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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】冷蔵ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20221202BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20221202BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
A47F3/04 F
F25D23/02 303M
F25D21/04 Q
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018159061
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020031760
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐基
(72)【発明者】
【氏名】関 和芳
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-164273(JP,A)
【文献】特開2017-020711(JP,A)
【文献】特開2005-180883(JP,A)
【文献】特開2012-013304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00~ 3/14
A47F 11/00~11/10
F25D 21/04
F25D 23/02
F25D 23/06~23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室の開口を開閉するためのガラス扉を備える冷蔵ショーケースであって、
前記ガラス扉は、
板状ガラスと、
前記板状ガラスの周縁部を保持するフレームと、
前記フレームの少なくとも一部に沿って配策されたコードヒータと、
前記板状ガラスのガラス面に形成された透明導電膜からなるガラスヒータと、を備え、
前記フレームは、
前記板状ガラスの第1領域に隣接して配され、前記コードヒータから所定の熱量が伝えられる第1部分と、
前記板状ガラスの第2領域に隣接して配され、前記コードヒータから前記第1部分より小さい熱量が伝えられる第2部分と、を有し、
前記ガラスヒータは、冷却運転時において、前記ガラスヒータのみに通電し、前記コードヒータに通電しない場合に、前記板状ガラスの前記第1領域の庫外側の面の温度が露点温度を下回るような発熱量に設定されている、冷蔵ショーケース。
【請求項2】
前面に開口する前記貯蔵室を有するケース本体を備え、
前記貯蔵室には、天面における奥側に庫内を冷却するための冷気の吹出口が配され、
前記板状ガラスは、前記第1領域が下部に位置し、前記第2領域が上部に位置する、請求項1に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項3】
前記コードヒータは、前記第1部分に沿って配策された第1ヒータ線と、前記第2部分に沿って配策された第2ヒータ線と、を含み、前記第2ヒータ線の発熱量が前記第1ヒータ線の発熱量より小さくなるように構成されている、請求項1又は請求項2に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項4】
前記コードヒータは、前記第1ヒータ線を有する第1コードヒータと、前記第2ヒータ線を有する第2コードヒータと、を備えて構成されている、請求項3に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項5】
前記コードヒータは、前記第2ヒータ線の抵抗値が前記第1ヒータ線の抵抗値より小さいものとされ、前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線が直列に接続されている、請求項3に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項6】
前記コードヒータは、前記第1ヒータ線と前記第1ヒータ線より小さい抵抗値を有する前記第2ヒータ線とが一体の可変抵抗コードヒータである、請求項3に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項7】
前記コードヒータは、発熱量が前記第1ヒータ線から前記第2ヒータ線に向かうにつれて小さくなる構成とされている、請求項3に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項8】
前記コードヒータは、ヒータ線が前記第1部分に沿って配策されるとともに、前記第2部分に沿って配策されない構成とされる、請求項1又は請求項2に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項9】
前記フレームは、前記板状ガラスの上縁部を保持する上枠部と、前記板状ガラスの両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部と、前記板状ガラスの下縁部を保持する下枠部と、を有し、
前記第1部分は、前記下枠部と前記一対の側枠部における相対的に下側に位置する下側部分とされ、
前記第2部分は、前記一対の側枠部における相対的に上側に位置する上側部分と前記上枠部とされる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項10】
前記フレームは、前記板状ガラスの上縁部を保持する上枠部と、前記板状ガラスの両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部と、前記板状ガラスの下縁部を保持する下枠部と、を有し、
前記第1部分は、前記下枠部とされ、
前記第2部分は、前記一対の側枠部及び前記上枠部とされる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項11】
前記フレームは、前記板状ガラスの上縁部を保持する上枠部と、前記板状ガラスの両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部と、前記板状ガラスの下縁部を保持する下枠部と、を有し、
前記第1部分は、前記下枠部及び前記一対の側枠部とされ、
前記第2部分は、前記上枠部とされる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項12】
貯蔵室の開口を開閉するためのガラス扉を備える冷蔵ショーケースであって、
前記ガラス扉は、
板状ガラスと、
前記板状ガラスの周縁部を保持するフレームと、
前記フレームの少なくとも一部に沿って配策されたコードヒータと、
前記板状ガラスのガラス面に形成された透明導電膜からなるガラスヒータと、を備え、
前記フレームは、
前記板状ガラスの第1領域に隣接して配され、前記コードヒータから所定の熱量が伝えられる第1部分と、
前記板状ガラスの第2領域に隣接して配され、前記コードヒータから前記第1部分より小さい熱量が伝えられる第2部分と、を有し、
前記ガラスヒータは、前記板状ガラスの前記第1領域の発熱量が前記板状ガラスの前記第2領域の発熱量より小さくなるように構成されている、冷蔵ショーケース。
【請求項13】
前面に開口する前記貯蔵室を有するケース本体を備え、
前記貯蔵室には、天面における奥側に庫内を冷却するための冷気の吹出口が配され、
前記板状ガラスは、前記第1領域が上部に位置し、前記第2領域が下部に位置する、請求項12に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項14】
前記ガラスヒータには、前記透明導電膜の周端部における互いに対向する位置に一対の電極が設けられており、
前記一対の電極は、前記板状ガラスの前記第2領域に対応する位置に配されるとともに、前記板状ガラスの前記第1領域に対応する位置に配されない構成とされる、請求項12又は請求項13に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項15】
前記板状ガラスは、一対のガラスが断熱層を介して積層された複層ガラスとされる、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項16】
