(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】部品実装システム、実装プログラム最適化装置、部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20221202BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2018192494
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】小峯 正道
(72)【発明者】
【氏名】松野 順也
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115861(JP,A)
【文献】特開2003-037396(JP,A)
【文献】特開2005-167220(JP,A)
【文献】特開2016-174111(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049764(WO,A1)
【文献】特開2009-130337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業位置に基板を搬入する搬送部と、部品供給箇所に応じて配置されて前記部品供給箇所に部品を供給するフィーダーと、前記部品供給箇所から前記作業位置の基板に部品を移載することで基板に部品を実装する実装部とを備えた部品実装機と、
前記実装部による部品の実装手順を変更しつつ実装効率が改善する実装手順を求める最適化演算を実行する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記最適化演算が未実行の初期データが示す実装手順に対して前記最適化演算を実行して暫定的な実装手順を得ることで第1実装プログラムを作成する初期動作と、前記第1実装プログラムを前記部品実装機に送信する第1動作と、前記第1実装プログラムが示す実装手順に対して前記最適化演算を実行することで前記第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成を試行する第2動作とを
、この順番で実行し、
前記部品実装機は、
前記制御装置の前記第1動作によって前記制御装置から前記第1実装プログラムを受信すると、前記第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を開始し、
前記第2動作は、前記部品実装機が前記第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を実行している期間に並行して実行され、
前記第2動作において前記第2実装プログラムの作成が成功すると、前記第2実装プログラムが前記制御装置から前記部品実装機に送信され、前記部品実装機は前記制御装置から受信した前記第2実装プログラムにより示される実装手順で部品を基板に実装する部品実装システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2実装プログラムの作成に成功すると、以後に前記部品実装機で実行予定の部品の実装を、前記第1実装プログラムで継続した場合に完了する第1時刻と、前記第2実装プログラムで実行した場合に完了する第2時刻とを予測し、前記第2時刻が前記第1時刻より早いと判断すると、前記第2実装プログラムを前記部品実装機に送信する一方、前記第2時刻が前記第1時刻より遅いと判断すると、前記第2実装プログラムを前記部品実装機に送信しない請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記部品実装機が前記第2実装プログラムに示される実装手順での部品の実装を開始するために、前記フィーダーの配置を変更する段取り作業が必要な場合には、当該段取り作業を実行するようにユーザーに報知する請求項1または2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1実装プログラムが示す前記フィーダーの配置と前記第2実装プログラムが示す前記フィーダーの配置とが変わらないように前記第2動作を実行するフィーダー配置維持モードを実行可能である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記フィーダー配置維持モードを実行する指令がユーザーより入力された場合に、前記フィーダー配置維持モードにより前記第2実装プログラムの作成を試行する請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
所定の作業位置に基板を搬入する搬送部と、部品供給箇所に応じて配置されて前記部品供給箇所に部品を供給するフィーダーと、前記部品供給箇所から前記作業位置の基板に部品を移載することで基板に部品を実装する実装部とを備えた部品実装機の前記実装部による部品の実装手順を変更しつつ実装効率が改善する実装手順を求める最適化演算を実行する演算部と、
前記演算部による演算結果を前記部品実装機に送信する通信部と
を備え、
前記演算部は、
前記最適化演算が未実行の初期データが示す実装手順に対して前記最適化演算を実行して暫定的な実装手順を得ることで第1実装プログラムを作成する初期動作と、前記第1実装プログラムを、前記通信部を介して前記部品実装機に送信する第1動作と、前記第1実装プログラムが示す実装手順に対して前記最適化演算を実行することで前記第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成を試行する第2動作とを
