(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】発電機構及び発電方法
(51)【国際特許分類】
F03G 1/06 20060101AFI20221202BHJP
F03G 1/00 20060101ALI20221202BHJP
F03G 1/02 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
F03G1/06
F03G1/00 A
F03G1/02
(21)【出願番号】P 2019509901
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2018012475
(87)【国際公開番号】W WO2018181341
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2017065011
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】アダマンド並木精密宝石株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青柳 智英
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-048016(JP,A)
【文献】実開昭58-027581(JP,U)
【文献】実開昭54-121093(JP,U)
【文献】実開昭55-074261(JP,U)
【文献】実開昭61-069483(JP,U)
【文献】実公昭55-042258(JP,Y1)
【文献】特開2015-149809(JP,A)
【文献】米国特許第03621939(US,A)
【文献】特表2015-502650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 1/06
F03G 1/00
F03G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機構は少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成され、
第1可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、第1中心軸に回転可能に軸支されており、
第2可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、第2中心軸に回転可能に軸支されており、
捩りコイルバネが、少なくとも第1巻回部と第2巻回部を有し、第1巻回部が第1中心軸に巻回されており、第1巻回部の一方の端部が自由端で、他方の端部が第1可動部品
に連結されており、
第2巻回部が、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回されており、第2巻回部の一方の端部が自由端で、他方の端部が第1可動部品
に連結されており、
発電機構の外部から第2中心軸を介して力が第2可動部品に伝達されて、第2可動部品が一定量回転され、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合って連動し、第1可動部品が一定量回転され、
第1可動部品の一定量の回転により、第1巻回部の自由端がハウジングに接触して自由端の動きが止められて第1巻回部が捩られ、その捩りによる弾性エネルギーie12が第1巻回部に蓄積され、
第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、弾性エネルギーie12によって第1可動部品が逆方向に一定量回転されて第1中心軸が回転され、第1中心軸の回転が伝達されて発電機のシャフトが回転されて、発電機で電力が発生されて発電が行われると共に、
第1中心軸の回転により第2巻回部の自由端がハウジングに接触して自由端の動きが止められ、
第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合う前の状態に第1可動部品が復帰される、発電機構。
【請求項2】
前記第1巻回部のバネ定数K1と、前記第2巻回部のバネ定数K2との間で、K1>K2の大小関係が成り立っている請求項1に記載の発電機構。
【請求項3】
前記ハウジングに少なくとも、前記第1可動部品と前記第2可動部品と前記捩りコイルバネと前記発電機が収められている請求項1又は2に記載の発電機構。
【請求項4】
前記第1中心軸の軸方向と、前記発電機のシャフトの軸方向が、互いに平行に構成され、前記第1中心軸と前記発電機のシャフトが平歯車で連結されている請求項1~3の何れかに記載の発電機構。
【請求項5】
発電機構を少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成し、
第1可動部品を、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車とし、第1中心軸に回転可能に軸支し、
第2可動部品を、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車とし、第2中心軸に回転可能に軸支し、
捩りコイルバネが、少なくとも第1巻回部と第2巻回部を有し、第1巻回部を第1中心軸に巻回し、第1巻回部の一方の端部を自由端とすると共に、他方の端部を第1可動部品
に連結し、
