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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】水処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
C02F1/32
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020553697
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2019038834
(87)【国際公開番号】W WO2020090331
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2018206125
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美濃 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】阪井 淳
(72)【発明者】
【氏名】植田 充彦
(72)【発明者】
【氏名】高野 隆好
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-074114(JP,A)
【文献】特開2013-192985(JP,A)
【文献】特開2010-012429(JP,A)
【文献】特開2017-169945(JP,A)
【文献】特開2009-202120(JP,A)
【文献】特開2010-214241(JP,A)
【文献】特開2018-140380(JP,A)
【文献】特開2016-022475(JP,A)
【文献】国際公開第2017/140790(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/043357(WO,A1)
【文献】特開2016-64111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/32
C02F 1/28
C02F 1/44
A61L 2/10
B01J19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水系統の水出口部よりも上流側に設けられ、前記給水系統を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLEDを含む第1紫外線照射装置と、
前記水出口部に設けられ、前記水出口部を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLEDを含む第2紫外線照射装置と
前記第1紫外線照射装置を制御する第1制御部と、
前記第2紫外線照射装置を制御する第2制御部と、を備え、
前記第1紫外線照射装置による第1紫外線照射量と前記第2紫外線照射装置による第2紫外線照射量との合計が目標紫外線照射量以上であり、
前記第1制御部による前記第1紫外線照射装置の制御と前記第2制御部による前記第2紫外線照射装置の制御とによって前記第1紫外線照射量と前記第2紫外線照射量との合計を前記目標紫外線照射量以上とし、
前記給水系統は、複数の給水菅を連結して形成された給水配管を備え、
前記給水系統では、前記複数の給水管のうち1つの給水菅には、水の流入口を有する第1端と水の流出口を有する第2端との間において流路方向に交差する方向に貫通した開口部が形成されており、
前記第1紫外線照射装置は、前記第1UVLEDからの紫外線を透過する透過部を含み、前記透過部が前記開口部を塞ぐように配置されている、
水処理システム。
【請求項2】
前記目標紫外線照射量は、10mJ/cm である、
請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記第1UVLEDは、前記給水系統の外側において前記第1紫外線照射装置の前記透過部に接している、
請求項1又は2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記第2紫外線照射装置は、前記水出口部の一部を構成し前記第2UVLEDからの紫外線を透過する透過部を含み、
前記第2UVLEDは、前記水出口部の外側において前記第2紫外線照射装置の前記透過部に接している、
請求項1~3のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記第2紫外線照射装置は、
前記水出口部の一部を構成し前記第2UVLEDからの紫外線を透過する透過部と、
前記水出口部の外側において前記第2UVLEDと前記第2紫外線照射装置の前記透過部との間に配置されており、前記第2UVLEDからの紫外線の指向性を強めるメッシュ部材と、を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記第2紫外線照射装置の前記第2UVLEDと前記水出口部の出口との間に設けられUV-Cの波長域の紫外線を吸収する紫外線吸収部を更に備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項7】
前記第2紫外線照射装置は、前記第2UVLEDからの紫外線を透過する材料により形成されており、前記水出口部の一部を構成する環状部を含み、
前記第2UVLEDは、前記環状部の外周面側に配置されており、
前記第2紫外線照射装置は、前記環状部の外周面において前記第2UVLEDからの紫外線の入射面以外に設けられ、前記第2UVLEDからの紫外線を反射する反射膜を更に備える、
請求項1又は2に記載の水処理システム。
【請求項8】
前記第2紫外線照射装置は、前記環状部の内周面側に配置され前記第2UVLEDからの紫外線の配光を制御するシリンドリカルレンズを更に備える、
請求項7に記載の水処理システム。
【請求項9】
前記第2紫外線照射装置は、前記水出口部内に設けられ前記第2UVLEDの紫外線照射領域よりも上流側に配置されている羽根車を更に備える、
請求項1~6のいずれか一項に記載の水処理システム。
【請求項10】
前記羽根車の回転により発電する発電機と、
前記発電機により充電され、前記第2UVLEDに電力を供給する蓄電池と、を更に備える、
請求項9に記載の水処理システム。
【請求項11】
前記水出口部は、浄水器を含み、
前記第2紫外線照射装置は、前記浄水器に設けられている、
請求項1~2、9、10のいずれか一項に記載の水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水処理システムに関し、より詳細には、水に紫外線を照射することにより殺菌を行う水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線を照射して流体を殺菌する流体殺菌装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された流体殺菌装置は、長手方向に延びる流路を構成する直管と、流路を層状状態で流れる流体に向けて上記長手方向に紫外線を照射する光源と、を備えている。光源は、紫外線を発する発光素子を有する。
【0004】
特許文献1に記載された流体殺菌装置に限らず、殺菌用の光源としてUVLED(Ultraviolet Light Emitting Diode)を用いた水処理システムでは、殺菌効果の更なる向上が望まれる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-74114号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、殺菌効果の向上を図ることが可能な水処理システムを提供することにある。
【0007】
本開示の一態様に係る水処理システムは、第1紫外線照射装置と、第2紫外線照射装置と、第1制御部と、第2制御部と、を備える。前記第1紫外線照射装置は、給水系統の水出口部よりも上流側に設けられる。前記第1紫外線照射装置は、前記給水系統を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLEDを含む。前記第2紫外線照射装置は、前記水出口部に設けられる。前記第2紫外線照射装置は、前記水出口部を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLEDを含む。前記第1制御部は、前記第1紫外線照射装置を制御する。前記第2制御部は、前記第2紫外線照射装置を制御する。前記水処理システムでは、前記第1紫外線照射装置による第1紫外線照射量と前記第2紫外線照射装置による第2紫外線照射量との合計が目標紫外線照射量以上である。前記水処理システムでは、前記第1制御部による前記第1紫外線照射装置の制御と前記第2制御部による前記第2紫外線照射装置の制御とによって前記第1紫外線照射量と前記第2紫外線照射量との合計を前記目標紫外線照射量以上とする。前記給水系統は、複数の給水菅を連結して形成された給水配管を備える。前記給水系統では、前記複数の給水管のうち1つの給水菅には、水の流入口を有する第1端と水の流出口を有する第2端との間において流路方向に交差する方向に貫通した開口部が形成されている。前記第1紫外線照射装置は、前記第1UVLEDからの紫外線を透過する透過部を含み、前記透過部が前記開口部を塞ぐように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る水処理システムの概略構成図である。
