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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】ガス栓の固着防止構造
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/02 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
F16K5/02 Z
F16K5/02 E
F16K5/02 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019058486
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159438
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】藤井 良雄
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特許第2728945(JP,B2)
【文献】特公平07-092156(JP,B2)
【文献】実公平07-010134(JP,Y2)
【文献】特公平02-053662(JP,B2)
【文献】特開2006-317005(JP,A)
【文献】特開2018-059602(JP,A)
【文献】特開2004-052891(JP,A)
【文献】特開2003-294160(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010970(JP,U)
【文献】実開昭60-037672(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス通路に連通し且つ一方開放端に向かって拡径するテーパ状内周面を有するせん収容部を備えたガス栓本体と、
前記せん収容部内に回動自在に収容されると共に前記テーパ状内周面に気密を保った状態で摺動可能なテーパ状外周面を有するせんと、
前記せん収容部の一方開放端に抜け止め状態に取り付けられると共にせんを回動自在に操作してガス通路を開閉させる操作つまみと、
前記せんを前記せん収容部の中底側へ押圧する方向に付勢する付勢手段とからなるガス栓において、
前記せんの底面と前記せん収容部の中底との間に設けられる空間に、前記付勢手段の付勢力によるせんの降下を規制するせん降下規制部材が設けられ、
前記せん降下規制部材は、前記せんの降下に伴う摩耗によって高さが変位可能な形状又は材料から構成されており、
前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、ガス栓の組み立て完了後における前記空間の高さ以上に設定されており、
前記ガス栓の組み立て完了後における前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、前記ガス栓の組み立て完了後における前記空間にちょうど介在される高さに変位されているガス栓の固着防止構造。
【請求項2】
ガス通路に連通し且つ一方開放端に向かって拡径するテーパ状内周面を有するせん収容部を備えたガス栓本体と、
前記せん収容部内に回動自在に収容されると共に前記テーパ状内周面に気密を保った状態で摺動可能なテーパ状外周面を有するせんと、
前記せん収容部の一方開放端に抜け止め状態に取り付けられると共にせんを回動自在に操作してガス通路を開閉させる操作つまみと、
前記せんを前記せん収容部の中底側へ押圧する方向に付勢する付勢手段とからなるガス栓において、
前記せんの底面と前記せん収容部の中底との間に設けられる空間に、前記付勢手段の付勢力によるせんの降下を規制するせん降下規制部材が設けられ、
前記せん降下規制部材は、前記せんの降下に伴う塑性変形によって高さが変位可能な形状又は材料から構成されており、
前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、ガス栓の組み立て完了後における前記空間の高さ以上に設定されており、
前記ガス栓の組み立て完了後における前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、前記ガス栓の組み立て完了後における前記空間にちょうど介在される高さに変位されているガス栓の固着防止構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガス栓の固着防止構造において、
前記せん降下規制部材は、前記せん又はガス栓本体よりも柔らかい材料により構成されていると共に、せんの底面又はせん収容部の中底に向かって突出する尖端部を有する形状としたガス栓の固着防止構造。
【請求項4】
ガス通路に連通し且つ一方開放端に向かって拡径するテーパ状内周面を有するせん収容部を備えたガス栓本体と、
前記せん収容部内に回動自在に収容されると共に前記テーパ状内周面に気密を保った状態で摺動可能なテーパ状外周面を有するせんと、
