(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】薬物搬送装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20221202BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/32 500
A61M5/32 510T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020101362
(22)【出願日】2020-06-11
(62)【分割の表示】P 2018564843の分割
【原出願日】2017-09-08
【審査請求日】2020-06-11
(32)【優先日】2016-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516272629
【氏名又は名称】ウェイ,ミン
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ミン
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4129130(US,A)
【文献】国際公開第2015/138261(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0222539(US,A1)
【文献】特表2016-508786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と、近位端とを有し、薬物内容物を維持するために用いられる容器本体であって、前記容器本体は、前記遠位端にフランジと、前記近位端にレッジを備え、
前記容器本体の内部に設けられ、薬物内容物を密封するために用いられるピストンと、
前記容器本体に設けられ、前記ピストンを遠位端に移動させるとともに、前記容器本体の近位端側に取り付けられるプッシュロッドであって、前記ピストンが前記容器本体の前記近位端から前記容器本体の前記遠位端へと移動する際、前記プッシュロッドの縦方向の軸が、前記容器本体の縦方向の軸と一列に並んだ状態を保持するように、前記レッジと接続され、
前記プッシュロッドは、前記プッシュロッドが前記レッジから抜けないように、前記レッジと係合できるように突出した形状を有するプッシュロッドと、
前記容器本体の遠位端に設けられ、前記容器本体から患者への薬物内容物搬送用の開口を有する接続装置であって、前記フランジと接続するように構成される、接続装置と、
備える、注射装置。
【請求項2】
前記容器本体と前記接続装置との間に設けられたシールリングをさらに備える請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記接続装置上のルアー設計をさらに備える請求項1に記載の注射装置。
【請求項4】
予め前記接続装置に設けられた注射針をさらに備える請求項1に記載の注射装置。
【請求項5】
注射針を守るための針シェルダをさらに備える請求項4に記載の注射装置。
【請求項6】
前記針シェルダは、薬物注射時に突き刺される請求項5に記載の注射装置。
【請求項7】
直線部と斜線部を有する軌道を備えたハウジングと、駆動スプリングと、前記駆動スプリングによって、前記ハウジング内で前記容器本体と前記接続装置を遠位端に移動させて、薬物内容物を注射するために前記容器本体の外部へ押し出すように前記プッシュロッドを前方へ推し進めるため、前記ハウジングの前記軌道に沿って移動するプッシュキャップと、をさらに備える、請求項1に記載の注射装置。
【請求項8】
前記プッシュロッドは、複数回の注射に用いられる複数のセクションを有する請求項1に記載の注射装置。
【請求項9】
前記容器本体と前記接続装置との間に設けられ、注射前に薬物内容物の前記注射針との接触を防止するために用いられる、
圧力によって開放可能な密封バルブをさらに備える請求項1に記載の注射装置。
【請求項10】
前記注射針の無菌化を維持する針キャップをさらに備える請求項
9に記載の注射装置。
【請求項11】
前記容器本体の前記近位端の内径は、前記容器本体の前記遠位端の内径よりも小さい請求項1に記載の注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体薬品を搬送するために用いられる薬物投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
注射薬物がますます流行になったことにつれて、液体薬品の注射装置が広く利用されている。プレフィルドシリンジは、現段階では液体薬品の薬物注射装置として主に使われる形である。プレフィルドシリンジや自動注射器といった注射式薬物投与装置は、薬品の製造・管理の簡単化および針による損傷の減少に繋がるため、患者とって利便性と服薬遵守に有利である。したがって、従来の手動式注射器より、より多くの患者と医療看護者が自動注射装置を使用する傾向がある。しかし、従来のプレフィルドシリンジは、最初に手動でアンプルや水薬瓶から液体薬品を吸い取って、そして注射により液体薬品を送達するように設計されるものである。このような設計は、以下の自動注射におけるプレフィルド型の液体形態の問題をもたらす。
