(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】外科用スコープ装置の器具チャネルを滅菌する装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20221202BHJP
A61L 2/14 20060101ALI20221202BHJP
A61L 2/06 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61B1/12 510
A61L2/14
A61L2/06
(21)【出願番号】P 2019559026
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(86)【国際出願番号】 EP2018061317
(87)【国際公開番号】W WO2018202759
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】エバット,ジュリアン・マーク
(72)【発明者】
【氏名】メドウクロフト,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ジョン
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0296977(US,A1)
【文献】特開2008-000580(JP,A)
【文献】特開2005-218755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0285485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
A61B 13/00-18/18
A61F 2/01
A61L 2/00- 2/28
11/00-12/14
A61N 7/00- 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用スコープ装置の器具チャネルを滅菌するための滅菌装置であって、前記装置が、
外科用スコープ装置の器具チャネルを通って挿入されるように構成される、滅菌器具であって、前記滅菌器具が、
高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギーを伝送するための同軸ケーブルを含む、細長いプローブと、前記RF及び/または前記マイクロ波エネルギーを受信するための前記同軸ケーブルの遠位端に接続される、プローブ先端部と、を備え、
そこで、前記同軸ケーブルが、内側導体、外側導体及び前記外側導体から前記内側導体を分離する誘電体材料を含み、
前記プローブ先端部が、前記同軸ケーブルの前記内側導体に接続している第1電極、及び前記同軸ケーブルの前記外側導体に接続している第2電極を備え、
前記第1電極及び前記第2電極が、受信した前記RF及び/または前記マイクロ波周波数EMエネルギーから電界を作成するように構成される、前記滅菌器具と;
所定の速度で、前記器具チャネルから前記滅菌器具を引き抜くための回収装置と;を
含み、
前記滅菌器具が、前記プローブ先端部にガスを供給するためのガス管を更に含み、
前記第1電極及び前記第2電極が、前記ガス管から受けたガスの流路全体に、受信した前記RF及び/または前記マイクロ波周波数EMエネルギーからの電場を作成するように構成されて、熱プラズマまたは非熱プラズマを生成し、
前記同軸ケーブルが、
最も内側の絶縁層と;
前記最も内側の絶縁層上に形成される、内側導電層と;
前記内側導電層と同軸で形成される、外側導電層と;
前記内側導電層と前記外側導電層を分離する誘電体層と;を備える、層状構造を含み、
前記内側導電層、前記外側導電層及び前記誘電体層が、RF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを伝えるための伝送線路を形成し、前記最も内側の絶縁層が中空であり、それによって前記同軸ケーブル内に前記器具チャネルを提供し、
前記同軸ケーブルが、
前記内側導電層に電気的に接続して、前記最も内側の絶縁層を通って前記器具チャネル内まで延在する、第1終端部と;
前記外側導電層に電気的に接続して、前記誘電体層と前記最も内側の絶縁層を通って前記器具チャネル内まで延在する、第2終端部と;を更に含み、
前記第1終端部及び前記第2終端部が、前記プローブ先端部上の前記第1電極及び前記第2電極との電気接続を形成するように構成されることができ、
前記プローブ先端部が、前記器具チャネルに挿入可能である、滅菌装置。
【請求項2】
前記滅菌器具が、前記器具チャネルから延在可能で、前記器具チャネルの遠位端に位置する生体組織内に前記RF EMエネルギー及び/または前記マイクロ波EMエネルギーを送達するように更に構成される、請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記同軸ケーブルが、前記ケーブルの近位端から遠位端まで延在する管腔を有し、そこで、前記管腔が、前記細長いプローブを通って前記プローブ先端部にガスを供給するための前記ガス管を形成する、請求項
1または2に記載の滅菌装置。
【請求項4】
前記ガス管が、前記プローブ先端部を通って通過する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記プローブ先端部が、囲われたプラズマ生成領域と、前記器具チャネルの内側表面に向かって前記プラズマ生成領域から出たプラズマを導くための放出口と、を有する、プラズマアプリケータである、請求項
1~
4のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項6】
前記プローブ先端部が、
前記同軸ケーブルの前記最も内側の絶縁層の延在部と;
前記同軸ケーブルの前記内側導電層の前記延在部を含む、前記第1電極と;
前記内側導電層上に配置される、誘電体シリンダーと;
前記同軸ケーブルの前記外側導電層に電気的に接続している、金属管を備える、前記第2電極と;を備える、請求項
1~5のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項7】
前記誘電体シリンダーが、シリンダーの壁に多くの孔を含む、請求項
6に記載の滅菌装置。
【請求項8】
前記
器具チャネルが、前記ガス管を備える、またはそれを含有する、請求項
1~
7のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項9】
前記ガス管が剛性管または針で終端する、請求項
1~
8のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項10】
前記プローブ先端部が、金属被覆した誘電体材料の単一片を備える
、請求項
1~9のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項11】
前記プローブ先端部が、
実質的に誘電体材料の平面体と;
前記第1電極としての前記平面体の第1表面上の第1導電層と;
前記第2電極としての前記第1表面の反対側にある、前記平面体の第2表面上の第2導電層と;を備える、平行平板構造を有する
、請求項
1~10のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項12】
前記外科用スコープ装置用の滅菌エンクロージャを画定する容器と;前記外科用スコープ装置の外側表面を滅菌するために、前記滅菌エンクロージャ内に非熱プラズマまたは熱プラズマを作成するためのプラズマ発生ユニットと;を更に備える
、請求項
1~11のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項13】
前記容器が、前記外科用スコープ装置の制御ヘッドを収容するためのチャンバを含み、そこで、前記プラズマ発生ユニットが、前記外科用スコープ装置の器具管を取り囲むための環状体を含む、請求項
12に記載の滅菌装置。
【請求項14】
環状体が前記器具管に沿って摺動可能である、請求項
13に記載の滅菌装置。
【請求項15】
前記プローブ先端部が洗浄ブラシを更に含む
、請求項
1~14のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項16】
前記所定の速度が、毎秒10mm未満である
、請求項
1~15のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項17】
前記回収装置が、
その近位端で、前記細長いプローブに操作可能に接続するケーブル結合
素子と;
前記細長いプローブと前記器具チャネルの間で長手方向へ相対的な移動が生じるように、前記ケーブル結合素子を駆動するように構成されるモーターと;を備える
、請求項
1~16のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項18】
前記ケーブル結合素子が、前記外科用スコープ装置に対して固定された位置に取り付け可能である、請求項
17に記載の滅菌装置。
【請求項19】
前記ケーブル結合素子が、前記細長いプローブを収容するためにそれらの間の隙間を画定する、複数のローラーを備え、前記ローラーが、前記細長いプローブの外側表面を押さえるように構成されて、それにより、前記ローラーの回転によって、前記細長いプローブの長手方向の移動が生じる、請求項
17または
18に記載の滅菌装置。
【請求項20】
前記モーターが、順方向モードと逆方向モードの間をスイッチで切り替え可能であり、そこで、前記順方向モードが、前記器具チャネルを通して前記細長いプローブを挿入するのに適しており、前記逆方向モードが、前記器具チャネルを通して前記細長いプローブを引き抜くのに適している、請求項
17~
19のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項21】
前記回収装置が、前記細長いプローブが周囲に巻かれることができる、ドラムを更に備える、請求項
17~
20のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項22】
前記モーターが、前記ケーブル結合要素から離脱可能である、請求項
17~
21のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡などの外科用スコープ装置の滅菌に関する。特に、本発明は、このような外科用スコープ装置の器具チャネルを滅菌する、または消毒するために使用できる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌は、ほとんどあらゆる場所で見つかり、かなりの数で存在して、急速に分裂して増殖できる、単細胞微生物である。ほとんどの細菌は無害だが、3つの有害な群、すなわち、球菌、螺旋菌及び桿菌がある。球菌は丸い細胞であり、螺旋菌はコイル状の細胞であり、桿菌は棒状である。有害な細菌は、破傷風及び腸チフスなどの疾患を引き起こす。
【0003】
ウイルスは他の細胞を取り込むことによって生き、及び増殖することしかできない、すなわち、それらは単独で生存することができない。ウイルスは、風邪、インフルエンザ、流行性耳下腺炎及びエイズなどの疾患を引き起こす。真菌胞子、及び原生動物と呼ばれている微生物は、疾患を生じさせることがあり得る。
【0004】
このような微生物は、外科用スコープ(例えば、内視鏡、胃内視鏡など)の器具チャネル中に存在し続けることが知られており、これらの微生物を除去することが望ましい。滅菌は、あらゆる形態の生命体(特に、微生物)を破滅させる、または除去する行為またはプロセスである。
【0005】
スコープの器具チャネルを滅菌する周知の方法は、チャネルを通って洗い流されて、デブリを放出する、洗浄液の使用を含む。ブラシも、内部をこすり洗いするために使用できる。それから、スコープは、自動洗浄装置または消毒装置で消毒されるが、そこで、有害な可能性のある化学物質(例えば、グルタルアルデヒド)中へのスコープの浸漬が生じる場合がある。最後に、スコープは、水、次にアルコールで十分に洗い流されて、消毒薬が残らないようにする。
【0006】
このような周知の方法は、大きな労働力を要し、器具チャネルの不完全または不十分な滅菌も起こりやすい。本発明は、これらの問題に対処することを意図する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、スコープ装置の器具チャネルを滅菌するための滅菌装置を提供する。前記装置は、外科用スコープ装置(本明細書で、単に「スコープ装置」とも称される)の器具チャネルを通って挿入されるように構成される滅菌器具と、所定の速度で器具チャネルから滅菌器具を引き抜くための回収装置と、を備える。滅菌器具は、高周波(RF)及び/またはマイクロ波周波数電磁(EM)エネルギーを伝送するための同軸ケーブルを含む、細長いプローブと、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを受信するための同軸ケーブルの遠位端に接続される、プローブ先端部と、を備える。同軸ケーブルは、内側導体、外側導体及び前記外側導体から前記内側導体を分離する誘電体材料を含む。プローブ先端部は、同軸ケーブルの内側導体に接続している第1電極及び同軸ケーブルの外側導体に接続している第2電極を備え、そこで、第1電極及び第2電極は、受信したRF及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーから電界を作成するように構成される。
【0008】
このように、本発明の第1の態様は、特に外科用スコープ装置(例えば、内視鏡、胃内視鏡、気管支鏡など)の器具チャネルを消毒するために、器具の遠位端で滅菌を実行する能力を提供する。前記装置により、ジェネレーターからプローブ先端部に供給される、RF及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを使用して、器具チャネルが、完全に滅菌されるのを可能にする。
【0009】