前記せん収容部の一方開放端に抜け止め状態に取り付けられると共にせんを回動自在に操作してガス通路を開閉させる操作つまみと、
前記せんを前記せん収容部の中底側へ押圧する方向に付勢する付勢手段とからなるガス栓において、
前記せんの底面と前記せん収容部の中底との間に設けられる空間に、前記付勢手段の付勢力によるせんの降下を規制するせん降下規制部材が設けられ、
前記せん降下規制部材は、前記せんの降下に伴って変位可能な形状又は材料から構成されており、
前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、ガス栓の組み立て完了後における前記空間の高さ以上に設定されており、
前記ガス栓の組み立て完了後にて、前記せんの底面と前記せん降下規制部材との間、又は、前記せん降下規制部材と前記せん収容部の中底との間に、微小空間が形成されるようにしたガス栓の固着防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス栓の固着防止構造、特に、せん収容部内でせんの固着を防止するガス栓の固着防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス栓として、図10に示すように、ガス流路(21a)に連通し且つ一方開放端に向かって拡径するテーパ状内周面(26)を有するせん収容部(20)とせん収容部(20)の前記一方開放端に延設された円筒部(23)とからガス栓本体(21)が構成され、せん収容部(20)内に回動可能に収容されるせん(3)は、テーパ状内周面(26)に対して摺動可能なテーパ状外周面(36)を有する逆円錐台形状とし、円筒部(23)に、せん(3)を回動操作するための操作つまみ(2)が回動自在に取り付けられているものがある。
同図は、せん(3)を貫通するガス通過孔(3a)がガス通路(21a)に連通するガス栓の全開状態を示しており、この状態から、操作つまみ(2)をせん(3)と共に90度回動させると、ガス流路(21a)がせん(3)によって閉塞される全閉状態となる。
また、操作つまみ(2)の裏面と、せん(3)の頂面中央との間には、せん(3)をせん収容部(20)内に押し込んだ状態で保持するための押えバネ(4)が圧縮された状態で介在されており、せん(3)は、押えバネ(4)の付勢力によって、せん収容部(20)内に押し込まれた状態で収容されている。このとき、せん(3)は、その底面がせん収容部(20)の中底から、所定高さの空間を介して、浮き上がった状態にて、せん収容部(20)のテーパ状内周面(26)がせん(3)のテーパ状外周面(36)に摺動可能に圧接する寸法関係に設定されている。
【0003】
特許文献1に開示されているものは、ガス栓本体(21)及びせん(3)は共に鋳鉄製とし、せん(3)のテーパ状外周面(36)又はこれが摺接するせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)のどちらか、又は、これらの双方に、ニッケル又はニッケル合金めっき被膜中にフッ素樹脂粒子が均一に分散した複合めっき被膜を形成させている。これにより、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)からなる摺動面は自己潤滑性を有することとなり、潤滑剤を供給しなくとも、優れた潤滑性、耐摩耗性を発揮する。
【0004】
なお、せん(3)とガス栓本体(21)とは同じ材質で構成されているから、同じように熱変形する。ガス栓が、温度変化の緩やかな環境下に置かれる場合では、ガス栓本体(21)とせん(3)は、共に、同じ膨張・収縮度合いで熱変形するため問題はない。しかしながら、例えば、業務用厨房で使用されるガス栓のように、飛散される熱湯や高温の油で直接加熱される環境下に置かれたガス栓では、せん(3)の外側のガス栓本体(21)が直接熱の影響を受けて温度が瞬間的に上昇し、ガス栓本体(21)とせん(3)とは、約40度~60度程度の温度差が生じてしまうことがある。
このような場合、先ず、ガス栓本体(21)が熱膨張し、せん収容部(20)が拡径するため、その内部に収容されており熱膨張していないせん(3)が、押えバネ(4)の付勢力によって、拡径されたせん収容部(20)の底側の前記空間内へ押し込まれてしまう。
【0005】
この状態で、ガス栓本体(21)が冷却されて収縮すると、せん(3)のテーパ状外周面(36)はせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)で加圧され強固に締め付けられることとなり、せん収容部(20)内でのせん(3)の回動は困難となる。このように、ガス栓本体(21)の膨張・収縮が繰り返し起こり、その都度、せん(3)がせん収容部(20)の底側へ押込まれていくと、操作つまみ(2)によるせん(3)の回動操作が困難となり、ガス栓の開閉操作に支障を来すといった不都合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平4-341667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
