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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】車両群
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221202BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221202BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 H
G08G1/13
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022062468
(22)【出願日】2022-04-04
【審査請求日】2022-04-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】709005245
【氏名又は名称】山内 和博
(72)【発明者】
【氏名】山内 和博
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-195018(JP,A)
【文献】特開2019-101191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、
前記主導車両は、
自車位置を検知する自車位置検知部と、
前記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と
有し、
前記複数の各従動車両は、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部 と、
自車側方の他車を検知する側方レーダー部と、
前記前方レーダー部の自車直前の他車の検知結果を用いて自車直前の車両に追従走行する追従モード並びに前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードを 指示する指示信号を受信する受信部と
有する車両群において、
前記従動車両が前記主導車両を先頭に自車直前の前記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、前記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内にて停止したことを検知した場合、前記主導車両の送信部は、前記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する車両群。
【請求項2】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、
前記主導車両は、
自車位置を検知する自車位置検知部と、
前記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と
有し、
前記複数の各従動車両は、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部 と、
自車側方の他車を検知する側方レーダー部と、
前記前方レーダー部の自車直前の他車の検知結果を用いて自車直前の車両に追従走行する追従モード並びに前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードを 指示する指示信号を受信する受信部と
有する車両群において、
前記従動車両が前記主導車両を先頭に自車直前の前記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、前記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、前記主導車両の送信部は、前記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する車両群。
【請求項3】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、
前記複数の各従動車両は、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、
自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、
前記他の従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、
当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、
自車位置を検知する自車位置検知部と、
前記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、
を有する車両群において、
前記従動車両が前記主導車両を先頭に自車直前の前記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、少なくとも1つの前記従動車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内に停止したことを検知した場合、当該従動車両の送信部は、他の前記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する車両群。
【請求項4】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、
前記複数の各従動車両は、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、
自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、
前記他の従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、
当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、
自車位置を検知する自車位置検知部と、
前記前方レーダー部の自車直前の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、
を有する車両群において、
