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特許7186569モータの駆動制御装置、ファン装置およびモータの駆動制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】モータの駆動制御装置、ファン装置およびモータの駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20221202BHJP
【FI】
H02P29/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018189016
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2020058199
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 高通
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝則
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博之
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-230313(JP,A)
【文献】特開2012-005254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに駆動信号を出力するモータ駆動部と、
電源電圧に対応する電圧を入力する電圧入力部と、前記モータの回転数に応じた回転数情報を出力する出力経路に接続される回転数情報出力部と、前記モータの速度指令信号を入力する入力経路に接続される速度指令入力部と、外部と通信可能な通信部とを備えるとともに、前記モータ駆動部に駆動制御信号を出力する制御回路部と、
所定のモード切替条件が満たされた場合、前記入力経路および前記出力経路のうち一方の経路である第1の経路を介して外部装置と前記制御回路部の前記通信部との間で情報通信を可能とする外部通信経路を形成する通信経路形成部と、
を備え
前記外部通信経路は、前記第1の経路と前記通信経路形成部とを結ぶ第1外部通信経路と、前記通信経路形成部と前記制御回路部の前記通信部の通信端子とを結ぶ第2外部通信経路とで構成され、
前記所定のモード切替条件が満たされた場合、前記通信経路形成部が前記第1外部通信経路と前記第2外部通信経路を接続することにより、前記外部通信経路が形成される
モータの駆動制御装置。
【請求項2】
前記モード切替条件は、
前記制御回路部が、前記電圧入力部または前記速度指令入力部のうち、少なくともいずれか一方に、所定の情報が入力されたことを検出することである、請求項1に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御回路部による前記所定の情報が入力されたことの検出は、予め定められた所定の期間内に行われる、請求項2に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項4】
前記所定の情報は、
前記電圧入力部に入力される電圧値の変遷を示す情報であり、当該電圧値の変遷を示す情報は、予め定められた所定の期間内に行われる、請求項2または3に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項5】
前記電圧値の変遷は、前記モータの通常動作時の駆動電圧範囲よりも低い電圧範囲で行われる、請求項4に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項6】
前記所定の情報は、
前記電圧入力部に入力される電圧値が前記モータの動作範囲外の値であり、かつ前記速度指令入力部に入力される信号が、モード切替条件に対応する所定の信号である、請求項2または3に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御回路部は、
前記制御回路部をリセットするリセット部を備え、
前記通信経路形成部は、
前記モード切替条件が満たされた場合、前記外部通信経路を形成するとともに、前記入力経路および前記出力経路のうち他方の経路である第2の経路を介して、前記外部装置から入力されるリセット信号を前記リセット部に伝達するリセット信号経路を形成する、請求項1から6のいずれか一つに記載のモータの駆動制御装置。
【請求項8】
前記制御回路部は、
前記通信経路形成部に切替信号を出力する切替部をさらに備え、
前記通信経路形成部は、
前記切替部から出力される切替信号によって動作を開始して、前記リセット信号経路と、前記外部通信経路とを形成する、請求項7に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項9】
前記制御回路部は、
前記切替部と前記通信経路形成部とを接続する切替信号経路に接続され、前記外部装置との情報通信の際に、前記切替信号の出力状態を維持する状態維持部をさらに備える、請求項8に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項10】
前記外部装置は、
前記制御回路部が有するプログラムを書き換えるプログラム書換装置であり、
前記プログラム書換装置は、
前記リセット信号経路を介して前記リセット信号を前記制御回路部に出力し、前記外部通信経路を介してプログラム書換データを前記制御回路部に出力する、請求項8または9に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項11】
