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特許7186500呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法、呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法、呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/497 20060101AFI20221202BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G01N33/497 B
G01N21/27 A
G01N21/27 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017251952
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019117148
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】石田 和裕
(72)【発明者】
【氏名】折原 洋一
(72)【発明者】
【氏名】児玉 達治
(72)【発明者】
【氏名】道林 千晶
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/207409(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/076059(WO,A1)
【文献】特開2004-205496(JP,A)
【文献】樋口均也、他2名,L*A*B*色空間を用いた舌の色調分析ならびに口臭に関連する検査項目との関連性の検討,日本口臭学会会誌,日本,2012年05月31日,Vol.3,No.1,Page.12-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
G01N 21/27
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の舌体の判定部位を含む画像を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記画像に含まれる前記舌体の前記判定部位の色味と、舌体の判定部位の色味と呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルとの関係とに基づいて、前記被験者の呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルを推定する推定工程とを有し、
前記推定工程は前記被験者の前記舌体の前記判定部位の赤みが弱いほど、前記被験者の呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルが高いと推定し、
前記判定部位が、舌中部位に含まれる舌正中溝を含むように規定され、
前記画像に含まれる前記判定部位の面積と、前記画像に含まれる舌中部位の面積との比が、0.3以上、1.8以下である、
呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法。
【請求項2】
舌体位置合わせ用ガイド枠と前記被験者の前記舌体の前記判定部位とが表示されるモニターを備える撮影装置によって、前記被験者の前記舌体の前記判定部位を含む前記画像が撮影され、
前記舌体位置合わせ用ガイド枠は、前記画像に含まれる前記判定部位の面積と前記画像に含まれる舌中部位の面積との比が0.3以上、1.8以下になるように、前記モニターに表示される、
請求項1に記載の呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法。
【請求項3】
前記被験者の前記舌体の前記判定部位と、前記被験者の前記舌体の前記判定部位を撮影する前記撮影装置との距離が5cm~20cmである、
請求項2に記載の呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法。
【請求項4】
120万画素~1320万画素の画素数を有する前記撮影装置によって、前記被験者の前記舌体の前記判定部位を含む前記画像が撮影される、
請求項2または3に記載の呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法。
【請求項5】
前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合に基づいて、前記被験者の呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルを推定する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法。
【請求項6】
被験者の舌体の判定部位を含む画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記画像に含まれる前記舌体の前記判定部位の色味と、
舌体の判定部位の色味と呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルとの関係とに基づいて、前記被験者の呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルを推定する推定部とを有し、
前記推定部は前記被験者の前記舌体の前記判定部位の赤みが弱いほど、前記被験者の呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルが高いと推定し、
前記判定部位が、舌中部位に含まれる舌正中溝を含むように規定され、
前記画像に含まれる前記判定部位の面積と、前記画像に含まれる舌中部位の面積との比が、0.3以上、1.8以下である、
呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定装置。
【請求項7】
コンピュータに、
被験者の舌体の判定部位を含む画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記画像に含まれる前記舌体の前記判定部位の色味と、舌体の判定部位の色味と呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルとの関係とに基づいて、前記被験者の呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルを推定する推定ステップと
