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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】上下2段式駐輪施設
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
E04H6/06 X
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022160012
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2022-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519317114
【氏名又は名称】株式会社CPM
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 敬子
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-014311(JP,A)
【文献】特開2019-34704(JP,A)
【文献】特許第6670336(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/06
B62H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準面に設定される横方向に沿って直線状に配設された固定レールに対し平面視で直交又は斜め交差する長手方向に載置され前記固定レール上をスライド可能な複数のスライドラックと、横方向に沿って基準面から一定のピッチで立設された支柱ごとに片持ち状に長手方向へ突出して支持され前記支柱に沿って昇降可能な昇降ラックとを有し、下段に位置する前記スライドラックの横方向へのスライドにより生じた空きスペースにおいて前記昇降ラックが上段と下段との間で昇降可能となる上下2段式駐輪施設であって、
前記昇降ラックごとに設けられ、当該昇降ラックを対応する前記支柱に沿って上下昇降するための駆動力を個々に発生する昇降駆動手段と、
前記昇降駆動手段による前記昇降ラックの上下昇降を個別に制御するための制御手段と、
前記昇降ラックごとに、当該昇降ラックが支持される前記支柱から少なくとも平面視で隣接する前記支柱に至る横方向の幅を有しかつ前記固定レールから長手方向一方側に延びる警戒領域を設定するために基準面に配置され、各々の前記警戒領域において前記スライドラックの存在を個別に検知する検知手段と、を備え、
前記制御手段は、いずれかの前記検知手段が対応する前記警戒領域内に前記スライドラックの存在を検知するとき、自転車の搭載有無とは関係なく前記検知手段に対応する前記昇降ラックを駆動する前記昇降駆動手段に駆動停止指令を常に出力することを特徴とする上下2段式駐輪施設。
【請求項2】
各々の前記昇降ラックは、横方向に並ぶ前記支柱から長手方向の同じ向きに突出し、
前記警戒領域は、隣り合う前記支柱の間では平面視で相互に重なり合う形態にて設定される請求項1に記載の上下2段式駐輪施設。
【請求項3】
各々の前記昇降ラックには、作業者の操作に基づき対応する前記昇降駆動手段を駆動することの可否を表示するための表示手段と、その表示手段が当該昇降駆動手段の駆動可能を表示するとき作業者により操作できる操作手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、
前記昇降駆動手段に前記駆動停止指令を出力する際、対応する前記表示手段に作業者による操作不可を表示し、かつ対応する前記操作手段を操作不能とする一方、
前記検知手段が前記スライドラックの不在を検知するとき、対応する前記表示手段には作業者による操作可能を表示する請求項1に記載の上下2段式駐輪施設。
【請求項4】
前記検知手段は、平面視で前記警戒領域の横方向の全幅にわたり前記固定レールと平行に基準面上に配置された棒状又は板状の検知部材を含み、
前記スライドラックは該検知部材との接触により存否が検出される請求項1に記載の上下2段式駐輪施設。
【請求項5】
前記検知部材は前記固定レールとともに前記スライドラックの横方向スライドを下側から支え、当該スライドラックの通過に伴う上下動によって存否を検出する請求項4に記載の上下2段式駐輪施設。
【請求項6】
前記昇降ラックを常時上昇する方向に付勢して前記昇降駆動手段の駆動力をアシストするための付勢手段をさらに備え、
前記昇降駆動手段は、駆動源としての電動モータと、前記電動モータにより駆動されるチェン伝動機構とを含み、前記チェン伝動機構は、前記支柱の上方内部及び下方内部に各々軸支されたスプロケットホイルと、前記支柱の内部においてこれらのスプロケットホイルに掛け回されて両端部が前記昇降ラックに連結されたリンクチェンとを有するとともに、
前記付勢手段は、前記支柱の上方内部において基端部が取り付けられたガススプリングのシリンダから下向きに突出して牽引力を発揮するピストンロッドの先端部に接続され、回転軸線が共通する2個の動滑車と、前記シリンダよりも高位置において前記支柱の内部に位置固定された2個の定滑車と、各々の前記動滑車及び各々の前記定滑車に交互に1回ずつ巻回された単一のワイヤロープとが組み込まれたロープ伝動機構を有する請求項1に記載の上下2段式駐輪施設。
【請求項7】
各々の前記昇降ラックの底面には、当該昇降ラックの下方に位置する障害物に当接したことを感知する感知手段をさらに備え、
前記制御手段は、いずれかの前記昇降ラックの下降中において対応する前記感知手段が障害物と当接したとき、自転車の搭載有無とは関係なく下降中の前記昇降ラックに対応する前記昇降駆動手段に上昇駆動指令を出力する請求項1に記載の上下2段式駐輪施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上下2段式駐輪施設に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、地表面に配設された固定レールに交差状に載置され、その固定レール上をスライド可能な複数のスライドラックと、一定間隔で地表面に立設された支柱ごとに片持ち状に突出して支持され、その支柱に沿ってモータ駆動により昇降可能な昇降ラックとを有し、下段に位置するスライドラックのスライドにより生じた空きスペースにおいて昇降ラックを上段と下段との間で昇降可能とする上下2段式駐輪施設が広く知られている。
【0003】
そして、特許文献1,2,3では、昇降ラックの底面側に障害物(スライドラック、自転車、作業者等)との接触を直接検知するセンサを設け、昇降ラックの下降中にセンサが障害物に接触したとき、モータの作動停止又は逆作動(上昇切換え)により損傷(けがを含む)を回避する。
【0004】
ところで、上段から下降中の昇降ラックと下段に位置する複数のスライドラックとに着目すると、平面視での両者の相対的な位置関係や自転車の搭載有無、搭載自転車の大きさ(特にハンドル幅)等によって接触可能領域は多様でありかつ時々刻々と変化する。よって、特許文献1,2,3のように昇降ラックの底面側に設けたセンサによって広範囲に安全性を確保することは難しい。
【0005】
しかも上記センサは、障害物との接触を直接に感知して昇降ラックの下降停止又は反転上昇を行うものであるから、危険回避に遅れを生じる可能性がある。回避遅れを生じないように通常の昇降速度を遅くするときには、作業効率の悪化が懸念される。また、移動する昇降ラックにセンサが設けられているので、センサの検知範囲が昇降ラックの昇降移動につれて絶えず変動し、検知範囲そのものが不安定になるおそれがある。さらに、発生頻度が低いとはいえ、昇降ラックの上昇中にセンサが障害物と接触しても危険回避が図れない。