前記従動車両が前記主導車両を先頭に自車直前の前記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、少なくとも1つの前記従動車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、当該従動車両の送信部は、他の前記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する車両群。
【請求項5】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、
前記主導車両は、
前記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、
自車が交差点内に位置している旨の情報を取得する位置情報取得部と、
を有し、
前記複数の各従動車両は、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、
自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、
当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、
前記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車直前の車両に追従走行する追従モードから前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、
を有する車両群において、
前記従動車両が前記主導車両を先頭に自車直前の前記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、前記主導車両の位置情報取得部が自車が右折予定の交差点内に停止した旨の情報を取得した場合、当該主導車両の送信部は、前記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する車両群。
【請求項6】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、
前記主導車両は、
前記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、
前記従動車両からの信号を受信する受信部と、を有し、
前記複数の各従動車両は、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、
自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、
当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、
自車が交差点内に位置している旨の情報を取得する位置情報取得部と、
当該位置情報取得部取得結果を前記主導車両の受信部に送信する送信部と、
前記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車直前の車両に追従走行する追従モードから前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、
を有する車両群において、
前記従動車両が前記主導車両を先頭に自車直前の前記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、少なくとも1つの前記従動車両の位置情報取得部が自車が右折予定の交差点に位置した旨の情報を取得した場合、当該従動車両の送信部は、上記取得結果を前記主導車両の受信部に送信し、前記主導車両の受信部が上記取得結果を受信した後、前記主導車両の送信部は、前記各従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する車両群。
【請求項7】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両を有し、隊列を成して走行する車両群であって、
前記主導車両は、
自車位置を検知する自車位置検知部と、
自車直後の前記従動車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、
を有し、
前記各従動車両は、
自車直前の前記車両からの現行のモードを解除する指示信号を受信する受信部と、
自車直後の前記車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、
自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、
前記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車直前の車両に追従走行する追従モードから前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、
前記各従動車両の受信部が上記指示信号を受信することにより自車の上記追従モードが解除され、前記各従動車両の前方レーダー部が自車前方の所定範囲に他の車両が無いことを検知することにより、前記各従動車両のモード切換部が上記右折モードに切り換え、前記送信部に自車直後の前記従動車両へ上記指示信号を送信するように制御する制御部と、
を有し、
前記各従動車両が前記主導車両を先頭に直前の前記従動車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、前記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内にて停止したことを検知した場合、前記主導車両の送信部は、自車直後の前記従動車両の受信部に対して上記指示信号を送信する 車両群。
【請求項8】
主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両を有し、隊列を成して走行する車両群であって、
前記主導車両は、
自車位置を検知する自車位置検知部と、
自車直後の前記従動車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、
を有し、
前記各従動車両は、
自車直前の前記車両からの現行のモードを解除する指示信号を受信する受信部と、
自車直後の前記車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、
自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、
