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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20221202BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20221202BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20221202BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221202BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 E
H01L21/316 M
H01L21/318 M
H01L21/31 C
G02B5/18
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019550938
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2018037379
(87)【国際公開番号】W WO2019087691
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2017210429
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 幸作
(72)【発明者】
【氏名】西脇 青児
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 建治
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-341076(JP,A)
【文献】特開2006-064878(JP,A)
【文献】特開2014-041921(JP,A)
【文献】特開2017-003580(JP,A)
【文献】特開2004-325903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/316
H01L 21/318
H01L 21/31
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層に接し、前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層と、
を備え、
前記第2の誘電体層は、水素濃度が互いに異なる少なくとも2つの誘電体膜を含み、
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な第1の凹凸がある、
構造体。
【請求項2】
前記少なくとも2つの誘電体膜の各々の厚さは互いに異なる、
請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第2の誘電体層は、前記第1の誘電体層よりも高い屈折率を有する、
請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記少なくとも2つの誘電体膜の各々の屈折率は互いに等しい、
請求項1から3のいずれかに記載の構造体。
【請求項5】
前記少なくとも2つの誘電体膜の各々は、シリコン窒化膜である、
請求項1から4のいずれかに記載の構造体。
【請求項6】
前記少なくとも2つの誘電体膜は、第1のシリコン窒化膜と、前記第1のシリコン窒化膜よりも薄い第2のシリコン窒化膜とを含み、
前記第2のシリコン窒化膜は、前記第1のシリコン窒化膜よりも、Si-H結合濃度が高いか、または水素濃度が高い、
請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記シリコン窒化膜の屈折率は、1.90以上2.20以下である、
請求項5に記載の構造体。
【請求項8】
前記第1の誘電体層は、シリコン酸化膜である、
請求項1から7のいずれかに記載の構造体。
【請求項9】
前記シリコン酸化膜の屈折率は、1.44以上1.47以下である、
請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
第3の誘電体層と、
前記第3の誘電体層に接する第4の誘電体層と、をさらに備え、
前記第2の誘電体層は、前記第4の誘電体層上に配置されており、
前記第3の誘電体層と前記第4の誘電体層との界面には周期的な第2の凹凸があり、
前記第2の凹凸は、底部が平坦な第2の凹部、及び前記第2の凹部に隣接する第2の凸部を含み、
前記第2の凹部の前記底部から前記第2の凸部の頂部までの間には斜面がなく、
前記第4の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な第3の凹凸があり、
前記第3の凹凸は、底部が部分的に平坦な第3の凹部、及び前記第3の凹部に隣接する第3の凸部を含み、
前記第3の凹部の前記底部から前記第3の凸部の頂部までの間には斜面がある、
請求項1に記載の構造体。
【請求項11】
前記第1の凹凸は、第1の凹部、及び前記第1の凹部に隣接する第1の凸部を含み、
前記第1の凹部の底部から前記第1の凸部の頂部までの間に斜面がある、
請求項1に記載の構造体。
【請求項12】
第1の単位構造体と、
前記第1の単位構造体上に積層された第2の単位構造体と、
を備え、
前記第1の単位構造体および前記第2の単位構造体の各々は、
第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層に接し、前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層と、
を含み、
前記第2の誘電体層は、水素濃度が互いに異なる少なくとも2つの誘電体膜を含み、
前記第1の単位構造体における前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面および前記第2の単位構造体における前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な第1の凹凸があり、
前記第1の単位構造体と前記第2の単位構造体との界面には、周期的な第4の凹凸があり、
前記第1の凹凸および前記第4の凹凸は、同じ周期を有する、
構造体。
【請求項13】
前記第1の単位構造体における前記第2の誘電体層に含まれる前記少なくとも2つの誘電体膜の数は、前記第2の単位構造体における前記第2の誘電体層に含まれる前記少なくとも2つの誘電体膜の数とは異なる、
請求項12に記載の構造体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の構造体と、
固体撮像素子と、
を備え、
前記構造体は、前記固体撮像素子と一体化されている、
撮像装置。
【請求項15】
構造体は、チェッカーパターンまたはストライプパターンで配列された複数の遮光部を含む遮光膜を含む、
請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記固体撮像素子は、
複数の受光部と、
前記複数の受光部に対向する複数のマイクロレンズと、
を含む、
請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記固体撮像素子は、前記複数の受光部と前記複数のマイクロレンズとの間に、第1の平坦化層を含む、
請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記固体撮像素子と前記構造体との間に、第2の平坦化層をさらに備える、
請求項14から17のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項19】
前記固体撮像素子は、
複数の電荷蓄積部と、
前記複数の電荷蓄積部上の配線層と、
前記配線層上の光電変換膜と、
を含む、
請求項14から18のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項20】
主面上に周期的な凹凸を有する基板を用意する工程と、
化学気相成長法を用いて、前記主面上に第1の誘電体層を形成する工程と、
前記化学気相成長法を用いて、前記主面上に前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層を形成する工程と、
を含み、
前記第2の誘電体層を形成する工程は、
前記基板にバイアスパワーを印加しない状態で第1の誘電体膜を形成する工程と、
前記基板に前記バイアスパワーを印加した状態で前記第1の誘電体膜の上に第2の誘電体膜を形成する工程と、
を含む、
構造体の製造方法。
【請求項21】
前記化学気相成長法は、高密度プラズマ化学気相成長法であり、
前記第1の誘電体膜を形成する工程では、モノシランとアンモニアとを含む原料ガスを用い、
前記第2の誘電体膜を形成する工程では、モノシランとアンモニアとアルゴンとを含む原料ガスを用いる、
請求項20に記載の構造体の製造方法。
【請求項22】
前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層を形成するときの前記化学気相成長法の処理温度は、200℃以下である、
請求項20または21に記載の構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物質内に、周期が1μm程度またはそれ以下の周期的な構造を有する構造体を作製する技術が開発されてきた。例えば特許文献1および特許文献2は、スパッタエッチングを用いて周期的な凹凸を有する複数の層を積層することによって3次元構造体を作製する方法を開示している。特許文献1および特許文献2に開示された技術は、自己クローニング技術と呼ばれている。
【0003】
特許文献1は、2次元的に周期的な凹凸を有する基板の上に2種類以上の物質を周期的に順次積層し、その積層体の中の少なくとも一部分にスパッタエッチングを行うことにより、3次元的に周期的な構造を形成する方法を開示している。
【0004】
特許文献2は、バイアススパッタリング法によって高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層させる際の具体的な成膜条件を開示している。開示された成膜条件によると、高屈折率膜の成膜速度は16.8nm/分であり、低屈折率膜の成膜速度は3.1nm/分である。高屈折率膜の膜厚は190.5nmであり、低屈折率の膜厚は272.5nmである。よって、1周期あたりの高屈折率の膜厚と低屈折率の膜厚との合計は、463.0nmである。このような条件で9周期の成膜を行う例が開示されている。9周期の膜厚は4167nmであり、成膜に15.7時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-335758号公報
【文献】特開2003-255162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、従来よりも短時間で製造することが可能な構造体およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る構造体は、第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層に接し、前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層とを備える。前記第2の誘電体層は、水素濃度が互いに異なる少なくとも2つの誘電体膜を含む。前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な第1の凹凸がある。
【0008】
本開示の一態様に係る製造方法は、主面上に周期的な凹凸を有する基板を用意する工程と、化学気相成長法を用いて、前記主面上に第1の誘電体層を形成する工程と、前記化学気相成長法を用いて、前記主面上に前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層を形成する工程とを含む。前記第2の誘電体層を形成する工程は、前記基板にバイアスパワーを印加した状態で第1の誘電体膜を形成する工程と、前記基板に前記バイアスパワーを印加しない状態で前記第1の誘電体膜の上に第2の誘電体膜を形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態によれば、構造体の製造に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態における構造体の製造に用いられ得る高密度プラズマCVD装置の構成を模式的に示す図である。