【0006】
一方、特許文献3,4,5には、モータ負荷、ワイヤの弛み、チェンの弛み等の検出により昇降ラックと障害物との接触を間接的に感知し、昇降ラックの下降停止又は反転上昇を行う技術が開示されている。しかしながら、これらの間接的な感知手段を用いる場合には直接的な感知よりも危険回避がさらに遅れる可能性がある。加えて、モータ負荷、ワイヤの弛み、チェンの弛み等の現象は障害物との接触以外の原因によっても発生し得るので、誤検出や誤作動となるおそれもある。
【0007】
なお、特許文献3には駐輪場の天井面に人感センサを設けることも記載されているが、障害物が昇降ラック、スライドラック、それらに搭載された自転車等の陰に隠れて正確に検出されにくくなり、また屋外の駐輪場には設置困難であり、安全性の確保には課題が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-34704号公報
【文献】特許第6670336号公報
【文献】特開2018-141298号公報
【文献】特許第4133300号公報
【文献】特開2001-279944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、昇降ラックと障害物(特にスライドラック及び搭載自転車)との接触が発生する前に昇降駆動手段の駆動を停止することによって、駐輪作業の安全性を確保し得る上下2段式駐輪施設を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の上下2段式駐輪施設は、
基準面(例えば地表面)に設定される横方向に沿って直線状に配設された(単一の又は平行な複数の)固定レールに対し平面視で直交又は斜め交差する長手方向に(自転車1台分相当の長さを有して)載置され(るとともに、その長手方向一方側から自転車を出し入れ可能かつ自転車の搭載有無とは関係なく)前記固定レール上を(横方向に)スライド可能な複数のスライドラックと、横方向に沿って基準面から一定のピッチで立設された支柱ごとに片持ち状に長手方向へ(自転車1台分相当の長さで)突出して支持され(るとともに、下段位置にて長手方向一方側から自転車を出し入れ可能かつ自転車の搭載有無とは関係なく)前記支柱に沿って昇降可能な昇降ラックとを有し、下段に位置する前記スライドラックの横方向へのスライドにより生じた空きスペースにおいて前記昇降ラックが上段と下段との間で昇降可能となる上下2段式駐輪施設であって、
前記昇降ラックごとに設けられ、当該昇降ラックを対応する前記支柱に沿って上下昇降するための(起電力、流体圧等に基づく)駆動力を個々に発生する昇降駆動手段(例えば駆動源と伝動機構とを含む)と、
前記昇降駆動手段による前記昇降ラックの上下昇降を個別に制御するための(電気信号系、流体圧信号系等の)制御手段と、
前記昇降ラックごとに、当該昇降ラックが支持される前記支柱から少なくとも平面視で隣接する前記支柱に至る横方向の幅を有しかつ前記固定レールから長手方向一方側に延びる警戒領域を設定するために基準面に配置され、各々の前記警戒領域において前記スライドラックの存在を個別に検知する検知手段と、を備え、
前記制御手段は、いずれかの前記検知手段が対応する前記警戒領域内に前記スライドラックの存在を検知するとき、自転車の搭載有無とは関係なく前記検知手段に対応する前記昇降ラックを駆動する前記昇降駆動手段に駆動停止指令を常に出力することを特徴とする。
【0011】
このように、基準面に配置された検知手段によって警戒領域が基準面上に固定的に形成され、昇降ラックの昇降駆動前に警戒領域におけるスライドラックの存否が検知されるので、昇降ラックと障害物(特にスライドラック及び搭載自転車)との接触が発生する前に昇降駆動手段の駆動を停止することができ、安全かつ迅速に駐輪作業が行えるようになる。
【0012】
しかも、警戒領域は、昇降ラックの下降時であるか上昇時であるかを問わず、また自転車の搭載有無とも関係なく、平面視で描かれる所定の範囲で安定して設けられているので、昇降ラックが昇降移動中に障害物と接触する危険の回避を容易に図ることができる。
【0013】
なお、スライドラックについて、横方向に配設された単一の固定レールにスライド可能に載置されるタイプと、横方向に並設された一対の固定レールに跨ってスライド可能に載置されるタイプとを含む。また、支柱の配列方向(横方向)に対して、昇降ラックが各支柱から平面視で左右いずれかにのみ突出するタイプと、昇降ラックが各支柱から平面視で左右交互に振り分けて突出するタイプとを含む。さらに、上記昇降駆動手段の駆動源には、電動モータ、油空圧シリンダ等が含まれ、上記検知手段には、接触式の他、非接触式(光学式、超音波式、電磁波式等)が含まれる。
【0014】
各々の上記昇降ラックは、横方向に並ぶ支柱から長手方向の同じ向きに突出し、
警戒領域は、隣り合う支柱の間では平面視で相互に重なり合う形態にて設定される。
【0015】
このように、警戒領域の一部が相互に重なり合うことによって、昇降移動中の昇降ラックの障害物に対する安全性が一層高くなるとともに、より多くの昇降ラック及びスライドラックを駐輪施設内に設置(収容)することができる。
【0016】
各々の上記昇降ラックには、作業者の操作に基づき対応する昇降駆動手段を駆動することの可否を表示するための表示手段(例えば青ランプ)と、その表示手段が昇降駆動手段の駆動可能を表示(例えば点灯)するとき作業者により(下降又は上昇)操作できる操作手段(例えば下降側押しボタンスイッチ又は上昇側足踏みスイッチ)と、をさらに備え、
制御手段は、
昇降駆動手段に駆動停止指令を出力する際、対応する表示手段に作業者による(例えば下降)操作不可を表示(例えば消灯)し、かつ対応する操作手段を操作不能(例えば押しボタンスイッチOFF)とする一方、
検知手段がスライドラックの不在を検知するとき、対応する表示手段には作業者による(例えば下降)操作可能を表示(例えば点灯)する。
【0017】
このように、いずれかの警戒領域内にスライドラックが存在するときには対応する操作手段を操作不能とし、スライドラックが不在であるときには対応する表示手段に操作可能を表示するので、手動操作の安全性を高めることができる。
【0018】
上記検知手段は、平面視で警戒領域の横方向の全幅にわたり固定レールと平行に基準面上に配置された棒状又は板状の検知部材(例えばゾーンセンサ)を含み、
スライドラックは検知部材との接触により存否が検出される。
【0019】
このような接触式の検知部材により、スライドラックの存否検出が確実に行える。
【0020】
上記検知部材は固定レールとともにスライドラックの横方向スライドを下側から支え、スライドラックの通過に伴う上下動によって(自転車の搭載有無とは関係なく)存否を検出する。
【0021】
このように、荷重による上下動を検知する検知部材により、スライドラックの存否検出が確実に行える。
【0022】
上記昇降ラックを常時上昇する方向に付勢して昇降駆動手段の駆動力をアシストするための付勢手段(例えばガススプリング、定荷重ばね、錘等)をさらに備え、
昇降駆動手段は、駆動源としての電動モータと、電動モータにより駆動されるチェン伝動機構とを含み、チェン伝動機構は、支柱の上方内部及び下方内部に各々軸支されたスプロケットホイルと、支柱の内部においてこれらのスプロケットホイルに掛け回されて両端部が昇降ラックに連結されたリンクチェンとを有するとともに、
