IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20221202BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/02 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021066870
(22)【出願日】2021-04-12
(62)【分割の表示】P 2021511143の分割
【原出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021141329
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2019065593
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/061043(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/136423(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/042901(WO,A1)
【文献】特開平05-021990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納したキャリアテープをロール状に巻いて構成されたテープロール体を収納する収納空間が設けられ、前記収納空間の一部分が開口している収納部と、
部品をピックアップして基板に搭載する搭載ヘッドと、
テープロール体からキャリアテープを引き込んで部品を前記搭載ヘッドに供給する部品供給ユニットと、
収納部が装着される第1装着部と、
補充用テープロール体を収納する補充用収納空間と前記補充用収納空間に補充用テープロール体を出し入れするための開口を有する保持体と、
前記保持体が装着される第2装着部と、を備え、
前記第2装着部は、前記保持体の前記開口を前記第1装着部に装着された前記収納部へ向けて装着し、
前記収納部に前記テープロール体が収納された状態で、前記保持体を着脱することができる、部品搭載装置。
【請求項2】
前記収納部に前記第2装着部を設けた、請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項3】
前記保持体はケース状である、請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項4】
前記第2装着部に前記保持体が装着された状態で、前記補充用収納空間は前記開口を通じて前記収納部の前記収納空間に連通する、請求項3に記載の部品搭載装置。
【請求項5】
前記収納部は、
底部と、
前記底部の両サイドから立ち上がった一対の側壁部と、を有し、
前記底部と前記一対の側壁部は前記収納空間を形成し、
前記第2装着部は前記一対の壁に設けられた、請求項3に記載の部品搭載装置。
【請求項6】
前記収納部は、前記部品供給ユニットによってキャリアテープが引き出されることによって前記収納空間に収納されたテープロール体が持ち上げられて前記収納空間から抜け出すことを防止するストッパ部を有する、請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項7】
前記部品供給ユニットは、前記第2装着部に装着された前記保持体に収納された補充用テープロール体のキャリアテーを引き出して前記補充用テープロール体を回転させることによって前記補充用テープロール体を前記保持体から前記収納部へ移動させる、請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項8】
前記保持体は、当該保持体が取り外された状態で前記補充用テープロール体を保管することができる、請求項1乃至7の何れかに記載の部品搭載装置。
【請求項9】
前記収納部に収納された前記テープロール体は前記収納部が有する開口からキャリアテープが引き出され、
前記保持体に収納された前記補充用テープロール体は前記保持体が有する開口から引き出され、
前記保持体に収納された前記補充用テープロール体が前記収納部に移動すると、当該補充用テープロール体からのキャリアテープの引き出しは、前記保持体が有する前記開口から前記収納部が有する前記開口に変更される、請求項1乃至8の何れかに記載の部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収納したキャリアテープがロール状に巻かれて構成されたテープロール体からキャリアテープを引き込んで部品を供給する部品供給ユニットを備えた部品搭載装置に関する
