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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20221202BHJP
   H01R 13/641 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H01R13/42 F
H01R13/641
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018089759
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2019197618
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】志賀 克己
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-110669(JP,A)
【文献】実開平07-016374(JP,U)
【文献】実開平07-018370(JP,U)
【文献】特開2002-313474(JP,A)
【文献】特開2017-224549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 13/641
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に相手コネクタと嵌合する嵌合部を備え背面からコンタクトが挿し込まれるハウジングと、該ハウジングに嵌合して該ハウジング内に挿し込まれたコンタクトを抜け止めするリテーナとを備えたコネクタであって、
前記リテーナが、該リテーナを前後方向に貫通した嵌合確認穴を有し、
前記コネクタを前方から見たときに、前記リテーナが前記ハウジングに仮止めされた半嵌合状態にあるときには前記嵌合確認穴の少なくとも一部の縁および該嵌合確認穴を貫通した先が視認され、該リテーナが該ハウジングに係止された完全嵌合状態においては該嵌合確認穴の縁の視認が不能であって該リテーナが視認され、該完全嵌合状態における該リテーナの視認される部分が該ハウジングと比べ明度が高いことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記リテーナが、前記ハウジングと比べ明度の高い材料で作製されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リテーナ付きのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタハウジングに嵌合して、そのハウジングに挿し込まれたコンタクトの抜け止めを担うリテーナを備えたコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このタイプのコネクタの場合、リテーナの嵌合状態として、半嵌合状態と完全嵌合状態が存在する。半嵌合状態は、ハウジングに差し込まれたリテーナがハウジングに仮止めされた状態である。また、完全嵌合状態は、リテーナがその半嵌合状態からさらに嵌合されて、ハウジングに挿し込まれたコンタクトを係止することでそのコンタクトが抜け止めされた状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-129523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リテーナが半嵌合状態にあるか完全嵌合状態にあるかは、ハウジングに対するリテーナの配置位置、例えばリテーナがハウジングから突出しているか否かにより確認される。しかしながら、半嵌合状態と完全嵌合との間の移動ストロークが短いと完全嵌合状態にあることを見誤るおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、リテーナが完全嵌合状態にあるか否かの視認性を向上させたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、
前側に相手コネクタと嵌合する嵌合部を備え背面からコンタクトが挿し込まれるハウジングと、そのハウジングに嵌合してそのハウジング内に挿し込まれたコンタクトを抜け止めするリテーナとを備えたコネクタであって、
上記リテーナが、そのリテーナを前後方向に貫通した嵌合確認穴を有し、
上記コネクタを前方から見たときに、リテーナが半嵌合状態にあるときには嵌合確認穴の少なくとも一部の縁および嵌合確認穴を貫通した先が視認され、リテーナがハウジングに係止された完全嵌合状態においては嵌合確認穴の縁の視認が不能であってリテーナが視認され、完全嵌合状態におけるリテーナの視認される部分が上記ハウジングと比べ明度が高いことを特徴とする。
【0008】
本発明のコネクタの場合、そのリテーナに上記の嵌合確認穴が設けられている。このため、その嵌合確認穴が視認不能であることをもって完全嵌合状態にあることが確認でき、完全嵌合状態にあるか否かを見誤るおそれが低減する。
【0010】
また、本発明のコネクタの場合、上記の嵌合確認穴が貫通孔であるため、嵌合確認穴と、リテーナの、嵌合確認穴の周囲との間に明暗の強いコントラストが得られ、嵌合確認穴の視認性が一層向上する。
【0011】
ここで、リテーナが、ハウジングと比べ明度の高い材料で作製されていることが好ましい。
【0012】
このように、リテーナとハウジングに明度の差をつけるとさらに強いコントラストが得られる。

【発明の効果】
【0013】
以上の本発明のコネクタの場合、リテーナの配置位置のみで完全嵌合状態にあるか否かを確認する構成と比べ、完全嵌合状態にあるか否かの視認性が向上し、見誤るおそれが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態としてのコネクタの外観斜視図である。
図2図1に示されたコネクタの分解斜視図である。
図3】リテーナの正面図である。
図4】リテーナが半嵌合状態にあるときの、図1に示すコネクタの正面図である。
図5】(A)図4に示した矢印A-Aに沿う断面図と、(B)図5(A)に示した円R1の部分の拡大図である。
図6】リテーナが完全嵌合状態にあるときの、図1に示すコネクタの正面図である。
図7】(A)図6に示した矢印B-Bに沿う断面図と、(B)図7(A)に示した円R2の部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態としてのコネクタの外観斜視図である。
