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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】表示システム、及び移動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20221202BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019036925
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020140134
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋好 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】宮本 智明
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-116884(JP,A)
【文献】特開2006-224919(JP,A)
【文献】特開2018-075983(JP,A)
【文献】実開平05-023404(JP,U)
【文献】特開2016-161585(JP,A)
【文献】特開2019-008265(JP,A)
【文献】特開2010-282108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面を有したウィンドシールドに光を出射する表示システムであって、
画像を表示する表示面を有した表示器と、
前記表示面から発する光が通過する開口を有し、かつ、前記表示面から発する光の形状
を規定する遮光部材と
前記表示器に光を照射する光源と、
前記遮光部材と前記表示面との間に挟まれた弾性部材と、を備え、
前記表示面は、
前記画像を表示する非長方形状の表示領域と、前記表示領域を囲み画像は表示せず前記光源から発せられた光を透過する非表示領域とを含み、
前記開口の周縁は、前記表示領域の外周形状に沿った形状であ
前記弾性部材の窓孔の周縁は、前記開口に沿った形状を有し、前記開口よりも外側に位置する
表示システム。
【請求項2】
前記表示領域は、対象空間に虚像として表示される画像を表示する、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記開口の周縁は、少なくとも一辺が曲線状となる形状である、
請求項1又は請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記開口は、前記表示面から発した光の経路上に位置した、
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記遮光部材は、
前記開口の周縁を構成し、前記表示面に近い部分ほど前記開口の外側又は内側に位置するように傾斜した傾斜面を含んだ、
請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記傾斜面は、前記表示面に近い部分ほど前記開口の外側に位置するように傾斜した、
請求項5に記載の表示システム。
【請求項7】
前記開口の周縁の形状と、前記表示領域の前記外周形状とは、相似形状である、
請求項1~のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項8】
前記開口は、前記表示領域よりもサイズが大きい、
請求項1~のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項9】
前記遮光部材は脱着可能である、
請求項1~のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項10】
移動装置本体と、
前記移動装置本体に搭載された請求項1~のいずれか1項に記載の表示システムとを備えた、
移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システム、及び移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、頭部装着型の映像表示装置が開示されている。この映像表示装置は、液晶表示素子と、映像表示素子に表示された映像を拡大して観察者に提示する接眼光学系とを備えている。液晶表示素子の表示面には、入力された映像信号に対応した映像を表示する長方形状の映像表示部分と、映像表示部分を囲む表示状態の変化しない枠部分が存在している。映像表示装置は、液晶表示部分に対応した開口を有し、液晶表示素子の周辺が観察者によって観察されないように、映像表示素子と接眼光学系の間に設けられた遮光部材を更に備えている。遮光部材の開口部の端部は、映像表示装置の枠部分の幅内に配置されている。このため、液晶表示素子の表示面の外側部分に存在する回路部やワイヤボンディング部が遮光部材によって隠される。また、遮光部材によって映像の端部が切られることなく、観察者に映像が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-249869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した表示面に含まれる映像表示部分は長方形状である。すなわち、特許文献1には、非長方形状の表示領域を含む表示面については記載されておらず、ましてや、非長方形状の表示領域を含む表示面から出た光による表示を良好にすることは、記載も示唆もない。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、非長方形状の表示領域を含む表示面から出た光による表示を良好にすることができる表示システムと、この表示システムを備えた移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示システムは、以下に示す構成を有する。表示システムは、表示器と遮光部材とを備えている。前記表示器は、画像を表示する表示面を有している。前記遮光部材は、前記表示面から発する光が通過する開口を有し、かつ、前記表示面から発する光の形状を規定する。前記表示面は、前記画像を表示する非長方形状の表示領域を含んでいる。前記開口の周縁は、前記表示領域の外周形状に沿った形状である。
【0007】
本開示の一態様に係る移動装置は、以下に示す構成を有する。移動装置は、移動装置本体と、前記表示システムとを備えている。前記表示システムは、前記移動装置本体に搭載されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る表示システム及び移動装置は、非長方形状の表示領域を含む表示面から出た光による表示を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の表示システムの斜視図である。
図2図2は、同上の表示システムを図1とは異なる方向から見たときの斜視図である。
図3図3は、同上の表示システムの断面図である。
図4図4は、同上の表示システムを搭載した移動装置の概念図である。
図5図5は、同上の表示システムの動作を説明するための概念図である。
図6図6は、同上の表示システムの分解斜視図である。
図7図7は、図3の要部拡大図である。
図8図8は、同上の表示システムが備える投影ユニットの斜視図である。
図9図9は、同上の表示システムが備える投影ユニットの分解斜視図である。
図10図10は、同上の表示システムの第1部材の開口を示した断面図である。
図11図11は、同上の表示システムの第2部材の斜視図である。
図12図12は、同上の表示システムによって投影した画像を示した正面図である。
図13図13は、比較例の表示システムによって投影した画像を示した正面図である。
図14図14A図14Cは、変形例の表示システムにおける表示器の近傍の断面図である。
図15図15は、同上の表示システムにおける第1部材及び第2ミラーの分解斜視図である。
図16図16は、同上の表示システムが備える第2部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態
(1.1)移動装置
図1図3は、表示システム1を示し、図4は、表示システム1を備えた移動装置8を示している。表示システム1は、移動装置8において、ヘッドアップディスプレイとして用いられる。
【0011】
移動装置8は、自動車である。移動装置8は、移動装置8の主体を構成する移動装置本体80と、移動装置本体80に搭載された表示システム1とを備えている。移動装置本体80は、路面94に沿って移動可能な車体である。本実施形態の移動装置本体80は、運転席81及びハンドル82を移動装置本体80の右半部に有している。
【0012】
移動装置本体80は、ウインドシールド(フロントガラス)83及びダッシュボード84を有している。ダッシュボード84は、ウインドシールド83の下方に位置している。表示システム1は、ウインドシールド83に下方から画像91となる光を照射するように、移動装置本体80に設置されている。本実施形態の表示システム1は、ダッシュボード84の内部に設置されており、運転席81の前方に位置している。図5に示すように、表示システム1から発した光がウインドシールド83に照射されると、この光はウインドシールド83で反射して運転者であるユーザの目に入る。
【0013】
(1.2)表示システム
表示システム1は、ウインドシールド83に光を照射することで、図4に示すように、自動車の前方に設定された対象空間93に、虚像となる画像91を投影する。以下、この画像91を虚像91という。この場合、ユーザは、対象空間93に投影された虚像91を、ウインドシールド83を通して視認する。本開示における「虚像」は、表示システム1から出射した光がウインドシールド83等の反射部材に当たって発散したとき、その発散光線によって、実際に物体があるように結ばれる像を意味する。このため、移動装置8を運転しているユーザは、表示システム1によって投影された虚像91を、自動車の前方に広がる実空間に重ねて見ることができる。したがって、表示システム1によれば、例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等の、種々の運転支援情報を、虚像91として表示し、ユーザに視認させることができる。これにより、ユーザは、ウインドシールド83の前方に視線を向けた状態から僅かに視線を移動するだけで、運転支援情報を見ることができる。
【0014】
表示システム1は、表示システム1の光軸92に交差する仮想面90上に、虚像91を形成する。本実施形態では、光軸92は、移動装置8の前方の対象空間93において、路面94に沿っている。虚像91が形成される仮想面90は、路面94に対して略垂直である。例えば、路面94が水平面である場合には、虚像91は鉛直面に沿って表示される。以下では、各々が互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、図1図4等に示すように、X軸方向を第1方向D1とし、Y軸方向を第2方向D2とし、Z軸方向を第3方向D3として、表示システム1について説明する。
【0015】
図5に示すように、表示システム1は、投影ユニット2及び光学系6を備えている。投影ユニット2は、表示面32を有している。表示面32は、対象空間93に虚像91(図4参照)として投影される画像を表示する。光学系6は、投影ユニット2の表示面32に表示された画像から発した光をウインドシールド83に導く。つまり、光学系6は、表示面32から発した光を所定位置に照射する。以下、表示面32に表示された画像から発した光を表示光という。