なお、ガス栓本体(21)とせん(3)との摺動面はテーパ面であるため、ガス栓本体(21)の熱膨張の後の収縮により、せん収容部(20)内に降下したせん(3)のテーパ状外周面(36)が、せん収容部(20)のテーパ状内周面(26)で押されて、せん(3)は僅かに持ち上がる。しかしながら、その持ち上がり量は、せん(3)の降下量に比べて極めて小さく、せん(3)を元の最終押込み位置にまで復帰させることが出来ない。よって、せん(3)はせん収容部(20)内にて強固に締め付けられた状態となる。
【0008】
本発明は、温度変化の著しい環境下に置かれることにより、ガス栓本体が熱膨張や収縮を繰り返しても、せん収容部にせんが降下して固着するのを防止することが出来るガス栓の固着防止構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために講じた本発明の解決手段は、『ガス通路に連通し且つ一方開放端に向かって拡径するテーパ状内周面を有するせん収容部を備えたガス栓本体と、
前記せん収容部内に回動自在に収容されると共に前記テーパ状内周面に気密を保った状態で摺動可能なテーパ状外周面を有するせんと、
前記せん収容部の一方開放端に抜け止め状態に取り付けられると共にせんを回動自在に操作してガス通路を開閉させる操作つまみと、
前記せんを前記せん収容部の中底側へ押圧する方向に付勢する付勢手段とからなるガス栓において、
前記せんの底面と前記せん収容部の中底との間に設けられる空間に、前記付勢手段の付勢力によるせんの降下を規制するせん降下規制部材が設けられ、
前記せん降下規制部材は、前記せんの降下に伴う摩耗によって高さが変位可能な形状又は材料から構成されており、
前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、ガス栓の組み立て完了後における前記空間の高さ以上に設定されており、
前記ガス栓の組み立て完了後における前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、前記ガス栓の組み立て完了後における前記空間にちょうど介在される高さに変位されている』ことである。
【0010】
上記技術的手段は次のように作用する。
せんの底面とせん収容部の中底との間の空間に、せん降下規制部材を配置する。せん降下規制部材は、せんの降下に伴って変位可能な形状又は材料で構成されているから、せん降下規制部材の突出高さが、せんがせん収容部内にて最終押込み位置に達するまで押し込められたガス栓の組み付け完了後における前記空間の高さよりも高い場合でも、せん降下規制部材はせんの底面又はせん収容部の中底で押されることにより、その高さを変位させて、前記空間にちょうど介在させることが出来る。
【0011】
この種のガス栓に熱湯や高温の油が掛かると、先ず、ガス栓本体が熱膨張することにより、せん収容部が拡径するため、せんは、付勢手段の付勢力によって前記せん収容部の中底側に押されて降下しようとするが、せんの底面とせん収容部の中底との間の空間には、前記せん降下規制部材が介在されているから、せんは、せん降下規制部材によって支持され、降下は阻止される。このような熱膨張は瞬間的なものであるから、ガス栓本体の温度はすぐに低下し、せん収容部は縮径し元の径に戻る。これにより、せんのテーパ状外周面とせん収容部のテーパ状内周面との間に所定の面圧が作用した元の収容状態に戻り、気密状態を保持したまま、操作つまみによるせんの回動が可能となる。
また、ガス栓の長期使用によりせんがせん収容部内にて繰り返し回動させられると、せんの表面に塗布させたグリス膜が薄くなり、それにつれて、せんは付勢手段の付勢力によってせん収容部の中底側へ押されて降下することがある。このように、長期に渡ってせんに降下方向の力が作用する場合では、せん降下規制部材は、せんの底面又はせん収容部の中底で押されてその高さを変位させることが出来る。よって、グリス膜が薄くなっても、せんのテーパ状外周面とせん収容部のテーパ状内周面との間に隙間を生じさせることはなく、気密を保持した状態で摺動可能となる。
【0012】
なお、前記せん降下規制部材は、摩耗によって高さが変位する材料により構成されているから、せん収容部内でせんを繰り返し回動させることにより、せん降下規制部材は、せんの底面又はせん収容部の中底に擦れて摩耗することで、その高さを所定高さに変位させることが出来る。
【0013】
上記課題を解決するために講じた本発明の他の解決手段は、『ガス通路に連通し且つ一方開放端に向かって拡径するテーパ状内周面を有するせん収容部を備えたガス栓本体と、
前記せん収容部内に回動自在に収容されると共に前記テーパ状内周面に気密を保った状態で摺動可能なテーパ状外周面を有するせんと、
前記せん収容部の一方開放端に抜け止め状態に取り付けられると共にせんを回動自在に操作してガス通路を開閉させる操作つまみと、
前記せんを前記せん収容部の中底側へ押圧する方向に付勢する付勢手段とからなるガス栓において、
