(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221202BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20221202BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20221202BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221202BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G06Q50/10
E05B49/00 J
B60R25/24
G06Q30/06 350
B65G61/00 540
(21)【出願番号】P 2018125849
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦行
(72)【発明者】
【氏名】今井 直子
(72)【発明者】
【氏名】新谷 智子
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-117076(JP,A)
【文献】特開2010-120568(JP,A)
【文献】特開2010-126949(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0189098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
E05B 49/00
B60R 25/24
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の使用者による車両の共用をサポートする車両制御装置であって、
前記複数の使用者のうちのいずれかである第1使用者による前記車両の使用予定期間を認識する使用予定期間認識部と、
前記使用予定期間認識部により認識された前記第1使用者による前記車両の使用予定期間中に、前記複数の使用者のうちの前記第1使用者以外のいずれかである第2使用者によりなされた前記車両の使用を開始するための操作である予定外使用開始操作を検知する予定外使用検知部と、
前記予定外使用検知部により前記予定外使用開始操作が検知されたときに、前記第2使用者による前記車両の使用を抑制するための予定外使用抑制処理を実行する予定外使用抑制部と、を備え、
前記第1使用者による前記車両の使用は、所定場所に駐車した前記車両の収容部に物品を収容する預入スペースとして使用であり、
前記予定外使用抑制部は、前記使用予定期間認識部により認識された前記第1使用者による前記車両の使用予定期間の残時間が、所定時間以下である状態で、前記予定外使用検知部により前記予定外使用開始操作が検知されたときに、前記予定外使用抑制処理として、前記車両の走行を禁止する処理を実行する
ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記予定外使用検知部は、前記車両の使用を開始するための操作として前記車両の開錠操作を検知し、
前記予定外使用抑制部は、前記予定外使用抑制処理として、第1報知又は前記車両の開錠を禁止する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記予定外使用検知部は、前記車両の使用を開始するための操作として前記車両の始動操作を検知し、
前記予定外使用抑制部は、前記予定外使用抑制処理として、第2報知又は前記車両の始動を禁止する処理を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記車両を操作するための電子鍵が使用されたことを認識する電子鍵使用認識部を備え、
前記予定外使用検知部は、前記電子鍵使用認識部により前記電子鍵の使用が認識された状態で、前記車両の使用を開始するための操作がなされたときに、前記電子鍵と対応付けられている使用者を確認することによって、該操作が前記第2使用者によるものであるか否かを判断することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両制御装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宅配業者が所持する通信端末からの要請に応じて、受取人の自宅等に駐車している車両の収容部の開錠と施錠を行うことにより、受取人の不在時に車両の収容部に配達物を収容して、配達を完了できるようにしたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたシステムのように、使用されていない車両の収容部を活用する形態として、車両の収容部を、貸しロッカーのように、物品の一時的な預入スペースとして貸出すことが考えられる。