(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】射出成形システム、射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20221202BHJP
【FI】
B29C45/76
(21)【出願番号】P 2018180950
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】羽野 勝之
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-238105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0135237(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02704370(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0307627(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0120279(US,A1)
【文献】特開2006-110765(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132967(WO,A1)
【文献】特開昭61-118041(JP,A)
【文献】特開2002-009881(JP,A)
【文献】特開平04-175116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
G05B 19/418
H04L 12/28
H04L 12/40-12/417
H04L 12/44-12/46
H04L 13/00-13/18
H04L 61/00-65/80
H04L 69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、前記管理装置と共にネットワークを構成する複数の射出成形機と、を含み、それぞれの前記複数の射出成形機が前記ネットワークを通じて前記管理装置に稼働時の所定の情報を送信する射出成形システムであって、
前記複数の射出成形機のうちの一の射出成形機の前記所定の情報は、前記一の射出成形機の前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記複数の射出成形機のうちの他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
射出成形システム。
【請求項2】
前記一の射出成形機、及び、前記他の射出成形機は、同じ集線装置に並列して直接接続され、
前記ネットワークにおいて、前記一の射出成形機及び前記他の射出成形機のそれぞれが前記集線装置を経由して、前記管理装置と通信可能に接続され、
前記一の射出成形機の前記所定の情報は、前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項3】
前記ネットワークは、前記管理装置及び前記一の射出成形機を含む一のサブネットワークと、前記管理装置及び前記他の射出成形機を含む他のサブネットワークとを含み、
前記一の射出成形機は、前記一のサブネットワークを通じて、前記管理装置に前記所定の情報を送信し、
前記他の射出成形機は、前記他のサブネットワークを通じて、前記管理装置に前記所定の情報を送信し、
前記一の射出成形機及び前記他の射出成形機は、前記一のサブネットワーク及び前記他のサブネットワークを経由しない経路で通信可能に接続され、
前記一の射出成形機の前記所定の情報は、前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
請求項1又は2に記載の射出成形システム。
【請求項4】
前記一の射出成形機の前記所定の情報は、当該所定の情報に対応する複数のデータごとに、前記一の射出成形機の前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、相互に異なる前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の射出成形システム。
【請求項5】
前記管理装置、又は、前記複数の射出成形機のうちの特定の射出成形機は、前記複数の射出成形機の中に前記一の射出成形機の
前記所定の情報が経由可能な前記他の射出成形機の候補の射出成形機が複数あるときに、複数の前記候補の射出成形機のそれぞれの成形条件に基づき、前記候補の射出成形機の中から前記他の射出成形機を決定する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の射出成形システム。
【請求項6】
前記管理装置、又は、前記複数の射出成形機のうちの特定の射出成形機は、前記複数の射出成形機の中に前記一の射出成形機の
前記所定の情報が経由可能な前記他の射出成形機の候補の射出成形機が複数あるときに、複数の前記候補の射出成形機のそれぞれの稼働状況に基づき、複数の前記候補の射出成形機の中から前記他の射出成形機を決定する、
請求項1乃至
5の何れか一項に記載の射出成形システム。
【請求項7】
前記一の射出成形機の前記所定の情報は、前記一の射出成形機の成形サイクルに合わせて、前記一の射出成形機の前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
請求項1乃至
6の何れか一項に記載の射出成形システム。
【請求項8】
前記所定の情報には、成形品に関する情報と、メンテナンスに関する情報とが含まれる、
請求項1乃至
7の何れか一項に記載の射出成形システム。
【請求項9】
前記一の射出成形機の前記所定の情報に含まれる一部の情報だけが、前記一の射出成形機の前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
請求項
8に記載の射出成形システム。
【請求項10】
前記一の射出成形機の前記所定の情報は、前記一の射出成形機の前記ネットワークに対応する経路で、当該一の射出成形機を除く前記複数の射出成形機の全てを経由せずに前記管理装置に送信され、障害が発生すると、前記一の射出成形機の前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
請求項1乃至9の何れか一項に記載の射出成形システム。
【請求項11】
管理装置及び他の射出成形機と共にネットワークを構成し、該ネットワークを通じて前記管理装置に稼働時における所定の情報を送信する射出成形機であって、
前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に前記所定の情報を送信する、
射出成形機。
【請求項12】
管理装置及び他の射出成形機を含む少なくとも一以上の射出成形機と共にネットワークを構成し、前記他の射出成形機を含む少なくとも一以上の射出成形機の全てを経由しない経路で、前記管理装置に稼働時における所定の情報を送信する射出成形機であって、
前記経路とは異なる前記他の射出成形機を経由する経路で、前記管理装置に前記所定の情報を送信する、
射出成形機。
【請求項13】
管理装置及び他の射出成形機と共にネットワークを構成し、該ネットワークを通じて前記管理装置に稼働時における所定の情報を送信する射出成形機であって、
前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記他の射出成形機の前記所定の情報を前記他の射出成形機から受信し、前記管理装置に送信する、
射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形システム及び射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の射出成形機と、複数の射出成形機のそれぞれから稼働時における所定の情報(運転情報)を取得する管理装置(コンピュータ)とを含む監視システムが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の射出成形機及びコンピュータ等により構成される所定のネットワークにおいて、ある射出成形機と管理装置との間で通信障害が発生すると、当該ネットワークを通じて、当該射出成形機から管理装置に所定の情報を送信することができない。よって、例えば、通信障害の間、所定の情報を一時的に当該射出成形機の内部メモリ等に蓄積しておくことが考えられるが、通常、当該メモリは、容量が限定的であるため、通信障害の期間が相対的に長くなると、一部の情報を蓄積できなくなる可能性がある。つまり、通信障害の程度等によっては、復旧に時間を要し、取得されるべき一部の情報を管理装置が取得できない可能性がある。
【0005】
よって、上記課題に鑑み、複数の射出成形機の稼働時における所定の情報をより確実に管理装置が取得することが可能な射出成形システム及び射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態では、
