(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 27/00 20060101AFI20221202BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20221202BHJP
F25D 23/02 20060101ALN20221202BHJP
【FI】
F25D27/00
F25D29/00 B
F25D23/02 D
(21)【出願番号】P 2018177459
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 将
(72)【発明者】
【氏名】渡部 守
(72)【発明者】
【氏名】藤原 徹
(72)【発明者】
【氏名】長澤 文雄
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032204(JP,A)
【文献】特開2010-139078(JP,A)
【文献】特開2006-064376(JP,A)
【文献】特開平07-042421(JP,A)
【文献】特開2012-247140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有し、一の面に開口を有する箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体に対して取り付けられ、前記開口を開閉可能な扉と、
前記貯蔵室に配される庫内灯と、を備え、
前記庫内灯は、前記開口に近い位置に設けられ、
前記扉側を向く一方の面と、前記扉と反対側を向く他方の面と、を有する基板と、
前記一方の面に設けられ
、前記扉が開いたことを検知するための赤外線センサと、
前記他方の面に設けられた光源と、を備える貯蔵庫。
【請求項2】
前記庫内灯は、前記貯蔵室を構成する壁部の壁面に設けられ、
前記光源は、前記他方の面における前記貯蔵室の中心側の端部に配されている請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記基板は、前記開口から離れるにつれて前記貯蔵室を構成する壁面から離れる姿勢で配されている、請求項1または2に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、扉を開いたことを検知して、庫内灯を点灯させる構成のものが知られている。特許文献1には、扉側にマグネットが設けられ、貯蔵庫本体(冷蔵庫本体)側にリードスイッチが設けられている構成が記載されている。特許文献1の構成では、扉が開かれるとマグネットがリードスイッチから遠ざかることでリードスイッチが作動し、扉が開いたことを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成においては、リードスイッチと庫内灯をそれぞれ貯蔵庫本体に対して組み付ける必要があり、作業工数が多くなってしまう。このため庫内灯の組み付けに係る作業工数をより低減することが求められている。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、庫内灯の組み付けに係る作業工数を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫は、貯蔵室を有する箱状の貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体に対して取り付けられ、前記貯蔵室を開閉可能な扉と、前記貯蔵室に配される庫内灯と、を備え、前記庫内灯は、前記扉側を向く一方の面と、前記扉と反対側を向く他方の面と、を有する基板と、前記一方の面に設けられた赤外線センサと、前記他方の面に設けられた光源と、を備えることに特徴を有する。
【0007】
上記構成によれば、扉が開くことで赤外線センサの検知可能領域内の温度(赤外線量)が変化することから、この温度変化を赤外線センサによって検知することで扉が開いたことを検知することができる。これにより、扉が開いたことを検知して光源を点灯させることができる。上記構成では、赤外線センサ及び光源が共通の基板に設けられており、赤外線センサ及び光源を一つの部品として取り扱うことができる。このため、例えば赤外線センサと光源とが異なる箇所に配されている構成と比べて、組み付けに係る作業工数を低減することができる。また、他方の面に設けられている光源は、扉側から貯蔵室内を照らすことができる。このため、貯蔵室の前部(比較的扉に近い側)に庫内灯を配することができ、庫内灯の組み付けやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0008】