【0016】
表示システム1は、図1及び図2に示す筐体7を更に備えている。筐体7は、光学系6(図3参照)を保持している。筐体7は、図6に示すように、第3方向D3に分割可能な第1部材71及び第2部材72を有している。第1部材71及び第2部材72の各々は、樹脂製である。第1部材71及び第2部材72は、第3方向D3において相対的に近づく方向に移動することで、組み合わされる。
【0017】
第1部材71は、表示システム1が移動装置8に設置された状態において、筐体7の下半部を構成する下ケースである。第1部材71は、第2部材72に向かって開口した箱状に形成されている。第1部材71は、底部710と、底部710の周縁から第2部材72に向かって突出した周壁部711とを有している。
【0018】
第2部材72は、表示システム1が移動装置8に設置された状態において、筐体7の上半部を構成する上ケースであり、第1部材71に向かって開口した箱状に形成されている。第2部材72は、第1部材71の底部710に対向した天井部720と、天井部720の周縁から第1部材71に向かって突出した周壁部721とを有している。第2部材72は、周壁部721の第1部材71側の端部と、第1部材71の周壁部711の第2部材72側の端部とが突き合わされた状態で、複数の固着具73によって第1部材71に固定されている。各固着具73は、ねじである。なお、各固着具73は、ボルト、釘、リベット等であってもよい。
【0019】
図3に示すように筐体7の内部には、内部空間74が形成されている。内部空間74は、第1部材71の底部710及び周壁部711、並びに第2部材72の天井部720及び周壁部721によって囲まれた空間である。第1部材71の底部710には、投影ユニット2の表示面32から発した表示光の入口となる開口712が形成されている。開口712は、底部710を貫通した孔であり、筐体7の内部空間74に通じている。
【0020】
第2部材72の天井部720には、投影ユニット2の表示面32から筐体7の内部空間74に入った表示光の出口となる出射口722が形成されている。出射口722は、天井部720を貫通した孔であり、筐体7の内部空間74に通じている。筐体7は、透光性を有するカバー75を更に有している。カバー75は、第2部材72の出射口722を覆うように、第2部材72に取り付けられている。
【0021】
投影ユニット2は、図7に示すように、第1部材71の底部710の外面に沿って位置した状態で、第1部材71に取り付けられている。投影ユニット2の表示面32は、筐体7の開口712に対向し、開口712を介して筐体7の内部空間74に臨んでいる。図3に示すように、筐体7の内部空間74には、光学系6が位置している。投影ユニット2の表示面32から発せられた表示光は、筐体7の開口712を通過して内部空間74に入り、この後、光学系6によって出射口722に導かれ、カバー75を通過してウインドシールド83(図5等参照)に向かって照射される。すなわち、筐体7の内部空間74は、表示光の経路として利用される。
【0022】
光学系6は、第1ミラー61と第2ミラー62との二つのミラーを有している。各ミラー61,62は、筐体7の内部空間74に位置している。第1ミラー61は鏡面610を有し、第2ミラー62は鏡面620を有している。以下、鏡面610を第1鏡面610といい、鏡面620を第2鏡面620という。
【0023】
第1鏡面610は、投影ユニット2の表示面32に対向している。第1鏡面610は、凹面である。なお、第1鏡面610は、球面又は非球面のいずれであってもよい。また、第1鏡面610は、平面であってもよいし、凸面であってもよい。第1鏡面610は、投影ユニット2から発せられた表示光を第2ミラー62に向けて反射する。
【0024】
第2鏡面620は、第1鏡面610に対向している。第2鏡面620は、凹面である。なお、第2鏡面620は、球面又は非球面のいずれであってもよい。また、第2鏡面620は、平面であってもよいし、凸面であってもよい。第2鏡面620は、第1鏡面610で反射した表示光を、ウインドシールド83(図4参照)に向けて反射する。第2鏡面620で反射した表示光は、カバー75を通過してウインドシールド83に照射される。これにより、対象空間93に虚像91が投影される。
【0025】
(1.3)投影ユニット
図8に投影ユニット2の斜視図を示し、図9に投影ユニット2の分解斜視図を示す。投影ユニット2は、表示器3を有している。表示器3は、バックライトから発した光を利用して画像を表示する液晶パネルである。図9に示すように、表示器3は、表面30と裏面31とを有している。表面30は、板状の表示器3の厚み方向における一方の面であり、裏面31は、表示器3における表面30とは反対側の面である。表面30は、対象空間93に投影される画像を表示する表示面32(図10参照)を有している。表示面32は、表示器3の表面30の一部である。なお、表示面32は、表示器3の表面30の全体であってもよい。
【0026】
投影ユニット2は、光源20を更に有している。光源20は、表示器3の表面30とは反対側に位置し、表示器3のバックライトとして用いられる。すなわち、投影ユニット2は、光源20から発した光を表示器3に照射することで、表示器3の表示面32に画像を表示する。以下、光源20から表示器3に向かって発せられる光を照明光という。
【0027】
投影ユニット2は、ハウジング4、プリント基板23、放熱器26、レンズ21、レンズ22、放熱器25、伝熱部材24、拡散板27、温度センサ28及び弾性部材5を更に有している。以下、レンズを第1レンズ21といい、レンズを第2レンズ22という。また、放熱器25を第1放熱器25といい、放熱器26を第2放熱器26という。
【0028】
ハウジング4は、プリント基板23、光源20、第1レンズ21、第2レンズ22、第1放熱器25の一部、伝熱部材24、拡散板27、表示器3及び温度センサ28を収容している。ハウジング4は、樹脂製である。ハウジング4は、筒状部40と、仕切部41とを有している。筒状部40は、筒状部40の軸方向から見て長方形枠状に形成されている。筒状部40は、壁部400を有している。壁部400は、長方形枠状の筒状部40の一辺を構成し、表示システム1が移動装置8に設置された状態において後側に面する。なお、以下では、筒状部40の軸方向における一方側を単に「一方側」といい、一方側とは反対側を単に「他方側」という。
【0029】
図7に示すように、筒状部40における一方側の端面は、弾性部材5を介して筐体7の第1部材71の底部710の外面に沿っている。ハウジング4は、このように筐体7の外面に沿った状態で、複数の固着具42(図2参照)によって第1部材71に取り付けられている。これによって、投影ユニット2は、筐体7に対して固定されている。各固着具42は、ねじである。なお、各固着具73は、ボルト、釘、リベット等であってもよい。
【0030】
仕切部41は、筒状部40の内部に位置し、筒状部40と一体に接続されている。仕切部41は、筒状部40の内部を、他方側に位置する領域である第1領域401と、一方側に位置する領域である第2領域402とに仕切っている。仕切部41には、仕切部41を筒状部40の軸方向に貫通した孔410が形成されている。孔410は、第1領域401と第2領域402とに通じている。
【0031】
図9に示すように、ハウジング4は、複数のリブ43を更に有している。各リブ43は、第2領域402に位置しており、仕切部41と筒状部40とにつながっている。ハウジング4は、複数の掛止部44を更に有している。各掛止部44は、仕切部41から一方側に向かって突出している。
【0032】
ハウジング4は、複数の突起45(図8参照)を更に有している。各突起45は筒状部40に形成されている。各突起45は、筒状部40における一方側(第1部材71側)の端面から一方側に向かって突出している。
【0033】
図7に示すように、プリント基板23及び光源20は、第1領域401に位置している。プリント基板23は、仕切部41における他方側の面に沿っている。光源20は、プリント基板23における一方側の面に実装された複数の発光ダイオード200を有している。複数の発光ダイオード200は、仕切部41の孔410に対向している。複数の発光ダイオード200は、仕切部41の孔410に照明光を発する。なお、光源20は、発光ダイオード200を少なくとも一つ有すればよく、例えば、発光ダイオード200を一つだけ有してもよい。また、光源20が有する発光素子は、発光ダイオード200に限られず、電球、放電灯、有機エレクトロルミネッセンス等であってもよい。
【0034】
第2放熱器26は、プリント基板23及び光源20で発生した熱をハウジング4の外部に放散する。このため、プリント基板23及び光源20は、高温になり難い。第2放熱器26は、金属製であり、ハウジング4よりも伝熱性が優れている。第2放熱器26は、例えば、アルミダイキャスト製である。第2放熱器26は、ハウジング4の筒状部40の他方側の端面に沿っている。第2放熱器26は、第1領域401及びこの第1領域401に位置したプリント基板23を、他方側から覆っている。第2放熱器26及びプリント基板23は、図2に示す複数の固着具29によってハウジング4に取り付けられている。各固着具29は、ねじである。なお、各固着具29は、ボルト、釘、リベット等であってもよい。
【0035】
第2放熱器26の大部分は、ハウジング4の外部に露出した放熱部分260である。第2放熱器26の熱は、放熱部分260において放散する。図7に示すように、第2放熱器26は、プリント基板23に接触している。これにより、第2放熱器26は、プリント基板23及び光源20に熱的に接続されている。
【0036】
図2に示すように、第2放熱器26の放熱部分260は、筒状部40の他方側の端面に沿った板状部261と、板状部261から筒状部40とは反対側に向かって突出した複数のフィン部262とを有している。
【0037】
図7に示す第1レンズ21は、プリント基板23と仕切部41とで挟まれている。これにより、第1レンズ21は、ハウジング4に対して固定されている。第1レンズ21は、樹脂製である。第1レンズ21は、光源20から発せられた照明光を屈折して第2レンズ22に照射する。これにより、照明光は、第2レンズ22に効率良く到達する。
【0038】
ハウジング4の第2領域402には、第2レンズ22、第1放熱器25、伝熱部材24、拡散板27及び表示器3が位置している。第2レンズ22、第1放熱器25、伝熱部材24、拡散板27及び表示器3は、この順序で、仕切部41から一方側に向かって並んでいる。
【0039】
第2レンズ22は樹脂製である。第2レンズ22は、仕切部41における一方側の面に沿っている。第2レンズ22は、図9に示すハウジング4の複数のリブ43に囲まれている。複数のリブ43は、第2レンズがハウジング4の軸方向と交差する方向に移動することを規制する。第2レンズ22の一部は、ハウジング4の掛止部44と仕切部41との間に位置して掛止部44に引っ掛けられている。掛止部44は、第2レンズ22が一方側に移動することを規制する。第2レンズ22は、仕切部41の孔410を覆っている。第2レンズ22は、第1レンズ21を通過した照明光を屈折し、伝熱部材24に照射する。これにより、照明光は、伝熱部材24に効率良く当たる。
【0040】
第1放熱器25は、表示器3の熱をハウジング4の外部に放散する。このため、表示器3に照明光、太陽光等が照射されたとしても、表示器3は高温になり難い。第1放熱器25は、板状に形成されている。具体的に第1放熱器25は、板金製であり、金属板を曲げ加工することによって形成されている。
【0041】
