(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】硫黄含有シーリング化合物の施与方法、これに用いられる装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/14 20060101AFI20221202BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
F16J15/14 C
C09K3/10 F
(21)【出願番号】P 2017561032
(86)(22)【出願日】2016-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2016053005
(87)【国際公開番号】W WO2016128547
(87)【国際公開日】2016-08-18
【審査請求日】2019-02-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】102015202619.1
(32)【優先日】2015-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517284496
【氏名又は名称】ケメタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ボンス,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェルト,スヴェトラナ
(72)【発明者】
【氏名】ジーフェルス,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】クラレフ,ミロスラフ
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】平瀬 知明
【審判官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/066039(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/153047(WO,A1)
【文献】特表2015-520251(JP,A)
【文献】特開2013-204647(JP,A)
【文献】特開2005-324440(JP,A)
【文献】国際公開第2007/091685(WO,A1)
【文献】特公平6-91978(JP,B2)
【文献】特公平3-31366(JP,B2)
【文献】特公平3-31506(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化がエネルギー入力により、要求によって行われる、すなわちSCODである、硫黄含有シーリング化合物で、少なくとも1カ所の施与部位において、少なくとも1個のノズル要素及び少なくとも1個の照射ユニットを用いて、航空機の表面から突出する少なくとも1個の接続要素を封止、被覆及び/又は空力的に平滑にする方法、及び/又は、航空機のギャップを有する表面又は平らでない接続部位の表面を封止、被覆及び/又は空力的に平滑にする方法であって、
i)前記少なくとも1個のノズル要素は、その内部空間が間接的又は直接的にシーリング化合物貯蔵部に接続されており、該シーリング化合物貯蔵部は、混合された未硬化、又は少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物を含有していて、このシーリング化合物は、前記表面から突出する接続要素上や、前記ギャップ及び/又は平らでない接続部位上に導かれ、及び/又は滑動されて、前記表面又は表面近傍に接触するものであり、
ii)前記少なくとも1個のノズル要素の内部空間が、シーリング化合物貯蔵部からの前記SCODシーリング化合物で充填され、前記表面から突出する接続要素や、前記ギャップ又は平らでない接続部位が前記SCODシーリング化合物で完全に覆われる程度に、前記表面又は表面近傍に接触され、前記SCODシーリング化合物はシーリング化合物被覆を形成し、ここで前記表面から突出する接続要素、ギャップ及び平らでない接続部位の3つは、すべて「施与部位」と称されるものであり、
iii)少なくとも1個のノズル要素又は少なくとも1個のノズル要素の少なくとも一部は、前記シーリング化合物被覆を有する表面から持ち上げられ、及び/又は動かされ、及び
iv)前記SCODシーリング化合物の硬化は、1)少なくとも1個の照射ユニットによるシーリング化合物被覆へのエネルギー入力により開始し、2a)上記において及び/又はこれにより、活性状態の潜在性触媒が形成されて、前記硬化が開始し、又は、2b)上記において及び/又はこれにより、少なくとも1個の反応成分の直接活性化により前記硬化が得られ、前記混合されたSCODシーリング化合物がその後に続いて硬化する、及び/又は、さらに硬化し、
工程i)~iv)は、自動の装置で行われ、及び
前記SCODシーリング化合物は、0.01~10分の不粘着時間及び1~1000分の硬化までの時間を有
し、且つ
シーリング化合物被覆を施与するために、ノズル要素の位置決めは自動で行われ、及び
前記混合された未硬化又は少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物は、
A)i)ポリチオエーテル、ポリスルフィド、それらのコポリマー及び/又はそれらの混合物に基づくメルカプト末端ベースポリマーを有する基材、ii)平均官能価1.5~3.2の範囲のイソシアネート成分を持つ少なくとも1種の硬化剤、及びiii)α-アミノケトンをベースとする少なくとも1種の光潜在性塩基をベースとし、
B)メルカプト末端ポリチオエーテルを含む基材、エポキシベース硬化剤、及び少なくとも1種の光潜在性塩基をベースとし、前記光潜在性塩基は立体障害第3級アミン及び/又は立体障害アミジンをベースとし、前記光潜在性塩基は潜在性触媒として機能し、又は、
C)iv)ポリビニルエーテル及び/又はポリアリル化合物を有するポリエンを含むチオール末端ポリチオエーテル、及びv)光開始剤をベースとし、
前記混合された未硬化又は少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物は、エネルギーを供給することによって硬化を開始する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
工程ii)における前記SCODシーリング化合物は、シーリング化合物貯蔵部から、連続的な線又は線の一部分として、前記接続要素上に導かれる、及び/又は押し出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程iv)の前の前記未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又はその表面をツールで平滑化し、及び/又は、工程ii)及び/又はiii)で、前記ノズル要素を直線的及び/又は回転的に動かすことで前記シーリング化合物の線を裂く及び/又はツールを動かし、前記未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又は表面上は平滑にし、最終形状を得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シーリング化合物被覆は、最終形状とされ、前記表面上で、ほぼ被覆、鐘、キャップ形状、及び/又はマウンド形又はビーズ形の正面形状を有することを特徴とする、請求項1~3の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シーリング化合物被覆は、前記シーリング化合物被覆の接触面の領域に接着剤を有する清浄化された表面上に施与されることを特徴とする、請求項1~4の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程iv)におけるエネルギー入力は、IR照射、NIR照射、マイクロ波照射、VIS照射、紫外可視光線照射、紫外線照射、超音波照射、電子線照射、ガンマ線照射、ベータ線及び/又はアルファ線を用いた照射によって行われることを特徴とする、請求項1~5の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程iv)で前記まだ硬化していないシーリング化合物被覆は、照射後約0.01~10分後に既に不粘着であるか、不粘着となることを特徴とする、請求項1~6の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1個のノズル要素、又はノズル要素の少なくとも一部分から、シーリング化合物貯蔵部への変更が行われることを特徴とする、請求項1~7の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記表面上の施与部位における各接続要素、ギャップ又は平らでない接続部位について、SCODシーリング化合物を前記表面上に施与するため、また可能な場合前記ノズル要素が連続する施与部位に動かされる前にSCODシーリング化合物を所望の形状にするための平均処理時間は、0.1~60秒の間であることを特徴とする、請求項1~8の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ノズル要素(0)は、1)シーリング化合物貯蔵部への接続要素(1)、接続チャネル(2)及び、可能であればノズル、キャップ及び/又はツール(3)及び/又は前記接続チャネル(2)のノズル延長部から構成され、前記ノズル要素(0)は1個又は複数の部分品からなることを特徴とする、請求項1~9の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記接続チャネル(2)はホース状であり、かつ折り曲げ可能、及び/又は柔軟であってもよいことを特徴とする、請求項1~10の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光開始剤は、アセトフェノン、α-アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオレノン及びケトクマリンからなる群から選択されることを特徴とする請求項
1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種のタイプA)及びB)について少なくとも1種の光潜在性塩基が、タイプA)又はB)のSCODシーリング化合物への高エネルギー化学線照射により、第3級アミン及び/又はアミジンベースの少なくとも1分子を開裂させ、これが活性触媒としての前記SCODシーリング化合物の硬化を開始させ、また、高エネルギー化学線の、短時間照射後、前記少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物はさらなる照射を必要とせず、-10~+70℃の温度範囲で硬化を継続することを特徴とする、請求項
1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記混合されたSCODシーリング化合物は、工程iv)において硬化し、不粘着のシーリング化合物を形成することを特徴とする、請求項1~1
3の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記表面から突出した接続要素は、ボルト、リベット、ねじ、ねじ付きピン、ナット、ピン又は同様に形成された突出する接続部品であること、前記ギャップは、漏れ
口、穴、継ぎ目、溝又は表面上の複数の構造要素間の接触部位であること、及び/又は、前記平らでない接続部位は主に、折り畳まれた継ぎ目、接着部位、溶接部位、溶接継ぎ目である及び/又は凹凸であることを特徴とする、請求項1~
14の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1個の接続要素が突出する表面及び/又は、ギャップがある及び/又は平らでない表面は、航空機の構築要素及び/又は構造部品の外表面又は内表面であることを特徴とする、請求項1~