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を搭載する部品搭載装置における部品供給ユニットとして、部品を収納したキャリアテープを搬送することにより部品取出し位置に部品を供給するタイプのユニットが知られている。キャリアテープはテープ保持体としてのリールの巻芯に巻き付けられている。キャリアテープの運搬や保管および部品供給ユニットに対するセット等はリールに巻き付けられた状態のまま行われる。
【0003】
また、上記リールのようなテープ保持体をなくし、キャリアテープがロール状に巻かれたテープロール体の状態で運搬、保管および部品供給ユニットへのセット等が行わるようにすることも提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、キャリアテープのテープロール体が、部品の補充用の装置から部品供給ユニットの収納部に投入される。また部品供給ユニットがテープロール体からキャリアテープを引き出し終わった後には、リール等のテープ保持体が残らない。特許文献1は、このことを利用して、部品供給の自動化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-21990号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、上記特許文献では、部品供給ユニットにキャリアテープのテープロール体を供給するための大掛かりな装置が必要である。
【0006】
本発明は、簡易かつ安価な構成で部品供給ユニットへの部品補充を行うことができる部品搭載装置を提供する。
【0007】
本発明の部品搭載装置は、部品を収納したキャリアテープをロール状に巻いて構成されたテープロール体を収納する収納空間が設けられ、前記収納空間の一部分が開口している収納部と、部品をピックアップして基板に搭載する搭載ヘッドと、テープロール体からキャリアテープを引き込んで部品を前記搭載ヘッドに供給する部品供給ユニットと、収納部が装着される第1装着部と、補充用テープロール体を収納する補充用収納空間と前記補充用収納空間に補充用テープロール体を出し入れするための開口を有する保持体と、前記保持体が装着される第2装着部と、を備え、前記第2装着部は、前記保持体の前記開口を前記第1装着部に装着された前記収納部へ向けて装着し、前記収納部に前記テープロール体が収納された状態で、前記保持体を着脱することができる
【0008】
本発明の保持体は、部品を収納したキャリアテープをロール状に巻いて構成されたテープロール体から、キャリアテープを引き込んで部品を供給する部品供給ユニットに併設され、テープロール体を収納する収納部を有するキャリアテープ保持装置に補充用テープロール体を供給するために用いられる。この保持体は、保持部と、装着部とを有する。保持部には、補充用テープロール体を収納する補充用収納空間が設けられるとともに、補充用収納空間に補充用テープロール体を出し入れするための開口が設けられている。装着部は、キャリアテープ保持装置の収納部に開口を向けた状態でキャリアテープ保持装置が有する保持体装着部に装着される。
【0009】
本発明のキャリアテープパッケージ体は、補充用テープロール体と、上記保持体と、パッケージ部材とを有する。補充用テープロール体は、部品を収納したキャリアテープをロール状に巻いて構成されている。パッケージ部材は、補充用テープロール体を収納した保持体をパッケージングする。
【0010】
本発明によれば、簡易かつ安価な構成で部品供給ユニットへ部品を補充することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態におけるキャリアテープ保持装置を含む部品搭載装置の要部側面図
図2】本発明の実施の形態におけるキャリアテープ保持装置が保持するキャリアテープのテープロール体の斜視図
図3図2に示すキャリアテープの一部の拡大斜視図
図4A】本発明の実施の形態におけるキャリアテープ保持装置を、これに収納されたテープロール体とともに示す側面図
図4B図4Aに示すキャリアテープ保持装置とテープロール体を示す斜視図
図5図4Aに示すキャリアテープ保持装置を、これに収納されるテープロール体とともに示す側面図
図6A図5に示すキャリアテープ保持装置に取り付けられる保持体を、これに収納されたキャリアテープの補充用テープロール体とともに示す側面図
図6B図6Aに示す保持体と補充用テープロール体とを示す斜視図
図7図6Aに示す保持体を、これに収納されるテープロール体とともに示す側面図
図8図4Aに示すキャリアテープ保持装置を、部品搭載装置に連結される台車とともに示す側面図
図9図8に示すキャリアテープ保持装置を、図8に示す台車のブラケットに連結させた状態を示す図