そして、このように車両の収容部を貸出している間に、車両の所有者がうっかり車両を使用して、車両を別の場所に移動させてしまうと、収容部に荷物を預けた利用者が荷物を受け取ることができなくなるという不都合がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、複数の使用者が、使用期間を分けて車両を使用する場合に、ある使用者の使用期間中に他の使用者が車両を使用することを防止することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両制御装置は、複数の使用者による車両の共用をサポートする車両制御装置であって、前記複数の使用者のうちのいずれかである第1使用者による前記車両の使用予定期間を認識する使用予定期間認識部と、前記使用予定期間認識部により認識された前記第1使用者による前記車両の使用予定期間中に、前記複数の使用者のうちの前記第1使用者以外のいずれかである第2使用者によりなされた前記車両の使用を開始するための操作である予定外使用開始操作を検知する予定外使用検知部と、前記予定外使用検知部により前記予定外使用開始操作が検知されたときに、前記第2使用者による前記車両の使用を抑制するための予定外使用抑制処理を実行する予定外使用抑制部と、を備え、前記第1使用者による前記車両の使用は、所定場所に駐車した前記車両の収容部に物品を収容する預入スペースとして使用であり、前記予定外使用抑制部は、前記使用予定期間認識部により認識された前記第1使用者による前記車両の使用予定期間の残時間が、所定時間以下である状態で、前記予定外使用検知部により前記予定外使用開始操作が検知されたときに、前記予定外使用抑制処理として、前記車両の走行を禁止する処理を実行することを特徴とする。
【0006】
また、前記予定外使用検知部は、前記車両の使用を開始するための操作として前記車両の開錠操作を検知し、前記予定外使用抑制部は、前記予定外使用抑制処理として、第1報知又は前記車両の開錠を禁止する処理を実行する構成としてもよい。
【0007】
また、前記予定外使用検知部は、前記車両の使用を開始するための操作として前記車両の始動操作を検知し、前記予定外使用抑制部は、前記予定外使用抑制処理として、第2報知又は前記車両の始動を禁止する処理を実行する構成としてもよい。
【0009】
また、前記車両を操作するための電子鍵が使用されたことを認識する電子鍵使用認識部を備え、前記予定外使用検知部は、前記電子鍵使用認識部により前記電子鍵の使用が認識された状態で、前記車両の使用を開始するための操作がなされたときに、前記電子鍵と対応付けられている使用者を確認することによって、該操作が前記第2使用者によるものであるか否かを判断する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車両制御装置によれば、第1使用者による車両の使用予定期間中に第2使用者が行った予定外使用開始操作が、予定外使用検知部により検知される。そして、予定外使用開始操作が検知されたときに、予定外使用抑制部が、第2使用者による車両の使用を抑制するための予定外使用抑制処理を実行する。これにより、第1使用者による車両の使用予定期間中に、第2使用者が車両を使用することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】車両の収容部を荷物の預入スペースとして貸出すサービスの説明図。
【
図5】車両の収容部の貸出サービスにおける利用者通信端末、車両、車両貸出サーバ200、及び提供者通信端末の処理のフローチャート。
【
図6】利用者の使用予定期間中における提供者による車両の使用を抑制するための処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.車両の収容部の貸出サービス]
図1は、本実施形態における車両の共用形態の説明図であり、車両1の所有者である提供者Psが、車両1のトランク11(車両1の収容部)を、荷物の預入スペースとして利用者Puに貸出す形態となっている。提供者Psは本発明の第1使用者に相当し、利用者Puは本発明の第2使用者に相当する。なお、車両1の乗員室についても、荷物の預入スペースとして貸出してもよい。
