IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 丸三産業株式会社の特許一覧

特許7186420フェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法
<>
  • 特許-フェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】フェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20221202BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221202BHJP
   A45D 33/34 20060101ALI20221202BHJP
   D04H 1/485 20120101ALI20221202BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20221202BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20221202BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221202BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20221202BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20221202BHJP
【FI】
A45D44/22 C
A61K8/73
A45D33/34 J
D04H1/485
D04H1/425
D04H1/4382
A61K8/85
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/65
A61K8/67
A61K8/9789
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018153371
(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公開番号】P2020025808
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000157348
【氏名又は名称】丸三産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】淺田 栄一
(72)【発明者】
【氏名】浪花 祐也
(72)【発明者】
【氏名】梶原 康志
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-238738(JP,A)
【文献】特開2006-149444(JP,A)
【文献】特開2006-104629(JP,A)
【文献】国際公開第2007/135862(WO,A1)
【文献】特開平10-113223(JP,A)
【文献】特開2017-145232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/22
A61K 8/73
A45D 33/34
D04H 1/485
D04H 1/425
D04H 1/4382
A61K 8/85
A61K 8/02
A61Q 19/00
A61K 8/65
A61K 8/67
A61K 8/9789
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿繊維群をフラットカード機に通し開繊して綿繊維ウェブを得る第一工程、
綿繊維群と繊維長20~40mmの熱接着性繊維群とを混合してなる混綿群をフラットカード機に通し開繊して混綿繊維ウェブを得る第二工程、
前記綿繊維ウェブと前記混綿繊維ウェブを積層した積層ウェブに、高圧水流を施して、各繊維群を交絡させた繊維フリースを得る第三工程、
前記第三工程で得られた繊維フリースを二枚準備すると共に、一方の繊維フリースの混綿繊維ウェブ側に、水溶性美容成分よりなる粉末及び水溶性増粘成分よりなる粉末の粉末群を載置する第四工程、
前記粉末群に、他方の繊維フリースの混綿繊維ウェブ側が当接するようにして、該他方の繊維フリースを重ね合わせて、二枚の繊維フリース間に前記粉末群が挟み込まれた積層繊維フリースを得る第五工程及び
前記積層繊維フリースに熱及び圧力を与えることにより、熱接着性繊維を軟化又は溶融させて、前記二枚の繊維フリースを接着させると共に前記粉末群を挟着させる第六工程
を具備することを特徴とするフェイスマスク用シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の第一工程乃至第六工程を具備することを特徴とするパッティング用化粧パフの中材の製造方法。
【請求項3】
熱接着性繊維が、低融点重合体を鞘成分とし高融点重合体を芯成分とする芯鞘型複合繊維であって、該低融点重合体のみを軟化又は溶融させる請求項1又は2記載のフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法。
【請求項4】
芯鞘型複合繊維の繊維長が38mmであり、 低融点重合体が共重合ポリエステルであり、高融点重合体がポリエチレンテレフタレートである請求項3記載のフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法。
【請求項5】