図2図2Aは、同上の水処理システムにおける第2紫外線照射装置の断面図である。図2Bは、同上の水処理システムにおける第2紫外線照射装置の要部平面図である。
図3図3は、本開示の実施形態2に係る水処理システムの概略構成図である。
図4図4Aは、本開示の実施形態3に係る水処理システムの概略構成図である。図4Bは、同上の水処理システムにおけるメッシュ部材の斜視図である。
図5図5は、本開示の実施形態4に係る水処理システムの概略構成図である。
図6図6Aは、同上の水処理システムにおける第2紫外線照射装置の要部縦断面図である。図6Bは、同上の水処理システムにおける第2紫外線照射装置の要部横断面図である。
図7図7Aは、本開示の実施形態4の変形例1に係る水処理システムにおける第2紫外線照射装置の要部縦断面図である。図7Bは、同上の水処理システムにおける第2紫外線照射装置の平面図である。
図8図8Aは、本開示の実施形態5に係る水処理システムにおける浄水器の斜視図である。図8Bは、同上の浄水器の概略構成図である。
図9図9は、同上の水処理システムにおける要部回路図である。
図10図10は、同上の水処理システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記の実施形態1~5等において説明する図1~8Bは、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(実施形態1)
(1.1)概要
以下、実施形態1に係る水処理システム100について、図1に基づいて説明する。
【0011】
水処理システム100は、紫外線を利用した水処理システムであり、UV-Cの波長域の紫外線を水に照射することにより、殺菌を行うシステムである。水処理システム100における処理対象の水は、水道水であるが、これに限らず、例えば、河川水、湖沼水、井戸水、地下水、工業用水、純水、水素水、飲料水等であってもよい。ここにおいて、飲料水は、例えば、飲料水タンクから供給される水である。
【0012】
水処理システム100は、第1紫外線照射装置1と、第2紫外線照射装置2と、を備える。第1紫外線照射装置1は、給水系統3の水出口部4よりも上流側に設けられる。第2紫外線照射装置2は、水出口部4に設けられている。
【0013】
水処理システム100では、第1紫外線照射装置1による第1紫外線照射量と第2紫外線照射装置2による第2紫外線照射量との合計が、目標紫外線照射量以上である。第1紫外線照射量及び第2紫外線照射量の各々は、紫外線が入射する面の単位面積当たりの紫外線照射エネルギ量であり、紫外線照度(μW/cm)と照射時間(sec)との積で示される。水処理システム100は、例えば、クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原生物に対する対策として使用することができる。目標紫外線照射量は、例えば、公益財団法人水道技術研究センターにおいて制定されている紫外線照射装置JWRC技術審査基準に準じて決めてあり、例えば、10mJ/cmである。
【0014】
水処理システム100は、第1紫外線照射装置1を制御する第1制御部5と、第2紫外線照射装置を制御する第2制御部6と、を更に備える。水処理システム100は、第1制御部5による第1紫外線照射装置1の制御と第2制御部6による第2紫外線照射装置2の制御とによって第1紫外線照射量と第2紫外線照射量との合計を目標紫外線照射量以上とする。
【0015】
(1.2)水処理システムの各構成要素
以下、水処理システム100の各構成要素についてより詳細に説明する。
【0016】
(1.2.1)第1紫外線照射装置
第1紫外線照射装置1は、給水系統3を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLED11を含む。
【0017】
第1紫外線照射装置1では、第1UVLED11が、UV-Cの波長域の紫外線を放射するように構成されている。ここにおいて、第1UVLED11は、210nm~280nmの波長域の紫外線を放射するように構成されているのが好ましい。第1紫外線照射装置1では、殺菌効果を高める観点から、第1UVLED11の発光ピーク波長が、260nm~285nmの波長域にあるのが、より好ましい。これにより、第1UVLED11は、ウイルスや細菌のDNAに吸収されやすい260nm~285nm帯の紫外線を放射させることができ、効率良く殺菌することが可能となる。なお、JIS Z8811-1968では、「殺菌紫外線」は、紫外線のうち波長260nm付近に最大殺菌効果を有する殺菌効果曲線の示す波長領域内のものと規定されている。
【0018】
第1紫外線照射装置1は、第1UVLED11を複数備えている。第1紫外線照射装置1は、複数の第1UVLED11が実装されている第1基板12を備えている。第1基板12は、例えば、プリント配線基板である。第1基板12は、第1主面121及び第2主面122を有している。第1主面121及び第2主面122は、第1基板12の厚さ方向に交差し、第1基板12の厚さ方向において互いに離れている。複数の第1UVLED11は、第1基板12の第1主面121側において第1基板12に実装されている。複数の第1UVLED11は、例えば、マトリクス状に配列されている。
【0019】
第1紫外線照射装置1は、複数の第1UVLED11からの紫外線を透過する透過部13(以下、第1透過部13ともいう)を含む。第1透過部13は、給水系統3の一部を兼ねる。第1透過部13は、給水系統3の第1開口部35を塞ぐように配置されている。ここにおいて、給水系統3は、複数の給水管30を連結して形成された給水配管300を備えている。給水系統3は、複数の給水管30のうち流路方向において並ぶ2つの給水管30どうしが連結され、互いに流路どうしがつながっている。給水系統3では、複数の給水管30のうち1つの給水管30(301)に第1開口部35が形成されている。複数の給水管30のうち第1開口部35が形成されている給水管30(301)は、水の流入口31を有する第1端311と水の流出口32を有する第2端312との間において第1開口部35が形成されている。複数の給水管30の各々の材料は、例えば、ステンレス鋼である。
【0020】
第1透過部13は、第1UVLED11の発光ピーク波長の紫外線(UV-Cの波長域の紫外線)に対して透光性を有する。ここにおいて、「透光性を有する」とは、第1UVLED11の発光ピーク波長の紫外線(UV-Cの波長域の紫外線)に対する透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であることを意味する。第1透過部13の材料は、例えば、石英、合成石英、サファイア、主骨格がC-F結合からなり第1UVLED11の発光ピーク波長の紫外線に対する透過率が90%以上であるフッ素系樹脂(例えば、アモルファスフッ素樹脂)等である。また、第1透過部13の材料は、UV-Cの波長域の紫外線を透過する硼珪酸ガラスであってもよい。この種の硼珪酸ガラスとしては、例えば、SCHOTT社製のSCHOTT 8337B、SCHOTT社製のSCHOTT 8347等を採用することができる。
【0021】
第1透過部13は、板状であり、複数の第1UVLED11からの紫外線が入射する入射面131と、入射面131に入射した紫外線が出射する出射面132と、を有する。第1紫外線照射装置1では、第1透過部13の出射面132が、給水系統3を流れる水に接する。
【0022】
第1紫外線照射装置1は、第1カバー14を備えている。第1カバー14は、複数の第1UVLED11を挟んで第1基板12に対向し、複数の第1UVLED11を保護する。第1カバー14の材料は、例えば、石英、合成石英、サファイア、アモルファスフッ素樹脂等である。また、第1カバー14の材料は、UV-Cの波長域の紫外線を透過する硼珪酸ガラスであってもよい。この種の硼珪酸ガラスとしては、例えば、SCHOTT社製のSCHOTT 8337B、SCHOTT社製のSCHOTT 8347等を採用することができる。
【0023】
第1紫外線照射装置1は、第1カバー14を必ずしも備えている必要はない。ここにおいて、第1紫外線照射装置1では、複数の第1UVLED11が、給水系統3の外側において第1紫外線照射装置1の第1透過部13に接していてもよい。この場合、第1紫外線照射装置1では、第1基板12に実装されている複数の第1UVLED11が、第1透過部13に接していればよい。また、第1紫外線照射装置1は、第1カバー14と第1透過部13との間に、第1UVLED11からの紫外線を透過する接着剤からなる第1接着層を含んでいてもよい。いずれにしても、第1紫外線照射装置1では、複数の第1UVLED11と第1透過部13とが空間を介さずに熱結合されていればよい。