15の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記表面は、少なくとも1種の金属材料、少なくとも1種の複合材料、及び/又は少なくとも1種の有機材料から主になることを特徴とする、請求項1~
16の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項3の工程は、自動の装置で行われることを特徴とする、請求項
3に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも2カ所の施与部位が同時に、又は同時に連続して処理されることを特徴とする、請求項1~
18の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記自動の装置が、前記方法実行のために自動的に作動し、又は、少なくとも1個のユニットが、処理した施与部位から請求項1の少なくとも1個の工程の処理を行った後に、前記表面から突出する接続要素、ギャップ又は平らでない接続部位(施与部位)を有する次の施与部位に達するよう動かされ、その位置で処理を行うことを特徴とする、請求項1~
19の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記自動の装置の少なくとも1個のユニットが、請求項1の方法を実行するために工程i)~iii)を行い、少なくとも1個の他のユニットが工程iv)を行うことを特徴とする、請求項1~
20の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記自動の装置の少なくとも1個のユニットが、請求項1の方法を実行するために工程i)~iii)を行い、少なくとも1個の他のユニットが、工程iv)を同時に行うことを特徴とする、請求項1~
20の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1の方法の工程i)~iii)を行うため、前記自動の装置の少なくとも1個のユニット及び工程iv)のための少なくとも1個の他のユニットか、又は前記自動の装置の全体が処理の実行後に次の施与部位に同時に移される前に、工程i)~
iv)のすべてが行われることを特徴とする、請求項1~
22の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
同じ種類の複数のユニットが、工程i)~iii)において、
線状に配列され、工程iv)について、同じ種類の複数のユニットが、第二の線状に
配列され、前記第一及び第二の線
状の前記ユニットは、等しい距離又は角度を持った配置で
配列されてよく、これにより、表面に設けられた表面から突出する接続部位又は平らでない接続部位を持つ複数の施与部位は、同時に処理されてもよいか、又は処理され、
両線における同じ種類の2~15個のユニットはそれぞれ、対応する2~15カ所の施与部位において
、同時に処理を
行った後、両線上の対応する2~15カ所の施与部位が直線方向又はこれに対して直角の方向に移動する、ことを特徴とする、請求項1~
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程i)~
iv)の少なくともいずれかにおいて用いられる少なくとも1個の基地及び少なくとも1個のノズル要素、及び可能であれば別個に少なくとも1個の照射ユニットを有する請求項1~
24の
いずれか一項の方法を行うための自動の装置。
【請求項26】
ボルト、リベット、ネジ、溶接継ぎ目又は同様の接続要素又は施与部位にシーリング化合物被覆を直線状で任意に折り曲げ可能又は傾け可能な装置において形成するための装置を含み、複数の基地が直列で接続されていることを特徴とする、請求項
25に記載の装置。
【請求項27】
工程i)~iii)又はi)~iv)の前記ユニットは、ノズル、キャップ及び/又はツール交換、すなわち要素交換のための要素を有し、ノズル、キャップ及び/又はツール交換の場合、ノズルの形状、ノズルの寸法、キャップの形状及び寸法及び/又はツールの変更は、
a)異なる形状及び/又は大きさの複数の前記要素を有する塔部を回転させることによって、
b)異なる形状及び/又はサイズの複数の前記要素を有する収載部を動かすことによって、
c)バヨネットロックの除去、ゆるめ、回転、以前に使用された前記要素の留め金を外す、又はファストクランプ装置の解放、及び/又は、バヨネットロックへの係合、
螺合、回転、前記要素の留め金止め又は所定の形状及び/又はサイズの前記要素をファストクランプ装置に接続することによって、及び/又は、
d)中央部分で縦方向に分割され、部分品が挿入、回転、バヨネットロック、留め金又はファストクランプ装置によって接続又は分離される少なくとも1個の長方形のノズル要素を使用することによって行われ、シーリング化合物容器のノズル部分は、ノズルの交換毎に交換されず、ノズル延長部又はシーリング剤被覆を形成するためのキャップ又はシーリング化合物キャップを有するノズル部は交換されることを特徴とする、請求項
25又は
26に記載の装置。
【請求項28】
工程iv)用又は工程iv)とともに用いられる前記ユニットは、紫外線光又は紫外線可視光
線の少なくとも1個の照射ユニットを有することを特徴とする、請求項
25~
27の
いずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫黄含有SCODシーリング化合物を施与する方法であって、硫黄含有SCODシーリング化合物を用いて、表面から突出する少なくとも1個の接続要素を封止、被覆及び/又は空力的に平滑にする方法、及び/又は、少なくとも1カ所の施与部位で、ギャップ(gap)又は平らでない接続部位の表面を封止、被覆及び/又は空力的に平滑にする方法を含む。特に航空用及び宇宙飛行用の構成部品、対応する装置、対応して処理された航空機又は宇宙機における前記方法並びに装置の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空宇宙分野におけるシーリング化合物は、特に空気、水及び/又は燃料に対して構成部品の表面を封止し、また例えば翼及び胴体において腐食を防止し、構成部品の外表面を空力的に平滑にして空気抵抗を最小限にするために使用される。
【0003】
構成部品の製造中、特に航空宇宙用の構成部品において、封止する表面には、例えば本質的には少なくとも、ボルト、リベット、ねじ、ねじ付きピン、ナット、ピン又は同様に形成された突出する接続要素等、表面から突出する少なくとも1個の接続要素、本質的な漏れ、穴、継ぎ目、溝又は複数の構築要素間の接触部位等、少なくとも1個のギャップ、及び/又は、本質的に折られた継ぎ目、接着部位、溶接部位、溶接継ぎ目及び/又は隆起部等、少なくとも1カ所の平らでない接続部位が含まれる。接続部位は、接続された後、施与部位と呼ばれるが、それはここでシーリング化合物をシーリング化合物被覆として付着させる(施与する)からである。
【0004】
航空宇宙分野で使用されるシーリング化合物及び対応する施与方法は、例えば、交番応力後でも十分に接着する耐燃料性シーリング化合物を用いて、ボルト、リベット、継ぎ目及び溶接継ぎ目を封止するための、特に時間のかかる処理方法であるという欠点を有する。従って、単体の施与部位を20、200又は数千カ所も有する構成部品を製造しなければならない場合、例えば施与部位で飛行機胴体又は翼等にボルト又はリベットを設置し、続いて封止しなければならない場合には、製造の速さを決定する工程で最も重要なのは機械的処理の工程である。機械的処理は、例えば接続部位のための正確な限局的穿孔、ボルト又はリベットの接続、施与部位の封止及び、後続の処理工程開始までの対応する待機時間を含む。後続の処理工程は、構成部品の接触又は動き、又は構成部品をさらに穿孔する等さらなる機械的処理であってよい。
【0005】
本質的な速さを定義する工程は、少なくとも1カ所の施与部位におけるシーリング化合物の不粘着状態が達成される前の待機期間であるが、それはこの期間中に穿孔片及び汚染が接着シーリング化合物被覆に付着するおそれがあるからである。少なくとも1カ所の施与部位におけるシーリング化合物の不粘着状態が達成される前のこの待機期間は、少なくとも1個の接続要素をリベット止め及び/又はねじ止め及び/又は、後続の処理のために少なくとも1カ所の施与部位に少なくとも1個のノズル要素を動かす間、少なくとも1個の接続要素を設置及び/又は動かすための1個のユニット及び/又は1個のツールを取り除くことで開始することが多い。少なくとも1カ所の施与部位でシーリング化合物が不粘着となるまでのこの待機期間は、混合された及び/又は部分的に固まっていないシーリング化合物を少なくとも1カ所の施与部位へ施与すること並びに、本質的に少なくとも1個の最終形状上に少なくとも1個のシーリング化合物被覆(互いに独立して好ましくは形状がほぼ被覆、鐘、キャップ及び/又は表面上でマウンド状又はビーズ状の正面形状(elevation)を有する)が形成される可能性、及び/又は、少なくとも1個のシーリング化合物被覆の表面から、少なくとも1個のノズル要素又は少なくとも1個のノズル要素の少なくとも一部分を持ち上げる及び/又は取り除くことを含む。少なくとも1カ所の施与部位でシーリング化合物の粘着がなくなるまでのこの待機期間はまた、不粘着状態がほぼ達成されるまで、施与されたシーリング化合物(シーリング化合物被覆)が紫外光照射や潜在性触媒の放出等のエネルギーにより硬化開始すること並びに、施与したシーリング化合物が硬化することを含み、この最後の時間は「不粘着時間」としても知られている。少なくとも1カ所の施与部位におけるシーリング化合物の不粘着状態までのこの待機期間は、少なくとも1個のシーリング化合物被覆の表面が不粘着を達成した時点で終了することが好ましく、また、構成部品を動かす及び/又は他の機械的処理、例えば少なくとも1個のユニット及び/又はツールの清浄化、リベット止め及び/又はねじ止めの間に少なくとも1個の接続要素を設置及び/又は取り付けるための、前提条件となることが多い。
【0006】
SCODシーリング化合物(SCOD=要求(指令)によるシーラント硬化(Sealant Cure on Demand))のみが、所望される開始時間でシーリング化合物の硬化を劇的に加速し、不粘着状態及び/又はショアA硬度30を、例えば最短時間で達成する。
【0007】
本出願の意味において、一成分形のシーリング化合物も、含有構成成分が均一に分布していれば、通常通り、また、そのことにより、「混合され」ていると考えられる。
【0008】
しかしながら、例えば翼上100個のそのような接続部位の穿孔、接続及び封止には現在数時間を要しており、エアバスA380のような大型飛行機は単体の接続部位がおよそ100万あるため、そのような航空機の構築は悪影響を受ける。構成部品の各表面における個別の接続部位数は、構成部品の種類に強く依存する。しかしながら標的は、全ての領域において、不粘着時間を短くすることであり、及び特に、シーリング化合物の不粘着時間までの上述した待機時間を、少なくとも1カ所の施与部位において短くすることである。
【0009】
従って、航空機の製造における本質的な目的は、構築要件及び構成部品の長期的品質に悪影響を及ぼすことなく、製造処理を加速することである。
【0010】
これまで、航空宇宙分野における構成部品の接続箇所は多数がいまだに手作業で提供されており、例えば飛行機の製造は時間がかかるものとなっている。実際に、正確に位置決めされた膨大な数の穴が作られ、次にボルト、ねじ及び/又は同様の接続要素が提供され、そして最終的にシーリング化合物被覆によって封止されて、例えばタンクや翼の外表面により形成される複合体等、異なる構成部品の複合体が提供される。同様に、隣接する要素又は構成部品を平坦に封止するため、シーリング化合物被覆が使用されるが、これは通常、並びにかなりの程度まで手作業で製造され、シーリング化合物の外表面は少なくとも少し、構成部品外部から接触することができる。
【0011】
