(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシート及び自転車
(51)【国際特許分類】
B62J 1/00 20060101AFI20221202BHJP
B62J 1/16 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J1/16 Z
(21)【出願番号】P 2018208576
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 美穂
(72)【発明者】
【氏名】山口 勲
(72)【発明者】
【氏名】黒巣 広子
(72)【発明者】
【氏名】小川 満
(72)【発明者】
【氏名】三好 武博
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0038436(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0257519(US,A1)
【文献】実開昭49-002939(JP,U)
【文献】国際公開第2012/037375(WO,A2)
【文献】特開2008-290587(JP,A)
【文献】中国実用新案第201619547(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00, 1/16
B60N 2/00- 2/90
B60R 22/10
F16F 1/00- 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用チャイルドシートであって、
子供が座る座部と、
前記座部の後側で立設されたバック部と、
前記バック部における
左右一対のベルト孔から子供が座る着座側に向かってそれぞれ露出し、前記座部に座った子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、
前記バック部における前記各ベルト孔の近傍にそれぞれ支持され、前記バック部から前記着座側に向かって延びる左右一対の支持部材と、
前記各肩ベルトの少なくとも一部を、前記各支持部材と一緒に、左側同士及び右側同士でそれぞれ覆う複数の肩ベルトカバーとを備え、
前記支持部材は、弾性部材を含んで構成され、
前記肩ベルトは、前記肩ベルトカバーを介して、前記支持部材に支持されて
おり、
左側の前記支持部材は、前記バック部における左側の前記ベルト孔の左側の部分に片手持ちの状態で支持されており、
右側の前記支持部材は、前記バック部における右側の前記ベルト孔の右側の部分に片手持ちの状態で支持されおり、
前記各支持部材は、前記バック部から前記着座側に向かって互いに左右方向に離れるように延びている
ことを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項2】
請求項1に記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記支持部材の弾性部材は、前記肩ベルトカバーとは別のカバー部材により、全体が覆われていることを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記肩ベルトカバーは、前記支持部材を収容する収容部を有することを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記支持部材の弾性部材は、コイルバネであり、
さらに前記支持部材は、前記弾性部材のバネ軸が前記バック部から前記着座側に向かって延びるように、前記バック部に支持されていることを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項5】
請求項4に記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記弾性部材のバネ軸方向の両端部に、キャップがそれぞれ取り付けられており、
前記弾性部材のバネ軸方向の両端は、前記バネ軸方向から見て、前記キャップに覆われていることを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項6】
請求項4に記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記弾性部材のバネ軸方向の両端部は、一対の被覆部材によりそれぞれ覆われていることを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項7】
自転車であって、
乗員が着座するサドルと、
前記サドルよりも自転車進行方向の前側又は後側に取り付けられるチャイルドシートとを備え、
前記チャイルドシートは、
子供が座る座部と、
前記座部の後側で立設されたバック部と、
前記バック部における左右一対のベルト孔から子供が座る着座側に向かってそれぞれ露出し、
前記座部に座った子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、
前記バック部における前記各肩ベルトの近傍にそれぞれ支持され、前記バック部から、子供が座る着座側に向かって延びる左右一対の支持部材と、
前記各肩ベルトの少なくとも一部を、前記各支持部材と一緒に、左側同士及び右側同士でそれぞれ覆う複数の肩ベルトカバーとを有し、
前記支持部材は、弾性部材を含んで構成され、
前記肩ベルトは、前記肩ベルトカバーを介して、前記支持部材に支持され
ており、
