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特許7186403実装基板製造システム、部品実装システムおよび収納体移送方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】実装基板製造システム、部品実装システムおよび収納体移送方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
H05K13/02 A
H05K13/02 B
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020551620
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2018038373
(87)【国際公開番号】W WO2020079737
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
(72)【発明者】
【氏名】江口 亮司
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-228207(JP,A)
【文献】特開2017-216379(JP,A)
【文献】特開2008-098248(JP,A)
【文献】特開2018-152397(JP,A)
【文献】特開平05-021990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに格納された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムと、
前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有し、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を交換する交換装置と、を具備し、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、
前記仕切り部材は、前記エンドエフェクタまたは前記エンドエフェクタに保持された前記収納体と接触したときの外力により厚み方向に弾性変形する、実装基板製造システム。
【請求項2】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに格納された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムと、
前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有し、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を交換する交換装置と、を具備し、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、
前記エンドエフェクタは、前記収納体を把持する一対の把持部を有し、
前記把持部の少なくとも一方が、前記アシスト部に接触する、実装基板製造システム。
【請求項3】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに格納された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムと、
前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有し、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を交換する交換装置と、を具備し、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、
前記交換装置は、前記エンドエフェクタを、前記アシスト部に隣接させてから前記仕切り部材の厚み方向に移動させることで、前記アシスト部に接触させる、実装基板製造システム。
【請求項4】
前記収納体ストッカは、配列された複数対の前記仕切り部材を有し、
前記アシスト部を有する前記仕切り部材は一つ置きに配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の実装基板製造システム。
【請求項5】
前記アシスト部は、前記格納空間に面した前記仕切り部材の側面である、請求項1~4のいずれか1項に記載の実装基板製造システム。
【請求項6】
前記アシスト部は、前記格納空間に格納された前記収納体によって遮蔽されない部位を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の実装基板製造システム。
【請求項7】
前記格納空間に格納された前記収納体は、前記仕切り部材との間に隙間が形成されるように位置決めされる、請求項1~のいずれか1項に記載の実装基板製造システム。
【請求項8】
前記収納体ストッカは、前記格納空間に格納された前記収納体と前記仕切り部材との間に隙間を形成する隙間形成部を有する、請求項に記載の実装基板製造システム。
【請求項9】
前記収納体ストッカは、前記収納体を前記格納空間内で支持する支持部材を有し、前記支持部材に前記隙間形成部が形成されている、請求項に記載の実装基板製造システム。
【請求項10】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、
前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、
前記収納体ストッカに格納された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含み、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置が、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を含み、
前記仕切り部材は、前記エンドエフェクタまたは前記エンドエフェクタに保持された前記収納体と接触したときの外力により厚み方向に弾性変形する、部品実装システム。
【請求項11】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、
前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、
前記収納体ストッカに格納された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含み、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置が、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を含み、
前記エンドエフェクタは、前記収納体を把持する一対の把持部を有し、
前記把持部の少なくとも一方が、前記アシスト部に接触する、部品実装システム。
【請求項12】