この目的のため、通常は、基剤(base mass)と硬化剤を別々に充填した2個の別々の薬室を有するカートリッジが使用される。次に、このカートリッジの内容物を、一緒に合わせ、均質に混合する。この混合シーリング化合物の塊は、次にシーリング化合物被覆を手作業で施与するために使用されるが、通常、施与は点様(例えば、ボルト又はねじ上に)、線状(例えば、シーリング化合物ビーズの形状で)又は二次元(例えば、2個の構成部品の間にシーリング化合物の中間層を有する)である。
【0012】
施与部位にシーリング化合物を施与する際、通常では手で案内されるノズル要素は、表面から突出している接続要素の上のできるだけ中心に位置決めされなければならない。また、必要量のシーリング化合物を施与しなければならないが、これは量が多すぎることも少なすぎることもなく、接続要素上のシーリング化合物の被覆が薄すぎて封止が不十分になる(例えば、突出する接続点上の被覆の壁厚が少なくとも1カ所の部位で0.5mmより薄い)こともなく、シーリング化合物被覆が非常に偏心した位置に施与されることもなく、被覆の形状が非常に不均一になることもなく施与されなければならない。手作業による施与の欠点は、シーリング化合物の被覆の形状及び寸法の再現性が低いことでもある。
【0013】
別の製造方法では、US 7,438,974 B2によると、シーリング化合物の被覆は分割され、特に円錐の形状で予備成形されており、未硬化のシーリング化合物で充填され、冷凍されている。施与に先立ち、これらの予備成形物は、次に室温に到達する。この方法では、接続要素の取り付け中に、円錐から空気を除去することが必要となる。これは、過剰のシーリング化合物を圧搾し円錐を回転させることによってのみ達成することができ、ここで過剰の未硬化シーリング化合物は、円錐の土台等、被覆土台の表面上に、望ましくない初期粘着性のシーリング化合物ビーズを形成することが多い。
【0014】
また、この方法は非常に時間がかかるが、いわゆるSCODシーリング化合物を使用することによって顕著に改善される。この目的のため、改良された装置を有する本発明に関する修正された方法を使用することが可能であった。この方法では、未硬化のSCODシーリング化合物で充填された少なくとも1個のシーリング化合物の予備成形円錐体を施与部位に施与する。施与は、例えば、施与ユニットや、ノズル要素の代わりに取っ手(handle)及び/又はホルダー(holder)を用いて行われ、シーリング化合物の予備成形円錐体は、施与部位で任意に圧搾される。未硬化のSCODシーリング化合物及び/又は、可能であれば施与された予備成形円錐体の土台で圧搾された未硬化のSCODシーリング化合物は、施与ユニットが任意に持つ照射ユニットで照射され、硬化加速のための励起、及び/又は、硬化促進をもたらす。
【0015】
出願人は、航空宇宙分野で広範囲にわたる経験を有するが、飛行機構築の実施に関して、ポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドをベースとするシーリング化合物の施与を認識していない。これは、波長の範囲が約100~400nmの紫外光、又は、波長の範囲が約300~600nmの紫外可視光を用いた照射によるエネルギー伝達により、対応する適切なシーリング化合物が、硬化のために励起されるものである。
【0016】
一方では、施与部位におけるシーリング化合物の自動化可能な施与、及び/又はシーリング化合物の一部又は完全な自動施与、及び/又は施与したシーリング化合物被覆の硬化を指令(「オン・デマンド」)により励起する照射ユニットの位置決めを行うのであれば、並びに、本目的のために施与するシーリング化合物を、非常に短時間で不粘着状態及び/又は、例えば30のショアA硬度が達成されるように選択し、これにより通常の及びゆっくり硬化するシーリング化合物を手作業で含む、封止された接続箇所の製造と比較して、施与に結び付いた待機時間、及び全体的な製造時間が、大きなファクターで(何分の一にも)減少されるのであれば、航空機及び宇宙の製造における相当な時間の節約が達成可能であることが見出された。
【0017】
従来の製造におけるそれぞれの処理工程は相当な程度まで手作業で行われており、従来のシーリング化合物はエネルギー伝達による硬化のための励起はされずに用いられているが、現在の通常の製造時間に関し、本発明の方法及び少なくとも1個の本発明の装置で得られる時間の節約は、構成部品、要件及びそれぞれの処理条件とそれらの自動化に依存して、10~50%の間にあると推定される。
【0018】
多数の施与部位=接続部位を有する構成部品の生産における劇的なコスト削減は、被覆としてのシーリング化合物の自動化可能な又は自動の施与と、極めて短時間で不粘着状態及び/又は、例えばショアA硬度30に達するシーリング化合物の選択とを組み合わせることによってのみ、達成することが可能である。SCOD原理(SCOD=指令によるシーラント硬化(Sealant Cure on Demand))は、所望される開始時間でのシーリング化合物硬化を劇的に加速させ、従って、例えば極めて短時間で不粘着状態及び/又は、ショアA硬度30を達成させる。それは、シーリング化合物が通常、指令によって硬化を開始するのみで、エネルギー伝達によって化学反応が開始又は活性化が開始され、硬化に関連する時間はすべて、表2に示すように強く相関するためである。シーリング化合物は、指令が出るまでは硬化を開始しないもの、又は例えば貯蔵や調製、環境の条件によってほんのわずかな割合以外は実質的に固くならないものが選択される場合、処理時間が比較的長いにもかかわらず、極めて短い不粘着時間を有するシーリング化合物を使用してもよい。
【0019】
シーリング化合物被覆を自動的に施与するためのノズル要素の、自動化可能な又は自動の位置決めと使用とを組み合わせることによって初めて、シーリング化合物被覆の形状、寸法、均一性及び再現性並びにその中心への位置決めにおける明らかに高い品質を達成することが可能であり、これは、手作業によってでは施与部位が多数存在し、不可能であった。この構成によって初めて、形成されたシーリング化合物被覆の中及び下部への空気混入が確実に回避される。空気混入は、接続要素での漏れ及び/又は腐食の原因となる可能性があるため、安全上非常に重要であり、いかなる条件においても回避しなければならない。
【0020】
航空宇宙用途のシーリング化合物の市場では様々なシーリング化合物が知られており、例えば、接着、長期間の負荷容量、弾性、振動耐性、低温における柔軟性、耐燃料性及び広範にわたる温度における気象学的作用への耐性などについて、非常に高い要件を満たしている。
【0021】
硬化剤を添加したいわゆる基剤は、シーリング化合物、又は混合された未硬化又は少なくとも一部未硬化のシーリング化合物として定義される。シーリング化合物は、好ましくは、1個以上の基剤を少なくとも1個の硬化剤と均質に混合することによって形成され、その構成成分中に混合されて未硬化又は一部未硬化の状態で、混合物中に全部又は部分的に生じる。しかしながらこれらは硬化中に反応し、本質的に均質なポリマーネットワークを形成する。シーリング化合物と硬化剤との質量比は、複数の混合されたシーリング化合物の範囲内で、1:1と10:1、2:1と8:1の間、又は3:1と6:1の間にある。
【0022】
顕著に硬化することができなかったシーリング化合物は新たに混合されるが、回転粘度計を用いて室温で測定すると、通常50~2000Pa*sの範囲で粘度を有する。翼のような水平面上のこれらシーリング化合物の粘度は、100~200Pa*sの範囲にあることが多く、シーリング化合物を施与しなければならない垂直面の場合、粘度は1500~2000Pa*sの間にあることが多い。
【0023】
シーリング化合物はまた、基材表面の被覆、要素の接続及び/又は糊付け、並びに施与部位における構成部品の空洞又は空間の封止及び/又は充填にも使用される。現在使われている耐燃料性シーリング化合物は硫黄含有ポリマーであり、硬化すると網状になる。通常、全ての実際的なシーリング化合物において、基剤に硬化剤を添加し、対応した混合をすることにより、硬化が開始する。
【0024】
これらの既知のシーリング化合物及びその処理及び硬化の方法の欠点は、所望される硬化加速を得るために、所定の所要処理時間に対してシーリング化合物に触媒を少量しか加えられないことである。これは特に、処理時間が長い場合には、シーリング化合物の硬化時間が長いため、処理がかなり遅くなる。しかし、処理時間の長いシーリング化合物にも、迅速且つ完全な硬化が必要である。
【0025】
現在使われている最も速い硬化シーリング化合物は、メルカプト末端ベースポリマーを含有し、硬化中60分以内にショアA硬度30に達する必要がある場合、処理時間はたったの約10分又は15分となる―表1及び2参照。この要件を達成するのは困難で、特定の組成のシーリング化合物でのみ達成される。
【0026】
また、2成分形で好ましくは室温で硬化するシーリング化合物の場合、不粘着状態及び最終硬化(through-curing)に到達する時間が、処理時間よりもかなり長いという問題もある。
【0027】
従って、従来の被覆工程では、構成部品の製造に長い一巡の時間が必要となることが多い―表2参照。
【0028】
ある程度の硬化達成について用いられる基準は、DIN EN ISO 868、2003年10月に従い、ショアデュロメータタイプAで測定してショアA硬度30に到達する時間を含む。DIN 65262-1、1996年8月、3.1.2.5項に従って測定する不粘着時間はまた、シーリング化合物の表面で開始するシーリング化合物の硬化を測定するために非常に重要である。実際に、不粘着時間は、一巡の構成部品製造時間を決定するが、これは構成部品についての様々な操作で、施与したシーリング化合物にまだ粘着性がある間は、廃物、摩耗した材料、切断くず、汚れ又は塵様物が、例えばシーリング化合物被覆のまだ新しい表面に付着し、接着して、近くの機械的処理が停止するためである。このような欠陥は、シーリング化合物の機能性、封止性及び防腐性を損なうため、回避しなければならない。平滑で欠陥のない表面は、後続する構成部品の清浄化及び/又は塗装並びに外側領域の施与部位における空気力学のためにも非常に重要である。従って、最終硬化時間はできるだけ短くなければならない。これらのパラメータを全般的に観察すると、通常、処理時間が出発点であり、不粘着時間及び最終硬化時間は、本質的にシーリング化合物のクラスによって定義される。不粘着時間、いわゆるタックフリータイム(tack-free time)TFTの後、シーリング化合物被覆の表面にシーリング化合物はもはや接着せず、ポリエチレンフィルムはDIN 65262-1、1996年8月、3.1.2.5項に従い、シーリング化合物表面から残留物を伴うことなく取り除かれる。表1は、シーリング化合物の硬化のための重要な時間パラメータを規定する。表2は、従来技術及び本発明による不粘着時間が短い該当するシーリング化合物に関する、メルカプト末端ベースポリマーを有するシーリング化合物の硬化に関する典型的な時間の概要を示す。
【0029】
【0030】
【0031】
これらのデータが参照しているのは、従来のシーリング化合物の場合でも、自動化可能な施与の要件に合わせて調整され、照射が可能なシーリング化合物被覆の表面上で使用時に通常照射されるシーリング化合物系のみである。実際、本発明のシーリング化合物のためのエネルギー伝達では、シーリング化合物被覆が使用時に自由に照射してよい少なくとも小さな表面を有し、接触面によって実質的に又は完全に覆われていないことを前提とする。従って表2のデータは、構成部品間の側面全体を覆うのみに通常使用されるシーリング化合物のクラスを考慮していない。従って、特にクラスCの中間層シーリング化合物のようなシーリング化合物被覆は考慮されていない。
【0032】
宇宙航空機の製造又は整備のためにシーリング化合物を使用することは、今までは非常に複雑な処理であった。その理由は、シーリング化合物を有する種々の接続部位である。ここでシーリング化合物は、長い処理時間で使用されなければならないことが頻繁にあるが、現在のところ、処理時間に比例し、完全な硬化までの極めて長い時間と、極めて長い不粘着時間を要する―表2。
【0033】