第2巻回部を、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回し、第2巻回部の一方の端部を自由端とすると共に、他方の端部を第1可動部品
に連結し、
発電機構の外部から第2中心軸を介して力を第2可動部品に伝達して、第2可動部品を一定量回転し、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯を噛み合わせて連動させて、第1可動部品を一定量回転し、
第1可動部品の一定量の回転により、第1巻回部の自由端をハウジングに接触させて自由端の動きを止めて第1巻回部を捩り、その捩りによる弾性エネルギーie12を第1巻回部に蓄積し、
第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いを外し、弾性エネルギーie12によって第1可動部品を逆方向に一定量回転させて第1中心軸を回転し、第1中心軸の回転を伝達して発電機のシャフトを回転させ、発電機で電力を発生して発電を行うと共に、
第1中心軸の回転により第2巻回部の自由端をハウジングに接触させて自由端の動きを止めて、
第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合う前の状態に第1可動部品を復帰させる、発電機構による発電方法。
【請求項6】
前記第1巻回部のバネ定数K1と、前記第2巻回部のバネ定数K2との間で、K1>K2の大小関係が成り立っている請求項5に記載の発電方法。
【請求項7】
前記ハウジングに少なくとも、前記第1可動部品と前記第2可動部品と前記捩りコイルバネと前記発電機を収めている請求項5又は6に記載の発電方法。
【請求項8】
前記第1中心軸の軸方向と、前記発電機のシャフトの軸方向を、互いに平行に構成し、前記第1中心軸と前記発電機のシャフトを平歯車で連結する請求項5~7の何れかに記載の発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機構及び発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は使用されずに捨てられていた身近な環境に存在する、微弱な運動エネルギー(人力、振動、圧力、熱、太陽光等)を利用して、電力を発電できる自己発電型の環境発電(エナジーハーベスティング:Energy Harvesting)が注目されている。
【0003】
照明等の各種電気機器や装置には、無線通信装置を用いた遠隔操作によって動作を制御可能としているものが有る。この種の無線通信装置を制御する無線スイッチには乾電池等の電源が内蔵されており、電源から供給される電力によって無線通信装置の動作を制御している。
【0004】
一方、環境発電によって電力を発電し、その電力を使って様々な装置に動作指示を無線で送ることで、電源の交換や充電等の作業が不要なスイッチ発電機構の形成が要求されている。具体的には、照明等の機器に点灯や消灯の指示を無線で送る際、電源に依らず使用者のスイッチング動作で発電させて電力が得られる、自己発電型の発電機構が実現されている。
【0005】
例えば非特許文献1記載の発電機構は、スイッチを押す動作(スイッチング動作)の運動エネルギーで発電させ、照明に点灯や消灯の指示を無線で送っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】エネルギーハーベスティング、[online]、[平成28年2月9日]、インターネット<URL:https://www.enocean.com/jp/technology/energy-harvesting/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような発電機構の一例としてマグネットを備え、更にボイスコイルが固定されていると共に、マグネットとスイッチ部品は連結されている構成の物が挙げられる。このスイッチ部品を使用者が押すことで、固定されているボイスコイルの中をマグネットが動き、そのマグネットの動きに伴う運動エネルギーによって発電を行う。従って発電される電力量は、ボイルコイル内を動くマグネットの速さ、即ちスイッチ部品を押す速さに大きく影響される。
【0008】
詳述すると、発電電圧はマグネットの動きによりボイスコイル内の磁束が変化する速さに比例する。また電力は、(電力W)=(電圧V2)/(ボイスコイルの抵抗R)で表せられるため、ボイスコイル内のマグネット(若しくはマグネット内のボイスコイル)の移動速度が遅い場合、発電電圧が低く十分な電力を発電出来なかった。
【0009】
更に、使用者によってスイッチを押す速さにはばらつきが有る為、発電量にもばらつきが発生し、必要な電力量を確保できない事態も有った。