(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】めっき装飾部品の製造方法、めっき装飾部品
(51)【国際特許分類】
C23C 28/00 20060101AFI20221202BHJP
B05D 3/10 20060101ALI20221202BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20221202BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20221202BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20221202BHJP
B44C 3/02 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
C23C28/00 A
B05D3/10 D
B05D5/06 C
B05D7/24 301M
B05D7/24 301T
B05D5/06 104B
B05D3/06 102Z
B44C3/02 Z
(21)【出願番号】P 2021121412
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2021062846の分割
【原出願日】2021-04-01
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 裕四郎
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1483656(JP,S)
【文献】意匠登録第1578392(JP,S)
【文献】意匠登録第1601373(JP,S)
【文献】特開平09-176832(JP,A)
【文献】特開2005-193501(JP,A)
【文献】特開2009-262374(JP,A)
【文献】特開平05-303153(JP,A)
【文献】特開2014-100811(JP,A)
【文献】特開2019-059087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0211295(US,A1)
【文献】実開昭59-187379(JP,U)
【文献】実開昭55-016114(JP,U)
【文献】実開昭55-064996(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C28/00
C25D 7/00
B41J 2/00
B44C 3/02
B44F 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1めっき部を有するとともに前記第1めっき部に対して帯状体、筒状体、又は手指が掛けられるハンガー部材と、
前記ハンガー部材の近傍に設けられた周辺部材であって、第2めっき部と、前記第2めっき部の表面に形成された透光性のある所定形状の立体模様と、を有する周辺部材と、
を備え
、
前記周辺部材は、前記立体模様の上側に前記立体模様を覆うクリア塗装層を有するめっき装飾部品。
【請求項2】
前記立体模様は、透光性のある樹脂で構成される請求項1に記載のめっき装飾部品。
【請求項3】
前記樹脂は、UV硬化型の樹脂である請求項2に記載のめっき装飾部品。
【請求項4】
前記周辺部材は、前記ハンガー部材の支持部を構成する請求項1~
3のいずれか1項に記載のめっき装飾部品。
【請求項5】
前記周辺部材は、前記ハンガー部材に掛けられる前記筒状体を覆うカバーである請求項1~
3のいずれか1項に記載のめっき装飾部品。
【請求項6】
前記ハンガー部材および前記周辺部材の少なくとも一方は、建築金物である請求項1~
5のいずれか1項に記載のめっき装飾部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき及び装飾が施されためっき装飾部品の製造方法、めっき装飾部品に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾体の製造方法が知られている(特許文献1参照)。この方法は、基材にめっきを施し、このめっき面を研磨材で処理してめっき面に凹凸を形成した後に、仕上げ塗装をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の方法では、めっき面に対して研磨処理をするために、めっき面或いは基材そのものに傷がつき、めっき面や仕上げ塗装の耐食性に関して十分でない問題がある。
【0005】
本発明の目的は、簡単な方法によって耐食性が良好で新しい質感を持つめっき装飾部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)のめっき装飾部品の製造方法は、
基材に対してめっきを施してめっき部を形成するめっき部形成工程と、
前記めっき部に対して、透光性のあるUV硬化型インクを印刷して、所定形状の立体模様をなしたUV硬化型インク層を形成するUV硬化型インク層形成工程と、
前記UV硬化型インク層に対してUVを照射して硬化させるUV照射工程と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)のめっき装飾部品の製造方法は、(1)記載のめっき装飾部品の製造方法であって、
前記めっき部形成工程の後で、前記UV硬化型インク層形成工程の前に、前記めっき部に対してプライマーを印刷して、前記めっき面上で所定の模様をなしたプライマー層を形成するプライマー層形成工程をさらに備え、
前記UV硬化型インク層形成工程では、前記所定の模様をなしたプライマー層の上側に、前記所定の模様をなしたUV硬化型インク層を形成する。
【0008】
また、本発明(3)のめっき装飾部品の製造方法は、(1)記載のめっき装飾部品の製造方法であって、
前記めっき部形成工程の後で、前記UV硬化型インク層形成工程の前に、前記めっき部に対してクリア塗装を施してクリア塗装層を形成するクリア塗装層形成工程をさらに備え、
前記UV硬化型インク層形成工程では、前記クリア塗装層の上側に、前記所定の模様をなしたUV硬化型インク層を形成する。