左側の前記支持部材は、前記バック部における左側の前記ベルト孔の左側の部分に片手持ちの状態で支持されており、
右側の前記支持部材は、前記バック部における右側の前記ベルト孔の右側の部分に片手持ちの状態で支持されおり、
前記各支持部材は、前記バック部から前記着座側に向かって互いに左右方向に離れるように延びている
ことを特徴とする自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用チャイルドシート及び自転車に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自転車に取り付けられるチャイルドシートが知られている。一般に、チャイルドシートは、着座する子供の両肩を拘束する一対の肩ベルトを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の自転車用幼児座席装置は、5点式のシートベルトを備える。シートベルトは、幼児の腹部を左右から拘束する2本の腹部ベルトと、幼児の両肩をそれぞれ拘束する2本のショルダーベルト(肩ベルト)と、座席の底面に取り付けられ、2本の腹部ベルト及び2本のショルダーベルトを固定するバックルが設けられた底面ベルトとを含んでいる。2本のショルダーベルトは、座席に座った幼児の背中が当接する背カバーに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のようなチャイルドシートにおいて、子供が着座していないときには、肩ベルトは背カバー(バック部)に略沿って垂れ下がった状態となる。このため、子供を座席に座らせるときに、肩ベルトが子供と背カバーとの間に挟まってしまうおそれがある。肩ベルトが子供と背カバーとの間に挟まったときには、一度子供を背カバーから離して肩ベルトを抜き取る必要があり面倒である。
【0006】
肩ベルトが子供と背カバーとの間に挟まらないように、肩ベルトを支えながら子供を座らせることも考えられる。しかし、自転車の場合、通常、自転車の乗員(主に子供の親)は1人で子供を座らせることになるため、肩ベルトを支えるときには、乗員は一時的に子供を片腕で支える必要がある。このため、乗員は不安定な状態で子供を支えることになってしまう。
【0007】
本発明の主な目的は、自転車に取り付けられるチャイルドシートにおいて、子供に肩ベルトを容易に装着させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、自転車用チャイルドシートを対象にして、子供が座る座部と、前記座部の後側で立設されたバック部と、前記バック部における左右一対のベルト孔から子供が座る着座側に向かってそれぞれ露出し、前記座部に座った子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、前記バック部における前記各ベルト孔の近傍にそれぞれ支持され、前記バック部から前記着座側に向かって延びる左右一対の支持部材と、前記各肩ベルトの少なくとも一部を、前記各支持部材と一緒に、左側同士及び右側同士でそれぞれ覆う複数の肩ベルトカバーとを備え、前記支持部材は、弾性部材を含んで構成され、前記肩ベルトは、前記肩ベルトカバーを介して、前記支持部材に支持されており、左側の前記支持部材は、前記バック部における左側の前記ベルト孔の左側の部分に片手持ちの状態で支持されており、右側の前記支持部材は、前記バック部における右側の前記ベルト孔の右側の部分に片手持ちの状態で支持されおり、前記各支持部材は、前記バック部から前記着座側に向かって互いに左右方向に離れるように延びている、という構成とした。
【0009】
この構成によると、肩ベルトは、支持部材と一緒に肩ベルトカバーに覆われるとともに、肩ベルトカバーを介して支持部材に支持されている。このため、肩ベルトの中途部は、バック部から離れた状態になる。これにより、肩ベルトとバック部との間に隙間が生じる。したがって、チャイルドシートに着座する子供の腕を肩ベルトとバック部との間に容易に通すことができる。この結果、子供に肩ベルトを容易に装着させることができる。
【0010】
前記自転車用チャイルドシートにおいて、前記支持部材の弾性部材は、前記肩ベルトカバーとは別のカバー部材により、全体が覆われている、という構成であってもよい。
【0011】
すなわち、自転車用チャイルドシートは、日光や風雨に曝されることが多い。このため、弾性部材全体をカバー部材で覆うことにより、弾性部材の劣化を抑制することができる。弾性部材の劣化が抑制されれば、肩ベルトとバック部との間の隙間を安定して形成することができる。この結果、子供に肩ベルトをより容易に装着させることができる。
【0012】
前記自転車用チャイルドシートにおいて、前記肩ベルトカバーは、前記支持部材を収容する収容部を有する、という構成であってもよい。
【0013】
この構成によると、収容部に支持部材を収容したときに、肩ベルトカバーが支持部材に支持される。これにより、肩ベルトを肩ベルトカバーで覆う際の作業が容易になる。
【0014】
前記自転車用チャイルドシートにおいて、前記支持部材の弾性部材は、コイルバネであり、さらに前記支持部材は、前記弾性部材のバネ軸が前記バック部から前記着座側に向かって延びるように、前記バック部に支持されている、という構成であってもよい。
【0015】