前記せんの底面と前記せん収容部の中底との間に設けられる空間に、前記付勢手段の付勢力によるせんの降下を規制するせん降下規制部材が設けられ、
前記せん降下規制部材は、前記せんの降下に伴う塑性変形によって高さが変位可能な形状又は材料から構成されており、
前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、ガス栓の組み立て完了後における前記空間の高さ以上に設定されており、
前記ガス栓の組み立て完了後における前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、前記ガス栓の組み立て完了後における前記空間にちょうど介在される高さに変位されている』ことである。
せん収容部内にせんが強制的に押し込まれることにより、せん降下規制部材は、せんの底面又はせん収容部の中底で押されて塑性変形することで、その高さを所定高さに変位させることが出来る。
【0014】
上記ガス栓の固着防止構造において、好ましくは、『前記せん降下規制部材は、前記せん又はガス栓本体よりも柔らかい材料により構成されていると共に、せんの底面又はせん収容部の中底に向かって突出する尖端部を有する形状とした』ことである。
せん降下規制部材の尖端部が、せんの底面又はせん収容部の中底に対向するように、せん降下規制部材をせんの底面とせん収容部の中底との間に配設する。この状態で、せんがせん収容部内へ押圧されると、せん降下規制部材は、せん又はガス栓本体よりも柔らかい材料で構成されているから、せん降下規制部材の尖端部がせんの底面又はせん収容部の中底で押されて容易に潰れ、または摩耗し、その高さを自在に変位させることが出来る。
【0015】
上記課題を解決するために講じた本発明のさらに他の解決手段は、『ガス通路に連通し且つ一方開放端に向かって拡径するテーパ状内周面を有するせん収容部を備えたガス栓本体と、
前記せん収容部内に回動自在に収容されると共に前記テーパ状内周面に気密を保った状態で摺動可能なテーパ状外周面を有するせんと、
前記せん収容部の一方開放端に抜け止め状態に取り付けられると共にせんを回動自在に操作してガス通路を開閉させる操作つまみと、
前記せんを前記せん収容部の中底側へ押圧する方向に付勢する付勢手段とからなるガス栓において、
前記せんの底面と前記せん収容部の中底との間に設けられる空間に、前記付勢手段の付勢力によるせんの降下を規制するせん降下規制部材が設けられ、
前記せん降下規制部材は、前記せんの降下に伴って変位可能な形状又は材料から構成されており、
前記せんの底面から又は前記せん収容部の中底からの前記せん降下規制部材の突出高さは、ガス栓の組み立て完了後における前記空間の高さ以上に設定されており、
前記ガス栓の組み立て完了後にて、前記せんの底面と前記せん降下規制部材との間、又は、前記せん降下規制部材と前記せん収容部の中底との間に、微小空間が形成されるようにした』ことである。
ガス栓本体が熱湯等の影響により熱膨張して、せん収容部が拡径すると、せんは、付勢手段の付勢力によって前記せん収容部の中底側に押し込まれ、前記微小空間分だけ降下し、せんの底面又はせん収容部の中底が、せん降下規制部材に当接すると、それ以上の降下は阻止され、せんのテーパ状外周面とせん収容部のテーパ状内周面との間には極小隙間が生じる。ガス栓本体の温度はすぐに低下するから、せん収容部の縮径により前記極小隙間は消失する。この状態で、操作つまみを回動操作すると、せん収容部のテーパ状内周面がせんのテーパ状外周面を締め付ける力は、せん降下規制部材を設けない場合に比べて弱いため、せんはせん収容部内にて固着することはなく、操作つまみの操作によって回動し、ガス栓を開閉することが出来る。
また、その後も、操作つまみを繰り返し回動操作して、せんを回動させると、せんのテーパ状外周面がせん収容部のテーパ状内周面に押されて、せんは前記微小空間分浮き上がる。このため、せん降下規制部材との間に、前記微小空間を有する元の組み付け完了状態に復帰させることが出来る。


【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、前記せん収容部の中底と前記せんの底面との間の空間にせん降下規制部材を設ける構成とし、その突出高さは、前記せんの降下に伴って変位可能であるから、ガス栓の組み付け完了状態におけるせんの底面とせん収容部の中底との間の空間にちょうど介在される高さに変位させることが出来る。これによれば、ガス栓本体が、瞬間的に熱膨張することによりせん収容部が拡径しても、せんはせん降下規制部材で支持されることとなり、せんに付勢手段の付勢力が作用しても、せん収容部の中底側への降下を防止することが出来る。よって、ガス栓本体の熱膨張によりせん収容部が拡経した後、すぐに冷却されてせん収容部が収縮されても、せんのテーパ状外周面はせん収容部のテーパ状内周面によって強固に締め付けられることはなく、せんがせん収容部内にて固着してガス栓の開閉操作が出来なくなるといった不都合はない。
【0017】