前記収納体ストッカは、配列された複数対の前記仕切り部材を有し、
前記アシスト部を有する前記仕切り部材は一つ置きに配置されている、請求項10または11に記載の部品実装システム。
【請求項13】
前記アシスト部は、前記格納空間に面した前記仕切り部材の側面である、請求項1012のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項14】
前記アシスト部は、前記格納空間に格納された前記収納体によって遮蔽されない部位を有する、請求項1013のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項15】
前記格納空間に格納された前記収納体は、前記仕切り部材との間に隙間が形成されるように位置決めされる、請求項1014のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項16】
前記収納体ストッカは、前記格納空間に格納された前記収納体と前記仕切り部材との間に隙間を形成する隙間形成部を有する、請求項15に記載の部品実装システム。
【請求項17】
前記収納体ストッカは、前記収納体を前記格納空間内で支持する支持部材を有し、前記支持部材に前記隙間形成部が形成されている請求項16に記載の部品実装システム。
【請求項18】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに搭載された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムにおいて、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置で取り出すときの収納体移送方法であって、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、
前記格納空間に格納された前記収納体を取り出す前の前記エンドエフェクタを、前記アシスト部に接触させる工程と、
前記エンドエフェクタを前記アシスト部に接触させた状態で、前記収納体を保持する位置まで前記エンドエフェクタを移動させる工程と、
前記エンドエフェクタで前記収納体を保持し、前記収納体を前記格納空間の外部に移動させて前記収納体を取り出す工程と、を含む収納体移送方法。
【請求項19】
前記エンドエフェクタを前記アシスト部に接触させる工程は、前記エンドエフェクタを前記アシスト部に隣接させてから、前記仕切り部材の厚み方向に移動させることを含む、請求項18に記載の収納体移送方法。
【請求項20】
前記エンドエフェクタを前記アシスト部に接触させる工程は、前記エンドエフェクタを前記仕切り部材に接触させたときの外力により前記仕切り部材を厚み方向に弾性変形させることを含む、請求項18または19に記載の収納体移送方法。
【請求項21】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに搭載された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムにおいて、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置で、前記収納体ストッカに前記収納体を格納するときの収納体移送方法であって、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、
前記エンドエフェクタに保持された前記収納体を、前記アシスト部に接触させる工程と、
前記収納体を前記アシスト部に接触させた状態で、前記収納体の保持を解除する位置まで前記エンドエフェクタを移動させる工程と、
前記エンドエフェクタによる前記収納体の保持を解除し、前記収納体を前記格納空間に格納する工程と、を含み、
前記収納体を前記アシスト部に接触させる工程は、前記収納体を前記仕切り部材に接触させたときの外力により前記仕切り部材を厚み方向に弾性変形させることを含む、収納体移送方法。
【請求項22】
キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに搭載された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムにおいて、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置で、前記収納体ストッカに前記収納体を格納するときの収納体移送方法であって、
前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、
互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、
前記エンドエフェクタに保持された前記収納体を、前記アシスト部に接触させる工程と、
前記収納体を前記アシスト部に接触させた状態で、前記収納体の保持を解除する位置まで前記エンドエフェクタを移動させる工程と、
前記エンドエフェクタによる前記収納体の保持を解除し、前記収納体を前記格納空間に格納する工程と、を含み、
前記エンドエフェクタは、前記収納体を把持する一対の把持部を有し、
前記把持部の少なくとも一方が、前記アシスト部に接触する、収納体移送方法。
【請求項23】
前記収納体を前記アシスト部に接触させる工程は、前記収納体を前記アシスト部に隣接させてから、前記仕切り部材の厚み方向に移動させることを含む、請求項21または22に記載の収納体移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャリアテープを収納するとともに収納体ストッカに格納されている収納体を自動交換する機能を備えた実装基板製造システムおよび部品実装システム、ならびに収納体を自動交換する際の収納体移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装基板製造システムにおいて、部品を供給するパーツカセットを自動交換する自動交換装置が知られている(特許文献1参照)。パーツカセットは、部品を収納する収納体と部品供給装置とが一体化されたものである。パーツカセットは、待機台に待機させた後、ロボットで把持され、部品装着装置に向けて移送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-283035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットでパーツカセットを部品装着装置に対する正確な位置に移動させるには精密な制御が必要である。中でも、パーツカセットとは異なり、部品を収納する収納体が部品供給装置から分離している場合、独立したロボットと交換対象の収納体との位置合わせ、またはロボットに保持された新規に供給される収納体とその格納空間との位置合わせは困難であり、位置ずれが生じやすく、収納体を滞りなく交換するには改善の余地がある。
【0005】