モータと、前記モータにより駆動されるインペラと、請求項1から10のいずれか一つに記載のモータの駆動制御装置と、
を含むファン装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一つに記載のモータの駆動制御装置におけるモータの駆動制御方法であって、
所定のモード切替条件が満たされたことを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより前記所定のモード切替条件が満たされた場合、前記制御回路部が有する第1の経路を介して外部装置と前記制御回路部が有する通信部との間で情報通信を可能とする外部通信経路を形成する経路形成ステップと、
を含む、モータの駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動制御装置、ファン装置およびモータの駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンモータの回路基板が備える標準のインターフェースは、電源ライン端子、GND端子、速度指令端子、回転数情報出力端子の4つである。他方、防水機能を備えるファンモータは、回路基板を樹脂で覆うポッティングが施されている。そのため、防水機能を有するファンモータは、仕様を変更するためにファームウェアを書き換えることが容易ではない。例えば、ファームウェアを変更するために、例えば端子を追加するとコストアップに繋がり、安価なシステムには適用できなくなる。
【0003】
そこで、外部装置とのインターフェース端子である第一端子および第二端子とを備え、モータ駆動電圧が基準電圧より高い時は、第一端子がモータの速度制御信号の入力、第二端子がモータの回転数に応じた信号の出力となり、モータ駆動電源電圧が基準電圧より低い時は、第一端子が通信の入力、第二端子が通信の出力となるようにした技術が提案された(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014―230313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、外部とのインターフェース端子を別途設ける必要があるため、構成の簡素化やコスト低減の面からは、さらなる改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記を課題の一例とするものであり、より簡単かつ確実に外部装置との通信を可能とするモータの駆動制御装置、ファン装置およびモータの駆動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るモータの駆動制御装置は、モータに駆動信号を出力するモータ駆動部と、制御回路部と、通信経路形成部と、を備える。前記制御回路部は、電源電圧に対応する電圧を入力する電圧入力部と、前記モータの速度指令信号を入力する入力経路に接続される速度指令入力部と、前記モータの回転数に応じた回転数情報を出力する出力経路に接続される回転数情報出力部と、外部と通信可能な通信部とを備えるとともに、前記モータ駆動部に駆動制御信号を出力する。前記通信経路形成部は、所定のモード切替条件が満たされた場合、前記入力経路および前記出力経路のうち一方の経路である第1の経路を介して外部装置と前記制御回路部の前記通信部との間で情報通信を可能とする外部通信経路を形成する。前記外部通信経路は、前記第1の経路と前記通信経路形成部とを結ぶ第1外部通信経路と、前記通信経路形成部と前記制御回路部の前記通信部の通信端子とを結ぶ第2外部通信経路とで構成される。前記所定のモード切替条件が満たされた場合、前記通信経路形成部が前記第1外部通信経路と前記第2外部通信経路を接続することにより、前記外部通信経路が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るモータの駆動制御装置の概要を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係るファン装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、状態維持部を構成するラッチ回路の一例を示す説明図である。
図4図4は、実施形態に係るモータの駆動制御装置の電源投入から外部装置との通信までを含む処理動作の一例を示すタイムチャートである。
図5図5は、モード切替条件の一例である電圧値の変遷の一態様を示す説明図である。
図6図6は、実施形態に係るモータの駆動制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7A図7Aは、外部装置の一例であるプログラム書換え装置の動作の流れを示す説明図である。
図7B図7Bは、プログラム書換え処理を終えた後の実施形態に係るモータの駆動制御装置に対する操作の一例を示す説明図である。
図8図8は、変形例に係るモータの駆動制御装置の電源投入から外部装置との通信までを含む処理動作の一例を示すタイムチャートである。
図9図9は、変形例に係るモータの駆動制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0010】
以下、実施形態に係るモータの駆動制御装置、ファン装置およびモータの駆動制御方法について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態により、モータの駆動制御装置の構成等が限定されるものではない。
【0011】
まず、実施形態に係るモータの駆動制御装置の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るモータの駆動制御装置の概要を示すブロック図である。図示するように、本実施形態に係るモータの駆動制御装置は、インペラ300を駆動するモータ200の駆動制御を行う。
