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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A21C 13/00 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
A21C13/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018151297
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020025484
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 浩
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直志
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊明
(72)【発明者】
【氏名】森部 智久
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-136090(JP,U)
【文献】特開2009-192118(JP,A)
【文献】特開平06-141753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00 - 15/04
F25D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口する箱状の筐体であって、貯蔵物を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室の後方に前記貯蔵室を少なくとも冷却する機能部品を収容する機能部品室と、が内部に形成された貯蔵庫本体と、
前記機能部品室内に収容された前記機能部品の1つである蒸発器と、前記貯蔵庫本体の外部に取り付けられた凝縮器と、前記凝縮器と前記蒸発器とを繋いで冷媒を循環させるための冷媒配管と、を含んで構成された冷却装置と、
を備えた貯蔵庫であって、
前記冷媒配管は、それの一部が前記貯蔵庫本体の背面側を延びて前記凝縮器から前記蒸発器までを繋ぐように構成され、
前記貯蔵庫本体の背面に前記冷媒配管の前記一部を覆う状態で取り付けられ、自身の内部と外部との間の空気の流れを許容する複数の通気孔を有する保護カバーを備え
前記貯蔵庫本体は、外部背面に、前記冷媒配管を挿通させる挿通孔と、前記挿通孔の周囲に前記挿通孔を囲むように配された複数の開孔と、を有する貯蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵庫本体が有する前記複数の開孔は、それぞれが長孔とされて千鳥状に配された請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵庫本体は、それぞれが前方に開口して上下方向に並んで形成された2つの空間を有し、前記2つの空間の各々に、前記貯蔵室および前記機能部品室が形成されたものとされ、
当該貯蔵庫は、
2つの前記貯蔵室の各々に対応して、それぞれが前記冷却装置である2つの冷却装置を備え、前記2つの冷却装置の各々の前記凝縮器が、前記貯蔵庫本体の上部に取り付けられ、前記2つの冷却装置の各々の前記冷媒配管の前記一部が、並行して上下に延びる状態で前記貯蔵庫本体の背面に配された構成とされ、
前記保護カバーは、前記2つの冷却装置の前記冷媒配管の両者を覆うものとされた請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
当該貯蔵庫は、
前記機能部品の1つである前記貯蔵室を加熱する加熱装置と、
前記機能部品の1つである前記貯蔵室を加湿する加湿装置と、
前記貯蔵室の空気を循環させる循環ファンと、
前記蒸発器、前記加熱装置の少なくとも一部、前記加湿装置の少なくとも一部および前記循環ファンを保持するケースと、
前記貯蔵庫本体の内部背面側に配された板状の部材であって、前記貯蔵室と前記機能部品室とを区画する区画部材と、
をさらに備え、
前記ケースは、前記蒸発器、前記加熱装置の少なくとも一部、前記加湿装置の少なくとも一部および前記循環ファンを保持した状態で前記貯蔵庫本体の内部背面に取り付けられ、
前記区画部材は、前記ケースの前側に配された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記ケースは、前記蒸発器を前記貯蔵庫本体における内部背面に接しない状態で保持する請求項4に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記ケースは、前記蒸発器を保持する箇所が前記区画部材との間に隙間がある状態で前記貯蔵庫本体に取り付けられた請求項4または請求項5に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記ケースは、前記加熱装置の前側の部分が脱着可能とされた請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、パン生地を収容する収容室と、その収容室の温度調節を行う温度調節手段と、収容室の湿度を調節する湿度調節手段とを備えた製パン用温湿調節庫が記載されている。このような、貯蔵物を貯蔵する貯蔵室(収容室)と、その貯蔵室の冷却,加熱および加湿の少なくとも1つを行う機能部品を収容する機能部品室(機室)とが内部に形成された箱状の貯蔵庫本体を備えた貯蔵庫は、機能部品によって貯蔵室の温度と湿度との少なくとも一方を均一にするために、庫内の空気を循環させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-57840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の製パン用温湿調節庫は、冷却装置,加熱装置および加湿装置のすべてが、機能部品室内に収納されていたが、それらの装置の一部が貯蔵庫本体の外部に設けられる場合もある。