交換装置もしくはロボットにより部品装着装置に部品を自動供給するためには、ロボットが部品装着装置に付設される収納体ストッカにおける特定の格納空間から使用済みの収納体を取り出し、当該格納空間に新規な収納体を供給できることが必要である。しかし、収納体のサイズおよび形状は同じ収納体においても個体差を有することに加え、格納空間における収納体の設置状態にもばらつきが生じることが多い。よって、交換装置による収納体の安定したハンドリングには困難が伴う。例えば、交換装置のエンドエフェクタで収納体を把持しようとしても、収納体が格納空間内で僅かでも傾斜していると、エンドエフェクタと収納体との位置合わせは困難になる。
【0006】
格納空間を大きくすれば、新規な収納体を格納空間へ挿入することは比較的容易となるが、収納体ストッカによる収納体の格納数が減少し、実装基板の生産性が低下する。格納空間の幅は、例えば、収納体幅とエンドエフェクタ幅との合計寸法を僅かに上回る程度が望ましいと考えられる。
【0007】
上記に鑑み、本開示は、収納体の自動交換を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面は、キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに格納された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムと、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有し、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を交換する交換装置と、を具備し、前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部をする、実装基板製造システムに関する。
【0009】
本開示の別の側面は、キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに格納された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着装置へ搬送する部品供給装置と、を含み、前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置が、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を含む、部品実装システムに関する。
【0010】
本開示の更に別の側面は、キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに搭載された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着部へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムにおいて、前記収納体ストッカに格納されている前記収納体を、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置で取り出すときの収納体移送方法であって、前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、前記格納空間に格納された前記収納体を取り出す前の前記エンドエフェクタを、前記アシスト部に接触さる工程と、前記エンドエフェクタを前記アシスト部に接触させた状態で、前記収納体を保持する位置まで前記エンドエフェクタを移動させる工程と、前記エンドエフェクタで前記収納体を保持し、前記収納体を前記格納空間の外部に移動させて前記収納体を取り出す工程と、を含む収納体移送方法に関する。
【0011】
本開示の更に別の側面は、キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、前記キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、前記収納体ストッカに搭載された前記収納体から前記キャリアテープを引き出して前記部品装着部へ搬送する部品供給装置と、を含む部品実装システムにおいて、前記収納体を保持するためのエンドエフェクタを有する交換装置で、前記収納体ストッカに前記収納体を格納するときの収納体移送方法であって、前記収納体ストッカは、前記収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有し、互いに隣接する前記仕切り部材の少なくとも一方は、前記収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有し、前記エンドエフェクタに保持された前記収納体を、前記アシスト部に接触させる工程と、前記収納体を前記アシスト部に接触させた状態で、前記収納体の保持を解除する位置まで前記エンドエフェクタを移動させる工程と、前記エンドエフェクタによる前記収納体の保持を解除し、前記収納体を前記格納空間に格納する工程と、を含む収納体移送方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、キャリアテープを収納するとともに収納体ストッカに格納されている収納体を自動交換する機能を備えた実装基板製造システムおよび部品実装システムにおいて、収納体の自動交換が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る実装基板製造システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る部品実装システムを上から見た平面図である。
図3図2のX方向(以下、同様に図2を基準とする。)から見た部品実装システムの側面図である。
図4】キャリアテープの一例を示す斜視図である。
図5】キャリアテープを収納する収納体であるリール(A)および箱型ケース(B)の斜視図である。
図6】X方向から見た収納体ストッカの断面図である。
図7】Y方向から見た収納体ストッカの正面図である。
図8】収納体を格納していない収納体ストッカの要部をX方向から見た側面図である。
図9】収納体を格納した収納体ストッカの要部をX方向から見た側面図である。
図10】収納体を格納していない収納体ストッカの要部をY方向から見た正面図である。
図11】収納体を格納した収納体ストッカの要部をZ方向から見た上面図である。
図12】収納体を格納した収納体ストッカの要部をY方向から見た拡大正面図である。
図13A】収納体を格納した収納体ストッカの別の態様の要部をY方向から見た拡大正面図である。
図13B】収納体を格納した収納体ストッカの更に別の態様の要部をY方向から見た拡大正面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る交換装置の概略的な構成を示す側面図である。
図15】エンドエフェクタによって自動的に格納空間から使用済み収納体を取り出す作業をZ方向から見た工程図である。
図16】エンドエフェクタによって自動的に格納空間から使用済み収納体を取り出す作業をX方向から見た工程図である。
