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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】ドラムドライヤ
(51)【国際特許分類】
   F26B 25/04 20060101AFI20221202BHJP
   B01D 1/22 20060101ALI20221202BHJP
   F26B 3/20 20060101ALI20221202BHJP
   F26B 17/28 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
F26B25/04
B01D1/22 F
F26B3/20
F26B17/28 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019073258
(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2020173033
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】393006469
【氏名又は名称】カツラギ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】對馬 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】山東 広和
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-118650(JP,A)
【文献】特開平06-241656(JP,A)
【文献】特開2016-093798(JP,A)
【文献】特開2007-105565(JP,A)
【文献】特開平01-191677(JP,A)
【文献】特開平07-059703(JP,A)
【文献】特開昭57-171482(JP,A)
【文献】特開2013-007532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/04
B01D 1/22
F26B 3/20
F26B 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱状態で回転するドラムと、そのドラムの外周面に刃先が対向して配置されるスクレーパーとを備え、前記ドラムの外周面に供給された液状原料が加熱乾燥されるとともに、その乾燥製品が前記スクレーパーの刃先で掻き取られるようにしたドラムドライヤであって、
一端部に吸引口が設けられ、他端部に流出口が設けられ、かつ前記吸引口を前記スクレーパーの刃先に臨ませた状態に配置された吸引ノズルと、
前記吸引ノズルの流出口が連結された搬出パイプと、
前記搬出パイプおよび前記吸引ノズルの内部を負圧に設定することによって、前記スクレーパーにより掻き取られた乾燥製品を前記吸引口から前記吸引ノズル内に吸引して、前記搬出パイプを介して所定の製品回収部に吸引回収するための吸引手段とを備えたことを特徴とするドラムドライヤ。
【請求項2】
前記吸引ノズルはその内部の流路断面積が一端部から他端部にかけて次第に小さくなるように形成されている請求項1に記載のドラムドライヤ。
【請求項3】
前記吸引ノズルは、前記吸引口に対応して開閉自在な開閉蓋を有し、
前記開閉蓋を開放した状態では前記スクレーパーの刃先が外部に露出されるように構成されている請求項1または2に記載のドラムドライヤ。
【請求項4】
前記吸引ノズルは、前記ドラムの軸心方向に沿って並列に複数設置されるとともに、
前記搬出パイプは、搬送方向としての長さ方向が前記複数の吸引ノズルの並設方向に沿って配置されるとともに、前記複数の吸引ノズルの各流出口が前記搬出パイプに長さ方向に間隔をおいて順次連結され、