例えば、冷却装置は、一般的に、冷媒を圧縮して高温高圧のガスにする圧縮機と、その冷媒ガスを冷却して液化冷媒とする凝縮器と、冷媒が蒸発してその蒸発熱で空気を冷却する蒸発器と、を含んで構成されるが、それらのうちの蒸発器を除く部分が、貯蔵庫本体の外部に設けられる場合がある。そして、そのような場合には、冷媒配管も貯蔵庫本体の外部に配されることになる。例えば、その貯蔵庫本体の外部に配された冷媒配管を保護するためにカバーで覆ってしまうと、凝縮器から蒸発器までの冷媒配管は、冷却された冷媒を輸送しているため、その冷気によって、カバーの内部に存在する冷媒配管、冷却装置の電気配線および貯蔵庫本体等が結露してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、貯蔵庫本体の外部に配された冷却装置の冷媒配管を保護するととともに、その冷媒配管の冷気による結露を抑制することが可能な貯蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の貯蔵庫は、
前方に開口する箱状の筐体であって、貯蔵物を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室の後方に前記貯蔵室を少なくとも冷却する機能部品を収容する機能部品室と、が内部に形成された貯蔵庫本体と、
前記機能部品室内に収容された前記機能部品の1つである蒸発器と、前記貯蔵庫本体の外部に取り付けられた凝縮器と、前記凝縮器と前記蒸発器とを繋いで冷媒を循環させるための冷媒配管と、を含んで構成された冷却装置と、
を備えた貯蔵庫であって、
前記冷媒配管は、それの一部が前記貯蔵庫本体の背面側を延びて前記凝縮器から前記蒸発器までを繋ぐように構成され、
前記貯蔵庫本体の背面に前記冷媒配管の前記一部を覆う状態で取り付けられ、自身の内部と外部との間の空気の流れを許容する複数の通気孔を有する保護カバーを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記のように構成された貯蔵庫は、少なくとも冷却装置を備えており、その冷却装置の冷媒配管の一部が貯蔵庫本体の外部に配され、その外部に露出した部分を、複数の通気孔を有する保護カバーで覆うように構成されている。したがって、上記構成の貯蔵庫は、保護カバー内に外気を取り込むことができるため、保護カバー内に冷気がこもることがなく、また、結露し易い箇所に直接外気を当てることができ、保護カバー、貯蔵庫本体および冷媒配管等の結露を抑制することができる。
【0008】
上記構成の貯蔵庫において、
前記貯蔵庫本体は、それぞれが前方に開口して上下方向に並んで形成された2つの空間を有し、前記2つの空間の各々に、前記貯蔵室および前記機能部品室が形成されたものとされ、
当該貯蔵庫は、
2つの前記貯蔵室の各々に対応して、それぞれが前記冷却装置である2つの冷却装置を備え、前記2つの冷却装置の各々の前記凝縮器が、前記貯蔵庫本体の上部に取り付けられ、前記2つの冷却装置の各々の前記冷媒配管の前記一部が、並行して上下に延びる状態で前記貯蔵庫本体の背面に配された構成とされ、
前記保護カバーは、前記2つの冷却装置の前記冷媒配管の両者を覆うものとされた構成とすることができる。
【0009】
本構成の貯蔵庫は、上下方向に並んで前方に開口する2段の貯蔵室を備えており、それら2つの貯蔵室の各々に対して2つの冷却装置を備えている。そして、この構成の貯蔵庫は、2つの空間の各々の機能部品室内に蒸発器が設けられ、各蒸発器に対応する凝縮器が貯蔵庫本体の上部に設けられている。ちなみに、このような構成された貯蔵庫は、貯蔵庫本体の内部に、凝縮器等の冷却装置の構成部品を収容する構成のものに比較して、省スペースなものとすることができる。しかしながら、このように構成された貯蔵庫は、2つの空間が上下に並んでいるため、特に下段に対応する冷却装置の冷媒配管を、貯蔵庫本体の内部を通すことが難しい。そこで、本構成の貯蔵庫のように、冷媒配管を貯蔵庫本体の背面に上下に延びる状態で配する構成とすることが望ましい。つまり、本発明に係る保護カバーは、本構成の貯蔵庫に、特に有効なものとなる。
【0010】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記貯蔵庫本体は、外部背面に、前記冷媒配管を挿通させる挿通孔と、前記挿通孔の周囲に前記挿通孔を囲むように配された複数の開孔と、を有する構成とすることができる。
【0011】
冷媒配管が貯蔵庫本体の内部から外部に延び出している場合、貯蔵庫本体には、冷媒配管を挿通させている挿通孔の周囲に、冷媒配管の冷気が伝わり、結露が生じやすい。本構成の貯蔵庫は、貯蔵庫本体の冷媒配管を挿通させる挿通孔の周囲に複数の開孔が形成されているため、冷媒配管の冷気の貯蔵庫本体への伝達を抑制することができ、貯蔵庫本体の結露を抑制することができる。
【0012】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記貯蔵庫本体が有する前記複数の開孔は、それぞれが長孔とされて千鳥状に配された構成とすることができる。
【0013】
本構成の貯蔵庫は、例えば、上下方向に延びる長孔が配された構成であってもよく、横方向に延びる長孔が配された構成であってもよく、また、それらの両者が配された構成であってもよい。本構成の貯蔵庫によれば、貯蔵庫本体における挿通孔周辺への冷気の伝達を、効果的に抑制することができる。
【0014】
また、上記構成の貯蔵庫において、当該貯蔵庫は、
前記機能部品の1つである前記貯蔵室を加熱する加熱装置と、
前記機能部品の1つである前記貯蔵室を加湿する加湿装置と、
前記貯蔵室の空気を循環させる循環ファンと、
前記蒸発器、前記加熱装置の少なくとも一部、前記加湿装置の少なくとも一部および前記循環ファンを保持するケースと、
前記貯蔵庫本体の内部背面側に配された板状の部材であって、前記貯蔵室と前記機能部品室とを区画する区画部材と、
をさらに備え、
前記ケースは、前記蒸発器、前記加熱装置の少なくとも一部、前記加湿装置の少なくとも一部および前記循環ファンを保持した状態で前記貯蔵庫本体の内部背面に取り付けられ、
前記区画部材は、前記ケースの前側に配された構成とすることができる。
【0015】