自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、
前記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから前記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び前記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、
前記各従動車両の受信部が上記指示信号を受信することにより自車の上記追従モードが解除され、前記各従動車両の前方レーダー部が自車前方の所定範囲に他の車両が無いことを検知することにより、前記各従動車両のモード切換部が上記右折モードに切り換え、前記送信部に自車直後の前記従動車両へ上記指示信号を送信するように制御する制御部と、
を有し、
前記各従動車両が前記主導車両を先頭に直前の前記従動車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、前記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、前記主導車両の送信部は、自車直後の前記従動車両の受信部に対して上記指示信号を送信する 車両群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両を含む車両群に関わり、特に、複数の運転モードを有する車両を含む隊列を編成して走行する車両群に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の自動運転技術の開発が加速化し、その技術は、カーナビゲーション技術、高度な無線通信技術、AI技術等と結合し、人的操作が殆ど不要な水準に達している。
特許文献1に開示された発明は、隊列を組んで走行する車両群についてその隊列の長さが現在走行中の高速道路の合流区間の長さより長い場合、その隊列を前後に分割することにより、合流予定の車両がその分割された車両の間に進入し、合流することができるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-146129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の発明は、高速道路の合流区間にて車両の隊列を自ら分断する技術であるが、車両群が一般道路の交差点を左折又は右折する際には、その発明の適用は困難である。
【0005】
本発明の目的は、車両群が一般道路の交差点にて安全かつ迅速に左折又は右折する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、上記主導車両は、自車位置を検知する自車位置検知部と、上記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、を有し、上記複数の各従動車両は、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他車を検知する側方レーダー部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モード並びに上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードを指示する指示信号を受信する受信部と、を有する車両群において、上記従動車両が上記主導車両を先頭に自車直前の上記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、上記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内にて停止したことを検知した場合、上記主導車両の送信部は、上記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する。
【0007】
この構成により、主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内にて停止したことを検知した場合、主導車両の送信部は、従動車両の受信部に対して、上記右折モードに切り換える信号を送信することにより、当該従動車両は、右折モードに切り換わるために、主導車両が右折しても、即座に追従することはなく、自動的に単独で交差点を右折して脱出する。
【0008】
請求項2記載の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、上記主導車両は、自車位置を検知する自車位置検知部と、上記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、を有し、上記複数の各従動車両は、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他車を検知する側方レーダー部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モード並びに上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードを指示する指示信号を受信する受信部と、を有する車両群において、上記従動車両が上記主導車両を先頭に自車直前の上記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、上記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、上記主導車両の送信部は、上記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する。
【0009】
この構成により、従動車両が主導車両に追従モードにて追従走行している状態にて、主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、主導車両の送信部は、従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信することで、主導車両に続く従動車両は、上記指示信号を受信して、右折モードに切り換わり、自動的に交差点を右折して脱出する。これにより、隊列の車両が1台毎に交差点を脱出することができる。
【0010】