【0024】
第1紫外線照射装置1では、複数の第1UVLED11が直列接続されているが、並列接続されていてもよいし、直並列接続されていてもよい。第1紫外線照射装置1は、複数の第1UVLED11を駆動する第1駆動回路を更に備える。第1駆動回路は、例えば、第1電源部から複数の第1UVLED11への給電路に設けられた半導体スイッチング素子を含む。第1駆動回路は、第1制御部5によって制御される。これにより、第1紫外線照射装置1は、第1制御部5によって制御される。第1電源部は、蓄電池であるが、これに限らず、例えば、外部の交流電源から供給される交流電圧を所定の直流電圧に変換するAC-DCコンバータ等の電源回路でもよい。また、第1電源部は、非接触給電方式により給電されてもよい。非接触給電方式により給電する場合、第1紫外線照射装置1は、非接触給電のための第1受電コイルを備える。ここにおいて、第1受電コイルは、第1給電装置の第1給電コイルに電磁結合されて、第1給電コイルから電磁誘導により電力を受けるように構成される。第1電源部は、第1受電コイルで受電した電力を所定の電力に変換する機能を有する。第1紫外線照射装置1は、第1ケースを備えていてもよい。第1ケースは、一面に開口を有する箱状であって、複数の第1UVLED11、第1基板12、第1制御部5、第1電源部等を収容する。第1紫外線照射装置1が第1ケースを備える場合、第1ケースの開口は、例えば、第1カバー14により塞がれる。
【0025】
(1.2.2)第2紫外線照射装置
第2紫外線照射装置2は、水出口部4を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLED21を含む。
【0026】
第2紫外線照射装置2では、第2UVLED21が、UV-Cの波長域の紫外線を放射するように構成されている。ここにおいて、第2UVLED21は、210nm~280nmの波長域の紫外線を放射するように構成されているのが好ましい。第2紫外線照射装置2では、殺菌効果を高める観点から、第2UVLED21の発光ピーク波長が、260nm~285nmの波長域にあるのが、より好ましい。これにより、第2UVLED21は、ウイルスや細菌のDNAに吸収されやすい260nm~285nm帯の紫外線を放射させることができ、効率良く殺菌することが可能となる。第2UVLED21の発光ピーク波長は、第1UVLED11の発光ピーク波長と同じであるが、これに限らず、第1UVLED11の発光ピーク波長と異なっていてもよい。
【0027】
第2紫外線照射装置2は、第2UVLED21を複数備えている。第2紫外線照射装置2は、複数の第2UVLED21が実装されている第2基板22を備えている。第2基板22は、例えば、プリント配線基板である。第2基板22は、第1主面221及び第2主面222を有している。第1主面221及び第2主面222は、第2基板22の厚さ方向に交差し、第2基板22の厚さ方向において互いに離れている。複数の第2UVLED21は、第2基板22の第1主面221側において第2基板22に実装されている。複数の第2UVLED21は、例えば、マトリクス状に配列されている。
【0028】
第2紫外線照射装置2は、水出口部4の一部を構成し、複数の第2UVLED21からの紫外線を透過する透過部23(以下、第2透過部23ともいう)を含む。第2透過部23は、水出口部4の第2開口部45を塞ぐように配置されている。水出口部4は、給水配管300の末端の給水管30(302)を含んでいる。末端の給水管30(302)は、曲がっている。より詳細には、末端の給水管30(302)は、L字状である。末端の給水管30(302)は、水の流入口31を有する第1端311と水の流出口32を有する第2端312との間において第2開口部45が形成されている。水出口部4は、末端の給水管30(302)に取り付けられる給水栓を備えていてもよい。
【0029】
第2透過部23は、第2UVLED21の発光ピーク波長の紫外線(UV-Cの波長域の紫外線)に対して透光性を有する。ここにおいて、「透光性を有する」とは、第2UVLED21の発光ピーク波長の紫外線(UV-Cの波長域の紫外線)に対する透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であることを意味する。第2透過部23の材料は、例えば、石英、合成石英、サファイア、アモルファスフッ素樹脂等である。また、第2透過部23の材料は、UV-Cの波長域の紫外線を透過する硼珪酸ガラスであってもよい。この種の硼珪酸ガラスとしては、例えば、SCHOTT社製のSCHOTT 8337B、SCHOTT社製のSCHOTT 8347等を採用することができる。
【0030】
第2透過部23は、板状であり、複数の第2UVLED21からの紫外線が入射する入射面231と、入射面231に入射した紫外線が出射する出射面232と、を有する。第2紫外線照射装置2では、第2透過部23の出射面232が、水出口部4を流れる水に接する。
【0031】
第2紫外線照射装置2は、第2カバー24を備えている。第2カバー24は、複数の第2UVLED21を挟んで第2基板22に対向し、複数の第2UVLED21を保護する。第2カバー24の材料は、例えば、石英、合成石英、サファイア、アモルファスフッ素樹脂等である。また、第2カバー24の材料は、UV-Cの波長域の紫外線を透過する硼珪酸ガラスであってもよい。この種の硼珪酸ガラスとしては、例えば、SCHOTT社製のSCHOTT 8337B、SCHOTT社製のSCHOTT 8347等を採用することができる。
【0032】
第2紫外線照射装置2は、第2カバー24を必ずしも備えている必要はない。ここにおいて、第2紫外線照射装置2では、複数の第2UVLED21が、水出口部4の外側において第2紫外線照射装置2の第2透過部23に接していてもよい。この場合、第2紫外線照射装置2では、第2基板22に実装されている複数の第2UVLED21が、第2透過部23に接していればよい。また、第2紫外線照射装置2は、第2カバー24と第2透過部23との間に、第2UVLED21からの紫外線を透過する接着剤からなる第2接着層を含んでいてもよい。いずれにしても、第2紫外線照射装置2では、複数の第2UVLED21と第2透過部23とが空間を介さずに熱結合されていればよい。
【0033】
第2紫外線照射装置2では、複数の第2UVLED21が直列接続されているが、並列接続されていてもよいし、直並列接続されていてもよい。第2紫外線照射装置2は、複数の第2UVLED21を駆動する第2駆動回路を更に備える。第2駆動回路は、例えば、第2電源部から複数の第2UVLED21への給電路に設けられた半導体スイッチング素子を含む。第2駆動回路は、第2制御部6によって制御される。これにより、第2紫外線照射装置2は、第2制御部6によって制御される。第2電源部は、蓄電池であるが、これに限らず、例えば、外部の交流電源から供給される交流電圧を所定の直流電圧に変換するAC-DCコンバータ等の電源回路でもよい。また、第2電源部は、非接触給電方式により給電されてもよい。非接触給電方式により給電する場合、第2紫外線照射装置2は、例えば、非接触給電のための第2受電コイルを備える。ここにおいて、第2受電コイルは、第2給電装置の第2給電コイルに電磁結合されて、第2給電コイルから電磁誘導により電力を受けるように構成される。第2電源部は、第2受電コイルで受電した電力を所定の電力に変換する機能を有する。第2紫外線照射装置2は、第2ケースを備えていてもよい。第2ケースは、一面に開口を有する箱状であって、複数の第2UVLED21、第2基板22、第2制御部6、第2電源部等を収容する。第2紫外線照射装置2が第2ケースを備える場合、第2ケースの開口は、例えば、第2カバー24により塞がれる。
【0034】
(1.2.3)第1制御部
第1制御部5は、第1紫外線照射装置1の第1駆動回路を制御する。第1制御部5は、第1駆動回路の半導体スイッチング素子をオンオフ制御する。第1制御部5は、例えば、半導体スイッチ素子をオン制御することにより、第1電源部から複数の第1UVLED11に電力を供給させ複数の第1UVLED11から紫外線を放射させるように第1紫外線照射装置1を制御することができる。また、第1制御部5は、半導体スイッチ素子をオフ制御することにより、第1電源部から複数の第1UVLED11への電力の供給を停止させて複数の第1UVLED11から紫外線を放射させないように第1紫外線照射装置1を制御することができる。
【0035】
また、第1制御部5は、例えば半導体スイッチング素子をPWM制御することによって、複数の第1UVLED11に流れる電流の単位時間当たりの平均値を調整してもよい。これにより、第1制御部5は、第1紫外線照射装置1の第1紫外線照射量を調整することができる。
【0036】