また、ガス栓の開閉操作の繰り返しにより、せんの表面に設けたグリス膜が徐々に薄くなって来ると、せんは、付勢手段の付勢力によって、せん収容部の中底側に押されることにより、前記グリス膜が薄くなった分だけせん収容部内を降下しようとする。せんとせん収容部の中底との間には、せん降下規制部材が介在されているが、前記付勢力が長期に渡って作用し続けることで、せん降下規制部材はさらに摩耗や塑性変形により、その高さは変位させられる。よって、グリス膜が薄くなった分、せんはせん収容部内にて降下可能となるから、せんのテーパ状外周面とせん収容部のテーパ状内周面との間に隙間を生じさせることはなく、せんとせん収容部との気密性は保持された状態で、ガス栓の回動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造が採用されたガス栓の組み付け完了状態の断面図である。
図2】本発明の第1番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造に係るせん降下規制部材を具備させたガス栓本体の断面図である。
図3】本発明の第1番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造に係るせん降下規制部材を具備させたガス栓本体と、最終押込み位置に達する前のせんを示す断面図である。
図4】本発明の第2番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造に係るせん降下規制部材を具備させたせんの断面図である。
図5】本発明の第2番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造が採用されたガス栓の組み付け完了状態の断面図である。
図6】本発明の第3番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造に係るせん降下規制部材を具備させたガス栓本体と、最終押込み位置に達する前のせんを示す断面図である。
図7】本発明の第3番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造が採用されたガス栓の組み付け完了状態の断面図である。
図8】本発明の第4番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造に係るせん降下規制部材を具備させたガス栓本体と、薄板と、最終押込み位置に達する前のせんを示す断面図である。
図9】本発明の第4番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造が採用されたガス栓の組み付け完了状態の断面図である。
図10】一般的なガス栓の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本願発明の第1番目の実施の形態におけるガス栓の固着防止構造を備えたガス栓の組み付け完了状態の断面図であり、図2は、ガス栓の固着防止構造として採用したせん降下規制部材(1)をせん収容部(20)に具備させたガス栓本体(21)の断面図であり、さらに、図3は、図2の状態のせん収容部(20)内にて、最終押込み位置に達する前のせん(3)の様子を示す断面図である。
図面において、せん(3)は従来のものと同様に、テーパ状外周面(36)を有する逆円錐台形状に構成されており、ガス栓本体(21)は、せん収容部(20)の中底(22)の中央に孔部(10)が形成されている以外は従来のものと同様な構造を有し、両者共に鋳鉄製としている。
【0020】
ガス栓本体(21)は、上方に開放し且つせん(3)のテーパ状外周面(36)に対して所定の面圧を保持しながら摺動可能なテーパ状内周面(26)を有するせん収容部(20)と、その開放端部に連設された円筒部(23)と、せん収容部(20)に連通するガス通路(21a)を有しており、せん(3)に貫通させたガス通過孔(3a)が、図1に示すように、ガス通路(21a)に連通させた状態がガス栓の開放状態であり、この状態からせん(3)を90度回転させた状態がガス栓の閉塞状態である。
【0021】
せん(3)の頂面に突設された一対の操作凸部(34)間と操作つまみ(2)の裏面中央の凹部(24)との間に、せん(3)をせん収容部(20)内に押し込む方向に付勢する付勢手段としての押えバネ(4)をセットし、その上から、操作つまみ(2)を、円筒部(23)に、抜け止め状態に且つ相対回動可能に装着させると共に、操作凸部(34)に対して相対回動阻止状態に係合させる。これにより、操作つまみ(2)の回動操作により、せん(3)は、押えバネ(4)の付勢力によってせん収容部(20)の中底(22)側へ押圧されながら、テーパ状外周面(36)とテーパ状内周面(26)との間に所定の面圧を保持した気密状態で、操作つまみ(2)と同方向に回動可能となり、ガス流路(21a)を開閉させることが出来る。
【0022】
次に、ガス栓の固着防止構造について説明する。
