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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20221202BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20221202BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20221202BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221202BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20221202BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20221202BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G21/14
B65H7/14
G03G15/00 480
B65H29/52
B65H85/00
B65H29/70
G03G15/00 461
G03G15/00 463
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018201162
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2019194667
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2017215023
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018085722
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 功
(72)【発明者】
【氏名】井上 朋也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健司
(72)【発明者】
【氏名】桑田 隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 慶太
(72)【発明者】
【氏名】片平 興
(72)【発明者】
【氏名】長田 岳人
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-090198(JP,A)
【文献】特開平07-056402(JP,A)
【文献】特開2013-035150(JP,A)
【文献】特開2014-056265(JP,A)
【文献】特開2015-068928(JP,A)
【文献】特開平03-196173(JP,A)
【文献】特開2014-159312(JP,A)
【文献】特開2006-163361(JP,A)
【文献】特開平08-137145(JP,A)
【文献】特開2010-191396(JP,A)
【文献】特開2006-101116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/14
B65H 7/14
G03G 15/00
B65H 29/52
B65H 85/00
B65H 29/70
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出力する発光手段と、
前記発光手段から出力された前記光を反射する反射部材と、
前記反射部材からの反射光を受光する受光手段であって、前記発光手段から前記受光手段に至るまでに一回以上にわたりシートが搬送される搬送路を横切ってきた光である前記反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段が受光量に応じて出力する検知信号に基づき、前記搬送路を光が横切る位置にシートが到着しうる期間において当該位置にシートがあるかどうかを検知する検知手段と、
空気を送る送風手段であって、前記空気が前記反射部材に対して送られる、送風手段と、
前記シートが前記位置に到着する前の期間において前記受光手段が出力した検知信号に応じて、前記送風手段の風量と稼働時間とのうちの少なくとも一方を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記検知信号のレベルが結露閾値を超えていない場合、前記送風手段の風量を増加させるか、または、前記送風手段による送風を継続し、
前記検知信号のレベルが前記結露閾値を超えている場合、前記送風手段の風量を減少させるか、または、前記送風手段による送風を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送風手段の稼働時間を計測する計測手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記計測手段により計測された前記稼働時間が所定時間以上となっても前記検知信号のレベルが前記結露閾値を超えていない場合、前記送風手段の風量を減少させるか、または、前記送風手段による送風を停止させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記画像形成装置がシートに画像を形成している間は前記送風手段を稼働させ、前記画像形成装置が前記シートに対する画像の形成を終了すると、前記搬送路において光が横切る位置にシートが無いときに前記受光手段が出力した検知信号に応じて、前記送風手段の風量と稼働時間とのうちの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、電源から電力を供給されて前記画像形成装置が起動したとき、または、前記画像形成装置が画像形成を実行しない状態から画像形成を実行可能な状態に復帰したときに、前記発光手段に光を出力させ、前記受光手段が出力した検知信号に応じて前記送風手段を駆動または停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記検知信号のレベルが結露閾値を超えていない場合、前記送風手段による送風を開始するか、または、前記送風手段の風量を増加させ、
前記検知信号のレベルが前記結露閾値を超えている場合、前記送風手段の風量を減少させるか、または、前記送風手段による送風を実行しないことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、電源から電力を供給されて前記画像形成装置が起動したとき、または、前記画像形成装置が画像形成を実行しない状態から画像形成を実行可能な状態に復帰したときに、前記発光手段に光を出力させるとともに、前記送風手段の送風を開始させ、前記受光手段が出力した検知信号に応じて前記送風手段を停止させるか、または、前記発光手段の発光量もしくは前記受光手段のゲインを調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記検知信号のレベルが所定範囲の下限値以上でない場合、前記送風手段による送風を継続し、
前記検知信号のレベルが前記所定範囲の下限値以上である場合、前記送風手段の風量を減少させるか、または、前記送風手段による送風を停止させることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記送風手段の稼働時間を計測する計測手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記計測手段により計測された前記稼働時間が所定時間以上となっても前記検知信号のレベルが前記所定範囲の下限値以上でない場合、前記発光手段の発光量を増加させるかもしくは前記受光手段のゲインを増加させることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記発光手段の発光量を設定可能な最大値まで増加させても、前記検知信号のレベルが前記所定範囲の下限値以上でない場合、前記受光手段のゲインを増加させることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記受光手段のゲインを設定可能な最大値まで増加させても、前記検知信号のレベルが前記所定範囲の下限値以上でない場合、前記発光手段の発光量を増加させることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検知信号のレベルが前記所定範囲内となったときの前記発光手段の発光量を初期値として記憶する記憶手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記発光手段の発光を開始するときに前記記憶手段に記憶されている初期値を前記発光手段に設定することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記検知信号のレベルが前記所定範囲内となったときの前記受光手段のゲインを初期値として記憶する記憶手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記受光手段の受光を開始するときに前記記憶手段に記憶されている初期値を前記受光手段に設定することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記送風手段から吹き出されるか、または、前記送風手段により吸引される空気が前記反射部材に送風されるように前記空気を前記反射部材に導く通風路をさらに有することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記搬送路において対向して設けられ、シートをガイドする第一ガイド部材および第二ガイド部材をさらに有し、
前記発光手段および前記受光手段は、前記第一ガイド部材に固定されており、
前記反射部材は、前記第二ガイド部材に固定されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記発光手段と前記受光手段との間に設けられた遮光部材をさらに有することを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記搬送路を形成する搬送ガイド部材をさらに有し、
前記送風手段は、前記反射部材と前記搬送ガイド部材それぞれに対して空気を送ることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記搬送路は、第一面に画像が形成されたシートの第二面に画像を形成するために、当該シートの画像形成面を前記第一面から前記第二面に反転させる反転搬送路であることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記反転搬送路に設けられた反転ローラと、
前記反転搬送路に設けられ、前記画像形成装置の外部と連通した開口部と、をさらに有し、
前記送風手段は、前記送風手段により送風された空気が前記開口部から前記画像形成装置の外部に排出されるように、配置されていることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
光を出力する発光手段と、
前記発光手段から出力された前記光を反射する反射部材と、
前記反射部材からの反射光を受光する受光手段であって、前記発光手段から前記受光手段に至るまでに一回以上にわたりシートが搬送される搬送路を横切ってきた光である前記反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段が受光量に応じて出力する検知信号に基づき、前記搬送路を光が横切る位置にシートが到着しうる期間において当該位置にシートがあるかどうかを検知する検知手段と、
空気を送る送風手段であって、前記空気が前記反射部材に対して送られる、送風手段と、
