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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/136 20220101AFI20221202BHJP
   F24H 15/258 20220101ALI20221202BHJP
【FI】
F24H15/136
F24H15/258
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018130402
(22)【出願日】2018-07-10
(65)【公開番号】P2020008223
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵祐
(72)【発明者】
【氏名】弓削 力也
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-224809(JP,A)
【文献】特開2013-224790(JP,A)
【文献】特開平10-160176(JP,A)
【文献】特開平06-018091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/136
F24H 15/258
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱ユニットと、前記貯湯ユニットから供給される湯水を加熱する補助熱源ユニットとを備える給湯システムであって、
前記貯湯ユニットは、
前記補助熱源ユニットとの間で通信を行うためのタンク通信回路と、
前記貯湯ユニットの周囲の外気温度を検出するタンク外気温度センサと、
前記タンク外気温度センサの検出温度を示すタンク外気温度データを前記補助熱源ユニットに送信するタンク外気温度送信部と、を備え、
前記補助熱源ユニットは、
バーナと、
前記バーナに燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、
前記貯湯ユニットとの間で通信を行うための補助熱源通信回路と、
前記補助熱源ユニットの周囲の外気温度を検出する補助熱源外気温度センサと、
前記貯湯ユニットから前記タンク外気温度データを受信したとき、前記燃焼ファンの回転中においては、前記タンク外気温度データが示す温度と前記補助熱源外気温度センサの検出温度との少なくとも何れか一方が予め定められた凍結判定温度よりも低い場合に、前記補助熱源ユニットの凍結防止運転を実行し、前記燃焼ファンの回転停止中においては、前記補助熱源外気温度センサの検出温度が前記凍結判定温度よりも低い場合に、前記補助熱源ユニットの凍結防止運転を実行する凍結防止制御部と、を備えたことを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱した湯水を貯湯タンクに貯留し、貯湯タンクから供給する湯水を補助熱源ユニットにより加熱可能とした給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、貯湯タンク内の湯水をヒートポンプにより加熱するヒートポンプユニットと、貯湯ユニットから供給される湯水をバーナの燃焼により加熱する補助熱源ユニットとを備える給湯システムにおいては、補助熱源ユニットにより配管の凍結防止を行うものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この給湯システムの補助熱源ユニットは、凍結防止制御部を備えている。凍結防止制御部は、貯湯ユニットの周囲の外気温度又は補助熱源ユニットの周囲の外気温度が予め設定された凍結判定温度よりも低いとき、補助熱源ユニットの凍結防止運転を実行する。
【0004】
補助熱源ユニットの凍結防止運転は、補助熱源ユニットが備える熱交換器又はその付近の通水路に設けた凍結防止用の電気ヒータへ通電することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-224809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、補助熱源ユニットは貯湯ユニットに比べてその構成部品が多く、補助熱源ユニットに設けた外気温度センサは配管の放熱等の影響を受けやすい。このため、補助熱源ユニットに設けた外気温度センサの検出温度は、実際の外気温度よりも高い。
【0007】
そこで、凍結防止制御部における凍結判定温度を、配管の放熱等の影響を考慮して比較的高く設定しておくことが考えられる。
