(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】薬液注入装置、及び薬液注入方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20221202BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20221202BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A61M1/16 160
A61M5/168 500
A61M5/172
(21)【出願番号】P 2018168633
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁田 大揮
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-115557(JP,A)
【文献】特開2012-100918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 5/172
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を貯留する薬液タンクと、
前記薬液タンクから導出された薬液を流通する注入用配管と、
前記注入用配管に設けられ薬液を送液する薬液ポンプと、
前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことを検出可能な検出機構と、
前記検出機構の検出結果を基に、前記薬液ポンプの駆動制御を行う制御部と、を備
え、
前記制御部は、前記薬液ポンプの駆動開始時刻、及び、前記検出機構により前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことが検出された検出時刻を基に、薬液の注入速度を求める注入速度演算部を有し、求めた薬液の注入速度を基に、前記薬液ポンプの駆動制御を行う、
薬液注入装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記注入速度演算部が求めた薬液の注入速度、及び、前記薬液ポンプの駆動開始時刻を基に、前記薬液ポンプの駆動停止時刻を求める停止時刻演算部と、
前記停止時刻演算部が求めた駆動停止時刻に前記薬液ポンプの駆動を停止させるポンプ駆動制御部と、を有する、
請求項1に記載の薬液注入装置。
【請求項3】
前記薬液が導電性の液体であり、
前記検出機構は、前記注入用配管の複数箇所において前記注入用配管内に突出するようにそれぞれ設けられた複数の電極と、前記複数の電極の導通を検出する導通検出部と、を有する、
請求項1または2に記載の薬液注入装置。
【請求項4】
前記検出機構は、前記注入用配管内に超音波を出力する超音波発生器と、前記注入用配管内に配置されると共に、前記注入用配管の長手方向において前記超音波発生器と対向配置された受信器とを有し、前記受信器での超音波の受信の有無を基に、前記超音波発生器と前記受信器との間の区間に薬液が満たされたことを検出する、
請求項1または2に記載の薬液注入装置。
【請求項5】
前記注入用配管内に空気を導入する空気導入機構を備えた、
請求項4に記載の薬液注入装置。
【請求項6】
前記薬液ポンプが、容積ポンプである、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の薬液注入装置。
【請求項7】
前記薬液ポンプが、圧電ポンプである、
請求項6に記載の薬液注入装置。
【請求項8】
薬液を貯留する薬液タンクと、
前記薬液タンクから導出された薬液を流通する注入用配管と、
前記注入用配管に設けられ薬液を送液する薬液ポンプと、
前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことを検出可能な検出機構と、
前記検出機構の検出結果を基に、前記薬液ポンプの駆動制御を行う制御部と、を備え、
前記薬液ポンプが、容積ポンプである、
薬液注入装置。
【請求項9】
透析液の原料粉末を水に溶解させて透析液の原液を生成する溶解槽を備えた透析液製造装置であって、
請求項1乃至
8の何れか1項に記載の薬液注入装置を備え、
前記注入用配管は、前記薬液タンクから前記溶解槽に至る配管である、
透析液製造装置。
【請求項10】
薬液を薬液タンクに貯留し、
前記薬液タンクから導出された薬液を注入用配管に流通させ、
前記注入用配管に薬液ポンプを設け薬液を送液する薬液注入方法であって、
前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことを検出可能な検出機構を設け、
前記薬液ポンプの駆動開始時刻、及び、前記検出機構により前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことが検出された検出時刻を基に、薬液の注入速度を求め、求めた薬液の注入速度を基に前記薬液ポンプの駆動制御を行う、