本構成の貯蔵庫は、機能部品室に収容される多数の部品がケースを利用して一体化(ユニット化)されている。つまり、本構成の貯蔵庫は、貯蔵庫本体の外部で、ケースに対して機能部品および循環ファンを組み付け、そのユニット化されたものを貯蔵庫本体の内部に取り付ければよいため、貯蔵庫本体の内部での作業が減り、貯蔵庫の製造工程を簡略化することができる。また、機能部品室内に収容されたものの修理等を行う際、ユニット化されたものを取り外せば、貯蔵庫本体の外部で作業が行えるため、そのような修理等の作業も容易に行うことができる。
【0016】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記ケースは、前記蒸発器を前記貯蔵庫本体における内部背面に接しない状態で保持する構成とすることができる。
【0017】
本構成の貯蔵庫は、蒸発器の冷気を貯蔵庫本体に伝達させないように構成されており、貯蔵庫本体の背面の結露を防止することができる。
【0018】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記ケースは、前記蒸発器を保持する箇所が前記区画部材との間に隙間がある状態で前記貯蔵庫本体に取り付けられた構成とすることができる。
【0019】
本構成の貯蔵庫は、蒸発器の冷気を区画部材に伝達させないように構成されており、貯蔵室内の結露を防止して、例えば、貯蔵室内が結露して貯蔵物に滴下するような事態を回避することができる。
【0020】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記ケースは、前記加熱装置の前側の部分が脱着可能とされた構成とすることができる。
【0021】
機能部品である蒸発器、加熱装置、加湿装置の中では、加熱装置が故障しやすい。本構成の貯蔵庫は、区画部材を外した後、さらに、ケースにおける加熱装置を覆っている部分を取り外すことで、加熱装置に対する作業を行うことができる。つまり、ケース全体を取り外すことなく、加熱装置に対する修理や交換等の作業を行うことができ、加熱装置に対する作業の容易化が図られている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、貯蔵庫本体の外部に配された冷却装置の冷媒配管を保護するととともに、その冷媒配管の冷気による結露を抑制することが可能な貯蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例の貯蔵庫である温湿度調節庫の正面図である。
図2図1に示した温湿度調節庫の開閉扉等を取り外した状態を示す正面図である。
図3図1に示した温湿度調節庫の側面断面図である。
図4図1に示した温湿度調節庫の平面図である。
図5図1に示した温湿度調節庫の背面図である。
図6図1に示した温湿度調節庫の1つの空間内を概略的に示した側面図であり、庫内に流れる空気の流れを示す図である。
図7図1に示した温湿度調節庫の1つの空間に対する機能部品を概略的に示した図である。
図8図2に示した3つのパネルを取り外した状態を示す正面図である。
図9図2に示した3つのパネルの分解斜視図である。
図10図9に示した3つのパネルの側面図である。
図11図9に示した天面パネルおよび背面パネルの正面図である。
図12図9に示した背面パネルおよび底面パネルの正面図である。
図13】第2吸込口である補助吸込口を拡大して示す斜視図である。
図14】機能部品室に固定されるパーツの分解斜視図である。
図15図14に示したエバポレータAssyから排出される空気の流れを示す斜視図である。
図16図1に示した温湿度調節庫の平面断面図であり、収納室に吐き出される空気の流れを示す図である。
図17図14に示したエバポレータAssyの分解斜視図である。
図18図14に示したエバポレータAssyの周辺を拡大して示す側面断面図である。
図19図5に示した保護カバーを取り外した状態を示す背面図である。
図20】貯蔵庫本体であるハウジングの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0025】
<温湿度調節庫の概略構成>
本発明の実施例である貯蔵庫としての温湿度調節庫10を図1から図5に示す。本温湿度調節庫10は、ドウコンディショナーと呼ばれるものであり、成形したパン生地について冷凍から発酵までを管理可能なものである。具体的には、パンの焼成工程に入るより前に、成形したパン生地に対して、フリーズ(冷凍)工程、リタード(冷蔵)工程、予熱工程、および、ホイロ(発酵)工程を順番に自動で実行すること、あるいは、いずれかの工程を単独で実行することが可能なものである。つまり、本温湿度調節庫10は、それらの各工程に応じた温度制御を行うとともに、予熱工程およびホイロ工程においては、温度制御に加えて湿度制御を行うように構成されている。
【0026】
本温湿度調節庫10は、図1ないし図3に示すように、前方に開口する箱状の筐体である貯蔵庫本体としてのハウジング11を主体として構成される。そのハウジング11には、上下に並ぶ2つの空間12A,12Bが形成されており、それら空間内の各々に、パン生地(貯蔵物)を収納する収納室(貯蔵室)14A,14Bが設けられている。それら2つの収納庫14A,14Bは、前方側に開口しており、ハウジング11には、各収納室14A,14Bを開閉する2枚の開閉扉15A,15Bが取り付けられている。各収納室14A,14Bには、左右の側壁の各々に、左右で一対をなすトレイガイド16が着脱可能に設けられており、それら複数対のトレイガイド16の各々に、多数のパン生地を載せたトレイ(棚板)を載置可能とされている。なお、空間12内の左右の側面には前後2本ずつの棚柱17が固定されており、上記トレイガイド16は、前後の棚柱17にわたされるようにして取り付けられる。つまり、左右一対のトレイガイド(棚板支持部材)16からなる棚板支持部材対と棚柱17とを含んで、棚板支持部が構成されていると考えることができる。
【0027】