【0008】
しかし、貯湯ユニットに設けた外気温度センサは、補助熱源ユニットに比して構成部品が比較的少ないため、配管の放熱等の影響を受け難く、貯湯ユニットに設けた外気温度センサの検出温度は、実際の外気温度との差は小さい。
【0009】
このため、凍結防止制御部における凍結判定温度を、配管の放熱等の影響を考慮した高い温度に設定しておくと、貯湯ユニットの外気温度センサによる検出温度が凍結判定温度よりも低くなる回数が多くなるため、不要な補助熱源ユニットの凍結防止運転が行われるおそれがある。補助熱源ユニットの凍結防止運転が不必要に行われると、構成部品の熱劣化を招くだけでなく、凍結防止用の電気ヒータへの通電回数や通電時間が増加してランニングコストが高くなる不都合がある。
【0010】
上記背景に鑑み、本発明は、補助熱源ユニットの不必要な凍結防止運転を防止することにより、構成部品の熱劣化やランニングコスト高となるのを防止することができる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱ユニットと、前記貯湯ユニットから供給される湯水を加熱する補助熱源ユニットとを備える給湯システムであって、前記貯湯ユニットは、前記補助熱源ユニットとの間で通信を行うためのタンク通信回路と、前記貯湯ユニットの周囲の外気温度を検出するタンク外気温度センサと、前記タンク外気温度センサの検出温度を示すタンク外気温度データを前記補助熱源ユニットに送信するタンク外気温度送信部と、を備え、前記補助熱源ユニットは、バーナと、前記バーナに燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、前記貯湯ユニットとの間で通信を行うための補助熱源通信回路と、前記補助熱源ユニットの周囲の外気温度を検出する補助熱源外気温度センサと、前記貯湯ユニットから前記タンク外気温度データを受信したとき、前記燃焼ファンの回転中においては、前記タンク外気温度データが示す温度と前記補助熱源外気温度センサの検出温度との少なくとも何れか一方が予め定められた凍結判定温度よりも低い場合に、前記補助熱源ユニットの凍結防止運転を実行し、前記燃焼ファンの回転停止中においては、前記補助熱源外気温度センサの検出温度が前記凍結判定温度よりも低い場合に、前記補助熱源ユニットの凍結防止運転を実行する凍結防止制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明者は、同じ外気温であっても、燃焼ファンの回転の有無によって 補助熱源外気温度センサの検出温度が異なることを知見した。
【0013】
即ち、補助熱源ユニットの燃焼ファンが回転していると、補助熱源外気温度センサの周囲に外気が滞りなく供給されることにより、補助熱源外気温度センサは、配管の放熱等の影響を受け難くなる。このため、補助熱源外気温度センサの検出温度は、外気温と同等或いは近似する可能性が高くなり、場合によっては、タンク外気温度データが示す温度よりも低くなる。
【0014】
一方、補助熱源ユニットの燃焼ファンの回転が停止しているときには、補助熱源外気温度センサの周囲への外気の供給が滞るため、配管の放熱等の影響を受けて補助熱源ユニット内部の温度は外気温よりも高くなる。
【0015】
上記発明者の知見に基づき、本発明における凍結防止制御部は、補助熱源ユニットの燃焼ファンが回転しているときには、タンク外気温度データが示す温度が凍結判定温度よりも低い場合、又は、補助熱源外気温度センサの検出温度が凍結判定温度よりも低い場合に補助熱源ユニットの凍結防止運転を実行する。また、本発明における凍結防止制御部は、補助熱源ユニットの燃焼ファンの回転が停止しているときには、補助熱源外気温度センサの検出温度が凍結判定温度よりも低い場合に補助熱源ユニットの凍結防止運転を実行する。
【0016】
このように、補助熱源ユニットの燃焼ファンの回転が停止しているときには、タンク外気温度データが示す温度を凍結判定温度との比較対象とせず、補助熱源外気温度センサの検出温度のみを凍結判定温度との比較対象とする。これにより、補助熱源ユニットの燃焼ファンの回転が停止しているときに、不必要な凍結防止運転が実行されないので、構成部品の熱劣化やランニングコスト高となるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】給湯システムの構成図。
図2】貯湯ユニット及び補助熱源ユニットの三面図。
図3】給湯システムの制御ブロック図。
