(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】電池積層体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/505 20210101AFI20221202BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20221202BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20221202BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20221202BHJP
【FI】
H01M50/505
H01M50/503
H01M50/509
H01M50/516
(21)【出願番号】P 2019560962
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2018045028
(87)【国際公開番号】W WO2019124107
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】P 2017243049
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】小村 哲司
(72)【発明者】
【氏名】宇賀治 正弥
【審査官】立木 林
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0380711(US,A1)
【文献】国際公開第2017/130706(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0207131(US,A1)
【文献】国際公開第2012/133592(WO,A1)
【文献】特開2016-054128(JP,A)
【文献】特開2015-032391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/505
H01M 50/503
H01M 50/509
H01M 50/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の電池と、
前記複数の電池を電気的に接続するバスバーと、を備え、
前記バスバーは、前記電池の積層方向に延在する本体部と、前記本体部から前記積層方向と交わる方向に突出し、各電池の端子に電気的に接続される複数の接続部と、を有し、
前記複数の接続部は、前記本体部が前記端子の直上からずれた位置に配置されるように前記本体部から突出し、
前記複数の電池は、少なくとも2つの電池で構成される複数の電池ユニットに組み分けられ、各電池ユニットにおいて電池同士が前記バスバーで並列接続され、電池ユニット同士が前記バスバーで直列接続されることを特徴とする電池積層体。
【請求項2】
前記積層方向における各接続部の断面積は、前記積層方向と交わる方向における前記本体部の断面積よりも小さい請求項1に記載の電池積層体。
【請求項3】
前記複数の接続部は、第1接続部と第2接続部とを含み、
前記複数の電池ユニットは、前記バスバーにより直列接続される第1電池ユニットと第2電池ユニットとを含み、
前記第1電池ユニットは、前記第1接続部が接続される第1電池と、前記第1電池よりも前記第2電池ユニットに近く前記第2接続部が接続される第2電池とを含み、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、各接続部と各電池との接点から前記第2接続部と前記本体部との接点までの電気抵抗の差が、前記第1接続部と前記第2接続部とが同一形状を有する場合よりも小さくなる形状を有する請求項1または2に記載の電池積層体。
【請求項4】
前記第1接続部と前記第2接続部とは、断面積の大きさが異なる請求項3に記載の電池積層体。
【請求項5】
前記バスバーは、バスバーによって電気的に接続される電池間の相対的な変位を吸収する変位吸収部を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池積層体。
【請求項6】
前記変位吸収部は、電池に対し近接離間する方向に延伸する部分を有する請求項5に記載の電池積層体。
【請求項7】