また、前記庫内灯は、前記貯蔵室を構成する壁部の壁面に設けられ、前記光源は、前記他方の面における前記貯蔵室の中心側の端部に配されているものとすることができる。光源から貯蔵室の中心に向かう光が基板によって遮られる事態を抑制でき、より確実に貯蔵室内を照らすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、庫内灯の組み付けに係る作業工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷却貯蔵庫を示す正面図
【
図7】庫内灯を示す断面図(
図6のVII-VII線で切断した図に対応)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態を
図1から
図7によって説明する。本実施形態では、
図1に示すように、貯蔵庫として2ドア式の横型(テーブル型)の冷却貯蔵庫10を例示する。冷却貯蔵庫10は、
図1に示すように、横長の箱状をなす貯蔵庫本体11(断熱箱体)と、貯蔵庫本体11の側方(左側)に配される機械室12と、一対の扉13,13(断熱扉)と、冷却貯蔵庫10の天面を構成する天板15と、を備える。以下の説明では、扉13側を前側、扉13とは反対側を後側とし、前後方向をY軸方向とする。また、冷却貯蔵庫10を前側から視た状態における左右方向を冷却貯蔵庫10の左右方向(X軸方向)とし、冷却貯蔵庫10の高さ方向をZ軸方向とする。
【0012】
貯蔵庫本体11は、
図3に示すように、外装板14と内装板19の間に発泡樹脂等の断熱材(図示せず)が充填されることで構成されている。貯蔵庫本体11は、前方に開口された開口部16Aを有する箱体であり、開口部16Aと連通する貯蔵室16を有している。また、貯蔵室16の左側には冷却ダクト17を介して図示しない冷却器室が設けられ、冷却器室には冷却器や冷却ファン等が収容されている。冷却ファンが駆動することで冷却器室と貯蔵室16との間で空気を循環させることができ、冷却器で生成された冷気が貯蔵室16に供給される構成となっている。一対の扉13,13は観音開き式の扉であり、各扉13は、それぞれ上下一対のヒンジ18,18を介して貯蔵庫本体11に対して回動可能に取り付けられている。これにより、扉13は、貯蔵室16を開閉可能な構成となっている。また、開口部16Aはセンターピラー21(
図1参照、
図2では図示省略)によって左右に仕切られている。
【0013】
図2に示すように、貯蔵室16の天井面には庫内灯30が配されている。庫内灯30は、貯蔵室16の前部に配されている。庫内灯30は、
図7に示すように、左右方向に長い基板31と、基板31を収容するケース50と、LED33(光源)と、赤外線センサ40と、を備える。基板31は、後方(庫内側)に向かうにつれて下降傾斜する姿勢で配されており、扉13側(前側)を向く一方の面31Aと、扉13と反対側(後側)を向く他方の面31Bと、を有する。より詳しくは、一方の面31Aは、扉13に向かうにつれて下降傾斜する方向に向いており、他方の面31Bは、扉13から遠ざかるにつれて上昇傾斜する方向に向いている。赤外線センサ40は一方の面31Aに設けられ、LED33は他方の面31Bに設けられている。また、庫内灯30は、
図3に示すように、貯蔵室16の天井面24(貯蔵室を構成する壁部の壁面)に設けられている。なお、貯蔵室16の天井面24は、内装板19(貯蔵室を構成する壁部)によって構成されている。LED33は、
図7に示すように、他方の面31Bにおける貯蔵室16の中心側(
図7では右下側)の端部に配されている。なお、
図8では、貯蔵室16の中心P1(庫内中心)を図示している。
【0014】
赤外線センサ40は、焦電型の赤外線センサとされ、