本温湿度調節庫10は、温度制御を行うための冷却装置20および加熱装置21と、湿度制御を行うための加湿装置22と、それら冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22等を制御するための制御装置24と、を備えている。ハウジング11の上側には、図3に示すように、上方が開放された機械室25が設けられており、その機械室25に、上記の冷却装置20や加湿装置22の一部および制御装置24等が収容されている。また、図1に示すように、機械室25の前面には、本温湿度調節庫10の設定や操作等を行うための操作パネル26が設けられている。
【0028】
ハウジング11の空間12A,12Bの各々には、図4に示すように、各収納室14A,14Bの背面側(後側)に、収納室14A,14Bの温度および湿度の調節を行う機能部品としての冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22の一部を収容する機能部品室30A,30Bが形成されている。それら収納室14A,14Bと機能部品室30A,30Bとは、概して板状の部材である区画部材としての背面パネル32によって区画されている。後に詳しく説明するが、冷却装置20および加湿装置22等は、図5に示すように、機械室25に設けられた部品と、機能部品室30A,30Bに設けられた部品とが、ハウジング11の背面側において、配管や配線によって接続されている。
【0029】
以下に、ハウジング11の空間12A,12Bの各々の内部の構成について詳しく説明する。それら空間12A,12B内の構成は、ほぼ同様の構成であるため、空間12内の説明については、図6をも参照しつつ、上側の空間12Aを代表して説明する。また、以下の説明において、上側の空間12Aに関係する上段用のものと、下側の空間12Bに関係する下段用のものと、を区別して説明する必要がある場合には、符号にA,Bを、それぞれ付すこととする。
【0030】
図6に示すように、空間12内には、上述した背面パネル32の他に、天面側と底面側との各々に、それぞれ、概して板状の部材である天面パネル33および底面パネル34が配されている。それら天面パネル33および底面パネル34の各々は、それぞれ空間12の天面との間、空間12の底面との間で、収納室14と機能部品室30とを接続し、空間12内の空気を循環させる循環路(ダクト)を形成するものとなっている。つまり、天面パネル33は、天面側ダクト部材として、底面パネル34は、底面側ダクト部材として機能するものとなっている。
【0031】
機能部品室30には、循環ファン36が収容されており、その循環ファン36は、機能部品室30において、空気を上方から下方へと送るものとされている。つまり、その循環ファン36によって、天面パネル33と空間12の天面とによって形成される天面側循環路は、収納室14から機能部品室30へと空気を吸い込む吸気路37として機能し、底面パネル34と空間12の底面とによって形成される底面側循環路は、機能部品室30から収納室14へと空気を吐き出す吐出路38として機能する。つまり、循環ファン36が作動すると、収納室14の空気が吸気路37を介して機能部品室30に吸い込まれ、機能部品室30を通過した後、吐出路38を介して収納室14に吐き出される。
【0032】
また、本温湿度調節庫10においては、循環ファン36によって上方から下方に送られた空気(言い換えると、機能部品室30を通過する空気)対して温度や湿度を調節し、その温度や湿度を調節した空気を収納室14に送るようになっている。具体的には、まず、図7の概略図に示すように、機能部品室30には、冷却装置20を構成するエバポレータ(蒸発器)40が収容されている。冷却装置20は、循環ファン36から送り出された空気をそのエバポレータ40によって冷却することで、収納室14の温度を低下させる。なお、冷却装置20は、周知の冷却回路を用いたものであり、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張手段43と、上記のエバポレータ40と、を含んで構成される。簡単に説明すれば、圧縮機41によって圧縮された冷媒ガスは、凝縮器42によって冷却されて液化冷媒となり、その液化冷媒は膨張手段43で減圧されて低圧の気液混合冷媒となって、エバポレータ40に送られる。そして、エバポレータ40において、冷媒が蒸発し、その蒸発熱で空気を冷却する。なお、冷却装置20におけるエバポレータ40以外の構成要素については、図2および図4に示すように、機械室25に収容されている。そして、図5に示すように、エバポレータ40に対し、圧縮機41および膨張手段43が冷媒配管44A,44Bによって接続されている。
【0033】
また、機能部品室30には、加熱装置21が収容されている。加熱装置21は、3本のガラス管ヒータ46を主体として構成されるものであり、循環ファン36から送り出された空気をそれらヒータ46によって加熱することで、収納室14の温度を上昇させる。なお、3本のヒータ46は、図3に示すように、ヒータブラケット47によって、それぞれが左右方向に延びるとともに、前後方向に並んだ状態で保持され、エバポレータ40の下側に取り付けられている。つまり、加熱装置21は、輻射熱によって空気を効率的に加熱するともに、上側に配されたエバポレータ40のデフロストヒータとしても機能するものとなっている。
【0034】
さらに、機能部品室30には、加湿装置22の一部が収容されている。加湿装置22は、水を霧状に噴霧する二流体ノズルであるスプレーノズル50と、給水源からスプレーノズル50に水を供給する給水管51と、スプレーノズル50に空気を供給する給気管52と、その給気管52を介してスプレーノズル50に空気を加圧状態で送るエアポンプ53と、を含んで構成されている。なお、給水管51には、給水弁51aが設けられており、その給水弁51aよりスプレーノズル50側に排水管54が接続され、その排水管54に排水弁54aが設けられている。また、エアポンプ53は、機能部品室30内から吸い込んだ空気をスプレーノズル50に供給する構成となっている。
【0035】
スプレーノズル50については、詳細の図示と説明は省略するが、筒体を2重に配設したものであり、内側の筒体の先端部に水の噴出口が設けられ、外側の筒体の先端部に空気の噴出口が設けられたものである。そして、空気の噴出口は、水の噴出口より後方に控えた位置にあり、噴出された水に対して、その後方から空気を噴出することで、スプレーノズル50の前方で水を霧状にする。スプレーノズル50の先端は、図3に示すように、加熱装置21の下側で、側面側から機能部品室30の内側を向いた状態で取り付けられている。