【0012】
図1に示すように、モータの駆動制御装置10(以下、「モータ制御装置10」とする場合がある)は、通信経路形成部1と、制御回路部2と、モータ駆動部3とを備える。本実施形態に係るモータの駆動制御装置10は、たとえば、防水処理が施されたファン装置400(図2参照)の駆動用に好適に用いることができる。なお、本実施形態では、防水処理を施すために、モータ制御装置10はポッティング処理によって基板(不図示)上に樹脂で被覆されている。
【0013】
制御回路部2は、制御部20を備え、所定のプログラムやデータを記憶した記憶部などと協働して所定の処理を実行する。本実施形態に係る制御部20は、電圧入力部260、FG(回転数信号)出力部(回転数情報出力部の一例)240、SC(速度指令信号)入力部(速度指令入力部の一例)250、通信部210、リセット部220、および切替部230として機能する。
【0014】
電圧入力部260は、電源電圧に対応する電圧の入力を受け付ける。FG出力部240は、モータ200の回転数に応じた回転数信号(回転数情報の一例)(FG)を出力する。SC入力部250は、モータ200の速度指令信号(SC)を入力する。リセット部220は、制御回路部2をリセットする信号を受け付ける。切替部230は、通信経路形成部1に切替信号を出力する。
【0015】
また、制御回路部2は、インターフェースとして、電圧入力端子26と、FG出力端子24と、SC入力端子25と、通信端子21と、リセット端子22と、切替端子23とを備える。また、制御部20は、モータ駆動部3に駆動制御信号を出力する。すなわち、モータ駆動部3は、制御回路部2に制御されつつモータ200を駆動してインペラ300を回転させる。
【0016】
電圧入力端子26には、電源電圧に対応する電圧が入力される。FG出力端子24は、モータ200の回転数に応じた回転数信号(FG)を出力する出力経路である第1の経路91に接続される。SC入力端子25は、モータ200の速度指令信号(SC)を入力する入力経路である第2の経路92に接続される。リセット端子22には、制御回路部2をリセットする信号が入力される。切替端子23は、通信経路形成部1に切替信号を出力する。
【0017】
通信経路形成部1は、後述する所定のモード切替条件が満たされた場合、第1の経路91を介して外部装置(図2参照)と制御回路部2の通信端子21との間で情報通信を可能とする外部通信経路93を形成する。すなわち、外部通信経路93が形成される前の通常モードから、外部通信モードへと切り替える。
【0018】
また、通信経路形成部1は、上記の所定のモード切替条件が満たされた場合、第2の経路92を介して、外部装置から入力されるリセット信号をリセット端子22に伝達するリセット信号経路94を形成する。すなわち、外部通信モードでは、SC入力端子25は速度指令信号(SC)は入力されなくなり、リセット端子22にリセット信号を入力することが可能となる。
【0019】
通信経路形成部1による外部通信経路93およびリセット信号経路94の形成動作は、モード切替条件が満たされたことを契機に切替端子23から出力される切替信号によって動作を開始する。すなわち、モード切替条件が満たされるのは、制御部20が、電圧入力端子26またはSC入力端子25のうち、少なくともいずれか一方に、所定の情報が入力されたことを検出した場合である。
【0020】
切替端子23から出力された切替信号が通信経路形成部1に入力されると、通信経路形成部1は、例えば内部に設けられた切替回路11(図2参照)を作動させて、それまで遮断されていた外部通信経路93およびリセット信号経路94を通信可能な状態にする。
【0021】
こうして、基板上に樹脂でポッティングされたモータ制御装置10であっても、通常モードから通信モードに切り替えることで、既存のハード構成のまま、外部装置との通信を可能にすることができる。したがって、例えば、制御回路部2の記憶部である半導体メモリ素子に記憶させているファームウェアなどのプログラムを、外部装置を用いて簡単に書き換えることができる。
【0022】
ところで、上述した例では、モータ200の回転数に応じた回転数信号(FG)を出力する出力経路を第1の経路91、モータ200の速度指令信号(SC)を入力する入力経路を第2の経路92としたが、入力経路を第1の経路91とし、出力経路を第2の経路92としても構わない。
【0023】
次に、上述したモータ制御装置10を備えるファン装置400について説明する。図2は、実施形態に係るファン装置400の構成例を示すブロック図、図3は、状態維持部を構成するラッチ回路の一例を示す説明図である。なお、以下では、図2および図3を参照しながら、モータ制御装置10について、より具体的に説明する。
【0024】
図2に示すように、ファン装置400は、モータ200とインペラ300とモータ制御装置10とを備えており、外部とのインターフェースとなる電源電圧入力ゲートT1、FG(回転数信号)出力ゲートT2、SC(速度指令信号)入力ゲートT3、およびGND(グランド)ゲートT4とを備える。
【0025】
モータ制御装置10は、前述したように、例えばMPU(Micro Processor Unit)などで構成される制御部20を備えるとともに、通信経路形成部1と、モータ駆動部3を備えている。本実施形態においては、通信経路形成部1は切替回路11を備えるとともに、モータ駆動部3はプリドライバ30を内蔵している。また、制御部20は、インターフェースとして、電圧入力端子26と、FG出力端子24と、SC入力端子25と、通信端子21と、リセット端子22と、切替端子23と、GND端子27とを備える。
【0026】