「外科用スコープ装置」という用語は、侵襲的な処置の間、患者の身体内に導入される、剛性または可撓性(例えば、操縦可能な)導管である、挿入管を備える、任意の外科用装置を意味するために、本明細書で使用できる。挿入管は、器具チャネル及び光チャネル(例えば、挿入管の遠位端で治療部位を照らす、及び/またはその画像を撮るための光を送信するため)を含むことができる。器具チャネルは、侵襲的な外科器具を受容するのに適した、直径を有することができる。器具チャネルの直径は、5mm以下でもよい。
【0010】
本明細書で「マイクロ波周波数」は概して、400MHz~100GHzの周波数範囲、だが好ましくは1GHz~60GHzの範囲を示すために使用してよい。考慮される特定の周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz及び24GHzである。それに対し本明細書で「高周波」または「RF」は、少なくとも3桁低い大きさ(例えば最高300MHz、好ましくは10kHz~1MHz)の周波数範囲を示すために使用する。マイクロ波周波数は、供給されるマイクロ波エネルギーが最適化されるのを可能にするように調整されることができる。例えば、プローブ先端部は、特定の周波数(例えば、900MHz)で作動するように設計され得るが、使用中、最も効果的な周波数は異なってもよい(例えば、866MHz)。
【0011】
細長いプローブは、スコープ装置を通して(例えば、内視鏡、胃内視鏡、気管支鏡、結腸鏡などの器具チャネルを通して)挿入可能であるように、必要な大きさにされることができる。例えば、同軸ケーブルは、2.5mm以下、好ましくは2.2mm以下の直径を有することができる。同軸ケーブルは、スリーブを備えることができ、そこで、スリーブは、2.6mm未満、好ましくは2.5mm未満の外径を有することができる。大型の腹腔鏡器具において、外径は3mm以上でもよく、より大きな直径の同軸ケーブルを使用できる。同軸ケーブルは、プローブが器具チャネルの全長を通って延在し得るのを確実にするために、約2m以上の長さを有することができる。例えば、結腸鏡で、器具チャネルは長さ約1.8mでもよい。
【0012】
第1電極は、同軸ケーブルからRF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを受信するために連結された、放射マイクロ波単極アンテナ構造体でもよい。同軸ケーブルの外側導体は、不平衡給電を形成するために接地されることができる、またはアンテナへ、すなわち、両方の導体の電圧が上下している箇所へ、平衡給電を形成するために浮動していてもよい。好ましくは、第1電極は、受信したマイクロ波EM放射線に対応するマイクロ波場を発するための、マイクロ波アンテナとして作用するように形成される。
【0013】
本明細書で、「内側」という用語は、器具チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(例えば、軸)に半径方向により近いことを意味する。「外側」という用語は、器具チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(軸)から半径方向により遠いことを意味する。「導電性」という用語は、文脈で明らかにそうではなことを記載する場合を除いて、電気伝導性を意味するために本明細書で使用される。本明細書で「近位」及び「遠位」という用語は、細長いプローブの端を指す。使用中、近位端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを提供するためのジェネレーターにより近いが、遠位端はジェネレーターから更に遠い。
【0014】
好ましくは、滅菌器具は、プローブ先端部にガスを供給するためのガス管を更に含み、そこで、第1電極及び第2電極は、ガス管から受容したガスの流路全体に、受信したRF及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーからの電場を作成するように構成されて、熱または非熱プラズマを生成することができる。熱または非熱プラズマは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、クロストリジウム・ディフィシレ(c.diff.、胞子及び植物状態の両方)及び大腸菌(e.coli)を含む、広範な細菌における生物汚染度の低減を提供するために使用してもよく、そうして、器具チャネルのより効率的かつ完全な滅菌を可能にすることができる。器具は、非熱プラズマ及び非電離マイクロ波放射の組み合わせを作成するように、構成されることもできる。
【0015】
いくつかの実施形態で、同軸ケーブルは、ケーブルの近位端から遠位端まで延在する管腔を有し、そこで、管腔は、細長いプローブを通ってプローブ先端部にガスを供給するためのガス管を形成できる。このような配置により、滅菌器具をよりコンパクトにすることができて、その結果、エネルギー及びガスは、器具チャネルを通過する任意の制御線路または供給線路とは独立して、滅菌器具を伝わってプローブ先端部に運搬されることができる。したがって、これらの配置は、滅菌器具と共に使用される追加の器具または構成要素(例えば、制御ワイヤ)に利用できる、空間を増加させることができる。更に、これらの配置は、追加の器具または構成要素が、同軸ケーブルによって伝送されるエネルギーに対して有する、効果を低減できる、または除去できる。
【0016】
ガス管は、ガス供給源(例えば、加圧ガス容器など)に接続するための、滅菌器具の近位端にある入力ポートを有することができる。本明細書で開示される装置の実施態様において対象となるガスは、空気、ヘリウム、アルゴン、窒素、圧縮空気、及び二酸化炭素である。本システムは、これらのガスに限定される必要はない。ガス混合物を使用できる。例えば、様々な濃度のアルゴン、空気及びヘリウム(例えば、1%の空気及び99%のヘリウム、または5%の空気及び95%のヘリウム)を使用できる。指向性をガス供給部に提供するために、圧縮空気を使用できる。
【0017】
装置は、ガス管のガス流を調節可能に制御するように構成した、流量調整器を含むことができる。ガス流速は、プラズマプルームまたはプラズマエネルギーのサイズに影響を及ぼすことができる。これは、流量調整器により制御されることができる。好ましくは、ガス管は、プローブ先端部を通過する。これにより、プローブ先端部で、第1及び第2電極近くのプラズマの生成を補助できる。いくつかの実施形態で、ガス管は、プラズマプルームがプローブ先端部の外側に延在して、滅菌される表面に接触するのを確実にするように構成されることができる。
【0018】
プラズマは、RFまたはマイクロ波エネルギーを使用して衝突させることができ、それは、高電圧パルスとして受信されることができる。マイクロ波エネルギーは、それが衝突した後、すなわち、イオン化の状態を維持するためにプラズマ内へエネルギーを供給した後、プラズマを持続させるために使用できる。これは、パルスとして受信されてもよい。この構成は、ケーブルの容量による電界破壊、及び例えば、プローブ先端部が乾燥から湿潤環境に変化することによる負荷変化を防止できる。例えば、マイクロ波共振器またはインピーダンス変成器(すなわち、低電圧を高電圧に変換して、動作周波数の4分の1波長(または、その奇数倍)である、高インピーダンス伝送路を使用して、プラズマを衝突させる、4分の1波長変成器)を使用することによって、マイクロ波周波数エネルギーを使用する、プローブ先端部から出る供給用のプラズマを衝突させることが可能になる場合がある。この高インピーダンス線路は、プラズマを衝突させるためにスイッチが入り、プラズマが衝突されて、プラズマを持続させるために必要ならば、スイッチを切り替える(すなわち、低インピーダンス線路に戻るために)ことができる。パワーPINまたはバラクタダイオードは、好ましくは2つの状態の間を切り替えるために使用できるが、同軸または導波路スイッチを使用することが可能であり得る。プラズマを衝突させるための高電界は、プローブ先端部でRF EMエネルギーまたはマイクロ波EMエネルギーの高インピーダンス状態を作成することによって生じる場合がある。これは、第1及び第2の電極用の適切な配置の選択により得られることができる。例えば、絶縁誘電体材料(例えば、石英管または他の同様の低損失材料)は、第1及び第2の電極の間に位置できる。これにより、インピーダンスを上昇させることができて、したがって高電界の作成を促進できる。
【0019】
プラズマを衝突させるために、高電界(例えば、高電圧状態)を有することが望ましい。プラズマ衝突状態(すなわち、プラズマが存在する前)で、ガスは非導電性であり、したがって高インピーダンスを有する。プラズマを衝突させるために、プローブ先端部の遠位端で高インピーダンス状態を用意する必要がある、または高電圧(高電界)を可能にするために、プローブ内で生成されるガスを分解する必要がある。本発明の装置は、例えば、マイクロ波信号の変調、及び増幅器利得の制御、または固定利得を有する増幅器への入力信号のレベルの制御、プラズマに供給されるマイクロ波電力の大きさ、ならびに、例えば、動的インピーダンス整合により、それが供給される効率を制御するのを可能にすることができる。この構成は、滅菌される表面内に供給されるプラズマエネルギーの適用量が、正確に定量化されるのを可能にすることもできる。
【0020】
プラズマのインピーダンスは、好ましくはマイクロ波エネルギーの周波数でプローブ先端部のインピーダンス(及び、エネルギー送達システム)に整合して、マイクロ波エネルギー(ジェネレーターによって作成される)のプラズマ内への効果的な移動を可能にする。マイクロ波エネルギーが使用される場合、プローブ先端部及び/またはジェネレーターを調整して(静的にまたは動的に)、プラズマが、チャネル内で器具チャネル及び材料により提示される負荷に整合するのを確実にすることができる。マイクロ波周波数で、同軸ケーブルは、分布素子伝送線路を形成する。そこで、プローブ先端部とエネルギー供給源の間のインピーダンス整合は、マイクロ波ジェネレーターの供給源インピーダンス、同軸ケーブル(伝送線路)の特性インピーダンス、及びプローブ先端部構造自体のインピーダンスにより決定される。同軸ケーブルの特性インピーダンスが、供給源の出力インピーダンスと同じである場合、すべてのマイクロ波出力はプローブ先端部内に供給されて、同軸ケーブルによって生じる減衰(誘電損失及び導体損失)は少ない。プローブ先端部及び器具チャネルのインピーダンスが、同軸ケーブルの特性インピーダンスと同じである場合、したがって、供給源で利用可能な最大出力は、プラズマ/器具チャネル負荷に変えられる。調整は、後述するように、プローブ先端部とプラズマ/器具チャネル負荷の間に最善のインピーダンス整合を維持するために、プローブ先端部の構造に実行されることができる。調整は、ジェネレーターで、または第1ケーブルの遠位端と第2(器具)ケーブルの近位端の間のインターフェースでも実行されることができる。これらの調整は、静電容量及び/または整合ネットワーク(すなわち、スタブチューニング)のインダクタンスの変更の形であり得る。
【0021】
装置は、ジェネレーターとして、低出力マイクロ波周波数信号を生成するための源発振器、及び電界が作成されるのを可能にするほど十分高いレベルであり、特定の用途に適しているとわかるガスを用いてプラズマを衝突させるのに必要なレベルに、低電力信号を増幅させる電力増幅器(例えば、マイクロ波トランジスタの配置)を使用できる。固体信号増幅器を使用してもよい。システムは、それによって、増幅器が、プラズマを衝突させるのに必要な電界を用意するために飽和状態またはフルパワーに駆動されて、そうして、一旦それが衝突されると十分に下げられるモードでも作動できる。マイクロ波エネルギーを制御する能力は、プラズマが、様々な目的の用途のうちのいずれか1つに最も適切であるように生成されるのを可能にすることができる。マイクロ波エネルギー及び/またはガス流速及び/またはガス混合物の制御は、処理されている器具チャネルの内側表面で、プルームのサイズ及び温度の制御を提供する。更に、システムは、処理される表面に供給されるプラズマエネルギーの適用量を定量化するように、調整されることができる。マイクロ波エネルギーは、制御された方法でマイクロ波エネルギーの周波数を変化させること(例えば、マイクロ波放射ジェネレーターから放射線の周波数を制御すること)、制御された方法で出力レベルを変化させること、及び制御された方法でマイクロ波エネルギーを変調すること、のうちのいずれか1つ以上によって制御されることができる。ジェネレーターは、プローブ先端部に供給されるマイクロ波エネルギーを変調するように構成される、マイクロ波信号変調器を含むことができる。変調周波数は、0.1Hz~10MHzの範囲内に含まれることができる。デューティサイクルは、1%未満から100%であり得る。いくつかの実施形態で、変調周波数は10Hz~100kHzでもよく、デューティサイクルは10%と25%の間でもよい。好ましい実施形態で、変調周波数は100Hzと1kHzの間にあることができて、デューティサイクルは20%でもよい。
【0022】
したがって、装置は、パルス発振動作を使用してプラズマを生成するように構成されることができる。一実施形態で、プラズマは、各パルスに衝突されることができる(衝突は、パルスの端のうちの1つ-通常、立ち上がり端-に生じる一時的現象により、起こる場合がある)。システムの動作は、必要な効果を生じさせるために、パルスをシステムに適用し続けることが必要であるというようなものでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態で、プローブ先端部は、囲われたプラズマ生成領域と、器具チャネルの内側表面に向かってプラズマ生成領域から出たプラズマを導くための放出口と、を有する、プラズマアプリケータでもよい。プラズマアプリケータは、プラズマの適切なプルームまたは複数のプルームを可能にするために特に設計かつ開発される、適切なアンテナ配置を用いて、プラズマを方向づけ及び/または集中させて、種々の種類の細菌またはウイルスまたは真菌を死滅させるために有用な、制御された熱/非熱プラズマが作成され得るように、作成され、供給されることができる。一実施形態で、プラズマアプリケータは、プラズマ(放射線をイオン化する)及びマイクロ波(非イオン化する)放射を発するように選択的に構成されることができる。したがって、装置は、プラズマだけ、マイクロ波エネルギーだけ、または2つの混合を発することができる。