前記搬出パイプは、その搬出方向の上流側から下流側にかけて段階的または連続的にパイプ径が大きくなるように形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載のドラムドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液状原料を加熱乾燥して乾燥製品を製造する際に用いられるドラムドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥製品を製造するためのドラムドライヤとしては下記特許文献1に示すように、加熱状態のドラムを回転させてその表面に液状原料を供給して乾燥固化するとともに、その乾燥固化した乾燥製品をスクレーパーによって掻き取って回収するものが一般的である。乾燥製品としては例えば、化成品、薬品、食料品、染料品等が挙げられる。
【0003】
このようなドラムドライヤにおいては、スクレーパーの下方位置にスクリューコンベア等の搬送コンベアが装着されており、スクレーパーによって掻き取られた乾燥製品が自重で落下してスクリューコンベア内に収集される。収集された乾燥製品はスクリューコンベアによって所定の製品回収部へと搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-231515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のドラムドライヤにおいては、スクレーパーによって掻き取られた乾燥製品は軽量な粉末状(微粉状)となるため、自然落下のみでは全ての乾燥製品がスクリューコンベア内に確実に収集されることはなく、一部の乾燥製品が浮遊してハウジング内を飛散してしまう。このように飛散した乾燥製品が装置(ドラムドライヤ)内に付着して残留すると、雑菌発生等の要因となるため、清掃作業やメンテナンス作業に多くの労力が必要となり、清掃作業等が困難になってしまうという課題があった。
【0006】
また通常のドラムドライヤは、ハウジングに排気ダクトが設けられており、その排気ダクトによって製造中に液状原料から発生する蒸気を排出するようにしているが、上記のようにハウジング内を飛散する乾燥製品が蒸気と共に排気ダクトから排出されてしまう場合があり、そうすると乾燥製品の回収効率が低下するという課題もあった。さらに飛散する乾燥製品がハウジング内で蒸気にさらされると、乾燥製品が再度吸湿して乾燥度が低下してしまい、乾燥製品の品質を低下させるおそれがあるという課題もあった。
【0007】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、乾燥製品が飛散するのを防止できて、清掃作業およびメンテナンス作業を容易に行えるとともに、高品質の乾燥製品を効率良く回収することができるドラムドライヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0009】
[1]加熱状態で回転するドラムと、そのドラムの外周面に刃先が対向して配置されるスクレーパーとを備え、前記ドラムの外周面に供給された液状原料が加熱乾燥されるとともに、その乾燥製品が前記スクレーパーの刃先で掻き取られるようにしたドラムドライヤであって、
一端部に吸引口が設けられ、他端部に流出口が設けられ、かつ前記吸引口を前記スクレーパーの刃先に臨ませた状態に配置された吸引ノズルと、
前記吸引ノズルの流出口が連結された搬出パイプと、
前記搬出パイプおよび前記吸引ノズルの内部を負圧に設定することによって、前記スクレーパーにより掻き取られた乾燥製品を前記吸引口から前記吸引ノズル内に吸引して、前記搬出パイプを介して所定の製品回収部に吸引回収するための吸引手段とを備えたことを特徴とするドラムドライヤ。
【0010】
[2]前記吸引ノズルはその内部の流路断面積が一端部から他端部にかけて次第に小さくなるように形成されている前項1に記載のドラムドライヤ。
【0011】
[3]前記吸引ノズルは、前記吸引口に対応して開閉自在な開閉蓋を有し、
前記開閉蓋を開放した状態では前記スクレーパーの刃先が外部に露出されるように構成されている前項1または2に記載のドラムドライヤ。
【0012】
[4]前記吸引ノズルは、前記ドラムの軸心方向に沿って並列に複数設置されるとともに、
前記搬出パイプは、搬送方向としての長さ方向が前記複数の吸引ノズルの並設方向に沿って配置されるとともに、前記複数の吸引ノズルの各流出口が前記搬出パイプに長さ方向に間隔をおいて順次連結され、
前記搬出パイプは、その搬出方向の上流側から下流側にかけて段階的または連続的にパイプ径が大きくなるように形成されている前項1~3のいずれか1項に記載のドラムドライヤ。
