(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】点灯システム、照明システム、及び照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20221202BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20221202BHJP
G01S 13/38 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H05B47/115
G01S13/34
G01S13/38
(21)【出願番号】P 2019082238
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 健
(72)【発明者】
【氏名】濱本 勝信
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115143(JP,A)
【文献】特開平8-94740(JP,A)
【文献】特開2017-111008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
G01S 13/34
G01S 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源に点灯電力を供給する点灯回路と、
前記点灯回路を制御する制御部と、
少なくとも移動している物体までの距離に応じたセンサ信号を出力するセンサと、
前記センサ信号に基づいて前記物体までの距離を測定し、前記距離の測定値を前記制御部に出力する測距部と、
前記測距部が前記距離を測定する毎に、当該測定による測定値を記憶値として記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサ信号に基づいて前記物体を検出したか否かを判定し、
前記物体の検出時に、前記点灯回路を制御して前記光源を点灯させる第1制御を行い、
前記物体の非検出時に前記記憶値が所定範囲内であれば、前記第1制御を行い、
前記物体の非検出時に前記記憶値が前記所定範囲外であれば、前記第1制御に比べて前記光源を減光させる第2制御を行う
点灯システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記物体の非検出時に前記第1制御を行っている時間が保持時間を上回るまでに、前記記憶値が更新されなければ、前記第2制御を行う
請求項1記載の点灯システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記物体の非検出時に前記記憶値が前記所定範囲外であれば、前記物体が検出されなくなってから遅延時間が経過するまで前記第1制御を継続した後、前記第2制御を行い、
前記保持時間は、前記遅延時間より長い
請求項2記載の点灯システム。
【請求項4】
前記センサは、周波数変調した連続波の電波を送信して、送信した電波と受信した電波とに基づくビート信号に基づいて、前記センサ信号を生成する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の点灯システム。
【請求項5】
前記センサは、異なる2つの周波数の電波を送信して、前記2つの周波数の電波のそれぞれのドップラー信号の位相差に基づいて、前記センサ信号を生成する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の点灯システム。
【請求項6】
前記測距部は、前記物体が静止したときに、前記距離を測定できない測距不能状態になり、
前記制御部は、前記測距部が前記測距不能状態になると、前記物体の非検出であると判定する
請求項5記載の点灯システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の点灯システムと、
前記点灯システムが点灯させる光源と、を備える
照明システム。
【請求項8】
請求項7記載の照明システムと、
少なくとも前記光源が支持される筐体と、を備える
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯システム、照明システム、及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の照明装置は、人検知センサと、制御部とを備える。人検知センサは、検知エリアで人を検知する。制御部は、人検知センサにより人を検知すると、光源の点灯出力を徐々に上げ、光源の照射エリア内に人が存在している間で通常の点灯状態となるように制御する。
【0003】