図10図8に示すキャリアテープ保持装置を図8に示す台車とともに示す側面図
図11図8に示すキャリアテープ保持装置および台車を、図6Aに示す保持体とともに示す側面図
図12A図4Aに示すキャリアテープ保持装置に図6Aに示す保持体を取り付ける手順を説明する図
図12B図12Aに続く手順を説明する図
図13図11に示す状態に続き、キャリアテープ保持装置に保持体を取り付けた状態を示す側面図
図14図13に示す状態に続き、キャリアテープ保持装置に保持されたテープロール体からキャリアテープが全て引き出された状態を示す側面図
図15図14に示す状態に続き、補充用テープロール体が保持体からキャリアテープ保持装置に向かって転動し始めた状態を示す側面図
図16図15に示す状態に続き、補充用テープロール体が保持体からキャリアテープ保持装置に移った状態を示す側面図
図17図16に示す状態に続き、キャリアテープ保持装置に移った補充用テープロール体が新たなテープロール体として用いられてキャリアテープが全て引き出された状態を示す側面図
図18図6Aに示す保持体を、部品供給ユニットに装着されたケース取付け用部材に取り付けた状態を示す部品供給ユニットの側面図
図19】本発明の実施の形態におけるキャリアテープパッケージ体の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態におけるキャリアテープ保持装置25を含む部品搭載装置1を示している。部品搭載装置1は、上流工程から搬入した基板KBに部品BHを搭載して下流工程に搬出する一連の動作を繰り返し実行する。本実施の形態では、作業者OPから見た部品搭載装置1の左右に延びる軸をX軸とし、作業者OPから見た部品搭載装置1の前後に延びる軸をY軸とする。また、上下に延びる軸をZ軸とする。
【0013】
部品搭載装置1は、基台11と、基板搬送部12と、台車13と、複数の部品供給ユニット14と、搭載ヘッド15と、ヘッド移動機構16とを有している。基板搬送部12はX軸に沿って延びた一対のコンベア機構12aを含み、基板KBをX軸に沿って搬送し、所定の作業位置に位置決めする。台車13は作業者OPによって床面上を走行操作されて基台11に連結される。
【0014】
台車13の上部にはユニット取付けベース21が設けられている。また台車13において、ユニット取付けベース21の下方には、後方に突出するように(作業者OPに向かって)延びた複数のブラケット22(第1装着部)が設けられている。ユニット取付けベース21はX軸に沿って伸びた形状を有している。複数のブラケット22はX軸に沿って並んで設けられている。
【0015】
複数の部品供給ユニット14は、ユニット取付けベース21に対し、X軸に沿って並んで設けられている。部品供給ユニット14はそれぞれ、台車13に対して着脱自在になっている。ブラケット22にはそれぞれ、キャリアテープ保持装置25が着脱自在に取り付けられている。キャリアテープ保持装置25は、テープロール体24を収納して保持する。テープロール体24は、部品BHを封入したキャリアテープ23がロール状に巻かれて構成されている。キャリアテープ保持装置25には、補充用テープロール体24Aを保持した保持体26が着脱自在に取り付けられている。
【0016】
本実施の形態において、保持体26はケース状で、キャリアテープ23がロール状に巻かれて構成された補充用テープロール体24Aを収納している。キャリアテープ保持装置25は、部品供給ユニット14に併設されている。すなわち、キャリアテープ保持装置25は、部品供給ユニット14がキャリアテープ保持装置25に保持されたテープロール体24からキャリアテープ23を引き込むことが可能な位置に配置されている。
【0017】
図2は、キャリアテープ保持装置25が保持するテープロール体24の斜視図である。図3は、キャリアテープ23の一部の拡大斜視図である。テープロール体24は、キャリアテープ23が無芯の状態で巻かれて構成されている。キャリアテープ23は、ベーステープ31とカバーテープ32を有している。なお図3図2における領域ARの拡大図である。
【0018】
図3に示すように、ベーステープ31には、上方に開口した多数のポケット23Pが、ベーステープ31の長手方向に一列かつ等間隔に設けられている。複数のポケット23Pのそれぞれには、部品BHが収納されている。カバーテープ32はベーステープ31の上面に貼り付けられており、ポケット23P内に部品BHを封止している。ベーステープ31のポケット23Pの列と平行に並ぶ位置には、複数の係合孔23Hが一列かつ等間隔に並んで設けられている。
【0019】
