(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221202BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20221202BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20221202BHJP
F21V 14/06 20060101ALI20221202BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221202BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21S2/00 340
F21V17/00 200
F21V14/00 200
F21V14/06
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019004533
(22)【出願日】2019-01-15
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 悟
(72)【発明者】
【氏名】三輪 竜也
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-089502(JP,A)
【文献】登録実用新案第3212842(JP,U)
【文献】特開2018-073772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/00
F21V 14/00
F21V 14/06
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置される光源と、
前記光源よりも前記光源から出射される出射光の光軸方向の光出射側に配置されるレンズを含む光学ブロックと、
前記光源に対して静止する第1静止部に対して回転可能になっている回転部材と、を備え、
前記第1静止部と前記回転部材に対して静止する第2静止部とのうちの一方の静止部に設けられる1以上の凸部と、前記第1静止部と前記第2静止部とのうちの他方の静止部に設けられる1以上の凹部とを含み、
前記回転部材の周方向の回転可能範囲内に少なくとも1つの前記凸部が前記凹部に嵌り込む1以上の嵌合周方向位置が存在し、
前記回転部材が前記筐体に対して相対回転すると、前記レンズにおける前記光軸方向の位置が変動することと、前記レンズが前記周方向に回転することの少なくとも一方が実行され
、
前記凸部は前記光軸方向の片側に突出し、前記凹部は前記光軸方向の片側に窪んでいる、照明装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体内に配置される光源と、
前記光源よりも前記光源から出射される出射光の光軸方向の光出射側に配置されるレンズを含む光学ブロックと、
前記光源に対して静止する第1静止部に対して回転可能になっている回転部材と、を備え、
前記第1静止部と前記回転部材に対して静止する第2静止部とのうちの一方の静止部に設けられる1以上の凸部と、前記第1静止部と前記第2静止部とのうちの他方の静止部に設けられる1以上の凹部とを含み、
前記回転部材の周方向の回転可能範囲内に少なくとも1つの前記凸部が前記凹部に嵌り込む1以上の嵌合周方向位置が存在し、
前記回転部材が前記筐体に対して相対回転すると、前記レンズにおける前記光軸方向の位置が変動することと、前記レンズが前記周方向に回転することの少なくとも一方が実行され
、前記凸部が前記凹部に嵌りこむ1以上の嵌合状態と前記凸部が前記凹部に嵌りこまない2以上の非嵌合状態とを取り得る、照明装置。
【請求項3】
前記回転部材が前記筐体に対して相対回転すると、前記レンズの前記光軸方向の位置が変動し、
前記回転可能範囲を前記周方向に4等分したときに生成される4つの周方向領域の夫々に少なくとも1つの前記嵌合周方向位置が存在する、請求項1
又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記回転部材が前記嵌合周方向位置に位置していない場合、前記凸部が前記他方の静止部から力を受ける、請求項1
乃至3のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項5】
前記凹部が、前記周方向に間隔をおいて配置されて前記光軸方向に突出する一対の突出部によって画定され、
前記凸部が前記突出部から前記周方向に間隔をおいた状態で、前記凸部が前記他方の静止部から力を受けない、請求項1
乃至3のいずれか1つに記載の照明装置。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体内に配置される光源と、
前記光源よりも前記光源から出射される出射光の光軸方向の光出射側に配置されるレンズを含む光学ブロックと、
前記光源に対して静止する第1静止部に対して回転可能になっている回転部材と、を備え、
前記第1静止部と前記回転部材に対して静止する第2静止部とのうちの一方の静止部に設けられる1以上の凸部と、前記第1静止部と前記第2静止部とのうちの他方の静止部に設けられる1以上の凹部とを含み、
前記回転部材の周方向の回転可能範囲内に少なくとも1つの前記凸部が前記凹部に嵌り込む1以上の嵌合周方向位置が存在し、
前記回転部材が前記筐体に対して相対回転すると、前記レンズにおける前記光軸方向の位置が変動することと、前記レンズが前記周方向に回転することの少なくとも一方が実行され、
前記回転部材は、環状の本体部と、前記本体部における前記光軸方向の光出射側とは反対側の端部から前記周方向に突出する周方向突出部とを含み、
前記周方向突出部の前記光軸方向の光出射側の端面は、間隔をおいた状態で前記本体部に前記光軸方向に対向し
前記凸部が、前記周方向突出部に含まれ、前記光軸方向の光出射側とは反対側に突出する
、照明装置。
【請求項7】
前記回転部材は、前記光軸方向の位置が略変わらずに前記第1静止部に対して回転可能になっており、
前記光学ブロックは、前記レンズを保持するレンズホルダを有すると共に、前記第1静止部に対する相対回転が制限されており、
前記回転部材が、前記光軸方向に対して傾斜する傾斜溝を有する一方、前記レンズホルダが前記傾斜溝に嵌り込んで前記回転部材が前記第1静止部に対して回転すると前記傾斜溝内における存在位置が変動する嵌合部を有し、
前記凸部は、前記回転部材において前記光軸方向の光出射側とは反対側に突出する部分であり、
前記凹部は、筐体において前記光軸方向の光出射側とは反対側に窪んでいる部分である、請求項1乃至