図2A図2Aは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第1の図である。
図2B図2Bは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第2の図である。
図2C図2Cは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第3の図である。
図2D図2Dは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第4の図である。
図2E図2Eは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第5の図である。
図2F図2Fは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第6の図である。
図2G図2Gは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第7の図である。
図2H図2Hは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第8の図である。
図2I図2Iは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第9の図である。
図2J図2Jは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第10の図である。
図2K図2Kは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第11の図である。
図2L図2Lは、本実施形態における構造体の製造過程を示す第12の図である。
図2M図2Mは、実験で作製した構造体の断面を模式的に示す図である。
図3A図3Aは、作製された、屈折率の異なる2種類の層を4周期分備えた構造体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した画像を示す図である。
図3B図3Bは、構造体の第2から第4の周期の部分を拡大して示す図である。
図4図4は、バイアスパワーを印加して形成したシリコン窒化膜とバイアスパワーを印加せずに形成したシリコン窒化膜の膜質を、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)で測定した結果を示す図である。
図5図5は、バイアスパワーを印加して形成したシリコン窒化膜と、バイアスパワーを印加せずに形成したシリコン窒化膜の膜質の違いを二次イオン質量分析法(SIMS)で確認した結果を示す図である。
図6図6は、バイアスパワーが100Wの場合(比較例1)のシリコン窒化膜を示す顕微鏡写真を示す図である。
図7図7は、バイアスパワーが500Wの場合(比較例2)のシリコン窒化膜を示す顕微鏡写真を示す図である。
図8図8は、比較例3から5の条件でバイアスパワーを変化させたときの成膜レートと圧縮応力との関係を示すグラフである。
図9図9は、シリコン窒化膜の形状の指標である凸部の高さH0および凹部の深さH1を示す図である。
図10図10は、比較例における構造体の断面形状を示すSEM画像を示す図である。
図11図11は、比較例における構造体の断面形状を示すSEM画像を示す図である。
図12図12は、比較例における構造体の断面形状を示すSEM画像を示す図である。
図13図13は、シリコン窒化膜の複合膜を含む構造体の断面を示すSEM画像を示す図である。
図14図14は、再検討後のシリコン窒化膜の複合膜を含む構造体の断面を示すSEM画像を示す図である。
図15図15は、実験において使用したサンプルのH0とH1との関係を示す図である。
図16図16は、実施形態2に係る撮像装置の一部の構造を模式的に示す断面図である。
図17図17は、実施形態3に係る積層型固体撮像素子の有効画素領域の一部の構造を模式的に示す断面図である。
図18図18は、ゲート電極で使用される画素をそれぞれ含む3つのトランジスタと信号電荷の流れとを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、以下の各項目に記載の構造体、撮像装置、および構造体の製造方法を含む。
【0012】
[項目1]
本開示の項目1に係る構造体は、
第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層に接し、前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層と、
を備える。
【0013】
前記第2の誘電体層は、水素濃度が互いに異なる少なくとも2つの誘電体膜を含む。
【0014】
前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な第1の凹凸がある。
【0015】
[項目2]
項目1に記載の構造体において、
前記少なくとも2つの誘電体膜の各々の厚さは互いに異なっていてもよい。
【0016】
[項目3]
項目1または2に記載の構造体において、
前記第2の誘電体層は、前記第1の誘電体層よりも高い屈折率を有していてもよい。
【0017】
[項目4]
項目1から3のいずれかに記載の構造体において、
前記少なくとも2つの誘電体膜の各々の屈折率は互いに等しくてもよい。
【0018】
[項目5]
項目1から4のいずれかに記載の構造体において、
前記少なくとも2つの誘電体膜の各々は、シリコン窒化膜であってもよい。
【0019】
[項目6]
項目5に記載の構造体において、
前記少なくとも2つの誘電体膜は、第1のシリコン窒化膜と、前記第1のシリコン窒化膜よりも薄い第2のシリコン窒化膜とを含み、
前記第2のシリコン窒化膜は、前記第1のシリコン窒化膜と比較して、Si-H結合濃度が高いか、または水素濃度が高くてもよい。
【0020】
[項目7]
項目5に記載の構造体において、
前記シリコン窒化膜の屈折率は、1.90以上2.20以下であってもよい。
【0021】
[項目8]
項目1から7のいずれかに記載の構造体において、
前記第1の誘電体層は、シリコン酸化膜であってもよい。
【0022】
[項目9]
項目8に記載の構造体において、
前記シリコン酸化膜の屈折率は、1.44以上1.47以下であってもよい。
【0023】
[項目10]
項目1に記載の構造体において、
第3の誘電体層と、
前記第3の誘電体層に接する第4の誘電体層と、をさらに備え、
前記第2の誘電体層は、前記第4の誘電体層上に配置されており、
前記第3の誘電体層と前記第4の誘電体層との界面には周期的な第2の凹凸があり、
前記第2の凹凸は、底部が平坦な第2の凹部、及び前記第2の凹部に隣接する第2の凸部を含み、
前記第2の凹部の前記底部から前記第2の凸部の頂部までの間には斜面がなく、
前記第4の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な第3の凹凸があり、
前記第3の凹凸は、底部が部分的に平坦な第3の凹部、及び前記第3の凹部に隣接する第3の凸部を含み、
前記第3の凹部の前記底部から前記第3の凸部の頂部までの間には斜面があってもよい。
【0024】
[項目11]
項目1に記載の構造体において、
前記第1の凹凸は、第1の凹部、及び前記第1の凹部に隣接する第1の凸部を含み、
前記第1の凹部の底部から前記第1の凸部の頂部までの間に斜面があってもよい。
【0025】
[項目12]
本開示の項目12に係る構造体は、
第1の単位構造体と、
前記第1の単位構造体上に積層された第2の単位構造体と、
を備える。
【0026】
前記第1の単位構造体および前記第2の単位構造体の各々は、
第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層に接し、前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層と、
を含む。
【0027】
前記第2の誘電体層は、水素濃度が互いに異なる少なくとも2つの誘電体膜を含む。
【0028】
前記第1の単位構造体における前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面および前記第2の単位構造体における前記第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な第1の凹凸があり、
前記第1の単位構造体と前記第2の単位構造体との界面には、周期的な第4の凹凸がある。
【0029】
前記第1の凹凸および前記第4の凹凸は、同じ周期を有する。
【0030】
[項目13]
項目12に記載の構造体は、
前記第1の単位構造体における前記第2の誘電体層に含まれる前記少なくとも2つの誘電体膜の数は、前記第2の単位構造体における前記第2の誘電体層に含まれる前記少なくとも2つの誘電体膜の数とは異なっていてもよい。
【0031】
[項目14]
本開示の項目14に係る撮像装置は、
項目1から13のいずれかに記載の構造体と、
固体撮像素子と、
を備える。
【0032】
前記構造体は、前記固体撮像素子と一体化されている。
【0033】
[項目15]
項目14に記載の撮像装置において、
前記構造体は、チェッカーパターンまたはストライプパターンで配列された複数の遮光部を含む遮光膜を含んでいてもよい。
【0034】
[項目16]
項目15に記載の撮像装置において、
前記固体撮像素子は、
複数の受光部と、
前記複数の受光部に対向する複数のマイクロレンズと、
を含んでいてもよい。
【0035】
[項目17]
項目16に記載の撮像装置において、
前記固体撮像素子は、前記複数の受光部と前記複数のマイクロレンズとの間に、第1の平坦化層を含んでいてもよい。
【0036】
[項目18]
項目14から17のいずれかに記載の撮像装置は、
前記固体撮像素子と前記構造体との間に、第2の平坦化層をさらに備えていてもよい。
【0037】
[項目19]
項目14から18のいずれかに記載の撮像装置において、
前記固体撮像素子は、
複数の電荷蓄積部と、
前記複数の電荷蓄積部上の配線層と、
前記配線層上の光電変換膜と、
を含んでいてもよい。
【0038】
[項目20]
本開示の項目20に係る構造体の製造方法は、
主面上に周期的な凹凸を有する基板を用意する工程と、
化学気相成長法を用いて、前記主面上に第1の誘電体層を形成する工程と、
前記化学気相成長法を用いて、前記主面上に前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層を形成する工程と、
を含む。
【0039】
前記第2の誘電体層を形成する工程は、
前記基板にバイアスパワーを印加した状態で第1の誘電体膜を形成する工程と、
前記基板に前記バイアスパワーを印加しない状態で前記第1の誘電体膜の上に第2の誘電体膜を形成する工程と、
を含む。
【0040】
[項目21]
項目20に記載の構造体の製造方法において、
前記化学気相成長法は、高密度プラズマ化学気相成長法であり、
前記第1の誘電体膜を形成する工程では、モノシランとアンモニアとを含む原料ガスを用い、
前記第2の誘電体膜を形成する工程では、モノシランとアンモニアとアルゴンとを含む原料ガスを用いてもよい。
【0041】
[項目22]
項目20または21に記載の構造体の製造方法において、
前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層を形成するときの前記化学気相成長法の処理温度は、200℃以下であってもよい。
【0042】