【0024】
同軸配置は、プラズマを作成するアプリケータとして使用してもよい。例えば、プラズマアプリケータは、外側導体によって囲まれて、それによって分離される内側導体を有する、同軸アセンブリを含むことができる。そこで、内側導体は、ガス及びマイクロ波エネルギーが供給されるとき、プラズマを衝突させることを促進するために、その遠位端で先細りになって、プラズマ生成領域の電界を集束させる。同軸アセンブリは、それぞれが異なるインピーダンスを有している、複数の電圧変圧器を含むことができ、複数の電圧変圧器は、プラズマ生成領域の電界を集束するように調整されている。各電圧変圧器は、それによってマイクロ波ジェネレーターからもたらされるマイクロ波エネルギーの4分の1波長である、長さを有する同軸アセンブリの一部を備えることができる。そこで、複数の電圧変圧器のインピーダンスは、同軸アセンブリの各部分の内側導体の外径を選択することによって、設定されることができる。
【0025】
4分の1波長(または、その奇数個)のインピーダンス変成器は、同軸または導波路システムで実現されることができて、使用される特定の構造は、そこでプラズマを生成することが望ましい特定の用途及び環境で決定されることができる。一実施形態で、システムは、プラズマを作成して、それを持続させるために、固体光源、同調器及び1つに固定したインピーダンス(例えば、50Ω)アプリケータ構造を備えることができる。別の実施形態で、システムは、同調器を含んでいなくてもよいが、プラズマを衝突させて、そうして衝突させ続けて、準連続プラズマを作成するために、アプリケータに電圧変圧器を有することができる(例えば、複数のインピーダンス変成器を使用して作成)。繰り返されるプラズマ衝突は、プラズマ温度を調整するために有益であり得る。プラズマを作成するために、プラズマアプリケータは、圧電セラミック上のばね仕掛けのハンマー配置の衝撃に基づいて、高電圧のスパークを発生させる、セラミック/金属間材料または圧電点火器から製造されることができる、イグナイターを含むことができる。プラズマが衝突される、または点火されると、それから、マイクロ波エネルギーは、プラズマが持続される、または維持されるのを可能にするために使用できる。器具内の、またはジェネレーター内の同調素子は、これを促進するために使用できる。
【0026】
プラズマアプリケータは、タングステン、または高温に耐えることができる別の材料から製造される、1つ以上の共振器構造を含むことができる。例えば、共振構造は、良導体(すなわち、銀、銅または金)である材料によってコーティングされている、タングステン棒または針を含むことができる。例えば、硝酸銀は、銀で針を電気めっきするために使用することができる、または硫酸銅は、銅でコーティングするために使用できる。他の低損失導体(例えば、銅、アルミニウム、銀めっきしたステンレス鋼など)を使用でき、それは、プラズマが発生する遠位端に圧着される、短い長さのタングステンを有する。石英管または石英片は、2つの導体を効果的により近づけることによって、同軸アプリケータ配置の内側及び外側電極の間に発生する電界を強化するために、前記構造の内部で使用できる。石英管は2つの導体の間のアーク放電も防ぎ、それはプラズマの均一な光線の作成を助ける。低損失石英材料を使用することが、好ましい。
【0027】
プラズマアプリケータは、プラズマに関する情報(すなわち、スペクトル成分(波長)、プラズマエネルギー及びプラズマ温度)を提供して、調整(必要であれば)が起こるのを可能にするように構成される、その遠位端にある検知手段を含むことができる。例えば、プラズマアプリケータは、温度センサ、熱量計、アプリケータの遠位端で作成されるプラズマのスペクトル成分を監視するための1つ以上の光検出器のいずれかを含むことができる。これらのセンサから得られる情報は、フィードバックループで使用されて、システムの出力で作成されるプラズマを制御(すなわち、マイクロ波出力レベル、デューティサイクル、マイクロ波電力の波形、ガス流速、ガス混合物、ガスタイミングなどを制御)できる。
【0028】
いくつかの実施形態で、プローブ先端部がプラズマアプリケータである場合、直流電界または直流電圧レベルは、プラズマ生成領域のマイクロ波場に適用されることができる。特定の配置にて、バイアス「T」は、プラズマアプリケータまたはアンテナへの入力で使用されることができ、直流電圧はインダクタを通して適用されるが、マイクロ波場はキャパシタを通して適用されることができる。この構成では、インダクタは、直流電圧を通過させるが、高周波マイクロ波信号を妨げる。誘導性リアクタンスは、2πfL(fは、マイクロ波エネルギーの周波数であり、Lは、インダクタのインダクタンスである)によって与えられる。周波数がゼロ(すなわち、直流)で、インダクタンスが有限値を有する場合、インピーダンスはゼロの傾向がある。キャパシタは、高周波マイクロ波信号を通過させるが、直流電圧をブロックする。容量性リアクタンスは、1/(2πfC)(Cは、キャパシタ容量である)によって与えられる。周波数が無限になる傾向があり(例えば、400MHz以上)、静電容量が有限値を有する場合、インピーダンスはゼロの傾向がある。直流電圧は、プラズマを点火させる、または衝突させるために使用できて、マイクロ波場は、プラズマを持続させるために使用できる。一定の同調スタブまたは複数の同調スタブは、インダクタを交換する帯域遮断フィルタとしても構成されることができて、低周波または直流ジェネレーターに戻る高周波信号を防ぐ、または停止させるために使用することもできる。
【0029】
いくつかの実施形態では、滅菌器具は、電気手術器具として使用するように構成されることもできる。電気手術器具は、任意の器具またはツールであり得て、それは、手術中に使用されて、RFまたはマイクロ波エネルギーを利用する。これは、器具チャネルの滅菌のために使用する、同じ装置が、侵襲的、または非侵襲的な電気手術(例えば、凝固(例えば、消化性潰瘍または大血管の凝固を処置する場合)、組織切除、または他の直視下、及び鍵穴もしくは腹腔鏡手術)のために使用できることを意味する。このように、滅菌機能は、処置の前またはその後に、体腔を滅菌するためにも使用できる。更に、滅菌器具は、非熱プラズマ、熱プラズマ、及び非イオン化マイクロ波放射を作成するように構成されることもでき、そこで、それは、NOTES手順で使用されることになっている、または表面凝固、身体組織の滅菌、及び大血管または出血部の深部凝固を実行できることが有利である。
【0030】
好ましくは、同軸ケーブルは、最も内側の絶縁層;最も内側の絶縁層上に形成される、内側導電層;内側導電層により同軸で形成される外側導電層;及び内側導電層と外側導電層を分離する誘電体層;を含む、層状構造を備える。そこで、内側導電層、外側導電層及び誘電体層は、RF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを伝えるための伝送線路を形成し、最も内側の絶縁層は、滅菌器具を通過するチャネルを形成するために中空である。最も内側の絶縁層に形成されるチャネルの直径は、好ましくは3mm以下(例えば、2.8mm)である。チャネルは、プローブ先端部にガスを供給するためのガス管を形成できる。
【0031】
層構造の同軸ケーブルは、例えばその遠位端に、内側導電層に電気的に接続して、最も内側の絶縁層を通ってチャネル内まで延在する、第1終端部、及び外側導電層に電気的に接続して、誘電体層と最も内側の絶縁層を通ってチャネル内まで延在する、第2終端部を含むことができる。第1終端部及び第2終端部は、チャネルに、またはそれを通して挿入可能であるプローブ先端部上に形成される、電気接続(例えば、物理的に係合する)対応接触部を形成するように構成されることができる。第1終端部及び第2終端部は、それぞれ内側導電層及び外側導電層の遠位端に形成されることができる。外側導電層は、内側導電層より遠位方向で、更に長手方向に延在することができ、それによって、第1終端部は第2終端部から近位に配置される。このような実施形態で、プローブ先端部は、第1終端部に接続するための第1接触部、及び第2終端部に接続するための第2接触部を有する、接続環を含むことができる。第1接触部及び第2接触部は、それぞれ第1電極及び第2電極に電気的に接続していることができる。
【0032】
プローブ先端部は、チャネルを通って供給されるカテーテルを介して、チャネルの遠位端に導入されることができる。接続環は、カテーテル上に載置されることができて、カテーテルの直径より大きい直径を有する円筒体を備えることができる。円筒体の外側表面は、層状構造の同軸ケーブルの最内側層に隣接して(例えば、接触して)もよく、第1接触部と第1終端部の間、そして第2接触部と第2終端部の間の安全な係合を確実にする。第1終端部及び第2終端部は、最内側層から内向きにわずかに突出できる。接続環は、同軸ケーブルの遠位端で止めフランジに当接して、接続環を適切な位置にしっかりと配置するための肩部を含むことができる。プローブ先端部は、接続環から離れて軸方向に延在する、伸長スリーブを含むことができる。したがって、使用中、伸長スリーブは、チャネルの端から突出できる。伸長スリーブは、誘電体材料の管を備えることができ、それは、それぞれ第1接触部と第1電極の間、そして第2接触部と第2電極の間に電気接続を提供する、導電構造体(例えば、導電棒など)を運搬できる。導電構造体は、従来の同軸ケーブルの短い長さを含むことができる。
【0033】
プローブ先端部が、層状構造の同軸ケーブルからRFエネルギーを受信するように構成される場合、電圧破壊が、内側導電層と外側導電層の間に生じるのを防ぐことが望ましい場合がある。これは、誘電体層として高い破壊閾値を有する材料(例えば、Kapton(登録商標)ポリイミドテープ)を使用することによって、達成されることができる。あるいは、プローブ先端部が、層状構造の同軸ケーブルからRFエネルギー及びマイクロ波エネルギーの両方を受信するように構成される場合、RFエネルギー及びマイクロ波エネルギーの別個の経路を作成することが望ましい場合がある。それは、マイクロ波エネルギーの伝播を補助するのに適している低損失誘電体材料が、RFエネルギーを送達する導体を安全に絶縁するのに、十分高い破壊閾値を有することができないからである。したがって、層状構造の同軸ケーブルは、RF送達バイポーラ伝送線路の第1極を形成する、追加の導体を備えることができ、そこで、内側導電層及び外側導電層は、RF送達バイポーラ伝送線路の第2極を形成する。例えば、追加の導体は、器具チャネル内で送達される導線でもよい。この構成で、最も内側の絶縁層は、必要な破壊特性を有する材料(例えば、ポリイミド)から作成されてもよい。追加の導体がRFエネルギーを送達するために提供されている場合、層状構造の同軸ケーブルの内側導電層及び外側導電層は、その近位端で電気的に接続される(短絡される)ことができる。
【0034】
このような配置に関して、高圧高周波信号が内側導電層及び外側導電層に沿って逆戻りするのを防ぐ、及び/またはマイクロ波信号が追加の導体に沿って逆戻りするのを防ぐために、層状構造の同軸ケーブルの遠位端部で構成(例えば、ダイプレクサー)を提供することが必要でもよい。
【0035】
誘電体層は、誘電体材料の固体管、または多孔質構造を有する、誘電体材料の管を含むことができる。誘電体材料の固体管であることは、誘電体材料が実質的に均一なことを意味し得る。多孔質構造を有することは、誘電体材料が、相当数もしくは相当量のエアポケットまたは空洞を備える、実質的に不均質であることを意味し得る。例えば、多孔質構造体は、ハニカム構造、メッシュ構造または発泡体構造を意味し得る。誘電体材料は、PTFE、または別の低損失マイクロ波誘電体を含むことができる。誘電体材料は、少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.3mm、より好ましくは少なくとも0.4mm(例えば0.3mmと0.6mmの間)の壁厚を有する、管を含むことができる。
【0036】
内側導電層及び/または外側導電層は、材料の管の内側もしくは外側の金属コーティング;材料の管の内側もしくは外側に対して配置される、金属の固体管;または材料の管内に埋めこまれた、網目状に交錯した導電性材料の層;を含むことができる。内側導電層及び/または外側導電層は、銀のコーティングを含むことができる。内側導電層及び/または外側導電層は、約0.01mmの厚さでもよい。
【0037】
凸部の代わりに、第1終端部及び第2終端部の一方または両方は、凹部(例えば、最も内側の絶縁層に形成される)を含むことができる。例えば、接続環(上述した)は、プローブ先端部の端面上の対応する導電凸部を受けるために、ケーブルの端面に形成された。
【0038】
1つの構成で、層状構造の同軸ケーブルは、複数の層(例えば、中空の内側管状層(最も内側の絶縁層));中空の内側管状層の外側表面上の導電性材料の層(内側導電層);導電性材料の外側表面上の誘電体材料の管(誘電体層);及び、誘電体材料の管の外側表面上の導電性材料の層(外側導電層);として製作されることができる。前記構造は、これらの層の一部もしくは全部の間の空隙を含んでも、含まなくてもよい。空隙を回避することの利点は、ケーブルの損失が最小化され得ることである。一例で、この構造は、上述の(内側)層上のそれぞれ続く層を順次コーティングすることにより製造できる。
【0039】
あるいは、この構造は、第1部分として層のうちの1つ以上、及び第2部分として層のうちの1つ以上を形成して、次に一方の部分を他方の部分の内部で摺動させることによって製造できる。中空の内側管状層は、好ましくはポリイミドを含むが、PTFEまたは他の適切な絶縁材料でもよい。中空の内側管状層は、0.1mmの厚さを有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態で、プローブ先端部は、最も内側の絶縁層の延在部(例えば、最も内側のPTFE管)を備えることができ、層状構造の同軸ケーブルの内側導電体の巻きつけ及びチャネルは、プローブ先端部を通って延在することができる。誘電体シリンダーは、内側導体上に配置されることができて、誘電体シリンダーを通過する内側導体は、プローブ先端部の第1電極と考えられ得る。第2電極は、好ましくは金属シリンダー(例えば、薄壁の金属管、好ましくは銅)でもよい。それは、層状構造の同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続している(例えば、誘電体シリンダー及び一部の外側導体上を摺動することによって)。プローブ先端部は、0.325mmの誘電体壁厚、2.5mmの外径及び1mmのチャネル直径を有することができる。
