント管理装置。
【請求項14】
前記処理実行部は、前記条件を満たす前記取引者の前記第1ポイントの前記保有数から、予め設定された量の前記第1ポイントを差し引き、差し引き後の前記第1ポイントを前記第2ポイントに変換す
る処理を実行する、請求項
13に記載のポイント管理装置。
【請求項15】
前記商取引にて広告枠を取得した前記取引者に対して前記ポイントが付与される、請求項1又は2に記載のポイント管理装置。
【請求項16】
前記取引者の前記付与履歴に関する履歴情報と、前記取引者の前記保有数とが、記憶装置に記憶される、請求項1又は2に記載のポイント管理装置。
【請求項17】
商品の商取引に使用可能なポイントを管理するポイント管理方法であって、
コンピュータが、前記ポイントが付与された取引者について、前記ポイントの付与履歴、及び前記ポイントの保有数の少なくとも一方に基づき、予め設定された条件を満たすかどうかを判定し、
コンピュータが、前記条件を満たす前記取引者に対して、前記ポイントの使用を促すための処理
として、前記ポイントの使用に関連する権限を設定する前記処理を実行
し、
前記商品が、予め指定された利用条件に従って利用される場合において、コンピュータが、前記条件を満たす前記取引者に対して、前記利用条件を指定する前記権限を設定する、ポイント管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商取引に使用可能なポイントを管理するポイント管理装置、及びポイント管理方法に係り、特に、ポイントが付与された取引者をポイントの使用へ誘導することが可能なポイント管理装置、及びポイント管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商取引を活性化させるために、商取引にて商品を購入等した取引者に対して、次回以降の商取引において使用可能なポイントを付与することは、既に様々な分野で行われている(例えば、特許文献1参照)。取引者に付与されるポイント数は、通常、取得した商品の代金等に応じて決まり、より高額の代金を支払った場合には、より多くのポイントが付与されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商取引の活性化を図る観点からは、取引者に付与されたポイントが積極的に使用されることが好ましい。そして、ポイントが付与された取引者、特に、ポイントを多く保有する取引者等をポイントの使用へ誘導できれば、ポイント付与による商取引の活性化が効率よく達成できるものと期待される。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。具体的に説明すると、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、ポイント付与による商取引の活性化を推進させるための装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明のポイント管理装置は、商品の商取引に使用可能なポイントを管理するポイント管理装置であって、ポイントが付与された取引者について、ポイントの付与履歴、及びポイントの保有数の少なくとも一方に基づき、予め設定された条件を満たすかどうかを判定する判定部と、条件を満たす取引者に対して、ポイントの使用を促すための処理を実行する処理実行部と、を有することを特徴する。
上記のポイント管理装置によれば、ポイントの付与履歴及び保有数に基づいて所定の条件を満たすと判定された取引者に対して、ポイントの使用を促すための処理を実行する。これにより、条件を満たす取引者をポイント使用へ誘導することができ、結果として、ポイント付与による商取引の活性化を推し進めることができる。
【0007】
また、上記の条件は、第1期間内に付与されたポイントの総数が第1判定値以上である第1条件、第1期間よりも短い第2期間内に付与されたポイントが第2判定値以上である第2条件、保有数が第3判定値以上である第3条件、及び、ポイントの付与時点から所定期間が経過する第4条件のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
上記の構成であれば、ポイント使用へ誘導する対象の取引者を選定する条件が、予め決められていることで、上記の処理を適切に実行することができる。
【0008】
また、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、ポイントの使用に関連する権限を設定する処理を実行してもよい。
上記の構成であれば、条件を満たす取引に対して、所定の権限を付与することにより、これがインセンティブとなり、条件を満たす取引者を、ポイントの使用へ適切に誘導することができる。
【0009】
また、上記の構成において、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、条件を満たした場合に取得可能な特定商品についての商取引を実施するための権限を設定してもよい。このような権限を設定することで、条件を満たす取引者を、ポイントの使用へより適切に誘導することができる。
【0010】
また、上記の構成において、処理実行部は、上記の権限の有効期間を、条件を満たした時点から所定期間が経過するまでの期間に設定してもよい。このように権限の有効期間が設定されることで、権限の設定によって取引者をポイント使用へ誘導することが、より容易になる。
【0011】
また、商品が、予め指定された利用条件に従って利用される場合において、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、利用条件を指定する権限を設定してもよい。このような権限を設定することで、条件を満たす取引者を、ポイントの使用へより適切に誘導することができる。
【0012】
また、本発明のポイント管理装置は、利用条件を指定する権限が設定された取引者の保有数から、利用条件の指定に応じた量のポイントを減算する減算部をさらに有してもよい。この場合には、条件を満たす取引者は、保有するポイントを使用することで利用条件を指定することができ、これにより、ポイントの使用をより一層効果的に促すことができる。
【0013】
また、本発明のポイント管理装置は、商品の利用によって得られる効果に関する効果関連情報を取得する情報取得部を有してもよい。この場合、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、取引者が取得した商品の効果に関する効果関連情報を入手する権限を設定してもよい。
上記の構成であれば、条件を満たす取引者に対して、取得した商品の効果に関する情報を入手する権限が設定され、これがインセンティブとなり、条件を満たす取引者を、ポイントの使用へより適切に誘導することができる。
【0014】
また、本発明のポイント管理装置は、商品の利用によって得られる効果の度合いを特定する特定部を有してもよい。この場合、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、取引者が取得した商品の効果の度合いが所定の基準を満たさなかった場合の補填を受ける権限を設定してもよい。
上記の構成であれば、条件を満たす取引者に対して、取引者が取得した商品の効果の度合いが所定の基準を満たさなかった場合の補填を受ける権限が設定され、これがインセンティブとなり、条件を満たす取引者を、ポイントの使用へより適切に誘導することができる。
【0015】
また、本発明のポイント管理装置は、補填を受ける権限が設定された取引者の保有数から、補填に応じた量のポイントを減算する減算部をさらに有してもよい。この場合には、条件を満たす取引者は、保有するポイントを使用することで補填を受けることができ、これにより、ポイントの使用をより一層効果的に促すことができる。
【0016】
また、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、取引者が保有するポイントに関する使用制限を解除する処理を実行してもよい。
上記の構成であれば、条件を満たす取引者に対して、ポイントの使用制限を解除することにより、ポイントが使用し易くなり、条件を満たす取引者によるポイントの使用を促すことが、より容易になる。
【0017】