管理装置と、前記管理装置と共にネットワークを構成する複数の射出成形機と、を含み、それぞれの前記複数の射出成形機が前記ネットワークを通じて前記管理装置に稼働時の所定の情報を送信する射出成形システムであって、
前記複数の射出成形機のうちの一の射出成形機の前記所定の情報は、前記一の射出成形機の前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記複数の射出成形機のうちの他の射出成形機を経由し、前記管理装置に送信される、
射出成形システムが提供される。
【0007】
また、本発明の他の実施形態では、
管理装置及び他の射出成形機と共にネットワークを構成し、該ネットワークを通じて前記管理装置に稼働時における所定の情報を送信する射出成形機であって、
前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記他の射出成形機を経由し、前記管理装置に前記所定の情報を送信する、
射出成形機が提供される。
【0008】
また、本発明の更に他の実施形態では、
管理装置及び他の射出成形機を含む少なくとも一以上の射出成形機と共にネットワークを構成し、前記他の射出成形機を含む少なくとも一以上の射出成形機の全てを経由しない経路で、前記管理装置に稼働時における所定の情報を送信する射出成形機であって、
前記経路とは異なる前記他の射出成形機を経由する経路で、前記管理装置に前記所定の情報を送信する、
射出成形機が提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
管理装置及び他の射出成形機と共にネットワークを構成し、該ネットワークを通じて前記管理装置に稼働時における所定の情報を送信する射出成形機であって、
前記ネットワークに対応する経路とは異なる経路で、前記他の射出成形機の前記所定の情報を前記他の射出成形機から受信し、前記管理装置に送信する、
射出成形機が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、複数の射出成形機の稼働時における所定の情報をより確実に管理装置が取得することが可能な射出成形システム及び射出成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る管理システムの一例を示すネットワーク構成図である。
【
図2】一実施形態に係る管理システムの他の例を示すネットワーク構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0012】
[管理システムの一例]
図1は、本実施形態に係る管理システム200の一例を示すネットワーク構成図である。
【0013】
<管理システムの基本構成>
まず、管理システム200(射出成形システムの一例)の基本的な構成について説明する。
【0014】
管理システム200は、複数(本例では、3台)の射出成形機1と、管理装置100とを含み、例えば、管理装置100が複数の射出成形機1から稼働時の各種情報を収集することにより、複数の射出成形機1の稼働状況や生成される成形品の品質等を管理する。以下、本例における3台の射出成形機1を区別するため、それぞれの射出成形機1を射出成形機1A,1B,1Cと称する場合がある。
【0015】
射出成形機1は、型締装置10と、エジェクタ装置20と、射出装置30と、移動装置40と、制御装置50と、記憶装置60を含む。
【0016】
型締装置10は、制御装置50の制御下で、固定金型及び可動金型を含む金型装置の型閉、型締、及び型開を行う。型締装置10は、例えば、横型であり、型開閉方向が水平方向である。型締装置10は、例えば、固定金型が取り付けられる固定プラテンと、可動金型が取り付けられる可動プラテンと、可動プラテンを開閉方向に移動させる機構部と、機構部を介して金型装置の開閉や型締を行う型締モータ等を有する。
【0017】
エジェクタ装置20は、制御装置50の制御下で、金型装置から成形品を突き出す。エジェクタ装置20は、例えば、金型装置内の可動部材を介して成形品を突き出すエジェクタロッドと、エジェクタロッドを進退自在に移動させる機構部と、当該機構部を介してエジェクタロッドを移動させるエジェクタモータ等を有する。
【0018】
射出装置30は、金型装置に対し進退自在に設置され、制御装置50の制御下で、金型装置にタッチし、金型装置内のキャビティ空間に成形材料を充填する。射出装置30は、例えば、成形材料を加熱するシリンダと、シリンダの前端部で金型装置に押し付けられるノズルと、シリンダ内で回転し成形材料を前方に送ると共に、前進しシリンダの前部に蓄積された成形材料をノズルから射出するスクリュと、スクリュを回転させる計量モータと、スクリュを進退させる射出モータ等を有する。
【0019】
移動装置40は、制御装置50の制御下で、金型装置に対し射出装置30を進退させる。また、移動装置40は、制御装置50の制御下で、金型装置に対し射出装置30のノズルを押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
【0020】
制御装置50は、射出成形機1に関する各種制御を行う。制御装置50は、その機能が、任意のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、不揮発性の補助記憶装置と、外部通信用の入出力インターフェース等を含むコンピュータを中心に構成される。制御装置50は、例えば、ROMや補助記憶装置に格納される一以上のプログラムをCPUで実行することにより、各種機能を実現する。また、制御装置50は、入出力インターフェースを通じて、外部(例えば、記憶装置60や管理装置100)からの信号を受信したり、外部に信号を送信したりする。
【0021】
制御装置50は、例えば、型締装置10、エジェクタ装置20、射出装置30、及び移動装置40等に制御信号を送信し、射出成形機1の駆動制御を行う。具体的には、制御装置50は、型締装置10によって、型閉工程、型締工程、型開工程を行わせる。また、制御装置50は、エジェクタ装置20によって、突き出し工程を行わせる。また、制御装置50は、射出装置30及び移動装置40によって、計量工程、充填工程、保圧工程を行わせる。
【0022】
また、制御装置50は、例えば、当該射出成形機1(自機)の稼働時(稼働中)、具体的には、成形動作時における所定の情報(以下、「稼働時情報」)を成形サイクルごとに所定の送信タイミングで管理装置100に送信する。このとき、稼働時情報は、射出成形機1に搭載される各種センサや各種アクチュエータから取得される。また、送信タイミングは、射出成形機1(自機)の一回の成形サイクルの終了後から次の成形サイクルの終了までの間で規定される。送信タイミングは、予め規定されていてもよいし、ユーザ(作業者)の操作に応じて、規定(設定)されてもよい。
【0023】
尚、"成形サイクル"は、成形品を得るための一連の動作、例えば、射出装置30による計量工程の開始から次の射出装置30による計量工程の開始までの動作であり、"ショット"とも称する。成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、及び突き出し工程をこの開始順序で有する。ここで、充填工程、保圧工程、及び冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。また、型締工程の終了は、型開工程の開始と一致する。また、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程が行われてもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われてよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。また、射出装置30のノズルの流路の開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。
【0024】
稼働時情報には、例えば、射出成形機1の成形動作により得られる成形品の品質等に関する情報(以下、「成形品関連情報」)が含まれる。これにより、管理装置100は、複数の射出成形機1ごとの成形品の品質等を管理することができる。具体的には、成形品関連情報は、例えば、成形サイクル時間(成形品の成形時間、つまり、1回の成形サイクルに要する時間)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、充填時間(成形材料の充填に要した時間、つまり、充填工程に要した時間)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、計量時間(成形材料の計量に要した時間、つまり、計量工程に要した時間)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、充填前位置(充填工程の開始直前の射出装置30のスクリュ位置)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、充填ピーク圧(射出装置30が金型装置内に成形材料を充填する際のピーク圧力)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、最小クッション位置(射出装置30のスクリュの前進位置)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、VP切替位置(充填工程から保圧工程に切り替えが行われる際の射出装置30のスクリュの位置)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、型締力(型締装置10が型締工程で金型装置を押さえる力)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、シリンダ温度(成形材料を溶融させるための射出装置30のシリンダ内の温度)に関する情報を含む。また、成形品関連情報は、例えば、型内圧(金型装置内に充填された成形材料の圧力)に関する情報を含む。