図4】凍結防止制御部の制御フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。本発明の給湯システムの一実施形態である貯湯式給湯装置1は、図1に示すように、貯湯ユニット10と、ヒートポンプユニット50(本発明の加熱ユニットに相当する)と、補助熱源ユニット80と、貯湯式給湯装置1を遠隔操作するためのリモコン140とを備えて構成されている。
【0019】
貯湯ユニット10は、貯湯タンク11、給水管12、出湯管13等を備えている。貯湯タンク11は内部に湯水を保温して貯め、高さ方向に略等間隔で配置されたタンク温度センサ14,15,16,17と、貯湯タンク11の上部に配置されて貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯水の温度を検出するタンク出湯温度センサ26とが設けられている。貯湯タンク11の底部には、作業者の手動操作により開弁される排水弁18が設けられている。
【0020】
給水管12は、一端が給水口30を介して図示しない水道に接続され、他端が貯湯タンク11の下部に接続されて、貯湯タンク11内の下部に水を供給する。給水管12には、貯湯タンク11の内圧が過大になることを防止するための減圧弁19と、給水管12から貯湯タンク11への方向のみの通水を可能にして、貯湯タンク11から給水管12側への湯水の流出を阻止する第1湯側逆止弁20が設けられている。
【0021】
給水管12から分岐した給水バイパス管34は、給湯混合弁21を介して接続箇所Xで出湯管13に連通しており、給湯混合弁21により、貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯水と給水バイパス管34から出湯管13に供給される水との混合比が変更される。
【0022】
給水バイパス管34には、給水バイパス管34に供給される水の温度を検出する給水温度センサ22と、給水バイパス管34を流通する水の流量を検出する水側流量センサ23と、給水バイパス管34から出湯管13への方向のみの通水を可能にして、出湯管13から給水バイパス管34側への湯水の流出を阻止する水側逆止弁24とが設けられている。
【0023】
出湯管13は、一端が給湯口31に接続され、他端が貯湯タンク11の上部に接続されている。貯湯タンク11の上部に貯められた湯水は、出湯管13から給湯口31を介して図示しない給湯栓(台所、洗面所、浴室のカランやシャワー等)に供給される。出湯管13には、貯湯タンク11から出湯管13への方向のみの通水を可能にして、出湯管13から貯湯タンク11側への湯水の流入を阻止する第2湯側逆止弁25と、貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯水の流量を検出する湯側流量センサ27とが設けられている。
【0024】
補助熱源ユニット80は、出湯管13の給水バイパス管34との接続箇所Xよりも下流側の途中に設けられ、貯湯ユニット10には、補助熱源ユニット80をバイパスして、補助熱源ユニット80の下流側と上流側の出湯管13を連通する出湯バイパス管33と、出湯バイパス管33を開閉する出湯バイパス弁29とが設けられている。
【0025】
出湯管13の出湯バイパス管33との分岐箇所Yと給湯混合弁21との間に、給湯混合弁21を介して出湯管13に供給される湯水の温度を検出する混合温度センサ28が設けられ、出湯管13の出湯バイパス管33との合流箇所Zと給湯口31との間に、給湯口31から出湯される湯水の温度を検出する給湯温度センサ32が設けられている。また、貯湯ユニット10の周囲温度(外気温度)を検出するための第1タンク外気温度センサ35(本発明のタンク外気温度センサに相当する)、及び第2タンク外気温度センサ36(本発明のタンク外気温度センサに相当する)が設けられている。
【0026】
さらに、貯湯ユニット10は、貯湯コントローラ100を備えている。貯湯コントローラ100は、貯湯ユニット10の全体的な作動を制御するものであり、後述する沸かし上げ指示送信部102及びタンク外気温度送信部103としての機能を有する。
【0027】
貯湯ユニット10に備えられた各センサの検出信号は、貯湯コントローラ100に入力される。また、貯湯コントローラ100から出力される制御信号によって、給湯混合弁21と出湯バイパス弁29の作動が制御される。
【0028】
次に、ヒートポンプユニット50は、貯湯タンク11内の湯水をタンク循環路41を介して循環させて加熱するものであり、屋外に設置されている。ヒートポンプユニット50は、ヒートポンプ循環路52により接続された蒸発器53、圧縮機54、ヒートポンプ熱交換器55(凝縮機)、及び膨張弁56により構成されたヒートポンプ51を有している。