本開示の実施形態における構造体は、第1の誘電体層と、第2の誘電体層とを備える。第1の誘電体層と第2の誘電体層とは互いに接している。第2の誘電体層は、第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する。第2の誘電体層は、水素濃度が互いに異なる少なくとも2つの誘電体膜を含む。第1の誘電体層と前記第2の誘電体層との界面には周期的な凹凸がある。周期的な凹凸は、一次元的または二次元的に周期的に配列された複数の凸部および/または複数の凹部を含む。なお、「周期的な凹凸」は、少なくとも部分的に周期的な構造であればよく、層の全体にわたって周期的であることを要しない。周期的な凹凸は、グレーティングとして機能する。これにより、第1の誘電体層または第2の誘電体層を光導波層として機能させることができる。
【0043】
水素濃度が互いに異なる少なくとも2つの誘電体膜は、典型的には同一の屈折率を有する。ここで「同一の屈折率」とは、エリプソメトリ法を用いて633nmの波長で測定した場合の屈折率の差が0.1未満であることを意味する。
【0044】
典型的には、第2の誘電体層の屈折率は、第1の誘電体層の屈折率よりも高い。この場合、第1の誘電体層を「低屈折率層」と称し、第2の誘電体層を「高屈折率層」と称することができる。そのような構造によれば、第2の誘電体層を光導波層として機能させることができる。
【0045】
第1の誘電体層と第2の誘電体層とは、交互に積層され得る。ある実施形態では、第1の誘電体層と第2の誘電体層との組み合わせが、複数組積層される。その場合、構造体は、少なくとも2つの単位構造体が積層された構造を備える。「単位構造体」とは、上記の第1の誘電体層と第2の誘電体層との組み合わせを備える構造体を意味する。第1の誘電体層と第2の誘電体層とが交互に積層されることにより、第1の誘電体層と第2の誘電体層との界面、および隣り合う2つの単位構造体の界面に、同一周期の周期的な凹凸が形成される。「隣り合う2つの単位構造体の界面」とは、当該2つの単位構造体の一方における第2の誘電体層と、当該2つの単位構造体の他方における第1の誘電体層との界面を意味する。これらの界面における凹凸はグレーティングとして機能する。このような構造により、複数の光導波層を備える構造体が実現される。
【0046】
第2の誘電体層における複数の誘電体膜の主材料は同一である。しかし、両者の水素含有率は異なる。「水素含有率」とは、単位体積あたりの水素含有量を意味する。水素含有率が異なるため、第2の誘電体層における複数の誘電体膜の膜質は異なる。
【0047】
構造体は、例えば高密度プラズマ化学気相成長法(HDP-CVD法)などの化学気相成長法によって作製され得る。水素濃度が互いに異なる複数の膜は、プラズマCVD法における、基板に印加するバイアスパワーを調整することによって作製可能である。
【0048】
第1の誘電体層は、例えばシリコン酸化膜(SiO)であり得る。第2の誘電体層における各誘電体膜は、例えばシリコン窒化膜(SiN)であり得る。このような一般的な半導体材料を用いることで、蒸気圧の低い原料ガスを使用できる。プラズマCVD法を利用してシリコン窒化膜を形成することにより、同じような屈折率をもつタンタルオキサイド(Ta)を形成する方法に比べて、低温で膜形成が可能である。
【0049】
本開示の実施形態によれば、水素濃度が相対的に高い膜を形成する工程により、水素濃度が相対的に低い膜の表面がスパッタエッチングによりエッチングされる。これにより、水素濃度が相対的に低い膜の表面における半円形状の断面をもつ斜面部が面取りされる。これにより、例えば鋸形状の周期的な凹凸を形成することが可能である。また、水素濃度が相対的に高い膜により、膜の応力が緩和される。このため、膜剥がれを抑制し、パーティクルの発生を抑えることができる。
【0050】
第2の誘電体層における少なくとも2つの誘電体膜は、第1のシリコン窒化膜と、第1のシリコン窒化膜よりも薄い第2のシリコン窒化膜とを含み得る。第2のシリコン窒化膜は、第1のシリコン窒化膜と比較して、Si-H結合濃度が高い、または水素濃度が高い。Si-H結合濃度は、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)で測定され得る。水素濃度は、SIMS(二次イオン質量分析法)で測定され得る。これらの測定を行うことにより、高密度プラズマCVD装置のウェハレベルでの膜質の変化を定常的に管理することが可能である。
【0051】
構造体の製造方法は、例えば以下の工程を含む。
・周期的な凹凸を有する基板を用意する工程
・前記基板上に第1の誘電体層を形成する工程
・前記基板上に前記第1の誘電体層とは異なる屈折率を有する第2の誘電体層を形成する工程
第2の誘電体層を形成する工程は、例えば以下の工程を含む。
・前記基板にバイアスパワーを印加した状態で第1の誘電体膜を形成する工程
・前記基板に前記バイアスパワーを印加しない状態で前記第1の誘電体膜の上に第2の誘電体膜を形成する工程
このような方法により、品質の高い構造体を作製することができる。バイアスパワーを印加しない工程により、イオン成分によって第1の誘電体層の表面の複数の凸部の膜厚の減少が生じることを抑制できる。バイアスパワーを印加した工程では、無バイアスで形成された第1の誘電体膜の半円形状の斜面部が面取りされる。これにより、良好な鋸形状の周期的な凹凸が形成可能である。また、無バイアスの工程で形成された膜よりも水素濃度が高い膜が表面に形成されるため、応力が抑制されて膜剥がれが抑制される。
【0052】
第1の誘電体膜を形成する工程における原料ガスは、例えばモノシラン(SiH)とアンモニア(NH)とを含み得る。第2の誘電体膜を形成する工程における原料ガスは、例えばSiHとNHとアルゴン(Ar)とを含み得る。
【0053】
無バイアスの工程における原料ガスにはスパッタエッチングの効果がない。このため、周期的な凹凸の凸部はエッチングされず、凸部の高さが減少することはない。一方、バイアスパワーを印加した工程における原料ガス中には、希ガスのArが含まれるため、スパッタエッチングの効果がある。これにより、第1の誘電体膜の表面の半球状の面取りが行われる。また、バイアスパワーを印加することにより、プラズマ中の水素がシリコン窒化膜に引き込まれ、応力緩和の効果もある。
【0054】
上記の製造方法によれば、第1の誘電体層および第2の誘電体層を形成するときの化学気相成長法の処理温度を、例えば200℃以下の低温にすることができる。このため、例えば構造体と固体撮像素子とが一体化して形成された撮像装置を製造する際に、マイクロレンズおよび平坦化層などの材料に有機材料を用いることができる。200℃以下で処理することにより、有機材料を用いたとしても、構造体の成膜中による熱によって変形することを防止できる。
【0055】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施形態を説明する。なお、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。本発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供する。これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0056】
(実施形態1)
まず、第1の実施形態による構造体およびその製造方法を説明する。本実施形態の構造体は、高密度プラズマ化学気相成長法(HDP-CVD)などの化学気相成長法によって製造され得る。以下、HDP-CVD法による構造体の製造方法および成膜条件の一例を説明する。
【0057】
図1は、本実施形態における構造体の製造に用いられ得る高密度プラズマCVD装置1の構成を模式的に示す図である。高密度プラズマCVD装置1は、真空容器2と、真空容器2の上部に設けられた高周波(RF)アンテナ5と、真空容器2の下部に設けられた下部電極8とを備えている。RFアンテナ5は、高周波電源4Aに接続されている。真空容器2の上部側面には原料ガス供給ノズル3が設けられ、下部には真空装置10に接続された排気口9が設けられている。真空容器2の内部下方には、基板7(例えばシリコン基板)を保持する下部電極8が設けられている。下部電極8は、バイアスパワーを印加できるように、高周波電源4Bに接続されている。以下、高周波電源4Bから下部電極8にバイアスパワーを印加することを、「バイアス印加」と称することがある。高密度プラズマCVD装置1は、RFアンテナ5と下部電極8との距離Hを変化させる機構も備えている。
【0058】
高周波電源4AからRFアンテナ5に高周波電圧が印加されることにより、プラズマ6が生成される。下部電極8にバイアスパワーを印加することにより、プラズマ6中のイオンを下部電極8の側に引き込むことができる。これにより、基板7上に誘電体の薄膜を形成することができる。
【0059】
図2Aから図2Mは、本実施形態における構造体の製造過程を順に示す模式断面図である。図1に示す高密度プラズマCVD装置1を用いて、最終的に、図2Mに示す構造体が作製される。この構造体は、相対的に低い屈折率を有する第1の誘電体層と、相対的に高い屈折率を有する第2の誘電体層とが、交互に積層された構造を有する。互いに接する第1の誘電体層と第2の誘電体層との組み合わせを1つの単位構造体と考えると、図2Mに示す構造体は、複数の単位構造体が積層された構造を備える。本明細書において、第1の誘電体層を「低屈折率層」と称し、第2の誘電体層を「高屈折率層」と称することがある。低屈折率層と高屈折率層との界面には、グレーティングとして機能する略周期的な凹凸が形成される。これにより、高屈折率層の内部を光が伝搬することができる。このような構造体は、例えば、米国特許出願公開第2016/360967号明細書および米国特許出願公開第2017/023410号明細書に開示された光検出器における光導波層として利用され得る。米国特許出願公開第2016/360967号明細書および米国特許出願公開第2017/023410号明細書の開示内容の全体を本願明細書に援用する。
【0060】
本実施形態では、各高屈折率層が、水素濃度の異なる複数の膜を含む複合膜によって形成される。これにより、後述するように、膜剥がれおよびパーティクルの発生を抑えながら、凹凸形状を先鋭化させることができる。
【0061】
本実施形態では、低屈折率層はシリコン酸化膜によって実現され、高屈折率層はシリコン窒化膜の複合膜によって実現される。各シリコン酸化膜の屈折率は、1.44以上1.47以下である。各シリコン窒化膜の屈折率は、1.90以上2.20以下である。このような構成によれば、米国特許出願公開第2016/360967号明細書および米国特許出願公開第2017/023410号明細書に開示された、高屈折率層に導波光を発生させるための最適実効屈折率の条件を満たすことができる。
【0062】
以下、本実施形態における構造体の製造工程の一例を説明する。
【0063】
図2Aに示すように、まず、シリコン基板100上に、相対的に低い屈折率を有する誘電体材料の層であるシリコン酸化膜(SiO膜)101が成膜される。シリコン酸化膜101の厚さは、例えば1000nmから1500nm程度であり得る。シリコン酸化膜101の厚さは、構造体が用いられる光学デバイスの設計に依存して決定される。シリコン酸化膜101の屈折率は、1.44以上1.47以下である。なお、本明細書における屈折率は、エリプソメトリ法を用いて633nmの波長の光で測定した屈折率を意味する。
【0064】
シリコン酸化膜101をシリコン基板100上に形成する工程では、原料ガスとして、モノシラン(SiH)および酸素(O)の混合ガスが使用され得る。この混合ガスは、図1に示す原料ガス供給ノズル3から真空容器2内に供給される。この工程では、例えばSiHガスの流量は50sccm、Oガスの流量は100sccm、圧力は7.0Pa、RF電力は3000W、バイアスパワーは0W、処理温度は170℃に設定され得る。これにより、上記の屈折率および厚さを有するシリコン酸化膜101が成膜される。半導体材料ガスとして一般的な、蒸気圧の高いSiHと、プラズマ化学気相成長とを組み合わせることにより、低温(例えば200℃以下)での堆積が可能である。未使用の原料ガスは、真空装置10に接続された排気口9から吸引され排出される。
【0065】
次に、図2Bに示すように、フォトリソグラフィー法により、シリコン酸化膜101上に平面形状が矩形形状であるレジストパターン102が形成される。以下、レジストが設けられた箇所を「ライン」、レジストが設けられない箇所を「スペース」と称する。ラインの幅Wおよびスペースの幅Wは、例えば200nm程度に設定され得る。ラインおよびスペースの周期(「ピッチ」とも称する)は、例えば400nm程度である。ピッチは、作製する光学デバイスにおいて使用される光源の波長および誘電体材料の屈折率に応じて適宜決定される。