すなわち、チャイルドシートに着座した子供に肩ベルトを装着するときには、肩ベルトの長さを調節して、肩ベルト及び肩ベルトカバーを子供の体格に適合させる必要がある。子供の体格は、子供毎に異なり、また、子供の成長によっても変化するため、弾性部材にはある程度の柔軟製が求められる。これに対して、弾性部材がコイルバネであれば、バネ軸と垂直な方向に容易に曲げることができるため、肩ベルト及び肩ベルトカバーを子供の体格に容易に適合させることができる。この結果、子供に肩ベルトを一層容易に装着させることができる。
【0016】
前記弾性部材がコイルバネである自転車用チャイルドシートにおいて、前記弾性部材のバネ軸方向の両端部に、キャップがそれぞれ取り付けられており、前記弾性部材のバネ軸方向の両端は、前記バネ軸方向から見て、前記キャップに覆われている、という構成であってもよい。
【0017】
また、前記弾性部材がコイルバネである自転車用チャイルドシートにおいて、前記弾性部材のバネ軸方向の両端部は、一対の被覆部材によりそれぞれ覆われている、という構成であってもよい。
【0018】
すなわち、弾性部材がコイルバネである場合、バネ軸方向の端部には、比較的鋭利な部分が存在する。このため、上記の構成により、肩ベルトカバーに覆われた肩ベルトが、コイルバネの端部に傷つけられて劣化するのを抑制することができる。
【0019】
本発明は、自転車も対象とする。具体的には、自転車を対象として、乗員が着座するサドルと、前記サドルよりも自転車進行方向の前側又は後側に取り付けられるチャイルドシートとを備え、前記チャイルドシートは、子供が座る座部と、前記座部の後側で立設されたバック部と、前記バック部における左右一対のベルト孔から子供が座る着座側に向かってそれぞれ露出し、前記座部に座った子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、前記バック部における前記各肩ベルトの近傍にそれぞれ支持され、前記バック部から、子供が座る着座側に向かって延びる左右一対の支持部材と、前記各肩ベルトの少なくとも一部を、前記各支持部材と一緒に、左側同士及び右側同士でそれぞれ覆う複数の肩ベルトカバーとを有し、前記支持部材は、弾性部材を含んで構成され、前記肩ベルトは、前記肩ベルトカバーを介して、前記支持部材に支持されており、左側の前記支持部材は、前記バック部における左側の前記ベルト孔の左側の部分に片手持ちの状態で支持されており、右側の前記支持部材は、前記バック部における右側の前記ベルト孔の右側の部分に片手持ちの状態で支持されおり、前記各支持部材は、前記バック部から前記着座側に向かって互いに左右方向に離れるように延びている、という構成とした。
【0020】
この構成でも、チャイルドシートに着座する子供の腕を肩ベルトとバック部との間に容易に通すことができる。このため、自転車に取り付けられるチャイルドシートにおいて、子供に肩ベルトを容易に装着させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、自転車に取り付けられるチャイルドシートにおいて、子供に肩ベルトを容易に装着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る自転車用チャイルドシートが設けられた自転車を示す側面図である。
【
図2】チャイルドシートを斜め後側から見た斜視図である。
【
図3】チャイルドシートを前側かつ上側から見た斜視図である。
【
図5】左右の肩ベルトと調節ベルトとの結合関係を示す概略図である。
【
図6】バック部における肩ベルト孔の周辺を拡大した拡大図であって、肩ベルトカバーが装着されていない状態を示す。
【
図8】移動許容/規制部材の周辺を示す拡大図である。
【
図11】肩ベルトカバーをバック部に取り付ける過程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る自転車用チャイルドシート(以下、単にチャイルドシート10という)が設けられた自転車100を示す。以下の説明では、自転車100の進行側を前側、後退側を後側という。また、後側から前側を見たときの左側を左側といい、右側を右側という。
【0025】
本実施形態において、自転車100は電動アシスト自転車である。自転車100は、車体102と、前輪103と、後輪104と、駆動機構105と、電気コンポーネント106とを備える。車体102の前後方向中央からは上側に向かってシートチューブ121が延びている。シートチューブ121には、シートポスト122を介してサドル123が取り付けられている。電気コンポーネント106は、シートチューブ121の後側に取り付けられている。シートチューブ121の上側端部からは、シートステー124が後側に向かって下側に傾斜して延びている。シートステー124における後輪104よりも上側の部分には、荷台125が取り付けられている。車体102の前側端部には、ハンドルポスト126を介して、ハンドル107が設けられている。
【0026】
ハンドル107は、ハンドルステム171と、ハンドルステム171に支持されかつ水平方向に延びる水平部175と、水平部175の長手方向の両側端部からそれぞれ上側に向かって延びる左右一対の立設部172とを有する。各立設部172の上側端部には、後側に向かって湾曲する湾曲部173がそれぞれ形成され、各湾曲部173の後側端部に、自転車100の乗員が握るグリップ174がそれぞれ設けられている。尚、
図1及び
図2において、左側の立設部172及び湾曲部173は、チャイルドシート10と重なって見えていない。
【0027】
図1及び
図2に示すように、チャイルドシート10は、サドル123よりも前側において、ハンドルステム171の上側でかつ2つの立設部172の間の位置に配設されている。詳しくは後述するが、チャイルドシート10は、ハンドルステム171と左右の立壁部172とに取付固定されている。