【0013】
トランクの貸出サービスは、車両貸出サーバ200により運用され、車両貸出サーバ200は、通信ネットワーク500を介して、提供者Psが使用する通信端末100(以下、提供者通信端末100と記す)、車両1、及び貸出サービスを利用する利用者Puが使用する通信端末90(以下、利用者通信端末90と記す)との間で通信を行う。
【0014】
また、車両1は、利用者通信端末90との間で直接通信を行って、電子鍵(仮想鍵)Vkによる車両1のトランク11の開錠及び施錠の指示を受け付ける。利用者通信端末90及び提供者通信端末100としては、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等が使用される。
【0015】
利用者Puは、利用者通信端末90により車両貸出サーバ200にアクセスして車両1が駐車している所定場所(駐車場所)を確認し、使用予定期間、収容条件(車両1に備えられた空調機器の作動による収容温度の設定等)を指定して車両1のトランク11の使用を予約する。そして、利用者Puは荷物(物品)95を持って車両1の駐車場所Spに行き、車両貸出サーバ200から利用者通信端末90に送信された電子鍵Vkによりトランク11を開錠及び施錠して、荷物95をトランク11内に収容する。その後、利用者Puは、予約した使用予定期間が経過するまでに、車両1の駐車場所Spに戻り、電子鍵Vkによりトランク11を開錠及び施錠して、荷物95を受け取る。
【0016】
車両貸出サーバ200には、所有する車両の預入スペースとしての貸出しを希望して、利用登録を行った各車両の提供者と預入スペースの情報等を記録した貸出登録テーブル201等が保存されている。車両貸出サーバ200は、提供者通信端末100から送信される提供者情報Psi(提供者Psのプロフィール、提供する車両1の情報等を含む)と、提供者Psの行動予定を示すスケジュール帳情報Schiを受信して、提供者Psの識別情報である提供者ID(identification)を発行し、貸出登録テーブル201に記録する。また、車両貸出サーバ200は、車両1のトランク11を開錠及び施錠するための電子鍵Vkを、提供者通信端末100から受信して、貸出登録テーブル201に記録する。
【0017】
図2に示したように、貸出登録テーブル201には、預入スペースの貸出登録を行った各提供者の提供者ID201aと対応付けて、提供者情報201b(提供者のプロフィール、提供者が使用する提供者通信端末の通信アドレス等)、車両情報201c(提供する車両の駐車位置、車種、登録番号、色、電子鍵等)、電子鍵使用条件201d(電子鍵による開錠が可能な扉の制限等)、貸出条件201e(収容可能な荷物のサイズ、空調機器等の車載機器の種類等)、スケジュール帳201f、貸出可能期間201g、使用予定期間・収容条件201h、及び利用者情報201i(利用者が使用する通信端末の通信用アドレス等)が記録されている。
【0018】
使用予定期間には、使用予定期間を予約した利用者の情報が対応付けられている。例えば、
図2において、提供者IDがPs-001である提供者について、使用予定期間UTA-001には、利用者情報PuIF-001が対応付けて記録されている。
【0019】
提供者通信端末100は、提供者通信端末100で使用されているスケジュール管理アプリにより管理されている提供者Puのスケジュール帳情報Schiを、車両貸出サーバ200に送信する。スケジュール管理アプリは、スケジュール帳に登録された提供者Psのスケジュールに、追加、修正、変更があったときに、更新したスケジュール帳情報Schiを車両貸出サーバ200に送信する。そして、車両貸出サーバ200は、更新されたスケジュール帳情報Schiを受信して、貸出登録テーブル201のスケジュール帳201fを更新する。なお、スケジュール管理アプリからではなく、提供者Psが提供者通信端末100により車両貸出サーバ200にアクセスして、自身のスケジュールを直接入力するようにしてもよい。
【0020】
ここで、
図3は、車両の貸出可能期間の設定例を示している。
図3は、3人の車両の提供者Ps1,Ps2,Ps3が、1台の車両を日常的に使用する場合を示しており、提供者Ps1,Ps2,Ps3は、例えば、同居している家族である。車両提供者Ps1のスケジュール帳には、8時から20時まで、電車で通勤して就労する行動計画が登録されている。また、車両提供者Ps2,Ps3のスケジュール帳には共に、11時から19時までバスで外出する行動計画が登録されている。
【0021】