、この順番で実行し、
前記部品実装機は、
前記演算部の前記第1動作によって前記通信部から前記第1実装プログラムを受信すると、前記第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を開始し、
前記第2動作は、前記部品実装機が前記第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を実行している期間に並行して実行され、
前記第2動作において前記第2実装プログラムの作成が成功すると、前記通信部から前記部品実装機に前記第2実装プログラムを送信し、前記部品実装機は前記通信部から受信した前記第2実装プログラムにより示される実装手順で部品を基板に実装する実装プログラム最適化装置。
【請求項7】
所定の作業位置に基板を搬入する搬送部と、部品供給箇所に応じて配置されて前記部品供給箇所に部品を供給するフィーダーと、前記部品供給箇所から前記作業位置の基板に部品を移載することで基板に部品を実装する実装部とを備えた部品実装機
の前記実装部による部品の実装手順を変更しつつ実装効率が改善する実装手順を求める最適化演算が未実行の初期データが示す実装手順に対して制御装置により前記最適化演算を実行して暫定的な実装手順を得ることで第1実装プログラムを作成する工程と、
前記部品実装機に対して、
前記第1実装プログラムを
前記制御装置から送信する工程と、
前記部品実装機が前記制御装置から前記第1実装プログラムを受信すると、前記第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を開始する工程と、
前記最適化演算を、前記第1実装プログラムが示す実装手順に対して実行することで前記第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成を試行する工程と、
前記第2実装プログラムの作成が成功すると、前記第2実装プログラムが前記制御装置から前記部品実装機に送信される工程と、
前記部品実装機が前記制御装置から受信した前記第2実装プログラムにより示される実装手順で部品を基板に実装する工程と
を備える部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に部品を実装する部品実装技術に関し、特に部品を基板へ実装する手順を最適化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィーダーにより供給された部品を実装ヘッドにより基板に実装する部品実装機が広く用いられている。また、特許文献1に示されるように、部品実装機での部品の実装を開始する前に、基板への部品の実装手順を最適化する演算が一般に行われる。つまり、部品実装機は、最適化された手順に従うことで、部品の実装を効率的に実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、部品の実装手順を最適化する演算は、長時間を要する場合が多い。そのため、部品実装機での部品実装の開始が遅れるという問題があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品の実装手順を最適化する演算に要する時間のために、部品実装機での部品実装の開始が遅れるのを抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装システムは、所定の作業位置に基板を搬入する搬送部と、部品供給箇所に応じて配置されて部品供給箇所に部品を供給するフィーダーと、部品供給箇所から作業位置の基板に部品を移載することで基板に部品を実装する実装部とを備えた部品実装機と、実装部による部品の実装手順を変更しつつ実装効率が改善する実装手順を求める最適化演算を実行する制御装置とを備え、制御装置は、暫定的な実装手順を示す第1実装プログラムを部品実装機に送信する第1動作と、第1実装プログラムが示す実装手順に対して最適化演算を実行することで第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成を試行する第2動作とを実行し、部品実装機は、制御装置から第1実装プログラムを受信すると、第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を開始し、第2動作は、部品実装機が第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を実行している期間に並行して実行され、第2動作において第2実装プログラムの作成が成功すると、第2実装プログラムが制御装置から部品実装機に送信され、部品実装機は制御装置から受信した第2実装プログラムにより示される実装手順で部品を基板に実装する。
【0007】
本発明に係る実装プログラム最適化装置は、所定の作業位置に基板を搬入する搬送部と、部品供給箇所に応じて配置されて部品供給箇所に部品を供給するフィーダーと、部品供給箇所から作業位置の基板に部品を移載することで基板に部品を実装する実装部とを備えた部品実装機の実装部による部品の実装手順を変更しつつ実装効率が改善する実装手順を求める最適化演算を実行する演算部と、演算部による演算結果を部品実装機に送信する通信部とを備え、演算部は、暫定的な実装手順を示す第1実装プログラムを、通信部を介して部品実装機に送信する第1動作と、第1実装プログラムが示す実装手順に対して最適化演算を実行することで第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成を試行する第2動作とを実行し、部品実装機は、通信部から第1実装プログラムを受信すると、第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を開始し、第2動作は、部品実装機が第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を実行している期間に並行して実行され、第2動作において第2実装プログラムの作成が成功すると、通信部から部品実装機に第2実装プログラムを送信し、部品実装機は通信部から受信した第2実装プログラムにより示される実装手順で部品を基板に実装する。