図17】エンドエフェクタによって自動的に格納空間に新規の収納体を格納する作業をZ方向から見た工程図である。
図18】エンドエフェクタによって自動的に格納空間に新規の収納体を格納する作業をX方向から見た工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の一実施形態に係る部品実装システムは、キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置と、キャリアテープを収納する収納体を格納する収納体ストッカと、収納体ストッカに格納された収納体からキャリアテープを引き出して部品装着装置へ搬送する部品供給装置とを含む。本開示の一実施形態に係る実装基板製造システムは、部品装着装置に加え、収納体を保持するためのエンドエフェクタを有し、収納体ストッカに格納されている収納体を交換する交換装置を具備する。
【0015】
収納体ストッカは、収納体を格納するための格納空間を仕切る少なくとも一対の仕切り部材を有する。そして、互いに隣接する仕切り部材の少なくとも一方は、収納体を交換する交換動作をアシストするアシスト部を有する。アシスト部は、エンドエフェクタが格納空間に格納されている収納体を取り出す際に、エンドエフェクタの先端が収納体と仕切り部材の間へ侵入するのを補助する。アシスト部は、エンドエフェクタに保持された収納体を格納空間へ格納する際に、収納体が所望の格納空間へ侵入するのを補助する。アシスト部を有する仕切り部材は、交換動作の対象となる格納空間を画定している。このとき、エンドエフェクタまたはエンドエフェクタに保持された収納体は、アシスト部もしくは仕切り部材に沿って移動することができるため、格納空間への収納体の出し入れが容易に行われ得る。
【0016】
エンドエフェクタまたはエンドエフェクタに保持された収納体をアシスト部に接触させる場合、交換装置は、例えば、まず、エンドエフェクタまたはエンドエフェクタに保持された収納体をアシスト部に隣接させる。具体的には、交換対象の格納空間を画定する仕切り部材を含む一対の仕切り部材間にエンドエフェクタまたは収納体の一部を挿入する。その後、エンドエフェクタまたは収納体を仕切り部材の厚み方向に移動させることで、エンドエフェクタまたは収納体がアシスト部に側方から接触する。この場合、アシスト部は、格納空間に面した仕切り部材の側面であってもよい。
【0017】
仕切り部材は、エンドエフェクタまたはエンドエフェクタに保持された収納体と接触したときの外力により厚み方向に弾性変形してもよい。仕切り部材が容易に弾性変形することで、エンドエフェクタまたはこれに保持された収納体により、格納空間を一時的に拡張することができる。従って、収納体の格納空間への出し入れが更に容易になる。特に、仕切り部材を厚み方向に弾性変形させることで、仕切り部材と収納体との間にエンドエフェクタが進入するための隙間を確保しやすくなる。
【0018】
収納体ストッカは、配列された複数対の仕切り部材を有してもよく、通常は10以上の格納空間が並んで設けられている。この場合、アシスト部を有する仕切り部材は一つ置きに配置してもよい。換言すれば、エンドエフェクタまたはこれに保持された収納体が仕切り部材の一つのアシスト部に接触するとき、当該アシスト部を有する仕切り部材に隣接する仕切り部材は、エンドエフェクタまたはこれに保持された収納体と接触しない。この場合、対象となるアシスト部の周辺に空間的余裕が生じ、仕切り部材の間隔が狭くなった場合でも、エンドエフェクタまたはこれに保持された収納体がアシスト部にアクセスしやすくなる。
【0019】
アシスト部は、格納空間に格納された収納体によって遮蔽されない部位を有してもよい。例えば、仕切り部材の所定方向における寸法を収納体の寸法よりも十分に大きくすればよい。換言すれば、格納空間に収納体を格納したときに、収納体から仕切り部材の一部をはみ出させて、当該はみ出した部分をアシスト部として利用してもよい。これにより、エンドエフェクタまたはこれに保持された収納体がアシスト部に更にアクセスしやすくなるとともに、エンドエフェクタもしくは収納体をアシスト部もしくは仕切り部材に沿って格納空間に対して出し入れしやすくなる。
【0020】
エンドエフェクタは、収納体を把持する一対の把持部を有してもよい。この場合、把持部の少なくとも一方をアシスト部に接触させればよい。
【0021】
格納空間に格納された収納体は、仕切り部材との間に隙間が形成されるように位置決めされてもよい。仕切り部材と収納体との間に隙間を形成することで、使用済みの収納体を格納空間から取り出すときに収納体と仕切り部材との間にエンドエフェクタを侵入させることが容易になる。
【0022】
収納体ストッカは、格納空間に格納された収納体と仕切り部材との間に隙間を形成する隙間形成部を有してもよい。収納体ストッカが、収納体を格納空間内で支持する支持部材を有する場合、隙間形成部を支持部材に形成してもよい。隙間形成部を有する支持部材は、格納空間毎に1つ以上設ければよく、複数設けてもよい。支持部材は、一対の仕切り部材の間に介在させればよい。隙間形成部は、収納体を格納空間内で位置決めする機能を有してもよい。
【0023】
隙間形成部は、仕切り部材から離れるにつれて下る傾斜面としてもよい。格納空間に収納された収納体がその自重によって傾斜面を滑ることにより、収納体は仕切り部材から離れ、これにより仕切り部材と収納体との間に隙間が形成される。あるいは、隙間形成部は、支持部材の中央部から格納空間内へ突出する凸部であってもよい。このような凸部によって収納体を格納空間の中央に位置決めして、収納体と仕切り部材との間に隙間を確保することができる。
【0024】
本開示の一実施形態に係る収納体移送方法は、上記部品実装システムにおいて、収納体ストッカに格納されている収納体を、上記交換装置で取り出すときの収納体移送方法であって、(A-i)格納空間に格納された収納体を取り出す前のエンドエフェクタをアシスト部に接触させて、前記エンドエフェクタを前記格納空間に対して位置決めする工程と、(A-ii)エンドエフェクタをアシスト部に接触させた状態で、収納体を保持する位置までエンドエフェクタを移動させる工程と、(A-iii)エンドエフェクタで収納体を保持し、収納体を格納空間の外部に移動させて収納体を取り出す工程とを含む。工程(A-i)では、交換装置は、例えば、アシスト部との接触を検知し、格納空間から収納体を取り出す動作を行うべき位置を認識する。工程(A-ii)では、エンドエフェクタがアシスト部もしくは仕切り部材に沿って格納空間内を移動する。工程(A-iii)では、エンドエフェクタが収納体を正確な位置で保持する。
【0025】