【0028】
図3及び
図4は、チャイルドシート10の構成を示す。尚、
図4では、図面の簡略化のため、
図3等に示す後述の肩ベルトカバー80やチェストクリップ49等、一部の部材を省略して記載している。
【0029】
図4に示すように、チャイルドシート10は、シート本体11を有する。シート本体11は、子供が座る座部20と、座部20の後側で立設され、座部20に座った子供の背中(本実施形態では、子供の頭部及び背中)を支持するバック部30と、座部20に座った子供の足を収容する足載せ部14と、左右方向の両側にそれぞれ設けられた側壁部15とを有する。以下の説明において、座部20、バック部30、足載せ部14、及び各側壁部15で囲まれた領域であって、子供が座る領域を着座側という。
【0030】
座部20は、座板12と、座板12に着脱自在に取り付けられるシートクッション21とを有する。シートクッション部材21は、エチレンビニルアセテート(以下、省略してEVAという)からなるクッション部材である。
図4に示すように、座板12は、前後方向の中央に、下側に凹んだ凹部22を有する。図示は省略するが、凹部22は、左右方向において、座板12の中央に位置する。凹部22の前側壁部22a及び後側壁部22bには、後述する調節ベルト43が通る貫通孔22c,22dがそれぞれ設けられている。凹部22の底部22eには、チャイルドシート10をハンドルステム171に取り付けるためのネジ90が通るネジ挿通孔22fが設けられている。底部22eにおけるネジ挿通孔22fの後側の部分には、上側に向かって突出するリブ23が設けられている。リブ23の上端は、ネジ90のネジ頭よりも上側に位置する。
【0031】
座部20は、ネジ90を介してハンドルステム171に固定されている。
図4に示すように、ハンドルステム171には、ネジ90が締結されるネジ孔91が設けられている。ネジ孔91と凹部22のネジ挿通孔22fは、上下に並ぶように配置されている。この状態で、ネジ挿通孔22fを介してネジ90がネジ孔91に締結されることで、座部20はハンドルステム171に対して固定される。
【0032】
バック部30は、子供の背中を支持する背もたれ部31と、該背もたれ部31の上側に位置し、子供の頭部を支持するヘッドレスト32とを有する。背もたれ部31は、背板13と、背板13に着脱自在に取り付けられるに背クッション部材33とを有する。背板13は、座板12の後側端部から上側に向かって僅かに後側に傾斜して延びる下側傾斜部13aと、下側傾斜部13aよりも上側に位置しかつ上側に向かって僅かに後側に傾斜して延びる上側傾斜部13bと、下側傾斜部13aの上側端部と上側傾斜部13bの下側端部とを連結する連結部13cとを有する。背クッション部材33は、下側傾斜部13aの前記着座側の面に取り付けられている。背クッション部材33は、EVAからなるクッション部材である。
【0033】
ヘッドレスト32は、ヘッドレスト本体34と、ヘッドレスト本体34から背板13に沿って下側に延びるヘッドレスト支持部35とを有する。ヘッドレスト本体34は、
図3に示すように、前側に開放されたU字状をなしている。
図6に示すように、ヘッドレスト本体34は、ヘッドレスト支持部35よりも左右方向に延びている。ヘッドレスト本体34の前記着座側の部分には、ヘッドクッション部材36が設けられている。ヘッドクッション部材36は、EVAからなるクッション部材である。ヘッドクッション36は、左右方向の中央よりも左側寄りの部分及び右側寄りの部分に、上側に向かって凹むように切り欠かれた切欠部36aをそれぞれ有する。ヘッドレスト本体34における各切欠部36aに対応する部分において、後述する左右の肩ベルト41及び左右の肩ベルト孔44がそれぞれ設けられている。ヘッドレスト支持部35は、
図4に示すように、連結部13cを貫通して、背板13に沿って延びている。ヘッドレスト支持部35は、シート本体11に支持されている。つまり、ヘッドレスト本体34は、ヘッドレスト支持部35を介してシート本体11に支持されている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、ヘッドレスト本体34は、ヘッドレストカバー37により覆われている。具体的には、ヘッドレストカバー37は、
図3に示すように、ヘッドレスト本体34における前側の部分の略全体を覆う一方、
図2に示すように、ヘッドレスト本体34における後側の部分を部分的に覆っている。ヘッドレストカバー37は、ヘッドレスト本体34に対して着脱自在である。ヘッドレストカバー37は、ヘッドレスト本体34における前側の部分であって、左右方向の両側側部に対応する部分に衝撃吸収部37aをそれぞれ有する。各衝撃吸収部37aは、ウレタン等のEVAよりも柔らかい衝撃吸収材を内包している。2つの衝撃吸収部37aを連結する中間部37bは、前記衝撃吸収材が内包されておらず、布で構成されている。中間部37bには、通気性を確保するための複数の孔が設けられている。ヘッドレストカバー37の後側の縁部は、該縁部に沿って延びるゴムを内包している。
【0035】
足載せ部14は、座板12の前側端部に連続して設けられている。具体的には、
図4に示すように、足載せ部14は、座板12の前側端部から前側に向かって下側に傾斜して延びた後、前側に向かって上側に湾曲して延びている。
【0036】
