(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-01
(45)【発行日】2022-12-09
(54)【発明の名称】配管点検支援装置、配管点検支援方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20221202BHJP
G01R 31/11 20060101ALI20221202BHJP
【FI】
G01N27/00 A
G01R31/11
(21)【出願番号】P 2018228233
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】樋熊 利康
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/187730(WO,A1)
【文献】特開平06-074932(JP,A)
【文献】特開2012-037537(JP,A)
【文献】特開2018-031718(JP,A)
【文献】米国特許第05305798(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0069542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
G01R 33/11
G01N 17/00-19/10
G01B 7/00-7/34
G01M 3/00-3/40
G01R 27/06
F25B 43/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する一対の配管の一端間に電圧パルスを印加するパルス印加手段と、
前記電圧パルスの印加が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間における前記一対の配管の一端間の電圧の変化を示す電圧波形を測定する波形測定手段と、
前記電圧波形上における前記電圧パルスの先頭位置から前記電圧波形上における前記電圧パルスの反射波の先頭位置までの長さに基づいて、前記一対の配管における前記反射波の発生箇所を推定する発生箇所推定手段と、
前記電圧波形上における前記反射波の正負の極性と前記電圧波形上における前記電圧パルスの振幅に対する前記電圧波形上における前記反射波の振幅の割合である振幅割合とに基づいて、前記反射波の発生要因を推定する発生要因推定手段と、
前記発生箇所推定手段により推定された前記反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と前記発生要因推定手段により推定された前記反射波の発生要因を示す発生要因情報とを表示する表示手段と、を備える、
配管点検支援装置。
【請求項2】
前記一対の配管のそれぞれの外周には、断熱部材が設けられ、
前記発生要因推定手段は、前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が第1閾値より大きい場合、前記一対の配管又は前記断熱部材への水分の付着が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項1に記載の配管点検支援装置。
【請求項3】
前記パルス印加手段は、冷媒が前記一対の配管内を流れる第1冷媒状態であるときに前記一対の配管の一端間に第1パルス電圧を印加し、前記冷媒が前記一対の配管内を流れない第2冷媒状態であるときに前記一対の配管の一端間に第2パルス電圧を印加し、
前記波形測定手段は、前記第1パルス電圧の印加時に第1電圧波形を測定し、前記第2パルス電圧の印加時に第2電圧波形を測定し、
前記発生要因推定手段は、前記第1電圧波形と前記第2電圧波形とのうち前記第1電圧波形のみにおいて、前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が前記第1閾値より大きい場合、前記冷媒が流れることにより発生した結露に起因する水分の付着が前記反射波の発生要因であると推定し、前記第1電圧波形と前記第2電圧波形との双方において、前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が前記第1閾値より大きい場合、前記結露に起因しない水分の付着が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項2に記載の配管点検支援装置。
【請求項4】
前記一対の配管に接続された空調機の運転状態を示す運転状態情報を取得する運転状態取得手段と、
前記運転状態取得手段により取得された前記運転状態情報により示される前記空調機の運転状態に基づいて、前記冷媒が前記第1冷媒状態と前記第2冷媒状態とのいずれの状態であるのかを判別する冷媒状態判別手段と、を更に備える、
請求項3に記載の配管点検支援装置。
【請求項5】
前記発生要因推定手段は、前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が第2閾値より大きく第3閾値以下である場合、前記一対の配管の分岐が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の配管点検支援装置。
【請求項6】
前記発生要因推定手段は、前記反射波の正負の極性が正であり、前記振幅割合が第4閾値より大きい場合、前記一対の配管の径の縮小が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の配管点検支援装置。
【請求項7】
導電性を有する一対の配管の一端間に電圧パルスを印加し、
前記電圧パルスの印加が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間における前記一対の配管の一端間の電圧の変化を示す電圧波形を測定し、
前記電圧パルスの先頭位置から前記電圧パルスの反射波の先頭位置までの長さに対応する前記反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と、前記反射波の正負の極性と前記電圧パルスの振幅に対する前記反射波の振幅の割合
である振幅割合とに対応する前記反射波の発生要因を示す発生要因情報と、を表示する、
配管点検支援方法。
【請求項8】
前記一対の配管のそれぞれの外周には、断熱部材が設けられ、
前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が第1閾値より大きい場合、前記一対の配管又は前記断熱部材への水分の付着が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項7に記載の配管点検支援方法。
【請求項9】
前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が第2閾値より大きく第3閾値以下である場合、前記一対の配管の分岐が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項7又は8に記載の配管点検支援方法。
【請求項10】
前記反射波の正負の極性が正であり、前記振幅割合が第4閾値より大きい場合、前記一対の配管の径の縮小が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項7から9のいずれか1項に記載の配管点検支援方法。
【請求項11】
コンピュータを、
導電性を有する一対の配管の一端間に電圧パルスの印加が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間における前記一対の配管の一端間の電圧の変化を示す電圧波形上における前記電圧パルスの先頭位置から前記電圧波形上における前記電圧パルスの反射波の先頭位置までの長さに基づいて、前記一対の配管における前記反射波の発生箇所を推定する発生箇所推定手段、