【0041】
誘電体シリンダー及び第2電極は、動作周波数(例えば2.45GHz)で4分の1波長に等しい長さであるように、設定されることが可能である。誘電体材料は更に、プラズマにより作成される低インピーダンス環境に整合する、良好なインピーダンスを提供するために選択されることができる。好ましくは、プローブ先端部は12mmの最大長さを有して、器具チャネルへのアクセスを容易にできる。更に好ましくは、誘電体材料は、5以上の誘電率を有する。
【0042】
あるいは、細長いプローブは、プローブ先端部を通過する、減少したチャネル直径を有して、プローブ先端部のインピーダンスを上昇させて、より低い誘電率を有する誘電体材料が使用されるのを可能にするように構成されることができる。いくつかの実施形態で、第1電極は、第1導電体シリンダー(例えば、薄壁の金属管、好ましくは銅)でもよく、それは、少なくとも部分的に同軸ケーブルの最も内側の絶縁層内に挿入される。第1電極は、同軸ケーブルの内側導電層に接続していることができる。誘電体シリンダーは、第1電極上に配置されることができる。好ましくは、第2電極は、第2導電体シリンダー(例えば、薄壁の金属管、好ましくは銅)を備え、それは、第1電極及び第1誘電体シリンダーと同軸であり、及びそれは、層状構造の同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続する。プローブ先端部は、2.5mmの外径、0.8mmのチャネル直径、及び0.65mmの誘電体壁厚を有することができる。
【0043】
好ましくは、層状構造の同軸ケーブルの内側導体は、誘電体シリンダー内へしっかりと嵌合されている。いくつかの実施形態で、誘電体シリンダーは、シリンダー壁に多くの穴を有して、プラズマを衝突させるのをより容易にすることができる。プローブ先端部の第1電極及び第2電極が近ければ近いほど、これがガス及び電極の間に作成される電界の破壊の機能であるので、それは、生成されたプラズマを衝突させることがより容易になる-電圧がピークVmaxで固定される(ジェネレーターで測定される)と仮定すると、電界を増大させる唯一の方法は、電極の間の距離を低減することである。
【0044】
一実施形態で、プローブ先端部は、3mmと5mm間の直径を備える、プラズマ生成領域を有する、同軸構造を有することができる。すなわち、同軸構造内の第2電極の内径は、3mmと5mm間の直径を有することができ、内部に密接に適合する石英管は、0.25mmと1mm間の壁厚を有することができる。そこで、第1電極の外径は、0.75mmと4mmの間であり得る(ガスのための空間が、内側導体と石英管の内壁の間の領域に流れるのを可能にする)。消毒または滅菌に適した非熱プラズマは、40%未満(すなわち、28%)のデューティサイクルを有するパルス化モードで、ジェネレーターを作動させることによって作成され得る。一実施形態で、単一のマイクロ波パルスの二乗平均電力は50Wで、パルスON時間は140ミリ秒の全期間内の40ミリ秒であり、すなわち、プラズマに供給される平均電力は、2.45GHzで14.28Wである。RF衝撃パルスが、この構成で使用されるとき、RF衝撃パルスの持続期間はおよそ1ミリ秒であり、正弦波振動の周波数は100kHzである。振幅は、約1kVのピーク(707Vrms)である。RF出力は、マイクロ波出力の10%未満である。RFパルスは、マイクロ波バーストまたはパルスに同期することができて、マイクロ波バーストまたはパルスの立ち上がりエッジに起動できる。
【0045】
熱プラズマを作成するために、デューティサイクルは、すなわち、50%または持続波(CW)に増大することができ、及び/または二乗平均出力レベルは、すなわち、この特定のプローブ先端部形状において、75Wまたは100Wまで増加できる(形状が減少する、または増大する場合、マイクロ波出力及びRF衝撃パルスの振幅は、それに応じて調整されるだろう)。RFとマイクロ波出力の比は、好ましくは一定のまま、すなわち、非熱及び熱プラズマの10%未満である。
【0046】
いくつかの実施形態では、同軸ケーブルの外側電極は、ガスがその中を流れることを可能にする、導電メッシュによって第2電極に接続できる。したがって、導電メッシュは、器具のガス管に載置されることができ、いくつかの実施形態で、それは同軸ケーブルとスリーブの間の隙間でもよい。あるいは、このような実施形態で、同軸ケーブルとスリーブの間の隙間は、複数のサブ導管に分けられることができる(例えば、接続される分割素子、またはスリーブの一部によって)。この状態で、分割素子または別個のコネクタ素子は、同軸ケーブルの外側導体と第2電極の間の電気接続を提供できる。接続は、1つの可撓性ワイヤまたは細片によってもなされることができて、それは、第2電極にはんだ付けまたは圧着されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態で、滅菌器具が電気手術器具として構成される場合、ガス管は、液体を細長いプローブを通してプローブ先端部に運搬するように構成されることができる。これは、例えば、廃棄物または除去した組織を除去して、処置のとき(特に、内視鏡処置で)、より良好な可視性を提供するために、流体(例えば、生理食塩水)が生体組織をふっくらとさせる、または処置領域を洗浄するために使用することができる、外科処置で有用である。ガス管の近位端は、それにより、管内へ液体を収納及び注入するために使用される注射器への装着を可能にする、コネクタで終端されてもよい。ガス管が細長いプローブを通過する管腔として提供されている場合、管腔またはチャネルは、複数の管腔を備えてもよく、その結果、同軸ケーブルは、ガスをプローブ先端部へ、または複数の管腔を通ってプローブ先端部へガス及び液体の両方を運搬できる。
【0048】
プローブ先端部は、本明細書に記載されている構造、例えば、
直視下手術及び鍵穴(腹腔鏡)手術、ならびに器具チャネル滅菌での使用に適した単一体(すなわち、金属被覆した誘電体材料(例えば、セラミックなど)の単一片);ならびに
実質的に平面状の導電体材料の本体と、平面要素の第1表面上の第1導電層である第1電極と、第1表面と反対側にあり、平面要素の第2表面上の第2導電層である第2電極と、を有する、平行平板構造(すなわち、平面伝送線路素子);のいずれか1つを有し得る。
【0049】
単一体は、処置標的領域に従う、または所望の機能を行うための形状を有し得る。例えば、プローブ先端部は、腸の壁に対応するように湾曲してもよい、または電気手術器具として使用中、組織の除去を促進するように、かぎ状でもよい。
【0050】
平行平板構造を使用する場合、ガス管は、第1導電層と第2導電層(2つの独立した平板で形成され得る)の間にガスを導入するよう配置されることができ、使用できる非熱または熱プラズマを生成して、滅菌または電気手術でのRF電流用の帰還経路を提供する。平面伝送線路素子は、局所的帰還経路を提供するために高い誘電率の誘電体材料の領域と、滅菌のために非熱プラズマが作成され得るように、または電気手術で行われる組織切断もしくは表面凝固のために熱プラズマが作成され得るように、ガスを充填できる、第2の開放領域と、を含むことができる。この配置は、2つの導電層または平板(能動導体と帰還導体)の間に挿入される、比較的高い誘電率(または、絶縁定数)の材料の使用も利用できる。高い誘電率の材料は構造体の容量を増加させ、それにより、構造体のインピーダンスを直線的に減少させ、そうして、RF電流用の優先的帰還経路が設定される、または2つの平板の間に存在することを確実にする。プラズマが除去されるとき、構造体は、空気によって2つの平板を分離する、平行平板伝送線路のように見える。この配置を用いて、構造体の1つ以上の端に沿って、及び/または表面のうちの1つ以上内に含有される、1つのもしくは複数のスロットもしくは開孔を通って、マイクロ波エネルギーを効果的に放射することができる。プラズマのない平行平板構造体は、RF滅菌または電気手術(例えば、切断及びマイクロ波凝固)に必要な条件を設定するためにも使用できる。すなわち、RFで、構造体は、ブレードの長さに沿って端にあり、端で短くなっている金属被覆層を有する、2つの平板の間に挟持される、誘電体材料を備える、平行平板キャパシタとしてモデル化できる。マイクロ波周波数で、構造体は、長い端の一方または両方から及び/または遠位端からマイクロ波エネルギーを放射することが可能な、分布素子伝送線路構造としてモデル化できる。
【0051】
誘電体材料の両側に金属被覆層を有する平行平板構造体は、金属被覆層のそれぞれが誘電体材料の端まであるとき(すなわち、表面に露出している誘電体材料部分はなく、金属のみが見え得る場合)、最も効率の良い方法で、RF滅菌または組織切断を効果的に行うことができる。マイクロ波滅菌、切断もしくは凝固が、構造の端に沿ってまたは端で行うことができるように、誘電体も露出できる。装置が組織を端部で切断するのが望ましくない場合、それを防ぐために、構造体の遠位端で、金属被覆層を少量(すなわち、端から0.5mm~1mm)、取り除くのが好ましい場合がある。
【0052】
一実施形態にて、平行平板構造体は、以下のように構成できる。
(i)第1の誘電体材料は、幅1.5mm~2mm、長さ6mm~12mmのブロックを含む。
【0053】
(ii)第1電極及び第2電極は、第1の誘電体材料の両表面上に金属被覆層を含み、金属被覆層はブレードの長さに沿って、誘電体の両側上で端まで延在し、金属被覆層を有するブロックの全体の厚さは0.3mm~0.5mmである。
【0054】
(iii)第1の誘電体材料の近位端で、第1電極を形成する金属被覆に0.5mmの空隙があり、能動導体と整合するために、かつ能動導体が短絡するのを防ぐ。
【0055】
(iv)第1の誘電体材料の遠位端で、第1電極及び第2電極を形成する金属被覆に0.2mm~1mmの空隙があり、構造体が組織を切断するのを防ぐ。
【0056】
(v)第1の誘電体材料の遠位端の角に約0.2mmの小半径があり、鋭い端が内側壁に引っ掛かることにより、構造体が器具チャネル内で引っ掛かるのを防ぐ。
【0057】
滅菌器具が、熱プラズマまたは非熱プラズマを放出するために使用された場合、1つまたは複数のスロットが提供されて、熱いガスが構造体から逃げるのを可能にして、効果を得る。同じ装置を使用して、組織を滅菌する、またはプローブ先端部の近く(すなわち、器具チャネル内)にある表面内またはその上にある細菌を死滅させるのを可能にするために、非熱プラズマを前記スロットから放出することができる。
【0058】
プローブ先端部は、平行に配置されている複数の平面伝送線路素子を含み得る。複数の平面伝送線路素子は、平衡電力分配器配置を介して、同軸ケーブルからRF信号及びマイクロ波信号を受信する。平衡電力分配器は、RF信号及びマイクロ波信号が相で複数の伝送線路素子によって受信されるのを確実にして、放出されるエネルギーの合計を一定にする。
【0059】
プローブ先端部は、同軸ケーブルと複数の平面伝送線路素子の間に接続される4分の1波長変成器(すなわち、動作周波数で、4分の1波長の奇数倍に等しい、電気的長さを有するコネクタ)を含んで、同軸ケーブルを複数の平面伝送線路素子とインピーダンス整合させる。
【0060】
好ましくは、プローブ先端部は、8mm以下(最適には、5mm以下)だけ同軸ケーブルを越えて延在し、1.8mm以下(最適には、1.5mm以下)の幅及び、0.5mm以下(最適には、約0.3mm)の厚さを有することができる。
【0061】
第1電極及び第2電極は、バイポーラ放出構造を形成し得る。バイポーラ放出構造は、プローブ先端部にバランを含んで、シース電流を防止し、マイクロ波周波数EM場が、外方向に放出されるのを確実にすることができる。バランは、短絡を形成するために、遠位端で第2電極に電気的に接続(例えば、はんだ付け)される、単一の第3電極であり得る。バランを4分の1波長の長さ(動作マイクロ波周波数で)にすることにより、短絡状態は、開路状態に変えられて、同軸ケーブルに沿った電流の流れを防止する。プローブ先端部が組織内に挿入されたとき、反射損失を増加させるために、複数のバランをプローブ先端部に提供してもよい。例えば、1つのバランは、反射損失を15dBから25dBに増加させ、2つのバランは40dBに増加させ、3つのバランは60dBに増加させ得る。すなわち、プローブ先端部から出力されるエネルギーの100万分の1が、同軸ケーブルに沿って反射される。
【0062】
いくつかの実施形態で、滅菌器具は、第1周波数を有する高周波(RF)電磁(EM)エネルギー、及び第1周波数より高い第2周波数を有するマイクロ波EMエネルギーを生体組織に加えるための電気手術切除器具としても構成されることができる。滅菌器具のプローブ先端部は、第1表面上の第1電極層、及び第1表面の反対側の第2表面上の第2電極層を有する、第1誘電体材料でできている平面体を含む。同軸ケーブルの内側導体は第1電極層に電気的に接続され、同軸ケーブルの外側導体は第2電極層に電気的に接続されて、プローブ先端部がRF信号及びマイクロ波信号を受信するのを可能にする。第1電極層及び第2電極層は、伝導によってRF信号に対応するRF EM放射を搬送するために、能動及び帰還電極として、ならびに受信したマイクロ波信号に対応するマイクロ波EM放射を放射するために、アンテナとして機能するように配置されている。そこで、組織切断が実施されるのが望ましい、平面体の端に沿って位置するRF切断部分を除き、第1及び第2電極層は、平面体の端から奥まっていることができる。
【0063】
プローブ先端部は、平面体の側部端の間の方向に湾曲できる。例えば、プローブ先端部は、スプーン状の形状であり得る。底面で湾曲して(または、凸状で)もよく、構造体の近位端から遠位端に向かって上方向に湾曲し得る。
【0064】
