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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/30 20060101AFI20221202BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20221202BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221202BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G01C21/30
G08G1/0968 A
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017170935
(22)【出願日】2017-09-06
(65)【公開番号】P2019045406
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-06-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】清野 裕之
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-200488(JP,A)
【文献】特開2004-102536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-50/16
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06F 19/00
G06Q 10/00-10/10
G06Q 30/00-30/08
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G07B 11/00-17/04
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する車両位置検出手段と、
自車両が走行中の道路の区画線を検出する区画線検出手段と、
前記車両位置検出手段によって検出された自車位置が料金所を含む所定範囲内にあるときに、前記区画線検出手段による前記区画線の検出有無に基づいて、自車位置を地図データの道路リンク上に位置合わせするマップマッチングの有効/無効を設定するマップマッチング設定手段と、
を備え、前記マップマッチング設定手段は、自車両が前記料金所に向かって走行中に前記所定範囲に進入した後であって、前記区画線検出手段によって前記区画線が検出できないときに、前記マップマッチングの有効/無効の設定を有効から無効に切り替えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記マップマッチング設定手段は、自車両が前記料金所から離れる向きに走行中に前記所定範囲から離脱した後であって、前記区画線検出手段によって前記区画線が検出できたときに、前記マップマッチングの有効/無効の設定を無効から有効に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
自車位置を検出する車両位置検出手段と、
自車両が走行中の道路のレーン数を検出するレーン数検出手段と、
前記車両位置検出手段によって検出された自車位置が料金所を含む所定範囲内にあるときに、前記レーン数検出手段によって検出されたレーン数に基づいて、自車位置を地図データの道路リンク上に位置合わせするマップマッチングの有効/無効を設定するマップマッチング設定手段と、
を備え、前記レーン数検出手段は、自車両に搭載されて自車両周辺を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像によって得られた画像に含まれる区画線を抽出して前記レーン数を特定するレーン数特定手段とを有し、
前記マップマッチング設定手段は、自車両が前記料金所に向かって走行中に前記所定範囲に進入した後であって、前記レーン数特定手段による前記レーン数の特定ができないときに、前記マップマッチングの有効/無効の設定を有効から無効に切り替えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図データには、自車両が走行する道路のレーン数を示すレーン数情報が含まれており、