人検知センサには、赤外線の変化を感知して温度分布の変化を検出し、温度分布の変化によって人の動きを検知するモーションセンサが用いられている。制御部は、モーションセンサによって人の動きが検知されれば、光源を通常点灯させ、タイマ部による計時を開始する。制御部は、モーションセンサによって人の動きが検知される毎に、タイマ部の計時時間をリセットして、計時を再開する。そして、人検知センサが人の動きを検知しなくなり、一定時間が経過すると、制御部は、光源の点灯出力を下げて、省エネ点灯を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1では、赤外線の変化を感知することで人の動きを検知するモーションセンサが用いられている。しかしながら、モーションセンサは、移動している物体を検出することはできるが、静止している物体を検出することはできない。また、モーションセンサは、物体までの距離を測定することはできず、制御部は、物体までの距離に基づいた照明制御を行うことはできなかった。
【0006】
そこで、物体までの距離を測定する測距装置を用いて、距離の測定値に基づく照明制御を行うことが考えられる。しかしながら、測距装置には、移動している物体までの距離を測定できるが、静止している物体までの距離を測定できない測距装置がある。静止している物体までの距離を測定できない測距装置を用いた場合、距離の測定値に基づく照明制御の精度が低下する可能性がある。
【0007】
そこで、本開示の目的は、物体までの距離に基づく照明制御の精度を向上させることができる点灯システム、照明システム、及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る点灯システムは、光源に点灯電力を供給する点灯回路と、前記点灯回路を制御する制御部と、センサと、測距部と、記憶部と、を備える。前記センサは、少なくとも移動している物体までの距離に応じたセンサ信号を出力する。前記測距部は、前記センサ信号に基づいて前記物体までの距離を測定し、前記距離の測定値を前記制御部に出力する。前記記憶部は、前記測距部が前記距離を測定する毎に、当該測定による測定値を記憶値として記憶する。前記制御部は、前記センサ信号に基づいて前記物体を検出したか否かを判定する。前記制御部は、前記物体の検出時に、前記点灯回路を制御して前記光源を点灯させる第1制御を行う。前記制御部は、前記物体の非検出時に前記記憶値が所定範囲内であれば、前記第1制御を行う。前記制御部は、前記物体の非検出時に前記記憶値が前記所定範囲外であれば、前記第1制御に比べて前記光源を減光させる第2制御を行う。
【0009】
本開示の一態様に係る照明システムは、上述の点灯システムと、前記点灯システムが点灯させる光源と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る照明器具は、上述の照明システムと、少なくとも光源が支持される筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本開示では、物体までの距離に基づく照明制御の精度を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態における点灯システムを備えた照明システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の点灯システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態における点灯システムを備えた照明システムを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の点灯システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第3実施形態における点灯システムを備えた照明システムを示すブロック図である。
【
図6】
図6は、同上の点灯システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第4実施形態における点灯システムを備えた照明システムを示すブロック図である。
【
図8】
図8は、同上の点灯システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第5実施形態における照明器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施形態は、一般に、点灯システム、照明システム、及び照明器具に関する。より詳細には、少なくとも移動している物体までの距離に基づいて光源の点灯状態を制御する点灯システム、照明システム、及び照明器具に関する。
【0014】