各側壁部15は、座板12、背板13、及び足載せ部14における左右方向の両端部からそれぞれ立設されている。各側壁部15は、前後方向に連続して設けられている。各側壁部15の前記着座側の面において、座部20の上側に位置する部分には、サイドクッション部材15aが着脱自在にそれぞれ取り付けられている。各サイドクッション部材15aは、EVAからなるクッション部材である。
【0037】
図1及び
図2に示すように、各側壁部15の前記着座側とは反対側の面部には、ハンドル107の各立設部172が通るガイド15bがそれぞれ設けられている。ガイド15bは、チャイルドシート10を自転車100に取り付けるときに、シート本体11を案内するガイド15bである。各側壁部15は、各ガイド15bに各立設部172が通った状態で、プレート92が各立設部172にそれぞれあてがわれた後、該プレート92ごとボルト93によりボルト止めされることで、各立設部172にそれぞれ固定される。
【0038】
シート本体11には、座板12の一部及び背板13の一部を後側から覆う背カバー16が取り付けられている。詳しくは後述するが、背板13と背カバー16との間には、シートベルト装置40における肩ベルト41及び調節ベルト43の一部が収容されるベルト収容空間18が形成される。
【0039】
図3に示すように、チャイルドシート10は、座部20に座った子供が握るグリップバー17が設けられている。グリップバー17は、左右方向に延びている。グリップバー17の左右方向の両端部は、側壁部15の上縁部にそれぞれ接続されている。
【0040】
チャイルドシート10の前記着座側には、座部20に座った子供を拘束するためのシートベルト装置40が設けられている。本実施形態では、シートベルト装置40は、5点式のシートベルト装置である。シートベルト装置40は、前記子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルト41と、前記子供の腰部を拘束する左右一対の腰ベルト42と、前記子供の股間を通る股ベルト62とを有する。
【0041】
股ベルト62は、座板12に固定された下端部からシートクッション部材21を貫通して上側に延びている。股ベルト62の上端部にはバックル60が取付固定されている。
【0042】
図6に示すように、左右の肩ベルト41は、バック部30(具体的には、ヘッドレスト本体34)に設けられた一対の肩ベルト孔44から前記着座側にそれぞれ露出している。
図3及び
図6に示すように、左側の肩ベルト41は、左側の肩ベルト孔44から下側に延びて、第1タング65のベルト挿通孔を通っている。右側の肩ベルト41は、右側の肩ベルト孔44から下側に延びて、第2タング66のベルト挿通孔を通っている。
図3及び
図4に示すように、第1タング65及び第2タング66はバックル60に連結固定される。
【0043】
左側の肩ベルト41、左側の腰ベルト42、右側の肩ベルト41、及び右側の腰ベルト42は、単一のベルト部材で構成されている。該ベルト部材の両端部は、第1及び第2タング65,66のベルト挿通孔を通った後、左右の腰ベルト孔45にそれぞれ入っている。前記ベルト部材のうち、第1タング65のベルト挿通孔と左側の腰ベルト孔45との間の部分が左側の腰ベルト42を構成する一方、第2タング66のベルト挿通孔と右側の腰ベルト孔45との間の部分が右側の腰ベルト42を構成する。前記ベルト部材の両端部は、左右の腰ベルト孔45をそれぞれ通った後は、止め具(図示省略)により座板12に対してそれぞれ固定されている。
【0044】
図4に示すように、左右の肩ベルト41の一部は、左右の肩ベルト孔44を通って、シート本体11と背カバー16とで覆われたベルト収容空間18に延びている。
図5に示すように、前記ベルト部材は、重複部Tが生じるように、ベルト収容空間18内でV字状に折り曲げられており、重複部Tが左右の肩ベルト41の一端部となっている。重複部Tには、左右の肩ベルト41の長さを調節するための調節ベルト43の一端部が縫い合わされている。尚、左右の肩ベルト41は、それぞれ別のベルト部材で構成されていてもよい。
【0045】
図4に示すように、調節ベルト43は、ベルト収容空間18を下側及び前側に向かって延びている。調節ベルト43は、凹部22における後側壁部22bの貫通孔22dを通って凹部22内に進入する。凹部22内において、調節ベルト43は、リブ23の上端と接触する。これにより、調節ベルト43は、ネジ90のネジ頭と接触することなく、該ネジ頭の上側を通って前側に延びる。調節ベルト43は、前側壁部22aの貫通孔22cを通って、凹部22よりも前側に延びる。その後、調節ベルト43は、後述の調節装置50の移動許容/規制部材51を介して、前側に向かって延びる。調節ベルト43の他端部(重複部Tとは反対側の端部)は、シートクッション部材21の前側に露出している。
【0046】
図7に示すように、調節ベルト43の他端部には、股ベルト62(本実施形態では、股ベルト62の周囲を覆う股ベルトカバー63)に着脱自在に取り付けるための取付部材46が設けられている。取付部材46は、クリップ部材47によって、調節ベルト43に取り付けられている。取付部材46は、第1の雌ホック48を有する。
【0047】
股ベルトカバー63は、前側の部分に第1の雄ホック64を有する。取付部材46は、雄ホック64が取付部材46の第1の雌ホック48と係合することにより、股ベルトカバー63に取り付けられる。また、第1の雄ホック64と第1の雌ホック48との係合を解除することによって、取付部材46(調節ベルト43)が股ベルトカバー63から外れる。
【0048】