前記バスバーは、前記電池ユニット同士を直列接続する領域における電気抵抗が前記電池同士を並列接続する領域における電気抵抗よりも小さくなる形状を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電池積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー及び電池積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源に用いられる電池として、複数個の電池が電気的に接続されてなる電池積層体が知られている。従来、このような電池積層体では、隣り合う電池の出力端子同士がバスバーで接続されていた。例えば、特許文献1には、複数の電池がバスバーによって並列接続されて複数の電池ユニットが構成されるとともに、電池ユニット同士が同じバスバーで直列接続された構造を有する電池積層体が開示されている。このような構造をとることで、全ての電池がバスバーで直列接続された電池積層体同士を並列接続する場合に比べて、電圧検出線などの部材の数を減らすことができ、電池装置の低コスト化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、電池積層体内で電池の並列接続と直列接続とを組み合わせた構造について鋭意検討を重ねた結果、以下の課題を認識するに至った。すなわち、電池同士の並列接続によってバスバーを流れる電流が増大するため、バスバーにおける発熱量が増大する。特に近年は、高出力化や急速充電への対応が求められており、より一層の大電流がバスバーに流される傾向にある。このため、バスバーにおける発熱量も増大する傾向にある。バスバーの発熱量が増大すると、バスバーから電池に熱が伝わって電池の温度が上昇し、電池の発電性能が低下するおそれがある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスバーで発生する熱が電池に与える影響を低減する技術を提供することにある。
【0006】
本発明のある態様は、電池積層体である。当該電池積層体は、積層された複数の電池と、複数の電池を電気的に接続するバスバーと、を備える。バスバーは、電池の積層方向に延在する本体部と、本体部から積層方向と交わる方向に突出し、各電池の端子に電気的に接続される複数の接続部と、を有する。複数の電池は、少なくとも2つの電池で構成される複数の電池ユニットに組み分けられ、各電池ユニットにおいて電池同士がバスバーで並列接続され、電池ユニット同士がバスバーで直列接続される。
【0007】
本発明の他の態様は、バスバーである。当該バスバーは、積層された複数の電池を電気的に接続するバスバーであって、電池の積層方向に延在する本体部と、本体部から積層方向と交わる方向に突出し、各電池の端子に電気的に接続される複数の接続部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0009】
本発明によれば、バスバーで発生する熱が電池に与える影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る電池積層体の概略構造を示す斜視図である。
【
図2】電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す斜視図である。
【
図3】実施の形態2に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す斜視図である。
【
図4】変形例に係る電池積層体が備えるバスバーの概略構造を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態3に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す平面模式図である。
【
図6】実施の形態4に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す平面模式図である。
【
図7】実施の形態5に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、同一の部材であっても、各図面間で縮尺等が若干相違する場合もあり得る。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合、特に言及がない限りいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電池積層体の概略構造を示す斜視図である。電池積層体1(1A)は、複数のバスバー2と、バスバー2により互いに電気的に接続された複数の電池4とを備える。
【0013】
各電池4は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。電池4は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶を有する。外装缶の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶に電極体や電解液等が収容される。外装缶の開口には、外装缶を封止する封口板6が設けられる。封口板6には、長手方向の一端寄りに正極の出力端子8が設けられ、他端寄りに負極の出力端子8が設けられる。以下では適宜、正極の出力端子8を正極端子8aと称し、負極の出力端子8を負極端子8bと称する。また、出力端子8の極性を区別する必要がない場合、正極端子8aと負極端子8bとをまとめて出力端子8と称する。