【0066】
次に、レジストパターン102をマスクとして、例えばドライエッチング法により、シリコン酸化膜101の一部がエッチングされる。具体的には、シリコン酸化膜101のうち、レジストパターン102が設けられていない部分が、例えば200から300nm程度除去される。これにより、図2Cに示すように、深さDが200から300nm程度の周期的なトレンチパターンがシリコン酸化膜101に形成される。トレンチの深さDは、シリコン酸化膜101の厚さよりも小さい。
【0067】
エッチング条件は、例えば以下のとおりである。ドライエッチング装置には、電極間隔を狭くしたプラズマエッチャーが用いられ得る。エッチングガスとして、四弗化炭素(CF)、三弗化メタン(CHF)、およびアルゴン(Ar)の3種類のガスが用いられ得る。プラズマエッチングの条件に関しては、例えば、CFガスの流量は20から30sccm、CHFガスの流量は20から30sccm、Arガスの流量は300sccm、チャンバー内圧力は1から30Pa、プラズマ出力は1000から1500Wに設定され得る。このような条件で、シリコン酸化膜101のエッチングが行われ得る。
【0068】
この場合、CFおよびCHFがエッチングガスである。以下の反応式からわかるように、メインエッチャントは、CFから生じるF*(ラジカル)である。
【0069】
CF→F*+e+CF
CHFは、シリコン酸化膜101をエッチングする際に、トレンチパターンの溝の側壁をポリマーCで被覆し、溝の側壁の保護の役割を果たす。これにより、ラインおよびスペースのピッチが例えば0.5μm以下のトレンチパターンを形成することができる。
【0070】
その後、エッチングマスクとして用いたレジストパターン102を除去するために、アッシング(レジスト剥離)および硫酸過酸化水素水洗浄(SPM洗浄)が行われる。これにより、ラインおよびスペースの各々の幅が例えば200nmで深さが200から300nmの周期的な凹凸をもつトレンチパターンがシリコン酸化膜101に形成され得る。
【0071】
次に、図2Dに示すように、シリコン酸化膜104が、周期的な凹凸をもつトレンチパターンの溝を埋めるように形成される。このシリコン酸化膜104の厚さは、例えば200nm程度である。シリコン酸化膜104の屈折率は、1.44から1.47である。このときの高密度プラズマCVD法によるシリコン酸化膜104の成膜条件の一例は、以下のとおりである。反応ガスとしてモノシラン(SiH)、酸素(O)およびアルゴン(Ar)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は50sccm、Oガスの流量は100sccm、Arガスの流量は20sccm、圧力は5.0Pa、RF電力は2000W、バイアスパワーは1000W、処理温度は170℃に設定され得る。この高密度プラズマCVD法によるシリコン酸化膜104の成膜の際には、エッチングと堆積とが同時進行する。このため、シリコン酸化膜104は、トレンチパターンの凹部においては一部平坦に堆積し、凸部においては凹部のエッジ部分から例えば45度傾斜した斜面を形成しながら堆積する。これにより、頂部が先鋭な周期的な凹凸をもつシリコン酸化膜104が形成される。
【0072】
次に、図2Eおよび図2Fに示すように、シリコン酸化膜104の上に、シリコン窒化膜(SiN)105a、105bが順に形成される。シリコン窒化膜105bは、シリコン窒化膜105aよりも多くの水素を含有する。シリコン窒化膜105a、105bの複合膜によって高屈折率層が構成される。
【0073】
高屈折率層の材料としてSiNが選択される理由は2つある。第1の理由は、半導体分野で一般的に使われる蒸気圧の低いガス材料を用いて成膜できることである。第2の理由は、プラズマ化学気相成長を比較的低温(例えば200℃以下)で行っても成膜できることである。シリコン窒化膜の代わりに、同様の屈折率をもつタンタル酸オキサイド(Ta)を、CVD法またはスパッタリング法によって堆積させることも可能である。しかし、CVD法でTa膜を形成する場合、蒸気圧の高い材料を使用する必要があるため、処理温度を400から500℃程度まで上昇させる必要がある。また、スパッタリング法でTa膜を形成する場合、低温で堆積させると屈折率が下がるため、通常300から400℃程度まで上昇させる必要がある。以上の理由から、本実施形態ではSiNが高屈折率層の材料として選択されている。
【0074】
シリコン窒化膜105a、105bは、互いに膜質が異なる。まず、バイアスパワーを印加しない状態で、図2Eに示すように、シリコン窒化膜105aが成膜される。シリコン窒化膜105aの厚さは、例えば310nm程度であり得る。シリコン窒化膜105aの屈折率は、1.90以上2.20以下である。この工程における成膜条件は、例えば以下のとおりである。原料ガスとしてモノシラン(SiH)およびアンモニア(NH)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は60sccm、NHガスの流量は80sccm、圧力は5.0Pa、RF電力は4000W、バイアスパワーは0W、処理温度は170℃に設定され得る。この条件でシリコン窒化膜105aを形成すると、断面形状が半円形状になる。上記の条件で引き続きシリコン窒化膜105aを形成しようとすると、シリコン窒化膜105aの隣接する凸部同士が繋がってしまい、周期的な凹凸形状が形成できなくなる。
【0075】
そこで、本実施形態では、半円形状の断面をもつシリコン窒化膜105aの形成後、バイアスパワーを印加してシリコン窒化膜105bが形成される。シリコン窒化膜105bの厚さは、例えば40nm程度であり得る。シリコン窒化膜105bの屈折率も1.90から2.20程度である。このときの成膜条件は、例えば以下のとおりである。原料ガスとしてモノシラン(SiH)、アンモニア(NH)、およびアルゴン(Ar)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は23sccm、NHガスの流量は29sccm、Arガスの流量は10sccm、圧力は5.0Pa、RF電力は1500W、バイアスパワーは2400W、処理温度は170℃に設定され得る。バイアスパワーを印加してシリコン窒化膜105bを成膜することにより、無バイアスで形成されたシリコン窒化膜105aの半円形状の側面部分がスパッタエッチングによって削られる。一方、凹部の底および凸部の頂上近傍には、シリコン窒化膜105bが成膜される。その結果、図2Dに示す周期的な凹凸形状が踏襲された形で、シリコン窒化膜105a、105bの複合膜の表面にも凹凸形状が再現される。
【0076】
シリコン窒化膜105a、105bの屈折率は、略等しい。例えば、エリプソメトリ法による光学測定装置で計測した場合に、両者の屈折率は、小数点2桁まで等しい。そのような構成によれば、シリコン窒化膜105a、105bを光導波層として利用する光学デバイスを構成した場合に、光伝播の損失を抑制できるという利点がある。
【0077】
次に、図2Gに示すように、シリコン酸化膜106が成膜される。シリコン酸化膜106の厚さは、例えば220nm程度であり得る。シリコン酸化膜106の屈折率は、1.44から1.47である。成膜条件の一例は、以下のとおりである。原料ガスとしてモノシラン(SiH)および酸素(O)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は50sccm、Oガスの流量は100sccm、圧力は7.0Pa、RF電力は3000W、バイアスパワーは0W、処理温度は170℃に設定され得る。
【0078】
なお、要求されるデバイスにおけるシリコン酸化膜106の膜厚が厚い場合には、図2Dに示すシリコン酸化膜104の成膜条件のように、バイアスパワーを印加した状態でシリコン酸化膜をさらに成膜してもよい。その場合、シリコン酸化膜もシリコン窒化膜と同様、複合膜になる。
【0079】
図2Eから図2Gに示す工程によって形成されたシリコン窒化膜105a、105bと、シリコン酸化膜106との組み合わせを1周期とする。これらの組み合わせを複数周期積層することにより、本実施形態の構造体が形成される。
【0080】
以下、2周期目以降の成膜条件の一例を記載する。
【0081】
図2Hに示すように、まず、バイアス印加しない条件でシリコン窒化膜107aが形成される。例えば80nm程度の膜厚のシリコン窒化膜107aが成膜され得る。シリコン窒化膜107aの屈折率は1.90から2.20である。成膜条件は、例えば以下のとおりである。原料ガスとして、モノシラン(SiH)およびアンモニア(NH)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は60sccm、NHガスの流量は80sccm、圧力は5.0Pa、RF電力は4000W、バイアスパワーは0W、処理温度は170℃に設定され得る。
【0082】
続けて、図2Iに示すように、バイアス印加した条件でシリコン窒化膜107bが形成される。例えば40nm程度の膜厚のシリコン窒化膜107bが成膜され得る。シリコン窒化膜107bの屈折率も1.90から2.20である。成膜条件は、例えば以下のとおりである。原料ガスとしてモノシラン(SiH)、アンモニア(NH)、およびアルゴン(Ar)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は23sccm、NHガスの流量は29sccm、Arガスの流量は10sccm、圧力は5.0Pa、RF電力は1500W、バイアスパワーは2400W、処理温度は170℃に設定され得る。この成膜時に、無バイアスの条件で形成されたシリコン窒化膜107aの半円形状の側面部分がスパッタエッチングによって削られ、面取りされる。
【0083】
次に、図2Jに示すように、バイアス印加しない条件で、シリコン窒化膜107cが、例えば190nmの膜厚で成膜される。シリコン窒化膜107cの屈折率も、1.90から2.20である。このときの成膜条件の一例は、以下のとおりである。原料ガスとしてモノシラン(SiH)およびアンモニア(NH)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は60sccm、NHガスの流量は80sccm、圧力は5.0Pa、RF電力は4000W、バイアスパワーは0W、処理温度は170℃に設定され得る。
【0084】
続けて、図2Kに示すように、バイアス印加した条件でシリコン窒化膜107dが、例えば40nmの膜厚で成膜される。シリコン窒化膜107dの屈折率も、1.90から2.20である。このときの成膜条件の一例は、以下のとおりである。原料ガスとしてモノシラン(SiH)、アンモニア(NH)、およびアルゴン(Ar)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は23sccm、NHガスの流量は29sccm、Arガスの流量は10sccm、圧力は5.0Pa、RF電力は1500W、バイアスパワーは2400W、処理温度は170℃に設定され得る。この成膜時に、無バイアスの条件で形成されたシリコン窒化膜107cの半円形状の側面部分がスパッタエッチングによって削られ、面取りされる。
【0085】
次に、図2Lに示すように、シリコン酸化膜108が、例えば膜厚220nmで成膜される。シリコン酸化膜108の屈折率は、1.44から1.47である。成膜条件の一例は、以下のとおりである。原料ガスとしてモノシラン(SiH)および酸素(O)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は50sccm、Oガスの流量は100sccm、圧力は7.0Pa、RF電力は3000W、バイアスパワーは0W、処理温度は170℃に設定され得る。
【0086】
なお、要求されるデバイスにおけるシリコン酸化膜108の膜厚が厚い場合には、図2Dに示すシリコン酸化膜104の成膜条件のように、バイアスパワーを印加した状態でシリコン酸化膜をさらに成膜し、複合膜にしてもよい。
【0087】