以下、実施形態に係る点灯システム、照明システム、及び照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すように、照明システム1は、点灯システム2と、光源3とを備える。本実施形態では、物体として人体4を例示する。
【0016】
光源3は、複数のLED(Light Emitting Diode)素子(固体発光素子)が直列接続されたLEDアレイを有している。光源3は、並列接続された複数のLEDアレイを有していてもよい。なお、光源3は、固体発光素子としてLEDを有する構成に限らない。光源3は、例えば、有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)、又は半導体レーザ(Laser Diode、LD)などの他の固体発光素子を有していてもよい。
【0017】
第1実施形態の点灯システム2は、点灯回路21と、制御部22と、センサ23と、測距部24と、記憶部25と、を備える。本実施形態の点灯システム2は1つの装置で構成されているが、点灯システム2は複数の装置で構成されてもよい。
【0018】
さらに、点灯システム2は、コンピュータシステムを具備しており、コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。そして、メモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、少なくとも本実施形態における制御部22、及び測距部24の各機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0019】
点灯回路21は、商用電源9の交流電力を直流電力に変換して、光源3へ直流電力(点灯電力)を供給し、光源3を点灯させる。点灯回路21は、整流器、トランス、スイッチング素子、コンデンサ、ダイオード、抵抗器、及び駆動回路などを備えるチョッパ回路で構成されている。チョッパ回路は、昇圧チョッパ回路、昇降圧チョッパ回路、及び降圧チョッパ回路などのいずれでもよい。
【0020】
制御部22は、点灯回路21を制御する。具体的に、制御部22は、センサ23を用いた人体4の検知結果に基づいて、点灯回路21が出力する直流電力を制御することで、光源3の光出力を調整する。言い換えると、制御部22は、人体4の検知結果に基づく照明制御を行う。具体的に、制御部22は、人体4の検出時に点灯回路21を制御して光源3を点灯(例えば全点灯)させる点灯制御を行う。また、制御部22は、人体4の非検出時に点灯回路21を制御して光源3を消灯させる消灯制御を行う。本実施形態では、点灯制御が第1制御に相当し、消灯制御が第2制御に相当する。なお、第2制御は、点灯制御に比べて減光された(光出力が低下した)調光制御であってもよい。
【0021】
センサ23は、電波式のセンサである。センサ23は、検知エリアへ電波(送信波)を送信し、検知エリア内の人体4で反射された電波(反射波)を受信する。本実施形態のセンサ23は、送信波と反射波との差(周波数差又は位相差など)に基づくセンサ信号を生成し、センサ信号を出力する。当該センサ信号には、人体4が移動していれば、センサ23から人体4までの距離Lの情報が含まれる。したがって、人体4が移動している場合、測距部24は、センサ信号に基づいてセンサ23から人体4までの距離を測定し、測定した距離を示す数値(測定値)のデータを生成することができる。具体的に、測距部24は、センサ信号に基づいて人体4までの距離Lを周期的に求め、求めた距離Lを測定値Laとし、測定値Laのデータを制御部22へ順次引き渡す。しかしながら、人体4が存在しない場合及び人体4が静止している場合、センサ23が出力するセンサ信号には、人体4までの距離Lの情報が含まれない。したがって、人体4が存在しない場合及び人体4が静止している場合、測距部24は、センサ信号に基づいて人体4までの距離Lを測定できず、測定値Laのデータを生成できない。なお、センサ23は、電波式のセンサに限定されず、例えば赤外線センサ、又は超音波センサなどであってもよい。
【0022】
そして、制御部22は、
図2のフローチャートに従って動作する。
【0023】
まず、制御部22は、人体4を検出したか否かを判定する検出処理を行う(S1)。
【0024】
検出処理を行う制御部22は、測距部24から測定値Laのデータを受け取れば、人体4を検出したと判定する。制御部22は、人体4を検出すると、測定値Laのデータを記憶部25へ書き込む(S2)。記憶部25には、測距部24が、距離Lを測定して、測定値Laのデータを生成する毎に、生成された測定値Laが記憶値La1として格納(上書き)される。すなわち、測距部24が測定値Laのデータを生成する毎に、記憶値La1は最新の測定値Laに更新される。次に、制御部22は、点灯制御を行う(S3)。その後、制御部22は、ステップS1の処理に戻る。そして、制御部22は、人体4を検出している間、ステップS1~S3の各処理を繰り返して点灯制御を行う。