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、どんなに遅い速度の力で動作させても一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能な発電機構及び発電方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明の発電機構は少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成され、第1可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、第1中心軸に回転可能に軸支されており、第2可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、第2中心軸に回転可能に軸支されており、捩りコイルバネが、少なくとも第1巻回部と第2巻回部を有し、第1巻回部が第1中心軸に巻回されており、第1巻回部の一方の端部が自由端で、他方の端部が第1可動部品に連結されており、第2巻回部が、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回されており、第2巻回部の一方の端部が自由端で、他方の端部が第1可動部品に連結されており、発電機構の外部から第2中心軸を介して力が第2可動部品に伝達されて、第2可動部品が一定量回転され、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合って連動し、第1可動部品が一定量回転され、第1可動部品の一定量の回転により、第1巻回部の自由端がハウジングに接触して自由端の動きが止められて第1巻回部が捩られ、その捩りによる弾性エネルギーie12が第1巻回部に蓄積され、第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、弾性エネルギーie12によって第1可動部品が逆方向に一定量回転されて第1中心軸が回転され、第1中心軸の回転が伝達されて発電機のシャフトが回転されて、発電機で電力が発生されて発電が行われると共に、第1中心軸の回転により第2巻回部の自由端がハウジングに接触して自由端の動きが止められ、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合う前の状態に第1可動部品が復帰されることを特徴とする。
【0012】
本発明の発電機構の一実施形態は、第1巻回部のバネ定数K1と、第2巻回部のバネ定数K2との間で、K1>K2の大小関係が成り立っていることが好ましい。
【0013】
本発明の発電機構の他の実施形態は、ハウジングに少なくとも、第1可動部品と第2可動部品と捩りコイルバネと発電機が収められていることが好ましい。
【0014】
本発明の発電機構の他の実施形態は、第1中心軸の軸方向と、発電機のシャフトの軸方向が、互いに平行に構成され、第1中心軸と発電機のシャフトが平歯車で連結されていることが好ましい。
【0015】
また本発明の発電方法は、発電機構を少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成し、第1可動部品を、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車とし、第1中心軸に回転可能に軸支し、第2可動部品を、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車とし、第2中心軸に回転可能に軸支し、捩りコイルバネが、少なくとも第1巻回部と第2巻回部を有し、第1巻回部を第1中心軸に巻回し、第1巻回部の一方の端部を自由端とすると共に、他方の端部を第1可動部品に連結し、第2巻回部を、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回し、第2巻回部の一方の端部を自由端とすると共に、他方の端部を第1可動部品に連結し、発電機構の外部から第2中心軸を介して力を第2可動部品に伝達して、第2可動部品を一定量回転し、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯を噛み合わせて連動させて、第1可動部品を一定量回転し、第1可動部品の一定量の回転により、第1巻回部の自由端をハウジングに接触させて自由端の動きを止めて第1巻回部を捩り、その捩りによる弾性エネルギーie12を第1巻回部に蓄積し、第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いを外し、弾性エネルギーie12によって第1可動部品を逆方向に一定量回転させて第1中心軸を回転し、第1中心軸の回転を伝達して発電機のシャフトを回転させ、発電機で電力を発生して発電を行うと共に、第1中心軸の回転により第2巻回部の自由端をハウジングに接触させて自由端の動きを止めて、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合う前の状態に第1可動部品を復帰させることを特徴とする。
【0016】
本発明の発電方法の一実施形態は、第1巻回部のバネ定数K1と、第2巻回部のバネ定数K2との間で、K1>K2の大小関係が成り立っていることが好ましい。
【0017】
本発明の発電方法の他の実施形態は、ハウジングに少なくとも、第1可動部品と第2可動部品と捩りコイルバネと発電機を収めていることが好ましい。
【0018】
本発明の発電方法の他の実施形態は、第1中心軸の軸方向と、発電機のシャフトの軸方向を、互いに平行に構成し、第1中心軸と発電機のシャフトを平歯車で連結することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発電機構又は発電方法に依れば、捩りコイルバネを含むことで、第1巻回部の捩りにより弾性エネルギーie12を第1巻回部に蓄積してから、その弾性エネルギーie12を解放して、発電機で発電を行うことが出来る。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品が回転されて発電機構が動作しても、一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0020】