図7に示すように、基板31に実装される焦電素子41(センサ素子)と、焦電素子41の周囲を囲む周壁部42と、焦電素子41を前方から覆う半球状のレンズ43と、を備える。レンズ43の周端部には全周に亘って延びる突起部45(フランジ部)が設けられている。赤外線センサ40は、検知可能領域内の赤外線量の変化に基づいて扉13が開いたことを検知することが可能となっている。具体的には赤外線センサ40は、前方(扉13側)を向く形で配されており、赤外線センサ40の検知可能領域は、赤外線センサ40の前方の領域を含むものとされる。これにより、扉13が閉状態から開状態になると、赤外線センサ40の検知可能領域内の温度(赤外線量)が変化することから、この温度変化を赤外線センサ40によって検知することで、扉13が開いたことを検知することができる。赤外線センサ40及びLED33はそれぞれ制御基板である基板31に対して電気的に接続されており、赤外線センサ40によって扉13が開いたことが検知されるとLED33が点灯する構成となっている。また、基板31は、制御部22と電気的に接続されており、制御部22は、赤外線センサ40によって扉13が開いたことが検知されると冷却ファンを停止させる等の制御を行う。なお、制御部22は、例えば機械室12に配されているがこれに限定されない。
【0015】
ケース50は、
図4及び
図5に示すように、左右方向に長い箱状をなしており、側面視においては略三角形状をなしている(
図7の断面図参照)。ケース50は、遮光性を有する部材によって構成された第1ケース構成部材51と、透光性を有する部材によって構成された第2ケース構成部材52と、遮光性を有する部材によって構成された第3ケース構成部材53と、を備える。第1ケース構成部材51は、貯蔵室16の天井面を構成する内装板19(
図6参照)に取り付けられる台座部54と、台座部54の前端に設けられ、後方に向かうにつれて下降傾斜する形で延びる前側壁部58と、を備える。
【0016】
台座部54の裏面において左右方向の両端部には、取付爪55がそれぞれ設けられている。
図6に示すように、内装板19の上面において取付爪55に対応する箇所には、補強板20が設けられている。内装板19には貫通孔19Aが貫通形成され、補強板20には貫通孔20Aが貫通形成されている。取付爪55は、貫通孔19A及び貫通孔20Aに対して下方から挿通された後、補強板20における貫通孔20Aの孔縁部に対して上方から係止する構成となっている。なお、補強板20を備えていなくてもよく、取付爪55が内装板19における貫通孔19Aの孔縁部に対して上方から直接的に係止する構成であってもよい。
【0017】
また、
図5に示すように、台座部54には、基板31から引き出された配線23(
図7参照)をケース50外に引き出すための配線取出口56が形成されている。台座部54には、
図5に示すように、一対の挿通孔54A,54Aが形成されている。挿通孔54Aに挿通されたねじ63は、第2ケース構成部材52に設けられた取付ボス64に締結されている。
【0018】
図5に示すように、第2ケース構成部材52は、LED33を主に後方から覆うカバー部57を備える。カバー部57は透光性を有しており、LED33の光はカバー部57を通じてケース50外に出射可能となっている。これにより、LED33からの出射光は、主に後方に向かうことになり、貯蔵室16内を照らすことができる。なお、カバー部57は、例えば透過する光を拡散させる構成となっている。第2ケース構成部材52は、上方に開口された開口部52Aと、前方に開口された開口部52Bと、を有しており、開口部52Aは、第1ケース構成部材51の台座部54によって塞がれ、開口部52Bは、第1ケース構成部材51の前側壁部58によって塞がれている。
【0019】
ケース50は、
図4に示すように、赤外線センサ40が挿通される円形状の貫通孔50Aを有する。第3ケース構成部材53は、第2ケース構成部材52に対して固定されており、第1ケース構成部材51と共に貫通孔50Aを構成する。なお、第3ケース構成部材53が第2ケース構成部材52と一体的に形成されていてもよい。赤外線センサ40は、貫通孔50Aの孔縁部によって保持されている。
図5に示すように、第1ケース構成部材51の前側壁部58において左右方向の中央部には、下方に開口された凹部59が形成され、凹部59の底部には、下方に開口された半円弧状をなす貫通孔構成部60が形成されている。貫通孔構成部60は、貫通孔50Aの上半分を構成するものとされる。
【0020】
図5に示すように、第3ケース構成部材53は、カバー部57の前端部のうち左右方向の中央部から上方に延び、第1ケース構成部材51の凹部59を塞ぐ板状をなしている。第3ケース構成部材53は、上方に開口された半円弧状をなす貫通孔構成部61を有している。貫通孔構成部61は、貫通孔50Aの下半分を構成するものとされる。
【0021】