また、第1制御部5は、複数の第1UVLED11が間欠駆動されるように第1駆動回路を制御してもよい。また、第1制御部5は、予め決められたタイムスケジュールにしたがって複数の第1UVLED11が駆動されるように第1駆動回路を制御してもよい。また、第1制御部5は、ユーザ等により操作される第1操作部からの入力を受けつけて第1駆動回路を制御してもよい。また、第1制御部5は、例えば、給水系統3に設けられたポンプ、流量センサ、水圧センサ、バルブ、第1紫外線照射装置1、第2紫外線照射装置2、第2制御部6、第1駆動回路、第2駆動回路、第1電源部及び第2電源部等の動作に関する情報に基づいて第1駆動回路を制御してもよい。ここにおいて、第1制御部5は、有線通信により情報を取得してもよいし、無線通信により情報を取得してもよい。水処理システム100は、第1制御部5が無線通信を行う場合に、第1制御部5とは別に無線通信用の第1通信部を備えていてもよい。
【0037】
第1制御部5は、例えば、マイクロコントローラ(Microcontroller)を含む。マイクロコントローラは、プログラムに従って動作するプロセッサと、プロセッサを動作させるプログラムを格納するためのメモリ及び作業用のメモリと、を備えた1チップのデバイスとして構成される。第1制御部5は、マイクロコントローラにプログラムを実行させることにより、実現することができる。
【0038】
本開示における第1制御部5の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における第1制御部5としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0039】
第1制御部5は、第1紫外線照射装置1の第1基板12の第2主面122側において第1基板12に実装されている。なお、第1制御部5は、ハイブリッドICでもよい。
【0040】
(1.2.4)第2制御部
第2制御部6は、第2駆動回路を制御する。第2制御部6が半導体スイッチング素子をPWM制御することによって、複数の第2UVLED21に流れる電流の単位時間当たりの平均値を調整することができ、第2紫外線照射装置2の第2紫外線照射量を調整してもよい。これにより、第2制御部6は、第2紫外線照射装置2の第2紫外線照射量を調整することができる。
【0041】
また、第2制御部6は、複数の第2UVLED21が間欠駆動されるように第2駆動回路を制御してもよい。また、第2制御部6は、予め決められたタイムスケジュールにしたがって複数の第2UVLED21が駆動されるように第2駆動回路を制御してもよい。また、第2制御部6は、ユーザ等により操作される第2操作部からの入力を受けつけて第2駆動回路を制御してもよい。また、第2制御部6は、例えば、給水系統3に設けられたポンプ、流量センサ、水圧センサ、バルブ、第1紫外線照射装置1、第2紫外線照射装置2、第1制御部5、第1駆動回路、第2駆動回路、第1電源部及び第2電源部等の動作に関する情報に基づいて第2駆動回路を制御してもよい。ここにおいて、第2制御部6は、有線通信により情報を取得してもよいし、無線通信により情報を取得してもよい。水処理システム100は、第2制御部6が無線通信を行う場合に、第2制御部6とは別に無線通信用の第2通信部を備えていてもよい。
【0042】
本開示における第2制御部6の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における第2制御部6としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI、又はULSIと呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0043】
第2制御部6は、第2紫外線照射装置2の第2基板22の第2主面222側において第2基板22に実装されている。なお、第2制御部6は、ハイブリッドICでもよい。
【0044】
(1.2.5)水処理システムの他の構成要素
水処理システム100は、上述の第1通信部と、第2通信部と、を備えていてもよい。第1通信部は、例えば、第1基板12の第2主面122上に配置される。第2通信部は、例えば、第2基板22の第2主面222上に配置される。水処理システム100では、例えば、第1通信部と第2通信部との間で第1制御部5による第1紫外線照射装置1の制御情報と第2制御部6による第2紫外線照射装置2の制御情報とを通信することができる。第1通信部と第2通信部との間の通信は、例えば、無線通信であるが、これに限らず、有線通信でもよい。
【0045】
(1.3)効果
実施形態1に係る水処理システム100は、第1紫外線照射装置1と、第2紫外線照射装置2と、を備える。第1紫外線照射装置1は、給水系統3の水出口部4よりも上流側に設けられる。第1紫外線照射装置1は、給水系統3を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLED11を含む。第2紫外線照射装置2は、水出口部4に設けられている。第2紫外線照射装置2は、水出口部4を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLED21を含む。
【0046】
これにより、実施形態1に係る水処理システム100では、殺菌効果の向上を図ることが可能となる。ここにおいて、実施形態1に係る水処理システム100では、水出口部4に設ける紫外線照射装置(第2紫外線照射装置2)の大型化を抑制しつつ殺菌効果の向上を図ることができる。また、実施形態1に係る水処理システム100では、第1紫外線照射装置1により殺菌された水が何等かの理由で有害菌に接触して殺菌効果が弱まった場合でも、水出口部4を通る水を第2紫外線照射装置2により殺菌できるので、殺菌効果の向上を図ることが可能となる。
【0047】
また、実施形態1に係る水処理システム100は、第1UVLED11が給水系統3の外側において第1紫外線照射装置1の第1カバー14に接し、第1カバー14が第1透過部13に接している。これにより、実施形態1に係る水処理システム100では、第1UVLED11で発生した熱が水に接する第1透過部13を通して放熱されるので、第1UVLED11で発生した熱を効率良く放熱させることが可能となる。また、実施形態1に係る水処理システム100では、第1UVLED11が給水系統3の外側において第1透過部13に接するようにすれば、第1UVLED11で発生した熱を更に効率良く放熱させることが可能となる。第1紫外線照射装置1の放熱性を向上させる観点からは、第1基板12を構成するプリント配線基板として金属ベースプリント配線基板を採用するのが好ましい。
【0048】
また、実施形態1に係る水処理システム100は、第2UVLED21が水出口部4の外側において第2紫外線照射装置2の第2カバー24に接し、第2カバー24が第2透過部23に接している。これにより、実施形態1に係る水処理システム100では、第2UVLED21で発生した熱が水に接する第2透過部23を通して放熱されるので、第2UVLED21で発生した熱を効率良く放熱させることが可能となる。また、実施形態1に係る水処理システム100では、第2UVLED21が水出口部4の外側において第2透過部23に接するようにすれば、第2UVLED21で発生した熱を更に効率良く放熱させることが可能となる。第2紫外線照射装置2の放熱性を向上させる観点からは、第2基板22を構成するプリント配線基板として金属ベースプリント配線基板を採用するのが好ましい。
【0049】
第1紫外線照射装置1及び第2紫外線照射装置2は、給水系統3に着脱可能に構成されていてもよい。これにより、第1紫外線照射装置1及び第2紫外線照射装置2それぞれを、交換可能となる。また、第1紫外線照射装置1が、給水管301を含んでいてもよい。この場合、第1紫外線照射装置1は、給水管301のフランジ等を利用して他の給水管30と連結することができる。また、第2紫外線照射装置2が、給水管302を含んでいてもよい。この場合、第2紫外線照射装置2は、給水管302のフランジ等を利用して他の給水管30と連結することができる。
【0050】
(実施形態1の変形例)
実施形態1の変形例に係る水処理システム100aについて、図2A及び2Bに基づいて説明する。
【0051】
変形例に係る水処理システム100aは、実施形態1に係る水処理システム100の第2紫外線照射装置2の代わりに第2紫外線照射装置2aを備える点で、実施形態1に係る水処理システム100と相違する。変形例に係る水処理システム100aでは、第2紫外線照射装置2a以外の構成は実施形態1に係る水処理システム100と同じなので、図示及び説明を省略する。
【0052】
第2紫外線照射装置2aでは、図2Bに示すように、第2基板22の外周形状が円形状である。第2紫外線照射装置2aでは、第2基板22の第1主面221上の複数の第2UVLED21の配置密度が、中央部において周辺部よりも高くなっている。ここにおいて、第2紫外線照射装置2aでは、複数の第2UVLED21を同心円上に配列してある。一例として、第2紫外線照射装置2aでは、2つの仮想円のうち、相対的に内側に位置する仮想円上に4つの第2UVLED21を等間隔で配列し、相対的に外側に位置する仮想円上に4つの第2UVLED21を等間隔で配列してある。