前記シートが搬送されていない期間において前記受光手段が出力した検知信号に応じて、前記送風手段の風量と稼働時間とのうちの少なくとも一方を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置はトナー画像に熱と圧力を加えてシート上にトナー画像を定着させる。この定着装置の内部または近傍で発生するシートのジャムを検知するためにシートセンサが採用される。特許文献1によれば、シートによって光が遮られたかどうかに応じてシートの有無を検知するシートセンサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平4-15433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートが定着装置を通過する際、シートに含まれる水分が蒸発し、水蒸気が発生することがある。この水蒸気がシートセンサの検知精度に影響を与えることがある。例えば、特許文献1に記載されたシートセンサでは、発光部が照射した光を反射部材が反射し、反射光を受光部が受光する構成となっている。そのため、シートから発生した水蒸気によって反射部材が結露し、反射部材の反射率が低下するとシートの検知精度が低下してしまう。また、シートから発生した水蒸気が水滴となって定着装置の周囲の搬送ガイド部材に付着することもある。この水滴が搬送されてきたシートに付着すると画像不良につながる。そこで、本発明は、結露が生じうる環境下において、精度よくシートを検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、たとえば、
光を出力する発光手段と、
前記発光手段から出力された前記光を反射する反射部材と、
前記反射部材からの反射光を受光する受光手段であって、前記発光手段から前記受光手段に至るまでに一回以上にわたりシートが搬送される搬送路を横切ってきた光である前記反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段が受光量に応じて出力する検知信号に基づき前記搬送路を光が横切る位置にシートが到着しうる期間において当該位置にシートがあるかどうかを検知する検知手段と、
気を送る送風手段であって、前記空気が前記反射部材に対して送られる、送風手段と、
前記シートが前記位置に到着する前の期間において前記受光手段が出力した検知信号に応じて、前記送風手段の風量と稼働時間とのうちの少なくとも一方を調整する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、結露が生じうる環境下において、精度よくシートを検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置の概略断面図
図2】シートセンサの斜視図
図3】シートセンサの平面図
図4】シートセンサに対する通風路を示す断面図
図5】送風ユニットの駆動回路とシートセンサの検知回路を示す図
図6】送風制御を示すタイミングチャート
図7】送風制御を示すフローチャート
図8】送風制御を示すフローチャート
図9】送風制御を示すフローチャート
図10】CPUの機能を示すブロック図
図11】実施例1における画像形成装置の概略断面図
図12】水蒸気量に関連したパラメータを説明する図
図13】通風路を示す平面図
図14】送風制御を示すフローチャート
図15】稼働時間の決定方法を説明する図
図16】実施例5における画像形成装置の概略断面図
図17】実施例5におけるシートセンサの斜視図
図18】実施例5におけるシートセンサの平面図
図19】カール矯正機構の制御を示すフローチャート
図20】CPUの機能を説明する図
図21】推定部の詳細を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施例1]
図面を参照しながら、画像形成装置の一例として電子写真方式のカラーレーザビームプリンタを説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、本発明に係る画像形成装置はカラーレーザビームプリンタのみに限定するものではなく、複写機、ファクシミリ等、他の画像形成装置であってもよい。
【0009】
<画像形成装置>
図1に示された画像形成装置100は本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kを備えている。なお、参照番号に付与されているY,M,C,Kの文字はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー色を示しており、各色に共通する事項が説明される際には省略される。プロセスカートリッジ5はトナー容器23、感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ3、クリーニング部材4、廃トナー容器24を有している。また、プロセスカートリッジ5は露光器7と共に画像形成部101を形成している。
【0010】
トナー容器23は現像剤(以降ではトナーと記述される)を収容している。感光体ドラム1は静電潜像やトナー画像を担持する像担持体である。帯電ローラ2は感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。露光器7は画像情報に応じてレーザ光を出力し、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。現像ローラ3は、トナー容器23から供給されたトナーを静電潜像に付着させて現像し、トナー画像を形成する。
【0011】
転写ユニットの一例である中間転写ユニット102は、中間転写ベルト8、駆動ローラ9、対向ローラ10、および、一次転写ローラ6を有している。一次転写ローラ6は感光体ドラム1に対向して配置されており、感光体ドラム1に担持されているトナー画像を中間転写ベルト8に一次転写する。中間転写ベルト8は駆動ローラ9と対向ローラ10とに張架されており、駆動ローラ9によって駆動されて回転する。中間転写ベルト8は矢印Aが示す方向に回転し、トナー画像を二次転写部へ搬送する。二次転写部は、中間転写ベルト8と二次転写ローラ11により形成されている。
【0012】
給紙カセット13は複数のシートPを収容している。シートPは、紙のように光を透過させずにその表面で光を反射したり、吸収したりする材質で構成された記録媒体(記録材)である。給紙ローラ14はシートPをピックアップして搬送路へ送り出す。搬送ローラ15は給紙ローラ14から受け渡されたシートPをさらに搬送方向の下流側へ搬送する。レジストローラ16は、シートPが二次転写部に到着するタイミングを、トナー画像を二次転写部に到着するタイミングに同期させる搬送ローラである。二次転写部においてトナー画像がシートPに二次転写される。ベルトクリーナ21は中間転写ベルト8上に残ったトナーを除去して廃トナー容器22へ回収する。
【0013】
トナー画像を転写されたシートPは定着装置17に搬送される。定着装置17はトナー画像とシートPに対して熱と圧力を加える加熱ローラ18および加圧ローラ19を有している。加熱ローラ18の内部にはヒータ30などの発熱ユニットが設けられている。また、ヒータ30には加熱ローラ18またはヒータ30の温度を計測する温度センサ12が設けられている。排出ローラ20はトナー画像が定着したシートPを画像形成装置100の外部に排出する。
【0014】
定着装置17の内部であって、加熱ローラ18および加圧ローラ19の下流にはシートセンサ31が設けられている。下流とはシートPの搬送方向における下流を指している。シートセンサ31は反射型の光学センサである。シートセンサ31は加熱ローラ18および加圧ローラ19により搬送されてきたシートPを検知する。
【0015】
送風ユニット32は空気を吹き出すかまたは吸い出すファンと、ファンを駆動するモータとを有している。送風ユニット32は、定着装置17の外部に設けられている。送風ユニット32は、たとえば、定着装置17内の通風路を介して空気を送り込み、シートセンサ31を冷却する。
【0016】
制御基板25は画像形成装置100の各部を制御する電気回路を有している。たとえば、制御基板25には制御プログラムを実行することで画像形成装置100の各部を制御するCPU26が搭載されている。CPU26は、シートPの搬送に関する駆動源(不図示)やシートセンサ31に関する制御、送風ユニット32の制御、プロセスカートリッジ5の駆動源(不図示)の制御、画像形成に関する制御、更には故障検知に関する制御などを担当してもよい。スイッチング電源28は、外部電源に接続された電源ケーブル29から入力される交流電源電圧を直流電圧に変換し、制御基板25などに供給する。
【0017】
<シートセンサ>
図2A図2Bはシートセンサ31の斜視図である。図2A図2Bはシートセンサ31に対する視点が異なっている。なお、シートセンサ31の向きを理解しやすくするために方向を示す矢印x、y、zが付与されている。矢印zは画像形成装置100の高さ方向を示し、定着装置17におけるシートPの搬送方向と平行となっている。
【0018】
第一ガイド36は、加圧ローラ19の上方に配置されており、シートPを誘導するガイド部材である。第一ガイド36のzx面と平行な断面は略U字形である。つまり、第一部材41の一方の端部は第二部材42の一方の端部と接合している。また、第二部材42の他方の端部は第三部材43の一方の端部と接合している。第一部材41はシートPをガイドするガイド面を有している。
【0019】
第二ガイド37は、加熱ローラ18の上方で、かつ、第一ガイド36と対向して設けられ、シートPを誘導するガイド部材である。第二ガイド37のzx面と平行な断面は略L字形である。つまり、第四部材44の一方の端部は第五部材45の一方の端部と接合している。第四部材44はシートPをガイドするガイド面を有しており、第一部材41と平行である。
【0020】
第一ガイド36の第一部材41の中央には切欠きが設けられている。第二部材42から上方に向かって突出した基板保持部材46には基板35が固定されている。基板35には、発光部33と受光部34が実装されている。第二部材42から上方に向かって突出した遮光部材47は、発光部33と受光部34との間に設けられている。
【0021】
第二ガイド37の第四部材44の中央にも切欠きが設けられている。第五部材45から上方に突出した反射部材保持部48には反射部材38が固定されている。この例では、反射部材保持部48と基板保持部材46とが平行となっている。また、発光部33から出力された光が反射部材38で正反射し、反射光が受光部34に入射するように、発光部33、反射部材38および受光部34が位置決めされている。なお、反射部材38は、光を反射する性質を有した部材や反射膜を有していればよい。たとえば、鏡、または、光沢のある金属もしくは樹脂などが、反射部材38として採用されうる。
【0022】
図3AはシートPが通過していないときのシートセンサ31の平面図である。図3BはシートPが通過しているときのシートセンサ31の平面図である。図3Aが示すように発光部33が照射した光は、搬送路49を跨いで第二ガイド37の反射部材38に届く。照射された光は反射部材38の表面で反射され、搬送路49を跨いで受光部34に届く。これによって、受光部34はシートPを検知していないことを示す検知信号(例:ローレベルの信号)を出力する。あるいは受光部34は、シートPを検知していることを示す検知信号(例:ハイレベルの信号)を出力しない。このようにシートセンサ31は搬送路49において発光部33を起源とした光が横切る位置にシートPがあるかどうかを検知する。
【0023】