制御部20の電圧入力端子26は、レギュレータ7を介してモータ制御装置10の電源電圧ポート81に接続し、電源電圧ポート81はファン装置400の電源電圧入力ゲートT1に接続している。電源電圧入力ゲートT1には、外部から電源電圧が印加される。制御回路部2は電源電圧検出部28を備え、電源電圧検出部28は、電源電圧が分圧抵抗によって分圧された電圧を検出する。FG出力端子24は、モータ制御装置10のFG出力ポート82に接続し、FG出力ポート82はファン装置400のFG出力ゲートT2に接続している。SC入力端子25は、モータ制御装置10のSC入力ポート83に接続し、SC入力ポート83はファン装置400のSC入力ゲートT3に接続している。GND端子27は、モータ制御装置10のGNDポート84に接続し、GNDポート84はファン装置400のGNDゲートT4に接続している。
【0027】
また、制御部20の通信端子21は、外部通信経路93及び切替回路11を介してFG出力端子24に接続された第1の経路91に接続される。言い換えれば、外部通信経路93は、第1の経路91と切替回路11とを結ぶ第1外部通信経路93aと、切替回路11と通信端子21とを結ぶ第2外部通信経路93bとで構成される。
【0028】
また、制御部20のリセット端子22は、リセット信号経路94及び切替回路11を介してSC入力端子25に接続された第2の経路92に接続される。言い換えれば、リセット信号経路94は、第2の経路92と切替回路11とを結ぶ第1リセット信号経路94aと、切替回路11とリセット端子22とを結ぶ第2リセット信号経路94bとで構成される。
【0029】
また、制御部20の切替端子23は、切替回路11に切替信号を送信する切替信号経路95に接続されている。そして、本実施形態では、この切替信号経路95に、後述するラッチ回路(状態維持部の一例)6を接続している。
【0030】
ここで、通信経路形成部1が備える切替回路11の内部の構造について説明する。図2に示すように、切替回路11は、第1外部通信経路93aと第2外部通信経路93bとを入り切りする第1のスイッチ111と、第1リセット信号経路94aと第2リセット信号経路94bとを入り切りする第2のスイッチ112とを備える。そして、第1のスイッチ111には切替信号経路95に接続する第1スイッチ切替部111aが接続し、第2のスイッチ112には、これも切替信号経路95に接続する第2スイッチ切替部111bが接続されている。
【0031】
かかる構成により、制御部20が所定のモード切替条件が満たされたことを検出すると、切替端子23から切替信号を切替回路11の第1スイッチ切替部111aおよび第2スイッチ切替部111bに出力する。その結果、第1のスイッチ111および第2のスイッチ112が共にスイッチオン状態になる。第1のスイッチ111がオン状態になることで、第1外部通信経路93aと第2外部通信経路93bとが接続されて外部通信経路93が形成される。他方、第2のスイッチ112がオン状態になることで、第1リセット信号経路94aと第2リセット信号経路94bとが接続されてリセット信号経路94が形成される。
【0032】
切替回路11において、第1のスイッチ111および第2のスイッチ112のオン状態を維持するために、本実施形態では、状態維持部の一例として図3に示すラッチ回路6を設けている。すなわち、ラッチ回路6は、切替信号経路95の所定の接続点A(図2参照)を介して切替回路11の切替ピンをHigh状態に維持させ、第1のスイッチ111および第2のスイッチ112がオフにならないようにする。
【0033】
このように、ラッチ回路6は、切替端子23と通信経路形成部1の切替回路11とを接続する切替信号経路95に接続されて、外部装置とモータ制御装置10との間で情報通信を行う際に、切替信号の出力状態を維持する状態維持部として機能する。このラッチ回路6によって、所定期間(詳細は後述する)、外部通信経路93およびリセット信号経路94が形成された状態が維持されることになる。
【0034】
上述してきたように、外部通信経路93とリセット信号経路94とが形成された状態で、外部装置の一例であるプログラム書換装置100の端子とファン装置400の対応する端子同士で接続すれば、たとえば、モータ制御装置10の制御部20のファームウェアなどの書換えを簡単に行うことができる。なお、外部装置は、特に限定されない。
【0035】
プログラム書換装置100の端子とファン装置400の端子との対応は、以下の通りである。すなわち、プログラム書換装置100のリセット端子101をファン装置400のSC入力ゲートT3へ、プログラム書換装置100のデータ端子102をファン装置400のFG出力ゲートT2へ、プログラム書換装置100のGND端子103は、ファン装置400のGNDゲートT4へ接続する。
【0036】
ここで、モータ制御装置10の制御部20が切替端子23から切替信号を出力する契機となる所定のもモード切替条件について、モータ制御装置10の動作の流れとともに説明する。図4は、実施形態に係るモータ200の駆動制御装置10の電源投入から外部装置との通信までを含む処理動作の一例を示すタイムチャートである。また、図5は、モード切替条件の一例である電圧値の変遷の一態様を示す説明図である。
【0037】
図4に示すように、モータ200の状態、換言すればモータ制御装置10の制御部20の状態の変遷を、大きく「停止中」→「突入条件確認期間」→「書換突入」→「リセット」→「プログラム書換」→「再起動」→「停止中」と推移するものとする。
【0038】
本実施形態では、モード切替条件として、電源電圧に対応する電圧値の変遷を示す情報が、予め定められた所定期間内に生じたことを制御回路部2の電源電圧検出部28が検出することとしている。すなわち、図4に示す「突入条件確認期間」内に、電圧値が所定の変遷態様を行うことを検出したことを条件として、制御回路部2の制御部20は、通常モードから通信モードへ切り替える切替信号を出力する。「突入条件確認期間」を設けることで、誤検出や誤動作を防止することができる。