本願発明の第1番目の実施の形態に採用したガス栓の固着防止構造に採用したせん降下規制部材(1)は、図2に示すように、せん収容部(20)の中底(22)の中央に設けた孔部(10)にちょうど嵌め込み可能な円柱体の上方に円錐体が連設された形状の黄銅製とし、中底(22)から上端の尖端部(12)までの高さ(H)は、図1に示すガス栓の組み付け完了状態において、最終押込み状態に達したせん(3)の底面(32)と、せん収容部(20)の中底(22)との間に形成される空間(S)よりも高く設定されている。
【0023】
図2に示すように、中底(22)の中央の孔部(10)にせん降下規制部材(1)を、尖端部(12)が上方に突出するように嵌め込んだ状態のせん収容部(20)に、グリスが塗布されたせん(3)を収容する。すると、図3に示すように、せん(3)の底面(32)がせん降下規制部材(1)の尖端部(12)に当接する。せん降下規制部材(1)のうち、孔部(10)から突出している部分の高さ(H)は、最終押込み状態に達するまで押込まれたせん(3)の底面(32)と、せん収容部(20)の中底(22)との間の空間(S)よりも高く設定されているから、せん(3)はせん収容部(20)内にて、ガス栓の組み付け完了時における最終押込み位置から所定高さ浮き上がった状態に位置し、それ以上降下しない。
【0024】
そこで、せん(3)に、押し込む方向に荷重をかけながら、せん(3)を正逆両方向に回動させる。
せん降下規制部材(1)を構成している黄銅は、せん(3)を構成している鉄よりも柔らかい材質であるから、せん(3)の底面(32)を、せん降下規制部材(1)の尖端部(12)に当接させながら荷重をかけながら回動させることにより、せん(3)の底面(32)によって尖端部(12)が摩耗し、せん降下規制部材(1)の突出高さを低くすることが出来る。
せん(3)が前記最終押込み位置に落ち着くまで、せん降下規制部材(1)を摩耗させて高さを変位させることにより、せん降下規制部材(1)は、せん(3)の底面(32)とせん収容部(20)の中底(21)との間の空間(S)に介在されて、前記最終押込み位置に位置するせん(3)を下方から支持する。
【0025】
この状態におけるせん(3)の操作凸部(34)間に押えバネ(4)を載置し、その上から、操作つまみ(2)を円筒部(23)に抜け止め状態に取り付ければ、図1に示すガス栓の組み付け完了状態となる。
この状態で、操作つまみ(2)をせん(3)と共に、数回~数十回正逆に回動操作させて、せん(3)の外面のグリス膜を安定させると共に、せん収容部(20)内におけるせん(3)の位置を一定位置に落ち着かせ、その後、ガス栓の気密検査によって、せん収容部(20)のテーパ状内周面(26)とせん(3)のテーパ状外周面(36)との間に気密が保たれているかを確認することにより、せん(3)がせん収容部(20)内にて、最終押込み位置に落ち着いたことを再確認することが出来る。
【0026】
上記構成のガス栓を、業務用厨房に設置した場合、ガス栓本体(21)が、飛散される熱湯や高温の油の影響を直接受けて、ガス栓本体(21)が瞬間的に熱膨張し、せん収容部(20)が拡径すると、せん(3)は、押えバネ(4)の付勢力によってせん収容部(20)の中底(22)側に押されるが、せん(3)の底面(32)はせん降下規制部材(1)で支持されているため、せん(3)の降下は阻止される。
ガス栓本体(21)が熱膨張するのは瞬時であるから、せん収容部(20)は膨張後すぐに温度低下により縮径し、ガス栓は、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との間に所定の面圧を保持した気密状態にて摺動可能な元の状態に復帰する。
【0027】
また、図示しないが、せん(3)の表面には、グリスが塗布されたグリス膜が形成されており、ガス栓の長期使用により、せん(3)がせん収容部(20)内にて繰り返し回動させられると、このグリス膜が薄くなっていく。せん(3)は、グリス膜が薄くなった分だけ、押えバネ(4)の付勢力に押されてせん収容部(21)を降下しようとする。この状態で、操作つまみ(2)によるせん(3)の回動操作が続けられると、せん降下規制部材(1)は、せん(3)の底面(32)による摩耗により、その高さをさらに変位させながら、空間(S)にてせん(3)を支持し続けることとなる。これにより、グリス膜が薄くなっても、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との間に隙間を生じさせることなく、所定の面圧を維持した気密状態を保持したまま、せん(3)は、押えバネ(4)によって所定の荷重が付加された状態で、せん収容部(20)内にて安定した状態で摺動可能となる。
【0028】
次に、第2番目の実施の形態を、図4及び図5に基づいて説明する。
第2番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造は、上記第1番目の実施の形態で採用したような、円柱体に円錐体を結合させた形状の黄銅製のせん降下規制部材(11)を、せん(3)の底面(32)の中央に下方開放状態に設けた孔部(100)に、尖端部(13)が下方に突出するように嵌め込んだもので、せん(3)の底面(32)から尖端部(13)までの高さ(H2)は、図5に示す、ガス栓の組み付け完了状態にて、最終押込み状態に達するまでせん収容部(20)内に押し込められたせん(3)の底面(32)とせん収容部(20)の中底(22)との間の空間(S)よりも高く設定されている。