薬液注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液注入装置、透析液製造装置、及び薬液注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透析液用の原料粉末(粉末製剤)を水に溶かして透析液の原液を製造する透析液製造装置が知られている。血液透析に用いる透析液は、一般に、2種類の透析液の原液を希釈混合することにより、調整される。調整された透析液は血液透析に用いられるものであるから、透析液の原液も清浄に保たれる必要がある。そこで、透析液製造装置においては、使用後に次亜塩素酸ナトリウム等の消毒液を用いて内部配管等を消毒することが行われている。
【0003】
内部配管等の消毒の際には、消毒液の原液を配管内に注入した後に水を注入して、予め設定した目標濃度に希釈した消毒液を得る。この際、希釈後の消毒液の濃度が目標濃度よりも低くなった場合には、消毒不足となるおそれが生じる。また、希釈後の消毒液の濃度が目標濃度よりも高くなった場合には、消毒液の洗い流しが不十分となり透析液に消毒液が混入するおそれが生じる。そのため、希釈後の消毒液の濃度が目標濃度となるように、消毒液の原液の注入量を正確に管理する必要があった。従来の透析液製造装置では、定量性の高いポンプを用いて消毒液の原液の注入を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、定量性の高いポンプは高価でありサイズも大きい。よって、消毒液の原液を注入するためだけに定量性の高いポンプを用いることは好ましくない。そこで、消毒液の原液を注入するポンプとして、低コストで比較的定量性が低い小型の圧電ポンプ等を用いた場合であっても、正確な量の消毒液等の薬液を注入可能とすることが望まれていた。
【0006】
特許文献1では、薬液の流量を計測し、所望の流量となるようにフィードバック制御を行う装置が提案されている。しかし、この装置では、流量センサやフィードバック制御を行うための機構が必要であり、装置構成が複雑となり、装置の大型化や高コスト化をまねいてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、薬液の注入量を精度よく制御でき、かつ簡単な装置構成で実現可能なコンパクトな薬液注入装置、透析液製造装置、及び薬液注入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、薬液を貯留する薬液タンクと、前記薬液タンクから導出された薬液を流通する注入用配管と、前記注入用配管に設けられ薬液を送液する薬液ポンプと、前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことを検出可能な検出機構と、前記検出機構の検出結果を基に、前記薬液ポンプの駆動制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記薬液ポンプの駆動開始時刻、及び、前記検出機構により前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことが検出された検出時刻を基に、薬液の注入速度を求める注入速度演算部を有し、求めた薬液の注入速度を基に、前記薬液ポンプの駆動制御を行う、薬液注入装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、透析液の原料粉末を水に溶解させて透析液の原液を生成する溶解槽を備えた透析液製造装置であって、前記薬液注入装置を備え、前記注入用配管は、前記薬液タンクから前記溶解槽に至る配管である、透析液製造装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、薬液を薬液タンクに貯留し、前記薬液タンクから導出された薬液を注入用配管に流通させ、前記注入用配管に薬液ポンプを設け薬液を送液する薬液注入方法であって、前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことを検出可能な検出機構を設け、前記薬液ポンプの駆動開始時刻、及び、前記検出機構により前記注入用配管の所定の区間に薬液が満たされたことが検出された検出時刻を基に、薬液の注入速度を求め、求めた薬液の注入速度を基に前記薬液ポンプの駆動制御を行う、薬液注入方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薬液の注入量を精度よく制御でき、かつ簡単な装置構成で実現可能なコンパクトな薬液注入装置、透析液製造装置、及び薬液注入方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る薬液注入装置の概略構成図である。