【0009】
また、本発明(4)のめっき装飾部品の製造方法は、(2)に記載のめっき装飾部品の製造方法であって、
前記めっき部形成工程の後で、前記UV硬化型インク層形成工程の前に、前記めっき部に対してクリア塗装を施してクリア塗装層を形成するクリア塗装層形成工程をさらに備え、
前記プライマー層形成工程では、前記クリア塗装層の上側に、前記所定の模様をなしたプライマー層を形成する。
【0010】
また、本発明(5)のめっき装飾部品の製造方法は、(3)又は(4)に記載のめっき装飾部品の製造方法であって、
前記UV照射工程の後で、前記UV硬化型インク層の上側にクリア塗装を施して第2クリア塗装層を形成する第2クリア塗装層形成工程をさらに備える。
【0011】
また、本発明(6)のめっき装飾部品の製造方法は、(1)~(5)に記載のめっき装飾部品の製造方法であって、
前記UV硬化型インク層形成工程は、インクジェット方式で行われる。
【0012】
また、本発明(7)のめっき装飾部品の製造方法は、(1)~(6)に記載のめっき装飾部品の製造方法であって、
前記基材は、建築金物である。
【0013】
また、本発明(8)のめっき装飾部品は、
第1めっき部を有するとともに前記第1めっき部に対して帯状体、筒状体、又は手指が掛けられるハンガー部材と、
前記ハンガー部材の近傍に設けられた周辺部材であって、第2めっき部と、前記第2めっき部の表面に形成された透光性のある所定形状の立体模様と、を有する周辺部材と、
を備える。
【0014】
また、本発明(9)のめっき装飾部品は、(8)に記載のめっき装飾部品であって、
前記立体模様は、透光性のある樹脂で構成される。
【0015】
また、本発明(10)のめっき装飾部品は、(9)に記載のめっき装飾部品であって、
前記樹脂は、UV硬化型の樹脂である。
【0016】
また、本発明(11)のめっき装飾部品は、(9)又は(10)記載のめっき装飾部品であって、
前記樹脂は、インクジェット方式で印刷される。
【0017】
また、本発明(12)のめっき装飾部品は、(8)~(11)のいずれか1項に記載のめっき装飾部品であって、
前記周辺部材は、前記立体模様の上側に前記立体模様を覆うクリア塗装層を有する。
【0018】
また、本発明(13)のめっき装飾部品は、(8)~(12)のいずれか1項に記載のめっき装飾部品であって、
前記周辺部材は、前記ハンガー部材の支持部を構成する。
【0019】
また、本発明(14)のめっき装飾部品は、(8)~(13)のいずれか1項に記載のめっき装飾部品であって、
前記周辺部材は、前記ハンガー部材に掛けられる前記筒状体を覆うカバーである。
【0020】
また、本発明(15)のめっき装飾部品は、(8)~(14)のいずれか1項に記載のめっき装飾部品であって、
前記ハンガー部材および前記周辺部材の少なくとも一方は、建築金物である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単な方法によって耐食性が良好で新しい質感を持つめっき装飾部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【
図4】
図1に示すめっき装飾部品の左側面図である。
【
図6】第2実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【
図8】第3実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【
図10】
図8に示すめっき装飾部品の底面図である。
【
図11】
図8に示すめっき装飾部品の左側面図である。
【
図12】
図8に示すめっき装飾部品の背面図である。
【
図13】第4実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【
図14】第5実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【
図21】第6実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【
図23】第7実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【
図29】第8実施形態のめっき装飾部品を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照して、めっき装飾部品の実施形態について説明する。めっき装飾部品は、例えば、建物内に設置される建築金物、例えば、小型のタオル掛け、大型のタオル掛け、トイレットペーパーホルダ、ドアノブ、その他として利用される。
[第1実施形態]
【0024】
図1~
図5を参照して、第1実施形態のめっき装飾部品11について説明する。
図1は、めっき装飾部品11の上面図である。
図2は、めっき装飾部品11の正面図である。
図3は、めっき装飾部品11の底面図である。
図4は、めっき装飾部品11の左側面図である。
図5は、めっき装飾部品11の背面図である。めっき装飾部品11の右側面図は、
図4に示す左側面図と対称であることから図示を省略する。
【0025】
めっき装飾部品11は、例えば、建築金物として利用され、より詳細には、小型のタオル掛けとして利用される。
【0026】
めっき装飾部品11は、ハンガー部材12と、ハンガー部材12の近傍に設けられた周辺部材13と、を備える。本実施形態において、ハンガー部材12および周辺部材13は、
図1に示すように、横方向に細長い一体のリング形状に形成されている。
【0027】
ハンガー部材12は、断面略四角形のロッド状をなしており、これに対してタオル等の帯状体を引っかけることができる。ハンガー部材12は、その表面にめっき加工された第1めっき部14を有する。第1めっき部14は、ニッケルめっき、スズ‐コバルトめっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0028】
