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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ばね部材
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/18 20060101AFI20221201BHJP
   F16F 1/22 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
F16F1/18 Z
F16F1/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022551606
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007909
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2021029867
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳男
(72)【発明者】
【氏名】今泉 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】田島 典拓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀志
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-010149(JP,U)
【文献】実開昭53-129030(JP,U)
【文献】特許第5703737(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/18
F16F 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向で互いに対向する一対の被押圧体の間に設けられるばね部材であって、
前記第1方向に積層された複数の基板部を備え、
それぞれの前記基板部に、一対の前記被押圧体のうちのいずれか一方の被押圧体に向けて突出し、一対の前記被押圧体を互いが前記第1方向に離反する向きに付勢する複数のばね突片が形成され、
前記第1方向で互いに隣り合う2つの前記基板部のうち、前記一方の被押圧体寄りに位置する前記基板部には、もう一方の前記基板部の前記ばね突片が、前記第1方向に貫通した状態で挿通された挿通孔が形成され、
前記第1方向に直交する平面に沿う沿面方向において、前記ばね突片が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所におけるばね定数が、他の個所におけるばね定数と異なっている、ばね部材。
【請求項2】
複数の前記基板部の、少なくとも1つの基板部に形成された複数の前記ばね突片のうち、前記一部の個所に設けられた前記ばね突片の体積が、前記他の個所に設けられた前記ばね突片の体積と異なっている、請求項1に記載のばね部材。
【請求項3】
前記一部の個所に位置する前記ばね突片の数量が、前記他の個所に位置する前記ばね突片の数量と異なるとともに、同一の個所に位置する複数の前記ばね突片は、前記第1方向に積層されている、請求項1または2に記載のばね部材。
【請求項4】
複数の前記基板部のうち、少なくとも1つの前記基板部を形成する材料のヤング率は、他の前記基板部を形成する材料のヤング率と異なっている、請求項1から3のいずれか1項に記載のばね部材。
【請求項5】
前記基板部のうち、前記被押圧体に当接する部分の少なくとも一部は、この被押圧体に対して電気的に絶縁され、
一対の前記被押圧体を、電気的に絶縁した状態で互いが前記第1方向に離反する向きに付勢する、請求項1から4のいずれか1項に記載のばね部材。
【請求項6】
第1方向で互いに対向する一対の被押圧体の間に設けられるばね部材であって、
表裏面が前記第1方向を向く基板部を1つ備え、
前記基板部に、前記第1方向に突出し、一対の前記被押圧体を互いが前記第1方向に離反する向きに付勢する複数のばね突片が形成され、
複数の前記ばね突片のうち、少なくとも一部の前記ばね突片の厚さが、他の前記ばね突片の厚さと異なっている、ばね部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね部材に関する。
本願は、2021年2月26日に日本に出願された特願2021-029867号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、第1方向で互いに対向する一対の被押圧体の間に設けられ、表裏面が第1方向を向く基板部を備え、基板部に、第1方向に突出した複数のばね突片が形成され、ばね突片が、一対の被押圧体を互いが第1方向に離反する向きに付勢するばね部材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許第5703737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のばね部材では、第1方向に直交する平面に沿う沿面方向の複数の位置の間で、ばね定数を異ならせることができず、例えば、ばね部材を適用可能な製品の構造や種類に制限が生じやすい等の問題がある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、第1方向に直交する平面に沿う沿面方向の複数の位置の間で、ばね定数を異ならせることができるばね部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の第1の態様のばね部材は、第1方向で互いに対向する一対の被押圧体の間に設けられるばね部材であって、前記第1方向に積層された複数の基板部を備え、それぞれの前記基板部に、一対の前記被押圧体のうちのいずれか一方の被押圧体に向けて突出し、一対の前記被押圧体を互いが前記第1方向に離反する向きに付勢する複数のばね突片が形成され、前記第1方向で互いに隣り合う2つの前記基板部のうち、前記一方の被押圧体寄りに位置する前記基板部には、もう一方の前記基板部の前記ばね突片が、前記第1方向に貫通した状態で挿通された挿通孔が形成され、前記第1方向に直交する平面に沿う沿面方向において、前記ばね突片が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所におけるばね定数が、他の個所におけるばね定数と異なっている。