また、請求項3記載の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、上記複数の各従動車両は、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、上記他の従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、自車位置を検知する自車位置検知部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、を有する車両群において、上記従動車両が上記主導車両を先頭に自車直前の上記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、少なくとも1つの上記従動車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内に停止したことを検知した場合、当該従動車両の送信部は、他の上記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する。
【0011】
この構成により、少なくとも1つの上記従動車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内に停止したことを検知した場合、当該従動車両の送信部は、他の上記従動車両の受信部に対して、上記右折モードにて走行させる指示信号を送信することによって、上記他の従動車両は、自車直前の車両が右折しても、即座に追従して交差点を右折せずに、自動的に交差点を右折して脱出する。これにより、隊列の車両が1台毎に交差点を脱出することができる。
【0012】
また、請求項4の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、上記複数の各従動車両は、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、上記他の従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、自車位置を検知する自車位置検知部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、を有する車両群において、上記従動車両が上記主導車両を先頭に自車直前の上記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、少なくとも1つの上記従動車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、当該従動車両の送信部は、他の上記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する。
【0013】
この構成により、少なくとも1つの上記従動車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、当該従動車両の送信部は、他の上記従動車両の受信部に対して、上記右折モードにて走行させる指示信号を送信することによって、上記他の従動車両は、自車直前の車両が右折しても、即座に追従して交差点を右折することはなく、右折モードに切り換わったことにより、自動的に交差点を右折して脱出する。これにより、隊列の車両が1台毎に交差点を脱出することができる。
【0014】
また、請求項5記載の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、上記主導車両は、上記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、自車が交差点内に位置している旨の情報を取得する位置情報取得部と、を有し、上記複数の各従動車両は、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、を有する車両群において、上記従動車両が上記主導車両を先頭に自車直前の上記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、上記主導車両の位置情報取得部が自車が右折予定の交差点内に停止した旨の情報を取得した場合、当該主導車両の送信部は、上記従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する。
【0015】
この構成により、主導車両を先頭に従動車両が直前の車両に追従する追従モードにて追従走行している状態にて、主導車両の位置情報取得部が自車が右折予定の交差点内に停止した情報を取得した場合、当該主導車両の送信部は、従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換える指示信号を送信することで、その指示信号を受信した従動車両は、右折モードに切り換わり、自動的に交差点を右折して脱出する。これにより、隊列の車両が1台毎に交差点を脱出することができる。
【0016】
また、請求項6記載の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両からなる隊列を成して走行する車両群であって、上記主導車両は、上記従動車両の走行を指示する指示信号を送信する送信部と、上記従動車両からの信号を受信する受信部と、を有し、上記複数の各従動車両は、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、当該他の従動車両の送信部からの指示信号を受信する受信部と、自車が交差点内に位置している旨の情報を取得する位置情報取得部と、当該位置情報取得部取得結果を上記主導車両の受信部に送信する送信部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車直前の車両に追従走行する追従モードから上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、を有する車両群において、上記従動車両が上記主導車両を先頭に自車直前の上記車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、少なくとも1つの上記従動車両の位置情報取得部が自車が右折予定の交差点に位置した旨の情報を取得した場合、当該従動車両の送信部は、上記取得結果を上記主導車両の受信部に送信し、上記主導車両の受信部が上記取得結果を受信した後、上記主導車両の送信部は、上記各従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信する。