前記フレームは、前記ガラス扉が閉じられた状態において、庫内側に位置する樹脂部材と、庫外側に位置する金属部材と、を備えて構成され、
前記金属部材は、前記板状ガラスの前記周縁部における庫外側の面を支持する支持壁部と、前記コードヒータを係止する係止部と、を有する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の冷蔵ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、冷蔵ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防露ヒータとして機能する透明導電膜を全面に被着した透明ガラス板と、透明ガラス板の上縁と下縁とに沿って配設され、電源に接続して透明導電膜に通電する一対の外部接続電極と、外部接続電極を被覆する態様で透明ガラス板を保持する上下一対となるフレームとを備えたショーケース用扉体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-13304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷蔵ショーケースのガラス扉は、庫内の冷気の循環や空気の自然対流等の影響により、冷却運転時において、所定の温度分布を有して冷却される場合がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、透明ガラス板の結露を抑制するために、透明ガラス板の全面を一様に加熱する構成であるため、透明ガラス板の部位によっては、庫外側の面が露点温度を大幅に超えて加熱され、結露防止に係る電力が無駄に消費される虞がある。
【0006】
本明細書に開示の技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る作用を損なうことなく、結露防止に係る消費電力を低減可能な冷蔵ショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本明細書に開示の冷蔵ショーケースは、貯蔵室の開口を開閉するためのガラス扉を備える冷蔵ショーケースであって、前記ガラス扉は、板状ガラスと、前記板状ガラスの周縁部を保持するフレームと、前記フレームの少なくとも一部に沿って配策されたコードヒータと、を備え、前記フレームは、前記板状ガラスの第1領域に隣接して配され、前記コードヒータから所定の熱量が伝えられる第1部分と、前記板状ガラスの第2領域に隣接して配され、前記コードヒータから前記第1部分より小さい熱量が伝えられる第2部分とを、有する。
【0008】
このような構成によれば、コードヒータの熱はフレームに伝えられ、さらにはフレームを介して板状ガラスに伝えられる。上記構成では、コードヒータからフレームに伝えられる熱量が第1部分より第2部分の方が小さいものとされるから、冷却運転時において、所定の温度分布を有して冷却されたフレーム及び板状ガラスの各表面の温度を露点温度以上とする場合に、フレームにおける第1部分と第2部分の各々、さらには板状ガラスにおける第1領域と第2領域の各々にコードヒータから必要に応じた量の熱量を与えることができる。この結果、結露防止に係る作用を損なうことなく、コードヒータからフレームに伝わる熱量が全域で第1部分と同じとされる構成に比して、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0009】
上記構成において、前面に開口する前記貯蔵室を有するケース本体を備え、前記貯蔵室には、天面における奥側に庫内を冷却するための冷気の吹出口が配され、前記板状ガラスは、前記第1領域が下部に位置し、前記第2領域が上部に位置していてもよい。このような構成によれば、吹出口からの冷気が、板状ガラスの第2領域に比して大きい風速かつ低い温度で当たる板状ガラスの第1領域の温度を露点温度以上とする場合に、フレーム及び板状ガラスを一様に加熱する構成に比して、第2領域(及びフレームの第2部分)を必要以上に加熱しないようにすることができ、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0010】
前記コードヒータは、前記第1部分に沿って配策された第1ヒータ線と、前記第2部分に沿って配策された第2ヒータ線と、を含み、前記第2ヒータ線の発熱量が前記第1ヒータ線の発熱量より小さくなるように構成されていてもよい。このような構成によれば、好適に、コードヒータからフレームの第2部分に伝えられる熱量を第1部分に伝えられる熱量より小さい構成とすることができる。
【0011】
前記コードヒータは、前記第1ヒータ線を有する第1コードヒータと、前記第2ヒータ線を有する第2コードヒータと、を備えて構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば、抵抗値が異なる複数のコードヒータに同じ大きさの電圧を印加したり、同じ抵抗値を有する複数のコードヒータに異なる大きさの電流を流したりすることより、好適に、第2ヒータ線の発熱量が第1ヒータ線の発熱量より小さい構成とすることができる。
【0012】
前記コードヒータは、前記第2ヒータ線の抵抗値が前記第1ヒータ線の抵抗値より小さいものとされ、前記第1ヒータ線と前記第2ヒータ線が直列に接続されていてもよい。このような構成によれば、好適に、第2ヒータ線の発熱量が第1ヒータ線の発熱量より小さい構成とすることができる。また、第1ヒータ線と第2ヒータ線が互いに接続されることにより、リード線の全長を短くすることができ、リード線の配策に係るスペースを低減することができる。
【0013】
前記コードヒータは、前記第1ヒータ線と前記第1ヒータ線より小さい抵抗値を有する前記第2ヒータ線とが一体の可変抵抗コードヒータであってもよい。このような構成によれば、第1ヒータ線と第2ヒータ線とを別途接続する必要がなく、コードヒータの組み付け性がよい。
【0014】
前記コードヒータは、発熱量が前記第1ヒータ線から前記第2ヒータ線に向かうにつれて小さくなる構成とされていてもよい。このような構成によれば、フレームの第1部分から第2部分に向かうにつれてコードヒータから伝えられる熱量が漸次低減するものとすることができる。この結果、フレーム及び板状ガラスをその温度勾配に応じて加熱することができ、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。
【0015】
前記コードヒータは、ヒータ線が前記第1部分に沿って配策されるとともに、前記第2部分に沿って配策されない構成とされていてもよい。このような構成によれば、フレームの全域に亘ってヒータ線を配策する構成に比して、ヒータ線の全長を短くすることができ、コードヒータに係る部品単価を低減することができる。さらに、ヒータ線が短くなることにより、コードヒータを取り回しし易くなり、コードヒータの組み付け性がよい。
【0016】
前記フレームは、前記板状ガラスの上縁部を保持する上枠部と、前記板状ガラスの両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部と、前記板状ガラスの下縁部を保持する下枠部と、を有し、前記第1部分は、前記下枠部と前記一対の側枠部における相対的に下側に位置する下側部分とされ、前記第2部分は、前記一対の側枠部における相対的に上側に位置する上側部分と前記上枠部とされていてもよい。このような構成によれば、フレーム内部の空気の自然対流や庫内における冷気の循環等により、フレーム下部に比して温度が高くなりやすいフレーム上部を第2部分とすることにより、フレーム上部を必要以上に加熱しないようにすることができる。また、フレームの一対の側枠部において、下側部分と上側部分の寸法を、例えば、ガラスヒータの発熱量や冷蔵ショーケースの冷却特性等に応じて適宜設定することにより、板状ガラスを必要に応じて加熱することができる。これらの結果、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。
【0017】