更に、歯車を発電機構の形成部品に用いることで、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯を噛み合わせて発電機構を動作させることが出来る。従って、動作損失の発生を抑制又は防止することが出来るため、どのような用途や使用状況でも一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となり、好ましい。
【0021】
更に発電機構を、歯車、捩りコイルバネ、発電機、ハウジングと云った簡易な部品のみで形成している。従って、耐候性や信頼性に優れ、どのような用途や使用状況でも一定の発電量を確保し、確実なスイッチング動作を行うことが可能な発電機構を形成することが出来る。
【0022】
更に、第1巻回部のバネ定数K1と第2巻回部のバネ定数K2との間で、K1>K2の大小関係を成立させる事により、第1中心軸の回転で第1可動部品を初期状態(第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合う前の状態)に復帰させる際に、弾性エネルギーie12以上の弾性エネルギーの第2巻回部への蓄積が抑制される。従って前記各効果に加えて、過大な弾性エネルギーの蓄積による第2巻回部の破損防止や、発電機による不要な発電を抑制する事が可能となり、発電機構のより一層確実なスイッチング動作と、耐用性と信頼性の向上を実現する事が出来る。
【0023】
更に、発電機構を形成する部品(第1可動部品、第2可動部品、捩りコイルバネ、発電機)をハウジングに収めることにより、前記各効果に加えて、第1可動部品と第2可動部品間の伝達部分や各部品における防塵性や防水性を確保することが可能となる。また、歯車部分の防錆効果も得られる。従って、発電機構の耐候性や信頼性をより一層向上させることができ、より確実なスイッチング動作を実現することが可能となる。
【0024】
更に、第1中心軸の軸方向と発電機のシャフトの軸方向を互いに平行に構成し、第1中心軸と発電機のシャフトを平歯車で連結する事により、前記各効果に加えて、例えば傘歯車等と云った軸方向の変換部品の使用を解消する事が可能となる。従って発電機構の公差に余裕が生まれ、発電機構の歩留まりの改善と、発電動作の信頼性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例に係る発電機構の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1の発電機構における、第1可動部品、第1中心軸、捩りコイルバネ、第2可動部品、及びハウジングを抜粋した斜視図である
。
【
図3】(a)
図1の発電機構における、第1可動部品、第1中心軸、捩りコイルバネ、第2可動部品、及び第2中心軸を抜粋し、各部品の初期状態を
図2に示すX1方向から示した模式図である。(b) 同図(a)にハウジングが組み込まれた状態を図示した模式図である。
【
図4】(a) 図
3の状態から、第2可動部品及び第1可動部品が回転された状態を示す模式図である。(b) 同図(a)にハウジングが組み込まれた状態を図示した模式図である。
【
図5】(a) 図
4の状態から、弾性エネルギーie12によって第1可動部品が逆方向に回転された状態を示す模式図である。(b) 同図(a)にハウジングが組み込まれた状態を図示した模式図である。
【
図6】図
5(a)の状態を、
図2に示すX2方向から示した模式図である。
【
図7】(a) 図
5の状態から、第2可動部品及び第1可動部品がそれぞれ逆方向に回転された状態を示す模式図である。(b) 同図(a)にハウジングが組み込まれた状態を図示した模式図である。
【
図8】図
7(a)の状態を、
図2に示すX2方向から示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本実施の形態の第一の特徴は、電源を含まずスイッチング動作により発電する発電機構において、発電機構が少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成され、第1可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、第1中心軸に回転可能に軸支されており、第2可動部品が、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車であり、第2中心軸に回転可能に軸支されており、捩りコイルバネが、少なくとも第1巻回部と第2巻回部を有し、第1巻回部が第1中心軸に巻回されており、第1巻回部の一方の端部が自由端で、他方の端部が第1可動部品に連結されており、第2巻回部が、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回されており、第2巻回部の一方の端部が自由端で、他方の端部が第1可動部品に連結されており、発電機構の外部から第2中心軸を介して力が第2可動部品に伝達されて、第2可動部品が一定量回転され、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合って連動し、第1可動部品が一定量回転され、第1可動部品の一定量の回転により、第1巻回部の自由端がハウジングに接触して自由端の動きが止められて第1巻回部が捩られ、その捩りによる弾性エネルギーie12が第1巻回部に蓄積され、第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いが外れ、弾性エネルギーie12によって第1可動部品が逆方向に一定量回転されて第1中心軸が回転され、第1中心軸の回転が伝達されて発電機のシャフトが回転されて、発電機で電力が発生されて発電が行われると共に、第1中心軸の回転により第2巻回部の自由端がハウジングに接触して自由端の動きが止められ、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合う前の状態に第1可動部品が復帰されることとした。