前記電圧波形上における前記反射波の正負の極性と前記電圧波形上における前記電圧パルスの振幅に対する前記電圧波形上における前記反射波の振幅の割合である振幅割合とに基づいて、前記反射波の発生要因を推定する発生要因推定手段、
前記発生箇所推定手段により推定された前記反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と前記発生要因推定手段により推定された前記反射波の発生要因を示す発生要因情報とを表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させる、
プログラム。
【請求項12】
前記一対の配管のそれぞれの外周には、断熱部材が設けられ、
前記発生要因推定手段は、前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が第1閾値より大きい場合、前記一対の配管又は前記断熱部材への水分の付着が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記発生要因推定手段は、前記反射波の正負の極性が負であり、前記振幅割合が第2閾値より大きく第3閾値以下である場合、前記一対の配管の分岐が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項11又は12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記発生要因推定手段は、前記反射波の正負の極性が正であり、前記振幅割合が第4閾値より大きい場合、前記一対の配管の径の縮小が前記反射波の発生要因であると推定する、
請求項11から13のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管点検支援装置、配管点検支援方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配管の点検作業前に、異常が発生しやすい箇所が分かれば、配管の点検作業の効率化が期待できる。ここで、異常が発生しやすい箇所は、特性インピーダンスが変化する箇所であることが多く、TDR(Time Domain Reflectometry)計測において反射波が発生する箇所であることが多い。そこで、現在、TDR(Time Domain Reflectometry)計測を用いて、異常が発生しやすい箇所又は異常が発生した箇所を検知する種々の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の実施の形態2には、配管にパルス信号を印加し、このパルス信号の反射波を検出し、反射波の遅延時間に基づいて、配管及び配管の外周に設けられた材料の少なくとも一方の異常を検知する配管診断装置が記載されている。この配管点検支援装置では、配管の端部以外において反射波の発生が検知された場合、配管に異常があると判別され、異常が発生した箇所が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配管の点検作業前に、反射波の発生箇所に加え、異常が発生しやすい理由に対応する反射波の発生要因も分かれば、配管の点検作業の効率化が更に期待できる。この理由は、反射波の発生要因に応じて、点検の準備をしたり、点検の方法を選択したり、点検箇所を選別したりすることができるためである。しかしながら、特許文献1に記載された配管診断装置は、反射波の発生要因が結露であることを前提としており、反射波の発生要因を判別することができない。つまり、特許文献1に記載された配管診断装置では、配管の点検作業の効率化を十分に支援することができない。このため、配管の点検作業の効率化を支援する技術が望まれている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、配管の点検作業の効率化を支援する配管点検支援装置、配管点検支援方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る配管点検支援装置は、
導電性を有する一対の配管の一端間に電圧パルスを印加するパルス印加手段と、
前記電圧パルスの印加が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間における前記一対の配管の一端間の電圧の変化を示す電圧波形を測定する波形測定手段と、
前記電圧波形上における前記電圧パルスの先頭位置から前記電圧波形上における前記電圧パルスの反射波の先頭位置までの長さに基づいて、前記一対の配管における前記反射波の発生箇所を推定する発生箇所推定手段と、
前記電圧波形上における前記反射波の正負の極性と前記電圧波形上における前記電圧パルスの振幅に対する前記電圧波形上における前記反射波の振幅の割合である振幅割合とに基づいて、前記反射波の発生要因を推定する発生要因推定手段と、
前記発生箇所推定手段により推定された前記反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と前記発生要因推定手段により推定された前記反射波の発生要因を示す発生要因情報とを表示する表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と反射波の発生要因を示す発生要因情報とが表示される。従って、本発明によれば、配管の点検作業の効率化を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る配管点検支援装置が適用される空調システムの構成図
【
図2】水分が付着した箇所において反射波が発生する理由の説明図
【
図3】配管が分岐する箇所において反射波が発生する理由の説明図
【
図4】配管の径が縮小する箇所において反射波が発生する理由の説明図
【
図5】反射波が重畳された電圧波形と反射波の発生箇所と反射波の発生要因との対応関係を示す図
【
図6】本発明の実施形態1に係る配管点検支援装置の機能ブロック図
【
図7】本発明の実施形態1に係る配管点検支援装置が実行する配管点検支援処理を示すフローチャート
【
図8】
図7における発生要因推定処理を示すフローチャート
【
図9】発生箇所情報と発生要因情報とを示す画面を示す図
【
図10】本発明の実施形態2に係る配管点検支援装置の機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る配管点検支援装置100が適用される空調システム1000について説明する。空調システム1000は、点検対象の配管を含むシステムである。空調システム1000は、工場、ビルなどの建物における対象エリアの空気の温度、湿度などを調整するシステムである。空調システム1000は、室外機200と室内機300と室内機400とが、断熱部材20Aにより覆われた配管10Aと断熱部材20Bにより覆われた配管10Bとを含む一対の配管と、通信線30Aと通信線30Bとを含む一対の通信線と、により相互に接続されたシステムである。つまり、空調システム1000は、配管10Aと、断熱部材20Aと、配管10Bと、断熱部材20Bと、通信線30Aと、通信線30Bと、室外機200と、室内機300と、室内機400とを備える。
【0011】