図3に示すように、バックル60は、略円柱状をなしている。バックル60における周方向の左側の略半部には、第1タング65が連結固定される一方、バックル60における周方向の右側の略半部には、第2タング66が連結固定される。バックル60の前側の中央には、第1及び第2タング65,66との連結状態を解除する解除ボタン61が設けられている。
【0049】
シートベルト装置40は、肩ベルト41の途中にチェストクリップ49を有する。チェストリップ49は雄雌構造であり、左側が雄部であり、右側が雌部である。チェストクリップ49は、座部20に座った子供の胸部を拘束する。
【0050】
シートベルト装置40において、肩ベルト41の長さは、調節装置50を利用して調節することができる。
図8に示すように、調節装置50は、調節ベルト43と、該調節ベルト43の移動を制限する移動許容/規制部材51とを有する。移動許容/規制部材51は、シート本体11(詳細には、座板12)に固定されたブラケット55に、支軸54を介して回動可能に支持されている。移動許容/規制部材51は、略円柱状の本体の周面上に設けられた爪部52と、該本体に一体形成されかつユーザ(主に自転車100の乗員)によって押される押圧部53とを有する。移動許容/規制部材51は、捻りコイルバネ(図示省略)によって、爪部52が後側に向かって回動するように付勢されている。爪部52は、複数の爪によって構成されている。複数の爪は、前側に位置する爪ほど支軸54から離れるように形成されている。
【0051】
ユーザが調節ベルト43を前側に向かって引っ張ったときには、
図8に仮想線で示すように、移動許容/規制部材51は、爪部52が前側に移動するように支軸54周りに回動する。これにより、爪部52が調節ベルト43に引っ掛からない状態となって、ユーザは調節ベルト43を前側に向かって引っ張ることができる。調節ベルト43が前側に引っ張られると、調節ベルト43と縫合された肩ベルト41がベルト収容空間18に向かって引っ張られる。これにより、肩ベルト41の長さを短くすることができる。
【0052】
ユーザが押圧部53を後側に向かって押圧せずに、肩ベルト41を前記着座側に引っ張ったときには、爪部52が調節ベルト43食い込む。これにより、調節ベルト43は後側への移動が規制され、調節ベルト43と縫合された肩ベルト41は、ベルト収容空間18から引き出されない。一方で、ユーザが押圧部53を後側に向かって押圧したときには、調節装置50は、爪部52が前側に変位するように支軸54周りに回動する。これにより、調節ベルト43は後側に移動可能となる。したがって、ユーザが押圧部53を後側に向かって押圧した状態で、肩ベルト41を前記着座側に引っ張ったときには、肩ベルト41は、ベルト収容空間18から引き出される。
【0053】
このように、移動許容/規制部材51は、調節ベルト43を前側に引っ張って、肩ベルト41を短くする動作については許容する一方で、肩ベルト41を介して調節ベルト43を後側に引っ張って、肩ベルト41を長くする動作については規制している。つまり、調節装置50は、座部20に子供を座らせた状態で、肩ベルト41を短くして、肩ベルト41を子供に密着させる動作については許容する一方、肩ベルト41が子供に密着した状態から、肩ベルト41が前記着座側に引き出される動作については規制するようにしている。したがって、調節装置50により、座部20に座った子供を適切に拘束することができる。
【0054】
ここで、座部20に座った子供を肩ベルト41で拘束するためには、子供の腕を肩ベルト41とバック部30との間に通す必要がある。仮に、肩ベルト41が肩ベルト孔44から下側に垂れ下がっていると、子供が座部20に座ったときに、子供とバック部30とに肩ベルト41が挟まってしまい、一度子供をバック部30から離して肩ベルト41を抜き取るという手間がかかってしまう。そこで、本実施形態では、支持部材70と肩ベルトカバー80とを用いて、肩ベルト41の中途部をバック部30から離れた状態で支持するようにして、肩ベルト41とバック部30との間に隙間を形成するようにしている。
【0055】
図9に示すように、支持部材70は、弾性部材としてのコイルバネ71を含んで構成されている。コイルバネ71は、その全体が、カバー部材72で覆われている。コイルバネ71のバネ軸方向の両端部には、キャップ73がそれぞれ取り付けられている。キャップ73は、円柱状の軸部73aと、軸部73aよりも径が大きい半球状のヘッド部73bとを有する。軸部73aは、複数のフィンを有する。コイルバネ71にキャップ73が取り付けられたときには、フィンがコイルバネ71の隙間に引っ掛かることで、キャップ73がコイルバネ71から抜けることが抑制される。また、コイルバネ71にキャップ73が取り付けられたときには、コイルバネ71のバネ軸方向の両端は、バネ軸方向から見て、キャップ73のヘッド部73bに覆われた状態となる。カバー部材72は、2つのキャップ73を含めて、コイルバネ71の全体を覆っている。
【0056】