【0014】
出力端子8は、封口板6の開口部から突出する。出力端子8の周縁部と封口板6の開口部との間には、シール部材としてのガスケットが設けられる。ガスケットにより、封口板6と出力端子8との境界部が気密に閉塞される。また、封口板6と出力端子8との間の短絡が防止される。外装缶、封口板6及び出力端子8は導電体であり、例えば金属製である。ガスケットは絶縁体であり、例えば樹脂製である。また、封口板6には、一対の出力端子8の間に図示しない安全弁が設けられる。安全弁は、外装缶の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。
【0015】
本実施の形態では、封口板6が設けられる側を電池4の上面、反対側を電池4の底面とする。また、電池4は、上面及び底面をつなぐ2つの主表面を有する。この主表面は、電池4が有する6つの面のうち面積の最も大きい面である。上面、底面及び2つの主表面を除いた残り2つの面は、電池4の側面とする。また、電池4の上面側を電池積層体1の上面とし、電池4の底面側を電池積層体1の底面とし、電池4の側面側を電池積層体1の側面とする。また便宜上、電池積層体1の上面側を鉛直方向上方とし、電池積層体1の底面側を鉛直方向下方とする。
【0016】
複数の電池4は、隣り合う電池4の主表面同士が対向するにして所定の間隔で積層される。なお、「積層」は、任意の1方向に複数の部材を並べることを意味する。したがって、電池4の積層には、複数の電池4を水平に並べることも含まれる。また、各電池4は、出力端子8が同じ方向を向くように配置される。ここでは便宜上、出力端子8は鉛直方向Z(
図1において矢印Zで示す方向)上方を向く。
【0017】
バスバー2は、長尺状の金属部材であり、積層された複数の電池4を電気的に接続する。バスバー2を構成する金属としては、銅やアルミニウムが例示される。バスバー2は、各電池4の出力端子8に、例えば溶接によって接合される。バスバー2の構造と、バスバー2による電池4の接続とは、後に詳細に説明する。
【0018】
電池積層体1は、図示しない複数のセパレータを有する。セパレータは、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。セパレータを構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の熱可塑性樹脂が例示される。セパレータは、各電池4の間、および電池4と後述するエンドプレート10との間に配置される。これにより、隣り合う電池4の外装缶同士が絶縁される。また、電池4の外装缶とエンドプレート10とが絶縁される。
【0019】
また、電池積層体1は、一対のエンドプレート10を有する。エンドプレート10は、例えば金属板からなる。積層された複数の電池4および複数のセパレータは、一対のエンドプレート10で挟まれる。一対のエンドプレート10は、電池4の積層方向X(
図1において矢印Xで示す方向)に配列され、最外側の電池4とセパレータを挟んで隣り合う。なお、積層方向Xで最も外側のバスバー2は、外部接続端子としても機能する。
【0020】
また、電池積層体1は、一対の拘束部材12を有する。積層された電池4、セパレータおよびエンドプレート10は、一対の拘束部材12によって拘束される。一対の拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれる。一対の拘束部材12は、複数の電池4の積層方向Xに対して直交する水平方向Y(
図1において矢印Yで示す方向)に配列される。水平方向Yは、各電池4において出力端子8が並ぶ方向である。各拘束部材12は、電池4の側面に平行な矩形状の平面部12aと、平面部12aの各辺の端部から電池4側に突出する庇部12bとを有する。拘束部材12は、例えば矩形状の金属板の各辺に折り曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0021】
電池4の積層方向Xにおいて対向する2つの庇部12bと一対のエンドプレート10とが、ねじ止め等により固定される。これにより、複数の電池4と複数のセパレータとが一対のエンドプレート10および一対の拘束部材12によって締結される。複数の電池4は、拘束部材12によって電池4の積層方向Xに締め付けられることで、積層方向Xの位置決めがなされる。また、複数の電池4は、底面がセパレータを介して拘束部材12の下側の庇部12bに当接し、上面がセパレータを介して拘束部材12の上側の庇部12bに当接することで、上下方向の位置決めがなされる。この状態で、各電池4の出力端子8にバスバー2が電気的に接続されて、電池積層体1が得られる。
【0022】
続いて、本実施の形態に係るバスバー2の構造と、バスバー2による電池4の電気的接続について詳細に説明する。