【0007】
この第1の態様によれば、第1方向に直交する平面に沿う沿面方向において、ばね突片が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所におけるばね定数が、他の個所におけるばね定数と異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材を得ることができる。
第1方向に積層された複数の基板部を備えているので、複数のばね突片の例えばヤング率等の物性値の選択の幅を容易に広げること等が可能になり、ばね部材を適用可能な製品に構造や種類上の制限を生じさせにくくすることができる。
【0008】
本発明の第2の態様のばね部材は、第1方向で互いに対向する一対の被押圧体の間に設けられるばね部材であって、表裏面が前記第1方向を向く基板部を1つ備え、前記基板部に、前記第1方向に突出し、一対の前記被押圧体を互いが前記第1方向に離反する向きに付勢する複数のばね突片が形成され、複数の前記ばね突片のうち、少なくとも一部の前記ばね突片の厚さが、他の前記ばね突片の厚さと異なっている。
【0009】
この第2の態様によれば、複数のばね突片のうち、少なくとも一部のばね突片の厚さが、他のばね突片の厚さと異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材を容易に得ることができる。
【0010】
前記第1の態様において、複数の前記基板部の、少なくとも1つの基板部に形成された複数の前記ばね突片のうち、前記一部の個所に設けられた前記ばね突片の体積が、前記他の個所に設けられた前記ばね突片の体積と異なってもよい。
【0011】
この場合、ばね突片の体積が、前記1つの基板部に形成された複数のばね突片のうち、一部の個所に設けられたばね突片と、他の個所に設けられたばね突片と、で互いに異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材を容易に得ることができる。
【0012】
前記第1の態様において、前記一部の個所に位置する前記ばね突片の数量が、前記他の個所に位置する前記ばね突片の数量と異なるとともに、同一の個所に位置する複数の前記ばね突片は、前記第1方向に積層されてもよい。
【0013】
この場合、沿面方向において、ばね突片が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所に位置するばね突片の数量が、他の個所に位置するばね突片の数量と異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材を容易に得ることができる。
【0014】
前記第1の態様において、複数の前記基板部のうち、少なくとも1つの前記基板部を形成する材料のヤング率は、他の前記基板部を形成する材料のヤング率と異なってもよい。
【0015】
この場合、複数の基板部のうち、少なくとも1つの基板部を形成する材料のヤング率が、他の基板部を形成する材料のヤング率と異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材を容易に得ることができる。
【0016】
前記第1の態様において、前記基板部のうち、前記被押圧体に当接する部分の少なくとも一部は、この被押圧体に対して電気的に絶縁され、一対の前記被押圧体を、電気的に絶縁した状態で互いが前記第1方向に離反する向きに付勢してもよい。
【0017】
この場合、一対の被押圧体を、電気的に絶縁した状態で互いが第1方向に離反する向きに付勢するので、一対の被押圧体間の電気的な絶縁を要する製品に好適なばね部材を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、第1方向に直交する平面に沿う沿面方向の複数の位置の間で、ばね定数を異ならせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】第1実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図1B図1Aの1B-1B線矢視断面図である。
図2A】第2実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図2B図2Aの2B-2B線矢視断面図である。
図3A】第3実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図3B図3Aの3B-3B線矢視断面図である。
図4A】第4実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図4B図4Aの4B-4B線矢視断面図である。
図5A】第5実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図5B図5Aの5B-5B線矢視断面図である。
図6】第6実施形態のばね部材の要部を示す第1方向および第2方向に沿う縦断面図である。
図7A】第7実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図7B図7Aの7B-7B線矢視断面図である。