【0003】
a.液体製剤の充填と、封止部材であるピストンの設置が注射器の同一端で行われるため、薬物溶液充填後に望ましくない気泡が発生する。気泡は、場合によっては問題を引き起こす。例えば、気泡は、静脈注射の薬物投与に悪い影響を与えたり、少量注射の際に(例えば硝子体注射)投与量の正確度を低下させたりする。
b.即ちプラスチック製/ポリマー製注射器は、現在の設計に従って製造されるため、射出成形の製造技術の制約により、注射針側の注射器内径は、通常ピストン側の注射器内径より少し小さくなる。一方、自動注射器において使われるピストン駆動用スプリングは、注射器の針側に到達すると、少しの機械力が発生する。以上の設計のコンフリクトにより、注射器の設計者が必要以上の強力なスプリングを使用せざるを得なくなり、保存又は注射操作プロセスにおいて、部品の無効化を引き起こすことがある。
c.即ちガラス式プレフィルドシリンジが現在のルアーロック接続に基づいて設定される場合、ルアーロックと一体に組み立てられると、ルアーロックが回転する恐れがある。
d.現在のプレフィルドシリンジは、単一の薬物容器から複数回の正確な注射を行う機能が設計されていない。
e.32g針など小型針を必要とする場合、現在のステーキドニードルの形態は、設計と生産の制約から、実行できない。
f.現在、容器/器械部品と薬物との適合問題の存在が知られている。例えば、スチール製針からFeイオンが発生するが、Feイオンによって、アドレナリン自動注射器でプレフィルドシリンジ内のアドレナリンの酸化を引き起こす。ガラス式プレフィルドシリンジのタングステンイオンによって、注射器の中の蛋白薬物の凝集を引き起こす。ガラス式プレフィルドシリンジの亜鉛イオンによって、注射器の中の蛋白薬剤のゲル化を引き起こす。また、一部の薬剤に強烈な溶剤が用いられ、または極端なPHを有するため、ステーキドニードル付きのプレフィルドシリンジでの使用に適しない。
以上の原因から、新規な設計に基づく注射装置は、ユーザに必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、薬物搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の薬物搬送装置の設計を提案する。これらの設計は、1)薬物充填端にフランジを有し、反対側にレッジを有する注射器状の容器本体、2)プッシュロッドに押され、薬物を容器本体から押し出すことに用いられるピストン、3)薬物流出通路を提供
するために用いられるコネクタを含む。本発明の目的は、従来技術の1つまたは複数の欠点を克服することにある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一つの長所として、該装置に薬物を充填することは、薬物注射端から行われる。薬物がピストン端から充填される方法に比べて、気泡は、大幅に減少され、場合によって除去される。
【0007】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、例えば、0.05mLの正確な薬剤投与など、少量の薬剤投与に用いられる。
【0008】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、例えば32gなど、スモールゲージの注射針に用いられる。
【0009】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、ルアーロックの回転問題が存在しない。
【0010】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、ピストンと容器本体との間の摩擦力が注射中に徐々に小さくなる。
【0011】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、注射針復帰機構付きの新型な自動薬物投与装置が確立される。
【0012】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、気泡が使用者によって正確に除去される。
【0013】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、複数の投与量が正確に搬送される。
【0014】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、薬物と注射針および注射針シェルダとの不適合問題が除去される。
【0015】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、ステーキドニードルの場合、注射針シェルダを使用してなくてもよい。
【0016】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、同一の容器本体で、注射量が変更可能である。