図2は、電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す斜視図である。バスバー2は、本体部16と、複数の接続部18とを有する。本体部16は、電池4の積層方向Xに延在する帯状の部分である。複数の接続部18は、各電池4の出力端子8に電気的に接続される部分である。各接続部18は、本体部16の延在方向(積層方向X)に所定の間隔をあけて配置され、本体部16から積層方向Xと交わる方向(水平方向Y)に突出している。したがって、バスバー2は櫛歯状である。
【0023】
本実施の形態のバスバー2は、本体部16が出力端子8よりも水平方向Yにおける電池4の中央側に位置し、接続部18が電池4の外側に向かって突出するように配置される。つまり、本体部16は、各電池4の出力端子8から離間している。なお、本体部16は、水平方向Yにおいて出力端子8よりも電池4の外側に配置されてもよい。
【0024】
複数の電池4は、少なくとも2つの電池4で構成される複数の電池ユニット20に組み分けられる。そして、各電池ユニット20において電池4同士がバスバー2で並列接続される。また、電池ユニット20同士がバスバー2で直列接続される。
図2に示す例では、第1電池4aと第2電池4bとが同極の出力端子8同士が隣り合うように積層されて、第1電池ユニット20aが形成される。また、同様に第1電池4aと第2電池4bとが同極の出力端子8同士が隣り合うように積層されて、第2電池ユニット20bが形成される。
【0025】
第1電池ユニット20aと第2電池ユニット20bとは、第1電池ユニット20aの正極端子8aと、第2電池ユニット20bの負極端子8bとが隣り合うように積層される。各電池ユニット20における第2電池4bは、第1電池4aよりも他方の電池ユニット20の近くに配置される。そして、各出力端子8にバスバー2の接続部18が接合される。これにより、各電池ユニット20における第1電池4aと第2電池4bとが並列接続され、第1電池ユニット20aと第2電池ユニット20bとが直列接続される。
【0026】
複数の接続部18は、第1接続部18aと第2接続部18bとを含む。第1電池ユニット20aに着目すると、第1接続部18aは、第2電池ユニット20bから遠い第1電池4aに接続される。第2接続部18bは、第2電池ユニット20bに近い第2電池4bに接続される。第1接続部18aと第1電池4aとの接点を第1接点A1とし、第2接続部18bと第2電池4bとの接点を第2接点A2とし、第2接続部18bと本体部16との接点を第3接点Bとするとき、第1接続部18aと第2接続部18bとは、第1接点A1から第3接点Bまでの電気抵抗と第2接点A2から第3接点Bまでの電気抵抗との差が、第1接続部18aと第2接続部18bとが同一形状を有する場合よりも小さくなる形状を有する。第2電池ユニット20bにおける電池4とバスバー2との接続構造についても同様である。
【0027】
本実施の形態では、第1接続部18aと第2接続部18bとは、断面積の大きさが異なる。具体的には、第1接続部18aよりも第2接続部18bの方が幅(積層方向Xの寸法)が細い。第1接続部18aおよび第2接続部18bの厚み(鉛直方向Zの寸法)は同一である。これにより、積層方向Xにおける第1接続部18aの断面積C1よりも積層方向Xにおける第2接続部18bの断面積C2の方が、小さくなっている。
【0028】
また、積層方向Xにおける各接続部18の断面積C1,C2は、積層方向Xと交わる方向(水平方向Y)における本体部16の断面積C3よりも小さい。また、バスバー2は、電池ユニット20同士を直列接続する領域(以下では適宜、直列接続領域という)における電気抵抗が電池4同士を並列接続する領域(以下では適宜、並列接続領域という)における電気抵抗よりも小さくなる形状を有する。
【0029】
直列接続領域は、本体部16における2つの第2接続部18bの間の領域である。より具体的には、一方の第2接続部18bと本体部16との第3接点Bと、他方の第2接続部18bと本体部16との第3接点Bとの間の領域である。また、並列接続領域は、各電池ユニット20に対応する第1接続部18aおよび第2接続部18bと、本体部16のうち第3接点B間の領域を除く部分とを含む領域である。本体部16は、全域で均一な幅および厚みを有する。また、第1接続部18aの断面積C1および第2接続部18bの断面積C2は、本体部16の断面積C3よりも小さい。そして、各接続部18は、並列接続領域には含まれるが、直列接続領域には含まれない。このため、バスバー2は、直列接続領域における電気抵抗が並列接続領域における電気抵抗よりも小さい。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池積層体1は、複数の複数の電池4と、複数の電池4を電気的に接続するバスバー2とを備える。バスバー2は、電池4の積層方向Xに延在する本体部16と、各電池4の出力端子8に電気的に接続される複数の接続部18とを有する。各接続部18は、本体部16から積層方向Xと交わる方向で且つXY平面方向に突出する。そして、各接続部18の先端部が出力端子8に接続される。これにより、本体部16を出力端子8の直上からずれた位置に配置することができる。