付勢手段は、支柱の上方内部において基端部が取り付けられたガススプリングのシリンダから下向きに突出して牽引力を発揮するピストンロッドの先端部に接続され、回転軸線が共通する2個の動滑車と、シリンダよりも高位置において支柱の内部に位置固定された2個の定滑車と、各々の動滑車及び各々の定滑車に交互に1回ずつ巻回された単一のワイヤロープとが組み込まれたロープ伝動機構を有する。
【0023】
これによって、支柱内にチェン伝動機構とロープ伝動機構とをコンパクトに収納できる。
【0024】
各々の上記昇降ラックの底面には、昇降ラックの下方に位置する障害物に当接したことを感知する感知手段(感知部材として例えばバーセンサを含む)をさらに備え、
制御手段は、いずれかの昇降ラックの下降中において対応する感知手段が障害物と当接したとき、自転車の搭載有無とは関係なく下降中の昇降ラックに対応する昇降駆動手段に上昇駆動指令を出力する。
【0025】
このような感知手段を設けることによって、昇降ラック下降時の二重の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施例の上下2段式駐輪施設の昇降ラック及びスライドラックを示した側面図。
図2図1の上下2段式駐輪施設のスライドラックを示した平面図。
図3図1の上下2段式駐輪施設の昇降ラックを示した平面図。
図4図1の昇降ラックが上段位置(a)にあるときと、下段位置(b)にあるときを示した部分拡大側面図。
図5】チェン伝動機構及びロープ伝動機構を示した側面図。
図6】支柱上部の側面(a)と正面(b)を示した拡大図。
図7】支柱中間部の側面(a)と、そのA-A断面(b)を示した拡大図。
図8】検知部材をスライドラックの後方側から見た正面図。
図9】昇降ラック後端の拡大平面図。
図10図9のB-B断面図。
図11図9の正面図。
図12図1の昇降ラックが下段位置にあるときの側面図。
図13図1の昇降ラックが下降可能な形で上段位置にあるときの側面図。
図14図1の昇降ラックが上昇中又は下降中に検知部材がスライドラックを検知したときの側面図。
図15図1の昇降ラックが上昇中又は下降中に感知部材が障害物を感知したときの側面図。
図16図1の上下2段式駐輪施設の電気的構成を示したブロック図。
図17図1の上下2段式駐輪施設が実行する制御のフローチャート。
図18】初期化制御のフローチャート。
図19】安全確認制御のフローチャート。
図20】昇降駆動制御のフローチャート。
図21図1の上下2段式駐輪施設の変形例の昇降ラックを示した平面図。
図22図17の制御の変形例を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。
【0031】
本実施例の上下2段式駐輪施設1000は、図1図3に示すように、複数のスライドラック200と昇降ラック100とを有する。
【0032】
ここでのラック100、200は、自転車BCLを搭載及び降車させる際の前後進方向(前後方向)を長手方向Xとする長手状をなし、上面開放された樋形状で片持ち状に延びる。ラック100、200の先端(後端)には、自転車BCLを搬出入するための出入口4が形成される。ここでのラック100、200には、搭載された自転車BCLの横転を防ぐためのブレース5(サイドガード)が幅方向両側に対をなして設けられる。また、ラック100には、搭載された自転車BCLの先行搬入車輪(例えば前輪)を保持するタイヤガード6が前方側に設けられる。
【0033】
各スライドラック200は、図1及び図2に示すように、地表面E(基準面)に設定される横方向Y(図2参照)に沿って直線状に配設された単一の又は平行な複数の固定レール2に対し平面視で直交又は斜め交差する長手方向Xに載置され、固定レール2上をスライド可能である。各スライドラック200は、自身の長手方向Xに自転車1台分相当の長さを有し、その長手方向Xの一方側から自転車BCLを出し入れ可能かつ自転車BCLの搭載有無とは関係なく固定レール2上を横方向Yにスライド可能である。
【0034】
ここでの各スライドラック200は、一端部(ここでは前端部)の底面側に複数のころ8(転動体)が取り付けられ、それら複数のころ8(転動体)を介して、地表面Eに設置された固定レール2に沿って横方向に移動可能な横スライド移動式に構成される。また、各スライドラック200の他端部(ここでは後端部)には、その底面側にキャスタ9が取り付けられており、キャスタ9は、地表面E(基準面)に着地してラック200を支持するとともにその際に横方向Yへの転動が可能に構成される。これらの構成により、各スライドラック200は横方向Yにスライド可能とされている。
【0035】
昇降ラック100は、図1及び図3に示すように、横方向Y(図3参照)に沿って地表面E(基準面)から一定のピッチで立設された支柱1ごとに片持ち状に長手方向Xへ突出して支持され、支柱1に沿って昇降可能である。具体的に言えば、図2に示すように、各昇降ラック100は、下段に位置するスライドラック200の横方向Y(支柱1の配列方向)へのスライドにより生じた空きスペースESにおいて上段(所定上段位置)と下段(所定下段位置)との間で昇降可能となる(即ち、図1のように直下に空きスペースが無い状態では昇降不可)。また、各昇降ラック100は、支柱1ごとに片持ち状に長手方向Xへ自転車BCL1台分相当の長さで突出して支持されるとともに、下段位置にて長手方向Xの一方側から自転車BCLを出し入れ可能かつ自転車BCLの搭載有無とは関係なく支柱1に沿って昇降可能である。
【0036】
また、上下2段式駐輪施設1000は、図1及び図4図7に示すように、昇降ラック100ごとに設けられ、当該昇降ラック100を対応する支柱1に沿って上下昇降するための起電力、流体圧等(ここでは起電力)に基づく駆動力を個々に発生する昇降駆動手段110と、昇降駆動手段110による昇降ラック100の上下昇降を個別に制御するための電気信号系、流体圧信号系等(ここでは電気信号系)の制御手段500(図16参照)と、を備える。ここでの制御手段500は、図16に示すように、各支柱1及び昇降ラック100に対応する個別制御部502と、それらが接続する主制御部501と、を有する。また、個別制御部502には、対応する昇降ラック100に関する後述の検知手段3(検知部34)、感知手段150(感知部154)、照光式押しボタン160、リミットスイッチ171、172、電動モータ111等が接続する。制御部501、502は、CPU等を有した周知のマイクロコンピュータであり、所定の記憶部には、昇降駆動手段110による昇降ラック100の上下昇降を個別に制御するための各種プロクラムを記憶して、それらがCPUにより実行可能とされている。
【0037】
さらに、ここでの上下2段式駐輪施設1000は、図1及び図4図7に示すように、各昇降ラック100を常時上昇する方向に付勢して昇降駆動手段110の駆動力をアシストするための付勢手段120が設けられる。
【0038】
昇降駆動手段110は、図4に示すように、駆動源として電動モータ111を含む。電動モータ111の駆動力は、自転車BCLを搭載する実車状態での昇降ラック実車重量よりも小、付勢手段120の上昇付勢力は、自転車BCLを搭載しない空車状態での昇降ラック空車重量よりも大である。ここでは、昇降ラック100の重量を10kg、自転車BCLを最大で重量40kgと想定しており、昇降ラック100の上昇の際には、その合計重量を牽引(引き上げ)できるように、付勢手段120が合計重量の半分25kgを牽引できる一定の上昇付勢力を発揮し、昇降駆動手段110が残り半分の25kgを牽引できる一定の上昇駆動力(モータトルク:10.6Nm)を発揮する。これらの一定の上昇付勢力及び一定の上昇駆動力は、昇降ラック100の上昇時において、昇降ラック100に自転車BCLが搭載された実車状態と搭載されていない空車状態とに関わらず発揮される。昇降ラック100の下降時においては、付勢手段120の上記一定の上昇付勢力が常時発揮される中、昇降駆動手段110がそれを上回る一定の下降駆動力を、昇降ラック100の実車状態と空車状態とに関わらず発揮する。昇降ラック100の停止時においては、電動モータ111は駆動を停止し、電動モータ111と接続するウォームギア116のセルフロックが作用して昇降ラック100を停止保持する。