第1放熱器25は、接触部250と、延出部254とを有している。第1放熱器25は、接触部250及び延出部254のみからなる。接触部250は、ハウジング4の内部の第2領域402に位置している。接触部250は、表示面32に直交する方向から見て長方形の枠状で、かつ、表示器3の表示面32と平行な板状に形成されている。枠状の接触部250の内側には、貫通孔256が形成されている。貫通孔256は、接触部250を筒状部40の軸方向に貫通した長方形状の孔である。第2レンズ22を通過した照明光は、貫通孔256を通過して伝熱部材24に到達する。
【0042】
接触部250は、ハウジング4の筒状部40と複数のリブ43の一部とで、他方側から支持されている。筒状部40と複数のリブ43は、接触部250がハウジング4の軸方向と交差する方向に移動することを規制する。接触部250は伝熱部材24に接触し、伝熱部材24は拡散板27に接触し、拡散板27は表示器3に接触している。これにより、第1放熱器25の接触部250は、伝熱部材24及び拡散板27を介して、表示器3に熱的に接続されている。このため、表示器3の熱は、拡散板27及び伝熱部材24を伝って接触部250に伝達される。
【0043】
延出部254は、接触部250から延び出ている。延出部254の一部は、ハウジング4の外部に位置した放熱部分255である。接触部250の熱は延出部254に伝わり、放熱部分255において放散する。延出部254は、接触部250におけるハウジング4の壁部400側の端縁につながっている。延出部254は、接触部250の壁部400側の端縁の全長にわたっている。
【0044】
延出部254は、接触部250における壁部400側の端縁が延びる方向から見て、U字状に形成されている。延出部254は、第1片251、第2片252及び第3片253を有している。第1片251、第2片252及び第3片253は、この順序で、接触部250の一辺から連続している。第1片251は、接触部250における壁部400側の端縁から、壁部400の内面に沿って一方側に突出している。第2片252は、第1片251における接触部250とは反対側の端縁から、壁部400の一方側の端面に沿って接触部250とは反対側に向かって突出している。第3片253は、第2片252における第1片251とは反対側の端縁から、壁部400の外面に沿って他方側に向かって突出している。図7に示すように、第3片253における壁部400とは反対側の面は、ハウジング4によって覆われておらず、ハウジング4の外部に露出している。本実施形態では、第1放熱器25の一端部を構成する第3片253が、第1放熱器25の熱を放散する放熱部分255である。
【0045】
図9に示す第1放熱器25は、第1放熱器25の一端部に位置する第2片252及び第3片253だけがハウジング4の外部に位置し、他の部分はハウジング4の内部に位置している。これにより、第1放熱器25は、第1放熱器25の四方のうちの三方がハウジング4によって覆われている。このため、第1放熱器25には、ハウジング4の外部に存在する塵や埃等が付着し難い。ここで、「四方」とは、接触部250の厚み方向と直交する面と平行で、かつ、互いに直交する四つの方向である。第1放熱器25に塵や埃等が付着し難くするには、第1放熱器25は、ハウジング4と第1部材71との間において、四方のうちの少なくとも一方がハウジング4によって覆われていればよい。したがって、第1放熱器25は、四方のうちの一方だけ又は二方だけがハウジング4によって覆われてもよい。なお、第1放熱器25は、四方の全てがハウジング4によって覆われてもよいし、四方の全てがハウジング4によって覆われなくてもよい。
【0046】
延出部254における第1片251及び第2片252は、表示器3の裏面31よりも一方側(表面30側)に位置し、第2片252及び第3片253は、ハウジング4の外部に位置している。すなわち、延出部254は、第2片252で構成された部分を有し、この部分は、表示器3の裏面31よりも表面30側に位置し、かつ、ハウジング4の外部に位置している。このため、接触部250によって表示器3を裏面31側から支持しつつ、延出部254の一部をハウジング4の外部に位置させて第1放熱器25の放熱性を向上できる。
【0047】
図2及び図3に示すように、投影ユニット2は、断熱構造100を有している。断熱構造100は、第1放熱器25と第2放熱器26との間に位置し、第1放熱器25と第2放熱器26とを断熱する。断熱構造100は、断熱空間101と、断熱部102とを有している。断熱空間101は、ハウジング4の筒状部40の外面に形成された凹所403内の空間である。凹所403は、筒状部40の壁部400の外面に形成されており、壁部400に直交する方向から見て長方形状である。凹所403は、他方側(第2放熱器26側)に向かって開口している。
【0048】
第2放熱器26の板状部261は、ハウジング4の軸方向から見て、第1放熱器25の第3片253と重なる重複部263を有している。断熱空間101は、第1放熱器25の第3片253と、第2放熱器26の重複部263との間に位置している。断熱空間101には、ハウジング4よりも熱伝導率が低い空気が存在する。このため、第2放熱器26の放熱部分260の熱は、第1放熱器25の放熱部分255に伝わり難く、第1放熱器25の放熱性の低下が抑制される。
【0049】
断熱部102は、ハウジング4の筒状部40の外面に形成された突条である。断熱部102は、第1放熱器25の第3片253における他方側(第2片252とは反対側)の端面に沿っている。なお、断熱部102は、第3片253と接触してもよいし、第3片253と接触しなくてもよい。
【0050】
断熱部102における他方側(第3片253とは反対側)の面は、凹所403の一方側(第3片253側)の面を構成しており、断熱部102は断熱空間101を介して第2放熱器26の重複部263と対向している。すなわち、断熱部102は、第3片253と第2放熱器26の重複部263との間に位置している。このため、第2放熱器26の重複部263から第1放熱器25の第3片253に向かって放射した熱が断熱壁で遮られやすく、重複部263から第3片253に熱が伝わり難い。
【0051】
図7に示す伝熱部材24は、表示器3から拡散板27を通って伝熱部材24に伝わった熱を第1放熱器25に伝達する。伝熱部材24は、ガラス製であって、透光性を有している。伝熱部材24は、表示面32に直交する方向から見て左右方向に長い長方形状で、かつ、第1放熱器25の接触部250における第1部材71側の面に沿った板状に形成されている。つまり、伝熱部材24はガラス板である。伝熱部材24は、接触部250と拡散板27とに挟まれている。伝熱部材24は、図9に示すハウジング4の複数のリブ43と筒状部40とに囲まれている。筒状部40及び複数のリブ43は、伝熱部材24が筒状部40の軸方向と交差する方向に移動することを規制する。伝熱部材24は、第1放熱器25の貫通孔256を覆っている。第1放熱器25の貫通孔256を通過した照明光は、伝熱部材24を通って拡散板27に到達する。伝熱部材24における一方側の面は、拡散板27における他方側の面の全体又は大部分に接触している。このため、拡散板27の熱は、伝熱部材24に伝わりやすい。
【0052】
拡散板27は、伝熱部材24を通過した照明光を拡散する。拡散板27は、樹脂製であり、透光性を有している。拡散板27は、略長方形状のシートである。拡散板27は、伝熱部材24と表示器3とに挟まれている。拡散板27は、ハウジング4の複数のリブ43に囲まれている。複数のリブ43は、拡散板27が筒状部40の軸方向に交差する方向に移動することを規制する。拡散板27で拡散した照明光は、表示器3の裏面31に到達する。拡散板27における表示器3側の面は、表示器3の裏面31の全体又は大部分に亘っている。このため、表示器3の熱は、拡散板27を介して伝熱部材24に伝わりやすい。
【0053】
表示器3は、拡散板27と弾性部材5とに挟まれている。表示器3は、拡散板27及び伝熱部材24を介して、第1放熱器25の接触部250によって、他方側から支持されている。すなわち、第1放熱器25は、表示器3を表示面32とは反対側から支持する。表示器3は、略長方形の板状に形成されている。表示器3は、ハウジング4の筒状部40と複数のリブ43とに囲まれている。筒状部40及び複数のリブ43は、表示器3が筒状部40の軸方向と交差する方向に移動することを規制する。すなわち、ハウジング4は、表示器3を位置決めしている。
【0054】
表示器3の表示面32は、表示器3の表面30における長方形状の領域である。拡散板27から表示器3の裏面31に照射された照明光は、表示器3を通過し、表示面32から表示光として出射する。表示面32から出射した表示光は、光軸が表示面32に直交する光である。
【0055】
図10に示すように、表示面32は、表示領域33と非表示領域34とを有している。なお、図10では、表示領域33の周縁及び非表示領域34の外周縁の各々を二点鎖線で示している。本実施形態の表示面32は、表示領域33及び非表示領域34のみからなる。表示領域33は、画像を表示する領域であり、表示面32において表示器3のアクティブな液晶に対応する領域(アクティブ領域)である。画像は、例えば、文字、図形等を含む。なお、画像は、静止画又は動画のいずれであってもよい。非表示領域34は、表示領域33を囲んだ枠状の領域であり、表示領域33に隣接している。非表示領域34は、その表示状態は変化せず画像は表示しないが、表示器3を透過した照明光を表示光として発する。
【0056】
表示領域33は、非長方形状である。具体的に表示領域33は、第1辺331~第4辺334の四つの辺を外周縁として、これら4辺で囲まれた略四角形状の領域である。第1辺331と第2辺332とは、第2方向D2において離れて位置し、第3辺333と第4辺334とは、第1方向D1において離れて位置している。表示システム1が移動装置8に設置された状態において、第1辺331は第2辺332よりも左方に位置し、第3辺333は第4辺334よりも前方に位置している。
【0057】
第3辺333は、第1辺331の一端と第2辺332の一端とをつないでいる。第4辺334は、第1辺331における第3辺333とは反対側の端と、第2辺332における第3辺333とは反対側の端とをつないでいる。第1辺331及び第2辺332の各々は、直線状であり、第3辺333及び第4辺334の各々は、湾曲した曲線状である。第1辺331は第1方向D1と略平行であり、第2辺332は第4辺334に近づくほど第1辺331から離れるように第1方向D1に対して傾斜している。すなわち、表示面32に直交する方向から見て、第1辺331の第1方向D1に対する傾斜角度は、第2辺332の第1方向D1に対する傾斜角度よりも大きい。第3辺333は第4辺334側に向かって凸となる弧状である。第4辺334は第3辺333とは反対側に向かって凸となり、かつ、曲率が第3辺333の曲率よりも小さい弧状である。第1方向D1において、第1辺331における第3辺333側の端は、第2辺332における第3辺333側の端よりも第4辺334側に位置している。第1方向D1において、第1辺331における第4辺334側の端は、第2辺332における第4辺334側の端よりも第3辺333とは反対側に位置している。
【0058】
表示領域33を上述した非長方形状とすることで、対象空間93に投影される虚像91(図4参照)において表示領域33から発した表示光によって形成される領域(後述する第1領域401)は、左右方向に長い長方形状となる(図12参照)。すなわち、非長方形状の表示領域33から発した表示光は、第1ミラー61、第2ミラー62及びカバー75(図5参照)を経てウインドシールド83の曲面となった内面に当たることで補正される。これにより、対象空間93には、表示領域33から発した表示光によって形成された長方形状の画像が投影される。