【0039】
「突入条件確認期間」内における具体的な電圧値の変遷は、図4に示すように、モータ200の通常動作時の駆動電圧範囲(動作範囲内)よりも低い電圧範囲で行われる。そして、かかる動作範囲内において、電源電圧の値が、先ず、第2の閾値よりも大きく第1の閾値よりも小さい値で所定時間推移する。その後、第3の値よりも小さい値まで降下して所定時間推移し、その後、第1の閾値よりも大きな値へ上昇する態様となる。図5に示すように、ここでは、第1の閾値を18V、第2の閾値を17V、第3の閾値を16Vとしており、これらは、モータ200の通常動作時の駆動電圧よりも小さい値である。
【0040】
電圧値がこのように変遷したことを制御回路部2が検出すると、「書換突入」状態となる。すなわち、制御部20は、通信モードにするために、切替端子23からHigh信号を出力し、通信経路形成部1により外部通信経路93とリセット信号経路94を形成する。なお、ここでは、条件を満たす電圧値の変遷となるように、手動により電源電圧を変化させるようにしているが、かかる処理は自動化させてもよい。
【0041】
そして、プログラム書換装置100をファン装置400に接続すると(図2参照)、プログラム書換装置100のリセット端子101から制御回路部2のリセット端子22へリセット信号経路94を介してリセット信号が送信される。こうして、モータ制御装置10の制御部20の状態は、「書換突入」状態から「リセット」状態となる。
【0042】
モータ制御装置10の制御回路部2がリセット状態になると、制御部20が備える切替端子23もオープンとなってしまうため、本実施形態では、図2に示すようにラッチ回路6を切替信号経路95に接続している。このラッチ回路6によって、所定期間、外部通信経路93とリセット信号経路94との形成された状態が維持されることになる。所定期間とは、例えば、「書換突入」状態から「再起動」までをいう。また、切替端子23がオープンとなったときには、図4の符号Bで示すように、切替端子からの出力は、若干低下するが、支障を生じるものではない。
【0043】
「リセット」状態の後は、モータ制御装置10の制御部20は「プログラム書換」状態となり、プログラム書換装置100から所定のプログラムデータが制御部20へシリアル送信される。なお、外部装置とモータ制御装置10との間で送受信される通信情報(データなど)の通信方式、通信形態(一方向通信、双方向通信など)などは、特に限定されない。
【0044】
データの書き換えを終えると、モータ制御装置10を再起動させる。再起動時には、電源電圧はモータ200の通常動作時の動作範囲内まで上昇し、その後は初期状態である「停止中」の状態となる。なお、プログラム書換装置100との接続は、再起動中の電源電圧がオフ状態のときに解除する。
【0045】
ここで、モータ制御装置10の処理の流れの一例として、図6を参照しながら、外部装置との通信を可能にする条件を確認する処理の流れ(突入条件確認フロー)について説明する。図6は、実施形態に係るモータ200の駆動制御装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0046】
図6に示すように、モータ制御装置10の制御部20は、先ず、電源投入操作を受けて電源電圧の入力受付を実行する(ステップS11)。次いで、制御部20は、電源電圧が動作範囲外であるか否かを判定する(ステップS12)。すなわち、制御部20は、入力された電源電圧が、モータ200が通常動作するときの範囲内にはなく、動作範囲外であるか否かを判定する。
【0047】
電源電圧が動作範囲外であると判定した場合(ステップS12:Yes)、制御部20は、ステップS13に処理を移し、電源電圧が第1の閾値(18V)よりも小さく第2の閾値(17V)よりも大きいか否かを判定する(図4参照)。一方、電源電圧が動作範囲外ではないと判定した場合(ステップS12:No)、制御部20は、通信モードには移行せずに通常モードを維持する。
【0048】
制御部20は、電源電圧が、第1の閾値よりも小さく第2の閾値よりも大きいと判定できるまで待機し(ステップS13:No)、電源電圧が、第1の閾値よりも小さく第2の閾値よりも大きいと判定すると(ステップS13:Yes)、処理をステップS14に移す。ステップS14において、制御部20は、電源電圧が動作範囲内であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0049】
電源電圧が動作範囲外であると判定した場合(ステップS14:Yes)、制御部20は、ステップS15に処理を移し、電源電圧が第3の閾値(16V)よりも小さいか否かを判定する(図4参照)。一方、電源電圧が動作範囲外ではないと判定した場合(ステップS14:No)、制御部20は、通信モードには移行せずに通常モードを維持する。
【0050】
制御部20は、電源電圧が、第3の閾値よりも小さいと判定できるまで待機し(ステップS15:No)、電源電圧が、第3の閾値よりも小さいと判定すると(ステップS15:Yes)、処理をステップS16に移す。ステップS16において、制御部20は、電源電圧が動作範囲内であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0051】
電源電圧が動作範囲外であると判定した場合(ステップS16:Yes)、制御部20は、ステップS17に処理を移し、電源電圧が第1の閾値(18V)よりも大きいか否かを判定する(図4参照)。一方、電源電圧が動作範囲外ではないと判定した場合(ステップS16:No)、制御部20は、通信モードには移行せずに通常モードを維持する。