前記フレームは、前記板状ガラスの上縁部を保持する上枠部と、前記板状ガラスの両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部と、前記板状ガラスの下縁部を保持する下枠部と、を有し、前記第1部分は、前記下枠部とされ、前記第2部分は、前記一対の側枠部及び前記上枠部とされていてもよい。このような構成によれば、フレーム内部の空気の自然対流や庫内における冷気の循環等により、フレームの下枠部に比して温度が高くなりやすい一対の側枠部及び上枠部を第2部分とすることにより、一対の側枠部及び上枠部を必要以上に加熱しないようにすることができ、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。また、フレームにおいて特に冷却され易く、フレーム内部の空気の自然対流による熱移動により加熱され難い下枠部にのみヒータ線を配策することにより、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る作用を損なうことなく、ヒータ線の全長を短くすることができ、また、コードヒータを取り回しし易くなる。
【0018】
前記フレームは、前記板状ガラスの上縁部を保持する上枠部と、前記板状ガラスの両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部と、前記板状ガラスの下縁部を保持する下枠部と、を有し、前記第1部分は、前記下枠部及び前記一対の側枠部とされ、前記第2部分は、前記上枠部とされていてもよい。このような構成によれば、フレーム内部の空気の自然対流や庫内における冷気の循環等により、フレームの下枠部及び一対の側枠部に比して温度が高くなりやすい上枠部を第2部分とすることにより、上枠部を必要以上に加熱しないようにすることができ、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。
【0019】
前記板状ガラスのガラス面に形成された透明導電膜からなるガラスヒータを更に備え、前記ガラスヒータは、冷却運転時において、前記ガラスヒータのみに通電し、前記コードヒータに通電しない場合に、前記板状ガラスの前記第1領域の庫外側の面の温度が露点温度を下回るような発熱量に設定されていてもよい。このような構成によれば、ガラスヒータの発熱量のみにより板状ガラス全体の庫外側の面の温度が露点温度以上とされる構成に比して低消費電力のガラスヒータを採用することにより、板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減することができる。そして、ガラスヒータの発熱量の不足分を、コードヒータからフレームを介して板状ガラスに伝えられる熱量により補うことにより、板状ガラスの結露を抑制することができる。
【0020】
前記板状ガラスのガラス面に形成された透明導電膜からなるガラスヒータを更に備え、前記ガラスヒータは、前記板状ガラスの前記第1領域の発熱量が前記板状ガラスの前記第2領域の発熱量より小さくなるように構成されていてもよい。このような構成によれば、例えば、ガラスヒータ全域が第2領域と同じ発熱量とされる構成に比して、ガラスヒータの発熱量を低減することができ、板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減することができる。そして、第1領域におけるガラスヒータの発熱量の不足分を、コードヒータからフレームの第1部分を介して第1領域に伝えられる熱量により補うことにより、板状ガラスの第1領域における結露を抑制することができる。
【0021】
上記構成において、前面に開口する前記貯蔵室を有するケース本体を備え、前記貯蔵室には、天面における奥側に庫内を冷却するための冷気の吹出口が配され、前記板状ガラスは、前記第1領域が上部に位置し、前記第2領域が下部に位置していてもよい。このような構成によれば、吹出口からの冷気が、板状ガラスの第1領域に比して大きい風速かつ低い温度で当たる板状ガラスの第2領域においては、第2領域に配設されたガラスヒータにより十分に加熱することができ、板状ガラスの第2領域より冷却され難い第1領域においては、ガラスヒータよりも局所的な加熱態様であるコードヒータにより適度に加熱することができる。このため、ガラスヒータとコードヒータの双方により板状ガラスを一様に加熱する構成に比して、第1領域を必要以上に加熱しないようにすることができ、板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0022】
前記ガラスヒータには、前記透明導電膜の周端部における互いに対向する位置に一対の電極が設けられており、前記一対の電極は、前記板状ガラスの前記第2領域に対応する位置に配されるとともに、前記板状ガラスの前記第1領域に対応する位置に配されない構成とされていてもよい。このような構成によれば、板状ガラスにおける第1領域の発熱量が、第2領域の発熱量より小さいガラスヒータを好適に実現することができる。なお、一対の電極が配されていない板状ガラスの第1領域については、第1領域の温度が露点以上となるようにコードヒータの発熱量を設定することで第1領域の結露を抑制することが可能である。
【0023】
前記板状ガラスは、一対のガラスが断熱層を介して積層された複層ガラスとされていてもよい。このような構成によれば、板状ガラスが単層ガラスとされる構成に比して、板状ガラスの庫外側の面が貯蔵室内の冷気により冷却され難く、より一層、板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減することができる。また、ガラス面を鉛直方向に沿わせた姿勢で配設される場合には、一対のガラス間の空気の自然対流により、板状ガラスの下部に比して上部の温度が高くなりやすいが、板状ガラスにおける第1領域と第2領域の各々にコードヒータから必要に応じた量の熱量を与え、上部を必要以上に加熱しないようにすることができ、板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0024】
前記フレームは、前記ガラス扉が閉じられた状態において、庫内側に位置する樹脂部材と、庫外側に位置する金属部材と、を備えて構成され、前記金属部材は、前記板状ガラスの前記周縁部における庫外側の面を支持する支持壁部と、前記コードヒータを係止する係止部と、を有していてもよい。このような構成によれば、コードヒータからの熱が金属部材を介して板状ガラスの庫外側の面に伝わり易く、コードヒータにより効率よく板状ガラスを加熱することができる。
【発明の効果】
【0025】
本明細書に開示の技術によれば、結露防止に係る作用を損なうことなく、フレーム及び板状ガラスの結露防止に係る消費電力を低減可能な冷蔵ショーケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態1に係る冷蔵ショーケースの正面図
図2】冷蔵ショーケースの断面図
図3】ガラス扉の一部断面図(図1のIII-III線で切断した図に対応)
図4】ガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図5】実施形態2に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図6】実施形態3に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図7】コードヒータの抵抗値を表すグラフ
図8】実施形態4に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図9】コードヒータの抵抗値を表すグラフ
図10】実施形態5に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図11】実施形態6に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図12】実施形態7に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図13】実施形態8に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
図14】実施形態9に係るガラスヒータとコードヒータの構成を模式的に示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図4によって説明する。本実施形態では、2ドア型の冷蔵ショーケース10について例示する。なお、以下の説明では、図1の左右方向を水平方向、上下方向を鉛直方向とし、図2の紙面左側を前側、紙面右側を後側として説明する。