図8A】第8実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図8B図8Aの8B-8B線矢視断面図である。
図9A】第9実施形態のばね部材を第1方向から見た平面図である。
図9B図9Aの9B-9B線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るばね部材の第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態のばね部材1は、図1Aおよび図1Bに示されるように、第1方向Zで互いに対向する一対の被押圧体W1、W2の間に設けられる。ばね部材1は、第1方向Zに積層された複数の基板部11a、11bを備えている。基板部11a、11bは、各々の表裏面が第1方向Zに向けられた状態で設けられている。第1方向Zで互いに隣り合う基板部11a、11bは、例えば溶接、加締め、枠体、ピン、若しくは締結部材等により互いに固定されている。基板部11a、11bは、例えば炭素鋼、若しくはステンレス鋼等で形成されている。
なお、第1方向Zで互いに隣り合う基板部11a、11bは、枠体、若しくはピン等により、第1方向Zに直交する平面に沿う沿面方向(すなわち当該平面に平行な方向、または第1方向Zに直交する方向)で互いに位置決めされてもよい。
【0021】
それぞれの基板部11a、11bに、一対の被押圧体W1、W2のうちのいずれか一方の被押圧体に向けて突出し、一対の被押圧体W1、W2を互いが第1方向Zに離反する向きに付勢する複数のばね突片12が形成されている。
【0022】
ばね突片12は、一端部(以下、基端部12aという)が基板部11a、11b(基板部11a、11bのうち、前記沿面方向に沿う部分)に連結された固定端とされ、かつ他端部(以下、先端部12bという)が自由端とされて片持ち支持されている。
ばね突片12は、第1方向Zから見て、4つの辺部分を有する矩形状を呈する。ばね突片12は、第1方向Zから見て、4つの辺部分のうちの対辺の長さが互いに等しい矩形状を呈する。なお、ばね突片12は、第1方向Zから見て、台形状等を呈してもよい。
【0023】
前記4つの辺部分のうちの1つが、基板部11a、11bに連結された基端部12aとされ、かつ基端部12aと対辺をなす他の1つが、先端部12bとされ、ばね突片12は、基端部12aから先端部12bに向かうに従い、前記一方の被押圧体に向けて延びている。言い換えれば、ばね突片12は、第1方向Zに平行かつ前記一方の被押圧体に向かう方向と、沿面方向のうちの一方向と、に向けて斜めに延びている。図1Bに示すように、ばね突片12の表裏面は、基端部12aから先端部12bに向けて直線状に延びている。なお、ばね突片12の表裏面は、基端部12aから先端部12bに向けて曲線状に延びてもよい。
【0024】
基板部11a、11bの、各基板部に形成された複数のばね突片12が、第1方向Zに直交する平面に沿う沿面方向において、基端部12aから先端部12bに向けて延びる向きは互いに同じになっている。この向きは、基板部11a、11bにおいても互いに同じになっている。
以下、沿面方向のうち、ばね突片12における基端部12aおよび先端部12bに直交する方向を第2方向Xといい、ばね突片12における基端部12aおよび先端部12bに沿う方向を第3方向Yという。
【0025】
ばね突片12は、第2方向Xに同等のピッチ間隔をあけて複数設けられるとともに、第3方向Yに同等のピッチ間隔をあけて複数設けられている。本実施形態において、第2方向Xの間隔と第3方向Yの間隔は互いに異なっているが、同等でもよい。
なお、第2方向Xおよび第3方向Yそれぞれのピッチ間隔を、不均一にしてもよいし、基板部11a、11bにおいて互いに異ならせる等してもよい。
【0026】
基板部11a、11bの、各基板部に形成された複数のばね突片12が、第1方向Zに突出する向きは互いに同じになっている。この向きは、基板部11a、11bにおいても互いに同じになっている。図1Bに示すように、複数のばね突片12は、一対の被押圧体W1、W2のうちの第1被押圧体W1に向けて突出している。
なお、基板部11a、11bの、各基板部に形成された複数のばね突片12のうち、一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で第1方向Zに突出する向きを互いに逆向きにしてもよい。
【0027】
基板部11a、11bの、各基板部に形成された複数のばね突片12の先端部12bの、第1方向Zの位置は互いに同じになっている。なお、これら先端部12bの第1方向Zの位置を互いに異ならせてもよい。
基板部11a、11bの、各基板部に形成された複数のばね突片12の、第1方向Zに対する傾斜角度は互いに同等になっている。この傾斜角度は、基板部11a、11bにおいても互いに同等になっている。なお、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12の前記傾斜角度を、他のばね突片12の前記傾斜角度と異ならせてもよい。
【0028】
第1方向Zで互いに隣り合う2つの基板部11a、11bのうち、第1被押圧体W1寄りに位置する第1基板部11aには、もう一方の第2基板部11bのばね突片12が、第1方向Zに貫通した状態で挿通された第1挿通孔13が複数形成されている。
第1挿通孔13は、それぞれの基板部11a、11bにおいて、複数のばね突片12と第1方向Zで対向する全ての位置に各別に設けられている。第1挿通孔13の大きさは、それぞれの基板部11a、11bにおいて、第1挿通孔13と第1方向Zで対向するばね突片12の大きさ以上となっている。本実施形態では、ばね突片12および第1挿通孔13は、プレス成形により形成されている。
【0029】
沿面方向において、ばね突片12が設けられている全ての個所で、2つの基板部11a、11bに形成されたばね突片12が、第1方向Zに積層されている。第1方向Zに積層されたばね突片12における第3方向Yの中央部は、互いに一致している。