【0029】
蒸発器53は、ヒートポンプファン60の回転により供給される空気(外気)とヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体(ハイドロフルオロカーボン(HFC)等の代替フロン、二酸化炭素等)との間で熱交換を行う。圧縮機54は、蒸発器53から吐出された熱媒体を圧縮して高圧・高温とし、ヒートポンプ熱交換器55に送出する。膨張弁56は、圧縮機54で加圧された熱媒体の圧力を開放する。
【0030】
除霜弁61は膨張弁56をバイパスして設けられており、圧縮機54から送出される熱媒体により蒸発器53を除霜する。ヒートポンプ循環路52の膨張弁56の上流側及び下流側、圧縮機54の上流側及び下流側には、ヒートポンプ循環路52内を流通する熱媒体の温度を検出する熱媒体温度センサ62,63,64,65が、それぞれ設けられている。また、蒸発器53には、蒸発器53に吸入される空気の温度を検出するヒートポンプ外気温度センサ67が設けられている。
【0031】
ヒートポンプ熱交換器55はタンク循環路41と接続され、圧縮機54により高圧・高温とされた熱媒体と、タンク循環路41内を流通する湯水との熱交換により、タンク循環路41内を流通する湯水を加熱する。タンク循環路41には、貯湯タンク11内の湯水をタンク循環路41を介して循環させるためのタンク循環ポンプ66が設けられている。
【0032】
貯湯タンク11内の下部に貯まった湯水は、タンク循環ポンプ66によりタンク循環路41に導かれ、ヒートポンプ熱交換器55で後述する沸かし上げ温度まで加熱されて貯湯タンク11の上部に戻される。これにより、沸かし上げ温度の湯水が、貯湯タンク11の上部から順次積層して貯められる。
【0033】
なお、タンク循環路41のヒートポンプ熱交換器55の上流側及び下流側には、タンク循環路41内を流通する湯水の温度を検出する湯温度センサ68,69が設けられている。また、ヒートポンプ熱交換器55には、その内部の雰囲気温度を検出する雰囲気温度センサ57が設けられている。
【0034】
さらに、ヒートポンプユニット50は、ヒートポンプユニット50の全体的な作動を制御するヒートポンプコントローラ120を備えている。ヒートポンプユニット50に備えられた各センサの検出信号は、ヒートポンプコントローラ120に入力される。また、ヒートポンプコントローラ120から出力される制御信号によって、圧縮機54、タンク循環ポンプ66、及びヒートポンプファン60の作動が制御される。
【0035】
次に、補助熱源ユニット80は、出湯管13を流通する湯水を加熱するものであり、缶体87内に収容されたガスバーナ81(本発明のバーナに相当する)及びガスバーナ81により加熱される給湯熱交換器82等を備えている。ガスバーナ81には、図示しないガス供給管から燃料ガスが供給されると共に、燃焼ファン83により燃焼用空気が供給される。
【0036】
給湯熱交換器82は、出湯管13の途中に接続されており、ガスバーナ81の燃焼熱によって、内部を流通する湯水を加熱する。出湯管13には、上流側から順に、水量サーボ弁93と水量センサ88とが設けられている。
【0037】
給湯熱交換器82の上流側と下流側は、熱源バイパス管89により連通されており、熱源バイパス管89には、熱源バイパス管89の開度を調節するための熱源バイパス弁90が設けられている。また、給湯熱交換器82には、凍結防止用の電気ヒータ94が設けられている。
【0038】
出湯管13の給湯熱交換器82の出口付近には熱交出湯温度センサ91が設けられ、出湯管13の熱源バイパス管89との接続箇所の下流側には熱源出湯温度センサ92が設けられている。また、補助熱源ユニット80の周囲温度(外気温度)を検出するための補助熱源外気温度センサ95が設けられている。
【0039】
さらに、補助熱源ユニット80は、補助熱源コントローラ130を備えている。補助熱源コントローラ130は、補助熱源ユニット80の全体的な作動を制御するものであり、後述する凍結防止制御部132及び補助熱源外気温度送信部133としての機能を有する。
【0040】
補助熱源コントローラ130は、通信ケーブル152によりリモコン140と接続されている。リモコン140は、貯湯式給湯装置1の運転状況や運転条件の設定等を表示するための表示器141と、各種スイッチが設けられたスイッチ部142とを備えている。貯湯式給湯装置1の使用者は、リモコン140のスイッチ部142を操作することによって、給湯口31からの給湯温度(目標給湯温度)の設定等を行う。