そのため、車両貸出サーバ200は、3人の車両提供者Ps1,Ps2,Ps3のいずれもが、車両を使わずに外出して、車両が使用されることがない期間である11時から19時までを、貸出可能期間Traとして認識し、貸出登録テーブル201に記録する。
【0022】
[2.車両の構成]
次に、
図4を参照して、車両1の構成について説明する。車両1dは、車両1の作動を制御する車両制御装置10と、CAN(Controller Area Network)5を介して、車両制御装置10と通信可能に接続された空調機器12、扉ロック機構50、扉ロックセンサ51、イグニッションスイッチ52、表示器53、スピーカ54、ライト55、ナビゲーションユニット60、及び通信ユニット70とを備えている。
【0023】
空調機器12は、トランク11を含む車両1の車室の冷房、暖房、除湿の空調を行う。扉ロック機構50は、車両1の扉(トランク、ドア)を施錠及び開錠する。扉ロックセンサ51は、扉の施錠及び開錠状態を検出する。イグニッションスイッチ52は、車両1の始動及び停止操作を受け付ける。表示器53及びスピーカ54は、車両1のダッシュボード等に配置されて乗員に対する報知を行う。ライト55には、ヘッドライト、ハザードライト等が含まれる。
【0024】
ナビゲーションユニット60は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される信号を受信して、車両1の現在位置(緯度、経度)を検出するGPS受信機61と、メモリ(図示しない)に保存された地図データ62とを有している。ナビゲーションユニット60は、GPS受信機61により検出される車両1の現在位置と、地図データ62とに基づいて、目的地までの経路案内を行う。
【0025】
通信ユニット70は、近距離無線通信ユニット71と、TCU(Telematics Communication Unit)72とを有している。近距離無線通信ユニット71は、BR/EDR(Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate, Bluetoothは登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、NFC、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格により、利用者通信端末90及びスタッフ通信端末110との間で近距離無線通信を行う。TCU72は、車両貸出サーバ200との間で、通信ネットワーク500を介した通信を行う。
【0026】
車両制御装置10は、CPU20、メモリ40等により構成されたECU(Electronic Control Unit)である。CPU20は、メモリ40に保存された車両1の制御用プログラム41を実行することにより、複数の使用者による車両1の共用をサポートするために、使用予定期間認識部21、電子鍵使用認識部22、予定外使用検知部23、及び予定外使用抑制部24として機能する。
【0027】
メモリ40には、制御用プログラム41の他に、車両ID情報42と、電子鍵情報43とが保存されている。車両ID情報42には、通信ユニット70のTCU72により車両貸出サーバ200との間で通信を行う際に使用されるネットワーク通信用の車両ID(IdPアドレス等)と、近距離無線通信ユニット71により、利用者通信端末90及び提供者通信端末100との間で通信を行う際に使用される近距離無線通信用の車両ID(BR/EDR、BLE、NFCの認証コード、Wi-Fi接続用のMAC(Media Access Control)アドレス等)が含まれている。電子鍵情報43には、利用者情報Puiにより車両貸出サーバ200に送信されて、貸出登録テーブル201に記録された電子鍵Vkの情報が記録されている。
【0028】
使用予定期間認識部21は、車両貸出サーバ200の貸出登録テーブル201に記録された車両1のトランク11の使用予定期間を参照して、利用者Puによるトランク11の使用予定期間を認識する。電子鍵使用認識部22は、利用者Puがトランク11の開錠及び施錠を行ったことを、貸出登録テーブル201において、電子鍵Vkと対応付けられて記録された利用者情報を参照して認識する。
【0029】
予定外使用検知部23は、利用者Puによるトランク11の使用予定期間中に、提供者Psが車両1の使用を開始するために行った操作である予定外使用開始操作を検知する。本実施形態では、予定外使用開始操作として、車両1の開錠操作及び車両1の始動操作を検知する。
【0030】