6のいずれか1つに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置としては、特許文献1に記載されているものがある。この照明装置は、基台、光源モジュール、第1円筒部材、第2円筒部材、レンズ保持体、及びレンズを備える。基台は、筐体上側を構成し、光出射側とは反対側に複数のフィンを有する。また、光源モジュールは、基台の光出射側の端面(主面)に固定され、光軸方向のフィン側とは反対側に光を出射する。また、第1円筒部材は、基台に相対移動不可に固定され、第2円筒部材は、第1円筒部材に光軸方向に相対移動可能に取り付けられる。第2円筒部材は、第1円筒部材に対して回転すると第1円筒部材に対する高さ位置が変動する。レンズ保持体は、照明装置の筐体下側を構成する。レンズ保持体は、第2円筒部材の径方向外側に相対移動不可に固定され、レンズは、レンズ保持体の内側に相対移動不可に固定される。レンズは、光軸方向において光源モジュールよりも光出射側に位置する。この照明装置は、レンズ保持体を基台に対して回転させることで基台に対するレンズ保持体の高さ位置を変動させることができるので、光源モジュールに対するレンズの光軸方向位置を適切に調整できる。したがって、出射光の配光角制御を実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズの光軸方向位置を移動させることができて出射光の配光角制御を実行できる照明装置に関して、推奨されるレンズの光軸方向位置が存在して推奨される配光状態が存在する場合がある。又は、レンズの回転制御で配光を変更できる照明装置に関して、推奨されるレンズの周方向位置が存在して推奨される配光状態が存在する場合もある。このような場合、ユーザが、照明装置を推奨される配光状態に設定し易いと好ましく、その設定が完了したことを認識し易いと好ましい。
【0005】
そこで、本開示の目的は、レンズ位置を推奨される光軸方向位置や周方向位置に設定し易くて、設定が完了したことも認識し易い照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係る照明装置は、筐体と、筐体内に配置される光源と、光源よりも光源から出射される出射光の光軸方向の光出射側に配置されるレンズを含む光学ブロックと、光源に対して静止する第1静止部に対して回転可能になっている回転部材と、を備え、第1静止部と回転部材に対して静止する第2静止部とのうちの一方の静止部に設けられる1以上の凸部と、第1静止部と第2静止部とのうちの他方の静止部に設けられる1以上の凹部とを含み、回転部材の周方向の回転可能範囲内に少なくとも1つの凸部が凹部に嵌り込む1以上の嵌合周方向位置が存在し、回転部材が筐体に対して相対回転すると、レンズにおける光軸方向の位置が変動することと、レンズが周方向に回転することの少なくとも一方が実行される。
【0007】
なお、上記回転部材は、上記第2静止部に含まれる。また、1つの凹部には、1つの凸部のみが嵌まり込み、1つの凹部に、2以上の凸部が嵌まり込むことはない。また、上記凹部に対する上記凸部の嵌り込み(嵌合)は、凹部との間に隙間を有さない状態での嵌り込み(締り嵌めや中間嵌め)でもよい。又は、上記凹部に対する上記凸部の嵌り込み(嵌合)は、隙間を有した状態での嵌り込み(隙間嵌め)でもよく、この場合、上記凹部に対する上記凸部の位置決めは、所定の周方向範囲で実行できればよい。したがって、その場合、各嵌合周方向位置は、隙間嵌めが実行された際に変動可能な周方向幅を有してもよい。また、上記「光源よりも光出射側に配置されるレンズ」という要件は、レンズにおける光軸方向の光出射側の端面が、光源よりも光軸方向の光出射側に位置すれば満たされるものとする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る照明装置によれば、レンズ位置を推奨される光軸方向位置や周方向位置に設定し易くて、調整が完了したことも設定し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【
図4】照明装置の筐体の主面に配置されている状態の光源モジュールを示す斜視図である。
【
図5】枠体の中心軸が光軸方向に略一致している状態における照明装置の一断面図である。
【
図6】レンズホルダとそれに保持されたレンズとで構成される光学ブロックの斜視図である。
【
図10】光学ブロックと回転部材が一体に統合された回転部材アッセンブリの斜視図である。
【
図12】
図1と異なる角度から見たときの照明装置の斜視図である。
【
図13】照明装置を下から見たときの斜視図である。
【
図14】
図9を異なる角度から見たときの回転部材の斜視図である。
【
図15】回転部材が嵌合周方向位置に位置していないときの周方向突出部の状態を表す拡大模式斜視図である。
【
図16】回転部材が嵌合周方向位置に位置しているときの周方向突出部の状態を表す拡大模式斜視図である。
【
図17】変形例の照明装置における
図16に対応する拡大模式斜視図である。
【
図18】他の変形例の照明装置における
図16に対応する拡大模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、図面、及び以下の説明において、R方向は、筐体10の径方向であり、θ方向は、筐体10の周方向である。また、Z方向は、光軸方向であり、筐体10の高さ方向に一致し、また、レンズ30の中心軸の延在方向にも一致する。R方向、θ方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、以下の説明で、上側とは、光軸方向における光出射側とは反対側を指し、下側とは、光軸方向の光出射側を指す。また、以下で説明する傾斜溝を、Z方向に対して傾斜すると共に互いに対向する一対の内側壁面を有する構造であって、一対の内側壁面の間に位置する嵌合部の少なくとも一部を一対の内側壁面でガイドすることで、嵌合部が、一対の内側壁面の延在方向に沿って移動することを可能とする構造として定義する。したがって、傾斜溝は、底部が存在する構造でもよいが、以下で説明する傾斜溝51のように、光軸方向に対して傾斜する細長い長孔形状を有する貫通孔の構造を有して、回転部材若しくは光学ブロック(レンズアッセンブリ)の側壁を厚さ方向に貫通してもよい。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る照明装置1の斜視図である。
図1に示すように、照明装置1は、埋込型ユニバーサルダウンライトであり、ホール等の建物の天井に埋め込み配置され、下方に出射される出射光の光軸方向を変動させることができる。より詳しくは、