図3Bが示すように、シートPが搬送路49を搬送されているときには、発光部33の光はシートPの表面まで届くものの、シートPの表面で光が遮光される。つまり、反射部材38まで光が届かず、受光部34も反射部材38からの反射光を受光できない。したがって、受光部34はシートPを検知していることを示す検知信号(例:ハイレベルの信号)を出力する。あるいは受光部34は、シートPを検知していないことを示す検知信号(例:ローレベルの信号)を出力しない。
【0024】
<送風ユニット>
図4はシートセンサ31の冷却機構の断面図である。図4において矢印は空気の流れを示している。排気ガイド39は送風ユニット32から吹き出された空気を第一ガイド36へ誘導する。排気ガイド39と第一ガイド36は通風路40を形成している。図4が示すように、基板35は通風路40内に配置されている。また、第一ガイド36の第一部材41と発光部33との間には排気ガイド39から侵入してきた空気が通過するための隙間が設けられている。この隙間を通過する空気によって発光部33が冷却される。さらに、この隙間を通過した空気は、断面形状が台形となる遮光部材47の一部を構成する壁によって反射部材38へ誘導される。反射部材38に空気が送風されることで、反射部材38の反射面に紙くずなどが付着しにくくなる。また、低湿な空気が送風されることで反射部材38近傍の水蒸気が拡散し、結露を減少させやすくなる。このように、定着装置17の外部に配置された送風ユニット32からの風を発光部33に導くことで発光部33を冷却するとともに、送風された空気によって反射部材38をクリーニングすることができる。
【0025】
なお、基板35は基板保持部材46と遮光部材47とによって挟持されてもよい。これにより基板35を安定的に位置決めできるようになる。また、遮光部材47を、空気の誘導部材として兼用できるだけなく、基板35を保持する部材としても兼用可能となる。
【0026】
<回路の説明>
図5Aは送風ユニット32の駆動回路57を示している。駆動回路57は降圧コンバータである。CPU26は送風ユニット32を駆動するためにPWM信号を出力する。PWM信号は制限抵抗R1を介してトランジスタTr1のベースに入力される。PWM信号がHiレベルになるとトランジスタTr1はONする。トランジスタTr1がONすると、基準電圧Vccを抵抗R2、R3により分圧して生成された電圧がトランジスタTr2のベースに印加され、トランジスタTr2がONする。トランジスタTr2がONすると、基準電圧VccからトランジスタTr2およびコイルL1を介して電解コンデンサC1へチャージ電流が流れる。PWM信号がLowレベルになると、トランジスタTr1がオフとなり、それによってトランジスタTr2もオフする。これにより、コイルL1、電解コンデンサC1および回生ダイオードD1のルートで電流が流れる。PWM信号がON/OFFを繰り返すことでPWM信号のONデューティに応じた電圧が電解コンデンサC1の両端に生成される。この電圧は基準電圧Vccよりも低い電圧である。この電圧が送風ユニット32にモータに印加され、モータが回転する。モータに印加される電圧に応じてモータの回転数が決定される。
【0027】
CPU26は、PWM信号のONデューティを変更することで、送風ユニット32へ供給する電圧を変更する。たとえば、CPU26は、第一デューティのPWM信号を出力することで、送風ユニット32の風量を第一風量に設定する。また、CPU26は、第二デューティのPWM信号を出力することで、送風ユニット32の風量を第二風量に設定する。第二デューティが第一デューティよりも大きければ、第二風量は第一風量よりも多くなる。
【0028】
図5Bは発光部33の駆動回路56を示している。CPU26は発光部33を駆動するための駆動信号を出力する。CPU26から出力される駆動信号は抵抗R4とコンデンサC2とによって構成された平滑回路により平滑されて、トランジスタTr3のベースに入力される。これによりトランジスタTr3がオンする。トランジスタTr3のコレクタと基準電圧Vccとの間には電流を制限する制限抵抗R5が設けられている。発光ダイオードD2は発光部33を構成している。CPU26は、駆動信号をON/OFFすることで、発光部33の発光/消灯を切り替える。
【0029】
図5Cは受光部34の検知回路を示している。発光部33から発せられた光を受光するフォトトランジスタTr4のコレクタ側は、プルアップ抵抗R6を介して基準電圧Vccに接続されているとともに、CPU26の入力ポートに接続されている。フォトトランジスタTr4は受光量に応じたレベルの検知信号(電圧)を出力する。そのため、CPU26の入力ポートに入力される電圧はほぼ0VからVccまでの間で変化する。ここでは、CPU26の入力ポートに印加された電圧が受光量と称される。入力ポートは、CPU26がアナログ値を受け取れるように、ADポートであってもよい。フォトトランジスタTr4がONすることができる十分な量の光を受光した場合、CPU26の入力ポートにはほぼ0Vの電圧が入力される。一方、フォトトランジスタTr4が反射部材38からの反射光を受光できない場合、入力ポートにはほぼ基準電圧Vccに等しい電圧が入力される。つまり、この検知回路では受光量が増えると入力電圧(検知電圧)が低下し、受光量が減ると入力電圧が増加する。この場合、シートPがあれば入力電圧が増加し、シートPがなければ入力電圧が減少する。あるいは、受光量が増えると入力電圧が増加し、受光量が減ると入力電圧が減少するような検知回路が採用されてもよい。この場合、シートPがあれば入力電圧が減少し、シートPがなければ入力電圧が増加する。
【0030】
CPU26は入力ポートから入力された電圧に基づきシートPの有無を検知する。たとえば、CPU26は入力電圧がシート閾値以下であればシートなしと判定し、CPU26は入力電圧がシート閾値を超えていればシートありと判定してもよい。抵抗R7は、受光部34の受光ゲインの値を切り替えるために設けられた抵抗である。CPU26は、オン信号として0VをFET1のゲートに出力することで、FET1をオンする。これによりFET1が導通する。一方、CPU26は、オフ信号としてVccをFET1のゲートに出力することで、FET1をオフする。FET1がオンした場合、フォトトランジスタTr4のコレクタ側はプルアップ抵抗R6と抵抗R7の合成抵抗を介して基準電圧Vccに接続される。FET1がオフした場合、フォトトランジスタTr4のコレクタ側はプルアップ抵抗R6のみを介して基準電圧Vccに接続される。つまり、CPU26は、FET1のゲートにオン信号もしくはオフ信号を出力することで、受光部34の受光ゲインの値を切り替える。CPU26はオン信号を出力することで受光ゲインを第一ゲインに設定し、オフ信号を出力することで受光ゲインを第二ゲインに設定する。たとえば、プルアップ抵抗R6と抵抗R7として180kΩの抵抗が採用されてもよい。この場合、CPU26が受光ゲインを第一ゲインに設定するためにオン信号を出力すると、基準電圧Vccに接続される抵抗値は90kΩとなる。一方で、CPU26が受光ゲインを第二ゲインに設定するためにオフ信号を出力すると、抵抗値は180kΩとなる。つまり、第二ゲインは第一ゲインに対して2倍になる。CPU26がオフ信号を出力することで、基準電圧Vccに接続される抵抗値が増加する。つまり、第一ゲインと比較して第二ゲインは、より少ない受光量でCPU26への入力電圧を十分に低下させることができる。
【0031】
<結露検知>
反射部材38が結露すると反射率が低下し、受光部34での受光量が減少し、シートPの検知精度が低下する。シートPが定着装置17を通過する際にシートPに吸着されていた水分が蒸発して水蒸気が発生する。この水蒸気が反射部材38に結露する可能性がある。そこで、送風ユニット32が空気を反射部材38に送ることで、反射部材38およびその周りに存在していた水蒸気を削減することが可能となる。本実施例では、シートPがシートセンサ31に無いときに、CPU26が受光部34の受光量を検知する。ここでは、受光部34が受光量と反比例(負の相関関係)する電圧を出力すると仮定されている。CPU26は、入力された電圧が予め定められた閾値を超えた場合、受光量が低下した(結露が発生した)と判定する。CPU26は、入力電圧が閾値を超えない場合、受光量が一定以上にあると判定する。つまり、CPU26は、反射部材38の結露が発生していないと判定したり、反射部材38の周りに水蒸気が発生していないと判定したりしてもよい。
【0032】
<送風制御>
図6は画像形成装置100の状態と送風ユニット32の動作を示すタイミングチャートである。図6が示すように時刻t0で電源から電力が供給されて画像形成装置100が起動する。つまり、時刻t0で画像形成装置100は電源オフ状態からスタンバイ状態に遷移する。図7はCPU26が実行する制御を示すフローチャートである。
【0033】
S701でCPU26はプリント指示(画像形成指示)が操作部や外部のコンピュータから入力されたかを判定する。図7によれば時刻t1でプリント指示が入力されている。なお、画像形成装置100の状態は、時刻t0から時刻t1までプリント指示を待ち受けるスタンバイ状態である。画像形成装置100が起動した直後のスタンバイ状態では送風ユニット32は動作しない(風量=0)。なお、非常に少ない風量となるようにCPU26は送風ユニット32を駆動してもよい。時刻t1でプリント指示が入力されると、CPU26は画像形成を開始するためにS702に進む。
【0034】
S702でCPU26は画像形成装置100を制御してプリントを開始する。さらに、CPU26は送風ユニット32を駆動して反射部材38への送風を開始する。これにより発光部33の冷却も開始され、発光部33の昇温に伴う発光量の低下が抑制される。CPU26は、送風ユニット32を駆動するためのPWM信号の出力を開始する。これにより、駆動回路57が送風ユニット32のモータに電力を供給し、モータがファンを回転させ、発光部33や反射部材38への送風が開始される。
【0035】
S703でCPU26はプリントが終了したかどうかを判定する。CPU26は、操作部などによって指定されたプリントジョブがすべて完了したかどうかを判定する。時刻t3でプリントが終了すると、CPU26はS704に進む。
【0036】
S704でCPU26は、プリント終了(時刻t3)からの経過時間が所定時間Txになったかどうかを判定する。CPU26はタイマーやカウンタを用いてプリント終了からの経過時間を計測する。図6によれば時刻t4で経過時間が所定時間Txとなっている。所定時間Txは反射部材38の結露がほぼ解消するまでに必要となる時間であり、予め定められている。経過時間が所定時間Txになると、CPU26はS706に進む。経過時間が所定時間に達していない場合、S705に進む。
【0037】
S705でCPU26は受光部34における受光量が結露閾値を超えているかどうかを判定する。なお、受光部34が受光量と反比例する入力電圧を生成する場合、入力電圧が電圧閾値以下かどうか判定される。つまり、CPU26は受光部34における受光量に応じた電圧に基づき反射部材38の結露の有無や反射部材38の周囲の状態を判定してもよい。Th1は結露の有無を判定するために使用される結露閾値である。ThpはシートPの有無を判定するためのシート閾値である。ここで、Th1>ThPである。CPU26は受光量が結露閾値Th1を超えていれば、十分に水蒸気が低減されており、結露が生じていないと判定する。結露が生じていない場合、CPU26は、送風ユニット32を停止させるためにS706に進む。一方、CPU26は、受光量が結露閾値Th1を超えていなければ(入力電圧が電圧閾値以上であれば)、結露が発生している可能性があると判定する。この場合、CPU26は送風ユニット32の風量を維持したまま、S704に進む。なお、S705からS704に遷移する際に、CPU26は、所定の待機時間にわたり待機してもよい。これにより、CPU26の処理負荷が軽減される。
【0038】