【0041】
貯湯コントローラ100とヒートポンプコントローラ120とは、通信ケーブル151により互いに接続されていることにより相互の通信が可能となっている。また、貯湯コントローラ100と補助熱源コントローラ130とは、通信ケーブル150により互いに接続されて相互の通信が可能となっている。
【0042】
次に、図2A及び図2Bに示すように、貯湯ユニット10と補助熱源ユニット80とは、筐体200内に収容されて設置されている。補助熱源ユニット80は、図示しない支持台に載置されており、筐体200の前面は前面下部カバー201により閉塞されている。また、筐体200の側面は、右上部カバー210及び右下部カバー211と、左上部カバー212及び左下部カバー213とにより閉塞されている。また、図2Cに示すように、筐体200の背面は、背面上部カバー220及び背面下部カバー221により閉塞されている。
【0043】
補助熱源ユニット80の補助熱源外気温度センサ95は、補助熱源ユニット80の底部に設けられおり、補助熱源外気温度センサ95の四方は、前面下部カバー201、右下部カバー211、左下部カバー213、及び背面下部カバー221により囲まれている。
【0044】
一方、第1タンク外気温度センサ35は、右下部カバー211の外側に露出して設けられており、第2タンク外気温度センサ36は、筐体200の底面の外側に露出して設けられている。
【0045】
このように、補助熱源外気温度センサ95は、配管の放熱等に伴う筐体200内の熱の滞留の影響により、外気温度よりも高めの検出温度を出力する場合が多い。それに対して、第1タンク外気温度センサ35と第2タンク外気温度センサ36は、筐体200の外側に露出して設けられているため、外気温度と同等か近似した検出温度を出力する。
【0046】
次に、図3を参照して、貯湯ユニット10と、ヒートポンプユニット50と、補助熱源ユニット80との協働動作について説明する。
【0047】
貯湯コントローラ100は、タンク通信回路101を介してヒートポンプコントローラ120及び補助熱源コントローラ130との間で通信を行う。貯湯コントローラ100は、給湯口31を介して接続された給湯栓(図示しない)が開栓されて、給水管12に最低作動流量(例えば、2.4リットル/min)以上の水が供給されていることを、湯側流量センサ27の検出流量と水側流量センサ23の検出流量との合計流量(総検出流量)により検出しているときに、給湯口31から目標給湯温度の湯を出湯する給湯運転を実行する。
【0048】
また、貯湯コントローラ100は、貯湯タンク11の湯切れの有無を監視する。そして、貯湯タンク11の湯切れが生じていないときは、水量サーボ弁93を閉弁すると共に、出湯バイパス弁29を開弁する。
【0049】
そして、貯湯コントローラ100は、タンク出湯温度センサ26の検出温度Th(貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯の温度)と、湯側流量センサ27の検出流量Fh(貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯の流量)と、給水温度センサ22の検出温度Tw(給水バイパス管34から出湯管13に供給される水の温度)と、水側流量センサ23の検出流量Fw(給水バイパス管34から出湯管13に供給される水の流量)とに基づいて、出湯管13と給水バイパス管34との接続箇所Xから出湯管13に目標給湯温度の湯が供給されるように、給湯混合弁21により、貯湯タンク11から出湯管13に供給される湯と給水バイパス管34から出湯管13に供給される水との混合比を設定する「混合温調制御」を実行する。
【0050】
一方、貯湯タンク11の湯切れが生じているときには、貯湯コントローラ100は、出湯バイパス弁29を閉弁して水量サーボ弁93を開弁すると共に、給湯混合弁21を、給水バイパス管34からの水が出湯管13に供給される設定状態にする。
【0051】
そして、貯湯コントローラ100は、補助熱源ユニット80の作動を許可して、熱源出湯温度センサ92の検出温度が目標給湯温度となるように、給水温度センサ22の検出温度Tw(給水バイパス管34から出湯管13に供給される水の温度)と、水量センサ88の検出流量Fw(給水バイパス管34から出湯管13に供給される水の流量)とに基づいて、ガスバーナ81の燃焼量と熱源バイパス弁90の開度と水量サーボ弁93の開度を調節する「加熱温調制御」を実行する。
【0052】