図1に示すように、照明装置1は、筐体10を備える。筐体10は、有底円筒状部11を有する。筐体10は、有底円筒状部11内に光源62(
図4参照)を取り付ける取付台として機能し、光源62に対して静止する第1静止部に含まれる。筐体10は、上方に突出する複数のフィン12を有し、筐体全体が、光源62で発生する熱を放散させるヒートシンクとしても機能し、特にフィン12が光源62からの熱を外気に放熱する。このため、筐体10は、金属材料等の熱伝導率の高い材料によって構成されると好ましい。筐体10は、例えば、アルミダイカスト等で、有底円筒状部11とフィン12を一体成形することで構成される。なお、筐体は、有底円筒状部とフィンを接合する構成でもよい。この場合、例えば、有底円筒状部に設けた突起を、フィンに設けられた孔に挿入した後に塑性変形させることで、有底円筒状部とフィンを接続してもよい。なお、筐体は、フィンを有さなくてもよい。
【0012】
照明装置1は、更に、バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20を備える。バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20の夫々は、アルミニウム等の金属材料、又はポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料によって好適に形成される。筐体10、バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20は、次に示す如く一体化される。詳しくは、
図1に示すように、バネ取付部材15は、環状平板部15aと、2つのバネ取付部15bを含み、2つのバネ取付部15bは、環状平板部15aの周方向に間隔をおいた状態で環状平板部15aから下側に突出する。また、枠体20は、筒状部材であり、環状円板状の上側端面(図示せず)を含む。また、
図2、すなわち、光軸調整用部材17の斜視図に示すように、光軸調整用部材17は、環状平板部17a、上側筐体固定部17b、及び下側筐体固定部17cを含み、上側筐体固定部17bは、環状平板部17aから上側に突出する一方、下側筐体固定部17cは、環状平板部17aから下側に突出する。
【0013】
再度、
図1を参照して、バネ取付部材15の環状平板部15aと枠体20の上側端面とで光軸調整用部材17の環状平板部17aを挟持した状態で、環状平板部15aを枠体20の上側端面にねじ27で固定する。この固定で、バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20が一体化される。
図2に示すように、上側筐体固定部17bは、長孔17dを有し、下側筐体固定部17cは、円筒孔17eを有する。
図1を参照して、光軸調整用部材17は、長孔17dを用いてねじ21で筐体10にねじ止めされると共に円筒孔17e(
図2参照)を用いて図示しないねじで筐体10にねじ止めされる。
【0014】
照明装置1は、更に、2つの取付バネ28を備える。2つの取付バネ28は、枠体外側にその中心軸を挟んで枠体20の径方向に対向するように配置され、各取付バネ28は、バネ取付部15bに固定される。取付バネ28は、例えば、屈曲部を有する金属板によって構成され、板バネ構造を有する。取付バネ28を歪ませて、取付バネ28を埋め込み孔の周囲に当接させる。上述のように、バネ取付部15bは枠体20に固定されている。したがって、枠体20は、取付バネ28が埋め込み孔内面から受ける水平方向の力で天井の埋め込み孔内面に固定される。取付バネ28は、枠体20に取り付けられるので、枠体20に対して静止し、天井の埋め込み孔にも静止する。なお、取付バネは3以上設けられてもよい。また、照明装置の天井への取付構造は、照明装置を天井に固定できる構造であれば如何なる構造でもよく、取付バネを含まなくてもよい。
【0015】
図1に示すように、枠体20の中心軸の延在方向がZ方向に略一致している状態では、筐体10は、ねじ21で紙面における長孔17dの右端に固定される。枠体20を、取付バネ28を用いて埋め込み孔に固定した状態で、ユーザが上側筐体固定部17bに対するねじ21の締付力に起因して生じる静止摩擦力以上の力を筐体10に付与したとする。すると、筐体10が、円筒孔17e及び筐体10に締め込まれたねじ(図示せず)を支点として、ねじ21が長孔17d内を
図1の左側に移動するように光軸調整用部材17に対して回転する。換言すると、光軸調整用部材17は、枠体20に対して相対移動不可能に固定されているので、筐体10が枠体20に対して傾斜する。
【0016】
したがって、ユーザは、照明装置1が埋め込み孔に固定された後、筐体10が枠体20に対して所望の角度傾斜するように調整でき、筐体10に固定された光源62(
図4参照)からの出射光の光軸を鉛直方向に対して所望の角度だけ傾斜させることができる。よって、照射領域の自由度を格段に高くできる。
【0017】
照明装置1は、光源62に対するレンズの光軸方向位置を変動させることができ、出射光を配光角制御できる。次に、このことについて説明する。
図3は、照明装置1の主要構成の分解斜視図である。また、
図4は、筐体10の主面24に配置されている状態の光源モジュール60を示す斜視図であり、
図5は、枠体20の中心軸がZ方向に略一致している状態における照明装置1の断面図である。
【0018】
図3に示すように、照明装置1は、筐体10及び枠体20に加えて、レンズ30、レンズホルダ40、及び回転部材50を備える。また、
図4に示すように、照明装置1は、筐体10の主面に固定される光源モジュール60を備え、光源モジュール60は、基板61と、光源62を有する。基板61は、平面視で略矩形の形状を有し、光源62は、円板状の形状を有し、基板61の下面(実装面)の略中央に配設される。光源モジュール60は、例えば、COB(Chip On Board)構造を有し、光源62は、基板61に実装された複数のLED(light emitting diode)と、複数のLEDを封止する封止部材を含む。
【0019】
基板61は、例えば、セラミックス基板、樹脂基板、又はメタルベース基板等で構成される。詳述しないが、基板61には、一対の電極端子と、所定パターンの金属配線が形成される。一対の電極端子は、LEDを発光させるための直流電力を外部から受電するために設けられる。また、所定パターンの金属配線は、LED同士を電気的に接続するために設けられる。
【0020】