水溶性美容成分がコラーゲン又はビタミンCである請求項1又は2記載のフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法。
【請求項6】
水溶性増粘成分がカルボキシメチルセルロースである請求項1又は2記載のフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法。
【請求項7】
積層繊維フリースを加熱された凹凸ロールと平滑ロールの間を通すことにより、熱及び圧力を与える請求項1又は2記載のフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法。
【請求項8】
水溶性美容成分よりなる粉末及び水溶性増粘成分よりなる粉末の粒子径の範囲は0.5~1000μmであって、かつ、メディアン径が100~300μmである請求項1又は2記載のフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用感に優れたフェイスマスク又は化粧パフを得るためのフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特に女性の肌の手入れのため、フェイスマスクや化粧パフが用いられている。フェイスマスクは、不織布等のフェイスマスク用シートに化粧水等を含浸させ、肌に添着させて使用されている。また、化粧パフは略長方形の綿塊の表裏面に不織布を配設してなるもので、これに化粧水等を含浸させ、肌をパッティングすることにより、使用されている。
【0003】
フェイスマスク用シートとしては、種々の不織布が用いられている。一般的には、化粧水を含浸しやすい親水性繊維100%よりなる不織布が用いられている。しかしながら、親水性繊維100%よりなる不織布は、化粧水が肌に移行しにくいため、親水性繊維と疎水性繊維よりなる不織布をフェイスマスク用シートとすることが提案されている(特許文献1)。具体的には、鞘成分がポリエチレンで芯成分がポリプロピレンよりなる疎水性の芯鞘型熱接着性繊維と、親水性繊維であるレーヨン繊維とを混合し、カード機で繊維ウェブを得た後に、繊維ウェブに熱風を当てて、繊維相互間を接着したサーマルボンド不織布が記載されている(特許文献1、特許請求の範囲、段落0018及び段落0023)。一方、フェイスマスク用シートに、種々の美容成分を保持させることも提案されている(特許文献2)。
【0004】
【文献】特開2017-109053号公報
【文献】特開2008-297260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、化粧水を含浸しやすく、使用感が良好で、しかも美容成分を良好に保持しうるフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の6工程を具備するフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材の製造方法に関するものである。すなわち、綿繊維群をフラットカード機に通し開繊して綿繊維ウェブを得る第一工程、綿繊維群と繊維長20~40mmの熱接着性繊維群とを混合してなる混綿群をフラットカード機に通し開繊して混綿繊維ウェブを得る第二工程、前記綿繊維ウェブと前記混綿繊維ウェブを積層した積層ウェブに、高圧水流を施して、各繊維群を交絡させた繊維フリースを得る第三工程、前記第三工程で得られた繊維フリースを二枚準備すると共に、一方の繊維フリースの混綿繊維ウェブ側に、水溶性美容成分よりなる粉末及び水溶性増粘成分よりなる粉末の粉末群を載置する第四工程、前記粉末群に、他方の繊維フリースの混綿繊維ウェブ側が当接するようにして、該他方の繊維フリースを重ね合わせて、二枚の繊維フリース間に前記粉末群が挟み込まれた積層繊維フリースを得る第五工程及び前記積層繊維フリースに熱及び圧力を与えることにより、熱接着性繊維を軟化又は溶融させて、前記二枚の繊維フリースを接着させると共に前記粉末群を挟着させる第六工程よりなる。
【0007】
第一工程は、綿繊維群をフラットカード機に通し開繊して綿繊維ウェブを得る工程である。綿繊維としては、公知のものが用いられ、たとえば、エジプト綿、インド綿、中国綿又はアメリカ綿等が単独で又は混合して用いられる。綿繊維の繊維長は38mm以下であり、概ね15~28mm程度のものが用いられる。フラットカード機を通し開繊して得られる繊維ウェブの目付は任意であるが、一般的には10~20g/m2程度である。目付が10g/m2未満であると、繊維量が少な過ぎて、第三工程で高圧水流を施しても、繊維相互間の交絡が不十分になる恐れがある。目付が20g/m2を超えると、フェイスマスク用シートとして使用するのに厚すぎる傾向が生じる。
【0008】
第二工程は、綿繊維群と熱接着性繊維群とを混合してなる混綿群をフラットカード機に通し、開繊して混綿繊維ウェブを得る工程である。綿繊維及びフラットカード機は、第一工程で用いたのと同様のものが用いられる。また、混綿繊維ウェブの目付も、第一工程の繊維ウェブの目付と同程度である。熱接着性繊維としては、比較的融点の低い熱可塑性重合体よりなる繊維が用いられる。具体的には、100℃~150℃程度で軟化又は溶融する熱可塑性重合体よりなる繊維を用いるのが好ましい。熱接着性繊維は第六工程で機能するもので、熱及び圧力の作用で軟化又は溶融させて、二枚の繊維フリースを接着させると共に粉末群をその間に挟着させるためのものである。綿繊維群と熱接着性繊維群の質量割合は、綿繊維群:熱接着性繊維群=60~80:40~20(質量%)程度である。熱接着性繊維群の割合が多過ぎると、得られるフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材が剛直になる傾向が生じる。また、熱接着性繊維群の割合が少な過ぎると、第六工程で行われる二枚の繊維フリースの接着が不十分となり、剥がれやすくなる傾向が生じる。