本開示の実施形態に係る別の収納体移送方法は、上記部品実装システムにおいて、上記交換装置で収納体ストッカに収納体を格納するときの収納体移送方法であって、(B-i)エンドエフェクタに保持された収納体をアシスト部に接触させて、エンドエフェクタを格納空間に対して位置決めする工程と、(B-ii)位置決めされた状態から収納体の保持を解除する位置まで、収納体をアシスト部に接触させた状態で、エンドエフェクタを移動させる工程と、(B-iii)エンドエフェクタによる収納体の保持を解除し、収納体を格納空間に格納してからエンドエフェクタを移動させる工程とを含む。工程(B-i)では、交換装置は、例えば、収納体がアシスト部に接触したことを検知し、格納空間に収納体を挿入する動作を行うべき位置を認識する。工程(B-ii)では、収納体がアクセス部もしくは仕切り部材に沿って格納空間内を移動する。工程(B-iii)では、エンドエフェクタが正確な位置で収納体の保持を解除する。
【0026】
工程(A-i)および(B-i)では、エンドエフェクタまたはこれに保持された収納体をアシスト部に隣接させてから、仕切り部材の厚み方向に移動させてもよい。また、エンドエフェクタまたはこれに保持された収納体を仕切り部材に接触させたときの外力により仕切り部材を厚み方向に弾性変形させてもよい。
【0027】
以下、添付図面を参照して本開示に係る各システムおよび各方法の実施形態を説明する。実施形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(たとえば「上下」、「左右」、「前後」、および「X,Y,Z」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものでない。各図面において、各構成部品の形状または特徴を明確にするため、これらの寸法を相対的なものとして図示し、必ずしも同一の縮尺比で表したものではない。各図面において、同様の構成部品は同様の符号を用いて参照する。
【0028】
[1.実装基板製造システムの全体構成]
図1~3を参照しながら、実装基板製造システム2の全体構成について概略的に説明する。実装基板製造システム2は、基板に部品を実装して実装基板を製造する機能を有している。
図1は、実装基板製造システム2の概略的な構成を示すブロック図である。実装基板製造システム2は、部品実装システム1と、フィーダーカート20に格納されている収納体を交換する交換装置40とを具備する。実装基板製造システム2を構成する各要素同士は、必要に応じて、有線または無線による通信ネットワーク3によって接続され、上位システム60によって管理されている。上位システム60は、例えば、実装基板製造システム2を構成する各要素と通信する管理コンピュータ、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)、各種制御部、記憶装置等を備える。
【0029】
図2は、実装基板製造システム2が具備する部品実装システム1を上から見た平面図である。図3は、図2のX方向(以下、同様に図2を基準とする。)から見た部品実装システム1の側面図である。部品実装システム1は、キャリアテープから部品を取って基板に装着する部品装着装置(例えばチップマウンタ)10と、キャリアテープを収納する収納体(例えばリール)を格納するフィーダーカート20と、フィーダーカート20に格納された収納体からキャリアテープを引き出して部品装着装置10へ搬送する部品供給装置(例えばテープフィーダ)30とを具備する。部品供給装置30は、フィーダーカート20に積載された状態で、部品装着装置10に接続されている。
【0030】
なお、実装基板製造システム2は、複数の部品実装システム1を連結して形成されたラインを有してもよく、そのようなラインを複数有してもよい。
【0031】
[1-1.部品装着装置の構成]
図2、3を参照しながら、部品装着装置10について具体的に説明すると、部品装着装置10は、基台102と、基台102に内蔵されたシステム制御部11とを具備する。システム制御部11は部品実装システム1全体の制御を司っている。システム制御部11は、タッチパネル等のヒューマンマシンインタフェース(HMI)128と接続してもよい。マシンオペレータは、HMI128を介して、例えば部品実装システム1の設定等に関する情報を入力し得る。基台102上には、基板搬送コンベア121が配設され、基板BをX方向に搬送する。基板位置決め部122は、基板Bを基板搬送コンベア121の所定の実装作業位置に保持する。
【0032】
基台102には、ヘッド移動機構123が配設されている。ヘッド移動機構123は、一対のY軸テーブル123Yと、Y軸テーブル123Y上に水平に配置されたX軸テーブル123Xとを備える。テーブル123X、123Yは、いずれもリニア駆動機構を有する。
【0033】
X軸テーブル123Xには、ヘッドカメラ124と装着ヘッド125とが、X方向へ移動自在に装着されている。X軸テーブル123Xは、内蔵されたリニア駆動機構を駆動することによりヘッドカメラ124および装着ヘッド125をX方向へ移動させ、指定された位置に停止させる。Y軸テーブル123Yは、内蔵されたリニア駆動機構を駆動することにより、X軸テーブル123XをY方向へ移動させ、指定された位置に停止させる。このため、ヘッドカメラ124および装着ヘッド125は、X軸テーブル123XとY軸テーブル123Yとによって任意の位置に向かって水平方向へ移動する。ヘッドカメラ124は、基板Bの位置決めのための認識マークを撮像する。撮像された認識マークの画像はシステム制御部11へ送られ、システム制御部11によって認識マークの位置、すなわち基板Bの位置を認識する。装着ヘッド125は、負圧によって部品Cを保持する部品保持ノズル126を有する。装着ヘッド125には、部品保持ノズル126を昇降させるノズル昇降機構と、部品保持ノズル126を垂直軸回りに回転させるノズル回転機構と、部品を保持するための負圧を部品保持ノズル126に作用させるバルブ機構とを内蔵している。従って、部品保持ノズル126は、部品供給装置30の部品取り出し位置に位置する部品Cを真空吸着し、基板Bの所定位置で部品を開放して部品を基板Bに搭載し得る。
【0034】
部品認識カメラ127は、部品供給装置30と基板搬送コンベア121との間に配置される。部品認識カメラ127は、部品保持ノズル126で保持された部品Cの画像を撮像し、画像をシステム制御部11に送る。システム制御部11では、部品保持ノズル126に保持された部品の位置や姿勢を認識する。
【0035】
システム制御部11は、基板Bの位置の認識結果、部品の認識結果等に基づいて、X軸テーブル123XおよびY軸テーブル123Y、並びにノズル回転機構を制御する。これにより、部品を基板Bの所定の位置に正確に位置決めすることができる。
【0036】
[1-2.部品供給装置の構成]
部品供給装置30は、複数の部品Cを担持したキャリアテープ70を収納体5から引き出して部品取り出し位置に部品Cを搬送する。図4は、複数の部品Cを担持したキャリアテープ70の一例を示す斜視図である。キャリアテープ70は、凹状の部品収容部71を有するテープ本体72と、部品Cを収容した部品収容部71を覆うように貼り付けられたトップテープ73とを有する。部品供給装置30は、収納体ストッカ21に保持された収納体5からキャリアテープ70引き出すとともに、トップテープ73を剥離もしくは切り開いて部品Cを露出させて部品取り出し位置に位置させる。
【0037】