【0028】
冷蔵ショーケース10は、図1及び図2に示されるように、前面に開口する貯蔵室12を有するケース本体11と、貯蔵室12の開口13を開閉するためのガラス扉40,40と、を備えている。冷蔵ショーケース10は、ガラス扉40,40を通して貯蔵室12内を前方から視認可能とされている。
【0029】
ケース本体11は、縦長の断熱箱体からなり、内部が貯蔵室12とされる。貯蔵室12には、複数段にわたって食品や飲料品を冷蔵陳列するための棚網14が装着されるようになっている。貯蔵室12の開口13は、仕切枠15によって左右に仕切られており、仕切枠15の両側に一対のガラス扉40,40が、観音開き式に開閉可能に装着されている。
【0030】
ケース本体11の上面には機械室20が設けられ、その中に冷凍装置21が設置されている。冷凍装置21は、圧縮機22、凝縮器ファン24付きの凝縮器23等を備え、断熱性の基台25上に取り付けられてユニット化されている。基台25は、ケース本体11の天井壁17の窓孔18を塞ぐようにしてケース本体11に取り付けられている。
【0031】
貯蔵室12には、天面17Aにおける奥側に庫内を冷却するための冷気の吹出口35が配されている。具体的には、ケース本体11の天井壁17の窓孔18には、ドレンパンを兼ねたエアダクト26が張設され、その上方に冷却器室30が形成されている。エアダクト26の底面は、奥縁(図1の右側)に向けて下り勾配となるように形成され、手前側の領域に吸込口32が開口されているとともに、奥縁側に吹出口35が切り欠き形成されている。
【0032】
冷却器室30内には、冷却器31(蒸発器)と、吸込口32に臨んで配された庫内ファン33が装備されている。冷却器31は上記した冷凍装置21と冷媒配管で循環接続され、周知の冷凍サイクルを構成している。そして、冷凍装置21(圧縮機22)を運転しつつ庫内ファン33を駆動すると、貯蔵室12の室内空気が庫内ファン33によって吸込口32から冷却器室30内に吸引され、その空気が冷却器31を流通する間に熱交換によって冷気が生成される。その冷気が吹出口35から貯蔵室12の奥面に沿うようにして吹き出され、貯蔵室12内に冷気が循環供給されるようになっている。図2においては、吹出口35から吹き出された冷気の流れを白抜き矢印で示す。
【0033】
次に、ガラス扉40について図1から図3を参照しつつ説明する。なお、一対のガラス扉40,40は、互いに左右対称に構成されており、以下の説明では、右側のガラス扉40について説明し、左側のガラス扉40についての説明を省略する。
【0034】
ガラス扉40は、板状ガラス41と、板状ガラス41の周縁部42を保持するフレーム50と、フレーム50の少なくとも一部に沿って配策されたコードヒータ60と、を備えている。また、ガラス扉40は、板状ガラス41のガラス面45Aに形成された透明導電膜71からなるガラスヒータ70と、フレーム50に取り付けられる取手48と、フレーム50における裏側(ケース本体11側)に取り付けられるドアガスケット49と、を更に備えている。以下の説明では、ガラス扉40の設置状態において、下方に位置する部分を下部40Aと呼び、上方に位置する部分を上部40Bと呼ぶ。
【0035】
板状ガラス41は、平面視長方形状の透明な板状部材とされ、長手方向を鉛直方向に沿わせる姿勢で設置されている。本実施形態では、板状ガラス41は、一対のガラス45,46が断熱層47を介して積層された複層ガラスとされている。断熱層47は、例えば乾燥空気等が充填された熱伝導率が低い層とされ、庫内の冷気により庫外側のガラス45が冷却され難い構成とされている。
【0036】
フレーム50は、板状ガラス41の上縁部を保持する上枠部51と、板状ガラス41の両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部52,52と、板状ガラス41の下縁部を保持する下枠部53と、を有している。上枠部51、一対の側枠部52、及び下枠部53の各々は、互いに組み付けられて矩形枠状に形成されている。フレーム50は、板状ガラス41の周縁部42を収容可能な断面視略U字状をなし、熱伝導を小さくする目的で内部に空気層を含む中空構造となっている。フレーム50は、ガラス扉40が閉じられた状態において、相対的に庫内側に位置する樹脂部材55と、相対的に庫外側に位置する金属部材56と、を備えて構成されている。樹脂部材55は例えばポリプロピレン等の樹脂材料で形成され、金属部材56は例えばアルミニウム等の金属材料で形成されている。
【0037】
金属部材56は、板状ガラス41の周縁部42における庫外側の面43を支持する支持壁部57と、支持壁部57の外周端部から庫内側に向けて延設された外周壁部58と、外周壁部58の内面に設けられ、コードヒータ60を係止する係止部59と、を有する。支持壁部57は、板状ガラス41の庫外側の面43に沿って延在する額縁状をなし、周縁部42の庫外側の面43に板状の樹脂部材55を介して当接する構成とされる。係止部59は、コードヒータ60の外周面のうち三方を囲む溝状をなし、内部にコードヒータ60が組み付けられる構成とされる。
【0038】
次に、ガラス扉40の結露防止に係る構成について図4を参照しつつ説明する。
フレーム50は、板状ガラス41の第1領域41Aに隣接して配され、コードヒータ60から所定の熱量が伝えられる第1部分50Aと、板状ガラス41の第2領域41Bに隣接して配され、コードヒータ60から第1部分50Aより小さい熱量が伝えられる第2部分50Bとを、有する。本実施形態では、第2部分50Bにおいて、「コードヒータから第1部分より小さい熱量が伝えられる」構成として、第1部分50Aに配策されたヒータ線の発熱量より第2部分50Bに配策されたヒータ線の発熱量が小さい構成について例示する。
【0039】
板状ガラス41は、第1領域41Aが下部40Aに位置し、第2領域41Bが上部40Bに位置する。具体的には、第1領域41Aは、板状ガラス41のおよそ下半分を占める部分とされ、第2領域41Bは板状ガラス41のおよそ上半分を占める部分とされる。この「第1領域」は、庫内の冷気の影響や、一対のガラス45,46内の空気やフレーム50内部の空気の自然対流の影響により、「第2領域」に比して冷却され易い領域となっている。そして、フレーム50は、第1部分50Aが板状ガラス41の第1領域41Aの周囲に位置し、第2部分50Bが板状ガラス41の第2領域41Bの周囲に位置する。具体的には、第1部分50Aは、下枠部53と一対の側枠部52,52における相対的に下側に位置する下側部分52Aとされ、第2部分50Bは、一対の側枠部52,52における相対的に上側に位置する上側部分52Bと上枠部51とされる。なお、図4においては、フレーム50を2点鎖線で描いている。
【0040】
コードヒータ60は、第1部分50Aに沿って配策された第1ヒータ線60Aと、第2部分50Bに沿って配策された第2ヒータ線60Bと、を含んでいる。第1ヒータ線60Aは、第1部分50Aに沿ってU字状に配策され、第2ヒータ線60Bは、第2部分50Bに沿って逆U字状に配策されている。
【0041】
コードヒータ60は、第1ヒータ線60Aを有する第1コードヒータ61と、第2ヒータ線60Bを有する第2コードヒータ62と、を備えて構成されている。第1コードヒータ61は、第1ヒータ線60Aの両端部にリード線65が接続され、第1ヒータ線60Aがリード線65を介して外部の電源に接続される。また、第2コードヒータ62は、第2ヒータ線60Bの両端部にリード線65が接続され、第2ヒータ線60Bがリード線65を介して外部の電源に接続される。コードヒータ60は、第1ヒータ線60A及び第2ヒータ線60Bの各々がフレーム50の係止部59に取り付けられ、リード線65がフレーム50から外部に引き出されている。
【0042】
コードヒータ60は、第2ヒータ線60Bの発熱量が第1ヒータ線60Aの発熱量より小さくなるように構成されている。ここで、発熱量は、同じ電圧値の場合、抵抗値に反比例する。このため、例えば、第1コードヒータ61と第2コードヒータ62を並列接続し、双方に同じ大きさの電圧を印加する場合には、コードヒータ60は、例えば、第2ヒータ線60Bの抵抗値を、第1ヒータ線60Aの抵抗値より大きいものとすることにより構成することができる。本願説明において、ヒータ線の抵抗値とは、ヒータ線における単位長さ当たりの抵抗値を指すものとする。なお、第1ヒータ線60Aと第2ヒータ線60Bの発熱量を異なるものとする構成はこれに限られず、例えば、第1ヒータ線60Aと第2ヒータ線60Bを同等の抵抗値を有するものとして、第2ヒータ線60Bに印加される電圧値を、第1ヒータ線60Aに印加される電圧値より小さいものとすることにより構成してもよい。また、第2ヒータ線60Bに対する通電率を第1ヒータ線60Aに対する通電率よりも低くすることで第2ヒータ線60Bの発熱量が第1ヒータ線60Aの発熱量より小さくなるようにしてもよい。