【0036】
そして、加湿装置22は、給水弁51aを開くとともに、エアポンプ53を作動させ、スプレーノズル50から霧状の水を噴霧する。それにより、循環ファン36から送り出された空気を加湿し、収納室14の湿度を上昇させる。なお、加湿装置22は、スプレーノズル50から水を噴霧しない場合には、給水管51に水が残らないように、排水弁54aを開いて、排水管54から水を排出させるようになっている。
【0037】
上記のように構成された本温湿度調節庫10は、制御装置24によって制御される。詳しく言えば、制御装置24は、循環ファン36,冷却装置20,加熱装置21,加湿装置22を制御して、収納室14A,14Bの各々を、独立して、温度と湿度とを調節するように構成されている。また、機能部品室30には、温度センサ60および湿度センサ61(図7参照)が収容されており、制御装置24は、それら温度センサ60および湿度センサ61の検出結果に基づいて、収納室14A,14Bの各々における温度と湿度とを調節するようになっている。
【0038】
<循環路の構成>
i)ダクト部材の形状・取付構造
本温湿度調節庫10は、各空間12内における空気の循環路に関して特徴を有するものであるため、以下に、その循環路について詳しく説明することとする。先に説明したように、本温湿度調節庫10は、背面パネル32によって、収納室14と機能部品室30とが区画されており、天面パネル33によって形成された吸気路37から収納室14の空気を吸い込み、底面パネル34によって形成された吐出路38から温度・湿度を調節した空気を収納室14へ吐き出すように構成されている。また、各空間12内における左右の側壁の各々には、図3および図6に示すように、収納室14の前後方向における中間に、上下方向に延びる側壁側ダクト部材65が固定されている。側壁側ダクト部材65は、断面コの字状で、空間12の側面との間に、側壁側循環路66を形成するものである。また、側壁側ダクト部材65には、上方側のトレイ上へ空気を吐出するための吐出口67が形成されている。ちなみに、本実施例においては、下から2段には吐出口は形成されておらず、上から6段に吐出口67が形成されている。そして、図8に示した状態の温湿度調節庫10に対して、側面に4本の棚柱17と、上記側壁側ダクト部材65を取り付けた後、天面パネル33,背面パネル32,底面パネル34の順で取り付けることで、空間12内の循環路が形成される。
【0039】
まず、上記の3つのパネル部材32,33,34の形状について、図9から図12をも参照しつつ説明する。まず、天面パネル33は、概して長方形で板状の主板部33aと、その主板部33aの左右方向の外縁の各々から立ち上がる側壁部33bと、それら側壁部33bの上端から外側に折れ曲がるブラケット部33cと、を有する。また、各ブラケット部33cには、空間12内の天面に取り付けるための2つずつの取付孔33dが形成されている。なお、図8に示すように、空間12内における両側面には、パネル部材32,33,34を固定するための一対のマウンタ部材68が固定されており、天面パネル33は、後端側の部分を、一対のマウンタ部材68の上に挿し込んだ状態で、上記の4つの取付孔33dを利用して、空間12内の天面に取り付けられる。また、天面パネル33は、さらに、主板部33aの前端から下方に向かって傾斜した前端屈折部33eと、主板部33aの後端から下方に向かって傾斜した後端屈折部33fと、を有している。なお、前端屈折部33eは、折り返された形状、つまり、いわゆるヘミング加工が施されており、使用者等に怪我を負わせないようになっている。また、後端屈折部33fは、左右方向における寸法が、主板部33aの左右方向の寸法より小さくされている、つまり、収納室14の左右方向の寸法より小さくされている。
【0040】
次に、背面パネル32は、概して長方形で板状の主板部32aと、その主板部32aの上端から前方に向かって傾斜した上端屈折部32bと、を有している。また、主板部32aの下端側には、鍔の付いたカラー32cが、左右方向に間隔をおいて2つ固定されている。それらカラー32cは、背面パネル32の主板部32aから前方に向かって突出しており、突起として機能する。そして、背面パネル32は、図11に示すように、上端屈折部32bを、天面パネル33の後端屈折部33fの前側に重ねることで、空間12内における位置合わせができる。そして、図8に示す一対のマウンタ部材68に対し、ネジ止めすることで取り付けられる。
【0041】
続いて、底面パネル34は、概して方形で板状の主板部34aと、その主板部34aの前側の外縁から下方に延びて空間12内の底面に接する脚部34bと、主板部34aの後側の外縁から立設した立壁部34cと、主板部34aの左右方向の外縁の各々から下方に立ち下がる立下り壁部34dと、その立下り壁部34dの立ち下がり縁から内側に折れ曲がり主板部34aと並行して形成される折曲り部34eと、を有している。また、立壁部34cには、背面パネル32の2つのカラー32cに対応して、2つのダルマ形状の係合孔34fが形成されている。つまり、底面パネル34は、それら係合孔34fを、背面パネル32のカラー32cに引っ掛けることで、取り付けることができる。詳しく言えば、図12に示すように、係合孔34fの大きい径の部分においてカラー32cを挿通させ、底面パネル34を、左右方向にスライドさせることで、取り付けることができるのである。なお、立下り壁部34dは、図10に示すように、脚部34bの下端より上側に立ち下がり縁が設けられており、底面パネル34が取り付けられた状態において、立下り壁部34dおよび折曲り部34eの下方側は、側方に開口している。
【0042】
ii)吸気側における空気の流れ
そして、側壁側ダクト部材65および3つのパネル部材32,33,34が取り付けられて形成された循環路によって、図6に白抜き矢印で示したように、空気が循環することになる。具体的には、循環ファン36が作動すると、収納室14の空気が機能部品室30に吸い込まれるのであるが、収納室14の空気は、主に、天面パネル33の前端によって形成された開口から、吸い込まれることになる。つまり、その開口が、収納室14の空気を吸気路37に取り込むための第1吸込口としての主吸込口70である。
