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  • 特許-シート束搬送ユニット及び後処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】シート束搬送ユニット及び後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20221202BHJP
   B65H 35/04 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
B65H5/02 N
B65H35/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018183655
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020050504
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】青柳 達三
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-184318(JP,A)
【文献】実開昭54-003787(JP,U)
【文献】特開昭60-144273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の搬送ベルトによってシート束をニップした状態で搬送する搬送経路が形成され、この搬送経路の一部に湾曲した湾曲経路部を備えたシート束搬送ユニットにおいて、
前記湾曲経路部にフリー回転する回転体を設け、前記回転体は、湾曲した内側軌道を形成する搬送ベルトの外周面から突出し、シート束の表面に接触して回転するシート束搬送ユニット。
【請求項2】
前記湾曲経路部において、前記回転体は、前記内側軌道を形成する搬送ベルトの外周面とシート束とを非接触状態あるいは低接触圧状態に保つ請求項1に記載のシート束搬送ユニット。
【請求項3】
前記回転体は、湾曲した前記内側軌道を形成する搬送ベルトの外周面から湾曲した外側軌道を形成する搬送ベルト側に突出した外周部を有する請求項1又は2に記載のシート束搬送ユニット。
【請求項4】
前記搬送経路は、上下方向に延びる直線経路部と、この直線経路部の上端及び下端からそれぞれ湾曲して延びる第1湾曲経路及び第2湾曲経路とを備え、第1湾曲経路、直線経路部及び第2湾曲経路でS字状を形成する請求項1又は2に記載のシート束搬送ユニット。
【請求項5】
前記回転体は、前記湾曲経路部の曲率に応じて一又は二以上設けられる請求項1又は2に記載のシート束搬送ユニット。
【請求項6】
前記搬送経路は、一方の湾曲経路部からシート束を受け入れ、直線経路部を介して他方の湾曲経路部から排出する請求項1又は2に記載のシート束搬送ユニット。
【請求項7】
前記一対の搬送ベルトは、単一の駆動源によって駆動される請求項1又は2に記載のシート束搬送ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のシート束搬送ユニットと、前記搬送経路を介して搬送されたシート束の小口側を断裁する断裁部と、を備えた後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綴じ処理や折り処理等されたシート束を所定位置に向けて搬送するシート束搬送ユニット及び後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置や後処理装置等には、画像形成された複数のシートを束ね、綴じ処理や折り処理等したシート束を断裁部や排出トレイに向けて搬送するシート束搬送ユニットを備えたものがある。
【0003】
特許文献1には、綴じ処理や折り処理等されたシート束を下方位置から排出する後処理装置が開示されている。この後処理装置では、処理済のシート束を屈み姿勢にならないよう、立ち姿勢で取り出せるようにするため、下方から上方に向けてS字状に配置したシート束の搬送経路を備えている。この搬送経路には、一対の搬送ベルトをS字状に沿って対向するようにして配置し、シート束をニップした状態で、下方から上方に向けて搬送する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-184318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されているように、一対の搬送ベルトによって形成されるシート束の搬送経路にS字状に湾曲した部分が存在しているような場合、湾曲した内側軌道と外側軌道との周長差によって、搬送中のシート束に撓みや屈曲が生じやすい。特許文献1では、湾曲経路部に沿って配設される搬送ベルトがシート束の綴じ部に接触しないようにすることで、撓みや屈曲の部分を避けて吸収するように構成されている。