前記マップマッチング設定手段は、自車両が前記料金所から離れる向きに走行中に前記所定範囲から離脱した後であって、前記レーン数特定手段によって特定された前記レーン数が前記レーン数情報で示されたレーン数と一致したときに、前記マップマッチングの有効/無効の設定を無効から有効に切り替えることを特徴とする請求項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記料金所からの距離が所定値の範囲であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記所定範囲は、一方端が前記料金所に一致する道路リンクに対応する範囲であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて映像や音声などのデジタル放送等を受信するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両が有料道路の本線を走行中に、料金所の所定距離手前の地点に到達したとき、トールゲートモードを開始し、車両が料金所よりも所定距離後方の地点に到達したとき、トールゲートモードを解除するとともに、トールゲートモード対象区間を走行する際に、マップマッチングを停止させるようにしたナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、料金所近傍において、料金所の複数のゲートに合わせて道路幅が広くなった場合にマップマッチングを停止させることにより、マップマッチングをしたために却って自車位置がずれる不都合を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-200488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたナビゲーション装置では、料金所から所定距離隔たったトールゲートモード対象区間の開始位置/終了位置と、実際に料金所近傍で道路幅が広くあるいは狭くなる位置とが一致しない場合には、マップマッチングの実施あるいは停止に伴って自車位置表示が不自然になるという問題があった。
【0005】
例えば、所定距離が長いために、実際に道路幅が広くなる位置よりも手前にトールゲートモード対象区間の開始位置が設定されていると、実際には道路上を走行しているにもかかわらず、自車位置が地図上の道路位置からずれてしまう場合がある。反対に、所定距離が短いために、実際に道路幅が広くなる位置よりも後にトールゲートモード対象区間の開始位置が設定されていると、実際には端部近傍のゲートに向かって走行しているにも関わらず、自車位置が修正されてしまう場合がある。
【0006】
また、所定距離が長いために、実際に道路幅が狭くなる位置よりも後にトールゲートモード対象区間の終了位置が設定されていると、実際には道路上を走行しているにもかかわらず、自車位置が地図上の道路位置からずれてしまう場合がある。反対に、所定距離が短いために、実際に道路幅が狭くなる位置よりも手前にトールゲートモード対象区間の終了位置が設定されていると、実際には端部近傍のゲートから道路に向かって走行している途中にも関わらず、自車位置が修正されてしまう場合がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、料金所近傍を走行中に自車位置表示が不自然になることを防止することができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、自車位置を検出する車両位置検出手段と、自車両が走行中の道路の区画線を検出する区画線検出手段と、車両位置検出手段によって検出された自車位置が料金所を含む所定範囲内にあるときに、区画線検出手段による区画線の検出有無に基づいて、自車位置を地図データの道路リンク上に位置合わせするマップマッチングの有効/無効を設定するマップマッチング設定手段とを備えている。
【0009】
一般に、料金所の前方には道路から次第に幅が広くなって料金所に至る領域があり、料金所の後方には料金所から道路に向けて次第に幅が狭くなる領域があり、これらの領域ではレーンを区画する区画線の検出ができない。一方、これらの領域に隣接する道路ではレーンを区画する区画線の検出が可能である。このような理由から、料金所近傍において区画線の検出結果を用いることにより、次第に幅が狭くなる領域に自車両が進入したことや、次第に幅が狭くなる領域から離脱して道路に進入したことを判定することができる。このため、これらの領域を走行中にマップマッチングを無効にし、これらの領域の前後の道路を走行中にマップマッチングを有効にすることにより、料金所近傍を走行中に自車位置表示が不自然になることを防止することができる。
【0010】
また、上述したマップマッチング設定手段は、自車両が料金所に向かって走行中に所定範囲に進入した後であって、区画線検出手段によって区画線が検出できないときに、マップマッチングの有効/無効の設定を有効から無効に切り替える。これにより、道路を走行中の自車両が料金所近傍に差し掛かった際にマップマッチングを無効にして、自車位置表示が不自然になることを確実に防止することができる。
【0011】