図1において、部品供給ユニット14は内部に後方から前方に向かって延びた搬送路41を有しており、搬送路41の後側(作業者OPに近い側)の端部はテープ挿入口42となっている。本実施の形態では部品供給ユニット14はそれぞれオートロードタイプである。すなわち、テープ挿入口42からキャリアテープ23の先頭部が差し込まれると、キャリアテープ23の係合孔23Hにスプロケット(図示せず)の外周ピンが係合する。そして、スプロケットを回転させることで、キャリアテープ23が引き込まれる。さらに、スプロケットを一定の間隔で回転させることによって、所定の部品取出し位置14Kに部品BHを供給する。
【0020】
部品供給ユニット14が搬送しているキャリアテープ23の終端部を送り終えたら、キャリアテープ23の搬送は終了する。部品供給ユニット14は、キャリアテープ23(先行のキャリアテープ23)の搬送動作が行われている間に、補充用のキャリアテープ23(後続のキャリアテープ23)の先頭部をテープ挿入口42に挿入しておくことができる。図1に示すように、部品供給ユニット14は、先行のキャリアテープ23の終端部が部品供給ユニット14の所定の位置を通過したことを検出する終端部検出センサ43を含む。終端部検出センサ43が終端部の通過を検出したら、部品供給ユニット14は、後続のキャリアテープ23の引込みを開始し、引き続き部品BHを供給する。
【0021】
図1に示すように、搭載ヘッド15は下方に延びた複数のノズル15Nを有している。ノズル15Nはそれぞれ、搭載ヘッド15に対して昇降およびZ軸まわりの回転動作が可能である。また、搭載ヘッド15は、ノズル15Nの各々の下端に、部品BHを吸着する真空吸引力を発生させることができる。ヘッド移動機構16は、搭載ヘッド15を水平面内で移動させ、部品供給ユニット14の上方領域と基板KBの上方領域との間で搭載ヘッド15を往復させる。この往復移動において、搭載ヘッド15は部品供給ユニット14から部品BHを吸着してピックアップし、基板KB上の所定の位置に部品BHを搭載する。
【0022】
図1に示すように、部品搭載装置1は、制御装置CTRを有する。制御装置CTRは、基板搬送部12による基板KBの搬送および位置決め動作を制御し、部品供給ユニット14の各々による部品取出し位置14Kへの部品BHの供給動作を制御する。また制御装置CTRは、ヘッド移動機構16による搭載ヘッド15の移動を制御し、搭載ヘッド15の動作を制御する。具体的には制御装置CTRは、ノズル15Nの昇降および回転動作と、ノズル15Nによる部品BHの吸着動作を制御する。
【0023】
部品搭載装置1により基板KBに部品BHを搭載する場合には、まず、基板搬送部12が上流工程から送られてきた基板KBを搬入して位置決めする。基板KBを位置決めしたら部品供給ユニット14の各々が部品取出し位置14Kに部品BHを供給する。搭載ヘッド15は部品供給ユニット14の各々が供給する部品BHをノズル15Nによってピックアップして基板KBの所定位置に搭載する。このように、搭載ヘッド15は、部品供給ユニット14が供給する部品BHを取り出して基板KBに搭載する部品搭載部として機能する。搭載ヘッド15が基板KBに搭載すべき全ての部品BHを搭載したら、基板搬送部12が作動し、基板KBを部品搭載装置1の外部に搬出する。
【0024】
上記の部品搭載動作において、部品供給ユニット14の各々は、併設されたキャリアテープ保持装置25に保持されているテープロール体24からキャリアテープ23を引き出して搬送する。そして、キャリアテープ保持装置25に保持されたテープロール体24からキャリアテープ23を終端まで引き出し終わったら、保持体26に収納されている補充用テープロール体24Aから引き出されてテープ挿入口42に挿入されているキャリアテープ23を後続のキャリアテープ23として引き出し、引き続き部品BHを供給する。
【0025】
図4A図4Bはそれぞれ、キャリアテープ保持装置25と、キャリアテープ保持装置25に収納されたテープロール体24とを示す側面図と斜視図である。キャリアテープ保持装置25は、連結部51と収納部52とを有している。連結部51は台車13のブラケット22に連結され、収納部52はテープロール体24を収納する。
【0026】
収納部52は、底部53と、前壁部54と、上壁部55と、一対の側壁部56とを有する。底部53の上面は水平に延びている。前壁部54は、底部53の前端部が上方に延びて形成されている。上壁部55は、底部53の上方に位置して前壁部54に繋がっている。側壁部56はそれぞれ、底部53の両サイドの一方から立ち上がって前壁部54および上壁部55に連接している。収納空間57は、底部53、前壁部54、上壁部55および一対の側壁部56によって囲まれ、後方および後上方に開放した開口部57Kを有してテープロール体24を収納する。底部53の後端部には、若干高さの高い部分である敷居部58が形成されており、底部53の後端には後方に突出した位置合わせ突起59が設けられている。