LEDは、発光素子の一例である。LEDは、例えば、単色の可視光を発するベアチップで構成され、通電されれば青色光を発する青色LEDチップで構成される。複数のLEDは、例えば基板61にマトリクス状に配置される。なお、LEDは、基板に1つのみ実装されてもよい。封止部材は、例えば、透光性樹脂で構成され、蛍光体を含む。蛍光体は、LEDからの光を波長変換する役割を果たす。封止部材は、例えば、シリコーン樹脂に蛍光体粒子を分散させた蛍光体含有樹脂で構成される。光源モジュール60が白色光を出射し、LEDが青色光を発光する青色LEDチップである場合、蛍光体粒子は、例えばYAG系の黄色蛍光体で構成される。
【0021】
なお、封止部材は、例えば、全てのLEDを一括封止してもよく、複数のLEDを列ごとにライン状に封止してもよく、各LEDを1つずつ個別に封止してもよい。また、光源は、LED以外の発光素子で構成されてもよく、半導体レーザ素子や、有機EL(Electro Luminescence)素子若しくは無機EL素子等の固体発光素子等で構成されてもよい。又は、光源は、白熱灯や蛍光灯で構成されてもよい。
【0022】
図4に示すように、基板61は、例えば、筐体10の主面24に設けられた凹部64に収容される。また、照明装置1は、図示しない2つの基板ホルダを有し、2つの基板ホルダは、基板61の下側かつ長手方向又は幅方向の両側に配置される。基板ホルダは、例えば、筐体10に固定された状態でZ方向から見たときに基板の長手方向又は幅方向の両側端部61eに重なる基板受部(図示せず)を有する。基板ホルダは、図示しないねじを用いて筐体10の主面24にねじ孔65を用いて締め込み固定され、基板61は、基板受部で主面24側に押圧されることで筐体10に固定される。なお、基板を保持する取付板(図示せず)を設け、取付板を基板ホルダとねじを用いて筐体の主面に固定してもよい。
【0023】
図5を参照して、レンズ30は、Z方向に関して、光源62(
図4参照)よりも光出射側に配置される。より正確には、レンズ30におけるZ方向の光出射側の端面96は、光源62よりもZ方向の光出射側に位置する。また、レンズホルダ40は、レンズ30を取り囲むように配置され、回転部材50は、レンズホルダ40を取り囲むように配置される。
【0024】
図6は、レンズホルダ40とそれに保持されたレンズ30とで構成される光学ブロック70の斜視図であり、
図7は、レンズホルダ40の斜視図であり、
図8は、レンズ30の斜視図である。
図6に示すように、レンズホルダ40は、環状部材であり、レンズ30を取り囲むように配置される。レンズホルダ40は、アルミニウム等の金属材料、又はポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料によって好適に形成される。また、レンズ30は、透光性を有する透光性材料によって構成され、アクリル、ポリカーボネート、シリコーン等の透明樹脂材料、又は、ガラス材料によって形成されると好ましい。
【0025】
図7に示すように、レンズホルダ40は、周方向に間隔をおいて配置される3つのホルダ係止部41を有し、各ホルダ係止部41は、Z方向に延在する。ホルダ係止部41は、R方向内方に凸の凹面41aを含み、凹面41aはR方向外方を向き、Z方向に延在する。ホルダ係止部41の役割については後で説明する。また、レンズホルダ40は、3つのレンズ嵌合部42を有し、3つのレンズ嵌合部42は、θ方向に略等間隔に配置されて内周側に配置される。レンズ嵌合部42は、R方向内方に突出する突出部で構成される。
図8に示すように、レンズ30は、Z方向下側に行くにしたがって末広がりとなる形状を有する。レンズ30は、外周側の下側端部にθ方向に略等間隔に配置される3つのホルダ嵌合部31を有する。ホルダ嵌合部31は、レンズ嵌合部42(
図7参照)の形状に対応する形状を有して、R方向内側に窪む凹部で構成される。レンズ嵌合部42をホルダ嵌合部31に圧入で嵌合させることで、レンズ30がレンズホルダ40に固定され、その結果、
図6に示す光学ブロック70が構成される。
【0026】
次に、回転部材50に対する光学ブロック70の相対移動可能な統合構造について説明する。
図7に示すように、レンズホルダ40は、外周側に2つの嵌合爪48を有する。嵌合爪48は、嵌合部の一例である。2つの嵌合爪48は、R方向に対向するように配置され、各嵌合爪48は、一対の傾斜面48a,48bを有する板形状を有する。各傾斜面48a,48bは、Z方向に対して傾斜する方向に延在する。
【0027】
図9は、回転部材50の斜視図である。回転部材50は、ポリカーボネート等のばね性を有する樹脂材料で構成されると好ましいが、硬い樹脂材料や金属材料で構成されてもよい。
図9に示すように、回転部材50は、略円筒状の部材であり、θ方向に間隔をおいて配置される2つの傾斜溝51を有する。傾斜溝51は、螺旋溝の一部からなる形状を有する。傾斜溝51は、Z方向に対して傾斜し、θ方向一方側に行くにしたがって回転部材50のZ方向下側からZ方向上側まで延在する。傾斜溝51は、回転部材50を厚さ方向に貫通する細長い長孔形状の貫通孔の構造を有し、Z方向に対向する一対の内壁面(傾斜面)51a,51bを含む。
【0028】
図10に示すように、光学ブロック70においてR方向外方に突出する嵌合爪48を、回転部材50の傾斜溝51に嵌合させることで、光学ブロック70と回転部材50が一体に統合され、回転部材アッセンブリ80が構成される。嵌合爪48は、傾斜溝51内を傾斜溝51の延在方向に移動可能になっている。光学ブロック70が、
図10に示す状態から回転部材50に対して
図10にθ1に示す方向に相対回転すると、レンズ30が回転部材50に対してZ方向上側に移動する。このように、傾斜溝51内における嵌合爪48の存在位置を調整することで、回転部材50に対するレンズ30のZ方向位置を調整できるようになっている。
【0029】
次に、筐体10に対する回転部材アッセンブリ80の取付構造について説明する。
図3に示すように、筐体10は、2分割構造を有し、第1部材10aと第2部材10bを含む。
図11は、筐体10の第1部材10aの斜視図である。
図11に示すように、筐体10は、主面24側からZ方向下側に延在する複数の柱状部(リブ)18を有する。柱状部18は、光源62に対して静止する第1静止部に設けられ、第1静止部側係止部を構成する。柱状部18の先端面は、R方向内方側に凸の凸面18aとなっている。本実施例では、
図11に示す第1部材10aが、2つの柱状部18を有し、第2部材10bが、1つの柱状部(図示せず)を有する。
【0030】
3つの柱状部18の凸面18aは、回転部材アッセンブリ80に含まれるレンズホルダ40の3つのホルダ係止部41の凹面41a(