貯湯コントローラ100の沸かし上げ指示送信部102は、貯湯タンク11の湯切れを検知したときに、沸かし上げ指示送信部102により、ヒートポンプコントローラ120に対して、貯湯タンク11内の湯水を所定の沸かし上げ温度まで加熱する沸かし上げ運転の実行を指示する沸かし上げ指示データを送信する。
【0053】
なお、貯湯コントローラ100は、湯切れの検知を、(1)補助熱源ユニット80のガスバーナ81が燃焼したこと、(2)貯湯タンク11のタンク温度センサ14,15,16,17の検出温度が目標給湯温度よりも低くなったこと、(3)タンク出湯温度センサ26による貯湯タンク11からの湯水の検出温度が目標給湯温度よりも低くなったこと、等を判断することによって行う。
【0054】
貯湯コントローラ100は、沸かし上げ指示データにより、沸かし上げ温度を目標給湯温度よりも高い温度(例えば、40℃,45℃,50℃,55℃に区分される)に指示する。例えば、リモコン140により目標給湯温度が40℃に設定されているときには、貯湯コントローラ100は、沸かし上げ温度を45℃に設定する。
【0055】
また、貯湯コントローラ100のタンク外気温度送信部103は、第1タンク外気温度センサ35の検出温度To2と、第2タンク外気温度センサ36の検出温度To3と、補助熱源コントローラ130から受信した補助熱源外気温データから認識した、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4とのうちで、最も低い温度Toj1を示すデータを、第1タンク外気温度データとしてヒートポンプコントローラ120に送信する。
【0056】
また、タンク外気温度送信部103は、第1タンク外気温度センサ35の検出温度To2と、第2タンク外気温度センサ36の検出温度To3とのうちで、低い方の検出温度Toj2を示すデータを、第2タンク外気温度データ(本発明のタンク外気温度データに相当する)として補助熱源コントローラ130に送信する。
【0057】
次に、ヒートポンプコントローラ120は、貯湯式給湯装置1の運転中に電源122から常時電力供給されて作動するヒートポンプ通信回路121及び電源供給制御回路123と、電源供給制御回路123からの制御信号により、導通状態と遮断状態が切替えられる電源切替回路124と、電源切替回路124を介して電力供給されるヒートポンプ制御回路125とを備えている。
【0058】
ヒートポンプコントローラ120は、ヒートポンプ通信回路121を介して貯湯コントローラ100との間で通信を行う。電源供給制御回路123は、貯湯コントローラ100から沸かし上げ指示データを受信したときに、電源切替回路124を遮断状態から導通状態に切替えてヒートポンプ制御回路125を作動状態にし、沸かし上げ運転の実行を指示する。
【0059】
この沸かし上げ運転の実行の指示に応じて、ヒートポンプ制御回路125は、ヒートポンプ51とタンク循環ポンプ66を起動し、貯湯タンク11内の湯水を沸かし上げ温度まで加熱する沸かし上げ運転を実行する。電源供給制御回路123は、沸かし上げ運転が完了したときに、電源切替回路124を導通状態から遮断状態に切替えて、ヒートポンプ制御回路125への電力供給を停止する。
【0060】
また、電源供給制御回路123は、貯湯コントローラ100から、第1タンク外気温度データを受信したときに、第1タンク外気温度データにより示されている温度Toj1が、第1凍結判定温度よりも低いか否かを判断する。そして、Toj1が第1凍結判定温度よりも低いときに、電源供給制御回路123は、電源切替回路124を遮断状態から導通状態に切替えて、ヒートポンプ制御回路125を作動させ、ヒートポンプユニット50の凍結防止運転の準備を指示する凍結防止準備指示信号を送信する。
【0061】
凍結防止準備指示信号を受信したヒートポンプ制御回路125は、ヒートポンプ外気温度センサ67の検出温度To1が第2凍結判定温度よりも低いか否かを判断する。
【0062】
そして、To1が第2凍結判定温度よりも低いときに、ヒートポンプ制御回路125は、ヒートポンプユニット50の凍結防止運転を実行する。具体的には、ヒートポンプ制御回路125は、先ず、タンク循環ポンプ66を作動させる。そして、タンク循環ポンプ66の作動開始から30分が経過しても、タンク循環路41内の水の温度(湯温度センサ68,69により検出される)が所定温度未満、且つ、ヒートポンプ外気温度センサ67の検出温度To1が第2凍結判定温度未満であるときには、さらにヒートポンプ51を作動させる。
【0063】