【0025】
また、稼働時情報には、例えば、射出成形機1自体の故障診断や寿命診断等を行うためのメンテナンスに関する情報(以下、「メンテナンス情報」)を含む。これにより、管理装置100は、複数の射出成形機1ごとの故障の有無や使用される部品寿命等を管理することができる。メンテナンス情報は、例えば、制御盤内温度(射出成形機1の制御装置50を内蔵する制御盤内の温度)に関する情報を含む。また、メンテナンス情報は、例えば、モータトルク(各種サーボモータの駆動トルク)に関する情報を含む。このとき、モータトルクに関する情報は、モータトルクの実測値であってもよいし、モータトルクを発生させる電流の実測値であってもよい。また、メンテナンス情報は、例えば、ボールねじ温度(各種機構部を構成するボールねじの温度)に関する情報を含む。また、メンテナンス情報は、例えば、型締装置10の機構部の振動に関する情報を含む。このとき、型締装置10の機構部の振動に関する情報は、例えば、型締装置10の可動プラテンや機構部を構成するトグル等に取り付けられる加速度センサの計測値であってよい。また、メンテナンス情報は、例えば、リレー駆動回数(サーボモータ等を駆動する各種リレーの動作回数)に関する情報を含む。また、メンテナンス情報は、例えば、モータ温度(各種サーボモータの温度)に関する情報を含む。また、メンテナンス情報は、例えば、トグルピン温度(型締装置10の機構部のトグルピンの温度)に関する情報を含む。また、メンテナンス情報は、例えば、ベルトテンション(各種機構部のベルトのテンション)に関する情報を含む。このとき、ベルトテンションに関する情報は、例えば、ベルトの動作に伴う音波の計測データであってよい。また、メンテナンス情報は、例えば、グリスの鉄粉含有量(各種機構部に使用されているグリスに含まれている鉄粉の量)に関する情報を含む。また、メンテナンス情報は、例えば、電源電圧(射出成形機1内の直流電源の電圧)に関する情報を含む。
【0026】
また、制御装置50は、例えば、稼働時情報を記憶装置60に記録する。このとき、記憶装置60の容量は、限定的であるため、当該射出成形機1の起動後、記憶装置60に記録された情報が記憶装置60に記録可能な上限の容量に達した場合、古い情報から順に上書きされる態様で、稼働時情報の記録が継続される。
【0027】
記憶装置60は、制御装置50による制御下で、稼働時情報等の各種情報を記憶する。
【0028】
尚、記憶装置60は、制御装置50に内蔵されてもよい。つまり、記憶装置60は、制御装置50の内部メモリであってもよい。
【0029】
管理装置100は、上述の如く、複数(本例では、3つ)の射出成形機1と通信可能に接続され、複数の射出成形機1から適宜送信される稼働時情報を取得する。これにより、管理装置100のユーザ(例えば、管理者や作業者)は、複数の射出成形機1ごとに、成形品の品質状態を把握したり、メンテナンス診断を行ったりすることができる。
【0030】
<管理システムのネットワーク構成>
次に、管理システム200の特徴的な構成、具体的には、管理装置100と複数の射出成形機1(射出成形機1A~1C)との間の通信を実現するネットワーク構成について説明する。
【0031】
管理システム200では、管理装置100及び複数の射出成形機1(射出成形機1A~1C)の相互間での通信を実現する物理的なネットワーク(以下、「物理ネットワーク」)が構築されている。そして、管理システム200では、当該物理ネットワークを前提として、管理装置100及び複数の射出成形機1(射出成形機1A,1B,1C)を含む、論理的に規定されるネットワーク(以下、「論理ネットワーク」)としてのネットワークNWが構成されている。
【0032】
ネットワークNWは、管理装置100及び射出成形機1A~1Cの他、管理装置100及び射出成形機1A~1Cの相互間を中継する集線装置110を含む。
【0033】
集線装置110は、例えば、L2(Layer2)スイッチ(スイッチングハブ)やL3(Layer3)スイッチ等であり、接続される機器(管理装置100や射出成形機1A~1C)から受信されるフレームを当該フレームで指定される宛先の機器に転送する。
【0034】
具体的には、集線装置110は、リンクL10を通じて、管理装置100と接続されている。また、集線装置110は、リンクLAA,LBB,LCCを通じて、射出成形機1A,1B,1Cのそれぞれ(具体的には、それぞれの制御装置50)と接続されている。リンクL10,LAA,LBB,LCCは、それぞれ、有線の物理的な通信線であってもよいし、無線の仮想的な通信線であってもよい。以下、後述のリンクLAB,LBCについても同様である。
【0035】
つまり、ネットワークNWは、管理装置100及び射出成形機1A~1Cのそれぞれのノードが、直接接続されている集線装置110を経由して、通信を行う形態の論理ネットワークである。
【0036】
また、管理システム200で構築されている当該物理ネットワークには、ネットワークNWを構成するリンクL10,LAA,LBB,LCCの他、リンクLAB,LBCが含まれる。
【0037】
リンクLABは、射出成形機1A,1Bの間、具体的には、射出成形機1Aの制御装置50と、射出成形機1Bの制御装置50との間を接続している。
【0038】
リンクLBCは、射出成形機1B,1Cの間、具体的には、射出成形機1Bの制御装置50と、射出成形機1Cの制御装置50との間を接続している。
【0039】
<管理システムの通信動作>
次に、管理システム200の通信動作、具体的には、射出成形機1A~1Cが稼働時情報を管理装置100に送信する際の通信動作について説明する。
【0040】
最初に、ネットワークNWが正常な場合の通信動作について説明する。
【0041】
尚、ネットワークNWが正常である場合の射出成形機1B,1Cと管理装置100との間の通信動作は、射出成形機1Aと管理装置100との間の通信動作と同じであるため、射出成形機1Aと管理装置100との間の通信動作を中心に説明する。
【0042】
射出成形機1Aの制御装置50は、上述の如く、所定のタイミングで、自機の稼働時情報を管理装置100に送信する。具体的には、射出成形機1Aの制御装置50は、稼働時情報を含み、宛先を管理装置100に指定したフレームをリンクLAAに出力する。
【0043】
集線装置110は、リンクLAAからフレームを受信すると、フレームで指定されている宛先、即ち、管理装置100に接続されているリンクL10に当該フレームを出力する。これにより、管理装置100は、リンクL10からフレームを受信し、フレーム内の稼働時情報を取得することができる。
【0044】
このように、射出成形機1Aの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNWを通じて、射出成形機1A(制御装置50)、リンクLAA、集線装置110、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される(
図1中の太い実線矢印)。
【0045】
同様に、射出成形機1Bの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNWを通じて、射出成形機1B(制御装置50)、リンクLBB、集線装置110、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される。また、射出成形機1Cの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNWを通じて、射出成形機1C(制御装置50)、リンクLCC、集線装置110、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される。
【0046】
続いて、ネットワークNWに異常が発生した場合の通信動作について説明する。具体的には、
図1に示すように、集線装置110と射出成形機1A~1Cのそれぞれとの間を接続するリンクLAA~LCCのうちのリンクLAAだけに断線や人為的な未接続等に起因する通信障害CF1が発生した場合の通信動作について説明する。
【0047】