を実行させ、
前記推定ステップは前記被験者の前記舌体の前記判定部位の赤みが弱いほど、前記被験者の呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルが高いと推定し、
前記判定部位が、舌中部位に含まれる舌正中溝を含むように規定され、
前記画像に含まれる前記判定部位の面積と、前記画像に含まれる舌中部位の面積との比が、0.3以上、1.8以下である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法、呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
口腔関連の不具合の中で、口臭に対する悩みは多い。口臭に対して様々なケア製品が発売されているが、その効果を自覚することは難しく、効果不安を解消する口臭の見える化技術が望まれていた。
これまでに口臭のチェック製品として多くのものが市販されている。しかし、これらは、香料などの口臭の不快成分以外の成分も検出してしまうなどの課題があり、精度も十分とはいえない。
一方、口臭の不快成分を特異的に精度よく検出する方法としては、ガスクロマトグラフィーが使用されている。特許文献1には、検出器の検出出力のベースラインを安定化させ、信頼性の高い測定が行えるガスクロマトグラフ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-254956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された手法は非常に高価な分析機器を必要とし、分析条件を設定するに際しても高度な専門知識を要するなど、一般の生活者に対しての汎用性面で大きな課題がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、簡易な手法によって呼気中の揮発性硫黄化合物の含有レベルを推定することができる呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定方法、呼気中揮発性硫黄化合物含有レベル推定装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は鋭意検討の結果、ある特定の条件にて舌体の判定部位を撮影することで、高価な分析装置を必要とせず簡便かつ精度よく呼気中の不快臭気成分含有レベルを判別できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明における呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法は、被験者の舌体の判定部位を含む画像を取得する取得工程と、前記取得工程において取得された前記画像に含まれる前記舌体の前記判定部位の色味と、舌体の判定部位の色味と呼気中の不快臭気成分の含有レベルとの関係とに基づいて、前記被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定する推定工程とを有し、前記判定部位は舌正中溝を含む。
【0008】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記画像に含まれる前記判定部位の面積と、前記画像に含まれる舌中部位の面積との比が、0.3以上、1.8以下であってもよい。
【0009】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、舌体位置合わせ用ガイド枠と前記被験者の前記舌体の前記判定部位とが表示されるモニターを備える撮影装置によって、前記被験者の前記舌体の前記判定部位を含む前記画像が撮影され、前記舌体位置合わせ用ガイド枠は、前記画像に含まれる前記判定部位の面積と前記画像に含まれる舌中部位の面積との比が0.3以上、1.8以下になるように、前記モニターに表示されてもよい。
【0010】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記被験者の前記舌体の前記判定部位と、前記被験者の前記舌体の前記判定部位を撮影する前記撮影装置との距離が5cm~20cmであってもよい。
【0011】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、120万画素~1320万画素の画素数を有する前記撮影装置によって、前記被験者の前記舌体の前記判定部位を含む前記画像が撮影されてもよい。
【0012】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記被験者の前記舌体の前記判定部位の赤みが弱いほど、前記被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルが高いと推定してもよい。
【0013】
例えばsRGB値が、色味、赤みを測定するためのパラメータとして用いられるが、代わりに、色味、赤みを測定するためにHSV、L*a*b*等の他のパラメータを用いてもよい。
【0014】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合に基づいて、前記被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定してもよい。
【0015】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が60%以上である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が450ppb以上であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が45%以上60%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が300ppb以上450ppb未満であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が30%以上45%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が150ppb以上300ppb未満であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が30%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が150ppb未満であると推定してもよい。