【0030】
そして、本実施形態のばね部材1では、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所R1におけるばね定数が、他の個所R2におけるばね定数と異なっている。ばね突片12の体積が、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で互いに異なっている。言い換えれば、複数の基板部11a、11bの、少なくとも1つの基板部(本実施形態では基板部11b)に形成された複数のばね突片12のうち、個所R1に設けられたばね突片12の体積が、個所R2に設けられた他のばね突片12の体積と異なっている。ばね突片12の長さ、幅、および厚さのうちの少なくとも1つが、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で互いに異なっている。言い換えれば、複数の基板部11a、11bの、少なくとも1つの基板部(本実施形態では基板部11b)に形成された複数のばね突片12のうち、個所R1に設けられたばね突片12の長さ、幅、および厚さのうちの少なくとも1つが、個所R2に設けられた他のばね突片12と異なっている。
なお、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12について、長さ、幅、および厚さといった外形寸法を互いに同じにしたうえで、ばね突片12に厚さ方向に貫く貫通孔を形成することによって、ばね突片12の体積を、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で互いに異ならせてもよい。
【0031】
図1Aおよび図1Bに示すように、2つの基板部11a、11bのうち、第1被押圧体W1寄りに位置する第1基板部11aに形成された複数のばね突片12は、互いに同じ大きさ(体積)で形成され、もう一方の第2基板部11bに形成された複数のばね突片12のうち、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域(個所R1を含む)に位置するばね突片12の幅(第3方向Yの大きさ)が、第2基板部11bの外周縁部(個所R2を含む)に位置するばね突片12の幅より狭くなっている。言い換えれば、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12のうち、個所R1に設けられた一部のばね突片12の幅や体積は、個所R2に設けられた他のばね突片12の幅や体積よりも少ない。
【0032】
第2基板部11bの外周縁部に位置するばね突片12の幅は、第1基板部11aに形成されたばね突片12の幅と同等になっている。2つの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12の長さは、互いに同等とされ、2つの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12の厚さは、互いに同等になっている。2つの基板部11a、11bは、同じ材質で形成されている。2つの基板部11a、11bの厚さは、同じになっている。
以上より、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材1の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材1における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より高くなっている。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材1によれば、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所におけるばね定数が、他の個所におけるばね定数と異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材1を得ることができる。
第1方向Zに積層された複数の基板部11a、11bを備えているので、複数のばね突片12の例えばヤング率等の物性値の選択の幅を容易に広げること等が可能になり、ばね部材1を適用可能な製品に構造や種類上の制限を生じさせにくくすることができる。
【0034】
ばね突片12の体積が、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で互いに異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材1を容易に得ることができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態に係るばね部材2を、図2Aおよび図2Bを参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0036】
本実施形態のばね部材2では、第1基板部11aに形成された複数のばね突片12は、互いに同じ大きさ(体積)で形成され、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12のうち、一部のばね突片12の長さ(第2方向Xの大きさ)が、他のばね突片12の長さと異なっている。図2Aおよび図2Bに示すように、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域(個所R1を含む)に位置するばね突片12の長さが、第2基板部11bの外周縁部(個所R2を含む)に位置するばね突片12の長さより短くなっている。
【0037】