図10参照)に係止される。その後、
図12、すなわち、
図1と異なる角度から見たときの照明装置1の斜視図に示すように、ねじ88で第1部材10aと第2部材10bを一体化することで、回転部材アッセンブリ80が筐体10に取り付けられ、筐体10と一体化される。
【0031】
図5に示すように、回転部材50は、第1環状フランジ部57と、それよりもZ方向下側に位置する第2環状フランジ部58を有し、Z方向におけるそれらのフランジ部57,58の間には、環状溝59が設けられる。また、筐体10は、Z方向下側にR方向内方側に突出する環状突出部19を有する。第1部材10aと第2部材10bが一体化されて、筐体10と回転部材アッセンブリ80が統合された状態で、環状突出部19は環状溝59内に配置される。Z方向から見たとき、第1環状フランジ部57は、環状突出部19に重なる部分を有し、筐体10においてZ方向下側に位置する環状端面14は、第2環状フランジ部58に重なる部分を有する。
図5に示すように、第1環状フランジ部57の下面が環状突出部19の上面に接触している状態で、環状端面14は、第2環状フランジ部58の上面に僅かな隙間を介してZ方向に対向する。筐体10に対する回転部材50の下側移動は、環状突出部19で規制され、筐体10に対する回転部材50の上側移動は、筐体10の環状端面14で規制される。その結果、回転部材50は、筐体10に対してZ方向位置が略変化しない状態で筐体10に対して相対回転可能となる。また、上記僅かな隙間が存在するため、回転部材50を筐体10に対して円滑に回転させることができる。筐体10に対する回転部材50のZ方向位置は、その僅かな隙間のZ方向長さだけ変動する。よって、繰り返しになるが、筐体10に対する回転部材50のZ方向位置は略変動しない。
【0032】
再度、
図9を参照して、回転部材50は、人がそれをつかんで回転させるための環状の把持部52をZ方向下側に有する。
図13、すなわち、照明装置1を下から見たときの斜視図に示すように、筐体10と回転部材50との間には隙間が存在する。したがって、人が、指をその隙間に挿入して回転部材50の把持部52を回転させることができ、筐体10に対して回転部材50をθ方向の双方向に自在に回転させることができる。
【0033】
上記構成において、人が把持部52を用いて筐体10に対して回転部材50を回転させたとする。すると、光学ブロック70が、そのホルダ係止部41の柱状部18への係止によって筐体10に対して回転できない状態となっているため、回転部材50の回転と共に連れ回りすることがなく、回転部材50が、光学ブロック70に対して相対回転する。したがって、この相対回転によって、嵌合爪48が、傾斜溝51内を移動し、その結果、光学ブロック70が回転部材50に対してZ方向に相対移動する。よって、上述のように、回転部材50が回転しても、回転部材50のZ方向位置が殆ど変化しないので、光学ブロック70のZ方向位置を自在に変動させることができ、それに含まれるレンズ30のZ方向位置も自在に変動させることができる。
【0034】
次に、レンズ30の光軸方向位置を推奨される光軸方向位置に設定し易くて推奨される配光状態に設定し易い構造、及びその設定動作について説明する。
図11を再度参照して、第1部材10aは、円筒内周面の一部で構成される内面29からRθ平面に突出するZ方向の端面22を含むようにR方向内側に突出する円弧状突出部23を有し、更に、その円弧状突出部23からZ方向の上側に窪む3つの凹部25を有する。3つの凹部25は、θ方向に互いに間隔をおいて配置される。本実施例では、円弧状突出部23は、一方側凹部25a、他方側凹部25b、及び中央側凹部25cを有し、一方側凹部25aは、円弧状突出部23のθ方向の一方側端部に設けられ、他方側凹部25bは、円弧状突出部23のθ方向の他方側端部に設けられる。また、中央側凹部25cは、円弧状突出部23のθ方向の中央部に設けられる。
【0035】
また、
図14、すなわち、
図9を異なる角度から見たときの回転部材50の斜視図に示すように、回転部材50は、環状の本体部53と、本体部53におけるZ方向の上側端部からθ方向に突出する周方向突出部55とを有する。また、周方向突出部55は、Z方向上側に突出する一つの凸部56を有する。また、周方向突出部55のZ方向下側の端面54は、間隔をおいた状態で本体部53にZ方向に対向している。換言すれば、本体部53と、上記Z方向下側の端面54は、θ方向に延在する凹部68を画定している。
【0036】
再度、
図5を参照して、筐体10に対して回転部材50が回転可能な周方向範囲の大部分で、凸部56の先端側は、円弧状突出部23のZ方向下側の端面22に接触し、その端面22からZ方向下側に力を受ける。そして、このZ方向下側の力で、凸部56が下側に弾性変形した状態になっている。
【0037】
筐体10に対して回転部材50をθ方向に相対回転させると、凸部56の先端側が、端面22からZ方向下側に力を受けた状態で、凸部56が端面22上をθ方向に移動する。そして、
図5に示すように、θ方向の嵌合周方向位置で凸部56が凹部25に嵌り込み、凸部56の弾性変形が開放され、その際、カチッといったクリック音が外部に発せられる。その結果、ユーザは、その回転位置が、製造メーカが推奨しているθ方向位置であることを認識でき、レンズ30の光軸方向位置が推奨された光軸方向位置に設定できたことを認識できる。筐体10は、光源62に対して静止する第1静止部に含まれ、回転部材50は、回転部材50に対して静止する第2静止部に含まれる。
【0038】
図15は、回転部材50が嵌合周方向位置に位置していないときの周方向突出部55の状態を表す拡大模式斜視図であり、
図16は、回転部材50が嵌合周方向位置に位置しているときの周方向突出部55の状態を表す拡大模式斜視図である。
【0039】
図15に示すように、回転部材50が嵌合周方向位置に位置していない状態では、周方向突出部55は、回転部材50の本体部53に対する接続部69付近を支点として先端側がZ方向下側に弾性変形している。そして、凸部56が円弧状突出部23の端面22を上側に強く押圧している。したがって、ユーザが仮に回転部材50の推奨される回転位置を選択しなかった場合でも、円弧状突出部23と周方向突出部55との間に大きな静止摩擦力を生成することができ、筐体10に対して回転部材50を確実に静止させることができる。
【0040】
これに対し、