図6に示すように、支持部材70は、左右の肩ベルト41の近傍にそれぞれ配置される。各支持部材70の後側端部は、バック部30(厳密には、ヘッドレスト本体34)に設けられた支持孔34aにそれぞれ挿入されている。具体的には、左側の支持部材70は、左側の肩ベルト孔44の左側に設けられた支持孔34aに挿入され、右側の支持部材70は、右側の肩ベルト孔44の右側に設けられた支持孔34aに挿入されている。これにより、支持部材70は、バック部30における各肩ベルト孔44の近傍に片持ち状態でそれぞれ支持される。各支持部材70は、バック部30から前記着座側に向かってそれぞれ延びている。具体的には、各支持部材70は、前側に向かって左右方向に互いに離れるように延びている。より詳しくは、左側の支持部材70は、前側に向かって左側に傾斜して延びており、右側の支持部70は、前側に向かって右側に傾斜して延びている。このことから、支持部材70のコイルバネ71は、バネ軸がバック部30から前記着座側に向かって延びるように、バック部30に支持される。各支持部材70は、肩ベルト41と一緒に肩ベルトカバー80に覆われていない状態では、前側に向かって僅かに上側に傾斜した状態であるが、肩ベルト41と一緒に肩ベルトカバー80に覆われた状態では、肩ベルト41及び肩ベルトカバー80の重さにより、前側に向かって下側に湾曲傾斜した状態になる。
【0057】
各肩ベルト41は、肩ベルトカバー80を介して、各支持部材70にそれぞれ支持される。具体的には、各肩ベルトカバー80が、各肩ベルト41の少なくとも一部を、各支持部材70と一緒に、左側同士及び右側同士でそれぞれ覆うことで、各肩ベルト41は各支持部材70にそれぞれ支持される。
【0058】
肩ベルトカバー80は、綿などの吸湿性の高い部材を内包した縫製品である。
図10に示すように、肩ベルトカバー80は略矩形状をなしている。肩ベルトカバー80において、肩ベルト41を覆ったときに、該肩ベルト41と接触する内側面80aには、バック部30に支持された支持部材70を収容する収容部81が設けられている。収容部81は、肩ベルトカバー80の対向する二辺間を一辺側から他辺側まで延びる細長い袋状をなしている。収容部81は、長手方向の一端が開口しかつ他端が閉じるように、肩ベルトカバー80の内側面80aに縫い付けられている。肩ベルトカバー80の4隅において、収容部81に近い側の2隅には、第2の雄ホック82がそれぞれ設けられている。第2の雄ホック82は、肩ベルトカバー80を厚み方向に貫通して、肩ベルトカバー80の内側面80aとは反対側の面から突出している。一方で、肩ベルトカバー80の4隅において、収容部81から遠い側の2隅には、第2の雄ホック82と係合する第2の雌ホック83がそれぞれ設けられている。尚、第2の雄ホック82の位置及び個数、並びに第2の雌ホック83の位置及び個数は、肩ベルトカバー80を肩ベルト41に巻き付けた状態で、第2の雄ホック82と第2の雌ホック83とが係合できるのであれば、特に限定されない。
【0059】
左右の肩ベルトカバー80は、連結バンド84を介して、バック部30にそれぞれ支持されている。連結バンド84の一端部は、2重に折り畳まれた状態で縫い合わされている。
図11に示すように、連結バンド84の前記一端部は、バック部30に設けられたスリット38に挿入されている。連結バンド84の他端部には、第3の雌ホック85が設けられている。各肩ベルトカバー80は、第3の雌ホック85と係合する第3の雄ホック86をそれぞれ有する。各肩ベルトカバー80は、第3の雄ホック86と第3の雌ホック85とが係合することで、連結バンド84を介して、バック部30にそれぞれ支持される。つまり、肩ベルトカバー80は、バック部30に対して着脱自在に支持されている。
【0060】
肩ベルトカバー80で肩ベルト41を覆うときには、先ず、肩ベルトカバー80の収容部81に支持部材70を収容する。これにより、肩ベルトカバー80が支持部材70に支持される。次に、内側面80aを肩ベルト41に当てた状態で、肩ベルトカバー80を肩ベルト41に巻き付ける。その後、各第2の雄ホック82と各第2の雌ホック83とを係合させる。これにより、肩ベルト41は、肩ベルトカバー80により覆われるとともに、肩ベルトカバー80を介して支持部材70に支持される。肩ベルト41が支持部材70に支持されることで、
図4に示すように、肩ベルト41の中途部は、バック部30から離れた状態になる。
【0061】
したがって、本実施形態に係るチャイルドシート10は、バック部30における一対の肩ベルト孔44から子供が座る着座側に向かってそれぞれ露出し、座部20に座った子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルト41と、バック部30における各肩ベルト孔44の近傍にそれぞれ支持され、バック部30から前記着座側に向かって延びる左右一対の支持部材70と、各肩ベルト41の少なくとも一部を、各支持部材70と一緒に、左側同士及び右側同士でそれぞれ覆う複数の肩ベルトカバー80とを備え、支持部材70は、弾性部材を含んで構成され、肩ベルト41は、肩ベルトカバー80を介して、支持部材70に支持されている。これにより、肩ベルト41の中途部は、バック部30から離れた状態になる。このため、肩ベルト41とバック部30との間に隙間が生じる。したがって、チャイルドシート10に着座する子供の腕を肩ベルト40とバック部30との間に容易に通すことができる。この結果、子供に肩ベルト41を容易に装着させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係るチャイルドシート10において、一対の支持部材70は、バック部30に片持ち状態でそれぞれ支持されている。すなわち、各肩ベルト41を子供に装着するときには、肩ベルト41及び肩ベルトカバー80を子供の肩の形状に適合させる必要がある。各支持部材70が片持ち状態であれば、支持部材70を容易に弾性変形させることができるため、肩ベルト41及び肩ベルトカバー80の変形が支持部材70により阻害されにくい。この結果、子供に肩ベルト41をより容易に装着させることができる。
【0063】