【0008】
本発明に係る部品実装方法は、所定の作業位置に基板を搬入する搬送部と、部品供給箇所に応じて配置されて部品供給箇所に部品を供給するフィーダーと、部品供給箇所から作業位置の基板に部品を移載することで基板に部品を実装する実装部とを備えた部品実装機に対して、暫定的な実装手順を示す第1実装プログラムを制御装置から送信する工程と、部品実装機が制御装置から第1実装プログラムを受信すると、第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を開始する工程と、実装手順を変更しつつ実装効率が改善する実装手順を求める最適化演算を、第1実装プログラムが示す実装手順に対して実行することで第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成を試行する工程と、第2実装プログラムの作成が成功すると、第2実装プログラムが制御装置から部品実装機に送信される工程と、部品実装機が制御装置から受信した第2実装プログラムにより示される実装手順で部品を基板に実装する工程とを備える。
【0009】
このように構成された本発明(部品実装システム、実装プログラム最適化装置、部品実装方法)では、暫定的な実装手順を示す第1実装プログラムを部品実装機に送信してから、第1実装プログラムが示す実装手順に対して最適化演算を実行して、第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成を試行する。つまり、第2実装プログラムの作成のための最適化演算に先立って、暫定的な実装手順を示す第1実装プログラムが部品実装機に送信される。そして、部品実装機は、第1実装プログラムを受信すると、第1実装プログラムにより示される実装手順で基板への部品の実装を開始する。したがって、部品の実装手順を最適化する演算に要する時間のために、部品実装機での部品実装の開始が遅れるのを抑制することが可能となっている。
【0010】
しかも、本発明では、第1実装プログラムが示す実装手順に対して最適化演算を実行することで、第1実装プログラムが示す実装手順よりも実装効率を改善させる実装手順を示す第2実装プログラムの作成が試行される。そして、第2実装プログラムの作成が成功すると、第2実装プログラムが部品実装機に送信され、部品実装機がこの第2実装プログラムにより示される実装手順で部品を基板に実装する。こうして、実装効率の向上が図られている。つまり、本発明では、暫定的な実装手順で速やかに部品実装を開始しつつ、最適化演算が実行された実装手順によって後の部品実装を高い実装効率で実行することが可能となっている。
【0011】
ところで、部品実装機で使用するプログラムを第1実装プログラムから第2実装プログラムに切り換えるのに際して、フィーダーの配置を変更するユーザーの段取り作業に要する時間等が生じる場合がある。このような場合、プログラムを切り換えることで、部品実装機での部品の実装を完了する時刻がかえって遅くなる状況も想定される。
【0012】
また、制御装置は、第2実装プログラムの作成に成功すると、以後に部品実装機で実行予定の部品の実装を、第1実装プログラムで継続した場合に完了する第1時刻と、第2実装プログラムで実行した場合に完了する第2時刻とを予測し、第2時刻が第1時刻より早いと判断すると、第2実装プログラムを部品実装機に送信する一方、第2時刻が第1時刻より遅いと判断すると、第2実装プログラムを部品実装機に送信しないように、部品実装システムを構成しても良い。これによって、部品実装機で使用する実装プログラムを第1実装プログラムから第2実装プログラムに切り換えたために、部品実装機での部品の実装を完了する時刻がかえって遅くなるといった状況を回避することができる。
【0013】
また、制御装置は、部品実装機が第2実装プログラムに示される実装手順での部品の実装を開始するために、フィーダーの配置を変更する段取り作業が必要な場合には、当該段取り作業を実行するようにユーザーに報知するように、部品実装システムを構成しても良い。これによって、ユーザーは段取り作業を的確に実行でき、第2実装プログラムを使用した部品の実装を速やかに開始できる。
【0014】
また、制御装置は、第1実装プログラムが示すフィーダーの配置と第2実装プログラムが示すフィーダーの配置とが変わらないように第2動作を実行するフィーダー配置維持モードを実行可能であるように、部品実装システムを構成しても良い。これによって、段取り作業を伴うことなく、第2実装プログラムを使用した部品の実装を速やかに開始できる。
【0015】
また、制御装置は、フィーダー配置維持モードを実行する指令がユーザーより入力された場合に、フィーダー配置維持モードにより第2実装プログラムの作成を試行するように、部品実装システムを構成しても良い。これによって、ユーザーの要望に従って、段取り作業の有無を管理することができる。
【0016】