【0025】
一方、検知エリア内で人体4が静止した場合、制御部22は、測距部24から測定値Laのデータを受け取れず、人体4を検出しなくなる(S1)。また、人体4が検知エリアから離れ、人体4からの反射波がセンサ23に到達しなくなった場合も、制御部22は、人体4を検出しなくなる(S1)。そこで、制御部22は、人体4を検出しなくなれば、記憶部25に格納されている記憶値La1のデータを読み出し、記憶値La1が閾値α1未満であるか否かを判定する(S4)。制御部22は、記憶値La1が閾値α1未満であれば、人体4が検知エリア内で静止していると認識して、点灯制御を行う(S3)。制御部22は、記憶値La1が閾値α1以上であれば、人体4が検知エリアから離れようとしていると認識して、消灯制御を行う(S5)。その後、制御部22は、ステップS1の処理に戻る。
【0026】
なお、ステップS4では、記憶値La1が閾値α1未満であるか否かを判定する代わりに、記憶値La1が下限閾値以上、かつ、上限閾値未満であるか否かを判定してもよい。すなわち、ステップS4では、記憶値La1が所定範囲内であるか否を判定すればよい。
【0027】
上述のように、点灯システム2は、検知エリア内で人体4が静止して、制御部22が人体4を検出しなくなっても、記憶部25に格納している記憶値La1のデータに基づいて、点灯制御を継続させることができる。したがって、点灯システム2は、人体4までの距離Lに基づく照明制御の精度を向上させることができる。
【0028】
本実施形態では、センサ23として、例えばFMCW(Frequency-Modulated Continuous-Wave)方式の電波センサを用いることができる。FMCW方式のセンサ23は、周波数(送信周波数)が時間の経過に伴って変化する送信波を送信アンテナから送信し、周波数(受信周波数)が時間の経過に伴って変化する反射波を受信アンテナを介して受信する。そして、センサ23は、送信周波数と受信周波数との周波数差に等しい周波数(ビート周波数)のビート信号をセンサ信号として生成する。測距部24は、センサ23からセンサ信号(ビート信号)を受け取り、ビート周波数に基づいて人体4までの距離Lを求めることができる。
【0029】
具体的に、センサ23は、送信波の周波数(送信周波数)を上昇させた後に下降させるスイープ処理を繰り返す。スイープ処理では、送信周波数は、掃引時間T1の間に掃引周波数幅Δfaだけ上昇する。光速をCとすると、送信波が送信されてから時間2L/C後に、センサ23は反射波を受信する。反射波の周波数(受信周波数)は、送信周波数と同様に、時間の経過に伴って変化する。そして、送受信器21aが、送信周波数と受信周波数との周波数差に等しい周波数fbのビート信号を生成して、センサ信号として出力する。ビート信号の周波数fbは、fb=[(Δfa・2L)/(C・T1)]となる。故に、人体4までの距離Lは、式1で表される。
L=(fb・C・T1)/(2・Δfa) ……… 式1
測距部24は、センサ信号に式1を適用することによって人体4までの距離Lを周期的に求め、求めた距離Lを測定値Laとし、測定値Laのデータを制御部22へ順次引き渡す。
【0030】
また、本実施形態では、センサ23として、2周波数のFSK(Frequency Shift Keying)方式の電波センサを用いることができる。この場合、FSK方式のセンサ23は、送信波の周波数(送信周波数)を第1送信周波数及び第2送信周波数のいずれかに交互に切り替える。送信波は人体4で反射し、センサ23は、この反射波を受信する。人体4が移動している場合、ドップラー効果によって反射波の周波数(受信周波数)がシフトする。センサ23は、送信周波数が第1送信周波数に設定されているときに、第1送信周波数と受信周波数との差分を示す第1ドップラー信号をセンサ信号として生成する。また、センサ23は、送信周波数が第2送信周波数に設定されているときに、第2送信周波数f2と受信周波数との差分を示す第2ドップラー信号をセンサ信号として生成する。そして、第1送信周波数と第2送信周波数との差をΔfc、第1ドップラー信号と第2ドップラー信号との位相差をΔφ、光速をCとすると、センサ23から人体4までの距離Lは、式2で表される。
L=(Δφ・C)/(4π・Δfc) ……… 式2