【0006】
しかしながら、一対の搬送ベルトは、同一駆動源によって一方向に同期駆動されているため、湾曲経路部の内側軌道と外側軌道との周長差によるシート束の搬送に与える影響は解消されていない。特に、搬送するシート束の厚みが増すほど湾曲経路部の内側軌道と外側軌道に沿って設けられる一対の搬送ベルト間の速度差が大きくなり、より撓みが生じやすい状態となる。また、湾曲経路部を通して搬送されたシート束の小口側を断裁する構成の後処理装置にあっては、湾曲経路部を通過する際に生じたしわや撓みによって、断裁するシート束の小口側がきれいに揃わないといった問題がある。一方、一対の搬送ベルトの駆動を湾曲経路部の曲率に応じてそれぞれ独立に駆動する方法もあるが、装置や制御が複雑になるといった問題がある。
【0007】
そこで本発明は、シート束を一対の搬送ベルトでニップして搬送する経路に湾曲部を有する場合であっても、簡易な構成で湾曲部を通過するシート束にしわや撓みが生じないようにして搬送させることのできるシート束搬送ユニット及び後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のシート束搬送ユニットは、一対の搬送ベルトによってシート束をニップした状態で搬送する搬送経路が形成され、この搬送経路の一部に湾曲した湾曲経路部を備えたシート束搬送ユニットにおいて、湾曲経路部にフリー回転する回転体を設け、回転体は、湾曲した内側軌道を形成する搬送ベルトの外周面から突出し、シート束の表面に接触して回転する
【発明の効果】
【0009】
本発明のシート束搬送ユニットによれば、湾曲した外側軌道を形成する搬送ベルトによるシート束への押圧力に対して、湾曲した内側軌道を形成する搬送ベルトによるシート束への押圧力を軽減させる規制手段を設けているため、湾曲経路部を通過するシート束にしわや撓み等を生じさせることなく、上流側から下流側に向けてスムーズに搬送させることができる。
【0010】
また、本発明のシート束搬送ユニットを後処理装置に備えることによって、シート束が断裁部に到達した際にしわや撓みが生じないので、シート束の小口側が揃った状態で断裁することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】シート束搬送ユニットを有する後処理装置を備えた画像形成システムの概略構成図である。
図2】シート束搬送ユニットの斜視図である。
図3】シート束搬送ユニットの搬送経路を示す断面図である。
図4】搬送経路の第1湾曲経路部及び第2湾曲経路部の要部を示す断面図である。
図5】第1湾曲経路部におけるシート束の搬送状態を示す説明図である。
図6】直線経路部におけるシート束の搬送状態を示す説明図である。
図7】第2湾曲経路部におけるシート束の搬送状態を示す説明図である。
図8】シート束搬送ユニットの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、画像形成装置1、第1後処理装置10、シート束搬送ユニット30を有する第2後処理装置20によって構成された画像形成システム100の概略構成を示したものである。画像形成装置1は、原稿送り部5から送られてくる原稿を画像読取部4で読み取り、読み取られた画像を給紙部3から搬送されてくるシートに画像形成部2で画像形成する。
【0013】
第1後処理装置10は、綴じ部、折り部等からなる後処理部を備えている。綴じ部では、画像形成部2から排出される複数のシートを順次第1パスP1乃至第4パスP4を介して綴じ処理トレイ11にシート束を排出し、綴じ処理トレイ11上に蓄積されたシート束の角または一辺の2カ所に第1ステープラST1で針綴じを施し、第2排紙トレイ18に排出する。折り部では、第3パスP3から第5パスP5を介して折り処理トレイ12にシート束を排出し、折り処理トレイ12上の綴じ位置までシート束を移動して第2ステープラST2でシート束のセンターの2カ所を綴じる。その後、折り位置までシート束を移動してセンターを突き板13で押し込みながら折りローラ対14で挟み込み、2つ折りされた状態のシート束を中間ベルト15に排出する。さらに、中間ベルト15から排出されるシート束に対して表紙や間紙を挿入して製本化するために、綴じ処理や折り処理を施す。なお、綴じ処理や折り処理等が不要の場合は、第1パスP1及び第2パスP2を介して画像形成装置1から排出されるシート束を直接第1排紙トレイ17に排出する。
【0014】