第2基板部11bの外周縁部に位置するばね突片12の長さは、第1基板部11aに形成されたばね突片12の長さと同等になっている。2つの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12の幅は、互いに同等とされ、2つの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12の厚さは、互いに同等になっている。
以上より、ばね部材2では、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材2の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材2における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より低くなっている。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材2によれば、ばね突片12の長さが、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で互いに異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材2を容易に得ること等ができる。
【0039】
次に、本発明の第3実施形態に係るばね部材3を、図3Aおよび図3Bを参照しながら説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0040】
本実施形態のばね部材3では、第1基板部11aに形成された複数のばね突片12は、互いに同じ大きさに形成され、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12のうち、一部のばね突片12の厚さが、他のばね突片12の厚さと異なっている。図3Aおよび図3Bに示すように、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域(個所R1を含む)に位置するばね突片12の厚さが、第2基板部11bの外周縁部(個所R2を含む)に位置するばね突片12の厚さより薄くなっている。
【0041】
第2基板部11bの外周縁部に位置するばね突片12の厚さは、第1基板部11aに形成されたばね突片12の厚さと同等になっている。2つの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12の長さは、互いに同等とされ、2つの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12の幅は、互いに同等になっている。
以上より、ばね部材3では、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材3の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材3における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より高くなっている。
【0042】
図3Bに示すように、第1基板部11aの厚さは、全域にわたって同じになっている。第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域の厚さは、第2基板部11bの外周縁部の厚さより薄くなっている。第2基板部11bの外周縁部の厚さは、第1基板部11aの厚さと同じになっている。
第2基板部11bの表裏面のうち、一対の被押圧体W1、W2のうちの第2被押圧体W2を向く面における沿面方向の中央領域に、凹部11cが形成されることで、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域の厚さが、第2基板部11bの外周縁部の厚さより薄くなっている。凹部11cは、例えばエッチング、切削、若しくはプレス等により形成される。本実施形態における複数のばね突片12は、凹部11cの形成後に、プレス成形により形成されている。
【0043】
なお、凹部11cの形成時に、例えば加工硬化等が生じ、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域が硬くなると、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材3の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材3における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より低くなる場合がある。
凹部11cは、第2基板部11bの表裏面のうち、一対の被押圧体W1、W2のうちの第1被押圧体W1を向く面に形成してもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材3によれば、ばね突片12の厚さが、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で互いに異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材3を容易に得ること等ができる。
【0045】
次に、本発明の第4実施形態に係るばね部材4を、図4Aおよび図4Bを参照しながら説明する。
なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0046】
本実施形態のばね部材4では、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12が、互いに同じ大きさで形成されている。第2基板部11bのうち、外周縁部(個所R2を含む)にのみ複数のばね突片12が形成され、沿面方向の中央領域(個所R1を含む)には、ばね突片12が形成されておらず、沿面方向の中央領域は、平坦に形成されている。