また、制御装置は、最適化演算が未実行の初期データが示す実装手順に対して最適化演算を実行して暫定的な実装手順を得ることで第1実装プログラムを作成するように、部品実装システムを構成しても良い。かかる構成では、ある程度の実装効率を担保しつつ、第1実装プログラムによって部品の実装を実行することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部品の実装手順を最適化する演算に要する時間のために、部品実装機での部品実装の開始が遅れるのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る部品実装システムが備える電気的構成の一例を模式的に示す図。
【
図2】
図1の部品実装システムが備える部品実装機の構成を模式的に示す平面図。
【
図3】サーバーコンピューターが実行する最適化演算の一例を示すフローチャート。
【
図4】サーバーコンピューターが部品実装機に対して実行する実装制御の一例を示すフローチャート。
【
図5】
図4のフローチャートに従って実行される動作の一例を模式的に示すタイミングチャート。
【
図6】
図4のフローチャートにおいて実行される最適化演算の結果の一例を模式的に示す図。
【
図7】サーバーコンピューターが実行する最適化演算の変形例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明に係る部品実装システムが備える電気的構成の一例を模式的に示す図であり、
図2は
図1の部品実装システムが備える部品実装機の構成を模式的に示す平面図である。なお、
図2では、Z方向が鉛直方向であり、X方向およびY方向がそれぞれ水平方向であるXYZ直交座標軸が示されている。
図1に示すように、部品実装システムSは、基板Bに部品Eを実装する部品実装機1と、部品実装機1を制御するサーバーコンピューター9とを備える。
【0020】
サーバーコンピューター9は、演算部91、記憶部92、UI(User Interface)93および通信部94を備える。演算部91は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random access memory)で構成されたプロセッサーである。記憶部92は、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、演算部91での演算に利用されるプログラム、データあるいは演算部91による演算結果等を記憶する。UI93は例えばタッチパネルディスプレイ等で構成され、ユーザーによる入力操作を受け付けたり、部品実装に関する情報をユーザーに報知したりする。また、通信部94は、部品実装機1との通信を担う。
【0021】
部品実装機1は、制御部101、記憶部102、UI103および通信部104を備える。制御部101は、CPUおよびRAMで構成されたプロセッサーであり、部品実装機1の各部を制御することで基板Bを部品Eに実装する。記憶部102はHDD等で構成され、基板Bへの部品Eの実装手順を規定する実装プログラムPや、実装プログラムPの実行に要するデータ等を記憶する。UI103は例えばタッチパネルディスプレイ等で構成され、ユーザーによる入力操作を受け付けたり、部品実装に関する情報をユーザーに報知したりする。また、通信部104は、サーバーコンピューター9の通信部94との通信を担う。
【0022】
図2に示すように、部品実装機1は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する搬送部12を備える。この搬送部12は、X方向に並列に配置された一対のコンベア121を基台11上に有し、コンベア121によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア121の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、搬送部12は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア121の間隔を調整する。この搬送部12は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の作業位置123に搬入するとともに、作業位置123で部品Eが実装された基板Bを作業位置123からX方向の下流側に搬出する。
【0023】
搬送部12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部21がX方向に並んでおり、各部品供給部21では、複数のテープフィーダー22がX方向に並ぶ。部品供給部21では、X方向に並ぶ複数の部品供給箇所23が設けられており、各部品供給箇所23に供給すべき部品Eを供給するテープフィーダー22が、各部品供給箇所23に対応付けられて着脱可能に装着される。つまり、各テープフィーダー22に対しては、集積回路、トランジスター、コンデンサー等の小片状の部品Eを所定間隔おきに収容したキャリアテープが巻き付けられた部品供給リールが配置されており、各テープフィーダー22は部品供給リールから引き出されたキャリアテープを間欠的に送り出すことで、その先端部の部品供給箇所23に部品Eを供給する。
【0024】