周辺部材13は、ハンガー部材12に隣接して設けられている。周辺部材13は、略U字形をなし、横方向に細長い一体のリング形状のうち、ハンガー部材12を除いた部分を構成している。周辺部材13は、ハンガー部材12を支持する支持部を構成している。周辺部材13は、建物壁面に取り付けるための取付部15を有する。
図4に示すように、周辺部材13は、建物壁面に取り付けられる取付部15から遠ざかるにつれて、その設置高さが低くなるように、斜めに形成されている。
【0029】
周辺部材13は、第2めっき部16と、第2めっき部16の表面であって、周辺部材13の上面に形成された透光性のある立体模様17と、を有する。第2めっき部16は、ニッケルめっき、スズ‐コバルト合金めっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0030】
立体模様17は、UV硬化型の樹脂で構成されている。本実施形態では、立体模様17は、方形のタイルを格子状に無数に敷き詰めたような形態をなしており、第2めっき部16による金属光沢を所定方向に反射できる。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、タイル調の外観を有する独自の新しい質感を発揮することができる。
【0031】
立体模様17の種類については、後述するインクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上で、適宜に編集することができる。したがって、立体模様の幾何学的形状は、上記タイル調に限られるものではなく、任意の幾何学的形状を採用しうる。
【0032】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用について説明する。本実施形態において、周辺部材13は、タオル等の帯状体が掛けられるハンガー部材12から外れた位置で、ハンガー部材12の支持部として設けられている。このため、当該部分に帯状体が引っ掛けられることはなく、帯状体による接触・摩擦によって立体模様17が剥がれてしまうことが防止される。
【0033】
本実施形態のめっき装飾部品11の製造方法について説明する。本実施形態のめっき装飾部品11の製造方法では、大きく、めっき部形成工程と、クリア塗装層形成工程と、印刷工程と、の3工程がある。さらに、任意の工程として、印刷工程の後に行う第2クリア塗装層形成工程がある。
【0034】
めっき部形成工程では、スチール等の材料で形成された建築金物の基材18に対して、めっきを施してハンガー部材12の第1めっき部14と、周辺部材13の第2めっき部16と、を形成する。めっきとして利用される材料は、ニッケルめっき、スズ‐コバルト合金めっき、クロムめっきのいずれかが選択される。
【0035】
ニッケルめっきの形成では、99.9質量%濃度以上のCuの層を下地めっきとして形成し、その上側に99.9質量%濃度以上のNiの層を仕上げめっきとして形成する。
【0036】
スズ‐コバルト合金めっきの形成では、99.9質量%濃度以上のCuの層を下地めっきとして形成し、さらにその上側に99.9質量%濃度以上のNiの層を下地めっきとして形成する。スズ‐コバルト合金めっきの製作では、その下地めっきの上側に60~65質量%濃度のSnと35~40質量%濃度のCoとの合金の層を仕上げめっきとして形成する。
【0037】
クロムめっきの形成では、99.9質量%濃度以上のCuの層を下地めっきとして形成し、さらにその上側に99.9質量%濃度以上のNiの層を下地めっきとして形成する。クロムめっきの製作では、その下地めっきの上側に99.9質量%濃度以上のCrの層を仕上げめっきとして形成する。
【0038】
めっき形成工程で形成された第1めっき部14および第2めっき部16のうち、周辺部材13に対応する第2めっき部16に対してクリア塗装層を形成するクリア塗装層形成工程を行う。クリア塗装層形成工程は、第2めっき部16に加えて、ハンガー部材12に対応する第1めっき部14に対して行ってもよい。クリア塗装には、透光性のある種々の樹脂材料を用いることができる。クリア塗装層形成工程では、例えば、スプレー方式によって第2めっき部16に対して、クリア塗装層を形成できる。クリア塗装層の材料としては、例えば、透光性のある熱硬化型アクリル樹脂、ウレタン系樹脂、等を好適に用いることができる。熱硬化型アクリル樹脂は、例えば、大豊塗料株式会社製の熱硬化型アクリル樹脂、商品名GAハードを用いることができる。なお、めっき形成工程で形成されるめっきが上記クロムめっきで構成される場合には、十分な耐はがれ性が確保されるために、本クリア塗装層形成工程を要せず、第2めっき部16に対して直接に次の印刷工程を行うことができる。
【0039】
印刷工程には、脱脂工程と、プライマー層形成工程と、UV硬化型インク層形成工程と、が含まれる。脱脂工程では、クリア塗装層又は第2めっき部16で構成される印刷面を脱脂材、例えばダッシアース(株式会社関西モリッツ製)によって洗浄する。続いて、専用に製作した治具の上にめっき装飾部品11の基材18を載置して、印刷面を水平に保持する。
【0040】
続いて、インクジェットプリンター、例えば、UFJ-6042(ミマキエンジニアリング製)によって、インクジェット方式でプライマー層形成工程を行う。プライマー層形成工程では、印刷面に透光性のあるプライマーインク、例えば、PR-200(ミマキエンジニアリング製)を印刷してプライマー層を形成する。プライマー層は、クリア塗装層の上側でなく、第2めっき部16に対して直接に形成してもよい。
【0041】
それに続いて、UV硬化型インク層形成工程を行う。UV硬化型インク層形成工程では、プライマー層が形成された印刷面に透光性のある硬質UVクリアインク、例えば、LH-100(ミマキエンジニアリング製)をインクジェット方式で印刷する。インクジェットプリンターは、これに接続されたコンピュータに記憶されている立体模様の画像の通りに印刷する。立体模様17の種類は、いくつかのパターンの中から、製造作業を行う作業者が適宜に選択することができる。解像度は、例えば600×900dpiである。UV硬化型インク層は、プライマー層の上側ではなく、第2めっき部16に対して直接に形成してもよいし、クリア塗装層の上側に形成してもよい。
【0042】