【0059】
図9に示す温度センサ28は、サーミスタであり、表示器3の温度を検知する。本実施形態の温度センサ28は、表示器3の表面30において表示領域33以外の部分に取り付けられており、表示器3において弾性部材5に対向する面に位置している。温度センサ28は、表面30の温度を検知する。温度センサ28で検知した温度は、例えば、表示器3の異常を検知するために用いられる。なお、温度センサ28は、サーミスタに限られず、熱電対等であってもよい。
【0060】
図3に示す弾性部材5は、筐体7の第1部材71から表示器3及びハウジング4に伝わる力を緩和し、第1部材71からハウジング4及び表示器3に伝わる衝撃及び振動を和らげる。弾性部材5は、表示器3の表示面32と平行な板状に形成されている。図8に示すように、弾性部材5は、表示面32に直交する方向から見て、外形が長方形状となる枠状に形成されている。弾性部材5は、発泡ウレタン樹脂から形成されており、弾性を有している。弾性部材5は、表示器3の表示面32及びハウジング4の筒状部40における一方側の端面に沿って位置している。なお、弾性部材5は、弾性を有する部材であればよく、ゴム等であってもよい。
【0061】
弾性部材5には、複数の嵌込孔50が形成されている。各嵌込孔50は、弾性部材5を表示面32と直交する方向(弾性部材5の厚み方向)に貫通している。複数の嵌込孔50には、ハウジング4の複数のリブ43の一部と、複数の突起45とがそれぞれ嵌め込まれている。複数のリブ43の一部及び複数の突起45は、弾性部材5が筒状部40の軸方向と交差する方向に移動することを規制する。つまり、弾性部材5は、ハウジング4に固定されている。
【0062】
弾性部材5は、ハウジング4の筒状部40における一方側の端面に両面テープで固定されている。また、ハウジング4の複数のリブ43の一部と複数の突起45の各々は、対応する嵌込孔50に圧入されている。これにより、弾性部材5はハウジング4に対して固定されている。弾性部材5はハウジング4に対して脱着可能である。このため、弾性部材5をハウジング4から取り外すことで、弾性部材5で押さえられた、表示器3、拡散板27、伝熱部材24、第1放熱器25等をハウジング4から取り外すことができる。なお、弾性部材5をハウジング4に固定する方法は、変更可能である。例えば、弾性部材5は、両面テープだけでハウジング4に固定されてもよい。また、弾性部材5は、複数のリブ43の一部と複数の突起45の各々が、対応する嵌込孔50に圧入されることだけで、ハウジング4に固定されてもよい。また、弾性部材5は、接着剤等の他の手段によりハウジングに固定されてもよい。
【0063】
弾性部材5には、センサ用孔53が形成されている。センサ用孔53は、弾性部材5を表示面32と直交する方向に貫通している。センサ用孔53は、表示器3の表面30に取り付けた温度センサ28(図9参照)に対向している。すなわち、センサ用孔53は、弾性部材5において温度センサ28に対応する部分に形成されている。
【0064】
温度センサ28は、センサ用孔53に位置しており、弾性部材5に対して非接触である。このため、例えば、第1部材71等から弾性部材5に力が加わったとしても、この力が弾性部材5を介して温度センサ28に加わり難い。したがって、温度センサ28は、外部から力を受け難い。
【0065】
ハウジング4に固定された弾性部材5は、図7に示すように、表示器3に接触し、第1放熱器25、拡散板27、伝熱部材24及び表示器3が、一方側に移動することを規制する。すなわち、弾性部材5は、第1放熱器25、拡散板27、伝熱部材24及び表示器3が、一方側に移動することを規制する押さえ部材を兼ねている。
【0066】
弾性部材5は、表示器3の表面30と、筒状部40における一方側の端面とで、第1部材71に直接押し付けられている。これにより、弾性部材5は、表示器3と第1部材71とに挟まれ、かつ、ハウジング4と第1部材71とに挟まれている。弾性部材5は、筒状部40の周方向の全長にわたっており、筒状部40と第1部材71との間を封止している。このため、表示器3等が存在するハウジング4の内部には、塵や埃等が入り込み難い。
【0067】
図11に示すように、第1部材71は、内側挟持部723、外側挟持部724及び複数のリブ725を更に有している。内側挟持部723は、第1部材71の底部710において開口712を囲んだ枠状の部分であり、開口712の周縁から外側に離れて位置している。
【0068】
外側挟持部724は、底部710における内側挟持部723の周辺部から投影ユニット2側(底部710の外面側)に向かって突出している。外側挟持部724は、内側挟持部723を囲んだ長方形枠状に形成されている。枠状の外側挟持部724は、枠状の内側挟持部723の外側に離れて位置している。複数のリブ725は、底部710における内側挟持部723と外側挟持部724との間の環状の領域728から底部710の外面側に向かって突出している。複数のリブ725は、環状の領域728の周方向に間隔をあけて並んでいる。各リブ725は、表示面32と直交する方向から見て、同一方向に直線状に延びている。底部710の環状の領域728において複数のリブ725が存在しない部分は、底部710の内面側に向かって凹んだ凹所となっている。枠状の内側挟持部723と枠状の外側挟持部724とは、複数のリブ725を介してつながっている。
【0069】
図7に示すように、内側挟持部723における投影ユニット2側の端面、外側挟持部724における投影ユニット2側の端面及び各リブ725の投影ユニット2側の端面は、面一に連続して平面を構成しており、弾性部材5における表示器3とは反対側の面に接している。弾性部材5は、底部710における内側挟持部723、外側挟持部724及び複数のリブ725からなる部分と、投影ユニット2の表示器3及び筒状部40からなる部分とで挟まれて圧縮されている。
【0070】
表示器3は、弾性部材5において開口712に対応する部分を囲む第1部分(内側挟持部723に対応する部分)を第1部材71に押し付けており、また、ハウジング4は、弾性部材5において第1部分を囲む第2部分(外側挟持部724に対応する部分)を第1部材71に押し付けている。したがって、弾性部材5は、枠状の内側挟持部723と、この外側に位置する枠状の外側挟持部724との2か所で挟まれている。このため、塵や埃等が、第1部材71の底部710とハウジング4の筒状部40との間から、筒状部40の内部に入り込み難い。また、各リブ725における投影ユニット2側の端面726は平面であって、弾性部材5における表示器3とは反対側の面に沿ったガイド面を構成する。このため、投影ユニット2を第1部材71に取り付けるときには、投影ユニット2の弾性部材5を、複数のリブ725のガイド面に沿ってスライドさせることができるため、投影ユニット2を第1部材71に取り付けやすくなる。
【0071】
図8に示すように、枠状の弾性部材5の内側には、弾性部材5を表示面32と直交する方向(弾性部材5の厚み方向)に貫通した窓孔54が形成されている。窓孔54は、表示器3の表示面32から発した表示光の経路上に位置している。窓孔54は、表示面32と直交する方向から見て、表示面32の表示領域33(図10参照)よりもサイズが大きく、かつ、表示領域33と相似形状である。窓孔54は、表示面32から発した表示光のうち、表示領域33の全体から発した表示光及び枠状の非表示領域34における内周部から発した表示光のみを通過させる。すなわち、弾性部材5は、表示面32から発した表示光のうち、枠状の非表示領域34における外周部から発した表示光のみを遮り、表示領域33の全体及び非表示領域34の内周部から発した表示光は遮らない。なお、弾性部材5は表示面32から発した表示光を遮らなくてもよい。すなわち、この場合、表示面32から発した表示光の全部が、窓孔54を通過する。
【0072】
弾性部材5の窓孔54を通過した表示光は、図7に示す第1部材71の開口712を通って第1ミラー61(図3参照)に照射される。すなわち、開口712は、表示面32から発した表示光の経路上に位置している。開口712は、表示面32に直交する方向から見て、弾性部材5の窓孔54よりもサイズが小さく、開口712の周縁は、窓孔54の周縁よりも内側に位置している。このため、第1部材71における開口712の周縁部は、表示器3の表示面32から発した表示光の外周部の進行を遮り、これにより、表示光の形状を規定する。すなわち、この場合、第1部材71は、表示器3の表示面32から発した表示光の形状を規定する遮光部材として機能する。つまり、遮光部材は、筐体7の一部である。
【0073】
図10に示すように、第1部材71の開口712の周縁は、表示面32に直交する方向から見て、表示領域33の外周形状に沿った形状である。ここで、本開示における「表示領域33の外周形状に沿った形状」には、表示面32に直交する方向から見て、表示領域33の周縁と完全に一致する形状と、表示領域33の周縁と相似形状となる形状とが含まれる。
【0074】
本実施形態の第1部材71の開口712の周縁は、表示領域33の外周形状と相似形状である。また、表示面32に直交する方向から見て、第1部材71の開口712は、表示領域33よりもサイズが大きく、開口712の周縁は、表示領域33の外周縁の外側に位置している。このため、仮に表示システム1における各部材の寸法、取付位置等に誤差が生じたとしても、表示領域33から発せられた表示光が、第1部材71の開口712の周縁によって遮られ難い。なお、本開示における「相似形状」には、表示領域33の周縁の形状と開口712の周縁の形状とが完全な相似となる形状だけでなく、表示領域33の周縁と開口712の周縁とが概ね相似形状であって、表示面32に直交する方向から見て、表示領域33の周縁と開口712の周縁との間隔が、所定の範囲内において変化する場合も含まれる。
【0075】
具体的に開口712の周縁は、表示面32に直交する方向から見て、表示領域33の第1辺331~第4辺334にそれぞれ対応する、第1辺7121~第4辺7124を有している。開口712は、第1辺7121~第4辺7124の四つの辺を周縁として、これら4辺で囲まれた略四角形状の領域である。第1辺7121と第2辺7122とは、第2方向D2において離れて位置し、第3辺7123と第4辺7124とは、第1方向D1において離れて位置している。表示システム1が移動装置8に設置された状態において、第1辺7121は第2辺7122よりも左方に位置し、第3辺7123は第4辺7124よりも前方に位置している。
【0076】
第3辺7123は、第1辺7121の一端と第2辺7122の一端とをつないでいる。第4辺7124は、第1辺7121における第3辺7123とは反対側の端と、第2辺7122における第3辺7123とは反対側の端とをつないでいる。第1辺7121及び第2辺7122の各々は、直線状であり、第3辺7123及び第4辺7124の各々は、湾曲した曲線状である。第1辺7121は第1方向D1と略平行であり、第2辺7122は第4辺7124に近づくほど第1辺7121から離れるように第1方向D1に対して傾斜している。すなわち、表示面32に直交する方向から見て、第1辺7121の第1方向D1に対する傾斜角度は、第2辺7122の第1方向D1に対する傾斜角度よりも大きい。第3辺7123は第4辺7124側に向かって凸となる弧状である。第4辺7124は第3辺7123とは反対側に向かって凸となり、かつ、曲率が第3辺7123の曲率よりも小さい弧状である。第1方向D1において、第1辺7121における第3辺7123側の端は、第2辺7122における第3辺7123側の端よりも第4辺7124側に位置している。第1方向D1において、第1辺7121における第4辺7124側の端は、第2辺7122における第4辺7124側の端よりも第3辺7123とは反対側に位置している。