【0039】
なお、電動モータ111は、昇降ラック100が空車状態で上昇するとき、昇降ラック空車重量を超える付勢手段120の上昇付勢力に相当するトルクに応じた回生ブレーキ機能を有することもできる。ただし、その場合は一部の構成を変更する必要がある。
【0040】
昇降駆動手段110は、図4に示すように、電動モータ111により駆動されるチェン伝動機構112を含む。図5に示すように、チェン伝動機構112は、支柱1の上方内部及び下方内部に各々軸支されたスプロケットホイル113、114と、支柱1の内部においてこれらのスプロケットホイル113、114に掛け回されて両端部が昇降ラック100に連結されたリンクチェン115と、を有する。電動モータ111は、ウォームギア116を介して上側のスプロケットホイル113を回転させる。ここでは、図5に示すように、昇降ラック100の前端に支柱1に沿って昇降する昇降台車105が設けられており、リンクチェン115の一端115Aが昇降台車105に対し上側(スプロケットホイル113側)から連結し、他端115Bが昇降台車105に対し下側(スプロケットホイル114側)から連結している。昇降台車105には、支柱1の後方側側面に設けられた上下方向Zに延びるガイドレール15G(図7(b)参照)上を転がるローラ105R(図5参照)が組み付けられている。
【0041】
付勢手段120は、図4及び図5に示すように、上昇付勢力発生源としてここではガススプリング121を有する。また、付勢手段120は、対応する昇降ラック100に上昇付勢力を伝達するロープ伝動機構122を有する。
【0042】
図5に示すように、昇降ラック100(昇降台車105)を常時上方に引き上げるように付勢するここでのガススプリング121は、支柱1の上方内部において基端部が取り付けられたシリンダ121Sと、シリンダ121Sから下向きに突出して牽引力を発揮するピストンロッド121Pと、を有する。図6に示すように、支柱1の内部上側には、支柱1の幅方向に延びる組付け軸部13が設けられ、その組付け軸部13にシリンダ121Sの後端側の組付け用挿通部121Tに挿通されることにより、支柱1内においてピストンロッド121Pの先端側が昇降ラック100の長手方向X(図5の左右方向)に揺動可能となる形で組付けられる。また、ピストンロッド121Pの先端部には、支柱1に沿って昇降する昇降体127が設けられる。図7(b)に示すように、昇降体127には、支柱1の内部に設けられた上下方向Zに延びるガイドレール17G上を転がるローラ127Rが組み付けられる。
【0043】
ロープ伝動機構122には、図4及び図5に示すように、動滑車125A、125Bと定滑車123、124と、ワイヤロープ126と、が組み込まれる。動滑車125A、125Bは、ここでは互いに同径をなし、図7(a)に示すように、支柱1の上方内部において基端部が取り付けられたガススプリング121のシリンダ121Sから下向きに突出して牽引力を発揮するピストンロッド121Pの先端部(昇降体127)に接続され、支柱1の幅方向(横方向Y)に延びる共通の回転軸15(回転軸線R15)の周りを回転する。定滑車123、124は、ここでは互いの径が異なっており、図6に示すように、シリンダ121Sよりも高位置において支柱1の内部に位置固定されており、支柱1の幅方向に延びる回転軸14(回転軸線R14)の周りを回転する(図5参照)。ワイヤロープ126は単一のロープであり、各々の動滑車125A、125B及び各々の定滑車123、124に交互に1回ずつ巻回される。
【0044】
具体的にいえば、ワイヤロープ126は、図5図7に示すように、一端126A(始端:図6参照)が支柱1内の上方位置に設けられたワイヤロープ固定部16(軸状部の一端)に掛け止め固定され、その掛け止め位置から、ピストンロッド121Pの先端部(昇降体127)側に取り付けられた一方の動滑車125Aに巻回される形で当該動滑車125Aから始まり、シリンダ121Sの基端部側に配置された定滑車123とピストンロッド121Pの先端部(昇降体127)側に配置された他方の動滑車125Bとに交互に巻回される形で継続し、さらにシリンダ121Sの基端部側に取り付けられた残りの定滑車124に巻回される。つまり、ワイヤロープ126は、掛け止めされる一端126A(始端)側から、動滑車125A、定滑車123(中間定滑車)、動滑車125B、定滑車124(末端定滑車)の順で掛け回される。
【0045】
そして、ワイヤロープ126の他端126B(終端:図5参照)側が昇降ラック100に直接又は間接的に連結される。これにより、昇降台車105は、ピストンロッド121Pの退入(収縮)により下降し、突出(伸長)により上昇する。ワイヤロープ126の他端126Bについては、ここでは昇降台車105に対し直接的に接続されている。ここでの昇降台車105には昇降ラック100が一体に組み付けられているため、ワイヤロープ126の他端126Bは昇降ラック100に対し直接的に接続されているといってもよい。
【0046】
このように動滑車125A、125Bと定滑車123、124とワイヤロープ126とを用いたロープ伝動機構122が形成されることにより、支柱1の内部下側には空きスペースが生まれる。そして、この空きスペースは、チェン伝動機構が利用しており、有効活用されている。
【0047】
また、昇降駆動手段110は、図4に示すように、昇降ラック100が上段(所定上段位置)に存在することを検知する上段位置検知手段としての上段リミットスイッチ171と、昇降ラック100が上段よりも下方の下段(所定下段位置)に存在することを検知する下段位置検知手段としての下段リミットスイッチ172と、を有する。それらリミットスイッチ171、172は制御手段500(502)と接続しており(図16参照)、制御手段500は、昇降駆動手段110による昇降ラック100の上昇駆動時に上段位置到達検知手段としての上段リミットスイッチ171が昇降ラック100を検知した場合に当該昇降駆動手段110に対し上昇駆動を停止させる。同様に、制御手段500は、昇降駆動手段110による昇降ラック100の下降駆動時に下段位置到達検知手段としての上段リミットスイッチ171が昇降ラック100を検知した場合に当該昇降駆動手段110に対し下降駆動を停止させる。
【0048】
また、上下2段式駐輪施設1000は、図3に示すように、昇降ラック100ごとに、当該昇降ラック100が支持される支柱1から少なくとも平面視で隣接する支柱1に至る横方向Yの幅を有しかつ固定レール2から長手方向Xの一方側に延びる警戒領域Dを設定するために地表面E(基準面)に配置され、各々の警戒領域Dにおいてスライドラック200の存在を個別に検知する検知手段3を備える(図14参照)。各検知手段3は制御手段500(502)と接続しており(図16参照)、制御手段500は、いずれかの検知手段3が対応する警戒領域D内にスライドラック200の存在を検知するとき、自転車BCLの搭載有無とは関係なく検知手段3に対応する昇降ラック100を駆動する昇降駆動手段110に駆動停止指令を常に出力する。
【0049】