キャリアテープ70は、様々な収納体5に収納され得る。図5に、収納体の例示として、リール(A)および箱型ケース(B)の斜視図を示す。リール(収納体)5は、例えば、一対の円盤状部材51を中央部で連結した構造を有する。一対の円盤状部材51間にはキャリアテープ70と概ね同等幅を有するテープ収納用隙間5sが形成される。キャリアテープ70は、リール(収納体)5の中央の芯部52に捲き付けられることによりテープ収納用隙間5sに収納されている。一方、箱型ケース(収納体)5は、例えばシート状材料により形成された壁部50によって囲まれた中空部を有すればよく、中空部に渦巻き状に捲回されたキャリアテープ70が収容されている。
【0038】
収納体5には、収納体識別マークを付してもよい。収納体識別マークは、収納体5を特定する情報が記録されたバーコード、2次元コード等を含み得る。また、部品供給装置30には、供給装置識別マークを付してもよい。供給装置識別マークは、部品供給装置30を特定する情報が記録されたバーコード、2次元コード等を含み得る。
【0039】
[1-3.フィーダーカートの構成]
図6は、X方向から見たフィーダーカート20の断面図である。図7は、Y方向から見たフィーダーカート20の正面図である。フィーダーカート20は、収納体ストッカ21と、収納体ストッカ21の上部に配置されたフィーダ装着部22と、車輪23aを有する台車部23を具備する。さらにフィーダーカート20は、フィーダ装着部22を支持する支持ベース23bを有する。収納体ストッカ21は、フィーダ装着部22の下方に配置された上部ストッカ21Aと、上部ストッカ21Aの更に下方に配置された下部ストッカ21Bとを具備する。フィーダ装着部22の上面には、複数の部品供給装置(テープフィーダ)30がX方向に並んで載置されている。
【0040】
フィーダ装着部22は、支持ポスト22aを下面に有しており、支持ポスト22aは支持ベース23bに対して上下および水平方向に変位可能な状態で装着されている。すなわち、フィーダ装着部22は台車部23に対して上下および水平方向に変位可能な状態で装着されている。フィーダ装着部22は、自身が部品装着装置10の基台102に装着されたときに、台車部23から分離された状態で基台102に対して位置決めされる。また、フィーダ装着部22が部品装着装置10の基台102に装着されると、部品供給装置30は、部品装着装置10のシステム制御部11と通信できるように構成されている。システム制御部11は、部品供給装置30に部品Cの供給指令を送信して、部品取り出し位置に部品Cを供給させる。
【0041】
フィーダーカート20には、台車ユニット識別マークを付してもよい。台車ユニット識別マークは、フィーダーカート20を特定する情報が記録されたバーコード、2次元コード等を含み得る。また、複数の格納空間Sおよび/またはフィーダ装着部22には、位置識別マークを付してもよい。位置識別マークは、収納体5を回収または供給すべき格納空間Sもしくはフィーダ装着部22を特定する情報が記録されたバーコード、2次元コード等を含み得る。
【0042】
図8に、収納体5を収納していないときの収納体ストッカ21の要部をX方向から見た側面図を示す。一方、図9に、収納体5を収納したときの収納体ストッカ21の要部をX方向から見た側面図を示す。また、図10に、収納体を格納していないときの収納体ストッカ21の要部をY方向から見た正面図を示す。一方、図11に、収納体5を収納したときの収納体ストッカ21の要部をZ方向から見た上面図を示す。ストッカ21A、21B は、それぞれ複数の収納体5を収容し得るように、X方向に並ぶ複数の格納空間Sを有している。複数の格納空間Sは、それぞれが一対の仕切り部材24によって仕切られている。
【0043】
仕切り部材24は、概ね板状部材で構成されている。仕切り部材24は、外力により厚み方向に弾性変形が可能な部材で構成することが好ましい。例えば、金属板、樹脂板などを用いることができる。中でも、ステンレス鋼製の板材が適度な弾性を有する点で好ましい。
【0044】
図9に示すように、収納体5を格納した状態において、仕切り部材24は、収納体5によって遮蔽されない部位(収納体5と重複しない部位)を有する。仕切り部材24の収納体5によって遮蔽されない部位のうち、交換装置40またはこれに保持された収納体5が容易にアクセスし得る部位は、収納体5を交換する交換動作をアシストするアシスト部24Aとして利用できる。交換装置40またはこれに保持された収納体5は、仕切り部材24の正面側の先端を含む領域(図6図9において破線Eで囲まれた領域)に容易にアクセスし得る。よって、当該領域(特にその格納空間Sに面した側面)は、アシスト部24Aとして機能し得る。なお、アシスト部24Aを利用した交換動作については後述する。
【0045】
図11に示すように、アシスト部24A(破線Eで囲まれた領域)を有する仕切り部材24は一つ置きに配置されている。この場合、一対のアシスト部を有する仕切り部材24の間隔は、収納体5の二つ分の幅よりも十分に大きくなる。よって、対象となるアシスト部24Aの周辺に空間的余裕が生じ、交換装置40またはこれに保持された収納体5がアシスト部24Aにアクセスしやすくなる。
【0046】
図8~11に示されるように、複数の仕切り部材24は、例えば、ロッド状の連結部材25によって相互に連結されている。図示例では、連結部材25が3箇所に設けられているが、連結部材25の数は特に限定されない。ここでは、連結部材25は、軸方向をX方向に向けて配置されたロッド本体251と、ロッド本体251に挿入された環状の複数の支持部材252とで構成されている。支持部材252は、隣接する仕切り部材24に挟まれた状態で連結部材25に装着されており、隣接する仕切り部材24同士の間隔、すなわち格納空間Sの幅を決める幅決定部材として機能する。支持部材252の幅は、収納体5の幅とエンドエフェクタの厚みの合計寸法以上となっており、これにより格納空間Sの幅を収納体5の幅とエンドエフェクタの厚み以上としている。また、支持部材252は、収納体5を支持する支持部として機能する。なお、支持部材252は、少なくとも1つの連結部材25に設ければよいが、複数の連結部材25に設けてもよい。
【0047】
支持部材252は、仕切り部材24をロッド本体251に位置決めする機能を有してもよい。図示例では、複数の支持部材252は、それぞれが一対の仕切り部材24の間に介在している。すなわち、複数の支持部材252の幅は、それぞれが格納空間Sの幅に対応している。隣接する支持部材252間にはスリット状の僅かな隙間があり、仕切り部材24が当該隙間に挟持されることでロッド本体251の所定の位置に固定されている。
【0048】
支持部材252は、格納空間S内で、収納体5とアシスト部24Aとの間に隙間が形成されるように収納体5を位置決めする機能を更に有してもよい。例えば、図10に示されるように、仕切り部材24に近接して支持部材252に隙間形成部252aを設ければよい。ここでは、隙間形成部252aは、仕切り部材24から離れるにつれて下る傾斜面であり、収納体5は支持部材252に載置されると、その自重により傾斜面を滑って位置決めされる。仕切り部材24と収納体5との間の隙間は、既に述べたように、格納空間S内の収納体5の交換を容易にする。