また、本実施形態に係るチャイルドシート10において、一対の支持部材70は、前側に向かって左右方向に互いに離れるように延びている。これにより、各肩ベルト41において肩ベルトカバー80で覆われた部分は、前側に向かって開いた状態になる。このため、各肩ベルト41を避けながら、子供を座部20に座らせることが容易になる。また、子供の腕を肩ベルト41とバック部30との間に通すことも容易になる。この結果、この結果、子供に肩ベルト41を一層容易に装着させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係るチャイルドシート10において、支持部材70の弾性部材は、コイルバネ71である。すなわち、子供の体格は、子供毎に異なり、また、子供の成長によっても変化するため、支持部材70を構成する弾性部材にはある程度の柔軟製が求められる。これに対して、弾性部材がコイルバネ71であれば、バネ軸と垂直な方向に容易に曲げることができるため、肩ベルト41及び肩ベルトカバー80を子供の体格に合わせて容易に変形させることができる。この結果、子供に肩ベルト41をより一層容易に装着させることができる。
【0065】
また、本実施形態に係るチャイルドシート10において、支持部材70のコイルバネ71は、肩ベルトカバー80とは別のカバー部材72により、全体が覆われている。すなわち、自転車用のチャイルドシート10は、日光や風雨に曝されることが多い。このため、コイルバネ71の全体をカバー部材72で覆うことにより、コイルバネ71の劣化を抑制することができる。コイルバネ71の劣化が抑制されれば、肩ベルト41とバック部30との間の隙間を安定して形成することができる。この結果、子供に肩ベルト41をさらに容易に装着させることができる。
【0066】
また、本実施形態に係るチャイルドシート10において、肩ベルトカバー80は、支持部材70を収容する収容部81を有する。これにより、収容部81に支持部材70を収容したときに、肩ベルトカバー80が支持部材70に支持される。これにより、肩ベルト41を肩ベルトカバー80で覆う際の作業が容易になる。
【0067】
また、本実施形態に係るチャイルドシート10において、コイルバネ71のバネ軸方向の両端部には、キャップ73がそれぞれ取り付けられており、コイルバネ71のバネ軸方向の両端は、該バネ軸方向から見て、キャップ73に覆われている。すなわち、弾性部材が圧縮コイルバネ71である場合、バネ軸方向の端部には、比較的鋭利な部分が存在する。このため、上記の構成により、肩ベルトカバー80に覆われた肩ベルト41が、コイルバネ71の端部に傷つけられて劣化するのを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るチャイルドシート10において、肩ベルトカバー80は、バック部30に対して着脱自在に支持されている。例えば、夏には子供が汗をかくため、子供に密着する肩ベルトカバー80は汚れやすい。肩ベルトカバー80が、バック部30に対して着脱自在であれば、肩ベルトカバー80をバック部30から外して洗濯することができる。これにより、肩ベルトカバー80を清潔な状態に維持しやすくなる。
【0069】
特に、本実施形態では、肩ベルトカバー80は連結バンド84に対してホック85,86により取り付けられているため、容易に取り外すことができる。
【0070】
本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0071】
例えば、前述の実施形態において、コイルバネ71のバネ軸方向の両端部には、キャップ73がそれぞれ取り付けられていた。これに限らず、コイルバネ71のバネ軸方向の両端部が、一対の被覆部材によりそれぞれ覆われている構成でもよい。この構成でも、肩ベルトカバー80に覆われた肩ベルト41が、コイルバネ71の端部に傷つけられて劣化するのを抑制することができる。
【0072】
また、前述の実施形態において、一対の肩ベルト孔44は、ヘッドレスト32にそれぞれ設けられていた。これに限らず、各肩ベルト孔44が、背もたれ部31にそれぞれ設けられていてもよい。
【0073】
また、前述の実施形態において、支持部材70を構成する弾性部材は、コイルバネ71であった。これに限らず、肩ベルト41により子供を拘束する際に、子供の体格に合わせて変形できる程度の柔軟性を有していれば、弾性部材は、コイルバネでなくてもよい。例えば、樹脂製の棒やプラスチックの板であってもよい。
【0074】
また、前述の実施形態において、支持部材70のコイルバネ71はカバー部材72により覆われていたが、カバー部材72はなくてもよい。また、肩ベルトカバー80が収容部81を有していなくてもよい。
【0075】
また、前述の実施形態において、肩ベルトカバー80は、連結バンド84を介してバック部30に支持されていた。これに限らず、肩ベルトカバー80は、バック部30に支持されていなくてもよい。
【0076】
また、前述の実施形態において、チャイルドシート10はハンドル107に取り付けられていた。これに限らず、例えば、荷台125に取り付けられていてもよい。
【0077】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、自転車用チャイルドシート及びチャイルドシートを備えた自転車として有用である。
【符号の説明】
【0079】
10 チャイルドシート
20 座部
30 バック部
41 肩ベルト
44 肩ベルト孔
70 支持部材
71 コイルバネ(弾性部材)
72 カバー部材
73 キャップ
80 肩ベルトカバー
81 収容部
100 自転車
127 サドル