【0077】
つまり、本実施形態の開口712の周縁は、二つの直線状の辺と、二つの曲線状の辺とで構成されている。なお、開口712の周縁の形状は、表示領域33の外周縁に沿った形状であればよく、本実施形態の形状に限定されない。例えば、開口712の周縁は、曲線状の辺を一つだけ有してもよいし、三つ以上有してもよい。また、開口712は、三角形状、略五角形状、円形状、楕円形状など、略四角形状以外の形状であってもよい。また、開口712は、長方形状であってもよい。
【0078】
第1部材71の開口712を通過した表示光は、以後、他の部材によって遮られることなくウインドシールド83に到達する。このため、表示システム1によって対象空間93に投影される虚像91は、表示面32の表示領域33から発した表示光と、非表示領域34の内周部から発した表示光とによって形成される。すなわち、この虚像91は、図12に示すように、表示領域33から発した表示光によって形成される第1領域401と、非表示領域34の内周部から発した表示光によって形成される第2領域402とを含む。ここで、表示システム1における各部材の寸法、取付位置等に誤差が生じた場合、第2領域402の一部は表示されない可能性があるが、第1領域401は、全体が表示される可能性が高い。上述したように、第1部材71の開口712の周縁は、表示領域33の周縁よりも大きいためである。
【0079】
本実施形態の表示システム1では、図10に示すように、第1部材71の開口712の周縁が、表示領域33の外周形状に沿った形状である。このため、表示システム1によって対象空間93に投影される虚像91は、第2領域402の外周縁が第1領域401の外周縁に沿った見栄えが良く違和感が生じ難い画像になりやすい。
【0080】
仮に第1部材71の開口712の周縁が長方形状である場合、表示システム1によって対象空間93に投影される虚像91は、図13に示すように、第2領域402の外周縁が第1領域401の外周縁に沿わない形状になりやすい。図12図13を比較することで、本実施形態の表示システム1が、虚像91を見栄えのよい画像にできることが理解できる。
【0081】
また、本実施形態の弾性部材5は、図7に示すように、第1放熱器25、拡散板27、伝熱部材24及び表示器3が第1部材71側に移動することを規制する押さえ部材を兼ねている。このため、投影ユニット2の部品点数を削減することができる。また、仮に投影ユニット2が弾性部材5の第1部材71側への移動を規制する押さえ部材を有する場合、表示器3と筐体7の第1部材71との間には、弾性部材5に加えて押さえ部材が位置し、表示器3の表示面32から第1部材71の開口712までの距離が長くなりやすい。この場合、表示面32から発した表示光が、第1部材71における開口712の周縁部によって遮られやすくなり、表示面32において表示領域33として利用できる範囲が狭くなってしまう。しかし、本実施形態の投影ユニット2は、弾性部材5とは別に、押さえ部材を備える必要がない。このため、表示面32から発した表示光が、第1部材71における開口712の周縁部によって遮られ難くなり、表示面32の表示領域33を有効に利用できる。
【0082】
本実施形態の第1部材71の開口712の周縁を構成する内周面は、表示器3の表示面32に直交する方向と平行であるが、図14A及び図14Bに示すように、表示面32に直交する方向に対して傾いた傾斜面713であってもよい。図14Aに示す傾斜面713は、表示面32に近い部分ほど開口712の外側に位置するように傾斜している。また、図14Bに示す傾斜面713は、表示面32に近い部分ほど開口712の内側に位置するように傾斜している。このように第1部材71の開口712の周縁を構成する内周面を傾斜面713とすることで、表示面32から発した表示光が、開口712の周縁によって遮られる量が抑制され、表示面32の表示領域33を有効に利用できる。
【0083】
また、本実施形態において、表示器3の表示面32から発した表示光の形状を規定する遮光部材は、第1部材71であるが、第1部材71以外の部材であってもよい。図14Cに、遮光部材を弾性部材5とした例を示す。この例では、弾性部材5における窓孔54の周縁によって表示面32から発した表示光の形状を規定しており、窓孔54は上記実施形態における開口712と形状及び大きさが同じ開口である。このように遮光部材をハウジング4に対して脱着可能な弾性部材5とすることで、弾性部材5を窓孔54(開口)の形状が異なる他の弾性部材5に交換することができる。このため、例えば、表示システム1を他の移動装置8に設置する場合等にも、弾性部材5を当該他の移動装置8に適した形状の窓孔54を有する弾性部材5に交換するだけで、見栄えの良い画像91を投影することが可能になる。
【0084】
(1.4)第1ミラー及びその取付構造
図15に示すように、第1ミラー61は、第1鏡面610と、第1鏡面610を保持した保持部材611とを有している。保持部材611は、樹脂製である。保持部材611は、保持部612と、一対の固定部613とを有している。保持部612は、投影ユニット2の表示面32と略平行で、かつ、表示面32に直交する方向に見て略長方形の板状に形成されている。保持部612は、投影ユニット2側の面が凹面となり、かつ、投影ユニット2とは反対側の面が凸面となるように湾曲している。
【0085】
第1鏡面610は、保持部612における投影ユニット2側の面に設けられている。第1鏡面610は、例えば、蒸着等により保持部612における投影ユニット2側の面に形成された金属膜で構成される。
【0086】
一対の固定部613は、保持部612における長さ方向の両側の端面にそれぞれ形成されている。各固定部613は、保持部612と一体に形成されており、保持部612から保持部612の長さ方向における外側に向かって突出している。
【0087】
筐体7は、位置決構造76と、挟込構造77とを有している。挟込構造77は、第1ミラー61を第3方向D3において挟んで保持する。位置決構造76は、第1ミラー61を位置決めして第3方向D3に交差する方向に移動することを規制する。すなわち、位置決構造76は、第1ミラー61(詳しくは、後述する取付部614)が第1部材71と第2部材72とで挟まれる方向である挟み方向と交差する方向において、第1ミラー61を位置決めする。具体的に本実施形態の位置決構造76は、第1ミラー61を、第3方向(挟み方向)D3と直交する第1方向D1と、第3方向D3と直交しかつ第1方向D1と直交した第2方向D2との両方向において位置決めする。
【0088】
筐体7の第1部材71の底部710には、一対の固定部613に一対一で対応する一対の固定台714が形成されている。各固定台714は、第2部材72に向かって突出している。各固定部613は、対応する固定台714に設置された状態で固定されている。これにより、第1ミラー61は第1部材71に固定されている。
【0089】
一対の固定部613のうちの一方の固定部613である第1固定部613aは、一つの取付部614と一つの位置決部615とを有し、他方の固定部613である第2固定部613bは、二つの取付部614と一つの位置決部615とを有している。すなわち、保持部材611は、合計三つの取付部614と、合計二つの位置決部615とを有している。
【0090】
各取付部614は、対応する固定台714とは反対側に向かって突出するように曲がった突出部である。各位置決部615は、対応する固定台714とは反対側に向かって突出するように曲がった突出部である。第1固定部613aの取付部614は、第1固定部613aにおける第3方向D3の一端部に形成されており、第2固定部613bの二つの取付部614は、第2固定部613bにおける第3方向D3の両側の端部にそれぞれ形成されている。各固定部613の位置決部615は、当該固定部613における第3方向D3の中間部に形成されている。保持部材611の三つの取付部614及び二つの位置決部615の各々は、第3方向D3に見て互いに重なっておらず、第1方向D1及び第2方向D2において離れて位置している。
【0091】
一対の固定台714のうちの第1固定部613aに対応する固定台714である第1固定台714aは、第1固定部613aの取付部614に対応する一つの台部715と、第1固定部613aの位置決部615に対応する一つの嵌込部716とを有している。一対の固定台714のうちの第2固定部613bに対応する固定台714である第2固定台714bは、第2固定部613bの二つの取付部614にそれぞれ対応する二つの台部715と、第2固定部613bの位置決部615に対応する一つの嵌込部716とを有している。
【0092】
各台部715は、対応する取付部614に向かって突出した突起である。各嵌込部716は、第3方向D3において対応する位置決部615に向かって突出した突起であり、軸方向が第3方向D3と平行な円柱状に形成されている。
【0093】
保持部材611の各取付部614は、設置部616を有している。各取付部614の設置部616は、厚み方向が第3方向D3と平行な矩形の板状に形成されている。各取付部614の設置部616は、厚み方向の両側の面が第3方向D3に対して直交した平面である。第1部材71の各台部715は、第3方向D3に直交した設置面717を有している。保持部材611の各取付部614は、設置部616における厚み方向の一面を対応する台部715の設置面717に直接接触した状態で設置されている。第1ミラー61は、三つの取付部614だけが筐体7に対して接触している。
【0094】
保持部材611の各位置決部615には、第3方向D3に貫通した孔617が形成されている。第1部材71の各嵌込部716は、対応する位置決部615の孔617に嵌め込まれている。第1部材71の各嵌込部716は、対応する位置決部615が第3方向D3と交差する方向に移動することを規制する。すなわち、本実施形態では、保持部材611の複数の嵌込部716によって位置決構造76が構成されている。
【0095】
第1固定部613aの位置決部615の孔617は、第3方向D3から見て正方形状に形成されている。第1固定部613aの位置決部615の孔617は、対応する嵌込部716と、第1方向D1の寸法及び第2方向D2の寸法が略同じである。このため、第1固定部613aの位置決部615は、対応する嵌込部716によって第1方向D1及び第2方向D2の移動が規制されている。
【0096】
第2固定部613bの位置決部615の孔617は、第3方向D3から見て第2方向D2の寸法が第1方向D1の寸法よりも長い長方形状に形成されている。第2固定部613bの位置決部615の孔617の第1方向D1の寸法は、対応する嵌込部716の第1方向D1の寸法と略同じである。第2固定部613bの位置決部615の孔617の第2方向D2の寸法は、対応する嵌込部716の第2方向D2の寸法よりも大きい。このため、第2固定部613bの位置決部615は、対応する嵌込部716によって第2方向D2の移動が許容された状態で、第1方向D1の移動が規制されている。このように第2固定部613bの位置決部615の第1方向D1の移動が規制されることで、保持部材611の第1固定台714aの嵌込部716を中心にした回転が規制される。
【0097】
第1ミラー61は、三つのクッション材618を更に有している。各クッション材618は、発泡ウレタン樹脂から形成されており、弾性を有している。なお、各クッション材618は、弾性を有する部材であればよく、ゴム等であってもよい。三つのクッション材618は、保持部材611の三つの取付部614にそれぞれ一対一で対応している。各クッション材618は、第3方向D3から見て矩形の板状に形成されている。各クッション材618は、対応する取付部614の設置部616の厚み方向の両側の面のうちの第2部材72側の面(第1部材71とは反対側の面)に、両面テープを用いて取り付けられている。なお、各クッション材618を対応する取付部614に取り付ける手段は、両面テープに限定されず、例えば、接着剤等であってもよい。