S706でCPU26は送風ユニット32を停止させる。たとえば、送風ユニット32はPWM信号の出力を停止するか、または、PWM信号のデューティを減少させる。なお、送風ユニット32は完全に停止しなくてもよい。たとえば、送風ユニット32の風量が非常に少なくなるようにPWM信号のデューティを変更してもよい。
【0039】
本実施例によれば、CPU26は受光量を検知することで、反射部材38の結露状態およびその周囲の水蒸気の発生度合を取得することができる。たとえば、結露や水蒸気の発生度合が考慮されないケースでは、常に、一定時間にわたり強制的に送風ユニット32が駆動されてしまうだろう。一方で、本実施例では、結露や水蒸気の発生度合が低いと推定される場合、CPU26は、送風ユニット32を停止させる。これにより、送風ユニット32の稼働時間が削減され、消費電力も削減される。また、送風ユニット32の稼働時間が削減されるため、CPU26は、プリント状態から次の状態(スタンバイ状態など)にすぐに遷移できる。結露閾値Th1はシート閾値Thpよりも大きく設定されている。そのため、CPU26はシートPの無し状態を確実に検知できる。つまり、送風ユニット32の稼働時間の短縮と消費電力の低減を図りつつ、シート検知の精度が向上する。
【0040】
なお、本実施例では、受光量に応じてプリント後における送風ユニット32の稼働時間を変更するシーケンスの一例が示された。送風ユニット32の稼働時間を変更する代わり、CPU26は、受光量に応じて送風ユニット32の風量を変更してもよい。たとえば、CPU26は受光量に応じてPWM信号のデューティを変更してもよい。送風ユニット32は、時刻t0で画像形成装置100が起動すると、第一風量(ゼロであってもよい)となるよう駆動される。また、時刻t1で送風ユニット32は風量が第二風量となるように駆動される(第二風量>第一風量)。時刻t3から時刻t4まで、送風ユニット32は引き続き第二風量で送風を実行する。時刻t4で送風ユニット32の風量が第二風量から第一風量(ゼロであってもよい)に削減される。なお、CPU26は、時刻t0から時刻t1まで送風ユニット32の風量をゼロに制御し、時刻t1から時刻t2まで風量を第一風量(>0)に制御し、時刻t2以降で風量を第二風量(>第一風量)に制御してもよい。ここで、時刻t2は、図6において時刻t1と時刻t3との間にある時刻である。
【0041】
本実施例では、画像形成装置100の構成として一つの条件で一つの送風ユニット32を制御する構成が示された。複数の条件で一つの送風ユニット32が制御されてもよい。たとえば、送風ユニット32の稼働時間は受光部34の受光量と、定着装置17内の温度とに応じて制御されてもよい。その際に、受光量に基づく制御が優先されてもよいし、定着装置17内の温度に基づく制御が優先されてもよい。定着装置17内の温度に基づく制御では、温度センサ12により検知された温度が使用される。たとえば、CPU26は、受光量が結露閾値Th1を超えていたとしても、定着装置17内の温度を一定値以下に低下していなければ、送風ユニット32の稼働を継続してもよい(温度優先制御)。また、CPU26は、定着装置17内の温度を一定値以下に低下していたとしても、受光量が結露閾値Th1を超えていなければ、送風ユニット32の稼働を継続してもよい(受光量優先制御)。本実施例によれば、送風ユニット32はシートセンサ31に送風しているが、定着装置17にも送風してもよい。このように、送風ユニット32は画像形成装置100が備える複数のユニットを冷却してもよい。
【0042】
[実施例2]
実施例2は、実施例1を改良したものである。電源から電力の供給が開始されて画像形成装置100が起動したときや、プリント指示にしたがって画像形成装置100が省エネモードから通常モードに復帰したときに、CPU26は、反射部材38に結露が発生していないことを確認する。これにより、画像形成装置100は、反射部材38に結露が発生していない状態でプリントを開始できる。なお、通常モードとは、画像形成装置100が画像形成可能なモードであり、上述のプリント状態に相当する。省エネモードは画像形成装置100が画像形成可能でないモードであり、上述のスタンバイ状態に相当する。
【0043】
図8はCPU26が実行する方法を示すフローチャートである。
・S801でCPU26は画像形成装置100が電源オフ状態からスタンバイ状態(電源オン状態)に遷移したか、または、省エネモードから通常モードに復帰したかを判定する。このステップは、たとえば、図6の時刻t0から時刻t1までの間で実行されうる。画像形成装置100が電源オフ状態からスタンバイ状態に遷移したのであれば、CPU26はS802に進む。また、画像形成装置100が省エネモードから通常モードに復帰したのであれば、CPU26はS802に進む。
・S802でCPU26は駆動回路56を通じて発光部33を発光させる。発光部33から出力された光は反射部材38で反射し、受光部34で受光される。
・S803でCPU26は受光部34で取得された受光量を受け取り、受光量が結露閾値Thpを超えているかどうかを判定する。S803はS705と同じ処理である。受光量が結露閾値Thpを超えていれば、シートPを検知する上で問題となるような結露は生じていないため、CPU26は、S805に進む。一方で、受光量が結露閾値Thpを超えていなければ、シートPを検知する上で問題となるような結露が生じている可能性があるため、CPU26はS804に進む。
・S804でCPU26は駆動回路57を通じて送風ユニット32を駆動させる。これにより、発光部33の冷却が開始されるともとに、反射部材38への送風が開始される。たとえば、CPU26は、送風ユニット32を駆動するためのPWM信号の出力を開始する。これにより、送風ユニット32のモータに電力が供給され、モータがファンを回転させ、発光部33や反射部材38への送風が開始される。
・S805でCPU26は駆動回路57を通じて送風ユニット32を停止させる。たとえば、CPU26は送風ユニット32に対するPWM信号の出力を停止する。送風ユニット32は完全に停止しなくてもよい。たとえば、送風ユニット32の風量が非常に少なくなるように、CPU26は、PWM信号のデューティを減少させてもよい。
【0044】
S804からS803に遷移する際に、CPU26は、所定の待機時間(例:5秒など)だけ待ってもよい。送風ユニット32の風量は、送風ユニット32に設定可能な風量のうちの最大風量に設定されてもよい。この場合、最短時間で水蒸気が低減されよう。しかし、この風量設定は一例にすぎない。たとえば、CPU26は、受光量と結露閾値Th1との差分を算出し、差分に応じて風量を決定してもよい。また、CPU26は、画像形成装置100の消費電力マネージメントに応じて風量を決定してもよい。たとえば、CPU26は、画像形成装置100が第一消費電力で動作しているときには、送風ユニット32に第一風量を設定する。CPU26は、画像形成装置100が第二消費電力で動作しているときには、送風ユニット32に第二風量を設定する。ここで、第一消費電力は第二消費電力よりも多い。第一風量は第二風量よりも多い。
【0045】
本実施例によれば、CPU26は、画像形成を実行する前に受光量を検知して受光量に基づき反射部材38の結露状態およびその周囲の水蒸気の発生度合を推定できる。また、結露が十分に解消するか、または、水蒸気が十分に減少すると、CPU26は、画像形成を開始する。これにより、CPU26はシートセンサ31を用いてシートPの有無を精度よく検知できるようになる。このようにプリントが開始されるまでに水蒸気や結露が十分に解消しているため、プリントを開始したときに送風ユニット32の風量を増加させる必要性が低くなる。これは、プリント状態における画像形成装置100のトータルでの消費電力を低減させることを可能とする。よって、実施例2によれば、シート検知の精度を向上させつつ、画像形成装置100のトータルでの消費電力が削減される。
【0046】
[実施例3]
実施例2で、CPU26は受光量の減少した原因を結露であると推定している。受光量が減少する他の原因としては、発光部33や反射部材38の汚れと、発光部33の発光量の低下がある。このように結露以外の原因で光量低下が発生すると、シート検知の精度が低下したり、送風ユニット32の制御に無駄が生じたりする。そこで、実施例3では、CPU26が汚れや部品劣化による光量変化と結露による光量変化を区別する。これにより、結露の有無が精度よく検知される。
【0047】
CPU26は記憶装置87に記憶されている制御プログラムを実行することで様々な機能を実現する。記憶装置87はRAMやROMなどのメモリを有しており、制御プログラム、変換テーブルおよび閾値などを保持している。本実施例では、記憶装置87は、発光部33の発光量と、受光部34の受光量との関係を保持している。
【0048】
図9はCPU26が実行する方法を示すフローチャートである。
・S901でCPU26は画像形成装置100が電源オフ状態からスタンバイ状態(電源オン状態)に遷移したか、または、省エネモードから通常モードに復帰したかを判定する。このステップは、たとえば、図6の時刻t0から時刻t1までの間で実行されうる。画像形成装置100が電源オフ状態からスタンバイ状態に遷移したのであれば、CPU26はS902に進む。また、画像形成装置100が省エネモードから通常モードに復帰したのであれば、CPU26はS902に進む。
・S902でCPU26は駆動回路56を通じて発光部33を発光させる。発光部33から出力された光は反射部材38で反射し、受光部34で受光される。ここでは、CPU26は予め記憶装置87に記憶されている発光量を読み出し、読み出した発光量に応じた駆動信号を生成して出力する。記憶装置87に記憶されている発光量は、たとえば、製品出荷時に実行された出荷検査によって決定された値、または、結露の無い状態でかつ定期的に決定された値であってもよい。
・S903でCPU26は駆動回路57を通じて送風ユニット32を駆動させる。これにより、発光部33の冷却が開始されるともとに、反射部材38への送風が開始される。たとえば、CPU26は、送風ユニット32を駆動するためのPWM信号の出力を開始する。これにより、送風ユニット32のモータに電力が供給され、モータがファンを回転させ、発光部33や反射部材38への送風が開始される。なお、CPU26は送風ユニット32の稼働時間を計測するためにタイマーやカウンタをスタートさせてもよい。
・S904でCPU26は受光部34の受光量(入力電圧)を受け取り、受光量が所定範囲内かどうかを判定する。受光量は反射部材38の結露や反射部材38の周囲の状態を示すパラメータである。所定範囲は予め記憶装置87に記憶されている。たとえば、CPU26は受光量が、記憶装置87に記憶されている受光量範囲内かどうかを判定する。受光量範囲は下限値と上限値とにより定義されてもよい。この場合、CPU26は、検知された受光量が下限値以上でかつ、上限値以下であることを判定してもよい。あるいは所定範囲の中心となる基準受光量と、範囲パラメータである±Δに基づいて所定範囲が定義されてもよい。CPU26は、検知された受光量と基準受光量との差分が-Δ以上でかつ+Δ以下であることを判定してもよい。所定範囲を定義するパラメータは画像形成装置100の出荷時に決定されうる。たとえば、基準受光量は、製品出荷時に上記の発光量で発光した際に得られた受光量であってもよい。また、基準受光量は、結露の無い状態でかつ定期的に取得された受光量であってもよい。検知された受光量が所定範囲内にある場合、反射部材38、発光部33および受光部34の汚れは問題なく、また、反射部材38に問題となるような結露も発生していない。よって、CPU26はS905に進む。
・S905でCPU26は送風ユニット32を停止させる。
【0049】
一方、検知された受光量が所定範囲外にある場合、反射部材38、発光部33および受光部34に問題となる汚れが付着しているか、または、反射部材38に問題となるような結露が生じている可能性がある。よって、CPU26はS906に進む。ここでは、まず、S903で駆動された送風ユニット32で結露の削減が試行される。