リンクLAA~LCCのうちのリンクLAAだけに通信障害CF1が発生すると、射出成形機1B,1Cは、通常通り、ネットワークNWを通じて、管理装置100と通信できるが、射出成形機1A(一の射出成形機の一例)は、ネットワークNWを通じて、管理装置100と通信できない。具体的には、射出成形機1Aの制御装置50は、リンクLAAに稼働時情報を含むフレームを出力しても、リンクLAAの通信障害CF1により集線装置110まで伝達させることができず、結果として、管理装置100は、当該フレームを取得できない。
【0048】
この場合、例えば、通信障害CF1が発生している間、射出成形機1Aの稼働時情報を一時的に自機(射出成形機1A)の記憶装置60に蓄積しておくことが考えられるが、記憶装置60は、上述の如く、その容量が限定的である場合が多いため、通信障害CF1の期間が相対的に長くなると、射出成形機1Aの稼働時情報の一部を蓄積できなくなる可能性がある。つまり、通信障害CF1の程度等によっては、復旧に時間を要し、取得されるべき射出成形機1Aの稼働時情報の一部を管理装置100が取得できない可能性がある。
【0049】
これに対して、射出成形機1Aは、リンクLAAに通信障害CF1が発生し、ネットワークNWを通じて管理装置100と通信できない場合、リンクLAB及び射出成形機1B(他の射出成形機の一例)を通じて、稼働時情報を含むフレームをネットワークNWに対応する経路(
図1中の太い実線矢印)とは異なる経路(
図1中の太い点線矢印)で、管理装置100に送信する。これにより、リンクLAAに通信障害CF1が発生した場合であっても、ネットワークNWを通じて管理装置100と通信可能な他の射出成形機1(射出成形機1B)を経由して、射出成形機1Aの稼働時情報を管理装置100まで伝達させることができる。
【0050】
具体的には、射出成形機1Aの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を射出成形機1Bに指定したフレームをリンクLABに出力し、射出成形機1Bの制御装置50は、当該フレームを受信する。そして、射出成形機1Bの制御装置50は、射出成形機1B(自機)の稼働時情報を送信するフレームとは別に、受信したフレームに基づき、射出成形機1Aの稼働時情報を含み、管理装置100を宛先に指定したフレームを新たに作成し、リンクLBBに出力する。このとき、例えば、ネットワークNWがイーサネット(登録商標)に準拠する場合、新たに作成されるフレームの送信元に相当するヘッダ部には、射出成形機1Bに対応する情報が指定されるため、データ部に、実際の送信元が射出成形機1Aであることを示す情報が指定される。換言すれば、射出成形機1Aの制御装置50は、稼働時情報を射出成形機1Bに送信し、射出成形機1Bから管理装置100に稼働時情報を送信してもらう。これにより、管理システム200は、ネットワークNWを通じて、射出成形機1Bから管理装置100に射出成形機1Aの稼働時情報を送信させることができる。
【0051】
尚、ネットワークNWの異常発生は、例えば、ネットワークNWがイーサネット及びTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)に準拠する場合、ping(Packet Internet Groper)、SNMP(Simple Network Management Protocol)等の既知の方法を利用して検知されうる。以下、後述する
図2のネットワークNWの異常発生についても同様である。また、ネットワークNWの異常発生は、稼働時情報の送信側である射出成形機1A~1C(例えば、制御装置50)が検知してもよいし、受信側の集線装置110や管理装置100が検知してもよいし、双方で検知してもよい。受信側がネットワークNWの異常発生を検知する構成の場合、ネットワークNWに対応する経路、つまり、リンクLAAを通じて、射出成形機1Aに異常発生を通知することができない。そのため、稼働時情報を送信する場合の経路(
図1中の太い点線矢印)と同様に、正常なリンクLBB,LCC、正常なリンクに接続される射出成形機1B,1C、及びネットワークNWに属さないリンクLAB,LBCを利用して、射出成形機1Aに異常発生に関する情報が伝達されてよい。
【0052】
また、管理システム200は、ネットワークNWに異常が発生すると、ネットワークNWとは異なる論理ネットワークを再構築し、再構築した論理ネットワークを通じて、射出成形機1Aから管理装置100に射出成形機1Aの稼働時情報が送信されてもよい。論理ネットワークの再構築は、管理装置100により実行されてもよいし、集線装置110により実行されてもよく、新たに構築された論理ネットワークに関する情報は、新たに構築された論理ネットワークを通じて、ブロードキャスト送信される。以下、後述する他の例(
図2参照)で再構築される論理ネットワークの場合についても同様である。
【0053】
具体的には、管理システム200において、リンクLAAに通信障害CF1が発生した場合、リンクLABを新たな論理ネットワークの構成要素として含め、射出成形機1Bの下位ノードとして射出成形機1AがリンクLABにより接続される新たな論理ネットワークが構築されてよい。この場合、射出成形機1Aの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を管理装置100に指定したフレームをリンクLABに出力し、射出成形機1Bの制御装置50は、当該フレームを受信する。これにより、射出成形機1Bの制御装置50は、新たに構築された論理ネットワークに関する情報に基づき、受信したフレームを、指定された宛先(管理装置100)に応じて、リンクLBBに出力(転送)するだけで、管理装置100に射出成形機1Aの稼働時情報を伝達させることができる。換言すれば、射出成形機1Aの制御装置50は、射出成形機1A(自機)から射出成形機1Bを経由し、管理装置100に至る、新たに構築されたネットワークに対応する経路を通じて、自ら、管理装置100に稼働時情報を送信することができる。
【0054】
尚、射出成形機1Aの稼働時情報は、射出成形機1C(他の射出成形機の一例)から管理装置100に送信されてもよい。具体的には、射出成形機1Aの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、射出成形機1Bを宛先に指定したフレームをリンクLABに出力し、射出成形機1Bの制御装置50は、リンクLABから受信する当該フレームに基づき、射出成形機1Aの稼働時情報を含み、宛先に射出成形機1Cを指定したフレームを新たに作成し、リンクLBCに出力する。そして、射出成形機1Cの制御装置50は、リンクLBCから受信する当該フレームに基づき、射出成形機1Aの稼働時情報を含み、宛先に管理装置100を指定したフレームを作成し、ネットワークNWを通じて、管理装置100に送信する。また、射出成形機1A(の制御装置50)と射出成形機1C(の制御装置50)との間を直接接続するリンクが追加されてもよい。この場合、追加されるリンクを通じて、射出成形機1Cの下位ノードとして射出成形機1Aが接続される新たな論理ネットワークが構築されてよく、新たに構築されたネットワークを通じて、射出成形機1Aの制御装置50は、射出成形機1Cを経由する新たな経路で、管理装置100に自機の稼働時情報を送信することができる。
【0055】
また、射出成形機1Bの制御装置50は、リンクLABを通じて受信する射出成形機1Aの稼働時情報を、射出成形機1B(自機)の情報と同じフレームに含め、ネットワークNWを通じて、管理装置100に送信してもよい。これにより、射出成形機1Bの制御装置50は、射出成形機1Aの稼働時情報を管理装置100に送信する処理を、射出成形機1Bの稼働時情報を管理装置100に送信する処理と併せて効率的に行うことができる。
【0056】
また、射出成形機1Bの制御装置50は、射出成形機1Aの成形サイクルに合わせて、射出成形機1Aの稼働時情報を管理装置100に送信してもよい。具体的には、射出成形機1Bの制御装置50は、射出成形機1Aの一回の成形サイクルの稼働時情報を、射出成形機1Aの次回の成形サイクルが完了するまでの間に、管理装置100に送信完了させる。これにより、通常時と同様、射出成形機1Aの一回の成形サイクルの稼働時情報は、射出成形機1Aの次回の成形サイクルの完了までに管理装置100に送信される。そのため、管理装置100において、射出成形機1の成形サイクルに合わせた射出成形機1Aの管理作業を継続させることができる。
【0057】