また、上述したマップマッチング設定手段は、自車両が料金所から離れる向きに走行中に所定範囲から離脱した後であって、区画線検出手段によって区画線が検出できたときに、マップマッチングの有効/無効の設定を無効から有効に切り替えることが望ましい。これにより、自車両が料金所近傍から離脱して道路に進入した際にマップマッチングを有効にして、自車位置表示が不自然になることを確実に防止することができる。
【0012】
また、本発明のナビゲーション装置は、自車位置を検出する車両位置検出手段と、自車両が走行中の道路のレーン数を検出するレーン数検出手段と、車両位置検出手段によって検出された自車位置が料金所を含む所定範囲内にあるときに、レーン数検出手段によって検出されたレーン数に基づいて、自車位置を地図データの道路リンク上に位置合わせするマップマッチングの有効/無効を設定するマップマッチング設定手段とを備えている。
【0013】
一般に、料金所の前方には道路から次第に幅が広くなって料金所に至る領域があり、料金所の後方には料金所から道路に向けて次第に幅が狭くなる領域があり、これらの領域ではレーン数の検出ができない。一方、これらの領域に隣接する道路ではレーン数の検出が可能である。このような理由から、料金所近傍においてレーン数の検出結果を用いることにより、次第に幅が狭くなる領域に自車両が進入したことや、次第に幅が狭くなる領域から離脱して道路に進入したことを判定することができる。このため、これらの領域を走行中にマップマッチングを無効にし、これらの領域の前後の道路を走行中にマップマッチングを有効にすることにより、料金所近傍を走行中に自車位置表示が不自然になることを防止することができる。
【0014】
また、上述したレーン数検出手段は、自車両に搭載されて自車両周辺を撮像する撮像手段と、撮像手段による撮像によって得られた画像に含まれる区画線を抽出してレーン数を特定するレーン数特定手段とを有する。料金所の前後で幅が次第に広くあるいは狭くなる領域には区画線が描かれていないため、区画線を抽出してレーン数を特定することにより、マップマッチングを無効にすることが望ましいこれらの領域を自車両が走行中であるか否かを確実に知ることができる。
【0015】
また、上述したマップマッチング設定手段は、自車両が料金所に向かって走行中に所定範囲に進入した後であって、レーン数特定手段によるレーン数の特定ができないときに、マップマッチングの有効/無効の設定を有効から無効に切り替える。これにより、道路を走行中の自車両が料金所近傍に差し掛かった際にマップマッチングを無効にして、自車位置表示が不自然になることを確実に防止することができる。
【0016】
また、上述した地図データには、自車両が走行する道路のレーン数を示すレーン数情報が含まれており、マップマッチング設定手段は、自車両が料金所から離れる向きに走行中に所定範囲から離脱した後であって、レーン数特定手段によって特定されたレーン数がレーン数情報で示されたレーン数と一致したときに、マップマッチングの有効/無効の設定を無効から有効に切り替えることが望ましい。これにより、自車両が料金所近傍から離脱して道路に進入した際にマップマッチングを有効にして、自車位置表示が不自然になることを確実に防止することができる。
【0017】
また、上述した所定範囲は、料金所からの距離が所定値の範囲であることが望ましい。あるいは、上述した所定範囲は、一方端が料金所に一致する道路リンクに対応する範囲であることが望ましい。これにより、料金所近傍以外の範囲において、誤ってマップマッチングを無効にすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
図2】有料道路を料金所に向かって走行中の車両におけるナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
図3】料金所に向かって走行する車両におけるマップマッチングの有効/無効の説明図である。
図4】料金所から離脱する向きに走行中の車両におけるナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
図5】料金所から離脱する向きに走行する車両におけるマップマッチングの有効/無効の説明図である。
図6】変形例のナビゲーション装置の構成を示す図である。
図7】有料道路を料金所に向かって走行中の車両における変形例のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
図8】料金所から離脱する向きに走行中の車両における変形例のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置は、ナビゲーションコントローラ1、地図データ記憶装置3、操作部4、車両位置検出部5、表示装置6、オーディオ部7、カメラ8を含んで構成されている。このナビゲーション装置は、車両に搭載されている。
【0021】
ナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することにより、自車位置周辺の地図画像表示動作や施設検索動作、経路探索・誘導動作などの各種機能を実現する。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0022】
地図データ記憶装置3は、地図表示、施設検索、経路探索などに必要な地図データが格納されている記憶媒体およびその読み取り装置である。この地図データ記憶装置3には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。地図データ記憶装置3は、ハードディスク装置や半導体メモリによって、あるいは、DVDとその読み取り装置によって実現される。この地図データには、各道路の位置を示す道路データが含まれている。また、この道路データには、各道路を構成するノードやリンク(道路リンク)の各座標値や属性情報が含まれている。また、有料道路の料金所に対応するノードの属性情報には、そのノードが料金所に対応していることを示す情報が含まれる。また、各リンクの属性情報には、そのリンクに対応する道路のレーン数(例えば、一般的な高速道路の場合には「2」あるいは「3」などのレーン数を示すレーン数情報)が含まれる。なお、地図データ記憶装置3を通信装置に置き換えて、外部の地図配信サーバ(図示せず)から地図データを取得するようにしてもよい。
【0023】
操作部4は、利用者の指示(操作)を受け付けるためのものであり、各種の操作ボタンや操作つまみ類を備えている。また、操作部4は、表示装置6の画面に取り付けられたタッチパネルを含んでおり、画面上の一部を直接利用者が指等で指し示すことにより、操作指示を行うことができるようになっている。
【0024】
車両位置検出部5は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで車両位置(経度、緯度)の検出を行い、検出結果を出力する。
【0025】
表示装置6は、例えばLCD(液晶表示装置)によって構成されており、ナビゲーションコントローラ1から出力される映像信号に基づいて自車位置周辺の地図画像や交差点案内画像、あるいは、施設検索によって得られた施設やその周辺駐車場が含まれる検索結果画像などを表示する。オーディオ部7は、ナビゲーションコントローラ1から入力される音声信号に基づいて生成した案内音声等を車室内に出力する。
【0026】
カメラ8は、車両の所定位置(例えば車両前方あるいは後方)に搭載されており、自車両の周辺の道路上に描かれた区画線を撮像する。
【0027】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、車両位置計算部20、レーン数特定部22、マップマッチング(MM)設定部24、経路探索処理部30、経路誘導処理部32、目的地設定部34、入力処理部50、表示処理部60を含んで構成されている。
【0028】
地図バッファ10は、地図データ記憶装置3から読み出された地図データを一時的に格納する。地図読出制御部12は、車両位置計算部20により算出される車両位置や利用者が操作部4を操作して指定した位置に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求を地図データ記憶装置3に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、表示装置6に地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。この地図画像には、表示画面の所定位置に対応する自車位置マークが含まれる。
【0029】
車両位置計算部20は、車両位置検出部5から出力される検出データに基づいて自車位置を計算するとともに、計算した自車位置が地図データの道路上にない場合には、自車位置を地図データの道路リンク上に位置合わせするために自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0030】
レーン特定部22は、カメラ8による撮像によって得られた画像に含まれる区画線を抽出して、自車両が走行中の道路のレーン数を特定する。マップマッチング設定部24は、自車位置が料金所を含む所定範囲内にあるときに、レーン数特定部22によって特定されたレーン数に基づいて、車両位置計算部20におけるマップマッチングの有効/無効(実行/非実行)を設定する
経路探索処理部30は、経路探索処理を行って、出発地と目的地との間を所定の探索条件にしたがって結ぶ走行経路(誘導経路)を探索する。経路誘導処理部32は、経路探索処理部30による経路探索処理によって得られた誘導経路を地図上に重ねて表示したり、交差点における右左折方向を示す交差点案内図を表示するための誘導経路描画データを作成するとともに、誘導経路に沿って車両を誘導するために必要な交差点案内等の音声信号を生成する。目的地設定部34は、経路探索処理部30によって行われる経路探索処理に用いられる目的地を設定する。