【0017】
この構成により、従動車両が主導車両に追従モードにて追従走行している状態にて、少なくとも1つの従動車両の位置情報取得部が自車が右折予定の交差点に位置した旨の情報を取得した場合、当該従動車両の送信部は、上記取得結果を主導車両の受信部に送信し、当該主導車両の受信部が上記取得結果を受信した後、当該主導車両の送信部は、従動車両の受信部に対して、上記追従モードから上記右折モードに切り換えさせる指示信号を送信することで、その指示信号を受信した従動車両は、右折モードに切り換わり、自動的に交差点を右折して脱出する。これにより、隊列の車両が1台毎に交差点を脱出することができる。
【0018】
また、請求項7の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両を有し、隊列を成して走行する車両群であって、上記主導車両は、自車位置を検知する自車位置検知部と、自車直後の上記従動車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、を有し、上記各従動車両は、自車直前の上記車両からの現行のモードを解除する指示信号を受信する受信部と、自車直後の上記車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、上記各従動車両の受信部が上記指示信号を受信することにより自車の上記追従モードが解除され、上記各従動車両の前方レーダー部が自車前方の所定範囲に他の車両が無いことを検知することにより、上記各従動車両のモード切換部が上記右折モードに切り換え、上記送信部に自車直後の上記従動車両へ上記指示信号を送信するように制御する制御部と、を有し、上記各従動車両が上記主導車両を先頭に直前の上記従動車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、上記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点内にて停止したことを検知した場合、上記主導車両の送信部は、自車直後の上記従動車両の受信部に対して上記指示信号を送信する。
【0019】
この構成により、上記主導車両を先頭に上記従動車両が直前の車両に追従して走行する追従モードにて走行している状態にて、上記主導車両が右折予定の交差点内にて停止することにより、上記主導車両は、直後の従動車両に追従モード解除の指示信号を送信した後に交差点を右折する。当該主導車両の直後にいた従動車両は、上記指示信号を受信してその場に停止した状態から、自車前方の主導車両が居なくなったことにより、右折モードに切り換わって、交差点を自動的に右折する。上記従動車両は、自車の直後の従動車両に追従モードを解除する指示信号を送信することにより、当該直後の従動車両は、上記指示信号を受信してその場に停止した状態から、自車前方の車両が居なくなったことにより、右折モードに切り換わって、交差点を自動的に右折する。このように、後続の従動車両は、次々に交差点を自動的に右折する。これにより、隊列の車両が1台毎に交差点を脱出することができる。
【0020】
また、請求項8の本発明においては、主導車両及び複数の運転モードを有する複数の従動車両を有し、隊列を成して走行する車両群であって、上記主導車両は、自車位置を検知する自車位置検知部と、自車直後の上記従動車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、を有し、上記各従動車両は、自車直前の上記車両からの現行のモードを解除する指示信号を受信する受信部と、自車直後の上記車両の現行のモードを解除する指示信号を送信する送信部と、自車直前の他車及び対向車線の他車を検知する前方レーダー部と、自車側方の他の車両を検知する側方レーダー部と、上記前方レーダー部の自車前方の他車の検知結果を用いて自車の直前の車両に追従走行する追従モードから上記前方レーダー部の対向車線の他車の検知結果及び上記側方レーダー部の自車側方の他車の検知結果を用いて交差点にて自動的に右折する右折モードに切り換えるモード切換部と、上記各従動車両の受信部が上記指示信号を受信することにより自車の上記追従モードが解除され、上記各従動車両の前方レーダー部が自車前方の所定範囲に他の車両が無いことを検知することにより、上記各従動車両のモード切換部が上記右折モードに切り換え、上記送信部に自車直後の上記従動車両へ上記指示信号を送信するように制御する制御部と、を有し、上記各従動車両が上記主導車両を先頭に直前の上記従動車両に上記追従モードにて追従走行している状態にて、上記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、上記主導車両の送信部は、自車直後の上記従動車両の受信部に対して上記指示信号を送信する。
【0021】
この構成により、上記主導車両を先頭に上記従動車両が直前の車両に追従して走行する追従モードにて走行している状態にて、上記主導車両の自車位置検知部が自車が右折予定の交差点から手前の所定距離の位置を通過したことを検知した場合、上記主導車両は、直後の従動車両に追従モード解除の指示信号を送信した後に交差点を右折する。当該主導車両の直後にいた従動車両は、上記指示信号を受信してその場に停止した状態から、自車前方の主導車両が居なくなったことにより、右折モードに切り換わって、交差点を自動的に右折する。上記従動車両は、自車の直後の従動車両に追従モードを解除する指示信号を送信することにより、当該直後の従動車両は、上記指示信号を受信してその場に停止した状態から、自車前方の車両が居なくなったことにより、右折モードに切り換わって、交差点を自動的に右折する。このように、後続の従動車両は、次々に交差点を自動的に右折する。これにより、隊列の車両が1台毎に交差点を脱出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、複数の車両を含む車両群が一般道路等の交差点にて安全かつ迅速に右左折することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の車両群の実施例における回路構成ブロック図である。
図2】本発明の車両群の実施例における回路構成ブロック図である。
図3】本発明の車両群の実施例1における動作フローチャートである。
図4】本発明の車両群の実施例2における動作フローチャートである。
図5】本発明の車両群の実施例3における動作フローチャートである。
図6】本発明の車両群の実施例における走行説明図である。