【0052】
制御部20は、電源電圧が、第1の閾値よりも大きいと判定できるまで待機し(ステップS17:No)、電源電圧が、第1の閾値よりも大きいと判定すると(ステップS17:Yes)、処理をステップS18に移す。
【0053】
そして、制御部20は、切替端子23からHigh信号を出力させて切替回路11の切替ピンをHigh状態にし(ステップS18)、本実施形態における突入条件確認フローを終了する。こうして、制御部20は、通常モードから、ファームウェアなどを書き換えることができる通信モードに切り替えられる。
【0054】
かかる処理を終えると、プログラム書換装置100を用いて、モータ制御装置10の制御部20のファームウェアなどを書き換えることができる。図7Aは、外部装置の一例であるプログラム書換装置の動作の流れを示す説明図、図7Bは、プログラム書換え処理を終えた後の実施形態に係るモータの駆動制御装置に対する操作の一例を示す説明図である。なお、図7Aで示される流れは、図4における「プログラム書換ツール接続」から「プログラム書換完了」までに相当し、図7Bで示される流れは、図4における「再起動」から初期状態である「停止中」に至るまでに相当する。
【0055】
図6の処理によって通信モードに切り替えられた後、図7Aに示すように、プログラム書換装置100をファン装置400に接続する(ステップS21)。プログラム書換装置100が接続されるとリセット信号がモータ制御装置10へ送信され、モータ制御装置10の制御回路部2がリセットされる(ステップS22)。その後、プログラム書換装置100から所定のプログラムがモータ制御装置10の制御部20へ送信され(ステップS23)、プログラムの書き換えが完了する(ステップS24)。
【0056】
その後は、図7Bに示すように、電源をONからOFFにして、モータ制御装置10を含むファン装置400を再起動させる(ステップS31)。そして、図6で示した突入条件確認フローのステップS11で示す「入力受付」の状態へ戻す(ステップS32)。
【0057】
次に、図8および図9を参照して、変形例に係るモータ200の駆動制御装置10について説明する。図8は、変形例に係るモータ制御装置10の電源投入から外部装置との通信までを含む処理動作の一例を示すタイムチャートである。また、図9は、変形例に係るモータ制御装置10の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
変形例に係るモータ制御装置10は、外部装置との通信を可能にするための条件が上述した例と異なっている。すなわち、上述してきた例では、通信モードへ切替える条件として、電圧値の変遷を用いていた。しかし、ここでは、モード切替条件として、図8に示すように、SC入力端子25に入力される速度指令信号(SC)の変遷を示す情報が、予め定められた所定期間内に生じたことを制御回路部2が検出することとしている。なお、ここでも、条件を満たす速度指令信号(SC)の変遷となるように、手動により速度指令信号(SC)を変化させているが、かかる処理は自動化することもできる。
【0059】
図8に示すように、モータ制御装置10の制御部20の状態の変遷は、「停止中」→「突入条件確認期間」→「書換突入」→「リセット」→「プログラム書換」→「再起動」→「停止中」と推移する。
【0060】
「突入条件確認期間」内における具体的な速度指令信号(SC)の変遷は、図8に示すように、モータ200の通常動作時の駆動電圧範囲(動作範囲内)よりも低い電圧範囲で行われることは、先の例と同様である。
【0061】
図示するように、かかる電圧範囲内において、先ず、速度指令信号(SC)のパルス幅が、予め定められた第1の閾値よりも小さい状態で所定時間推移する。その後、第2の閾値よりも大きいパルス幅で所定時間推移する。そして、その後に第2の閾値と第3の閾値との間のパルス幅で所定時間推移する態様を、外部装置との通信を可能にするための条件としている。なお、この速度指令信号(SC)の変遷を示す態様は、本変形例に限定されることはなく、適宜設定することができる。
【0062】
速度指令信号(SC)がこのように変遷したことを制御部20が検出すると、「書換突入」状態となる。すなわち、制御部20は、通信モードとするために、切替端子23からHigh信号を出力し、通信経路形成部1により外部通信経路93とリセット信号経路94を形成する。
【0063】
このとき、図8中の符号Cで示すタイミングで、速度指令信号(SC)となるPWM出力を停止する。すなわち、通信モードに切り替わると、SC(速度指令信号)入力ゲートT3(図2参照)には、プログラム書換装置100のリセット端子101が接続されるからである。
【0064】
そして、プログラム書換装置100のリセット端子101から制御回路部2のリセット端子22へリセット信号経路94を介してリセット信号が送信されると、モータ制御装置10の制御部20の状態は、「書換突入」状態から「リセット」状態となる。
【0065】
モータ制御装置10の制御回路部2がリセット状態になると、制御部20が備える切替端子23もオープンとなってしまう。そこで、ここでも、符号Dで示すように、切替端子からの出力は、若干低下するが、ラッチ回路6により切替回路11の切替ピンをHigh状態に維持させ、支障を生じさせないようにしている。
【0066】
「リセット」状態の後は、モータ制御装置10の制御部20は「プログラム書換」状態となり、プログラム書換装置100から所定のプログラムデータが制御部20へシリアル送信される。
【0067】
このように、外部との通信を可能とするための条件を、SC入力端子25に入力された速度指令信号(SC)の変遷の態様を検出することとしたように、様々な条件を設定することができるため、モータ制御装置10の設計自由度が高まる。