【0031】
また、複数の電池4は、少なくとも2つの電池4で構成される複数の電池ユニット20に組み分けられる。そして、各電池ユニット20において電池4同士がバスバー2により並列接続され、電池ユニット20同士がバスバー2により直列接続される。このため、本体部16の一部の領域には、並列接続された電池4の合成電流が流れる。バスバー2の発熱量Jは、バスバー2を流れる電流Iの二乗にバスバー2の抵抗値Rを乗じた値となる(J=I2R)。各接続部18と、本体部16のうち電池4単体の出力電流が流れる領域の発熱量(I2R)に対して、本体部16の合成電流が流れる領域の発熱量は、並列接続される電池4の数の二乗である。本実施の形態の場合、並列接続される電池4が2個であるため、本体部16のうち合成電流が流れる領域の発熱量は、4×I2Rとなる。したがって、本体部16が著しく高温となって各電池4に影響を与えるおそれがある。
【0032】
これに対し、バスバー2は、電池4の積層方向Xに平行な本体部16と、水平方向Yに平行な接続部18とを有する。そして、接続部18と出力端子8とを接続することで、発熱量が大きい本体部16を出力端子8から遠ざけている。これにより、バスバー2で発生する熱が電池4に与える影響を低減することができる。この結果、バスバー2の熱により電池4の温度が上昇して発電性能が低下することを抑制することができる。また、電池4の温度上昇が抑えられるため、より大きな電流をバスバー2に流すことができる。
【0033】
特に、出力端子8と封口板6との間に設けられるガスケットは比較的熱に弱いため、バスバー2の熱による出力端子8の温度上昇を抑制することは重要である。これに対し、本実施の形態のバスバー2によれば、出力端子8の温度上昇を抑制して、ガスケットの溶融を抑えることができる。このため、出力端子8と封口板6との間の気密性が低下することを抑制することができる。
【0034】
また、複数の接続部18は、第1接続部18aと第2接続部18bとを含む。複数の電池ユニット20は、バスバー2により直列接続される第1電池ユニット20aと第2電池ユニット20bとを含む。第1電池ユニット20aは、第1接続部18aが接続される第1電池4aと、第1電池4aよりも第2電池ユニット20bに近く第2接続部18bが接続される第2電池4bとを含む。第2電池4bは、第1電池4aよりも第2電池ユニット20bに近いため、第2電池4bから第2電池ユニット20bまでの導電経路は、第1電池4aから第2電池ユニット20bまでの導電経路よりも短い。したがって、第1接続部18aと第2接続部18bとが同一形状である場合には、2つの導電経路の電気抵抗に差が生じる。この結果、第1電池4aと第2電池4bとで消耗度合いに差が生じる。
【0035】
これに対し、第1接続部18aと第2接続部18bとは、各接続部18と各電池4との接点A1,A2から第2接続部18bと本体部16との第3接点Bまでの電気抵抗の差が小さくなる形状を有する。本実施の形態では、第1接続部18aと第2接続部18bとで断面積の大きさを異ならせることで、各導電経路における電気抵抗の差を小さくしている。より具体的には、第2接続部18bの断面積が第1接続部18aの断面積よりも小さくなっている。この結果、より短い導電経路に含まれる第2接続部18bの電気抵抗が上がり、2つの導電経路における電気抵抗の差が小さくなる。これにより、各電池4の消耗のばらつきを抑制することができる。
【0036】
また、積層方向Xにおける各接続部18の断面積C1,C2は、積層方向Xと交わる方向における本体部16の断面積C3よりも小さい。これにより、本体部16において発生する熱が接続部18を介して電池4に伝わることを抑制することができる。また、バスバー2は、電池ユニット20同士を直列接続する領域における電気抵抗が電池4同士を並列接続する領域における電気抵抗よりも小さい。これにより、直列接続領域における発熱を抑制することができる。
【0037】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る電池積層体は、バスバーの構造が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る電池積層体について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0038】
