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  • 特許-真空支援サンプリング機構 図1-1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】真空支援サンプリング機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
A61B10/02 110K
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018145759
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2019030653
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】15/673,028
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・ジェイ・シューマン
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-502916(JP,A)
【文献】実開昭62-084435(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
A61M 1/00
A61B 1/018
A61M 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンピングシリンジ装置であって、
シリンジセクションと、
弁セクションであって、
3つのポートを備える第1の接合部と、
第1の一方向弁と、
第2の一方向弁と、
三方向弁と、
コネクタチューブと、を備える弁セクションと
前記シリンジセクション及び前記弁セクションに接続され、医療装置に着脱可能に接続するように構成された嵌合セクションと、を備え、
前記弁セクションが、2つの動作モードを含み、第1の動作モードが、前記シリンジセクションと外部環境との間の第1の方向における流体の流れを可能にし、第2の動作モードが、前記シリンジセクションと前記外部環境との間の第2の方向の流体の流れを可能にし、
前記第1の方向が、前記外部環境から前記シリンジセクションに至り、前記第2の方向が、前記シリンジセクションから前記外部環境に至り、
前記第1の動作モードが、前記第2の方向における流体の流れを可能にせず、前記第2の動作モードが、前記第1の方向における流体の流れを可能にしない、ポンピングシリンジ装置。
【請求項2】
前記第1の接合部の第1のポートが、前記嵌合セクションのポートに封止可能に接続し、前記第1の接合部の第2のポートが、前記コネクタチューブの第1の端部に封止可能に接続し、前記第1の接合部の第3のポートが、前記第1の一方向弁の第1の端部に封止可能に接続し、前記第1の一方向弁の第2の端部が、前記三方向弁の第1のポートに封止可能に接続し、前記コネクタチューブの第2の端部が、前記第2の一方向弁の第1の端部に封止可能に接続し、前記第2の一方向弁の第2の端部が、前記三方向弁の第2のポートに封止可能に接続する、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記シリンジセクションが、チャンバ内に位置付けられたプランジャを備え、前記チャンバ内の前記プランジャの遠位側が、前記嵌合セクション、及び前記弁セクションの少なくとも一部分と流体連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記嵌合セクションが、前記医療装置に着脱可能に接続するための機構を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記医療装置が、ハンドルを有する針を備え、前記機構が、前記ハンドルの近位端部上にルアーロック構成要素を備える、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング装置の真空支援サンプリング機構に関する
【背景技術】
【0002】
現在、サンプリング装置、例えば経気管支針吸引(transbronchial needle aspiration、TBNA)は、サンプル収集を支援するために使用されるスタイレットを含む。針による穿刺の後には、針内部のスタイレットが引き戻され、これは、減圧を生じさせることにより組織を針の中へ引き込むのを補助することができる。
【0003】
他のサンプリング手法としては、組織を針の先端部に「詰める」ために、針による往復手法を適用することが挙げられる。
【0004】
これらの方法は、ごくわずかな真空しか組織に適用せず、したがって、信頼性の高い組織抽出手法でない。
【0005】
別の手法は、真空シリンジを使用する。穿刺の後に、真空がシリンジ内に引き込まれ、針の内部に適用される。これは、組織を内部に引き上げるのを補助する。しかし、いったんシリンジが完全に引き込められると、それ以上真空作用を生じさせることができない。例えば、多くの流体がある場合は、流体が最初に引き込まれ、(非流体の)組織に適用される真空を低減させる。
【0006】
また、吸引の後に、組織が針の内部に固着する場合がある。スタイレットを使用して、組織を押し出すことができ、又はオペレータが空気源を使用していくらかの空気を注入することができる。しかしながら、スタイレットは、サンプルに損傷を与える場合があり、空気源を取り付けることは、手順をより困難にし、成功裏に完了するためにより多くの人員を必要とすることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、操作者が、使用する装置を接続解除して他の支持装置を接続することなく、適用された真空を制御し、サンプルを吐出することを可能にする、ポンピングシリンジ装置を提供する。
【0008】