【
図3】(a),(b)は、
図1の薬液注入装置の一変形例を示す概略構成図である。
【
図4】
図1の薬液注入装置を用いた透析液製造装置の概略構成図である。
【
図5】透析液製造装置における消毒作業のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る薬液注入装置の概略構成図である。
図1に示すように、薬液注入装置1は、薬液2を貯留する薬液タンク3と、薬液タンク3から導出された薬液2を流通する注入用配管4と、注入用配管4に設けられ薬液2を送液する薬液ポンプ5と、検出機構6と、制御部7とを備えている。
【0015】
薬液タンク3には、注入用配管4が接続されており、薬液タンク3に貯留された薬液2が注入用配管4に導入されるように構成されている。薬液2は、後述する透析液製造装置10の内部配管を消毒するための消毒液であり、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、酢酸、過酢酸、クエン酸等である。ここでは、薬液2が次亜塩素酸ナトリウムやクエン酸等の導電性の液体である場合を説明する。
【0016】
注入用配管4は、薬液2を透析液製造装置10内に注入するための配管であり、より詳細には、薬液タンク3から、薬液2の希釈を行うタンク等に至る配管である。よって、注入用配管4は、透析液製造装置10の内部配管の一部を含んでいる。本実施の形態では、注入用配管4は、薬液タンク3と透析液製造装置10の水供給ライン11とを接続する薬液ライン41と、薬液ライン41の接続箇所よりも下流側(供給される水の流れにおける下流側)の水供給ライン11と、からなる。なお、水供給ライン11とは、図示しない水処理装置から供給された水11aを、後述する溶解槽へと導入するための配管である。水処理装置としては、例えば、逆浸透膜により処理水を生成する逆浸透ろ過装置を有するものが用いられる。水供給ライン11や薬液ライン41としては、シリコーンチューブ等の可撓性を有するチューブを用いることができる。
【0017】
薬液ライン41には、薬液2を送液するための薬液ポンプ5が設けられている。本実施の形態では、薬液ポンプ5として、小型で安価な圧電ポンプを用いている。圧電ポンプは、ダイヤフラムに貼り付けた圧電素子に電圧を印加した際の体積変化を利用してポンピング動作を行うものである。なお、薬液ポンプ5としては、圧電ポンプ以外のポンプを適用することも可能であるが、なるべく小型かつ安価なものを用いるとよい。また、薬液ポンプ5よりも下流側の薬液ライン41には、薬液2の供給、停止を切り替えるための薬液ライン電磁弁8が設けられている。
【0018】
本実施の形態に係る薬液注入装置1は、注入用配管4の所定の区間に薬液2が満たされたことを検出可能な検出機構6と、検出機構6の検出結果を基に、薬液ポンプ5の駆動制御を行う制御部7と、を備えている。
【0019】
本実施の形態では、検出機構6は、注入用配管4の複数箇所において注入用配管4内に突出するようにそれぞれ設けられた複数の電極61と、複数の電極61の導通を検出する導通検出部62 と、を有している。ここでは、発信電極61aと受信電極61bの2つの電極61を用いる場合について説明するが、3つ以上の電極61を用いてもよい。
【0020】
図1の例では、発信電極61aは、薬液ライン41と水供給ライン11との接続部分に設けられている。また、受信電極61bは、薬液ライン41と水供給ライン11との接続部分よりも下流側の水供給ライン11に設けられている。注入用配管4における発信電極61aと受信電極61bとの間の区間が、本実施の形態において薬液2が満たされたことを検出する区間となる。
【0021】
本実施の形態では、薬液2として導電性の液体を用いているため、発信電極61aと受信電極61bとの間の区間に薬液2が満たされると、発信電極61aと受信電極61bとが電気的に導通する。導通検出部62によって、発信電極61aと受信電極61bの電気的な導通を検出することで、両電極61a,61bの間の区間に薬液2が満たされたことを検出することができる。
【0022】
導通検出部62で両電極61a,61bの導通を検出する具体的な方法については、特に限定するものではない。例えば、発信電極61aと受信電極61bとの間に所定の電圧(例えば5V)を印加すると共に、両電極61a,61b間に流れる電流を測定し、測定した電流の電流値が予め設定した閾値以上となったときに、両電極61a,61bの導通を検出するように導通検出部62を構成することができる。
【0023】
図2は、電極61の構成例を示す斜視図である。
図2に示すように、電極61は、チューブコネクタ(継手)63に一体に設けられていてもよい。