ここで、シリコン酸化膜101が本開示における第3の誘電体層に相当し、シリコン酸化膜104が本開示における第4の誘電体層に相当し、シリコン窒化膜105a、105b、107a、107b、107c、107dが本開示における第2の誘電体層に相当し、シリコン酸化膜106、108が本開示における第1の誘電体層に相当する。また、シリコン窒化膜105a、107a、107cが本開示における第1のシリコン窒化膜に相当し、シリコン窒化膜105b、107b、107dが本開示における第2のシリコン窒化膜に相当する。
【0088】
このように、図2Hから図2Lに示す工程により、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との組み合わせの2周期目が形成される。この2周期目の成膜方法は、図2Eから図2Gに示す1周期目の成膜方法とは異なっている。その理由は、シリコン窒化膜が成膜されるシリコン酸化膜の表面の凹凸形状が1周期目とは異なるからである。1周期目の成膜時には、シリコン酸化膜104の表面の凹部に水平な領域がある。このため、無バイアスの条件で310nmのような厚さのシリコン窒化膜105aを成膜したとしても隣接する凸部同士が繋がってしまうことはない。これに対して、2周期目以降は、シリコン窒化膜107aが成膜されるシリコン酸化膜106の表面の凹部に水平領域がない。このため、無バイアスの条件でシリコン窒化膜107aを例えば310nmのような膜厚で成膜すると、隣接する凸部同士が繋がってしまい、凹部がなくなってしまう。このため、本実施形態では、2周期目については、図2Hから図2Kに示す方法でSiNの複合膜による凹凸形状が形成されている。
【0089】
このように、被成膜体である誘電体層(本実施形態ではSiO膜)の表面の凹凸形状が異なっていたとしても、無バイアスでの成膜とバイアス印加した成膜とを組み合わせることにより、構造体の凸部の高さと凹部の深さとをほぼ一定にすることができる。
【0090】
光学デバイスに使用される構造体では、異なる屈折率をもつ2種類以上の層の組み合わせが多周期、例えば4周期以上積層され得る。そこで、本実施形態においても、図2Hから図2Lを参照して説明した工程を繰り返すことにより、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の組み合わせを4周期以上形成することができる。
【0091】
図2Mは、実験で作製した構造体の断面を模式的に示している。この構造体は、複合膜であるシリコン窒化膜と、シリコン酸化膜との組み合わせを4周期備えている。図2Mでは、見易くするため、各シリコン窒化膜は単一の膜として示されている。各シリコン窒化膜の膜厚は例えば350nmであり得る。各シリコン酸化膜の膜厚は例えば220nmであり得る。
【0092】
図3Aは、実際に作製された、屈折率の異なる2種類の層を4周期分備えた構造体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した画像を示している。図3Bは、構造体の第2から第4の周期の部分を拡大して示す図である。なお、最上部には、半円形状の導電性金属膜110が、SEM観察時のチャージアップ防止のために成膜されている。この断面SEM観察でも確認できるように、応力に起因する膜剥がれもなく、周期的な凹凸をもつ鋸形状の構造体が形成できることが確認された。また、図3Bにおいて、バイアスパワーを印加せずに形成されたシリコン窒化膜105a、107a、107cと、バイアスパワーを印加して形成されたシリコン窒化膜105b、107b、107dとが、SEM画像における濃淡で確認されている。
【0093】
図4は、バイアスパワーを印加して形成したシリコン窒化膜とバイアスパワーを印加せずに形成したシリコン窒化膜の膜質を、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)で測定した結果を示す図である。図4に示すグラフの横軸はIRスペクトルの波数(cm-1)を示し、縦軸は吸光度を示している。この例では、2400Wのバイアスパワーを印加して形成したシリコン窒化膜の膜厚を30nmとし、バイアスパワーを印加せずに形成したシリコン窒化膜の膜厚を320nmとしている。それぞれのシリコン窒化膜について、ピーク面積と、単位面積あたりのSi-H結合濃度と、単位体積あたりのSi-H結合濃度とを算出した。表1は、その算出結果を示している。
【0094】
【表1】
【0095】
単位面積あたりのSi-H結合濃度および単位体積あたりのSi-H結合濃度は、FTIR測定によって得たピーク面積から、以下の変換式を用いて算出され得る。これらの変換式は、W. A. Lanford and M.J. Rand, "The hydrogen content of plasma-deposited silicon nitride", J. Appl. Phys. Vol. 49, No. 4, April 1978, pp2473-2477(本明細書において、"Lanford"と称する)に開示されている。文献Lanfordの開示内容全体を本願明細書に援用する。なお、ピーク面積は、LanfordのFig. 1に記載されている方法で計算することができる。
・単位面積あたりのSi-H結合濃度=(ピーク面積)×1.36×1017(文献LanfordのTable III内の式)
・単位体積あたりのSi-H結合濃度=単位面積あたりのSi-H結合濃度/膜厚(cm)
図4に示す例において、波数2200cm-1近傍の単位体積あたりのSi-H結合の濃度は、バイアスパワーを印加した場合には2.9×1022atoms/cmであり、バイアスパワーを印加しない場合には4.1×1021atoms/cmであった。Si-H結合の濃度にこのような違いが生じる理由は、以下の通りである。シリコン基板側に高周波のバイアスパワーを印加した場合、プラズマ中で発生した電子がシリコン基板側に引き寄せられ、負の電位を形成する。その結果、プラズマ中で発生したイオンが、シリコン基板側に引き寄せられ、シリコン窒化膜中に打ち込まれる。より具体的には、原料ガスとして使用されるモノシラン(SiH)ガス中に含まれる水素がプラズマ反応過程で励起され、励起された水素を含むラジカルおよびイオン種がシリコン基板側に引き込まれてシリコン窒化膜中に打ち込まれる。これに対し、バイアスパワーを印加しない場合は、シリコン基板への水素の引き込みが少ない。このため、バイアスパワーを印加した場合の方が、バイアスパワーを印加しない場合に比べて、単位体積あたりのSi-H結合の濃度が高くなる。
【0096】
図5は、バイアスパワーを印加して形成したシリコン窒化膜と、バイアスパワーを印加せずに形成したシリコン窒化膜の膜質の違いを二次イオン質量分析法(SIMS)で確認した結果を示す図である。ここでは、図2Dに示す周期的な凹凸を形成した後に、シリコン基板側から順に、バイアスパワーを印加しない条件でシリコン窒化膜を310nmの膜厚で成膜し、バイアスパワーを印加した条件でシリコン窒化膜を40nmの膜厚で成膜し、シリコン酸化膜を膜厚220nmで成膜した複合膜について測定を行った。図5は、表面側から順に、シリコン酸化膜、バイアスパワー印加有りのシリコン窒化膜、およびバイアスパワー印加無しのシリコン窒化膜に一次イオンを照射して、飛びだしてきた二次イオンの水素濃度を定量化した結果を示している。横軸は、シリコン酸化膜の表面からの深さを示している。縦軸は、二次イオンの水素濃度(atoms/cm)を示している。図5に示す結果からも、図4に示すFTIRによる測定結果と同様に、バイアスパワーを印加した成膜条件の方が、バイアスパワーを印加しない成膜条件と比べて水素濃度が高くなることがわかる。
【0097】
バイアスパワーを印加したシリコン窒化膜の水素含有量が多いことは、スパッタエッチングによる半円形状箇所の面取りの利点以外にも、信頼性の観点からも大きい利点がある。水素含有量の少ないシリコン窒化膜は、圧縮応力が大きい。このため、例えば1μm以上の多層構造体を水素含有量の少ないシリコン窒化膜のみで形成すると膜剥がれが発生し、パーティクルを生じさせてデバイス作製の信頼性を低下させ得る。シリコン窒化膜内の水素含有量を増加させることにより、膜密度が低下し、圧縮応力から引張り応力の方向に変化していく。このために、1μm以上の多層構造を形成しても、膜剥がれなく、パーティクルの発生を抑制できる。このように、本実施形態における構造体の製造方法は、1μm以上の多層構造体を製造する方法として用いてもよい。
【0098】
次に、先に例示したシリコン窒化膜の成膜条件を決定した経緯と、その際に行った実験結果を説明する。高密度プラズマCVD法を含む化学気相成長の成膜レートは、RF電力を増加させるか、モノシラン(SiH)およびアンモニア(NH)のガス流量を増加させれば高くできる。しかし、RF電力の上限は、装置に供給される高周波電源の能力によって決まり、ガス流量は、装置の排気口に接続された真空設備の排気速度および成膜中の圧力から決定される。
【0099】
モノシラン(SiH)とアンモニア(NH)は、以下の反応式(1)の化学反応によってシリコン窒化膜(Si)を形成する。
【0100】
3SiH+4NH →Si+12H ・・・(1)
反応式(1)から、SiH/NHの化学当量比は、0.75になる。このことから、SiH/NHの流量比を0.75に決定した。
【0101】
バイアスパワーを印加するとスパッタエッチング効果により、成膜レートが低下する。このため、バイアスパワーを印加しない条件で可能な限り厚い膜を堆積し、半円形状の面取りの成形のみをバイアス印加の条件にする方針にした。具体的には、バイアスパワーを印加しない成膜条件を以下の表2における実施例1のように決定した上で、バイアスパワーを印加した成膜条件を検討する実験を実施した。
【0102】
【表2】
【0103】
本実施形態における構造体の加工要件として、成膜レートを高くすること以外にも、次の4つの要件を課した。
・構造体の加工要件:
(1)アルゴン(Ar)ガスの追加およびバイアスパワーの印加によって半円形状の部分を先鋭に成形すること
(2)膜剥がれが発生しないこと
(3)パーティクルを発生させないこと
(4)屈折率が1.90から2.20であること
これらの要件を満足する成膜条件を決定する実験を行った。膜質を変えるために、表2に示すように、SiHおよびNHの流量と、バイアスパワー印加量とを様々に変化させてシリコン窒化膜を形成した。これらのシリコン窒化膜について、パーティクル、成膜レート、応力、および屈折率の4項目の評価を実施した。
【0104】
表2に記載されていない成膜条件は、以下のとおりである。RF電力を1500W、Ar流量を10sccm、圧力を5.0Pa、処理温度を170℃とした。実施例1と比較して、RF電力を4000Wから1500Wに低下させ、原料ガス(SiHおよびNH)の総流量を140sccmから77sccmに低下させた。その理由は、シリコン窒化膜の堆積速度を低下させてArイオンによるスパッタエッチング効果を増加させるためである。成膜時間はいずれの例も200秒に固定した。パーティクルに関しては、300mmのサイズのシリコン基板において、0.16μm以上の大きさの物体をパーティクル即ちゴミと判断した。パーティクルに起因する導波路の伝播損失を考慮し、歩留まりに影響を与えない基準を1ウェハあたり50ケ以内として評価した。表2における応力に関して、マイナスの符合は圧縮応力であることを示し、プラスの符合は引張り応力であることを示している。屈折率に関しては、エリプソメトリ法による光学測定装置の測定波長633nmで測定した。
【0105】
バイアスパワーは100、500、1000、2000、2400Wの5水準で変化させた。これらの条件をそれぞれ比較例1から5とする。各比較例について、パーティクルの個数、成膜レート、応力、および屈折率を評価した。使用した装置のバイアスパワーの限界が2400Wまでであったため、印加したバイアスパワーの最大値を2400Wにした。バイアスパワーを増加させるほど、パーティクルおよび応力の評価結果が改善した。このため、印加するバイアスパワーは2400Wに決定した。
【0106】