【0009】
本発明では、熱接着性繊維として、低融点重合体を鞘成分とし高融点重合体を芯成分とする芯鞘型複合繊維を用い、鞘成分のみを軟化又は溶融させて使用するのが好ましい。この場合、芯成分は当初の繊維形態を維持しているので、得られるフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材が剛直になりにくく、使用感に優れる。鞘成分である低融点重合体と芯成分である高融点重合体の組み合わせとしては、低融点重合体/高融点重合体=ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート又は共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレートが用いられる。本発明の特徴の一つとして、熱接着性繊維の繊維長が非常に短いことである。熱接着性繊維の繊維長は、特許文献1の段落0020に記載されているとおり、繊維長が50mmを超えるものが一般的である。これに対して、本発明では繊維長が20~40mmの熱接着性繊維を用いる。特に、好ましくは38mmのものを用いる。これは、綿繊維の繊維長との差を少なくするためである。熱接着性繊維の繊維長が40mmを超えて、綿繊維の繊維長との差が大きくなると、綿繊維と混合してフラットカード機を通しても、得られる混綿繊維ウェブにムラが発生し均一なものとならないし、又は熱接着性繊維が開繊されずにフラットカード機に詰まってしまい、連続して混綿繊維ウェブを得ることができなくなる。すなわち、フラットカード機は、綿繊維を開繊するための仕様になっているため、綿繊維の繊維長に比べて長すぎる繊維を通すと、その繊維は開繊が不十分になったり、又は開繊されなくなるのである。
【0010】
第三工程は、第一工程で得られた綿繊維ウェブと第二工程で得られた混綿繊維ウェブを積層して得られた積層ウェブに、高圧水流を施し、各繊維群を交絡させて繊維フリースを得る工程である。繊維フリースの目付は、綿繊維ウェブと混綿繊維ウェブの目付の和となるから、20~40g/m2程度である。高圧水流は、ノズル孔から所定の水圧で水を噴出させて得られるものである。所定の圧力は、綿繊維及び熱接着性繊維が交絡する程度であれば任意であるが、一般的に2MPa~7MPa程度である。高圧水流は、綿繊維ウェブ側から施してもよいし、混綿繊維ウェブ側から施してもよい。また、綿繊維ウェブ側から施した後、混綿繊維ウェブ側から施してもよく、さらにこれらの処理を複数回繰り返してもよい。この高圧水流処理により、積層ウェブ中の各繊維群は交絡して繊維フリースとなるが、各繊維群が均一に混じり合って交絡するわけではない。すなわち、積層ウェブ中の綿繊維ウェブ側は、概ね綿繊維群が交絡した状態となっており、綿繊維ウェブと混綿繊維ウェブが当接している箇所及び混綿繊維ウェブ側では、綿繊維群と熱接着性繊維群とが交絡した状態となっている。なお、高圧水流を施した後、脱水し乾燥して繊維フリースを得ることは、言うまでもない。
【0011】
この後、第三工程で得られた繊維フリースを二枚準備する。そして、第四工程では、一方の繊維フリース1の混綿繊維ウェブ側に、水溶性美容成分よりなる粉末及び水溶性増粘成分よりなる粉末の粉末群2を載置する。具体的には、一方の繊維フリース1の混綿繊維ウェブ側に粉末群2を散布することによって、粉末群2を混綿繊維ウェブ側に載置する。粉末群2の載置量は任意であるが、1~100g/m2程度である。載置量が少ないと、美容効果が低下し、使用感も低下する。また、載置量が多すぎると、繊維フリース1,1’の接着を阻害する恐れがある。第五工程は、繊維フリース1’の混綿繊維ウェブ側が粉末群2に当接するようにして、繊維フリース1’と繊維フリース1を重ね合わせる。この結果、繊維フリース1と繊維フリース1’の間に、粉末群2が挟み込まれてなる積層繊維フリース3が得られる。なお、図1中、矢印は繊維フリース1,1’の搬送方向である。
【0012】
水溶性美容成分としては従来公知のものが用いられ、たとえば、水溶性コラーゲン、ビタミンC、水溶性ヒアルロン酸、アミノ酸又はセラミド等が用いられる。水溶性コラーゲンは肌に潤いを与え、ビタミンCは肌に美白効果を与えるもので、美容成分として本発明では好適に用いられる。水溶性増粘成分としても従来公知のものが用いられ、カルボキシメチルセルロース、グアーガム又はペクチン等が用いられる。増粘成分は肌に残ったぬめり感を生じるもので、フェイスマスクや化粧パフの使用感の向上させるものである。水溶性美容成分及び水溶性増粘成分は、粉末の形状で採用される。粉末の粒子径は0.5~1000μmの範囲で分布しており、メディアン径が100~300μm程度であるのが好ましい。粉末の粒子径が細かすぎると、繊維フリース1,1’の繊維間隙を抜けやすくなり、脱落する傾向が生じる。また、粉末の粒子径が大きすぎると、二枚の繊維フリース1,1’の接着を阻害しやすくなり、二枚の繊維フリース1,1’の接着強力が低下する傾向が生じる。なお、粉末の粒子径の範囲やメディアン径は、株式会社島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置SALD-2200で測定されたものである。
【0013】