【0016】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合に基づいて、前記被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定してもよい。
【0017】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が30%以上である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が450ppb以上であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が20%以上30%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が300ppb以上450ppb未満であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が10%以上20%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が150ppb以上300ppb未満であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が10%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が150ppb未満であると推定してもよい。
【0018】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合に基づいて、前記被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定してもよい。
【0019】
本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法において、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が60%以上である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が450ppb以上であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が45%以上60%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が300ppb以上450ppb未満であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が30%以上45%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が150ppb以上300ppb未満であると推定し、前記判定部位中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が30%未満である場合に、前記被験者の呼気中硫化水素濃度が150ppb未満であると推定してもよい。
【0020】
本発明における呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置は、被験者の舌体の判定部位を含む画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記画像に含まれる前記舌体の前記判定部位の色味と、舌体の判定部位の色味と呼気中の不快臭気成分の含有レベルとの関係とに基づいて、前記被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定する推定部とを有する。
【0021】
本発明におけるプログラムは、コンピュータに、被験者の舌体の判定部位を含む画像を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された前記画像に含まれる前記舌体の前記判定部位の色味と、舌体の判定部位の色味と呼気中の不快臭気成分の含有レベルとの関係とに基づいて、前記被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定する推定ステップとを実行させるためのものである。
【0022】
本発明における口臭ケア方法は、前記呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法を利用したものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡易な手法によって呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定することができる呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法、呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置、プログラムおよび口臭ケア方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態の呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置の一例を示す図である。
図2】舌体の判定部位の色味と呼気中の不快臭気成分の含有レベルとの関係を示す図である。
図3図1に示す呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置の適用例を示す図である。
図4図3に示す撮影装置の一例を示す図である。
図5】撮影装置の撮影部によって撮影された被験者の舌体を含む画像を示す図である。
図6】呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置が組み込まれた撮影装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の呼気中不快臭気成分含有レベル推定方法、呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置、プログラムおよび口臭ケア方法の実施形態について説明する。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0026】