【0043】
ガラスヒータ70は、複層ガラスにおける庫外側に位置するガラス45の内側のガラス面45Aに設けられている(図3参照)。透明導電膜71は、ガラス面45Aの略全域に形成されている。ガラスヒータ70には、透明導電膜71の周端部における互いに対向する位置に一対の電極73,73が設けられている。透明導電膜71は、例えば、酸化スズ等の金属酸化物の薄膜とされ、ガラス面45Aに一様に被着されている。一対の電極73,73は、例えば、銀ペーストを焼き付けて長手状に形成されたものとされ、上下方向において、透明導電膜71の全長に亘って形成されている。一対の電極73,73は、図示しないリード線と接続され、リード線を介して外部の電源と接続されている。このような構成により、ガラスヒータ70は、板状ガラス41のガラス面45Aにおいて一様の発熱量となるものとされている。図4においては、板状ガラス41においてガラスヒータ70により加熱される領域に網掛けを付して描いている。
【0044】
次に、冷蔵ショーケース10の冷却運転時の作用について説明する。冷蔵ショーケース10を冷却運転すると、図2に示されるように、吹出口35から吹き出された冷気は、貯蔵室12の奥面に沿って流れた後、貯蔵室12の底面に沿って前方に向けて流れる。このため、ガラス扉40の板状ガラス41の第1領域41Aには他の領域に比して、風速が強く温度が低い状態で冷気が当たることとなる。また、フレーム50内部の空気の自然対流や断熱層47の空気の自然対流により、ガラス扉40の上部40Bが相対的に高温域となり、下部40Aが相対的に低温域となる。すると、板状ガラス41の庫外側の面43の表面温度は、第1領域41Aの方が第2領域41Bに比して低くなる。板状ガラス41の熱伝導率は、フレーム50の金属部材56を構成する金属材料の熱伝導率に比して低く、板状ガラス41における第1領域41Aと第2領域41Bとの温度勾配が解消され難いものとされる。このため、ガラス45の庫外側の面43を露点温度以上の温度とするために必要とされる熱量は、板状ガラス41の第2領域41Bより第1領域41Aの方が大きくなる。仮に、ガラスヒータ70及びコードヒータ60に通電しない状態では、板状ガラス41が庫内の冷気により冷やされ、庫外側の面43が露点温度以下となる。すると、板状ガラス41の庫外側の面43に結露が発生し、ガラス扉40の視認性が悪くなる他、結露水が床面へ滴下することが懸念される。
【0045】
ガラスヒータ70の通電状態では、一対の電極73,73間に電流が流れ、透明導電膜71が発熱し、板状ガラス41のガラス面45Aが一様に加熱される。コードヒータ60の通電状態では、第1ヒータ線60Aの発熱量に比して第2ヒータ線60Bの発熱量が小さい態様で、第1ヒータ線60A及び第2ヒータ線60Bが発熱する。係止部59に取り付けられたコードヒータ60の第1ヒータ線60A及び第2ヒータ線60Bからの熱は、フレーム50の金属部材56に伝導され、フレーム50の外面が露点温度以上の温度となるようにフレーム50が加熱される。さらに、コードヒータ60の第1ヒータ線60A及び第2ヒータ線60Bからの熱は、主に、フレーム50の支持壁部57を介してガラス45の周縁部42に伝導される。ガラス45の庫外側の面43は、ガラスヒータ70からの熱とフレーム50を介して伝えられるコードヒータ60からの熱とにより、露点温度以上の温度となるように加熱される。この際、コードヒータ60の第1ヒータ線60Aからフレーム50の第1部分50Aに伝えられる熱量より、第2ヒータ線60Bから第2部分50Bに伝えられる熱量が小さいものとされるから、第1部分50Aから第1領域41Aに伝えられる熱量に比して、第2部分50Bから第2領域41Bに伝えられる熱量が小さいものとされる。このため、ガラスヒータ70とコードヒータ60との協働により、庫内の冷気により冷却され難い第2領域41Bを露点温度を大幅に上回る温度に加熱することなく、庫内の冷気により冷却され易い第1領域41Aを露点温度以上に加熱することができる。この結果、コードヒータ60からフレーム50に伝えられる熱量が各部で一様とされる構成に比して、コードヒータ60の消費電力量を抑制しつつ、板状ガラス41の結露発生を抑制することができる。
【0046】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、コードヒータ60の熱はフレーム50に伝えられ、さらにはフレーム50を介して板状ガラス41に伝えられる。上記構成では、コードヒータ60からフレーム50に伝えられる熱量が第1部分50Aより第2部分50Bの方が小さいものとされるから、冷却運転時において、所定の温度分布を有して冷却されたフレーム50及び板状ガラス41の各表面の温度を露点温度以上とする場合に、フレーム50における第1部分50Aと第2部分50Bの各々、さらには板状ガラス41における第1領域41Aと第2領域41Bの各々にコードヒータ60から必要に応じた量の熱量を与えることができる。この結果、結露防止に係る作用を損なうことなく、コードヒータ60からフレーム50に伝えられる熱量が全域で第1部分50Aと同じとされる構成に比して、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、前面に開口する貯蔵室12を有するケース本体11を備え、貯蔵室12には、天面17Aにおける奥側に庫内を冷却するための冷気の吹出口35が配され、板状ガラス41は、第1領域41Aが下部40Aに位置し、第2領域41Bが上部40Bに位置する。このような構成によれば、吹出口35からの冷気が、板状ガラス41の第2領域41Bに比して大きい風速かつ低い温度で当たる板状ガラス41の第1領域41Aの温度を露点温度以上とする場合に、フレーム50及び板状ガラス41を一様に加熱する構成に比して、第2領域41B(及びフレーム50の第2部分50B)を必要以上に加熱しないようにすることができ、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0048】
また、コードヒータ60は、第1部分50Aに沿って配策された第1ヒータ線60Aと、第2部分50Bに沿って配策された第2ヒータ線60Bと、を含み、第2ヒータ線60Bの発熱量が第1ヒータ線60Aの発熱量より小さくなるように構成されている。このような構成によれば、好適に、コードヒータ60からフレーム50の第2部分50Bに伝えられる熱量を第1部分50Aに伝えられる熱量より小さい構成とすることができる。
【0049】
また、本実施形態では、コードヒータ60は、第1ヒータ線60Aを有する第1コードヒータ61と、第2ヒータ線60Bを有する第2コードヒータ62と、を備えて構成されている。このような構成によれば、例えば、抵抗値が異なる複数のコードヒータに同じ大きさの電圧を印加したり、同じ抵抗値を有する複数のコードヒータに異なる大きさの電流を流したり、第2ヒータ線60Bに対する通電率(電圧の印加時間)を第1ヒータ線60Aに対する通電率よりも低くしたりすることより、第2ヒータ線60Bの発熱量が第1ヒータ線60Aの発熱量より小さい構成とすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、フレーム50は、板状ガラス41の上縁部を保持する上枠部51と、板状ガラス41の両側縁部をそれぞれ保持する一対の側枠部52,52と、板状ガラス41の下縁部を保持する下枠部53と、を有し、第1部分50Aは、下枠部53と一対の側枠部52,52における相対的に下側に位置する下側部分52Aとされ、第2部分50Bは、一対の側枠部52,52における相対的に上側に位置する上側部分52B,52Bと上枠部51とされる。このような構成によれば、フレーム50内部の空気の自然対流や庫内の冷気の循環等により、フレーム50下部に比して温度が高くなりやすいフレーム50上部を第2部分50Bとすることにより、フレーム50上部を必要以上に加熱しないようにすることができる。また、フレーム50の一対の側枠部52,52において、下側部分52Aと上側部分52Bの寸法を、例えば、ガラスヒータ70の発熱量や冷蔵ショーケースの冷却特性(庫内の温度や冷気の循環経路)等に応じて適宜設定することにより、板状ガラス41を必要に応じて加熱することができる。これらの結果、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。