いくつかの実施形態で、ガス管は、ガス管の残りの部分より小さい直径を有することができる、剛性管または針(例えば、皮下注射針)で終端してよい。剛性管または針は、生体組織を貫くのに適する貫通遠位部を好ましくは含む。これにより、生体組織をふっくらさせるために流体(生理食塩水など)が注入されるのを可能になり、例えば、その場合、器具は腸の壁を処置するために使用する。このような方法で、組織をふっくらさせることは、腸に穴を開けるリスクを減少させ得る。同じ剛性管または針は、ガスをプローブ先端部へ供給するためにも(外科処置のため、または器具チャネルの滅菌のため)使用できる。一実施形態で、剛性管または針は、例えば、プローブ先端部から突出する、またはその中に引っ込むために、プローブ先端部に対して長手方向に移動可能であり得る。
【0065】
一実施形態にて、アルゴンガスは、剛性管または針を通ってプローブ先端部に導入されることができて、非熱プラズマがプローブ先端部の端の周辺で作成される。マイクロ波パルスON時間は約40ミリ秒、OFF時間は100ミリ秒でもよく、約28.6%のデューティサイクルを有する。約1~5ミリ秒で約1kVのゲートした100kHzのRFバーストを使用でき、40ミリ秒のマイクロ波パルスの立ち上がりエッジで起動される。マイクロ波電力の振幅は、20Wと100Wの間(最適には、約60W)でもよい。
【0066】
いくつかの実施形態で、プローブ先端部は、滅菌器具のオペレータまたはユーザの制御下で、回転可能でもよい。一実施形態にて、回転は、例えば適切なハンドルまたは制御ノブを用いて、器具チャネル内で同軸ケーブルを回転させることによって得ることができる。別の実施形態で、プローブ先端部は、器具チャネルに対して、例えば±90度だけ回転できる、回転可能プレート上に取り付けることができる。この配置で、同軸ケーブルは、回転中に、プローブ先端部の動きに対応するように可撓性であり得る。回転可能プレートは、1対の制御ワイヤによって回転でき、各々の制御ワイヤはプレートに係合する回動レバーを動作させる。
【0067】
本発明の第1の態様に関して述べられる構成のいずれも、好ましくは任意の他の従来の器具チャネル洗浄方法(例えば、スコープ洗浄器、または滅菌器)と共に使用することができる。特に、プローブ先端部は、外科手術の残留物を器具チャネルの壁から(特に、このような残留物がEMエネルギー及び/または熱もしくは非熱プラズマによって除去されない所から)、除去することに有用であり得る、洗浄ブラシを更に備えることができる。
【0068】
好ましくは、器具チャネルからの滅菌器具の引き抜きの所定の速度は、毎秒10mm未満である。例えば、所定の速度は、毎秒5mm未満、毎秒2mm未満、または毎秒約1mmでもよい。器具チャネルからの滅菌器具の引き抜きのこのような速度は、器具チャネル内の生物汚染度の低減が、最適化されるのを確実にする。
【0069】
本明細書に記載の滅菌装置は、好ましくは、スコープ装置の外側表面も滅菌するように構成される、追加の装置と連動して使用され得る。例えば、追加の装置は、スコープ装置を積載することができる、処置チャンバを備えることができる。好ましくは、処置チャンバは、スコープ装置の外側表面が、滅菌のために熱または非熱プラズマの影響を受けるように構成される。更に好ましくは、本明細書に記載の滅菌装置がスコープ装置の器具チャネルの滅菌を遂行すると共に、外側表面の滅菌は生じることができる。
【0070】
したがって、滅菌装置は、外科用スコープ装置用の滅菌エンクロージャを画定する容器と、外科用スコープ装置の外側表面を滅菌するために滅菌エンクロージャ内に非熱プラズマまたは熱プラズマを作成するためのプラズマ発生ユニットと、を備えることができる。前記容器は、スコープ装置の異なる部分のための別個のチャンバを含むことができる。例えば、第1チャンバは、外科用スコープ装置の制御ヘッドを収容することができて、第2チャンバはスコープ装置の器具管を収容することができる。プラズマ発生ユニットは、外科用スコープ装置の器具管を取り囲むための環状体を含むことができる。環状体は、器具管に沿って摺動可能でもよい。例えば、追加の装置は、スコープ装置の外側表面を滅菌するように構成される、静的滅菌装置にスコープ装置を通すように構成される、運搬装置または細長い処置台を備えることができる。
【0071】
回収装置は、その近位端で細長いプローブに操作可能に接続するケーブル結合素子と、細長いプローブと器具チャネルの間の長手方向への相対的な移動が生じるように、ケーブル結合素子を駆動するように構成されるモーターと、を備え得る。したがって、回収装置によって、細長いプローブ(または、任意の器具ケーブル)が、所定の速度で器具チャネルを通って挿入される、または引き抜かれるのが可能になり、所定の速度はモーターの速度によって設定される。好ましくは、モーターは、所定の速度がユーザにより調整され得るような、可変速モーターである。滅菌装置(例えば、本発明の第1の態様に従って上述した)と共に使用されるとき、それは、制御された方法で器具チャネルの滅菌を可能にする。モーターは、ハウジング内に含有されるバッテリーによって駆動できる、または、外部電源(例えば、電力を器具ケーブルの遠位端へ供給するために使用するジェネレーター)によって駆動できる。
【0072】
ケーブル結合素子は、外科用スコープ装置に対して固定された位置に取り付けられ得る。例えば、回収装置は、装置をスコープ装置のハンドルに取り外し可能に取り付けるための、取付部分を有するハウジングを備えることができる。これにより、挿入/回収装置及びスコープ装置が、最小限のユーザ相互作用を必要とする方法で組み立てられることが可能になる(例えば、器具チャネルの滅菌工程の間)。
【0073】
ケーブル結合素子は、細長いプローブを収容するためにそれらの間の隙間を画定する、複数のローラーを備えることができ、ローラーは、細長いプローブの外側表面を押さえるように構成されて、それにより、ローラーの回転によって、細長いプローブの長手方向の移動が生じる。
【0074】
特定の実施形態で、モーターは、順方向と逆方向の動作モードの間をスイッチで切り替えることができ、順方向モードは器具チャネルを通して器具ケーブルを挿入するのに適していて、逆方向モードは器具チャネルを通して器具ケーブルを引き抜くのに適している。これによって、同じ装置が、異なる目的のために複数回使用されるのが可能になるが、必要な所で滅菌器材が使用されるのを確実にするために、装置が使い捨てであることも想定される。別個の挿入及び回収装置を買うよりも、装置がどのモードで作動されるかを単に選択できるので、順方向モード及び逆方向モードの両方で動作できる装置を提供することは、ユーザにとって費用及び複雑さを低減する。各目的に適切な、単一ユニットだけが製造される必要があるので、生産コストも低減される。
【0075】
好ましくは、装置は、器具チャネルを通して器具ケーブルを挿入する前に、またはそれを引き抜いている間、器具ケーブルが巻かれることができる、ドラムを更に含むことができる。ユーザが、使用前もしくはその後に器具ケーブルを格納することについて、またはスコープ装置内にもしくはそれからケーブルを供給することについて心配する必要がないので、これは、挿入または引き抜きの手順を単純化する。ドラムに器具ケーブルを巻きつけることによって、格納空間及び作業領域(例えば、滅菌工程の間)が最小化され得る。好ましくは、ドラムが滅菌環境を器具ケーブルの格納に提供できるように、ドラムもハウジングに含有される。特に器具ケーブルが再利用される可能性がある場合、ドラム周囲の器具ケーブルの曲げ半径が、ケーブルへの損傷を防ぐのに十分であるように、ドラムは、好ましくは大きさを設定されることができる。
【0076】
好ましくは、装置は、少なくとも1つのローラーからモーターを分離して、ユーザが、器具ケーブルに沿って自由に装置を摺動させるのを可能にするための手段を更に含む。このように、装置は、容易に器具ケーブル上で摺動できる、またはそこから取り外すことができ、ユーザは、装置を器具ケーブルに適切に配置できる。モーターを分離することにより、ユーザが、例えば滅菌工程の間、必要に応じて手動で器具ケーブルを器具チャネル内で摺動させるのも可能になる。例えば、障害物、または器材に関する予想外の問題がある場合、これは有用であり得る。
【0077】
好ましくは、複数のローラーは、互いに向かって偏っている。いくつかの実施形態で、ローラーは、砂時計形状を有することができる。これらの特徴は、ローラーと器具ケーブルの表面の間に良好な適合があるのを確実にして、器具ケーブルがローラーによって滑らかに引っ張られること、及びローラーの空転がないことを確実にするために摩擦を増大させる。これにより、ケーブルの挿入/回収の速度が、ユーザにより選択される、または要求される速度と整合することを確実にするだけでなく、装置の信頼性を増加させる。
【0078】
いくつかの実施形態で、モーターは、ステッピングモーターでもよい。更なる距離増分で、器具ケーブルの回収前、所定の時間を待つことによって、各ステップで器具チャネルが適切に滅菌されるのを確実にするために、ステッピングモーターを使用できるので、装置が滅菌装置と共に使用される場合、これは特に有利であり得る。
【0079】
好ましくは、複数のローラーのそれぞれは、プラスチックまたはシリコーン材料から製造される。このような材料は、ローラーの表面と器具ケーブルの表面の間に高い摩擦係数を付与するために選択されることができて、ローラーから器具ケーブルまで動きの完全な移動を確実にする。更に、プラスチックまたはシリコーン材料の使用は、ローラーにより器具ケーブルになされる損傷がないことを確実にする。
【0080】
回収装置は、本開示の独立した態様であり得る。その態様によれば、外科用スコープ装置の器具チャネルを通して細長いプローブを動かすための、プローブ回収装置を提供する。プローブ回収装置は、その近位端で細長いプローブに操作可能に接続するケーブル結合素子と、細長いプローブと器具チャネルの間で長手方向へ所定の速度で相対的な移動が生じるように、ケーブル結合素子を駆動するように構成されるモーターと、を備える。
【0081】
本発明の実施の形態が、ここで添付の図面を参照しながら、例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図2】滅菌装置、及び回収装置の別の実施形態を示す。
【
図3A】プローブ先端部及び同軸ケーブルを示す、細長いプローブの遠位端を通る断面図である。
【
図4】代替のプローブ先端部の実施形態を通る断面図である。
【
図5】別の代替のプローブ先端部の構成を通る断面図である。
【
図6】プローブ先端部の更に別の実施形態を通る断面図である。
【
図7】本発明で使用可能な同軸プラズマアプリケータ(プローブ先端部)を通る長手方向の断面図である。
【
図8】本発明で使用可能な導波路プラズマアプリケータ(プローブ先端部)を通る長手方向の断面図である。
【
図9】本発明で使用可能な、一体化したマイクロ波ケーブルアセンブリとプラズマアプリケータのプローブ先端部を通る長手方向の断面図である。
【
図10】本発明で使用可能な別の同軸プラズマアプリケータ(プローブ先端部)を通る長手方向の断面図である。
【
図11】本発明で使用可能な別の同軸プラズマアプリケータ(プローブ先端部)を通る長手方向の断面図である。
【
図12】本発明で使用可能な別の細長い器具290を通る長手方向の断面図である。
【
図13】本発明で使用可能な別のプローブ先端部を通る長手方向の断面図である。
【
図14】本発明で使用可能な回収装置を通る長手方向の断面図である。
【
図15】
図14の回収装置の駆動構成要素を通る横方向の断面図である。
【
図16】本発明で使用可能な別の回収装置を通る長手方向の断面図である。
【
図17A】スコープ装置の器具チャネルを滅菌するために使用される、滅菌装置を示す。
【
図17B】スコープ装置の器具チャネルを滅菌するために使用される、滅菌装置を示す。
【
図17C】スコープ装置の器具チャネルを滅菌するために使用される、滅菌装置を示す。
【
図18】本発明で使用可能なプローブ先端部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1Aは、本発明の第1の態様による、滅菌装置10を示す。滅菌装置は、同軸ケーブル12を有する細長いプローブと、その遠位端のプローブ先端部14を備える。ジェネレーター30は、その近位端で同軸ケーブルに接続している。ガス供給部40は、同軸ケーブル12のガス管(図示せず)を通って、プローブ先端部14にガスを供給するためにも接続している。回収装置20は同軸ケーブル12に配置されて、下で更に詳細に説明される方法で、スコープ装置50の挿入管52を通過する器具チャネルから、細長いプローブを引っ込める。
【0084】
図1Bは、使用中の滅菌装置10を示す。細長いプローブは挿入管52の器具チャネル内にあり、回収装置20は、スコープ装置50のハンドルに取り付けられる。回収装置20は、矢印18で示す方向に、所定の速度で挿入管52の器具チャネルから同軸ケーブル12を引っ込めるために、スイッチを入れられる。回収装置20が、器具チャネルを通して、同軸ケーブル12及びプローブ先端部(図示せず)を引き抜く一方で、ジェネレーター30は、プローブ先端部が器具チャネルを滅菌するように、プローブ先端部にRF及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを供給している。RF及び/またはマイクロ波EMエネルギーが、挿入管52の器具チャネルの微生物を消滅させる、または除去するために、プローブ先端部で非熱プラズマを生成するために使用することができるように、ガス供給部40は、ガス管を通してプローブ先端部にガスを供給する。
【0085】
図2は、別の回収装置20を有する、滅菌装置を示す。この構成では、回収装置は、それがスコープ装置50の器具チャネルから引っ込められる際、同軸ケーブル12を周囲に巻きつける、ドラム22を追加として備える。ジェネレーター30は、接続ワイヤ32及び回収装置20のハウジング上の適切なプラグを介して、同軸ケーブル12にRF及び/またはマイクロ波EMエネルギーを供給する。同様に、ガス供給部40からのガスは、接続管42を通してガス管に運ばれる。回収装置20については、後でより詳細に述べる。
【0086】