【発明の効果】
【0013】
発明[1]のドラムドライヤによれば、スクレーパーによって掻き取られた乾燥製品を吸引ノズルによって吸引回収するものであるため、乾燥製品を飛散させずに回収することができる。このため乾燥製品が装置(ドラムドライヤ)内に付着残留するのを防止でき、雑菌の発生等を防止できるとともに、清掃作業やメンテナンス作業を簡単に行うことができる。さらに乾燥製品の飛散による製品ロスがなく、乾燥製品を効率良く回収できるとともに、飛散中の乾燥製品の吸湿による乾燥度の低下を防止できて高品質の乾燥製品を確実に製造することができる。
【0014】
発明[2]のドラムドライヤによれば、吸引ノズルの吸引側から流出側にかけての流路断面積が次第に小さくなるように形成しているため、吸引ノズルの吸引力および吸引速度が次第に大きくなり、吸引ノズルに吸い込まれた乾燥製品が途中で滞ることがなく、乾燥製品をより一層効率良くスムーズに回収することができる。
【0015】
発明[3]のドラムドライヤによれば、吸引ノズルの開閉蓋を開放すればスクレーパーの刃先を露出させることができるため、スクレーパーやその周辺の清掃作業やメンテナンス作業等を支障なく行うことができる。
【0016】
発明[4]のドラムドライヤによれば、複数の吸引ノズルが順次連結された搬出パイプを搬送方向に向けてパイプ径が大きくなるように形成しているため、吸引手段によって各吸引ノズルに均等に吸引力を付与できて、一連の吸引ノズルにおいて全体的に偏りなく乾燥製品を吸引でき、より一層効率良く乾燥製品を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1はこの発明の実施形態であるドラムドライヤを示す側面断面図である。
図2図2は実施形態のドラムドライヤをそのハウジングを取り外した状態で示す正面図である。
図3図3は実施形態のドラムドライヤにおける吸引ノズル周辺を拡大して示す側面図である。
図4図4は実施形態の吸引ノズルを示す側面図である。
図5図5は実施形態の吸引ノズルを分解して示す側面図である。
図6図6は実施形態の吸引ノズルを示す背面図である。
図7図7は実施形態のドラムドライヤにおける搬出パイプを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1はこの発明の実施形態であるドラムドライヤを示す側面断面図、図2はそのドラムドライヤの本体部、つまりハウジング1を取り外した状態で示す正面図である。
【0019】
両図に示すように本実施形態のドラムドライヤは、一対(2つ)のドラム2,2を有するダブルドラムタイプであり、ハウジング(チャンバー)1内に一対のドラム2,2が配置されている。一対のドラム2,2は各回転軸部の両端が支持フレーム11にそれぞれ支持されることによって軸心回りに回転自在に取り付けられている。一対のドラム2,2は互いの軸心が水平面内で平行となるように並列に配置されている。さらに一対のドラム2,2は互いの外周面が僅かな隙間を介してほぼ近接するように配置されている。
【0020】
なお本実施形態のドラムドライヤは、一方のドラム2側(図1の左側半分)の構成に対し他方のドラム2側(図1の右側半分)の構成が面対称形状で実質的に同じ構成となるため、本実施形態において基本的には、一方のドラム2側のみを説明することによって重複説明を省略することとする。
【0021】
各ドラム2は、図示しない回転駆動手段によって図1の矢符号に示す方向に等速で回転駆動するように構成されている。さらに本実施形態のドラムドライヤには、加熱蒸気導入手段(図示省略)を備え、その加熱蒸気導入手段から各ドラム2内に加熱蒸気が導入されることによってドラム2の外周面が所定の加熱温度に保持できるように構成されている。
【0022】
一対のドラム2,2間における上方には、原料供給部21が設けられており、その原料供給部21から液状原料Mがドラム2,2間に供給されるように構成されている。そしてドラム2,2間に供給された液状原料Mは、各ドラム2の外周面に付着して各ドラム2の回転に伴ってドラム外周面に沿って移動するようになっている。
【0023】