【0053】
また、第2紫外線照射装置2aは、実施形態1に係る水処理システム100における第2紫外線照射装置2の第2カバー24を備えておらず、第2UVLED21が第2基板22の厚さ方向において第2透過部23から離れている。
【0054】
第2紫外線照射装置2aは、複数の第2UVLED21が上述のように配置されていることにより、第2基板22の中央部の投影領域における紫外線照射量を第2基板22の周辺部の投影領域における紫外線照射量よりも多くすることができる。第2紫外線照射装置2aは、第2基板22の厚さ方向に沿った中心軸が末端の給水管30の中心軸と揃うように配置されている。給水系統3では、流路の中心領域での流速が流路の周辺領域(給水管30の内面付近)での流速よりも速くなる傾向にある。これに対して、第2紫外線照射装置2aは、複数の第2UVLED21が上述のように配置されていることにより、相対的に流速の速い水に対する紫外線照射量を相対的に流速の遅い水に対する紫外線照射量よりも多くすることができ、より均一な殺菌効果を得ることが可能となる。
【0055】
なお、変形例に係る水処理システム100aでは、第2紫外線照射装置2aが、実施形態1に係る水処理システム100における第2紫外線照射装置2の第2カバー24を備えていないが第2カバー24を備えていてもよい。また、変形例に係る水処理システム100aでは、実施形態1に係る水処理システム100における第1紫外線照射装置1を備えているが、第1紫外線照射装置1が、第1カバー14を備えていない構成であり、複数の第1UVLED11と第1透過部13とが離れていてもよいし、複数の第1UVLED11と第1透過部13とが接していてもよい。
【0056】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る水処理システム100bについて、図3に基づいて説明する。
【0057】
実施形態2に係る水処理システム100bは、実施形態1に係る水処理システム100と略同じであり、紫外線吸収部7を更に備える点で、実施形態1に係る水処理システム100と相違する。実施形態2に係る水処理システム100bに関し、実施形態1に係る水処理システム100と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
また、実施形態2に係る水処理システム100bは、第1紫外線照射装置1bが、実施形態1に係る水処理システム100の第1紫外線照射装置1における第1カバー14を備えていない。ここにおいて、第1紫外線照射装置1bでは、複数の第1UVLED11と第1透過部13とが離れている。
【0059】
また、実施形態2に係る水処理システム100bは、第2紫外線照射装置2bが、実施形態1に係る水処理システム100の第2紫外線照射装置2における第2カバー24を備えていない。ここにおいて、第2紫外線照射装置2bでは、複数の第2UVLED21と第2透過部23とが離れている。
【0060】
紫外線吸収部7は、第2紫外線照射装置2bの第2UVLED21と水出口部4の出口42との間に設けられている。より詳細には、紫外線吸収部7は、給水系統3の末端の給水管30の中心軸に沿った方向において、第2開口部45と給水管30の第2端312(水出口部4の出口42)との間に設けられている。ここにおいて、紫外線吸収部7は、末端の給水管30の第1端311と第2端312とのうち第2端312側において、給水管30の内面の全周にわたって設けられている。紫外線吸収部7は、円筒状である。紫外線吸収部7は、第2UVLED21から放射されるUV-Cの波長域の紫外線を吸収する。紫外線吸収部7は、給水管30よりも、第2UVLED21から放射されるUV-Cの波長域の紫外線に対する吸収率の高い材料により形成されている。給水管30の材料は、例えば、ステンレス鋼である。また、紫外線吸収部7の材料は、例えば、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス等である。
【0061】
実施形態2に係る水処理システム100bは、紫外線吸収部7を備えていることにより、第2紫外線照射装置2の第2UVLED21から放射された紫外線が水出口部4の出口42から外部へ漏れるのを抑制することができる。紫外線吸収部7は、水出口部4に対して着脱可能であってもよい。紫外線吸収部7は、円筒状であるが、これに限らず、例えば、半円筒状でもよいし、断面C字状であってもよいし、それら以外の形状であってもよい。また、実施形態2に係る水処理システム100bでは、複数の紫外線吸収部7が並んでいてもよい。
【0062】
実施形態2に係る水処理システム100bの変形例では、末端の給水管30の全体が、他の給水管30と比べて第2UVLED21から放射されるUV-Cの波長域の紫外線に対する吸収率の高い材料により形成されていてもよい。
【0063】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る水処理システム100cについて、図4A及び4Bに基づいて説明する。
【0064】
実施形態3に係る水処理システム100cは、実施形態1に係る水処理システム100と略同じであり、メッシュ部材8を更に備える点で、実施形態1に係る水処理システム100と相違する。実施形態3に係る水処理システム100cに関し、実施形態1に係る水処理システム100と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
また、実施形態3に係る水処理システム100cは、実施形態1に係る水処理システム100の第2紫外線照射装置2の代わりに第2紫外線照射装置2cを備える。
【0066】
また、第2紫外線照射装置2cは、実施形態1に係る水処理システム100における第2紫外線照射装置2の第2カバー24を備えていない。第2紫外線照射装置2cでは、第2UVLED21が第2基板22の厚さ方向において第2透過部23から離れている。
【0067】
メッシュ部材8は、水出口部4の外側において第2UVLED21と第2透過部23との間に配置されている。メッシュ部材8は、第2UVLED21からの紫外線の指向性を強める。メッシュ部材8の材料は、ステンレス鋼よりもUV-Cの波長域の紫外線に対する反射率が高い材料が好ましく、例えば、アルミニウム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を採用することができる。
【0068】
メッシュ部材8は、枠部81と、枠部81の内側に配置されているメッシュ部82と、を含む。枠部81の外周形状は、円形状であるが、これに限らず、例えば、多角形状であってもよい。メッシュ部82は、正方格子状に形成されている。つまり、メッシュ部82の複数の開口83のうち枠部81から離れている各開口83は、正方形状である。メッシュ部82の形状は、正方格子状に限らず、例えば、三角格子状であってもよいし、六角格子状であってもよい。
【0069】
メッシュ部材8では、第2UVLED21から放射されて開口83の内面に入射した紫外線を第2透過部23へ向けて反射させることができる。第2UVLED21から放射される紫外線の光路としては、開口83の内面に入射して反射され第2透過部23へ到達する光路だけでなく、開口83の内面に入射されずに第2透過部23へ到達する光路もある。
【0070】
実施形態3に係る水処理システム100cは、上述のように、水出口部4の外側において複数の第2UVLED21と第2透過部23との間に配置されており複数の第2UVLED21からの紫外線の指向性を強めるメッシュ部材8を備える。これにより、実施形態3に係る水処理システム100cは、レンズ等の複雑な光学系を用いることなく、第2紫外線照射装置2cからの紫外線が水出口部4の内面に入射するのを抑制でき、殺菌効果を更に向上させることが可能となる。
【0071】
実施形態3に係る水処理システム100cは、実施形態2に係る水処理システム100bの紫外線吸収部7を備えていてもよい。また、第1紫外線照射装置1(図1参照)が第1カバー14の代わりにメッシュ部材8を備えていてもよい。
【0072】
(実施形態4)
以下、実施形態4に係る水処理システム100dについて、図5、6A及び6Bに基づいて説明する。なお、実施形態4に係る水処理システム100dに関し、実施形態1に係る水処理システム100と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
実施形態4に係る水処理システム100dを適用する給水系統3dは、図5に示すように、浄水器330と、第1ホース351と、第2ホース352と、水栓装置340と、を含む。浄水器330は、台所用のシンク1002の下方に配置されるアンダーシンク型の浄水器である。第1ホース351は、浄水器330の流入口側に接続されており、浄水器330よりも上流側から浄水器330に向かう水が流れる。第2ホース352は、浄水器330の流出口側に接続されており、浄水器330を通った水が流れる。水栓装置340は、第2ホース352を介して浄水器330に接続されている。水栓装置340は、浄水器330からの水の吐水と止水とを行う。