図1は実施形態の呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1の一例を示す図である。
図1に示す例では、呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が、例えば取得部11と、推定部12とを備えている。取得部11は、被験者の舌体の判定部位を含む画像を取得する。推定部12は、取得部11によって取得された画像に含まれる舌体の判定部位の色味と、舌体の判定部位の色味と呼気中の不快臭気成分の含有レベルとの関係とに基づいて、被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定する。
【0027】
図2は舌体の判定部位の色味と呼気中の不快臭気成分の含有レベルとの関係を示す図である。図2において、横軸は舌体の判定部位の色味を示している。詳細には、横軸は舌体の判定部位の赤みの強弱を示している。縦軸は呼気中の不快臭気成分の含有レベルを示している。図2に示す例では、舌体の判定部位の赤みが弱いほど、呼気中の不快臭気成分の含有レベルが高くなり、舌体の判定部位の赤みが強いほど、呼気中の不快臭気成分の含有レベルが低くなる。
図1および図2に示す例では、推定部12は、取得部11によって取得された画像に含まれる被験者の舌体の判定部位の赤みが弱いほど、被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルが高いと推定する。また、推定部12は、取得部11によって取得された画像に含まれる被験者の舌体の判定部位の赤みが強いほど、被験者の呼気中の不快臭気成分の含有レベルが低いと推定する。
【0028】
図3図1に示す呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1の適用例を示す図である。
図3に示す例では、図1に示す実施形態の呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が、例えば被験者が所有するスマートフォンなどのような撮影装置Aに組み込まれている。撮影装置Aは、例えばレンズなどのような撮影部A1と、例えばモニターなどのような表示部A2と、制御部A3とを備えている。撮影部A1は、被験者の舌体の画像などを撮影する。表示部A2は、撮影部A1によって撮影された被験者の舌体の画像などを表示する。制御部A3は、撮影部A1および表示部A2の制御などを行う。呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1は、制御部A3に組み込まれている。
他の例では、実施形態の呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が、スマートフォン以外のものによって構成されていてもよい。
【0029】
図4図3に示す撮影装置Aの一例を示す図である。詳細には、図4(A)は撮影装置Aに組み込まれた呼気中不快臭気成分含有レベル推定アプリの非起動時における撮影装置Aの斜視図である。図4(B)は呼気中不快臭気成分含有レベル推定アプリの起動中における撮影装置Aの斜視図である。図4(C)は被験者Bの舌体B1の撮影時における撮影装置Aと被験者Bの舌体B1との関係を示す図である。図4(D)は被験者Bの舌体B1の撮影時における撮影装置Aの表示部A2(モニター)の画面などを示す図である。
図4に示す例では、撮影装置Aが、例えば120万画素~1320万画素の画素数を有する。図4(A)に示すように、呼気中不快臭気成分含有レベル推定アプリの非起動時には、舌体位置合わせ用ガイド枠A21が、撮影装置Aの表示部A2に表示されない。図4(B)に示すように、例えば被験者Bによって呼気中不快臭気成分含有レベル推定アプリが起動されると、舌体位置合わせ用ガイド枠A21が、撮影装置Aの表示部A2に表示される。図4(C)および図4(D)に示すように、被験者Bの舌体B1の撮影時に、被験者Bは、表示部A2の画面上における被験者Bの舌体B1の輪郭と、舌体位置合わせ用ガイド枠A21とを一致させる。撮影部A1は、表示部A2の画面上における被験者Bの舌体B1の輪郭と舌体位置合わせ用ガイド枠A21とが一致した状態で、被験者Bの舌体B1の画像を撮影する。
【0030】
図5は撮影装置Aの撮影部A1によって撮影された被験者Bの舌体B1の画像Cを示す図である。
図5に示す例では、撮影装置Aの撮影部A1によって撮影された画像Cに、被験者Bの舌体B1の判定部位B10が含まれる。判定部位B10とは、舌正中溝B11の少なくとも一部を含む部位である。舌正中溝B11とは、舌体B1の上面に位置し、かつ、分界溝(舌根(図示せず)と舌体B1との境界)から舌尖B13まで図5の上下方向に延びており、かつ、舌体B1を図5の左右方向に概略2分割する線(または仮想線)である。
つまり、図4および図5に示す例では、表示部A2の画面上における被験者Bの舌体B1の輪郭と舌体位置合わせ用ガイド枠A21とが一致した状態で、撮影部A1が被験者Bの舌体B1の画像Cを撮影すると、舌正中溝B11の少なくとも一部を含む判定部位B10がその画像Cに含まれる。
好ましくは、撮影部A1によって撮影される被験者Bの舌体B1の画像Cには、舌中部位B12が含まれる。
本明細書において「舌中部位」とは、分界溝から舌尖B13にかけて縦方向に4分割したときに舌尖B13から1/4~2/4の部位であり、その中間から左右方向に舌体B1を4分割したときの中心側の2つの領域(つまり、図5中の破線で囲まれ、符号B12で示される領域)を示す。
好ましくは、画像Cに含まれる被験者Bの舌体B1の判定部位B10の面積と、画像Cに含まれる被験者Bの舌体B1の舌中部位B12の面積との比は、0.3以上、1.8以下である。
撮影部A1によって被験者Bの舌体B1の画像Cが撮影される場合、撮影部A1は、上述した図5中の破線で囲まれ、符号B12で示される領域を特定できるように、被験者Bの舌体B1の画像Cを撮影してもよい。撮影部A1は、その領域が被験者Bの舌体B1の画像Cに含まれるように、撮影を行えばよい。
【0031】