またハウジング1の上壁には、排気ダクト15が設置されており、その排気ダクト15によって乾燥製品の製造中に液状原料Mから発生する蒸気等をハウジング1の外部に吸引排出できるように構成されている。
【0024】
ハウジング1内におけるドラム2の上方には、スクレーパー支持機構4が配置されている。スクレーパー支持機構4は回転軸部材41と、その近傍に配置されるシリンダ44とを備えている。回転軸部材41はその両端が支持フレーム11に支持台12を介して回転自在に取り付けられている。この回転軸部材41は、軸心がドラム2の軸心と平行に配置された状態で軸心回りに回転できるように構成されている。
【0025】
またシリンダ44はその本体部が支持台12に回転自在に取り付けられるとともに、ロッド部の先端が、回転軸部材41に設けられたブラケット42に回転自在に取り付けられている。これによりシリンダ44のロッド部が進出/後退することによって、回転軸部材41が正方向/逆方向に所定量回転するように構成されている。
【0026】
また回転軸部材41には下向きに突出するようにスクレーパー支持板43が取り付けられている。このスクレーパー支持板43には、下向きに突出するように配置された状態でスクレーパー3の基端部(上端部)が固定されている。これによりシリンダ44の駆動によって回転軸部材41が正方向/逆方向に回転することによって、スクレーパー3の刃先30がドラム2の外周面に対し接離するように構成されている。そしてスクレーパー3の刃先30がドラム外周面に近接した状態では、その刃先30によって、回転駆動するドラム2の外周面に付着した乾燥製品を掻き取ることができるように構成されている。さらにスクレーパー3の刃先30がドラム外周面から離間した状態では、スクレーパー3の清掃作業、メンテナンス作業、交換作業等を支障なく行うことができるようになっている。
【0027】
一方、本実施形態のドラムドライヤにおいては、本実施形態特有の製品回収装置5が設置されている。この製品回収装置5は、掻き取られた乾燥製品を吸引する複数の吸引ノズル6と、複数の吸引ノズル6に吸引された乾燥製品を吸引収集する搬出パイプ7とを備えている。
【0028】
図3は本実施形態のドラムドライヤにおける製品回収装置5の吸引ノズル6周辺を拡大して示す側面図、図4図6はその吸引ノズル6を示す図、図7は搬出パイプ7を示す正面図である。
【0029】
図1図6に示すように吸引ノズル6は、中空形状に形成されており、その中空部が、乾燥製品P(図3参照)が流通する流路として構成されている。この吸引ノズル6の上端部(一端部)は吸引側端部として構成されるとともに、下端部(他端部)は流出側端部として構成されている。
【0030】
さらに吸引ノズル6は、上端部の幅寸法(ドラム2の軸心方向寸法)が広く形成されるとともに、下端部の幅寸法が狭く形成されて、図6に示す背面視の状態において、略逆三角形状に形成されている。これにより吸引ノズル6は、上端部(吸引側端部)から下端部(流出側端部)に向かうに従って、乾燥製品Pが流通する流路の断面積(流路断面積)が次第に小さくなるように形成されている。
【0031】
また吸引ノズル6の吸引側端部には略前方に向けて開口する吸引口62が幅方向(ドラム軸心方向)に連続して延びるように形成されている。なお吸引口62は、幅方向の両端部が幅方向(ドラム軸心方向)の外側に向けて開口している。
【0032】
図4および図5に示すように本実施形態において吸引ノズル6は、その外周壁部のうち、背面壁部を構成するノズルカバー66と、残りの壁部(前壁部および両側壁部)を構成するノズル本体61とに分離可能に構成されており、いわゆるパッチン金具(パチン金具)等の周知の留め金具69によって、ノズルカバー66がノズル本体61に対し着脱自在に取り付けられている。
【0033】
ノズルカバー66は、吸引側端部に対応する部分が、蝶番67を介して連結された開閉蓋68によって構成されており、開閉蓋68を後方へ回転させることにより、図5の想像線に示すように吸引ノズル6の吸引側端部を背面側に開放できるとともに、開閉蓋68を前方に回転させることにより、図4および図5の実線に示すように吸引ノズル6の吸引側端部の背面側を閉塞できるように構成されている。
【0034】