図3Aは、プローブ先端部14及び層状構造の同軸ケーブル12を示す、細長いプローブの遠位端を通る断面図であり、そこで、カテーテル110及びプローブ先端部14は、同軸ケーブル12のチャネル130に挿入される。
【0087】
図3Bに単独で示されるプローブ先端部14は、器具チャネルの滅菌で使用するが、電気手術での使用にも適していることができる。特に、
図3A及び
図3Bに示されるプローブ先端部14は、切除器具として使用するように構成されている。
【0088】
プローブ先端部14は、カテーテル110の遠位端に取り付けられる接続環152、接続環152から遠位側に延在する伸長スリーブ154、及び伸長スリーブ154の遠位端に接続される滅菌器具を備える。滅菌器具は、2つの電極と、下側表面148の下方に形成される滑らかな先細の誘電体150とを形成するために、その上側表面146及び下側表面148上に導電性コーティング(図示せず)を有する、剛性誘電体144の一片から形成される。接続環152は、その外側表面が、チャネル130を画定する表面(すなわち、壁134の内側表面)と物理的に接触するように、同軸ケーブルのチャネル130にぴったりと嵌合するように選択される直径を有する短い剛性円筒部分を備える。接続環152は、カテーテル110より大きな直径を有することができる。一対の接触部156、158は、接続環152の外側表面上に形成される。接触部156、158は、外側表面の全部または一部の周囲に延在できる。この実施形態で、後方(すなわち、近位)接触部156は、層状構造の同軸ケーブル12の内側導電層140に電気的に接続するように構成されており、前方(すなわち、遠位)環状接触部158は、層状構造の同軸ケーブル12の外側導電層136に電気的に接続するように構成される。
【0089】
これらの電気接続を達成するために、同軸ケーブル12は、
図3Cに示すように、チャネル130の遠位端で最内側層142を通って突出する、一対の長手方向に離間配置した終端部160、162を備えている。終端部160、162は、チャネル130の内側表面の全部または一部の周囲に延在することができる。この実施形態で、後方(すなわち、近位)終端部160は、内側導電層140の遠位端から最内側層142を通って延在して、前方(すなわち、遠位)終端部162は、外側導電層136の遠位端から誘電体層138及び最内側層142の両方を通って延在する。外側導電層136は、内側導電層140の遠位端を越えて、長手方向に延在する。したがって、内側導電層140は、後方終端部160で終了する。すなわち、前方終端部162の前に、内側導電層140の遠位端を越えて位置する、間隙164(例えば、空隙または他の絶縁材料)がある。
【0090】
導電棒166は、電気接続を剛性誘電体144の一部の上側表面146上の導電コーティングに提供するために、後方接触部156から伸長スリーブ154を通って延在する。したがって、上側表面146は、同軸ケーブル14の内側導電層140に電気的に接続している。同様に、導電棒168は、電気接続を剛性誘電体144の一部の下側表面148上の導電コーティングに提供するために、前方接触部158から伸長スリーブ154を通って延在する。したがって、下側表面148は、同軸ケーブル12の外側導電層136に電気的に接続している。
【0091】
伸長スリーブ154は、導電棒166、168を保護して、電気絶縁する、両方のための誘電体材料の剛性管でもよい。伸長スリーブ154は、伸長スリーブ154によって伝送される、マイクロ波エネルギーの2分の1波長に対応する、電気的長さを有することができる。導電棒166、168は、特にそれらが共に近接している所で、絶縁破壊を防ぐために、誘電体(例えば、接着剤、プラスチックまたは他の絶縁体)によって別個に囲まれる(例えば、コーティングされる、または他の方法で覆われる)ことができる。
【0092】
接続環152の遠位端は、チャネル130の遠位端に形成される、止めフランジ170に当接することができる。したがって、プローブ先端部14は、接触部156、158と終端部160、162の間の電気接続を備える場所に固定されることができる(例えば、カテーテル110上の押す力を維持することによって)。この実施形態で、接続環152が、電気接続及び物理的ストップの二重の機能を実行するが、これらの機能は別個の形体で実行されることができる。その場合、接続環152はチャネル130に更に戻って位置することができて、伸長スリーブ154はより長くてもよい。
【0093】
材料がチャネル内に逆戻りするのを防ぐために、封止部172は、チャネル130への入口上に形成されることができる。
【0094】
カテーテル110は、ガス管または制御線路178をプローブ先端部14へ運搬するための中空管でもよい。この実施形態で、ガス管は、アルゴンまたはプラズマ滅菌のための別のガスを送達するために、プローブ先端部の遠位端を通って延在する。ガス管178は、電気手術を実行するためのプローブ先端部14に、食塩水などの流体を送達するのに適していてもよい。
【0095】
図4は、
図3A~
図3Cに関連して、上述の層状構造の同軸ケーブル12と共に使用できる、プローブ先端部14の別の実施形態を示す。プローブ先端部14は、最内側層142及び内側導電層140の延在部を備える。この実施形態で、最内側層142はPTFE管である。内側導電層は、プローブ先端部14の第1電極として機能する。プローブ先端部14は、第1電極140上に配置される誘電体材料182、及び誘電体材料182上の第2電極180も備える。誘電体182は、MACORシリンダーであり、第2電極180は、薄壁銅管により製造される。第2電極180は、外側導電層136に電気的に接続しており、それは、同軸ケーブル12を覆うスリーブ184の遠位端を越えて延在する。ガスは、チャネル130を通ってプローブ先端部14の遠位端に供給されることができ、それは、ガスが、例えば、ガス容器から供給され得る、その近位端まで細長い器具を通って延在する。プローブ先端部14は2.5mmの外径を有し、誘電体層182は0.325mmの壁厚を有し、チャネル130は1mmの直径を有する。
【0096】
図5は、
図3A~
図3Cに関連して、上述の層状構造の同軸ケーブル12と共に使用できる、別のプローブ先端部14を示す。プローブ先端部14は、最内側層142内に挿入される管構造であり、及びチャネル130の一部を画定する、第1電極186を備える。最内側層142は、PTFE管でもよい。誘電体層182は、第1電極186上に提供される。
図4に示した実施形態と同様に、第2導体180は、外側導電層136に接続する薄壁銅シリンダーである。第1電極186は、誘電体材料182と最内側層142の間に握持される、金属リング188を介して、内側導電層140に接続している。プローブ先端部14の外径は、2.5mmであり、チャネル130は、0.8mmの直径を有し、誘電体182は、0.65mmの壁厚を有する。チャネル130の低減した直径及び誘電体182の増大した厚さは、プローブ先端部14のインピーダンスを増加させて、低誘電率材料が誘電体層182のために使用されるのを可能にする。
【0097】
本明細書に記載の他のプローブ先端部の実施形態も、「従来の」同軸ケーブルと共に使用されることができ、すなわち、同軸ケーブルは、上述の層状構造を有しない。
【0098】
図6は、細長い器具の遠位端でプラズマを生成するのに適している、プローブ先端部を通る断面図を示す。示される先端部は、電気手術器具としても使用され得る。細長い器具500は円筒状であり、スコープ装置(例えば、内視鏡)の器具チャネルに嵌合するようにサイズ設定される。装置は、内側導体504と、誘電体材料508によって内側導体504から分離した外側導体506と、を有する同軸ケーブル502を備える。外側導体506は、同軸ケーブル502の外側表面で周囲に露出する。同軸ケーブル502の遠位端で、内側導体504は、外側導体506を越えて延在して、誘電体キャップ510(例えば、PEEKなどで作成した)によって囲まれる。キャップ510は、同軸ケーブル502と実質上同じ直径を有する、シリンダーである。キャップ510の遠位端は、丸い(例えば、半球形の)ドームを形成する。内側導体504は、キャップ510の端を越えて突出する、丸い先端部512のその遠位端で終わる。同軸ケーブル502はスリーブ514内に載置されて、それは、強度を付与するための内部編組(図示せず)を好ましくは含む。スリーブは、スコープ装置の器具チャネル内に適合するために必要な大きさにされる。スリーブ514の内側表面と同軸ケーブル502の外側表面(すなわち、露出した外側導体)の間に環状間隙516があり、それは、スリーブ514の近位端で導入されたガスを遠位端に運ぶための、ガス管を形成する。導電終端管518は、スリーブ514の遠位端に載置される。例えば、導電終端管518は、スリーブ514に溶接されることができる。
【0099】
図6に示す構成で、内側導体504の丸い先端部512は、第1電極を形成して、導電終端管518は第2電極を形成する。環状間隙516から流れるガスのプラズマを衝突させるための電界は、適切なエネルギー(例えば、RF及び/またはマイクロ波周波数エネルギー)を同軸ケーブルに加えることによって、第1電極と第2電極の間に形成される。導電終端管518は、導電終端管518の内側表面上の複数の半径方向に突出する隆起部520によって、同軸ケーブル502の外側導体506に電気的に接続している。導電終端管518の内周の周辺で互いから離間して配置される2つ、3つ、4つ以上の隆起部520があってもよい。このように隆起部を離間配置することは、ガスが流れていくのを可能にする。絶縁ライナー522は、その遠位の長さに沿って、導電終端管518の内側表面の周囲に載置される。絶縁ライナー522は、ポリイミドなどから製造されてもよい。ライナー522の目的は、第1電極と第2電極の間に適切な誘電バリアを提供して、印加したRF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーが、プラズマを衝突させるために、高電圧を備える電界を生じさせることを確実にする。ライナー522とキャップ510の間に小さな間隙があり、ガスが流れていくのを可能にする。
【0100】
図7は、本発明で使用可能な同軸プラズマアプリケータ(プローブ先端部)を通る、長手方向の断面図である。プラズマ滅菌装置は、この種類の構造での使用に限定される必要はない。実際に、この例は、アプリケータのプラズマの生成で、電圧変圧器(または、インピーダンス変成器)の使用の背後にある、理論を説明するために提供される。事実、特にインピーダンス調整器が存在する場合、電圧変圧器なしで、プラズマを生成することが可能であり得る。
図7に示すプラズマアプリケータ300は、3つの4分の1波インピーダンス変成器を備える、同軸構造である。そこで、中心導体の直径は、異なる特性インピーダンスを備える、3つの部分を作成するために変えられる。構造の遠位端での電圧が、構造の近位(ジェネレーター)端での電圧より非常に高いように、インピーダンスは選択される。
【0101】
各部分の物理的長さが、4分の1電気波長の奇数倍に等しい、すなわち、
【0102】
【0103】
である場合、
Lは長さ(m)であり、nは整数であり、λは目的の周波数の波長(m)であり、そうして、以下の式
【0104】
【0105】
を適用する。
そこで、ZOは、同軸線の特性インピーダンス(Ω)であり、ZLは、部分の遠位端で見られる負荷インピーダンス(Ω)であり、ZSは、部分の近位端で見られる電源インピーダンス(Ω)である。この式の代数操作により、負荷インピーダンスは、
【0106】
【0107】
として表される。
したがって、変成器部分の特性インピーダンスが高く、電源インピーダンスが低い場合、次に負荷インピーダンスは、非常に高い値まで変えることができる。アンテナのジェネレーター端の出力レベルが、理論的には負荷端と同じでなければならないので、以下は、
【0108】
【0109】
と記載される。
それは、遠位端の電圧が、
【0110】
【0111】
として表されることを意味する。したがって、ZLができるだけ大きくされる場合、アンテナ構造VLの遠位端の電圧の値も非常に大きいことがわかり、それは電界も高いことを意味する。それが、プラズマを衝突させるため、高電界を設定するのに必要であるので、この構造が、プラズマを衝突させるため、正しい状態を設定するために使用できることが理解できるだろう。
【0112】
図7に示す構造を考慮して、マイクロ波ジェネレーター3000は、電源インピーダンス(Z
S)308を有するとして、概略的に示される。ジェネレーター3000からの電力は、マイクロ波コネクタ340を使用して同軸ケーブル(図示せず)を介してアプリケータ300に入る。コネクタ340は、好適な動作周波数で作動できる、任意のマイクロ波コネクタでもよく、電力ジェネレーター3000の出力で利用可能な出力レベルを処理できる。例えば、N型またはSMA型コネクタを使用できる。マイクロ波コネクタ340は、マイクロ波出力をプラズマ生成領域内に放射するために使用する。それは、後述するアンテナ構造を含む。
【0113】
アンテナ構造の第1段階は、外径bを備える中心の内側導体(第1電極)及び内径aを備える外側導体(第2電極)からなる、50Ωの同軸部分である。第1部分内に含まれる、内側導体と外側導体の間の空隙は、誘電体材料342で充填されており、それは、ここでPTFEとされている。アンテナの第1部分の特性インピーダンスは、ジェネレーター(すなわち、50Ω)と同じあるとして、ここで示され、以下
【0114】
【0115】
のとおり、記載されることができる。
ここで、εrは、充填材材料の比誘電率であり、ZOは第1部分の特性インピーダンスであり、ZSは電源インピーダンス(または、ジェネレーターインピーダンス)である。第2部分は、第1の4分の1波インピーダンス変成器311であり、その特性インピーダンスZ01は第1部分より高く、
【0116】
【0117】
を使用して計算できる。
そこで、cは外側導体312の内径である。第2部分が空気(または、少なくともガス供給部470からのガス)で満たされるので、比誘電率εrは1に等しく、そうして、二乗根の項は、同軸伝送線路のインピーダンスを説明する式から消える。第2部分のインピーダンスの実際の例は、b=1.63mm及びc=13.4mmでもよい。このような寸法で、Z01は126.258Ωである。