また、ここでの検知手段3は、平面視で警戒領域Dの横方向Yの全幅にわたり固定レール2と平行に地表面E(基準面)上に配置された棒状又は板状の検知部材30(ゾーンセンサ)を含み、スライドラック200は該検知部材30との接触により存否が検出される。さらにいえば、検知部材30は固定レール2とともにスライドラック200の横方向Yスライドを下側から支え、当該スライドラック200の通過に伴う上下動(荷重による上下移動)によって自転車BCLの搭載有無とは関係なく存否を検出する。
【0050】
具体的にいえば、検知手段3は、図8に示すように、上記検知部材30(ゾーンセンサ)と共に、ベース部材39と、揺動アーム33と、センサ付勢部材38と、検知部34と、を有し、ゾーンセンサ30が検知手段3の主要部を構成する。
【0051】
検知部材30は、下面開放された逆向き樋形状をなして横方向Yに延び、その両端30S、30Sが外側に向けて下る屈曲部をなす。これにより、検知部材上面30aがその両端30S、30Sにおいて外向きに下る傾斜面とされる。ベース部材39は、検知部材30の下側に位置し、上面開放された樋形状をなして検知部材30と同方向(横方向Y)に延び、地表面Eに固定される。揺動アーム33は、検知部材30が下方に移動するよう、検知部材30をベース部材39に対して初期位置から横方向Yの一方側(図8右側)及び下方向に向かう所定の揺動軌跡(回動軌跡)に沿って往復揺動可能(図8のQ1方向)に連結するものであり、傾斜配置された対をなす揺動アーム33、33が平行クランク機構を構成している。
【0052】
検知部材30及びベース部材39は、検知部材30の揺動可能範囲を定める揺動範囲規定部35、36を有する。揺動範囲規定部35は、樋形状のベース部材39の底壁部の長さ方向の複数箇所から立ち上がる下限位置規定部35(壁部)であり、それらの上端が検知部材30の下面と接触する位置(揺動下限位置)にて、検知部材30の更なる下降を規制する。揺動範囲規定部36は、逆向き樋形状の検知部材30の底壁部(天井壁部)から立ち下がる上限位置規定部36(壁部)であり、下限位置規定部35(壁部)から横方向Yに突出する突状接触部36t(ここでは下限位置規定部36を貫通するボルト部材)と接触する位置(揺動上限位置)にて、検知部材30の横方向Yの他方側(図8左側)への更なる移動、つまりは検知部材30の更なる上昇を規制する。
【0053】
センサ付勢部材38は、検知部材30とベース部材39との双方に連結され、ベース部材39に対し検知部材30を常時上方向に付勢し、上記揺動上限位置(初期位置)に保持する。センサ付勢部材38は、検知部材30に下向きの外力が作用しない限り、揺動可能範囲内の検知部材30を常時上方向に付勢して上記所定の上限位置に保持する。ここでのセンサ付勢部材38は、引張コイルばねを用いている。
【0054】
検知部34は、検知部材30の下降を検知するセンサである。ここでの検知部34は、スイッチノブ34Pが下方に押し込まれることを検知するリミットスイッチであって制御手段500と接続し、検知結果を制御手段500に出力する。
【0055】
なお、ここでの各検知部材30は、自転車の横幅程度(主にはハンドル幅よりやや幅広い程度)の長さ(例えば1300mm)を有する。支柱1及び昇降ラック100は、横方向Yにおいて検知部材30の中央位置に配置されることになり、警戒領域Dは、横方向Yにおいて昇降ラック100の直下を含む検知部材30の長さ範囲内に設定される。さらに、ここでの各昇降ラック100は、横方向Yに並ぶ支柱1から長手方向Xの同じ向きに突出しており、それら支柱1及び昇降ラック100を横方向Yにおいてより密に配置するために、各昇降ラック100の警戒領域Dは、隣り合う支柱1の間では平面視で相互に重なり合う形態にて設定されている。
【0056】
具体的にいえば、図3に示すように、検知部材30は、昇降ラック100の長手方向Xにおける第一位置において横方向Yに直線状に並ぶ複数の第一の検知部材31と、第一位置とは異なる第二位置において横方向Yに直線状に並ぶ複数の第二の検知部材32と、を有する。各第一の検知部材31は、対応する支柱1及び昇降ラック100が自身の長さ方向(横方向Y)の中央位置に位置し、その昇降ラック100の直下及び横方向Yの両側に、警戒領域Dとしての警戒領域D1を形成する。各第二の検知部材32も、対応する支柱1及び昇降ラック100が自身の長さ方向(横方向Y)の中央位置に位置し、その昇降ラック100の直下及び横方向Yの両側に、警戒領域Dとしての警戒領域D2を形成する。支柱1及び昇降ラック100は、第一の検知部材30に対応するものと、第二の検知部材32に対応するものとが横方向Yに交互並ぶよう等間隔で配置されており、横方向Yに隣接する支柱1及び昇降ラック100は、それぞれの警戒領域D1、D2が重なるように設定されている。
【0057】
スライドラック200は、第一の検知部材31に対応するものと、第二の検知部材32に対応するものとが横方向Yに交互並ぶよう配置され、それぞれに対応する検知部材31、32上をその長さ方向(横方向Y)に転動するローラ7がラック下側に組み付けられている。検知部材30は、このローラ7によって下方に押し下げられる。横方向Yにおいて隣接する検知部材30、30は、それらの間にローラ7の1つ分よりやや広い幅の隙間を挟んで配置され、ローラ7によって隣接する検知部材30、30の双方が同時に押し下げられることを防いでいる。
【0058】
また、本実施例の各検知手段3(ゾーンセンサ)は、上述のように各々が支柱1及び昇降ラック100の組のいずれかに対応しており、図2及び図3に示すように平行して2列に並ぶよう配置される。そして、各検知手段3は、固定レール2に沿ってどのようにスライドラック200を移動させたとしても、最大で1つの検知手段3しか非検知状態とならないように、支柱1と昇降ラック100とスライドラック200の配置数、各支柱1と各昇降ラック100の配置間隔、固定レール2の長さ、及び各検知手段3の長さ等が調整されている。つまり、本実施例の上下2段式駐輪施設1000では、1つの昇降ラック100のみが昇降可能で、複数の昇降ラック100が同時に動かないように構成されている。
【0059】
また、上下2段式駐輪施設1000は、図1に示すように、各々の昇降ラック100の底面に、当該昇降ラック100の下方に位置する障害物W(図15参照)に当接したことを感知する感知手段150を備える。制御手段500は、いずれかの昇降ラック100の下降中において対応する感知手段150が障害物と当接したとき、自転車BCLの搭載有無とは関係なく下降中の昇降ラック100に対応する昇降駆動手段110に上昇駆動指令を出力する。
【0060】
ここでの感知手段150は、図9図11に示すように、感知部材151(バーセンサ)と、感知部材151を揺動させる吊下げアーム152と、感知部材151の揺動に伴う上昇を感知する感知部153と、を有し、接触式のバーセンサ151が感知手段150の主要部として機能する。
【0061】
感知部材151は、上面開放された樋形状をなして昇降ラック100の長手方向Xに延びる。吊下げアーム152は、感知部材151が初期位置から下方に移動するよう、感知部材151を昇降ラック100に対して長手方向Xの一方側(前方側:図10左側)及び上方向(図10上側)に向かう所定の揺動軌跡(回動軌跡)に沿って往復揺動可能(図10のQ2方向)に連結するものであり、傾斜配置された対をなす吊下げアーム152、152が平行クランク機構を構成している。
【0062】