吸引ノズル6の両側壁内面における吸引側端部には、ボルト取付板63が略上方に突出するように取り付けられるとともに、そのボルト取付板63の先端部には、調節ボルト64が吸引口62の開口方向(開口軸方向)に沿ってねじ込み可能に螺着されている。この調節ボルト64は、その軸部先端をスクレーパー3に当接させることによって、吸引ノズル6のスクレーパー3に対する位置合わせを行うものであり、調節ボルト64のねじ込み量を変更することによって、吸引ノズル6のスクレーパー3に対する位置関係を変更することができる。
【0035】
また吸引ノズル6の下端部(他端部)には、流出パイプ部65が設けられている。この流出パイプ部65は上端部が吸引ノズル6の内部に連通するとともに、下端開口が流出口として構成されている。
【0036】
以上の構成の複数の吸引ノズル6がその幅方向をドラム2の軸心方向に一致させつつドラム軸心方向に並んだ状態に、かつ各吸引口62をスクレーパー3の刃先30に臨ませた状態に配置される。この場合、複数の吸引ノズル6が隣り合う吸引ノズル6間にほとんど間隔を設けずに配置されることにより、複数の吸引ノズル6の各吸引口62がスクレーパー3の刃先30の両端位置を除いたほぼ全域に臨むように配置されている。
【0037】
一方、製品回収装置5の搬出パイプ7は、ハウジング1の外部においてドラム2の軸心方向に沿って配置されている。
【0038】
また上記複数の吸引ノズル6の各流出パイプ部65には、中継パイプ75の一端(上端)がそれぞれ連結されるとともに、各中継パイプ75がハウジング1の側壁をそれぞれ貫通して各他端(各下端)が上記搬出パイプ7に連結されている。
【0039】
搬出パイプ7は、その一端部(上流側端部)が閉塞されており、他端側(下流側)には、吸引手段8が設けられている。この吸引手段8は、吸引ポンプ等を含んでおり、その吸引手段8の吸引作用によって搬出パイプ7、各中継パイプ75および各吸引ノズル6の内部が負圧に設定されるように構成されている。さらにこの負圧の設定により、吸引ノズル6の吸引口62に、外気を吸引ノズル6内に吸い込む吸引力が付与されるように構成されている。
【0040】
なお搬出パイプ7は、上流側から下流側にかけて段階的にパイプ径が大きくなるように形成されている。つまり吸引手段8から最も遠い搬出パイプ7の上流側端部のパイプ径を小さくして、吸引手段8に近付くに従って搬出パイプ7のパイプ径を段階的に大きくなるよう形成している。これにより後に詳述するように各吸引ノズル6に均等に吸引力を付与できるように構成されている。
【0041】
以上の構成の本実施形態のドラムドライヤにおいて乾燥製品Pを製造するに際しては、一対のドラム2,2を加熱した状態で矢符方向に回転駆動させる一方、製品回収装置5の吸引手段8を駆動して、搬出パイプ7、中継パイプ75および吸引ノズル6の内部を負圧に設定して、吸引ノズル6の吸引口62に吸引力を発生させておく。
【0042】
その状態で、原料供給部21から一対のドラム2,2間に液状原料Mが供給される。ドラム2,2の外周面に供給されて付着した液状原料Mは、ドラム2の回転に伴って外周面に沿って移動しながら加熱されることにより、水分が蒸発して乾燥していき、乾燥製品となる。こうして製造された乾燥製品は、スクレーパー3によってドラム2の外周面から掻き取られて剥離する。ここで本実施形態のドラムドライヤにおいては、吸引力が付与された吸引ノズル6の吸引口62がスクレーパー3の刃先30に臨むように配置されるため、ドラム2の外周面から掻き取られた乾燥製品は、上記吸引作用によって吸引口62から吸引ノズル6内に吸引される。図3および図7に示すように吸引ノズル6内に吸引された乾燥製品Pは、吸引ノズル6の流出パイプ部65および中継パイプ75を介して搬出パイプ7に吸引収集され、さらにその乾燥製品Pは、搬出パイプ7を通って所定の製品回収部(図示省略)に吸引回収される。
【0043】
以上のように本実施形態のドラムドライヤによれば、スクレーパー3によって掻き取られた乾燥製品Pを吸引ノズル6によって吸引して回収するようにした、いわゆるニューマチック搬送方式を採用しているため、ほとんどの乾燥製品Pを回収できて、乾燥製品Pが浮遊してハウジング1内を飛散するのを防止することができる。このため乾燥製品Pがハウジング1内に付着残留するのを防止でき、その付着残留による雑菌の発生等を防止できるとともに、清掃作業やメンテナンス作業に必要な労力も軽減できて、これらの作業を簡単に行うことができる。