詳細には、図4および図5に示す例では、被験者Bの舌体B1の撮影時に、図4(D)に示すように、舌体位置合わせ用ガイド枠A21と被験者Bの舌体B1の判定部位B10とが、撮影装置Aの表示部A2に表示される。また、その状態で、撮影部A1によって、被験者Bの舌体B1の判定部位B10を含む画像C(図5参照)が撮影される。その結果、その画像Cに含まれる判定部位B10の面積と舌中部位B12の面積との比が0.3以上、1.8以下になる。
また、図4および図5に示す例では、被験者Bの舌体B1の撮影時における被験者Bの舌体B1の判定部位B10と撮影装置Aとの距離が5cm~20cmである。
【0032】
図6は呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が組み込まれた撮影装置Aによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示す例では、ステップS10において、撮影装置Aに組み込まれた呼気中不快臭気成分含有レベル推定アプリが起動され、撮影装置Aの表示部A2が、舌体位置合わせ用ガイド枠A21を表示する。
ステップS11では、被験者Bによって、表示部A2の画面上における被験者Bの舌体B1の輪郭と舌体位置合わせ用ガイド枠A21とが一致させられ、撮影装置Aの撮影部A1が、被験者Bの舌体B1の判定部位B10を含む画像Cを撮影する。撮影部A1によって撮影された画像Cは、例えば記憶部(図示せず)に記憶される。
ステップS12では、撮影装置Aの制御部A3の取得部11が、撮影部A1によって撮影された被験者Bの舌体B1の判定部位B10を含む画像Cを取得する。詳細には、取得部11は、例えば記憶部に記憶されている画像Cを読み出すことによって、画像Cを取得する。
ステップS13では、撮影装置Aの制御部A3の推定部12が、取得部11によって取得された画像Cに含まれる舌体B1の判定部位B10の色味と、図2に示す関係とに基づいて、被験者Bの呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定する。
ステップS14では、例えば撮影装置Aの表示部A2が、推定部12による被験者Bの呼気中の不快臭気成分の含有レベルの推定結果を出力する。
【0033】
上述したように、図3に示す例では、呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が撮影装置Aに組み込まれている。他の例では、呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が、例えばクラウドなどの撮影装置Aの外部に設けられていてもよい。
【0034】
上述したように、実施形態の呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1によれば、例えばガスクロマトグラフィーなどのような非常に高価な分析機器を用いる必要なく、簡易な手法によって呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定することができる。
また、実施形態の呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が適用された上述した例においては、被験者Bは、例えばガスクロマトグラフィーなどのような非常に高価な分析機器を用いる必要なく、自分の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを把握することができる。
【0035】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
下記の例では、色味、赤みを測定するためのパラメータとしてsRGB値が用いられるが、他の例では、色味、赤みを測定するためにHSV、L*a*b*等の他のパラメータを用いてもよい。
【0036】
[実施例1~実施例9、比較例1~比較例4]
パネラー1名を固定し、時間帯を変えて舌正中溝B11を含む判定部位B10を撮影し、以下の基準で舌体B1のランク付けを行った。また、ガスクロマトグラフィー(製品名:オーラルクロマ、エフアイエス(株)社製)にて、パネラーの呼気を分析し以下の基準で口臭のランク付けを行った。なお、オーラルクロマの分析は装置付属の手順書に従い行った。
舌のランクと口臭のランクについてA-a、B-b、C-c、D-dの結果のマッチング性について確認した結果、判定部位B10中に舌正中溝B11を含み、判定部位B10と舌中部位B12との面積比が実施例1~実施例9の範囲内にあるとき、舌と口臭のランクが一致した。一方で判定部位B10が舌正中溝B11を含まない場合は、いずれの口臭ランクの状態でも舌のランクと一致しなかった。
このことから、口臭の判定精度を高めるためには判定部位B10中に舌正中溝B11を全部または一部含ませることが重要と考えられた。なお、本検討において撮影機はiphone7(Apple社製)を用い、インカメラを用いた自画取りモードにて舌体B1を撮影した。照度500~1200luxの室内環境下で撮影した。
表1は実施例1~実施例9の舌ランク、口臭ランクなどを示す。表2は比較例1~比較例4の舌ランク、口臭ランクなどを示す。
【0037】
<舌ランク基準>
A:判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が60%以上(舌体B1の赤みが少ない)
B:判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が45%以上~60%未満(舌体B1の赤みがやや少ない)
C:判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が30%以上~45%未満(舌体B1の赤みがやや多い)
D:判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が30%未満(舌体B1の赤みが多い)
【0038】
<口臭ランク基準>
a:呼気中硫化水素濃度が450ppb以上
b:呼気中硫化水素濃度が300ppb以上~450ppb未満
c:呼気中硫化水素濃度が150ppb以上~300ppb未満
d:呼気中硫化水素濃度が150ppb未満
【0039】
つまり、実施例1~実施例9では、推定部12が、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合に基づいて、被験者Bの呼気中の不快臭気成分の含有レベルを推定する。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