第2後処理装置20は、シート束搬送ユニット30と断裁部23及び第3排紙トレイ25を備えている。この第2後処理装置20では、第1後処理装置10で綴じ処理や折り処理等されたシート束がシート束搬送ユニット30を介して上方に配置されている断裁部23に向けて搬送され、この断裁部23によってシート束の小口側を断裁して整えた後、排出ベルト24を介して第3排紙トレイ25に排出される。
【0015】
次に、図2乃至図7に基づいて、シート束搬送ユニット30の詳細について説明する。図2は第2後処理装置20内に設けられるシート束搬送ユニット30の全体構成、図3はシート束搬送ユニット30における搬送経路22の断面構造、図4は搬送経路22におけるシート束の搬入側及び搬出側の揺動構造を示したものある。また、図5乃至図7図2乃至図4に示した搬送経路22の各部におけるシート束の搬送状態を示したものである。
【0016】
シート束搬送ユニット30には、図1に示した中間ベルト15を介してシート束を受け入れる搬入経路21と、この搬入経路21から一対の搬送ベルト22a,22bによってシート束をニップした状態で断裁部23に向けて搬送する搬送経路22とを備えている。搬送経路22は、一部に湾曲した湾曲経路部を有している。搬入経路21及び搬送経路22を介して搬送されるシート束Tは、図5に示したように、2つ折りされた綴じ側T1が下流側、小口側T2が上流側となるようにセットされる。
【0017】
搬入経路21は、後処理装置10の下方から排出されるシート束Tの下面に接する第1搬入ベルト21aと、シート束Tの上面に接する第2搬入ベルト21bとによって構成されている。この第1搬入ベルト21a及び第2搬入ベルト21bからなる搬入ベルト対は、シート束Tの搬入方向に沿って2列平行に配置される。各搬入ベルト対の構成は同一となっているので、一方の搬入ベルト対について説明する。第1搬入ベルト21aは、後処理装置10に配置されている中間ベルト15の下流側に架け渡されているプーリに隣接して設けられる搬入プーリB2と、この搬入プーリB2から上方に向けてなだらかに傾斜した位置に設けられる搬入プーリB1との間に架け渡されている。第2搬入ベルト21bは、第1搬入ベルト21aに接するように回転支持される搬入プーリB3乃至B7に架け渡されると共に、シート束Tを第1搬入ベルト21a側に案内させるための複数のガイドコロ28が配置されている。なお、搬入プーリB1,B3は、第1及び第2の搬入ベルト21a,21bを駆動する駆動プーリA2,A3にそれぞれ連動しているが、それ以外の搬入プーリは回転自在に配置されている。
【0018】
搬送経路22は、シート束Tの下面に接する第1搬送ベルト22aと、シート束Tの上面に接する第2搬送ベルト22bとによって構成されている。この第1搬送ベルト22a及び第2搬送ベルト22bからなる搬送ベルト対は、シート束Tの搬送方向に沿って2列平行に配置される。各搬送ベルト対の構成は同一となっているので、一方の搬送ベルト対について説明する。搬送経路22は、前記搬入経路21の下流側から上方に向けて湾曲する第1湾曲経路部31と、この第1湾曲経路部31から上方の断裁部23に向けて略直線状に延びる直線経路部32と、この直線経路部32の上端部から水平方向に湾曲して断裁部23に至る第2湾曲経路部33とでS字状を形成している。なお、本実施形態では、前記直線経路部32が鉛直方向に延びているが、装置構成や装置内スペースに応じて傾斜する場合もある。
【0019】
第1搬送ベルト22aは、搬入プーリB1の下流側に隣接して配置される搬送プーリC10と、断裁部23の上流側に配置される搬送プーリC12との間を循環するように架け渡されている。第1湾曲経路部31は、搬送プーリC5、C10と、搬送プーリC10から直線経路部32に繋げる搬送プーリC9と、規制コロ27とを備えている。直線経路部32は、搬送プーリC9、C8と、第1搬送ベルト22aを第2搬送ベルト22b側に付勢する少なくとも1つの付勢コロ26とを備えている。第2湾曲経路部33には、内側軌道に沿って配置される複数のガイドコロ34が配置されている。
【0020】
第2搬送ベルト22bは、搬送プーリC10と対向する搬送プーリC5と、プーリC12に対向する搬送プーリC2との間に規制コロ27及びガイドコロ34を介して架け渡されている。また、搬送プーリC5,C1の間には、第2搬送ベルト22bを直線経路部32に沿って第1搬送ベルト22a側に接触させるためのガイドコロ35が複数配置されている。なお、搬送プーリC1,C7は、第1及び第2の搬送ベルト22a,22bを駆動する駆動プーリA5,A6にそれぞれ連動しているが、それ以外の搬送プーリは回転自在に配置されている。
【0021】