【0118】
第3部分は、第2の4分の1波インピーダンス変成器310であり、その特性インピーダンスZ02は第1部分及び第2部分より低く、
【0119】
【0120】
を使用して計算できる。
そこで、dは内側導体の外径である。中心導体の入力端及び出力端を先細にして、高インピーダンス状態から低インピーダンス状態へ工程をより段階的にして、2つのインピーダンスの間の接合で生じるミスマッチを最小限に抑えることが、望ましい。先細部分の好適な角度は、45度である。第3部分のインピーダンスの実際の例は、d=7.89mm及びc=13.4mmでもよい。このような寸法で、Z02は31.744Ωである。
【0121】
第4部分は、最後の部分であり、第3の4分の1波インピーダンス変成器320からなり、その特性インピーダンスZ03は第3部分より高く、
【0122】
【0123】
を使用して計算できる。
そこで、eは内側導体の外径である。内側導体の遠位端が鋭く、この点で作成される電界の大きさを最大化するために先細りにされることが、望ましい。第4部分のインピーダンスの実際の例は、e=1.06mm及びc=13.4mmでもよい。このような寸法で、Z03は152.048Ωである。
【0124】
図7で示すような3つの4分の1波変成器を使用した配置について、アンテナの遠位端で見られる負荷インピーダンスZ
Lは、
【0125】
【0126】
として表される。
3つの変成器について、上で計算した特性インピーダンスの値を使用すると、ZLは、7,314.5Ωである。そうして、入力電力が300Wである場合、出力の電圧は
【0127】
【0128】
である。この構造の末端で発生する電界は、したがって、
【0129】
【0130】
である。この大きな電界は、多くのガス及びガス混合物のいずれか1つを使用して、プラズマが引き起こされるのを可能にすることができる。
【0131】
内側導体は、その直径が近位端から遠位端まで、bからd、eに変化する、単一導体でもよい。外側導体は、3つのインピーダンス変成器部分の長さについて同じ内径cを有して、第1部分でaに低減する。内側及び外側導体で使用される材料は、高い伝導率の値を有する、任意の材料または複合体でもよく、例えば、銅、黄銅、アルミニウムまたは銀めっきしたステンレス鋼を使用できる。
【0132】
ガスまたはガスの混合物は、ガス管470を介して構造内に供給されて、ガスは、プラズマアプリケータの内部(プラズマ生成領域)を満たす。アプリケータは、スコープ装置の器具チャネル内に適合するために必要な大きさにされる。
【0133】
図8は、導波路空洞を使用して、プラズマを生成するために領域を作成する、プラズマアプリケータプローブ先端部300を示す。この特定の実施形態で、磁界ループ302は、マイクロ波エネルギーをマイクロ波ジェネレーターから導波管アンテナ内に移すために使用されて、ガス混合物は、ガス供給部471を介して構造体内に導入されて、それは、ガス管470に接続している。磁界ループが、目的または動作の周波数で波長の半分に等しい物理的長さを有すること、及び前記ループの遠位端が、外側導体の内壁に接続していることが好ましい場合がある。接続は、溶接またはんだ接合を使用してなされ得る。磁界ループは第1電極と考えられ、導波管アンテナは第2電極と考えられ得る。
【0134】
図8に示されていないが、インピーダンス変成器も、導波路の実施形態内に導入されて、アプリケータの遠位端で高電界を生成することができる。言い換えると、導波路アンテナは、目的の周波数で、負荷または無負荷の4分の1波長の奇数倍に等しい長さを有する、複数の部分からなることができる。すなわち、
【0135】
【0136】
である。導波路の寸法(長さ、幅または直径)を低減するために、導波路は、誘電体もしくは磁気、または複合材料で充填されることができ、そこで、波長は、比誘電率の平方根の逆関数、もしくは比誘電率、または2つの積まで減少する。多くのインピーダンス変成器は、変成器を形成する、1つまたは複数の部分を負荷させることによって導入されることができる。それによって、導波路構造体が、誘電体または磁気材料(または、2つの組み合わせ)で負荷される例で、負荷材料が、多孔性である、またはその内部に穿孔される複数の孔を有して、ガスもしくはガス混合物が、導波管部分に流れ込むのを可能にすることが、好ましい場合がある。
【0137】
導波路のインピーダンスを変えて、構造内に所望の4分の1波長変成器を作成するために、構造の形状を調整する、または負荷材料を変えることが必要である。矩形の導波路において、導波路空洞の特性インピーダンスは、
【0138】
【0139】
として表され得る。
そこで、
【0140】
【0141】
は
【0142】
【0143】
であり、bは、ガイドの高さ(または、短い壁の長さ)であり、aは、ガイドの幅(または、長い壁の長さ)であり、μrは、磁気装荷材料の比透磁率であり、εrは、誘電負荷材料の比誘電率であり、fcは、ガイドの遮断周波数であり、fは、動作周波数である。
【0144】
図8で、追加の材料360を、導波管の遠位端に追加した。追加の材料360は、アンテナ構造体の遠位端で電界を増大させるために使用する、石英管でもよい。
【0145】
図9は、一体化したマイクロ波ケーブル組立品及びプラズマアプリケータを備える、プローブ先端部の詳細な図を提供する。この構成では、一体化したガス及びマイクロ波ケーブル組立品は、2つの管を用いて形成される、同軸配置を含む。第1管314は、可撓性誘電体材料から製造される比較的厚い壁の管であり、その内側壁318及び外側壁319の両方上の金属層(例えば、高伝導率の金属被覆層、例えば、銀、銅または金から製造)で覆われている。第2管313は、可撓性材料から製造される、比較的薄い壁の管である。第1管314は、金属材料または誘電体材料から製造されることができる、スペーサ312を用いて第2管313内部に取り付けられており、ガスが、第1管の外壁318と第2管313の内壁の間に形成される、チャネル内に及びそれに沿って流れるのを可能にしなければならない。プラズマアプリケータは、2つのインピーダンス変成器310、320、第1管314の中心チャネルからアプリケータ内へのガス管315、及び第1管の外壁と第2管の内壁の間に形成されたチャネルに沿った、アプリケータからのガス抽出路316を備える。ガスをアプリケータ内に供給するために使用する、内側チャネルの第1部分321は、マイクロ波コネクタ340内の中心ピンが、新規のマイクロ波ケーブル組立体に電気的に接続するのを可能にするために、剛性である。入力マイクロ波コネクタは、目的の周波数で、600W CWまでマイクロ波出力を運ぶのに適している、任意のコネクタでもよい。例えば、SMAまたはN型コネクタを使用してもよい。マイクロ波出力は、ジェネレーターからコネクタ340に供給される。
【0146】
同軸マイクロ波ケーブル組立体を形成するために使用する内側導体319の中心311は、中空である。それは、マイクロ波場がケーブルまたは導波路に沿って効率的に伝搬されるのを可能にするために、目的の周波数で作成されるマイクロ波場が小さい壁厚を必要とするだけという事実に起因するからである。したがって、内側導体319の中心部分311は、マイクロ波場を透過させてもよい。類似の基準を、外側導体318の厚さに適用する。すなわち、それは、波誘導チャネルに沿って、マイクロ波場または波動の重要な役割を果たす、第1管314の外側表面上の薄層318だけである。第1管314は、構造体に沿った力の損失が最小化される(挿入損)のを確実にするために、好ましくは、低損失誘電材料(例えば、低密度PTFE)から製造されなければならない。一体型アプリケータまたはアンテナは、第2管313の内部に形成されて、ケーブル組立体の一体部分を形成し、器具チャネルによる装置(例えば、内視鏡)の挿入を補助する。
図9に示すプラズマアプリケータは、2つの4分の1波インピーダンス変成器部310、320からなる。第1部分は、上述のように、そのインピーダンスが、内側導体の直径(g)と外側導体の直径(l)の比率で決定される、低インピーダンス部分である。外側導体は、ジェネレーターからアプリケータまでマイクロ波エネルギーを運搬するために使用する、一体型マイクロ波ケーブル組立体内の外側導体318の延在部でもよい。チャネル311内からのガスは、内側導体に作られる穴、溝またはチャネル311を通ってアプリケータ内に供給される。第2変成器部は、そのインピーダンスが、内側導体の直径(h)と外側導体の直径(I)の比率で決定される、高インピーダンス部分である。内側導体を形成するために使用する材料は、物理的形状または特性の変化のない、高温に耐えるのが可能な材料(例えば、タングステン)でもよい。
【0147】
石英管319は、内側導体と外側導体の間のアプリケータの遠位端にある。石英管は、アーク放電の可能性を低減して、プラズマ生成領域のプラズマ衝突を促進する。ここで、プラズマプルーム1000は、中心チャネル311からのガス流によって、アプリケータの開放端から出る。石英管と外側導体の間の環状間隙は、外側チャネル316へと続く。このチャネルは、過剰ガスまたは残留ガスを滅菌部位から抜き取るためのポンプに、接続していることができる。
【0148】
図10及び
図11は、2つの細長い器具構造体250及び252を示し、構造体は、器具チャネルの滅菌を実施するのに加えて、生体組織を切断、凝固、切除及び滅菌するために用いることができる。これら構造体の全体の直径は、1mm未満~5mm超の範囲であり得る。どちらの場合でも、器具構造体250及び252は、ジェネレーター(図示せず)からのマイクロ波周波数エネルギー及びRFエネルギーを受信するために、近位端にコネクタ256を有する同軸ケーブル254を備える。同軸ケーブル254は、適切な低損失誘電体材料262によって外側導体260から分離されており、かつそれと同軸の内側導体258を有する。誘電体材料262は、低密度PTFE、Gortex(登録商標)などのマイクロ多孔性材料であり得る。
【0149】
この実施形態で、内側導体258の遠位部分は中空にされて、器具先端部266及び268に向かって延在する導管264を形成する。内側導体258は、マイクロ波周波数で生じる、導体の表皮効果を利用することによって、中空にすることができる。
【0150】
導電性材料がEM場に曝露されると、移動する電荷によって起こされる電流密度を受ける。良好な導体(例えば、金、銀及び銅)は、自由電荷の密度は無視でき、伝導電流は導電率により電場に比例し、変位電流は伝導電流に対して無視できるものである。このような導体内のEM場の伝搬は拡散式に従い、この場合、マックスウェルの式は低減する。伝導電流が変位電流に対して大きい良好な導体に主に有効である、拡散式を解くことにより、場の振幅は、材料の中で指数関数的に減衰することがわかり、減衰パラメータ(δ)は以下の式
【0151】
【0152】
を用いて示される。
ここでδは表皮深さとして知られており、場が界面で有する値の1/e(約37%)に減少する材料内の距離に等しく、σは材料の導電率であり、μは材料の透磁率であり、ωはラジアン周波数または2πf(fは周波数)である。これから、表皮深さはマイクロ波エネルギーの周波数が増加する場合に減少することがわかり、これはこの周波数の平方根に反比例するからである。更に、導電率が増加すると、それは減少する。すなわち、表皮深さは良好な導体内で、別の導電性の低い材料よりも小さい。
【0153】
図10及び
図11に示す構造体を実施するために、目的のマイクロ波周波数及び目的の材料において、表皮深さは約1μmである。したがって、ここに記載される器具の構成で用いられる内側導体/第1電極258は、ほとんどのマイクロ波場の伝搬を可能にするために、わずか約5μmの壁厚を必要とする。これは、構造体に沿って伝搬されるEM波に変化をもたらすことなく、中空の中心導体を使用できることを意味する。
【0154】
流体供給入口270は、同軸供給ケーブル254の側部を通って形成され、外部の流体(気体及び/または液体)供給部を導管264に連通させて、流体をプローブ先端部266及び268に送達する。好ましくは、流体供給は、同軸伝送線路構造で生成された、電磁場に影響しない。EM場が影響されない最適の供給点を決定するために、EMモデル化が行われる。
【0155】
図10は、プラズマを送達するための、プローブ先端部を通る長手方向の断面図を示し、そこで、プローブ先端部は同軸構造を有する。
図10で、プローブ先端部266は、導管からの放出口272を含み、これにより、誘電体材料262が取り除かれたプローブ先端部266の内部に、ガスが入るのが可能になり、それは、プラズマ生成領域274を形成し得る。この特定の配置で、放出口272は、プラズマ生成領域274内の内側導体/第1電極258上に複数のスロットを含む。プラズマ生成領域274で、マイクロ波周波数EMエネルギーによって生成された電場及び/またはRF場は、ガスをイオン化して、同じ領域にプラズマを生成する。プラズマは熱または非熱であり、それを使用して、スコープ装置の器具チャネルを滅菌し、組織を滅菌し、RF電流用の局所的帰還経路を提供し、表面凝固を作成し、及び/または組織切断を支援することができる。プラズマは、最初はRF周波数でのエネルギーを用いてプラズマを着火するのに必要な電圧を印加することにより空洞に形成し、次にマイクロ波周波数でのエネルギーを用いてプラズマを保持することができる。内側導体の外側表面と外側導体の内側表面との間の距離が非常に小さい(すなわち、1mm未満)場合、マイクロ波場を用いて、プラズマを衝突させて、それを維持することができる。同様に、滅菌用の非熱プラズマ、ならびに表面凝固及び/または組織切断用の熱プラズマの両方を生成するのにRF場を使用するだけでよい場合もある。
【0156】
プローブ先端部266の内側導体/第1電極258の遠位端276は、中実な先端部分であり、細径(すなわち0.5mm以下)を有する鋭い針の形を取ることができ、組織切断を行う場合に特に有用であり得る。プラズマ生成領域274の遠位端277は開いており、プラズマが細長い器具の外に送達されるのを可能にする。
【0157】