【0017】
本発明の一つの長所として、少なくとも1つの設計において、同一の容器本体で、異なる量の薬剤が医療上のニーズに応じて搬送される。
【0018】
操作の利便性と独特な機能的特徴から、本発明の薬物搬送装置は、医療関係者や、長期的または一時的障害を有する患者の広範な使用に非常に適用する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面は模式的なものであり、明確化のために簡略化を行い、しかも本発明を理解するために必要な部分だけを示して、他の細部を省略している。全文において、同一の参照記号は、同一や相当する部分に使用される。
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の注射装置アセンブリの実施例の組立図。
【
図2】
図2は、本発明の注射装置アセンブリの実施例の分解図。
【
図3】
図3は、本発明の注射器アセンブリの実施例の容器本体サブアセンブリの薬剤充填プロセス。
【
図4】
図4は、本発明の注射器アセンブリの実施例の容器本体サブアセンブリの梱包方式。
【
図5】
図5は、本発明の注射装置アセンブリの第1代替実施例の組立図。
【
図6】
図6は、本発明の注射装置アセンブリの第1代替実施例の分解図。
【
図7】
図7は、本発明の注射装置アセンブリの第1代替実施例の断面図。
【
図8】
図8は、本発明の注射装置アセンブリの第2代替実施例の組立図。
【
図9】
図9は、本発明の注射装置アセンブリの第3代替実施例の組立図。
【
図10】
図10は、本発明の注射装置アセンブリの第3代替実施例の分解図。
【
図11】
図11は、本発明の注射装置アセンブリの第3代替実施例の一連の薬物注射プロセス。
【
図12】
図12は、本発明の注射装置アセンブリの第3代替実施例の一連の薬物注射プロセス。
【
図13】
図13は、本発明の注射装置アセンブリの第3代替実施例の別構造の組立図。
【
図14】
図14は、本発明の注射装置アセンブリの第4代替実施例の組立図。
【
図15】
図15は、本発明の注射装置アセンブリの第4代替実施例の断面図。
【
図16】
図16は、本発明の注射装置アセンブリの第4代替実施例の分解図。
【
図17】
図17は、本発明の注射装置アセンブリの第4代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図18】
図18は、本発明の注射装置アセンブリの第4代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図19】
図19は、本発明の注射装置アセンブリの第4代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図20】
図20は、本発明の注射装置アセンブリの第5代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図21】
図21は、本発明の注射装置アセンブリの第5代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図22】
図22は、本発明の注射装置アセンブリの第5代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図23】
図23は、本発明の注射装置アセンブリの第5代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図24】
図24は、本発明の注射装置アセンブリの第5代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図25】
図25は、本発明の注射装置アセンブリの第5代替実施例の一連の活性化と薬物注射プロセス。
【
図26】
図26は、本発明の注射装置アセンブリの第6代替実施例の組立図。
【
図27】
図27は、本発明の注射装置アセンブリの第6代替実施例の分解図。
【
図28】
図28は、本発明の注射装置アセンブリの第6代替実施例の一連のスリットバルブ操作プロセス。
【
図29】
図29は、本発明の注射装置アセンブリの第6代替実施例の一連のスリットバルブ操作プロセス。
【
図30】
図30は、本発明の注射装置アセンブリの第6代替実施例の断面図。
【
図31】
図31は、本発明の注射装置アセンブリの第6代替実施例のスリットバルブ操作プロセスの詳細断面図。
【
図32】
図32は、本発明の注射装置アセンブリの第6代替実施例のスリットバルブ操作プロセスの詳細断面図。
【
図33】
図33は、本発明の注射装置アセンブリの第7代替実施例の組立図。
【
図34】
図34は、本発明の注射装置アセンブリの第7代替実施例の分解図。
【
図37】
図37は、本発明の注射装置アセンブリの第8代替実施例の組立図。 全ての図面において、対応する部品は、同一の参照記号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明を通じて、本発明を全面的に理解することができる。図面は、例示説明の方式で与えられ、本発明の制約条件ではない。