配管10Aと配管10Bとは、室外機200と室内機300と室内機400との間で冷媒を循環させる金属製の配管である。配管10Aと配管10Bとは、基本的に、並列に配置される。配管10Aは、主に気体の冷媒が流れるガス管である。配管10Bは、主に液体の冷媒が流れる液管である。配管10Aの内径は配管10Bの内径よりも大きく、配管10Aの外径は配管10Bの外径よりも大きい。配管10Aと配管10Bとは、途中で分岐する。また、配管10Aと配管10Bとは、室外機200から見て分岐箇所よりも遠い箇所において、径が縮小する。本実施形態において、径が縮小することは、内径と外径との双方が縮小することを意味する。配管10Aと配管10Bとは、導電性を有し、例えば、銅を含む合金の管である。以下、適宜、配管10Aと配管10Bとを総称して、配管10と呼ぶ。
【0012】
断熱部材20Aは、配管10Aの外周と周囲の空気との熱交換を抑制し、配管10Aの外周に結露が発生することを抑制するための部材である。断熱部材20Bは、配管10Bの外周と周囲の空気との熱交換を抑制し、配管10Bの外周に結露が発生することを抑制するための部材である。断熱部材20Aと断熱部材20Bとは、例えば、比誘電率がほぼ1である発泡ウレタン又は高発泡スチロールである。以下、適宜、断熱部材20Aと断熱部材20Bとを総称して、断熱部材20と呼ぶ。
【0013】
通信線30Aと通信線30Bとは、室外機200と室内機300と室内機400とが相互に通信するための通信線である。通信線30Aと通信線30Bとは、基本的に、並列に配置される。室外機200と室内機300と室内機400とは、通信線30Aと通信線30Bとを含む一対の通信線を介して、予め定められた通信プロトコルに従って、運転状態情報を送信又は受信する。運転状態情報は、室外機200と室内機300と室内機400とを含む空調機の運転状態を示す情報である。空調機の運転状態は、基本的に、室外機200の運転状態である。運転状態情報は、例えば、暖房運転中、冷房運転中、除湿運転中、送風運転中、運転停止中などを示す情報である。
【0014】
通信線30Aと通信線30Bとは、電力の伝送に用いられてもよい。通信線30Aと通信線30Bとは、それぞれ、絶縁部材により被覆されていることが好適である。通信線30Aと通信線30Bとは、例えば、STP(Shielded Twisted Pair)ケーブル、UTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブル、平行ケーブルなどに含まれる銅製の芯線である。以下、適宜、通信線30Aと通信線30Bとを総称して、通信線30と呼ぶ。
【0015】
室外機200は、室外に設置される空調機である。室外機200は、例えば、圧縮機と凝縮器とを備える。室内機300と室内機400とは、室内に設置され、室内に、温風、冷風などを送出する。室内機300と室内機400とは、例えば、蒸発器を備える。
【0016】
配管点検支援装置100は、配管10の点検作業の効率化を支援する装置であり、配管10を診断する装置である。具体的には、配管点検支援装置100は、異常が発生しやすい箇所と異常が発生しやすい理由とを推定し、推定した結果を報知する装置である。異常が発生しやすい箇所は、点検すべき箇所である。異常が発生しやすい理由は、点検すべき理由であり、配管10の状態又は断熱部材20の状態に起因する。
【0017】
異常が発生しやすい箇所は、基本的に、配管10の腐食が進行しやすい箇所であり、例えば、配管10又は断熱部材20への水分の付着箇所、配管10の分岐箇所、配管10の径の縮小箇所などである。配管10の腐食が進行すると、配管10から冷媒が漏れる冷媒漏洩が発生することがある。配管点検支援装置100は、冷媒漏洩が発生しやすい箇所と冷媒漏洩が発生しやすい理由とを作業者に報知することにより、作業者による配管10の点検を支援する。
【0018】
異常が発生しやすい理由は、例えば、配管10又は断熱部材20への水分の付着、配管10の分岐、配管10の径の縮小などである。水分の付着は、結露に起因することもあるし、結露以外の要因に起因することもある。つまり、冷媒が配管10を流れることにより発生した結露による水分が付着することもあるし、結露以外の要因により発生した水分が付着することもある。なお、本実施形態では、付着は、配管10又は断熱部材20の表面に水分が存在する場合に加え、断熱部材20の内部に水分が浸透する場合を含む概念である。
【0019】
結露は、例えば、断熱部材20が配管10から剥離したり、断熱部材20が変形したりして、配管10の表面が露出した場合において、配管10に冷媒が流れているときに発生する。結露以外の要因は、例えば、雨漏りである。水分が付着している箇所は、他の箇所に比べて、配管10の腐食が進行しやすいことが多い。
【0020】
配管10の分岐箇所及び配管10の径の縮小箇所は、ろう付け加工が施されたり、ジョイントにより配管10同士が接合されたりする。従って、配管10の分岐箇所及び配管10の径の縮小箇所は、他の箇所に比べて、配管10の腐食が進行しやすいことが多い。
【0021】
ここで、点検対象の一対の配管を含む回路を分布定数回路とみなした場合、一対の配管において異常が発生しやすい箇所では、特性インピーダンスが変化する箇所であることが多い。そして、異常が発生しやすい理由によって、特性インピーダンスの変化の態様が異なる。また、TDR(Time Domain Reflectometry)計測では、特性インピーダンスが変化する箇所において反射波が発生し、反射波の正負の極性と反射波の振幅とは特性インピーダンスの変化の態様に対応する。
【0022】
具体的には、反射係数をR、電圧パルスの伝播元の特性インピーダンスをZin、電圧パルスの伝播先の特性インピーダンスをZoutとすると、R=(Zout-Zin)/(Zout+Zin)である。従って、特性インピーダンスが増大する箇所では正の反射波が発生し、特性インピーダンスが減少する箇所では負の反射波が発生する。そして、特性インピーダンスの変化が大きいほど、発生する反射波の振幅が大きい。
【0023】
そこで、配管点検支援装置100は、配管10Aと断熱部材20Aと配管10Bと断熱部材20Bとを含む配管構造体を分布定数回路とみなして、TDR計測を実行する。そして、配管点検支援装置100は、TDR計測により得られた電圧波形において観測される反射波の発生状況から、異常が発生しやすい箇所と異常が発生しやすい理由とを推定する。
【0024】
具体的には、配管点検支援装置100は、配管10Aと配管10Bとを含む一対の配管の一端間に、電圧パルスを印加する。一対の配管の一端は、一対の配管のうち室外機200が接続される部分である。一対の配管の一端を、適宜、電圧パルスの印加箇所という。そして、配管点検支援装置100は、一対の配管の一端間の電圧の変化を示す電圧波形を測定する。配管点検支援装置100は、測定した電圧波形において電圧パルスに重畳された反射波を検出し、反射波の位置と反射波の正負の極性と反射波の振幅と電圧パルスの振幅とを特定する。配管点検支援装置100は、反射波の位置から、反射波の発生箇所、つまり、異常が発生しやすい箇所を推定する。また、配管点検支援装置100は、反射波の正負の極性と電圧パルスの振幅に対する反射波の振幅の割合である振幅割合とから、反射波の発生要因、つまり、異常が発生しやすい理由を推定する。
【0025】
以下、
図2から
図4を参照して、反射波の発生要因について説明する。
図1において、破線510で囲まれた部分、破線520で囲まれた部分、破線530で囲まれた部分、及び、破線540で囲まれた部分において、反射波が発生するものとする。具体的には、破線510で囲まれた部分は、結露に起因する水分の付着により反射波が発生する部分である。破線520で囲まれた部分は、配管10の分岐により反射波が発生する部分である。破線530で囲まれた部分は、配管10の径の縮小により反射波が発生する部分である。破線540で囲まれた部分は、結露以外の要因に起因する水分の付着により反射波が発生する部分である。