【0068】
ここで、変形例に係るモータ制御装置10の処理の流れの一例として、図9を参照しながら、外部装置との通信を可能にする条件を確認する処理の流れ(突入条件確認フロー)について説明する。
【0069】
図9に示すように、変形例に係るモータ制御装置10の制御部20は、先ず、電源投入操作を受けて電源電圧の入力受付を実行する(ステップS51)。次いで、制御部20は、電源電圧が動作範囲外であるか否かを判定する(ステップS52)。すなわち、制御部20は、入力された電源電圧が、モータ200が通常動作するときの範囲内にはなく、動作範囲外であるか否かを判定する。
【0070】
電源電圧が動作範囲外であると判定した場合(ステップS52:Yes)、制御部20は、ステップS13に処理を移し、速度指令信号(SC)のパルス幅が第1の閾値よりも小さいか否かを判定する(図8参照)。一方、電源電圧が動作範囲外ではないと判定した場合(ステップS52:No)、制御部20は、通信モードには移行せずに通常モードを維持する。
【0071】
制御部20は、速度指令信号(SC)のパルス幅が第1の閾値よりも小さいと判定できるまで待機し(ステップS53:No)、速度指令信号(SC)のパルス幅が第1の閾値よりも小さいと判定すると(ステップS53:Yes)、処理をステップS54に移す。ステップS54において、制御部20は、電源電圧が動作範囲内であるか否かを判定する。
【0072】
電源電圧が動作範囲外であると判定した場合(ステップS54:Yes)、制御部20は、ステップS55に処理を移し、速度指令信号(SC)のパルス幅が第2の閾値よりも大きいか否かを判定する(図8参照)。一方、電源電圧が動作範囲外ではないと判定した場合(ステップS54:No)、制御部20は、通信モードには移行せずに通常モードを維持する。
【0073】
制御部20は、電源電圧が、第2の閾値よりも大きいと判定できるまで待機し(ステップS55:No)、速度指令信号(SC)のパルス幅が第2の閾値よりも大きいと判定すると(ステップS55:Yes)、処理をステップS56に移す。ステップS56において、制御部20は、電源電圧が動作範囲内であるか否かを判定する。
【0074】
電源電圧が動作範囲外であると判定した場合(ステップS56:Yes)、制御部20は、ステップS57に処理を移し、速度指令信号(SC)のパルス幅が第2の閾値と第3の閾値との間のパルス幅であるか否かを判定する(図8参照)。一方、電源電圧が動作範囲外ではないと判定した場合(ステップS56:No)、制御部20は、通信モードには移行せずに通常モードを維持する。
【0075】
制御部20は、速度指令信号(SC)のパルス幅が第2の閾値と第3の閾値との間のパルス幅であると判定できるまで待機し(ステップS57:No)、速度指令信号(SC)のパルス幅が第2の閾値と第3の閾値との間のパルス幅であると判定すると(ステップS57:Yes)、処理をステップS58に移す。
【0076】
そして、制御部20は、切替端子23からHigh信号を出力させて切替回路11の切替ピンをHigh状態にして(ステップS58)、突入条件確認フローを終了する。こうして、制御部20は、通常モードから、ファームウェアなどを書き換えることができる通信モードに切り替えられる。
【0077】
上述してきた実施形態によれば、以下に示すモータ制御装置10、ファン装置400およびモータ200の駆動制御方法が実現される。
【0078】
(1)モータ200に駆動信号を出力するモータ駆動部3と、電源電圧に対応する電圧を入力する電圧入力部260と、モータ200の回転数に応じたFG情報を出力する出力経路に接続されるFG出力部240と、モータ200の速度指令信号(SC)を入力する入力経路に接続されるSC入力部250と、外部と通信可能な通信部210とを備えるとともに、モータ駆動部3に駆動制御信号を出力する制御回路部2と、所定のモード切替条件が満たされた場合、入力経路および出力経路のうち一方の経路である第1の経路91を介して外部装置であるプログラム書換装置100と制御回路部2の通信部210との間で情報通信を可能とする外部通信経路93を形成する通信経路形成部1と、を備えるモータ制御装置10。
【0079】
かかるモータ制御装置10によれば、外部との通信を簡単かつ確実に行える。
【0080】
(2)上記(1)において、モード切替条件は、制御回路部2が、電圧入力部260またはSC入力部250のうち、少なくともいずれか一方に、所定の情報が入力されたことを検出することであるモータ制御装置10。
【0081】
かかるモータ制御装置10によれば、外部との通信を可能とする条件の設定自由度が高まり、ひいてはモータ制御装置10の設計自由度も高まる。
【0082】
(3)上記(2)において、制御回路部2による所定の情報が入力されたことの検出は、予め定められた所定の期間内に行われるモータ制御装置10。
【0083】
かかるモータ制御装置10によれば、所定期間を設けることで所定の情報の誤検出や誤動作を防止することができる。
【0084】
(4)上記(2)または(3)において、所定の情報は、電圧入力部260に入力される電圧値の変遷を示す情報であり、当該電圧値の変遷を示す情報は、予め定められた所定の期間内に行われるモータ制御装置10。
【0085】
かかるモータ制御装置10によれば、通常のモータ200の駆動時における電圧の入力状態と確実に差別化できるため、誤動作を防止できる。
【0086】
(5)上記(4)において、電圧値の変遷は、モータ200の通常動作時の駆動電圧範囲よりも低い電圧範囲で行われるモータ制御装置10。
【0087】
かかるモータ制御装置10によれば、より確実に誤動作を防止することができる。