図7】本発明の車両群の実施例における走行説明図である。
図8】本発明の車両群の実施例における走行説明図である。
図9】本発明の車両群の実施例における走行説明図である。
図10】本発明の車両群の実施例における走行説明図である。
図11】本発明の車両群の実施例における走行説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例1)
以下、図面に沿って本発明の車両群の実施例について説明する。尚、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
図1及び図2を参照して、本発明の車両群の車両の実施例における回路ブロックの構成について詳細に説明する。ここで、図1においては、主導車両Aの回路ブロックが、また、図2においては、従動車両B(1~3)の回路ブロックが図示されているが、両車両は、全く同じ構成を有する。よって、両図において、同じ名称の機能部は、同じ機能を有する。
【0026】
本実施例の車両群は、1台の主導車両A及び当該主導車両に続いて走行する複数の従動車両B(1~3)を有する。また、本実施例では、主導車両及び各従動車両共に自動運転が可能な車両である。詳細は後述するが、各従動車両は、直前の車両に続いて走行する追従走行の機能も有している。これは、他の実施例においても同様である。
【0027】
図1にて、本実施例の主導車両Aの回路ブロックの構成を説明する。本主導車両Aは、基本走行における駆動操作のためのアクセル部1A並びにそのアクセル部により制御されるアクセル制御部1B、駆動源であるエンジン部2、操舵を行うステアリング部3A並びにその制御を行うステアリング制御部3B、及び、自車の制動を行うブレーキ部4A並びにその制御を行うブレーキ制御部4Bを有する。
【0028】
更に、本車両は、手動運転機能、自動運転機能(レベル1~4)、カーナビゲーション機能、追従走行機能等を備える。即ち、本自動運転車の自動運転機能については、運転者の操作なしに自動的に走行が可能な自動運転モード及び直前の車両に所定の距離だけ離隔した状態にて追従して走行する追従モードを有する。よって、本自動運転車は、ECU(Electronic Control Unit)等からなる制御部18がアクセル部1A、ブレーキ部4A、ハンドル(ステアリング部)3A、及び方向指示器部18の運転操作を自動的に制御する。即ち、本車両は、カーナビ機能部5により走行ルートが設定され、その走行ルートに沿って走行案内を受けながら、カメラ部8、28、レーダー部9、29、音波測定部10、30及び音波測定部14、34により自動走行又は追従走行を行うことができる。方向指示部18は、自車が左右に曲がるときに手動又は自動でその方向を指示するものである。
【0029】
また、前方カメラ部8は、本車両の周囲を撮像するが、主に自車の直前の車両(自車の現在の走行車線上及び対向車線の車両)の映像を鮮明に撮像することにより、前方の車両の方向指示部18の指示方向を検知できる。
また、前方レーダー部9は、ミリ波レーダーを利用して前方の物体との距離を測定可能である。また、前方音波測定部10も同様であり、この2つは、天候や日夜によって使い分けることも可能である。
尚、上記前方カメラ部、前方レーダー部及び前方音波測定部をまとめて、「他車検知部」と称する。
更に、側方カメラ部12は、自車の両側方を撮像する。また、側方レーダー部13及び側方音波測定部14も同様に自車の両側方の物体の有無及び距離を計測する。カメラ部8、12により撮像された映像は、記憶部17に格納され、各種の検知に用いられる。
【0030】
自車位置検知部5は、カーナビ機能部でもあり、自車の位置をGPS(Global Positioning System)を利用して自車位置を検知することができ、目的地及び経由地を設定すると経路を探索して走行案内を行う。表示部6は、上述の経路等を表示する。モード切換部7は、自動運転モード、追従モード、右折モード、左折モード等の切換を行う。
送信部15は、自車が主導車両となり、複数の従動車両を順に追従させながら走行する場合には、自車から各従動車両に指示信号を送信する。更に、受信部16は、従動車両からの各種の信号を受信する。位置情報取得部11は、交差点に設けられた位置情報提供システム(図示せず)から自車が交差点内に位置している情報を得ることが可能である。更に、制御部19は、他の機能部全体の制御を行う。
【0031】
次に、従動車両B1、B2及びB3における回路ブロックの詳細な構成であるが、その構成は、上述のように主導車両Aと同一である。また、機能についても、主導車輛と同様なものを備えている。よって、その詳細な説明は省略する。
【0032】
次に、図3を参照しながら、本実施例における車両群の動作について詳細に説明する。ステップ1では、運転者は、先ず、主導車両Aにおいてカーナビゲーション機能部5によって目的地及び経由地を設定する。その設定後は、主導車両Aの送信部15から各従動車両の受信部36に、主導車両にて設定された目的地及び経由地を各カーナビゲーション機能部25により設定するための指示信号を送信し、上記目的地及び経由地を各従動車両においても設定しておく。
【0033】
尚、発車時には、隊列の先頭車両である主導車両は、運転者による手動運転を行い、一方、従動車両は、自動運転モード(レベル2~4)、追従モード(直前の車両と所定の距離をとりながら走行)、左折モード、右折モード及び追跡モードの選択が可能であるが、追従モードが設定されている。
従動車両B1、B2、B3は、上記追従モードでは、前方カメラ部28、前方レーダー部29、前方音波測定部30によって、直前の主導車両Aと所定の距離を取りながら走行する。しかし、本モードでは、従動車両の側方カメラ部32、側方レーダー部33及び側方音波測定部34は、その作動が停止しているか、又は作動していても、それらからが取得した情報は自車の現在の走行に反映されない。
【0034】
ステップ2にて、本車両群のうち、主導車両Aが運転者により手動で発車すると、この主導車両Aを追従して従動車両の先頭車両B1が発車し、この従動車両B1を追従して、次の従動車両B2が発車し、この従動車両B2を追従して、次の従動車両B3が発車することになり、このように各従動車両が順次続いて発車することにより、隊列として走行を開始することになる(図6参照)。
【0035】