【0022】
本発明で提案する装置と方法は、例えば薬物など、いかなる適切な治療剤又は物質を患者の体内に注入することに用いられる。最初に、定義を簡便にするために、用語「遠位端」は、装置の注射部位に近い端部を意味し、用語「近位端」とは、装置主体の縦方向軸線に沿って、前記「遠位端」の反対側を表す。用語「上」、「下」、「右」及び「左」は、図面の方向を表す。用語「内部へ」と「外部へ」は、それぞれに内向きと外向き方向を表す。
【0023】
図1から
図4は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ10の構造と機能メカニズムである。注射装置アセンブリ10において、容器102にピストン103が設けられている。薬物は、ルアーロック機構104b付きのコネクタ104から搬出される。ルアーロック機構104bには、ルアーロック接続に用いられる内部ねじを有する。チップキャップ106が外されると、ルアーロック注射針は、ルアーロック機構104bを介して注射装置アセンブリ10に取り付けられる。容器102とコネクタ104とは、スナップフィットを介して接続される。スナップフィットは、容器102上の外方フランジ機構102bとコネクタ104上のスナップフィット機構104aで形成される。ここのスナップフィットは、配向性を有する。したがって、ルアーロックの回転問題が避けられる。弾性シールリング105は、ルアーロックコネクタ104と容器102との間に設けられている。ルアーロックコネクタ104と容器102とは粘着剤または超音波熔接で結合される場合、弾性シールリング105を使用しなくてもよい。プッシュロッド101は、容器102の近位端に設けられ、ショルダ状設計101aは、容器102の内方レッジ機構102cに着陸する。薬物投与プロセス中に、プッシュロッド101は、ピストン103を容器102の遠位端に移動させる。このような方式によって、薬物は、搬送される。この設計では、容器102の遠位端の内径は、容器102の近位端の内径より大きい。したがって、注射プロセスの後期において、注射の抵抗力(ピストンと容器との間の摩擦力)は、小さくなる。図面では、
図3において、注射装置アセンブリ10の薬物充填プロセスを示す。ここで、充填プロセスは、容器102の遠位端で行われる。充填プロセスにおいて、サブアセンブリ10aは、巣状ホルダ140(容器充填プロセスで使用される通常形態)の円柱形の開口140aに設けられ、サブアセンブリ10a上の機構102aを介して開口140a上の機構140aaに接続される。機構102aと機構140aaの接続は、同時にサブアセンブリ10aに対し配向制御を与える。充填プロセス終了後、容器102上のフランジ機構102bとコネクタ104上の機構104aとのスナップフィットによって、シールリング105、コネクタ104およびチップキャップ106は、容器サブアセンブリ10aと一体に組み立てられる。
【0024】
図5から
図7は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ20の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ20において、薬物流出通路は、中空注射針204aを経過する。ここで、注射針204aは、コネクタ204に設けられている。弾性体針シェルダ206は、中空注射針204aの開口を密封するために用いられる。
図7は、プッシュロッド101上のレッジ機構101aが容器202の内方レッジ機構202bに設けられていることを示す。
【0025】
図8は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ30の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ30において、スペース機構301a付きのプッシュロッド301が用いられる。スペース機構301aは、容器202の内方レッジ機構202bに設けられている。スペース機構301aの長さを変更させることによって、ピストン103は、容器202の軸線方向に沿う異なる位置に位置する。このような方法によれば、同一の容器202に対し、気泡を生じさせずに異なる充填体積を得ることができる。
【0026】
図9と
図10は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ40の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ40において、扁平側面機構401a付きのプッシュロッド401が用いられる。容器402は、プラスチック製であることが好適である。容器402に対し、近位端の内径が遠位端の内径より小さくなることが最適である。扁平側面機構401aによれば、プッシュロッド401と容器402は、レッジ機構402a上の配向性の孔によって方向上一致する接続図を形成する(
図11と
図13に示されている)。
図11と