続いて、インクジェットプリンターを用いて、UV照射工程を行う。UV照射工程では、硬質UVクリアインクが印刷された印刷面にUVを照射して、硬質UVクリアインクを硬化させる。UVの照射回数は、1回でもよいし、複数回であってもよい。
【0043】
UV照射工程の完了後、上記クリア塗装層と同じ材料によって塗装を行う第2クリア塗装形成工程を任意で行ってもよい。第2クリア塗装層形成工程では、第2めっき部16(第1クリア塗装層)およびその上側のUV硬化型インク層に対して第2クリア塗装層を形成する。したがって、第2クリア塗装層は、UV硬化型インク層を覆ってこれを保護するように形成される。第2クリア塗装層形成工程は、ハンガー部材12に対応する第1めっき部14(第1クリア塗装層)に対して行ってもよい。第2クリア塗装層形成工程では、例えば、スプレー方式によって、第2クリア塗装層を形成できる。以上によって、めっき面上に透光性のある立体模様が形成されためっき装飾部品が完成する。
【0044】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。めっき装飾部品11の製造方法は、基材18に対してめっきを施してめっき部を形成するめっき部形成工程と、前記めっき部に対して、透光性のあるUV硬化型インクを印刷して、所定形状の立体模様をなしたUV硬化型インク層を形成するUV硬化型インク層形成工程と、前記UV硬化型インク層に対してUVを照射して硬化させるUV照射工程と、を備える。
【0045】
この構成によれば、めっき部に対して透光性の模様を付与することで、めっき部の光沢に変化を与えて、独特の質感を得ることができる。これによって、めっき装飾部品11に新しく、極めて上質な高級感を与えることができる。これによって、めっき装飾部品11の単価を向上できる。また、エッチング等をすることなくめっき部に凹凸を形成することができ、独自の質感を簡単な工程によって実現できる。これによって、製造コストを削減できる。
【0046】
めっき装飾部品の製造方法は、前記めっき部形成工程の後で、前記UV硬化型インク層形成工程の前に、前記めっき部に対してプライマーを印刷して、前記めっき部上で所定の模様をなしたプライマー層を形成するプライマー層形成工程をさらに備え、前記UV硬化型インク層形成工程では、前記所定の模様をなしたプライマー層の上側に、前記所定の模様をなしたUV硬化型インク層を形成する。
【0047】
この構成によれば、プライマー層によってUV硬化型インク層とめっき部とを強固に結合することができる。これによって、模様を有するめっき部の耐久性を向上できる。
【0048】
めっき装飾部品の製造方法は、前記めっき部形成工程の後で、前記UV硬化型インク層形成工程の前に、前記めっき部に対してクリア塗装を施してクリア塗装層を形成するクリア塗装層形成工程をさらに備え、前記UV硬化型インク層形成工程では、前記クリア塗装層の上側に、前記所定の模様をなしたUV硬化型インク層を形成する。
【0049】
この構成によれば、クリア塗装によって、UV硬化型インクが印刷されためっき部の剥がれを防止できる。これによって、めっき部の高耐久性を実現できる。
【0050】
めっき装飾部品の製造方法は、前記めっき部形成工程の後で、前記UV硬化型インク層形成工程の前に、前記めっき部に対してクリア塗装を施してクリア塗装層を形成するクリア塗装層形成工程をさらに備え、前記プライマー層形成工程では、前記クリア塗装層の上側に、前記所定の模様をなしたプライマー層を形成する。
【0051】
この構成によれば、クリア塗装によって、UV硬化型インクおよびプライマー層が印刷されためっき部の剥がれを防止できる。これによって、めっき部のさらなる高耐久性を実現できる。
【0052】
めっき装飾部品の製造方法は、前記UV照射工程の後で、前記UV硬化型インク層の上側にクリア塗装を施して第2クリア塗装層を形成する第2クリア塗装層形成工程をさらに備える。この構成によれば、第2クリア塗装層形成工程によって、UV硬化型インクの剥がれを防止できる。これによって、めっき部およびUV硬化型インク層の高耐久性を実現できる。
【0053】
前記UV硬化型インク層形成工程は、インクジェット方式で行われる。この構成よれば、UV硬化型インクの印刷に先立つマスキング工程を不要とすることができ、製作工程を簡略化して製造コストを削減できる。
【0054】
基材18は、建築金物である。この構成によれば、透光性の立体模様17を有するめっき部を高耐久性に形成できる。したがって、一般的な雑貨よりも高耐久性が要求される建築金物に対して当該透光性の立体模様17を有するめっき部を好適に適用できる。
【0055】
めっき装飾部品11は、第1めっき部14を有するとともに第1めっき部14に対して帯状体、筒状体、又は手指が掛けられるハンガー部材12と、前記ハンガー部材12の近傍に設けられた周辺部材13であって、第2めっき部16と、前記第2めっき部16の表面に形成された透光性のある所定形状の立体模様17と、を有する周辺部材13と、を備える。
【0056】
この構成によれば、帯状体、筒状体、又は手指が掛けられるハンガー部材12ではなく、その近傍の周辺部に透光性の立体模様17を有する周辺部材13を配置することができる。これによって、帯状体、筒状体、又は手指による接触や摩擦によって、立体模様17が脱落してしまう危険性を低減して、高耐久性のめっき装飾部品11を実現できる。また、上記構成によれば、透光性の立体模様17によって第2めっき部16の光沢を損なうことなく、模様の立体形状によって、独自の質感を与えることができる。これによって、めっき装飾部品11に極めて上質な高級感を持たせることができる。これによって、めっき装飾部品11の単価を向上できる。
【0057】
立体模様17は、透光性のある樹脂で構成される。この構成によれば、例えば、エッチング等でめっき部を溶かして凹凸をつける等の手法を用いることなく、極めて簡単な工程によって、めっき部に立体模様17を形成することができる。また、化学的又は機械的にめっき部を傷つけることもないため、高耐久性のめっき部を実現できる。
【0058】