予定外使用抑制部24は、予定外使用検知部23により、予定外使用開始操作が検知されたときに、提供者Psによる車両1の使用を抑制するための予定外使用抑制処理を実行する。後述するように、予定外使用抑制部24は、提供者Psによる車両1の使用を禁止するための処置として、トランク11が貸出中であることの報知と、車両1の開錠及び始動を禁止する処理とを実行する。
【0031】
[3.荷物の預入と受け取りの処理]
次に、
図5に示したフローチャートに従って、
図1に示したように、車両1のトランク11の使用を予約した利用者Puが、トランク11に荷物95を収容する際、及びトランク11から荷物95を取り出す際に、利用者通信端末90、車両1、車両貸出サーバ200、及び提供者通信端末100により実行される処理について説明する。
【0032】
利用者通信端末90は、ステップS1で、利用者Puによる開錠操作に応じて、トランク11の開錠を要求する車両開錠要求情報Curk_Rを、車両1に送信する。車両1の車両制御装置10は、ステップS10で車両開錠要求情報Curk_Rを受信すると、扉ロック機構50を作動させてトランク11を開錠する。そして、続くステップS11で、車両制御装置10は、トランク11が開錠されたことを通知する車両開錠情報Curkを、車両貸出サーバ200に送信する。
【0033】
車両貸出サーバ200は、ステップS20で、車両開錠情報Curkの受信によりトランク11が開錠されたことを認識し、車両開錠情報Curkを提供者通信端末100に送信する。提供者通信端末100は、ステップS30で車両開錠情報Curkを受信すると、トランク11が開錠されて、トランク11の使用が開始されたことを、表示部(図示しない)への表示、或いはスピーカ(図示しない)からの音声ガイダンスの出力等によって報知する。この報知を確認することにより、提供者Psは、利用者Puによるトランク11の使用が開始されたことを認識することができる。
【0034】
利用者通信端末90は、トランク11に荷物を収容した利用者Puにより、トランク11の施錠操作がなされたときに、ステップS2で、トランク11の施錠を要求する車両施錠要求情報Crk_Rを、車両1に送信する。車両1の車両制御装置10は、ステップS12で車両施錠要求情報Crk_Rを受信すると、扉ロック機構50を作動させてトランク11を施錠する。続くステップS13で、車両制御装置10は、扉ロックセンサ51によりトランク11の施錠が検出されていることを確認して、トランク11が施錠されたことを通知する車両施錠情報Crkを車両貸出サーバ200に送信する。
【0035】
車両貸出サーバ200は、ステップS21で、車両施錠情報Crkの受信によりトランク11が施錠されたことを認識し、車両施錠情報Crkを提供者通信端末100に送信する。提供者通信端末100は、ステップS31で車両施錠情報Crkを受信すると、トランク11が施錠されて、トランク11への荷物95の収容が完了したことを、表示部への表示、或いはスピーカからの音声ガイダンスの出力等によって報知する。この報知を確認することにより、提供者Psは、利用者Puによるトランク11への荷物95の収容が完了したことを認識することができる。
【0036】
次に、荷物95を受け取るために車両1の駐車場所Spに戻った利用者Puによるトランク11の開錠操作に応じて、利用者通信端末90は、ステップS3で、トランク11の開錠を要求する車両開錠要求情報Curk_Rを車両1に送信する。車両1の車両制御装置10は、ステップS14で車両開錠要求情報Curk_Rを受信すると、扉ロック機構50を作動させてトランク11を開錠する。そして、続くステップS15で、車両制御装置10は、トランク11が開錠されたことを通知する車両開錠情報Curkを、車両貸出サーバ200に送信する。
【0037】
車両貸出サーバ200は、ステップS22で、車両開錠情報Curkの受信によりトランク11が開錠されたことを認識し、車両開錠情報Curkを提供者通信端末100に送信する。提供者通信端末100は、ステップS32で車両開錠情報Curkを受信すると、トランク11が開錠されて、トランク11からの荷物95の取り出しが開始されたことを、表示部への表示、或いはスピーカからの音声ガイダンスの出力等によって報知する。この報知を確認することにより、提供者Psは、利用者Puによるトランク11からの荷物95の取り出しが開始されたことを認識することができる。
【0038】