【0049】
収納体5が一対の円盤状部材を中央部で連結したリール(収納体)5である場合、一対の円盤状部材51間にはテープ収納用隙間5sが形成される。支持部材252にテープ収納用隙間5sに侵入し得る凸部252bを設けることで、支持部材252にリール(収納体)5を位置決めさせることができる。これにより、リール(収納体)5を格納空間S内でより正確に位置決めすることが容易になる。ただし、リール(収納体)5はキャリアテープ70の搬送に伴って回転可能な状態であり、適度な自由度を有する。
【0050】
図12は、リール(収納体)5を格納した収納体ストッカの一態様の要部をY方向から拡大して見た正面図である。リール(収納体)5は一対の円盤状部材51を具備し、一対の円盤状部材51間にはテープ収納用隙間5sが形成されている。支持部材252は、仕切り部材24から離れるにつれて下る傾斜面を隙間形成部252aとして有し、かつテープ収納用隙間5sに侵入し得る凸部252bを有する。このように、格納空間Sもしくは支持部材252が、隙間形成部252aおよび凸部252bを有することで、仕切り部材24と収納体5との間に容易に隙間SLを形成できるとともに、隙間SLを形成し得る位置にリール(収納体)5をより確実に位置決めすることができる。
【0051】
なお、図12では、一対の仕切り部材24の間に介在する支持部材252が、収納体5を位置決めするための隙間形成部252aと凸部252bとを具備する例を挙げたが、支持部材252は、必ずしも隙間形成部および凸部の両方を有する必要はない。例えば、図13Aに示すように、収納体5が箱型ケースであれば、支持部材252は凸部を有する必要はなく、仕切り部材24から離れるにつれて下る傾斜面を隙間形成部252aとして有する支持部材252を用いればよい。
【0052】
また、図13Bに示すように、収納体5がリールであれば、支持部材252は、中央にテープ収納用隙間5sに侵入する凸部252bを有し、その両側に隙間形成部として凸部252bから離れるにつれて下る傾斜面252cを有してもよい。
【0053】
[2.交換装置の構成]
図14に示すように、交換装置40は、例えば、交換装置制御部42と、ロボット機構43と、走行機構46と、部品保管部48とを具備する。
【0054】
交換装置制御部42は、ロボット機構43、走行機構46等を制御するとともに、無線通信機能を有する。交換装置制御部42は、例えば、部品装着装置10が具備するシステム制御部11と直接または間接的に無線通信可能である。また、交換装置制御部42は、例えば上位システム60と相互通信することで、部品装着装置10との情報交換が可能である。
【0055】
上位システム60は、管理コンピュータ、記憶部等を具備する。交換装置40の行き先、ロボット機構43が実行する作業内容、作業の対象となる収納体5、格納空間S等に関する指令を、交換装置40の交換装置制御部42に送信する。なお、記憶部の一部または全部は、サーバを介してクラウドに備えてもよい。
【0056】
ロボット機構43は、例えば、多関節ロボットであり、ロボットアーム433の先端にエンドエフェクタ431を装備している。ロボットアーム433は、サーボモータで駆動される関節を有しており、関節でロボットアームを屈曲させることで、エンドエフェクタ431の位置や向きを調整する。エンドエフェクタ431は、収納体5を保持できるとともに保持を解除できればよく、例えば把持、吸着等の機能を有すればよい。本実施形態に係るエンドエフェクタ431は、収納体5を厚み方向に挟んで保持する一対のフィンガーである(図15参照)。エンドエフェクタ431は、収納体5の交換作業の際に収納体ストッカ21のアシスト部24Aとの接触を感知する感圧センサを具備してもよい。
【0057】
ロボット機構43は、移動カメラ432を備えている。移動カメラ432は、例えば、収納体識別マーク、台車ユニット識別マーク、供給装置識別マーク、位置識別マーク等を撮像する。
【0058】
走行機構46は、車輪、車輪の駆動装置(例えばモータ)、車輪の方向変換機構などを有すればよい。
【0059】
交換装置制御部42は、ロボット機構43や走行機構46の制御を行う。また、交換装置制御部42は接触検出部421を有する。接触検出部421は、エンドエフェクタ431やエンドエフェクタ431に保持された収納体5が何かに接触したことを検出する機能を有する。本実施形態では、接触検出部421の接触検出機能を、エンドエフェクタ431やエンドエフェクタ431に保持された収納体5が仕切り部材24(アシスト部24A)に接触したことを検出するために利用している。接触検出部421としては、エンドエフェクタ431に取り付けた感圧センサ、歪センサ等の信号で接触を判定する方式や、ロボットアーム433のサーボモータの負荷を検出して接触を判定する方式等を採用することができる。
【0060】
交換装置制御部42は、物体認識部422を有してもよい。物体認識部422は、移動カメラ432によって撮像された画像により、バーコード、2次元コード等の識別コードもしくは識別マーク、位置基準マーク等を認識し、収納体5の識別情報や、収納体5、フィーダーカート20、部品供給装置30、格納空間S等の位置を認識する。
【0061】
部品保管部48は、ロボット機構43がアクセス可能な複数の保管棚48aを有する。保管棚48aには、使用済みの収納体5および交換用の新規な収納体5を搭載することができる。交換装置40は、所定の部品保管庫50(図1参照)から供給された収納体5を保管棚48aに搭載して、補給対象のフィーダーカート20に運搬する。また、交換装置40は、使用済みの収納体5を保管棚48aに搭載して、所定の使用済み収納体の回収場所に運搬する。また、交換装置40は、エンドエフェクタ431によって収納体ストッカ21の収納体5を交換する交換作業を行う。なお交換作業は、格納空間Sから取り出す取出作業と収納体5を格納空間Sに格納する格納作業が含まれる。
【0062】
次に、図15図16を参照しながら、ロボット機構43が具備するエンドエフェクタ431によって自動的に格納空間Sに格納されている使用済みの収納体5を格納空間Sから取り出す取出作業について更に説明する。ここでは、エンドエフェクタ431が収納体5を把持する一対の把持部を有する場合について説明する。
【0063】
上位システム60の指令を受けた交換装置40は、交換対象の収納体5Xが格納されているフィーダーカート20が設置された位置に移動し、交換作業を行う。ただし、エンドエフェクタ431と格納空間Sに格納されている収納体5Xとの相対的な位置関係には相当の誤差が生じ得る。また、収納体5Xの格納空間S内での姿勢は様々である。よって、通常、エンドエフェクタ431の位置を直ちに収納体5Xを保持し得る位置に正確に合わせることは困難である。
【0064】