【0027】
図5は、キャリアテープ保持装置25と、キャリアテープ保持装置25に収納されるテープロール体24とを示す側面図である。テープロール体24は、キャリアテープ保持装置25の収納空間57の開口部57Kから、矢印E1で示すように収納空間57に挿入することで、収納空間57に(すなわち収納部52に)収納させることができる。収納空間57に収納されたテープロール体24は、図4A図4Bに示すように、底部53によって支持される。また前壁部54が、テープロール体24の前方への移動を制限する。また、敷居部58が、テープロール体24の後方への移動が制限し、上壁部55が上方への移動を制限する。テープロール体24は、このような状態でキャリアテープ23が開口部57Kから上方に引き出されると、収納空間57内で回転する。すなわち収納部52は、収納したテープロール体24のキャリアテープ23が部品供給ユニット14によって引き出されるのを許容する。
【0028】
また、部品供給ユニット14によってキャリアテープ23が引き出されることによって、収納空間57に収納されたテープロール体24は上に持ち上げられる場合がある。しかしながら、上壁部55がテープロール体24の上方への移動を制限する。すなわち、上壁部55は、テープロール体24が収納空間57から抜け出すことを防止するストッパ部として機能する。
【0029】
図6A図6Bはそれぞれ、保持体26と、保持体26に収納された補充用テープロール体24Aとを示す側面図と斜視図である。図7は、保持体26と、保持体26に収納される補充用テープロール体24Aとを示す側面図である。保持体26は、保持部27と装着部64Hとを有する。保持部27は、底部61と、後壁部62と、上壁部63と、一対の側壁部64とを有する。底部61は、補充用テープロール体24Aを下方から支持する。後壁部62は、底部61の後端部から上方に延びるように設けられている。上壁部63は、底部61の上方に位置して後壁部62に繋がっている。側壁部64はそれぞれ、底部61の両サイドの一方から立ち上がって後壁部62および上壁部63に連結している。
【0030】
図6A図6Bにおいて、収納空間(補充用収納空間)65は、底部61、後壁部62、上壁部63および一対の側壁部64によって囲まれている。収納空間65は、前方および前上方に開放したテープロール体24の出し入れ用の開口65Kを有する。底部61の前方には、キャリアテープ保持装置25の位置合わせ突起59が前方より嵌合する嵌合穴66が設けられている。
【0031】
側壁部64の一方には情報担体取付け領域67が設けられている。情報担体取付け領域67には情報担体LBが取り付けられる。ここで、情報担体LBとは、収納空間65に収納されているテープロール体24を構成するキャリアテープ23に封入されている部品BHに関する情報(もしくはその情報にアクセスするための情報)を保持したラベル等の部材である。情報担体LBは、もともとはテープロール体24に付属しているものであるが、テープロール体24が保持体26に移された際、作業者OPによってテープロール体24から分離され、情報担体取付け領域67に取り付けられる。なお、キャリアテープ23に封入されている部品BHに関する情報(もしくはその情報にアクセスするための情報)を保持した無線ICタグを情報担体LBとして用いてもよい。あるいは、キャリアテープ23に特定の部品BHを封入するのであれば、部品BHに関する情報等を示す二次元コードを収納空間65に直接印刷して情報担体LBとして用いてもよい。二次元コードの例として、QRコード(登録商標)やバーコードが挙げられる。
【0032】
図7において、補充用テープロール体24Aは、保持体26の開口65Kから矢印E2で示すように収納空間65に挿入することで、収納空間65に収納される。底部61は、収納空間65に収納された補充用テープロール体24Aを支持する。後壁部62は、補充用テープロール体24Aの後方への移動を制限し、上壁部63は上方への移動を制限する。補充用テープロール体24Aは、このような状態でキャリアテープ23が開口65Kから前上方に引き出されると、収納空間65内で回転する。すなわち保持体26は、収納した補充用テープロール体24Aのキャリアテープ23が部品供給ユニット14によって引き出されるのを許容する。
【0033】
図8図10は、キャリアテープ保持装置25を、部品搭載装置1に連結される台車13とともに示す側面図である。図9は、キャリアテープ保持装置25を、台車13のブラケット22に連結させた状態を示す図である。図11図13図17は、キャリアテープ保持装置25および保持体26を、部品搭載装置1に連結される台車13とともに示す側面図である。図12A図12Bはそれぞれ、キャリアテープ保持装置25と保持体26との連結前後の状態を示す側面図である。まずテープロール体24を収納したキャリアテープ保持装置25を台車13に取り付ける場合の作業者OPの作業を説明する。