従来のクラスA-2又はB-2のシーリング化合物は、例えば航空宇宙分野では表2に示すように、ショアA硬度30に達するまでは120分の処理時間、約9~48時間及び典型的には14時間の最終硬化時間を要する。これらは、より従来のビーズ状シーリング化合物=クラスB材及び、従来の塗装可能なオーバーコートシーリング化合物=クラスAのシーリング化合物である。クラスA及びB材で作ったシーリング化合物被覆は、通常、照射されるが、これはシーリング化合物被覆が、より大きい自由に接触可能な表面を有しているためで、これはクラスC材の層間シーリング化合物のように2個の本質的に平行な構成部品の間に挿入されていない。さらに、従来のクラスA及びBのシーリング化合物は、通常は本質的にいわゆるビーズのような形状をしているか、本質的に平坦、キャップ形又は鐘形で、ボルト、リベット又は他の構築要素を被覆し、不粘着となるのに処理時間は30分、通常は2~10時間を要し、またショアA硬度30に達するのに、通常3~30時間を要する。
【0034】
特に航空機のシーリング化合物は、表面で区域を封止する役目がある。多くのシーリング化合物は、より高い又は高い耐燃料性及び良好な接着性を有する。多くのシーリング化合物はまた、良好な封止性及び接着性により、金属材料に対して高い耐腐食性をもたせ、それによって水及び塩の浸透を防ぐことができる。構成部品の外表面上のシーリング化合物被覆が適切な形状を有し、シーリング化合物被覆が本質的に平滑な表面を有する場合、空力的要件が満たされる。
【0035】
シーリング化合物は、異なる構築要素を接続することが多く、使用時の振動中及び振動後でも、封止は確実でなければならない。航空機の場合、燃料タンク及び燃料接続要素の領域の構築要素が確実かつ恒久的に封止されていることが重要である。翼の内部空間は燃料タンクとして使用されることが多いため、構築要素の確実で恒久的な封止は、特に翼の領域において非常に重要である。
【0036】
長期間にわたって十分な接着性を維持し、同時に、低温での柔軟性、耐燃料性及び温度変化に対する耐性のあるシーリング化合物タイプは、ほとんどない。この目的のために、硫黄含有ポリスルフィド及びポリチオエーテルポリマーが効果的であることが示されている。
【0037】
航空機用要素の製造では、通常、リベット及び/又はねじ接続等、数百又は数千の接続要素が使用されるが、翼等それぞれの表面の内側及び/又は外側で、確実で永久的に封止されなければならない。例えば、穿孔、接続要素の設置及び各施与部位における封止の正確な実行によって、正確に決定され限局化された翼等の施与部位における構築要素を機械的に処理することは、処理及び時間にかなりの労力を必要とし、今日では基本的に資格を有するオペレータによって手作業で行われる。
【0038】
WO 2013/154773 A1では、とりわけ、機械的固定要素を封止するためのキャップが記載されている。外表面と内表面がある外皮を有し、空洞を定義しており、外皮の外側表面と内側表面の間を貫通する開口部を有し、空洞は、少なくとも一部はシーリング化合物で充填されている。
【0039】
EP2 586 537 A1は、長方形のノズル要素の噴射側に鐘形又はドーム形のノズル端及びグリップ環を有するシーリング化合物を施与するためのノズルを開示している。注入は、手作業又は自動化されたシーリング化合物注入機を用いて行う。
【0040】
EP2 518 374 B1は、一対の表面間のギャップを封止するための装置を保護している。この装置は、シーリング化合物をギャップに注入するためのノズルを含み、ローラーで運転される継ぎ目のないベルトを使用し、注入器及び照射ユニットを動かす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【文献】US 7,438,974 B2
【文献】WO 2013/154773 A1
【文献】EP2 586 537 A1
【文献】EP2 518 374 B1
【非特許文献】
【0042】
【文献】DIN EN ISO 868、2003年10月
【文献】DIN 65262-1、1996年8月、3.1.2.5項
【文献】DIN 65262-1、1996年8月、3.1.2.3項
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
従って本発明の目的は、表面から突出した接続要素を有し、ギャップ又は平らでない接続部位を備えた施与部位を封止、被覆及び/又は空力的に平滑にするための時間及び任意には処理労力を、かなり削減させることのできる方法及び装置を提供することである。この場合、時間を浪費することなく、硬化したシーリング化合物によって封止された施与部位の品質をさらに改善することができれば有利である。さらに、航空宇宙用構成部品の簡素化された迅速な製造が有利である。
【課題を解決するための手段】
【0044】
この目的は、硫黄含有SCODシーリング化合物で、少なくとも1カ所の施与部位、特に航空宇宙用の構成部品を、少なくとも1個のノズル要素及び少なくとも1個の照射ユニットを用いて、表面から突出する少なくとも1個の接続要素を封止(シーリング)、被覆及び/又は空力的に平滑にする、及び/又は、ギャップを有する表面又は平らでない接続部位の表面を封止、被覆及び/又は空力的に平滑にする方法により達成され、特徴として、
i)前記少なくとも1個のノズル要素は、その内部空間が間接的又は直接的にシーリング化合物貯蔵部、すなわち、少なくとも1個の混合装置、少なくとも1個のシーリング化合物タンク、少なくとも1個のカートリッジ及び/又は少なくとも1個のカートリッジ収載部(magazine)に接続されており、混合された未硬化、又は少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物を含有していて、このシーリング化合物は、表面から突出する接続要素上や、ギャップ及び/又は平らでない接続部位上に導かれ、及び/又は滑動されて、表面又は表面近傍に接触し、
ii)前記少なくとも1個のノズル要素の内部空間は、タンクなどのシーリング化合物貯蔵部からのSCODシーリング化合物で充填され、表面と表面から突出する接続要素や、ギャップ又は平らでない接続部位がSCODシーリング化合物で完全に覆われる程度に少なくともおおよそ接触させ、(すべて「施与部位」という)SCODシーリング化合物はシーリング化合物被覆を形成し、本質的にSCODシーリング化合物キャップ、被覆及び/又は、マウンド形又はビーズ形の正面形状を有し、
iii)必要であれば、少なくとも1個のノズル要素又は少なくとも1個のノズル要素の少なくとも一部は、シーリング化合物被覆を有する表面から持ち上げられ、及び/又は動かされて、シーリング化合物被覆に対する損傷を回避し、
iv)SCODシーリング化合物の硬化は、1)少なくとも1個の照射ユニットによるシーリング化合物被覆への、高エネルギー放射線の照射等のエネルギー伝達により開始し、2a)上記において及び/又はこれにより、潜在性触媒の放出により前記硬化が開始し、又は、2b)上記において及び/又はこれにより、少なくとも1個の反応成分の直接活性化により前記硬化が得られ、混合されたSCODシーリング化合物がその後に続いて硬化する、及び/又は、さらに硬化する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明に関連する装置は、特に好ましい実施形態において、a)少なくとも1個のシーリング化合物タンク等の少なくとも1個のシーリング化合物貯蔵部を有する少なくとも1個の容器を含み、b)少なくとも1個のノズル要素を含み、及び/又はc)少なくとも1個の照射ユニットを含む。シーリング化合物タンクを有する混合装置は、既に混合されたシーリング化合物が使用されない時に特に必要とされる。シーリング化合物がより少量の場合、1成分形シーリング化合物又は混合した複数成分のシーリング化合物を、より大きなシーリング化合物タンクを可能であれば省くことができるように、カートリッジ又はより大きな容器に入れて提供してもよい。カートリッジは必要に応じ、カートリッジ収納部に保管してよい。
【0046】
特に好ましい方法として、硬化を加速させるため、特にシーリング化合物被覆の表面上で、少なくとも1個の照射ユニットによって、施与部位にシーリング化合物を任意に連続的に施与し、その後続いて化学反応を直接開始又は活性化させる方法である。
【0047】
工程iii)の方法では、特にノズル又はキャップその他がシーリング化合物被覆に当たったとき、及び/又は、ノズル要素の少なくとも一部がシーリング化合物被覆上で表面に対して平行に動かされない場合、シーリング化合物被覆に対する損傷を回避するために、特に、ノズル要素又はノズル要素の少なくとも一部分がシーリング化合物被覆を有する表面から持ち上げられ、及び/又は動かされる。
【0048】
本出願による「施与部位」という用語は、表面から突出する3種類の接続要素、ギャップ及び平らでない接続部位(シーリング化合物被覆を提供されなければならない)、並びに、任意に、処理されなければならない表面における位置の両方を含む。
【0049】
本出願による「表面近傍」という用語は、工程i)において、表面近傍に動かされるノズル要素の最先端の点、線又は表面が、前記表面から0.01と20mm、1と12mm、2と8mm又は3と5mmの範囲の距離にもたらされることを意味する。この距離はまた、必要であれば余剰のシーリング化合物を取り除くための空間を含み、ここで施与部位のシーリング化合物被覆は、特にビーズを形成する等の本質的に直線で表面に平行な施与の場合、又は特に円錐体形状を提供する等の本質的に回転して表面に平行な施与の場合は、最適な方法で施与してよく、可能であればまた、同一の方法及び/又はシーリング化合物被覆の平滑化された均一な表面を用いてよい。
【0050】
さらに、工程(v)において、ノズル要素全体又は、接続要素及び/又はノズル延長部、ノズル又はキャップ等ノズル要素の部分品を、シーリング化合物の残留物を取り除いて清浄化する。ある一定数のシーリング化合物被覆の後、又はノズル要素又はその部分品の交換前又は交換後に、シーリング化合物を除去して清浄化することが有利であり得る。あるいは、必要に応じて、汚れたノズル要素又はその部分品を廃棄し、新しいノズル要素又はその部分品の一つと交換してもよい。ノズル要素の交換や、ある特定のノズル要素を用いた施与の種類及び/又は、選択されたシーリング化合物の量によって、シーリング化合物被覆の形状及び寸法は、従来の冷凍した予備成形物よりもさらに柔軟性及び迅速性を持たせて変更されてよい。従来の予備成形物は、施与を支持する上で膨大な数の同じ配列、寸法及び形状で準備しなければならない。異なる配列、寸法及び/又は形状を有する予備成形物用の射出成形型を複数用意することはまた、非常に厄介であり、施与の柔軟性を制限する。
【0051】
本発明の方法では、工程ii)におけるSCODシーリング化合物は、タンクなどのシーリング化合物貯蔵部から、連続的な線又は線の一部分として、好ましくは加圧下で接続要素上に導かれる、及び/又は押し出されることが好ましい。
【0052】
本発明の方法では、工程iv)の前の未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又はその表面をツールで平滑化し、及び/又は、工程ii)及び/又はiii)で、ノズル要素を空間的及び特に直線的及び/又は回転的に動かすことでシーリング化合物の線を裂く及び/又はツールを動かし、未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又は表面上は平滑にし、最終形状に施与することが好ましい。
【0053】
シーリング化合物被覆の形状は、平らにされ、及び/又は対称的に形成され、及び/又は、シーリング化合物被覆の表面が可能な限り平滑であることが好ましい。
【0054】
ツールは本質的に、細い棒、へら、刃、延べ棒、ナイフ又はホルダー上の突起物でよく、特にこのツールを動かすことで、シーリング化合物被覆が形成、及び/又は表面上が平滑にされる。このような方法は、ビーズ形のシーリング化合物被覆の場合に特に有利である。特に、そのようなビーズを、もしいわゆるビーズシーリング化合物を使用して形成する場合、シーリング化合物被覆の形成は、ノズル又は少なくとも1個の先端、縁及び/又は刃を備えたノズル延長部の配列上で、可能であればノズル又はノズル延長部を動かすことで、提供されてよい。