【0031】
入力処理部50は、操作部4から入力される各種の操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。
【0032】
表示処理部60は、地図描画部14によって作成される地図画像描画データが入力されており、この描画データに基づいて所定範囲の地図画像を表示装置6の画面に表示する。また、誘導経路処理部32によって設定される誘導経路や交差点案内図を示す描画データが入力されると、表示処理部60は、この描画データを地図画像に重ねて表示装置6の画面に表示する。
【0033】
上述した車両位置検出部5、車両位置計算部20が車両位置検出手段に、カメラ8、レーン数特定部22がレーン数検出手段に、カメラ8が撮像手段に、レーン数特定部22がレーン数特定手段に、マップマッチング設定部24がマップマッチング設定手段にそれぞれ対応する。
【0034】
本実施形態のナビゲーション装置はこのような構成を有しており、次に、車両が料金所を通過する前後の動作について説明する。
【0035】
図2は、有料道路を料金所に向かって走行中の車両におけるナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【0036】
マップマッチング設定部24は、自車両が走行中の道路に対応するリンクについて終端ノードの属性情報を読み出し(ステップ100)、この終端ノードが有料道路の料金所に対応しているか否かを判定する(ステップ102)。料金所に対応していない場合には否定判断が行われ、ステップ100に戻って終端ノードの属性情報の読み出し動作が繰り返される。
【0037】
また、終端ノードが料金所に対応しており、ステップ102の判定おいて肯定判断が行われると、次に、マップマッチング設定部24は、その時点で車両位置計算部20によって計算された自車位置から料金所までの距離L1を算出する(ステップ104)。料金所に対応するノードの属性情報からその座標値がわかるため、この座標値と自車位置の座標値とに基づいて距離L1を算出することができる。マップマッチング設定部24は、この料金所までの距離L1が所定のしきい値S1以内か否かを判定する(ステップ106)。距離L1がしきい値S1よりも大きい場合(自車位置が料金所を含む所定範囲よりも離れている場合)には否定判断が行われ、ステップ104に戻って料金所までの距離L1の算出動作が繰り返される。
【0038】
また、距離L1がしきい値S1以内の場合(自車位置が料金所を含む所定範囲内に進入した場合)には、ステップ106の判定において肯定判断が行われる。次に、レーン数特定部22は、カメラ8による撮像によって得られた画像に含まれる区画線を抽出して、自車両が走行中の道路のレーン数を特定する(ステップ108)。
【0039】
次に、マップマッチング設定部24は、レーン数検出ができているか否か(レーン数特定部22によってレーン数の特定に成功したか否か)を判定する(ステップ110)。レーン数が検出されている場合には肯定判断が行われ、ステップ108に戻ってレーン数の特定動作が繰り返される。
【0040】
また、レーン数の検出ができなかった場合には、ステップ110の判定において否定判断が行われる。レーン数を検出できない場合とは、料金所近傍で道路幅が広がる領域(区画線が描かれていない領域)に進入した場合であり、マップマッチング設定部24は、料金所モードを開始して、マップマッチングを無効にする(ステップ112)。
【0041】
図3は、料金所に向かって走行する車両におけるマップマッチングの有効/無効の説明図である。図3(A1)、図3(A2)には料金所モードが開始される前の状態が、図3(B)には料金所モードが開始された後の状態が示されている。
【0042】
図3(A1)に示すように、自車位置マークGで示される自車位置から料金所Tまでの距離L1が所定のしきい値S1よりも大きいため、料金所モードが開始されず、マップマッチングが有効になっている。したがって、車両位置検出部5によって検出された、あるいは、車両位置計算部20によって計算された自車位置が、走行中の道路から外れた場合であっても、この道路に対応するリンク上に沿った位置に修正される。
【0043】
また、図3(A2)に示すように、自車位置マークGで示される自車位置から料金所Tまでの距離L1が所定のしきい値S1以内であるが、自車位置マークGで示される自車位置が料金所近傍で道路幅が広がる領域の端部位置Eの手前にあり、レーン数特定部22によってレーン数の特定が可能であるため、料金所モードが開始されず、マップマッチングが有効になっている。したがって、図3(A1)と同様に、車両位置検出部5によって検出された、あるいは、車両位置計算部20によって計算された自車位置が、走行中の道路から外れた場合であっても、この道路に対応するリンク上に沿った位置に修正される。