【0074】
実施形態4に係る水処理システム100dは、水出口部4dが、シンク1002を囲むカウンタ1001に配置される。水出口部4dは、給水系統3dの末端に設けられた水栓装置340により構成されている。水栓装置340は、吐水用の管であるスパウト341と、開閉弁342と、電波センサ343と、を備える。開閉弁342は、スパウト341の上流側に配置されている。開閉弁342は、電波センサ343から出力される制御信号によって開状態と閉状態とが切り替わる。開閉弁342は、例えば、電磁弁である。
【0075】
水栓装置340は、スパウト341に膨出部3411が設けられており、膨出部3411内に電波センサ343が配置されている。
【0076】
水栓装置340は、第2ホース352に接続されてスパウト341内に配置されているホースを備えている。水栓装置340は、スパウト341内のホースとスパウト341との間に隙間があり、電波センサ343と開閉弁342とを接続する電線、電波センサ343への給電用の電線等が、スパウト341とホースとの間の隙間に配置されている。
【0077】
水栓装置340は、電波センサ343から開閉弁342に制御信号が与えられることによって、吐水と止水とが切り替わる。ここにおいて、電波センサ343は、電波センサ343の検知エリア内において移動する物体が存在するときに開閉弁342を開状態にする制御信号を開閉弁342に与える。また、電波センサ343は、検知エリア内において移動する物体が存在しないときに開閉弁342を閉状態にする制御信号を開閉弁342に与える。よって、水栓装置340は、吐水と止水とを自動的に行うことが可能になる。物体は、例えば、手、食器、調理器具、野菜、果物等である。電波センサの検知エリアは、例えば、水栓装置340の吐水口の下方に設定されている。
【0078】
実施形態4に係る水処理システム100dは、第1紫外線照射装置1dと、第2紫外線照射装置2dと、を備える。第1紫外線照射装置1dは、給水系統3dの水出口部4dよりも上流側に設けられる。第1紫外線照射装置1dは、給水系統3dを通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLED11を含む。第2紫外線照射装置2dは、水出口部4dに設けられている。第2紫外線照射装置2dは、水出口部4dを通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLED21を含む。
【0079】
第2紫外線照射装置2dは、図6A及び6Bに示すように、水出口部4dの一部を構成する環状部26を含む。環状部26は、円環状である。水出口部4dでは、給水系統3からの水が環状部26の内側を通る。図6Aでは、環状部26の内側を通る水を二点鎖線で模式的に図示してある。環状部26は、第2UVLED21からの紫外線を透過する材料により形成されている。環状部26の材料は、例えば、合成石英、石英、アモルファスフッ素系樹脂等である。
【0080】
第2UVLED21は、環状部26の外周面262側に配置されている。ここでは、第2UVLED21は、環状部26の外周面262において環状部26の軸方向の中央に形成された凹部263に収容されている。第2UVLED21は、第2UVLED21の光軸が環状部26の一径方向に沿うように配置されている。
【0081】
第2紫外線照射装置2dは、環状部26の外周面262において第2UVLED21からの紫外線の入射面以外に設けられ、第2UVLED21からの紫外線を反射する反射膜27を更に備える。反射膜27の材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等である。環状部26の内周面261は、第2UVLED21の発光ピーク波長をλとするとき、λ/4以上λ以下の高低差を有する凹凸形状を有している。これにより、第2紫外線照射装置2dでは、第2UVLED21から放射された光が内周面261と水との界面で全反射されるのを、より抑制することが可能となり、紫外線をより効率的に水に照射することが可能となる。よって、第2紫外線照射装置2dでは、殺菌効果を向上させることが可能となる。
【0082】
水処理システム100dでは、第2UVLED21の光出力が70mWであり、環状部26の内側を通る水の流量が1L/min(0.017L/sec)となるように環状部26の寸法を決めてある。環状部26では、例えば、流路の長さL2(図6A参照)が34mmであり、流路の直径φ2(図6A参照)が25mmである。これにより、第2紫外線照射装置2dでは、1つの第2UVLED21により、1秒間に0.017Lの水に対して紫外線を照射することができる。また、第2紫外線照射装置2dでは、環状部26により形成される流路の中央を通る水に対する紫外線照射量を10mJ/cmとすることができる。要するに、第2紫外線照射装置2dは、より少ない数の第2UVLED21により、所望の殺菌効果を得ることが可能となる。
【0083】
以上説明した実施形態4に係る水処理システム100dは、第1紫外線照射装置1dと、第2紫外線照射装置2dと、を備える。第1紫外線照射装置1dは、給水系統3の水出口部4dよりも上流側に設けられる。第1紫外線照射装置1dは、給水系統3を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLED11を含む。第2紫外線照射装置2dは、水出口部4dに設けられている。第2紫外線照射装置2dは、水出口部4dを通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLED21を含む。
【0084】
これにより、実施形態4に係る水処理システム100dでは、殺菌効果の向上を図ることが可能となる。ここにおいて、実施形態4に係る水処理システム100dでは、水出口部4dに設ける紫外線照射装置(第2紫外線照射装置2d)の大型化を抑制しつつ殺菌効果の向上を図ることができる。また、実施形態4に係る水処理システム100dでは、第1紫外線照射装置1dにより殺菌された水が何等かの理由で有害菌に接触して殺菌効果が弱まった場合でも、水出口部4dを通る水を第2紫外線照射装置2dにより殺菌できるので、殺菌効果の向上を図ることが可能となる。
【0085】
水処理システム100dは、電波センサ343を備えることは必須ではない。ここにおいて、水処理システム100dでは、第2紫外線照射装置2dは、スパウト341に取り付けられる場合に限らず、蛇口に取り付けられてもよい。
【0086】
また、水処理システム100dの変形例では、第2紫外線照射装置2dの代わりに、図7A及び7Bに示す第2紫外線照射装置2eを備えていてもよい。
【0087】
第2紫外線照射装置2eは、第2紫外線照射装置2dと略同じ構成であり、シリンドリカルレンズ28を更に備えている点で、第2紫外線照射装置2dと相違する。シリンドリカルレンズ28は、環状部26の内周面261側に配置され第2UVLED21からの紫外線の配光を制御する。これにより、第2紫外線照射装置2eは、環状部26を通る水に対して、より高い照度の紫外線を照射することが可能となる。
【0088】
第2紫外線照射装置2eでは、シリンドリカルレンズ28が、環状部26の内周面261の全周にわたって設けられているが、これに限らず、少なくとも環状部26の一径方向において第2UVLED21と重なる位置に設けられていればよい。また、第2紫外線照射装置2eは、シリンドリカルレンズ28が環状部26の内周面261の全周にわたって設けられている場合、1つの第2UVLED21が配置された構成に限らず、複数の第2UVLED21が環状部26の内周面261の周方向に沿った方向において並んでいてもよい。また、第2紫外線照射装置2eは、シリンドリカルレンズ28よりも上流側において環状部26の内周面261から内方へ突出したオリフィス、突起等を含んでいてもよい。これにより、第2紫外線照射装置2eでは、シリンドリカルレンズ28にかかる水圧を低減することが可能となる。
【0089】
(実施形態5)
以下、実施形態5に係る水処理システム100fについて、図8A、8B、9及び10に基づいて説明する。なお、実施形態5に係る水処理システム100fに関し、実施形態1に係る水処理システム100と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
実施形態5に係る水処理システム100fでは、給水系統3fの水出口部4fは、浄水器430を含む。水処理システム100fでは、第2紫外線照射装置2fは、浄水器430に設けられている。
【0091】
浄水器430は、浄水器本体431と、カートリッジ432と、切換レバー433と、を備える。浄水器本体431は、原水吐出口4311を有する。カートリッジ432は、浄水吐出口4321を有する。
【0092】