【0043】
また、天面パネル33は、上述したように前端屈折部33eを有しており、その前端屈折部33eは、吸気路に向かう空気の流れを整える整流板として機能するものとなる。具体的には、前端屈折部33eは、主吸込口70の下方や後方側からの空気の吸い込みを抑え、主吸込口70は、前端屈折部33eの前方からのみ空気を吸い込むことになる。つまり、本温湿度調節庫10によれば、上段前側に載置されたパン生地に当たる空気の流れを抑え、そのパン生地の乾燥を抑えることができるのである。
【0044】
さて、従来の温湿度調節庫では、収納室14内の上部奥側(天面側かつ後側)において、空気の流れがなく、温度ムラが生じ、パン生地の発酵ムラが生じてしまうという問題があった。そこで、本温湿度調節庫10は、天面パネル33と背面パネル32との接続部に、収納室14の上部奥側の空気を機能部品室30に取り込むための第2吸込口として補助吸込口71が設けられている。具体的には、空間12内に、天面パネル33と背面パネル32とが取り付けられて、天面パネル33の後端屈折部33fに対して背面パネル32の上端屈折部32bが重なると、図6および図13に示すように、それら天面パネル33および背面パネルと、マウンタ部材68とによって、天面パネル33の後端屈折部33fおよび背面パネル32の上端屈折部32bの左右方向における両端側の各々に、概して三角形上の開口が形成されることになる。これらの開口が、上記の補助吸込口71として機能するのである。
【0045】
したがって、本温湿度調節庫10によれば、収納室14の上部奥側の空気をも、補助吸込口71を利用して循環させることができるため、収納室14の温度・湿度を均一化することができる。また、パン生地は、強い空気の流れが当たっていると、乾燥しやすいが、本温湿度調節庫10は、2つの補助吸込口71が、収納室14の上部奥側の両角付近に形成されているため、上段奥側に載置されたパン生地の乾燥を抑えることができるのである。
【0046】
さらに言えば、本温湿度調節庫10は、図6および図13に示すように、吸気路37と機能部品室30との接続部が、天面パネル33の後端屈折部33fと背面パネル32の上端屈折部32bとによって傾斜面で接続されているため、吸気路37から機能部品室30への空気の流れは、向きが急変しないようになっている。したがって、本温湿度調節庫10は、吸気路37から機能部品室30への空気の流れを安定させることができる。
【0047】
iii)機能部品室における空気の流れ
次に、機能部品室30内における空気の流れについて説明する。機能部品室30内には、前述した循環ファン36,冷却装置20のエバポレータ40,加熱装置21,加湿装置22の一部が収容されるのであるが、それらは、図14に示すようにユニット化され、エバポレータAssy80とされている。そのエバポレータAssy80については、後に詳しく説明するが、図3に示すように、ケース81内に、上側から順に、エバポレータ40,加熱装置21,スプレーノズル50の順で取り付けられている。また、そのケース81の上端に循環ファン36が取り付けられている。さらに、ケース81の上端には、図8に示すように、温度センサ60および湿度センサ61が取り付けられている。
【0048】
エバポレータAssy80が上述のように構成されているため、循環ファン36によって下方に送り出された空気は、エバポレータ40,加熱装置21を通過して温度が調節され、場合によってケース81の下側の空間においてスプレーノズル50により加湿され、ケース81の下端から排出される。
【0049】
エバポレータAssy80は、ケース81の下端から排出した空気を、底面パネル34の下側に送るため、空間12内の底面と間隔をおいた状態で、ハウジング11に固定されている。そして、エバポレータAssy80の下側から排出された空気を、底面パネル34によって形成された吐出路38に導くために、図8および図14に示すように、ケース下ダクト部材85が設けられている。エバポレータAssy80は、左右方向における寸法が、空間12の左右方向における内寸より小さくされており、空間12(機能部品室30)内において、エバポレータAssy80の左右にも空間が広がっている。そのため、ケース下ダクト部材85は、エバポレータAssy80の下側から排出された空気が、エバポレータAssy80の左右の空間に流れ込まないように、左右方向への空気の流れを遮断する一対の遮断部材86からなる。
【0050】
それら一対の遮断部材86の各々は、図14および図15に示すように、空間12内の背面側における左右方向両側の角に固定されている。つまり、一対の遮断部材86は、左右方向において対向して配され、互いに対向する対向壁部86aを有している。また、一対の遮断部材86の各々は、空間12内の底面と平行に設けられてエバポレータAssy80を載置させるための載置部86bを有している。なお、エバポレータAssy80は、図3に示すように、一対の遮断部材86上に載置されることで、下端の高さが、底面パネル34の主板部34aより僅かに上側に位置している。また、一対の遮断部材86の各々の対向壁部86aの間隔は、ケース81の左右方向における内寸と、ほぼ一致している。
【0051】
図15および図16に示すように、上述のケース下ダクト部材85によって、エバポレータAssy80から排出された空気は、他の空間に漏れることなく、底面パネル34の下に流れ込むようになっている。つまり、本温湿度調節庫10は、温度・湿度が調節された空気を、効率よく排出させることができるようになっているのである。
【0052】
iv)吐出側における空気の流れ
エバポレータAssy80から排出されて底面パネル34の下に流れ込んだ空気は、図16に示すように、底面パネル34の両側端(左右方向における両側の端部)の開口から収納室14に吐き出される。なお、底面パネル34は、前端に脚部34bが設けられているため、前方に向かう空気の流れは遮断され、底面パネル34の側方からのみ、空気は吐き出されるようになっている。つまり、底面パネル34の脚部34bは、閉塞壁部として機能するものとなっている。