図2の例では、チューブコネクタ63は略円筒状に形成された本体部63aを有し、その両端部の開口からチューブ等の配管(水供給ライン11や薬液ライン41)が挿入され接続される。本体部63aには、先端部が本体部63a内に突出し、かつ、基端部が本体部63aの外部へと突出するように棒状の電極61が設けられている。このように構成することで、電極61を薬液2に接触可能に設けることができる。ただし、電極61を設置する具体的な構造はこれに限定されず、適宜変更可能である。
【0024】
図1に戻り、導通検出部62及び制御部7は、制御装置9に搭載されている。導通検出部62及び制御部7は、CPU(Central Processing Unit)等の演算素子、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、ソフトウェア、インターフェイス等を適宜組み合わせて実現される。制御部7は、注入速度演算部71と、停止時刻演算部72と、ポンプ駆動制御部73と、を有している。
【0025】
注入速度演算部71は、薬液ポンプ5の駆動開始時刻、及び、検出機構6により注入用配管4の所定の区間(ここでは両電極61a,61bの間の区間)に薬液2が満たされたことが検出された検出時刻を基に、薬液2の注入速度を求める。より具体的には、注入速度演算部71は、駆動開始時刻と検出時刻を記憶しておき、これら時刻から、注入用配管4の所定の区間に薬液2が満たされるまでの薬液ポンプ5の駆動時間を算出すると共に、算出した駆動時間と、薬液2を満たす区間の容量(容積)とを基に、薬液2の注入速度を演算する。
【0026】
例えば、両電極61a,61b間の注入用配管4の半径が10mm、距離が100mmである場合、両電極61a,61b間の注入用配管4の容量は31.4mLとなる。薬液ポンプ5の駆動時間が31.4秒である場合、1秒あたり1mLの薬液2が注入されることになる。この場合、注入速度は、1mL/秒となる。
【0027】
停止時刻演算部72は、注入速度演算部71が求めた薬液2の注入速度、予め設定された目標注入量、及び、記憶されている薬液ポンプ5の駆動開始時刻を基に、薬液ポンプ5の駆動停止時刻を求める。上記の例では、例えば目標注入量が100mlと設定されていた場合、薬液ポンプ5の全駆動時間は100秒となる。よって、薬液ポンプ5の駆動開始時刻から100秒経過した時刻を薬液ポンプ5の駆動停止時刻とする。
【0028】
ポンプ駆動制御部73は、薬液ポンプ5の駆動制御と、薬液ライン電磁弁8の開閉制御を行う。ポンプ駆動制御部73は、停止時刻演算部72が求めた駆動停止時刻に薬液ポンプ5の駆動を停止させると共に、薬液ライン電磁弁8を閉じる。また、薬液ポンプ5の駆動開始時には、ポンプ駆動制御部73は、作業者の指示に応じて、薬液ライン電磁弁8を開き、薬液ポンプ5の駆動を開始する。
【0029】
なお、本実施の形態では、薬液ポンプ5の駆動直後から両電極61a,61b間の区間に薬液2が流れ込むことを想定しているため、上流側に設けられる発信電極61aは、なるべく薬液ライン41と水供給ライン11との接続部の直近(薬液ライン電磁弁8の直近)に設けられることが望ましく、また発信電極61aよりも上流側(薬液ライン電磁弁8よりも上流側)の注入用配管4には薬液2が満たされた状態となっている必要がある。
【0030】
また、
図1では、水供給ライン11に水11aが入っている状態で薬液2の注入を行う場合について示しているが、この場合、薬液2を注入している最中に薬液2が水11aと混ざり合ってしまい(薬液2が水11aに拡散してしまい)、この影響で薬液2の注入量に誤差が生じてしまうことも考えられる。よって、薬液2として水11aと混ざりやすいものを用いる場合には、
図3(a)に示すように、予め水供給ライン11から水11aを排出して注入用配管4内に空気を導入した状態とし、薬液2の注入作業を行うことがより望ましい。この場合、表面張力によって薬液2が注入用配管4内に保持されるため、鉛直方向に沿って注入用配管4を配置することも可能になり、配管レイアウトの自由度が向上する。
【0031】
さらに、
図3(b)に示すように、注入用配管4内に空気を導入する空気導入機構42を備えてもよい。
図3(b)の例では、空気導入機構42が、薬液タンク3と薬液ポンプ5間の薬液ライン41に設けられた三方電磁弁43からなる。三方電磁弁43は、共通ポート43aと第1ポート43bとを連通するか、あるいは共通ポート43aと第2ポート43cを連通するかを切り替え可能な弁であり、共通ポート43aが薬液ポンプ5側の薬液ライン41、第1ポート43bが薬液タンク3側の薬液ライン41に接続され、第2ポート43cが大気解放されている。三方電磁弁43にて共通ポート43aと第2ポート43cとを連通させた状態で薬液ポンプ5を駆動させることで、注入用配管4内に空気を導入することができる。通常の薬液2の送液時には、三方電磁弁43にて共通ポート43aと第1ポート43bとを連通させる。
【0032】