利用者通信端末90は、トランク11から荷物95を取り出した利用者Puにより、トランク11の施錠操作がなされたときに、ステップS4で、トランク11の施錠を要求する車両施錠要求情報Crk_Rを、車両1に送信する。車両1の車両制御装置10は、ステップS16で車両施錠要求情報Crk_Rを受信すると、扉ロック機構50を作動させてトランク11を施錠する。続くステップS17で、車両制御装置10は、扉ロックセンサ51によりトランク11の施錠が検出されていることを確認して、トランク11が施錠されたことを通知する車両施錠情報Crkを車両貸出サーバ200に送信する。
【0039】
車両貸出サーバ200は、ステップS23で、車両施錠情報Crkの受信によりトランク11が施錠されたことを認識し、車両施錠情報Crkを提供者通信端末100に送信する。提供者通信端末100は、ステップS33で車両施錠情報Crkを受信すると、トランク11が施錠されて、トランク11から荷物95が取り出されてトランク11の使用が完了したことを、表示部への表示、或いはスピーカからの音声ガイダンスの出力等によって報知する。この報知を確認することにより、提供者Psは、利用者Puによるトランク11の使用が完了したことを認識することができる。
【0040】
利用者通信端末90は、ステップS5で、利用者Puによる電子鍵Vkの返却操作に応じて、利用者通信端末90のメモリに保存されていた電子鍵Vkを削除し、電子鍵Vkを削除したことを通知する電子鍵返却情報Vkrtを、車両貸出サーバ200に送信する。車両貸出サーバ200は、電子鍵返却情報Vkrtの受信により、利用者通信端末90から電子鍵Vkが削除されたことを認識し、トランク11の返却が完了したことを通知するトランク返却情報Trtfを、利用者通信端末90及び提供者通信端末100に送信する。
【0041】
提供者通信端末100は、ステップS34で、トランク返却情報Trtfの受信によりトランク11の返却が完了したことを認識すると、トランク11の返却が完了したことを、表示部への表示、或いはスピーカからの音声ガイダンスの出力等によって報知する。この報知を確認することにより、提供者Psは、トランク11の返却が完了したことを認識することができる。
【0042】
利用者通信端末90は、ステップS6で、トランク返却情報Trtfの受信によりトランクの返却が完了したことを認識すると、トランク11の返却が完了したことを、表示部への表示、或いはスピーカからの音声ガイダンスの出力等によって報知する。この報知を認識することにより、利用者Puは、トランク11が返却できたことを認識することができる。
【0043】
[4.貸出期間中の誤使用を禁止するための処理]
次に、図6に示したフローチャートに従って、利用者Puによる車両1のトランク11の使用予定期間中に、提供者Psが誤って車両1を使用することを禁止するための処理について説明する。図6に示したフローチャートは、予定外使用検知部23及び予定外使用抑制部24により実行される。
【0044】
予定外使用検知部23は、ステップS50で、使用予定期間認識部21により、現時点が利用者Puが予約を行った使用予定期間中であるか否かを判断する。そして、現時点が使用予定期間中であるときに、使用予定期間認識部21は、ステップS51に処理を進める。
【0045】
ステップS51で、予定外使用検知部23は、提供者Psが車両1のトランク11の開錠操作を行ったか否かを判断する。ここで、予定外使用検知部23は、提供者Psが所持するリモコンキーによりトランク11の開錠操作がなされたとき、又は電子鍵使用認識部22により、提供者PsのIDにより認証された電子鍵によってトランク11の開錠操作がなされたと認識されたときに、提供者Psによってトランク11の開錠操作がなされたと検知する。
【0046】
そして、予定外使用検知部23は、提供者Psが車両1のトランク11の開錠操作を行ったことを検知したときはステップS60に処理を進め、提供者Psがトランク11の開錠操作を行ったことを検知しなかったときにはステップS52に処理を進める。
【0047】
ステップS60~S61は、予定外使用抑制部24による処理である。予定外使用抑制部24は、ステップS60で、トランク11が貸出中であることを、スピーカ54からの音声ガイダンスの出力、ライト55の点滅等によって報知する。また、続くステップS61で、トランク11の開錠を禁止する。
【0048】
ステップ60の報知は、本発明の第1報知に相当する。ステップ60の報知により、提供者Psにトランク11が貸出中であることを認識させることができる。また、ステップS61の処理によってトランク11の開錠を禁止することにより、利用者Puによるトランク11の使用予定期間中に、提供者Psが誤って車両1を使用することを防止することができる。