【0027】
また第二の特徴は、電源を含まずスイッチング動作により発電する発電機構による発電方法において、発電機構を少なくとも、第1可動部品と、第2可動部品と、捩りコイルバネと、発電機と、ハウジングとから形成し、第1可動部品を、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車とし、第1中心軸に回転可能に軸支し、第2可動部品を、伝動車の周囲の少なくとも一部に歯が形成された歯車とし、第2中心軸に回転可能に軸支し、捩りコイルバネが、少なくとも第1巻回部と第2巻回部を有し、第1巻回部を第1中心軸に巻回し、第1巻回部の一方の端部を自由端とすると共に、他方の端部を第1可動部品に連結し、第2巻回部を、第1巻回部と逆方向に第1中心軸に巻回し、第2巻回部の一方の端部を自由端とすると共に、他方の端部を第1可動部品に連結し、発電機構の外部から第2中心軸を介して力を第2可動部品に伝達して、第2可動部品を一定量回転し、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯を噛み合わせて連動させて、第1可動部品を一定量回転し、第1可動部品の一定量の回転により、第1巻回部の自由端をハウジングに接触させて自由端の動きを止めて第1巻回部を捩り、その捩りによる弾性エネルギーie12を第1巻回部に蓄積し、第1可動部品が一定量回転した後に、第1可動部品と第2可動部品の互いの歯の噛み合いを外し、弾性エネルギーie12によって第1可動部品を逆方向に一定量回転させて第1中心軸を回転し、第1中心軸の回転を伝達して発電機のシャフトを回転させ、発電機で電力を発生して発電を行うと共に、第1中心軸の回転により第2巻回部の自由端をハウジングに接触させて自由端の動きを止めて、第1可動部品の歯と第2可動部品の歯が噛み合う前の状態に第1可動部品を復帰させることとした。
【0028】
なお本発明において、第1可動部品と第2可動部品の回転量における「一定量」は同一とは限らず、各回転方向に応じて「一定量」が異なる場合や、各部品の寸法の差異によって生じる回転角の差異も含むものとする。
【0029】
以上の発電機構又は発電方法は、照明、又は車両用の報知装置等に使用することが出来る。
【0030】
なお本発明では、バネ、第1捩りコイルバネ(第1巻回部)、又は第2捩りコイルバネ(第2巻回部)に付与若しくは蓄積されるトルク(N・mm)を「弾性エネルギー」(mJ)と表記して、説明する。
【0031】
以下に本発明に係る実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
以下、
図1~図
8を参照して本発明に係る実施例の発電機構1、及びその発電機構1による発電方法を説明する。
図1及び
図2に示すように、発電機構1は少なくとも、第1可動部品2aと、第2可動部品3aと、捩りコイルバネ4と、発電機5と、ハウジング6とから形成されている。更にハウジング6の内部に、少なくとも第1可動部品2aと第2可動部品3aと捩りコイルバネ4と発電機5が収められている。また、第2中心軸3bの他端側(即ち、第2可動部品3aが軸支されている一端側の反対端側)は、ハウジング6に設けた孔を通って、ハウジング6の外部へと突出されている。
【0033】
第1可動部品2aは、カム形状の伝動車の外形周囲における少なくとも一部に、複数の歯が形成された歯車であり、第1中心軸2bを中心に回転可能に軸支されている。第1中心軸2bはハウジング6内部で両端が固定されている。
【0034】
また第2可動部品3aも、カム形状の伝動車の外形周囲における少なくとも一部に、複数の歯が形成された歯車であり、第2中心軸3bを中心に回転可能に軸支されている。
【0035】
第1可動部品2a及び第2可動部品3aの歯形は、本実施例では共にインボリュート歯形である。インボリュート歯形とすることにより、互いの歯車の中心距離(第1中心軸2bの中心と、第2中心軸3bの中心との間の直線間隔)が若干変化しても噛み合いが正しく保たれると共に、容易に作製でき、滑りも少ないため好ましい。なお2a又は3aの歯形を、インボリュート歯形に換えて、サイクロイド歯形に形成することも可能である。
【0036】
捩りコイルバネ4は、少なくとも第1巻回部と第2巻回部の2つの巻回部を有するバネとする。発電機構1では、第1巻回部と第2巻回部が個別に形成された2つの捩りコイルバネ(第1捩りコイルバネ4aと第2捩りコイルバネ4b)が設けられている。
【0037】
図3に示すように、第1捩りコイルバネ4aの巻回部(第1巻回部)は第1中心軸2bに巻回されており、第1巻回部の一方の端部が自由端4a1である。一方、他方の端部は、第1可動部品2a、第1中心軸2b、又は第2巻回部の何れかに連結するものとし、本実施例の発電機構1では第1可動部品2aに連結されている。