図16に示すように、回転部材50が嵌合周方向位置に位置して、凸部56が凹部25に嵌り込んでいる状態では、凸部56の弾性変形が開放され、円弧状突出部23が本体部53に対する接続部69から略Z方向に直交する方向に延在している。したがって、ユーザが回転部材50の推奨される回転位置を選択した場合、凸部56に大きな力が作用しないため、円弧状突出部23が損傷しにくく、回転部材50の寿命を長くできる。
【0041】
なお、
図16に示すように、凸部56のθ方向の両側側面が、凸部56の先端側行くにしたがって先細りのテーパ面56a,56bで構成されてもよい。また、凹部25のθ方向の両側側面が、凸部56のθ方向の両側側面のテーパ面56a,56bに対応するテーパ面26a,26bで構成されてもよい。このようなテーパ面26a,26b,56a,56bを形成すれば、回転部材50が筐体10に対して相対回転したとき、凸部56が凹部25から円滑に抜け出ることができて好ましい。
【0042】
また、本実施例では、凹部25が、円弧状突出部23の両端部と中央部に3か所設けられている。この3か所は、レンズ30における推奨される広角位置、レンズ30において推奨される狭角位置、及びレンズ30において推奨される中角位置に設定されることができる。また、本実施例では、回転部材50が、θ方向に互いに間隔をおいて配置される2つの傾斜溝51を有する。よって、回転部材50は、0°より大きくて180°より小さい角度範囲のみ筐体10に対して相対回転させればよく、それに起因して、円弧状突出部23も、照明装置1のθ方向に関して、0°より大きくて180°より小さい角度範囲のみに設けられている。
【0043】
以上、照明装置1は、筐体10、筐体10内に配置される光源62、及び光源62よりもZ方向(光源62から出射される出射光の光軸方向)の光出射側に配置されるレンズ30を含む光学ブロック70を備える。また、照明装置1は、光源62に対して静止する第1静止部に対して回転可能になっている回転部材50を備える。また、照明装置1は、第1静止部と回転部材50に対して静止する第2静止部とのうちの一方の静止部に設けられる1以上の凸部56と、第1静止部と第2静止部とのうちの他方の静止部に設けられる1以上の凹部25を含む。また、回転部材50のθ方向(周方向)の回転可能範囲内に少なくとも1つの凸部56が凹部25に嵌り込む1以上の嵌合周方向位置が存在する。そして、回転部材50が筐体に対して相対回転すると、レンズ30におけるZ方向の位置が変動する。
【0044】
したがって、上述のように、嵌合周方向位置で凸部56が凹部25に嵌り込み、凸部56の弾性変形が開放され、その際、カチッといったクリック音が外部に発せられる。よって、ユーザは、その回転位置が、製造メーカが推奨しているθ方向位置であることを認識でき、レンズ30の光軸方向位置が推奨された光軸方向位置に設定できたことを認識できる。
【0045】
また、回転部材50が嵌合周方向位置に位置していない場合、凸部56が、凹部25が設けられている筐体(第1静止部と第2静止部のうちの他方の静止部)10から力を受けてもよい。
【0046】
本構成によれば、ユーザが、回転部材50の推奨される回転位置を選択しなかった場合でも、凸部56と筐体10との間に大きな静止摩擦力を生成することができる。よって、筐体10に対して回転部材50を確実に静止させることができる。
【0047】
また、回転部材50が、環状の本体部53と、本体部53におけるZ方向上側の端部からθ方向に突出する周方向突出部55を含んでもよい。また、周方向突出部55のZ方向下側の端面54が、間隔をおいた状態で本体部53にZ方向に対向してもよい。そして、Z方向上側に突出する凸部56が、周方向突出部55に含まれてもよい。
【0048】
本構成によれば、凸部56を含む周方向突出部55が、本体部53の上端部からθ方向に延在し、周方向突出部55の下側の端面54と本体部53の間にスペースが存在する。したがって、上記スペースが存在しているため、周方向突出部55が、凹部25が設けられた第1静止部又は第2静止部から受ける力でZ方向下側に撓み易くなり、凸部56が凹部25に嵌り込むときの反動を大きくできる。よって、クリック感を大きくできる。
【0049】
また、上述のように、周方向突出部55が、Z方向下側に撓み易くなるので、回転部材50を筐体10に対してθ方向に円滑に相対移動させ易く操作性を良好なものにできる。更には、周方向突出部55が、Z方向下側に撓み易くなるので、照明装置1を、回転部材50が嵌合周方向位置に位置していない状態で使用するときでも、凸部56とそれが接触する部位との静止摩擦力を大きくでき、凸部56を当該部位に確実に係止できる。よって、そのような使用をした場合でも、僅かな振動では、回転部材50のθ方向の位置ずれが起きにくく、回転部材50のθ方向の位置ずれを抑制できる。
【0050】
また、回転部材50は、Z方向の位置が略変わらずに第1静止部に対して回転可能になっていてもよい。また、光学ブロック70は、レンズ30を保持するレンズホルダ40を有すると共に、第1静止部に対する相対回転が制限されていてもよい。また、回転部材50が、Z方向に対して傾斜する傾斜溝51を有してもよく、レンズホルダ40が傾斜溝51に嵌り込んで回転部材50が第1静止部に対して回転すると傾斜溝51内における存在位置が変動する嵌合爪(嵌合部)48を有してもよい。そして、凸部56が、回転部材50においてZ方向の上側(光軸方向の光出射側とは反対側)に突出する部分でもよく、凹部25が、筐体10においてZ方向の上側に窪んでいる部分でもよい。
【0051】
本構成によれば、回転部材50が筐体10に対してZ方向に上下動せずにレンズ30をZ方向に上下動させることができる。したがって、レンズ30のZ方向位置を変動させても筐体10のZ方向寸法が変動しないようにできる。よって、レンズ30が製造メーカ奨励の光軸方向位置に配置できたことを容易に認識できて所望の配光角制御を実行できるだけでなく、コンパクトでしかも美観にも優れる照明装置1を実現できる。
【0052】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、回転部材50が嵌合周方向位置に位置していない場合、凸部56が、凹部25が設けられている筐体(第1静止部と第2静止部のうちので凹部が設けられた片方の静止部)10から力を受ける場合について説明した。
【0054】
しかし、
図17、すなわち、変形例の照明装置101における