【0034】
図4A図4B図8に示すように、キャリアテープ保持装置25の連結部51にはフック部51Fが設けられている。また図9に示すように、ブラケット22には、水平に(X軸に沿って)延びた係止ピン22Pが設けられている。キャリアテープ保持装置25を台車13に取り付ける際、作業者OPは、図8に示すように、キャリアテープ保持装置25の連結部51を台車13のブラケット22に連結させる。このとき作業者OPは、図9に示すように、フック部51Fを係止ピン22Pに上方から引っ掛けた後、連結部51の前部をブラケット22に設けられた回り止め22Sに当接させる。
【0035】
作業者OPは、キャリアテープ保持装置25を台車13に取り付けたら、キャリアテープ保持装置25の収納部52に収納されたテープロール体24からキャリアテープ23を引き出す。そして作業者OPは、キャリアテープ23の先頭部を、部品供給ユニット14のテープ挿入口42に挿入する。部品供給ユニット14は、キャリアテープ23を引き込んで部品BHの供給動作を開始する。
【0036】
部品供給ユニット14がキャリアテープ23を引き込むと、キャリアテープ23には、図10にて矢印Tで示すように、張力Tが作用する。テープロール体24は、張力Tによって、矢印Rで示すように回転する。テープロール体24は、キャリアテープ23の張力Tによって回転するとともに上方に引っ張り上げられる。しかしながら、引っ張り上げられたテープロール体24はキャリアテープ保持装置25に設けられた上壁部55に下方から当接するので、収納空間57から上方に抜け出ることはない。
【0037】
テープロール体24を収納した保持体26をキャリアテープ保持装置25に取り付ける場合、図11において、作業者OPは、キャリアテープ保持装置25の後方から保持体26を矢印Pで示すように近づける。そして作業者OPは、図12A図12Bに示すように、保持体26の嵌合穴66に、キャリアテープ保持装置25の位置合わせ突起59を嵌入させる。そして作業者OPは、一対の側壁部64の前端部の前端面64Tを、キャリアテープ保持装置25の一対の側壁部56の後端部の内側に設けられた当接面56Tに後方から当接させる。一対の側壁部56の後端部は保持体装着部56Sであり、一対の側壁部64の前端部は、装着部64Hである。すなわち、収納部52は、保持体装着部56Sを含む。このようにして作業者OPは、装着部64Hを保持体装着部56Sに結合(いんろう結合)させる。
【0038】
保持体26とキャリアテープ保持装置25は上記のようにして結合されることによって、図12B図13に示すように、中心軸線同士が合致した状態で連結される。また、保持体26は、開口65Kを収納部52に向けた状態で保持体装着部56Sに装着される。作業者OPは、保持体26をキャリアテープ保持装置25に取り付けたら、保持体26の収納空間65に収納されている補充用テープロール体24Aからキャリアテープ23を引き出す。そして作業者OPは、図13に示すように、補充用テープロール体24Aのキャリアテープ23の先頭部を部品供給ユニット14のテープ挿入口42に挿入する。
【0039】
部品供給ユニット14による部品BHの供給が進み、キャリアテープ保持装置25に保持されたテープロール体24のキャリアテープ23を引き出し終わると、図14に示すように、キャリアテープ23の終端部23Eが収納部52から上方に抜け出る。テープロール体24は無芯であるので、部品供給ユニット14によって終端部23Eが収納部52から上方に抜け出た後には、キャリアテープ保持装置25の収納部52内には何も残らず、収納部52は空の状態となる。
【0040】
終端部23Eが収納部52から上方に抜け出た後、終端部23Eは、部品供給ユニット14内に設けられた終端部検出センサ43によって検出される。部品供給ユニット14は、終端部23Eを終端部検出センサ43によって検出したら、後続のキャリアテープ23の引込みを開始する。すなわち部品供給ユニット14は、保持体26に収納されている補充用テープロール体24Aから引き出されてその先頭部がテープ挿入口42に挿入されたキャリアテープ23の引込みを開始する。
【0041】