【0026】
なお、
図2から
図4においては、理解を容易にするため、水分の付着、配管10の分岐、配管10の径の縮小のうち1つの反射波の発生要因のみ存在するものとして説明する。例えば、破線510で囲まれた部分の説明をするときは、破線520で囲まれた部分と破線530で囲まれた部分と破線540で囲まれた部分とが存在しないものとして説明する。また、本実施形態では、一対の配管の他端、つまり、室内機400と一対の配管との接続箇所で発生した反射波は考慮しない。つまり、電圧波形上において、この反射波よりも先に観測される反射波のみを検出対象とする。
【0027】
まず、
図2を参照して、水分の付着により、反射波が発生する理由について説明する。なお、反射波が発生する理由は、付着する水分の発生原因が結露であっても結露以外の要因であっても同様である。以下、
図2では、破線510で囲まれた部分において反射波が発生する理由、つまり、結露による水分の付着により反射波が発生する理由について説明する。
【0028】
図2において、ガス管である配管10Aと液管である配管10Bとを破線で示し、ガス管の周囲に設けられた断熱部材20Aと液管の周囲に設けられた断熱部材20Bとを実線で示している。なお、断熱部材20Aと断熱部材20Bとのうち水分が付着した部分をハッチングで示している。以下、
図2において、配管10Aと配管10Bと断熱部材20Aと断熱部材20Bとを含む配管構造体のうちハッチングされた部分を付着部分、配管構造体のうち付着部分よりも左側の部分を手前部分、配管構造体のうち付着部分よりも右側の部分を奥部分と呼ぶ。
【0029】
まず、配管構造体の比誘電率は、基本的に、断熱部材20の比誘電率と同程度である。ここで、水分を含まない配管構造体の比誘電率をε10とし、水分を含む配管構造体の比誘電率をε11とする。この場合、手前部分の比誘電率と奥部分の比誘電率とはε10であり、付着部分の比誘電率はε11である。なお、配管構造体が水分を含むことは、配管構造体に含まれる配管10又は断熱部材20に水分が付着していることを意味する。
【0030】
ここで、断熱部材20の比誘電率は、1に近い値である。従って、ε10は、1に近い値である。一方、水の比誘電率は、10程度である。従って、ε11は、水分の含有率に応じた値であり、1よりも大きく10よりも小さい値である。つまり、ε11は、ε10よりも大きく、ε10の数倍になることがある。
【0031】
また、配管構造体の比誘電率が大きいほど、配管構造体の容量成分が大きく、配管構造体の特性インピーダンスが小さい。従って、付着部分の特性インピーダンスであるZ1は、手前部分及び奥部分の特性インピーダンスであるZ0よりも大きい。このため、電圧パルスは、手前部分と付着部分との境界で負の反射波を発生させ、付着部分と奥部分との境界で正の反射波を発生させる。ここで、電圧パルスの振幅をV0、反射波の振幅をV1とする。この場合、一対の配管の一端間の電圧は、負の反射波が一対の配管の一端に到達するタイミングでV0から(V0-V1)に低下する。また、一対の配管の一端間の電圧は、正の反射波が一対の配管の一端に到達するタイミングで上昇する。
【0032】
そこで、配管点検支援装置100は、一対の配管の一端間の電圧を示す電圧波形において、負の反射波の影響により電圧が低下した位置から、手前部分と付着部分との境界の位置を特定することができる。同様に、配管点検支援装置100は、この電圧波形において、正の反射波の影響により電圧が上昇した位置から、付着部分と奥部分との境界の位置を特定することができる。ただし、他の反射パルスの影響により、電圧パルスの印加地点までの長さが長い地点で発生した反射パルスほど、電圧波形からの反射波の検出が難しくなる。そこで、配管点検支援装置100は、先に検出される負の反射波の検出位置から、付着部分の位置を求める。
【0033】
次に、
図3を参照して、配管10の分岐により、反射波が発生する理由について説明する。
図3に、配管10Aと配管10Bとのそれぞれが2つに分岐した例を示す。以下、
図3において、配管構造体のうち分岐部分よりも左側の部分を分岐前部分、配管構造体のうち分岐部分よりも右側の部分を分岐後部分と呼ぶ。
【0034】
分岐前部分では、配管10Aと配管10Bとがそれぞれ1本であり、分岐後部分では、配管10Aと配管10Bとがそれぞれ2本である。従って、分岐後部分は、2つの分岐前部分を並列にしたものと等価であるとみなすことができる。つまり、分岐後部分の特性インピーダンスであるZ2は、分岐前部分の特性インピーダンスであるZ0の半分程度の値である。このため、電圧パルスは、分岐前部分と分岐後部分との境界で負の反射波を発生させる。ここで、電圧パルスの振幅をV0、反射波の振幅をV2とする。この場合、一対の配管の一端間の電圧は、負の反射波が一対の配管の一端に到達するタイミングでV0から(V0-V2)に低下する。
【0035】
そこで、配管点検支援装置100は、一対の配管の一端間の電圧を示す電圧波形において、負の反射波の影響により電圧が低下した位置から、分岐前部分と分岐後部分との境界の位置、つまり、分岐部分の位置を特定することができる。ここで、Z1はZ2よりも小さいことが多いため、水分の付着箇所における特性インピーダンスの変化は、配管10の分岐箇所における特性インピーダンスの変化よりも大きいことが多い。つまり、水分の付着箇所で発生する負の反射波の振幅であるV1は、配管10の分岐箇所で発生する負の反射波の振幅であるV2よりも大きいことが多い。そこで、配管点検支援装置100は、電圧波形から負の反射波を検出した場合、検出した負の反射波の振幅の大きさから、負の反射波の発生要因を特定する。
【0036】
例えば、配管点検支援装置100は、電圧パルスの振幅に対する負の反射波の振幅の割合である振幅割合が閾値以上である場合、負の反射波の発生要因が水分の付着であると判別する。一方、配管点検支援装置100は、この振幅割合が閾値未満である場合、負の反射波の発生要因が配管10の分岐であると判別する。
【0037】
次に、
図4を参照して、配管10の径の縮小により、反射波が発生する理由について説明する。
図4に、配管10Aの径と配管10Bの径とのそれぞれが縮小した例を示す。以下、
図4において、配管構造体のうち径の縮小部分よりも左側の部分を縮小前部分、配管構造体のうち分岐縮小部分よりも右側の部分を縮小後部分と呼ぶ。
【0038】
縮小前部分では、配管10Aの径と配管10Bの径とが相対的に大きく、縮小後部分では、配管10Aの径と配管10Bの径とが相対的に小さい。このため、縮小前部分では、配管10Aと配管10Bとの間隔が相対的に狭く、縮小後部分では、配管10Aと配管10Bとの間隔が相対的に広い。従って、縮小後部分の線間容量であるC3は、縮小前部分の線間容量であるC0よりも小さい。このため、縮小後部分の特性インピーダンスであるZ3は、縮小前部分の特性インピーダンスであるZ0よりも大きい。なお、線間容量は、配管10Aと配管10Bとをコンデンサとみなしたときの容量である。
【0039】
このため、電圧パルスは、縮小前部分と縮小後部分との境界で正の反射波を発生させる。ここで、電圧パルスの振幅をV0、反射波の振幅をV3とする。この場合、一対の配管の一端間の電圧は、正の反射波が一対の配管の一端に到達するタイミングでV0から(V0+V3)に上昇する。そこで、配管点検支援装置100は、一対の配管の一端間の電圧を示す電圧波形において、正の反射波の影響により電圧が上昇した位置から、縮小前部分と縮小後部分との境界の位置、つまり、径の縮小部分の位置を特定することができる。
【0040】
図5に、反射波が重畳された電圧波形と反射波の発生箇所と反射波の発生要因との対応関係を示す。配管点検支援装置100は、測定された電圧波形と、