【0047】
これにより、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材4の外周縁部に設けられている各個所に位置するばね突片12の数量が、ばね部材4における沿面方向の中央領域に設けられている各個所に位置するばね突片12の数量より多くなっている。すなわち、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所に位置するばね突片12の数量が、他の個所に位置するばね突片12の数量と異なっている。
【0048】
図4Bに示すように、ばね部材4の外周縁部に設けられている各個所に位置するばね突片12の数量は2つとされ、これらのばね突片12は、第1方向Zで積層され、ばね部材4における沿面方向の中央領域に設けられている各個所に位置するばね突片12の数量は、1つとなっている。すなわち、個所R2では、基板部11a、11bの2つのばね突片12が互いに積層され、個所R1では、基板部11aのばね突片12のみが設けられている。
以上より、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材4の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材4における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より高くなっている。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材4によれば、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、少なくとも一部の個所に位置するばね突片12の数量が、他の個所に位置するばね突片12の数量と異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材4を容易に得ること等ができる。
【0050】
次に、本発明の第5実施形態に係るばね部材5を、図5Aおよび図5Bを参照しながら説明する。
なお、この第5実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0051】
本実施形態のばね部材5では、基板部11a、11bの、各基板部に形成された複数のばね突片12が、互いに同じ大きさで形成されている。
第1基板部11aのうち、外周縁部にのみ複数のばね突片12が形成され、沿面方向の中央領域には第2挿通孔14が形成されている。第2挿通孔14は、第2基板部11bに形成されたばね突片12より大きくなっている。第2基板部11bのうち、沿面方向の中央領域にのみ複数のばね突片12が形成され、外周縁部には、ばね突片12が形成されておらず、外周縁部は、平坦に形成されている。
【0052】
第2基板部11bに形成された複数のばね突片12が、第1基板部11aの第2挿通孔14に、第1方向Zに貫通した状態で挿通されている。それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12が全て、第1被押圧体W1に当接する。第2基板部11bに形成されたばね突片12の長さは、第1基板部11aに形成されたばね突片12の長さより長くなっている。なお、前者の長さを、後者の長さと同じにしてもよい。
【0053】
沿面方向において、ばね突片12が設けられている各個所に位置するばね突片12の数量は、1つとなっている。第1基板部11aを形成する材料のヤング率は、第2基板部11bを形成する材料のヤング率と異なっている。すなわち、複数の基板部11a、11bのうち、少なくとも1つの基板部を形成する材料のヤング率が、他の基板部を形成する材料のヤング率と異なっている。
以上より、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材5の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材5における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数と異なっている。
なお、第1基板部11aと第2基板部11bとで材料のヤング率を異ならせるには、材料の材質そのものを異ならせるほか、同じ材質の材料に対して、例えば熱処理等の有無、若しくは熱処理等の条件を異ならせてもよい。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材5によれば、複数の基板部11a、11bのうち、少なくとも1つの基板部を形成する材料のヤング率が、他の基板部を形成する材料のヤング率と異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材5を容易に得ること等ができる。
【0055】
次に、本発明の第6実施形態に係るばね部材6を、図6を参照しながら説明する。
なお、この第6実施形態においては、図5Aおよび図5Bに示した第5実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0056】
本実施形態のばね部材6では、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12の厚さが、第1基板部11aに形成された複数のばね突片12の厚さと異なっている。第1基板部11aを形成する材料のヤング率が、第2基板部11bを形成する材質のヤング率と同じになっている。
図6に示すように、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12の厚さが、第1基板部11aに形成された複数のばね突片12の厚さより薄くなっている。第2基板部11bの厚さが、第1基板部11aの厚さより薄くなっている。