【0049】
ステップS52で、予定外使用検知部23は、提供者Psが車両1の始動操作を行ったか否かを判断する。ここで、予定外使用検知部23は、提供者Psが所持するリモコンキーにより車両1の始動操作がなされたとき、又は提供者PsのIDにより認証された電子鍵によって車両1の始動操作がなされたときに、提供者Psによって車両1の始動操作がなされことを検知する。
【0050】
そして、予定外使用検知部23は、提供者Psによる車両1の始動操作を検知したときはステップS70処理を進め、提供者Psによる車両1の始動操作を検知しなかったときにはステップS50に処理を進める。
【0051】
ステップS70~S71は、予定外使用抑制部24による処理である。予定外使用抑制部24は、ステップS70で、トランク11が貸出中で、車両1の移動が不可であることを、スピーカ54からの音声ガイダンスの出力、ライト55の点滅等によって報知する。また、続くステップS71で、予定外使用抑制部24は、車両1の始動を禁止する。
【0052】
ステップS70の報知は、本発明の第2報知に相当する。ステップ70の報知により、提供者Psにトランク11が貸出中であることを認識させることができる。また、ステップS71の処理により、車両1の始動を禁止することにより、利用者Puによるトランク11の使用予定期間中に提供者Psが誤って車両1を移動させてしまい、利用者Puが荷物95を受け取ることができなくなることを防止することができる。
【0053】
[5.他の実施形態]
上記実施形態では、車両1のトランク11を荷物の預入スペースとして貸出す形態により、提供者Psと利用者Puが、使用期間を分けて車両1を共用した。車両の共用の他の形態として、預入スペースとしてではなく車両自体を貸し出す形態や、カーシェアリングにより複数の利用者が車両を使用する形態に対しても、本発明の適用が可能である。この場合は、使用予定期間になって車両を使用している或いは使用の準備をしている使用者が本発明の第1使用者となり、車両を共用する第1使用者以外の使用者が本発明の第2使用者となる。
【0054】
上記実施形態では、予定外使用抑制部24は、予定外使用抑制処理として、
図6のステップS60,S65,S70,S71により、トランクが貸出中であることの報知、トランクの開錠禁止、トランクが貸出中であって車両の移動が不可であることの報知、及び車両の始動禁止を行った。他の構成として、これらの予定外使用抑制処理を一部のみを行う構成としてもよい。
【0055】
また、提供者Psが使用する車両1のリモコンキーに表示部或いはスピーカが備えられている場合には、リモコンキーの表示部への表示或いはリモコンキーのスピーカからの音声出力等によって、提供者Psによる車両1の使用を抑制するための報知を行ってもよい。
【0056】
トランク11の使用予定期間において、使用予定期間の終了までの残時間が短くなると、利用者Puが荷物95を取りに来る可能性が高くなる。そこで、予定外使用抑制部24による予定外使用抑制処理として、使用予定期間の終了までの残時間が所定時間(例えば2時間)以内であるときに、車両1の走行を禁止する処理を行う構成としてもよい。この構成によれば、利用者Puが荷物95を取りに来たときに、車両1が移動してしまっていて、荷物95を受け取ることができない状況となることを防止することができる。
【0057】
なお、図
4は、本願発明の理解を容易にするために、車両制御装置10の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両制御装置10の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、
図5、6に示した各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…車両、5…CAN、10…車両制御装置、20…CPU、21…使用予定期間認識部、22…電子鍵使用認識部、23…予定外使用検知部、24…予定外使用抑制部、40…メモリ、41…制御用プログラム、42…車両ID情報、43…電子鍵情報、50…扉ロック機構、51…扉ロックセンサ、52…イグニッションスイッチ、53…表示器、54…スピーカ、55…ライト、60…ナビゲーションユニット、70…通信ユニット、90…利用者通信端末、100…提供者通信端末、200…車両貸出サーバ、500…通信ネットワーク、Pu…利用者(第1使用者)、Ps…提供者(第2使用者)。