また、上記の構成において、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、ポイントの使用を商品の商取引に制限する使用制限を解除し、商品の商取引以外の目的でのポイントの使用を許可する処理を実行してもよい。このように商品の商取引以外の目的でポイントが使用可能になることで、条件を満たす取引者によるポイントの使用を促すことが、より容易になる。
【0018】
また、第1商品を取得した取引者に対してポイントが付与されてもよい。この場合、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、ポイントの使用を第1商品の商取引に制限する使用制限を解除し、第1商品とは種類が異なる第2商品の商取引におけるポイントの使用を許可する処理を実行してもよい。このようにポイントが第1商品以外の商品(第2商品)の商取引にて使用できるようになれば、条件を満たす取引者によるポイントの使用を促すことが、より容易になる。
【0019】
また、第1提供者が提供する商品を取得した取引者に対してポイントが付与された場合に、第1提供者が提供する商品の取得によって付与されたポイントの保有数が、第1提供者と対応付けられてもよい。そして、処理実行部は、条件を満たす取引者に対して、第1提供者と対応付けられたポイントの使用を第1提供者との商取引に制限する使用制限を解除し、第1提供者とは異なる第2提供者との商取引において、第1提供者と対応付けられたポイントの使用を許可する処理を実行してもよい。
上記の構成であれば、第1提供者と対応付けられたポイントを、第1提供者以外の者(第2提供者)との商取引にて使用できるようになり、条件を満たす取引者によるポイントの使用を促すことが、より容易になる。
【0020】
また、処理実行部は、第2提供者との商取引におけるポイントの使用を許可する処理として、第1提供者と対応付けられたポイントである第1ポイントを、第2提供者との商取引に使用可能な第2ポイントに変換する処理を実行してもよい。このように、第1提供者と対応付けられたポイントを、第2提供者との商取引にて使用可能なポイントに変換することで、条件を満たす取引者が保有するポイントを、第2提供者との商取引にて使用し易くなる。
【0021】
また、処理実行部は、条件を満たす取引者の第1ポイントの保有数から、予め設定された量の第1ポイントを差し引き、差し引き後の第1ポイントを第2ポイントに変換する処理を実行してもよい。この場合には、第1ポイントの一部を消費して、第1ポイントを第2ポイントに変換することができ、これにより、条件を満たす取引者によるポイントの使用をより一層効果的に促すことができる。
【0022】
また、商取引にて広告枠を取得した取引者に対してポイントが付与されてもよい。この場合には、広告枠の商取引によって付与されるポイントの使用を促すことができ、結果として、広告枠の商取引の活性化を推進することができる。
【0023】
また、取引者の付与履歴に関する履歴情報と、取引者の保有数とが、記憶装置に記憶されるとよい。この場合、取引者のポイント付与の履歴とポイント保有数とを適切に管理することができる。また、記憶装置に記憶された情報から、取引者が上記の条件を満たすかどうかを適切に判定することができる。
【0024】
また、前述した目的を達成するために、本発明のポイント管理方法は、商品の商取引に使用可能なポイントを管理するポイント管理方法であって、コンピュータが、ポイントが付与された取引者について、ポイントの付与履歴、及びポイントの保有数の少なくとも一方に基づき、予め設定された条件を満たすかどうかを判定し、コンピュータが、条件を満たす取引者に対して、ポイントの使用を促すための処理を実行することを特徴とする。
上記の方法であれば、条件を満たす取引者によるポイント使用を促し、ポイント付与による商取引の活性化を推進させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、所定の条件を満たす取引者のポイント使用を促し、ポイント付与による商取引の活性化を推進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】商取引の対象となる商品の一例である広告枠についての説明図である。
【
図2】商取引に付随してポイントが付与されるケースの一例を示す図である。
【
図3】本発明の一つの実施形態に係るポイント管理装置及びその周辺機器を示す概念図である。
【
図4】記憶装置に記憶された取引者のポイント保有数及びポイント付与の履歴情報を示す図である。
【
図5】本発明の一つの実施形態に係るポイント管理装置の機能についての説明図である。
【
図6】広告枠リストの表示画面の一例を示す図である。
【
図8】効果関連情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るポイント管理フローを示す図である。
【
図10】本発明の第2実施形態にて実行される、ポイントの使用制限を解除する処理についての説明図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るポイント管理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のポイント管理装置及びポイント管理方法について、添付の図面に示す具体的な実施形態を参照しながら、以下に詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、当然ながら、本発明には、その等価物が含まれる。
【0028】
また、以下の説明の中で参照される図面が示す画面例も一例に過ぎず、画面の構成例、表示される情報の内容、及びGUI(Graphical User Interface)等は、システム設計の仕様及びユーザの好み等に応じて自由に設計することができ、また適宜変更し得るものである。
【0029】
また、本明細書において、「装置」とは、単独で特定の機能を発揮する一つの装置の他、分散して存在しているものの特定の機能を発揮するために協働する複数の装置をも含むものである。
また、本明細書において、「人(ヒト)」及び「者」には、個人、世帯等のような個人の集合、企業等の法人、法人以外の団体やグループ等が含まれることとする。
【0030】
<<本発明におけるポイント、及び商取引について>>
本発明のポイント管理装置及びポイント管理方法について説明するにあたり、ポイント及びポイント付与の契機となる商取引について説明する。
ポイントは、商品の商取引を実施した取引者、具体的には、その商取引にて商品を取得した取引者に対して付与される。商取引とは、商品の取得(例えば、売買等の譲渡)に関する取引である。商品は、商取引にて取り扱われる財であり、一般的な有形の商品に限られず、情報、時間枠及び土地等の無形の商品を含んでもよい。また、商品には、労務又は便益の提供のようなサービスが含まれてもよく、その場合には、サービスを利用することが「商品の取得」に相当する。
【0031】
以下では、広告枠の売買取引(以下、広告枠取引)を商取引の一例として挙げて説明することとする。ただし、本発明は、広告枠以外の商品の商取引にも適用可能である。すなわち、本発明の適用範囲は、一般的な商材(例えば、日常用品、家電製品、及び衣料や装飾品等)又は一般的なサービス(例えば、旅行、公共交通機関の利用、映画やスポーツ観戦、レストラン等での飲食の提供等)の取得に伴ってポイントが付与されるケースを含み得る。
【0032】
広告枠は、広告を放送又は表示するために利用される時間帯(時間枠)、又はインターネット上のサイトや紙面を含む広告掲載場所の利用権である。特に、前者の広告枠は、
図1に示すように放送日時と放送局によって規定される。
以下では、広告枠がテレビ広告用の広告枠であるケースを例に挙げて説明することとする。ただし、本発明は、テレビ広告用以外の広告枠、例えば、ラジオ広告用の広告枠、インターネット広告用の広告枠、デジタル広告用の広告枠、及び、雑誌又は新聞における広告枠(広告欄)を広告枠取引の対象とする場合にも適用可能である。また、デジタル広告用の広告枠には、放送局が販売する広告付き無料動画配信の広告枠や、それ以外の保有メディアによる広告の広告枠が含まれ得る。
【0033】
広告枠取引では、
図2に示すように、広告枠の提供者である放送局(詳しくはテレビ局H)により、取引可能な広告枠が提供される。テレビ局Hは、
図2に示すように複数存在し、各テレビ局Hは、将来の放送日における番組編成に応じて広告枠を設定し、設定された広告枠を提供する。すなわち、広告枠は、テレビ局H毎に提供(販売)され、広告枠取引がテレビ局H毎に行われる。
【0034】