例示的なポンピングシリンジ装置は、シリンジセクションと、シリンジに封止可能に接続するように構成された弁セクションと、シリンジセクション及び弁セクションに接続され、医療装置(例えば、針ハンドル)に着脱可能に接続するように構成された嵌合セクションと、を含む。弁セクションは、2つの異なるモードで動作することができる。第1の動作モードは、シリンジセクションと外部環境との間の第1の方向における流体の流れを可能にし、第2の方向においては可能にしない。第2の動作モードは、シリンジセクションと外部環境との間の第2の方向における流体の流れを可能にし、第1の方向においては可能にしない。
【0009】
本発明の一態様において、第1の方向は、外部環境から始まってシリンジセクションに進み、第2の方向は、シリンジセクションから始まって外部環境に進む。
【0010】
本発明の別の態様において、弁セクションは、3つのポートを有する第1の接合部と、第1の一方向弁と、第2の一方向弁と、三方向弁と、コネクタチューブと、を含む。第1の接合部の第1のポートは、シリンジセクションの第1のポートに封止可能に接続する。第1の接合部の第2のポートは、コネクタチューブの第1の端部に封止可能に接続する。第1の接合部の第3のポートは、第1の一方向弁の第1の端部に封止可能に接続する。第1の一方向弁の第2の端部は、三方向弁の第1のポートに封止可能に接続する。コネクタチューブの第2の端部は、第2の一方向弁の第1の端部に封止可能に接続する。第2の一方向弁の第2の端部は、三方向弁の第2のポートに封止可能に接続する。
【0011】
本発明の更に別の態様において、シリンジセクションは、チャンバ内に位置付けられたプランジャを含む。チャンバ内のプランジャの遠位側は、嵌合セクション、及び弁セクションの少なくとも一部分と流体連通している。
【0012】
本発明の更に別の態様において、嵌合セクションは、医療装置に着脱可能に接続するための機構を含む。医療装置は、針装置を含み、機構は、ルアーロック構成要素を含む。
【0013】
針上を往復させる代わりに、操作者は、針を適所に残し、組織を内部にポンピングすることができる。装置の各ポンプは、真空を増加させるか、又はより多くの真空圧力を適用する。そのため、ポンプ上でのサイクルをより高速かつより多くするほど、より多くの組織が針の中へ導入される。操作者は、ポンピングの数又はポンピングの速度によって、どのくらい多く、又は少なく真空を発生させるのかを制御する。
【0014】
同様に、この装置は、逆に使用することができ、この装置を使用して、針の先端部から外にサンプルをポンピングすることができる。操作者は、現行の方法のようにシリンジ内の真空のみに依存するのではなく、漸増的、系統的、かつ緩やかにサンプルを引き込み、排出する能力を有する。
【0015】
更なる特徴、利点、及び適用分野は、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明及び具体的な例は、単に例示目的のために意図され、本開示の範囲を限定することを意図されないことを理解されたい。
【0016】
本明細書に説明される図面は、単に例示目的のためであり、決して本開示の範囲を制限することを意図されない。図面における構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明の原理を例示することに重点を置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1-1】本発明の一実施形態に従って形成されたポンピングシリンジ装置の側面図である。
図1-2】図1-1のポンピングシリンジ装置に接続可能である、従来技術の医療装置を示す図である。
図2図1-2の医療装置に接続された図1-1の装置を示す図である。
図3】第1の動作モードにおける図1-1の装置を示す図である。
図4】第2の動作モードにおける図1-1の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1つの実施形態において、図1-1に示されるように、ポンピングシリンジシステム10は、シリンジ12と、弁セクション14と、コネクタ16と、を含み、これらは全て、接続部嵌合18に接続される。シリンジ12及びコネクタ16は、それらが長手方向軸を共有するように、接続部嵌合18に接続される。弁セクション14は、シリンジ12及びコネクタ16の長手方向軸からいくらかの角度で、接続部嵌合18に接続する。構成要素の1つ以上は、不定形材料で形成することができる。これらの構成要素の間では、他の軸共有(整列)構成を使用することができる。
【0019】
ポンピングシリンジシステム10は、コネクタ16を介して、針ハンドル20(図1-2)又はスコープ(例えば、気管支鏡)などの、任意の数の医療装置に接続することができる。1つの実施形態において、図2に示されるように、コネクタ16は、針ハンドル20の近位端部に取り付けるためのねじ付き特徴部50(例えば、ルアー嵌合)を含む、内部空洞を含む。
【0020】
弁セクション14は、三方向弁60と、第1の一方向弁62と、第2の一方向弁64と、T字形嵌合66と、及び可撓性コネクタチューブ68と、を含む。T字形嵌合66は、第1のポート及び第2のポートによって共有される長手方向長軸と、第3のポートのための長手方向短軸と、を含む。第1のポートは、接続部嵌合18に封止可能に取り付けられる。可撓性コネクタチューブ68の第1の端部は、第3のポートに封止可能に取り付けられる。第1の一方向弁62の第1の端部は、第2のポートに封止可能に取り付けられる。
【0021】
第1の一方向弁62の第2の端部は、三方向弁60の第1のポートに封止可能に接続される。第2の一方向弁64の第1の端部は、可撓性コネクタチューブ68の第2の端部に封止可能に接続される。第2の一方向弁64の第2の端部は、三方向弁60の第2のポートに封止可能に接続される。三方向弁60の第3のポートは、接続を持たず、周囲環境への直接アクセスを有する。構成要素間には、他の軸構成接続を適用することができる。
【0022】