図12は、注射装置アセンブリ40の側面図である。側面図から、ショルダ状機構401bが容器402のレッジ機構402aに設けられることが分かる。
図13は、注射装置アセンブリ40の別の設計案の注射装置アセンブリ41である。注射装置アセンブリ41において、突刺可能な針シェルダ406は、注射針204aを守るために用いられる。注射プロセスにおいて、注射針204aは、針シェルダ406を突き刺さって注射する。
【0027】
図14から
図19は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ50の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ50において、注射装置アセンブリ41と他の部品と共に自動注射装置を形成する。注射装置アセンブリ50において、駆動スプリング502は、ハウジング上部501とプッシュキャップ503の間に設けられている。プッシュキャップ503によって、駆動スプリング502で生じるバネ力は、プッシュロッド401に印加される。プッシュキャップ503には、配向性の窓機構503aとキー機構503bを有する。活性化ボトムキャップ506が注射部位に置かれて押されると、活性化ボトムキャップ506上のテーパー状機構506aは、ハウジング上部501上の機構501aと共に機構501aを外方へ移動させる。その結果、ハウジング上部501のロックと機構501bも外方へ移動してプッシュキャップ503を開放する。駆動スプリング502は、それからプッシュキャップ503を下方へ移動させる。プッシュキャップ503は、さらにプッシュロッド401を下方へ移動させる。流体力学的抵抗のため、注射装置アセンブリ41は、下方へ移動するようにプッシュされ、注射針204aは、針キャップ406を突き刺さって注射部位に注入して薬物を投与する。プッシュキャップ503が下方へ移動すると、キー機構503bは、ハウジング505上の軌道機構505bに沿って移動する。軌道機構505bは、直線部と斜線部を有する。注射プロセス終了段階で、キー機構503bは、軌道機構505bの直線部から斜線部に移動し、プッシュキャップ503を回転させる(
図17、
図18)。プッシュロッド401がプッシュキャップ503上の配向性の窓機構503aと同一の方向になるまで、プッシュキャップ503が回転すると、プッシュロッド401は、窓機構503aを通過して上方へ移動する。それから、ボトムプッシュスプリング504は、注射装置アセンブリ41を上方へ移動させる。同時に、薬物が完全に注射されると、注射針204aは、注射部位から抜き出される(
図19)。
【0028】
図20から
図25は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ60の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ60において、プッシュロッド601が導入される。プッシュロッド601には、601aと、601bと、601cの3部分からなる。薬物注射の開始段階で、使用者がプッシュロッド601を遠位端に移動させ、601aの部分が容器402に着陸すると、プッシュロッド601の移動が停止する。60
1bの部分が円柱形であるため、使用者は、601aの部分と容器402のレッジ機構402a上の配向性の孔との方向が一致するように、プッシュロッド601を90度回転させる。それから、使用者は、さらにプッシュロッド601をプッシュして第2の薬剤量の注射を実現する(
図24、
図25)。この実施例は、本発明を使用して複数の薬物投与を行う方法を紹介した。この設計は、例えば硝子体注射などの少量注射にも有利である。硝子体注射において、例えば0.05mLの少量注射前に、気泡を正確に除去する必要がある。物理的な停止設計がないため、従来のプレフィルドシリンジでは、正確な薬物投与に影響を与えずに気泡を正確に除去することが難しい。
【0029】
注射装置アセンブリ60の設計によれば、使用者は、601aの部分が容器402に着陸するまでプッシュロッド601を遠位端にプッシュし、プッシュロッドを停止させることによって気泡を除去する。それから、使用者は、601aの部分と容器402のレッジ機構402a上の配向性の孔との方向が一致するように、プッシュロッド601をプッシュする。さらに、使用者は、引き続きプッシュロッド601をプッシュして少量の薬物投与を正確に行う。
【0030】
図26から