【0044】
これに対し、図3(B)に示すように、自車位置マークGで示される自車位置から料金所Tまでの距離L1が所定のしきい値S1以内になると、料金所モードが開始され、マップマッチングが無効になる。したがって、車両位置検出部5によって検出された、あるいは、車両位置計算部20によって計算された自車位置が、道路に対応するリンク上に沿った位置に修正されることなく、自車位置マークGの表示位置が未修正の状態で維持される。
【0045】
なお、図3(B)では、仮にマップマッチングが有効であって自車位置が修正された場合の自車位置マークがG’で示されている。また、上述したしきい値S1は、このしきい値S1に対応する範囲に、料金所近傍で道路幅が広がる領域の端部位置Eが確実に含まれるようにする必要がある。各地に存在する料金所毎にこのしきい値S1を設定してもよいが、すべての料金所に共通なしきい値S1を設定するようにしてもよい。
【0046】
図4は、料金所から離脱する向きに走行中の車両におけるナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。
【0047】
料金所モードが開始された後に、マップマッチング設定部24は、料金所からその時点で車両位置計算部20によって計算された自車位置までの距離L2を算出する(ステップ200)。次に、マップマッチング設定部24は、自車位置に最も近いリンクを抽出し、このリンクに対応する属性情報からこのリンクに対応する道路のレーン数を読み出す(ステップ202)。また、マップマッチング設定部24は、この自車位置までの距離L2が所定のしきい値S2を超えたか否かを判定する(ステップ204)。距離L2がしきい値S2を超えていない場合には否定判断が行われ、ステップ200に戻って距離L2の算出動作が繰り返される。
【0048】
また。距離L2がしきい値S2を超えると、ステップ204の判定において肯定判断が行われる。次に、レーン数特定部22は、カメラ8による撮像によって得られた画像に含まれる区画線を抽出して、自車両が走行中の道路のレーン数を特定する(ステップ206)。
【0049】
次に、マップマッチング設定部24は、ステップ202で読み出した道路のレーン数とステップ206で特定した道路のレーン数とが一致するか否かを判定する(ステップ208)。料金所近傍を走行中の場合には、通過ゲート数に対応するレーン数(その先の道路のレーン数よりも多い)になったり、区画線が描かれておらずにレーン数の特定が不可能になったりするため、ステップ208の判定において否定判断が行われる。この場合には、ステップ206に戻って、走行中の道路のレーン数の特定動作が繰り返される。
【0050】
また、レーン数が一致するとステップ208の判定において肯定判断が行われる。この一致する場合とは、料金所近傍の幅広の領域から抜け出して所定レーン数の道路に進入した場合であり、マップマッチング設定部24は、マップマッチングを有効にして、料金所モードを終了する(ステップ210)。
【0051】
図5は、料金所から離脱する向きに走行する車両におけるマップマッチングの有効/無効の説明図である。図5(A1)、図5(A2)には料金所モードが終了する前の状態が、図5(B)には料金所モードが終了した後の状態が示されている。
【0052】
図5(A1)に示すように、料金所Tから自車位置マークGで示される自車位置までの距離L2が所定のしきい値S2を超えていないため、料金所モードが終了しておらず、マップマッチングが無効になっている。したがって、車両位置検出部5によって検出された、あるいは、車両位置計算部20によって計算された自車位置が、道路に対応するリンク上に沿った位置に修正されることなく、自車位置マークGの表示位置が未修正の状態で維持される。なお、図5(A1)、図5(A2)では、仮にマップマッチングが有効であって自車位置が修正された場合の自車位置マークがG”で示されている。
【0053】
また、図5(A2)に示すように、料金所Tから自車位置マークGで示される自車位置までの距離L2が所定のしきい値S2を超えているが、自車位置マークGで示される自車位置が料金所近傍で道路幅が狭くなる領域の端部位置Oの手前で、料金所近傍を走行中であり、レーン数特定部22による自車両が走行中の道路のレーン数の特定が不可能である。したがって、図5(A1)と同様に、料金所モードが終了せず、マップマッチングが無効となるため、自車位置マークGの表示位置が未修正の状態で維持される。
【0054】
これに対し、図5(B)に示すように、料金所Tから自車位置マークGで示される自車位置までの距離L2が所定のしきい値S2を超えると、料金所モードが終了し、マップマッチングが有効になる。したがって、車両位置検出部5によって検出された、あるいは、車両位置計算部20によって計算された自車位置が、走行中の道路から外れた場合であっても、この道路に対応するリンク上に沿った位置に修正される。