第六工程は、積層繊維フリース3に熱及び圧力を与える工程である。熱及び圧力を与える手段としては従来公知の手段を採用でき、たとえば、加熱された凹凸ロール4と常温の又は加熱された平滑ロール5の間を通す、いわゆるエンボス加工を採用するのが好ましい。凹凸ロール4の表面温度は、熱接着性繊維が軟化又は溶融する程度でよい。熱接着性繊維として芯鞘型複合繊維を用いた場合は、鞘成分が軟化又は溶融する程度でよい。熱接着性繊維が少なくとも軟化しないと、繊維フリース1,1’間が十分に接着されない。たとえば、鞘成分として共重合ポリエステルやポリエチレンを用いた場合は、110~130℃程度でよい。積層繊維フリース3は、凹凸ロール4と平滑ロール5の間を通過するとき、凹凸ロール4の熱が与えられると共に、凹凸ロール4と平滑ロール5間で圧力が与えられる。この圧力も任意であるが、一般的に、積層繊維フリース3に1MPa~3MPa程度の圧力を与えればよい。圧力が低いと、繊維フリース1,1’間の接着強力が低下する傾向が生じる。また、圧力が高すぎると、繊維相互間の接着が強くなって、得られるフェイスマスク用シートやパッティング用化粧パフの中材が剛直になる傾向が生じる。
【0014】
以上のようにして得られたフェイスマスク用シートは所定形状に裁断される。形状は任意であるが、たとえば、略楕円状で目及び口の部分を打ち抜いた顔全体を覆う形状であってもよいし、略三角形で顔の頬部分のみを覆う形状であってもよい。そして、かかる形状のフェイスマスク用シートに化粧水等を含浸させ、肌に密着させてパックするのである。また、パッティング用化粧パフの中材についても、略長方形状に裁断され、その表裏面に綿塊を積層し、さらにその表裏面に不織布を積層して、パッティング用化粧パフとなる。そして、このパッティング用化粧パフに化粧水を含浸し、顔をパッティングするのである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る方法で得られたフェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材は、綿繊維を用いているため、化粧水を含浸しやすいという効果を奏する。また、フェイスマスク用シートの表裏面は、いずれも綿繊維ウェブ由来の面であるため、肌当たりがよく使用感に優れるという効果を奏する。さらに、フェイスマスク用シート又はパッティング用化粧パフの中材には、増粘成分が含まれており、この増粘成分が滲出してきて、肌に残ってぬめり感を与えるため、この点でも使用感に優れるという効果を奏する。さらに、美容成分及び増粘成分が二枚の繊維フリースに挟着されているため、フェイスマスク用シートやパッティング用化粧パフの中材の取り扱い中に、これらの成分が脱落しにくいとう効果も奏する。
【実施例
【0016】
実施例
平均繊維長20mmのアメリカ綿をフラットカード機に通して、目付15g/m2の綿繊維ウェブを得た。一方、平均繊維長20mmのアメリカ綿70質量%と繊維長38mmの芯鞘型複合繊維(鞘成分が共重合ポリエステルで芯成分がポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維)30質量%を混合した混綿群を、フラットカード機に通して、目付15g/m2の混綿繊維ウェブを得た。綿繊維ウェブと混綿繊維ウェブを積層した、目付30g/m2の積層ウェブ表面に、2MPaの水圧で高圧水流を施した後、さらに裏面から5MPaの水圧で高圧水流を施して、繊維フリースを得た。
【0017】
得られた繊維フリースを二枚準備した。また、粒子径の範囲が1.0~1000μmでメディアン径が約230μmのカルボキシメチルセルロース粉末95質量%と、粒子径の範囲が29~1000μmでメディアン径が約155μmの水溶性コラーゲン粉末5質量%とを均一に混合した粉末群を準備した。そして、一方の繊維フリースの混綿繊維ウェブ側に、この粉末群20g/m2の割合で散布した。続いて、他方の繊維フリースの混綿繊維ウェブ側が粉末群に当接するようにして、一方の繊維フリースと重ね合わせて積層繊維フリースを得た。この積層繊維フリースを、表面温度130℃に加熱された凹凸ロールと平滑ロール間に導入し、積層繊維フリースに2MPaの圧力を与えた。なお、凹凸ロールは、先端面の面積が約8mm2の凸部を16個/cm2持つものであった。この結果、二枚の繊維フリースが強固に接着し、二枚の繊維フリース間に粉末群が挟着されてなるフェイスマスク用シートが得られた。
【0018】
実施例で得られたフェイスマスク用シートを略楕円形に裁断すると共に、目及び口の部分を打ち抜いて、顔全体を覆う形状のフェイスマスク用シートとした。そして、化粧水を含浸させて、顔全体に密着させた後、10分間使用した。その後、フェイスマスクを外したところ、顔全体にぬめり感があり、使用感に優れたものであった。
【0019】
また、実施例で得られたフェイスマスク用シートを、幅5cmで長さ7cmの長方形に裁断し、パッティング用化粧パフの中材とした。すなわち、不織布/綿塊/中材/綿塊/不織布の順に積層し、その後、両端を熱シールしてパッティング用化粧パフとした。このパッティング用化粧パフに化粧水を含浸し、顔全体を数十回パッティングしたところ、顔全体にぬめり感があり、使用感に優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第四工程乃至第六工程の一例を模式的に示した側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 繊維フリース
1’ 繊維フリース
2 粉末群
3 積層繊維フリース
4 凹凸ロール
5 平滑ロール
図1