上述した指標「R-G」の代わりに、指標「R-B」を用いた場合にも、同様の結果が得られた。
【0043】
[実施例10~実施例17]
パネラー数を5名とし、時間帯を変えて各人10回ずつ舌体B1の撮影と口臭(呼気中硫化水素濃度)の測定を行った。
A-aがマッチングする確率(つまり、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が60%以上である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が450ppb以上になる確率)と、B-bがマッチングする確率(つまり、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が45%以上60%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が300ppb以上450ppb未満になる確率)と、C-cがマッチングする確率(つまり、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が30%以上45%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が150ppb以上300ppb未満になる確率)と、D-dがマッチングする確率(つまり、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<50となるピクセルの割合が30%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が150ppb未満になる確率)とから、下記基準の通りマッチング性のランク付けを行った。
その結果、画像Cに含まれる判定部位B10の面積と、画像Cに含まれる舌中部位B12の面積との比が、0.3以上、1.8以下のときに、高いマッチング性を示した。特に、画像Cに含まれる判定部位B10の面積と、画像Cに含まれる舌中部位B12の面積との比が、0.4以上、1.5以下のときに、より高いマッチング性を示した。画像Cに含まれる判定部位B10の面積と、画像Cに含まれる舌中部位B12の面積との比が、0.6以上、1.2以下のときに、更に高いマッチング性を示した。
なお、本検討においてはiphone7(Apple社製)を用い、インカメラを用いた自画取りモードにて舌体B1を撮影した。照度500~1200luxの室内環境下で撮影した。表3は実施例10~実施例17のマッチング性、マッチング率などを示す。
【0044】
<マッチング性>
◎:舌ランク-口臭ランクのマッチング率が75%以上
〇:舌ランク-口臭ランクのマッチング率が60以上~75%未満
△:舌ランク-口臭ランクのマッチング率が45以上~60%未満
▲:舌ランク-口臭ランクのマッチング率が30以上~45%未満
×:舌ランク-口臭ランクのマッチング率が30%未満
本検討においては、△以上を合格とした。
【0045】
【表3】
【0046】
[実施例18~実施例22]
判定部位B10と舌中部位B12との面積比を1とし(つまり、舌中部位B12と判定部位B10との面積比を1とし)、カメラを変えて同様の実験を行った。その結果、120万~1320万画素の範囲で高いマッチング性を示した。特に200万~1200万画素でマッチング性が高く、500万~1000万画素のときは更にマッチング性が高かった。表4は実施例18~実施例22のマッチング性、マッチング率などを示す。
【0047】
<使用カメラ>
500万画素:iphone6s(Apple社製)
800万画素:ZTE BLADE V7 Lite(ZTEジャパン(株)製)
1320万画素:XperiaXZ(ソニー(株)製)
220万画素:XperiaA4(ソニー(株)製)
120万画素:iphone6(Apple社製)
【0048】
【表4】
【0049】
[実施例23~実施例26]
撮影距離を変えて同様の実験を行った。撮影機はiphone7を用いた。5~20cmのときにマッチング性が高く、15cmのとき更にマッチング性が高かった。表5は実施例23~実施例26のマッチング性、マッチング率などを示す。
【0050】
【表5】
【0051】
[比較例5~比較例8]
判定部位B10中に舌正中溝B11を含まなかった場合は、何れの場合も十分な精度が得られなかった。表6は比較例5~比較例8のマッチング性、マッチング率などを示す。
【0052】
【表6】
【0053】
<判定部位B10>
上述した判定部位B10は、判定部位(推定に用いられる部位)であり、任意に範囲を調整することができる。判定部位B10の範囲は舌正中溝B11を含む以外は特に限定されない。好ましくは、画像Cに含まれる判定部位B10の面積と、画像Cに含まれる舌中部位B12の面積との比が、0.3以上、1.8以下である。より好ましくは、画像Cに含まれる判定部位B10の面積と、画像Cに含まれる舌中部位B12の面積との比が、0.4以上、1.5以下である。更に好ましくは、画像Cに含まれる判定部位B10の面積と、画像Cに含まれる舌中部位B12の面積との比が、0.6以上、1.2以下である。これらの範囲とすることで高い判定精度(推定精度)が保たれる。
【0054】
判定部位B10は舌正中溝B11の全部または一部を含めばよい。
判定部位B10の切り出し方、形状などは特に制限されないが、舌体B1の外径形状(輪郭)からはみ出しにくい形状がよい。好ましくは四角形以上の多角形がよい。
【0055】
<画素数>
本件で用いる撮影機(撮影装置A)の画素数は特に制限されないが120万~1320万画素が好ましく、220万~800万画素がより好ましく、500万~800万画素が更に好ましい。これらの範囲とすることで高い判定精度が保たれる。
また、本件で用いる撮影機の画像センサーはf2.8以下であることが好ましい。
【0056】
<口臭不快成分の説明>
本件の口臭不快成分は揮発性硫黄化合物である。これらの成分としては硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフォキサイドが挙げられる。これらのうち硫化水素、メチルメルカプタンはマッチング性の観点から好ましい。うち、硫化水素が最も好ましい。
【0057】
<測定環境>