センサ23が2周波数のFSK方式のセンサである場合、測距部24は、人体4が移動していれば、センサ信号に式2を適用することによって人体4までの距離Lを求めることができる。しかしながら、人体4が静止しているとき、測距部24は、センサ信号に式1を適用しても、人体4までの距離Lを求めることができない。すなわち、測距部24は、人体4が移動していれば、人体4までの距離Lを測定できる測距可能状態になる。また、測距部24は、人体4が静止していれば、人体4までの距離Lを測定できない測距不能状態になる。
【0031】
(第2実施形態)
第2実施形態の制御部22は、人体4の非検出時に点灯制御を行っている時間が保持時間を上回るまでに、記憶値La1が更新されなければ、消灯制御を行う。なお、第1実施形態と同様の構成及び処理には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0032】
具体的に、本実施形態の点灯システム2は、
図3に示すように、点灯回路21、制御部22、センサ23、測距部24、及び記憶部25に加えて、保持タイマ26をさらに備える。保持タイマ26は、人体4の非検出時に点灯制御を行っている時間を、第1経過時間Taとして計時する。制御部22は、第1経過時間Taが予め決められた保持時間β1を上回るまでに、記憶値La1が更新されなければ、消灯制御を行う。
【0033】
図4のフローチャートは、本実施形態の制御部22の動作を示す。
【0034】
制御部22は、第1実施形態と同様に、ステップS1~S5の各処理を行う。制御部22は、ステップS4において記憶値La1が閾値α1未満であれば、第1経過時間Taが初期値「0」であるか否かを判定する(S12)。制御部22は、第1経過時間Taが初期値「0」であれば、保持タイマ26をセットして、第1経過時間Taの計時を開始する(S13)。その後、制御部22は点灯制御を行う(S3)。
【0035】
制御部22は、ステップS12において第1経過時間Taが初期値「0」でなければ、第1経過時間Taの計時が既に開始されているとして、第1経過時間Taが保持時間β1を上回っているか否かを判定する(S14)。第1経過時間Taが保持時間β1を上回っていなければ、制御部22は点灯制御を行う(S3)。第1経過時間Taが保持時間β1を上回っていれば、制御部22は、消灯制御を行う(S5)。
【0036】
また、制御部22は、保持タイマ26をセットした(S13)後に、人体4を検出すれば(S1)、ステップS2とステップS3との間で保持タイマ26をリセットする(S11)。すなわち、制御部22は、ステップS2において記憶値La1が更新されると、保持タイマ26をリセットする。
【0037】
上述のように、制御部22は、第1経過時間Taが保持時間β1を上回るまでに、記憶値La1が更新されなければ、消灯制御を行う。したがって、点灯システム2は、人体4の誤検出による点灯制御を抑制できる。
【0038】
(第3実施形態)
第3実施形態の制御部22は、人体4の非検出時に記憶値La1が閾値α1以上であれば、人体4が検出されなくなってから遅延時間β2が経過するまで点灯制御を継続した後、消灯制御を行う。なお、第1実施形態と同様の構成及び処理には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0039】
具体的に、本実施形態の点灯システム2は、
図5に示すように、点灯回路21、制御部22、センサ23、測距部24、及び記憶部25に加えて、遅延タイマ27をさらに備える。遅延タイマ27は、点灯制御を行っているときに人体4が検出されなくなってからの経過時間を、第2経過時間Tbとして計時する。制御部22は、第2経過時間Tbが予め決められた遅延時間β2を上回るまで、点灯制御を継続する。
【0040】
図6のフローチャートは、本実施形態の制御部22の動作を示す。
【0041】
制御部22は、第1実施形態と同様に、ステップS1~S5の各処理を行う。制御部22は、ステップS4において記憶値La1が閾値α1以上であれば、遅延タイマ27によって計時される第2経過時間Tbが初期値「0」であるか否かを判定する(S22)。制御部22は、第2経過時間Tbが初期値「0」であれば、遅延タイマ27をセットして、第2経過時間Tbの計時を開始する(S23)。
【0042】
制御部22は、ステップS22において第2経過時間Tbが初期値「0」でなければ、第2経過時間Tbの計時が既に開始されているとして、第2経過時間Tbが遅延時間β2を上回っているか否かを判定する(S24)。また、制御部22は、ステップS23において遅延タイマ27をセットした後も、ステップS24の処理を行う。第2経過時間Tbが遅延時間β2を上回っていなければ、制御部22は点灯制御を行う(S3)。第2経過時間Tbが遅延時間β2を上回っていれば、制御部22は、消灯制御を行う(S5)。
【0043】