前記樹脂は、UV硬化型の樹脂である。この構成によれば、UVを用いて短時間で硬化させることができ、製造に要する時間を短縮できる。また、UV硬化という手法を用いることで、めっき部に対して立体模様17を強固に固着させることができる。これによって、立体模様17を有する高耐久性のめっき部を有するめっき装飾部品11を実現できる。
【0059】
前記樹脂は、インクジェット方式で印刷される。この構成によれば、マスキング工程を要することなく、極めて簡単な工程によって、めっき部に対して立体模様17を形成することができる。これによって、製作工程を簡略化して製造コストを削減できる。
【0060】
周辺部材13は、立体模様17の上側に立体模様17を覆うクリア塗装層を有する。この構成によれば、立体模様17の剥がれをより一層防止して、高耐久性のめっき装飾部品11を実現できる。
【0061】
周辺部材13は、ハンガー部材12の支持部を構成する。この構成によれば、帯状体、筒状体、又は手指によって隠れず、利用者の目につきやすい位置で、且つ、接触や摩擦の少ない位置に、立体模様17を有するめっき部を配置することができる。これによって、これまでにない上質な高級感と、高耐久性のめっき部と、低コストのいずれも満足できるめっき装飾部品11を実現できる。
【0062】
ハンガー部材12および周辺部材13の少なくとも一方は、建築金物である。この構成によれば、透光性の立体模様17を有するめっき部を高耐久性に形成できる。したがって、一般的な雑貨よりも高耐久性が要求される建築金物に対して当該透光性の立体模様17を有するめっき部を好適に適用できる。
【0063】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0064】
図6、
図7を参照して、第2実施形態のめっき装飾部品11について説明する。
【0065】
図6は、めっき装飾部品11の上面図である。
図7は、めっき装飾部品11の正面図である。めっき装飾部品11の底面図は、
図3に示す第1実施形態のめっき装飾部品11の底面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の左側面図は、
図4に示す第1実施形態のめっき装飾部品11の左側面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の右側面図は、
図4に示す第1実施形態のめっき装飾部品11の左側面図と対称であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の背面図は、
図5に示す第1実施形態のめっき装飾部品11の背面図と同一であることから図示を省略する。
【0066】
本実施形態では、めっき装飾部品11を構成する基材18の形状は第1実施形態と同様であるが、周辺部材13の第2めっき部16に形成される立体模様17のみが第1実施形態と異なっている。立体模様17が形成される位置、大きさは、第1実施形態と同様である。
【0067】
立体模様17は、UV硬化型の樹脂で構成されている。本実施形態では、立体模様17は、波型が前後方向に関して互い違いに並ぶような形態をなしており、第2めっき部による金属光沢を所定方向に反射できる。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、波型の明暗部分を有する新しい独自の質感を発揮することができる。
【0068】
立体模様17の種類については、後述するインクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上で、適宜に編集することができる。したがって、立体模様17の幾何学的形状は、上記波型に限られるものではなく、任意の幾何学的形状を採用しうる。
【0069】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用および製造方法は、第1実施形態と同様である。立体模様17については、インクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上において、第1実施形態の立体模様17から第2実施形態の立体模様17に差し替えることで、簡単に本実施形態の立体模様17に変更できる。なお、立体模様17については、第1実施形態および第2実施形態のものに限定されるものではなく、それ以外の立体模様であっても好適に適用できる。
[第3実施形態]
【0070】
図8~
図12を参照して、第3実施形態のめっき装飾部品11について説明する。第3実施形態のめっき装飾部品11は、例えば、建築金物として利用され、より詳細には、大型のタオル掛けとして利用される。
【0071】
図8は、めっき装飾部品11の上面図である。
図9は、めっき装飾部品11の正面図である。
図10は、めっき装飾部品11の底面図である。
図11は、めっき装飾部品11の左側面図である。
図12は、めっき装飾部品11の背面図である。めっき装飾部品11の右側面図は、
図11に示す左側面図と対称であることから図示を省略する。
【0072】
ハンガー部材12は、断面略四角形のロッド状をなしており、これに対してタオル等の帯状体を引っかけることができる。ハンガー部材12は、第1実施形態のハンガー部材12よりも、その長手方向に関する長さが大きくなっている。ハンガー部材12は、その表面にめっき加工された第1めっき部14を有する。第1めっき部14は、ニッケルめっき、スズ‐コバルトめっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0073】
周辺部材13は、ハンガー部材12に隣接して設けられている。周辺部材13は、めっき装飾部品11が装着される壁面に対して、これから遠ざかるように突出したブロック状をなしている。周辺部材13は、ハンガー部材12を支持する支持部を構成している。周辺部材13は、建物壁面に取り付けるための取付部15を有する。
【0074】
周辺部材13は、第2めっき部16と、第2めっき部16の表面であって、周辺部材13の上面に形成された透光性のある立体模様17と、を有する。第2めっき部16は、ニッケルめっき、スズ‐コバルト合金めっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0075】