・S906でCPU26は送風ユニット32の稼働時間が所定時間を越えたかどうかを判定する。所定時間は、反射部材38の結露を十分に低下させることができる時間であり、記憶装置87に記憶されている。稼働時間が所定時間を越えるまで、送風ユニット32は継続的に駆動される。これにより、結露の削減が試行される。稼働時間が所定時間を超えると、CPU26はS907に進む。稼働時間が所定時間を超えていなければ、CPU26はS904に進む。S904でCPU26は受光量を所定範囲と比較することで、結露が許容範囲まで減少したかどうかを判定する。結露が許容範囲まで減少していれば、CPU26はS905に進む。結露が許容範囲まで減少していなければ、CPU26はS906に進む。このように所定時間にわたって送風ユニット32を稼働させても受光量が所定範囲内になければ、結露以外の要因が受光量低下の原因となっている。
・S907およびS908でCPU26は、検知されている受光量が所定範囲内となるように発光部33の発光量を増大させたり、受光部34のゲインを増大させたりする。基本的に発光量の増大とゲインの増大はいずれか一方が採用される。S907で発光量を設定可能な最大光量まで増大させても、S908で受光量が所定範囲内にならないこともあろう。この場合、S907でCPU26はゲインの増大を開始してもよい。あるいは、S907でゲインを設定可能な最大ゲインまで増大させても、S908で受光量が所定範囲内にならないこともある。この場合、S907でCPU26は発光量の増大を開始してもよい。S908で受光量が所定範囲内になったと判定すると、CPU26はS909に進む。
・S909でCPU26は送風ユニット32を停止させる。その後、S910で、CPU26は、S908で判定条件が満たされたときの発光部33の発光量および受光部34のゲインを記憶装置87に記憶する。記憶された発光量やゲインは初期値として利用される。
【0050】
本実施例によれば、受光量に基づき画像形成装置100内の結露や汚れが検知され、送風ユニット32による結露の低減が試行される。送風ユニット32を稼働させても受光量の低下が解消しない場合、送風ユニット32の消費電力が削減され、さらに発光量やゲインが適切に調整される。そのため、シート検知の精度を維持しつつ、送風ユニット32の消費電力が削減される。
【0051】
<実施例1~3のまとめ>
図10はCPU26が記憶装置87に記憶されている制御プログラムを実行することで実現する機能を示している。CPU26は制御手段として機能する。以下では図10を参照しながら上記の実施例から導かれる技術思想が説明される。なお、記憶装置87はRAMやROMなどのメモリを有しており、制御プログラム、変換式、変換テーブルおよび閾値などを保持している。
【0052】
図3Aなどに示したように搬送路49はシートPを搬送する搬送路の一例である。発光部33は搬送路49を横切ることになる光を出力する発光手段の一例である。図10に示した光量制御部50は、発光部33の光量を制御する制御手段の一例である。光量制御部50は、図5Bに示した回路を有する駆動回路56を通じて発光部33の発光ダイオードD2を点灯させる。図2Bなどに示した反射部材38は発光部33に対向して設けられ、搬送路49を横切って入射してきた光を反射する反射部材の一例である。受光部34は、反射部材38からの反射光を受光し、受光量に応じたレベル検知信号を出力する受光手段の一例である。受光部34は、発光部33から受光部34に至るまでに一回以上にわたり搬送路49を横切ってきた光である反射光を受光する受光手段の一例である。ゲイン制御部61は、図5Cに示した検知回路における受光ゲインを制御することで、フォトトランジスタTr4により生成される電圧を変化させる。送風ユニット32は反射部材38の周辺の空気の対流を促すように反射部材38に対して空気を送るか、または空気を吸い出す送風手段の一例である。図10が示す風量制御部51は送風ユニット32の風量を制御する制御手段の一例である。風量制御部51は駆動回路57を通じて送風ユニット32の風量を制御する。シート検知部94は、受光部34により受光された反射光の光量に基づきシートPの有無を判定する判定手段の一例である。また、シート検知部94は、受光部34が受光量に応じて出力する検知信号に基づき搬送路49にシートPがあるかどうかを検知する検知手段の一例である。シート検知部94は、シートPの有無の判定結果に基づき、さらにシートPのジャムを検知してもよい。図7図8および図9が示すように、結露検出部53は、搬送路49において光が横切る位置にシートPが無いときに受光部34が出力した検知信号に応じて送風ユニット32の風量と稼働時間とのうちの少なくとも一方を調整する。したがって、結露が生じうる環境下においても精度よくシートが検知可能となる。なお、結露検出部53は風量制御部51を通じて送風ユニット32を制御する。
【0053】
図7が示すように、結露検出部53は搬送路49にシートPが無いときに受光部34が出力した検知信号のレベル(受光量)が結露閾値Th1を超えているかどうかを判定する判定手段として機能する。つまり、結露検出部53は判定手段を有している。ここでは受光部34は受光量にほぼ比例したレベルの検知信号を出力するものと仮定されている。つまり、検知信号のレベルは受光量に対して正の相関関係を有していればよい。なお、CPU26は、受光部34からの入力電圧を受光量に変換してから結露閾値Th1と比較してもよい。つまり、入力電圧は受光量に反比例しているか、負の相関関係を有していてもよい。上述したように受光量に反比例した入力電圧が電圧閾値と比較されてもよい。この場合、各判定ステップにおける受光量と結露閾値Th1との大小関係と、入力電圧と電圧閾値との大小関係は逆となる。結露検出部53は、受光量が結露閾値Th1を超えていなければ送風ユニット32の風量を増加させるか、または、送風ユニット32による送風を継続する。これにより結露が低減される。一方、結露検出部53は、受光量が結露閾値Th1を超えていれば送風ユニット32の風量を減少させるか、または、送風ユニット32による送風を停止させる。これにより、送風ユニット32により消費される電力が削減される。また、本実施例は結露の除去用のヒータを省略できる利点も有している。
【0054】
タイマー52は送風ユニット32の稼働時間を計測する計測手段の一例である。結露検出部53は、タイマー52により計測された稼働時間が所定時間以上となっても受光量が結露閾値Th1を超えていなければ送風ユニット32の風量を減少させるか、または、送風ユニット32による送風を停止させる。これにより、送風ユニット32により消費される電力が削減される。
【0055】
図7が示すように結露検出部53は画像形成装置100がシートPに画像を形成している間は送風ユニット32を稼働させてもよい。結露検出部53は、画像形成装置100がシートPに対する画像の形成を終了すると、搬送路49にシートが無いときに受光部34が出力した検知信号に応じて、送風ユニット32の風量と稼働時間とのうちの少なくとも一方を調整してもよい。これによりプリントにより発生した水蒸気が拡散されるため、反射部材38の結露が発生しにくくなろう。
【0056】
図8が示すように結露検出部53は、電源から電力を供給されて画像形成装置100が起動したとき、または、画像形成装置100が画像形成を実行しない状態から画像形成を実行可能な状態に復帰したときに、発光部33に光を出力させてもよい。さらに、結露検出部53は受光部34が出力した検知信号に応じて送風ユニット32を駆動または停止させてもよい。このように電源から電力を供給されて画像形成装置100が起動したとき、または、画像形成装置100が画像形成を実行しない状態から画像形成を実行可能な状態に復帰したときに結露の低減が実行される。これによりプリントの開始時には結露が十分に低減していることが期待される。
【0057】
図8が示すように結露検出部53は、受光量が結露閾値Th1を超えていなければ送風ユニット32による送風を開始するか、または、送風ユニット32の風量を増加させてもよい。また、結露検出部53は、受光量が結露閾値Th1を超えていれば送風ユニット32の風量を減少させるか、または、送風ユニット32による送風を実行しない。これにより送風ユニット32が無駄に稼働しなくなるため、消費電力が削減される。
【0058】
図9が示すように、結露検出部53は、電源から電力を供給されて画像形成装置が起動したとき、または、画像形成装置が画像形成を実行しない状態から画像形成を実行可能な状態に復帰したときに、発光部33に光を出力させる。さらに、結露検出部53は、送風ユニット32の送風を開始させる。結露検出部53は、受光部34が出力した検知信号に応じて送風ユニット32を停止させるか、または、発光部33の発光量もしくは受光部34のゲインを調整する。したがって、結露が生じうる環境下においても精度よくシートが検知可能となる。
【0059】
結露検出部53は、受光量が所定範囲の下限値以上でなければ送風ユニット32による送風を継続する。これにより結露の削減が試行される。一方で、結露検出部53は、受光量が所定範囲の下限値以上であれば送風ユニット32の風量を減少させるか、または、送風ユニット32による送風を停止させる。これにより消費電力が削減される。
【0060】
S904、S906が示すように、結露検出部53は、タイマー52により計測された稼働時間が所定時間以上となっても受光量が所定範囲の下限値以上でなければ発光部33の発光量を増加させるかもしくは受光部34のゲインを増加させる。なお、結露検出部53は、光量制御部50を通じて発光量を制御する。結露検出部53は、ゲイン制御部61を通じて受光部34のゲインを制御する。これにより、結露以外の要因により受光量が低下しても、シートを精度よく検知可能となる。
【0061】
結露検出部53は、発光部33の発光量と受光部34のゲインとの両方を増加させてもよいし、一方を増加させてもよい。結露検出部53は、発光部33の発光量を、発光部33に設定可能な最大値まで増加させても、受光量が所定範囲の下限値以上でなければ、受光部34のゲインを増加させてもよい。結露検出部53は、受光部34のゲインを、受光部34に設定可能な最大値まで増加させても、受光量が所定範囲の下限値以上でなければ、発光部33の発光量を増加させてもよい。なお、結露検出部53は、受光量が所定範囲の上限値を超えているときに、受光部34のゲインを減少させてもよい。同様に、結露検出部53は、受光量が所定範囲の上限値を超えているときに、発光部33の発光量を減少させてもよい。これにより消費電力が削減される。
【0062】
記憶装置87は受光量が所定範囲内となったときの発光部33の発光量を初期値として記憶する発光量記憶手段の一例である。結露検出部53は、発光部33の発光を開始するときに記憶装置87に記憶されている初期値を発光部33に設定する。これにより、適切な発光量を探索する時間が削減される。また、記憶装置87は受光量が所定範囲内となったときの受光部34のゲインを初期値として記憶するゲイン記憶手段の一例である。結露検出部53は、受光部34の受光を開始するときに記憶装置87に記憶されている初期値を受光部34に設定する。これにより、適切なゲインを探索する時間が削減される。
【0063】
なお、結露検出部53は反射部材38の結露を検出する検出手段として機能するか、これを含んでいてもよい。この場合、CPU26は結露検出部53により反射部材38の結露が検出されると送風ユニット32を稼働させて結露の低減を試行する。
【0064】
図4を用いて説明したように送風ユニット32から吹き出されるか、または、送風ユニット32により吸引される空気が反射部材38に吹き当たるように反射部材38に空気を導く通風路40が設けられてもよい。このような通風路40を設けることで効率よく反射部材38をクリーニングし、また、シートPから発生した水蒸気を反射部材38の付近から追い出すことが可能となる。