【0055】
本発明の方法では、シーリング化合物被覆は、実質的に最終形状とされることが好ましく、これは表面上で、ほぼ被覆、鐘、キャップ形状、及び/又はマウンド形又はビーズ形の正面形状を有する。
【0056】
本発明の方法では、シーリング化合物被覆は、シーリング化合物被覆の接触面の領域に接着剤を有する清浄化された表面上に施与されることが好ましい。基材への適切な接着が可能であれば、どのような接着剤も基本的に使用できる。水及び/又は有機溶媒を成分として含む接着剤組成物を使用してよく、その例としてはシラン、シラノール、シロキサン及び/又はポリシロキサン及び/又はチタネート及び/又はジルコネート等を含む組成物がある。接着剤又は接着剤層は、特に、表面への接着を改善するために使用される。金属表面の場合、シラン、シロキサン及び/又はポリシロキサンをベースとする接着剤の使用は、特に効果的であることが証明されており、複合材料で製造された表面の場合、チタネート及び/又はジルコネートをベースとする接着剤が特に効果的であることが証明されている。接着剤は、塗る、噴きつける、浸す及び/又はサインペン又は接着剤が染み込んだ布と同様の施与ユニットを用いた手作業又は自動の施与等、本質的に適切などのような方法で施与してもよい。
【0057】
この表面は特に、アルミニウム、鉄又は亜鉛の合金等の金属材料、炭素繊維強化炭素CFC又は炭素繊維強化プラスチックCFRP等の複合材料、及び/又は有機材料及び/又はポリエーテルイミドPEI、ポリカーボネートPC又はポリメチルメタクリレートPMMA等に基づくプラスチック材料等のプラスチック、又は、エポキシ-、ポリウレタン-及び/又は(メタ)アクリレートをベースとする糊及び/又は塗料で製造されてよい。
【0058】
本発明による潜在性触媒は、反応物間の反応を促進するのに適した触媒であって、ブロックする保護基又はカプセル化材料で作られたエンベロープによって一時的に不活性化され、ブロック又は不活性化は、高エネルギー照射等のエネルギー伝達により取り除かれる。ブロックする保護基を有する潜在性触媒において、アミノ基は、例えば塩によってブロックされ得る。カプセル化による潜在性触媒では、ポリマー及び/又はワックスでできたカプセル化は、高エネルギー照射等でエネルギー照射により破裂、溶融及び/又は開封され得る。最初にベース成分及び/又は補足成分の形態を有する潜在性触媒において、活性触媒は、外部エネルギー照射によって後からのみ形成される。この場合、エネルギーをあてると、潜在性触媒の放出及び/又は反応成分の直接的な活性化が引き起こされる。
【0059】
本発明の方法では、混合された未硬化又は少なくとも一部未硬化のシーリング化合物は、硬化がエネルギー入力によって得られる、及び/又は少なくとも1個の反応成分の直接活性化に次いで硬化する、及び/又は、エネルギー入力及び潜在性触媒の放出によって硬化が開始し、後続の硬化を伴うようなものであることが好ましい。
【0060】
以下の刊行物はSCODシーリング化合物系を開示している:
いわゆるSCODシーリング化合物(SCOD=指令によるシーラント硬化(Sealant Cure on Demand))はシーリング化合物であり、硬化はエネルギー入力による「指令によって("on demand")」活性化される。
【0061】
1)EP 1 478 703 B1は、とりわけ、ポリスルフィド、ポリエーテル及び/又はポリチオエーテルをベースとするメルカプト末端硫黄含有ポリマー及び潜在性触媒を含有する1成分形及び2成分形シーリング化合物を開示している。潜在性触媒は、外部エネルギー入力によって活性形で放出、及び/又は形成され、硫黄含有ベースポリマーと硬化剤との間の反応は、硬化のために活性化及び/又は加速される。シーリング化合物は、活性形のカプセル化された潜在性触媒を含んでよい。そのカプセル化は、溶融、破裂、及び/又はエネルギー入力による化学反応によって開放又は放出され得る。潜在性触媒はまた、外部エネルギー入力によってのみ互いに反応して活性触媒が形成される最初の及び/又は補足の部分成分として存在してもよい。活性化は、熱照射、誘導加熱、高周波励起及び抵抗加熱により発生してよい。紫外光を用いた活性化は明示的に言及されていない。
【0062】
2)US 2013/0137817 A1は、液体の硫黄含有ポリマーを含有し、反応相手(硬化剤)として少なくとも1個のブロックされたビスマレイミドをベースとした化合物を含有するシーリング化合物を開示している。前記硬化剤は、60~120℃の温度範囲で放出され、反応を開始する。この場合の欠点は、硬化を達成するために前述の高温が15分以上2時間まで保持されなければならないことである。しかし、航空機産業における温度の上昇は、アルミニウム材料が高い熱膨張係数を有するため、常に不利である。紫外光や潜在性触媒による活性化は、明白に言及されていない。
【0063】
3)WO 2012/021781 A1及びWO 2014/066039 A1は、ポリビニルエーテル及び/又はポリアリル化合物又はアルケニル末端化合物を有するポリエンを有するチオール末端ポリチオエーテルをベースとするラジカル硬化をするシーリング化合物を開示しており、これは化学線により架橋結合することができる。この場合、光開始剤は紫外線照射を吸収し、重合を開始させるラジカルに変換する。この目的のため、上記刊行物は、アセトフェノン、α-アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオロン及びケトクマリンを開示している。この場合、光開始剤から分離されたラジカルが反応、すなわちラジカル重合を開始する。しかしながら、これらの化合物は、紫外線照射が到達しない領域、いわゆる陰(shade)領域において1成分形シーリング化合物として硬化しないという欠点を有しており、照射終了後はさらなる硬化が見られない。
【0064】
4)さらに、WO2013/153047 A1は、2成分形のシーリング化合物を開示しており、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、それぞれの共重合体及び/又はそれらの混合物をベースとするメルカプト末端ベースポリマーを含有し、イソシアネート化合物で硬化される。この系では、光開始剤又はα-アミノケトンに基づく光潜在性塩基が硬化を開始し、非常に短い不粘着時間が達成される。これらの組成は、第3級アミンの存在によって照射の終了後の後硬化を容易にし、紫外線照射が到達しない領域、いわゆる陰領域においても硬化するという利点を有する。
【0065】
現在、新規の、好ましくは2成分形のシーリング化合物系が見出され、エポキシベース硬化剤及び光潜在性塩基を有するポリチオエーテルベースの化合物は、高エネルギー放射線のエネルギー入力により硬化を開始し、非常に短い不粘着時間が達成される。基剤は主に、分子の末端にそれぞれメルカプト基を有する液体ポリチオエーテルの少なくとも1組成から構成される。前記ポリエーテルは、可能であれば分子内に約50モル%までのジスルフィド基を含有してよい。基剤はさらに、基剤に比例して少なくとも80質量%までの少なくとも1種類のポリスルフィド等、少なくとも1種類のジスルフィド含有化合物を含んでよい。硫黄含有ポリチオエーテルベースポリマーは、好ましくは、ベースポリマー全体に対して反応性SH基に関連するメルカプタン含有量が、0.5~10又は1.5~7質量%の範囲、及び/又は、硫黄の全含有量が、5~45又は12~36質量%の範囲である。必要であれば、2500~6000g/molの分子量を有する長鎖ポリチオエーテル、及び、短鎖ポリチオエーテル、特に約500~2500g/molの分子量を有する短鎖ポリチオエーテルを一緒に混合してよい。長鎖の短鎖ポリチオエーテルに対するの割合は、好ましくは25:1~0.5:1、及び、特に20:1~2:1又は14:1~8:1の範囲である。
【0066】
この新規シーリング化合物系の硬化剤はエポキシベースであり、共硬化が所望されない場合は、通常、酸化マンガン、無機及び有機過酸化物、ビニル化合物及びイソシアネートを含まない。これは、少なくとも1種のエポキシ化合物のみが硬化試薬として使用される場合に特に当てはまる。共硬化の場合には、エポキシ化合物に加えて酸化マンガン、無機及び有機過酸化物、ビニル化合物及びイソシアネートから選択されるこれらの硬化試薬のうちの少なくとも1種が使用される場合、特にエポキシとイソシアネート又はエポキシと酸化マンガンが同時使用される場合でも意味をなす。各エポキシ化合物は、好ましくは、硬化剤に添加されるのみである。従って、シーリング化合物の硬化は、少なくとも1種のエポキシベース化合物で行われる。特に、F=2~F=5の官能価を有する、専ら二官能性又は多官能性のエポキシ樹脂が使用される。混合物が使用される場合の官能価は、好ましくはF=2.0~3.0又は2.2~2.8である。エポキシ化合物としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリコールジグリシジルエーテル、ヒダントインエポキシ誘導体、エポキシ化不飽和及び/又はフェノール樹脂、エポキシノボラック樹脂、より好ましくは架橋エポキシノボラック樹脂及び/又はエポキシ樹脂が好ましく使用され、例えばビスフェノールFノボラック樹脂などの上記各種の数種類をベースとする。硬化剤には、シランなどの添加剤を添加してよい。しかしながら、硬化剤は、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルオリゴマー、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル及び3,4-オリゴマー-エポキシシクロヘキシル-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートのような脂環式エポキシ樹脂を含まないことが好ましい。硬化剤は、水を含まない、又は実質的に水を含まなくてよく、可塑剤を含まないことが多い。
【0067】
特に、これらの新しいシーリング化合物系では、特に高い燃料耐性により、シーリング化合物は、航空機の翼の中等の燃料タンクの製造中の封止、又は航空機の通常の操作及び整備中の封止を可能にする。実際に、胴体や燃料タンクにおける漏れは回避しなければならない。これにより、特に速くかつ容易な化合物による修復が可能になる。シーリング化合物は揮発性有機化合物(VOC)を含まないことが好ましい。
【0068】
硬化のために、この新しいシーリング化合物系の基剤及び硬化剤は、好ましくはエポキシ量が化学量論量を超えた(overstechiometric)過剰量存在するように混合される。過剰分は、特に好ましくは1~80モル%又は5~50モル%又は10~30モル%である。基剤及び/又は硬化剤は、立体的にブロックされた第3級アミンをベースとする、及び/又は、特に立体的にブロックされたアミジンをベースとする少なくとも1種の光潜在性塩基を含有する。光潜在性塩基は、潜在的触媒として作用し、異なる構造を有してよい。それらは、α-アミノケトン類及び/又はアミジン類のクラスに属する。照射中の光潜在性塩基は、少なくとも1種のアミン及び/又はアミニジンを放出及び/又は形成し、放出された及び/又は形成されたアミン及び/又はアミニジンが、メルカプト末端ポリチオエーテルとエポキシベース硬化剤との反応を触媒することが好ましい。光潜在性塩基は、混合された、及び/又は既に硬化を開始したシーリング化合物が照射されたとき、エポキシ化合物のメルカプタンとの反応を活性化及び/又は加速させることが特に好ましい。
【0069】
ベースの組成及び/又は硬化剤は、例えば、充填剤、チキソトロープ剤、接着促進剤、樹脂及び溶媒から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含んでよい。
【0070】