【0039】
一方、図6に示すように、第2捩りコイルバネ4bの巻回部(第2巻回部)は、第1巻回部とは逆方向に第1中心軸2bに巻回されており、第2巻回部の一方の端部は自由端4b1である。また他方の端部は、第1可動部品2a、第1中心軸2b、又は第1巻回部の何れかに連結するものとし、本実施例の発電機構1では第1可動部品2aに連結されている。
【0041】
第1巻回部のバネ定数K1と第2巻回部のバネ定数K2との間で、K1>K2の大小関係が成り立っている。
【0042】
なお、発電機構1では第1巻回部と第2巻回部のそれぞれの他方の端部を、第1可動部品2aに連結しているが、他方の端部同士を互いに接続することで、第1巻回部と第2巻回部を有する1つの捩りコイルバネを、捩りコイルバネ4の換わりに用いても良い。
【0043】
また、第1中心軸2bの軸方向と、発電機5のシャフト5aの軸方向を、互いに平行に構成すると共に、第1中心軸2bにおける第1可動部品2aの軸支側と反対側に、平歯車7を軸支している。更に第1中心軸2bと発電機5のシャフト5aを、1つの平歯車7で連結している。なお
図1では、第1可動部品2a、第2可動部品3a、シャフト5a端部、及び平歯車7の歯形の図示は省略している。
【0044】
発電機5は、少なくともコイルとマグネットを含むモータであり、更にシャフト5aの回転と共にコイルとマグネットのどちらかが回転する型式のものである。
【0045】
ハウジング6は外形が四角形のバスタブ形に成形された部品であり、内部には発電機5を固定するための複数の仕切り板6aや側面部品が設けられている。なおハウジング6は、一体成形された一つの部品でも良いし、幾つかの側面部品や底面部品等からなる組合せ品に変更しても良い。
【0046】
第1可動部品2a、第2可動部品3a、平歯車7、及びハウジング6の材料はそれぞれ任意に選択可能であり、例えばプラスチックや、無潤滑で摺動可能な樹脂、ステンレス、鋼などを用いれば良い。
【0047】
次に、発電機構1における自己発電の動作原理に関して説明する。図示しない例えばスイッチ部品等を第2中心軸3bに取り付け、そのスイッチ部品等に発電機構の外部から人力または使用用途毎の発電対象物からの押圧力と云った力が加わってスイッチ部品等を押すことで第2中心軸3bが回転される。
【0048】
その第2中心軸3bの回転により、発電機構1の外部から第2中心軸3bを介して力が第2可動部品3aに伝達され、第2可動部品3aが一定量(図3及び図4では、反時計方向に約35°~45°)回転して可動する。従って、第2可動部品3aは発電機構1内ではスイッチ部分として機能し、スイッチング動作により可動する部品である。
【0049】
第2可動部品3aが回転すると、第1可動部品2aの歯と第2可動部品3aの歯が噛み合って連動が開始される。
【0050】
第2可動部品3aに力が伝達され続け、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯が噛み合わされている間は、第1可動部品2aは回転し続ける。よって、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯の噛み合いが外れるまで、第1可動部品2aは一定量回転される(本実施例の場合、図3及び図4で約70°~80°の時計方向の回転となる)。
【0051】
第1可動部品2aの一定量の回転に伴い、第1中心軸2bと前記第1巻回部も、第1可動部品2aと連動して一定量回転する。従って、第1巻回部の自由端4a1もその回転に伴って移動し、第1可動部品2aの一定量の回転により、第1巻回部の自由端4a1がハウジング6の側面に接触して自由端4a1の動きが止められる。一方、第1巻回部の他端側は、第1可動部品2aに連結されている為、第1可動部品2aの一定量の回転に伴って回転移動していく。よって自由端4a1の動きが止まった時から第1巻回部は捩られることとなり、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯の噛み合いに伴う捩りにより、弾性エネルギーie12(mJ)が第1巻回部に蓄積される。
【0052】
第1巻回部の捩りは、第2可動部品3aに力が伝達され続けて第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯が噛み合わされている間は保持される。従って、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯の噛み合いが外れる直前における、第1巻回部の弾性エネルギーie12が最大量となる。本実施例では、第1可動部品2a及び第1中心軸2bが約70°~80°回転した時点での弾性エネルギーie12が最大となる。
【0053】
第1可動部品2aが一定量回転した後に、図4に示すように第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯の噛み合いが外れる。すると、第1巻回部の捩りによる変形保持が外れ、第1巻回部の変形が解放され、ハウジング6側面に接触して止められていた第1巻回部の自由端4a1を支点にして、ie12により第1可動部品2aが逆方向に一定量回転する。本実施例では反時計方向への約70°~80°の回転となる(図4及び図5を参照)。即ち、ie12が第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転に変換される。