しかし、比較例1から5の全ての成膜条件において、屈折率が1.80から1.81となり、加工要件を満たしていない。また、バイアスパワーが100Wおよび500Wの2つの条件では、膜剥がれが発生した。図6は、バイアスパワーが100Wの場合(比較例1)のシリコン窒化膜を示す顕微鏡写真である。粒子のように見える微小な膜剥がれがウェハ全面にわたって発生した。図7は、バイアスパワーが500Wの場合(比較例2)のシリコン窒化膜を示す顕微鏡写真である。この場合、バイアスパワーが100Wの場合よりも大きい膜剥がれがウェハ全面にわたって発生した。
【0107】
図8は、比較例3から5の条件でバイアスパワーを変化させたときの成膜レートと圧縮応力との関係を示すグラフである。成膜レートが高くなると圧縮応力が大きくなることがわかった。成膜レートが高い場合には、成膜中にシリコン窒化膜に衝突するイオンの数が多くなり、衝突によって発生する熱エネルギーおよび単位体積当たりの欠陥密度が高くなる。そのため、堆積膨張を起こし圧縮応力が増加すると推定される。
【0108】
図8の結果より、成膜レートを高くすると応力が増加することがわかったため、SiHとNHの総流量を更に低下させることにした。また、シリコン(Si)および窒素(N)の原子で構成されるシリコン窒化膜におけるシリコンの含有量を増加させることにより、屈折率の高いシリコン窒化膜を形成する方針にした。具体的には、SiHガスの流量を増加させ、SiH/NHの流量比を上げることにした。表2に示す比較例5の条件から実施例2の条件に変更した。実施例2の条件で成膜することにより、SiH/NHの流量比を0.75から0.79まで増加させた。SiH/NHの流量比を増加させることにより、屈折率が2.02になり、上記の加工要件(4)の屈折率の条件を満たすことができた。最終的に、シリコン窒化膜のバイアスパワーを印加したときの成膜条件を実施例2の条件に決定した。
【0109】
次に、シリコン窒化膜を複合膜にして行った実験の結果を説明する。
【0110】
加工形状の指標として、図9に示すH0とH1を導入して形状の最適化を行った。図9は、シリコン窒化膜105aの形状の指標である凸部の高さH0および凹部の深さH1を示す図である。H0は、シリコン酸化膜104の三角形状の部分の高さに相当する。H1は、シリコン窒化膜105aの高さに相当する。目標とする加工形状は、シリコン窒化膜105aが成膜された状態で、H0=H1を満足し、かつH0の減少が抑制されることである。最初に、シリコン窒化膜105aの単膜で形成できないかを実験で検証した。その後、図2Gに記載した条件でシリコン酸化膜106も堆積して断面SEM観察を実施した。この際、表2に示す実施例1の成膜条件でシリコン窒化膜105aを350nmの膜厚で形成した。
【0111】
図10は、この例における構造体の断面形状を示すSEM画像である。この例では、H0は160nmであり、H1は280nmである。シリコン窒化膜105aの上部の形状は半円形状である。なお、図10および以降の図11から図14では、見易くするために、シリコン窒化膜と、その両側のシリコン酸化膜との界面の概形が点線で示されている。
【0112】
次に、表2に示す実施例2の成膜条件(バイアス印加2400W)で、シリコン窒化膜105aを350nmの膜厚で形成した。
【0113】
図11は、この例における構造体の断面形状を示すSEM画像である。この例では、H0=103nm、H1=0nmになり、シリコン窒化膜の最表面は平坦になった。また、H0を規定する三角形状の頂上近辺にボイドのような空隙が観察された。
【0114】
更に、表2に示す比較例3の成膜条件(バイアス印加1000W)で、シリコン窒化膜105aを350nmの膜厚で形成した。
【0115】
図12は、この例における構造体の断面形状を示すSEM画像である。この例では、H1=10nm、H0=160nmになり、シリコン窒化膜の最表面に三角形状の微小突起(高さH1)が確認された。
【0116】
更に、表2に示す比較例1、2の成膜条件(バイアス印加100、500W)でもシリコン窒化膜105aを形成したが、膜剥がれが発生した。
【0117】
以上の結果より、印加するバイアスパワーを制御することによるシリコン窒化膜の単膜での周期的な凹凸形状(または鋸形状)の形成が困難であることがわかった。このため、複合膜でシリコン窒化膜を形成した。表2に示す実施例1のバイアス印加無しの膜と実施例2のバイアス印加2400Wの膜との複合膜を形成する実験を行った。
【0118】
図13は、シリコン窒化膜の複合膜を含む構造体の断面を示すSEM画像である。この例におけるバイアス印加無しのシリコン窒化膜の膜厚は250nm、バイアス印加2400Wのシリコン窒化膜の膜厚は100nmである。H0=160nm、H1=100nmとなり、H0>H1になった。このため、バイアス印加無しのシリコン窒化膜とバイアス印加有りのシリコン窒化膜との膜厚比を再検討することにした。
【0119】
図14は、再検討後のシリコン窒化膜の複合膜を含む構造体の断面を示すSEM画像である。この例においては、バイアス印加無しのシリコン窒化膜の膜厚は310nm、バイアス印加2400Wのシリコン窒化膜の膜厚は40nmである。これにより、H0=160nm、H1=165nmとなり、H0≒H1になった。このため、この複合膜の膜厚比で加工することにした。
【0120】
以上の実験からわかるように、バイアスパワーを印加しない実施例1のような条件でシリコン窒化膜をシリコン酸化膜104の三角形状の断面の高さH0よりも高く形成した後、バイアスパワーを印加した実施例2のような条件でシリコン窒化膜を形成することにより、高さH1をH0にほぼ一致させることができる。この場合、バイアスパワーを印加しない条件で形成されるシリコン窒化膜の厚さは、バイアスパワーを印加した条件で形成されるシリコン窒化膜の厚さよりも大きい。
【0121】
図15は、上記の各実験において使用したサンプルのH0とH1との関係を示す図である。バイアス印加のない実施例1ではH0<H1になる。バイアス印加のある実施例2および比較例3では、H0>H1になる。これらの結果から、単膜の形成ではH0=H1の条件にすることが困難であることがわかる。複合膜でシリコン窒化膜を形成する場合でも、バイアス印加無の場合の膜厚とバイアス印加有の場合の膜厚との比が重要である。図15に示す複合膜2のように、H0=H1になる成膜条件を決定することが重要である。
【0122】
次に、本実施形態における構造体の製造方法の利点を、従来のバイアススパッタリング方式と対比して説明する。
【0123】
本実施形態における高密度プラズマCVD法による成膜レートは、従来のバイアススパッタリング方式よりも高くすることができる。低屈折率膜であるシリコン酸化膜の成膜レートは75nm/分である。シリコン酸化膜の膜厚が220nmの場合、1周期あたりの成膜時間は176秒である。バイアスパワーを印加せずに形成されるシリコン窒化膜の成膜レートは、73.1nm/分である。このシリコン窒化膜の膜厚が270nmの場合、1周期あたりの成膜時間は211秒である。バイアスパワーを印加して形成されるシリコン窒化膜の成膜レートは、25.1nm/分である。このシリコン窒化膜の膜厚が80nmの場合、1周期あたりの成膜時間は191秒である。したがって、220nmの膜厚を有するシリコン酸化膜と、350nmの膜厚を有するシリコン窒化膜の複合膜との1周期分の成膜時間は、588秒である。よって本実施形態における4周期の構造体は、39分(2352秒)で作製可能である。
【0124】
これに対し、特許文献2に開示された従来のバイアススパッタリング方式では、高屈折膜の成膜速度は16.8nm/分であり、低屈折率膜の成膜速度は3.1nm/分である。低屈折率膜の1周期分の厚さを220nmとし、高屈折率の膜厚を350nmとすると、低屈折率膜の成膜に71分、高屈折率膜の成膜に21分を要する。この場合、1周期の成膜時間は92分になり、4周期では368分になる。従来のバイアススパッタリング方式は、本実施形態における高密度プラズマCVD方式と比較して10倍程度の処理時間を要することがわかる。このように、本実施形態の製造方法によれば、従来のバイアススパッタリング方式と比較して、生産性を向上させ、製造コストを低減できる。
【0125】
また、従来のバイアススパッタリング方式では、成膜中に長時間プラズマにさらされる。このため、基板の温度が上昇し、樹脂材料などの有機材料の処理には向かない。本実施形態では、高密度プラズマCVD法を適用することにより、成膜速度を向上させつつ、成膜処理温度を200℃以下の低温にすることができる。このため、樹脂材料などの有機材料を用いて構造体を作製することができる。本実施形態によれば、成膜速度を向上させつつ、均一な屈折率でかつ膜剥がれがなく、パーティクルが少ない高品質な光学薄膜を形成することが可能である。
【0126】
なお、本実施形態における構造体の各層の材料、寸法、成膜条件は一例に過ぎない。これらの条件は、最終的に作製されるデバイスに要求される性能に応じて適宜変更することができる。
【0127】
(実施形態2)
次に、本開示の一態様に係る構造体と固体撮像素子とを備えた撮像装置の実施形態を説明する。
【0128】
固体撮像素子と本開示の一態様に係る構造体とを一体化したデバイスは、被写体を透過または反射する光のコヒーレンスの度合いを煩雑な操作を行うことなく測定できる光検出技術を提供する。この光検出技術の設計および動作原理は、例えば、米国特許出願公開第2016/360967号明細書および米国特許出願公開第2017/023410号明細書に開示されている。
【0129】
固体撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーであり得る。これらのいずれにも本開示の一態様に係る構造体を取り付けることができる。現状、消費電力および高速読出しの利点から、固体撮像素子ではCMOSセンサーが主流である。このため、以下にCMOSセンサーと実施形態における構造体とを一体化した例を説明する。
【0130】
図16は、実施形態2に係る撮像装置の一部の構造を模式的に示す断面図である。シリコン基板200の上に、シリコン酸化膜であるゲート絶縁膜201およびポリシリコン製のゲート電極202が順に形成されている。
【0131】
フォトダイオードを含む受光部203および検出部204は、シリコン基板200内にイオン注入等により形成されたN型不純物領域として構成される。受光部203は、シリコン基板200の表面から0.2から2.0μm程度の深さにわたって形成されている。図示されていないが、暗電流抑制のために、表面P型層を設けた埋め込み構造が採用されている。隣り合う2つの受光部203の間には、素子分離領域205が設けられている。素子分離領域205による素子分離は、STI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる。STIに代えて、注入分離工法を用いてもよい。
【0132】
検出部204の不純物濃度は、金属配線によるオーミック接続が可能な濃度であればよい。例えば、検出部204の不純物濃度は、1.0×1015cm-2以上であり得る。検出部204は、シリコン基板200の表面から0.1から0.5μm程度の深さにわたって形成されている。受光部203で検出された電荷は、ゲート電極202によって、検出部204に転送後に第1配線層207、第2配線層208、及び第3配線層209を介することによって、出力信号として検出される。
【0133】
ゲート絶縁膜201の上には、周知の絶縁膜であるシリコン酸化膜が堆積され、周知の手法であるCMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨によって平坦化される。ゲート絶縁膜201から第1配線層207までの領域に形成される膜は、PMD(Pre Metal Dielectric)と呼ばれる。PMDを介して、検出部204上、ゲート電極202上、および周辺回路(図示せず)のトランジスタで使用されるソース・ドレイン領域及びゲート電極上にコンタクト部206が形成される。コンタクト部206は、例えばタングステン(W)材料で形成される。
【0134】
更に、シリコン酸化膜などの材料で、一層目の層間絶縁膜が形成される。例えばシングルダマシン法によって一層目の銅配線を含む第1配線層207が設けられる。銅配線の酸化防止のためにシリコン窒化膜からなる拡散防止膜(図示せず)が堆積され得る。受光部203上の拡散防止膜が選択的に除去され、シリコン窒化膜が選択的に除去される。
【0135】