【0098】
図16に示すように、筐体7の第2部材72は、三つの押さえ部727を有している。三つの押さえ部727は、第1ミラー61の三つの取付部614にそれぞれ一対一で対応し、かつ、第1ミラー61の三つのクッション材618にそれぞれ対応している。各押さえ部727は、第1部材71に向かって突出するように曲がった突起である。各押さえ部727は、対応するクッション材618を介して対応する取付部614の設置部616を第3方向D3における第1部材71側に押さえている。これにより、第1ミラー61の各取付部614は、対応するクッション材618を介して、対応する押さえ部727と対応する台部715との間に挟まれて固定されている。すなわち、本実施形態では、三つの押さえ部727、三つのクッション材618及び三つの取付部614によって、第1ミラー61を挟む挟込構造77が構成されている。
【0099】
このように本実施形態の第1ミラー61は、複数の取付部614が筐体7の第1部材71と第2部材72とで挟まれる。このため、筐体7を利用して第1ミラー61を固定することができる。また、この場合、第1ミラー61を接着剤を用いずに筐体7に固定することができるため、表示システム1の製造時間を短くすることができる。また、本実施形態の表示システム1では、取付部614と第2部材72との間にクッション材618が位置する。このため、筐体7が熱膨張等しても、筐体7から各取付部614に力が伝わり難くなり、筐体7から取付部614に加わる力によって、第1ミラー61が変形することが抑制される。特にこの場合、表示光を照射して虚像91を投影する表示システム1において重要な第1鏡面610の変形を抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態の表示システム1は、取付部614と第2部材72との間にのみクッション材618が位置し、各取付部614の設置部616は、第1部材71の対応する台部715に直接接する。このため、第1ミラー61を第1部材71に対して精度良く位置決めすることができる。また、本実施形態の第1ミラー61は、第1部材71と第2部材72との間に、三つの取付部614のみが挟まれている。このため、第1ミラー61を三つの取付部614が位置する3点でのみ挟むことができる。すなわち、この場合、平面を決めるために最低限必要な3点だけで第1ミラー61を挟むことで、第1ミラー61を精度良く位置決めすることができる。
【0101】
また、本実施形態の位置決構造76は、位置決部615の孔617と、この孔617に嵌め込まれる嵌込部716とで構成された嵌込構造を一対有している。また、一対の嵌込構造のうちの一方は、嵌込部716が、第1方向D1と第2方向D2との両方向において位置決めされた状態で、孔617に嵌まり込む。また、一対の嵌込構造のうちの他方は、嵌込部716が第1方向D1及び第2方向D2のうちの第1方向D1においてのみ位置決めされた状態で、孔617に嵌まり込む。位置決構造76における他方の嵌込構造の嵌込部716は、第1方向D1においてのみ位置決めされるため、孔617に嵌め込みやすい。このため、第1ミラー61の第1方向D1及び第2方向D2の位置決めを容易に行うことができる。なお、本実施形態では、嵌込部716が第1部材71に形成され、かつ、孔617が第1ミラー61に形成されているが、嵌込部716が第1ミラー61に形成され、孔617が第1部材71に形成されてもよい。
【0102】
本実施形態の各クッション材618は、設置部616の厚み方向の両側の面のうちの第2部材72側の面にのみ取り付けられているが、設置部616の厚み方向の両側の面のうちの第1部材71側の面にのみ取り付けられてもよい。すなわち、この場合、クッション材618は、取付部614と第2部材72との間に位置することとなる。また、各クッション材618は、設置部616の厚み方向の両側の面に取り付けられてもよい。すなわち、この場合、クッション材618は、取付部614と第1部材71との間及び取付部614と第2部材72との間の各々に位置することとなる。また、クッション材618は第1ミラー61ではなく、第2部材72の対応する押さえ部727に取り付けられてもよい。また、クッション材618を省略し、各取付部614の設置部616が、第1部材71及び第2部材72の各々に接触した状態で第1部材71と第2部材72とに挟まれてもよい。この場合、各取付部614の設置部616を第1部材71及び第2部材72に当てて、第1ミラー61を精度良く位置決めすることができる。
【0103】
(1.5)表示システムの製造方法
次に表示システム1の製造方法について説明する。表示システム1の製造方法は、投影ユニット取付工程、内蔵部品取付工程及び筐体組立工程を含んでいる。投影ユニット取付工程は、図3に示すように、投影ユニット2を筐体7の第1部材71に取り付ける工程である。投影ユニット取付工程では、投影ユニット2のハウジング4が、複数の固着具42(図2参照)によって第1部材71に固定される。これにより、投影ユニット2は、第1部材71に取り付けられる。投影ユニット2は、上述したように、ハウジング4に対して固定された弾性部材5によって、第1放熱器25、拡散板27、伝熱部材24及び表示器3が、弾性部材5側に移動することを規制する。このため、ハウジング4を第1部材71に固定する際には、第1放熱器25、拡散板27、伝熱部材24及び表示器3が筒状部40から抜け出し難くなり、ハウジング4を第1部材71に容易に固定することが可能になる。また、筐体7に取り付けられる前の投影ユニット2を容易に持ち運ぶこともできる。
【0104】
内蔵部品取付工程は、図6に示す筐体7に内蔵される部品である第1ミラー61、第2ミラー62等を、筐体7の第1部材71に取り付ける工程である。なお、内蔵部品取付工程は、投影ユニット取付工程の後に行われてもよいし、投影ユニット取付工程の前に行われてもよい。内蔵部品取付工程において、第1ミラー61を第1部材71に取り付けるには、第1ミラー61と第1部材71とを第3方向D3において近づければよい。なお、この場合、第1ミラー61を第3方向D3と平行に移動して第1部材71に近づけてもよいし、第1部材71を第3方向D3と平行に移動して第1ミラー61に近づけてもよい。このように第1ミラー61と第1部材71とを第3方向D3において近づけることで、第1ミラー61の各取付部614の設置部616(図15参照)が、第1部材71の対応する台部715の設置面717に設置され、かつ、第1ミラー61の各嵌込部716が対応する位置決部615の孔617に嵌め込まれる。これにより、第1ミラー61が第1部材71に取り付けられた状態となる。
【0105】
筐体組立工程は、内蔵部品取付工程の後に実行される。筐体組立工程は、第1部材71と第2部材72とを組み合わせ、この後、第2部材72を複数の固着具73を用いて第1部材71に固定する工程である。なお、筐体組立工程は、投影ユニット取付工程の後に行われてもよいし、投影ユニット取付工程の前に行われてもよい。筐体組立工程において、第1部材71と第2部材72とを組み合わせるには、第1部材71と第2部材72とを第3方向D3において近づければよい。なお、この場合、第1部材71を第3方向D3と平行に移動して第2部材72に近づけてもよいし、第2部材72を第3方向D3と平行に移動して第1部材71に近づけてもよい。このように第1部材71と第2部材72とを第3方向D3において近づけることで、第1部材71の各取付部614の設置部616は、第2部材72の対応する押さえ部727によって、対応するクッション材618を介して第3方向D3における第1部材71側に押さえられ、第1部材71と第2部材72とが組み合わされた状態となる。
【0106】
(2)変形例
上記実施形態の表示システム1は、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、表示器3の表示面32から発する光の形状を規定する遮光部材(第1部材71)が、表示面32から発した光の経路上に位置している。しかし、遮光部材は、表示面32から発する光の形状を規定するものであればよく、光源20から表示器3に照射される照明光の形状を規定するものであってもよい。
【0107】
また、表示器3は、液晶ディスプレイに限定されない。表示器3は、液晶ディスプレイ以外の画像表示装置、例えば、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、レーザディスプレイ等であってもよい。また、表示器3は、画像表示装置そのものでなくてもよい。例えば、表示器3は、プロジェクタと、プロジェクタの画像を写すスクリーンとを備えるシステムであってもよいし、レーザ走査装置と、レーザ走査装置のレーザの走査による画像を写すためのスクリーンとを備えるシステムであってもよい。また、表示器3は、スクリーンそのものであってもよいし、画像表示装置からの画像を写す平面鏡であってもよい。つまり、表示器3は、中間画像を表示してもよい。また、光学系6は、ミラーを一つだけ有してもよいし、三つ以上有してもよい。また、表示システム1は、光学系6を備えなくてもよい。
【0108】
また、第1部材71、第2部材72及びカバー75の各々の形状、第1ミラー61の各部材の形状、第2ミラー62の形状、投影ユニット2の各部材の形状は、変更可能である。また、第1部材71、第2部材72及びカバー75の各々の材質、第1ミラー61の各部材の材質、第2ミラー62の材質、投影ユニット2の各部材の材質は、変更可能である。また、表示システム1の各部材は、適宜省略可能である。例えば、表示システム1は、投影ユニット2であってもよい。
【0109】
また、表示システム1を備える移動装置8は、運転席81及びハンドル82を移動装置本体80の左半部に有する自動車であってもよい。また、表示システム1は、自動車に用いられるヘッドアップディスプレイに限られない。例えば、表示システム1は、二輪車、電車、航空機、建設機械、船舶等、自動車以外の移動装置8にも適用可能である。また、表示システム1は、例えば、アミューズメント施設等で用いられてもよい。
【0110】
(3)態様
以上説明した、実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の表示システム(1)は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、表示器(3)と遮光部材とを備えている。表示器(3)は、画像を表示する表示面(32)を有している。遮光部材は、表示面(32)から発する光が通過する開口(712)を有している。遮光部材は、表示面(32)から発する光の形状を規定する。表示面(32)は、画像を表示する非長方形状の表示領域(33)を含んでいる。開口(712)の周縁は、表示領域(33)の外周形状に沿った形状である。
【0111】
この態様によれば、開口(712)の周縁によって表示面(32)から発する光の形状を規定することで、表示面(32)から発する光の外周縁の形状を、表示領域(33)から発する光の外周縁の形状に沿った形状とすることができる。このため、対象空間(93)に見栄えが良く違和感が生じ難い画像(91)を投影することができる。
【0112】
第2の態様の表示システム(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の表示領域(33)は、対象空間(93)に虚像(91)として表示される画像を表示する。