撮影環境は特に制限を受けないが、好ましくは照度150lux以上の屋内環境下で測定することが好ましく、300lux以上が寄り好ましい。上限は特に無いが100000lux以上の環境下では、舌体B1上の唾液による反射が発生しやすくなり、測定の精度を落とすことがある。
撮影の際には舌体B1上に影が写らないことが好ましい。フラッシュを用いてもよい。本発明ではフラッシュを用いても特に判定精度(推定精度)に影響を及ぼさない。
撮影距離は特に制限は無いが、舌体B1の判定部位B10から5~30cmの距離で撮影することが好ましく、5~20cmの距離がより好ましく、10~15cmが更に好ましい。近づけすぎると影が生じやすくなり判定精度(推定精度)に影響を及ぼす可能性がある。撮影距離を一定に保つため、撮影装置Aの表示部A2に舌体B1の位置を指定する舌体位置合わせ用ガイド枠A21を設けることが好ましい。また、影の影響を排除するために撮影距離を離した場合、ズーム機能を用いることも解析精度(推定精度)を安定させるために有効である。
【0058】
<口臭レベルの分類>
口臭のレベルを判定(推定)するに際しては、3~4レベルの分類が精度の面から好ましい。
【0059】
<舌のランク付けの方法>
舌ランクのつけ方は、判定部位B10中の全ピクセル中におけるsRGB値がR-G<50で表されるピクセルの比率から求める方法に限られない。それ以外にもR-B<50で表されるピクセルの比率から求める方法でも優れた口臭レベルの判別精度(マッチング性)が得られる。
【0060】
他の例では、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合に基づいて、被験者Bの呼気中の不快臭気成分の含有レベルが推定される。
具体的には、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が30%以上である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が450ppb以上であると推定される。
判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が20%以上30%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が300ppb以上450ppb未満であると推定される。
判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が10%以上20%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が150ppb以上300ppb未満であると推定される。
判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値がR-G<30となるピクセルの割合が10%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が150ppb未満であると推定される。
この例においても、被験者Bは、例えばガスクロマトグラフィーなどのような非常に高価な分析機器を用いる必要なく、自分の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを把握することができる。
上述した指標「R-G」の代わりに、指標「R-B」を用いた場合にも、同様の結果が得られる。
【0061】
更に他の例では、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合に基づいて、被験者Bの呼気中の不快臭気成分の含有レベルが推定される。
具体的には、判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が60%以上である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が450ppb以上であると推定される。
判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が45%以上60%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が300ppb以上450ppb未満であると推定される。
判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が30%以上45%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が150ppb以上300ppb未満であると推定される。
判定部位B10中の全ピクセルに占める、sRGB値が(R、G、B)=(255~180、255~180、255~180)となるピクセルの割合が30%未満である場合に、被験者Bの呼気中硫化水素濃度が150ppb未満であると推定される。
この例においても、被験者Bは、例えばガスクロマトグラフィーなどのような非常に高価な分析機器を用いる必要なく、自分の呼気中の不快臭気成分の含有レベルを把握することができる。
この例では、外部環境の明るさは500lux以上であることが好ましい。また、撮影機はフラッシュを用いないことが望ましい。
【0062】
本発明の呼気中不快成分含有レベル推定方法を用いることにより適切に口臭を抑制することができる。口臭の中でも生理的口臭の抑制に際し本発明の方法を用いることが好適である。
【0063】
本発明の方法により口臭抑制効果を確認するに際し好適な口臭ケア製剤としては、香料などの臭気マスキング成分を含有している製剤が好ましい。これらの製剤で本発明の方法を用いることによりマスキング成分に影響を受けずに正しく生理的口臭の抑制効果を確認することができる。香料成分を含んでいれば剤形は特に限定されないが、シート剤、錠剤が特に好ましい。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
なお、上述した実施形態における呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0066】
1…呼気中不快臭気成分含有レベル推定装置、11…取得部、12…推定部、A…撮影装置、A1…撮影部、A2…表示部、A21…舌体位置合わせ用ガイド枠、A3…制御部、B…被験者、B1…舌体、B10…判定部位、B11…舌正中溝、B12…舌中部位、B13…舌尖、C…画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6