図16に対応する拡大模式斜視図に示すように、凹部125が、θ方向(周方向)に間隔をおいて配置されてZ方向(光軸方向)に突出する一対の突出部190a,190bによって画定されてもよい。そして、凸部156が突出部190a,190bからθ方向に間隔をおいた状態で、凸部156が第1静止部と第2静止部のうちので凹部が設けられた片方の静止部(他方の静止部)から力を受けない構成でもよい。換言すると、凸部156が、突出部190a,190bを乗り越えるときだけ上記片方の静止部から力を受けて撓むようにして、嵌合周方向位置以外の殆どの周方向位置で凸部156が上記片方の静止部から力を受けないようにしてもよく、凸部156が上記片方の静止部から力で損傷しにくいようにしてもよい。
【0055】
また、光源62に対して静止する第1静止部に凹部25を設ける一方、回転部材50に対して静止する第2静止部に凸部56を設ける場合について説明した。しかし、光源に対して静止する第1静止部に凸部を設ける一方、回転部材に対して静止する第2静止部に凹部を設けてもよい。例を挙げれば、
図18、すなわち、他の変形例の照明装置201における
図16に対応する拡大模式斜視図に示すように、光源に対して静止する筐体210に凸部256を設ける一方、回転部材250に対して静止する第2静止部に含まれる回転部材250自身に凹部225を設けてもよい。
【0056】
また、照明装置1が、少なくとも1つの凸部56が凹部25に嵌り込む3つの嵌合周方向位置を有する場合について説明した。しかし、照明装置は、少なくとも1つの凸部が凹部に嵌り込む1、2又は4以上の嵌合周方向位置を有してもよい。そして、特に、照明装置が、4以上の嵌合周方向位置を有する場合、回転部材が回転可能な回転可能範囲を周方向に4等分したときに生成される4つの周方向領域の夫々に少なくとも1つの嵌合周方向位置が存在してもよい。このようにすると、製造メーカが、広角領域と狭角領域の夫々に少なくとも1つの奨励位置を設定できると共に、それらの間の中角位置に少なくとも2つの奨励位置を設定できて好ましい。
【0057】
また、照明装置1が、1つの凸部56と、3つの凹部25を有する場合について説明した。しかし、照明装置は、2以上の凸部を有してもよく、1、2又は4以上の凹部を有してもよい。なお、凹部の数が凸部の数よりも多くて、嵌合周方向位置では、全ての凸部が凹部に嵌り込むと好ましい。また、嵌合周方向位置で、2以上の凸部が同時に凹部に嵌めり込む構成を採用すると、嵌合周方向位置で生じるクリック感を大きくできる。
【0058】
また、レンズ30のZ方向位置が変動しても筐体10のZ方向寸法が変化しなくて、照明装置1が美観に優れる場合について説明した。しかし、レンズのZ方向位置が変動すると筐体のZ方向寸法が変動してもよい。また、筐体10に対して回転部材50を相対回転させると、レンズ30のZ方向位置が変動する場合について説明した。しかし、筐体に対して回転部材を相対回転させると、レンズのZ方向位置が変動しなくてもよい。
【0059】
詳しくは、照明装置から出射される出射光の配光が、レンズの回転依存性を有し、レンズの回転によって変動する場合がある。このような場合に、回転部材において推奨させる周方向位置をユーザに分かり易くするために、照明装置に、上述の凸部と凹部の嵌合又は非嵌合構造を採用してもよい。この構造は、例えば、回転部材が筒状部を含むと共に筐体に対して光軸方向位置が略変動せずに相対回転可能となっている構成において、筒状部の径方向内側にレンズを固定することで、容易に実現できる。なお、筐体に対して回転部材を相対回転させると、レンズの光軸方向位置が変動すると共に、筐体に対してレンズが周方向に回転してもよい。
【0060】
また、第2静止部において凸部56又は凹部225を設ける箇所が回転部材に存在する場合について説明したが、第2静止部において凸部又は凹部が設けられる箇所は回転部材に存在しなくてもよい。例えば、レンズを周方向に回転させることで配光を変更させる場合において、上記説明した構造と同様な構造で、回転部材を光軸方向位置が略変動せずに筐体に対して回転可能とし、回転部材にレンズホルダ及びレンズを固定してもよい。そして、レンズホルダ又はレンズのZ方向上側に凸部又は凹部を設ける一方、筐体や筐体の主面に固定されて基板を保持する取付板(図示せず)に、該凸部が嵌合する凹部や、該凹部が嵌合する凸部を設けてもよい。
【0061】
また、回転部材50が、本体部53と、凸部56を含む周方向突出部55を有し、周方向突出部55の下側の端面54と本体部53の間にスペースが存在する場合について説明した。しかし、凸部又は凹部を有する第2静止部において、凸部又は凹部を有する部位が、それ以外の部位と間隔をおいてZ方向に対向しなくてもよい。そして、凸部又は凹部を有する部位が撓みにくいようにして、凸部又は凹部を有する部位の剛性を大きくし、当該部位が損傷しにくいようにしてもよい。
【0062】
また、第1静止部が、凸部256のみを有するか、又は凹部25,125のみを有し、第2静止部が、凸部56,156のみを有するか、又は凹部225のみを有する場合について説明した。しかし、光源に対して静止する第1静止部が、1以上の凸部と1以上の凹部を有し、回転部材に対して静止する第2静止部が、1以上の凹部と1以上の凸部を有する構成でもよい。また、この場合に、例えば、第1静止部の1以上の凸部の全てが、第2静止部の凹部に嵌り込むと同時に、第2静止部の1以上の凸部の全てが、第1静止部の凹部に嵌り込む構成でもよい。
【0063】
また、回転部材50が傾斜溝51を有し、光学ブロック70が嵌合爪48を有する場合について説明した。しかし、光学ブロックが外周面に光軸方向に対して傾斜する傾斜溝を有してもよく、回転部材が、傾斜溝に嵌り込んで回転部材が回転すると傾斜溝内における存在位置が変動する嵌合部を有してもよい。
【0064】
また、光学ブロック70をレンズホルダ40及びレンズ30で構成する場合について説明した。しかし、光学ブロックは、レンズのみで構成されてもよい。
【0065】
また、傾斜溝51が、回転部材50を厚さ方向に貫通する場合について説明した。しかし、傾斜溝は、回転部材又は光学ブロックの側壁部を厚さ方向に貫通しなくてもよく、一対の側壁部の間を連結する底部を有してもよい。但し、傾斜溝が、それが形成される部材を厚さ方向に貫通する貫通孔の構造を有している場合、嵌合爪の該厚さ方向の寸法を大きくできて嵌合爪の体積を大きくできる。よって、嵌合爪の強度を大きくできて好ましい。
【0066】
また、傾斜溝51に嵌り込む嵌合部が、板形状の嵌合爪48である場合について説明した。しかし、傾斜溝に嵌り込む嵌合部は、板形状以外の如何なる形状でもよく、例えば、ピン形状等を有してもよい。また、この場合、回転部材の内側に光学ブロックを配置した状態で先端部に雄ねじを有するピンを回転部材の外側から回転部材の傾斜溝を通過するように光学ブロックの側面の雌ねじに締め込むことで回転部材と光学ブロックを一体化してもよい。
【0067】