一方、交換装置40は、少なくとも、エンドエフェクタ431を交換対象の収納体5Xを格納する格納空間Sの任意の位置に挿入する程度の精度を有する。また、アシスト部24Aを有する仕切り部材24は一つ置きに配置されている。よって、エンドエフェクタ431を一対のアシスト部24Aを有する仕切り部材24で挟まれた領域の任意の位置に挿入し、収納体5Xの格納空間Sに面したアシスト部24Aにアクセスさせることは容易である。
【0065】
具体的には、交換装置40は、まず、図15(a1)、(b1)に示すように、交換対象の収納体5Xが格納されている格納空間Sを仕切る仕切り部材24のアシスト部24Aに、エンドエフェクタ431を隣接させ(工程(a1))、続いて、エンドエフェクタ431を仕切り部材24の厚み方向に移動させて収納体5Xを格納する格納空間Sに面したアシスト部24Aに接触させて位置決めする(工程(b1))。このとき、アシスト部24Aをエンドエフェクタ431からの外力により厚み方向に弾性変形させてもよい。また、接触検出部421が接触を検出したらエンドエフェクタ431の移動を停止させるようにしてもよい。接触検出部421を用いれば、交換装置制御部42は、交換作業を行うべき位置、すなわちエンドエフェクタ431を停止させるべき位置を認識して、エンドエフェクタ431を格納空間Sに対して正確に位置決めすることができる。
【0066】
次に、交換装置40は、図15(c1)に示すように、エンドエフェクタ431をアシスト部24Aもしくは仕切り部材24に接触させた状態で、エンドエフェクタ431を格納空間Sの奥方に移動させる。このとき、必要に応じて、一対の把持部の間隔を収納体5Xが把持され得る間隔となるように調整すればよい。エンドエフェクタ431をアシスト部24Aもしくは仕切り部材24に接触させながら移動させることで、エンドエフェクタ431は収納体5Xとの干渉をできるだけ受けずに奥方に侵入することができる。エンドエフェクタ431の先端部は、図示例のように収納体5との接触面(内側)から他方の面(外側)に向かうテーパ面を有し、先端部が徐々に薄くなっていてもよい。これにより、エンドエフェクタ431と収納体5Xとの干渉を更に抑制しやすくなる。
【0067】
格納空間Sに格納された収納体5Xとアシスト部24Aとの間に隙間が形成されている場合、少なくとも工程(b1)から工程(c1)おいて、エンドエフェクタ431を当該隙間に挿入させて移動させてもよい。これにより、エンドエフェクタ431の先端と収納体5Xとの衝突が防止され、もしくはエンドエフェクタ431が収納体5Xから受ける摩擦や抵抗が抑制されて、エンドエフェクタ431の移動が容易になる。例えば、図16に示すように、エンドエフェクタ431は、十分な隙間が形成されている収納体5Xの下方の第一位置P1から更に奥方の第二位置P2に移動することで格納空間Sに挿入される。
【0068】
次に、交換装置40は、収納体5Xを保持する位置までエンドエフェクタ431を移動させる作業を行う。例えば、図16に示すように、エンドエフェクタ431は、収納体5の下方の第二位置P2からより上方の収納体5Xの中央付近を把持し得る第三位置P3まで移動する。第三位置P3でエンドエフェクタ431は収納体5Xを保持し、格納空間Sの外部に移動させる。このとき、第三位置P3よりも斜め上方の第四位置P4に収納体5Xを移動させることで、仕切り部材24との干渉をできるだけ受けずに収納体5Xを取り出すことができる。使用済みの収納体5Xは、交換装置40に備え付けの回収棚等に回収すればよい。
【0069】
次に、交換装置40は、収納体5が取り出された格納空間Sに別の収納体5を格納する格納作業を行う。交換装置40は、部品保管部48の保管棚48aから新規な収納体5を取り出し、図17(a2)、(b2)に示すように、新規な収納体5を格納すべき格納空間Sを仕切る仕切り部材24のアシスト部24Aにエンドエフェクタ431で把持された収納体5を隣接させ(工程(a2))、続いて、エンドエフェクタ431を仕切り部材24の厚み方向に移動させて、収納体5をアシスト部24Aに接触させる(工程(b2))。このとき、アシスト部24Aを収納体5からの外力により厚み方向に弾性変形させてもよい。収納体5とアシスト部24Aとの接触により、所定の検出機能を介して、交換装置制御部42は、交換作業を行うべき位置、すなわち収納体5を更に格納空間Sの奥方へ移動させるべき位置を認識する。すなわち、収納体5の位置決めが行われる。
【0070】
次に、交換装置40は、図17(c2)に示すように、収納体5を格納空間Sの奥方に移動させる。このとき、図18に示すように、収納体5を一旦斜め上方に進行させてもよい。具体的には、収納体5をアシスト部24Aに接触させた第五位置P5から、斜め上方の第六位置P6に移動させてもよい。その後、収納体5の保持を解除する第七位置P7までエンドエフェクタ431を移動させ、収納体5の保持を解除することで収納体5の格納空間Sへの格納が完了する。その後、エンドエフェクタ431を格納空間Sから離れるように移動させる。このように収納体5を一旦斜め上方に進行させてから第七位置P7に移動させることより、仕切り部材24との干渉をできるだけ受けずに収納体5を格納空間Sに格納しやすくなる。
なお、上記実施形態は、本発明を限定するものではない。例えば、接触検出部421を有しないタイプの交換装置40を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示に係る実装基板製造システムおよび部品実装システムによれば、キャリアテープを収納し、収納体ストッカに格納されている収納体の自動交換が容易になる。
【符号の説明】
【0072】
1:部品実装システム
2:実装基板製造システム
3:通信ネットワーク
5:収納体
10:部品装着装置(チップマウンタ)
11:システム制御部
12:部品実装部
102:基台、121:基板搬送コンベア、122:基板位置決め部、
123:ヘッド移動機構、
123Y:Y軸テーブル、123X:X軸テーブル、
124:ヘッドカメラ、
125:装着ヘッド、126:部品保持ノズル、
127:部品認識カメラ、128:HMI
20:フィーダーカート
21:収納体ストッカ(21A:上部ストッカ、21B:下部ストッカ)、22:フィーダ装着部、
22a:支持ポスト、23:台車部、23a:車輪、23b:支持ベース、24:仕切り部材、
24A:アシスト部
25:連結部材
251:ロッド本体、252:支持部材、252a:隙間形成部、
252b:凸部
30:部品供給装置(テープフィーダ)
40:交換装置
42:交換装置制御部
421:接触検出部、422:物体認識部
43:ロボット機構
431:エンドエフェクタ、432:移動カメラ、
433:ロボットアーム
46:走行機構
48:部品保管部、48a:保管棚
50:部品保管庫
60:上位システム
70:キャリアテープ
71:部品収容部、72:テープ本体、73:トップテープ
S:格納空間

図1
図2
図3
図4
図5
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図13A
図13B
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