【0029】
ガス栓本体(21)のせん収容部(20)内に、図4に示すように、底面(32)からせん降下規制部材(11)を突出させたせん(3)を収容すると、せん降下規制部材(11)の下端である尖端部(13)がせん収容部(20)の中底(22)に当接する。この状態で、上記した第1番目の実施の形態と同様に、せん(3)を正逆両方向に何度も回動させながら押し込むと、黄銅製のせん降下規制部材(11)の尖端部(13)が、鉄製のせん収容部(20)の中底(22)で摩耗されて、底面(32)から突出する高さが変位させられ、せん(3)の底面(32)とせん収容部(20)の中底(21)との間に所定高さの空間(S)が保持された状態となるように、せん(3)を所定の最終押込み位置に支持することが出来る。
【0030】
図5に示すガス栓の組み付け完了状態にて、ガス栓本体(21)の熱膨張によって、せん収容部(20)が拡径し、押えバネ(4)の付勢力が作用しても、せん降下規制部材(11)で支持された状態にあるせん(3)は降下することなく、せん収容部(20)の縮径に応じて、せん(3)のテーパ状外周面(36)に対してせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)が気密状態を保持しながら摺動可能となる元の状態に復帰させることが出来る。
また、ガス栓の長期使用により、せん(3)に塗布させたグリス膜が薄くなった状態で、操作つまみ(2)によるせん(3)の回動操作を続けると、せん降下規制部材(11)は、せん(3)の底面(32)によってさらに摩耗し、その高さを変位させることが出来る。よって、グリス膜が薄くなっても、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との間に隙間を生じさせることなく、所定の面圧を維持した気密状態を保持することが出来る。
【0031】
図6及び図7に示すのは、第3番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造であり、せん収容部(20)の中底(22)の中央に設ける孔部(101)を、開放端に向かって縮径する浅いテーパ孔とすると共に、この孔部(101)に、外力により塑性変形可能な材質で略台形状に形成されたせん降下規制部材(111)を嵌め込んだ構成としている。
せん収容部(20)の中底(22)から、孔部(101)に嵌め込まれた状態のせん降下規制部材(111)の頂面(14)までの高さ(H3)は、図7に示すガス栓の組み付け完了状態におけるせん(3)の底面(32)とせん収容部(20)の中底(22)との間の空間(S)よりも高く設定されており、図6に示すように、孔部(101)にせん降下規制部材(111)を具備させた状態のせん収容部(20)にせん(3)を収容させると、せん(3)の底面(32)がせん降下規制部材(111)の頂面(14)に当接し、せん(3)は、図7に示すガス栓の組み付け完了時における最終押込み位置よりも所定高さ浮き上がった状態となる。
【0032】
そこで、図6の状態にあるせん(3)を押し込んで、せん降下規制部材(111)の頂面(14)に、せん(3)の底面(32)を押し付けると、せん降下規制部材(111)は加圧により塑性変形する。せん(3)を最終押込み位置に押し込んだ時点で加圧を止めると、せん降下規制部材(11)は、空間(S)に相当する高さに変位させられ、その高さで、せん(3)を支持することが出来る。
この第3番目の実施の形態のガス栓本体(21)が瞬間的に熱膨張して、せん収容部(20)が拡径しても、せん(3)は、塑性変形されたせん降下規制部材(111)の頂面(14)で底面(32)が支持されているから、せん収容部(20)の中底(22)へ沈むことはない。そして、ガス栓本体(21)はすぐに冷却されて、せん(3)のテーパ状外周面(36)と、せん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との摺動面に適度な面圧が維持された元の気密状態に戻ることから、操作つまみ(2)の回動操作によって、せん(3)を支障なく開閉することが出来る。
また、長期の使用により、せん(3)に塗布させたグリス膜が薄くなった状態で、せん(3)が押えバネ(4)の付勢力によって下方へ押され続けると、せん降下規制部材(111)は、せん(3)の底面(32)で加圧されると共に、せんが回動されることにより、塑性変形および摩耗し、グリス膜の厚みに応じて、せん(3)を降下させることができ、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との間に隙間を生じさせることはない。
なお、塑性変形および摩耗により降下する材料としては、粘土、パテ等が採用可能である。
【0033】
第4番目の実施の形態のガス栓の固着防止構造は、上記した第3番目の実施の形態で採用したせん降下規制部材(111)を、所定の高さになるように塑性変形させた状態における頂面(14)と、せん(3)の底面(32)との間に、図9に示すような、微小空間(S1)が形成されるようにしたものである。