この新しいエポキシ硬化ポリチオエーテルベースのSCOD-シーリング化合物系の有利な点は、特に、1)シーリング化合物が高い燃料耐性を有すること、2)弾性が高いこと、3)飛行機の構築における速い不粘着時間及び迅速な硬化により、例えば、待機時間及び一巡の時間をより短くすることが可能であり、従って生産性を高めることができること、及び、4)シーリング化合物のいわゆる「陰領域」と呼ばれる非照射領域での硬化が可能であり、また後硬化が行われ、短い暴露時間及び/又はシーリング化合物施与領域の照射が不完全であるにもかかわらず、完全な硬化に達することができることである。これらのシーリング化合物系では、0.01~10分の不粘着時間及び1~1000分の硬化までの時間が、特に層の厚さに依存して達成される。
【0071】
イソシアネート又はビニル化合物で硬化が得られる既知のシーリング化合物系とは対照的に、本明細書に記載の新しい系は、通常、アセトフェノン、ヘキシルフェニルケトン1-ヒドロキシシクロ-、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィン等の触媒と一緒には作用しない。これらの新しい組成において、光潜在性1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)及び/又は光潜在性1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)は、ベンゾフェノン及び/又はチオキサントン等の少なくとも種の光増感剤の存在下で、潜在性触媒として任意に使用できることがわかった。これらの光開始剤又は光潜在塩基は、多くの他の光開始剤よりもさらに強い塩基を放出する。これらのさらに強い塩基のみが、メルカプタンとエポキシ基との間の反応を触媒することができる。より弱い塩基を放出するために光開始剤を使用した場合、通常最初の試みで十分な硬化は達成できない。
【0072】
本発明の方法では、混合された未硬化又は少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物は、
A)基剤をベースとするメルカプト末端ベースポリマーであり、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、それらのコポリマー及び/又はそれらの混合物で、平均官能価1.5~3.2の範囲のイソシアネート成分を持つ少なくとも1種の硬化剤と、α-アミノケトンをベースとする少なくとも1種の光潜在性塩基との混合物をベースとし、
B)メルカプト末端ポリチオエーテルを含む基材、エポキシベース硬化剤、及び少なくとも1種の光潜在性塩基をベースとし、光潜在性塩基は立体障害第3級アミン及び/又は立体障害アミジンをベースとし、前記光潜在性塩基は潜在性触媒として機能し、又は、
C)ポリビニルエーテル及び/又はポリアリル化合物を有するポリエンを含むチオール末端ポリチオエーテルをベースとし、好ましくはアセトフェノン、α-アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオロノン及びケトクマリンからなる群から選択される光開始剤をベースとし、
混合された未硬化又は少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物は、紫外線照射等、エネルギーを供給することによって硬化を開始することが好ましい。
【0073】
特に、本発明の方法では、少なくとも1種の光開始剤(タイプCの)又は少なくとも1種の光潜在性塩基(タイプA及びBの)が、特にタイプA)又はB)のSCODシーリング化合物への高エネルギー化学線照射により、第3級アミン及び/又はアミジンベースの少なくとも1分子を開裂させることが好ましく、これが活性触媒としてのSCODシーリング化合物の硬化を開始させる。また、特に高エネルギー化学線の、短時間照射後、少なくとも一部未硬化のSCODシーリング化合物はさらなる照射を必要とせず、-10~+70℃の温度範囲で硬化を継続することが好ましい。
【0074】
光潜在性塩基は、光開始剤の一種である。
【0075】
本発明の方法では、本発明の方法の工程iv)におけるエネルギー入力は、IR照射、NIR照射、マイクロ波照射、VIS照射、紫外可視光線照射、紫外線照射、超音波照射、電子線照射、ガンマ線照射、ベータ線及び/又はアルファ線を用いた照射によって行われることが好ましく、これらは本出願による高エネルギー放射線の種類と考える。工程iv)において特に好ましいのは、波長が約100~400nmの範囲にある紫外光又は波長が約100~600nmの範囲の紫外可視光の使用である。特に好ましいのは、紫外線照射(可能であれば紫外可視光線照射として)の使用であり、特に波長が約315~400nmの範囲の長波長紫外線の比率が高いもの、及び/又は、特に波長が約280~315nmの範囲の中波長紫外線、及び、特に波長が約100~280nmでごく少量の又は全く存在しない短波長紫外線、特にまた、例えば紫外線LEDで生成されるほぼ単色の光線照射の使用である。典型的には、照射ユニットの照射源強度は予め決められており、照射時間及び照射ユニットとシーリング化合物被覆との間の距離のみが変動可能であることが多い。照射源とシーリング化合物被覆との間の距離は、多くの実施形態において1~100mmの範囲で変動するであろう。この記録された照射によるエネルギー入力は、長波長紫外線、中波長紫外線及び/又は短波長紫外線照射に対する光増感剤を含有するシーリング化合物を用いて、所望される化学反応の開始又は活性化に特に効果的に使用することができる。
【0076】
以下の表3に、距離と照射時間に応じた、異なる紫外線照射の種類の照射線量と硬化時間を示す。次の要件を考慮した:シーリング化合物表面上の紫外線強度:0.2~5.0W/cm2、シーリング化合物表面上の紫外線量:2100J/cm2、照射体とSCODシーリング化合物タイプAとの間の距離:10~100mm、照射時間:3~90秒;Blue Wave 200(38605モデル)スポットライト200W、40*W/cm2;鉄、ガリウムを塗った水銀蒸気ランプ又は純水銀蒸気ランプ又は紫外線LEDスポットライト、スペクトル範囲:UV Power Puck II S / N 19860*を用いてランプで直接測定し、200~450nm。特に、層厚6mmの標本に混合物を施与し、照射した。
【0077】
ここから、強度及び対応する線量の下限として、0.2W/cm2及び2J/cm2の値を選択することができた。実際に、値が0.2W/cm2を下回ると、より長く紫外線照射することで紫外線量が増加したとしても、結果は改善しないであろう。
【0078】
【0079】
本発明の方法では、工程(iv)で照射によってまだ硬化していないシーリング化合物被覆は、照射後約0.01~5分後に既に不粘着であるか、不粘着となることが好ましい。この場合、不粘着状態は、0.2~4.5分、0.5~4分、1~3.5分、1.5~3分又は2~2.5分後であっても得られる。工程(iv)で照射によってまだ硬化していないシーリング化合物被覆は、照射後1分又は30秒間不粘着である/となることが特に好ましい。不粘着時間は、DIN 65262-1、1996年8月、3.1.2.5に従って測定される。ショアA硬度は、DIN EN ISO868、2003年10月、ショアデュロメータタイプAの方法で測定される。ショアA硬度の値は、1秒以内に読み取られる。
【0080】
迅速な不粘着状態は、本発明の特に有利な点である。実際に、不粘着状態を例外的に速く達成することは、1メートル又は数メートルの距離で部品に係る作業を続けるための必要条件である。例えば、新しく被覆された施与部位について可能な限り短時間で作業する場合や、廃物、摩耗した材料、切りくず、汚れ、特に穿孔、機械加工及び/又は研削及び/又は空気流等による塵が、不粘着状態が達成される前にシーリング化合物被覆表面に含まれてしまうのを回避する場合である。一方で、構成部品上で踏み歩いたり動いたりする前に、不粘着状態が達成されるまで待つのも必要なことが多い。特に、これは、未硬化のシーリング化合物被覆に近接した材料及び/又は表面の機械加工に関するもので、金属及び/又は有機材料及び/又は複合材料でできた構成部品について、穿孔、機械加工及び/又は研削及び/又は操作及び/又は対応する構成部品の取扱い操作等の機械加工に関する。対応する構成部品はシェル又は翼部品上などにあり、ここでは特に、廃物、摩耗した材料、切りくず、変形物や汚れが生じ、未硬化シーリング化合物被覆との物理的な接触も起こる。シーリング化合物被覆表面の不粘着状態のみがこうした問題を呈さず、シーリング化合物被覆に近接した場所での機械加工、操作及び取扱いが継続できる。
【0081】
通常、シーリング化合物被覆が「不粘着」であるとき、欠陥は生じない。実際に、この表面硬化は通常、不粘着状態においては、切りくず又は汚染物質がシーリング化合物表面に付着するおそれを回避するのに十分である。従って、シーリング化合物が既に提供されている構成部品での研削、穿孔及び機械加工等の後続の操作は、よりはるかに短い時間内で継続される。この理由から、シーリング化合物被覆表面の不粘着状態を特に速く達成することは、航空宇宙分野において、加速された欠陥のない製造に特に重要である。
【0082】
個々の構成部品は、機械的負荷の下で動かされる前に、予め完全に硬化させる必要がある。床プレートや構造要素を施与する時等いくつかの領域におけるシーリング化合物は、プラスチックのままの部分によってまだ必要な回復能力を有していないため変形するおそれがあり、通常、不粘着状態が十分ではない。例えば、ショアA硬度30から出発すると、通常、適切に高い弾性率が推定される。しかし、シーリング化合物被覆が極めて短時間後に不粘着であれば、表1、2に示すように、例えばショアA硬度30も短時間で達成され、この構成部品は機械的負荷に供してよい。
【0083】
不粘着状態又は特定の所定のショアA硬度から開始して、被覆内のシーリング化合物をさらに硬化させることは、数日間問題なく続けることができる。従って、硬化期間は重要ではない。
【0084】
前述の構成部品とは異なり、本発明に従って製造されたシーリング化合物被覆は、圧力ばめ供給の前に接続要素がシーリング化合物によって被覆されていないため機械的負荷を少ししか又は全く受けず、通常これらのシーリング化合物被覆について不粘着状態は十分達成されている。
【0085】
本発明の方法では、被覆する異なる形状の接続部位、ギャップ及び/又は平らでない接続部位の上及び/又は間に施与する際の変更の場合など、必要であれば、少なくとも1個のノズル要素、又は、キャップ、ノズル、接続チャネル及び/又は接続要素等ノズル要素の少なくとも一部分から、シーリング化合物タンクなどのシーリング化合物貯蔵部への変更が行われることが好ましい。ノズル要素は、本質的に1~5個の部分品から構成され、必要であれば、異なる形状でよい。しかしながら、それらは通常、以下の一体化された又は複数部品の要素を含む:
【0086】
本発明のノズル要素の2個の基本的な構成を提供する。
【0087】
A)ノズル要素(0)は本質的に、1)シーリング化合物貯蔵部に直接又は間接的に接続されたシーリング化合物タンク等、後端にあるシーリング化合物貯蔵部との接続要素(1)、及び、2)必要であればノズル、キャップ及び/又はツールに移行できる前端にある接続チャネル(2)からなり、
B)ノズル要素(0)は本質的に、1)シーリング化合物貯蔵部に直接又は間接的に接続されたシーリング化合物タンク等、後端にあるシーリング化合物貯蔵部との接続要素(1)、及び、2)接続チャネル(2)及び、3)前端にあるノズル、キャップ及び/又はツール(3)からなる。
【0088】
好ましい実施形態では、バヨネットロック、ばね錠又はファストクランプ装置等の接続技術により、又は筐体上への挿入により、一体型ノズル要素(0)又は接続要素(1)等その部分品の1個と、シーリング化合物貯蔵部とを直接的又は間接的に接続すること可能となる。変形例の多くで、接続チャネル(2)は長方形であり、これによりシーリング化合物が被覆される表面の方向に運ばれ、機械的又は自動化された部品(4)操作のための距離が提供される。さらに、接続チャネル(2)は、好ましくは、本質的に管状、ホース状及び/又は円錐形であり、硬く、折り曲げ可能又は柔軟で、必要に応じて、柔軟な接続チャネル(2)は折り曲げ、及び/又は動くように設置される。