本実施形態では、めっき装飾部品11を構成する基材18の形状は第1実施形態と異なっているが、周辺部材13の第2めっき部16に形成される立体模様17は第1実施形態と共通している。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、タイル調の外観を有する独自の新しい質感を発揮することができる。
【0076】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用について説明する。本実施形態において、周辺部材13は、タオル等の帯状体が掛けられるハンガー部材12から外れた位置で、ハンガー部材12の支持部として設けられている。このため、当該部分に帯状体が引っ掛けられることはなく、帯状体による接触・摩擦によって立体模様17が剥がれてしまうことが防止される。
【0077】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用および製造方法は、第1実施形態と同様である。立体模様17については、インクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上において、第1実施形態の立体模様17をそのまま採用しうる。なお、立体模様17については、第1実施形態のものに限定されるものではなく、それ以外の立体模様17であっても好適に適用できる。
[第4実施形態]
【0078】
図13を参照して、第4実施形態のめっき装飾部品11について説明する。
【0079】
図13は、めっき装飾部品11の上面図である。めっき装飾部品11の正面図は、
図9に示す第3実施形態のめっき装飾部品11の正面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の底面図は、
図10に示す第3実施形態のめっき装飾部品11の底面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の左側面図は、
図11に示す第3実施形態のめっき装飾部品11の左側面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の右側面図は、
図11に示す第3実施形態のめっき装飾部品11の左側面図と対称であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の背面図は、
図12に示す第3実施形態のめっき装飾部品11の背面図と同一であることから図示を省略する。
【0080】
本実施形態では、めっき装飾部品11を構成する基材18の形状は第3実施形態と同様であるが、周辺部材13の第2めっき部16に形成される立体模様17のみが第3実施形態と異なっている。立体模様17が形成される位置、大きさは、第3実施形態と同様である。
【0081】
立体模様17は、UV硬化型の樹脂で構成されている。本実施形態では、立体模様17は、第2実施形態と同様に、波型が前後方向に関して互い違いに並ぶような形態をなしており、第2めっき部16による金属光沢を所定方向に反射できる。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、波型の明暗部分を有する新しい独自の質感を発揮することができる。
【0082】
立体模様17の種類については、後述するインクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上で、適宜に編集することができる。したがって、立体模様17の幾何学的形状は、上記波型に限られるものではなく、任意の幾何学的形状を採用しうる。
【0083】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用および製造方法は、第3実施形態と同様である。立体模様17については、インクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上において、第3実施形態の立体模様17から第2実施形態と同様の立体模様17に差し替えることで、簡単に本実施形態の立体模様17に変更できる。なお、立体模様17については、第3実施形態および第2実施形態のものに限定されるものではなく、それ以外の立体模様17であっても好適に適用できる。
[第5実施形態]
【0084】
図14~
図20を参照して、第5実施形態のめっき装飾部品11について説明する。第5実施形態のめっき装飾部品11は、例えば、建築金物として利用され、より詳細には、トイレットペーパーホルダとして利用される。
【0085】
図14は、めっき装飾部品11の上面図である。
図15は、めっき装飾部品11の正面図である。
図16は、めっき装飾部品11の底面図である。
図17は、めっき装飾部品11の左側面図である。
図18は、めっき装飾部品11の右側面図である。
図19は、めっき装飾部品11の背面図である。
【0086】
めっき装飾部品11は、ハンガー部材12と、ハンガー部材12の近傍に設けられた周辺部材13と、を備える。ハンガー部材12および周辺部材13は、いずれも建築金物である。
【0087】
ハンガー部材12は、断面略四角形のロッド状をなしており、
図16に示すように、略「C」字状に折り曲げられている。ハンガー部材12に対して、
図20に示すように、トイレットペーパー等の筒状体を引っかけることができる。ハンガー部材12は、その表面にめっき加工された第1めっき部14を有する。第1めっき部14は、ニッケルめっき、スズ‐コバルトめっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0088】
周辺部材13は、ハンガー部材12に隣接して、ハンガー部材12の上側に設けられている。周辺部材13は、ハンガー部材12に掛けられるトイレットペーパー等の筒状体を覆うカバーで構成される。
【0089】
周辺部材13は、周辺部材本体21と、建物壁面に取り付けるための取付部15と、ハンガー部材12を支持する支持部22と、支持部22に設けられ周辺部材本体21を回動可能に支持するヒンジ部23と、を有する。周辺部材本体21は、平板状に形成されている。