また、制御部22は、遅延タイマ27をセットした(S23)後に、人体4を検出すれば(S1)、ステップS3の後で遅延タイマ27をリセットする(S21)。すなわち、制御部22は、ステップS2において記憶値La1が更新されると、遅延タイマ27をリセットする。
【0044】
上述のように、制御部22は、人体4の非検出時に記憶値La1が閾値α1以上であれば、人体4が検出されなくなってから遅延時間β2が経過するまで点灯制御を継続した後、消灯制御を行う。したがって、点灯システム2は、人体4が検知エリアから離れる際に、暫くの間は光源3を点灯させることができ、検知エリアから離れていく人体4のための照明を確保できる。
【0045】
(第4実施形態)
第4実施形態の点灯システム2は、
図7に示すように、上述の第2実施形態及び第3実施形態の両構成を備える。
図8のフローチャートは、本実施形態の制御部22の動作を示す。すなわち、第4実施形態の制御部22は、人体4の非検出時に点灯制御を行っている時間が保持時間β1を上回るまでに、記憶値La1が更新されなければ、消灯制御を行う。さらに、第4実施形態の制御部22は、人体4の非検出時に記憶値La1が閾値α1以上であれば、人体4が検出されなくなってから遅延時間β2が経過するまで点灯制御を継続した後、消灯制御を行う。
【0046】
本実施形態において、保持時間β1は、遅延時間β2より長い。例えば、保持時間β1を5~10分程度とし、遅延時間β2を1分程度とする。
【0047】
したがって、点灯システム2は、人体4の誤検出による点灯制御を抑制できる。さらに、点灯システム2は、人体4が検知エリアから離れる際に、暫くの間は光源3を点灯させることができ、検知エリアから離れていく人体4のための照明を確保できる。
【0048】
なお、第1~第3実施形態と同様の構成及び処理には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0049】
(第5実施形態)
図9は、第1~第4実施形態のいずれか1つの照明システム1を備える照明器具10を示す。
【0050】
本実施形態の照明器具10は、例えば、建物の階段の踊り場の壁面に設置される照明器具(いわゆる階段灯)である。なお、以下の説明では特に断りのない限り、
図9に示す矢印により、照明器具10の上下、左右及び前後の各方向を規定する。すなわち、照明器具10が階段の踊り場の壁面に設置された状態を正面から見て、鉛直方向を上下方向とし、左右方向を左右方向とし、壁面の法線方向を前後方向とする。但し、これらの方向は照明器具10の使用方向を規定する趣旨ではない。また、
図9に示す矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0051】
照明器具10は、左右方向に長い長尺状の矩形箱状の筐体11を備える。筐体11は、カバー111、及び器具本体112を具備する。
【0052】
カバー111は、透光性を有する合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等)により、後面が開口した箱状に形成されている。カバー111は、左右方向に長い長尺状である。
【0053】
カバー111及び照明システム1は、取付部材に取り付けられ、取付部材を介して器具本体112に取り付けられる。取付部材は、左右方向に長い平板状の底板と、底板の幅方向(上下方向)における両端から後方に突出する一対の側板とで、左右方向から見た形状がU字状に形成されている。光源3は、取付部材の底板の一面(前面)に取り付けられる。カバー111は、光源3を覆うようにして取付部材に取り付けられる。
【0054】
光源3は、LED素子、及び左右方向に長い平板状の実装基板を有している。実装基板の一面(前面)には、複数のLED素子が左右方向(実装基板の長手方向)に沿って等間隔に実装されている。
【0055】
センサ23は、センサ取付台12を介して器具本体112の下板における左右方向の中央に取り付けられる。言い換えると、器具本体112は、センサ取付台12を介してセンサ23を保持するように構成されている。
【0056】
照明器具10は、階段の踊り場の壁面に設置され、少なくとも踊り場を含むエリアを検知エリアとする。したがって、照明器具10は、踊り場に人体4が存在する場合に光源3を全点灯させ、踊り場に人体4が存在しなければ光源3を消灯させることができる。
【0057】
なお、照明器具10の設置場所は、階段の踊り場以外でもよく、例えば廊下、室内、又は街路などであってもよい。
【0058】
また、上述の第1~第5実施形態では、センサ23の検知対象となる物体を人体4としているが、移動可能な物体であれば、車両などの他の物体を検知対象としてもよい。
【0059】