また、部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール31と、Y方向に延びるY軸ボールネジ32と、Y軸ボールネジ32を回転駆動するY軸モーター33とが設けられ、支持ビーム34が一対のY軸レール31にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ32のナットに固定されている。支持ビーム34には、X方向に延びるX軸ボールネジ35と、X軸ボールネジ35を回転駆動するX軸モーター36とが取り付けられており、ヘッドユニット4が支持ビーム34にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ35のナットに固定されている。したがって、制御部101は、Y軸モーター33によりY軸ボールネジ32を回転させてヘッドユニット4をY方向に移動させ、あるいはX軸モーター36によりX軸ボールネジ35を回転させてヘッドユニット4をX方向に移動させることができる。
【0025】
ヘッドユニット4は、X方向に並ぶ複数(8本)の実装ヘッド41を有し、実装ヘッド41は、その下端に着脱可能に取り付けられたノズルを用いて、搬送部12により作業位置123に支持された基板Bに部品Eを実装する部品実装を実行する。つまり、制御部101は、X軸モーター36およびY軸モーター33によって、実装ヘッド41のノズルを、テープフィーダー22によって部品供給箇所23に供給された部品Eに上方から対向させる。次に、制御部101は実装ヘッド41を下降させて部品Eにノズルを接触させてから、ノズルにより部品Eを吸着した実装ヘッド41を上昇させる。こうして実装ヘッド41がテープフィーダー22からの部品Eのピックアップを完了すると、制御部101は、X軸モーター36およびY軸モーター33によって実装ヘッド41を基板Bの上方に移動させ、実装ヘッド41は、部品Eを基板Bに当接させつつ部品Eの吸着を解除することで、基板Bに部品Eを実装する。
【0026】
このようにヘッドユニット4は、テープフィーダー22によって部品供給箇所23に供給された部品Eをピックアップして作業位置123に支持された基板Bに実装することで、基板Bに設けられた全実装箇所に部品Eを実装する。この際、基板Bに部品Eを実装する手順は実装プログラムPに規定されており、制御部101は、記憶部102に記憶された実装プログラムPに基づき、ヘッドユニット4に部品Eの実装を実行させる。こうして、実装プログラムPにおいて実装するように規定された全部品Eが1枚の基板Bに実装されて、1枚の部品実装済み基板Bの生産が完了する。
【0027】
特に本実施形態では、サーバーコンピューター9が実装手順を最適化する最適化演算を実行することで作成した実装プログラムPを部品実装機1に送信し、部品実装機1はサーバーコンピューター9から受信した実装プログラムPに示される手順に従って部品実装を実行する。続いては、かかるサーバーコンピューター9および部品実装機1の動作について説明する。
【0028】
図3はサーバーコンピューターが実行する最適化演算の一例を示すフローチャートである。
図3のフローチャートは、サーバーコンピューター9の演算部91によって実行される。ステップS101では、基板Bに実装すべき複数の部品Eを基板Bに実装する順序を示す実装手順O(N)を識別するカウント値Nがゼロにリセットされ、ステップS102ではカウント値Nがインクリメントされる。
【0029】
ステップS103では、カウント値Nが示す実装手順O(N)で複数の部品Eを基板Bに実装した場合におけるヘッドユニット4の移動距離D(N)が算出される。ステップS104では、カウント値Nが「1」であるかが判断される。ここでは、N=1であるため、ステップS104で「YES」と判断され、実装手順O(N)(すなわち、実装手順O(1))が最適手順Opとして、記憶部92に保存される(ステップS106)。ステップS107では、カウント値Nが最大カウント値Nx(例えば、Nx=100)であるかが判断される。ここでは、N<Nxであるため、ステップS107で「NO」と判断されて、ステップS102に戻り、カウント値Nがインクリメントされる。
【0030】
ステップS103では、実装手順O(N)で複数の部品Eを基板Bに実装した場合におけるヘッドユニット4の移動距離D(N)が算出される。ステップS104では、カウント値Nが「1」であるかが判断される。ここでは、N=2であるため、ステップS104で「NO」と判断され、ステップS105に進む。ステップS105では、実装手順O(N)で部品実装を実行した場合の移動距離D(N)(すなわち、ステップS103で算出した移動距離D(N))が、最適手順Opで部品実装を実行した場合の移動距離Dpより短いか判断され、前者の移動距離D(N)が後者の移動距離Dpより短い場合(換言すれば、実装効率が改善した場合)には、実装手順O(N)が最適手順Opとして記憶部92に保存され(換言すれば、最適手順Opが実装手順O(N)に更新され)、前者の移動距離D(N)が後者の移動距離Dp以上である場合(換言すれば、実装効率が改善しない場合)には、ステップS106を省略してステップS107に進む。
【0031】
つまり、最適化演算では、カウント値Nが最大カウント値Nxに一致するまで(ステップS107で「YES」と判断されるまで)ステップS102~S106が繰り返される。こうして、ヘッドユニット4による部品Eの実装手順O(N)を変更しつつヘッドユニット4の移動距離D(N)(換言すれば、実装効率)が改善する実装手順O(N)が求められる。こうして、最適手順Opを示す実装プログラムPを生成することができる。
【0032】
図4はサーバーコンピューターが部品実装機に対して実行する実装制御の一例を示すフローチャートであり、
図5は
図4のフローチャートに従って実行される動作の一例を模式的に示すタイミングチャートであり、
図6は
図4のフローチャートにおいて実行される最適化演算の結果の一例を模式的に示す図である。