空気導入機構42としての三方電磁弁43を備えることで、薬液ライン41の所定箇所(薬液2の間)に空気を導入可能となる。この場合、注入速度演算部71は、薬液ライン2の先端(発信電極61aを設けた位置)から空気導入箇所までの容量と、両電極61a,61b間の容量を足し合わせ、その足し合わせた容量を、薬液ポンプ5を駆動してから両電極61a,61bが導通するまでの時間(空気を導入させる際の駆動時間は含まない)で除することで、注入速度を演算することができる。ここで、空気を導入した分薬液2の実際の注入量は少ないので、上述の足し合わせた容量から空気の導入量を減じた値が、両電極61a,61bの導通時における薬液2の注入量となる。よって、停止時刻演算部72では、この注入量を目標注入量から減じて残りの注入量を求め、当該残りの注入量と注入速度とから、薬液ポンプ5の残りの駆動時間を求め、薬液ポンプ5の停止時刻を演算することができる。なお、空気導入機構42としての三方電磁弁43はなるべく発信電極61aの近くに設置し、三方電磁弁43と発信電極61aの間に溜まる薬液2のみで電極61a,61b間が導通しないようにすることが望ましい。
【0033】
図3(b)のような空気導入機構42を備えることで、水供給ライン11の水11aを排出せずとも、導入した空気によって検出機構6による検出の基準となる位置を設定することが可能になる。よって、水11aのロスを低減でき、また短時間で消毒作業を行うことが可能になる。なお、
図3(a)の場合においては、水11aを排出することで注入用配管4内に空気を導入していると把握することもできる。この場合、水供給ライン11から水11aを排出する手段が、空気導入機構42を構成することになる。
【0034】
さらに、両電極61a,61bが導通した時点で、目標注入量と等しい量の薬液2が水供給ライン11内へと注入されるよう両電極61a,61bの設置位置を適宜調整してもよい。これにより、注入速度演算部71や停止時刻演算部72を省略することが可能になり、装置構成がより簡単になる。この場合、ポンプ駆動制御部73は、両電極61a,61bが導通した時点で、薬液ポンプ5の駆動を停止する。
【0035】
(実験結果の説明)
薬液ポンプ5として圧電ポンプを用い、電源電圧と電源周波数とを変化させた場合において、薬液2の注入量が変化するかを実験により検討した。実験に先立ち、圧電ポンプを85V、50Hzで駆動した場合(条件1という)と、圧電ポンプを110V、60Hzで駆動した場合(条件2という)の流量を求めた。その結果、条件1では流量が24.31mL/分であったのに対し、条件2では流量が46.69mL/分であり、流量が2倍程度変動していることが確認された。
【0036】
実験では、
図3(a)のように水供給ライン11から水を排出した状態とし、薬液2として次亜塩素酸ナトリウムを用いた。また、目標濃度を256ppmに設定し、両電極61a,61b間の容量が目標注入量の半分となるように設定した。薬液ポンプ5の駆動から両電極61a,61bが導通するまでの時間はストップウォッチにより計測し、導通後さらにストップウォッチで計測した時間薬液ポンプ5を駆動させ、手技により薬液ポンプ5の停止と薬液ライン電磁弁8の閉弁を行った。その後、設定した量の水を注入して希釈を行い、希釈後の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を測定した。以上の実験を、上述の条件1、条件2の場合について同様に行った。結果を表1に示す。
【0037】
【0038】
表1に示すように、条件1,2の両者において、次亜塩素酸ナトリウムの濃度(次亜濃度)が目標濃度256ppmに非常に近い値になっている。このように、圧電ポンプでは駆動条件等により流量が大きく異なってしまうが、本実施の形態に係る薬液注入装置1では、このような圧電ポンプを薬液ポンプ5として用いた場合であっても、薬液2の注入量を精度よく制御することが可能である。なお、本実験では、時間計測や薬液ライン電磁弁8の閉弁作業を手技により行ったため、目標濃度に対する誤差が生じていると考えられる。
【0039】
(検出機構6の変形例)
本実施の形態では、検出機構6として複数の電極61を用い、電極61の導通を検出することで、電極61間の区間に薬液2が満たされていることを検出したが、検出機構6は、使用する薬液2に応じて、適宜変更可能である。例えば、導電性を有さず、色のついた液体を薬液2として用いる場合、注入用配管4の長手方向における複数箇所に、薬液2が流れる流路を挟んで発光器と受光器とを対向させた光センサを設け、各光センサの受光器で受光される光量の変化を基に、薬液2が所定の区間に満たされていることを検出するよう構成することもできる。
【0040】
また、薬液2が導電性を有さず、かつ無色透明の液体である場合等には、例えば、薬液2を加熱あるいは冷却する温度調整手段を設けて薬液2を外気温と異なる温度に制御すると共に、注入用配管4の長手方向における複数箇所に温度センサを設け、各温度センサの検出結果を基に、薬液2が所定の区間に満たされていることを検出するよう構成することも可能である。