【0089】
好ましい実施形態では、シーリング化合物貯蔵部の接続要素(1)上の一体型ノズル要素(0)には、特に管状、ホース状及び/又は円錐形の形状を有する接続チャネル(2)が提供され、柔軟な接続チャネル(2)は必要に応じて折り曲げ、及び/又は動くように設置してよく、その前端は、a)本質的に残りの接続チャネル(2)のような形状で、b)円錐形で先細り等のノズル延長部を有し、又は、c)前端はノズル、キャップ及び/又はツールで終わりとなる。
【0090】
好ましい変形例では、シーリング化合物タンク等シーリング化合物貯蔵部の接続要素(1)上の複数部品のノズル要素(0)には、接続チャネル(2)が提供され、本質的に管状、ホース状及び/又は円錐形で、硬く、又は柔軟で、
柔軟な接続チャネル(2)は必要に応じて折り曲げ、及び/又は動くように設置してよく、その前端は、a)本質的に残りの接続チャネル(2)のような形状で、b)円錐形で先細り等のノズル延長部を有し、又は、c)前端はノズル、キャップ及び/又はツールで終わりとなり、
シーリング化合物貯蔵部の接続要素(1)及び接続チャネル(2)、接続チャネル(2)及びノズル、キャップ及び/又はツール(3)か、又は、シーリング化合物貯蔵部の接続要素(1)、接続チャネル(2)及びノズル、キャップ及び/又はツール(3)は、別個の部品として提供され、筐体にはめあわせることにより、例えばねじ山上での回転又はバイヨネット、ステープル止め、糊付け、留め金により、及び/又は簡単な接続装置によって、相互接続及び/又は分離に適応している。
【0091】
ノズル延長部は、シーリング化合物が本質的に広く薄く施与されるようにするため、好ましくは、a)本質的に一定の直径又は円錐形状の丸い形状を有し、b)本質的に一定の直径又は本質的に円錐形状の本質的な楕円形状、c)本質的に三角形、正方形、五角形又は六角形等の本質的に多角形の形状、又は、d)シーリング化合物の移送方向に関して横に広がる形状を有する。このようなノズル延長部は、必要に応じて、特に、空間的、横方向及び/又は回転する動きを伴う特定の成形及び/又は表面平滑化にも使用してよい。
【0092】
ノズルは、必要に応じて、ノズル延長部よりもさらに特定的及び/又はさらに大きくてもよい。前記ノズルは特に、典型的なノズルの形状を有し、突出した及び/又は曲がった表面及び/又は部分品を有してよい。すべてではない可能性はあるが、多くのノズル形状が一般に知られている。
【0093】
特定の実施形態では、ノズルは特に広い前端を有してよく、必要であれば、表面の断面に、平坦な又は細長いと同時に幅が狭い又は広い鐘形状を有してもよい。これにより、シーリング化合物の施与中及び/又は施与後に、例えば軸のまわりの回転によるノズルの動きが表面に対して本質的に垂直となり、及び/又は本質的に表面に平行な動きとなり、施与したシーリング化合物を、例えば本質的に回転対称又は楕円形にゆがんだ鐘形状や、平坦な回転対称で楕円形にゆがんだ及び/又は長円形のマウンド又はいわゆるビーズ形状で提供し、また可能な場合、シーリング化合物表面も平滑化される。自動化された方法では、工程の最適化、シーリング化合物被覆の形状の成形及び表面の最適化と、統一された同様の操作によって、後続するシーリング化合物被覆表面の平滑化は、省略されてよい。
【0094】
平坦な又は細長く幅が狭い又は広い鐘形状によって、施与したシーリング化合物の形状及び寸法は、十分なシーリング化合物被覆を有する表面から突出した接続要素の形状及び寸法に、及び/又は、十分なシーリング化合物被覆を有するギャップ及び/又は平らでない接続部位の中及び上に施与されたシーリング化合物上で、適応される。
【0095】
キャップは、複数の形状及び寸法で提供される。これは特に、表面から突出する少なくとも1個の接続要素の封止に使用することができる。これは特に、本質的に、鐘状、マウンド状及び/又は細長い円錐体及びキャップの形状を有することができ、寸法及び内径と高さとの関係、またボルト、リベット、ナット及び/又はネジ等の表面から突出する接続要素の外径及び高さとの関係に適応していることが好ましい。これら接続要素のキャップからの距離は、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm又は少なくとも2mmで、及び/又は、キャップ内側表面からの接続要素の異なる測定点間のシーリング化合物の「壁厚」は約0.5~15mm、1~12mm、2~10mm、3~8mm又は4~6mmの範囲内である。突出する接続要素上のシーリング化合物被覆及び、特に円錐体は、約5~50mmの範囲の底面から垂直に測定すると、外径及び高さの寸法を約5~100mmの範囲で有することが多い。
【0096】
ツールもまた、複数の形状及びサイズで提供される。これは、接続要素(1)上に単独で使用してよく、ホルダー上で1個又は複数の部分品(2a)としてよい。あるいは、ノズル又はキャップをツールとして使用してよく、ノズル又はキャップは、空間的、横方向及び/又は回転的な動きにより、及び最前部つけ根部分の形状によって、ツールとして使用できる。
【0097】
本発明の方法では、表面上の適用部位における各接続要素、ギャップ又は平らでない接続部位について、SCODシーリング化合物を表面上に施与するための、また可能な場合ノズル要素が連続する施与部位に動かされる前にSCODシーリング化合物を所望の形状にするための平均処理時間は、0.1~60秒、5~40秒、8~20秒又は10~15秒の間であることが好ましい。
【0098】
本発明の方法では、同時又は実質的に同時に処理される表面上の少なくとも1カ所の施与部位におけるすべての接続要素、ギャップ又は平らでない接続点の平均待機時間は、3~120、5~80、8~40、又は10~30秒の範囲であることが好ましい。少なくとも1カ所の施与部位におけるシーリング化合物が不粘着状態になるまでのこれらの待ち時間は、A)リベット止め及び/又はねじ止めする間等、少なくとも1個の接続要素を設置及び/又は取り付けるための少なくとも1個のユニット及び/又は1個のツールを取り除くことから開始、及び/又は、B)後続の処理のため少なくとも1カ所の施与部位における少なくとも1個のノズル要素の動きから開始し、好ましくは、C)少なくとも1個のシーリング化合物被覆の1個以上の表面が不粘着状態に達したときに終了する、及び/又は、D)リベット止め及び/又はねじ止めする間、本発明の装置の少なくとも1個のユニットを動かす、及び/又は、少なくとも1個の接続要素を穿孔及び/又は他の機械的加工、例えば清浄化するための少なくとも1個のユニットを動かした後に終了する。従ってこの待ち時間は、A)からC)、A)からD)、B)からC)、又はB)からD)までの時間として計算することができる。
【0099】
本発明の方法では、ノズル要素(0)は主に、1)シーリング化合物貯蔵部への接続要素(1)、接続チャネル(2)及び、可能であればノズル、キャップ及び/又はツール(3)及び/又は接続チャネル(2)のノズル延長部から構成されていることが好ましく、ノズル要素(0)は1個又は複数の部分品からなっていてよい。接続チャネル(2)は、シーリング化合物貯蔵部への接続要素(1)から、接続チャネル(2)前端又はそのノズル延長部又は、ノズル、キャップ及び/又はツールの要素(3)まで、先細く伸びていることが好ましい。
【0100】
本発明の方法では、接続チャネル(2)が実質的に管状の形状を有し、かつ折り曲げ可能及び/又は柔軟であることが好ましい。
【0101】
本発明の方法では、本発明のシーリング化合物の少なくとも1種の光開始剤は、エネルギー入力及び、特に高エネルギー化学線照射に供されるとき、3級アミン及び/又はアミジンをベースとする少なくとも1個の分子を開裂することが好ましく、これが活性触媒として本発明のSCODシーリング化合物の硬化を開始する。触媒は、例えば、光潜伏性のアミジン塩基であり、4-(ヘキサヒドロ-ピロロ[1、2-a]ピリミジン-1-イルメチル)-安息香酸メチルエステル、4-(ヘキサヒドロ-ピロロ[1、2-a]-ピリミジン-1-イルメチル)-安息香酸ブチルエステル、[4-(ヘキサヒドロ-ピロロ[1、2-a]ピリミジン-1-イルメチルフェニル]-メタノール、ヘキサン酸-4-(ヘキサヒドロピロロ[1、2-a]ピリミジン-1-イルメチル)-ベンジルエステル、4-(オクタヒドロ-ピリミド[1、2-a]アゼピン-1-イルメチル)-安息香酸メチルエステル及び/又は、4-(オクタヒドロ-ピリミド[1、2-a]アゼピン-1-イル)メチル)-安息香酸ヘキシルエステル等の種々の保護基を有してよい。高エネルギーの化学線に短時間暴露した後、未硬化の本発明のSCODシーリング化合物は、さらなる照射を必要とせず、-10℃~+70℃の温度範囲で硬化を継続する。
【0102】
本発明の方法では、混合された本発明のSCODシーリング化合物は、工程iv)において硬化し、不粘着のシーリング化合物を形成することが好ましい。
【0103】
本発明の方法では、表面から突出した接続要素は本質的に、ボルト、リベット、ねじ、ねじ付きピン、ナット、ピン又は同様に形成された突出した接続部品であること、ギャップは本質的に、漏れ、穴、継ぎ目、溝又は表面上の複数の構造要素間の接触部位であること、及び/又は、平らでない接続部位は主に、折り畳まれた継ぎ目、接着部位、溶接部位、溶接継ぎ目である及び/又は凹凸であることが好ましい。
【0104】
本発明の方法では、少なくとも1個の接続要素が突出した表面及び/又は、ギャップがある及び/又は平らでない表面は、航空機又は宇宙機部品の構築要素及び/又は構造部品の外表面又は内表面であることが好ましい。
【0105】
本発明による方法では、表面は主に、アルミニウム、鉄、マグネシウム及び/又は亜鉛合金等の少なくとも1種の金属材料、炭素繊維強化炭素CFC、炭素繊維強化プラスチックCFRP及び/又は少なくとも1種の有機材料等の複合材料及び/又はプラスチック、接着剤及び/又は塗料等の材料からなることが好ましい。ここで、プラスチックは、例えばポリエーテルイミドPEI、ポリカーボネートPC又はポリメチルメタクリレートPMMAをベースとすることができる。塗料は、例えば(メタ)アクリレート、エポキシ及び/又はポリウレタンをベースとすることができる。使用される材料は原則として既知のものである。
【0106】
本発明の方法では、工程i)~v)の少なくとも1工程及び/又は請求項3の少なくとも1工程は、本質的又は一般的に同じ方法で操作される少なくとも1個の自動可能な又は自動の装置で行われることが好ましい。前記工程では、工程iv)の前に、未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又はツールで表面上は平滑化する、及び/又は、工程ii)及び/又はiii)で、ノズル要素を空間的及び特に直線的及び/又は回転的に動かすことでシーリング化合物の線を取り除き及び/又はツールを動かし、未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又は表面上は平滑化し、最終形態を達成する。
【0107】
本発明の方法では、工程i)~v)の少なくとも1工程及び/又は請求項3の少なくとも1工程は、本質的又は一般的に同じ方法で操作される少なくとも1個の自動可能な又は自動の装置で行われることが好ましい。ここで、工程i)~v)の少なくとも1工程及び/又は請求項3の工程は、1個、2個、3個、4個又は4個以上の、操作が異なる自動化可能な又は自動の装置で行われることが好ましい。2個又は2個以上の動き方の異なる自動化可能な又は自動の装置におけるこうした処理は、異なる施与部位でほぼ同時に行われるか、又はこれらの処理が2個又は2個以上の自動化可能な又は自動の装置によって、同じ施与部位で連続で一般的に同じ方法で操作されることが好ましい。
【0108】
可能な限り最大数の工程が少なくとも1工程で行われ、複数の工程が単一の自動化可能な又は自動の装置によって行われることが特に好ましい。実際に、これにより、例えば移動の場合には、単純化及び時間の節約が可能になる。
【0109】