【0088】
(6)上記(2)または(3)のいずれかにおいて、所定の情報は、電圧入力部260に入力される電圧値がモータ200の動作範囲外の値であり、かつSC入力部250に入力される信号が、モード切替条件に対応する所定の信号であるモータ制御装置10。
【0089】
かかるモータ制御装置10においても、常のモータ200の駆動時における電圧の入力状態と確実に差別でき、誤動作などを防止できるとともに、外部との通信を可能とする条件の設定自由度が高まって、モータ制御装置10の設計自由度も高まる。
【0090】
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、制御回路部2は、制御回路部2をリセットするリセット部220を備え、通信経路形成部1は、モード切替条件が満たされた場合、外部通信経路93を形成するとともに、入力経路および出力経路のうち他方の経路である第2の経路92を介して、外部装置であるプログラム書換装置100から入力されるリセット信号をリセット部220に伝達するリセット信号経路94を形成するモータ制御装置10。
【0091】
かかるモータ制御装置10によれば、より確実に外部との情報通信を行うことができる。
【0092】
(8)上記(7)において、制御回路部2は、通信経路形成部1に切替信号を出力する切替部230をさらに備え、通信経路形成部1は、切替部230から出力される切替信号によって動作を開始して、リセット信号経路94と、外部通信経路93とを形成するモータ制御装置10。
【0093】
かかるモータ制御装置10によれば、制御回路部2をリセットしたり、情報通信を行ったりすることを、より確実に実現することができる。すなわち、制御部20のファームウェアなどの書換えも簡単かつ確実に行える。
【0094】
(9)上記(8)において、制御回路部2は、切替部230と通信経路形成部1とを接続する切替信号経路95に接続され、外部装置であるプログラム書換装置100との情報通信の際に、切替信号の出力状態を維持するラッチ回路6をさらに備えるモータ制御装置10。
【0095】
かかるモータ制御装置10によれば、例えば制御回路部2がリセット状態になって制御部20の切替端子23からの切替信号の出力が停止しても、通信モードを維持することができる。
【0096】
(10)上記(8)または(9)において、プログラム書換装置100は、リセット信号経路94を介してリセット信号を制御回路部2に出力し、外部通信経路93を介してプログラム書換データを制御回路部2に出力するモータ制御装置10。
【0097】
かかるモータ制御装置10によれば、外部からのプログラム書換えを容易且つ確実に行うことができる。
【0098】
(11)モータ200と、モータ200により駆動されるインペラ300と、上記(1)から(10)のいずれか一つに記載のモータ制御装置10とを含むファン装置400。
【0099】
かかるファン装置400によれば、上記(1)から(10)の効果を奏することが可能となる。
【0100】
上記(1)から(10)のいずれか一つに記載のモータ制御装置10におけるモータ200の駆動制御方法であって、所定のモード切替条件が満たされたことを検出する検出ステップと、検出ステップにより所定のモード切替条件が満たされた場合、制御回路部2が有する第1の経路91を介して外部装置であるプログラム書換装置100と制御回路部2が有する通信部210との間で情報通信を可能とする外部通信経路93を形成する経路形成ステップと、を含む、モータの駆動制御方法。
【0101】
かかるモータ200の駆動制御方法によれば、誤動作を防止しつつ外部との情報通信を簡単かつ確実に行うことができる。
【0102】
上述してきた実施形態では、第1の経路91をモータ200の回転数に応じた回転数信号(FG)を出力する出力経路、第2の経路92をモータ200の速度指令信号(SC)を入力する入力経路としたが、両者を入れ替えることもできる。
【0103】
また、前述したように、外部装置との通信を可能にするための条件は、上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜設定することができる。たとえば、入力される電源電圧の変遷と、入力される速度指令信号(SC)の変遷との検出を組み合わせて条件を満たすこととしてもよい。なお、上述の実施形態では、外部装置を用いての通信によって、ファームウェアなどのプログラムを書き換えることができるとしたが、プログラムの書き換えには、たとえば、不具合解析用のデバッグなども含まれる。
【0104】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成を適宜組み合わせたものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 通信経路形成部、2 制御回路部、3 モータ駆動部、6 ラッチ回路(状態維持部の一例)、10 モータ制御装置(モータの駆動制御装置)、20 制御部、91 第1の経路(出力経路の一例)、92 第2の経路(入力経路の一例)、93 外部通信経路、93a 第1外部通信経路、93b 第2外部通信経路、94 リセット信号経路、94a 第1リセット信号経路、94b 第2リセット信号経路、95 切替信号経路、100 プログラム書換装置(外部装置の一例)、200 モータ、210 通信部、220 リセット部、230 切替部、240 FG出力部(回転数情報出力部の一例)、250 SC入力部(速度指令入力部の一例)、260 電圧入力部、300 インペラ、400 ファン装置、FG 回転数信号(回転数情報の一例)、SC 速度指令信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9