広告枠取引は、
図2に示すように、広告枠の取得及び利用を検討する広告主Sと、広告枠の提供者である各テレビ局Hとの間で実施される。つまり、広告主Sは、取引者として広告枠取引を実施する。なお、
図2では、図示の都合から、広告主Sを一人(一社)のみ図示しているが、実際には複数の広告主Sが存在する。
【0035】
また、広告枠取引は、例えばオンライン形式(電子商取引形式)で行われ、その場合、広告枠取引支援用の通信システムが利用される。具体的に説明すると、広告枠の購入を希望する広告主Sが、情報端末(詳しくは、後述の広告主端末14)を操作して広告枠取引用のサイトにアクセスする。端末画面には、その時点で取引可能な広告枠(つまり、市場に出ている広告枠)のリストが表示され、広告主Sは、その中から所望の広告枠を選択して購入する。システム側では、広告枠の購入に付随する一連のデータ処理(例えば、購入額の決済処理、及び売却済の広告枠を取引対象から外す処理等)が実行される。
【0036】
なお、広告枠取引支援用のシステムとしては、公知の取引支援システムが利用可能であり、例えば、特許第6514820号公報及び特許第6584608号公報の明細書に記載されたシステムを利用することができる。
【0037】
また、広告枠取引では、広告会社(広告代理店)等が仲介者として介在し、テレビ局Hと広告主Sとの広告枠取引を仲介してもよい。具体的には、広告会社等が、テレビ局Hが提供する広告枠の販売を代理し、広告主Sは、広告会社等を通じて広告枠を購入してもよい。その場合、広告会社等(すなわち、仲介者)が広告枠の提供者となり、広告枠の購入額(つまり、広告枠の取引額)に所定の比率を乗じて得られる額の金銭が、仲介料として広告会社等に支払われる。
なお、言うまでもなく、広告主Sは、広告会社等を介さずにテレビ局Hから直接広告枠を購入してもよい。
【0038】
広告枠を取得した広告主Sは、その広告枠を利用して、自社又は自社製品等に関する広告を出稿することができる。つまり、広告主Sは、購入した広告枠の放送日時に、その広告枠を提供したテレビ局Hを通じて、テレビ広告を放送することができる。
【0039】
また、共通の広告枠を複数の広告主Sが購入した場合には、それぞれの広告主Sは、予め設定された利用条件に従って共通の広告枠を利用することができる。具体的に説明すると、複数の広告を順番に放送できる広告枠は、例えば、複数の広告主Sによって購入され得る。このような広告枠では、当該広告枠を購入した複数の広告主Sの各々の広告が、予め決められた順序で放送される。
【0040】
なお、広告枠の利用条件としては、その広告枠の利用順序(広告の放送順序)の他に、広告枠の利用時間(広告の放送時間)、あるいは、連続する順序で放送される2つの広告の組み合わせに関する基準(例えば、ある分野の広告の後には特定の分野の広告を放送しない等)が含まれてもよい。また、広告主Sの要望等に応じて設定される利用条件が含まれてもよく、例えば、ある広告主Sの広告と、その広告主Sと競合関係にある者の広告とを共通の広告枠内で放送しないようにする利用条件が設定されてもよい。
【0041】
また、広告主Sが広告枠を利用してテレビ広告を放送した場合、広告枠利用による効果、つまり、広告の効果が調査される。広告の効果は、広告の訴求力であり、定性的又は定量的な指標、あるいはその両方の指標によって評価することができる。例えば、広告の効果の影響力、大きさ(規模)、及び世間の反応等を数値等によって評価することで、広告の効果の度合いを定量的に把握することができる。
【0042】
テレビ広告の効果の度合いの一例としては、テレビ広告の視聴者数に関する実績値が挙げられ、具体的には、視聴率、延べ視聴率(Gross Rating Point:GRP)、リーチ数、及び視聴者1000人あたりの必要コスト(Cost Per Mill:CPM)等を用いてもよい。この場合の視聴には、リアルタイムでの視聴の他に、録画又は録音等したものを放送後の一定期間内に再生して視聴したり、Web配信されるものを視聴したりすること(タイムシフト視聴)が含まれ得る。
なお、視聴者数に関する実績値は、公知の手法によって求めることができ、例えば、調査パネルのテレビ視聴状況を公知の機械式手法によって調査し、その調査結果を集計することで求めることができる。あるいは、テレビを視聴した機器にて生成されるメーカーログ/デバイスログ、又はテレビ局が保有する視聴ログ等を集計することで上記の実績値を算出してもよい。あるいは、公表された統計データや広告主Sが独自に入手した調査データを利用して上記の実績値を算出してもよい。あるいは、調査パネルに対してアンケート調査を実施し、その調査結果を集計し、集計された調査結果を解析して上記の実績値を算出してもよい。
【0043】
なお、広告の効果の度合いとしては、視聴者数に関する実績値に限定されず、例えば、広告により宣伝された商品の購入者数や販売数及び発注数、広告により宣伝されたサービスの利用者数や利用回数を用いてもよい。また、広告により宣伝された商品又はサービスの売上額、広告により宣伝された店舗への来店者数、広告により宣伝された商品又はサービスに関するインターネットでの検索数、広告にて宣伝された商品又はサービスに関するホームページの閲覧数(具体的には、ユニークユーザ数やページビュー数等)を用いてもよい。また、広告にて宣伝された商品又はサービスに関するSNS(Social Networking Service)での投稿数等を用いてもよい。
また、広告の効果を定性的に評価する場合には、広告にて宣伝された商品又はサービスに対する印象やイメージ等に関するアンケート調査を行い、その調査結果を集計し、集計された調査結果を用いてもよい。
【0044】
以上に述べた広告の効果に関する情報は、広告の利用によって得られる効果に関する効果関連情報に該当する。ちなみに、広告の効果に関する上述の情報は、例えば、調査会社、テレビ局H、広告会社等、あるいは、これら以外の第三者(ただし、広告枠を利用した広告主Sを除く)によって調査される。
【0045】
商取引を行った取引者に付与されるポイントについて改めて説明すると、ポイントは、商取引に使用可能なポイントであり、例えば、広告枠取引に使用可能である。ポイントは、発行者によって発行され、付与者によって付与される。ポイントの発行とは、発行するポイント数に応じた金額(原資)を支払うことでポイントを用意し、そのポイントを付与/配分できる状態にすることである。ポイントの付与とは、ポイントを付与する相手に対してポイントを提供/配分(すなわち、付与)することである。
【0046】
ポイントの発行者と付与者は、同じ者でもよく、異なった者でもよい。ポイントの発行者と付与者とが同じ場合、ポイントの発行者は、会計処理において、売上額を、ポイント発行量に応じた金額だけ減じて計上する。他方、ポイントの発行者がポイントの付与者と異なる場合、付与者は、発行者からポイントを購入し、会計処理において、ポイント購入額を経費として計上する。
【0047】
なお、以下では、ポイントの発行者及び付与者がテレビ局Hであることとする。また、前述したように、テレビ局Hが複数存在しており、広告枠取引がテレビ局H毎に行われる。そのため、ポイントの発行及び付与についてもテレビ局H毎に行われることとする。ただし、これに限定されず、所定のテレビ局Hが複数のテレビ局Hを代表してポイントを発行及び付与してもよく、若しくは、テレビ局Hとは異なる者が、各テレビ局Hが発行するポイントを付与してもよい。
【0048】
ポイントが付与された者(すなわち、広告枠取引を行った広告主S)は、ポイントを保有し、以降の広告枠取引において広告枠を購入する際に、金銭の代わりに、若しくは金銭とともにポイントを使用することができる。広告主Sは、例えば広告枠取引において広告枠を購入した場合に、購入額に応じたポイントを付与され、これに伴って、広告主Sの保有ポイントが増える。また、広告主Sがポイントを使用した場合には、使用した分だけ、広告主Sの保有ポイントが消費される。
【0049】
つまり、広告主Sのポイントの保有数(以下、ポイント保有数という)は、広告枠の購入等に伴ってポイントが付与されることで加算され、広告枠取引等にてポイントが使用されることで減算される。広告主Sのポイント保有数は、広告主Sへのポイントの付与履歴に関する履歴情報とともに、後述の記憶装置20に記憶される。履歴情報は、広告主Sにポイントが付与された日時、ポイント付与者、ポイント付与量、及び、ポイント付与の契機となった広告枠取引における広告会社等による仲介の有無等を示す情報であり、ポイントが付与される度に生成されて記憶装置20に記憶される。履歴情報が示すポイント付与者は、ポイント付与の契機となった広告枠取引にて広告主Sが購入した広告枠(以下、対象広告枠)の提供者、すなわち、対象広告枠を提供したテレビ局Hである。