図3は、実施の形態2に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す斜視図である。本実施の形態の電池積層体1(1B)が備えるバスバー2は、本体部16と、複数の接続部18とを有する。本体部16は、電池4の積層方向Xに延在する。複数の接続部18は、各電池4の出力端子8に電気的に接続される。各接続部18は、本体部16の延在方向(積層方向X)に所定の間隔をあけて配置され、本体部16から積層方向Xと交わる方向(水平方向Y)に突出している。
【0039】
電池積層体1は、第1電池4aと第2電池4bとが積層された第1電池ユニット20aおよび第2電池ユニット20bを有する。バスバー2により、各電池ユニット20における第1電池4aと第2電池4bとが並列接続され、第1電池ユニット20aと第2電池ユニット20bとが直列接続される。
【0040】
複数の接続部18は、第1接続部18aと第2接続部18bとを含む。第1電池ユニット20aに着目すると、第1接続部18aは、第2電池ユニット20bから遠い第1電池4aに接続される。第2接続部18bは、第2電池ユニット20bに近い第2電池4bに接続される。第1接続部18aと第2接続部18bとは、第1接点A1から第3接点Bまでの電気抵抗と第2接点A2から第3接点Bまでの電気抵抗との差が、第1接続部18aと第2接続部18bとが同一形状を有する場合よりも小さくなる形状を有する。第2電池ユニット20bにおける電池4とバスバー2との接続構造についても同様である。
【0041】
本実施の形態では、第1接続部18aと第2接続部18bとは、断面積の大きさが異なる。具体的には、第1接続部18aよりも第2接続部18bの方が厚み(鉛直方向Zの寸法)が薄い。これにより、第1接続部18aよりも第2接続部18bの方が、断面積が小さくなっている。また、本体部16は、第1接続部18aに連結され、第1接続部18aと同じ厚みを有する厚肉部16aと、第2接続部18bに連結され、第2接続部18bと同じ厚みを有する薄肉部16bとを有する。
【0042】
本実施の形態の電池積層体1が備えるバスバー2によっても、バスバー2で発生する熱が電池4に与える影響を低減することができる。また、第1電池4aから第2電池ユニット20bまでの導電経路と第2電池4bから第2電池ユニット20bまでの導電経路とで、電気抵抗の差を小さくすることができる。これにより、各電池4の消耗のばらつきを抑制することができる。
【0043】
実施の形態2に係る電池積層体1には、以下の変形例を挙げることができる。
図4は、変形例に係る電池積層体が備えるバスバーの概略構造を示す斜視図である。本変形例の電池積層体1が備えるバスバー2は、平面視で、本体部16の全体と接続部18の全体とに対応する形状の第1プレート22に、厚肉部16aおよび第1接続部18aに対応する形状の第2プレート24が積層される。これにより、第1接続部18aと第2接続部18bとの厚みの違いと、厚肉部16aと薄肉部16bとの厚みの違いとが実現される。本変形例によっても、実施の形態3と同様の効果を奏することができる。また、プレートの積層によって厚みの違いを出しているため、より簡単にバスバー2を製造することができる。
【0044】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る電池積層体は、バスバーの構造が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る電池積層体について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0045】
図5は、実施の形態3に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す平面模式図である。本実施の形態の電池積層体1(1C)が備えるバスバー2は、本体部16と、複数の接続部18とを有する。本体部16は、電池4の積層方向Xに延在する。複数の接続部18は、各電池4の出力端子8に電気的に接続される。各接続部18は、本体部16の延在方向(積層方向X)に所定の間隔をあけて配置され、本体部16から積層方向Xと交わる方向(水平方向Y)に突出している。
【0046】
電池積層体1は、第1電池4aと第2電池4bとが積層された第1電池ユニット20aおよび第2電池ユニット20bを有する。バスバー2により、各電池ユニット20における第1電池4aと第2電池4bとが並列接続され、第1電池ユニット20aと第2電池ユニット20bとが直列接続される。
【0047】
複数の接続部18は、第1接続部18aと第2接続部18bとを含む。第1電池ユニット20aに着目すると、第1接続部18aは、第2電池ユニット20bから遠い第1電池4aに接続される。第2接続部18bは、第2電池ユニット20bに近い第2電池4bに接続される。第1接続部18aと第2接続部18bとは、第1接点A1から第3接点Bまでの電気抵抗と第2接点A2から第3接点Bまでの電気抵抗との差が、第1接続部18aと第2接続部18bとが同一形状を有する場合よりも小さくなる形状を有する。第2電池ユニット20bにおける電池4とバスバー2との接続構造についても同様である。