カートリッジ432は、ろ過部4322を有している。ろ過部4322は、カートリッジハウジング内に収容されている。ろ過部4322は、中空糸を含んでいる。中空糸は、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等の高分子樹脂で形成されている。なお、浄水器430における浄水方式は、ろ過方式に限らず、例えば、活性炭式、イオン交換樹脂式、蒸留式又は逆浸透圧式等であってもよい。
【0093】
切換レバー433は、原水吐出口4311から水を出すための第1位置と、浄水吐出口4321から水(浄水)を出すための第2位置と、の間で回転可能である。
【0094】
第2紫外線照射装置2fは、第2UVLED21と、第2UVLED21が実装されている第2基板22と、第2透過部23と、を備える。第2紫外線照射装置2fでは、第2UVLED21の数が1つであるが、これに限らず、複数であってもよい。
【0095】
第2紫外線照射装置2fは、羽根車101を更に備えている。羽根車101は、水出口部4f内において第2紫外線照射装置2fの紫外線照射領域よりも上流側に配置されている。羽根車101は、その回転中心軸が羽根車101の配置される流路40の中心軸と揃うように配置されている。
【0096】
浄水器430では、ろ過部4322から流入した水により羽根車101が回転する。これにより、浄水器430では、ろ過部4322から流路40内に流入した水を羽根車101で撹拌させながら、流路40の下流側に流すことができる。これにより、第2紫外線照射装置2fでは、水出口部4f内において羽根車101により撹拌された水に対して第2UVLED21からの紫外線が照射される。
【0097】
実施形態5に係る水処理システム100fは、発電機102と、蓄電池9(図9参照)と、を更に備える。羽根車101は、発電機102に連結されている。発電機102は、羽根車101の回転により発電する。蓄電池9は、発電機102により充電され、第2UVLED21に電力を供給する。水処理システム100fでは、羽根車101と発電機102とで水力発電部10を構成している。水処理システム100fは、図9に示すように、水力発電部10と蓄電池9との間にダイオードD1が設けられている。また、水処理システム100fは、第2駆動回路として蓄電池9から第2UVLED21への給電路に設けられたスイッチSW1を備えている。水処理システム100fは、蓄電池9の電流を検出する電流センサ47を備えている。また、水処理システム100fは、水出口部4内の水流を検出する水流センサ48を備えている。第2制御部6は、電流センサ47の出力及び水流センサ48の出力に基づいてスイッチ(半導体スイッチング素子)SW1を制御する。スイッチSW1は、例えば、MOSFETであるが、これに限らず、バイポーラトランジスタ等であってもよい。
【0098】
以下、水処理システム100fの動作について図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0099】
例えば、水処理システム100fにおいて、水出口部4内に水流が発生したとする(ステップS1)。すると、水処理システム100fでは、水力発電部10による発電が行われ、蓄電池9の充電が開始される(ステップS2)。
【0100】
その後、水流センサ48により水流が検出され、かつ、電流センサ47により電流(電池出力)が検出されると(ステップS3)、第2制御部6がスイッチSW1をオンさせる(ステップS4)。
【0101】
その後、水処理システム100fにおいて、水出口部4内の水流が停止したとする(ステップS5)。
【0102】
その後、水流センサ48により水流が検出されなくなると(ステップS6)、第2制御部6がスイッチSW1をオフさせる(ステップS7)。
【0103】
以上説明した実施形態5に係る水処理システム100fは、第1紫外線照射装置1(図1参照)と、第2紫外線照射装置2fと、を備える。第1紫外線照射装置1は、給水系統3の水出口部4よりも上流側に設けられる。第1紫外線照射装置1は、給水系統3を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLED11(図1参照)を含む。第2紫外線照射装置2fは、水出口部4に設けられている。第2紫外線照射装置2fは、水出口部4を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLED21を含む。
【0104】
これにより、実施形態5に係る水処理システム100fでは、殺菌効果の向上を図ることが可能となる。
【0105】
実施形態5に係る水処理システム100fは、水出口部4f内おいて第2紫外線照射装置2fの紫外線照射領域よりも下流側に配置されている整流板、水流制御板等を備えていてもよい。
【0106】
実施形態5に係る水処理システム100fは、第2紫外線照射装置2fから放射される紫外線の配光を制御するレンズ、反射板等の光学部品を備えていてもよい。また、水処理システム100fは、第1紫外線照射装置1から放射される紫外線の配光を制御するレンズ、反射板等の光学部品を備えていてもよい。
【0107】
また、実施形態5に係る水処理システム100fは、実施形態2に係る水処理システム100bと同様、水出口部4に紫外線吸収部7を備えていてもよい。これにより、第2紫外線照射装置2fから放射された紫外線が外部へ漏れるのを抑制することが可能となる。
【0108】
なお、第2紫外線照射装置2fにおける第2UVLED21の数は、1つに限らず、複数であってもよい。
【0109】
実施形態1~5は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1~5は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0110】
例えば、第1制御部5において第1紫外線照射装置1の動作時間を記憶しておき、第1紫外線照射装置1の動作時間が第1所定時間以上になったときに、第1紫外線照射装置1の交換を促すための報知を行うようにしてもよい。同様に、第2制御部6において第2紫外線照射装置2の動作時間を記憶しておき、第2紫外線照射装置2の動作時間が第2所定時間以上になったときに、第2紫外線照射装置2の交換を促すための報知を行うようにしてもよい。
【0111】
また、第1制御部5において第1電源部の電池の残容量を監視しておき、第1電源部の電池の残容量が第1所定容量以下になったときに、第1電源部の電池の交換を促すための報知を行うようにしてもよい。同様に、第2制御部6において第2電源部の電池の残容量を監視しておき、第2電源部の電池の残容量が第2所定容量以下になったときに、第2電源部の電池の交換を促すための報知を行うようにしてもよい。
【0112】
また、第1制御部5は、水処理システム100において水出口部4から水を出さない不使用時、使用前等に第1紫外線照射装置1を制御して第1UVLED11から紫外線を照射させるようにしてもよい。
【0113】
また、第2制御部6は、水処理システム100において水出口部4から水を出さない不使用時、使用前等に第2紫外線照射装置2を制御して第2UVLED21から紫外線を照射させるようにしてもよい。
【0114】
また、給水系統3は、水が流れる場合と、お湯が流れる場合とがあってよい。
【0115】
(まとめ)
以上説明した実施形態1~5等から以下の態様が開示されている。
【0116】
第1の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)は、第1紫外線照射装置(1;1b;1d)と、第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2d;2e;2f)と、を備える。第1紫外線照射装置(1;1b;1d)は、給水系統(3;3d)の水出口部(4;4d;4f)よりも上流側に設けられる。第1紫外線照射装置(1;1b;1d)は、給水系統(3;3d)を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第1UVLED(11)を含む。第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2d;2e;2f)は、水出口部(4;4d;4f)に設けられる。第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2d;2e;2f)は、水出口部(4;4d;4f)を通る水にUV-Cの波長域の紫外線を照射する第2UVLED(21)を含む。
【0117】
第1の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、殺菌効果の向上を図れる。
【0118】
第2の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)は、第1の態様において、第1紫外線照射装置(1;1b;1d)による第1紫外線照射量と第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2d;2e;2f)による第2紫外線照射量との合計が目標紫外線照射量以上である。