貫通孔50Aの内周面(貫通孔構成部60の下面及び貫通孔構成部61の上面)には、全周に亘って溝部62が形成されている。より詳しくは、溝部62は、貫通孔構成部60の下面に形成された溝部62Aと、貫通孔構成部61の上面に形成された溝部62Bによって構成されている。溝部62(溝部62A及び溝部62B)には、
図7に示すように、赤外線センサ40のレンズ43に設けられた突起部45が嵌合される。これにより、貫通孔構成部60及び貫通孔構成部61によって赤外線センサ40を挟み込むことで赤外線センサ40を保持することが可能となっている。
【0022】
次に本実施形態の効果について説明する。上記構成によれば、扉13が開くことで赤外線センサ40の検知可能領域内の温度(赤外線量)が変化することから、この温度変化を赤外線センサ40によって検知することで扉13が開いたことを検知することができる。これにより扉13が開いたことを検知してLED33を点灯させることができる。上記構成では、赤外線センサ40及びLED33が共通の基板31に設けられている。このため、赤外線センサ40及びLED33を一つの部品として取り扱うことができるので、例えば赤外線センサ40とLED33とが異なる箇所に配されている構成と比べて、組み付けに係る作業工数を低減することができる。また、他方の面31Bに設けられているLED33は、扉13側から貯蔵室16内を照らすことができる。このため、貯蔵室16の前部(比較的扉に近い側)に庫内灯30を配することができ、庫内灯30の組み付けやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0023】
また、赤外線センサ40とLED33とを別々の箇所に配置した場合、赤外線センサ40とLED33の各々に対応して基板をそれぞれ備える必要がある。本実施形態では、赤外線センサ40とLED33とを基板31の表裏にそれぞれ配置することで基板の枚数を削減することができる。
【0024】
なお、仮にリードスイッチを用いて扉13が開いたことを検知する場合には、リードスイッチを扉13に設けられたマグネットに近接させて配置する必要がある。このため、リードスイッチは貯蔵室16に配することが困難であり、庫内灯30と一体化させることは困難である。これに対して赤外線センサ40は、扉13から距離を離して配置した場合であっても、扉13が開いたことを検知することが可能である。このため、赤外線センサ40は、貯蔵室16に配することが可能であり、庫内灯30と一体化させることができる。
【0025】
また、庫内灯30は、基板31を収容するケース50を備え、ケース50は赤外線センサ40が挿通される貫通孔50Aを有し、赤外線センサ40は、貫通孔50Aの内周面に形成された溝部62に嵌合される突起部45を備える。赤外線センサ40を貫通孔50Aに挿通することで、赤外線センサ40をケース50外に露出させることができる。そして、突起部45を溝部62に嵌合させることで、赤外線センサ40を貫通孔50A内で保持することができる。このため、赤外線センサ40を介して基板31を保持することができ、基板31をケース50内で保持するための専用部材を削減することが可能となる。
【0026】
また、庫内灯30は、貯蔵室16の天井面24に設けられ、LED33は、基板31の他方の面31Bにおける貯蔵室16中心側の端部に配されている。LED33から貯蔵室16の中心に向かう光が基板31によって遮られる事態を抑制でき、より確実に貯蔵室16内を照らすことができる。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、貯蔵室16の天井面に庫内灯30が設けられている構成を例示したが、これに限定されない。例えば、庫内灯30は貯蔵室16の側面に設けられていてもよい。
(2)光源はLEDに限定されず、適宜変更可能である。また、赤外線センサ40は焦電型以外の赤外線センサを用いてもよく、例えば、センサ素子としてサーモパイルを備える赤外線センサを用いてもよい。
(3)上記実施形態では、貯蔵庫として冷却貯蔵庫を例示したが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0028】
10…冷却貯蔵庫(貯蔵庫)、11…貯蔵庫本体、13…扉、16…貯蔵室、24…天井面(貯蔵室を構成する壁部の壁面)、30…庫内灯、31…基板、31A…一方の面、31B…他方の面、33…LED(光源)、40…赤外線センサ、P1…貯蔵室16の中心