感知部材151の長手方向Xの他方側端部(後方側端部)には足操作ペダル154が組付けられており、足操作ペダル154には、感知部材151の揺動下限位置を定める揺動規制部154bが設けられる。具体的には、足操作ペダル154は、後方を臨む足踏み操作面154aに対し、その裏側から長手方向Xの前方(図10左向き)に向けて板状に延びる載置部154bを有する。感知部材151の揺動下限位置は、感知部材151が載置部154b上に載る位置である。一方で、感知部材151の揺動上限位置は、昇降ラック100に感知部材151が接触する位置である。なお、感知部材151は、上向きの外力が作用しない限り、自重により上記揺動下限位置(初期位置)に保持される。
【0063】
感知部153は、感知部材151の上昇を感知するセンサである。ここでの感知部153は、スイッチノブ153Pが(ここでは足操作ペダル154によって)長手方向Xの前方(図9及び図10の左側)に押し込まれることを検知するリミットスイッチであり、検知結果(感知結果)を制御手段500に出力する。感知部153が感知部材151の揺動に伴う上昇を感知すると、制御手段500は、対応する昇降駆動手段110に上昇駆動指令を出力する。
【0064】
足操作ペダル154は、長手方向Xの後方から前方(図9及び図10の右側から左側)に押し込む上昇操作がなされることで、検知部34のスイッチノブ153Pを押し込むように設けられ、検知部34と共に上昇操作部164(操作手段、上昇操作手段)を構成する。検知部34は制御手段500(図16参照)と接続し、操作結果(感知結果)を制御手段500に出力する。昇降ラック100を上昇させるときは、作業者がその昇降ラック100の足操作ペダル154に対し押し込み操作(上昇操作)を行うことで、感知部153が足操作ペダル154への操作を感知し、制御手段500が、対応する昇降駆動手段110に上昇駆動指令を出力する。
【0065】
また、各々の昇降ラック100には、作業者の操作に基づき対応する昇降駆動手段110を駆動することの可否を表示するための表示手段161と、その表示手段161が当該昇降駆動手段110の駆動可能を表示するとき作業者により操作できる操作手段162と、を備える。制御手段500は、昇降駆動手段110に駆動停止指令を出力する際、対応する表示手段161に作業者による操作不可を表示し、かつ対応する操作手段162を操作不能とする一方、各々の検知手段3がスライドラック200の不在を検知するとき、対応する表示手段161には作業者による操作可能を各々表示する。
【0066】
ここでの表示手段161及び操作手段162は、それら双方の機能を有する照光式押しボタン160として、昇降ラック100の長手方向Xの後端(図9及び図10の右側端部)に設けられる。
【0067】
照光式押しボタン160は、昇降ラック100の長手方向Xの後端部に設けられたガードフレーム170に設けられ、内部にLED等の光源を有して操作面が発光可能な表示手段161として青ランプ(緑色発光部)を有する。同時に、照光式押しボタン160は、昇降ラック100を下降させるための操作手段162として下降操作部(操作手段、下降操作手段)としても機能し、制御手段500(図16参照)と接続する。制御手段500は、昇降駆動手段110の駆動可能な場合に、対応する照光式押しボタン160を点灯し、当該照光式押しボタン160への作業者による下降操作可能を表示する。一方、制御手段500は、昇降駆動手段110に駆動停止指令を出力する際には、対応する照光式押しボタン160を消灯し、当該照光式押しボタン160への作業者による下降操作不可を表示する。
【0068】
なお、昇降駆動手段110への駆動停止指令は、いずれかの検知手段3が対応する警戒領域D内にスライドラック200の存在を検知したとき、その検知手段に対応する昇降ラック100の昇降駆動手段110に対し出力される。
【0069】
また、制御手段500は、複数の照光式押しボタン160(表示手段161)が作業者による操作可能を同時に表示(ここでは同時点灯)する場合、作業者により最先に操作された照光式押しボタン160(操作手段162)に対応する昇降駆動手段110のみに駆動指令を出力する。これにより、上下2段式駐輪施設1000においては、複数ある昇降ラック100のうち1つだけが昇降可能となり、残余のものは昇降不可とされる。
【0070】
以下、本実施例の昇降ラック100の基本的な作動について説明する。
【0071】
<昇降ラック100が下段位置にある:図12
・昇降ラック100は下段位置で停止保持される。
・上段リミットスイッチ171はOFF、下段リミットスイッチ172はON。
・下段リミットスイッチ172がONのため、制御手段500は照光式押しボタン160を消灯し、下降操作不可とする。
【0072】
<昇降ラック100が上昇:図12図13
・足操作ペダル154(上昇操作部164)が操作(上昇操作)されるに伴い、制御手段500は対応する昇降駆動手段110へ上昇駆動指令を出力し、対応する昇降ラック100が上昇する。
・上昇中、リミットスイッチ171、172はOFF。
・上昇中の昇降ラック100に対し、制御手段500は照光式押しボタン160を点灯し、下降操作可能とする。ただし、それ以外の昇降ラック100の照光式押しボタン160は消灯・下降操作不可となる。
・上昇中、照光式押しボタン160を異なる点灯状態(例えば点滅)として昇降ラック100の昇降中であることを示してもよい。
・上段リミットスイッチ171がON(上段位置到達)となるに伴い、制御手段500は電動モータ111を駆動停止させ、昇降ラック100は停止保持状態となる。
【0073】
<昇降ラック100が上段位置にある:図13
・昇降ラック100は上段位置で停止保持される。
・上段リミットスイッチ171はON、下段リミットスイッチ172はOFF。
・検知手段3(ゾーンセンサ)及び感知手段150(バーセンサ)がOFFであれば、制御手段500は、照光式押しボタン160を点灯し、下降操作可能とする。
・検知手段3(ゾーンセンサ)及び感知手段150(バーセンサ)のいずれかがONであれば、制御手段500は照光式押しボタン160を消灯し、下降操作不可とする。
【0074】
<昇降ラック100が下降:図13図12
・点灯中の照光式押しボタン160(下降操作部)が操作(下降操作)されるに伴い、制御手段500は対応する昇降駆動手段110へ下降駆動指令を出力し、対応する昇降ラック100が下降する。
・下降中、リミットスイッチ171、172はOFFとなる。
・下降中の昇降ラック100に対し、制御手段500は照光式押しボタン160を点灯し、下降操作可能とする。
・下降中、照光式押しボタン160を異なる点灯状態(例えば点滅)として昇降ラック100の昇降中を示してもよい。
・下段リミットスイッチ172がON(下段位置到達)となるに伴い、制御手段500は電動モータ111を駆動停止させ、昇降ラック100は停止保持状態となる。
【0075】
<昇降ラック100の下降中に検知手段3がON:図14
・制御手段500が電動モータ111を駆動停止させ、昇降ラック100は停止保持状態となる。
・制御手段500は照光式押しボタン160を消灯し、下降操作不可とする。
・制御手段500は足操作ペダル154(上昇操作部164)を上昇操作不可とする。
・下降する昇降ラック100以外の昇降ラック100は全て停止状態(昇降禁止状態)のまま。それらの照光式押しボタン160も消灯・下降操作不可のまま。それらの足操作ペダル154も上昇操作不可のまま。
・検知手段3(ゾーンセンサ)がOFFに戻ることで、制御手段500は照光式押しボタン160を点灯し、下降操作可能となる。足操作ペダル154も上昇操作可能となる。
【0076】
<昇降ラック100の下降中に感知手段150がON:図15