また、射出成形機1Bの制御装置50は、射出成形機1Aの稼働時情報のデータ量が所定基準を超えている場合、当該稼働時情報のうちの一部の情報だけを管理装置100に送信してもよい。これにより、ネットワークNWにおける過大な通信負荷や、射出成形機1Bの制御装置50における送信処理に関する過大な負荷を抑制することができる。また、射出成形機1Bの制御装置50は、処理負荷の増大等の何等かの理由で、射出成形機1Aの成形サイクルに合わせて、射出成形機1Aの稼働時情報を管理装置100に送信完了できないと判断する場合、当該稼働時情報のうちの一部の情報だけを管理装置100に送信してもよい。これにより、射出成形機1Bの事情等により、射出成形機1Aの稼働時情報を成形サイクルに合わせて送信できない可能性が生じても、射出成形機1Aの成形サイクルに合わせて送信される必要がある一部の情報だけを確実に管理装置100に送信できる。このとき、送信対象の一部の情報は、予め設定(選択)された内容の情報であってもよいし、ユーザの操作に応じて設定(選択)された内容の情報であってもよい。また、送信対象の一部の情報は、そのデータ量が稼働時情報の全データ量に対する割合により段階的に(例えば、100%、75%、50%、25%の四段階で)設定(選択)可能であってよく、その割合は、予め或いはユーザの操作により選択されてもよいし、ネットワークNWの状況等に応じて、自動的に選択されてもよい。また、送信対象の一部の情報は、成形品関連情報とメンテナンス情報とのうちの成形品関連情報だけであってよい。成形品関連情報は、毎回の成形サイクルで得られる成形品の品質を管理する観点から全ての情報が必要である一方、メンテナンス情報は、それほど高い頻度で必要な情報でないからである。また、射出成形機1Aの稼働時情報のデータ量が所定基準を超えているか否かの判断は、射出成形機1Aの制御装置50でされてもよいし、射出成形機1Bの制御装置50でされてもよい。前者の場合、射出成形機1Aの制御装置50は、自機の稼働時情報のデータ量が所定基準を超えている場合、自機の稼働時情報のうちの一部の情報だけを含むフレームをリンクLABに出力してよい。後者の場合、射出成形機1Bの制御装置50は、射出成形機1Aの稼働時情報のデータ量が所定基準を超えている場合、自らの判断で、射出成形機1Aの稼働時情報のうちの一部の情報だけに制限したフレームを作成し、管理装置100に送信してよい。
【0058】
また、ネットワークNWを通じて、管理装置100と通信可能な射出成形機1が(射出成形機1B,1Cの)複数存在する場合、射出成形機1Aの稼働時情報は、対応する複数(二つ)のデータに分割され、相互に異なる射出成形機1B,1Cを経由して管理装置100に送信されてもよい。これにより、射出成形機1Aの稼働時情報を送信する処理を射出成形機1B,1Cで分担させることができるため、それぞれの射出成形機1B,1Cの処理負荷を低減させることができる。また、それぞれの射出成形機1B,1Cが送信すべきデータ量を低減できるため、例えば、射出成形機1Aの成形サイクルに合わせて、射出成形機1Aの稼働時情報を送信完了できないような事態を抑制できる。
【0059】
また、ネットワークNWを通じて、管理装置100と通信可能な射出成形機1が(射出成形機1B,1Cの)複数存在する場合、複数の候補の射出成形機1の中から、所定の条件に基づき、射出成形機1Aの稼働時情報を管理装置100に送信する射出成形機1(他の射出成形機の一例)、つまり、射出成形機1Aの稼働時情報が管理装置100に送信される際に経由する射出成形機1が決定されてもよい。これにより、複数の候補の射出成形機1の状況等に応じて、適切な射出成形機1に、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を送信する処理を行わせることができる。このとき、当該決定処理は、稼働時情報の送信元である射出成形機1A(特定の射出成形機の一例)自身により実行されてもよいし、射出成形機1A以外の射出成形機1、つまり、射出成形機1B,1C(特定の射出成形機の一例)の何れか(例えば、射出成形機1B,1Cのうちの射出成形機1A~1Cで構成される射出成形機群の中枢機能を担う予め規定されたマスタ機)により実行されてもよいし、管理装置100により実行されてもよい。また、決定される射出成形機1の数は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0060】
例えば、射出成形機1Aの稼働時情報が管理装置100に送信される際に経由する射出成形機1は、複数の候補の射出成形機1の中から、それぞれの成形条件に基づき、決定されてよい。具体的には、射出成形機1Aの稼働時情報が管理装置100に送信される際に経由する射出成形機1は、複数の候補の射出成形機1の中から、相対的に成形サイクルが長い成形条件が設定されている射出成形機1に決定されてよい。射出成形機1の制御装置50は、自機の一回の成形サイクルごとの稼働時情報を次回の成形サイクルの完了までに送信完了することが好ましいところ、射出成形機1の成形サイクルが長いほど、自機以外の射出成形機1(射出成形機1A)の稼働時情報の送信処理を行う余裕があるからである。
【0061】
また、例えば、射出成形機1Aの稼働時情報が管理装置100に送信される際に経由する射出成形機1は、複数の候補の射出成形機1の中から、それぞれの稼働状況に基づき、決定されてよい。具体的には、射出成形機1Aの稼働時情報が管理装置100に送信される際に経由する射出成形機1は、複数の候補の射出成形機1の中から、成形動作を行っていない射出成形機1(例えば、起動中、停止中、待機中等の射出成形機1)に決定されてよい。成形動作を行っていない射出成形機1の制御装置50は、自機の稼働時情報を管理装置100に送信する必要が無く、自機以外の射出成形機1(射出成形機1A)の稼働時情報の送信処理を行う余裕があるからである。
【0062】
[管理システムの他の例]
図2は、本実施形態に係る管理システム200の他の例を示すネットワーク構成図である。
【0063】
<管理システムの基本構成>
まず、管理システム200の基本的な構成について説明する。
【0064】
管理システム200は、上述の一例(
図1)の場合と同様、複数(本例では、6台)の射出成形機1と、管理装置100とを含む。以下、本例における6台の射出成形機1を区別するため、それぞれの射出成形機1を射出成形機1A,1B,1C,1D,1E,1Fと称する場合がある。
【0065】
射出成形機1は、上述の一例と同様、型締装置10と、エジェクタ装置20と、射出装置30と、移動装置40と、制御装置50と、記憶装置60を含む。
【0066】
また、複数の射出成形機1のうちの射出成形機1C,1Fは、更に、無線通信機器70を含む。射出成形機1C,1Fの無線通信機器70は、それぞれ、射出成形機1C,1Fの制御装置50に接続されている。
【0067】
無線通信機器70は、所定の通信規格(例えば、WiFi(登録商標)通信やブルートゥース(登録商標)通信等の規格)に従い、比較的近距離にある外部機器と無線通信を行うデバイスである。これにより、射出成形機1C,1Fは、同じ通信規格に従い、相互間で、無線通信を行うことができる。また、例えば、後述の如く、サブネットワーク単位(ネットワークNW1,NW2)で区分される射出成形機1A~1Cと射出成形機1D~1Fとの間で、通信用の有線を配置するのが困難な場合(例えば、通路が設定されている場合)であっても、異なるサブネットワーク間の直接通信が可能になる。
【0068】
<管理システムのネットワーク構成>
次に、管理システム200の特徴的な構成、具体的には、管理装置100と複数の射出成形機1(射出成形機1A~1F)との間の通信を実現するネットワーク構成について説明する。
【0069】
管理システム200では、上述の一例と同様、管理装置100及び複数の射出成形機1(射出成形機1A~1F)の相互間での通信を実現する物理ネットワークが構築されている。そして、管理システム200では、当該物理ネットワークを前提として、管理装置100及び複数の射出成形機1(射出成形機1A~1F)を含む、論理ネットワークとしてのネットワークNWが構成されている。
【0070】
ネットワークNWは、管理装置100及び射出成形機1A~1Cを含むネットワークNW1と、管理装置100及び射出成形機1D~1Fを含むネットワークNW2とを含む。射出成形機1A~1Fは、集線装置130によって、ネットワークNW1,NW2のそれぞれの構成要素に分割される。
【0071】
ネットワークNW1は、管理装置100、射出成形機1A~1C、及び集線装置130の他、管理装置100及び射出成形機1A~1Cの相互間を中継する集線装置110を含む。
【0072】
ネットワークNW2は、管理装置100、射出成形機1D~1F、及び集線装置130の他、管理装置100及び射出成形機1D~1Fの相互間を中継する集線装置120を含む。
【0073】
集線装置110は、上述の一例と同様、例えば、L2スイッチやL3スイッチ等であり、接続される機器(集線装置130や射出成形機1A~1C)から受信されるフレームを当該フレームで指定される宛先の機器に転送する。
【0074】
具体的には、集線装置110は、リンクL11を通じて、集線装置130と直接接続されると共に、集線装置130に接続されるリンクL10を通じて、管理装置100と間接的に接続されている。また、集線装置110は、リンクLAA,LBB,LCCを通じて、射出成形機1A,1B,1Cのそれぞれ(具体的には、それぞれの制御装置50)と接続されている。リンクL10,L11,LAA,LBB,LCCは、それぞれ、有線の物理的な通信線であってもよいし、無線の仮想的な通信線であってもよい。以下、後述のリンクL12,LDD,LEE,LFF,LAB,LBC,LDE,LEFについても同様である。