図6を参照して、ステップ3では、隊列の発車後、主導車両A又は従動車両B1~B3の自車位置検出部5又は15は、各自車が交差点内に停車していること(図7)を検知するか、又は、到達予定の交差点から所定の距離Lに達したこと(図6)を検知した場合に、その検知が主導車両Aの自車位置検知部によるものであれば、自車の直後に追従している従動車両B1の受信部26に対して送信部15から現在の追従モードを解除する指示信号を送信し、また、一方、その検知が従動車両の自車位置検知部によるものであれば、他の全ての従動車両の受信部36に対して現在の追従モードを解除する指示信号を送信部35から送信する(ステップ4)。
【0036】
ここで、従動車両の位置検知部による上記検知の場合、検知した旨の信号を一旦主導車両Aに送信して、当該主導車両Aから各従動車両へ上記指示信号を送信することもできる。
主導車両又は従動車両の送信部からの上記解除の指示信号を受信部36により受信した従動車両は、モード切換部によって現在の追従モードが解除されて、現在の位置に停止する。
尚、主導車両Aの位置情報取得部11が交差点に設けられた位置情報提供システム(図示せず)から自車が交差点内に位置している情報を得ることによっても自車の位置検知が可能であり、上記ステップ4の動作が達成される。
【0037】
次に、主導車両Aの運転者は、そのステアリング部3A及びアクセル部1Aを自ら操作して、設定された(予定されている)走行経路に沿って直前の交差点を右折することになる。
【0038】
図7を参照して、ステップ5にて、交差点内に在る従動車両B1の前方カメラ部28、前方レーダー部29又は前方音波測定部30のいずれかが主導車両Aが交差点から右折したことを検知した場合(図8参照)、即ち、前方カメラ部28、前方レーダー部29又は前方音波測定部30のいずれか1つが前方の所定の範囲に車両が無いことを検知した場合、自車のカーナビ機能部25により設定されている現在の交差点における右折予定に基づいて、自動的に追従モードから右折モードに切り換わる(ステップ6)。また、左折走行が予定されている場合には、左折モードに切り換わる。
この右左折モードへの切換は、カーナビ機能部において、走行経路又は走行予定が既に決定されていることによって、次の交差点を左折するか右折するかは検知されていることに基づく。従って、次の交差点が右折であれば、指示信号は右折モードが設定される。
更に、交差点内にて追従モードの解除の状態から右折モードに切り換えられた従動車両B1は、自動的に交差点の中心位置に移動することになる。
【0039】
この切換は、主導車両Aが交差点を右折し終えた時点にて、主導車両Aの送信部15から従動車両B1の受信部36に右折モードへの切換の指示信号を送信することでも右折モードに切り換わることができる。よって、右折モードに切り換わった従動車両B1は、前方カメラ部28、前方レーダー部29又は前方音波測定部30を作動させて、自動的に交差点から右折可能な状態となる。
【0040】
また、この従動車両B1の走行モードが右折モードに切り換えられたと同時に、従動車両B1の送信部15から従動車両B2の受信部26へ追従モードを解除する指示信号が送信され、従動車両B2の追従モードは解除される(ステップ7)。追従モードが解除された従動車両B2は、その位置にて停止状態となる。
よって、図7において、従動車両B1は、追従モードから右折モードに移行した状態となり、従動車両B2は、追従モードが解除された状態となる。
【0041】
ステップ8にて、隊列の先頭位置にある従動車両B1が右折したか否かを従動車両B2の前方カメラ部28、前方レーダー部29又は前方音波測定部30のいずれかが検知した場合(ステップ8:YES)、ステップ9に移行して、隊列の最後尾の車両が右折モードとなれば(ステップ9:YES)、本動作は停止する。
よって、ステップ9にて、NOの場合には、ステップ4に移行して、交差点にて隊列の先頭となった従動車両は、右折モードとなり、同時に、次の従動車両は追従モードを解除されるという動作を順次繰り返し、隊列の最後尾の車両が右折モードに切り換わるまで、言い換えれば、本隊列が交差点を脱出するまでこの動作を繰り返すことになる(図9図11)。
【0042】
図9においては、従動車両B1が右折を終了して、従動車両B2が隊列の先頭となったために、従動車両B2は、右折モードの状態であり、従動車両B3は、追従モードが解除された状態である。また、図9においては、従動車両B2が右折を終了して、従動車両B3が隊列の先頭となったために、従動車両B3は、右折モードの状態であり、従動車両B3は、隊列の最後尾の車両であるので本動作は終了し、従動車両B3は、右折モードによりこの交差点を自動的に右折することになる(図11参照)。
【0043】
ここで、主導車両Aは、自車が右折が終わった時点にて、自車位置を自車位置検知部5により検知させ、その位置に関する情報又は複数の車線のうちどの車線を走行しているかの情報を送信部15から後続の各従動車両の受信部36に同時に送信する。各従動車両が交差点にて停止している状態にて、この従動車両の受信部36にて受信された上記情報は、カーナビ機能部25に送られて、右折モードの自動運転機能によりステアリング部23A及びアクセル部21Aが制御され、従動車両は右折し、上記情報に従って主導車両Aと同じ車線に進入し、その主導車両の後方に達し、前方カメラ部28、前方レーダー部29及び前方音波測定部30が自車の直前が主導車両Aであることを検知すると、再度、自動的に追従モードに切り換わり、主導車両Aへの追従走行を開始する。これにより、各従動車両は、主導車両A以降に交差点を右折する従動車両がどの車線に入るべきかが決定され、再度迅速に隊列を形成することになる。
【0044】
尚、上述の主導車両からの位置情報は、直後の従動車両B1にのみ送信され、その後は、交差点を脱した従動車両から隊列の最前列となった従動車両B2、B3と順次送信されるようにすることもできる。これは、交差点を離脱した(交差点を曲がった)前方の隊列が走行予定の車線からの車線変更又は他の車線への進入を余儀なくされた場合にも、後続の隊列が確実に追従できる。
また、本実施例では、車両群の交差点の右折について説明したが、左折についても、交差点内に進入する前での上述の検知又は交差点内での上述の検知により、本動作が効果的に作動する。これは、他の実施例でも同様である。
【0045】
(実施例2)
次に、本発明の車両群の実施例2について、図面に沿って詳細に説明する。
実施例2の車両群の主導車両及び従動車両の構成は、実施例1と同じであるが、動作を司るソフトウエアプログラムが異なる。よって、実施例2の車両群の両車両の構成については、その詳細な説明を省略する。