【0041】
さらに、
図3(a),(b)のように注入用配管4内に空気を導入する場合には、空気中では液体中と比較して超音波が伝わりにくいことを利用して、薬液2が所定の区間に満たされたことを検出することも可能である。この場合、検出機構6は、注入用配管4内に超音波を出力する超音波発生器と、注入用配管4内に配置されると共に、注入用配管4の長手方向において超音波発生器と対向配置された受信器とを有し、受信器での超音波の受信の有無を基に、超音波発生器と受信器との間の区間に薬液2が満たされたことを検出するように構成されるとよい。この場合、注入用配管4としては、シリコーンチューブ等の超音波が伝わり難いものを用いる必要がある。超音波発生器及び受信器を用い、空気導入機構42を適宜併用することで、薬液2がどんな液体であっても適用可能な汎用性の高い検出機構6を実現できる。
【0042】
(薬液注入装置1を用いた透析液製造装置10)
図4は、
図1の薬液注入装置1を用いた透析液製造装置10の概略構成図である。
図4に示すように、透析液製造装置10は、透析液の原料粉末を水に溶解させて透析液の原液を生成する溶解槽12と、溶解槽12で生成した透析液の原液を貯留する貯槽13と、を有している。ここでは、A液及びB液と呼称される2種類の透析液の原液を作成するため、溶解槽12及び貯槽13が2つずつ備えられている。以下、A液製造用の溶解槽12及び貯槽13を第1溶解槽12a及び第1貯槽13aと呼称し、B液製造用の溶解槽12及び貯槽13を第2溶解槽12b及び第1貯槽13bと呼称する。
【0043】
給水口111から延びる水供給ライン11は、分岐部112にて2分岐され、第1及び第2溶解槽12a,12bにそれぞれ接続されている。分岐部112よりも第1溶解槽12a側の水供給ライン11には、第1水供給ライン電磁弁14aが設けられている。分岐部112よりも第2溶解槽12b側の水供給ライン11には、第2水供給ライン電磁弁14bが設けられている。分岐部112よりも上流側の水供給ライン11には、薬液タンク3から延びる薬液ライン41が接続されている。薬液ライン41の接続部分よりも上流側の水供給ライン11には、給水元電磁弁14cが設けられている。
【0044】
薬液ライン41と水供給ライン11との接続部には、発信電極61aが設けられている。薬液ライン41には、薬液タンク3側から、薬液ポンプ5、薬液ライン電磁弁8が順次設けられている。また、本実施の形態では、第1水供給ライン電磁弁14aよりも下流の水供給ライン11に、受信電極61bが設けられている。
図4の例においては、注入用配管4は、薬液タンク3から第1及び第2溶解槽12a,12bに至る配管(すなわち、薬液ライン41及び水供給ライン11の一部)となる。
【0045】
第1及び第2溶解槽12a,12bには、循環流路15a,15bがそれぞれ設けられている。循環流路15a,15bには、循環ポンプ16a,16bがそれぞれ設けられている。また、循環流路15a,15bには、透析液の原料粉末を収容した原料容器17a,17bがそれぞれ設けられており、循環ポンプ16a,16bを駆動することで、透析液の原料粉末が溶第1及び第2溶解槽12a,12bに送られ溶解されるようになっている。このように構成することで、溶解槽12a,12bに直接透析液の原料粉末を投入する場合と比較して、原料粉末の飛び散りを抑制することが可能になる。
【0046】
第1及び第2溶解槽12a,12bと第1及び第2貯槽13a,13bとは、移送ライン18a,18bによりそれぞれ接続されている。移送ライン18a,18bには、それぞれ移送弁19a,19bが設けられている。第1及び第2貯槽13a,13bには、第1及び第2貯槽13a,13bに貯留されている透析液の原液を図示しない血液浄化装置へと供給するための供給ライン20a,20bがそれぞれ接続されている。供給ライン20a,20bには、透析液の原液を送液するための供給ポンプ21a,21bがそれぞれ設けられている。
【0047】
(消毒作業のフロー)
次に、
図5を用いて、透析液製造装置10における消毒作業のフローを説明する。
図5に示すように、まず、ステップS1にて、ポンプ駆動制御部73が、第1水供給ライン電磁弁14a及び薬液ライン電磁弁8を開弁し、薬液ポンプ5を駆動する。その後、ステップS2にて、注入速度演算部71が現在時刻を薬液ポンプ5の駆動開始時刻として記憶する。
【0048】
その後、ステップS3にて、導通検出部62が、両電極61a,61bが導通したかを判定する。ステップS3にてNOと判定された場合、ステップS3を繰り返す。ステップS3にてYESと判定された場合、ステップS4にて、注入速度演算部71が現在時刻を導通検出部62の検出時刻として記憶する。その後、ステップS5にて、注入速度演算部71が、薬液ポンプ5の駆動開始時刻と導通検出部62の検出時刻とを基に注入速度を演算する。