【0050】
また、ポイントの使用には、一定の制限が設けられてもよい。例えば、ポイントの使用可能期間(有効期限)が設定され、ポイントの使用は、設定された使用期間内に限り認められてもよい。また、ポイントの使用目的が、一定の目的、例えば、広告枠取引での使用等に限定されてもよい。また、あるテレビ局Hによって付与されたポイントを、他のテレビ局Hとの広告枠取引に使用することが制限されてもよい。また、ある広告会社等を介して広告枠を購入した場合に付与されたポイントを、その広告会社等を介さない広告枠取引に使用することが制限されてもよい。
【0051】
さらに、ポイントが付与された広告主Sが所定の条件を満たす場合には、ポイント使用を促進させる観点から、その広告主Sを優遇する措置が講じられる。具体的には、上記の条件を満たす広告主Sについて、ポイントの使用に関連する権限を設定し、あるいは、ポイントに関する使用制限を解除する。
以下では、上記の条件を満たす広告主Sに対して所定の権限を設定する形態を本発明の第1実施形態として説明し、上記の条件を満たす広告主Sについてポイントの使用制限を解除する形態を本発明の第2実施形態として説明することとする。
【0052】
<<本発明の第1実施形態について>>
本発明の第1実施形態(以下、単に第1実施形態と称する)に係るポイント管理装置及びポイント管理方法について説明する。
【0053】
(ポイント管理装置の構成)
第1実施形態のポイント管理装置(以下、ポイント管理装置10)は、広告枠取引にて広告枠を購入(取得)してポイントが付与された広告主Sについて、ポイント保有数及びポイント付与の履歴情報等、ポイントに関する情報を管理する。ポイント管理装置10は、コンピュータによって構成され、詳しくは
図3に示すサーバコンピュータ12によって構成されている。
【0054】
なお、ポイント管理装置10を構成するコンピュータは、一台のコンピュータでもよいし、並列分散された複数台のコンピュータであってもよい。また、ポイント管理装置10は、ASP(Application Service Provider)、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)又はIaaS(Infrastructure as a Service)用のサーバコンピュータによって構成されてもよい。
【0055】
ポイント管理装置10は、インターネット又はモバイル通信回線等のようなネットワーク18を通じて他の機器と通信可能に接続されており、例えば、
図3に示すように広告主端末14や調査用サーバ16と通信可能である。広告主端末14は、広告主Sが広告枠取引を行ったり広告枠取引等にてポイントを使用したりする際に操作する情報端末であり、PC(Personal Computer)、タブレット型端末、又はスマートフォン等によって構成される。調査用サーバ16は、放送されたテレビ広告の効果に関する調査結果を配信する。
【0056】
ポイント管理装置10をなすサーバコンピュータ12のハードウェア構成は、汎用的なサーバコンピュータの構成と同様である。具体的に説明すると、サーバコンピュータ12は、
図3に示すように、CPU等からなるプロセッサ12aと、ROM及びRAM等からなるメモリ12bと、ネットワークインターフェースカード等からなる通信用インタフェース12cと、マウス及びキーボード等からなる入力装置12dと、ディスプレイ及びプリンタ等からなる出力装置12eとを有する。
【0057】
また、サーバコンピュータ12は、
図3に示すように記憶装置20に接続されている。記憶装置20は、ポイント管理装置10の構成機器の一つであり、例えばファイルサーバ、具体的にはNAS(Network Attached Storage)である。ただし、これに限定されず、記憶装置20は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、FD(Flexible Disc)、MOディスク(Magneto-Optical disc)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SDカード(Secure Digital card)、又はUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)等のストレージによって構成されてもよい。なお、記憶装置20を構成するストレージは、サーバコンピュータ12に内蔵されてもよく、あるいは、外付け形式で取り付けてもよい。
【0058】
記憶装置20には、ポイント管理に必要な各種の情報が記憶されており、サーバコンピュータ12は、記憶装置20に記憶された情報を読み出し、また、適宜更新することが可能である。記憶装置20に記憶される情報には、
図4に示すように、ポイントが付与された広告主Sのポイント保有数及び履歴情報が含まれる。ポイント保有数及び履歴情報は、ポイントが付与された広告主S毎に記憶されている。また、履歴情報は、ポイントが付与される度に生成され、ポイントが付与された各回別に記憶装置20に記憶される。
【0059】
また、ポイント保有数に関しては、
図4に示すように、ポイント付与者であり且つ対象広告枠の提供者であるテレビ局Hと対応付けて記憶されてもよい。つまり、テレビ局Hが提供する広告枠の取得によって付与されたポイントの保有数は、そのテレビ局Hと対応付けられてもよい。また、2以上のテレビ局Hの広告枠を購入して各テレビ局Hからポイントが付与された広告主Sのポイント保有数については、
図4に示すように、テレビ局H別の内訳が記憶されてもよい。つまり、ポイント保有数をテレビ局H毎に分け、それぞれのポイント保有数を、対応するテレビ局Hと紐付けて記憶してもよい。
【0060】
また、記憶装置20には、ポイントが付与された広告主Sについて、後述する条件(詳しくは、第1~第4条件)の成否を示すフラグ情報が記憶されている。
【0061】
また、サーバコンピュータ12には、本発明のポイント管理装置としての機能、すなわち、ポイント管理用のデータ処理を実行させるためのプログラム(以下、ポイント管理用プログラム)がインストールされている。このポイント管理用プログラムがサーバコンピュータ12のプロセッサ12aによって読み取られて実行されることで、サーバコンピュータ12は、ポイント管理装置10として、後述する一連のデータ処理を実行する。
【0062】
(第1実施形態に係るポイント管理装置の機能)
ポイント管理装置10の構成を機能面から改めて説明すると、ポイント管理装置10は、
図5に示すように、加算部31、減算部32、履歴情報記憶部33、情報取得部34、判定部36、及び、処理実行部37を有する。これらは、ポイント管理装置10を構成するサーバコンピュータ12が有するハードウェア機器と、サーバコンピュータ12にインストールされたポイント管理用プログラムとが協働することで実現される。以下、それぞれの機能部について説明する。
【0063】
加算部31は、広告商取引にて広告枠を購入(取得)した広告主Sに対してポイントが付与された場合に、記憶装置20に記憶されたポイント保有数のうち、上記の広告主Sのポイント保有数を、ポイント付与数に応じて加算する。
【0064】
具体的に説明すると、ある広告主Sに対してポイントが付与された場合、サーバコンピュータ12は、そのポイント付与の内容に関するデータ(以下、ポイント付与データ)を取得する。加算部31は、ポイント付与データに基づいて、ポイントが付与された広告主S、ポイントを付与したテレビ局H、及びポイント付与量等を特定し、特定された広告主Sのポイント保有数を、特定された付与量だけ加算する。この際、加算部31は、加算されたポイント保有数(厳密には、加算分のポイント数)を、対象広告枠を提供したテレビ局Hと対応付ける。
【0065】
なお、ポイント付与データの取得方法は、特に限定されず、例えばポイント付与者であるテレビ局H側からポイント付与データが送信され、サーバコンピュータ12が、そのポイント付与データを受信する形でもよい。あるいは、広告主Sに対するポイント付与の内容が、サーバコンピュータ12の入力装置12dを通じて入力される(具体的には、ポイント付与の内容をコンピュータ操作者がタイピングする等)ことで、ポイント付与データを取得してもよい。
【0066】