【0048】
本実施の形態では、第1接続部18aと第2接続部18bとは、それぞれ2回折れ曲がったクランク形状を有する。第1接続部18aは、出力端子8に接続される先端部から、一旦水平方向Yに延びて90°折れ曲がり、第2電池4b側に延びた後に再び水平方向Yに延びて、本体部16に接続される。第2接続部18bは、出力端子8に接続される先端部から、一旦水平方向Yに延びて90°折れ曲がり、第1電池4a側に延びた後に再び水平方向Yに延びて、本体部16に接続される。つまり、第1接続部18aと第2接続部18bとは、第3接点Bを通り水平方向Yに平行な線Mを対称軸とした線対称の形状を有する。言い換えれば、第1接続部18aと第2接続部18bとは、本体部16側の端部が本体部16に至る手前で合流している。
【0049】
したがって、第1接点A1から第3接点Bまでの長さと、第2接点A2から第3接点Bまでの長さとは等しい。また、第1接続部18aと第2接続部18bとは同じ断面積を有する。このため、第1接続部18aと第2接続部18bとは、接点A1,A2から第3接点Bまでの電気抵抗が等しい。
【0050】
本実施の形態の電池積層体1が備えるバスバー2によっても、バスバー2で発生する熱が電池4に与える影響を低減することができる。また、第1電池4aから第2電池ユニット20bまでの導電経路と第2電池4bから第2電池ユニット20bまでの導電経路とで、電気抵抗の差を小さくすることができる。これにより、各電池4の消耗のばらつきを抑制することができる。
【0051】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る電池積層体は、実施の形態1のバスバーと実施の形態3のバスバーとを組み合わせた形状のバスバーを備える点を除き、実施の形態1または3と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る電池積層体について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0052】
図6は、実施の形態4に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す平面模式図である。本実施の形態の電池積層体1(1D)が備えるバスバー2は、本体部16と、複数の接続部18とを有する。本体部16は、電池4の積層方向Xに延在する。複数の接続部18は、各電池4の出力端子8に電気的に接続される。各接続部18は、本体部16の延在方向(積層方向X)に所定の間隔をあけて配置され、本体部16から積層方向Xと交わる方向(水平方向Y)に突出している。
【0053】
電池積層体1は、第1電池4a、第2電池4b、第3電池4cおよび第4電池4dが積層された第1電池ユニット20aおよび第2電池ユニット20bを有する。バスバー2により、各電池ユニット20における第1電池4a~第4電池4dが並列接続され、第1電池ユニット20aと第2電池ユニット20bとが直列接続される。
【0054】
複数の接続部18は、第1接続部18a、第2接続部18b、第3接続部18cおよび第4接続部18dを含む。第1電池ユニット20aに着目すると、第1接続部18aは、第2電池ユニット20bから最も遠い第1電池4aに接続される。第2接続部18bは、第1電池4aに隣接する第2電池4bに接続される。第3接続部18cは、第2電池4bに隣接する第3電池4cに接続される。第4接続部18dは、第2電池ユニット20bに最も近い第4電池4dに接続される。第1接続部18a~第4接続部18dは、各接続部と出力端子8との接点A1~A4から第3接点Bまでの電気抵抗の差が、第1接続部18a~第4接続部18dが同一形状を有する場合よりも小さくなる形状を有する。第2電池ユニット20bにおける電池4とバスバー2との接続構造についても同様である。
【0055】
本実施の形態では、第1接続部18a~第3接続部18cは、断面積の大きさが異なる。具体的には、第1接続部18aよりも第2接続部18bの方が幅が細く、第2接続部18bよりも第3接続部18cの方が幅が細い。また、第4接続部18dは、第3接続部18cと同じ幅で2回折れ曲がったクランク形状を有する。したがって、第4接続部18dは第3接続部18cよりも長い。
【0056】
つまり、第1電池4aと第1接続部18aとの第1接点A1から第3接点Bまでの導電経路と、第2電池4bと第2接続部18bとの第2接点A2から第3接点Bまでの導電経路と、第3電池4cと第3接続部18cとの第3接点A3から第3接点Bまでの導電経路とについては、第1接続部18a、第2接続部18bおよび第3接続部18cの順に断面積が小さくなることで、各導電経路における電気抵抗の差が小さくなっている。また、第4電池4dと第4接続部18dとの第4接点A4から第3接点Bまでの導電経路については、第3接続部18cよりも第4接続部18dが長いことで、第1接点A1~第3接点A3から第3接点Bまでの各導電経路との電気抵抗の差が小さくなっている。