同様に、シリコン酸化膜などの材料で二層目の層間絶縁膜を堆積した後、CMP研磨により平坦化処理が行われる。ビアファースト法によるデュアルダマシン法などの方法で二層目の銅配線を含む第2配線層208および拡散防止膜(図示せず)が形成される。受光部203上の拡散防止膜が選択的に除去される。
【0136】
次に、二層目と同様に三層目の層間絶縁膜を堆積後、三層目の銅配線を含む第3配線209が形成される。更に、パッシベーション膜の役割を果たす保護膜210が形成される。保護膜210は、例えばシリコン窒化膜によって形成される。なお、受光部203上の保護膜210は、除去してもよい。
【0137】
ここでは、配線として三層の銅配線を用いる例を説明したが、アルミニウム配線を用いてもよい。
【0138】
次に、リソグラフィーとドライエッチングで保護膜210を第3配線層209まで貫通させて、密着層(例えばチタンと窒化チタンの積層膜)とアルミニウムなどの層がスパッタリング装置で成膜される。その後、リソグラフィーとドライエッチングによってボンディングパッド部とオプティカルブラック(OB)部(図示せず)とが同時に形成される。
【0139】
保護膜210上には平坦化層211が形成される。平坦化層211は、ボンディングパッド部とOB部の段差を緩和するために設けられる。平坦化層211の材料は、例えばスピンコーティング法で塗布され得る材料である。例えば、有機樹脂系材料、特に、アクリル系樹脂材料、スチレン系樹脂材料、エポキシ系樹脂材料等の熱硬化透明樹脂材料を用いて平坦化層211が形成され得る。本実施形態では、一例として、アクリル系樹脂(屈折率1.49から1.50)が用いられ、200℃で数分間熱硬化処理が行われる。これにより、マイクロレンズ212および構造体を受光部203の配列に対して、平行にすることが可能になる。その結果、受光部203に対して光が散乱することなく効率よく集光されるため、感度が向上する。
【0140】
平坦化層211の上にマイクロレンズ212のアレイが形成される。マイクロレンズ212は、例えば、ナフトキノンジアジドを感光基とするポジ型感光性レジストを用いて形成され得る。ポジ型感光レジストの屈折率は、1.50から1.70である。熱フローによって樹脂をメルトさせることにより、受光部203に効率よく光を集光させる半楕円形状のマイクロレンズ212が形成される。シリコン窒化膜またはシリコンオキシナイトライド(SiOy)膜のような無機系材料を堆積して、レジストエッチバックによってマイクロレンズ212を形成してもよい。
【0141】
マイクロレンズ212上には、平坦化層213が形成される。平坦化層213の目的は、マイクロレンズ212で発生した段差の解消である。平坦化層213の材料は、例えばスピンコーティング法を用いて塗布され得る材料であり得る。例えば、有機樹脂系材料、特に、アクリル系樹脂材料、スチレン系樹脂材料、エポキシ系樹脂材料等の熱硬化透明樹脂材料を用いて平坦化層213が形成され得る。本実施形態では、一例として、アクリル系樹脂(屈折率1.49から1.50)が用いられ、200℃で数分間熱硬化処理が行われ、平坦化される。これにより、マイクロレンズ212および構造体を受光部203の配列に対して、平行にすることが可能になる。光源から透過または反射した光の一部は、導波光として構造体の中を導波することが可能である。構造体中の導波層内を、導波光が凹凸によって散乱されることなく伝搬することができる。
【0142】
次に、構造体の形成方法の例を説明する。
【0143】
実施形態1について説明した成膜条件と同様の条件で、構造体が作製され得る。原料ガスとしてモノシラン(SiH)および酸素(O)の混合ガスが用いられ得る。まず、ラインおよびスペースを形成するためのシリコン酸化膜214が、平坦化層213の上に形成される。シリコン酸化膜214の膜厚は、例えば400nm程度である。シリコン酸化膜214は、図2Bから図2Cを参照して説明したように、リソグラフィーおよびドライエッチ法によって形成される。次に、図2Dを参照して説明した方法で、シリコン酸化膜215が形成される。更に、1周期目のシリコン窒化膜216とシリコン酸化膜217とが、図2Eから図2Gを参照して説明した方法で形成される。同様に、2から4周期目のシリコン窒化膜218、220、222、およびシリコン酸化膜219、221、223が、図2Hから図2Lを参照して説明した方法で形成される。
【0144】
このようにして構造体を形成した後、シリコン酸化膜224が堆積され、化学機械研磨法(CMP)によって平坦化される。シリコン酸化膜224の成膜条件の一例は、以下のとおりである。原料として、モノシラン(SiH)および酸素(O)の混合ガスが用いられる。SiHガスの流量は50sccm、Oガスの流量は100sccm、圧力は7.0Pa、RF電力は3000W、バイアスパワーは0W、処理温度は170℃に設定され得る。このような条件でシリコン酸化膜224が形成され得る。周期的な凹凸形状を維持するために、無バイアスで処理される。なお、シリコン酸化膜223を省略してシリコン酸化膜224をシリコン窒化膜222上に堆積してもよい。
【0145】
平坦化されたシリコン酸化膜224の上には、密着層を含む遮光膜225が形成される。遮光膜225は、金属などの不透明な材料で形成され得る。遮光膜225は、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、それらの合金、または、そのシリサイド(遷移金属ケイ化物)によって形成され得る。金属材料を用いる場合、スパッタリングまたは蒸着と、フォトリソグラフィー、エッチング、メタルマスクとを使用して周知の技術で遮光膜225を形成できる。密着層は、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)の積層膜であり得る。密着層の上にアルミニウムなどの金属からなる不透明材料が形成され得る。このことにより、アルミニウム単膜で遮光するよりも、シリコン酸化膜224との密着性が向上し、アルミニウムの膜剥がれを抑制できる。
【0146】
遮光膜225による遮光パターンは、図16の上方向から平面視するとチェッカーパターンまたはストライプパターンである。構造体に形成された遮光膜225により、光源から透過または反射した光の一部を、構造体のグレーティングと導波路で分離して、各受光部203で検出することができる。各受光部203から出力された信号を用いた演算処理により、入射光のコヒーレンスの度合いなどの種々の情報を取得することができる。例えば、入射光のコヒーレンスの度合いの空間分布を示す画像を生成することができる。そのような演算処理は、本実施形態の撮像装置に接続された信号処理回路によって実行され得る。演算処理は、例えば前述の米国特許出願公開第2016/360967号明細書および米国特許出願公開第2017/023410号明細書に開示されている。これらの文献に開示された演算処理は、本実施形態においても同様に適用可能である。
【0147】
必要に応じて、遮光膜225の上にシリコン酸化膜またはバンドパスフィルターを形成してもよい。
【0148】
以上のような方法で、固体撮像素子と本開示の一態様に係る構造体とを一体化することができる。本実施形態によれば、固体撮像素子側と構造体側にアライメント用のマークを作成して、どちらかのマークを基準にして、数十nm程度の高精度の位置あわせを行う工程を排除できる。また、貼り合わせ時に発生するパーティクルなどのゴミの発生の懸念もなくなり、歩留まりが向上する。
【0149】
マイクロレンズ212、平坦化層211および213は、樹脂などの有機材料によって形成されることが多い。その場合、高密度プラズマCVD法を用いて、例えば200℃以上の高温処理で膜を形成すると、有機材料が溶けて光の集光作用に重大な問題が生じるおそれがある。そこで、有機材料の熱による劣化を防ぐために、図1に示すRFアンテナ5の下面と基板7の上面との距離Hは、例えば150mm以上250mm以下に設定され得る。これにより、プラズマ6が高密度であっても低電子温度となる領域に基板7が配置される。このため、基板7の温度上昇を防ぐことができる。本構成によれば、例えば200℃以下で処理することが可能になる。このため、マイクロレンズ212および平坦化層211、213上にも高密度プラズマCVD法によって誘電体膜を体積することが可能である。
【0150】
(実施形態3)
次に、配線上に光電変換膜を含む積層型固体撮像素子と、本開示の一態様に係る構造体とを備える撮像装置の実施形態を説明する。
【0151】
本実施形態における撮像装置は、実施形態2におけるシリコン基板内部にフォトダイオードを含む受光部をもつ埋め込み型の固体撮像素子に代えて、積層型固体撮像素子が使用される。積層型固体撮像素子は、シリコン基板の内部に信号処理回路が形成され、シリコン基板上の配線層を介して光電変換部が形成されたイメージセンサである。
【0152】
図17は、実施形態3に係る積層型固体撮像素子の有効画素領域の一部の構造を模式的に示す断面図である。シリコン基板300の上に、シリコン酸化膜であるゲート絶縁膜301、およびポリシリコン製のゲート電極302a、302b、302cが順に形成されている。
【0153】
図18を参照しながら、本実施形態における積層型固体撮像素子の概要を説明する。図18は、ゲート電極302a、302b、302cをそれぞれ含む3つのトランジスタと信号電荷の流れとを説明するための図である。本実施形態における固体撮像素子は、2次元状に配列された複数の単位画素セル400と、垂直信号線401と、電源配線402と、光電変換膜制御線403と、水平信号読出し回路404と、垂直走査回路405と、複数のカラム信号処理回路406とを備える。単位画素セル400は、リセットトランジスタ412a、増幅トランジスタ412b、およびアドレストランジスタ412cを含む。リセットトランジスタ412aはゲート電極302aを含む。増幅トランジスタ412bはゲート電極302bを含む。アドレストランジスタ412cはゲート電極302cを含む。
【0154】
図17に示すように、配線305上には光電変換膜311が配置されている。光が照射されると、光電変換膜311は、信号電荷を生成して蓄積する。増幅トランジスタ412bは、光電変換膜311で生成された信号電荷量に応じた信号電圧を出力する。リセットトランジスタ412aは、光電変換膜311に蓄積された信号電荷、言い換えると増幅トランジスタ412bのゲート電圧を、リセットつまり初期化する。アドレストランジスタ412cは、垂直信号線401に単位画素セル400の信号電圧を選択的に出力させることができる。この信号電圧は、垂直信号線401と水平信号読み出し回路404との間のカラム信号処理回路406に送られる。カラム信号処理回路406は、信号電圧の雑音を除去する。水平信号読出し回路404は、水平共通信号線に信号を順次読み出すことにより、画像として出力させることができる。
【0155】
光電変換膜制御線403は、複数の単位画素セル400に共通に接続され、複数の光電変換膜311に同じ電圧を印加する。
【0156】
垂直走査回路405は、垂直方向に単位画素セル400の行を走査し、信号電圧を垂直信号線401に出力させる単位画素セル400の行を選択する。
【0157】
電源配線402は、増幅トランジスタ412bおよびリセットトランジスタ412aのドレインに接続されている。電源配線402は、単位画素セル400の配列領域において、垂直方向(即ち図18における上下方向)に配線される。
【0158】
図17に示すように、シリコン基板300内には、画素ごとに、N型不純物領域303a、303b、303c、303dが設けられている。N型不純物領域303aは、シリコン基板300内の電荷蓄積部である。光電変換膜311が生成した信号電荷は、その下の画素電極309によって捕獲される。画素電極309は、配線305に接続されている。画素電極309に捕獲された電荷は、配線305を介して、電荷蓄積部であるN型不純物領域303aに一時的に蓄積される。N型不純物領域303aは、フローティングディフュージョンとして機能する。N型不純物領域303aは、リセットトランジスタ412aのソースとしても機能する。配線305とN型不純物領域303aとの接続で用いられるコンタクトプラグ304は、多結晶シリコンのような非金属材料によって構成され得る。コンタクトプラグ304は、N型不純物領域303aと、画素領域にある増幅トランジスタ412bのゲート電極302bとに接続されている。コンタクトプラグ304は、多結晶シリコンを用いたローカル配線で結線されている。