部品供給ユニット14が後続のキャリアテープ23の引込みを開始したら、保持体26に収納されている補充用テープロール体24Aは、図15に示すように、部品供給ユニット14によってキャリアテープ23が引き出されることで矢印Rのように回転する。補充用テープロール体24Aは、その回転によって保持体26内(収納空間65内)を転動して図15図16に示すように、キャリアテープ保持装置25の収納部52内(収納空間57内)へ移動する。補充用テープロール体24Aは収納部52へ移動するとき、キャリアテープ保持装置25の底部53の後端部に設けられた敷居部58を乗り越える。このため、収納部52内に移動した補充用テープロール体24Aは、収納空間57から後方へ容易に抜け出ることができなくなる。
【0042】
このように、キャリアテープ保持装置25は、テープロール体24を収納するとともに、部品供給ユニット14によってテープロール体24からキャリアテープ23が引き出されるのを許容する収納部52を有している。そして、収納部52は、部品供給ユニット14がテープロール体24からキャリアテープ23を引き込むことができる状態にテープロール体24を保持する。また収納部52には、補充用テープロール体24Aを収納している保持体26を着脱自在に装着することができる。収納部52は、保持体26を装着した状態で、保持体26から移動されるテープロール体24を受け入れることができる。また、キャリアテープ保持装置25に装着された保持体26に収納された補充用テープロール体24Aは、部品供給ユニット14によってキャリアテープ23が引き出されることで回転する。その回転によって補充用テープロール体24Aは、保持体26内を転動してキャリアテープ保持装置25の収納部52の収納空間57へ移動する。以降、補充用テープロール体24Aは、新たなテープロール体24として用いられる。
【0043】
保持体26内の補充用テープロール体24Aがキャリアテープ保持装置25の収納部52に移動したら、作業者OPは、図17に示すように、空になった保持体26をキャリアテープ保持装置25から矢印Qのように取り外す。そして、図11の状態に戻って、矢印Pで示すように、新たな補充用テープロール体24Aを収納した保持体26をキャリアテープ保持装置25に装着する。
【0044】
以下、作業者OPは、図13から図17で示した作業を繰り返す。このように、テープロール体24を補充しながら、部品供給ユニット14による部品BHの供給を継続させることができる。
【0045】
図18は、部品供給ユニット14に装着された保持体取付け用部材70に保持体26が一時的に取り付けられている状態を示している。このように保持体26は取付部28を有し、部品供給ユニット14に装着された保持体取付け用部材70に取り付け可能である。例えば、使用中の部品供給ユニット14を台車13から取り外す必要が生じた場合、作業者OPは、キャリアテープ保持装置25に空の保持体26を装着したうえでキャリアテープ保持装置25内のテープロール体24を保持体26に移動する。そして作業者OPは、部品供給ユニット14をユニット取付けベース21から取り外すとともに保持体26をキャリアテープ保持装置25から取り外す。さらに作業者OPは、部品供給ユニット14に装着した保持体取付け用部材70に、取付部28によって、保持体26を取り付ける。
【0046】
これにより部品供給ユニット14に取り付けた状態のキャリアテープ23をその部品供給ユニット14から取り外すことなく、部品供給ユニット14とキャリアテープ23(テープロール体24)とを一組にして移動し、或いは保管しておくことが可能である。この場合、保持体26は、収納空間65からテープロール体24が脱落しないようにするため、作業者OPは、開口65Kを上向きにした状態で保持体取付け用部材70に取り付ける。なお、ここでは、部品供給ユニット14に装着した保持体取付け用部材70に保持体26を取り付ける例を示したが、部品供給ユニット14そのものに取り付けることができる取付部が保持体26に設けられていてもよい。この場合、保持体取付け用部材70は不要であり、作業者OPは、保持体26を部品供給ユニット14に直接取り付ける。
【0047】
図19は、キャリアテープパッケージ体80を示す斜視図である。キャリアテープパッケージ体80は、補充用テープロール体24Aを保持体26に収納し、その後、保持体26をパッケージ部材81によってパッケージングして構成されている。パッケージ部材81は箱部材のほか、袋部材(ビニル袋等)でもよい。これにより補充用テープロール体24Aを保持体26と一体になった状態で流通させることができる。作業者OPは、キャリアテープ23を部品供給ユニット14にセットするときには、パッケージ部材81から補充用テープロール体24Aが収納された保持体26を取り出し、取り出した保持体26をキャリアテープ保持装置25に取り付けるだけで、キャリアテープ23を簡単に補充することができる。
【0048】