【0054】
第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転に伴い、第1中心軸2bも一定量だけ逆方向に回転すると共に平歯車7も連動して回転し、シャフト5aが一定量及び一定の速度で回転される。シャフト5aが一定量及び一定の速度で回転されることで、発電機5内部で電力が発生されて発電が行われる。その電力により、発電機構1の用途に応じて、別途任意に設置可能な赤外線など無線通信装置を起動することが可能となる。
【0055】
シャフト5aの回転量及び速度は、第1可動部品2aの逆方向の回転量、即ちie12の最大値に応じて変わる。よって、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯が噛み合うピッチ円の円弧長に伴って、ie12は任意の一定量で設定可能である。従って、シャフト5aの回転量も任意の一定量で設定することが出来るため、発電機5による発電量も、第2可動部品3aに伝わる外部からの力の速度に関係無く一定値に設定可能となる。
【0056】
以上により、発電機構1又は発電機構1による発電方法に依れば、捩りコイルバネ4を含むことで、捩りによりie12を第1巻回部に蓄積してからie12を解放して発電機5で発電を行うことが出来る。従って、どんなに遅い速度の力で第2可動部品3aが回転されて発電機構1が動作しても、一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となる。
【0057】
更に、歯車を発電機構1の形成部品に用いることで、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯を噛み合わせて発電機構1を動作させることが出来る。従って、動作損失の発生を抑制又は防止することが出来るため、どのような用途や使用状況でも一定の発電量を確保することができ、確実なスイッチング動作を行うことが可能となり、好ましい。
【0058】
更に発電機構1を、歯車(第1可動部品2aと第2可動部品3a)、捩りコイルバネ4、発電機5、ハウジング6と云った簡易な部品のみで形成している。従って、耐候性や信頼性に優れ、どのような用途や使用状況でも一定の発電量を確保し、確実なスイッチング動作を行うことが可能な発電機構1を形成することが出来る。
【0059】
次に、第1中心軸2bの逆方向の回転に伴って、第2巻回部の自由端4b1もその回転に伴って移動し、第2巻回部の自由端4b1がハウジング6の側面に接触して自由端4b1の動きが止められる。一方、第2巻回部の他端側は、第1可動部品2aに連結されている為、第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転に伴って回転移動していく。よって自由端4b1の動きが止まった時から第2巻回部は捩られることとなり、その捩りによる弾性エネルギーの第2巻回部への蓄積が開始される。
【0060】
しかしながら、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯はこの時点では既に噛み合っていないため、第2巻回部の捩れは保持されずに直ちに解放される。よって、この時点での弾性エネルギーの第2巻回部への蓄積は行われない。第1中心軸2bの回転により、第1可動部品2aは初期状態(第1可動部品2aの歯と第2可動部品3aの歯が噛み合う前の状態)に復帰される。
【0061】
更に、第1巻回部のバネ定数K1と第2巻回部のバネ定数K2との間で、K1>K2の大小関係を成立させる事により、第1中心軸2bの回転で第1可動部品2aを初期状態(第1可動部品2aの歯と第2可動部品3aの歯が噛み合う前の状態)に復帰させる際に、弾性エネルギーie12以上の弾性エネルギーの第2巻回部への蓄積が抑制される。従って前記各効果に加えて、過大な弾性エネルギーの蓄積による第2巻回部の破損防止や、発電機5による不要な発電を抑制する事が可能となり、発電機構のより一層確実なスイッチング動作と、耐用性と信頼性の向上を実現する事が出来る。
【0062】
更に、発電機構1を形成する部品(第1可動部品2a、第2可動部品3a、捩りコイルバネ4、発電機5)をハウジング6に収めることにより、前記各効果に加えて、第1可動部品2aと第2可動部品3a間の伝達部分や各部品における防塵性や防水性を確保することが可能となる。また、歯車部分の防錆効果も得られる。従って、発電機構1の耐候性や信頼性をより一層向上させることができ、より確実なスイッチング動作を実現することが可能となる。
【0063】
更に、第1中心軸2bの軸方向と発電機5のシャフト5aの軸方向を互いに平行に構成し、第1中心軸2bとシャフト5aを平歯車7で連結する事により、前記各効果に加えて、例えば傘歯車等と云った軸方向の変換部品の使用を解消する事が可能となる。従って発電機構1の公差に余裕が生まれ、発電機構1の歩留まりの改善と、発電動作の信頼性の向上が図れる。
【0064】
次に、発電機構1の外部からの、人力または使用用途毎の発電対象物からの押圧力と云った力の入力が解消されると、例えばスイッチ部品に設けたバネによる弾性エネルギーied(mJ)によって、図6の状態から、図7及び図8の状態へと第2可動部品3aが逆方向に一定量回転される(図7では、約35°~45°の時計方向の回転となる)。スイッチ部品への力の伝達が解消される状態とは、発電機構1の使用用途にも依るが、例えば使用者がスイッチ部品を押すことを止めたり、発電対象物が取り除かれるか無くなる等して発電対象物からの押圧力が無くなった状態などが挙げられる。