【0046】
以下に、図面に沿って実施例2の車両群の動作について詳細に説明する。
図5において、ステップ11及び12は、実施例1と同じなためにその説明を省略する。
次に、ステップ12にて出発した隊列は、ステップ13にて、主導車両Aにおいて、(1)右折予定の交差点から所定の距離Lに達したか、又は、(2)交差点内に停止したかの検知が自車位置検知部5により行われる(図6及び図7)。
ステップ13の上述の検知と同時に、ステップ18では、従動車両B1、B2、B3のうちのいずれか1台の自車位置検知部25が上記検知(1)及び(2)を行う。
【0047】
次に、ステップ13からステップ14に移行すると(ステップ13:YES)、主導車両Aは、各従動車両に追従モードから右折モードへ切り換える指示信号を送信する。即ち、主導車両Aの送信部15から各従動車両の受信部26に送信された指示信号は、従動車両のモード切換部27に送られて、現在までの追従モードから右折モードに切り換えられる(ステップ15)。
【0048】
次に、図8を参照して、ステップ16にて、主導車両Aが交差点を右折すると、従動車両B1は、隊列の先頭に位置するようになり、対向車線を走行中の前方の対向車を前方カメラ部28、前方レーダー部29及び前方音波測定部30により避けて右折する(図9参照)。次に、隊列の先頭となった従動車両B2も同様に対向車を避けて右折する(図10参照)。更に、隊列の先頭となった従動車両B3も同様に右折する(図11参照)。各車両の右折後の車線選択は、実施例1と同じであるために、その説明を省略する。
【0049】
次に、隊列の発車後、ステップ18では、上述のように、従動車両にて上記(1)及び(2)の検知が行われる。いずれか1台の従動車両において、上記検知が有った場合(ステップ18:YES)、ステップ19に移行して、検知した従動車両の送信部25から主導車両Aの受信部16に所定の信号が送信されて、ステップ20にて、主導車両Aの送信部15から各従動車両の受信部36に追従モードから右折モードへ切り換える指示信号が送信される。その切換信号を受信した各従動車両の受信部は、モード切換部27によって右折モードに切り換わる。尚、従動車両は、その後、交差点の中心を通過して右折することになる。
次に、ステップ20からステップ15に移行して、ステップ16にて、隊列の全車両が右折を終えると、ステップ7にて、再度元の隊列が形成されることとなる。
【0050】
尚、主導車両Aの交差点離脱(右折)からの従動車両の右折後の車線選択については、実施例1と同様なために、その説明を省略する。
この実施例2については、主導車両及び従動車両の両方の自車の位置を自車位置検知部によって検知しているために、例えば、高層ビル街において、GPS衛星の信号が十分に得られない場合においては、特に有効である。
【0051】
(実施例3)
次に、本発明の車両群の実施例3について、図面に沿って詳細に説明する。
実施例3の車両群の主導車両及び従動車両の構成は、実施例1と同じであるが、動作を司るソフトウエアプログラムが異なる。よって、実施例3の車両群の両車両の構成については、その詳細な説明を省略する。
【0052】
以下に、図面に沿って実施例3の車両群の動作について詳細に説明する。
図5において、ステップ31及び32は、実施例1と同じなためにその説明を省略する。次に、図6にて、右折予定の交差点に向かって走行する車両群は、ステップ33において、従動車両B1が右折予定の交差点から所定の距離に到達したか否かがカーナビ機能部(自車位置検知部)25によって検知される。次に、ステップ34(ステップ33:YES)では、直前の車両である主導車両Aの方向指示器(ウィンカー)18が右折を指示しているかを前方カメラ部28が検知する。
【0053】
前方カメラ部28が上記方向指示部18の点滅を検知すると、ステップ35にて、従動車両B1の追従モードがモード切換部27により解除される(図7参照)。
更に、ステップ36にて、主導車両Aが交差点を離脱したことを前方カメラ部等が検知することにより、ステップ37にて、従動車両のモード切換部27は、右折モードに切り換える(図8参照)。
【0054】
その後、ステップ38にて、従動車両B1は、その交差点を自動的に右折し(図9参照)、カーナ部機能部25によりその右折が検知されると、ステップ39では、従動車両B1のモード切換部27は、右折モードから追跡モードに切り換える。
【0055】
この追跡モードは、自車の前方に位置する車両からその位置情報を入手して、その情報を基にその前方の車両を自動的に追跡するモードである。
よって、従動車両B1は、主導車両Aを自動的に追跡することができ、その車両Aの後部に到達したことを前方カメラ部28又はカーナビ機能部25が検知すると、モード切換部27は、追跡モードから追従モードに切り換える(ステップ40)。
【0056】
その後、従動車両B1は、主導車両Aを追従して走行することになる。
更に、図10及び図11を参照して、その交差点を脱出した従動車両B1の後続の複数の従属車両B2も、同様に、追従モードが解除され、次に、右折モードに変更されて、この交差点を右折し、更に、追跡モードにて従動車両B1を追跡する。
その後、従動車両B3も同じ動作を実行し、最終的に、全車両が一つの隊列として走行することになる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、複数の自動運転車を含む車両群に関わり、特に、当該車両群の交差点での右左折に関する技術であるために、産業上の高い利用性を有する。
【符号の説明】
【0058】
5 自車位置検知部(カーナビ機能部)
7 モード切換部
8 前方カメラ部
9 前方レーダー部
11 位置情報取得部
12 側方カメラ部
13 側方レーダー部
15 送信部
16 受信部


【要約】      (修正有)
【課題】複数の自動運転車を含む隊列が交差点を曲がる際に、安全かつ迅速に1台ずつ曲がる技術を提供する。
【解決手段】従動車両が主導車両に追従モードにて追従走行している状態にて、主導車両の自車位置検知部5が自車が右折予定の交差点内にて停止したことを検知した場合、主導車両の送信部15は、自車直後の従動車両の受信部16に対して、追従モードを解除させ、主導車両が交差点にて右折した後に右折モードにて走行させる指示信号を送信することにより、追従する各自動運転車は、安全かつ迅速に交差点を曲がることができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11