【0075】
集線装置120は、集線装置110と同様、例えば、L2スイッチやL3スイッチ等であり、接続される機器(集線装置130や射出成形機1D~1F)から受信されるフレームを当該フレームで指定される宛先に対応する機器に転送する。
【0076】
具体的には、集線装置120は、リンクL12を通じて、集線装置130と直接接続されると共に、集線装置130に接続されるリンクL10を通じて、管理装置100と間接的に接続されている。また、集線装置110は、リンクLDD,LEE,LFFを通じて、射出成形機1D,1E,1Fのそれぞれ(具体的には、それぞれの制御装置50)と接続されている。
【0077】
集線装置130は、集線装置110,120と同様、L2スイッチやL3スイッチ等であり、接続される機器(管理装置100や集線装置110,120)から受信されるフレームを当該フレームで指定される宛先に対応する機器に転送する。
【0078】
具体的には、集線装置130は、リンクL10を通じて、管理装置100と直接接続されると共に、リンクL11,L12を通じて、ネットワークNW1,NW2に対応する集線装置110,120のそれぞれと直接接続される。
【0079】
つまり、ネットワークNW1は、管理装置100及び射出成形機1A~1Cのそれぞれのノードが、集線装置110,130を経由して、通信を行う形態の論理ネットワークである。また、ネットワークNW2は、管理装置100及び射出成形機1D~1Fのそれぞれのノードが、集線装置120,130を経由して、通信を行う形態の論理ネットワークである。
【0080】
また、管理システム200で構築されている当該物理ネットワークには、ネットワークNWを構成するリンクL10,L11,L12,LAA,LBB,LCC,LDD,LEE,LFFの他、リンクLAB,LBC,LDE,LEF,LCFを含まれる。
【0081】
リンクLABは、上述の一例と同様、射出成形機1A,1Bの間、具体的には、射出成形機1Aの制御装置50と、射出成形機1Bの制御装置50との間を接続している。
【0082】
リンクLBCは、上述の一例と同様、射出成形機1B,1Cの間、具体的には、射出成形機1Bの制御装置50と、射出成形機1Cの制御装置50との間を接続している。
【0083】
リンクLDEは、射出成形機1D,1Eの間、具体的には、射出成形機1Dの制御装置50と、射出成形機1Eの制御装置50との間を接続している。
【0084】
リンクLEFは、射出成形機1E,1Fの間、具体的には、射出成形機1Eの制御装置50と、射出成形機1Fの制御装置50との間を接続している。
【0085】
リンクLCFは、射出成形機1C,1Fの間、具体的には、射出成形機1Cの制御装置50と、射出成形機1Fの制御装置50との間を接続している。リンクLCFは、射出成形機1Cの無線通信機器70と射出成形機1Fの無線通信機器70との間の無線通信により実現される。
【0086】
尚、リンクLCFは、有線であってもよい。
【0087】
<管理システムの通信動作>
次に、管理システム200の通信動作、具体的には、射出成形機1A~1Fが稼働時情報を管理装置100に送信する際の通信動作について説明する。
【0088】
最初に、ネットワークNWが正常な場合の通信動作について説明する。
【0089】
尚、ネットワークNW(ネットワークNW1)が正常である場合の射出成形機1B,1Cと管理装置100との間の通信動作は、射出成形機1Aと管理装置100との間の通信動作と同じであるため、射出成形機1Aと管理装置100との間の通信動作を中心に説明する。また、ネットワークNW(ネットワークNW2)が正常である場合の射出成形機1E,1Fと管理装置100との間の通信動作は、射出成形機1Dと管理装置100との間の通信動作と同じであるため、射出成形機1Dと管理装置100との間の通信動作を中心に説明する。
【0090】
射出成形機1Aの制御装置50は、上述の如く、所定のタイミングで、自機の稼働時情報を管理装置100に送信する。具体的には、射出成形機1Aの制御装置50は、稼働時情報を含み、宛先を管理装置100に指定したフレームをリンクLAAに出力する。
【0091】
集線装置110は、リンクLAAからフレームを受信すると、フレームで指定されている宛先と、ネットワークNW1の構成に関する情報に基づき、管理装置100に接続されている集線装置130に向けて、リンクL11に当該フレームを出力する。
【0092】
集線装置130は、リンクL11からフレームを受信すると、フレームで指定されている宛先に基づき、管理装置100に接続されているリンクL10に当該フレームを出力する。これにより、管理装置100は、リンクL10からフレームを受信し、ネットワークNW1に属する射出成形機1Aの稼働時情報を取得することができる。
【0093】
このように、射出成形機1Aの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNW(ネットワークNW1)を通じて、射出成形機1A(制御装置50)、リンクLAA、集線装置110、リンクL11、集線装置130、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される。
【0094】
同様に、射出成形機1Bの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNW(ネットワークNW1)を通じて、射出成形機1B(制御装置50)、リンクLBB、集線装置110、リンクL11、集線装置130、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される。また、射出成形機1Cの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNW(ネットワークNW1)を通じて、射出成形機1C(制御装置50)、リンクLCC、集線装置110、リンクL11、集線装置130、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される。
【0095】
射出成形機1Dの制御装置50は、上述の如く、所定のタイミングで、自機の稼働時情報を管理装置100に送信する。具体的には、射出成形機1Dの制御装置50は、稼働時情報を含み、宛先を管理装置100に指定したフレームをリンクLDDに出力する。
【0096】
集線装置120は、リンクLDDからフレームを受信すると、フレームで指定されている宛先と、ネットワークNW2の構成に関する情報に基づき、管理装置100に接続されている集線装置130に向けて、リンクL12に当該フレームを出力する。
【0097】
集線装置130は、リンクL12からフレームを受信すると、フレームで指定されている宛先に基づき、管理装置100に接続されているリンクL10に当該フレームを出力する。これにより、管理装置100は、リンクL10からフレームを受信し、ネットワークNW2に属する射出成形機1Dの稼働時情報を取得することができる。
【0098】
このように、射出成形機1Dの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNW(ネットワークNW2)を通じて、射出成形機1D(制御装置50)、リンクLDD、集線装置120、リンクL12、集線装置130、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される(
図2中の太い実線矢印)。
【0099】
同様に、射出成形機1Eの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNW(ネットワークNW2)を通じて、射出成形機1E(制御装置50)、リンクLEE、集線装置120、リンクL12、集線装置130、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される(
図2中の太い実線矢印)。また、射出成形機1Fの稼働時情報を含むフレームは、ネットワークNW(ネットワークNW1)を通じて、射出成形機1F(制御装置50)、リンクLFF、集線装置120、リンクL12、集線装置130、及びリンクL10の順に伝送され、管理装置100により受信される(
図2中の太い実線矢印)。
【0100】
続いて、ネットワークNWに異常が発生した場合の通信動作について説明する。具体的には、
図2に示すように、集線装置110~130のうちの集線装置120だけに故障等による通信障害CF2が発生した場合の通信動作について説明する。
【0101】
集線装置110~130のうちの集線装置120だけに通信障害CF2が発生すると、ネットワークNW1に属する射出成形機1A~1Cは、ネットワークNW1を通じて、管理装置100と通信できるが、ネットワークNW2に属する射出成形機1D~1F(一の射出成形機の一例)は、管理装置100と通信できない。具体的には、射出成形機1D~1Fの制御装置50は、それぞれ、自機の稼働時情報を含むフレームをリンクLDD~LFFに出力しても、通信障害CF2により集線装置120が正常に動作しないため、当該フレームをリンクL12に出力させることができず、結果として、管理装置100は、当該フレームを取得できない。