図4のフローチャートは、サーバーコンピューター9の演算部91によって実行される。
【0033】
ステップS201では、サーバーコンピューター9は、最適化演算が未実行の実装手順O(1)を示す初期実装プログラムP0を取得する。この初期実装プログラムP0は、例えばユーザーのマニュアル作業によって作成されて、サーバーコンピューター9に入力される。
図6の「初期実装プログラムP0」の欄に示す例では、初期実装プログラムP0は、実装箇所L1→L2→L3→L4→L5→L6→L7の順に基板B上の実装箇所L1~L7に対してヘッドユニット4により部品Eを実装する初期実装手順O0を示し、初期実装手順O0に従って部品Eを基板Bに実装するためにヘッドユニット4は移動距離D0を移動する。
【0034】
ステップS202では、サーバーコンピューター9は、初期実装プログラムP0に対して最適化演算を実行する。つまり、初期実装プログラムP0に対する最適化演算が時刻t1~t2に実行されることで、暫定実装プログラムP1が生成される。
図6の「暫定実装プログラムP1」の欄に示す例では、暫定実装プログラムP1は、実装箇所L1→L2→L3→L5→L4→L7→L6の順に基板B上の実装箇所L1~L7に対してヘッドユニット4により部品Eを実装する暫定実装手順O1を示し、暫定実装手順O1に従って部品Eを基板Bに実装するためにヘッドユニット4は移動距離D1を移動する。この移動距離D1は、移動距離D0より短く、暫定実装プログラムP1は、初期実装プログラムP0が示す初期実装手順O0よりも効率的な暫定実装手順O1を示す。
【0035】
時刻t2に暫定実装プログラムP1が生成されると、サーバーコンピューター9は部品実装機1にこの暫定実装プログラムP1を送信する(ステップS203)。この際、サーバーコンピューター9から部品実装機1には、テープフィーダー22の装着箇所を示す段取り情報が併せて送信され、この段取り情報が部品実装機1のUI103に表示される。そして、ユーザーは、この段取り情報が示す装着箇所にテープフィーダー22を装着する段取り作業を実行する(
図5の「段取り」)。段取り作業が完了すると、時刻t3に部品実装機1が暫定実装プログラムP1に示される暫定実装手順O1で基板Bへの部品Eの実装を開始する(
図5の「部品実装」)。こうして開始された部品実装では、作業位置123に順番に搬入される複数の基板Bに対して、暫定実装プログラムP1に基づく部品Eの実装が実行される。
【0036】
また、サーバーコンピューター9は、部品実装機1での段取り作業の実行期間(t2~t3)および部品実装の実行期間(時刻t3~t4)に並行して、暫定実装プログラムP1への最適化演算を実行する(ステップS204)。つまり、ステップS204では、暫定実装プログラムP1が示す暫定実装手順O1に対して最適化演算を実行することで、暫定実装プログラムP1が示す暫定実装手順O1よりも実装効率が改善する(換言すれば、ヘッドユニット4の移動距離Dが短くなる)改善実装手順O2を示す改善実装プログラムP2の作成が試行される。
【0037】
時刻t4において改善実装プログラムP2の作成に成功すると、サーバーコンピューター9は、部品実装機1で実行する実装プログラムPを、暫定実装プログラムP1から改善実装プログラムP2に切り換える必要があるかを判断する(ステップS205)。つまり、実装プログラムPの切り換えに際して、テープフィーダー22の配置を変更するユーザーの段取り作業が生じる場合がある。このような場合、実装プログラムPの切り換えに伴って段取り作業に要する時間が生じたために、部品実装機1で部品Eの実装を完了する時刻がかえって遅くなる状況も想定される。そこで、ステップS205では、改善実装プログラムP2へ切り換えた場合に段取り作業に要する時間(t4~t5)と部品実装に要する時間(t5~t6)とを推定した結果に基づき、改善実装プログラムP2に基づく部品実装が完了する時刻t6が予測される。なお、段取り作業に要する時間は、過去の段取り作業に要した時間から推定しても良いし、ユーザーに入力させても良い。さらに、ステップS205では、暫定実装プログラムP1に基づく部品実装を継続した場合に、当該部品実装が完了する時刻t7が予測される。そして、改善実装プログラムP2による部品実装の完了時刻t6が暫定実装プログラムP1による部品実装の完了時刻t7より早いと判断すると、実装プログラムPの切り換えが必要(YES)と判断され、ステップS206に進む。一方、改善実装プログラムP2による部品実装の完了時刻t6が暫定実装プログラムP1による部品実装の完了時刻t7より遅いと判断すると、実装プログラムPの切り換えが不要(NO)と判断され、ステップS209に進む。なお、時刻t6と時刻t7が同じである場合には、実装プログラムPを切り換えても、切り換えなくても構わないが、ここでは実装プログラムPの切り換えを不要(NO)と判断することとする。
【0038】
ステップS206では、改善実装プログラムP2がサーバーコンピューター9から部品実装機1に送信される。
図6の「改善実装プログラムP2」の欄に示す例では、改善実装プログラムP2は、実装箇所L1→L2→L4→L6→L3→L7→L5の順に基板B上の実装箇所L1~L7に対してヘッドユニット4により部品Eを実装する改善実装手順O2を示し、改善実装手順O2に従って部品Eを基板Bに実装するためにヘッドユニット4は移動距離D2を移動する。この移動距離D2は、移動距離D1より短く、改善実装プログラムP2は、暫定実装プログラムP1が示す暫定実装手順O1よりも効率的な改善実装手順O2を示す。
【0039】