【0113】
この態様によれば、対象空間(93)に、見栄えが良く違和感が生じ難い虚像(91)を投影することができる。
【0114】
第3の態様の表示システム(1)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の開口(712)の周縁は、少なくとも一辺が曲線状となる形状である。
【0115】
この態様によれば、表示領域(33)が少なくとも曲線状の一辺を有する場合において、対象空間(93)に、見栄えが良く違和感が生じ難い画像(91)を投影することができる。
【0116】
第4の態様の表示システム(1)は、第1~第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の開口(712)は、表示面(32)から発した光の経路上に位置している。
【0117】
この態様によれば、開口(712)の周縁によって表示面(32)から発した光の形状を規定して、対象空間(93)に、見栄えが良く違和感が生じ難い画像(91)を投影することができる。
【0118】
第5の態様の表示システム(1)は、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の遮光部材は、傾斜面(713)を含んでいる。傾斜面(713)は、開口(712)の周縁を構成している。傾斜面(713)は、表示面(32)に近い部分ほど開口(712)の外側又は内側に位置するように傾斜している。
【0119】
この態様によれば、表示面(32)から発した光が、開口(712)の周縁によって遮られる量が抑制され、表示面(32)の表示領域(33)を有効に利用できる。
【0120】
第6の態様の表示システム(1)は、第5の態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様の傾斜面(713)は、表示面(32)に近い部分ほど開口(712)の外側に位置するように傾斜している。
【0121】
この態様によれば、表示面(32)から発した光のうち、光軸の内側に向かって傾いた方向に進行する光が、開口(712)の周縁によって遮られ難くなり、表示面(32)から発した光が、開口(712)の周縁によって遮られる量が抑制される。
【0122】
第7の態様の表示システム(1)は、第1~第6のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様の表示システム(1)は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、弾性部材(5)を更に備えている。弾性部材(5)は、遮光部材と表示面(32)との間に挟まれている。
【0123】
この態様によれば、弾性部材(5)によって、遮光部材から表示面(32)に伝わる衝撃及び振動を和らげることができる。
【0124】
第8の態様の表示システム(1)は、第1~第7のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様の表示システム(1)では、開口(712)の周縁の形状と、表示領域(33)の外周形状とが、相似形状である。
【0125】
この態様によれば、開口(712)の周縁によって表示面(32)から発する光の形状を規定することで、表示面(32)から発する光の外周縁の形状を、表示領域(33)から発する光の外周形状と相似形状とすることができる。このため、対象空間(93)には、一層見栄えのよい画像(91)を投影することができる。
【0126】
第9の態様の表示システム(1)は、第1~第8のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様の開口(712)は、表示領域(33)よりもサイズが大きい。
【0127】
この態様によれば、表示システム(1)における各部材の寸法、取付位置等に誤差が生じたとしても、表示領域(33)から発せられる光が、遮光部材の開口(712)の周縁によって遮られ難くなる。このため、対象空間(93)には、一層見栄えのよい画像(91)を投影することができる。
【0128】
第10の態様の表示システム(1)は、第1~第9のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様の遮光部材は、脱着可能である。
【0129】
この態様によれば、遮光部材を表示システム(1)における他の部材から取り外して、開口(712)の形状が異なる他の遮光部材に交換することができる。このため、例えば、表示システム(1)を他の装置に設置する場合等にも、遮光部材を交換するだけで、見栄えの良い画像(91)を投影することが可能になる。
【0130】
第11の態様の移動装置(8)は、以下に示す構成を有している。移動装置本体(80)と、第1~第10のいずれか一つの態様の表示システム(1)とを備えている。表示システム(1)は、移動装置本体(80)に搭載されている。
【0131】
この態様によれば、表示システム(1)を移動装置(8)において利用できる。
【0132】
第12の態様の表示システム(1)は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、表示器(3)、ハウジング(4)及び放熱器(25)を備えている。表示器(3)は、画像を表示する表示面(32)を有している。ハウジング(4)は、表示器(3)を収容している。放熱器(25)は、表示器(3)で発生した熱を放散する。ハウジング(4)は、放熱器(25)の四方のうちの少なくとも一方から放熱器(25)を覆っている。
【0133】
この態様によれば、ハウジング(4)が、放熱器(25)を四方のうちの少なくとも一方を覆う。このため、放熱器(25)に塵や埃等が付着し難くなる。
【0134】
第13の態様の表示システム(1)は、第12の態様との組み合わせにより実現され得る。第13の態様のハウジング(4)は、放熱器(25)の四方のうちの三方から放熱器(25)を覆っている。
【0135】
この態様によれば、放熱器(25)に塵や埃等が一層付着し難くなる。
【0136】
第14の態様の表示システム(1)は、第12又は第13の態様との組み合わせにより実現され得る。第14の態様の放熱器(25)は、表示器(3)を表示面(32)とは反対側から支持する。
【0137】
この態様によれば、放熱器(25)によって表示器(3)が表示面(32)とは反対側に移動することを規制することができる。
【0138】
第15の態様の表示システム(1)は、第14の態様との組み合わせにより実現され得る。第15の態様の表示システム(1)は、以下に示す構成を有している。放熱器(25)は、接触部(250)と延出部(254)とを有している。接触部(250)は、表示器(3)における表示面(32)とは反対側の面に接触している。延出部(254)は、接触部(250)につながっている。延出部(254)は、表示器(3)における表示面(32)とは反対側の面よりも表示面(32)側に位置し、かつ、ハウジング(4)の外部に位置した部分を有している。
【0139】
この態様によれば、延出部(254)の一部をハウジング(44)の外部に位置させて放熱器(25)の放熱性を向上できる。
【0140】
第16の態様の表示システム(1)は、第12~第15のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第16の態様の放熱器(25)は、板状である。
【0141】
この態様によれば、放熱器(25)を、板状の部材から容易に製造することができる。
【0142】
第17の態様の表示システム(1)は、第12~16のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第17の態様のハウジング(4)は、表示器(3)を位置決めしている。
【0143】
この態様によれば、放熱器(25)の表示器(3)を位置決めする機能を省略したり、放熱器(25)の構造を簡略化したりすることができる。このため、放熱器(25)を容易に製造することができる。
【0144】
第18の態様の表示システム(1)は、第12~17のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第18の態様は以下の構成を有している。表示システム(1)は、光源(20)と、第2放熱器(26)とを更に備えている。第2放熱器(26)は、光源(20)と熱的に接続されている。表示器(3)は、光源(20)から発した光を用いて画像を形成する液晶パネルである。表示システム(1)は、放熱器(25)である第1放熱器(25)と、第2放熱器(26)との間に位置する断熱構造(100)を更に備えている。
【0145】
この態様によれば、断熱構造(100)により、第2放熱器(26)の熱が第1放熱器(25)に伝わり難くなり、第1放熱器(25)の放熱性の低下が抑制される。
【0146】
第19の態様の表示システム(1)は、第18の態様との組み合わせにより実現され得る。第19の態様の断熱構造(100)は、断熱空間(101)を有している。
【0147】
この態様によれば、断熱空間(101)により、第2放熱器(26)の熱が第1放熱器(25)に伝わり難くなる。
【0148】
第20の態様の表示システム(1)は、第19の態様との組み合わせにより実現され得る。第20の態様は、以下に示す構成を有している。第1放熱器(25)及び第2放熱器(26)の各々は、ハウジング(4)の外部に位置する放熱部分(255,260)を有している。断熱空間(101)は、ハウジング(4)の外部において、第1放熱器(25)の放熱部分(255)と、第2放熱器(26)の放熱部分(260)との間に位置している。
【0149】
この態様によれば、断熱空間(101)により、第2放熱器(26)の放熱部分(260)の熱が、第1放熱器(25)の放熱部分(255)に伝わり難く、第1放熱器(25)の放熱性の低下が抑制される。
【0150】
第21の態様の移動装置(8)は、以下に示す構成を有している。移動装置本体(80)と、第12~第20のいずれか一つの態様の表示システム(1)とを備えている。表示システム(1)は、移動装置本体(80)に搭載されている。
【0151】
この態様によれば、表示システム(1)を移動装置(8)において利用できる。
【0152】
第22の態様の表示システム(1)は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、表示器(3)、弾性部材(5)及び遮光部材を備えている。表示器(3)は、画像を表示する表示面(32)を有している。遮光部材は、表示面(32)から発した光が通過する開口(712)を有している。遮光部材は、表示面(32)から発した光の形状を規定する。遮光部材は、表示器(3)との間に弾性部材(5)を挟んでいる。表示器(3)は、弾性部材(5)を遮光部材に押し付けている。
【0153】
この態様によれば、表示器(3)によって弾性部材(5)が遮光部材に押し付けられることで、弾性部材(5)が固定される。このため、弾性部材(5)を遮光部材とは別の部材に押し付ける場合と比較して、表示システム(1)の部品点数を削減できる。また、表示器(3)から遮光部材までの距離を短くすることができる。このため、表示面(32)から発した光が、遮光部材によって遮られる量が抑制され、表示面(32)を有効に利用することができる。
【0154】
第23の態様の表示システム(1)は、第22の態様との組み合わせにより実現され得る。第23の態様は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、表示器(3)を保持するハウジング(4)を更に備えている。ハウジング(4)は、弾性部材(5)を遮光部材に押し付けている。