【0090】
周辺部材13は、第2めっき部16と、第2めっき部16の表面であって、周辺部材本体21の上面に形成された透光性のある立体模様17と、を有する。第2めっき部16は、ニッケルめっき、スズ‐コバルト合金めっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0091】
立体模様17は、UV硬化型の樹脂で構成されている。本実施形態では、立体模様17は、第1実施形態と同様に、タイル調をなしており、第2めっき部16による金属光沢を所定方向に反射できる。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、波型の明暗部分を有する新しい独自の質感を発揮することができる。
【0092】
立体模様17の種類については、後述するインクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上で、適宜に編集することができる。したがって、立体模様17の幾何学的形状は、上記タイル調に限られるものではなく、任意の幾何学的形状を採用しうる。
【0093】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用について説明する。本実施形態において、
図20に示すように、周辺部材13は、トイレットペーパー等の筒状体31が掛けられるハンガー部材12から外れた位置で、筒状体31のカバーとして設けられている。その際、周辺部材本体21は、ヒンジ部23を中心に回動することができ、内側のハンガー部材12に対して筒状体31を引っ掛けることができる。このため、周辺部材13に筒状体31が引っ掛けられることはなく、筒状体31による接触・摩擦によって立体模様17が剥がれてしまうことが防止される。
【0094】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用および製造方法は、第1実施形態と同様である。なお、立体模様17については、第1実施形態のものに限定されるものではなく、それ以外の立体模様17であっても好適に適用できる。
【0095】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。周辺部材13は、ハンガー部材12に掛けられる筒状体31を覆うカバーである。
【0096】
この構成によれば、筒状体によって隠れず、利用者の目につきやすい位置で、且つ、接触や摩擦の少ない位置に、立体模様17を有するめっき部を配置することができる。これによって、これまでにない上質な高級感と、高耐久性のめっき部と、低コストのいずれも満足できるめっき装飾部品11を実現できる。
[第6実施形態]
【0097】
図21~
図22を参照して、第6実施形態のめっき装飾部品11について説明する。第6実施形態のめっき装飾部品11は、例えば、建築金物として利用され、より詳細には、トイレットペーパーホルダとして利用される。
【0098】
図21は、めっき装飾部品11の上面図である。
図22は、めっき装飾部品11の正面図である。めっき装飾部品11の底面図は、
図16に示す第5実施形態のめっき装飾部品11の底面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の左側面図は、
図17に示す第5実施形態のめっき装飾部品11の左側面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の右側面図は、
図18に示す第5実施形態のめっき装飾部品11の右側面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の背面図は、
図19に示す第5実施形態のめっき装飾部品11の背面図と同一であることから図示を省略する。
【0099】
本実施形態では、めっき装飾部品11を構成する基材18の形状は第5実施形態と同様であるが、周辺部材13の第2めっき部16に形成される立体模様17のみが第5実施形態と異なっている。立体模様17が形成される位置、大きさは、第5実施形態と同様である。
【0100】
立体模様17は、UV硬化型の樹脂で構成されている。本実施形態では、立体模様17は、第2実施形態と同様に、波型が前後方向に関して互い違いに並ぶような形態をなしており、第2めっき部16による金属光沢を所定方向に反射できる。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、波型の明暗部分を有する新しい独自の質感を発揮することができる。
【0101】
立体模様17の種類については、後述するインクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上で、適宜に編集することができる。したがって、立体模様17の幾何学的形状は、上記波型に限られるものではなく、任意の幾何学的形状を採用しうる。
【0102】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用および製造方法は、第5実施形態と同様である。立体模様17については、インクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上において、第5実施形態の立体模様17から第2実施形態と同様の立体模様17に差し替えることで、簡単に本実施形態の立体模様17に変更できる。なお、立体模様17については、第5実施形態および第2実施形態のものに限定されるものではなく、それ以外の立体模様17であっても好適に適用できる。
[第7実施形態]
【0103】
図23~
図28を参照して、第7実施形態のめっき装飾部品11について説明する。第7実施形態のめっき装飾部品11は、例えば、建築金物として利用され、より詳細には、ドアノブとして利用される。
【0104】
図23は、めっき装飾部品11の上面図である。
図24は、めっき装飾部品11の正面図である。
図25は、めっき装飾部品11の底面図である。
図26は、めっき装飾部品11の左側面図である。