【0051】
また、本実施形態では、板状ガラス41は、一対のガラス45,46が断熱層47を介して積層された複層ガラスとされる。このような構成によれば、板状ガラス41が単層ガラスとされる構成に比して、板状ガラス41の庫外側の面43が貯蔵室12内の冷気により冷却され難く、より一層、板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を低減することができる。また、ガラス面45Aを鉛直方向に沿わせた姿勢で配設される場合には、一対のガラス45,46間の空気の自然対流により、板状ガラス41の下部40Aに比して上部40Bの温度が高くなりやすいが、板状ガラス41における第1領域41Aと第2領域41Bの各々にコードヒータ60から必要に応じた量の熱量を与え、上部40Bを必要以上に加熱しないようにすることができ、板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0052】
また、本実施形態では、フレーム50は、ガラス扉40が閉じられた状態において、庫内側に位置する樹脂部材55と、庫外側に位置する金属部材56と、を備えて構成され、金属部材56は、板状ガラス41の周縁部42における庫外側の面43を支持する支持壁部57と、コードヒータ60を係止する係止部59と、を有する。このような構成によれば、コードヒータ60からの熱が金属部材56を介して板状ガラス41の庫外側の面43に伝わり易く、コードヒータ60により効率よく板状ガラス41を加熱することができる。
【0053】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図5によって説明する。本実施形態では、コードヒータの構成が上記実施形態と相違するガラス扉140について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
コードヒータ160は、第2ヒータ線160Bの抵抗値が第1ヒータ線160Aの抵抗値より小さいものとされ、第1ヒータ線160Aと第2ヒータ線160Bが直列に接続されている。ここで、発熱量は、同じ電流値の場合、抵抗値に比例する。このため、このようなコードヒータ160は、第2ヒータ線160Bの発熱量が第1ヒータ線160Aの発熱量より小さい構成となる。具体的には、コードヒータ160は、第1ヒータ線160Aの一端部と第2ヒータ線160Bの一端部とが接続部167を介して接続されている。そして、第1ヒータ線160A及び第2ヒータ線160Bの他端部には、リード線65,65が接続され、第1ヒータ線160Aと第2ヒータ線160Bがリード線65,65を介して外部の電源に接続される。接続部167は、例えば、絶縁被覆付圧着スリーブ等を用いて、第1ヒータ線160Aと第2ヒータ線160Bをカシメて、絶縁物により覆った構成とされる。
【0055】
本実施形態によれば、好適に、第2ヒータ線160Bの発熱量が第1ヒータ線160Aの発熱量より小さい構成とすることができる。また、第1ヒータ線160Aと第2ヒータ線160Bが互いに接続されることにより、リード線65の全長を短くすることができ、リード線65の配策に係るスペースを低減することができる。
【0056】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図6及び図7によって説明する。本実施形態では、コードヒータの構成が上記実施形態と相違するガラス扉240について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0057】
コードヒータ260は、第1ヒータ線260Aと第1ヒータ線260Aより小さい抵抗値を有する第2ヒータ線260Bが一体の可変抵抗コードヒータであるものとされる。具体的には、コードヒータ260は、例えば、図7に示すように、第2ヒータ線260Bを構成する範囲Bの抵抗値が、第1ヒータ線260Aを構成する範囲Aの抵抗値より小さい構成とされている。そして、第1ヒータ線260Aを構成する範囲Aをフレーム50の第1部分50Aに沿って配策し、第2ヒータ線260Bを構成する範囲Bをフレーム50の第2部分50Bに沿って配策するものとされている。
【0058】
本実施形態によれば、第1ヒータ線260Aと第2ヒータ線260Bとを別途接続する必要がなく、コードヒータ260の組み付け性がよい。
【0059】
<実施形態4>
次に、実施形態4を図8及び図9によって説明する。本実施形態では、コードヒータの構成が上記実施形態と相違するガラス扉340について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0060】
コードヒータ360は、発熱量が第1ヒータ線360Aから第2ヒータ線360Bに向かうにつれて小さくなる構成とされている。コードヒータ360は、例えば、可変抵抗コードヒータとされ、図9に示すように、ヒータ線360A,360Bにおいて、フレーム50の上枠部51に対応する範囲Aの抵抗値が、下枠部53に対応する範囲Dの抵抗値より小さい構成とされ、一対の側枠部52,52に対応する範囲B,C及び範囲E,Fの抵抗値が連続的に変化する構成とされている。そして、第1ヒータ線360Aを構成する範囲C,D,Eをフレーム50の第1部分50Aに沿って配策し、第2ヒータ線360Bを構成する範囲A,B,Fをフレーム50の第2部分50Bに沿って配策するものとされている。
【0061】
本実施形態によれば、フレーム50の第1部分50Aから第2部分50Bに向かうにつれてコードヒータ360から伝えられる熱量が漸次低減するものとすることができる。この結果、フレーム50及び板状ガラス41をその温度勾配に応じて加熱することができ、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。
【0062】
<実施形態5>
次に、実施形態5を図10によって説明する。本実施形態では、コードヒータの構成が上記実施形態と相違するガラス扉440について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0063】
フレーム50は、板状ガラス41の第1領域41Aに隣接して配され、コードヒータ460から所定の熱量が伝えられる第1部分50Aと、板状ガラス41の第2領域41Bに隣接して配され、コードヒータ460から第1部分50Aより小さい熱量が伝えられる第2部分50Bとを、有する。本実施形態では、第2部分50Bにおいて、「コードヒータから第1部分より小さい熱量が伝えられる」構成として、第1部分50Aに所定の発熱量のヒータ線460Aが配策される一方、第2部分50Bにヒータ線が配策されず、第2部分50Bに直接的に伝えられる熱量がほぼ0である構成について例示する。
【0064】
板状ガラス41は、第1領域41Aが下部に位置し、第2領域41Bが上部に位置する。具体的には、第1領域41Aは、板状ガラス41のおよそ下1/3程度の範囲を占める部分とされ、第2領域41Bは板状ガラス41のおよそ上2/3程度の範囲を占める部分とされる。そして、フレーム50は、第1部分50Aが板状ガラス41の第1領域41Aの周囲に位置し、第2部分50Bが板状ガラス41の第2領域41Bの周囲に位置する。具体的には、第1部分50Aは、下枠部53と一対の側枠部52,52における相対的に下側に位置する下側部分52Aとされ、第2部分50Bは、一対の側枠部52,52における相対的に上側に位置する上側部分52Bと上枠部51とされる。
【0065】
コードヒータ460は、ヒータ線460Aが第1部分50Aに沿って配策されるとともに、第2部分50Bに沿って配策されない構成とされる。ヒータ線460Aは、第1部分50Aに沿ってU字状に配策され、その両端部に接続されたリード線65を介して外部の電源に接続される。なお、ヒータ線460Aの両端部の位置、つまり、フレーム50の第1部分50Aの上端の位置は、一対の側枠部52の任意の位置に適宜設定することができる。
【0066】