【0049】
その後、ステップS6にて、停止時刻演算部72が、注入速度と予め設定された目標注入量とを基に、薬液ポンプ5の全駆動時間を演算し、全駆動時間を薬液ポンプ5の駆動開始時刻に足し合わせることによって、薬液ポンプ5の駆動停止時刻を求める。その後、ステップS7にて、ポンプ駆動制御部73が、現在の時刻が薬液ポンプ5の駆動停止時刻になったかを判定する。ステップS7でNOと判定された場合、ステップS7を繰り返す。ステップS7でYESと判定された場合、ステップS8にて、ポンプ駆動制御部73が、薬液ポンプ5を停止し、薬液ライン電磁弁8を閉弁する。その後、ステップS9にて、ポンプ駆動制御部73が、給水元電磁弁14cを所定時間開弁し、水供給ライン11内の薬液2(消毒液)を第1溶解槽12aに押し流す。その後、ステップS10にて、第1水供給ライン電磁弁14aを閉じる。
【0050】
その後、ステップS11にて、ポンプ駆動制御部73が、第2水供給ライン電磁弁14b及び薬液ライン電磁弁8を開弁し、薬液ポンプ5を駆動する。その後、ステップS12にて、ポンプ駆動制御部73が、薬液ポンプ5の駆動からステップS6で求めた薬液ポンプ5の全駆動時間が経過したかを判定する。ステップS12でNOと判定された場合、ステップS12を繰り返す。ステップS12でYESと判定された場合、ステップS13にて、ポンプ駆動制御部73が、薬液ポンプ5を停止し、薬液ライン電磁弁8を閉弁する。その後、ステップS14にて、ポンプ駆動制御部73が、給水元電磁弁14cを所定時間開弁し、水供給ライン11内の薬液2(消毒液)を第2溶解槽12bに押し流す。その後、ステップS15にて、第2水供給ライン電磁弁14bを閉じる。
【0051】
なお、ここでは、第2溶解槽12bに第1溶解槽12aと同量の薬液2を注入する場合について説明したが、第2溶解槽12bの容量が第1溶解槽12aの容量と異なる場合(つまり水の注入量が異なる場合)には、ステップS5で求めた注入速度を用いて、薬液2の注入量が所望の量となる薬液ポンプ5の全駆動時間を求め、求めた薬液ポンプ5の全駆動時間をステップS6の判定で用いるようにしてもよい。なお、薬液ポンプ5の全駆動時間を求める際には、ステップS5で求めた注入速度を用いる必要はなく、第2水供給ライン電磁弁14b側の水供給ライン11に別途電極を設け、薬液ポンプ5を駆動してから当該電極と発信電極61aとが導通するまでの時間を基に、注入速度を別途演算してもよい。
【0052】
その後、ステップS16にて、第1溶解槽12aへの給水処理を行う。図示していないが、第1溶解槽12a内には液位センサが設けられており、第1溶解槽12a内が所定の液位となるまで給水元電磁弁14c及び第1水供給ライン電磁弁14aを開弁することで、第1溶解槽12aへの給水を行う。これにより、第1溶解槽12a内に所定量の水が導入され、薬液2(消毒液)が希釈される。
【0053】
その後、ステップS17にて、第2溶解槽12bへの給水処理を行う。図示していないが、第2溶解槽12b内には液位センサが設けられており、第2溶解槽12b内が所定の液位となるまで給水元電磁弁14c及び第2水供給ライン電磁弁14bを開弁することで、第2溶解槽12bへの給水を行う。これにより、第2溶解槽12b内に所定量の水が導入され、薬液2(消毒液)が希釈される。
【0054】
その後、ステップS18にて、透析液製造装置10の各部の洗浄処理を行う。すなわち、循環ポンプ16a,16bや供給ポンプ21a,21bを適宜駆動させ、希釈後の薬液2(消毒液)を各配管に循環させて排出し、その後水を導入し各配管に循環させて消毒液を洗い流す処理を行う。各部の洗浄処理の具体的な手順等は特に限定されない。以上により、透析液製造装置10の消毒作業が終了する。
【0055】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る薬液注入装置1では、注入用配管4の所定の区間に薬液2が満たされたことを検出可能な検出機構6と、検出機構6の検出結果を基に、薬液ポンプ5の駆動制御を行う制御部7と、を備えている。
【0056】
これにより、薬液ポンプ5として安価な圧電ポンプ等を用いた場合であっても、薬液2の注入量を精度よく制御することが可能になる。その結果、従来用いていた高価かつ大型の定量ポンプを用いる必要がなくなり、またフィードバック制御等の複雑な制御も不要となり、簡単な装置構成で実現可能なコンパクトな薬液注入装置1を実現できる。
【0057】
例えば、インバータを用いることでポンプ電源を安定させ流量を安定させることも考えられるが、本実施の形態で薬液ポンプ5に用いる圧電ポンプでは、使用環境温度や吐出圧、個体差による流量の変動も考えられるため、インバータにより電源を安定させるだけでは薬液の注入量を精度よく制御することはできない。また、例えば薬液ポンプ5の後段に計量シリンダを設け、計量シリンダにより薬液の注入量を計量することも考えられるが、計量シリンダを設けることにより装置が大型化してしまう。本実施の形態では、注入用配管4の所定の区間に薬液2が満たされたことを検出するように検出機構6を構成しており、配管そのものを計量の手段としているため、装置の小型化が可能である。