ステップS207では、部品実装機1において改善実装プログラムP2を実行するに際して、段取り作業を実行する必要があるか判断される。段取り作業が必要である場合(ステップS207で「YES」の場合)には、サーバーコンピューター9はテープフィーダー22の装着箇所を示す段取り情報を部品実装機1に送信し、この段取り情報を部品実装機1のUI103に表示させてから(ステップS208)、ステップS209に進む。
図5の例では、その結果、時刻t4~t5の期間に段取り作業が実行され、時刻t5~t6の期間に、改善実装プログラムP2に基づく部品実装が実行される。一方、段取り作業が不要である場合(ステップS207で「NO」の場合)には、ステップS209に進み、部品実装機1では段取り作業が行われずに、改善実装プログラムP2に基づく部品実装が実行される。なお、段取り作業が不要な場合には、暫定実装プログラムP1から改善実装プログラムP2への変更を即時行う。この際、プログラムが変更された旨をUI103に表示しても良い。これによって、ユーザーはプログラムの変更を把握することができる。
【0040】
ステップS209では、
図4の実装制御を終了するか判断する。部品実装機1での部品実装の完了までの時間が所定時間以上であれば、実装制御を継続すると判断され(ステップS209で「NO」と判断され)、ステップS204に戻る。したがって、部品実装機1で改善実装プログラムP2により部品実装が実行されている場合には、この改善実装プログラムP2に対してステップS204~S209が実行され、これにより得られた実装プログラムPが新たな改善実装プログラムP2として取り扱われる。一方、部品実装機1での部品実装の完了までの時間が所定時間未満であれば、実装制御を終了すると判断され(ステップS209で「YES」と判断され)、当該実装制御を終了する。
【0041】
以上に説明した本実施形態では、暫定実装手順O1を示す暫定実装プログラムP1を部品実装機1に送信してから(ステップS203)、暫定実装プログラムP1が示す暫定実装手順O1に対して最適化演算を実行して、暫定実装プログラムP1が示す暫定実装手順O1よりも実装効率を改善させる改善実装手順O2を示す改善実装プログラムP2の作成が試行される(ステップS204)。つまり、改善実装プログラムP2の作成のための最適化演算(ステップS204)に先立って、暫定実装手順O1を示す暫定実装プログラムP1が部品実装機1に送信される(ステップS203)。そして、部品実装機1は、暫定実装プログラムP1を受信すると、暫定実装プログラムP1により示される暫定実装手順O1で基板Bへの部品Eの実装を開始する。したがって、部品Eの実装手順Oを最適化する演算(ステップS204)に要する時間のために、部品実装機1での部品実装の開始が遅れるのを抑制することが可能となっている。
【0042】
しかも、本実施形態では、暫定実装プログラムP1が示す暫定実装手順O1に対して最適化演算を実行することで、暫定実装プログラムP1が示す暫定実装手順O1よりも実装効率を改善させる改善実装手順O2を示す改善実装プログラムP2の作成が試行される(ステップS204)。そして、改善実装プログラムP2の作成が成功すると、改善実装プログラムP2が部品実装機1に送信され(ステップS206)、部品実装機1がこの改善実装プログラムP2により示される改善実装手順O2で部品Eを基板Bに実装する(時刻t5~t6)。こうして、実装効率の向上が図られている。つまり、本実施形態では、暫定実装手順O1で速やかに部品実装を開始しつつ(時刻t3)、暫定実装手順O1に対して最適化演算が実行された改善実装手順O2によって後の部品実装を高い実装効率で実行することが可能となっている(時刻t5~t6)。
【0043】
また、サーバーコンピューター9は、改善実装プログラムP2の作成に成功すると、以後に部品実装機1で実行予定の部品Eの実装を、暫定実装プログラムP1で継続した場合に完了する時刻t7と、改善実装プログラムP2で実行した場合に完了する時刻t6とを予測する(ステップS205)。そして、サーバーコンピューター9は、改善実装プログラムP2による部品実装の完了時刻t6が暫定実装プログラムP1による部品実装の完了時刻t7より早いと判断すると、改善実装プログラムP2を部品実装機1に送信する(ステップS205、S206)。一方、サーバーコンピューター9は、改善実装プログラムP2による部品実装の完了時刻t6が暫定実装プログラムP1による部品実装の完了時刻t7より遅いと判断すると、改善実装プログラムP2を部品実装機1に送信しない(ステップS205)。これによって、部品実装機1で使用する実装プログラムPを暫定実装プログラムP1から改善実装プログラムP2に切り換えたために、部品実装機1での部品の実装を完了する時刻がかえって遅くなるといった状況を回避することができる。
【0044】
また、サーバーコンピューター9は、部品実装機1が改善実装プログラムP2に示される改善実装手順O2での部品Eの実装を開始するために、テープフィーダー22の配置を変更する段取り作業が必要な場合には、当該段取り作業を実行するようにユーザーに報知する(ステップS208)。これによって、ユーザーは段取り作業を的確に実行でき、改善実装プログラムP2を使用した部品Eの実装を速やかに開始できる。
【0045】
また、サーバーコンピューター9は、最適化演算が未実行の初期実装プログラムP0が示す初期実装手順O0に対して最適化演算を実行して暫定実装手順O1を得ることで暫定実装プログラムP1を作成する。かかる構成では、ある程度の実装効率を担保しつつ、暫定実装プログラムP1によって部品Eの実装を実行することができる。
【0046】