三方向弁60は、少なくとも2つの位置に配置することができる弁ノブ70を含む。第1の位置は、三方向弁60の第3のポートを三方向弁60の第1のポートと流体連通させる。第2の位置は、三方向弁60の第3のポートを三方向弁60の第2のポートと流体連通させる。
【0023】
ポンピングシリンジシステム10の吸引動作モードにおいて、図3に示されるように、操作者がシリンジ12のプランジャを引き込め始める前に、弁ノブ70は、第2の位置に配置される。三方向弁60の第2及び第3のポートは、流体接続している。第2の一方向弁64は、空気又は流体が三方向弁60に向かって通過することだけを可能にし、一方で、三方向弁60と可撓性コネクタチューブ68との間の空気又は流体を遮断する。この構成では、シリンジ12の操作者がシリンジのプランジャを近位方向に(すなわち、図3の左側に)引っ張る間、針装置20に接続されたシリンジ12が、針装置20の遠位端部において真空を生じさせる。ポンピング作用を行うために、操作者は、プランジャを引き込めさせた後に、プランジャを遠位方向に押し出し、したがって、空気を、接続部嵌合18、T字形嵌合66、可撓性コネクタチューブ68、第2の一方向弁64、次いで、三方向弁60の中へ通し、そして、三方向弁60の第3のポートから外へ吐出させる。上記の過程は、繰り返すことができ、したがって、取り付けられた装置の遠位端部における繰り返し可能な真空の適用を可能にする。
【0024】
ポンピングシリンジシステム10の第2の動作モードにおいて、図4に示されるように、操作者が吐出(すなわち、シリンジ12のプランジャの遠位移動)を始める前に、弁ノブ70は、第1の位置に配置される。三方向弁60の第1及び第3のポートは、流体接続している。第1の一方向弁62は、空気又は流体が三方向弁60から接続部嵌合18まで通過することだけを可能にする。これは、操作者が、針装置20の遠位端部において真空を引き込むことなく、弁セクション14からシリンジ12のチャンバの中へ空気を引き込むことを可能にする。操作者がプランジャに遠位方向に(図4の右側に)押し出すときに、シリンジ12のチャンバ内の空気は、接続部嵌合18を通して、針装置20の中へ押し出される。これは、針装置20の遠位端部において空気圧力による力を生じさせ、針の遠位端部40内で以前に受容した任意の組織又は他の材料の吐出を生じさせる。
【0025】
1つの実施形態において、弁セクション14は、逆転弁又は二方向逆止弁(図示せず)と置き換えることができる。逆転弁又は二方向逆止弁は、弁の機能方向を制御するためのスイッチを含む。
【0026】
A.ポンピングシリンジ装置であって、シリンジセクションと、弁セクションと、シリンジセクション及び弁セクションに接続され、医療装置に着脱可能に接続するように構成された嵌合セクションと、を備え、弁セクションが、2つの動作モードを含み、第1の動作モードが、シリンジセクションと外部環境との間の第1の方向における流体の流れを可能にし、第2の動作モードが、シリンジセクションと外部環境との間の第2の方向の流体の流れを可能にする、ポンピングシリンジ装置。
【0027】
B.第1の方向が、外部環境からシリンジセクションに至り、第2の方向が、シリンジセクションから外部環境に至る、項Bに記載の装置。
【0028】
C.第1の動作モードが、第2の方向における流体の流れを可能にせず、第2の動作モードが、第1の方向における流体の流れを可能にしない、項Bに記載の装置。
【0029】
D.弁セクションが、3つのポートを備える第1の接合部と、第1の一方向弁と、第2の一方向弁と、三方向弁と、コネクタチューブと、を備える、項Cに記載の装置。
【0030】
E.第1の接合部の第1のポートを、嵌合セクションのポートに封止可能に接続し、第1の接合部の第2のポートを、コネクタチューブの第1の端部に封止可能に接続し、第1の接合部の第3のポートを、第1の一方向弁の第1の端部に封止可能に接続し、第1の一方向弁の第2の端部を、三方向弁の第1のポートに封止可能に接続し、コネクタチューブの第2の端部を、第2の一方向弁の第1の端部に封止可能に接続し、第2の一方向弁の第2の端部を、三方向弁の第2のポートに封止可能に接続する、項Dに記載の装置。
【0031】
F.シリンジセクションが、チャンバ内に位置付けられたプランジャを備え、チャンバ内のプランジャの遠位側が、嵌合セクション、及び弁セクションの少なくとも一部分と流体連通している、項Aに記載の装置。
【0032】
G.嵌合セクションが、医療装置に着脱可能に接続するための機構を備える、項Aに記載の装置。
【0033】
H.医療装置が、ハンドルを有する針を備え、機構が、ハンドルの近位端部上にルアーロック構成要素を備える、項Gに記載の装置。
【0034】
本発明の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明の主旨から逸脱しない変形が、本発明の範囲内にあることを意図される。かかる変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱するものとしてみなされない。
【0035】
これまで、本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されない。本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、追加、省略、置換、及び他の修正を行うことができる。
【0036】
加えて、本発明は、上の説明によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に記載の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0037】
10 ポンピングシリンジシステム
12 シリンジ
14 弁セクション
16 コネクタ
18 接続部嵌合
20 針ハンド
50 ねじ付き特徴
60 三方向弁
62 第1の一方向弁
64 第2の一方向弁
66 T字形嵌合
68 可撓性コネクタチューブ
70 弁ノブ
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4