【0057】
本実施の形態の電池積層体1が備えるバスバー2によっても、バスバー2で発生する熱が電池4に与える影響を低減することができる。また、第1電池4a~第4電池4dのそれぞれから第2電池ユニット20bまでの導電経路における電気抵抗の差を小さくすることができる。これにより、各電池4の消耗のばらつきを抑制することができる。
【0058】
(実施の形態5)
実施の形態5に係る電池積層体は、バスバーの構造が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る電池積層体について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0059】
図7は、実施の形態5に係る電池積層体におけるバスバーの近傍を拡大して示す斜視図である。本実施の形態の電池積層体1(1E)が備えるバスバー2は、本体部16と、複数の接続部18とを有する。本体部16は、電池4の積層方向Xに延在する。複数の接続部18は、各電池4の出力端子8に電気的に接続される。各接続部18は、本体部16の延在方向(積層方向X)に所定の間隔をあけて配置され、本体部16から積層方向Xと交わる方向(水平方向Y)に突出している。
【0060】
電池積層体1は、第1電池4aと第2電池4bとが積層された第1電池ユニット20aおよび第2電池ユニット20bを有する。バスバー2により、各電池ユニット20における第1電池4aと第2電池4bとが並列接続され、第1電池ユニット20aと第2電池ユニット20bとが直列接続される。
【0061】
バスバー2は、バスバー2によって電気的に接続される電池4間の相対的な変位を吸収する変位吸収部28を有する。変位吸収部28は、電池4に対し近接離間する方向に延伸する部分を有する。本実施の形態では、各接続部18の基端部、つまり本体部16に接続される部分に、XY平面と交わる方向に延伸する変位吸収部28が設けられている。変位吸収部28は、各接続部18の基端部を折り曲げることで形成することができる。本実施の形態では変位吸収部28の幅が接続部18の幅と等しいが、これに限定されない。また、本体部16と各接続部18の先端とは鉛直方向Zにずれて段違いとなる。この変位吸収部28により、主に各電池4の水平方向Yの変位と寸法ばらつきを吸収することができる。
【0062】
また、本体部16にも、XY平面と交わる方向に延伸する変位吸収部28が設けられている。この変位吸収部28は、電池4の積層方向Xにおいて各接続部18の間に配置される。本実施の形態の本体部16は、鉛直方向Zに突出するU字形状を有する。変位吸収部28は、本体部16を折り曲げることで形成することができる。本実施の形態では変位吸収部28の幅(水平方向Yの寸法)が本体部16の幅と等しいが、これに限定されない。この変位吸収部28により、主に各電池4の積層方向Xの変位と寸法ばらつきを吸収することができる。なお、各電池4の鉛直方向Zの変位と寸法ばらつきは、主に接続部18の傾きの変化によって吸収されるが、変位吸収部28によっても吸収することができる。
【0063】
本実施の形態の電池積層体1が備えるバスバー2によっても、バスバー2で発生する熱が電池4に与える影響を低減することができる。また、バスバー2と各電池4とをより確実に接続することができる。この結果、複数の電池4間の接続信頼性を高めることができる。なお、本実施の形態においても、各接続部18の断面積や長さを異ならせることで、各電池4の導電経路における電気抵抗の差を小さくすることができる。
【0064】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えたりすることも可能であり、そのように組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述した各実施の形態同士の組み合わせ、及び上述した各実施の形態への変形の追加によって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0065】
上述した実施の形態では、電池4は角形電池であるが、電池4の形状は特に限定されず、円筒状等であってもよい。また、電池積層体1が備える電池4および電池ユニット20の総数、各電池ユニット20における電池4の数も特に限定されない。また、電池4の外装缶は、シュリンクチューブ等の絶縁シートで被覆されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 電池積層体
2 バスバー
4 電池
4a 第1電池
4b 第2電池
16 本体部
18 接続部
18a 第1接続部
18b 第2接続部
20 電池ユニット
20a 第1電池ユニット
20b 第2電池ユニット
28 変位吸収部