【0065】
図3Aなどが示すように、第一ガイド36と第二ガイド37は搬送路49において対向して設けられ、シートPをガイドする第一ガイド部材および第二ガイド部材の一例である。発光部33および受光部34は、第一ガイド36に固定されていてもよい。反射部材38は、第二ガイド37に固定されていてもよい。遮光部材47は発光部33と受光部34との間に設けられた遮光部材の一例である。遮光部材47は、発光部33から受光部34へ向かう直接光を遮光する。また、図3BにおいてシートPが搬送路49を搬送されているとき、発光部33からの光はほとんど反射部材38まで届かないが、シートPの表面には届いている。ゆえに、シートPの種類(表面状態)によっては、シートPの表面で光が反射し、その反射光が受光部34へと向かう可能性がある。このような反射光が受光部34により受光されると、シートPが搬送路49を搬送されているにも関わらず、受光部34はシートPを検知していないことを示す検知信号を出力してしまう可能性がある。そのため、遮光部材47は、このようなシートPの表面で反射して受光部34へ向かう反射光を少なくとも一部遮光するように構成されていてもよい。これにより、シートPの有無が精度よく検知されるようになろう。
【0066】
上述した図2Aなどによれば、発光部33から出力された光は搬送路49を横切って反射部材38に入射し、反射部材38からの反射光も搬送路49を横切って受光部34へ入射している。このように、発光部33から出力された光は二回にわたり搬送路49を横切っているが、搬送路49を光が横切る回数は一回以上であればよい。たとえば、発光部33から出力された光が搬送路49を横切ることなく反射部材38に入射し、反射部材38からの反射光も搬送路49を横切って受光部34へ入射してもよい。また、発光部33から出力された光は搬送路49を横切って反射部材38に入射し、反射部材38からの反射光が搬送路49を横切ることなく受光部34へ入射してもよい。搬送路49を光が横切る回数は一回であってもよい。発光部33から出力された光が搬送路49を横切って反射部材38に入射し、反射部材38からの反射光も搬送路49を横切って第二の反射部材に入射し、第二の反射部材からの反射光が受光部34へ入射してもよい。このように搬送路49を光が横切る回数は三回であってもよい。反射部材の数を増やすことで搬送路49を光が横切る回数を増加させることができる。このように搬送路49を横切る光とは、発光部33から出力されて受光部34に入射するまでに一回以上にわたり搬送路49を横切る光であればよい。また、発光部33から出力された光が搬送路49を横切るタイミングは、反射部材38に入射する前であってもよいし、後であってもよい。いずれの場合も発光部33は搬送路を横切ることになる光を出力する発光手段として機能している。また、発光部33と受光部34との間に設置される反射部材38の数は一個以上であればよい。光が搬送路49を横切る回数に応じて、発光部33と受光部34の配置が異なる。光が搬送路49を横切る回数が偶数であれば、図2Aが示すように、発光部33と受光部34とは搬送路49から見て同じ側に配置される。光が搬送路49を横切る回数が奇数であれば、発光部33と受光部34とは搬送路49を挟んで相互に反対側に配置される。
【0067】
[実施例4]
光学式のシートセンサは、発光素子と受光素子とを有し、シートによって光が遮られたかどうかに応じてシートを検知する。光学式のシートセンサは、メカフラグ式のシートセンサと比較して、応答性の点で有利であり、画像形成装置の生産性を向上させる。光学式のシートセンサは、メカフラグ式のシートセンサと比較して、製造コストを上昇させてしまう。そのため、光学式のシートセンサが、シート検知機能に加え、他の機能を有すれば、シートセンサのコスト対効果を向上させるだろう。よって、シートセンサのコスト対効果を向上させる必要があろう。
【0068】
<画像形成装置>
図11に示された画像形成装置100は、図1に示された画像形成装置100と比較して、両面印刷に関する機能が追加されている。
【0069】
片面印刷モードの場合、定着装置17から排出されたシートPは、排出ローラ20へ向けてフラッパ54によって搬送される。なお、フラッパ54から排出ローラ20までに存在する搬送路は排出路と呼ばれてもよい。排出ローラ20はシートPを画像形成装置100の外部に排出する。
【0070】
両面印刷モードの場合、シートPが反転ローラ27へ向けて搬送されるようにフラッパ54の姿勢が切り替わり、シートPが反転ローラ27に向けて搬送される。フラッパ54から反転ローラ27までの搬送路は引き込み路と呼ばれてもよい。反転ローラ27は正転することでシートPを引き込み、さらに逆転することでシートPを両面搬送路58へ送り込む。この際に、シートPの先端は両面搬送路58の開口部60から画像形成装置100の外部に露出するが、シートPの後端は露出しない。反転ローラ27の回転方向が切り替わることで、シートPの先端が後端に切り替わり、シートPの後端が先端に切り替わる。これにより、シートPの画像形成面が第一面から第二面に切り替わる。正転から反転に切り替わるタイミングはシートセンサ31によりシートPの後端が検知されたタイミングを基準として決定されてもよい。両面搬送路58のうち、反転ローラ27と送風ユニット32との間には搬送ガイド部材59が設けられている。両面搬送路58に設けられた複数の搬送ローラ55はシートPを両面搬送路58に沿って搬送し、レジストローラ16へ受け渡す。画像形成部101は、シートPの第二面に画像を形成し、フラッパ54および排出ローラ20によりシートPを排出する。
【0071】
送風ユニット32は、たとえば、両面搬送路58へ向けて空気を送り込むように配置される。
【0072】
<水蒸気検知アルゴリズム>
CPU26は、シートセンサ31における受光部34の受光量に基づき水蒸気の発生量(水蒸気量)を推定する。シートPが定着装置17を通過する際にシートPに吸着されていた水分が蒸発して水蒸気が発生する。搬送路49内に水蒸気が発生すると、搬送路49を横切る発光部33で照射された光が水蒸気により乱反射する。これにより、受光部34の受光量が減少する。つまり、受光量の減少は水蒸気量と相関している。そこで、CPU26は、シートPがシートセンサ31の検知位置に無いときに、発光部33に光を出力させて受光部34の受光量を取得する。検知位置とは光が搬送路49を横切る位置である。ここでは、受光部34が受光量と反比例(逆相関)する検知電圧を出力すると仮定されている。CPU26は、受光部34からの検知電圧が予め定められた閾値を超えた場合、受光量が低下した(発生した水蒸気量が多い)と推定する。CPU26は、検知電圧が閾値を超えない場合、受光量が一定以上にあると判定する。つまり、CPU26は、搬送路49内に発生した水蒸気量が少ないと推定する。
【0073】
ここで、シートPの吸湿状態でどのように受光部34の検知電圧が変化するかを実験的に検証した結果が示される。実験条件は一般的なオフィス環境が想定された。そのため、画像形成装置100は温度が25℃に設定され、相対湿度が50%に設定された環境に設置された。吸湿状態の異なる2種類のシートPが用意された。つまり、第一吸湿状態にある10枚のシートPと、第二吸湿状態にある10枚のシートPとが用意された。CPU26は、10枚のシートPを連続して定着装置17を通過させ、受光部34の検知電圧を監視した。シートPは一般的に流通している普通紙(坪量:80g/m)である。第一吸湿状態のシートPに含まれる水分の割合は4.3%であった。第二吸湿状態にあるシートPに含まれる水分の割合は8.3%であった。第一吸湿状態にある10枚のシートPを定着装置17を通過させた直後における搬送路49の相対湿度を湿度センサで計測したところ、63%であった。第二吸湿状態にある10枚のシートPを定着装置17を通過させた直後における搬送路49の相対湿度を湿度センサで計測したところ、73%であった。このことから、水分の多いシートPを定着装置17に供給すると、搬送路49などに滞留している水蒸気量が多いことが分かる。
【0074】
図12Aは受光部34の電圧出力結果を示している。横軸は時間を示す。縦軸は受光部34の検知電圧を示す。検知電圧が低ければ低いほど、受光量は多い(シート無し)。検知電圧が高ければ高いほど、受光量は少ない(シート有り)。検知電圧が上下に変動している理由は、10枚のシートP1~P10を連続的に通紙するため、検知位置にはシートPが有る状態とシートPが無い状態とが繰り返されるからである。最初の凸波形は1枚目のシートが検知位置を通過していることを示している。実線は水分の多い第二吸湿状態のシートPについての検知電圧の波形を示している。破線は水分の少ない第一吸湿状態のシートPについての検知電圧の波形を示している。
【0075】
第一吸湿状態の電圧波形と第二吸湿状態の電圧波形とを比較すると、1枚目のシートP1を検知する前(紙間t01)の初期電圧はどちらも0.16Vであることが分かる。なお、紙間tijとは先行するシートPiの後端と後続のシートPjの先端までの距離に相当する期間である(j=i+1)。1枚目のシートP1の先端が検知位置に到達すると、第一吸湿状態の電圧と第二吸湿状態の電圧とも3.1Vまで上昇している。ここではシートPの有無を判定するためのシート閾値が2.0Vに設定されている。そのため、CPU26は、どちらの吸湿状態でもシート有りを検知できている。シートP1の後端が検知位置に到達すると、第一吸湿状態の電圧と第二吸湿状態の電圧ともシート閾値以下まで低下している。シートP1とシートP2との間の紙間t12において、第二吸湿状態の電圧は0.24Vであり、第一吸湿状態の電圧は0.17Vであった。0Vから3.1Vまでの電位差を基準とした、初期電圧に対する各紙間における検知電圧の上昇率という概念が導入される。
上昇率ΔV=((検知電圧-初期電圧)/3.1)×100 [%]・・・(1)
紙間t12における第二吸湿状態についての上昇率ΔVは2.5%である。紙間t12における第一吸湿状態についての上昇率ΔVは0.3%である。よって、これらの差(上昇率差)は2.2%である。
【0076】
図12Bは各紙間における検知電圧と上昇率差を示している。図12Bにおいて左側の縦軸は各紙間における検知電圧[V]を示す。図12Bにおいて右側の縦軸は上昇率差[%]を示している。すべての紙間t01~t910で、水分の多いシートPについての検知電圧は、水分の少ないシートPについての検知電圧を上回っている。各紙間における上昇率差の平均値は14%程度であった。ここで、水蒸気量の大小を判定する水蒸気閾値が0.6Vに設定された場合、図12Bが示すように水分の多い2枚目以降のシートPについての検知電圧はいずれも水蒸気閾値を超える。よって、CPU26は、水分の多い2枚目以降のシートPをいずれも水分の多いシートであると推定できる。水分の多いシートPとは、シートPに含まれる水分の割合が8.0%以上であるシートPを指している。水蒸気閾値は任意に変更可能である。
【0077】
上記の水蒸気量の推定アルゴリズムは一例にすぎない。たとえば、上昇率差に代えて上昇率に基づき水蒸気量が推定されてもよい。この推定方法を採用することで、部品の実装位置や製造ばらつきの影響が軽減される。ばらつきには、発光素子や受光素子の実装位置のばらつきや電気的特性のばらつき、基板35と反射部材38との相対的な位置関係のばらつきなどがある。これらのバラツキは検知電圧のばらつきをもたらす。そこで、これらのばらつきを考慮して閾値が設定されてもよい。一枚のシートPごとに水蒸気量が推定される必要は無く、n枚のシートPごとに水蒸気量が推定されてもよい。たとえば、CPU26は、n枚のシートのそれぞれについて取得されたn個の上昇率を累積的に加算し、この加算結果が閾値を超えたときに、給紙カセット13に収容されているシートPを、水分を多く含むシートPであると推定してもよい。このような推定方法を採用することで、シートPの吸湿状態(搬送路49における水蒸気量)の推定精度が向上する。