【0057】
以上より、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材5の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材5における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より高くなっている。
なお、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12の厚さを、第1基板部11aに形成された複数のばね突片12の厚さより厚くしてもよい。第2基板部11bの厚さを、第1基板部11aの厚さより厚くしてもよい。また、第1基板部11aを形成する材料のヤング率を、第2基板部11bを形成する材質のヤング率と異ならせてもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材6によれば、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12の厚さが、第1基板部11aに形成された複数のばね突片12の厚さと異なり、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12が、第1基板部11aの第2挿通孔14に、第1方向Zに貫通した状態で挿通され、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12が全て、第1被押圧体W1に当接するので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材6を容易に得ること等ができる。
【0059】
次に、本発明の第7実施形態に係るばね部材7を、図7Aおよび図7Bを参照しながら説明する。
なお、この第7実施形態においては、図4Aおよび図4Bに示した第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0060】
本実施形態のばね部材7では、基板部11a、11bのうち、被押圧体W1、W2に当接する部分の少なくとも一部が、この被押圧体W1、W2に対して電気的に絶縁され、一対の被押圧体W1、W2を、電気的に絶縁した状態で互いが第1方向Zに離反する向きに付勢する。
【0061】
第1基板部11aが電気絶縁材料で形成され、第2基板部11bが金属材料で形成されている。第2基板部11bに形成された複数のばね突片12の長さ(第2方向Xの大きさ)は、第1基板部11aに形成されたばね突片12の長さより短くなっている。一対の被押圧体W1、W2のうち、ばね突片12が当接する第1被押圧体W1には、第1基板部11aに形成された複数のばね突片12のみが当接し、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12は非接触となっている。
なお、第1基板部11aとして、金属材料で形成され、かつ第1基板部11aのうちの少なくともばね突片12が電気絶縁材料で被覆された構成等を採用してもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材7によれば、一対の被押圧体W1、W2を、電気的に絶縁した状態で互いが第1方向Zに離反する向きに付勢するので、一対の被押圧体W1、W2間の電気的な絶縁を要する製品に好適なばね部材7を得ること等ができる。
【0063】
次に、本発明の第8実施形態に係るばね部材8を、図8Aおよび図8Bを参照しながら説明する。
なお、この第8実施形態においては、図5Aおよび図5Bに示した第5実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0064】
本実施形態のばね部材8では、基板部11a、11bのうち、被押圧体W1、W2に当接する部分の少なくとも一部が、この被押圧体W1、W2に対して電気的に絶縁され、一対の被押圧体W1、W2を、電気的に絶縁した状態で互いが第1方向Zに離反する向きに付勢する。
【0065】
第1基板部11aが金属材料で形成され、第2基板部11bが電気絶縁材料で形成されている。第2基板部11bに形成された複数のばね突片12の長さ(第2方向Xの大きさ)は、第1基板部11aに形成されたばね突片12の長さより長くなっている。一対の被押圧体W1、W2のうち、ばね突片12が当接する第1被押圧体W1には、それぞれの基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12の全てが当接する。金属材料で形成された第1基板部11aのばね突片12が被押圧体W1に当接しているが、第1基板部11aと被押圧体W2の間には電気絶縁材料で形成された第2基板部11bが配置されているので、一対の被押圧体W1、W2は電気的に絶縁した状態に維持されている。
なお、第2基板部11bとして、金属材料で形成され、かつ第2基板部11bのうち、少なくとも一対の被押圧体W1、W2のうちの第2被押圧体W2に当接する部分が、電気絶縁材料で被覆された構成等を採用してもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材8によれば、一対の被押圧体W1、W2を、電気的に絶縁した状態で互いが第1方向Zに離反する向きに付勢するので、一対の被押圧体W1、W2間の電気的な絶縁を要する製品に好適なばね部材8を得ること等ができる。
【0067】
次に、本発明の第9実施形態に係るばね部材9を、図9Aおよび図9Bを参照しながら説明する。
なお、この第9実施形態においては、図3Aおよび図3Bに示した第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0068】