【0055】
なお、上述したしきい値S2は、このしきい値S2に対応する範囲に、料金所近傍で道路幅が狭くなる領域の端部位置Oが含まれないようにする必要がある。各地に存在する料金所毎にこのしきい値S2を設定してもよいが、すべての料金所に共通なしきい値S2を設定するようにしてもよい。
【0056】
このように、本実施形態のナビゲーション装置では、料金所近傍においてレーン数の検出結果を用いることにより、次第に幅が狭くなる領域に自車両が進入したことや、次第に幅が狭くなる領域から離脱して道路に進入したことを判定することができる。このため、これらの領域を走行中にマップマッチングを無効にし、これらの領域の前後の道路を走行中にマップマッチングを有効にすることにより、料金所近傍を走行中に自車位置表示が不自然になることを防止することができる。
【0057】
特に、料金所の前後で幅が次第に広くあるいは狭くなる領域には区画線が描かれていないため、区画線を抽出してレーン数を特定することにより、マップマッチングを無効にすることが望ましいこれらの領域を自車両が走行中であるか否かを確実に知ることができる。
【0058】
また、自車両が料金所に向かって走行中に所定範囲(自車位置から料金所までの距離L1がしきい値S1以内)に進入した後であってレーン数の特定ができないときに、料金所モードを開始してマップマッチングの設定を有効から無効に切り替えている。これにより、道路を走行中の自車両が料金所近傍に差し掛かった際にマップマッチングを無効にして、自車位置表示が不自然になることを確実に防止することができる。
【0059】
また、自車両が料金所から離れる向きに走行中に所定範囲(料金所から自車位置までの距離L2がしきい値S2を超えた範囲)から離脱した後であって特定されたレーン数が地図データで示されたレーン数と一致したときに、料金所モードを終了してマップマッチングの設定を無効から有効に切り替えている。これにより、自車両が料金所近傍から離脱して道路に進入した際にマップマッチングを有効にして、自車位置表示が不自然になることを確実に防止することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、料金所モードを開始する条件として、(1)自車位置から料金所までの距離L1がしきい値S1以内、(2)レーン数検出ができていない、の2つとしたが、(1)の条件の代わりに、(1’)一方端のノードが料金所に対応している道路リンクを走行中の場合、としてもよい。
【0061】
同様に、料金所モードを終了する条件として、(3)料金所から自車位置までの距離L2がしきい値S2を超えている、(4)カメラ8を用いて特定したレーン数が地図データで示されるレーン数と一致する、の2つとしたが、(3)の条件の代わりに、(3’)一方端のノードが料金所に対応している道路リンクを離脱して次の道路リンクに進入した場合、としてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、レーン数検出の有無とマップマッチングの有効/無効の設定とを関連付けたが、「レーン数検出の有無」の代わりに「道路の区画線検出の有無」を用いるようにしてもよい。
【0063】
図6は、変形例のナビゲーション装置の構成を示す図である。図6に示した構成は、図1に示した構成に対して、ナビゲーションコントローラ1をナビゲーションコントローラ1Aに置き換えた点が異なっている。このナビゲーションコントローラ1Aは、図1に示したナビゲーションコントローラ1に対して、レーン数特定部22を区画線検出部22Aに、マップマッチング設定部24をマップマッチング設定部24Aに置き換えた点が異なっている。カメラ8、区画線検出部22Aが区画線検出手段に、マップマッチング設定部24Aがマップマッチング設定手段にそれぞれ対応する。その他の構成については基本的に共通しており、以下では、これらの置き換えられた構成に着目して説明を行うものとする。
【0064】
区画線検出部22Aは、カメラ8による撮像によって得られた画像に含まれる道路の区画線を抽出することにより、区画線を検出する。マップマッチング設定部24Aは、自車位置が料金所を含む所定範囲内にあるときに、区画線検出部22Aによる検出結果(区画線の検出有無)に基づいて、車両位置計算部20におけるマップマッチングの有効/無効(実行/非実行)を設定する。
【0065】
図7は、有料道路を料金所に向かって走行中の車両における変形例のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。図7に示した動作手順は、図2に示した動作手順に対して、ステップ108の動作をステップ108Aの動作に、ステップ110の動作をステップ110Aの動作に置き換えたものである。