図5に示す対応関係とから、反射波の発生箇所と反射波の発生要因とを推定することができる。
【0041】
例えば、
図5の上段に示す電圧波形が測定されたものとする。この電圧波形は、電圧パルスの振幅がV0(V)であり、反射波の正負の属性が負であり、反射波の振幅がV1(V)であり、パルス往復時間がT1(Sec)であり、振幅割合であるV1/V0が第1閾値である0.5よりも大きいことを示している。パルス往復時間は、電圧パルスの立ち上がりが観測されてから反射波の立ち上がりが観測されるまでの時間である。つまり、パルス往復時間は、一対の配線の一端間に電圧パルスが印加されてから、注目する箇所で発生した反射波が一対の配線の一端に到達するまでの時間である。第1閾値は、負の反射波の発生要因が水分の付着であると判別するための下限値である。
【0042】
このように、負の反射波が発生し、反射波の振幅が比較的大きい場合、反射波の発生要因は水分の付着であると推定される。なお、水分の付着には、結露により発生した水分の付着と、結露以外の要因により発生した水分の付着がある。ここで、冷媒が配管内を流れる第1冷媒状態であるときだけこの電圧波形が測定される場合、反射波の発生要因は結露により発生した水分の付着であると推定される。一方、冷媒が配管内を流れる第1冷媒状態と冷媒が配管内を流れない第2冷媒状態との双方においてこの電圧波形が測定される場合、反射波の発生要因は結露以外の要因により発生した水分の付着であると推定される。
【0043】
また、このような電圧波形が測定された場合、反射波の発生箇所は、電圧パルスが印加された箇所からT1*K=L1だけ離れた箇所であると推定される。T1は、パルス往復時間(単位:Sec)である。Kは、K=Vc/(2√ε0)により求められる係数である。Vcは、真空中における光速(単位:m/sec)、ε0は、配管構造体の実効比誘電率である。
【0044】
次に、
図5の中段に示す電圧波形が測定されたものとする。この電圧波形は、電圧パルスの振幅がV0(V)であり、反射波の正負の属性が負であり、反射波の振幅がV2(V)であり、電圧パルスの立ち上がりが観測されてから反射波の立ち上がりが観測されるまでの時間がT2(Sec)であり、振幅割合であるV2/V0が第2閾値である0.3よりも大きく第3閾値である0.5以下であることを示している。第2閾値は、負の反射波の発生要因が配管10の分岐であると判別するための下限値である。第3閾値は、負の反射波の発生要因が配管10の分岐であると判別するための上限値である。なお、第3閾値は第1閾値以下である。本実施形態では、第3閾値は第1閾値と等しい。
【0045】
このように、負の反射波が発生し、反射波の振幅が比較的小さい場合、反射波の発生要因は配管10の分岐であると推定される。また、このような電圧波形が測定された場合、反射波の発生箇所は、電圧パルスが印加された箇所からT2*K=L2だけ離れた箇所であると推定される。
【0046】
また、
図5の下段に示す電圧波形が測定されたものとする。この電圧波形は、電圧パルスの振幅がV0(V)であり、反射波の正負の属性が正であり、反射波の振幅がV3(V)であり、電圧パルスの立ち上がりが観測されてから反射波の立ち上がりが観測されるまでの時間がT3(Sec)であり、振幅割合であるV3/V0が第4閾値である0.1よりも大きいことを示している。第4閾値は、正の反射波の発生要因が配管10の径の縮小であると判別するための下限値である。
【0047】
このように、正の反射波が発生した場合、反射波の発生要因は配管10の径の縮小であると推定される。また、このような電圧波形が測定された場合、反射波の発生箇所は、電圧パルスが印加された箇所からT3*K=L3だけ離れた箇所であると推定される。
【0048】
次に、
図6を参照して、配管点検支援装置100の機能について説明する。
図6に示すように、配管点検支援装置100は、機能的には、操作受付部101と、制御部102と、パルス印加部103と、波形測定部104と、記憶部105と、表示部109と、運転状態取得部110とを備える。制御部102は、機能的には、発生箇所推定部106と、発生要因推定部107と、表示制御部108と、冷媒状態判別部111とを備える。
【0049】
パルス印加手段は、例えば、パルス印加部103に対応する。波形測定手段は、例えば、波形測定部104に対応する。発生箇所推定手段は、例えば、発生箇所推定部106に対応する。発生要因推定手段は、例えば、発生要因推定部107に対応する。表示制御手段は、例えば、表示制御部108に対応する。表示手段は、例えば、表示部109に対応する。運転状態取得手段は、例えば、運転状態取得部110に対応する。冷媒状態判別手段は、例えば、冷媒状態判別部111に対応する。
【0050】
操作受付部101は、ユーザから各種の操作を受け付ける。操作受付部101は、例えば、配管点検支援処理の開始指示を受け付ける。操作受付部101の機能は、例えば、タッチスクリーン、ボタン、マウス、キーボードの機能により実現される。
【0051】
制御部102は、配管点検支援装置100の全体の動作を制御する。例えば、制御部102は、操作受付部101から開始指示情報を受信したことに応答して、配管点検支援処理を開始する。また、制御部102は、電圧パルスを出力するようにパルス印加部103を制御する。また、制御部102は、波形測定部104から受信した測定波形情報により示される電圧波形と、記憶部105に記憶されているモデル波形情報により示されるモデル波形とを比較し、電圧波形に含まれる反射波を特定する。また、制御部102は、反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と反射波の発生要因を示す発生要因情報とを表示部109に表示させる。また、制御部102は、運転状態取得部110から取得した運転状態情報に基づいて、冷媒状態を判別する。制御部102の機能は、例えば、プロセッサがRAM(Random Access Memory)を用いてROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0052】
パルス印加部103は、導電性を有する一対の配管の一端間に電圧パルスを印加する。この電圧パルスは、ステップ状のパルスであり、TDR計測のための電圧パルスである。TDR計測は、立ち上がりの速い電圧パルスを2端子試料に印加して、試料に加わる電圧の時間的変化から、試料の内部構造を把握する手法である。本実施形態では、試料は、配管構造体である。この電圧パルスのパルス幅は、一対の配管の他端で発生した反射波が一対の配管の一端に到達するまでの時間よりも十分に長い時間であり、例えば、数msec程度の時間である。パルス印加部103の機能は、例えば、スイッチング素子と直流電源とを備える電圧印加回路の機能により実現される。
【0053】
波形測定部104は、電圧パルスの印加が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの期間における一対の配管の一端間の電圧の変化を示す電圧波形を測定する。この期間の長さは、電圧パルスのパルス幅よりも長い。また、波形測定部104が電圧をサンプリングする周期は、電圧パルスのパルス幅よりも十分に短い(例えば、数nsec程度)。波形測定部104の機能は、例えば、A/D(Analog/Digital)変換器の機能により実現される。
【0054】