減算部32は、広告主Sが保有するポイントを使用した場合に、その広告主Sのポイント保有数からポイント使用量を減算する。具体的に説明すると、ある広告主Sが保有ポイントを使用した場合に、サーバコンピュータ12が、そのポイント使用の内容に関するデータ(以下、ポイント使用データ)を取得する。減算部32は、ポイント使用データに基づいて、ポイントを使用した広告主S、及びポイント使用量等を特定し、特定された広告主Sのポイント保有数を、特定された使用量だけ減算する。
【0067】
なお、ポイント使用データの取得方法は、特に限定されず、例えば、ポイントを使用した広告主Sの広告主端末14から、ポイント使用データが送信され、サーバコンピュータ12が、そのポイント使用データを受信する形でもよい。あるいは、広告主Sに対するポイント使用の内容が、サーバコンピュータ12の入力装置12dを通じて入力される(例えば、ポイント付与の内容を操作者がタイピングする等)ことで、ポイント使用データを取得してもよい。
【0068】
履歴情報記憶部33は、広告主Sに対してポイントが付与された場合に、その付与履歴を示す履歴情報を記憶装置20に記憶させる。具体的に説明すると、履歴情報記憶部33は、上述したポイント付与データから、ポイントが付与された広告主S、ポイントを付与したテレビ局H、ポイントが付与された時期(年月日)、及びポイント付与量等を特定し、その特定結果を履歴情報として記憶装置20に記憶させる。
また、履歴情報記憶部33は、広告主Sに対してポイントが付与される度に、新たな履歴情報を記憶装置20に記憶する。例えば、加算部31が、ある広告主Sのポイント保有数を加算した場合に、これに連動する形で、履歴情報記憶部33が、その広告主Sについて新たな履歴情報(詳しくは、加算分のポイントに関する付与履歴を示す情報)を記憶装置20に記憶する。
【0069】
情報取得部34は、広告枠の購入に伴ってポイントが付与された広告主Sが当該広告枠を利用して放送した広告(テレビ広告)について、その広告の効果に関する効果関連情報を取得する。情報取得部34は、例えば、調査用サーバ16との通信を通じて効果関連情報を取得することができる。
【0070】
効果関連情報は、広告の効果の度合いを示す定量的な情報でもよく、具体的には、テレビ広告の視聴者数に関する実績値、詳しくは、視聴率、GRP、リーチ数、及びCPM等でもよい。また、情報取得部34は、広告により宣伝された商品の購入者数や販売数及び発注数/サービスの利用者数及び利用回数、商品又はサービスの売上額、インターネットでの検索数、ホームページの閲覧数、SNSでの投稿数、及び広告により宣伝された店舗への来店者数を効果関連情報として取得してもよい。
また、効果関連情報は、広告の効果を示す定性的な情報でもよく、具体的には、広告にて宣伝された商品又はサービスに対する印象やイメージ等に関するアンケート調査の結果であってもよい。
【0071】
特定部35は、情報取得部34により取得された効果関連情報に基づいて、ポイントが付与された広告主Sが広告枠を利用して放送した広告の効果の度合い、詳しくは、テレビ広告の視聴者数に関する実績値を特定する。また、特定部35は、特定した効果の度合いが所定の基準を満たすか否かを判別する。所定の基準は、テレビ広告の効果の評価尺度として用いられる一般的な基準値でもよく、若しくは、広告主S側で事前に決められた基準値でもよい。
【0072】
判定部36は、広告枠取引にて広告枠を購入(取得)することでポイントが付与された広告主Sを、判定対象として、その広告主Sのポイントの付与履歴及びポイント保有数の少なくとも一方に基づき、予め設定された条件を満たすかどうかを判定する。条件は、下記の第1条件~第3条件の少なくとも一つを含み、第1実施形態では、第1条件~第3条件を含む。
第1条件:第1期間内に付与されたポイントの総数が第1判定値以上であること。
第2条件:上記の第1期間よりも短い第2期間内に付与されたポイントが第2判定値以上であること。
第3条件:ポイント保有数が第3判定値以上であること。
【0073】
第1条件を満たすか否かを判定する場合には、判定対象の広告主Sについて記憶装置20に記憶された履歴情報から、第1期間(例えば、直近の1年間又は数年間)内に付与されたポイントを特定し、その総数(すなわち、合計値)を求めて第1判定値と比較する。ここで、第1判定値は、任意の値に決めることができるが、後述する第1権限の設定の要否を判断する上で適切な値に決められるのが好ましい。
【0074】
第2条件を満たすか否かを判定する場合には、判定対象の広告主Sについて記憶装置20に記憶された履歴情報から、第2期間(例えば、直近の1~数週間あるいは1~数カ月1年間又は数年間)内に付与されたポイントを特定し、その合計値を求めて第2判定値と比較する。ここで、第2判定値は、任意の値に決めることができるが、後述する第2権限の設定の要否を判断する上で適切な値に決められるのが好ましい。
【0075】
第3条件を満たすか否かを判定する場合には、判定対象の広告主Sについて記憶装置20に記憶されたポイント保有数と、第3判定値とを比較する。ここで、第3判定値は、任意の値に決めることができるが、後述する第3A権限~第3C権限の設定の要否を判断する上で適切な値に決められるのが好ましい。
【0076】
判定部36による条件成否の判定については、例えば、広告主Sにポイントが付与された時点で、その広告主Sを判定対象として実施されてもよい。あるいは、ポイントを保有する広告主Sのそれぞれを判定対象として、定期的に、例えば一定の周期で上記の判定が実施されてもよい。あるいは、ポイント保有者である広告主S、又はポイント付与者であるテレビ局Hからの要求が有った場合には、その要求がなされた時点で上記の判定が実施されてもよい。
【0077】
そして、判定対象の広告主Sについて第1条件~第3条件のうち、少なくなくとも一つの条件が満たされる場合、判定部36は、判定対象の広告主Sについて、その時点で満たされている条件に関するフラグ情報を「0(不成立)」から「1(成立)」に切り替える。
【0078】
処理実行部37は、条件を満たす広告主Sに対して、ポイントの使用を促すための処理を実行し、第1実施形態では、ポイントの使用に関連する権限を設定する処理を実行する。
【0079】
具体的に説明すると、処理実行部37は、第1条件を満たす広告主Sに対して、第1権限を設定する処理を実行する。第1権限は、特定広告枠についての広告枠取引を実施するための権限である。特定広告枠は、特定商品に該当し、第1条件を満たした場合に限り取得可能(購入可能)な広告枠である。例えば、第1条件を満たした場合に追加される広告枠や、通常は購入できない人気のテレビ番組の放送時間内に設定された広告枠等が特定広告枠に該当する。
なお、特定広告枠は、金銭の支払いによって取得(購入)できてもよく、ポイントの使用に限り取得できてもよく、あるいは、ポイントと金銭の併用によって取得(購入)できてもよい。
【0080】
つまり、第1権限が設定された広告主S(以下、第1権限者)は、以降の広告枠取引において特定広告枠を購入(取得)することができる。具体的には、第1権限者の情報が広告枠取引支援用のシステムに反映され、例えば、第1権限者が広告枠取引を行う際には、
図6に示すように、特定広告枠を含む広告枠リストが、第1権限者の広告主端末14に表示される。つまり、第1権限者に対して表示される広告枠リストには、特定広告枠が、購入対象として指定可能な状態で表示される。
【0081】
処理実行部37は、第1権限を設定する処理を実行した場合には、第1権限者に対して、第1権限が設定されたことを報知するのが好ましい。これにより、第1権限者である広告主Sが第1権限を活かして広告枠取引を積極的に行うことが期待される。
【0082】
また、第1権限については、その有効期間を設定してもよく、例えば、第1条件を満たした時点から所定期間が経過するまでの期間(具体的には、1年間等)に設定してもよい。この場合には、第1権限者に対して、第1権限の有効期間内に広告枠取引を行う動機付けを与えることができるため、第1権限者である広告主Sが広告枠取引を積極的に行うことが益々期待される。
【0083】
処理実行部37は、第2条件を満たす広告主Sに対して、第2権限を設定する処理を実行する。第2権限は、広告枠の利用条件を指定するための権限である。つまり、第2権限が設定された広告主S(以下、第2権限者)は、以降の広告枠取引において広告枠を購入する際に、
図7に示すように、その広告枠の利用条件を指定することができる。
【0084】