本発明の方法では、少なくとも2カ所の施与部位が実質的に同時に、又は実質的に同時に連続して処理されることが好ましい。ここで、少なくとも3カ所、少なくとも4カ所、少なくとも5カ所、少なくとも6カ所、少なくとも7カ所、少なくとも8カ所、少なくとも9カ所、少なくとも10カ所、少なくとも11カ所、又は少なくとも12カ所、特に好ましくは少なくとも14カ所の施与部位が、少なくとも1工程、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は5工程で、実質的に同時に処理されるか、又は、実質的に同時に連続して処理されることが好ましい。
【0110】
本質的に又は一般的に異なる方法で操作する、より多数の施与部位及びより多数の自動化可能な又は自動の装置は、翼の加工の場合等、より多数の施与部位を有するより大きな構造部品について特に好ましい。この場合、これらの自動化可能な又は自動の装置は、必要であれば、少なくとも部分的に、自動化された処理及び/又は機械空間的に関連した接続で接続してよい。
【0111】
本出願による用語「実質的に同時」は、標準の操作において、異なる2工程間に30秒、20秒又は10秒までの時間遅延としての時間差が生じることを示す。
【0112】
本発明の方法では、少なくとも1個の自動化可能な又は自動の装置が、方法実行のために動かされ又は自動的に作動し、又は、少なくとも1個のユニットが、処理した施与部位で請求項1の少なくとも1工程の処理を行った後に、表面から突出した接続要素、ギャップ又は平らでない接続部位(施与部位)を有する次の施与部位に達するよう動かされ、その位置で処理を行うことが好ましい。
【0113】
本発明の方法では、自動化可能な又は自動の装置の少なくとも1個のユニットが、本発明による方法を実行するために工程i)~iii)を行い、少なくとも1個の他のユニットが工程iv)を行うことが好ましい。
【0114】
本発明の方法では、自動化可能な又は自動の装置の少なくとも1個のユニットが、本発明の方法を実行するために工程i)~iii)を行い、少なくとも1個の他のユニットが、工程iv)を実質的に同時に行うことが好ましい。
【0115】
本発明の方法では、本発明による方法の工程i)~iii)を実行する自動化可能な又は自動の装置の少なくとも1個のユニット及び、工程iv)のための少なくとも別のユニットが、処理実行後、実質的に同時に次の施与部位に移されることが好ましい。
【0116】
本発明の方法では、本発明の方法の工程i)~iii)を実行するための自動化可能な又は自動の装置の少なくとも1個のユニット及び工程iv)のための少なくとも1個の他のユニットか、又は自動可能な又は自動の装置の全体が処理の実行後に次の施与部位に実質的に同時に移される前に、工程i)~v)のすべてが行われることが好ましい。
【0117】
本発明の方法では、平面又は表面に垂直な表面に配置され、本質的に一次元配列で配列された、表面から突出した接続要素のある少なくとも1カ所の施与部位又は少なくとも1カ所の平らでない接続部位において、施与部位についての様々な処理が連続して行われるようにして、ユニット又は装置全体の移動が行われることが好ましい。ここで、同じ種類の1~15個のユニットは、対応する1~15カ所の施与部位において、対応する1~15カ所の施与部位への移動が起こる前に、実質的に同時にそれぞれ処理を行う。
【0118】
本発明の方法では、ユニット又は装置全体の移動が、平面又は表面に垂直な表面に配置され、実質的に一次元配列で配列され、表面から突出する接続要素の少なくとも1カ所の施与部位又は少なくとも1カ所の平らでない接続部位において、施与部位についての様々な方法が連続して行われるようにして行われることが好ましい。ここで、異なるユニットは、平面又は表面に配置され、異なる1~45個のユニットが、それぞれ、対応する3~45カ所の施与部位において、少なくとも2カ所の施与部位への移動が起こる前に、実質的に同時にそれぞれ処理を行う。
【0119】
本発明の方法では、特に工程i)~iii)について、同じ種類の複数のユニットが実質的に好ましくは直線に沿って配列され、特に工程iv)について、同じ種類の複数のユニットが実質的に、第二の好ましくは直線に沿って配列されることが好ましい。ここで、第一及び第二の線のユニットは、等しい距離又は角度を持った配置で実質的に配列されてよく、これにより、航空機の翼又は胴体等の表面に設けられた表面から突出する接続部位又は平らでない接続部位を持つ複数の施与部位は、実質的に同時に機械で処理されてもよいか、又は機械で処理される。ここで、両直線における同じ種類の2~15個のユニットはそれぞれ、対応する2~15カ所の施与部位において、両直線上の対応する2~15カ所の施与部位が直線又は本質的にそれに直角の方向に移動する前に、実質的に同時に処理を行う。
【0120】
この目的はまた、本発明の方法を行うための自動化可能な又は自動の(=少なくとも部分的に自動化された)装置によって達成される。これは、工程i)~v)の少なくともいずれかにおいて用いられる少なくとも1個の基地(station)及び少なくとも1個のノズル要素、及び可能であれば別個に少なくとも1個の照射ユニットを有することで特徴づけられる。
【0121】
この場合、少なくとも1個のノズル要素と少なくとも1個の照射ユニットは、機械的に接続されているか、又は互いに離れている。両方の場合で、共通又は別個の制御ユニットで操作される。
【0122】
工程i)~v)の方法における少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、又はそれぞれについて、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、又は少なくとも12個、及び特に好ましくは少なくとも14個の基地が提供される。
【0123】
本発明の装置は、ボルト、リベット、ネジ、溶接部又は同様の接続要素又は同様の施与部位にシーリング化合物被覆を直線状で折り曲げ可能又は傾け可能な装置において形成するための装置を含み、複数の基地が直列で接続されていることが好ましい。
【0124】
本発明の装置は、工程i)~iii)について少なくとも1個のユニット、工程iv)について少なくとも1個のユニット、又は工程i)~iv)について少なくとも1個のユニットが提供されることが好ましい。
【0125】
特に好ましい実施形態では、装置は、a)シーリング化合物貯蔵庫を、例えばシーリング化合物タンクを持つ少なくとも1個の混合装置内や、少なくとも1個のシーリング化合物タンク内、少なくとも1個のカートリッジ及び/又は少なくとも1個の充填されたカートリッジを持つ少なくとも1個のカートリッジ収載部内に有し、b)少なくとも1個のノズル要素を有し、及び/又は、c)少なくとも1個の照射ユニットを有する。あるいは、シーリング化合物タンク又はシーリング化合物タンクを有する混合装置の代わりに、少なくとも1個のカートリッジ及び/又はカートリッジ収載部も使用される。
【0126】
本発明の装置において、工程i)~iii)又はi)~iv)のユニットは、ノズル、キャップ及び/又はツール交換(要素交換)のための要素を有することが好ましく、ノズル、キャップ及び/又はツール交換の間、ノズルの形状、寸法、キャップの形状及び寸法及び/又はツールの変更は、
a)異なる形状及び大きさの複数の要素を有する塔部(turret)を回転させることによって、
b)異なる形状及びサイズの複数の要素を有する収載部を動かすことによって、
c)バヨネットロックの除去、ゆるめ、回転、以前に使用された要素の留め金を外す、又はファストクランプ装置の解放、及び/又は、バヨネットロックへの係合、螺号、回転、要素の留め金止め又は所定の形状及び/又はサイズの要素をファストクランプ装置に接続することによって、及び/又は、
d)特に中央部分で縦に分割され、部分品が挿入、回転、バヨネットロック、留め金又はファストクランプ装置によって接続又は分離される少なくとも1個の長方形のノズル要素を使用することによって、行われる。ここではタンク等のシーリング化合物容器のノズル部分は、ノズルの交換毎に交換されず、ノズル延長部又はシーリング剤被覆を形成するためのキャップ又はシーリング化合物キャップを有するノズル部は交換される。
【0127】
ノズル要素又はその一部は、可能であれば収載部又はホルダーから取り出され、又は可能であればノズル要素又はその一部が収載部又はホルダー内に再度案内される。あるいは、以前に使用したノズル要素又はその一部を廃棄し、必要であれば新しいものと交換する。
【0128】
本発明の装置では、工程iv)のための又はここにおけるユニットは、工程iv)におけるエネルギー入力のため、IR照射、NIR照射、マイクロ波照射、VIS照射、紫外可視光線照射、紫外線照射、超音波照射、電子線照射、ガンマ線照射、ベータ線及び/又はアルファ線、特に紫外線又は紫外可視光線による少なくとも1個の照射ユニットを有することが好ましい。紫外線又は紫外可視光線照射は、それぞれの反応及び処理の開始又は活性化に特に適しており、また危険な波長がないため、特に好ましい。さらに、この照射は、紫外線LEDによって容易に生成される。
【0129】
本発明の装置は、請求項3の少なくとも1工程のための少なくとも1個の要素及び/又は少なくとも1個のユニットを含むことが好ましい。ここで、工程iv)の前に、未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又はツールで表面上は平滑化する、及び/又は、工程ii)及び/又はiii)で、ノズル要素を空間的及び特に直線的及び/又は回転的に動かすことでシーリング化合物の線を取り除き及び/又はツールを動かし、未硬化のシーリング化合物被覆を形成及び/又は表面上は平滑化し、最終形態を達成する。
【0130】
本発明の装置は、取り除かれたシーリング化合物の残留物及び汚れが吹き飛ばされたりシーリング化合物被覆に向かわないよう、圧縮空気による等で、ノズル要素又はその部分品の1個を清浄化するための装置を含むことが好ましい。
【0131】
必要であれば、本発明の装置には、少なくとも1個の制御ユニット又は少なくとも1個のプログラム可能なユニットが提供され、制御される。これにより、特に、異なる活動及びユニットについてのすべての可能な時間、被覆のためのシーリング化合物量の分割のための圧力、投与の速さ、異なる位置、動き、動きの速さ及び移動の長さが制御される。
【0132】
この目的はまた、本発明の方法で処理された少なくとも1個の接続要素を有することを特徴とする航空機又は宇宙機(宇宙船)によって達成される。
【0133】
この目的はまた、航空宇宙機における、及び/又は航空宇宙機内における、本発明の方法及び/又は本発明の装置の使用によって達成される。
【0134】
本発明の方法で、幾何学形状、表面の平滑性並びに、幾何学形状、サイズ及びフォームの均一性をかなり改善できたことは驚くべきことであった。自動化された又は自動の方法で、かなりの利点が得られている。同じ種類の全てのシーリング化合物被覆が全て同じ外観を有するようにし、方法を適切に最適化することによって、形状及び表面品質に関するシーリング化合物被覆の連続処理を完全に省略することができた。
【0135】
本発明の方法で、構成部品、要件及びそれぞれの方法論的条件及び多数の施与部位についての自動化に依存し、かなりの手作業労力を伴う従来の方法に関して、およそ10~50%の時間節約を達成できたことは驚くべきことであった。短い不粘着時間という条件で、「指令により硬化する(on-demand curing)」シーリング化合物を使用して待ち時間がかなり短縮出来たことは特に明らかであった。
【0136】
また、驚くべきことに、自動化された又は自動の方法によって、材料の節約とコストの大幅な節約が可能であっただけでなく、シーリング化合物被覆の品質についても、位置決めの正確さによって可能となり、及び場合によって、突出した接続要素における中心揃えの正確さにもよって、壁部の非常に薄く、及び場合によっては不十分な封止部分を回避することのみならず、例えば燃料タンクのより安全な封止の明確な強化が可能となり、このことは安全性の問題さえ解決した。