記憶部105は、配管点検支援処理に必要な各種の情報を記憶する。例えば、記憶部105は、モデル波形を示すモデル波形情報を記憶する。モデル波形は、電圧パルスに反射波が重畳されたときに観測される電圧波形のモデルである。モデル波形は、反射波の先頭位置を含む比較的短い期間の電圧波形である。モデル波形は、測定された電圧波形から、反射波の位置を特定するために用いられる。モデル波形は、反射波の発生要因毎に用意される。モデル波形は、例えば、反射波が発生したときに測定された電圧波形から抽出された波形である。記憶部105の機能は、例えば、フラッシュメモリの機能により実現される。
【0055】
発生箇所推定部106は、波形測定部104により測定された電圧波形上における電圧パルスの先頭位置からこの電圧波形上における電圧パルスの反射波の先頭位置までの長さに基づいて、一対の配管における反射波の発生箇所を推定する。例えば、発生箇所推定部106は、測定された電圧波形と反射波の発生要因毎に用意されたモデル波形のそれぞれとを比較して、電圧波形上における反射波の先頭位置を求める。
【0056】
例えば、発生箇所推定部106は、電圧波形から抽出される部分波形とモデル波形との相関係数を求める処理と、部分波形の抽出位置をシフトする処理とを繰り返し、相関係数が閾値以上である抽出位置を、反射波の先頭位置として求める。そして、発生箇所推定部106は、電圧パルスの先頭位置から反射波の先頭位置までの長さに対応するパルス往復時間を求める。そして、発生箇所推定部106は、パルス往復時間に係数を乗じることにより、電圧パルスの印加箇所から反射波の発生箇所までの長さを求める。発生箇所推定部106の機能は、例えば、プロセッサの機能により実現される。
【0057】
発生要因推定部107は、電圧波形上における反射波の正負の極性と振幅割合とに基づいて、反射波の発生要因を推定する。振幅割合は、電圧波形上における電圧パルスの振幅に対する電圧波形上における反射波の振幅の割合である。反射波の発生要因は、例えば、結露により発生した水分の付着、結露以外の要因により発生した水分の付着、配管10の分岐、配管10の径の縮小である。発生要因推定部107の機能は、例えば、プロセッサの機能により実現される。
【0058】
表示制御部108は、発生箇所推定部106により推定された反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と発生要因推定部107により推定された反射波の発生要因を示す発生要因情報とを表示部109に表示させる。発生箇所情報は、異常が発生しやすい箇所であり、点検すべき箇所である、反射波の発生箇所を示す情報である。発生要因情報は、異常が発生しやすい理由であり、配管構造体の状態に対応する、反射波の発生要因を示す情報である。表示制御部108の機能は、例えば、プロセッサの機能により実現される。
【0059】
表示部109は、表示制御部108による制御に従って、発生箇所推定部106により推定された反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と発生要因推定部107により推定された反射波の発生要因を示す発生要因情報とを表示する。表示部109の機能は、例えば、タッチスクリーンの機能により実現される。
【0060】
なお、一対の配管のそれぞれの外周には、断熱部材20が設けられる。発生要因推定部107は、反射波の正負の極性が負であり、振幅割合が第1閾値より大きい場合、一対の配管又は断熱部材20への水分の付着が反射波の発生要因であると推定する。
【0061】
また、パルス印加部103は、冷媒が一対の配管内を流れる第1冷媒状態であるときに一対の配管の一端間に第1パルス電圧を印加する。そして、パルス印加部103は、冷媒が一対の配管内を流れない第2冷媒状態であるときに一対の配管の一端間に第2パルス電圧を印加する。一方、波形測定部104は、第1パルス電圧の印加時に第1電圧波形を測定し、第2パルス電圧の印加時に第2電圧波形を測定する。
【0062】
ここで、発生要因推定部107は、第1電圧波形と第2電圧波形とのうち第1電圧波形のみにおいて、反射波の正負の極性が負であり、振幅割合が第1閾値より大きい場合、冷媒が流れることにより発生した結露に起因する水分の付着が反射波の発生要因であると推定する。一方、発生要因推定部107は、第1電圧波形と第2電圧波形との双方において、反射波の正負の極性が負であり、振幅割合が第1閾値より大きい場合、結露に起因しない水分の付着が反射波の発生要因であると推定する。
【0063】
運転状態取得部110は、一対の配管に接続された空調機の運転状態を示す運転状態情報を取得する。例えば、運転状態取得部110は、通信線30Aと通信線30Bとを含む一対の通信線間の電圧をサンプリングし、この一対の通信線上を流れるコマンドを監視する。運転状態取得部110は、コマンドに含まれる運転状態情報により示される空調機の運転状態を特定する。運転状態は、例えば、暖房状態、冷房状態、除湿状態、送風状態、停止状態などである。運転状態取得部110の機能は、例えば、空調機が採用する通信プロトコルに従って、検出した電圧からコマンドを生成するコマンド受信機能を有するレシーバの機能により実現される。このレシーバは、空調機が採用する通信プロトコルに従って、コマンドに応じた電圧を印加するコマンド送信機能を有するトランシーバであってもよい。
【0064】
冷媒状態判別部111は、運転状態取得部110により取得された運転状態情報により示される空調機の運転状態に基づいて、第1冷媒状態と第2冷媒状態とのいずれの状態であるのかを判別する。例えば、冷媒状態判別部111は、運転状態が、暖房状態、冷房状態、除湿状態などである場合、第1冷媒状態であると判別する。一方、冷媒状態判別部111は、運転状態が、送風状態、停止状態などである場合、第2冷媒状態であると判別する。冷媒状態判別部111の機能は、例えば、プロセッサの機能により実現される。
【0065】
また、発生要因推定部107は、反射波の正負の極性が負であり、振幅割合が第2閾値より大きく第3閾値以下である場合、一対の配管の分岐が反射波の発生要因であると推定する。第3閾値は、第1閾値以下である。一方、発生要因推定部107は、反射波の正負の極性が正であり、振幅割合が第4閾値より大きい場合、一対の配管の径の縮小が反射波の発生要因であると推定する。
【0066】
次に、
図7に示すフローチャートを参照して、配管点検支援装置100が実行する配管点検支援処理について説明する。この配管点検支援処理は、配管点検支援方法を実現するための処理である。配管点検支援処理は、例えば、配管点検支援装置100の電源が投入されると開始される。
【0067】
まず、制御部102は、開始指示があるか否かを判別する(ステップS101)。例えば、制御部102は、操作受付部101に対して、配管点検支援処理の開始を指示する操作がユーザによりなされたか否かを判別する。なお、予め定められた時間が経過する毎に、RTC(Real Time Clock)を備えるプロセッサにより開始指示が発行される場合、制御部102は、プロセッサにより開始指示が発行されたか否かを判別する。制御部102は、開始指示がないと判別すると(ステップS101:NO)、ステップS101に処理を戻す。
【0068】
制御部102は、開始指示があると判別すると(ステップS101:YES)、電圧波形の測定を開始する(ステップS102)。具体的には制御部102は、波形測定部104を制御して、一対の配管間の電圧の測定の開始を指示する。なお、波形測定部104は、電圧の測定を開始した後、電圧パルスのパルス幅程度の時間が経過すると、自動的に、電圧の測定を終了する。
【0069】
制御部102は、ステップS102の処理を完了すると、電圧パルスを印加する(ステップS103)。具体的には制御部102は、パルス印加部103を制御して、一対の配管間に電圧パルスを印加させる。
【0070】