【0065】
第2可動部品3aが一定量逆方向に回転する際に、第1可動部品2aの歯と第2可動部品3aの歯が再び噛み合って互いに連動し、第1可動部品2aが逆方向に一定量回転される(本実施例では反時計方向に約70°~80°の回転となる。図5及び図7参照。)。第1可動部品2aの逆方向の回転量は、第2可動部品3aの逆方向の一定量の回転量に依る。
【0066】
第1可動部品2aの一定量の逆方向の回転により、第1中心軸2bと前記第2巻回部も、第1可動部品2aと連動して一定量回転する。従って、第2巻回部の自由端4b1もその回転に伴い移動し、第1可動部品2aの一定量の回転により、第2巻回部の自由端4b1がハウジング6の側面に接触して自由端4b1の動きが止められる。一方、第2巻回部の他端側は、第1可動部品2aに連結されている為、第1可動部品2aの一定量の回転に伴って回転移動していく。よって自由端4b1の動きが止まった時から第2巻回部は捩られることとなり、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯の噛み合いに伴う捩りにより、弾性エネルギーie22(mJ)が第2巻回部に蓄積される。
【0067】
第2巻回部の捩りは、第2可動部品3aに前記バネからの弾性エネルギーiedが伝達され続けて第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯が噛み合わされている間は保持される。従って、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯の噛み合いが外れる直前における、第2巻回部の弾性エネルギーie22が最大量となる。本実施例では、第1可動部品2a及び第1中心軸2bが約70°~80°回転した時点での弾性エネルギーie22が最大となる。
【0068】
第1可動部品2aが逆方向に一定量回転した後に、図7及び図8に示すように第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯の噛み合いが外れる。すると、第2巻回部の捩りによる変形保持が外れ、第2巻回部の変形が解放され、ハウジング6側面に接触して止められていた第2巻回部の自由端4b1を支点にして、ie22により第1中心軸2bが一定量回転する。(本実施例では時計方向への約70°~80°の回転となる。図7及び図3を参照。)。即ち、ie22が第1中心軸2bの一定量の回転に変換される。
【0069】
第1中心軸2bの一定量の回転に伴い、平歯車7も連結して一定量回転し、シャフト5aが一定量及び一定の速度で回転される。
【0070】
しかし、発電機5で発生させたい所望の電圧(逆起電力)[V]を仮にA[V]とし、そのA[V]の発生に必要なシャフト5a及び第1中心軸2bの回転速度を得る為には、弾性エネルギーie12以上が必要だと仮定する。しかしこのような場合でも、第2巻回部のバネ定数の傾きは第1巻回部のバネ定数の傾きよりも緩やかに設定される(即ち、K1>K2)。従って、第1巻回部と同一の捩り角度によって第2巻回部に蓄積される弾性エネルギーをie12未満とすることが出来る。以上により、発電機5による不要な発電動作が抑制されることとなる。
【0071】
また、第1中心軸2bの一定量の回転により、第1巻回部の自由端4a1がハウジング6の側面に再度接触して自由端4a1の動きが止められる。一方、第1巻回部の他端側は、第1可動部品2aに連結されている為、第1中心軸2bの一定量の回転に伴って回転移動していく。よって自由端4a1の動きが止まった時から第1巻回部は捩られることとなり、その捩りによる弾性エネルギーの第1巻回部への蓄積が開始される。
【0072】
しかしながら、第1可動部品2aと第2可動部品3aの互いの歯はこの時点では既に噛み合っていないため、第1巻回部の捩れは保持されずに直ちに解放される。よって、この時点での弾性エネルギーの第1巻回部への蓄積は行われない。第1中心軸2bの回転により、第1可動部品2aは初期状態(第1可動部品2aの歯と第2可動部品3aの歯が噛み合う前の状態)に復帰される。
【0073】
なお本実施例で説明したように、第1可動部品2aと第2可動部品3aの回転量における「一定量」は同一とは限らない。本実施例のように各部品の各回転方向に応じて「一定量」は異なる場合がある。また、各部品(2a、3a)の寸法の差異によって回転角にも差異が生じる。
【0074】
また発電機5は、少なくともコイルとマグネットを含み、電力を発生させて発電する装置であれば、モータに限定されない。
【0075】
なお、第1可動部品2a又は第2可動部品の歯車に換えて、ワンウェイクラッチ (One-way clutch、1-Way clutch)を使用しても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 発電機構
2a 第1可動部品
2b 第1中心軸
3a 第2可動部品
3b 第2中心軸
4 捩りコイルバネ
4a 第1捩りコイルバネ
4a1 第1捩りコイルバネの巻回部の自由端
4b 第2捩りコイルバネ
4b1 第2捩りコイルバネの巻回部の自由端
5 発電機
5a シャフト
6 ハウジング
6a 仕切り板
7 平歯車