一方、To1が第2凍結判定温度以上であるときには、ヒートポンプ制御回路125は、ヒートポンプ凍結防止運転が不要と判断する。
【0064】
なお、タンク循環ポンプ66の作動を、ヒートポンプ制御回路125とは別個に設けたタンク循環ポンプ制御回路により制御する構成とし、貯湯コントローラ100から第1タンク外気温度データを受信したときに、タンク循環ポンプ制御回路が、第1タンク外気温度データにより示されている温度Toj1が第1凍結防止温度よりも低いか否かを判断して、Toj1が第1凍結判定温度よりも低いときに、タンク循環ポンプ66を作動させるようにしてもよい。
【0065】
電源供給制御回路123は、ヒートポンプ制御回路125によるヒートポンプ凍結防止運転が完了した時、及び、ヒートポンプ凍結防止運転が不要と判断された時に、電源切替回路124を遮断状態としてヒートポンプ制御回路125への電力供給を停止する。
【0066】
このように、電源供給制御回路123は、沸かし上げ運転と、ヒートポンプ凍結防止運転の要否の判断及びヒートポンプ凍結防止運転を行うときに限定して、電源切替回路124を導通状態としてヒートポンプ制御回路125及びヒートポンプ外気温度センサ67に電力供給する。そのため、ヒートポンプコントローラ120の待機電力を低減することができる。
【0067】
また、ヒートポンプ制御回路125は、ヒートポンプユニット50に設けられたヒートポンプ外気温度センサ67の検出温度To1を用いることによって、ヒートポンプユニット50から離れた場所(屋内等)に設置される場合がある貯湯ユニット10の第1タンク外気温度センサ35及び第2タンク外気温度センサ36の検出温度To2,To3、又は補助熱源ユニット80の補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4を用いる場合よりも、ヒートポンプユニット50の凍結防止運転の要否を、精度良く判断することができる。
【0068】
そのため、ヒートポンプユニット50の凍結防止運転の開始タイミングが遅れること、及び、不必要なヒートポンプユニット50の凍結防止運転の実行により、無駄な電力が消費されることを防止することができる。
【0069】
なお、第1タンク外気温度データにより示されている温度Toj1と、ヒートポンプ外気温度センサ67の検出温度To1とのうちの低い方の温度が、第2凍結判定温度よりも低いときに、ヒートポンプユニット50の凍結防止運転を実行するようにしてもよい。
【0070】
次に、補助熱源コントローラ130は、補助熱源通信回路131によって貯湯コントローラ100との間で通信を行う。補助熱源コントローラ130は、貯湯コントローラ100により作動が許可されているときに、熱源出湯温度センサ92の検出温度が目標給湯温度となるように、ガスバーナ81の燃焼量、燃焼ファン83の回転数、熱源バイパス弁90の開度等を調節する。
【0071】
また、補助熱源外気温度送信部133は、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4を示す補助熱源外気温度データを、貯湯コントローラ100に常時(貯湯コントローラ100の制御周期毎に)送信する。
【0072】
ここで、本発明の要旨である凍結防止制御部132の作動について図4を参照して説明する。
【0073】
凍結防止制御部132は、STEP1で燃焼ファン83の回転が停止しているか否かを判断し、燃焼ファン83の回転が停止していれば、STEP2へ進む。燃焼ファン83の回転の有無を判断する方法の一つとしては、補助熱源コントローラ130による燃焼ファン83に対する回転数指示値を確認することが挙げられる。この場合、燃焼ファン83に対する回転数指示値=0であるとき、燃焼ファン83の回転が停止しているとみなす。
【0074】
STEP2で、凍結防止制御部132は、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4が、第3凍結防止判定温度(例えば2℃、本発明の凍結判定温度に相当する)よりも低いか否かを判断し、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4が、第3凍結防止判定温度よりも低い場合にはSTEP3へ進む。凍結防止制御部132は、STEP3へ進むと、電気ヒータ94に通電して給湯熱交換器82を加熱する凍結防止運転を開始する。
【0075】