【0159】
N型不純物領域303bは、リセットトランジスタ412aおよび増幅トランジスタ412bのドレインとして機能する。N型不純物領域303cは、増幅トランジスタ412bのソースおよびアドレストランジスタ412cのドレインとして機能する。N型不純物領域303dは、アドレストランジスタ412cのソースとして機能する。
【0160】
配線305が形成された後、保護膜306が形成される。保護膜306は、パッシベーションの役割を果たし、例えばシリコン窒化膜によって構成され得る。次に、実施形態2と同様の製法で、密着層(例えばチタンと窒化チタンの積層膜)とアルミニウムなどの層がスパッタリング装置で成膜される。その後、ボンディングパッド部(図示せず)が形成される。
【0161】
更に、シリコン酸化膜307がプラズマCVD法で成膜され、化学機械研磨法(CMP)によって平坦化される。リソグラフィーとドライエッチングによってシリコン酸化膜307に孔が形成される。電気鍍金法によって孔に銅が埋め込まれ、銅孔308が形成され、化学機械研磨法によって平坦化される。
【0162】
続いて、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)などの金属または金属の窒化物を1種類若しくは2種類以上用いて、画素電極309が形成される。画素電極309は、例えば物理気相成長法(PVD)の一種であるスパッタリング法によって形成される。画素電極309の酸化防止のためにシリコン酸化膜の薄膜を画素電極309上に積層して形成してもよい。画素電極309は、後述する上部電極312にも有効画素領域外で光電変換膜311を介さず直接に接続される(図示せず)。有効画素領域内の上部電極312は、画素電極309の対向電極として機能する。上部電極312は、光電変換膜311に電圧を印加することができ、光照射による信号電荷を発生させることができる。
【0163】
次に、リソグラフィーとドライエッチングにより、シリコン基板300上の単位画素セル400毎に、画素電極309が分離される。つまり、単位画素セル400間には画素電極309は形成されない。
【0164】
続いて、シリコン酸化膜310がプラズマCVD法で成膜される。シリコン酸化膜310は、化学機械研磨法によって画素電極309の厚さまで平坦化される。このとき、化学機械研磨法によって画素電極309を露出させることが重要である。画素電極309の間には、シリコン酸化膜310が形成される。
【0165】
次に、光電変換膜311が形成される。光電変換膜311は、有機膜でも無機膜でもよい。しかし、低温で成膜できる利点を考慮し、ここでは有機膜で光電変換膜311を構成する場合の例を説明する。
【0166】
有機膜である光電変換膜311は、メタルマスクを用いた蒸着法で形成され得る。光電変換膜311は、光電変換部、電子輸送部、正孔輸送部、電子阻止部、正孔阻止部、結晶化防止部、および層間接触改良部などの複数の部位の積層または混合によって形成され得る。光電変換部は有機光電変換材料を含み得る。光電変換部は、例えば、有機p型化合物および/または有機n型化合物を含み得る。
【0167】
光電変換膜311は、例えば、日本特許第5560142号明細書に記載された化合物を用いて形成され得る。例えば、日本特許第5560142号明細書の段落[0046]から[0047]には、p型有機半導体の材料に関して、以下の記載がある。これらの材料を第1の材料と称する。
【0168】
光電変換層を構成するp型有機半導体は、ドナー性有機半導体であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、n型有機半導体として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
【0169】
p型有機半導体としてはいかなる有機色素を用いてもよいが、例えば、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(すなわちシンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、ペリノン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ジケトピロロピロール色素、ジオキサン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)が挙げられる。
【0170】
また、日本特許第5560142号明細書の段落[0048]から[0049]には、n型有機半導体の材料に関して、以下の記載がある。これらの材料を第2の材料と称する。
【0171】
光電変換層を構成するn型有機半導体としては、例えば、フラーレン又はフラーレン誘導体を用いることができる。
【0172】
フラーレンとは、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレン540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブを表し、フラーレン誘導体とはこれらに置換基が付加された化合物のことを表す。
【0173】
第1の材料を蒸着することによって正孔輸送部を構成することができる。正孔輸送部の厚さは、例えば0.1μm程度である。その後、第2の材料を蒸着することによって光電変換膜311を形成することができる。いずれの蒸着工程も、真空度が例えば1×10-4Pa以下の状態で行われ得る。このような光電変換膜311は、画素電極309側に正孔を、対向する上部電極312側に電子を移動させて信号を読出す方式の光電変換素子を構成する。
【0174】
次に、透明材料である酸化インジウムスズ(ITO)膜が光電変換膜311の上に成膜される。ITO膜は、例えば、蒸着設備に併設されているチャンバーによって、大気に暴露させずに、メタルマスクを用いたスパッタ法で成膜され得る。ITO膜は、光電変換膜311を被覆する。このITO膜は、導電性の膜であり、上部電極312としての役割も果たす。
【0175】
次に、保護膜313として、スパッタ法でアルミナ(Al)膜を、化学気相成長(CVD)法でシリコンオキシナイトライド(SiO)膜が積層される。保護膜313は、光電変換膜311のパッシベーションとしての役割を果たす。
【0176】
次に、スパッタ法によって窒化チタン(TiN)膜が、例えば250nm形成され得る。このTiN膜は、オプティカルブラック(OB)部の役割を果たす。OB部は、イメージセンサにおいて黒の基準として扱われる。すなわち、OB部は、光照射された有効画素領域の信号電圧において、光照射がないダークノイズ(黒の基準)として扱われる。有効画素領域の光照射部とOB部の出力信号の差が、濃淡を表すのに重要な役割を果たす。OB領域は、有効画素領域外に形成される。なお、OB領域は図17に示されていない。
【0177】
次に、保護膜313およびOB部上に平坦化層314が形成される。平坦化層314は、ボンディングパッド部とOB部との段差を緩和するために設けられる。平坦化層314の材料は、例えばスピンコーティング法によって塗布され得る材料であり得る。例えば、有機樹脂系材料、特に、アクリル系樹脂材料、スチレン系樹脂材料、エポキシ系樹脂材料等の熱硬化透明樹脂材料を用いて平坦化層314が形成され得る。本実施形態では、一例として、アクリル系樹脂(屈折率1.49から1.50)が用いられ、200℃で数分間熱硬化処理が行われる。これにより、マイクロレンズ315および構造体を光電変換部311に対して、平行にすることが可能になる。その結果、光電変換部311に対して光が散乱することなく効率よく集光されるため、感度が向上する。
【0178】
平坦化層314の上にマイクロレンズ315のアレイが形成される。マイクロレンズ315は、例えば、ナフトキノンジアジドを感光基とするポジ型感光性レジストを用いて形成され得る。ポジ型感光レジストの屈折率は、1.50から1.70である。熱フローによって樹脂をメルトさせることにより、光電変換部311に効率よく光を集光させる半楕円形状のマイクロレンズ315が形成される。マイクロレンズ315に関しては、実施形態2におけるマイクロレンズ212とは異なり、マイクロレンズ315と光電変換部311(即ち受光部)との距離が短い。このため、集光効率を上げるために、マイクロレンズ315の曲率半径が大きく、つまり厚く設計される。シリコン窒化膜またはシリコンオキシナイトライド(SiOy)膜のような無機系材料を堆積して、レジストエッチバックによってマイクロレンズ315を形成してもよい。
【0179】
マイクロレンズ315上には、平坦化層316が形成される。平坦化層316の目的は、マイクロレンズ315で発生した段差の解消である。平坦化層316の材料は、例えばスピンコーティング法を用いて塗布され得る材料であり得る。例えば、有機樹脂系材料、特に、アクリル系樹脂材料、スチレン系樹脂材料、エポキシ系樹脂材料等の熱硬化透明樹脂材料を用いて平坦化層316が形成され得る。本実施形態では、一例として、アクリル系樹脂(屈折率1.49から1.50)が用いられ、200℃で数分間熱硬化処理が行われ、平坦化される。これにより、マイクロレンズ315および構造体を光電変換部311に対して平行にすることが可能になる。光源から透過または反射した光の一部は、導波光として構造体の中を導波することが可能である。構造体中の導波層内を、導波光が凹凸によって散乱されることなく伝搬することができる。
【0180】
構造体の形成方法は、実施形態2における方法と同じである。平坦化層316の上に構造体を形成することにより、構造体と積層型固体撮像素子とが一体化された撮像装置を作製することができる。
【0181】
本実施形態によれば、実施形態2とは異なり、フォトダイオードを含む受光部をシリコン基板内に設ける必要がない。そのため、実施形態2と比較して、単位画素セル400のサイズを縮小でき、高画素化が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本開示における構造体は、例えば、光波回路素子として用いられる多次元的に周期的な屈折率分布を持つ構造、およびそれを用いた光機能素子などに利用可能である。例えば、光通信、光インターコネクション、オプトエレクトロニクス、または光計測の分野において使用される、光導波路、光共振器、近接場光学プローブ、複屈折素子、フィルター、分岐素子、波面変換素子、偏向素子などに利用され得る。
【符号の説明】
【0183】
1 高密度プラズマCVD装置
2 真空容器
3 原料ガス供給ノズル
4A、4B 高周波電源
5 高周波アンテナ
6 プラズマ
7 基板
8 下部電極
9 排気口
10 真空装置
100、200、300 シリコン基板
101、104、106、108、214、215、217、219、221、223、224、307、310 シリコン酸化膜
102 レジストパターン
105a、105b、107a、107b、107c、107d、216、218、220、222 シリコン窒化膜
110 導電性金属膜
201、301 ゲート絶縁膜
202、302a、302b、302c ゲート電極
203 受光部
204 検出部
205 素子分離領域
206 コンタクト部
207 第1配線層
208 第2配線層
209 第3配線層
210、306、313 保護膜
211、213、314、316 平坦化層
212、315 マイクロレンズ
225 遮光膜
303a、303b、303c、303d N型不純物領域
304 コンタクトプラグ
305 配線
308 銅孔
309 画素電極
311 光電変換膜
312 上部電極
400 単位画素セル
401 垂直信号線
402 電源配線
403 光電変換膜制御線
404 水平信号読み出し回路
405 垂直走査回路
406 カラム信号処理回路
412a リセットトランジスタ
412b 増幅トランジスタ
412c アドレストランジスタ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図2M
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18