【0044】
さらに乾燥製品Pがハウジング1内で飛散しないため、蒸気排出用の排気ダクト15から蒸気と共に乾燥製品Pが不要に排出されず製品ロスが減少し、吸引ノズル6を介して乾燥製品Pを効率良く回収することができる。
【0045】
その上さらに、乾燥製品Pがハウジング1内で飛散しないため、乾燥製品Pがハウジング1内の蒸気にさらされることがなく、再吸湿による乾燥製品Pの乾燥度の低下、つまり乾燥製品Pの品質の低下を防止でき、高品質の乾燥製品Pを確実に製造することができる。
【0046】
また本実施形態において、吸引ノズル6は、その吸引口62側の端部を幅広に形成し、かつ、流出側の端部を幅狭に形成することにより、全体として三角形状に形成されているため、吸引ノズル6の吸引側から流出側にかけての流路断面積が次第に小さくなっている。このため吸引ノズル6の吸引側から流出側に向かうに従って吸引力および吸引速度(流速)が次第に大きくなり、吸引ノズル6の吸引口62から吸い込まれた乾燥製品Pが途中で滞ることがなく、スムーズに搬出パイプ7へと送り出される。従って吸引ノズル6から乾燥製品Pを安定した状態で効率良く吸引することができる。
【0047】
また本実施形態においては、複数並列に配置された吸引ノズル6が中継パイプ75をそれぞれ介して搬出パイプ7にその長さ方向に等間隔おきに連結されるとともに、搬出パイプ7のパイプ径を下流側(吸引側)に向かうに従って段階的に大きくなるように形成しているため、搬出パイプ7の下流側に配置される吸引ポンプ等の吸引手段8による吸引作用によって、各吸引ノズル6に均等に吸引力を付与することができる。このため各吸引ノズル6の吸引力がほぼ一定となり、一連の吸引ノズル6から全体的に偏りなく乾燥製品Pを吸引できて、より一層効率良く乾燥製品Pを回収することができる。
【0048】
さらに本実施形態においては、吸引口62から吸引された乾燥製品Pは、吸引ノズル6、中継パイプ75および搬出パイプ7による閉管路を通って製品回収部に回収されるため、乾燥製品Pがハウジング1内の蒸気にさらされることがない。このため乾燥製品Pの蒸気からの再吸湿による乾燥度(品質)の低下をより確実に防止でき、より一層高品質の乾燥製品Pを製造することができる。
【0049】
また本実施形態においては、吸引ノズル6の背面側に吸引口62に対応して開閉自在な開閉蓋68を設けているため、開閉蓋68を開放することによってスクレーパー3の刃先30を露出させ、その状態でスクレーパー支持機構4のシリンダ44を駆動して、スクレーパー3をドラム外周面から離脱させることによって、スクレーパー3の位置調整や着脱を難なく行うことができ、スクレーパー3やその周辺の清掃作業やメンテナンス作業を支障なく行うことができる。
【0050】
なお上記実施形態においては、加熱蒸気によってドラム2を加熱する蒸気加熱式のドラムドライヤを例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、ドラムの加熱方式は特に限定されるものではない。例えば本発明においては、電気ヒータや温水を用いてドラムを加熱するようにしても良いし、誘導加熱(IH)によってドラムを加熱するようにしても良い。
【0051】
また上記実施形態においては、ダブルドラムタイプのドラムドライヤに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、シングルドラムタイプのドラムドライヤやツインドラムタイプのドラムドライヤにも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明のドラムドライヤは、液状原料を乾燥固化して例えば、化成品、薬品、食料品、染料品等の乾燥製品を製造する際に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
2:ドラム
3:スクレーパー
30:刃先
6:吸引ノズル
62:吸引口
65:流出パイプ(流出口)
68:開閉蓋
7:搬出パイプ
8:吸引手段
M:液状原料
P:乾燥製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7