【0066】
距離L1がしきい値S1以内の場合(自車位置が料金所を含む所定範囲内に進入した場合)であってステップ106の判定において肯定判断が行われると、次に、区画線検出部22Aは、カメラ8による撮像によって得られた画像に含まれる区画線を抽出することによって道路の区画線を検出する(ステップ108A)。
【0067】
次に、マップマッチング設定部24Aは、区画線検出ができているか否か(道路の区画線が抽出できたか否か)を判定する(ステップ110A)。区画線検出ができている場合には肯定判断が行われ、ステップ108Aに戻って区画線の検出動作が繰り返される。
【0068】
また、区画線検出ができなかった場合には、ステップ110Aの判定において否定判断が行われる。区画線が検出できない場合とは、料金所近傍で道路幅が広がる領域(区画線が描かれていない領域)に進入した場合であり、マップマッチング設定部24Aは、料金所モードを開始して、マップマッチングを無効にする(ステップ112)。
【0069】
図8は、料金所から離脱する向きに走行中の車両における変形例のナビゲーション装置の動作手順を示す流れ図である。図8に示した動作手順は、図4に示した動作手順に対して、ステップ202の動作を削除するとともに、ステップ206の動作をステップ206Aの動作に、ステップ208の動作をステップ208Aの動作に置き換えたものである。
【0070】
料金所モードが開始された後に、マップマッチング設定部24Aは、料金所からその時点で車両位置計算部20によって計算された自車位置までの距離L2を算出する(ステップ200)。また、マップマッチング設定部24Aは、この自車位置までの距離L2が所定のしきい値S2を超えたか否かを判定する(ステップ204)。距離L2がしきい値S2を超えていない場合には否定判断が行われ、ステップ200に戻って距離L2の算出動作が繰り返される。
【0071】
また。距離L2がしきい値S2を超えると、ステップ204の判定において肯定判断が行われる。次に、区画線検出部22Aは、カメラ8による撮像によって得られた画像に含まれる区画線を抽出することによって道路の区画線を検出する(ステップ206A)。
【0072】
次に、マップマッチング設定部24Aは、区画線検出ができているか否か(道路の区画線が抽出できたか否か)を判定する(ステップ208A)。料金所近傍から次第に道路幅が狭くなる領域には区画線が描かれておらず、この領域を走行中はステップ208Aの判定において否定判断が行われる。この場合には、ステップ206Aに戻って区画線の検出動作が繰り返される。
【0073】
また、区画数の検出ができるようになるとステップ208Aの判定において肯定判断が行われる。次に、マップマッチング設定部24Aは、マップマッチングを有効にして、料金所モードを終了する(ステップ210)。
【0074】
一般に、料金所の前方には道路から次第に幅が広くなって料金所に至る領域があり、料金所の後方には料金所から道路に向けて次第に幅が狭くなる領域があり、これらの領域ではレーンを区画する区画線の検出ができない。一方、これらの領域に隣接する道路ではレーンを区画する区画線の検出が可能である。このような理由から、料金所近傍において区画線の検出結果を用いることにより、次第に幅が狭くなる領域に自車両が進入したことや、次第に幅が狭くなる領域から離脱して道路に進入したことを判定することができる。このため、これらの領域を走行中にマップマッチングを無効にし、これらの領域の前後の道路を走行中にマップマッチングを有効にすることにより、料金所近傍を走行中に自車位置表示が不自然になることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
上述したように、本発明によれば、料金所近傍においてレーン数の検出結果を用いることにより、次第に幅が狭くなる領域に自車両が進入したことや、次第に幅が狭くなる領域から離脱して道路に進入したことを判定することができるため、これらの領域を走行中にマップマッチングを無効にし、これらの領域の前後の道路を走行中にマップマッチングを有効にすることにより、料金所近傍を走行中に自車位置表示が不自然になることを防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、1A ナビゲーションコントローラ
3 地図データ記憶装置
4 操作部
5 車両位置検出部
6 表示装置
7 オーディオ部
8 カメラ
10 地図バッファ
12 地図読出制御部
14 地図描画部
20 車両位置計算部
22 レーン数特定部
22A 区画数検出部
24、24A マップマッチング(MM)設定部
50 入力処理部
60 表示処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8