【0102】
この場合、例えば、通信障害CF2が発生している間、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を、それぞれ、一時的に自機(射出成形機1D~1Fのそれぞれ)の記憶装置60に蓄積しておくことが考えられるが、記憶装置60は、上述の如く、その容量が限定的である場合が多いため、通信障害CF2の期間が相対的に長くなると、射出成形機1D~1Fのそれぞれの稼働時情報の一部を蓄積できなくなる可能性がある。つまり、通信障害CF2の程度等によっては、復旧に時間を要し、取得されるべき射出成形機1D~1Fの稼働時情報の一部を管理装置100が取得できない可能性がある。
【0103】
これに対して、射出成形機1Fの制御装置50は、集線装置120に通信障害CF2が発生し、ネットワークNW(具体的には、ネットワークNW2)を通じて管理装置100と通信できない場合、リンクLCF及び射出成形機1C(他の射出成形機の一例)を通じて、稼働時情報を含むフレームをネットワークNW(具体的には、ネットワークNW2)に対応する経路(
図2中の太い実線矢印)とは異なる経路(
図2中の太い点線矢印)で、管理装置100に送信する。これにより、集線装置120に通信障害CF2が発生した場合であっても、正常なネットワークNW1に属する射出成形機1Cを経由して、射出成形機1Fの稼働時情報を管理装置100まで伝達させることができる。
【0104】
具体的には、射出成形機1Fの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を射出成形機1Cに指定したフレームをリンクLCFに出力し、射出成形機1Cの制御装置50は、当該フレームを受信する。そして、射出成形機1Cの制御装置50は、射出成形機1B(自機)の稼働時情報を送信するフレームとは別に、受信したフレームに基づき、射出成形機1Fの稼働時情報を含み、管理装置100を宛先に指定したフレームを新たに作成し、リンクLCCに出力する。このとき、例えば、ネットワークNWがイーサネットに準拠する場合、新たに作成されるフレームの送信元に相当するヘッダ部には、射出成形機1Cに対応する情報が指定されるため、データ部に、実際の送信元が射出成形機1Fであることを示す情報が指定される。換言すれば、射出成形機1Fの制御装置50は、自機の稼働時情報を射出成形機1Cに送信し、射出成形機1Cから管理装置100に稼働時情報を送信してもらう。これにより、管理システム200は、ネットワークNW1を通じて、射出成形機1Cから管理装置100に、射出成形機1Fの稼働時情報を送信させることができる。
【0105】
尚、射出成形機1Fの稼働時情報は、射出成形機1Cから射出成形機1A,1Bに転送されて、射出成形機1A,1BからネットワークNW1を通じて管理装置100に送信されてもよい。後述の射出成形機1D,1Eの稼働時情報についても同様である。また、射出成形機1Fと、ネットワークNW1に属する射出成形機1C以外の射出成形機1(射出成形機1A,1Bの少なくとも一方)との間に有線或いは無線のリンクが追加されてもよい。この場合、射出成形機1Fの稼働時情報は、ネットワークNW1を通じて、射出成形機1A,1B(他の射出成形機の一例)から管理装置100に送信されてもよい。また、射出成形機1Fと射出成形機1A,1Bとの間に追加される無線のリンクは、射出成形機1A,1Bに追加される無線通信機器70により実現されうる。
【0106】
また、射出成形機1D,1Fの制御装置50は、それぞれ、集線装置120に通信障害CF2が発生し、ネットワークNW(具体的には、ネットワークNW2)を通じて管理装置100と通信できない場合、自機の稼働時情報を射出成形機1Fに送信する(
図2中の太い一点鎖線矢印)。具体的には、射出成形機1Dの制御装置50は、自機の稼働時情報を含むフレームをリンクLDEに出力し、リンクLDE、射出成形機1E(制御装置
50)、及びリンクLEFの順の経路で、射出成形機1Fに送信する。また、射出成形機1Eの制御装置50は、自機の稼働時情報を含むフレームをリンクLEFに出力し、リンクLEFを通じて、射出成形機1Fに送信する。これにより、射出成形機1D,1Fの制御装置50は、それぞれ、射出成形機1Fの稼働時情報と同様の経路(
図2中の太い点線矢印)で、射出成形機1F(制御装置50)から自機の稼働時情報を管理装置100に送信してもらうことができる。
【0107】
具体的には、射出成形機1Dの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を射出成形機1Fに指定したフレームをリンクLDEに出力し、当該フレームを受信する射出成形機1Eの制御装置50は、リンクLEFに出力(転送)する。そして、射出成形機1Fの制御装置50は、リンクLEFから当該フレームを受信すると、当該フレームに含まれる射出成形機1Dの稼働時情報を含み、射出成形機1Cを宛先に指定したフレームを新たに作成し、リンクLCFに出力する。このとき、例えば、リンクLDE,LEFを通じた通信がイーサネットに準拠する場合、新たに作成されるフレームの送信元に相当するヘッダ部には、射出成形機1Fに対応する情報が指定されるため、データ部に、実際の送信元が射出成形機1Dであることを示す情報が指定される。射出成形機1Eの稼働時情報を含むフレームの場合についても同様である。また、射出成形機1Eの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を射出成形機1Fに指定したフレームをリンクLEFに出力する。そして、射出成形機1Fの制御装置50は、リンクLEFから当該フレームを受信すると、当該フレームに含まれる射出成形機1Eの稼働時情報を含み、射出成形機1Cを宛先に指定したフレームを新たに作成し、リンクLCFに出力する。これにより、管理システム200は、ネットワークNW1を通じて、射出成形機1Cから管理装置100に、射出成形機1D,1Eの稼働時情報を送信させることができる。
【0108】
尚、射出成形機1Fは、自機の稼働時情報と、射出成形機1D,1Eの稼働時情報とを別のフレームで射出成形機1Cに送信してもよいし、自機の稼働時情報と、射出成形機1D,1Eの少なくとも一つの稼働時情報を一つのフレームにまとめて射出成形機1に送信してもよい。また、射出成形機1Dと、ネットワークNW1に属する射出成形機1(射出成形機1A~1Cの少なくとも一つ)との間に、有線或いは無線のリンクが追加されてもよい。また、射出成形機1Eと、ネットワークNW1に属する射出成形機1(射出成形機1A~1Cの少なくとも一つ)との間に、有線或いは無線のリンクが追加されてもよい。これらの場合、射出成形機1D,1Eの稼働時情報は、追加されるリンクを通じて、ネットワークNW1に属する射出成形機1(他の射出成形機の一例)に直接送信され、ネットワークNW1を通じて、当該射出成形機1から管理装置100に送信される。また、射出成形機1D,1Eと、ネットワークNW1に属する射出成形機1(射出成形機1A~1C)との間に追加される無線のリンクは、射出成形機1A,1Bや射出成形機1D,1Eに追加される無線通信機器70により実現されうる。
【0109】
また、管理システム200は、上述の一例と同様、ネットワークNWに異常が発生すると、ネットワークNWとは異なる論理ネットワークを再構築し、再構築した論理ネットワークを通じて、射出成形機1D~1Fから管理装置100に射出成形機1D~1Fの稼働時情報が送信されてもよい。
【0110】
具体的には、管理システム200において、集線装置110に通信障害CF2が発生した場合、リンクLCF,LDE,LDFを新たな論理ネットワークの構成要素として含め、射出成形機1Cの下位ノードとして射出成形機1F,1E,1DがリンクLCF,LEF,LDEにより接続される新たな論理ネットワークが構築されてよい。この場合、射出成形機1Fの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を管理装置100に指定したフレームをリンクLCFに出力し、射出成形機1Cの制御装置50は、当該フレームを受信する。これにより、射出成形機1Cの制御装置50は、新たに構築された論理ネットワークに関する情報に基づき、受信したフレームを、指定された宛先(管理装置100)に応じて、リンクLCCに出力(転送)するだけで、管理装置100に射出成形機1Fの稼働時情報を伝達させることができる。また、射出成形機1Eの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を管理装置100に指定したフレームをリンクLEFに出力し、射出成形機1Fは、当該フレームを受信する。これにより、射出成形機1Fの制御装置50は、新たに構築された論理ネットワークに関する情報に基づき、受信したフレームを、指定された宛先(管理装置100)に応じて、リンクLCFに出力(転送)するだけで、射出成形機1Cを通じて、管理装置100に射出成形機1Fの稼働時情報を伝達させることができる。また、射出成形機1Dの制御装置50は、自機の稼働時情報を含み、宛先を管理装置100に指定したフレームを、リンクLDEに出力し、射出成形機1Eは、当該フレームを受信する。これにより、射出成形機1Fの制御装置50は、新たに構築された論理ネットワークに関する情報に基づき、受信したフレームを、指定された宛先(管理装置100)に応じて、リンクLEFに出力(転送)するだけで、射出成形機1F及び射出成形機1Cを通じて、管理装置100に射出成形機1Fの稼働時情報を伝達させることができる。換言すれば、射出成形機1D~1Fの制御装置50は、射出成形機1D~1F(自機)から射出成形機1Cを経由し、管理装置100に至る、新たに構築されたネットワークに対応する経路を通じて、自ら、管理装置100に稼働時情報を送信することができる。