第2権限者が指定可能な利用条件は、特に限定されないが、例えば、複数の広告が放送される広告枠を購入する場合には、その広告枠において第2権限者の広告が放送される順序や時間(つまり、広告枠の利用順序及び利用時間)等が指定できてもよい。また、同じ広告枠において第2権限者の広告の直後に所定の広告(例えば、第2権限者の競合他社の広告等)が放送されるのを制限するという利用条件が指定できてもよい。
【0085】
処理実行部37は、第2権限を設定する処理を実行した場合には、第2権限者に対して、第2権限が設定されたことを報知するのが好ましい。これにより、第2権限者である広告主Sが第2権限を活かして広告枠取引を積極的に行うことが期待される。
【0086】
また、第2権限者が第2権限を行使して利用条件を指定した場合には、減算部32が、第2権限者のポイント保有数から、利用条件の指定に応じた量のポイントを減算してもよい。この場合、第2権限者は、保有するポイントを使用することで利用条件を指定することができるので、第2権限者によるポイント使用を促すことができる。
【0087】
処理実行部37は、第3条件を満たす広告主Sに対して、第3A権限~第3C権限の少なくとも一つの権限を設定する処理を実行する。第3A権限は、第3条件を満たす広告主Sが購入した広告枠について、前述の効果関連情報を入手する権限である。つまり、第3A権限が設定された広告主S(以下、第3A権限者)は、以降の広告枠取引にて購入した広告枠にて放送される広告について、効果を検証したり、効果を示す情報を確認したりすることができる。より詳しく説明すると、情報取得部34が、第3A権限者が広告枠を利用して放送された広告の効果関連情報を取得し、情報取得部34によって取得された効果関連情報が、第3A権限者に対して配信される。これにより、第3A権限者の広告主端末14には、
図8に示すように効果関連情報(詳しくは、第3A権限者が放送したテレビ広告についての効果関連情報)が表示されるようになる。
【0088】
第3B権限は、第3条件を満たす広告主Sが購入した広告枠にて放送される広告の効果の度合いが所定の基準を満たさなかった場合に所定の補填(ギャランティ)を受ける権限である。つまり、第3B権限が設定された広告主S(以下、第3B権限者)は、以降の広告枠取引にて広告枠を購入した場合に、その広告枠にて放送されるテレビ広告の効果について保証を得ることができる。より詳しく説明すると、第3B権限者が購入した広告枠にて第3B権限者の広告が放送された後、特定部35がその広告の視聴者の実績値を特定し、特定された実績値が所定の基準を満たすか否かを判別する。そして、実績値が所定の基準を満たさない場合には、第3B権限者に対して所定の補填がなされる。
【0089】
補填の内容は、特に限定されないが、例えば、広告枠の購入額のうち、実績値と所定の基準との乖離(差分)に応じた額に相当する金銭の返金でもよく、あるいは、上記の差分に応じたポイントを付与することでもよい。
【0090】
また、第3B権限が設定された場合には、減算部32が、第3B権限者のポイント保有数から、上記の補填に応じた量(詳しくは、補填の内容に応じた量)のポイントを減算してもよい。この場合、第3B権限者は、保有するポイントを使用することで補填を受けることができるので、第3B権限者によるポイント使用を促すことができる。
【0091】
第3C権限は、第3条件を満たす広告主Sが保有するポイントの汎用性を向上させる権限である。具体的には、第3C権限が設定された広告主S(以下、第3C権限者)は、広告枠の購入によって付与された広告枠取引用のポイントを、航空機利用によって付与されるマイルポイント等のような別の種類のポイントに変えることができ、あるいは、広告枠取引以外のサービスで使用することができる。より詳しく説明すると、第3C権限者の保有ポイントを別の種類のポイントへ変換するためのデータ処理が実行される。この場合、記憶装置20に記憶された第3C権限者のポイント保有数から、変換分のポイント数が減算される一方で、変換先のポイント数が加算される。あるいは、第3C権限者の保有ポイントを広告枠取引以外のサービスに使用することを許可するためのデータ処理が実行される。
【0092】
第3C権限者の保有ポイントを変換した場合の変換先のポイントの種類、及び、第3C権限者の保有ポイントが使用可能な広告枠取引以外のサービスは、特に限定されないが、ポイント使用の促進を図る上で好適なものに設定されるのが好ましい。
【0093】
以上に説明してきた第3A権限~第3C権限のうち、第3条件を満たす広告主Sに対してどの権限を設定するかは、ポイント管理装置10を構成するサーバコンピュータ12が自動的に決めてもよいし、第3条件を満たす広告主Sによる選択操作に基づいて決めてもよい。なお、第3条件を満たす広告主Sに対しては、第3A権限~第3C権限のすべてを設定してもよい。
【0094】
また、処理実行部37は、第3A権限~第3C権限の少なくとも一つを設定する処理を実行した場合には、その権限が設定された者に対して、当該権限が設定されたことを報知するのが好ましい。これにより、第3A権限~第3C権限が設定された広告主Sがその権限を活かして広告枠取引を積極的に行うことが期待される。
【0095】
(第1実施形態に係るポイント管理フローについて)
次に、第1実施形態に係るポイント管理装置10を用いたポイント管理方法の基本的な流れ(以下、ポイント管理フロー)について説明する。
ポイント管理フローは、
図9に従って進行する。また、ポイント管理フロー中の各ステップ(工程)は、本発明のポイント管理方法を構成する要素に相当し、主として、ポイント管理装置10を構成するサーバコンピュータ12(本発明のコンピュータに相当)によって実行される。
【0096】
ポイント管理フローは、例えば、広告枠取引にて広告主Sが広告枠を購入し、これに伴って広告主Sに対してポイントが付与されることをトリガーとして開始される(S001)。なお、以下では、広告枠の購入によりポイントが付与された広告主Sを「枠取得者」と呼ぶこととする。
【0097】
ポイント管理フローが開始されると、サーバコンピュータ12が、枠取得者のポイント保有数を加算するとともに、枠取得者についてポイント付与に関する履歴情報を記憶装置20に記憶する(S002、S003)。
【0098】
次に、サーバコンピュータ12は、枠取得者のポイント保有数及び履歴情報を参照し、現時点のポイント保有数及びポイント付与履歴に基づいて、枠取得者が上述の条件を満たすかどうかを判定する(S004)。本ステップS004では、枠取得者について、第1条件~第3条件の各々の成否を判定する。
なお、サーバコンピュータ12は、ステップS004での判定結果に応じて、枠取得者について記憶装置20に記憶された各条件の成否に関するフラグ情報を、適宜更新する。
【0099】
そして、枠取得者が第1条件~第3条件の少なくとも一つを満たす場合、サーバコンピュータ12は、枠取得者に対して、ポイント使用を促すための処理として、ポイント使用に関連する権限を設定する処理を実行する。
【0100】
具体的に説明すると、サーバコンピュータ12は、枠取得者について各条件の成否に関するフラグ情報を記憶装置20から読み出し、第1条件~第3条件のうち、その時点で満たされている条件を特定する。そして、枠取得者が第1条件を満たす場合(S005でYes)、サーバコンピュータ12は、枠取得者に対して第1権限を設定する処理を実行する(S006)。第1権限が設定された枠取得者は、以降の広告枠取引において特定広告枠を購入(取得)することができる。
【0101】
また、枠取得者が第2条件を満たす場合(S007でYes)、サーバコンピュータ12は、枠取得者に対して第2権限を設定する処理を実行する(S008)。第2権限が設定された枠取得者は、以降の広告枠取引において広告枠を購入する際に、その広告枠の利用条件、例えば、広告枠の利用順序や利用時間、若しくは同一広告枠内において競合他社の広告と併存することへの制限等を指定することができる。
なお、枠取得者が第2権限を行使して利用条件を指定した場合、サーバコンピュータ12は、枠取得者のポイント保有数から、利用条件の指定に応じた量のポイントを減算する。
【0102】