【0078】
<送風ユニット>
CPU26は水蒸気量の推定結果を用いて画像形成装置100を制御してもよい。ここでは水蒸気量を用いた送風ユニット32の制御が例示される。図13は両面搬送路58内に空気を送り込む送風ユニット32および送風ダクト80の断面図である。図13において矢印は空気の流れを示している。送風ダクト80は送風ユニット32から吹き出された空気を、両面搬送路58の一部を形成する搬送ガイド部材59へ誘導する。搬送ガイド部材59へ吹き出された空気は搬送ガイド部材59の搬送面に沿って両面搬送路58におけるシートPの搬送方向に対して逆方向に進む。この空気は反転ローラ27に設けられた開口部60から画像形成装置100の外部へ排出される。このような送風を行う理由は、シートPから発生し、両面搬送路58に侵入した水蒸気を画像形成装置100の外部へ排出すためである。これにより、水蒸気が水滴となって両面搬送路58に付着することが抑制される。両面搬送路58に付着した水滴も送風による乾燥効果によって除去されるだろう。両面搬送路58内に付着した水滴がシートPの第二面に付着すると、水滴によってトナーが転写されにくくなる。よって、水滴を削減することで、水滴に起因した画像不良が軽減される。
【0079】
<送風制御>
図6が示すように時刻t0で電源から電力が供給されて画像形成装置100が起動する。つまり、時刻t0で画像形成装置100は電源オフ状態からスタンバイ状態に遷移する。図14はCPU26が実行する制御を示すフローチャートである。
【0080】
S1401でCPU26はプリント指示(画像形成指示)が操作部や外部のコンピュータから入力されたかを判定する。図6によれば時刻t1でプリント指示が入力されている。なお、画像形成装置100の状態は、時刻t0から時刻t1までプリント指示を待ち受けるスタンバイ状態である。画像形成装置100が起動した直後のスタンバイ状態では送風ユニット32は動作しない(風量=0)。なお、非常に少ない風量となるようにCPU26は送風ユニット32を駆動してもよい。時刻t1でプリント指示が入力されると、CPU26は画像形成を開始するためにS1402に進む。
【0081】
S1402でCPU26は画像形成装置100を制御してプリントを開始する。さらに、CPU26は送風ユニット32を駆動して搬送ガイド部材59への送風を開始する。たとえば、CPU26は、送風ユニット32を駆動するためのPWM信号の出力を開始する。これにより、駆動回路57が送風ユニット32のモータに電力を供給し、モータがファンを回転させ、搬送ガイド部材59への送風が開始される。これにより搬送ガイド部材59の搬送面に沿って空気の流れが形成され、水蒸気が開口部60から排出される。
【0082】
S1403でCPU26は紙間における受光量をシートセンサ31から取得し、受光量に基づき搬送路49における水蒸気量(水蒸気量)を推定する。なお、水蒸気の推定は、プリント中において少なくとも一回実行さればよい。複数回の推定が実行された場合、複数の推定結果の平均値が採用されてもよい。
【0083】
S1404でCPU26はプリントが終了したかどうかを判定する。CPU26は、操作部などによって指定されたプリントジョブがすべて完了したかどうかを判定する。プリントジョブがn枚のシートに画像を形成するジョブであれば、n枚のシートへの画像の形成が完了したかどうかが判定される。時刻t3でプリントが終了すると、CPU26はS1405に進む。
【0084】
S1405でCPU26は水蒸気量の推定結果に基づき所定時間Txを決定する。図6が示すように、所定時間Txはプリントが終了したタイミングから送風ユニット32を停止させるタイミングまでの稼働時間である。水蒸気量が多ければ所定時間Txは長くなる。水蒸気量が少なければ所定時間Txは短くなる。
【0085】
S1406でCPU26は、プリントが終了したタイミング(時刻t3)からの経過時間が所定時間Txになったかどうかを判定する。CPU26はタイマーやカウンタを用いてプリント終了からの経過時間を計測する。図6によれば時刻t4で経過時間が所定時間Txとなっている。所定時間Txは搬送ガイド部材59の搬送面への水滴付着がほぼ解消するまでに必要となる時間である。プリント中に搬送されたシートPの吸湿状態および搬送枚数などに依存して所定時間Txは変動する。経過時間が所定時間Txになると、CPU26はS1407に進む。
【0086】
S1407でCPU26は送風ユニット32を停止させる。たとえば、送風ユニット32はPWM信号の出力を停止するか、または、PWM信号のデューティ比を減少させる。なお、送風ユニット32は停止しなくてもよい。たとえば、送風ユニット32の風量が非常に少なくなるようにPWM信号のデューティ比を変更してもよい。
【0087】
●所定時間Txの決定アルゴリズム
水蒸気の推定アルゴリズムによって、プリント中に搬送されたシートPの吸湿状態が推定される。CPU26は、推定結果と直前のプリントジョブにおけるシートPの搬送枚数とに基づき所定時間Txを決定する。
【0088】
図15は所定時間Txを決定する決定方法を説明するグラフである。横軸はプリント中に搬送されたシートの枚数を示している。縦軸が所定時間Txを示している。傾きの異なる2本の直線L1、L2は水蒸気量に応じて選択される直線である。直線L1は、水蒸気量が少ない場合に選択される直線である。直線L2は、水蒸気量が多い場合に選択される直線である。シート数nが10枚であり、かつ、水蒸気量が少ない場合、CPU26は直線L1を選択し、10枚に対応する所定時間Txを10秒と決定する。シート数nが10枚であり、かつ、水蒸気量が多い場合、CPU26は直線L2を選択し、10枚に対応する所定時間Txを30秒と決定する。直線L1の傾きa1は、水蒸気量が少ない場合に実行された実験により水滴の低減に要した時間に基づき決定される。同様に、直線L2の傾きa2は、水蒸気量が多い場合に実行された実験により水滴の低減に要した時間に基づき決定される。ここでは、シートの枚数nと傾きaとから所定時間Txを求める一次関数(直線の方程式)が採用されているが、より高次の関数が実験結果に基づき決定されてもよい。
【0089】
実施例4によれば、CPU26は受光部34の受光量に応じて水蒸気量(シートの吸湿状態)を推定する。仮にシートPの吸湿状態を考慮せずに送風ユニット32の稼働時間(所定時間Tx)を設定してしまうと、稼働時間が過剰となったり、稼働時間が不足したりすることが考えられる。稼働時間が不足すれば、搬送ガイド部材59には水滴が残ってしまうだろう。一方で、稼働時間が過剰となれば、消費電力量が増加してしまう。したがって、水蒸気量(シートの吸湿状態)に応じて稼働時間を決定することで、水滴が十分に軽減され、かつ、消費電力量の増加が抑制されよう。また、水滴に起因した画像不良も発生しにくくなろう。水分の少ないシートPについては送風ユニット32の稼働時間が削減可能となり、必要以上の待ち時間は発生しなくなるだろう。
【0090】
実施例4では、受光量に応じてプリントジョブの終了後における送風ユニット32の稼働時間が制御されるシーケンスが例示された。送風ユニット32の稼働時間を変更する代わりに、CPU26は、受光量に応じて送風ユニット32の風量を変更してもよい。たとえば、CPU26は受光量に応じてPWM信号のデューティ比を変更してもよい。送風ユニット32は、時刻t0で画像形成装置100が起動すると、第一風量(ゼロであってもよい)となるよう駆動される。また、時刻t1で送風ユニット32は風量が第二風量となるように駆動される(第二風量>第一風量)。時刻t3から時刻t4まで、送風ユニット32は引き続き第二風量で送風を実行する。時刻t4で送風ユニット32の風量が第二風量から第一風量(ゼロであってもよい)に削減される。なお、CPU26は、時刻t0から時刻t1まで送風ユニット32の風量をゼロに制御し、時刻t1から時刻t2まで風量を第一風量(>0)に制御し、時刻t2以降で風量を第二風量(>第一風量)に制御してもよい。ここで、時刻t2は、図6において時刻t1と時刻t3との間にある時刻である。とりわけ、CPU26は時刻t2で推定結果が確定すると、推定結果に基づき第二風量を決定してもよい。水蒸気量が多い場合、第二風量は相対的に多く設定される。水蒸気量が少ない場合、第二風量は相対的に少なく設定される。
【0091】
実施例4において、一つの紙間tijにおいて一つの推定結果が得られている。しかし、一つの紙間tijにおいて多くの推定結果を取得して、この推定結果が画像形成装置100の制御に対してフィードバックされてもよい。これにより、画像形成装置100の制御がよりきめ細かくなろう。画像形成装置100が周辺の温度や湿度といった環境情報をリアルタイムで取得できる環境センサを備えていることもある。CPU26は、環境センサから取得された環境データと、シートセンサ31により取得された受光量とに基づき、水蒸気量をより精度よく推定してもよい。たとえば、CPU26は、環境データを補正係数に変換し、補正係数を用いて推定結果を補正してもよい。
【0092】
なお、実施例4において、送風ユニット32は両面搬送路58へ向けて空気を送り込んでいたが、これに加えて実施例1乃至3に記載したように、反射部材38へ向けて空気を送り込んでもよい。つまり、1つのファンからのびる通風路を2つに分け、一方が両面搬送路58へと向かい、他方が反射部材38へと向かうように構成してもよい。また、単純に両面搬送路58へ向けて空気を送り込むファンと、反射部材38へ向けて空気を送り込むファンを1つずつ配置してもよい。
【0093】
<実施例5>
実施例5は、水蒸気量の推定結果をカール矯正機構にフィードバックするものである。定着装置17をシートPが通過することで、シートPにカールが発生することがある。シートPがカールすると、シートPが両面搬送路58などで詰まることがある。そのため、カール矯正機構は有用である。
【0094】
図16は実施例5における画像形成装置100の断面図である。実施例5において実施例4と異なる点は、定着装置17の下流にカール矯正機構が配置されている点である。カール矯正機構は、デカールローラ対90を有している。デカールローラ対90のニップ部をシートPが通過することで、シートPのカールが軽減される。
【0095】
<シートセンサ>
図17Aおよび図17Bが示すように、実施例5のシートセンサ31は透過型のシートセンサである。図17A図17Bとではシートセンサ31に対する視点が異なっている。すでに説明された部材には同一の参照符号が付与されている。発光部33を実装した発光基板70と、受光部34を実装した受光基板72が、それぞれ搬送路49を挟んで対向して配置されている。発光基板70は、第二部材42から上方に向かって突出した基板保持部材71に固定されている。発光部33は、第一部材41の中央に設けられた切欠きから搬送路49内の検知位置を光が横切るように光を照射する。受光基板72は、第五部材45から上方に突出した基板保持部材73に固定されている。発光部33から照射される光が、第四部材44の中央に設けられた切欠きを通過して受光部34に入射するように、発光基板70と受光基板72が位置決めされている。
【0096】
図18AはシートPが検知位置(搬送路49)を通過していないときのシートセンサ31を示す平面図である。図18BはシートPが検知位置を通過しているときのシートセンサ31を示す平面図である。図18Aが示すように発光部33が照射した光は、搬送路49を横切って受光部34に届く。これによって、受光部34はシートPを検知していないことを示す検知信号(例:ローレベルの信号)を出力する。あるいは受光部34は、シートPを検知していることを示す検知信号(例:ハイレベルの信号)を出力しない。
【0097】