ちなみに、特に説明しなかったが、最適化演算では、テープフィーダー22の配置を変更しつつ実装効率が改善する実装手順を求めることができる。ただし、かかる最適化演算を行った場合、暫定実装プログラムP1から改善実装プログラムP2への切り換えに伴って、上記のように段取り作業が発生する。そこで、最適化演算においてテープフィーダー22の配置変更を許可するか禁止するかを、ユーザーがサーバーコンピューター9のUI93に設定できるように構成できる。続いては、かかる変形例について説明する。
【0047】
図7はサーバーコンピューターが実行する最適化演算の変形例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、サーバーコンピューター9の演算部91によって実行される。ステップS111では、テープフィーダー22の配置変更が許可されているかが確認される。そして、テープフィーダー22の配置変更が禁止されている場合(ステップS111で「NO」の場合)には、テープフィーダー22の配置の変更を禁止するフィーダー配置維持モードを設定してから(ステップS112)、テップS101~S107が実行される。つまり、このステップS101~S107では、テープフィーダー22の配置変更を禁止するという制約条件の下で、最適手順Opが算出される。一方、テープフィーダー22の配置変更が許可されている場合(ステップS111で「YES」の場合)には、ステップS112を省いて、ステップS101~S107が実行される。つまり、このステップS101~S107では、テープフィーダー22の配置を変更しつつ、最適手順Opが算出される。そして、
図4の実装制御における最適化演算は、
図7のフローチャートに従って実行される。
【0048】
かかる変形例では、サーバーコンピューター9は、暫定実装プログラムP1が示すテープフィーダー22の配置と改善実装プログラムP2が示すテープフィーダー22の配置とが変わらないようにステップS204での最適化演算を実行するフィーダー配置維持モード(ステップS112)を実行可能である。これによって、段取り作業を伴うことなく、改善実装プログラムP2を使用した部品E部品の実装を速やかに開始することが可能となっている。
【0049】
また、サーバーコンピューター9は、フィーダー配置維持モード(ステップS112)を実行する指令がユーザーよりUI93に入力された場合に、フィーダー配置維持モードにより改善実装プログラムP2の作成を試行する(ステップS204)。これによって、ユーザーの要望に従って、段取り作業の有無を管理することができる。
【0050】
このように本実施形態では、部品実装システムSが本発明の「部品実装システム」の一例に相当し、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、搬送部12が本発明の「搬送部」の一例に相当し、作業位置123が本発明の「作業位置」の一例に相当し、テープフィーダー22が本発明の「フィーダー」の一例に相当し、部品供給箇所23が本発明の「部品供給箇所」の一例に相当し、ヘッドユニット4が本発明の「実装部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、サーバーコンピューター9が本発明の「制御装置」の一例に相当し、演算部91が本発明の「演算部」の一例に相当し、通信部94が本発明の「通信部」の一例に相当し、ステップS101~S107が本発明の「最適化演算」の一例に相当し、実装手順O(N)が本発明の「実装手順」の一例に相当し、移動距離Dが本発明の「実装効率」を示す一例に相当し、初期実装プログラムP0が本発明の「初期データ」の一例に相当し、暫定実装プログラムP1が本発明の「第1実装プログラム」の一例に相当し、改善実装プログラムP2が本発明の「第2実装プログラム」の一例に相当し、ステップS203が本発明の「第1動作」の一例に相当し、ステップS204が本発明の「第2動作」の一例に相当し、時刻t7が本発明の「第1時刻」の一例に相当し、時刻t6が本発明の「第2時刻」の一例に相当し、時間t4~t5に実行する作業が本発明の「段取り作業」の一例に相当し、ステップS112が本発明の「フィーダー配置維持モード」の一例に相当する。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の最適化処理では、ヘッドユニット4の移動距離Dに基づき実装手順Oの実装効率が改善したかを判断していた。しかしながら、ヘッドユニット4の移動距離D以外の指標値、例えばサイクルタイムに基づき実装手順Oの実装効率が改善したかを判断しても良い。
【0052】
また、部品実装機1の具体的な構成は、
図2の構成に限られない。したがって、実装ヘッド41の本数を適宜変更しても良い。あるいは、上記のようなインラインタイプではなく、複数の実装ヘッド41が円周状に並んだロータリータイプにより部品Eの実装を行なうように構成しても良い。
【符号の説明】
【0053】
1…部品実装機
12…搬送部
123…作業位置
22…テープフィーダー(フィーダー)
23…部品供給箇所
4…ヘッドユニット(実装部)
9…サーバーコンピューター(制御装置)
91…演算部
94…通信部
S…部品実装システム
B…基板
D…移動距離(実装効率)
E…部品
O(N)…実装手順
P0…初期実装プログラム(初期データ)
P1…暫定実装プログラム(第1実装プログラム)
P2…改善実装プログラム(第2実装プログラム)
t4~t5…段取り作業
t7…第1時刻
t6…第2時刻
S101~S107…最適化演算
S112…フィーダー配置維持モード
S203…第1動作
S204…第2動作