図27は、めっき装飾部品11の右側面図である。
図28は、めっき装飾部品11の背面図である。
【0105】
めっき装飾部品11は、ハンガー部材12と、ハンガー部材12の近傍に設けられた周辺部材13と、を備える。めっき装飾部品11は、
図23に示すように、上方から見て「L」字形に折れ曲がったロッド形状に形成されている。
【0106】
ハンガー部材12は、断面略四角形のロッド状をなしており、これに対して手指を引っかけることができる。ハンガー部材12は、その表面にめっき加工された第1めっき部14を有する。第1めっき部14は、ニッケルめっき、スズ‐コバルトめっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0107】
周辺部材13は、ハンガー部材12に隣接して設けられている。周辺部材13は、ハンガー部材12を支持する支持部を構成している。周辺部材13は、建物壁面に取り付けるための取付部15と、取付部15に対して回転してドアラッチを解除する軸部24と、を有する。
【0108】
周辺部材13は、第2めっき部16と、第2めっき部16の表面であって、周辺部材13の上面に形成された透光性のある立体模様17と、を有する。第2めっき部16は、ニッケルめっき、スズ‐コバルト合金めっき、クロムめっきのいずれかであってよい。
【0109】
立体模様17は、UV硬化型の樹脂で構成されている。本実施形態では、立体模様17は、第1実施形態と同様に、タイル調をなしており、第2めっき部16による金属光沢を所定方向に反射できる。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、波型の明暗部分を有する新しい独自の質感を発揮することができる。
【0110】
立体模様17の種類については、後述するインクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上で、適宜に編集することができる。したがって、立体模様17の幾何学的形状は、上記タイル調に限られるものではなく、任意の幾何学的形状を採用しうる。
【0111】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用について説明する。本実施形態において、周辺部材13は、手指が掛けられるハンガー部材12から外れた位置で、ハンガー部材12の支持部として設けられている。このため、当該部分に手指が引っ掛けられることはなく、手指による接触・摩擦によって立体模様17が剥がれてしまうことが防止される。
【0112】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用および製造方法は、第1実施形態と同様である。なお、立体模様17については、第1実施形態のものに限定されるものではなく、それ以外の立体模様17であっても好適に適用できる。
[第8実施形態]
【0113】
図29を参照して、第8実施形態のめっき装飾部品11について説明する。第8実施形態のめっき装飾部品11は、例えば、建築金物として利用され、より詳細には、ドアノブとして利用される。
【0114】
図29は、めっき装飾部品11の上面図である。めっき装飾部品11の正面図は、
図24に示す第7実施形態のめっき装飾部品11の正面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の底面図は、
図25に示す第7実施形態のめっき装飾部品11の底面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の左側面図は、
図26に示す第7実施形態のめっき装飾部品11の左側面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の右側面図は、
図27に示す第7実施形態のめっき装飾部品11の右側面図と同一であることから図示を省略する。めっき装飾部品11の背面図は、
図28に示す第7実施形態のめっき装飾部品11の背面図と同一であることから図示を省略する。
【0115】
本実施形態では、めっき装飾部品11を構成する基材18の形状は第7実施形態と同様であるが、周辺部材13の第2めっき部16に形成される立体模様17のみが第7実施形態と異なっている。立体模様17が形成される位置、大きさは、第7実施形態と同様である。
【0116】
立体模様17は、UV硬化型の樹脂で構成されている。本実施形態では、立体模様17は、第2実施形態と同様に、波型が前後方向に関して互い違いに並ぶような形態をなしており、第2めっき部16による金属光沢を所定方向に反射できる。このため、本実施形態の立体模様17は、金属光沢を有していながら、波型の明暗部分を有する新しい独自の質感を発揮することができる。
【0117】
立体模様17の種類については、後述するインクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上で、適宜に編集することができる。したがって、立体模様17の幾何学的形状は、上記波型に限られるものではなく、任意の幾何学的形状を採用しうる。
【0118】
本実施形態のめっき装飾部品11の作用および製造方法は、第7実施形態と同様である。立体模様17については、インクジェットプリンターに接続されたコンピュータ(PC)上において、第7実施形態の立体模様17から第2実施形態と同様の立体模様17に差し替えることで、簡単に本実施形態の立体模様17に変更できる。なお、立体模様17については、第7実施形態および第2実施形態のものに限定されるものではなく、それ以外の立体模様であっても好適に適用できる。
【0119】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、異なる実施形態を適宜に組み合わせて一つの発明を構成することも当然にできる。
【符号の説明】
【0120】
11 めっき装飾部品
12 ハンガー部材
13 周辺部材
14 第1めっき部
15 取付部
16 第2めっき部
17 立体模様
18 基材
21 周辺部材本体
22 支持部
23 ヒンジ部
24 軸部