制御部102は、ステップS103の処理を完了すると、運転状態情報を取得する(ステップS104)。具体的には制御部102は、運転状態取得部110を制御して運転状態情報を取得させ、運転状態取得部110が取得した運転状態情報を取得する。制御部102は、ステップS104の処理を完了すると、冷媒の状態を特定する(ステップS105)。
【0071】
制御部102は、ステップS105の処理を完了すると、冷媒状態情報と測定波形情報とを対応付けて記憶する(ステップS106)。冷媒状態情報は、冷媒の状態を示す情報である。冷媒状態情報は、例えば、第1冷媒状態と第2冷媒状態とのうちのいずれか一方を示す情報である。測定波形情報は、測定された電圧波形を示す情報である。制御部102は、冷媒状態情報と測定波形情報とを対応付けて記憶部105に保存する。
【0072】
制御部102は、ステップS106の処理を完了すると、電圧波形上における全ての反射波を検出する(ステップS107)。例えば、制御部102は、測定波形情報により示される電圧波形と、モデル波形情報により示される反射波の発生要因毎のモデル波形とのそれぞれとを比較し、電圧波形上における全ての反射波を検出する。全ての反射波とは、反射波の発生要因を問わず、正の反射波と負の反射波との全ての反射波である。
【0073】
制御部102は、ステップS107の処理を完了すると、反射波を1つ選択する(ステップS108)。制御部102は、ステップS108の処理を完了すると、選択した反射波の発生箇所を推定する(ステップS109)。制御部102は、例えば、電圧波形上において、電圧パルスの先頭位置から反射波の先頭位置までの長さに対応するパルス往復時間を求め、このパルス往復時間に係数を乗じた長さを、電圧パルスの印加箇所から反射波の発生箇所までの長さとして求める。
【0074】
制御部102は、ステップS109の処理を完了すると、発生要因推定処理を実行する(ステップS110)。発生要因推定処理については、
図8に示すフローチャートを参照して、詳細に説明する。発生要因推定処理は、電圧波形から検出された反射波の発生要因を推定する処理である。
【0075】
まず、制御部102は、反射波の正負の極性が正であるか否かを判別する(ステップS201)。制御部102は、反射波の正負の極性が正でないと判別すると(ステップS201:NO)、振幅割合が第1閾値より大きいか否かを判別する(ステップS202)。制御部102は、振幅割合が第1閾値より大きいと判別すると(ステップS202:YES)、冷媒の状態に依存しているか否かを判別する(ステップS203)。
【0076】
例えば、制御部102は、ステップS105で特定した冷媒の状態とは逆の冷媒の状態を示す冷媒状態情報に対応付けられた測定波形情報のうち、最新の測定波形情報を記憶部105から読み出す。そして、制御部102は、読み出した測定波形情報により示される電圧波形内に、反射波の発生箇所と反射波の発生要因とが選択中の反射波と一致する反射波が存在するか否かを判別する。
【0077】
制御部102は、冷媒の状態に依存すると判別すると(ステップS203:YES)、反射波の発生要因を結露による水分の付着と推定する(ステップS204)。一方、制御部102は、冷媒の状態に依存しないと判別すると(ステップS203:NO)、反射波の発生要因を結露以外の要因による水分の付着と推定する(ステップS205)。なお、結露による水分は、冷媒が流れているときに発生し、冷媒が流れていないときには発生しないと考えられる。一方、結露以外の要因による水分は、冷媒が流れているか否かにかかわらず、発生すると考えられる。そこで、制御部102は、選択中の反射波が、冷媒が流れているときだけ発生しているか否かを判別して、水分の付着要因を推定する。
【0078】
制御部102は、振幅割合が第1閾値より大きくない判別すると(ステップS202:NO)、振幅割合が第2閾値より大きく第3閾値以下であるか否かを判別する(ステップS206)。制御部102は、振幅割合が第2閾値より大きく第3閾値以下であると判別すると(ステップS206:YES)、反射波の発生要因を配管10の分岐と推定する(ステップS207)。
【0079】
制御部102は、振幅割合が第2閾値より大きく第3閾値以下でないと判別すると(ステップS206:NO)、反射波の発生要因をその他の要因と推定する(ステップS208)。なお、その他の要因は、水分の付着、配管10の分岐、配管10の径の縮小以外の要因である。なお、反射波の発生要因がその他の要因である場合、反射波の発生を無視し、特段の処理を実行しなくてもよい。
【0080】
制御部102は、反射波の正負の極性が正であると判別すると(ステップS201:YES)、振幅割合が第4閾値より大きいか否かを判別する(ステップS209)。制御部102は、振幅割合が第4閾値より大きいと判別すると(ステップS209:YES)、反射波の発生要因を配管10の径の縮小と推定する(ステップS210)。制御部102は、振幅割合が第4閾値より大きくないと判別すると(ステップS209:NO)、反射波の発生要因をその他の要因と推定する(ステップS211)。
【0081】
制御部102は、ステップS204、ステップS205、ステップS207、ステップS208、ステップS210、又は、ステップS211の処理を完了すると、発生要因推定処理を完了する。制御部102は、ステップS110の処理を完了すると、未選択の反射波があるか否かを判別する(ステップS111)。制御部102は、未選択の反射波があると判別すると(ステップS111:YES)、ステップS108に処理を戻す。
【0082】
一方、制御部102は、未選択の反射波がないと判別すると(ステップS111:NO)、推定結果を表示する(ステップS112)。例えば、制御部102は、表示部109を制御して、推定結果を示す画面600を表示させる。推定結果は、反射波の発生箇所と反射波の発生要因との推定結果である。つまり、画面600は、発生箇所情報と発生要因情報とを提示する画面である。
【0083】
図9に示すように、画面600には、異常が発生しやすい箇所があるか否かを示す情報が表示される。また、画面600には、発生箇所情報と発生要因情報とが対応付けて表示される。発生箇所情報は、反射波の発生箇所を示す情報である。反射波の発生箇所は、異常が発生しやすい箇所であり、点検すべき箇所である。発生箇所情報は、電圧パルスの印加箇所、つまり、一対の配管と室外機200との接続箇所からの長さで示される。発生要因情報は、反射波の発生要因を示す情報である。反射波の発生要因は、異常が発生しやすい理由であり、配管構造体の状態に対応する。
【0084】
点検を実施する作業者は、この画面600を参照して、特に注意して点検すべき箇所を把握したり、点検の準備をしたりすることができる。制御部102は、ステップS112の処理を完了すると、ステップS101に処理を戻す。
【0085】
本実施形態では、反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と反射波の発生要因を示す発生要因情報とが表示される。具体的には、反射波の発生要因として、水分の付着、配管10の分岐、配管10の径の縮小などが推定される。また、水分の付着に関しては、冷媒の状態を考慮して、結露による水分の付着であるのか、それとも結露以外の要因による水分の付着であるのかが推定される。従って、本実施形態によれば、配管10の点検作業の効率化を支援することができる。
【0086】
(実施形態2)
実施形態1では、配管点検支援装置100が1つの装置である例について説明した。配管点検支援装置100は、複数の装置を備えるシステムであってもよい。本実施形態では、