・制御手段500が電動モータ111を上昇駆動させ、昇降ラック100は上昇する。
・昇降ラック100の上昇により感知手段150(バーセンサ)はOFFになる(上昇は継続)。
・感知手段150がOFFとなることで、制御手段500は、照光式押しボタン160を点灯し、下降操作可能となる。
【0077】
以下、本実施例の上下2段式駐輪施設1000の全体の作動について、図17図20のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
図17に示すように、主制御部501は、まずはリセットスイッチ503(起動スイッチ:図16参照)が操作されることにより、M0において、全ての個別制御部502に対し初期化制御S0の実行指令を出力する。これを受けた各個別制御部502は、S0において初期化制御を実行する。
【0079】
なお、リセットスイッチ503は、上下2段式駐輪施設1000内のどこかに設けられたプッシュスイッチ等としてもよいし、上下2段式駐輪施設1000の外から遠隔的に操作可能なスイッチであってもよい。
【0080】
具体的には図18に示すように、各個別制御部502は、S01にて照光式押しボタン160(青ランプ)に係る点灯フラグBF(青ランプフラグ)に0をセットして照光式押しボタン160の消灯(対応する昇降ラック100の昇降不可を表示)し、S02にて下降スイッチフラグDFと上昇スイッチフラグUFとの双方を0にセットして下降操作部を構成する照光式押しボタン160と上昇操作部を構成する感知部154とをOFFし、S03にて電動モータ111に係るモータ下降フラグMDFとモータ上昇フラグMUFとの双方に0をセットして昇降ラック100を停止保持状態とする。初期化制御S0を終了した各個別制御部502は、図17のS00において初期化制御S0の実行結果を主制御部501に送信する。
【0081】
各個別制御部502から初期化制御S0の実行結果を受信した主制御部501は、図17に示すように、M1において、全ての個別制御部502に対し安全確認制御S1の実行指令を出力する。これを受けた全ての個別制御部502は、S1にて安全確認制御を実行する。
【0082】
具体的には図19に示すように、各個別制御部502は、S11にて検知手段3(ゾーンセンサ)の検知部34がONであるか否かを判定する。検知部34がONである場合、各個別制御部502は、S19にて点灯フラグBF(青ランプフラグ)に0をセット(照光式押しボタン160を消灯)して安全確認制御を終了する。他方、検知部34がOFFである場合、各個別制御部502は、S12にて点灯フラグBF(青ランプフラグ)に1をセットして照光式押しボタン160を点灯(下降操作可能)させる。続いて各個別制御部502は、S13にて照光式押しボタン160(下降スイッチ)がOFFであるか否かを判定する。照光式押しボタン160(下降スイッチ)がONである場合、各個別制御部502は、S14にて下降スイッチフラグDFに1をセットし、かつ上昇スイッチフラグUFを0にセットして、安全確認制御を終了する。他方、照光式押しボタン160(下降スイッチ)がOFFである場合、各個別制御部502は、S15にて下降スイッチフラグDFに0をセットし、S16にて感知手段150(バーセンサ)の感知部153(上昇スイッチ)がONであるか否かを判定する。感知部153(上昇スイッチ)がONである場合、各個別制御部502は、S17にて上昇スイッチフラグUFを1にセットし、安全確認制御を終了する。他方、感知部153(上昇スイッチ)がOFFである場合、各個別制御部502は、S18にて上昇スイッチフラグUFを0にセットし、安全確認制御を終了する。安全確認制御S1を終了した各個別制御部502は、図17のS10において安全確認制御S1の実行結果を主制御部501に送信する。
【0083】
各個別制御部502から安全確認制御S1の実行結果を受信した主制御部501は、図17に示すように、M2において、点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ下降スイッチフラグDFが1、あるいは点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ上昇スイッチフラグUFが1の2条件のうちのいずれかを最先に成立した個別制御部502を特定し、特定した個別制御部502に対してのみ、昇降駆動制御S2の実行指令を出力する。これを受けた個別制御部502は、S2にて昇降駆動制御を実行する。
【0084】
具体的には図20に示すように、昇降駆動制御S2の実行指令を受けた個別制御部502は、まずはS21にて点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ下降スイッチフラグDFが1であるか否かを判定する。点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ下降スイッチフラグDFが1である場合、個別制御部502は、S22にて、モータ下降フラグMDFを1にセットし、昇降ラック100を下降させるための所定の駆動力を電動モータ111に出力させる。
【0085】
その上で、個別制御部502は、S23にて検知手段3(ゾーンセンサ)の検知部34がONであるか否か、S24にて感知手段150(バーセンサ)の感知部153(上昇スイッチ)がONであるか否かを判定する。個別制御部502は、双方がOFFである限りは昇降ラック100の下降を継続する。この下降は、昇降ラック100が所定下段位置に到達して下段リミットスイッチ172(下限スイッチ)がONになったとき(S25/Y)に終了となり、このとき個別制御部502は、S26にてモータ下降フラグMDFを0にセットして電動モータ111の下降駆動を停止させて昇降ラック100を停止保持状態とし、かつ点灯フラグBF(青ランプフラグ)を0にセットして照光式押しボタン160を消灯させる。
【0086】
また、昇降ラック100の下降中に感知手段150(バーセンサ)の感知部153(上昇スイッチ)がONとなった場合、個別制御部502はS28に進み、昇降ラック100は下降から上昇に転じる。S28以降の処理については後述する。
【0087】
一方、S21にて点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ下降スイッチフラグDFが1でない場合、個別制御部502は、S27にて、点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ上昇スイッチフラグUFが1であるか否かを判定する。点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ上昇スイッチフラグUFが1である場合、個別制御部502は、S28に進む。
【0088】
S28にて、個別制御部502は、モータ上昇フラグMUFを1にセットし、昇降ラック100を上昇させるための所定の駆動力を電動モータ111に出力させる。
【0089】
その上で、個別制御部502は、S29にて検知手段3(ゾーンセンサ)の検知部34がONであるか否かを判定し、OFFである限りは昇降ラック100の上昇を継続する。この上昇は、昇降ラック100が所定上段位置に到達して上段リミットスイッチ171(上限スイッチ)がONになったとき(S30/Y)に終了となり、このとき個別制御部502は、S31にてモータ上昇フラグMUFを0にセットして電動モータ111の上昇駆動を停止させて昇降ラック100を停止保持状態とし、かつ点灯フラグBF(青ランプフラグ)を0にセットして照光式押しボタン160を消灯させる。
【0090】