【0111】
また、射出成形機1Cの制御装置50は、上述の一例と同様、リンクLCFを通じて受信する射出成形機1D~1Fの稼働時情報を、射出成形機1C(自機)の情報と同じフレームに含め、ネットワークNW1を通じて、管理装置100に送信してもよい。これにより、射出成形機1Cの制御装置50は、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を管理装置100に送信する処理を、射出成形機1Cの稼働時情報を管理装置100に送信する処理と併せて効率的に行うことができる。
【0112】
また、射出成形機1Cの制御装置50は、射出成形機1Fの成形サイクルに合わせて、射出成形機1Fの稼働時情報を管理装置100に送信してもよい。具体的には、射出成形機1Cの制御装置50は、射出成形機1Fの一回の成形サイクルの稼働時情報を、射出成形機1Fの次回の成形サイクルが完了するまでの間に、管理装置100に送信完了させる。射出成形機1D,1Eの稼働時情報の場合についても同様であってよい。これにより、通常時と同様、射出成形機1D~1Fの一回の成形サイクルの稼働時情報は、射出成形機1D~1Fの次回の成形サイクルの完了までに管理装置100に送信される。そのため、管理装置100において、射出成形機1の成形サイクルに合わせた射出成形機1D~1Fの管理作業を継続させることができる。
【0113】
また、射出成形機1Cの制御装置50は、射出成形機1Fの稼働時情報のデータ量が所定基準を超えている場合、射出成形機1Fの稼働時情報のうちの一部の情報だけを管理装置100に送信してもよい。射出成形機1D,1Eの稼働時情報の場合についても同様である。これにより、ネットワークNWにおける過大な通信負荷や、射出成形機1Cの制御装置50における送信処理に関する過大な負荷を抑制することができる。また、射出成形機1Cの制御装置50は、処理負荷の増大等の何等かの理由で、射出成形機1D~1Fの成形サイクルに合わせて、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を管理装置100に送信完了できないと判断する場合、当該稼働時情報のうちの一部の情報だけを管理装置100に送信してもよい。射出成形機1D,1Eの稼働時情報の場合についても同様である。これにより、射出成形機1Cの事情等により、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を成形サイクルに合わせて送信できない可能性が生じても、射出成形機1D~1Fの成形サイクルに合わせて送信される必要がある一部の情報だけを確実に管理装置100に送信できる。このとき、送信対象の一部の情報は、上述の一例と同様、予め設定(選択)された内容の情報であってもよいし、ユーザの操作に応じて設定(選択)された内容の情報であってもよい。また、送信対象の一部の情報は、上述の一例と同様、そのデータ量が稼働時情報の全データ量に対する割合により段階的に(例えば、100%、75%、50%、25%の四段階で)設定(選択)可能であってよく、その割合は、予め或いはユーザの操作により選択されてもよいし、ネットワークNWの状況等に応じて、自動的に選択されてもよい。また、送信対象の一部の情報は、上述の一例と同様、成形品関連情報とメンテナンス情報とのうちの成形品関連情報だけであってよい。また、射出成形機1Aの稼働時情報のデータ量が所定基準を超えているか否かの判断は、稼働時情報の送信元である射出成形機1D~1Fの制御装置50でされてもよいし、射出成形機1Cの制御装置50でされてもよい。前者の場合、射出成形機1D~1Fの制御装置50は、自機の稼働時情報のデータ量が所定基準を超えている場合、自機の稼働時情報のうちの一部の情報だけを含むフレームを射出成形機1Cに向けて出力してよい。後者の場合、射出成形機1Cの制御装置50は、射出成形機1D~1Fの稼働時情報のデータ量が所定基準を超えている場合、自らの判断で、射出成形機1D~1Fの稼働時情報のうちの一部の情報だけに制限したフレームを作成し、管理装置100に送信してよい。
【0114】
また、ネットワークNW1を通じて、管理装置100と通信可能な射出成形機1が(射出成形機1A~1Cの)複数存在する場合、上述の一例と同様、射出成形機1D~1Fの稼働時情報は、対応する複数(二つ或いは三つ)のデータに分割され、相互に異なる射出成形機1A~1Cを経由して管理装置100に送信されてもよい。これにより、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を送信する処理を射出成形機1A~1Cのうちの複数台で分担させることができるため、それぞれの射出成形機1A~1Cの処理負荷を低減させることができる。また、それぞれの射出成形機1B,1Cが送信すべきデータ量を低減できるため、例えば、射出成形機1D~1Fの成形サイクルに合わせて、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を送信完了できないような事態を抑制できる。
【0115】
また、ネットワークNW1を通じて、管理装置100と通信可能な射出成形機1が(射出成形機1A~1Cの)複数存在する場合、上述の一例と同様、複数の候補の射出成形機1の中から、所定の条件(例えば、上述の一例と同様、複数の候補の射出成形機の成形条件や稼働状況に関する条件)に基づき、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を管理装置100に送信する射出成形機1(他の射出成形機の一例)、つまり、射出成形機1Aの稼働時情報が管理装置100に送信される際に経由する射出成形機1が決定されてもよい。これにより、複数の候補の射出成形機1の状況等に応じて、適切な射出成形機1に、射出成形機1D~1Fの稼働時情報を送信する処理を行わせることができる。このとき、当該決定処理は、稼働時情報の送信元である射出成形機1D~1F(特定の射出成形機の一例)により実行されてもよいし、射出成形機1D~1F以外の射出成形機1、つまり、射出成形機1A~1C(特定の射出成形機の一例)の何れか(例えば、射出成形機1A~1Cのうちの射出成形機1A~1Cで構成される射出成形機群の中枢機能を担う予め規定されたマスタ機)により実行されてもよいし、管理装置100により実行されてもよい。また、決定される射出成形機1の数は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0116】
[変形・改良]
以上、射出成形機1の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0117】
例えば、上述した実施形態では、ネットワークNWに異常が発生した場合(例えば、
図1、
図2の通信障害CF1,CF2が発生した場合)に、管理システム200における通信動作が変更されるが、当該態様には限定されない。
【0118】
具体的には、射出成形機1が管理装置100との間で通信できる場合であっても、ネットワークNWに関する状況に応じて(より具体的には、ネットワークNWの状況に関する所定の条件が成立した場合に)、上述の如く、管理システム200における通信動作が変更されてもよい。例えば、
図1の管理システム200において、ネットワークNWを通じた管理装置100と射出成形機1Aとの間の通信負荷が相対的に高くなっている(所定基準を超えている)場合に、射出成形機1Aの稼働時情報が、上述の如く、ネットワークNWに対応する経路とは異なる経路で、射出成形機1B等を経由し、管理装置100に送信されてもよい。また、例えば、
図2の管理システム200において、ネットワークNW2を通じた管理装置100と射出成形機1D~1Fとの間の通信負荷が相対的に高くなっている場合に、射出成形機1D~1Fの稼働時情報が、上述の如く、ネットワークNW(ネットワークNW2)に対応する経路とは異なる経路で、射出成形機1C等を経由し、管理装置100に送信されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 射出成形機
1A~1F 射出成形機(一の射出成形機、他の射出成形機)
100 管理装置
200 管理システム(射出成形システム)
NW ネットワーク
NW1 ネットワーク(他のサブネットワーク)
NW2 ネットワーク(一のサブネットワーク)