図10に示すように、配管点検支援装置150が、TDR計測を実行する計測機能を有する計測装置120と、反射波の発生箇所と反射波の発生要因とを推定する推定機能と発生箇所情報と発生要因情報とを表示する表示機能とを有する推定装置130とを備える例について説明する。以下、実施形態と同様の構成又は機能に関しては説明を省略又は簡略化する。
【0087】
計測装置120は、パルス印加部103と、波形測定部104と、運転状態取得部110と、制御部121と、通信部122とを備える。推定装置130は、操作受付部101と、記憶部105と、表示部109と、制御部131とを備える。制御部131は、発生箇所推定部106と、発生要因推定部107と、表示制御部108と、冷媒状態判別部111とを備える。
【0088】
制御部121は、計測装置120の全体の動作を制御する。例えば、制御部121は、通信部122が推定装置130から開始指示情報を受信したことに応答して、電圧パルスを出力するようにパルス印加部103を制御し、電圧波形を測定するように波形測定部104を制御する。また、制御部121は、運転状態取得部110を制御して、運転状態情報を取得する。制御部121は、通信部122を介して推定装置130に、測定波形情報と運転状態情報とを送信する。制御部102の機能は、例えば、プロセッサがRAMを用いてROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0089】
通信部122は、通信ネットワーク700を介して、推定装置130と通信する。通信部122は、通信部132から受信した開始指示情報を制御部121に送信する。通信ネットワーク700は、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)である。また、通信部122は、制御部121から受信した測定波形情報と運転状態情報とを通信部132に送信する。通信部122の機能は、例えば、通信インターフェースの機能により実現される。
【0090】
制御部131は、推定装置130の全体の動作を制御する。例えば、制御部131は、操作受付部101から開始指示情報を受信したことに応答して、通信部132を介して、開始指示情報を計測装置120に送信する。また、制御部131は、通信部132が計測装置120から受信した測定波形情報により示される電圧波形と、記憶部105に記憶されているモデル波形情報により示されるモデル波形とを比較し、電圧波形に含まれる反射波を特定する。また、制御部131は、発生箇所情報と発生要因情報とを表示部109に表示させる。また、制御部102は、通信部132が計測装置120から受信した運転状態情報に基づいて、冷媒状態を判別する。制御部131の機能は、例えば、プロセッサがRAMを用いてROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0091】
通信部132は、通信ネットワーク700を介して、計測装置120と通信する。通信部132は、制御部131から受信した開始指示情報を通信部122に送信する。また、通信部132は、通信部122から受信した測定波形情報と運転状態情報とを制御部131に送信する。通信部132の機能は、例えば、通信インターフェースの機能により実現される。
【0092】
本実施形態においても、反射波の発生箇所を示す発生箇所情報と反射波の発生要因を示す発生要因情報とが表示される。従って、本実施形態においても、配管の点検作業の効率化が期待できる。また、本実施形態では、例えば、計測装置120を空調システム1000が構築された場所に設置し、推定装置130が、測定波形情報と運転状態情報とを定期的に取得するように計測装置120を遠隔から制御することができる。
【0093】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0094】
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。
【0095】
実施形態1では、1つの装置である配管点検支援装置100が、計測機能と推定機能と表示機能とを備える例について説明した。また、実施形態2では、配管点検支援装置150が、計測機能を備える計測装置120と、推定機能と表示機能とを備える推定装置130と、を備える例について説明した。本発明において、配管点検支援装置の構成は、この例に限定されない。例えば、配管点検支援装置が、計測機能を備える装置と推定機能を備える装置と表示機能を備える装置とを備えていてもよい。つまり、配管点検支援装置が備える機能は、どの装置によって実現されてもよい。また、配管点検支援装置が備える一部の機能が、クラウドにより実現されてもよい。
【0096】
実施形態1では、運転状態取得部110が、一対の通信線を監視することにより、運転状態情報を取得する例について説明した。運転状態情報を取得する手法は、この例に限定されない。例えば、操作受付部101が運転状態情報をユーザから受け付けてもよい。或いは、実施形態2における通信部132が、通信ネットワーク700に接続されたサーバから運転状態情報を取得してもよい。また、運転状態情報ではなく、冷媒の状態を示す冷媒状態情報を、直接、ユーザ又はサーバから取得してもよい。例えば、操作受付部101が冷媒状態情報をユーザから受け付けてもよいし、通信部132が冷媒状態情報をサーバから受け付けてもよい。
【0097】
実施形態1では、反射波の発生要因毎に用意したモデル波形を、反射波の発生箇所の推定に用い、反射波の発生要因の推定には用いない例について説明した。電圧波形とモデル波形との相関係数から、反射波の発生箇所と反射波の発生要因との双方が推定されてもよい。つまり、モデル波形上における反射波の振幅は反射波の発生要因に応じた振幅であるため、反射波の発生要因毎に用意したモデル波形を、反射波の発生要因の推定に用いてもよい。
【0098】
また、モデル波形は、正の反射波が重畳されたモデル波形と負の反射波が重畳されたモデル波形との2つだけ用意されてもよい。発生要因の推定は、振幅割合により別途推定すればよいためである。また、電圧波形上において反射波の先頭位置の特定が可能であれば、発生箇所の推定にモデル波形を用いなくてもよい。
【0099】
実施形態1では、配管点検支援装置100を空調システム1000に適用する例について説明した。配管点検支援装置100が適用されるシステムは、空調システム1000に限定されない。つまり、配管点検支援装置100は、一対の配管を備える種々のシステムに適用することができる。
【0100】
本発明に係る配管点検支援装置の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置を本発明に係る配管点検支援装置として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0101】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、一対の配管を備える空調システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
10,10A,10B 配管、20,20A,20B 断熱部材、30,30A,30B 通信線、100,150 配管点検支援装置、101 操作受付部、102,121,131 制御部、103 パルス印加部、104 波形測定部、105 記憶部、106 発生箇所推定部、107 発生要因推定部、108 表示制御部、109 表示部、110 運転状態取得部、111 冷媒状態判別部、122,132 通信部、120 計測装置、130 推定装置、200 室外機、300,400 室内機、510,520,530,540 破線、600 画面、700 通信ネットワーク、1000 空調システム