ところで、昇降ラック100の下降中(S23)又は上昇中(S29)に、検知手段3(ゾーンセンサ)の検知部34がONとなった場合、個別制御部502は、S32にてモータ下降フラグMDF及びモータ上昇フラグMUFを0にセットして電動モータ111を駆動停止させて昇降ラック100を停止保持状態とし、さらに点灯フラグBF(青ランプフラグ)を0にセットして照光式押しボタン160(青ランプ)を消灯させる。その上で、個別制御部502は、S33にて図示しない警報出力部から所定の警報音や警告音声を出力してもよい。
【0091】
一方、S27にて、点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ上昇スイッチフラグUFが1でない場合、個別制御部502は、この昇降駆動制御は終了となる。
【0092】
昇降駆動制御S2を終了した個別制御部502は、図17のS20において昇降駆動制御S2の実行結果を主制御部501に送信する。各個別制御部502は、S0に戻って再び初期化制御を実行する。
【0093】
なお、直前の昇降駆動制御S2(図20)において検知手段3(ゾーンセンサ)の検知部34がONとなって昇降ラック100が停止していた場合、S0に戻って再び各個別制御部502が初期化制御S0(図17)から安全確認制御S1(図17)へと実行していく際、その安全確認制御S1(図19)において検知手段3(ゾーンセンサ)の検知部34がOFFとなっていれば(S11/N)、個別制御部502がS12にて点灯フラグBF(青ランプフラグ)に1をセットして照光式押しボタン160を点灯し、停止中の昇降ラック100に対する上昇操作及び下降操作が可能になる(S12)。つまり、昇降駆動制御S2(図20)において検知手段3(ゾーンセンサ)の検知部34がONとなって昇降ラック100が停止しても、検知部34がOFFとなる状況に自力復帰できれば、停止した昇降ラック100に対する上昇操作と下降操作が可能になる。
【0094】
以上、本発明の第一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
【0095】
以下、上記した実施例とは別の実施例やそれら実施例の変形例について説明する。なお、上記実施例と共通の機能を有する部位には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、上記実施例と、下記変形例及び別実施例とは、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施できる。
【0096】
固定レール2は、支柱1の配列方向(横方向Y)に対し片側に2本(1対)設けてもよい。この場合、各スライドラック200には、両固定レール2、2に対応して2つのキャスタ9、9が設けられる。また、固定レール2は、例えば図21に示すように、支柱1の列に対し両側に1本又は2本(図21では1本)ずつ設けられてもよい。図21では、支柱1の配列方向(横方向Y)に対し昇降ラック100を左右交互に振り分けて配置している。
【0097】
各スライドラック200は、出入口4から先に導入される自転車BCLの車輪である先行搬入車輪(例えば前輪)を保持した状態で、長手方向Xの一方側(後方側)から他方側(前方側)に向かって移動可能に載置された車輪移動台車を備え、車輪移動台車によってより容易に自転車BCLのスライドラック200への搬入を可能にしてもよい。
【0098】
昇降駆動手段110の駆動源には、電動モータ111ではなく、油空圧シリンダ等を用いてもよい。
【0099】
付勢手段120の上昇付勢力発生源には、ガススプリング121ではなく、定荷重ばねや錘等を用いてもよい。
【0100】
検知手段3は、上述のような機械式ではなく、非接触式(光、超音波、電磁波等)の障害物検知手段としてもよい。
【0101】
上記の実施例では、上下2段式駐輪施設1000においては、複数ある昇降ラック100のうち1つだけが昇降可能となり、残余のものは昇降不可とされているが、これを制御によって実現してもよい。この場合、制御手段500が、複数の照光式押しボタン160(表示手段161)が作業者による操作可能を同時に表示(ここでは同時点灯)する場合、作業者により最先に操作された照光式押しボタン160(操作手段162)に対応する昇降駆動手段110のみに駆動指令を出力するように構成する。
【0102】
具体的にいえば、図22の各種制御のうちM2の処理を以下のように変更する。即ち、M2において、主制御部501は、点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ下降スイッチフラグDFが1、あるいは点灯フラグBF(青ランプフラグ)が1で、かつ上昇スイッチフラグUFが1の2条件のうちのいずれかを最先に成立した個別制御部502を特定し、特定した個別制御部502に対してのみ、昇降駆動制御S2の実行指令を出力する。そして、その実行指令を受けた個別制御部502のみがS2にて昇降駆動制御を実行するようにする。また、主制御部501は、M3において、昇降駆動制御S2の実行指令を出力した個別制御部502以外の個別制御部502に対し初期化制御S0の実行指令を出力する。S20の昇降駆動制御の実行結果の送信は、昇降駆動制御S2の実行指令を受けた個別制御部502のみが行い、以降の処理は、上述の実施例と同様である。
【0103】
本発明の上下2段式駐輪施設は、歩道上・公園内等に常設された屋外駐輪場、マンション・アパート等に開設された屋内駐輪場、ビル・地下駅等に併設された地下駐輪場を問わず適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1000 上下2段式駐輪施設
1 支柱
2 固定レール
3 検知手段
30 検知部材(ゾーンセンサ)
100 昇降ラック
110 昇降駆動手段
111 電動モータ
112 チェン伝動機構
113、114 スプロケットホイル
115 リンクチェン
120 付勢手段
121 ガススプリング
122 ロープ伝動機構
123、124 定滑車
125A、125B 動滑車
126 ワイヤロープ
150 感知手段
151 感知部材(バーセンサ)
154 足操作ペダル(操作手段、上昇操作手段)
160 照光式押しボタン(青ランプ)
161 表示手段
162 操作手段(下降操作手段)
200 スライドラック
500 制御手段
X 長手方向
Y 横方向
BCL 自転車
D、D1、D2 警戒領域
E 地表面(基準面)
ES 空きスペース
W 障害物
【要約】
【課題】 昇降ラックと障害物(特にスライドラック及び搭載自転車)との接触が発生する前に昇降駆動手段の駆動を停止することによって、駐輪作業の安全性を確保し得る上下2段式駐輪施設並びにそれに用いられるスライドラック及び昇降ラックを提供する。
【解決手段】 横方向Yに並ぶ各支柱1に対し昇降可能な昇降ラック100が設けられ、当該昇降ラック100が支持される支柱1から少なくとも平面視で隣接する支柱1に至る横方向Yの幅を有しかつ固定レール2から長手方向X一方側に延びる警戒領域Dを設定するために基準面Eに配置され、各々の警戒領域Dにおいてスライドラック200の存在を個別に検知する検知手段3が設けられる。制御手段500は、いずれかの検知手段3が対応する警戒領域D内にスライドラック200の存在を検知するとき、自転車BCLの搭載有無とは関係なく検知手段3に対応する昇降ラック100を駆動する昇降駆動手段110に駆動停止指令を常に出力する。
【選択図】図2
図1
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