本実施形態によれば、フレーム50の全域に亘ってヒータ線460Aを配策する構成に比して、ヒータ線460Aの全長を短くすることができ、コードヒータ460に係る部品単価を低減することができる。さらに、ヒータ線460Aが短くなることにより、コードヒータ460を取り回しし易くなり、コードヒータ460の組み付け性がよい。
【0067】
また、本実施形態によれば、フレーム50内部及び断熱層47の空気の自然対流や庫内における冷気の循環等により、フレーム50下部に比して温度が高くなりやすいフレーム50上部を第2部分50Bとすることにより、フレーム50上部を必要以上に加熱しないようにすることができる。また、フレーム50の一対の側枠部52,52において、下側部分52Aと上側部分52Bの寸法を、例えば、ガラスヒータ70の発熱量や冷蔵ショーケース10の冷却特性(庫内の温度や冷気の循環経路)等に応じて適宜設定することにより、板状ガラス41を必要に応じて加熱することができる。これらの結果、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。
【0068】
<実施形態6>
次に、実施形態6を図11によって説明する。本実施形態では、フレームにおける第1部分と第2部分の配置が上記実施形態5と相違するガラス扉540について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0069】
フレーム50は、第1部分550Aが下枠部53とされ、第2部分550Bが一対の側枠部52,52及び上枠部51とされる。コードヒータ560は、ヒータ線560Aが第1部分550Aに沿って直線状に配策され、その両端部に接続されたリード線65を介して外部の電源に接続される。
【0070】
本実施形態によれば、フレーム50内部の空気の自然対流や庫内における冷気の循環等により、フレーム50の下枠部53に比して温度が高くなりやすい一対の側枠部52及び上枠部51を第2部分550Bとすることにより、一対の側枠部52及び上枠部51を必要以上に加熱しないようにすることができ、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。また、フレーム50において特に冷却され易く、フレーム50内部の空気の自然対流による熱移動が乏しい下枠部53にのみヒータ線560Aを配策することにより、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る作用を損なうことなく、ヒータ線560Aの全長を短くすることができ、また、コードヒータ560を取り回しし易くなる。
【0071】
<実施形態7>
次に、実施形態7を図12によって説明する。本実施形態では、フレームにおける第1部分と第2部分の配置が上記実施形態5と相違するガラス扉640について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0072】
フレーム50は、第1部分650Aが下枠部53及び一対の側枠部52,52とされ、第2部分650Bが上枠部51とされる。コードヒータ660は、ヒータ線660Aが第1部分650Aに沿ってU字状に配策され、その両端部に接続されたリード線65を介して外部の電源に接続される。
【0073】
本実施形態によれば、フレーム50内部の空気の自然対流や庫内における冷気の循環等により、フレーム50の下枠部53及び一対の側枠部52に比して温度が高くなりやすい上枠部51を第2部分650Bとすることにより、上枠部51を必要以上に加熱しないようにすることができ、フレーム50及び板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を好適に低減することができる。
【0074】
<実施形態8>
次に、実施形態8を図13によって説明する。本実施形態では、ガラスヒータの構成が上記実施形態と相違するガラス扉740について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0075】
ガラスヒータ770は、冷却運転時において、ガラスヒータ770のみに通電し、コードヒータ60に通電しない場合に、板状ガラス41の第1領域41Aの庫外側の面43の温度が露点温度を下回るような発熱量に設定されている。このような発熱量は、例えば、冷蔵ショーケース10の使用環境を想定して露点温度の予想上限値を定め、板状ガラス41の第1領域41Aにおいてこの上限値を下回るような所定の発熱量に予め設定してもよく、また、外気温度等から露点温度を近似的に算出してこれを下回るような発熱量に適宜設定してもよい。冷蔵ショーケースにおいては、その加熱する領域の大きさに応じて、ガラスヒータの発熱量が、コードヒータの発熱量に比して大きくなることが一般的である。本実施形態では、消費電力が大きいガラスヒータ770の発熱量を従来に比して低減しつつ、第1領域41Aにおけるガラスヒータ770の発熱量の不足分を、フレーム50の第1部分50Aから第1領域41Aに伝えられるコードヒータ60からの熱により補完する構成とされる。
【0076】
本実施形態では、第1領域41Aは、板状ガラス41のおよそ下1/4の範囲を占める部分とされ、第2領域41Bは板状ガラス41のおよそ上3/4の範囲を占める部分とされる。そして、フレーム50は、第1部分50Aが板状ガラス41の第1領域41Aの周囲に位置し、第2部分50Bが板状ガラス41の第2領域41Bの周囲に位置する。
【0077】
コードヒータ60は、第1部分50Aに沿って配策された第1ヒータ線60Aと、第2部分50Bに沿って配策された第2ヒータ線60Bと、を含んでいる。第1ヒータ線60Aは、板状ガラス41の第1領域41Aを囲むU字状に配策され、第2ヒータ線60Bは、第2領域41Bを囲む逆U字状に配策されている。そして、第2ヒータ線60Bの発熱量が第1ヒータ線60Aの発熱量より小さくなるように構成されている。
【0078】
本実施形態によれば、ガラスヒータ770の発熱量のみにより板状ガラス41全体の庫外側の面43の温度が露点温度以上とされる構成に比して低消費電力のガラスヒータ770を採用することにより、板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を低減することができる。そして、ガラスヒータ770の発熱量の不足分を、コードヒータ60からフレーム50を介して板状ガラス41に伝えられる熱量により補うことにより、板状ガラス41の結露を抑制することができる。
【0079】
<実施形態9>
次に、実施形態9を図14によって説明する。本実施形態では、ガラスヒータ及びコードヒータの構成が上記実施形態と相違するガラス扉840について例示する。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0080】
ガラスヒータ870は、板状ガラス41の第1領域841Aの発熱量が板状ガラス41の第2領域841Bの発熱量より小さくなるように構成されている。本実施形態では、第1領域841Aは、第2領域841Bに比して、ガラスヒータ870から伝えらえる熱量が低減された領域(以下、加熱領域である第1領域841Aと区別するために非(低)加熱領域とも呼ぶ)とされている。なお、「ガラスヒータ870から伝えらえる熱量が低減される」とは、当該領域にガラスヒータ870が配設されておらず、ガラスヒータ870から直接的に伝えらえる熱量がほぼ0である構成も含むものとする。
【0081】
本実施形態では、板状ガラス41は、第1領域841Aが上部に位置し、第2領域841Bが下部に位置する。具体的には、第1領域841Aは、板状ガラス41のおよそ上1/4の範囲を占める部分とされ、第2領域841Bは板状ガラス41のおよそ下3/4の範囲を占める部分とされる。この「第1領域」は、一対のガラス45,46内の空気やフレーム50内部の空気の自然対流の影響により、「第2領域」に比して冷却され難い領域となっている。そして、フレーム50は、第1部分850Aが板状ガラス41の第1領域841Aの周囲に位置し、第2部分850Bが板状ガラス41の第2領域841Bの周囲に位置する。具体的には、第1部分850Aは、上枠部51と一対の側枠部52,52における相対的に上側に位置する上側部分とされ、第2部分850Bは、一対の側枠部52,52における相対的に下側に位置する下側部分と下枠部53とされる。
【0082】