【0053】
そして、吐き出された空気の一部は、図6および図16に示すように、トレイガイド16と側壁との間の隙間から上方に昇り、各トレイ上に流れ込む。また、吐き出された空気の他の一部は、側壁側ダクト部材65によって形成された側壁側循環路66に進入し、上段側の各トレイ上に吐き出される。さらに、図16に示すように、閉塞壁部として機能する脚部34bは、側壁側ダクト部材65より前方に位置しているため、空気の一部は、底面パネル34の側方の前端から前方に向かっても吐き出され、収納室14の前方側に流れ込むようになっている。
【0054】
そして、収納室14内の空気は、再び、主吸込口70および補助吸込口71から機能部品室30に吸い込まれ、循環させられるのである。上述のような構成により、本温湿度調節庫10は、収納室14内の各トレイ上などに満遍なく空気を行き渡らせることができるととともに、収納室14内の一部に空気を滞らせることなく空気を循環させることができるのである。
【0055】
<エバポレータAssyの構成>
次に、前述したエバポレータAssy80の構成について、詳しく説明する。エバポレータAssy80は、先にも説明したように、ケース81に、エバポレータ40,加熱装置21,スプレーノズル50および循環ファン36が取り付けられて構成されている。ケース81は、図17に示すように、エバポレータ40,加熱装置21,スプレーノズル50および循環ファン36を取り付けるブラケット部材90を主体とするものである。そのブラケット部材90は、上方からの視点において概してコの字形状をなす部材であり、上下方向および後方に開口する部材である。ブラケット部材90には、まず、エバポレータ40および加熱装置21が一体化されたものが、内面の上方側に取り付けられる。なお、加熱装置21は、先に説明したように、3本のヒータ46がヒータブラケット47に保持されたものであり、そのヒータブラケット47がエバポレータ40の下側に取り付けられることで、エバポレータ40の下側に配されている。
【0056】
ケース81は、エバポレータカバー91を含んで構成される。そのエバポレータカバー91は、エバポレータ40の後側を覆うようにしてブラケット部材90に固定される。そのエバポレータカバー91には、挿通孔91aが形成されており、エバポレータ40への入力側の冷媒配管と出力側の冷媒配管との両者の端末部92が、その挿通孔91aから後方に突出する状態となっている。なお、その端末部92は、後に詳しく説明するが、ハウジング11の背面から外側にまで延び出しており、先に説明した冷媒配管44に接続されている。
【0057】
また、ブラケット部材90にエバポレータ40および加熱装置21が取り付けられた状態において、ブラケット部材90の前方下側に形成された開口90aの上方側と同じ高さ位置に位置するようになっている。そして、ケース81は、そのブラケット部材90の前方下側の開口90aを前側から覆うヒータカバー93を含んで構成される。そのヒータカバー93は、ブラケット部材90に対して、ネジで固定するようになっており、容易に脱着することが可能なものとなっている。
【0058】
さらに、ブラケット部材90には、取り付けられた加熱装置21より下側の側面に、取付孔90bが形成されており、加湿装置22のスプレーノズル50の先端がブラケット部材90の内側に突出した状態で取り付けられている。さらにまた、2つの循環ファン36が取り付けられたファンブラケット94が、ブラケット部材90の上方を覆うようにして取り付けられている。なお、前述した温度センサ60および湿度センサ61は、図8に示すように、ファンブラケット94上に取り付けられている。そして、他の部品もケース81等に組み付けられ、エバポレータAssy80が構成される。
【0059】
そして、エバポレータAssy80は、ブラケット部材90の後端における上下方向に延びる外縁に沿って張り出すように形成された張出し部90cにおいて、ハウジング11の内部背面に固定されている。そして、このエバポレータAssy80の前側に、前述の背面パネル32が配されるのである。
【0060】
つまり、本温湿度調節庫10は、このエバポレータAssy80をハウジング11の外で組み付け、その組み付けたエバポレータAssy80を、ハウジング11の空間12内における背面に固定するだけで、機能部品等の取り付けが完了する。したがって、本温湿度調節庫10は、製造工程を簡易化することができるようになっている。一方で、機能部品の修理や交換等の作業が発生した場合であっても、エバポレータAssy80を取り外せば、ハウジング11の外で作業を行うことができるため、狭い空間12内で作業する場合に比較して、容易に作業を行うことができる。
【0061】
なお、ケース81内に存在する機能部品の中では、エバポレータ40やスプレーノズル50に比較して、ヒータ46の故障が生じやすい。本温湿度調節庫10は、底面パネル34、背面パネル32を取り外すことで、図8に示すように、エバポレータAssy80の表側にはアクセスすることができる。そして、ヒータカバー93をブラケット部材90から取り外すことで、開口90aからヒータ46に対する作業を行うことができるのである。したがって、ヒータ46の修理や交換は、エバポレータAssy80を取り外すことなく作業ができるため、それらの作業の容易化が図られている。
【0062】
また、エバポレータAssy80は、ブラケット部材90がハウジング11の内部背面11aに固定された状態において、エバポレータ40とハウジング11の内部背面11aとの間には、隙間G1が設けられている。つまり、ケース81は、エバポレータ40をハウジング11の内部背面11aに接しない状態で保持するものとなっている。それにより、エバポレータ40の冷気が、ハウジング11に直接伝わることがなく、ハウジング11の背面の結露を抑制することができる。
【0063】
エバポレータAssy80は、それの前側に配された背面パネル32に対して、ブラケット部材90より前方に突出した形状とされたファンブラケット94において接している。そのため、エバポレータ40に接しているブラケット部材90と背面パネル32との間には、隙間G2が設けられている。したがって、エバポレータ40の冷気が、背面パネル32に直接伝わることがなく、背面パネル32の収納室14側(前側)の面が結露することを防止し、例えば、収納室14内が結露して、パン生地に滴下するような事態を回避することができる。