【0155】
この態様によれば、ハウジング(4)によって弾性部材(5)を遮光部材に押し付けることで、弾性部材(5)を一層強固に固定することができる。
【0156】
第24の態様の表示システム(1)は、第23の態様との組み合わせにより実現され得る。第24の態様は、以下に示す構成を有している。表示器(3)は、弾性部材(5)において開口(712)に対応する部分を囲む第1部分を遮光部材に押し付けている。ハウジング(4)は、弾性部材(5)において第1部分を囲む第2部分を遮光部材に押し付けている。
【0157】
この態様によれば、表示器(3)及びハウジング(4)によって、弾性部材(5)における第1部分と第2部分との2か所が遮光部材に押し付けられる。このため、塵や埃等が、ハウジング(4)と遮光部材との間からハウジング(4)の内部に入り込み難くなる。
【0158】
第25の態様の表示システム(1)は、第23又は第24の態様と組み合わせにより実現され得る。第25の態様は、以下に示す構成を有している。弾性部材(5)は、ハウジング(4)に対して固定されている。表示器(3)は、弾性部材(5)によってハウジング(4)に固定されている。
【0159】
この態様によれば、表示器(3)が、ハウジング(4)に固定された弾性部材(5)によって固定される。このため、表示器(3)を固定するための部材を別途備える場合と比較して、表示システム(1)の部品点数を削減することができる。
【0160】
第26の態様の表示システム(1)は、第22~第25のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第26の態様は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、光学系(6)と、筐体(7)とを更に備えている。光学系(6)は、表示面(32)から発した光を所定の位置に照射する。筐体(7)は、光学系(6)を保持している。遮光部材は、筐体(7)の一部である。
【0161】
この態様によれば、遮光部材を光学系(6)を保持する筐体(7)の一部で構成できる。
【0162】
第27の態様の表示システム(1)は、第22~第26のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第27の態様は、以下に示す構成を有している。弾性部材(5)は、開口(712)に対応する窓孔(54)を有している。窓孔(54)の周縁は、開口(712)の周縁よりも外側に位置している。
【0163】
この態様によれば、表示面(32)から発せられた光を、弾性部材(5)の窓孔(54)を通して開口(712)に導くことができる。
【0164】
第28の態様の表示システム(1)は、第22~第27のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第28の態様は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、温度センサ(28)を更に備えている。温度センサ(28)は、表示器(3)において弾性部材(5)に対向する面に位置し、表示器(3)の温度を検知する。弾性部材(5)において温度センサ(28)に対応する部分にセンサ用孔(53)が形成されている。
【0165】
この態様によれば、遮光部材等から弾性部材(5)に力が加わったとしても、この力が弾性部材(5)を介して温度センサ(28)に加わり難くなる。このため、温度センサ(28)の不具合が生じ難い。
【0166】
第29の態様の表示システム(1)は、第22~第28のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第29の態様は、以下に示す構成を有している。遮光部材は、複数のガイド面を有している。複数のガイド面の各々は、弾性部材(5)における表示器(3)とは反対側の面に沿った平面である。
【0167】
この態様によれば、弾性部材(5)を遮光部材の複数のガイド面に沿ってスライドすることができる。このため、弾性部材(5)を遮光部材と表示器(3)との間に容易に配置することができる。
【0168】
また、第30の態様の移動装置(8)は、以下に示す構成を有している。移動装置本体(80)と、第22~第29のいずれか一つの態様の表示システム(1)とを備えている。表示システム(1)は、移動装置本体(80)に搭載されている。
【0169】
この態様によれば、表示システム(1)を移動装置(8)において利用できる。
【0170】
第31の態様の表示システム(1)は、以下に示す構成を有している。表示システム(1)は、表示器(3)、ミラー(61)及び筐体(7)を有している。ミラー(61)は、表示器(3)から発した光を反射する鏡面(610)を有している。筐体(7)は、ミラー(61)を収容している。ミラー(61)は、取付部(614)を更に有している。筐体(7)は、第1部材(71)と、第2部材(72)とを有している。第2部材(72)は、第1部材(71)に固定され、第1部材(71)との間に取付部(614)を挟んでいる。
【0171】
この態様によれば、筐体(7)を利用してミラー(61)を固定することができる。
【0172】
第32の態様の表示システム(1)は、第31の態様との組み合わせにより実現され得る。第32の態様は、以下に示す構成を有している。ミラー(61)は、鏡面(610)を保持する樹脂製の保持部材(611)を有している。取付部(614)は、保持部材(611)に形成されている。
【0173】
この態様によれば、鏡面(610)を保持する樹脂製の保持部材(611)を有したミラー(61)を筐体(7)に固定することができる。
【0174】
第33の態様の表示システム(1)は、第31又は第32の態様との組み合わせにより実現され得る。第33の態様は、以下に示す構成を有している。取付部(614)と第1部材(71)との間及び取付部(614)と第2部材(72)との間のうち、少なくとも一方にクッション材(618)が位置している。
【0175】
この態様によれば、取付部(614)と第1部材(71)との間又は取付部(614)と第2部材(72)との間に、弾性を有するクッション材(618)が位置する。このため、筐体(7)から取付部(614)に力が伝わり難くなり、筐体(7)から取付部(614)に加わる力によって鏡面(610)が変形等することが抑制される。
【0176】
第34の態様の表示システム(1)は、第33の態様との組み合わせにより実現され得る。第34の態様のクッション材(618)は、取付部(614)と第1部材(71)との間及び取付部(614)と第2部材(72)との間のうちの一方にのみ位置している。
【0177】
この態様によれば、取付部(614)におけるクッション材(618)とは反対側の部分を第1部材(71)又は第2部材(72)に当てて、ミラー(61)を精度良く位置決めすることができる。
【0178】
第35の態様の表示システム(1)は、第31又は第32の態様との組み合わせにより実現され得る。第35の態様の取付部(614)は、第1部材(71)及び第2部材(72)の各々に接触した状態で第1部材(71)と第2部材(72)とに挟まれている。
【0179】
この態様によれば、取付部(614)を第1部材(71)及び第2部材(72)に当てて、ミラー(61)を精度良く位置決めすることができる。
【0180】
第36の態様の表示システム(1)は、第31~第35のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第36の態様は、以下に示す構成を有している。ミラー(61)は、取付部(614)として、互いに離れて位置する三つの取付部(614)を有している。ミラー(61)は、第1部材(71)と第2部材(72)とに、三つの取付部(614)のみが挟まれている。
【0181】
この態様によれば、三つの取付部(614)が位置する箇所、すなわち、平面を決めるために最低限必要な3点だけで、ミラー(61)を挟むことができ、ミラー(61)を精度良く位置決めすることができる。
【0182】
第37の態様の表示システム(1)は、第31~第36のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第37の態様の取付部(614)は、ミラー(61)に形成された突出部である。
【0183】
この態様によれば、取付部(614)における第1部材(71)と第2部材(72)とで挟まれる部分の面積を小さくすることができ、ミラー(61)を精度良く位置決めすることができる。
【0184】
第38の態様の表示システム(1)は、第31~第37のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第38の態様は、以下に示す構成を有している。筐体(7)は、位置決構造(76)を有している。位置決構造(76)は、取付部(614)が第1部材(71)と第2部材(72)とで挟まれる方向である挟み方向と交差する方向において、ミラー(61)を位置決めする。
【0185】
この態様によれば、位置決構造(76)により、ミラー(61)を挟み方向と交差する方向において位置決めできる。
【0186】
第39の態様の表示システム(1)は、第38の態様との組み合わせにより実現され得る。第39の態様の位置決構造(76)は、ミラー(61)を、挟み方向と直交する第1方向(D1)と、挟み方向と直交しかつ第1方向(D1)と直交した第2方向(D2)との両方向において位置決めする。
【0187】
この態様によれば、位置決構造(76)により、ミラー(61)を挟み方向と直交する第1方向(D1)と、挟み方向と直交しかつ第1方向(D1)と直交した第2方向(D2)との両方向において位置決めすることができる。
【0188】
第40の態様の表示システム(1)は、第39の態様との組み合わせにより実現され得る。第40の態様は、以下に示す構成を有している。位置決構造(76)は、一対の嵌込構造を有している。一対の嵌込構造の各々は、第1部材(71)とミラー(61)とのうちの一方に形成された孔(617)と、他方に形成されて孔(617)に嵌め込まれた嵌込部(716)とで構成される。一対の嵌込構造のうちの一方は、嵌込部(716)が、第1方向(D1)と第2方向(D2)との両方向において位置決めされた状態で、孔(617)に嵌まり込んでいる。一対の嵌込構造のうちの他方は、嵌込部(716)が第1方向(D1)及び第2方向(D2)のうちの第1方向(D1)においてのみ位置決めされた状態で、孔(617)に嵌まり込んでいる。
【0189】
この態様によれば、位置決構造(76)における他方の嵌込構造の嵌込部(716)は、第1方向(D1)においてのみ位置決めされるため、孔(617)に嵌め込みやすい。このため、ミラー(61)の第1方向(D1)及び第2方向(D2)の位置決めを容易に行うことができる。
【0190】
第41の態様の移動装置(8)は、以下に示す構成を有している。移動装置本体(80)と、第31~第40のいずれか一つの態様の表示システム(1)とを備えている。表示システム(1)は、移動装置本体(80)に搭載されている。
【0191】
この態様によれば、表示システム(1)を移動装置(8)において利用できる。
【符号の説明】
【0192】
1 表示システム
3 表示器
32 表示面
33 表示領域
5 弾性部材
71 第1部材(遮光部材)
712 開口
713 傾斜面
8 移動装置
80 移動装置本体
91 画像(虚像)
93 対象空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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