透明導電膜71は、ガラス面45Aの全域に形成され、水平方向両側に一対の電極873,873が設けられている。そして、一対の電極873,873は、板状ガラス41の第2領域841Bに対応する位置に配されるとともに、板状ガラス41の第1領域841Aに対応する位置に配されない構成とされる。具体的には、一対の電極873,873は、一対の側枠部52の下側部分の各々に沿って、それぞれ上下方向に延びる形で設けられている。ガラスヒータ870は、その発熱領域が電極873の位置に応じて定まるものとされており、一対の電極873,873の位置を適宜設定することにより、板状ガラス41の加熱領域と非加熱領域が形成されている。
【0083】
コードヒータ860は、第1部分850Aに沿って配策された第1ヒータ線860Aと、第2部分850Bに沿って配策された第2ヒータ線860Bと、を含んでいる。第1ヒータ線860Aは、板状ガラス41の第1領域841Aを囲む逆U字状に配策され、第2ヒータ線860Bは、第2領域841Bを囲むU字状に配策されている。本実施形態では、第1ヒータ線860Aは、板状ガラス41の第1領域841Aよりやや広い範囲を囲み、両端部が第2領域841Bの側方に位置するものとされる。そして、第2ヒータ線860Bの発熱量が第1ヒータ線860Aの発熱量より小さくなるように構成されている。第1ヒータ線860Aの発熱量は、上述のような非加熱領域を有するガラスヒータ870を用いる場合に、ガラスヒータ870の非加熱領域である第1領域841Aの庫外側の面43の温度が露点温度以上となるように適宜設定されている。
【0084】
次に、板状ガラス41の第1領域841Aが加熱される態様について説明する。平面視長方形状をなす第1領域841Aの上側の辺部と左右両側の辺部には、コードヒータ860の第1ヒータ線860Aからの熱がフレーム50の支持壁部57から伝えられ、この熱が板状ガラス41の温度勾配に沿って第1領域841Aの中心部に向けて伝導される。第1領域841Aの下側の辺部には、第2領域841Bに位置するガラスヒータ870の加熱領域からの熱が一部伝えられるとともに、第2領域841Bの側方に延びる形で延長された第1ヒータ線860Aの両端部からの熱がフレーム50の支持壁部57及び板状ガラス41の第2領域841Bを介して伝えられることとなる。第1領域841Aにおいて下側の長辺には、その他の辺部に比してコードヒータ860からの熱が伝えられ難く、第1領域841Aはその中心部のやや下側の部位が最も加熱され難い領域とされる。このため、この加熱され難い領域が露点温度以上となるように、コードヒータ860とガラスヒータ870の発熱量が適宜設定され、また、このような加熱され難い領域の面積を縮小するべく、第1領域841Aの面積が適宜設定されている。
【0085】
本実施形態によれば、例えば、ガラスヒータ全域が第2領域841Bと同じ発熱量とされる構成に比して、ガラスヒータ870の発熱量を低減することができ、板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を低減することができる。そして、第1領域841Aにおけるガラスヒータ870の発熱量の不足分を、コードヒータ860からフレーム50の第1部分850Aを介して第1領域841Aに伝えられる熱量により補うことにより、板状ガラス41の第1領域841Aにおける結露を抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、板状ガラス41は、第1領域841Aが上部に位置し、第2領域841Bが下部に位置する。このような構成によれば、吹出口35からの冷気が、板状ガラス41の第1領域841Aに比して大きい風速かつ低い温度で当たる板状ガラス41の第2領域841Bにおいては、第2領域841Bに配設されたガラスヒータ870により十分に加熱することができ、板状ガラス41の第2領域841Bより冷却され難い第1領域841Aにおいては、ガラスヒータ870よりも局所的な加熱態様であるコードヒータ860により適度に加熱することができる。このため、ガラスヒータ870とコードヒータ860の双方により板状ガラス41を一様に加熱する構成に比して、第1領域841Aを必要以上に加熱しないようにすることができ、板状ガラス41の結露防止に係る消費電力を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態では、一対の電極873,873は、板状ガラス41の第2領域841Bに対応する位置に配されるとともに、板状ガラス41の第1領域841Aに対応する位置に配されない構成とされる。このような構成によれば、板状ガラス41における第1領域841Aの発熱量が、第2領域841Bの発熱量より小さいガラスヒータ870を好適に実現することができる。
【0088】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態1~8では、第1領域が板状ガラスの下部に位置し、第2領域が上部に位置する構成を例示し、上記実施形態9では、第1領域が板状ガラスの上部に位置し、第2領域が下部に位置する構成を例示したが、第1領域と第2領域の配置はこれに限られない。例えば、第1領域及び第2領域の配置は、板状ガラスの設置姿勢、庫内の冷気の循環経路、貯蔵室における冷気が溜まりやすい部位等に応じて適宜設定することができる。さらに、板状ガラスにおいて、第1領域及び第2領域の範囲、形状は適宜変更可能であり、また、板状ガラスは第1領域及び第2領域以外にも他の領域を有していてもよい。
(2)上記実施形態では、冷蔵ショーケースが板状ガラスのガラス面に形成された透明導電膜からなるガラスヒータを備えるものを例示したが、これに限られない。冷蔵ショーケースは、例えば、板状ガラスの形状、大きさ、断熱性能や、貯蔵室内の温度等によっては、ガラスヒータを備えず、コードヒータのみを備える構成であってもよい。また、ガラスヒータの配設範囲、電気的構成も適宜変更可能である。
(3)上記実施形態以外にも、フレームの第1部分と第2部分とで、コードヒータから伝えられる熱量を変更するため構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
(4)上記実施形態以外にも、各実施形態の構成を適宜組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態2~7のコードヒータの電気的構成と、実施形態8,9のガラスヒータの電気的構成とを適宜組み合わせたものとしてもよい。また、実施形態1~4において、フレームにおける第1部分と第2部分の配置を実施形態6または実施形態7のようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、板状ガラスが複層ガラスからなるものを例示したが、板状ガラスは単層ガラスにより構成されていてもよい。また、上記実施形態では、ガラス扉が観音開き式に開閉可能とされるものを例示したが、ガラス扉は片開き式に開閉可能とされるものや、スライド式に開閉可能とされるもの等であってもよい。
(6)上記実施形態以外にも、フレームの各部の構成、フレームへのコードヒータの取り付け態様等は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…冷蔵ショーケース、11…ケース本体、12…貯蔵室、17A…天面、35…吹出口、40,140,240,340,440,540,640,740,840…ガラス扉、41…板状ガラス、41A,841A…第1領域、41B,841B…第2領域、42…周縁部、43…庫外側の面、45…ガラス、45A…ガラス面、47…断熱層、50…フレーム、50A,550A,650A,850A…第1部分、50B,550B,650B,850B…第2部分、51…上枠部、52…側枠部、52A…下側部分、52B…上側部分、53…下枠部、55…樹脂部材、56…金属部材、57…支持壁部、59…係止部、60,160,260,360,460,560,660,860…コードヒータ、60A,160A,260A,360A,860A…第1ヒータ線、60B,160B,260B,360B,860B…第2ヒータ線、61…第1コードヒータ、62…第2コードヒータ、70,770,870…ガラスヒータ、71…透明導電膜、167…接続部、460A,560A,660A…ヒータ線、873…電極
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