図32は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ70の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ70において、プッシュロッド702は、容器704の近位端に設けられている。ピストン103は、プッシュロッド702と一体に組み立てられる。指プッシュキャップは、プッシュロッド702と近位端で一体に組み立てられる。コネクタ204と容器704との間に弾性的密封可能なスリットバルブ705を有する。弾性的密封可能なスリットバルブ705は、容器704に充填されている薬物とコネクタ204、および注射針204aと針シェルダ206の間のバリアとされる。弾性的密封可能なスリットバルブ705は、その厚さにわたってスリット設計機構705aを有し、容器704中の薬物の重量による流出を阻止するに充分な弾性を有する。弾性的密封可能なスリットバルブ705の存在によって、薬剤は、注射される前に、コネクタ204、注射針204aおよび針シェルダ206に接触しない。したがって、どんな薬剤であっても、注射針204aと針シェルダ206との不適合問題が避けられる。コネクタ204と容器704は、機構204bと外方延伸フランジ機構704とのスナップフィットによって一体に組み立てられる。容器704上の設計機構704bは、容器704の薬物充填中の配向を制御するために用いられる。薬物注射前に、使用者は、針シェルダ206を外し、それから注射針204aを注射部位に刺し込ませる。注射プロセス中、使用者は、プッシュキャップ710に付勢する。プッシュロッド702は、ピストン103をプッシュして容器704の遠位端に移動させる。このプロセスで、
図29と
図32に示されているように、スリットバルブ705aは、容器704中の薬剤の流体力学的抵抗によって開けられる。
図28と
図29は、それぞれ弾性的密封可能なスリットバルブ705の閉、開状態を示す。スリットバルブ705aが開けられると、薬物は、注射針204aから流出して注射される。
【0031】
上記した実施例における全ての特徴と設計理念は、ここで互いに変更して組み合わせることによって、新しい設備の実施形態を生じることができる。当業者は、装置、方法及び/又はシステム、及びここで記述する実施例の各コンポネートへの修正(追加及び/又は削除)について、本発明の範囲と思想から逸脱しない限り、このような訂正といかなる同等設計が全て本発明に含まれると理解できる。
【0032】
図33から
図34は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ80の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ80において、ニードルコネクタ806上の機構806bと針キャップ808上の機構808aによって、ニードルコネクタ806と針キャップ808のねじ接続で当該装置の無菌を保証する。したがって、針シェルダを必要としない。この設計によって、従来の弾性的針シェルダを使用する場合針の先が損
害されたり、針が曲げられたりする問題が避けられる。この設計は、例えば32gなどの小型注射針を使用する場合に有利である。アセンブリ80において、弾性的密封可能なスリットバルブ705は、容器704に充填される薬物と注射針806との液体シールとしても使用される。
【0033】
図35から
図36は、弾性的密封可能なスリットバルブ705の2つの代替設計である。
図35において、弾性的密封可能なスリットバルブ905は、2層構造である。薬剤と接触する層905bは、より不活性で、より薬物と適合する材料であり、例えばテフロン(登録商標)やエチレンテトラフルオロエチレン高分子である。また、薬剤と接触する層905bは、より疎水性の材料であって保存プロセスでスリットバルブからの薬物漏洩を減少する。また、層905cは、例えばシリコンゴム、ゴムまたは熱可塑性エラストマーなど、より弾力のある材料であって密封機能を提供する。スリットバルブ設計機構905aは、2層を通過する。
図36において、弾性的密封可能なスリットバルブ1005は、異なるスリットバルブ設計1005aを有する。異なる形状のスリットバルブは、異なる薬剤の漏洩を防止するために用いられる。例えば、低粘度の薬剤には、よりタイトなスリットバルブが使用される。
【0034】
図37は、本発明の実施例である注射装置アセンブリ1100の構造と機能メカニズムである。この実施例の注射装置アセンブリ1100において、容器1104には、レッジ機構1104aに溝機構1104aaを有するとともに、プッシュロッド1102にリブ機構1102aを有する。容器1104がプッシュロッド1102に一体に組み立てられると、リブ機構1102aと溝機構1104aaとは互いにロックする。その結果、プッシュロッド1102は、容器1104に対し回転できない。そして、プッシュキャップ1101とプッシュロッド1102は、機構1102bと機構1101aとのねじ接続によって一体に組み立てられる。機構1101aが容器1104に着陸すると、薬剤投与プロセスが終了する。したがって、1101aの長さを変更させることによって、医療上のニーズに応じた異なる薬剤投与量を得ることができる。
【0035】
上記した実施例における全ての特徴と設計理念は、ここで互いに変更して組み合わせることによって、新しい設備の実施形態を生じることができる。当業者は、装置、方法及び/又はシステム、及びここで記述する実施例の各コンポネートへの修正(追加及び/又は削除)について、本発明の範囲と思想から逸脱しない限り、このような訂正といかなる同等設計が全て本発明に含まれると理解できる。