【0058】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0059】
[1]薬液(2)を貯留する薬液タンク(3)と、前記薬液タンク(3)から導出された薬液(2)を流通する注入用配管(4)と、前記注入用配管(4)に設けられ薬液(2)を送液する薬液ポンプ(5)と、前記注入用配管(4)の所定の区間に薬液(2)が満たされたことを検出可能な検出機構(6)と、前記検出機構(6)の検出結果を基に、前記薬液ポンプ(5)の駆動制御を行う制御部(7)と、を備えた、薬液注入装置(1)。
【0060】
[2]前記制御部(7)は、前記薬液ポンプ(5)の駆動開始時刻、及び、前記検出機構(6)により前記注入用配管(4)の所定の区間に薬液(2)が満たされたことが検出された検出時刻を基に、薬液(2)の注入速度を求める注入速度演算部(71)と、前記注入速度演算部(71)が求めた薬液(2)の注入速度、及び、前記薬液ポンプ(5)の駆動開始時刻を基に、前記薬液ポンプ(5)の駆動停止時刻を求める停止時刻演算部(72)と、前記停止時刻演算部(72)が求めた駆動停止時刻に前記薬液ポンプ(5)の駆動を停止させるポンプ駆動制御部(73)と、を有する、[1]に記載の薬液注入装置(1)。
【0061】
[3]前記薬液(2)が導電性の液体であり、前記検出機構(6)は、前記注入用配管(4)の複数箇所において前記注入用配管(4)内に突出するようにそれぞれ設けられた複数の電極(61)と、前記複数の電極(61)の導通を検出する導通検出部(62)と、を有する、[1]または[2]に記載の薬液注入装置(1)。
【0062】
[4]前記検出機構(6)は、前記注入用配管(4)内に超音波を出力する超音波発生器と、前記注入用配管(4)内に配置されると共に、前記注入用配管(4)の長手方向において前記超音波発生器(4)と対向配置された受信器とを有し、前記受信器での超音波の受信の有無を基に、前記超音波発生器と前記受信器との間の区間に薬液(2)が満たされたことを検出する、[1]または[2]に記載の薬液注入装置(1)。
【0063】
[5]前記注入用配管(4)内に空気を導入する空気導入機構(42)を備えた、[4]に記載の薬液注入装置(1)。
【0064】
[6]前記薬液ポンプ(5)が、容積ポンプである、請求項1乃至5の何れか1項に記載の薬液注入装置。
【0065】
[7]前記薬液ポンプ(5)が、圧電ポンプである、[1]乃至[6]に記載の薬液注入装置(1)。
【0066】
[8]透析液の原料粉末を水に溶解させて透析液の原液を生成する溶解槽(12)を備えた透析液製造装置(10)であって、[1]乃至[7]の何れか1項に記載の薬液注入装置(1)を備え、前記注入用配管(4)は、前記薬液タンク(3)から前記溶解槽(12)に至る配管である、透析液製造装置(10)。
【0067】
[9]薬液(2)を薬液タンク(3)に貯留し、前記薬液タンク(3)から導出された薬液(2)を注入用配管(4)に流通させ、前記注入用配管(4)に薬液ポンプ(5)を設け薬液(2)を送液する薬液注入方法であって、前記注入用配管(4)の所定の区間に薬液(2)が満たされたことを検出可能な検出機構(6)を設け、前記検出機構(6)の検出結果を基に、前記薬液ポンプ(5)の駆動制御を行う、薬液注入方法。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0069】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、薬液注入装置1を透析液製造装置10に適用する場合について説明したが、薬液注入装置1の適用先はこれに限定されず、例えば、血液浄化装置における透析液回路に適用し、透析液回路を消毒する際にも用いることができる。
【0070】
また、上記実施の形態では、薬液ポンプ5のオンオフのみを制御する場合を説明したが、例えば、前回の薬液2の注入時における薬液ポンプ5の全駆動時間に応じて、次回の薬液2の注入時における薬液ポンプ5への印加電圧を調整するポンプ電圧調整機構等を備えてもよい。これにより、例えば全駆動時間が所定の時間閾値よりも長い場合には、薬液ポンプ5への印加電圧を上昇させて、薬液2の注入時間を短縮する、と言った制御も可能になる。
【符号の説明】
【0071】
1…薬液注入装置
2…薬液
3…薬液タンク
4…注入用配管
41…薬液ライン
42…空気導入機構
43…三方電磁弁
5…薬液ポンプ
6…検出機構
61…電極
62…導通検出部
7…制御部
10…透析液製造装置
11…水供給ライン
11a…水
12…溶解槽
13…貯槽