その後、凍結防止制御部132は、STEP4へ進み、燃焼ファン83の回転が停止しているか否かを判断する。燃焼ファン83の回転が停止していれば、STEP5へ進み、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4が、凍結防止運転終了温度(例えば3℃)以上となったか否かを判断する。そして、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4が、凍結防止運転終了温度以上となった場合には、凍結防止制御部132は、STEP6へ進んで凍結防止運転を終了させる。
【0076】
また、凍結防止制御部132は、STEP1で燃焼ファン83が回転していると判断した場合にSTEP7へ進む。STEP7では、凍結防止制御部132は、貯湯コントローラ100から受信した第2タンク外気温度データ(本発明のタンク外気温度データに相当する)が示す温度Toj2と、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4とのうち、少なくとも何れか一方が、第3凍結防止判定温度よりも低くなっている場合に、STEP3へ進んで凍結防止運転を開始する。
【0077】
このように、燃焼ファン83の回転が停止しているときには、第2タンク外気温度データが示す温度Toj2を用いず、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4を用いて、凍結防止運転を実行するか否かを決定するので、燃焼ファンの回転が停止しているときに、不必要な凍結防止運転が実行されることがなく、構成部品の熱劣化やランニングコスト高となるのを防止することができる。
【0078】
また、STEP4で燃焼ファン83が回転しているとき、凍結防止制御部132は、STEP8へ進む。凍結防止制御部132は、STEP8へ進むと貯湯コントローラ100から受信した第2タンク外気温度データ(本発明のタンク外気温度データに相当する)が示す温度Toj2と、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4との両方共に、凍結防止運転終了温度(例えば3℃)以上となった場合に、凍結防止制御部132は、STEP6へ進んで凍結防止運転を終了させる。
【0079】
これによれば、燃焼ファン83の回転が停止しているときには、第2タンク外気温度データが示す温度Toj2を用いず、補助熱源外気温度センサ95の検出温度To4を用いて、凍結防止運転を停止するか否かを決定するので、燃焼ファンの回転が停止しているときに、不必要に長時間にわたって凍結防止運転が継続されることがなく、構成部品の熱劣化やランニングコスト高となるのを防止することができる。
【0080】
なお、本実施形態においては、給湯用のガスバーナ81のみを備える補助熱源ユニット80を挙げたが、図示しないが、暖房用のガスバーナ及び燃焼ファンを備える場合は、上記STEP1において、給湯用の燃焼ファン83と暖房用の燃焼ファンとの両方の回転が停止しているか否かを判断する。
【0081】
また、本実施形態においては、ヒートポンプユニット50により貯湯タンク11内の湯水を加熱する貯湯式給湯装置1を示したが、電気ヒータ等の他の種類の加熱手段により、貯湯タンク11内の湯水を沸き上げる貯湯式給湯装置に対しても、本発明の適用が可能である。
【0082】
また、本実施形態では、補助熱源ユニット80としてガスバーナ81を備えるものを示したが、本発明は、ガスバーナ81に限らず燃焼用空気を供給するための燃焼ファンを備えるものであれば、例えば、石油等の他の燃料を用いるバーナを備える補助熱源ユニットにも好適に採用することができる。
【0083】
また、本実施形態では、設置箇所が異なる2個のタンク外気温度センサ(第1タンク外気温度センサ35、第2タンク外気温度センサ36)を備えた例を示したが、3個以上のタンク外気温度センサを備えて、最も低い検出温度を示すタンク外気温度データをヒートポンプコントローラ120に送信するようにしてもよい。また、1個のタンク外気温度センサを備えて、このタンク外気温度センサの検出温度を示すタンク外気温度データをヒートポンプコントローラ120に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…貯湯式給湯装置(給湯システム)、10…貯湯ユニット、11…貯湯タンク、101…タンク通信回路、103…タンク外気温度送信部、35…タンク外気温度センサ、131…補助熱源通信回路、50…ヒートポンプユニット(加熱ユニット)、80…補助熱源ユニット、81…ガスバーナ(バーナ)、83…燃焼ファン、95…補助熱源外気温度センサ、132…凍結防止制御部。
図1
図2
図3
図4