図4は第1湾曲経路部31における搬送プーリC10の搖動機構及び第2湾曲経路部33における搬送プーリC2の搖動機構を示したものである。第1湾曲経路部31では、搬送プーリC10の回転軸が第1揺動ブラケットBR1の一端部に取り付けられ、第1揺動ブラケットBR1は支持軸50に回転自在に支持されている。第1揺動ブラケットBR1の他端部には、引張バネ51が設けられ、この引張バネ51の両端は、第1揺動ブラケットBR1の他端部に設けられているピン52と、筐体に設けられているピン53に掛けられている。これによって、搬送プーリC10が常に搬送プーリC5側に付勢されるため、第1搬送ベルト22aを第2搬送ベルト22bに押圧接触させることができる。図5(a)に示したように、第1、第2搬送ベルト22a,22bの間にシート束Tの綴じ部T1側が進入すると、引張バネ51の付勢力に抗して第1ブラケットBR1が支持軸50を支点として図中下方に回動し、搬送プーリC10を搬送プーリC5から離間する方向揺動する。このように、シート束Tの綴じ側T1が搬送プーリC5、C10の間に差し込まれて搬送プーリC10が離間することで、シート束Tの進入が容易となり、進入した後は引張バネ51の付勢力によってシート束Tを押圧するので、所定厚みのシート束Tを一対の搬送ベルト22a,22bによって確実にニップした状態で搬送することができる(図5(b),(c))。
【0022】
直線経路部32では、図6に示すように、第1搬送ベルト22aと第2搬送ベルト22bとを挟んで対向する位置に複数のガイドコロ35が配置されると共に、第1搬送ベルト22a側にバネ付勢された付勢コロ26が所定間隔に配置されている。この付勢コロ26によって、第1搬送ベルト22aを第2搬送ベルト22b側に押圧することができるので、シート束Tを確実にニップした状態で上方に向けて搬送させることができる。
【0023】
第2湾曲経路部33では、搬送プーリC2の回転軸が第2揺動ブラケットBR2の一端部に取り付けられ、第2揺動ブラケットBR2は支持軸60に回転自在に支持されている。第2揺動ブラケットBR2の他端部には、引張バネ61が設けられ、この引張バネ61の両端は、第2揺動ブラケットBR2の他端部に設けられたピン62と筐体に設けられたピン63に掛けられている。これによって、搬送プーリC2が常に搬送プーリC12側に付勢されるため、第2搬送ベルト22bを第1搬送ベルト22aに押圧接触させることができる。図7に示すように、搬送されてきたシート束Tの綴じ側T1が搬送プーリC2、C12の間に進入すると、引張バネ61の付勢力に抗して第2ブラケットBR2が支持軸60を支点として図中上方に回動し、搬送プーリC2を搬送プーリC12から離間する方向に揺動する。つまり、シート束Tの進入によって搬送プーリC2が揺動し、進入後は第1,第2搬送ベルト22a,22bによってニップされた状態で搬送される。
【0024】
図3に示したように、一対の搬入ベルト21a,21b及び一対の搬送ベルト22a,22bは、単一の駆動源(駆動モータ)MTと、搬入経路21及び搬送経路22のそれぞれに配置される複数のガイドプーリと、駆動モータMTの回転を搬入経路21及び搬送経路22のそれぞれの複数のガイドプーリに伝達する駆動ベルトBEとによって駆動される。一対の搬入ベルト21a,21b及び一対の搬送ベルト22a,22bをシート束Tの搬送方向である断裁部23に向けて駆動するには、駆動モータMTを正回転させることによって行われる。駆動モータMTの正回転は、駆動プーリA1に伝達され、この駆動プーリA1から駆動ベルトBEを介して駆動プーリA2乃至A8に伝達される。一対の搬入ベルト21a,21bは、駆動プーリA2と同軸上の搬入プーリB1と、駆動プーリA3と同軸上の搬入プーリB3が回転することによって駆動する。また、一対の搬送ベルト22a,22bは、駆動プーリA5と同軸上の搬送プーリC1と、駆動プーリA6と同軸上の搬送プーリC7が回転することによって駆動する。
【0025】
図3及び図4に示したように、第1湾曲経路部31及び第2湾曲経路部33には、それぞれ湾曲した外側軌道を形成する搬送ベルトによるシート束Tへの押圧力に対して、湾曲した内側軌道を形成する搬送ベルトによるシート束Tへの押圧力を軽減させる規制手段を備えている。規制手段は、第1湾曲経路部31及び第2湾曲経路部33に配置されるガイドコロであり、シート束Tの表面に接触してフリー回転する回転体(規制コロ)27によって構成されている。この規制コロ27には、前記内側軌道を形成する搬送ベルトのニップ面とシート束Tとを非接触状態あるいは低接触圧状態に保つ規制部を有している。この規制部は、第1搬送ベルト22a又は第2搬送ベルト22bが掛かるコロ本体27aの外周面から突出してシート束Tの表面に接触して回転する円盤状のフランジ部27bによって形成されている。