以上のように、実施形態に係る第1の態様の点灯システム(2)は、光源(3)に点灯電力を供給する点灯回路(21)と、点灯回路(21)を制御する制御部(22)と、センサ(23)と、測距部(24)と、記憶部(25)と、を備える。センサ(23)は、少なくとも移動している物体(4)までの距離(L)に応じたセンサ信号を出力する。測距部(24)は、センサ信号に基づいて物体(4)までの距離(L)を測定し、距離(L)の測定値(La)を制御部(22)に出力する。記憶部(25)は、測距部(24)が距離(L)を測定する毎に、当該測定による測定値(La)を記憶値(La1)として記憶する。制御部(22)は、センサ信号に基づいて物体(4)を検出したか否かを判定する。制御部(22)は、物体(4)の検出時に、点灯回路(21)を制御して光源(3)を点灯させる第1制御(点灯制御)を行う。制御部(22)は、物体(4)の非検出時に記憶値(La1)が所定範囲内(閾値α1未満)であれば、第1制御を行う。制御部(22)は、物体(4)の非検出時に記憶値(La1)が所定範囲外であれば、第1制御に比べて光源(3)を減光させる第2制御(消灯制御)を行う。
【0060】
上述の点灯システム(2)は、人体(4)までの距離(L)に基づく照明制御の精度を向上させることができる。
【0061】
また、実施形態に係る第2の態様の点灯システム(2)では、第1の態様において、制御部(22)は、物体(4)の非検出時に第1制御を行っている時間(Ta)が保持時間(β1)を上回るまでに、記憶値(La1)が更新されなければ、第2制御を行うことが好ましい。
【0062】
上述の点灯システム(2)は、物体(4)の誤検出による点灯制御を抑制できる。
【0063】
また、実施形態に係る第3の態様の点灯システム(2)では、第2の態様において、制御部(22)は、物体(4)の非検出時に記憶値(La1)が所定範囲外であれば、物体(4)が検出されなくなってから遅延時間(β2)が経過するまで第1制御を継続した後、第2制御を行う。保持時間(β1)は、遅延時間(β2)より長いことが好ましい。
【0064】
上述の点灯システム(2)は、物体(4)が検知エリアから離れる際に、暫くの間は光源(3)を点灯させることができ、離れていく物体(4)のための照明を確保できる。
【0065】
また、実施形態に係る第4の態様の点灯システム(2)では、第1乃至第3の態様のいずれか一つにおいて、センサ(23)は、周波数変調した連続波の電波を送信して、送信した電波と受信した電波とに基づくビート信号に基づいて、センサ信号を生成することが好ましい。
【0066】
上述の点灯システム(2)は、FMCW方式のセンサ(23)を用いて、人体(4)までの距離(L)に基づく照明制御の精度を向上させることができる。
【0067】
また、実施形態に係る第5の態様の点灯システム(2)では、第1乃至第3の態様のいずれか一つにおいて、センサ(23)は、異なる2つの周波数の電波を送信して、2つの周波数の電波のそれぞれのドップラー信号の位相差に基づいて、センサ信号を生成することが好ましい。
【0068】
上述の点灯システム(2)は、2周波数のFSK方式のセンサ(23)を用いて、人体(4)までの距離(L)に基づく照明制御の精度を向上させることができる。
【0069】
また、実施形態に係る第6の態様の点灯システム(2)では、第5の態様において、測距部(24)は、物体(4)が静止したときに、距離(L)を測定できない測距不能状態になる。制御部(22)は、測距部(24)が測距不能状態になると、物体(4)の非検出であると判定することが好ましい。
【0070】
上述の点灯システム(2)は、2周波数のFSK方式のセンサ(23)を用いて、人体(4)までの距離(L)に基づく照明制御の精度を向上させることができる。
【0071】
また、実施形態に係る第7の態様の照明システム(1)は、第1乃至第6の態様のいずれか一つの点灯システム(2)と、点灯システム(2)が点灯させる光源(3)と、を備える。
【0072】
上述の照明システム(1)は、人体(4)までの距離(L)に基づく照明制御の精度を向上させることができる。
【0073】
また、実施形態に係る第8の態様の照明器具(10)は、第7の態様の照明システム(1)と、少なくとも光源(3)が支持される筐体(11)と、を備える。
【0074】
上述の照明器具(10)は、人体(4)までの距離(L)に基づく照明制御の精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 照明システム
2 点灯システム
21 点灯回路
22 制御部
23 センサ
24 測距部
25 記憶部
3 光源
4 物体
10 照明器具
11 筐体
L 距離
La 測定値
La1 記憶値
α1 閾値
β1 保持時間
β2 遅延時間