【0017】
また、図2は、図1に示されたコネクタの分解斜視図である。
【0018】
このコネクタ10は、インナハウジング20とアウタハウジング30とを備えている。インナハウジング20には、その前側に、相手コネクタ(不図示)と嵌合する嵌合部21が設けられている。また、アウタハウジング30には、インナハウジング20を受け入れる空洞31が設けられている。この空洞31は、この空洞31内に受け入れたインナハウジング20の嵌合部21の周りに、さらに相手コネクタを受け入れるだけの間隙を形成する寸法を有する空間である。
【0019】
また、このコネクタ10は、図2に示すように、インナハウジング20およびアウタハウジング30に加え、さらにリテーナ40および上下一対のスライダ50備えている。
【0020】
インナハウジング20には、リテーナ40が嵌合されるリテーナ嵌合部22が設けられている。インナハウジング20には、その背面側から、先端にコンタクト60を備えたケーブル70(図5参照)の先端部が挿し込まれる。リテーナ40は、そのケーブル70の先端に備えられているコンタクト60に係止して、そのコンタクト60を抜け止めする部材である。このリテーナ40は、半嵌合状態と完全嵌合状態とを有する。半嵌合状態は、インナハウジング20に差し込まれてリテーナ40がインナハウジング20に仮止めされた状態である。また、完全嵌合状態は、その半嵌合状態からさらに差し込まれてリテーナ40がコンタクト60に係止した状態である。さらに、このインナハウジング20は、相手コネクタとの間を防水するシール部材23を備えている。このインナハウジング20は、本発明にいうハウジングの一例に相当する。
【0021】
アウタハウジング30には、上下一対のスライダ差込部32が設けられている。これら一対のスライダ差込部32の各々には、一対のスライダ50の各々が差し込まれる。このスライダ50は、このコネクタ10への相手コネクタの嵌合を助けるための部材である。スライダ50は、従来より知られている部材であり、ここでのテーマでもないため、スライダ50についてのこれ以上の説明は割愛する。
【0022】
図3は、リテーナの正面図である。
【0023】
このリテーナ40には、インナハウジング20内のコンタクト60用挿し込口25に連通するコンタクト挿込穴41が設けられている。また、このリテーナ40には、このリテーナ40が完全嵌合状態にあるか否かの視認用の嵌合確認穴42が設けられている。図3に付したハッチングは、嵌合確認穴42であることを明示したものである。この嵌合確認穴42は、コンタクト挿込穴41と同じく、リテーナ40の表裏(コネクタ10の前後方向)に貫通した貫通孔である。
【0024】
図4は、リテーナが半嵌合状態にあるときの、図1に示すコネクタの正面図である。
【0025】
また、図5は、(A)図4に示した矢印A-Aに沿う断面図と、(B)図5(A)に示した円R1の部分の拡大図である。
【0026】
図5には、インナハウジング20の、図1図2には現れていない構成要素であるシール部材24が現れている。このシール部材24は、インナハウジング20に挿し込まれたケーブル70の先端部の周囲に接してインナハウジング20とケーブル70との間を防水する部材である。なお、図5(A)には、コンタクト60用の挿し込み口25が3か所現れていて、それらの挿し込み口25の各々にコンタクト60が挿し込まれる。ただし、この図5(A)では、代表的に、中央の1つの挿し込み口25にのみ、コンタクト60が挿し込まれた状態が示されている。後に示す図7(A)についても同様である。
【0027】
図4図5では、リテーナ40が半嵌合状態にある。このため、リテーナ40は、前方から眺めたとき(図4の向きに眺めたとき)に、インナハウジング20から少し突出した状態にあることが視認される。ただし、その突出量は小さく、その突出のみでは半嵌合状態にあるか、後述する図6図7に示す完全嵌合状態にあるかを見誤るおそれがある。本実施形態のコネクタ10の場合、リテーナ40が半嵌合状態にあると、図5(B)に矢印Xで示す向きに嵌合確認穴42の一部が視認される。本実施形態のリテーナ40は、明るい色、例えば乳白色の樹脂で作製されている。そして、その嵌合確認穴42は、前後方向に貫通している。また、インナハウジング20は、暗い色、例えば黒色の樹脂で作製されている。このため、乳白色のリテーナ40に対し嵌合確認穴42が黒色に見えるという、強いコントラストが得られている。本実施形態の場合、この嵌合確認穴42が視認されることをもって、半嵌合状態にあること、すなわち、完全嵌合状態にはないことが、明確に確認される。
【0028】
ここで、図4図5は、リテーナ40が半嵌合状態にあるまま、インナハウジング20をアウタハウジング30内に配置した状態の図である。ただし、実際は、リテーナ40を完全嵌合状態にまで嵌合させて後のインナハウジング20がアウタハウジング30内に配置される。
【0029】
図6は、リテーナが完全嵌合状態にあるときの、図1に示すコネクタの正面図である。
【0030】
また、図7は、(A)図6に示した矢印B-Bに沿う断面図と、(B)図7(A)に示した円R2の部分の拡大図である。
【0031】
図6図7では、リテーナ40は完全嵌合状態にある。このため、リテーナ40は、前方から眺めたとき(図6の向きに眺めたとき)に、インナハウジング20からは突出せずにインナハウジング20に隠れた状態にある。また、リテーナ40が完全嵌合状態にあると、嵌合確認穴42もインナハウジング20に隠れて視認することができない状態となる。本実施形態の場合、このように、嵌合確認穴42が視認されないことをもって、完全嵌合状態にあること、すなわち、半嵌合状態にはないことが、明確に確認される。
【0032】
なお、本実施形態では、嵌合確認穴42は貫通孔である旨、説明したが、嵌合確認穴42は、その周囲との間で十分なコントラストをもって視認されればよく、必ずしも貫通孔である必要はない。
【0033】
また、インナハウジング20を明度の低い、例えば黒色等の暗い色の樹脂で作製すると、インナハウジング20よりも明度の高い色、例えば乳白色等の明るい色のリテーナ40とのさらに強いコントラストが得られる。
【符号の説明】
【0034】
10 コネクタ
20 インナハウジング
21 嵌合部
22 リテーナ嵌合部
23,24 シール部材
30 アウタハウジング
31 空洞
32 スライダ差込部
40 リテーナ
41 コンタクト挿込穴
42 嵌合確認穴
50 スライダ
60 コンタクト
70 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7