フランジ部27bは、シート束Tとの接触面を搬送ベルトの幅よりも小さくするために厚みを薄くして形成されている。このため、第1湾曲経路部31にあっては、フランジ部27bがシート束の上面に接触するが、第2搬送ベルト22bはシート束の上面に接触しないか、接触したとしても低接触圧状態となる。このため、第1搬送ベルト22aに接触しているシート束Tの下面が受ける駆動力によってシート束Tを第1湾曲経路部31に沿って搬送させることができる。つまり、第1湾曲経路部31の外側軌道と内側軌道との周長差による第1搬送ベルト22aと第2搬送ベルト22bの速度差が解消され、シート束の厚みに関わらず、しわや撓み等が生じない状態で直線経路部32に向けて搬送させることができる。
【0026】
直線経路部32においては、第1搬送ベルト22aと第2搬送ベルト22bとの速度差が生じないので、第1搬送ベルト22aを第2搬送ベルト22bに向けて付勢する付勢コロ26と、対向する複数のガイドコロとの間でシート束がニップした状態で第2湾曲経路部33に向けて搬送させることができる。
【0027】
第2湾曲経路部33には、内側軌道に沿って規制コロ27が2か所に配置されている。前記第1湾曲経路部31は、上方に傾斜した搬入経路21から直線経路部32に連絡しているため、湾曲形状が緩やかであるので、1つの規制コロ27で十分であるが、第2湾曲経路部33は、直線経路部32から略水平方向に向きを変えているため、規制コロ27を2か所に配置してある。この第2湾曲経路部33では、第1湾曲経路部31とは逆にシート束Tの下面に沿った位置に規制コロ27を配置している。このため、シート束Tの下面と第1搬送ベルト22aとが非接触状態あるいは低接触圧状態となり、主に第2搬送ベルト22bの駆動力によって搬送させることができる。これによって、第2湾曲経路部33の内側軌道と外側軌道との周長差による第1搬送ベルト22aと第2搬送ベルト22bの速度差が解消され、シート束Tの厚みに関わらず、しわや撓み等が生じない状態で断裁部23に向けて搬送させることができる。
【0028】
規制コロ27は、第1及び第2湾曲経路部31,33の曲率や経路長あるいは搬送ベルトの駆動能力等に応じて一又は二以上設けることで、シート束の搬送をよりスムーズに行うことができる。なお、各湾曲経路部に配置される全てのガイドコロを規制コロに置き換えてもよい。
【0029】
本実施形態では、シート束Tと搬送ベルト22a,22bとの接触を規制する手段として、第1及び第2の湾曲経路部31,33の内側軌道に沿って設けられるガイドコロ28に円盤状のフランジ部27bが設けられた規制コロ27を用いているが、この規制コロ27をバネ付勢によって支持、又は操作部による操作によって所定位置に移動可能となるような構成にすることもできる。また、図8に示すように、第1及び第2湾曲経路部31,33において、搬送ベルト22a,22bによる軌道を構成しない位置に前記規制コロ27のフランジ部27bのみで形成された規制コロ29を設けることで、搬送ベルト22a,22bに接触することなくシート束Tを搬送案内することができる。このような規制手段を設けることで、シート束の厚みや湾曲経路部の曲率等に応じた最適な搬送を行うことができる。
【0030】
また、コロのような回転体でなくとも、搬送ベルト面に対して段差を有した突起体を設けてもよい。または、湾曲経路部の内側軌道に沿ってエアの吹き出し口を設け、この吹き出し口から排出されるエアによって、搬送ベルトに沿って搬送されるシート束の接触を弱めるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
A1~A7 駆動プーリ
B1~B6 搬入プーリ
C1~C13 搬送プーリ
MT 駆動モータ
T シート束
1 画像形成装置
2 画像形成部
3 給紙部
4 画像読取部
5 原稿送り部
10 第1後処理装置
11 綴じ処理トレイ
12 折り処理トレイ
13 突き板
14 折りローラ対
15 中間ベルト
17 第1排紙トレイ
18 第2排紙トレイ
20 第2後処理装置
21 搬入経路
21a,21b 搬入ベルト
22 搬送経路
22a,22b 搬送ベルト
23 断裁部
24 排出ベルト
25 第3排紙トレイ
26 付勢コロ
27 規制コロ
27a コロ本体
27b フランジ部(規制部)
28 ガイドコロ
29 規制コロ
30 シート束搬送ユニット
31 第1湾曲経路部
32 直線経路部
33 第2湾曲経路部
34 ガイドコロ
35 ガイドコロ
50 支持軸
51 引張バネ
52,53 ピン
60 支持軸
61 引張バネ
62,63 ピン
100 画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8