また、レンズ嵌合部42が、R方向内方に突出する突出部で構成され、ホルダ嵌合部31が、R方向内側に窪む凹部で構成される場合について説明した。しかし、レンズ嵌合部が、R方向外側に窪む凹部で構成され、ホルダ嵌合部が、R方向外方に突出すると共にその凹部に嵌合する突出部で構成されてもよい。
【0068】
また、レンズホルダ40が、θ方向に互いに間隔をおいて配置される3つのホルダ係止部41を有していたが、レンズホルダは、1以上のホルダ係止部を有してもよく、θ方向に互いに間隔をおいて配置される2以上のホルダ係止部を有してもよい。また、筐体10が、θ方向に互いに間隔をおいて配置される3つの柱状部18(第1静止部側係止部)を有していたが、筐体10が、1以上の第1静止部側係止部を有してもよく、θ方向に互いに間隔をおいて配置される2以上の第1静止部側係止部を有してもよい。
【0069】
また、レンズホルダ40が、θ方向に互いに間隔をおいて配置される3つのレンズ嵌合部42を有し、レンズ30が、θ方向に互いに間隔をおいて配置される3つのホルダ嵌合部31を有する場合について説明した。しかし、レンズホルダは、1以上のレンズ嵌合部を有してもよく、θ方向に互いに間隔をおいて配置される2以上のレンズ嵌合部を有してもよい。また、レンズも、1以上のホルダ嵌合部を有してもよく、θ方向に互いに間隔をおいて配置される2以上のホルダ嵌合部を有してもよい。また、照明装置1が、θ方向に互いに間隔をおいて配置される2つの傾斜溝51を有する場合について説明した。しかし、照明装置1は、1つのみの傾斜溝を有してもよく、θ方向に互いに間隔をおいて配置される3以上の傾斜溝を有してもよい。なお、照明装置が、N(Nは、いずれかの自然数)の傾斜溝を有する場合、回転部材が、筐体に対して(360/N)°回転すればよく、照明装置が、2以上の傾斜溝を有する場合、回転部材が筐体に対して360°回転する必要はない。
【0070】
また、レンズホルダ40が、Z方向に延在するホルダ係止部41を有する場合について説明した。しかし、筐体に対するレンズホルダの連れ回り防止を、それ以外の如何なる構造で行ってもよい。例えば、レンズホルダの高さ方向上側に径方向外方に延びる突出部を設け、この突出部の径方向外方側の先端部を、筐体の内面に設けられた凹部に収容することでレンズホルダの筐体に対する連れ回り防止を行ってもよい。そのような係止は、本実施例のように筐体を分割構造にすることで実現できる。
【0071】
また、光学ブロック70が、そのホルダ係止部41の柱状部18への係止によって筐体10に対して回転できない状態となる場合について説明した。しかし、光学ブロックは、光源に対して静止する静止部に対して周方向の狭い所定領域のみ周方向に回転可能になっていてもよく、回転部材が回転したとき、光学ブロックが周方向の僅かな範囲のみ回転部材に連れ回る構成でもよい。光源に対して静止している静止部に対する光学ブロックの相対回転を許容する構成を採用しても、相対回転の範囲を所定の周方向領域に制限することで光学ブロックの光軸方向の移動を円滑に実行できる。
【0072】
また、回転部材50に、第1環状フランジ部57と、それよりもZ方向下側に位置する第2環状フランジ部58を設け、筐体10の環状突出部19を、第1環状フランジ部57と第2環状フランジ部58の間に配置する場合について説明した。そして、回転部材50を、筐体10に対するZ方向位置が略変わらない状態で回転可能にする構成を実現する場合について説明した。
【0073】
しかし、実施例で説明した構成と異なる構成で、回転部材が、Z方向位置が略変わらない状態で筐体に対して回転可能となるようにしてもよい。例えば、回転部材の第1環状フランジ部、回転部材の第2環状フランジ部、及び筐体の環状突出部のうちの1以上は、環状構造でなくてもよく、非環状でもよい。
【0074】
また、回転部材50が、2つの環状フランジ部を有し、筐体10が、径方向内方に突出する1つの環状突出部19を有する場合について説明した。しかし、回転部材が、径方向外方に突出する1つのみの環状突出部を有し、筐体が、径方向内方に突出すると共に光軸方向位置が異なる2つの環状フランジ部を有する構成でもよい。そして、照明装置が組み立てられた際、光軸方向から見たときに環状突出部の径方向外方の先端が2つの環状フランジ部の両方に重なる状態で、環状突出部が2つの環状フランジ部の間に位置してもよい。要は、照明装置は、回転部材がそのZ方向位置が略変わらない状態で筐体に対して回転可能となる如何なる構造を有してもよい。
【0075】
また、照明装置1が、枠体20の高さ方向に対する光軸方向の傾斜角度が変動可能な構成を有し、照明装置1が、所謂ユニバーサル型のダウンライトである場合について説明した。しかし、照明装置は、鉛直方向に対する光軸方向の傾斜角度を調整不可能な構成でもよく、ユニバーサル型の照明装置でなくてもよい。
【0076】
また、ダウンライトやスポットライトは多種多様な構造が存在するが、本開示の技術は、それらの多種多様のダウンライトやスポットライトのうちのいずれの構造が基本となっていてもよい。また、照明装置1が、埋め込み型ダウンライトである場合について説明したが、照明装置は、レールに吊り下げられる形式や、天井に吊り下げられる形式でもよい。要は、本開示の照明装置は、筐体と、筐体内に配置される光源と、光源よりも光源から出射される出射光の光軸方向の光出射側に配置されるレンズを含む光学ブロックと、光源に対して静止する第1静止部に対して回転可能になっている回転部材と、を備え、第1静止部と回転部材に対して静止する第2静止部とのうちの一方の静止部に設けられる1以上の凸部と、第1静止部と第2静止部とのうちの他方の静止部に設けられる1以上の凹部とを含み、回転部材の周方向の回転可能範囲内に少なくとも1つの凸部が凹部に嵌り込む1以上の嵌合周方向位置が存在し、回転部材が筐体に対して相対回転すると、レンズにおける光軸方向の位置が変動することと、レンズが周方向に回転することの少なくとも一方が実行される構成を有すれば、如何なる構造の照明装置でもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,101,201 照明装置、 10,210 筐体、 20 枠体、25,125,225 凹部、 30 レンズ、 40 レンズホルダ、 48 嵌合爪、 50,250 回転部材、 51 傾斜溝、 53 回転部材の本体部、 54 周方向突出部の光軸方向下側の端面、 55 周方向突出部、 56,156,256 凸部、 62 光源、 70 光学ブロック、 190a,190b 一対の突出部、 R方向 筐体の径方向、θ方向 筐体の周方向、 Z方向 光軸方向(筐体の高さ方向)。