微小空間(S1)を設けておくことにより、ガス栓本体(21)の熱膨張により、せん収容部(20)が拡径すると、せん(3)は、押えバネ(4)の付勢力によって、微小空間(S1)分だけ降下し、降下規制部材(111)の頂面(14)で支持される。なお、せん(3)が微小空間(S1)分沈んでも、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との間の気密が保持された状態で摺動可能となるように、微小空間(S1)の高さを設定しておけばよい。
【0034】
せん(3)の降下後、操作つまみ(2)を操作して、せん収容部(20)内でせん(3)を繰り返し回動させると、せん(3)のテーパ状外周面(36)がせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)に押されて、せん(3)は微小空間(S1)分、せん収容部(20)内を上昇し、底面(32)とせん降下規制部材(111)の頂面(14)との間に、微小空間(S1)を有する元の組み付け完了状態に復帰させることが出来る。
【0035】
また、ガス栓の長期使用により、せん(3)がせん収容部(20)内にて繰り返し回動させられると、せん(3)に塗布させたグリスの膜が薄くなり、せん(3)は押えバネ(4)で押されることにより、グリス膜が薄くなった分だけせん収容部(21)は降下しようとする。このような場合でのせん(3)の降下量は極僅かであるから、微小空間(S1)で吸収することが出来るようにしておけば、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との間の気密状態は保持されることとなる。
【0036】
上記第4番目の実施の形態のように、せん(3)の底面(32)とせん降下規制部(111)の頂面(14)との間に微小空間(S1)を設けるには、孔部(101)に嵌め込まれた塑性変形可能な所定の高さの略台形状のせん降下規制部材(111)の頂面(14)に、図8に示すように、微小空間(S1)に相当する厚み(H4)を有する薄板(15)を載置し、薄板(15)の上に、せん(3)の底面(32)が当接するように、せん(3)をせん収容部(20)内に収容する。
その状態で、せん(3)を手で正逆回動させながら、前記最終押込み位置に達するまで所定の力で押し込む。これにより、せん降下規制部(111)は、薄板(15)を介して、せん(3)の底面(32)によって押圧されて塑性変形する。
【0037】
この状態から、せん(3)と薄板(15)をせん収容部(20)から取り出すと、せん降下規制部(111)は塑性変形した形状のままであり、その上から、取り出したせん(3)の摺動面にグリスを塗布し、再度、ガス栓本体(20)内に収容すると共に、前記最終押込み位置に達するまで押込む。これにより、せん(3)の底面(32)と塑性変形後のせん降下規制部(111)の頂面(14)との間に、図9に示すような、薄板(15)の肉厚に相当する微小空間(S1)が形成される。
【0038】
上記各実施の形態のものでは、ガス栓に熱湯が掛かるなどして、ガス栓本体(21)とせん(3)との間に瞬間的に温度差が生じ、せん収容部(20)が拡径することがあっても、せん(3)はせん降下規制部材で支持されて、せん(3)の降下は防止することが出来る。よって、せん収容部(20)の縮径後でも、せん(3)のテーパ状外周面(36)がせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)によって締め付けられることがないので、せん(3)がせん収容部(20)内で固着されてガス栓の開閉操作が出来なくなるといった問題は解消される。
なお、微小空間に相当するせんの降下が生じる場合においても、せん(3)はせん降下規制部材で支持され、それ以上の降下は防止されるので、せん(3)がせん収容部(20)内で固着されてガス栓の開閉操作が出来なくなるといった問題は解消される。
また、ガス栓の長期使用によりグリス膜が薄くなっても、せん(3)を回動操作し続けることにより、せん降下規制部材がさらに摩耗又は塑性変形するか、又は、極小空間(S1)分だけ降下することとなるから、せん(3)のテーパ状外周面(36)とせん収容部(20)のテーパ状内周面(26)との摺動面に隙間を生じさせることはなく、気密性が損なわれることはない。
【符号の説明】
【0039】
(1) ・・・・・・・せん降下規制部材
(2) ・・・・・・・操作つまみ
(3) ・・・・・・・せん
(20)・・・・・・・せん収容部
(21)・・・・・・・ガス栓本体
(21a) ・・・・・・ガス通路
(22)・・・・・・・中底
(26)・・・・・・・テーパ状内周面
(32)・・・・・・・底面
(36)・・・・・・・テーパ状外周面
(4) ・・・・・・・押さえバネ(付勢手段)
(S) ・・・・・・・空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10