また、枠取得者が第3条件を満たす場合(S009でYes)、サーバコンピュータ12は、枠取得者に対して第3A権限~第3C権限の少なくとも一つの権限を設定する処理を実行する(S010)。第3A権限が設定された枠取得者は、以降の広告枠取引にて購入した広告枠について、その広告枠にて放送される広告の効果関連情報を入手することができる。第3B権限が設定された枠取得者は、以降の広告枠取引にて購入した広告枠にて放送される広告の効果の度合いが所定の基準を満たさなかった場合に補填を受けることができる。第3C権限が設定された枠取得者は、保有ポイントを別の種類のポイントに変えることができ、若しくは広告枠取引以外のサービスに使用することができる。
なお、枠取得者に対して第3B権限が設定された場合、サーバコンピュータ12は、枠取得者のポイント保有数から、上記の補填に応じた量のポイントを減算する。
【0103】
以上までの一連の工程(ステップ)は、例えば、広告枠の購入に伴って広告主Sにポイントが付与される度に繰り返し実施される。
【0104】
以上までに説明してきたように、第1実施形態では、広告枠の購入に伴ってポイントが付与された広告主Sが条件を満たす場合に、ポイント使用を促すための処理を実行する。具体的には、条件を満たす広告主Sに対して、ポイントの使用に関して一定の恩恵が受けられる有利な権限を設定する。これにより、権限が設定された広告主Sは、権限による恩恵を受けて、自分の保有ポイントを積極的に使用するようになる。この結果、ポイント付与によって広告枠取引を活性化させるという狙い(目的)を効果的に達成することができる。
【0105】
また、第1実施形態では、条件の内容に応じて異なる権限を設定し、例えば、第1条件を満たす場合には、特定広告枠を購入(取得)するための第1権限が設定される。特定広告枠は、広告主Sにとって魅力がある広告枠であるため、第1権限を設定することで、第1条件を満たす広告主Sを、ポイント使用へ効果的に誘導することができる。
【0106】
また、第2条件を満たす場合には、広告枠の利用条件を指定できる第2権限が設定される。広告枠の利用条件を指定できることは、広告枠を利用する広告主Sにとって重要なことであるため、第2権限を設定することで、第2条件を満たす広告主Sを、ポイント使用へ効果的に誘導することができる。
【0107】
また、第3条件を満たす場合には、広告の効果関連情報を入手できる第3A権限、広告の効果の度合いが所定の基準を満たさなかった場合に補填を受けることができる第3B権限、保有ポイントを別の種類のポイントに変えたり広告枠取引以外のサービスに使用できたりする第3C権限が設定される。これらの恩恵は、いずれも、広告主Sにとって有益であるため、第3A権限~第3C権限を設定することで、第3条件を満たす広告主Sを、ポイント使用へ効果的に誘導することができる。
【0108】
(第1実施形態の変形例について)
上述した実施形態では、広告主Sが満たす条件の内容に応じて、広告主Sに設定される権限の種類が異なることとしたが、このケースには限定されない。例えば、条件を満たす広告主Sに対して設定される権限が一種類のみであってもよい。
【0109】
また、上述した実施形態では、第1条件を満たした場合に第1権限が設定され、第2条件を満たした場合に第2権限が設定され、第3条件を満たした場合に第3A権限~第3C権限が設定されることとした。ただし、条件と権限との対応関係は、上述のケースに限定されず、任意の関係でよく、例えば、第2条件を満たした場合に第1権限が設定されてもよいし、第3条件を満たした場合に第2権限が設定されてもよいし、第1条件を満たした場合に第3A権限~第3C権限が設定されてもよい。
【0110】
また、上述した実施形態では、条件として、第1条件、第2条件及び第3条件が用いられたが、これらに限定されず、他の条件であってもよい。例えば、ポイントの付与時点から所定期間が経過するという条件(以下、第4条件)を用いてもよい。第4条件を満たすか否かを判定する場合には、判定対象の広告主Sについて記憶装置20に記憶された履歴情報から、ポイント付与時点から所定時間が経過したポイントの有無、例えば、有効期限の終了日までの残り日数が所定日数以下であるポイントの有無を特定することになる。
【0111】
<<本発明の第2実施形態について>>
以下、本発明の第2実施形態(以下、単に第2実施形態と称する)に係るポイント管理装置及びポイント管理方法について説明する。なお、第2実施形態については、主として、第1実施形態と相違する点について説明することとする。
【0112】
(第2実施形態に係るポイント管理装置の構成及び機能)
第2実施形態に係るポイント管理装置10は、第1実施形態と同様にサーバコンピュータ12からなり、その構成及び機能は、第1実施形態と略共通する。一方、第2実施形態では、処理実行部37が、条件を満たす広告主Sに対して、当該広告主Sが保有するポイントに関する使用制限を解除する処理を実行する。具体的に説明すると、処理実行部37は、条件を満たす広告主Sに対して、下記の第1解除処理及び第2解除処理の一方又は両方を実行する。
なお、第2実施形態において、条件は、前述した第1条件~第4条件のいずれか一つであってもよく、あるいは、複数の条件の組み合わせであってもよい。以下では、第4条件が用いられるケースを例に挙げて説明することとする。
【0113】
第1解除処理は、ポイントの使用を広告枠取引に制限する使用制限が設けられている場合に、その制限を解除し、広告枠取引以外の目的でのポイントの使用を許可する処理である。第1解除処理の一例としては、ポイントの使用を広告枠(第1商品に相当)の商取引に制限する使用制限を解除し、広告枠とは異なる種類の商品(第2商品に相当)の商取引におけるポイントの使用を許可する処理が挙げられる。この場合の第1解除処理では、条件を満たした広告主Sの保有ポイントを、広告枠以外の他の商品の商取引で使用可能とするために、当該他の商品を提供する事業者との連携を取るためのデータ処理を実行する。
なお、広告枠と異なる種類の商品(第2商品)は、特に限定されず、自由に決めてもよい。
【0114】
第1解除処理の別例としては、ポイントの使用を広告枠取引に制限する使用制限を解除し、商品の商取引以外の目的でのポイントの使用を許可する処理が挙げられる。この場合の第1解除処理では、条件を満たした広告主Sの保有ポイントを商取引以外の目的で使用可能とするために、当該目的に関与する者(事業者)との連携を取るためのデータ処理を実行する。
なお、商取引以外の目的には、慈善事業、寄付、及び、金銭又は有価ポイントを応援相手に贈呈する所謂「投げ銭」等が含まれてもよい。
【0115】
第2解除処理は、対象広告枠の提供者であるテレビ局Hと対応付けられたポイント(以下、対応付けポイント)の使用に対する使用制限が設けられている場合に、その制限を解除する処理である。より詳しく説明すると、あるテレビ局H(第1提供者に相当)が提供する広告枠を取得した広告主Sに対してポイントが付与された場合に、その広告枠の取得によって付与されたポイントの保有数は、対応付けポイントして、上記のテレビ局Hと対応付けられる。第2解除処理では、対応付けポイントの使用を上記のテレビ局Hとの商取引に制限する使用制限を解除し、上記のテレビ局Hとは異なる事業者(以下、他の事業者)との商取引において対応付けポイントの使用を許可する。他の事業者は、第2提供者に相当し、例えば、対応付けポイントと対応付けられたテレビ局H以外のテレビ局H、あるいは、テレビ局H以外の事業者、つまり広告枠以外の商品を提供する事業者等が該当する。
【0116】
第2解除処理の具体的な処理内容、つまり、対応付けポイントを他の事業者との商取引に使用可能とする手段については、特に限定されない。例えば、第2解除処理として、対応付けポイントである第1ポイントを、他の事業者との商取引に使用可能な第2ポイントに変換する処理を実行してもよい。
図10に示すケースを例に挙げて具体的に説明すると、例えば、ある広告主Sが、広告枠取引においてテレビ局Hの一つであるA局の広告枠を購入した場合、その広告主Sに対して、A局と対応付けられたポイント(対応付けポイント)が付与される。この対応付けポイントは、第1ポイントに相当し、対応付けポイントの使用は、当初、A局との広告枠取引での使用に制限される。そして、対応付けポイントが付与された広告主Sが条件を満たした場合には、第2解除処理が実行されて、対応付けポイントが、他のテレビ局HであるB局との広告枠取引に使用可能なポイント(第2ポイント)に変換される。
【0117】
また、処理実行部37は、第2解除処理を実行して上記のポイント変換を行う際に、条件を満たす広告主Sの対応付けポイント(第1ポイント)の保有数から、予め設定された量の第1ポイントを差し引き、差し引き後の第1ポイントを第2ポイントに変換する。