【0119】
第2の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、目標紫外線照射量以上の紫外線を水に照射することが可能となる。
【0120】
第3の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)は、第2の態様において、第1紫外線照射装置(1;1b;1d)を制御する第1制御部(5)と、第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2d;2e;2f)を制御する第2制御部(6)と、を備える。水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、第1制御部(5)による第1紫外線照射装置(1;1b;1d)の制御と第2制御部(6)による第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2d;2e;2f)の制御とによって第1紫外線照射量と第2紫外線照射量との合計を目標紫外線照射量以上とする。
【0121】
第3の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、目標紫外線照射量以上の紫外線を、より確実に水に照射することが可能となる。
【0122】
第4の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、第2又は3の態様において、目標紫外線照射量は、10mJ/cmである。
【0123】
第4の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、目標紫外線照射量に関して、公益財団法人水道技術研究センターにおいて制定されている紫外線照射装置JWRC技術審査基準を満たすことが可能となる。
【0124】
第5の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、第1~4の態様のいずれか一つにおいて、第1紫外線照射装置(1;1b;1d)は、透過部(13)を含む。透過部(13)は、給水系統(3;3d)の一部を構成し第1UVLED(11)からの紫外線を透過する。第1UVLED(11)は、給水系統(3;3d)の外側において第1紫外線照射装置(1;1b;1d)の透過部(13)に接している。
【0125】
第5の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、第1UVLED(11)で発生した熱を水に接する透過部(13)を通して放熱させることができる。
【0126】
第6の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100f)では、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2f)は、透過部(23)を含む。透過部(23)は、水出口部(4;4f)の一部を構成し第2UVLED(21)からの紫外線を透過する。第2UVLED(21)は、水出口部(4;4f)の外側において第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2f)の透過部(23)に接している。
【0127】
第6の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100f)では、第2UVLED(21)で発生した熱を水に接する透過部(23)を通して放熱させることができる。
【0128】
第7の態様に係る水処理システム(100c)は、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、第2紫外線照射装置(2c)は、透過部(23)と、メッシュ部材(8)と、を備える。透過部(23)は、水出口部(4)の一部を構成し第2UVLED(21)からの紫外線を透過する。メッシュ部材(8)は、水出口部(4)の外側において第2UVLED(21)と透過部(23)との間に配置されており、第2UVLED(21)からの紫外線の指向性を強める。
【0129】
第7の態様に係る水処理システム(100c)では、レンズのような光学系を用いることなく、第2UVLED(21)からの紫外線の指向性を強めることができる。
【0130】
第8の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)は、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、紫外線吸収部(7)を更に備える。紫外線吸収部(7)は、第2紫外線照射装置(2;2a;2b;2c;2d;2e;2f)の第2UVLED(21)と水出口部(4;4d;4f)の出口(42)との間に設けられている。紫外線吸収部(7)は、UV-Cの波長域の紫外線を吸収する。
【0131】
第8の態様に係る水処理システム(100;100a;100b;100c;100d;100e;100f)では、第2UVLED(21)から放射されたUV-Cの波長域の紫外線が水出口部(4;4d;4f)の出口(42)から出射するのを抑制することが可能となる。
【0132】
第9の態様に係る水処理システム(100d)では、第1~4の態様のいずれか一つにおいて、第2紫外線照射装置(2d;2e)は、環状部(26)を含む。環状部(26)は、第2UVLED(21)からの紫外線を透過する材料により形成されている。環状部(26)は、水出口部(4d)の一部を構成する。第2UVLED(21)は、環状部(26)の外周面(262)側に配置されている。第2紫外線照射装置(2d;2e)は、反射膜(27)を更に備える。反射膜(27)は、環状部(26)の外周面(262)において第2UVLED(21)からの紫外線の入射面以外に設けられている。反射膜(27)は、第2UVLED(21)からの紫外線を反射する。
【0133】
第9の態様に係る水処理システム(100d)では、第2UVLED(21)からの紫外線を、環状部(26)を通る水に対して、より効率良く照射することができ、かつ、紫外線が環状部(26)の外周面(262)から外へ出射されるのを抑制することができる。
【0134】
第10の態様に係る水処理システム(100d)は、第9の態様において、第2紫外線照射装置(2e)は、シリンドリカルレンズ(28)を更に備える。シリンドリカルレンズ(28)は、環状部(26)の内周面(261)側に配置され第2UVLED(21)からの紫外線の配光を制御する。
【0135】
第10の態様に係る水処理システム(100d)では、第2UVLED(21)からの紫外線を、環状部(26)を通る水に対して、より高い照度の紫外線を照射することが可能となる。
【0136】
第11の態様に係る水処理システム(100f)では、第1~8の態様のいずれか一つにおいて、第2紫外線照射装置(2f)は、水出口部(4f)内に設けられ第2UVLED(21)の紫外線照射領域よりも上流側に配置されている羽根車(101)を更に備える。
【0137】
第11の態様に係る水処理システム(100f)では、水出口部(4f)内において羽根車(101)により撹拌された水に対して第2UVLED(21)からの紫外線が照射される。
【0138】
第12の態様に係る水処理システム(100f)は、第11の態様において、発電機(102)と、蓄電池(9)と、を更に備える。発電機(102)は、羽根車(101)の回転により発電する。蓄電池(9)は、発電機(102)により充電され、第2UVLED(21)に電力を供給する。
【0139】
第13の態様に係る水処理システム(100f)では、第1~4、11、12の態様のいずれか一つにおいて、水出口部(4f)は、浄水器(430)を含む。第2紫外線照射装置(2f)は、浄水器(430)に設けられている。
【0140】
第13の態様に係る水処理システム(100f)では、水出口部(4f)に含まれる浄水器(430)を流れる水に対して第2紫外線照射装置(2f)による殺菌処理を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0141】
1、1b、1d 第1紫外線照射装置
11 第1UVLED
13 透過部
2、2a、2b、2c、2d、2e、2f 第2紫外線照射装置
21 第2UVLED
23 透過部
26 環状部
261 内周面
262 外周面
27 反射膜
28 シリンドリカルレンズ
3、3d 給水系統
300 給水配管
4、4d、4f 水出口部
42 出口
430 浄水器
5 第1制御部
6 第2制御部
7 紫外線吸収部
8 メッシュ部材
9 蓄電池
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f 水処理システム
101 羽根車
102 発電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10