本実施形態のばね部材9では、表裏面が第1方向Zを向く第2基板部11bを1つ備えている。ばね部材9に、上記実施形態で説明した第1基板部11aは設けられていない。第2基板部11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12の厚さが、他のばね突片12の厚さと異なっている。図9Aおよび図9Bに示すように、第2基板部11bに形成された複数のばね突片12のうち、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域(個所R1を含む)に位置するばね突片12の厚さが、第2基板部11bの外周縁部(個所R2を含む)に位置するばね突片12の厚さより薄くなっている。第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域の厚さは、第2基板部11bの外周縁部の厚さより薄くなっている。第2基板部11bの表裏面のうち、第2被押圧体W2を向く面における沿面方向の中央領域に、凹部11cが形成されることで、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域の厚さが、第2基板部11bの外周縁部の厚さより薄くなっている。本実施形態におけるばね突片12は、凹部11cの形成後に、プレス成形により形成されている。
第2基板部11bに形成された複数のばね突片12の全てが、第1被押圧体W1に当接する。
以上より、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材9の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材9における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より高くなっている。
【0069】
なお、凹部11cの形成時に、例えば加工硬化等が生じ、第2基板部11bにおける沿面方向の中央領域が硬くなると、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材9の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材9における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数より低くなる場合がある。
凹部11cは、第2基板部11bの表裏面のうち、一対の被押圧体W1、W2のうちの第1被押圧体W1を向く面に形成してもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によるばね部材9によれば、複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12の厚さが、他のばね突片12の厚さと異なっているので、沿面方向の複数の位置の間でばね定数が異なるばね部材9を容易に得ることができる。
【0071】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
第1~第8実施形態において、基板部は3つ以上設けられてもよい。すなわち、基板部11a、11bに加えて、他の基板部が設けられてもよい。
前記実施形態では、沿面方向において、ばね突片12が設けられている複数個所のうち、ばね部材の外周縁部に設けられている各個所のばね定数が、ばね部材における沿面方向の中央領域に設けられている各個所のばね定数と異なっている構成を示したが、これに限らず例えば、第2方向X、若しくは第3方向Yの複数の位置の間で異ならせたり、沿面方向において千鳥状に異ならせたりする等、適宜変更してもよい。
【0073】
ばね突片12として、例えば、基端部12aを第2方向Xに挟む両側に先端部12bが各別に設けられ、第3方向Yから見てV字状、若しくはU字状を呈する構成等を採用してもよい。言い換えれば、第2方向Xに隣り合う2つのばね突片12の突出方向が互いに逆であってもよい。
【0074】
基板部11a、11bに形成された複数のばね突片12のうち、少なくとも一部のばね突片12と、他のばね突片12と、で、沿面方向において、基端部12aから先端部12bに向けて延びる向きを互いに異ならせてもよい。
この構成において、第1方向Zで互いに隣り合う基板部11a、11bに形成された各ばね突片12の先端部12b同士が、第1方向Zに積層された構成等を採用してもよい。
【0075】
その他、本発明の範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態、および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1~9 ばね部材
11a、11b 基板部
12 ばね突片
12a 基端部
12b 先端部
13 第1挿通孔(挿通孔)
14 第2挿通孔(挿通孔)
W1、W2 被押圧体
X 第2方向
Y 第3方向
Z 第1方向
【要約】
このばね部材(1~9)は、第1方向(Z)で互いに対向する一対の被押圧体(W1、W2)の間に設けられ、第1方向に積層された複数の基板部(11a、11b)を備え、それぞれの基板部に、一対の被押圧体のうちのいずれか一方の被押圧体に向けて突出し、一対の被押圧体を互いが第1方向に離反する向きに付勢する複数のばね突片(12)が形成され、第1方向で互いに隣り合う2つの基板部のうち、前記一方の被押圧体寄りに位置する基板部には、もう一方の基板部のばね突片(12)が、第1方向に貫通した状態で挿通された挿通孔(13)が形成され、第1方向に直交する平面に沿う沿面方向において、ばね突片が設けられている複数個所(R1、R2)のうち、少なくとも一部の個所(R1)におけるばね定数が、他の個所(R2)におけるばね定数と異なっている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B