図10に示すケースでは、第1ポイントの保有数が1000ポイントであり、そこから200ポイントを差し引き、残り800ポイントを第2ポイントに変換する。
【0118】
差し引かれた第1ポイントは、第1ポイントを付与したテレビ局H(換言すると、対応付けポイントと対応付けられたテレビ局H)に譲渡されてもよい。これにより、第1ポイントが第2ポイント変換された場合でも、第1ポイントの付与者であるテレビ局H(
図10のケースでは、A局)が一定のメリットを享受することができる。
なお、ポイント変換に際して差し引かれる第1ポイントの量は、任意に決めることができるが、条件を満たす広告主Sが受ける恩恵と、第1ポイントの付与者であるテレビ局Hが受ける恩恵とのバランスを考慮して、好適な量に設定されるのが好ましい。
【0119】
また、処理実行部37は、第1解除処理/第2解除処理を実行した場合には、解除処理によって使用制限が解除された広告主Sに対して、使用制限が解除されたことを報知するのが好ましい。これにより、上記の広告主Sがポイントを積極的に使用することが期待される。
【0120】
(第2実施形態に係るポイント管理方法)
次に、第2実施形態に係るポイント管理装置10を用いたポイント管理方法の基本的な流れ、すなわちポイント管理フローについて説明する。
第2実施形態に係るポイント管理フローは、
図11に従って進行し、第1実施形態と同様、フロー中の各ステップは、主として、ポイント管理装置10を構成するサーバコンピュータ12によって実行される。また、第2実施形態に係るポイント管理フローは、広告枠取引にて広告枠を購入した広告主Sに対してポイントが付与されることをトリガーとして開始される(S021)。
【0121】
ポイント管理フローが開始してから、広告枠の購入によりポイントが付与された広告主S(枠取得者)について条件の成否を判定するまでの工程は、第1実施形態と同様である(S022~S024)。そして、枠取得者が条件を満たす場合(S025でYes)、サーバコンピュータ12は、枠取得者に対して、ポイント使用を促すための処理として、第1解除処理及び第2解除処理のいずれか一方、あるいは両方を実行する(S026)。
【0122】
第1解除処理を実行する場合、サーバコンピュータ12は、枠取得者によるポイントの使用を広告枠取引に制限する使用制限を解除し、広告枠取引以外の目的でのポイントの使用を許可する。例えば、広告枠とは異なる種類の商品の商取引におけるポイント使用を許可してもよく、あるいは、商品の商取引以外の目的でのポイント使用を許可してもよい。
【0123】
第2解除処理を実行する場合、サーバコンピュータ12は、枠取得者が保有するポイントであって、対象広告枠の提供者であるテレビ局Hと対応付けられた対応付けポイントである第1ポイントを、他の事業者との商取引において使用可能な第2ポイントに変換する。
なお、第2解除処理において上記のポイント変換を行う際、サーバコンピュータ12は、枠取得者の第1ポイントの保有数から、予め設定された量の第1ポイントを差し引き、差し引き後の第1ポイントを第2ポイントに変換する。
【0124】
以上までの一連の工程(ステップ)は、例えば、広告枠の購入に伴って広告主Sにポイントが付与される度に繰り返し実施される。
【0125】
以上までに説明してきたように、第2実施形態では、広告枠の購入に伴ってポイントが付与された広告主Sが条件を満たす場合に、ポイント使用を促すための処理として、ポイントの使用に関する制限を解除する。このように使用制限が解除されることで、広告主Sが保有ポイントを使用し易くなる。具体的に説明すると、第2実施形態では、条件を満たす広告主Sに対して、第1解除処理及び第2解除処理のうち、いずれか一方又は両方を実行する。
【0126】
そして、第1解除処理を実行する場合、条件を満たす広告主Sは、保有ポイントを広告枠取引以外の目的で使用することができる。これにより、上記の広告主Sによるポイント使用を容易に促進させることができる。
また、第2解除処理を実行する場合、条件を満たす広告主Sは、対象広告枠を提供したテレビ局Hと対応付けられたポイントを、他の事業者との商取引に使用することができる。これにより、上記の広告主Sによるポイント使用を容易に促進させることができる。
以上のようにポイント使用が促進される結果、ポイント付与によって広告枠取引を活性化させるという狙い(目的)を効果的に達成することができる。
【0127】
(第2実施形態の変形例について)
上述した実施形態では、条件を満たす広告主Sに対して実行される解除処理が、前述の第1解除処理及び第2解除処理であったが、この以外の解除処理が含まれてもよい。例えば、広告枠取引にてポイントを使用して取得可能な広告枠が限られる場合に、その制限を解除し、通常はポイントの使用では取得(購入)できない広告枠のポイント使用による取得を許可する解除処理が含まれてもよい。
【0128】
また、上述した実施形態では、第2解除処理にて第1ポイントを第2ポイントに変換する際に、条件を満たす広告主Sの第1ポイントの保有数から所定量の第1ポイントを差し引き、差し引き後の第1ポイントを第2ポイントに変換することとした。ただし、これに限定されず、第1ポイントを差し引くことなく、条件を満たす広告主Sの第1ポイントの保有数をすべて第2ポイントに変換してもよい。この際の変換レートは、取引の実情を考慮した上で、任意に決めることができる。
【0129】
<<その他の実施形態>>
以上までに、本発明のポイント管理装置及びポイント管理方法について具体的な実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)を挙げて説明してきたが、上述した実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の実施形態も考えられ得る。
【0130】
上記の実施形態では、ポイントが付与された広告主Sについて条件を満たすかどうかを判定する際に、その広告主Sのポイント保有数及びポイント付与履歴に基づいて判定した。ただし、これに限定されず、ポイント保有数及びポイント付与履のうちのいずれか一方に基づいて判定してもよい。
【0131】
上記の実施形態では、ポイントの使用を促す処理として、ポイントの使用に関する有利な権限を設定する処理や、ポイント使用に対する制限を解除する処理を挙げたが、これに限定されるものではない。ポイントの使用を促す処理は、条件を満たす広告主Sが恩恵を受けられる(詳しくは、条件を満たしていない場合よりも優遇される)ものであれば、上記以外の処理であってもよい。
【0132】
上記の実施形態では、第1実施形態と、第2実施形態とを別々の形態として説明したが、これら2つの実施形態を組み合わせた実施形態であってもよい。
【0133】
上記の実施形態では、広告枠を購入した広告主Sに対してポイントが付与されるケースを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、広告会社等が広告枠取引を仲介する目的で広告枠をテレビ局Hから買い取った場合には、広告会社等にポイントが付与されてもよい。かかるケースにおいて、ポイントが付与された広告会社等が上述の条件(詳しくは、第1条件~第4条件)を満たす場合、その広告会社等に対して、ポイント使用を促す処理を実行するとよい。
【0134】
また、ポイント付与の条件は、広告枠の購入に限られず、例えば、広告主Sが所定の行動を行った場合、具体的には、広告枠取引を行うために広告枠取引支援用のシステムにログインした場合にポイントが付与されてもよい。この場合のポイント付与者は、テレビ局Hに限定されず、他の者(具体的には、システム運営会社等)であってもよい。
【符号の説明】
【0135】
10 ポイント管理装置
12 サーバコンピュータ(コンピュータ)
14 広告主端末
16 調査用サーバ
18 ネットワーク
20 記憶装置
31 加算部
32 減算部
33 履歴情報記憶部
34 情報取得部
35 特定部
36 判定部
37 処理実行部
S 広告主
H テレビ局
【要約】
【課題】ポイント付与による商取引の活性化を推進させるための装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、商品の商取引に使用可能なポイントを管理するポイント管理装置及びポイント管理方法であって、ポイントが付与された取引者について、ポイントの付与履歴、及びポイントの保有数の少なくとも一方に基づき、予め設定された条件を満たすかどうかを判定し、当該条件を満たす取引者に対して、ポイントの使用を促すための処理を実行する。
【選択図】
図9