【0064】
<冷媒配管による結露の防止>
本温湿度調節庫10は、機械室25を、ハウジング11の内部に設けず、ハウジング11の上側に設け、省スペースが図られたものとなっている。しかしながら、本温湿度調節庫10は、図6に示すように、ハウジング11の空間12内における背面側に機能部品室30を形成し、空間12内の上方に吸気路37が、下方に吐出路38が、それぞれ形成されており、ハウジング11の内部に、冷却装置20の冷媒配管44や電気配線等を通すのは難しい。特に、本温湿度調節庫10は、収納室14A,14Bが上下に2段のものとされているため、下段側の機能部品室30Bと機械室25とを接続する配管や配線を通すのは、極めて困難である。
【0065】
そこで、本温湿度調節庫10は、図19に示すように、機能部品室30からの配管や配線を、ハウジング11の背面から外側に出し、ハウジング11の背面側を上下方向に延ばして、機械室25と接続している。詳しく言えば、ハウジング11の背面における左右方向における一方側(図19において左側)には、上段用の冷却装置20の冷媒配管44Aと、下段用の冷却装置20の冷媒配管44Bとが、並行して上下に延びる状態で配されている。なお、図示は省略しているが、各種の電気配線が、機械室25から上下方向に延びており、後に詳しく説明するが、冷媒配管44A,44Bの近傍からハウジング11内に入り込んで、エバポレートAssy80に接続されている。一方、ハウジング11の背面における左右方向における他方側(図19において右側)には、上段用の加湿装置22の給水管51Aおよび給気管52Aと、下段用の加湿装置22の給水管51Bおよび給気管52Bとが、並行して上下に延びる状態で配されている。
【0066】
そして、図5に示すように、ハウジング11の背面には、上下方向に延びる長手状の2本の保護カバー100,102が取り付けられている。ハウジング11の背面における左右方向における一方側に配された第1保護カバー100は、冷媒配管44A,44Bおよび電気配線を覆って保護するためのものであり、ハウジング11の背面における左右方向における他方側に配された第2保護カバー102は、給水管51A,51Bおよび給気管52A,52Bを覆って保護するためのものである。ただし、第1保護カバー100には、外気を取り込むための複数の通気孔100aが設けられている。第1保護カバー100は、冷却装置20の凝縮器42からエバポレータ40までの冷却された冷媒を輸送する部分であるため、冷媒配管44A,44Bを、第2保護カバー102と同様のカバーで覆ってしまうと、カバーの内部に冷気がこもり、カバーや配管や配線に、結露が生じてしまう。それに対して、第1保護カバー100は、複数の通気孔100aを有しているため、外気を保護カバー100の内部に取り込んで、結露しやすい箇所に外気にさらすことができるため、結露を抑制することができる。
【0067】
また、ハウジング11には、図20に示すように、第1保護カバー100で覆われている部分に、冷媒配管44A,44Bを挿通させるための冷媒配管挿通孔110A,110Bが形成されるとともに、それら冷媒配管挿通孔110A,110Bの斜め上方には、電気配線を挿通させるための電気配線挿通孔111A,111Bが形成されている。ちなみに、冷媒配管挿通孔110A,110Bからは、前述したエバポレータAssy80に組み付けられた冷媒配管の端末部92が延びだしており、その端末部92に冷媒配管44が接続される。また、ハウジング11の第2保護カバー102で覆われている部分には、加湿装置22用の挿通孔112A,112Bが、2つずつ形成されている。
【0068】
そして、冷媒配管挿通孔110A,110Bは、冷媒配管44A,44Bを挿通させるものであるため、ハウジング11の冷媒配管挿通孔110A,110Bの周囲には、断熱材114(図19参照)を設けているものの、冷気は伝わりやすく、結露や露付が生じる虞がある。また、それら冷媒配管挿通孔110A,110Bの近傍に形成された電気配線挿通孔111A,111Bも同様である。そこで、それら冷媒配管挿通孔110A,110Bおよび電気配線挿通孔111A,111Bの周囲には、複数の開孔115が形成されている。詳しく言えば、それら複数の開孔115は、それぞれが上下方向に延びる長孔であり、全体として、千鳥配置となるように形成されている。それら複数の開孔115によって、冷媒配管挿通孔110A,110Bおよび電気配線挿通孔111A,111Bが囲まれているため、本温湿度調節庫10は、ハウジング11における冷媒配管挿通孔110A,110Bおよび電気配線挿通孔111A,111Bの周囲への冷気の伝達を抑制することができ、結露を抑えることができるようになっているのである。なお、複数の開孔115の各々は、上下方向に延びる長孔とされていたが、横方向に延びる長孔であってもよく、また、長孔に限定されるものでもない。複数の開孔115は、千鳥状に配されていたが、それに限定されず、冷気の伝達を抑えるべく、挿通孔110,111を囲むように配されればよい。
【符号の説明】
【0069】
10…温湿度調節庫〔貯蔵庫〕、11…ハウジング〔貯蔵庫本体〕、11a…内部背面、12A,12B…空間、14A,14B…収納室〔貯蔵室〕、20…冷却装置、21…加熱装置、22…加湿装置、30A,30B…機能部品室、32…背面パネル〔区画部材〕、36…循環ファン、40…エバポレータ(蒸発器)、42…凝縮器、44…冷媒配管、46…ヒータ、50…スプレーノズル、80…エバポレータAssy、81…ケース、92…端末部(冷媒配管)、93…ヒータカバー、100…第1保護カバー〔保護カバー〕、 100a…複数の通気孔、110…冷媒配管挿通孔、111…電気配線挿通孔、115…複数の開孔
図1
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図6
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