図18Bが示すように、シートPが搬送路49を搬送されているときには、発光部33の光はシートPの表面まで届くものの、シートPの表面で光が遮光される。つまり、受光部34まで光が届かない。したがって、受光部34はシートPを検知していることを示す検知信号(例:ハイレベルの信号)を出力する。あるいは受光部34は、シートPを検知していないことを示す検知信号(例:ローレベルの信号)を出力しない。
【0098】
実施例5で採用されている透過型のシートセンサにおいても、シートPから発生した水蒸気によって発光部33から照射された光が乱反射し、受光部34での受光量が低下する。そのため、実施例4で説明された水蒸気量に関する推定アルゴリズムは実施例5にも適用可能である。
【0099】
<カール矯正機構>
デカールローラ対90を構成する二つのローラは、金属製のハードローラに対してゴムを長手方向の全域に被覆させることで作成されたソフトローラである。デカールローラ対90のニップ部をシートPが通過する際に、シートPのカールが矯正されるように、デカールローラ対90がシートPに作用する。たとえば、デカールローラ対90を構成する二つのローラの回転速度の違いを利用してシートPのカールが矯正される。デカールローラ対90のニップ圧は、CPU26によって制御されるアクチュエータによって変更可能である。これによりカール矯正力が調整される。CPU26は、片面プリントか両面プリントかといったようなプリント条件に基づいてアクチュエータを制御することで、カール矯正力を補正する。
【0100】
<カール矯正機構制御>
図19はCPU26が実行する制御を示すフローチャートである。図19において図14と異なる点はS1403とS1404との間にS1901が追加されている点である。S1901でCPU26は、水蒸気量の推定結果に基づきカール矯正力を調整する。たとえば、CPU26は、水分の多いシートPが定着装置17に搬送されると、カール矯正力を基準値より増加させる。水分を多く含むシートPではカールが大きくなるからである。一方で、CPU26は、水分の少ないシートPが定着装置17に搬送されると、カール矯正力を基準値に維持する。水分の少ないシートPではカールが小さくなるからである。
【0101】
実施例5によれば、CPU26は水蒸気量の推定結果(シートPの吸湿状態)に基づきカール矯正力を調整できるようになる。これにより、シートPのカールを適切に矯正することが可能となる。
【0102】
<実施例4、5のまとめ>
画像形成部101および中間転写ユニット102は吸湿性のシートにトナー画像を形成する画像形成手段の一例である。定着装置17は画像形成手段によって形成されたトナー画像に熱を加えて、当該トナー画像をシートに定着させる定着手段の一例である。搬送路49や両面搬送路58は定着手段を通過してきたシートを搬送する搬送路の一例である。発光部33は搬送路を横切るように光を出力する発光手段の一例である。発光部33はLEDなどの発光素子である。受光部34は発光手段を光源とした光を受光する受光手段の一例である。受光部34はフォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光素子である。
【0103】
図20はCPU26の機能を示している。図21は推定部76の機能を示している。これらの機能のすべてまたは一部はCPU26が制御プログラムを実行することで実現されてもよいし、ASICやFPGAなどのハードウエアによって実現されてもよい。ASICは特定用途集積回路の略称である。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。制御プログラムは記憶装置87に記憶されていてもよい。
【0104】
シート検知部94は受光手段の受光結果に基づき搬送路を光が横切る位置にシートがあるかどうかを検知するシート検知手段の一例である。たとえば、シート検知部94は検知回路93が出力する検知電圧に基づきシートの有無を検知する。推定部76はシート検知手段がシートを検知していないときに取得された受光手段の受光結果に基づき搬送路における水蒸気量を推定する推定手段の一例である。たとえば、推定部76は検知回路93が出力する検知電圧に基づき水蒸気量を推定する。
【0105】
このように発光部33と受光部34とがシートを検知する機能(シートセンサ)と、水蒸気量を推定する機能(水蒸気量センサ)とで兼用される。よって、シートセンサのコスト対効果が向上する。なお、シート検知手段がシートを検知していないときとは、n枚目のシートの後端が検知位置を通過したときからn+1枚目のシートの先端が検知位置に到着するまので期間である。この期間は紙間と呼ばれてもよい。
【0106】
図12Bに関連して説明されたように、推定部76は、受光手段の受光結果である受光量に応じて水蒸気量が水蒸気閾値を超えているかどうかを推定してもよい。水蒸気量が増加すると受光量が減少し、水蒸気量が減少すると受光量が増加する。よって、受光量から水蒸気量を精度よく推定することが可能となる。水蒸気閾値は、たとえば、記憶装置87に記憶されている。
【0107】
図12Aに関連して説明されたように、受光手段は受光量に逆相関した検知電圧を出力するように構成されている。推定部76は、検知電圧が電圧閾値を超えている場合に、水蒸気量が水蒸気閾値を超えていると推定してもよい。推定部76は、検知電圧が電圧閾値を超えていない場合に、水蒸気量が水蒸気閾値を超えていないと推定してもよい。このように、推定部76は、水蒸気量が多いか少ないかを推定してもよい。
【0108】
推定部76は、複数のシートが連続して定着手段を通過する際に、二枚目以降のシートが定着手段を通過したときに取得された検知電圧を用いて水蒸気量を推定するように構成されていてもよい。図12Bが示すように、二枚目以降のシートが定着手段を通過したときに取得された検知電圧は、水蒸気量をより正確に示しているからである。このように、推定部76は一枚目のシートが定着手段を通過したときに取得された検知電圧を無視してもよい。
【0109】
推定部76は、初期電圧に対する検知電圧の上昇率に基づき水蒸気量を推定するように構成されていてもよい。図21が示すように、上昇率演算部81が上昇率を演算してもよい。図12Bに関連して説明されたように、初期電圧は、定着手段にシートを通過させる前に受光手段により出力された検知電圧である。検知電圧は、シートが定着手段を通過した後に取得された検知電圧である。
【0110】
上昇率演算部81は、n番目のシートが位置を通過した後からn+1番目のシートが位置を通過する前までの期間において取得された上昇率を演算する。上昇率演算部81は、n+1番目のシートが位置を通過した後からn+2番目のシートが位置を通過する前までの期間において取得された上昇率を演算する。加算部82は、これらの上昇率を加算する加算手段として機能する。判定部83は、加算手段の加算結果に基づき水蒸気量を推定してもよい。たとえば、判定部83は、検知電圧または上昇率と閾値とを比較することで、水蒸気量が多いか少ないかを判定してもよい。
【0111】
シートカウンタ95は定着手段を連続的に通過してきたシートの枚数を計数する計数手段の一例である。推定部76は、シートの枚数が所定数になったときに、水蒸気量を推定するように構成されていてもよい。これは、シートの枚数が所定数になったときに水蒸気量の推定結果が安定するからである。
【0112】
図17Aが示すように、発光手段と受光手段は、搬送路を挟んで対向するように配置されていてもよい。図3Aが示すように、発光手段により出力された光を反射する反射部材38をさらに設けられてもよい。受光手段は、反射部材38により反射した光を受光するように配置されていてもよい。
【0113】
図20に示されたジャム検知部75はシート検知手段の検知結果に基づき定着手段におけるシートのジャムを検知するジャム検知手段の一例である。たとえば、ジャム検知部75は、シートの先端を検知したタイミングから所定時間を過ぎてもシートの後端を検知できない場合に、定着装置17においてシートのジャムが発生したと判定する。シート検知部94のシートの検知結果は、両面搬送路58におけるシートの搬送方向の切替タイミングを決定するために利用されてもよい。
【0114】
図13が示すように、送風ユニット32は、搬送路を形成する搬送ガイド部材に向けて空気を送る送風手段の一例である。図20に示されたファン制御部77は水蒸気量に応じて送風手段の稼働時間と風量とのうち少なくとも一方を制御する制御手段の一例である。稼働時間の決定方法はS1405や図15を用いて例示された通りである。
【0115】
搬送ガイド部材59は、第一面にトナー画像が形成されたシートの第二面にトナー画像を形成するために、当該シートの画像形成面を第一面から第二面に反転させる両面搬送路58の一部であってもよい。搬送ガイド部材59は、第一面にトナー画像が形成されたシートの第二面にトナー画像を形成するために、当該シートの画像形成面を第一面から第二面に反転させる反転搬送路であってもよい。反転ローラ27は反転搬送路に設けられた反転ローラの一例である。開口部60は反転搬送路に設けられ、画像形成装置の外部と連通した開口部の一例である。送風ユニット32は、送風手段により送付された空気が開口部から画像形成装置の外部に排出されるように、配置されている。これにより、画像形成装置100の内部で発生した水蒸気を外部に排出することが可能となる。
【0116】
ファン制御部77は、駆動回路57を介して送風ユニット32を制御する。ファン制御部77は、プリントジョブが終了したときにタイマー88をスタートさせてもよい。ファン制御部77は、経過時間が稼働時間Txになると、送風ユニット32を停止させる。また、ファン制御部77は、水蒸気量と定着手段を連続して通過してきたシートの枚数とに応じて送風手段の稼働時間と風量とのうち少なくとも一方を決定してもよい。係数選択部84は、水蒸気量に応じて傾きなどの係数を選択してもよい。図15が示すように、係数の選択は所定時間Txを決定するための直線の方程式の選択に相当しうる。稼働時間決定部85は、シートカウンタ95により取得されたシートの枚数nと、選択された係数とに基づき所定時間Txを決定してもよい。これにより、送風ユニット32の稼働時間が適切に制御されるようになろう。図6が示すように稼働時間Txは、複数のシートに対するプリントジョブが終了した後から送風手段を停止させるまでの時間であってもよい。プリントジョブの実行中は常にシートから水蒸気が発生するため、送風ユニット32が水蒸気を画像形成装置100の外部へ排出する。プリントジョブが終了した時点では、十分に水蒸気が排出されていないことがある。そのため、プリントジョブが終了した後も送風ユニット32が稼働してもよい。ただし、十分に水蒸気が排出された後も、送風ユニット32が稼働していると、無駄に電力が消費されてしまう。よって、発生した水蒸気量に応じて稼働時間Txが決定される。
【0117】
デカールローラ対90は定着手段を通過することでシートに生じるカールを矯正するカール矯正手段の一例である。デカール制御部78は水蒸気量に応じてアクチュエータ79を制御することで、デカールローラ対90のカール矯正量Fxを調整してもよい。なお、矯正量決定部86は、水蒸気量に応じてカール矯正手段によるカールの矯正量を決定する。
【0118】
なお、実施例4においては反射型のシートセンサが採用さているが、実施例5で説明された透過型のシートセンサが反射型のシートセンサに代えて採用されてもよい。また、実施例5においては透過型のシートセンサが採用されているが、実施例4で説明された反射型のシートセンサが透過型のシートセンサに代えて採用されてもよい。
【符号の説明】
【0119】
100…画像形成装置、49…搬送路、26…CPU、38…反射部材、34…受光部、33…発光部、32…送風ユニット
図1
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