このようなキャリアテープパッケージ体80では、前述の情報担体LBを予め保持体26に貼り付けておくことができる。この場合には、作業者OPは、テープロール体24から情報担体LBを分離して保持体26の情報担体取付け領域67に貼り付ける必要がない。情報担体LBが保持体26ではなくパッケージ部材81に取り付けられていた場合には、パッケージ部材81からテープロール体24および保持体26を取り出した後、パッケージ部材81から情報担体LBを取り外して保持体26の情報担体取付け領域67に取り付けるようにする。
【0049】
以上説明したように、キャリアテープ保持装置25では、テープロール体24を収納する収納部52が、部品供給ユニット14がテープロール体24からキャリアテープ23を引き込むことができる状態にテープロール体24を保持する。また、キャリアテープ保持装置25は、補充用テープロール体24Aが収納された保持体26が着脱自在に装着された状態で、保持体26から移動される補充用テープロール体24Aを受け入れ可能に構成されている。このため、テープロール体24を補充(すなわちキャリアテープ23を補充)する場合には、補充用テープロール体24Aを収納した保持体26をキャリアテープ保持装置25に装着するだけでよい。保持体26は簡単な構成とすることができ、安価に製造できるうえに使い回しが可能であり、補充用テープロール体24Aを収納した状態で運搬かつ保管もできる。そのため、部品BHの補充に要するコストを極めて安価にすることができる。このため本実施の形態によれば、簡易安価な構成で部品供給ユニット14への部品を供給することができる。
【0050】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態において示したキャリアテープ保持装置25および保持体26の形状は一例に過ぎず、実施の形態において示したものには限定されない。特に、保持体26はケース状以外の形状でもよい。保持体26は、部品供給ユニット14によってキャリアテープ23が引き出されたことにより保持した補充用テープロール体24Aが転動しながら収納部52へ移動するのを妨げない構造であればよい。
【0051】
また、キャリアテープ保持装置25には複数のテープロール体24を並べて収納できるようにしてもよい。この場合、キャリアテープ保持装置25内に、隣り合うテープロール体24同士を仕切る仕切り板を設けることが好ましい。また、キャリアテープ保持装置25が複数のテープロール体24を並べて収納できる場合には、キャリアテープ保持装置25に複数の保持体26を並べて取り付けることができるようにすることが好ましい。
【0052】
また、本実施の形態ではキャリアテープ保持装置25を台車13に取り付けた例で示したが、キャリアテープ保持装置25を部品供給ユニット14に設けてもよい。さらに、本実施の形態では収納部52の保持体装着部56Sに、保持体26の装着部64Hを装着する例を説明したが、収納部52の別の場所に保持体装着部を設けてもよい。すなわちキャリアテープ保持装置25の適した位置に保持体装着部を設け、その保持体装着部に装着された保持体26から補充用テープロール体24Aが収納部52へ移動するように変更してもよい。さらに、本実施の形態では巻芯のないテープロール体24を使用する例で説明したが、巻芯を有するテープロール体やリールに巻かれたテープロール体の使用を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
簡易かつ安価な構成で部品供給ユニットへの部品補充を行うことができる部品搭載装置を提供する。
【符号の説明】
【0054】
1 部品搭載装置
11 基台
12 基板搬送部
12a コンベア機構
13 台車
14 部品供給ユニット
14K 部品取出し位置
15 搭載ヘッド
15N ノズル
16 ヘッド移動機構
21 ユニット取付けベース
22 ブラケット(第1装着部)
22P 係止ピン
22S 回り止め
23 キャリアテープ
23E 終端部
23H 係合孔
23P ポケット
24 テープロール体
24A 補充用テープロール体
25 キャリアテープ保持装置
26 保持体
27 保持部
28 取付部
31 ベーステープ
32 カバーテープ
41 搬送路
42 テープ挿入口
43 終端部検出センサ
51 連結部
51F フック部
52 収納部
53,61 底部
54 前壁部
55,63 上壁部
56,64 側壁部
56S 保持体装着部
56T 当接面
57,65 収納空間
57K 開口部
58 敷居部
59 位置合わせ突起
62 後壁部
64H 装着部
64T 前端面
65K 開口
66 嵌合穴
67 情報担体取付け領域
70 保持体取付け用部材
80 キャリアテープパッケージ体
81 パッケージ部材
CTR 制御装置
BH 部品
LB 情報担体
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19