遠位端で短絡され、かつ近位端が開放している、第3の同軸導体を含む、4分の1波(または、その奇数倍)のバラン278は、構造体に接続されて、マイクロ波電流が外側導体260に沿って同軸ケーブル254に戻ることを防ぐ。それは、マイクロ波エネルギーの形状を非最適にする可能性がある。
【0158】
ガスの組成及びその流量、ならびに送達プロファイルは、供給されたRF EMエネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギーの出力レベル及びプロファイルと共に、細長い器具のプラズマ生成領域274で設定される、プラズマの種類を決定する。
【0159】
図11は、別の同軸プラズマアプリケータを通る、長手方向の断面図である。
図11の細長い器具252は、
図10に示される器具と同様のプローブ先端構造を有するが、外側導体/第2電極260が延びて、その結果、プローブ先端部268の内側導体/第1電極258の遠位端276の近くで終わる。ここで、外側導体260は、プローブ先端部268の遠位端で尖った円錐形を取る。外側導体/第2電極の傾斜は、中実な先端部分の傾斜と同じ角度でもよい。プラズマのジェットは、内側導体258をこの領域で外側領域260と分離する、小さい間隙280を通って放出できる。
【0160】
プローブ先端部は、ガスの最初の電離放出または破壊が、外側導体260の遠位端と内側導体258の中実先端部との間で起こるよう配置され得る。中実な先端部は円錐形状でもよく、それは、外科用器具として好適な構造である。
【0161】
図12は、本発明で使用するのに適した、細長い器具290を示す。示されるプローブ先端部は、器具チャネルの滅菌に加えて、胃腸の処置に適している。細長い器具290は同軸ケーブル254を備え、同軸ケーブル254は、誘電体材料262によって外側導体260から分離されていて、かつそれと同軸である内側導体258を有する。プローブ先端部292は、同軸ケーブル254の遠位端に接続される。コネクタ256は同軸ケーブルの近位端に接続されて、ジェネレーターからRF EMエネルギー及びマイクロ波周波数EMエネルギーを受け取る。
【0162】
プローブ先端部292は、第1及び第2電極を形成するために、その上に形成される2つの別個の金属被覆層を有する誘電体材料(例えば、低損失Dynallox(登録商標)アルミナ)の単一体である。同軸ケーブル254の内側導体258は、同軸ケーブル254の遠位端を越えて、プローブ先端部292の内部に延在する。ここから、金属被覆層のうちの1つに電気的に接続される。同軸ケーブル254の外側導体260は、他方の金属被覆層に接続される。プローブ先端部292はスリーブ294(例えば、ステンレス鋼)によって同軸ケーブル254に固定され、それは圧着されて、固定タブ296をプローブ先端部292のセラミック体の対応するノッチ内に押し入れる。スリーブ294の長さは、プローブ先端部292のインピーダンスを同軸ケーブル254と整合させるように選択することができる。すなわち、それは、同調スタブとして機能することができる。
【0163】
金属被覆層は、プローブ先端部292の側面上に提供される。前記層はセラミックによって互いから分離されて、その結果、それは、効果的に平面伝送線路を形成する。この実施形態で、金属被覆層は、RF EM場を放出するのが求められている領域以外は、プローブ先端部の側縁部及び遠位端から後退している。
図12は、第1の金属被覆層298を概略的に示し、それは、底縁部に沿った領域以外は、プローブ先端部の端からわずかに後退している。
【0164】
この実施形態で、プローブ先端部292はかぎ形状を有し、プローブ先端部292の一方の縁部は内側及び外側に湾曲している(すなわち、凹部を画定する)。凹部は、組織除去を促進するために(例えば、組織が処置部位から引っ張られる、すくい取られる、または削り取られるのを可能にすることによって)、実質的に近位に向く面を含むことができる。第1の金属被覆層298が延在する底縁部(RF切断領域)に沿った領域は、凹部の内側にある。
【0165】
RF及びマイクロ波エネルギーを送達するために、スリーブ294から延在する、プローブ先端部292の長さは、3mmと8mmの間、好ましくは4mmであり得る。プローブ先端部の幅は、同軸ケーブルの直径と同様でもよく、例えば1.1mmと1.8mmの間、好ましくは1.2mmである。プローブ先端部292の遠位部分の厚さは、0.2mmと0.5mmの間、好ましくは0.3mmであり得る。
【0166】
器具の遠位端の一般的な形状は、スプーン状またはスコップ状であり、その半径は、処置が行われる器官(例えば、腸)の内側領域と一致する。例えば、示される湾曲した構成は、ポリープの下に入って、それをすくい出すのに適している場合がある。
【0167】
器具は、ガス管(図示せず)を組み込んで、ガス供給を、熱または非熱プラズマの生成のためのプローブ先端部に提供できる。導管は、電気手術器具として使用する間、注入機能に液体(例えば、生理食塩水)を供給することもできる。
【0168】
例えば、ガス及び/または生理食塩水は、
図10及び
図11に示される実施形態と同様の方法で、同軸供給線路の内側導体に沿って導入され、プローブ先端部292に形成される開孔から出て注入可能である。あるいは、別個のガス管を、同軸供給線路に沿って取り付けることができる。
【0169】
器具チャネル滅菌に加えて電気手術に適している、プローブ先端部の別の実施形態を、
図13に示す。プローブ先端部402は、その上方表面及び下方表面上に金属被覆層を有する誘電体ブロック416を備える。同軸ケーブル406の内側導体418は、同軸ケーブル406の遠位端から突出し、上方の金属被覆層(第1電極)に電気的に接合される(例えば、はんだを使用して)。同軸ケーブル406の外側導体は、編組終端部420によって下方金属被覆層(第2電極)に電気的に接続される。編組終端部420は、外側導体に電気的に接合される管部分と、誘電体ブロック416の下で嵌合し、かつ下方金属被覆層に電気的に接続される、遠位方向に延在するプレート部分と、を備える。
【0170】
この実施形態で、誘電体材料422の成形部分は、誘電体ブロック416の下方表面に取り付けられる。これは、下方金属被覆層に固定されてもよい。誘電体材料422の成形部分は、湾曲しており、その結果、断面で、その下方表面は、誘電体ブロック416の両端の間で円の弦を示す。長手方向で、誘電体材料422の成形部分は、一定の断面を有する近位部分と、下側が誘電体ブロック416の方に徐々に先細り(例えば、湾曲して)になる遠位部分と、を含む。
【0171】
この実施形態で、ガス管408は、針424(例えば、皮下注射針)で終端し、その外径はガス管408よりも小さく、鋭い先端で終端する。針424は、誘電体材料422の成形した部分を通って、長手方向の穿孔426に保持される。誘電体ブロック416に対するガス管408の長手方向の動きは、針424が伸びたり、プローブ先端部から引っ込んだりするのに役立つ。
【0172】
スコープ装置50のハンドル上に配置した回収装置20を通る断面図を、
図14に示す。回収装置20は、矢印18で示す方向に所定の速度で、器具チャネル54から同軸ケーブル12を引っ込めることができる。回収装置20は、モーター(図示せず)及び2つのローラー25を含有する、ハウジング21を備え、そこで、モーターは、歯車23、24を介してローラー25を回転させるために機能する。第1歯車23は、モーターによって直接駆動することができて、各ローラー上の第2歯車24により、回転運動をローラー25へ移動させる。同軸ケーブル12は、ローラー25の間に握持されて、その結果、ローラー25が回転するにつれて、それは器具チャネル54から引っ込められる。
【0173】
回収装置20は、取り付け部分26によって、スコープ装置50に取り外し可能に取り付けられる。回収装置20をスコープ装置50に直接取り付けることによって、ローラー25の回転が、ケーブルに沿って装置本体を移動させるのではなく、同軸ケーブル12を引っ込めるために機能するのを確実にする。したがって、回収装置20は、処置中にユーザが更に相互作用することなく、同軸ケーブルを引っ込めるために設定されることができる。
【0174】
回収装置20は、「逆方向」モードで作動して、器具チャネル54を通って同軸ケーブル12を挿入するように構成されることもできる。逆方向モードは、装置のハウジング21上のスイッチにより、ユーザによって選択されることができる。更に、回収または挿入の速度は、モーターの速度によって設定される。しかし、モーターの速度は、調節可能でもよい。例えば、モーターは、速度を設定するための制御装置を含むことができる。これは、装置のハウジングの制御ノブにより調整されることができる。代替の実施形態で、モーターの動作モード(順方向/逆方向)及び速度は、制御装置の一部であるマイクロコントローラによって設定されることができる。マイクロコントローラ自体が、外部処理装置(例えば、Raspberry Pi(登録商標)またはArduino(登録商標)装置)からの入力を受信することができる。
【0175】
図15は、モーター27、歯車23、24、ローラー25及び器具ケーブル12を通る、断面図を示す。図でわかるように、ローラー25は、ローラーと器具ケーブルの間に良好な適合をもたらす、砂時計断面形状を有して、同軸ケーブル12がローラー25の回転によって滑らかに引っ張られるのを確実にするために、摩擦を増大させる。ローラー25は、同軸ケーブル12の表面形状に適合する、シリコーン材料で製造されてもよい。更に、ローラー25は、矢印28で示される方向に互いに向かって偏っており、ローラー25と同軸ケーブル12の表面の間の良好な接触を確実にする。
【0176】
図16は、回収装置20の別の実施形態の図を示す。この実施形態で、回収装置20は、それがスコープ装置の器具チャネルから引っ込められる際、同軸ケーブル12を周囲に巻きつける、ドラム22を追加として備える。ローラー25の動作によって引っ込められる際、ドラム22は、自動的にドラムの周囲に同軸ケーブル12を巻きつける、ばね仕掛け機構を備えることができる。ガスならびにRF及び/またはマイクロ波EMエネルギーは、接続管42及び接続ワイヤ32を介して同軸ケーブル12へ供給されて、それは、ガス供給部及びジェネレーター(図示せず)にそれぞれ接続することができる。これらの接続は、それが回収装置20によって引っ込められる際、同軸ケーブル12の遠位端のプローブ先端部が、器具チャネルの滅菌を行い得ることを意味する。
【0177】
上述の同じモーター及びローラー機構によって、器具チャネル内に挿入される前に、ドラム22は、同軸ケーブル12を格納するためにも使用できる。ドラム及びハウジングは、滅菌環境を提供できると共に、ケーブル12の格納場所を節約する空間を提供できる。
【0178】
図17A~
図17Cは、スコープ装置50の器具チャネルを滅菌するために使用される、滅菌装置を示す。
図17Aで、挿入管52が下方に垂直に下がるように、スコープ装置50はスタンド60から吊り下げられる。細長い滅菌器具の同軸ケーブル12は、挿入管内の器具チャネルに完全に挿入される。回収装置20は、スコープ装置50に取り付けられて、その近位端に向かって同軸ケーブル12に配置される。ジェネレーター30は、接続ワイヤ32を介して、RF及び/またはマイクロ波周波数EM放射線を細長い器具に提供するように構成される。ガス供給部40は、接続管42を介して、細長い器具にガス(例えば、アルゴン)を供給するように構成される。
【0179】
図17Bで、回収装置20のモーターは、所定の速度でスコープ装置50の器具チャネルから同軸ケーブル12を引っ込めるためにスイッチを入れられる。同時に、同軸ケーブル12の遠位端のプローブ先端部(図示せず)は、非熱プラズマを生成していて、器具チャネルを滅菌する。プラズマは、ガス供給部40から受けたガスの流路全体に、受信したRF及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーから電界を作成することによって、プローブ先端部で発生する。ガスは、細長い器具の長さを延在するガス管を通って、プローブ先端部に到達する。
【0180】
図17Cは、同軸ケーブル12が器具チャネルから完全に引っ込められたときの装置を示す。この時点で、器具チャネルは完全に滅菌されており、洗い流しなどの更なる処理を必要としない。同軸ケーブル12及び挿入管52の両方は、スタンド60から下方に垂直に下がり、それは、他の表面との接触による汚染を回避する。回収装置20は、スコープ装置50に取り付けられたままである。プラズマがプローブ先端部で生成される必要性がそれ以上ない場合、ジェネレーター30及びガス供給部40は、スイッチを切られることができる。
【0181】
図18は、器具チャネルの滅菌に適しており、同軸ケーブル610の遠位端に接続する、プローブ先端部600の平面図を示す。プローブ先端部は、細長い器具が引っ込められる際、器具チャネルの壁に発されることができる、熱または非熱プラズマの円周方向噴射を作成するように構成される。この実施形態で、第1電極602は、導電性材料(例えば、銅)の円板であり、それは、同軸ケーブル610の内側導体に接続している。第2電極604は、導電性材料(例えば、銅)のシリンダーであり、同軸ケーブル610の外側導体に接続している。第2電極604と内側導体の間に、誘電体素子があり、そこで、第1電極602は誘電体素子の端に載置される。第1電極と第2電極の間に環状開口部があり、ガス管の端を画定して、使用されるとき、熱または非熱プラズマが発される。細長い器具は、スリーブ(図示せず)を備え、スリーブと同軸ケーブル610の外側表面の間のガス管を画定するように、器具の近位端から遠位端まで同軸ケーブルを取り囲む。
【0182】
図19は、第1電極602を取り外したときの、
図18のプローブ先端部600の端面図を示す。
図19に示すように、誘電体素子606は、第2電極604と同軸ケーブル610の内側導体612の間に配置される。多くの溝608が、誘電体素子606の外側表面にあり、そこで、ガスは、電界の影響下に置かれて、そうしてプローブ先端部600から発される、熱または非熱プラズマを生成する。等間隔で置かれた溝608は、プラズマを円周方向に発して、器具チャネルの壁に当てることを確実にするのを助ける。誘電体素子606は、それが第2電極604に実質的に等しい長さを有するように、細長くてもよい。